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1948/12/04 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 予算委員会 第3号
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1948/12/04 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 予算委員会 第3号

#1
第004回国会 予算委員会 第3号
昭和二十三年十二月四日(土曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 上林山榮吉君
   理事 苫米地英俊君 理事 竹谷源太郎君
   理事 田中源三郎君 理事 大原 博夫君
      淺利 三朗君    尾崎 末吉君
     小野瀬忠兵衞君    鈴木 明良君
      田口助太郎君    仲内 憲治君
      西村 久之君    平島 良一君
      本間 俊一君    前田  郁君
      松浦  榮君    森  直次君
      大島 義晴君    勝間田清一君
      川島 金次君    菊川 忠雄君
      鈴木茂三郎君    田中織之進君
      林  大作君    松永 義雄君
      松原喜之次君    山崎 道子君
      押川 定秋君    川崎 秀二君
      北村徳太郎君    後藤 悦治君
      中曽根康弘君    長野 長廣君
      井出一太郎君    河野 金昇君
      叶   凸君    黒田 寿男君
      世耕 弘一君    高倉 定助君
      織田 正信君    野坂 參三君
 出席國務大臣
        内閣総理大臣  吉田  茂君
        大 藏 大 臣 泉山 三六君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
        商 工 大 臣 大屋 晋三君
        運 輸 大 臣 小澤佐重喜君
        労 働 大 臣 増田甲子七君
        建 設 大 臣 益谷 秀次君
        國 務 大 臣 森 幸太郎君
 出席政府委員
        総理廳事務官  内田 常雄君
        大藏政務次官  塚田十一郎君
        大 藏 次 官 野田 卯一君
        大藏事務官   河野 一之君
        大藏事務官   阪田 泰二君
        大藏事務官   平田敬一郎君
        大藏事務官   伊原  隆君
        大藏事務官   愛知 揆一君
        大藏事務官   今井 一男君
        專賣局長官   原田 富一君
        労働政務次官  鈴木 正文君
 委員外の出席者
        臨時人事委員  上野 陽一君
        專  門  員 芹澤 彪衞君
        專  門  員 小竹 豊治君
十二月三日
 委員佃良一君及び森戸辰男君辞任につき、その
 補欠として中曽根康弘君及び山崎道子君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)
 昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)
    ―――――――――――――
#2
○上林山委員長 会議を開きます。
 これより質疑に入ります。川島君。
#3
○川島委員 私はまず本委員会に上程になつておりまする追加補正予算の細目に対する質問に先だちまして、吉田総理大臣の基本的な施政方針について二、三お伺いをいたしたいのであります。もとより吉田内閣は組閣早々から國会の解散を表明いたしておりますので、最も善意に解釈をいたしましても、現内閣の壽命は四党協定を建前といたしまして起算いたしました場合には、長くても明年の一月ないし二月末までの壽命であるということは言い得られるのであります。この短期間の存続を予定されまする政府に対して、基本的な各般の方針についての意見を聽取することは、あるいは蛇足のような感もなきにしもあらずでありますが、日本の今日の客観点に置かれました現状並びに國内におけるところの経済各般の諸事情に照しまして、たとえ短期間に存続を許された内閣といえども、その存続の間に対処すべき政府の態度というものは、日本の現状においてきわめて重大な意義があると同時に、それだけに政府の責任もまたきわめて重大なものであると申さねばならないのであります。そこでまず私は総理大臣にお伺いをいたすのでありまするが、言うまでもなく、わが國は敗戰以來すでに四年を迎えたのであります。世界歴史の上から見ましても、敗戰國が敗戰後において満三年もしくは足かけ四年にわたりまして、今なお講和会議が締結されておりませんということは、きわめて稀有に属する事柄であることは言うまでもありません。時たまたま昨年の初頭と記憶いたしておるのでありますが、アメリカは極東委員会に所属いたしまする十一箇國に対しまして、対日平和会議の予備的開催の提唱をいたしたのであります。これに関して関係諸國はもちろんでありまするが、ことに敗戰下にあえぐ八千万國民は、この平和の予備的会談の提唱に対して、きわめて重大なる関心と期待とをもつてそれが実現を期待いたしたのでありまするが、その後の客観的情勢及び日本自体が置かれましたる各般の政治的、経済的、社会的状態にかんがみまして、昨年の七月ごろから突如としてこの対日平和会議の提唱問題が、非常に稀薄な機運の中に置かれたようなことになつてしまつたのであります。この事柄に対しましては、最も期待し、最も希望しておりましたわれわれ八千万日本國民に、非常なる失望を感ぜしめたということは、総理もきわめて同感ではなかろうかと思うのであります。思うに日本民族の独立、日本が敗戰後一切の建直しをいたしまして、眞に民主國家、文化國家の建設を達成し、あわせて経済自立の目標を一日もすみやかに達成いたしまするがためには、一日も早く対日平和会議を開催されるということがきわめて必要であり、またわれわれ國民の心から欲求してやまない点であるのであります。一説によりますと、この対日平和会議は一九五〇年すなわち明後年までには、おそらく開催されないであろうという説もあるやに承つておるのであります。しかしながらわれわれ國民といたしましては、また政府はもとより、この平和会議が一日もすみやかに開催されまして、日本國民が國際の列に伍しつつ民主國家、文化國家、経済自立國家として出発をいたすという欲求には、今もつて何らかわりはないのであります。この事柄に対しまして、まず吉田総理はこの平和会議の開催促進に対して、いかなる考え方を持たれておるかということをまず冐頭にお伺いをいたしたいのでございます。
#4
○吉田國務大臣 ちよつと速記をとめていただきたい。
#5
○上林山委員長 速記をとめてください。
#6
○上林山委員長 速記を始めてください。川島君。
#7
○川島委員 総理に大分具体的なこまかい打明け話をお伺いいたしたのでありますが、最後に、総理は講和会議を締結したことと経済的にも政治的にも同等な價値のある、いわゆる暫定條約とも申すべき問題が可能であるようなお話であつたのであります。まことにわれわれはその一言、意を強うするものでありますが、この機会にくどいようでありますが、この暫定條約が結ばれる可能性がありといたしますならば、一体いつごろそのような事柄が実現するお見通しを立てておられるか、その点について御所見がありましたならば伺つておきたい。
#8
○上林山委員長 速記をとめて……。
#9
○川島委員 この問題について総理としては具体的な質疑應答をすることが非常に困難な問題であろうと思いますので、一應その程度で承つておく次第であります。
 第二にお伺いしたいことは、前内閣から準備されて來たのでありますが、日本の自立的経済目標を達成いたしまするために、片山内閣当時から御承知の経済復興五箇年計画というものを立案して、おそらくこの復興五箇年計画は芦田内閣もそれを受け継いで、一日もすみやかにその具体的策定を決定いたしまして、國民の向うところを決することが、きわめて重要な事柄であることは申すまでもないことであります。しかるところ、この経済復興五箇年計画は、本來なれば昭和二十三年すなわち本年度から出発する予定で、その試案が準備されたのでありますが、その後各般の事情からいたしまして、五箇年計画の第一歩はやむを得ず明年度から出発することになつたとわれわれは承知いたしておるのであります。その場合において私どもは眞劍に一つの問題を考えなければならぬ事柄に逢着いたしておるのではないかと考えるのであります。その事柄は復興五箇年計画の経済関係においての中でも対外関係において、日本の経済的自立達成のためには、旧満州及び中國並びに廣汎なる東亞権盆内における対外通商貿易が、日本の五箇年復興計画のきわめて重要なる中心をなしているはずであります。ことにこの五箇年計画の内容の一部には、中國との関係におきましては、その経済関係において少くとも三〇%の織り込みをこの計画の中に加えられておることは、総理も御承知のことと思います。しかるところ、最近中國における内戰の拡大、それに伴つて中國における政治的、経済的事情が、きわめてわれわれの関心を寄せざるを得ない新しい段階に入つて來るような感じを強くいたしておるものであります。この事柄をわれわれ考えます場合に、この日本の経済的自立達成のために最も期待を多くいたしておりますこの中國の新しい情勢、新しい段階は、必然的にわが國の経済復興五箇年計画の上に、重大なる影響をもたらすものではないかという感じをわれわれは強くいたすものであります。從つて昨年來熱心に片山内閣以來の政府が研究討議をいたしております復興五箇年計画の上に、重大な修正をも余儀なくされるような事柄が起らぬとも限らないように、われわれは考えざるを得ないのであります。総理はこの中國における新しい政治的情勢、新しい経済的段階の展開に対処いたしまして、それとにらみ合せての日本の五箇年間復興計画について、どのようにお考えになつておりますか、その見通し等についてさしつかえなくば所見を伺つておきたいと存じます。
#10
○吉田國務大臣 これも今日外務省といたして中華民國の情勢については、実はただ新聞等を通ずる以外の資料を持つておりませんが、しかし私は私の中華民國における体驗等から考えてみまして、中華民國においてああいう混乱が生じ、上海、南京において非常な混乱を生じて、現に外國人は日本に逃げて來るとか、あるいはマニラに避難しつつあるとかいうようなことが新聞に見えまして、経済の中心である浙江地帶においては、相当混乱が起つておるんだろうと思いますが、しかし私は中華民國人は非常に実際的であつて、混乱の間にも商賣は続ける、混乱の間にもある治安なり、秩序なりが維持されておるのが中華民國でありますから、私の経驗にかんがみてみますと、新聞において非常に混乱状態であつても、実際の中華民國人の日常の生活なり、取引なりというものは、一部を除いて中華民國全体としては、相当の経済活動が現実に行われておるのではないかと私は想像します。ただ問題は、あの混乱によつてアメリカの援助がどれだけ中華民國に相かわらず続けて行かれるか、大いに中華民國を援助すべしという議論が、中華民國に現に行つているブリツトなどのように、ますます中國の混乱を助長しないように、アメリカは一層強く中國に対して援助をすべしという議論もあれば、またその援助が結局は中國の混乱を増すのであるから、中國に対する援助はしばらく形勢を見たらどうかという議論があり、二つの議論が今日ワシントンあたりでもつて討議されているのではないか。どう決定いたしますかは將來に属しますが、中國に対するアメリカの援助の程度いかんによつては、この方が現実の擾乱よりは一層影響するところが多いのではないか。また中國が擾乱を続けて、しからば日本は何らの影響を受けないか。これはやはりお話の通り中國の安定なり、経済の復興なりということが、日本の経済生活に至大な影響を及ぼすのでありますから、希望を申せば、アメリカが從來以上に中國の安定なり復興なりを、援助するようにしてもらいたいものであると私は考えるのであります。がこれは一につながつて今後のアメリカ政府の行動によるわけでありますが、トルーマンが大統領になつて、さらに四箇年継続して同じ方針でもつて行くとするならば、中國に対する援助は從來の方針にかわらずされるのではないか。あるいはこの擾乱が機会となつて、中國に対する援助が一層進むとも考えられるように思います。いずれにしても擾乱よりは、私はアメリカがどの程度まで中國の復興なり援助に努力するかということに、問題はつながつているのではないかと思います。それはそれとして五箇年計画については、私もこの間当局者から話を聞きましたが、私はあの考え方は根本において私と意見が違うように思うのであります。これは率直に申すのでありますが、私は別段経済財政の大家ではありませんからわかりませんが、しかし日本の今後経済財政の立て方については、從來と少しかえて行くべきものではないか。五箇年計画も主として日本の産業を考えているようでありますが、むしろ、日本の復興なり再建のためには、今日イギリスがとつているがごとくに、輸出を中心として、日本の國内における生活は多少きゆうくつに考えてみても、まず輸出によつて日本の再建を行う、輸出を主として日本の産業は考えるべきものではないか。これは私のしろうと考えでありますが、あの計画の根底において私は少し異論があるのであります。しかしこれはまだ五箇年計画の全体について研究を完了しておりませんから、はつきり申せないが、根本の思想においては多少私はかえべきではないかと思います。しかしこれは研究は積んでおりませんから、ただ一見したところの感じであります。いずれ研究が積みましたならば、また私の意見として諸君の御参考に供するときがあると思いますが、一見いたしたところでは、少し立て方をかえるべきではないか、これは私の感じであります。
#11
○川島委員 総理の今のお話によりますと、中國の情勢の推移は、日本の立場において経済的にさしたる懸念はなく済むのではないかという見解のようでありますが、総理も申しましたように、かりに五箇年計画の内容を一部修正して、貿易ことに輸出中心に日本の経済自立を達成せしめたいという方向に轉換をいたすことにいたしましても、その貿易中心の考え方を基礎に置きましても、中國の情勢の推移というものと離すことのできない関連に立つておるのが日本の立場であります。そういうことを考えてみますと、中國の現在の情勢、さらに現在の情勢がさらに新しい情勢を加えるという形になりますれば、中國の政治不安、ことに経済的混乱はある程度想像ができるのであります。そういうことを想像いたしました場合に、日本の経済活動に大きな影響がないとは断じて言えないと思うのであります。総理の考え方はきわめて端的に樂観的にこれを見通されておるようでありますが、私個人としては必ずしもさようには考えられないのであります。総理の言葉じりをつかまえて申し上げるわけではありませんが、ただいま総理は五箇年計画の内容に盛られた基本的性格というか、方針というものに多少の修正を加えて、日本の経済自立達成のためには今後は貿易中心である。その貿易中心に日本の経済計画を置きかえることにいたしますと、今の日本の資源の状態、あるいは外資の援助が飛躍的に上昇するようなことが期待されておりますれば別段でありますが、日本の今日置かれております自主的な経済の諸事情、労働事情あるいは物價の事情等を勘案いたしまして、貿易中心だけの考え方にもしこれを置きかえるといたしますならば、必然的に日本の貿易は、ことに輸出の面におきましては、労働者の犠牲におけるところの飢餓輸出をあえて覚悟しなければならないという矛盾した結論に達するのではないかと思うのであります。そういう問題に対して、すでに昨今ではちらちらと新聞にも報道され、経済安定本部においては飢餓輸出やむなしというようなことに、結論をつけたというようなことを新聞紙にも二、三報道されておるような事情でありまして、國内における労働者に與える影響、あるいはまた貿易に関係を持つております多くの製造業者に與える心理的影響は、必ずしも少くないというのが現実の問題でありますが、はたして総理の言われるように、貿易絶対中心主義の復興計画を推進しますならば、必然的にただいま申し上げたような飢餓輸出というものがそこに大きくクローズアツプされて参るのであります。そういう事柄に対して、総理はどういう考え方によるところの貿易中心経済復興計画であるか、その点について総理の率直な御所見を重ねて承りたいのであります。
#12
○吉田國務大臣 私の意見は率直に述べたのであつて、その述べた結果が飢餓輸出とまで私は申さないのでありますが、最近私に――これは日本におつた大使でありますが、キヤツスルという人が手紙をくれました。その手紙によると、極東におけるインフレーシヨン、ことに中國におけるインフレーシヨンを押えるためには、日本が貿易その他の裏づけをしない限りは、中國のインフレーシヨンはとまらない、中國の経済生活の安定はむずかしい。中華民國の要する資材、資料を日本によつて供給する。イギリス、アメリカ等の製品よりも、日本の工場においてできた物をよけい供給することによつて、少くとも中國のインフレーシヨンは緩和するだろう。その意味から言つて、日本にもつと工業原料をよけいに供給するようにしなければ、日本のためというよりは、極東のため、ひいては世界の経済安定のためにならないという考えを持つている政治家というか、議員がある。これは下院の議員と思いますが、ただ予定に反して共和党が失敗したために、その議員は共和党に属するから、どれだけ將來において発言権があり、勢力があるかしれないけれども、相当の勢力のある人であるから、その構想しておる計画は相当実現性があるのじやないか。これは一部の人の話でありまするが、これも一つの例であり、またその他日本を基地として南洋その他に種々の雜貨といいますか、日用品を供給するために、日本に投資したいという人が、私が知つておるところででも一、二にとどまりませんで、昨年以來二、三私のところに來たアメリカ人もあります。そういうわけで、日本に対する投資なり、日本の貿易の進捗によつて、日本の産業の復興をもくろんでおるが、しかしながら東洋の経済安定を目がけておるという企業家はアメリカには相当あるように思います。ゆえに日本に対する輸出とか、あるいは工業原料の輸入とかいうことに対しては、少くとも私の承知いたしておるところでは、有力な実業家がその点について相当考えておるということは、私としては確信いたしておるところであつて、日本の貿易が促進せられることによつて日本の産業が興り、産業が興ることによつて労働者に、勤労大衆に飢餓輸出というような極端なところまで行かずに相当な成績を上げ得るのじやないか。これは樂観と言われるかもしれませんが、私はあまり前途については悲観しておらないのであります。また中國についても全然樂観をしておるわけではありませんが、しかしながら新聞紙等に現われておるような擾乱といいますか、経済生活の休止されたような状態は現地にはないのではないか。相当の経済活動は中國人のことでありますから、実際に行われておるのではないか。これは樂観ではありませんが、私の体驗から考えると、中華民國人の実際的の性格から見まして、また中華民國人の自主的、自治的の経済生活から見まして、政府に関係なく、日常の経済生活が行われているのではないかと想像いたします。これはしかし根拠のない話であります。ただ自分の体驗から考えてみてそう思つているので、あなたと程度は違いますが、樂観という程度ではなくとも、少くともそう悲観しないでいいじやないか。これは私の感じだけ率直に申し上げたわけであります。
#13
○川島委員 この問題についても少しく続いて御質疑を申し上げたいのでありますが、何か大分お急ぎのようでありますから、別の日にあらためてお伺いいたすことにいたしまして、この問題についてはこれで質疑をやめておきます。
 さらに時間をお急ぎのようでありますから、続けて簡單に質疑をいたしたいと思います。
 アメリカを中心とする対日復興計画あるいは救済計画、回轉基金あるいは綿花借款等を加えまして、わが國における年度を中心として考えた場合に、およそ六億七千万ドルだと記憶しておりますが、その対日援助の計画を中心として最近外紙の報ずるところによりますと、アメリカの明年度における対日復興援助計画の全体に対して、少くとも一九四八年度に比べて、およそ五十%くらいの増加が見込まれるのではないかというニユースが入つているのでありますが、この事柄について政府筋に何らか具体的な事柄が入手されているかどうか、それをまず承つてみたいと思います。
#14
○吉田國務大臣 これは今ただちにお答えする資料を持つておりませんから、調べた上でお答えをいたします。
#15
○川島委員 さらにこれは何も総理のあげ足をとるという意味でお尋ねするわけではありませんから、それをあらかじめ十分に了承してもらいたいのであります。と申しますのは、総理大臣もまだ記憶に残つていると思うのでありますが、かつて総理大臣が幣原内閣の外相の当時並びにその後に首相になられました当時との二回にわたりまして、外人記者團との会見の際に、日本の敗戰國家の再建に対して、從來三井、三菱等のごとき日本の國内における有力なる財閥は、日本の今日までの経済的発展の上に、重要なる役割を果して來たとわれわれは思う。從つて当時のことでありますが、吉田総理大臣並びにかつての外務大臣としての会見の談話の中に、これらの経済的発達に寄與して來た國内の有力な財閥解体を行うことに対しては、自分は非常な疑念を持つているという意味の談話を発表されたことは総理もおそらく記憶に残つていることであろうかと思うのであります。この事柄をもつて私どもは論議をいたしたいというのではありませんが、日本の國内におけるただいま申し上げました有力なる財閥の解体に疑念を持つたというそのこと自体に対して、私どもは非常な関心を寄せざるを得ないのであります。総理は今日においても経済的観念において、そのような基本的な考え方を持ち続けているのか、それともその当時の経済的な観念を今日では相当に修正されているのかどうか、修正されているとすれば、日本経済再建の基本的な考え方において、どういうような具体的な形において修正されて、今日の政府の首班者として、今後の日本経済の発展の上に寄與いたしたいという考え方を持つているか、それを一應伺つておきたいのでございます。
#16
○吉田國務大臣 そのときの新聞会見のときのいきさつを御承知にならないと、私が三井三菱の弁護をしたようになりますが、そのときの記者会見のときの話のいきさつはこうなのであります。当時まだ終戰間もないころであつて、日本の國家組織、社会組織、経済組織はことごとくいくさに都合のいい組織であるという考えが瀰漫しておつて、日本の経済組織なり社会組織のすべてがある一種の色めがねをもつて見られたときである。私の説明しようとしたところは財閥擁護ではなくて、日本の経済組織なり社会組織は決して軍國的ではないのだ、日本の組織は、少くとも経済組織なりまた日本財閥のいたしたことはいくさばかり――鉄砲ばかりつくつておつたんではない、たまばかりつくつておつたんではないのだ、日本における各種平和産業の発達は、財閥の寄與するところが相当大きいのである、既往の財閥、三井三菱その他のいわゆる財閥なるものは、日本の平和産業に相当貢献し、もしくは造船業にしても製鉄業にしても幾多の犠牲を拂つて新重工業に着手したのであつて、決してそれはいくさばかりを考えておつたのではないということを説明いたしたのであつて、財閥を擁護するとか、あるいは今お話のような経済組織云々ということよりは、むしろ日本の工業力なり、また経済力を保護するための話をして申したのであつて、その結果相当誤解を生じ、私も迷惑いたしましたが、話の行き筋はそういういきさつであつたのであります。
#17
○川島委員 総理は急いでおるようなので、ゆつくり質疑を続けてみることのできないことは遺憾でありますが、その問題についても私はさらに意見を持つているのでありますが、その問題も後日に讓りたいと思います。
 そこでもう一つお伺いをいしたいのでありますが、総理は首相に就任されて間もなく、政見の一端を披瀝いたしまして國民に訴えたのであります。その中で私ども最も重大な関心を持ちましたのは、日本の経済復興はもとより生産の復興が重点でなければならないということも、われわれも同感であるのであります。その事柄について総理の基本的な考え方を、私はこの機会に伺つておきたいのであります。なるほど総理の言われるように、当面の日本の重大な問題は生産の復興である。そのことには何人も異議がないのでありますが、その生産の復興の仕方の上において、生産復興を達成するための基本的な考え方、仕組の立て方と申しますか、その事柄によつては非常に違つた内容を持つのであります。私どもは日本の経済自立を一日もすみやかに達成いたしますために、生産の復興がもとより重点ではあるけれども、その生産の復興を目標に、それを一日も早く達成いたしますがためには、何はともあれ、その生産に直接間接に從事いたしておりますところの労働者、廣く勤労大衆の最低生活の保障ということが大前提とならなければ、決して生産の復興は簡單でないということを、われわれは確信をいたしておるのであります。この意味合いにおいてわれわれは、ことにわが党におきましては、常にこうした観点に立つて、勤労大衆の最低生活の保障を基点として、その保障を與えつつ労働者の生産意欲を極度に高揚することによつてのみ、われわれが念願といたしまする生産の復興が可能であるということを、強く主張して参つているのであります。しかるところ、この委員会にたまたま今回上程されました官公吏に対する給與改善の問題であります。この官公吏の給與の改善の問題は、ただいま申し上げました日本経済復興に一大支柱をなすところの、勤労大衆の最低生活の保障をする一つの基になるということは言うまでもございません。そこで総理にお伺い申し上げたいのでありますが、この給與ベースの程度において、はたして日本の勤労大衆の最低生活保障が今日のインフレの事情、物價の事情あるいは國内生産設備等の事情を勘案いたしまして、この程度の給與水準額ではたして大衆の最低生活が保障され、しかして総理の念願とするところの勤労大衆の生産意欲が、今日以上に高揚されるという確信と見通しを持つておられるかどうか、伺いたいのであります。
#18
○吉田國務大臣 勤労大衆の生産意欲を盛んならしめるために、生活の安定を得さしめたいということは、私としても御同感であります。しかしながら、他面において財源の関係があり、お話のようなインフレとか物價とかいろいろな方面もあるので、各方面を考えて、そして今日において政府としては、できる限りの給與をなしたいと考えて、できるだけの考慮をめぐらした結果が、五千三百円に落ちついたわけであつて、決して他の考慮をしないわけではなかつた、勤労大衆の生活安定とか何とかいうことを度外に置いて考えたわけではないので、各方面の関係を勘案してここに結論を得た次第であります。
#19
○川島委員 大分答弁が抽象的で納得ができないのでありますが、さらにお伺いします。しからばさきに人事委員会決定いたしました官公吏の給與ベース六千三百七円、この基礎算定についても、おららく総理は政府首班といたしまして、十分に御檢討を加えたものと私は固く信じて疑わないのでございます。そこで総理にお伺いいたしますのは、人事院が決定いたしたと傳えられておりますところの六千三百円のベースに対して、総理はどのような見解でおられるか、それを一言お聞かせ願いたい。
#20
○吉田國務大臣 私といたしてはどこかの委員会で、人事院の計算の基礎についても相当理由のあることと考えらるるから、十分考えて決定するということを申しておきましたが、人事院の説明についても聞き、また政府が財源その他の関係から考えた結果が、先ほど申した通りに五千何百円かの基準に結論が到達したわけであります。人事院の説明についても十分考慮いたします。
#21
○川島委員 その問題については、いずれ大藏大臣に御質問をするつもりでありますから、その程度で打切ります。
 最後にお伺いをいたしたいのは解散の問題であります。総理は組閣早々今國会の解散を主張いたして参りました。その間にいろいろのいきさつがありましたが、その事柄については時間がありませんから触れません。そこで結論的にお伺いをいたしておきたいのでありますが、先般四党政治協定に基いて、本委員会に提案きれておりまするところの予算案が、二週間内に委員会の審議がスムーズに済むように、総理初め政府も全幅の協力をするという前提に立つて考えますると、來る十二月がいわゆる予算審議終了の予定になります。かりにそういう順序がスムーズに進んだということを前提といたしましてお伺いするのでありますが、その十二日に議案が終了し、四党の協定に基いて予定通りこれまた解散に入るといたしました場合に、政府は一体総選挙の期日というものをどこにあらかじめ置いておるか。おそらく政府の與党である民自党並びに政府も、もちろんその事柄について具体的な研究が進められているに違いないと思うのでありますが、その場合における総選挙の期日はいつであるという予定を立てられたか、それについてお伺いをいたしておきたいのであります。
#22
○吉田國務大臣 今日のところは、今お話のような四党協定が実行せらるるものと考えまして、二週間後に不信任投票が出、そして政府は解散をする、その解散の期日についてはいまだ別段きめておりません。なるべく予算がまず第一に通過して、そうして予算によつて各種の緊急支出等ができることをまず念願として、しかる後に國会で不信任投票が出、また解散ができたそのときでないと申し上げにくいと思います。およその考えとしては一月中にいたしたいと思つております。
#23
○川島委員 吉田総理は強力に解散を主張して來ておる立場の一人であります。しかもただいま申し上げましたように四党の協定が円滑に進んで、政府の予定いたしておるように解散に入るといたしますれば、もはや政府には具体的な時期等についての研究が遂げられておらなければならぬはずである。みずから卒先して解散をとなえて來た政府である。その政府が、もう十二日といえばわずかであります。そういうことが予定されているにかかわらず、まだその事柄については具体的な研究がされておらないということは、この予算の審議が延びるということをも総理は予定されておるかどうか。そういうことについてもこの際お伺いしておきたいのであります。
#24
○吉田國務大臣 私は四党協定がある以上は、審議は延びないと考えます。また諸君においても、それが延びないように御協力願いたいと思います。
#25
○川島委員 そういうことであればあるほど、あなたがそういうふうに考えておられるならば、少くとも責任ある政府として眼前に迫つた問題であります。この眼前に迫つた問題に対して、まだ研究がされておらないような口吻でありますが、もうすでに責任ある政府としてはいろいろの事情を勘案して、その日どりぐらいのことは内定してあるべき筋合のものであろうと私は考えるのでありますが、そういうことに対して、ほんとうに何ら具体的に研究されておらないのでありますか、重ねてお尋ねをいたしておきます。
#26
○吉田國務大臣 お答えいたします。これはわれわれとして腹案はあります。また具体的に考えておりますが、しかしながらこれは將來に属することであつて、幾多の想像した前提を基礎としているのであつて、幾日にやるなどということは、これは將來に属することでありますから、断言はできません。
#27
○川島委員 將來のことであるからということでありますると、すべての議案の審議あるいは経済上の質疑應答、いずれもかかつて將來に属することが多いのであります。ことに解散の問題のごときは、政府の重大な責任において行うべき性質のものであります。そういう事柄について、將來のことに属するから具体的な答えはできないということは、きわめて無責任な言葉であろうと思うのであります。私は先ほど來から総理の答えに対して、虚心坦懐に眞劍な氣持で質疑を重ねて來ておるのであります。しかるところそういうような無責任な答弁をされるに至りましては、私個人といたしましてもきわめて心外であります。この事柄は目前に迫つた具体的な事実であります。しかも政府みずからが主張してきた問題であります。そういうことの見通しをつけることによつて、私は民主政治がもつとはつきりと進んで行くのだと確信いたします。將來のことであるから、そういうことは答えができないという答弁に対しましては、私は納得できません。いろいろまだ質問がありますが、そういう御答弁をなされるようでありますれば、私も私として総理に対する質問をまだ若干保留いたします。
 そこで最後にもう一つお伺いを――私は保留したいと思つたのでありますが、ついでにお伺いいたします。総理もさだめしごらんになつたと思うのでありますが、昨三日付の國際タイムスという新聞紙上で――この紙面を私は何氣なく通覧をいたしたのでありますが、この國際タイムスの第二面に、國管問題に対する記事が五段拔きばかりで出ております。その記事の中に――私は眞偽のほどは承知いたしておりませんが、さだめし総理もあるいはごらんになつたかと思うのでありますが、國管の問題に関連して、何か総理に関係の深い方がこの國管問題に対する反対運動のために動き、少からぬ金銭がその総理の関係の深い方に手交されて、それから吉田茂という当時の民自党の総裁の手元から何らか不当に散布されたというような記事が実は出ておるのであります。私は個人的にはまことに意外な記事を見たものとその時は感じました。はたしてこういう問題が新聞の記事通りであるかどうか、私は眞偽のほどは承知いたしませんが、この問題の報道に対して総理ははたしてどのようなお考えでありますか、それをお伺いいたしたい。
#28
○吉田國務大臣 その記事は私は見ませんが、そういう事実は全然ありません。
#29
○川島委員 そういう事柄がもしかりにないといたしますれば、かりそめにも一國の総理大臣の身辺について、きわめて重大な、しかもそれが誤つた報道でありといたしますれば、それに対して十分な処置が講ぜられてしかるべきだと思うのでありますが、そういう事柄に対して総理はどういうお考えでおりますか、重ねてお伺いいたします。
#30
○吉田國務大臣 今私はあなたから聞いただけの話で、新聞も見たこともなければ、そういう事実もないのでありますから、事実がないということ以外に申し上げることはありません。
#31
○川島委員 委員長から大分総理の方を急がれておりますから、二、三の総理大臣に対する質疑を保留いたしまして、総理に対する質問は本日はこれで打切つておきます。
#32
○田中(源)委員 議事進行について――先ほど総理と川島さんの質疑應答において重大なる論議がかわされた。從つて総理がおられなければ政府を代表する閣僚から御答弁願えればよろしい。私はその閣僚の答弁を総理の答弁と信じておきますから、あらかじめまず答弁に対する念を先に押しておきます。今川島君と総理の間に解散と予算の審議権の問題につきまして重大なる御論議がかわされた。この予算案については、過去四党の協定において、二週間以内にこれをやつてくれ、國会に提出されたところの起草点、その後において適当なる政府と野党との間に協定がついたときに不信任案を出すという協定書がちやんとここにあります。その結果から見まして――小会派の各位はそういう問題にはタツチしていないという議論がここに出て來ておる。そこでこの予算案をお出しになる場合には、必ず給與法案をお出しにならなければ審議ができないということになる。その問題についてこの間うち本会議で論議をいたしました結果、政府は了解が得られ次第に給與法案を出すということになつておる。その答弁後に了解が得られたか得られないかの政府の回答はまだ私どもは承知しておりません。もし他の委員会へでもお出しになつたならば、政府は本日ここへ來て、お約束通りに何日にこの裏づけの不可分の給與法案を出しましたということを言わなければならぬ義務を持つておる。かりにこの協定が生きるものならば、それから起算してその範囲内を計算するのが当然なんです。しかるに今の質疑の問題からいたしますと、非常なるそこに総理の答弁と川島君の質疑との間にギヤツプが生じて來ておる。私どもはそろうた法案が出て來て初めて審議される。小会派の諸君はかような協定は認めていないと言われておる。しかしそれは別といたしまして、かりに四党の間に協定があるならば、政府は提出したならしたということを、この委員会に約束通り報告をして、その審議の経過を見て総理が答弁せらるべきはずのものである。從つてその審議期間は一方的に政府がずらした。われわれはこの本会議において審議に努力する、しかしながら法案が整わず、すべての準備が整わないときの審議期間に対しては、政府の責任であるということは一應念を押しておいたはずである。從つて、先ほどの川島君の質疑と総理の答弁とに対しましては、この予算委員会の理事会にあるいはまたわれわれの多数の意見の上においては非常なる見解の相違があります。從つて私は、政府の考えておる通りの期間内に審議ができるかできないかということは、われわれの審議権の無視であると思う。この点について私どもははつきりと見解を申し述べて政府の意見を承つておきたいと思う。
#33
○泉山國務大臣 ただいまの田中さんの御質問の要点は、要旨を確かめかねましたが、私昨日新給與法案の提出に関しましての答弁をいたしましたので、その限りにおきまして弁明をいたしたいと思うのであります。一昨日の田中さんの御質疑に対しまして、私より昨日、新給與法案は本日閣議を了し、ただちに関係方面との折衝を重ねてすみやかにこれを本國会に提出いたす、さようの弁明をいたしたのであります。しかるところ、すこぶる円滑なる経過によりまして、昨日すでに本法案はこれを本國会に提出いたしたのであります。以上御報告を申し上げます。
#34
○田中(源)委員 まつたく私の質問ととんちんかんな話でありまして、そんな答弁を承つておるわけではありません。政府を代表して、前の約束通りに出したら出したということは政府みずからが進んでなさなければならぬ。おそらく運輸大臣の小澤さんは私の言うことはよくおわかりになると思う。それがほんとうなんだ。だから今私が言つておるのは、國務大臣としての答弁であつて、大藏大臣としての答弁ではない。政府を代表して小澤さんがお答えになつた以上は、総理がお忙しければ、政府を代表する方が、あの当時の経過にかんがみてはつきりとここに御答弁なさるのが順序だ。そういうわけでありまして、協定の面から見て、われわれは審議についてはそういう見解を持つておるのであります。この点については先ほどの質問應答の間において大いなる食い違いがある。委員会は委員会の審議としての立場をはつきりしておる。われわれ委員会は拘束されておらない、委員会独自の権限というものはここにある。この観点に立つて、われわれは政府に対する要求をいたしておる。これに対して政府は御答弁なされるのが順序だ。今の大藏大臣の答弁は私は答弁として受取つておらない。あらためて政府を代表する答弁をしていただきたい。
#35
○小澤國務大臣 田中さんの御質問に対して政府を代表して答弁をいたします。給與法案はせんだつての委員会の決議に基きまして、ただいま大藏大臣がお話のように昨夜提出をいたしました。こういうことを申し上げるのは一つの礼儀として申し上げるだけでありまして、從つてこの問題がいつ出したかによつて、三党協定とか政府との協約には何ら影響はないものと考えます。
#36
○田中(源)委員 私は政府と意見を異にいたします。何ら三党の協定等に影響がないという政府の見解ですが、われわれはこの給與法案が提出されてから初めて法案の形態が整う。それによつて起算日と考える。われわれはわれわれ独自の審議の見解をもつて進むということを、ここにわれわれ委員多数の意見として申し上げておきます。
#37
○上林山委員長 川島金次君。質疑を続行願います。
#38
○川島委員 続いて大藏大臣にお伺いいたします。大藏大臣は昨日本間君の質問に対しまして、その中で通貨の増発が三千三百億円を予定いたしたのが、食糧証券等の関係から、年末の通貨増発が三千五百億くらいに上るであろうけれども、その通貨増発高も明年の最後的な徴税等の関係から、收縮しなくてもそう心配するほどではない、こういう考えを発表されたと記憶しております。一体大藏大臣は今日の日本のインフレの事情に対しまして、どういう基本的な考え方を持つておるかということを承つておきたい。政府が当初年末の日銀発券高が三千三百億程度でとどまると予定したものがいろいろの事情で三千五百億を突破するであろう、しかしながらその通貨の増発はあまり心配はないのだというがごとき口吻であられたようであります。しかし私の所見をもつていたしますならば、日本の経済安定を達成させるためには、まず第一にできるだけ通貨の收縮をはかり、財政の均衡を保ちつつ、同時に賃金、物價を安定せしめることが基本的方針でなければならないと確信いたします。しかるに三千五百億の通貨増発もあえて心配にならないと大藏大臣は言われておるのであります。そこでまずお伺いをいたしたいのでありますが、しからばこの年末の発券高が三千五百億となり、さらに明年に入つて年度末すなわち三月三十一日までの間に通貨の増発がなくして済むという見解でおられるのか。さらに通貨三千五百億の年末発券高が上昇して、年度末までにはどの程度までの通貨の現状になるか、そういつた基本的な見通しについてさだめし確信があろうと思うのでありますが、まずそれをお伺いいたしたい。
#39
○泉山國務大臣 お答え申し上げます。通貨の発行高につきまして、この年末における見通しにつきましては、昨日本間委員にお答え申し上げました通り、三千五百億円程度、すなわち從來通貨審議会におきまして見通しをつけておりました三千三百億円を約二百億円程度超過いたすのではないか、さようの見通しを申し上げたのでございます。しかるところただいまのお尋ねは、さらに年度末までにはいかなる経過をたどるべきものであるか、かようなことでございましたが、ただいま私はその数字を持たないのでありますけれども、しかしながら大体財政構成におきまして、主として財政面よりこれをごらんになりますれば、おわかりの通り、年明けの通貨の趨勢においては、さまで増加とは相ならないものと考える次第であります。
#40
○川島委員 どうもきのうから大藏大臣の答弁を聞いておりますと、まことにたよりない話で、われわれは大いに失望をいたしておるのであります。かりそめにも一國の財政経済を担当いたしております大藏大臣といたしまして、少くとも今日の通貨問題は、日本の経済の再興の面にとつて、重大な意味を持つたものであるということは言うまでもない。從つて大藏大臣としてはこの年末通貨発券高が三千五百億程度になろうという基本的な目安を持つておる以上は、さらに年度末までの通貨推移というくらいなことは、あらかじめ明確に把握いたしておくべきものであろうと私は思うのであります。しかるに今の大臣の答弁を聞いておりまますと、さまでというようなきわめて抽象あいまいな言葉でございますが、それではわれわれはこの審議をいたします場合において、十分に納得が行かないのであります。そこで重ねてくどくお伺いするのでありますが、少くともあなたが大藏大臣である以上は、年度末の通貨の増発がどの程度になるというくらいな確固たる見通しがあつてしかるべきであろうと思うのであります。重ねてお伺いいたす次第であります。
#41
○泉山國務大臣 重ねてお答え申し上げます。私はまず年末におきましての通貨発行高の見通しを申し上げたのでありましたが、これは川島さん御承知の通り、年末は金融事情その他の関係を見ましても、通貨の発行高は一年の間におきまして最も注目すべき段階にあるのであります。かようの意味をもちましてこの年末の通貨発行高について申し上げたのでありますが、その後におきます何箇月間の傾向を達観いたしますところ、先ほど私が申し上げました通り、租税面におきましての政府資金の回收もあり、他方また昨日も御説明申し上げました通り、本年末におきましての通貨増発の事情は、米の買入れ代金という点に大きい重点がございますために、その面から当然また相当の増発があるものと考えられます関係上、かれこれ勘案いたしまするところ、私が結論的に申し上げました通り、ほとんどいくらも上昇はしない、さような見通しを申し上げたのでありまして、きわめて明瞭なところであります。
#42
○川島委員 通貨は年度末に入つてもそれほどまで増加はしないということであつて、具体的な見通しは持つておらぬようであります。まことにたよりない大藏大臣と言わなければならぬと思います。言うまでもなく大藏大臣においては、今ここに出ておる予算が無事に通過した場合、そういうことを基本的に考えて、二十三年度全体の総予算、政府資金として年度末に國民から吸收するところの租税その他の資金計画、それから今後発行されるところの食糧証券に伴う農村への資金、年末から年度末に至るまでの第四・四半期の資金計画も大藏省には確固としてあるはずである。そういうことを勘案すれば、いくら國民資金を吸收して、政府がいくら支拂いをして、産業資金はどの程度年度末までに散布をして、政府の支拂いがどの程度である、こういうことを勘案すれば、ある程度明確にわかつていなければならぬわけであります。それを單なるさほど増発はいたさないであろうというような抽象的な言葉では、われわれは納得できません。当然あるべき筋合いのものである。そういうものさえも持たないという大藏大臣に至りましては、まことにたよりない大藏大臣であるということを繰返して言わなければならぬのであります。しつこいようでありますが、重ねて御所見を承つておきたいのであります。
#43
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。ただいま川島さん御心配の通り、事務当局といたしましてはもとより数字は持つておるのであります。私はその結論を結論的に申し上げたまででございます。
#44
○川島委員 私は大藏大臣の明確な答弁を要求しておるのです。明確な答弁ができるような建前になつておるはずであります。大藏大臣がわからないならば、事務当局を二、三人呼んで至急に調べていただきたい。当然明確にされていなければならない問題でありますから、もう一度お聞きいたします。
#45
○泉山國務大臣 資料をよく調べまして後ほどお答え申し上げます。
#46
○川島委員 大藏大臣のだんだんの御答弁を聞いておりますと、さまで通貨は増発しないということのようであります。その問題についてはあとで答弁があるそうでありますから、あとで聞きますが、そういうことを前提として私どもが想像いたしますと、明年度は政府支拂いはできるだけ延ばして行く、その反面において租税徴收は強力にこれを断行するという建前にならざるを得ないのでありますが、大藏大臣はそういう考え方を持つておるかどうか。そういう考え方でなければ、今の大藏大臣の答弁されたような、通貨はさまで増発は見ないという結論にはならないのでありますが、どういう考え方でありますか。お尋ねをしておきます。
#47
○泉山國務大臣 ちよつと聞き漏らしましてはなはだ失礼いたしました。
#48
○川島委員 時間をむだに空費することになりますから、もつと十分に質問は聞いてもらいたい。私の言つたのは、大藏大臣は年度末までにはさまで通貨の増発はない、こういうのであるけれども、私どもが善意に解釈した立場に立つてみますと、こういうことになる。政府支拂いは今後あまりやらない。しかし一方徴税強行は断行するということでないと、今の大藏大臣の答弁のつじつまが合つて來ないのだが、そういう方針のもとに年度末まで進んで行くのかどうか、お伺いしておるのです。
#49
○泉山國務大臣 お答えいたします。まず第一に年度末におきましての通貨の発行高は、私が結論的に申し上げました通りに、見通しとしてはかわつておりません。その前提に立ちます場合におきまして、ただいま川島さんの御指摘の通り、政府資金の散布よりも引上げの面にやや大きいものがある。かような場合もあるのでありますが、他の一面におきましてまた政府資金の散布がある、かようなことで、その結論としては多くかわらないことは申し上げるまでもないのであります。
#50
○上林山委員長 川島君に申し上げますが、通貨收縮に関して政府委員の答弁をやつてもいいという申出がありますから、さようとりはからいます。
#51
○内田政府委員 ただいま大藏大臣から御説明がございました通貨の状況につきまして、補足的に若干詳しく申し述べます。大藏大臣からお述べになりましたように、年末の通貨の発行額は大体三千五百億円ぐらいになる見通しでございます。これは経済安定本部等の当初の見通しでは、三千三百億円程度でございましたが、その後大臣のお話の通りに、供米の成績がきわめて順調に進みましたために、当初七百億ないし八百億円くらいの食糧管理特別会計の米の買上げの資金の放出が、約四百億円ぐらいふえる見通しになりまして、主としてその関係で二百億円ほど増発に相なることになりまして、年末三千五百億円ということになります。これは一年間を通してみますと、約千二百億円くらいの増発になるのであります。しかしながらこれも大臣からお話のように、年度末までを通してみますと、一月から三月までの間におきましては、むろん税金の徴收もございますけれども、また食糧の関係におきましても、通常ならば第四・四半期まで及ぶところの食糧の供出が、非常に繰上つて年内に來ておりますために、食糧の供出関係の資金の放出は逆になりまして、むしろ三、四百億くらいの減少を來して参る。そのかわりもちろん産業資金も出て参りまして、かれこれ調整をいたしてみますと、むしろ年度末には十二月から百億くらい通貨が減つて、三千四百億くらいにとどまるという見込みに相なります。なお、これを、本年末までについて、財政資金がどのくらい出るか、産業資金がどのくらい出るかということを申し上げてみますと、財政資金はこの十二月まで、すなわち十月から十二月までの三ヶ月間に、一千四百四十億円の財政資金が出るのであります。しかしその中で供米の関係で出ますものが、実に一千三十六億円に及びまして、その他の差額につきましてはこれは一般財政等であります。これを年度末、つまり來年の三月まで引延ばして見ますと、財政資金は一月から三月までの間におきましては、むしろ二百五十億ほど引上超過という形が出て参ります。これは税金の関係及び供米の関係でありまして、米は一月から三月までは買うものもありますけれども、むしろ消費に向けられて、食糧管理特別会計が一般から引上げる資金が出て参るという形に相なります。産業資金の総額を申し上げますと、大体十月から年末、ことに年末にかけましては相当の産業資金も出るものと見ますと、この純計が十二月までにおいて一千二百億くらいになります。それに一月から三月までなお八百五十億くらいの産業資金の純貸出が、復金あるいは一般金融機関から行われることも見通されるのでありまして、年度内総計三千六百十七億というものが産業資金として放出される。さようにいたしまして本年の第三・四半期、すなわち年内だけで申し上げますと、先ほど申し上げました一千四百四十億の財政資金の放出、つまり財政資金の赤でございます。それと産業資金の貸出超過分が一千二百億ほどございますから、大体合計で二千六百億余りの金が出るのであります。一方貯蓄の成績もきわめて好成績でありまして、貯蓄で相当額をカバーいたす。しかしながらなおその間にギヤツプがございまして、先ほども申し上げますように、約九百億くらいの通貨の増発となつて、年末が三千五百億ということに相なるわけであります。これを年度内を通算してみますと、つまり今年の四月から來年の三月までの一年間を通じて見ますと、財政資金として出ます総額が、一千五百五十億、産業資金といたしまして三千六百十七億、合計いたしまして五千百六十七億という通貨がよけい出るわけであります。貯蓄の面におきましても、一般のいわゆる貯蓄のほか、公團の預金であるとか、公金の預金であるとかいうような、要するに金のたまりが四千億近く出て参りまして、差引通貨の増発を要する部分が年度内を通算いたしまして一千二百三十三億円というものが出まして、その結果、通貨のしりにおきましては、先ほども申し上げますように大体三千四百億内外ということになる見込みであります。これがインフレーシヨンであるかどうかということにつきまして、一言付言さしていただきますと、昨年度におきましてもやはり一千億程度の通貨の増発がございました。これを割合にいたして見ますと、きわめて明瞭でありますが、昨年度におきましては通貨の増発率は八九%でありますが、本年度は、ただいま申し上げました年度末までの見通しによりますと、その割合では五七%の増発ということになるのでありまして、増加の割合は昨年よりも少くなつておる。これは通貨増発の総額においては大体似たものでありますが、パーセン・テージにおいてはそれだけ増発率が減つて参る。言いかえますと、インフレの足並みがはなはだ弱つて参つておる。これはもちろん五七%にいたしましても、通貨の増発は好ましくないのでありますが、実態的に見ますと、一昨日もちよつと触れましたように、今回國民所得の推計をやり直してみますと、國民所得が昨年の一兆一千億に対して、本年は二兆三千九百億になる。これは物價の上りとか賃金の上りというものもございますが、生産の上り、つまり実質上の國民所得もふえているのでありまして、実質上の國民所得が昨年から今年にかけて約一八%ふえている。そのほかに物價の値上り、実効價格をとつてみますと、その値上りが四一%あるのでありますから、國民経済の実際上の増進と申しますか、生産の上りの一八%と、実効價格の値上り四一%とをかけ合せてみますと、生産の上昇及び物價の増加をまかなう資金においては、六六%ほどふえなければ、この生産と物價をまかなうことができないことにもなるわけであります。それが通貨の面においては五七%でとどまるであろう。從つてその間通貨事情は緩和している。これは無論通貨の面でむりに締めているのではないのでありまして、その間、信用取引の回復であるとか、あるいは死藏された通貨が流通面に入つて参つたとか、さような関係もありますから、経済の実態及び物價の値上りに比べて、通貨の増発率はむしろ少いような形を示しているのであります。それらの事情を考えてみますと、まず通貨は経済の関係からもこれより多くてもいかぬし、少くてもいかぬというような形であろうかと考えます。こまかい資料等もございますが、一應さように御説明申し上げておきます。
#52
○川島委員 今の御説明では、おそらく租税收入が政府の所定の計画通りに三月までに完遂されることが前提だと思う。それで一つ拔けていることがあると思いますが、たとえば運賃收入の予定よりも減少、通信料金の予定收入の減少、あるいは專賣益金の予定收入に対する若干の減少、こういうことをも加えてのただいまの通貨の数字でありますか、それをひとつお伺いしたい。
#53
○内田政府委員 お答えを申し上げます。これは大体の数字でございますが、御承知のように、今回の補正予算におきまする國税の総額は、本予算におきまする二千六百七十七億に四百七、八十億が加わりますから、三千百億円見当となるわけであります。その中で、これは租税全体でございますが、第二・四半期すなわち九月末までに徴收いたしました実績は、八百十億円でございます。それに対してわれわれの計画では、この十二月までには、つまり第三・四半期の間において、七百六十億円を徴收して参る。そのために更正決定等も先般來やつておりますが、さようにいたしますと、年内に一千五百七十億ぐらいの租税が徴收されます。これではまだ半分以下で、五割に達しない。從いまして、明年一月以降この年度内の三月までと、それから会計上本年度に属します四月までの間に、残りの五割以上、六割近くを徴收することになります。通貨の計画においては、残りの税金、残りが大体千六百億ぐらい残ると思いますが、その中で千二百億ぐらいは三月までにとり、あとやはり二百億ないし三百億ぐらいは三月までにとれないで、四月に繰越す。しかし大体全体の八割ないし九割までは三月までに徴收をして参る、かような計画及び見込みでやつております。これは昨年の例におきましても、昨年も追加予算がございまして、よく似たわけでございましたが、昨年におきましても、十二月までには租税全体の徴收成績はきわめて低かつたのを、たつた一月から八月までに相当強行もいたしましたが、とつて参つた。昨年の成績よりも本年の成績の方がよほど実態においても緩和いたしておることが見受けられますので、われわれの資金計画におきましても、その事実が相当見込まれて参つている。專賣益金等については、追加予算につきましても大藏省から御説明がありましたように、若干の益金の減收が見積られておりますが、それを配給タバコの若干の値上げ等によつておおむねとんとんに行つている。そこで專賣益金と租税徴收とは趣が異なりまして、年度のしまいに行つてよけいむりやりにとるということがあまりない。大体專賣益金については、おおむね各四半期ごとに入つて來ているというような状態でありますから、租税とははなはだ趣を異にしている状況であります。
#54
○上林山委員長 午後は一時半より開会いたします。これにて休憩いたします。
    午後零時三十二分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後三時二十二分開議
#55
○上林山委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 質疑を継続いたします。川島金次君。
#56
○川島委員 労働大臣にお伺いをいたします。私は個人的に承つておつたのでありますが、労働大臣はこの政府の給與ベースを檢討いたしておる経過において、五千三百円ベースに対しては極力反対の一人である、その程度の給與では一般官公吏の生活の最低保障にならない、こういう見解で閣議でなかなか健鬪されたという話を実は聞いておるのであります。最後の閣議決定においては、いわゆる五千三百円ベースに落ちついたのでありますが、労働大臣としてはこの五千三百円ベースについての別個な見解があるのか、それともこの五千三百円ベースが、きわめて適切妥当な基準だという確信に結果においては立たれておるのかどうか、これをまずお伺いいたします。
#57
○増田國務大臣 川島さんにお答え申し上げます。人事労働共同審査会がございましたが、そのときに私は総理とともに六千三百七円を適切妥当と認めて、この実現に向つて努力いたしたい、こういうことを私も申し上げ、また総理も申し上げた次第でございます。その後その線に向つてもとより一生懸命努力はいたしましたが、財政の関係上五千三百円にならざるを得なかつた次第でございます。そこでこの五千三百円が川島さんのお言葉によりますと、増田は適切妥当と認めておるかどうかという点でございまするが、適切妥当とは言われませんけれども、しかし財政の現況にかんがみてやむを得ない、こう閣僚一同とともに考えておる次第でございます。
#58
○川島委員 続いてお伺いしますが、この五千三百円ベースによつて、現在の食糧の事情、物價の事情並びに多少でも高進するであろうところの今後のインフレの事情、そういつた総合的なことを勘案いたしまして、一体五千三百円ベースで、はたして公務員の家計の上において、まつたく赤字なしで行けるというお見通しを持つておるのかどうか。從來の賃金ベースには、往々にして家庭生活においては、赤字を政府みずからが織り込んでベースを決定しておる。このベースではそういう方面の懸念がないような計算になつておるという確信をもつて立てられたのであるかどうか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
#59
○増田國務大臣 この五千三百円で赤字がないように期待し得るかどうか、その見込みいかんという御質問でございまするが、御承知のごとく、十一月のCPIは十月のCPIよりも下つております。そういう関係から見ますと、そう大した赤字はなくて済むのではないかと考えております。もとより五千三百円に決定するにあたりましては、実質生計費その他消費者價格の指数等を勘案して、ああいうふうにきめた次第でございまして、そう大して赤字は出ないであろう。もとより赤字が出ないということは保証できません次第でございますから、われわれは今もつてこのレベルを妥当とは認めておりませんが、財政の見地からやむを得ない、こう思つておる次第でございます。もとより赤字がないということは保証できませんが、十一月のCPI等から見ますと多少下つて、漸減の傾向にもございますから、そう大して赤字は出ないであろう、こう考えております。
#60
○川島委員 たいへん率直なお話でありまして、大して赤字はないであろうというお話でありますが、そういう点については、少くとも政府は公務員のこのベースを総合的に見て、確実に赤字なしというような基本的な確定的な基礎の上に立つて、ベースというものはきめるべきであろうと私は思うのであります。ことに今度の公務員の給與という問題は、從來の公務員の給與とは、格段の意義を持つたものであろうと私は確信をいたしておるのであります。ことにこの給與改善は公務員法の改正に伴つて行われる給與改善である。しかもその公務員の福祉と利益を十分に擁護しなければならぬということが、かつてのマツカーサー書簡にも明示されており、さらにまたその書簡の中に、言うまでもなく、公務員の威嚴と権威と永続性とを備えしむること、このことについて政府は十分の努力をしなければならない、こういうことを言つておるのでありますし、さらに公務員法の改正案が國会において成立をいたしました翌日、マッカーサー元帥の声明書にも、この公務員法の改正法案成立を機会に、從來不適当であつた公務員に対する待遇改善の十分な機会が到來したのであり、それに向つて政府も十分な努力をすべきであるという趣旨の声明書が出ておるのであります。こういうことを勘案いたしましても、この五千三百円ベースを決定するに先だつて、政府は責任をもつて公務員の家計の上において少くとも赤字を出さない、これならば赤字なしに生計が保たれて、その上に公務員としての威嚴と権威と永続性とを備えるような立場に、十分な努力を拂うべき責任が、私は政府にあるのではないかとかように考えておるのであります。しかるにただいまのお話によりますれば、多少の赤字が出るであろうことが予想されるような口吻であります。從つて赤字があるものと私どもは想像するのでありますが、その点についで政府は十分責任を持つた檢討を遂げたことがあるかどうか、もし赤字が多少出るであろうというおそれがあるとすれば、その五千三百円給與ベースに平均してどのくらいの赤字を織り込まなければならないような結果になるかどうか、そういうことについての御檢討がありましたならば、この際数字的に明らかにしてもらいたいと思うのであります。
#61
○増田國務大臣 こまかい点はあとで給與局長が参りましてからお答え申し上げますが、この五千三百円を出した関係につきましても、私が先ほど申し上げました通り、CPI、CPS等が下つておりますから、民間の一般産業労働者の実質賃金は上つておる。それは川島さん御存じだと思いますが、四割弱の程度に上つております。その三割幾分というものを見込んであるわけでありまして、私が先ほど申したのは率直に申したわけでございまして、暮し方によつていろいろ違いますが、計算によりますと赤字は出ないという関係になつております。しかし今はなかなか生活も樂でないときでありますから、暮しようでは赤字も相当出るであろうというような意味のことを申し上げたのでございます。なおこまかい点を申し上げますと、人事委員会の勧告にかかるものは、家族給等が千二百五十円も見込まれておりますが、これは一般産業労働関係の家族給は五百円見当でございます。そういうものとやはり均衡をとるという必要もございますし、また地域給等が五割、一割、零という非常に常識から見ておかしいと思われるような勧告も受けております。これは一般公務員はむしろあれは歓迎しないというような声が、ほうはいとして起つておりますし、その点も勘案して、五分刻みの九段階というような妥当な地域給を支給することにしておるのであります。それから昨日新聞に発表されましたが、人事委員会の勧告にかかる給與準則法律案を見ますと、すべて官舍その他実物給與をしておる場合は、これは金銭に換算して俸給から差引くというようなことになつております。六千三百七円を支給した場合に差引くわけでありますから、これを嚴格に適用されますと、実質賃金はむしろ低下しはせぬか、こういうふうにまで考えておる次第であります。こまかい数字のことは給與局長からあとで申し上げますが、いわゆる五千三百円あるいは五千五百円と言つておりますが、実質賃金においていわゆる六千三百七円とそう逕庭はないというふうにわれわれは考えております。
#62
○川島委員 私はその問題については、さらに政府委員、大藏大臣等に質問を続行したい点がありますので、労働大臣に対しては一應本日はこの程度にとどめておきたいと思います。そこで農林大臣が見えておりますので、農林大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 最近における日本経済の推移というものが、見ようによりましては一見安定的な経済に入つて來たような感じもいたすのであります。その基本となつたものには、いろいろの根拠があろうと思うのでありますが、問題は國民の食生活の改善が相当な原因をなしておるようにも考えておるのであります。ことに前内閣は十一月から二合七勺の國民配給を実施し、さらにあわせて特別重要産業方面への食糧加配なども十分とは行かぬまでも、ある程度の増配を実施するということになつて今日に來ておるのでありますが、問題となりますのは、今年度におけるところの國内における米穀の実際の收穫高、それに伴うところの政府が予定いたしました供出の実績、そういうことに重大な関連があるのであります。まず第一にそのことについてお伺いしたい点は、本年度の米の実收見込高はすでに二回も発表になつておりまして、第二回目は記憶によりますれば、六千三百万石と記憶いたしておるのでありますが、すでにその二回目の発表以降において相当の時日を経ております。そこですでに農林当局においては、それぞれ最後の実收見込高について統計を集計中であろうと思うのであります。從つて大体の最後の実收見込高というものは、確定の段階に入つたのではないかと想像するのでありますが、その点について農林大臣の調査ができておりますれば、御報告を願いたいと思います。
#63
○周東國務大臣 お答えいたします。今御指摘のように第二回の予想收穫高を先日発表いたしたのでありますが、それはお話の通り六千三百五万石余であります。その後におきましては、ただいま各作物調査報告所で坪刈り等を実行いたしまして、最後の実收高の調査をいたしておりますが、まだ全部完成いたしておりません。予定は大体十二月十五日までにその調査を終つて、作物調査報告決定委員会の議を経て、二十日ころには最終の報告ができるかと考えておりますが、ただいままだ集計中であります。
#64
○川島委員 重ねてそれについてお伺いいたしますが、第二回の收穫予想高の六千三百五万石、それよりも第三回目の最終的な集計に基けば、六千三百五万石を上まわるものであるか、それとも違つた言いかえれば、少いような事情になつて來るのか、その程度の見通しはおそらくあるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#65
○周東國務大臣 まだ全府縣関係が出そろつておりませんから、その見通しをつけることは困難かと思いますが、府縣によりますと、ややよくなつているところと、減つているところとありますので、全体的にいまだ増減を申し上げる時期に至つていないのであります。
#66
○川島委員 われわれは本年度の豊作を期待いたしまして、農林当局が集計いたしました第二回の六千三百五万石程度であろうことを、衷心から大いに期待いたしたいのでありますが、それとともに問題となるのは、國民の食生活の安定が、日本経済の復興に重要な関係のあることは言うまでもないのであります。しかしながらかりに六千三百五万石を上まわつた集積を見たといたしましても、少くともさらに千二、三百万石の不足食糧が生ずることは、これまた言うまでもない事柄であるのでありますが、その輸入食糧の、政府としての具体的な見通しについて、まずお伺いをいたしておきたいのであります。
#67
○周東國務大臣 お答えいたします。まことにごもつともな御心配でありますが、この輸入食糧につきましてはただいま懇請中であり、GHQの方が本國に行つておられる最中でありまして、その結果を待たなければわからぬことでありまして、どれだけ入るということを今申し上げることができないことを御了解願います。
#68
○川島委員 せつかくその筋に対して懇請中であるということは、われわれも了承するのでありますが、大体政府において、二合七勺の國民食糧配給を確保いたして行きます場合においては、今後輸入食糧はどの程度の具体的な輸入がなければ、この二合七勺並びに労務加配の確保はできないということは、当時初めからわかつていなければならぬ事柄でありますので、政府はその筋に対しての輸入食糧に対する希望といいますか、できるだけその希望に沿うだけの努力はもちろんするのでありましようが、具体的な希望数量はどの程度でなければならぬか。それによつて日本の國内におけるところの二合七勺の國民配給が確保できるかという希望数量は必ずあるべきはずだと思うのです。それに対してありましたならばこの機会にお示しを願いたい。かように思います。
#69
○周東國務大臣 それはどこまでもこちらの希望数量であります。それは輸入見込数量でありません。これは昨年も食糧といたしましては石換算千四、五百万石であつたと思いますが、日本の現在の状況として、その前後の希望はもちろん必要と考えておりますが、それが的確に輸入見込みになり得るかどうかということは、今後の問題でありますから御了承願います。
#70
○川島委員 どうもちよつと納得の行かない点があるので、しつこいようですがお尋ねします。二合七勺の國民食糧配給を確定した、そうしてしかも國内の米産高ではその二合七勺は確保できないということは、最初から予定されておる。從つて輸入食糧の援助があつてこそ、初めて國民の二合七勺の確保が一貫するのじやないか。繰返して申し上げますが、從つて政府に具体的なその希望食糧の数量が出ていなければ、この二合七勺の國民配給の確保が國民に納得し得られないことになる。そういうことになると、國民の二合七勺に対する將來の不安を生ずるおそれもある。そこで率直にこの際農林大臣として、政府はこの程度の食糧の輸入がなければ、二合七勺は確保できないのだという程度のことについて、さしつかえない限りこの際お示しを願いたいと思います。
#71
○周東國務大臣 ただいま申し上げましたように、どこまでも希望数量といたしましては、昨年とおつつかつつ前後の数量を希望しておることを申し上げておく次第であります。
#72
○川島委員 そうすると、やはり千四百万石ないし千五百万石の輸入食糧が実現できないと、二合七勺の確保はできないというふうに了解いたしてよろしいのでありますか。
#73
○周東國務大臣 大体計画といたしましてはそれ以下のもので計画いたしておりますが、將來の全体的輸入数量の見込みから申しますと、ただいま申し上げたような数量を希望しておりますが、具体的の計画につきましては、また別の機会に申し上げる機会があると思います。
#74
○川島委員 さらにこまかいようでありますが、この機会に明確にしてもらいたいのは、新米穀年度の供出開始以來、十一月一ぱいまでに至る早場米の供出数量、あるいはまた各月にわたつております一般供出数量、これをお示し願いたいということと、さらに今後十二月、一月、二月にわたる各月の政府の供出見込み予定額、こういう数字であろうと思うのですが、それをこの際お示し願いたい。
#75
○周東國務大臣 今日まで出ております供出数量は、大体八月末で約一万一千石、九月末で百四十九万七千石、十月末に千四十万九千石、十一月は二十日現在でございますが、十一月二十日現在では千四百五十四万一千石程度になつております。それからかんしよは大体八月末で四十九万貫、九月末が三千九百二万貫、十月末で二億九千七百三十万貫、十一月二十日現在で四億八千八百二十万貫、大体今日まで非常に順調な足取りを示しております。米にいたしますと十一月二十日現在で四七・五%、いもは十一月二十日現在で七五・四%、これは前年の同月同日に比較しますと、去年は十一月二十日現在で米が二八・四%、いもが三五・八%というような状況になつております。今日までの状況は、非常に順調な足取りを示しております。それから十一、十二月の予定数字は出しておりませんが、できるだけ早く出したいと思つております。
#76
○川島委員 さらにお伺いいたしますが、最近全國にわたつてきわめて懸念すべき現象は、耕作権の放棄という問題があるのであります。さだめし農林大臣も就任以來、その点についてはすでに御檢討を続けているのではないかと思うのでありますが、その耕作権の放棄の理由といたしますものは、いろいろあるでありましようが、第一には割当の過重、第二には負担の過重、すなわち税金の問題であります。こういつた事柄が耕作権のややもすれば放棄の現象を、拡大せしめているというふうにわれわれは聞き及んでおるのであります。そこで具体的にお伺いいたしたいのは、ごく最近における耕作権を放棄いたしました田畑の面積、さらにまたその耕作権を放棄するに至つた主要なる原因が、割当の過重あるいは税負担の過重等が主なる原因と思いますが、その原因等についても農林当局は相当研究されているのではないかと思うのでありますが、その事柄についての具体的な数字が出ておりましたならば、この際お示し願いたいと思います。
#77
○周東國務大臣 今お尋ねの数字は、ちよつと手元にありませんから、後ほど調査して申し上げます。
#78
○川島委員 その数字があとでわかるならばそれでもよろしゆうございますが、この耕作権の放棄という問題は、ただいま私が繰返して申し上げましたように、その原因が供出割当の不当であり、あるいは税金の過重ということが重要な要素になつているのだと私は確信しているのです。そういう事柄に対して、農林大臣は今後の重要な食糧問題の担当者として、今後さらにそのような事態が全國的に拡大いたしますことは、國民の食生活の上にも重大な問題であろうと思いますので、これに関する農林大臣としての所見と、さらにまた具体的な対策がありますれば、その具体策についても承つておきたいと思います。
#79
○周東國務大臣 まことに同感な点でありまして、戰爭後比較的災害をこうむることの少かつた農村が、終戰後生産から供出に至るまで、かなり重荷を負わされておつたことは事実でありますし、その上に財政上の見地からいたしても、相当に税についても重いということは御指摘の通りであります。今日の段階に至りますと、生産意欲の低下、あるいはただいまお話のような耕作地放棄というようなことに対する原因が、おのずからその辺にも大きな原因が存在しているという御質問はごもつともであります。私も、かなりそういう点があるのではないか、むしろ負担の過重な田畑をつくるよりもこれを放棄したがよろしい。あるいは自分の食糧だけをつくつたらよろしいというような考えになる向きもあるのじやないかということをおそれております。從つて私考えますのには、やはりどうしても供出制度の問題につきまして考究をする必要があると考えます。この前の内閣でとられた事前割当制度にいたしましても、まだ完璧なものと言えないのであります。少くとも事前割当をする場合において、周密なる土地の生産力の調査、あるいは耕作反別の実態的調査の上に立つての割当がなされることが、一つの行き方であると思いますけれども、前内閣以來やられた中には、やむを得ない事情として、耕地あるいは地方等についての調査がまだ完全にならないままに、從來の統計等を基礎にしてやらざるを得なかつた事情のもとにあるいは負担が重過ぎるという部面もかなりあるように思います。こういう点はできる限りすみやかに土地の調査、あるいは生産の調査等をやり、そしてまた適正な方法によつて割当をするということが一つの行き方ではないか、かように考えております。またもう一つの御質問租税負担の過重であります。この点につきましては、目下農業所得というものに対する問題について、その課税対象となるべきものにつき、あるいは課税に至るまので所得等の決定方法につき種々研究をいたし、これを大藏当局の方に話合いをいたしまして、できる限り適正な方法によつて税がとれるように、その前提とする農業所得の決定等につきまして適正な手段をとりたい、かように考えておる次第であります。
#80
○川島委員 先ほどの大藏大臣の財政経済に関する施政方針の演説の中にも、供出の完了されました後の自由党の政策の一枚看板であります自由販賣ということについても触れたようであります。その自由販賣の時期と方法を目下研究中だ。こういうような言葉で、きわめてあいまいな言明であつたのでありますが、しかしこの問題は、いずれかの会議の席上において問題となつたので重複のおそれがあるのでありますが、今日の日本の置かれました現実の問題にかんがみまして、はたしてそのような事柄が早急に実現可能であるか、おそらく農林大臣の周東さんは党におられましたときは政務調査会長をしておられた、農林大臣になられましてすでに二箇月、いろいろの客観の事情が次第によくわかつて來ておるのではないかと思うのであります。その立場におかれまして、大藏大臣が言明されておりまするように、はたしてこの自由販賣というものが可能であるか、実現がはたしてできるのであるという確固たる確信を持つておられるかどうか、お見通しがあるかどうか、これをひとつお聞かせ願いたいのであります。
#81
○周東國務大臣 お答えをいたします。きよう安定本部長官からのお話につきましては、私もあの線に沿つて考えておる次第でありますが、しかしそれはどこまでも日本の現在置かれておる地位並びに食糧配給に要する全体的の食糧の事情、それは生産及び輸入すべてを含めての量、それから各般の社会情勢を見て考慮せらるべきことであつて、それが時期と方法について考慮するということを申し上げた次第だと思います。私は川島君もよく御承知の通り、今日の場合食糧対策の万全を期するために、供出後の米については超過供出に対して、農民の方々に協力を求めておりますこの際において、いたずらに混乱を起すようなことは避けたいということは、この前も申し上げた通りであります。しかしその後の状態においては、絶えずその方向に向つて、いかなる時期にいかなる方法をもつてやるかということは、考慮して行つてさしつかえないものと思います。
#82
○川島委員 その時期と方法をせつかく研究中だというお話なのでありますが、一体先のことはわからぬと言えばそれまででございますが、この米穀年度のうち、すなわち來年の七月か、十月までの間にそういう問題がはたして実現され得るのかどうか、しかして、日本の地位がそのときになつてそういう状態になり得るのかどうか、そういう問題はかんじんかなめのところである。お互いに政党としてできないことを、できるというようなふうに宣傳することは愼まなければならぬことはもちろんであります。そこで私どもの考え方から言いますれば、ただいま農林大臣もおつしやつたように、千四百万石から千五百万石の輸入食糧を懇請しなければならぬ、それでなければ二合七勺の配給が確保できない、そういう窮迫した日本の食糧事情であります。その窮迫した食糧事情の上に立つて、この基盤を考えてみました場合に、はたしてそういうことを言うことがどうかという問題もありますが、実際問題として不可能なことではないかというふうにさえ私どもは想像しておるのです。そこで繰返して申し上げるのでありますが、そういう客観的な情勢につきましても、十分な檢討をされておるかどうか、そういうことについて農林大臣の所見をひとつ伺わしてもらいたいと思うのであります。
#83
○周東國務大臣 今日の場合における客観情勢はよく調査をいたしております。しかしすべての問題は、將來に向つては刻々に客観情勢は変化するものであります。またそれに沿うてわれわれは善処する覚悟であります。
#84
○川島委員 どうも明確に確信のないお話でありますので、それ以上私どもは追究をしようと思いませんがわれわれの立場から考えてみますると、なかなかこの問題は容易でないというよりは、むしろ不可能に近い結果に陷るおそれありと私どもは見通しているのであります。せつかく大臣の今後の努力をわれわれは重大な関心をもつて監視をするつもりであります。
 そこでさらにお伺いいたしたいのですが、先ほど申し上げました農業所得の負担の過重から言いまして、全國的にややもすれば耕作地の放棄という重大な問題さえも起つているのであります。そこで民自党はもちろんでありますが、この超過供出の奬励金等に対して、課税を免除してはどうかということはわれわれも主張しておりますし、あなた方も主張されて來たところであります。この問題に対して課税の免除はできないが、他の方法によつてそれと同一な効果の上るような方法を今考えておるということを、どこかの席上で農林大臣か、どなたか記憶にありませんが、言明されているように私は記憶しているのでありますが、その問題についてももうすでに目前に迫つている問題であります。おそらく具体的な対策がなければならぬ。またあるとすれば、そういう問題は一日も早く天下に公表して、多くの耕作民にその見通しをつけてやるということは、私は責任ある政治家の態度でなければならぬと思う。その点について、どういう具体的な対策ができておりますか、試案でもよろしゆうございます、その試案でもできておりますれば、この際に示していただきたい。そのことが私は農民の多数の要望するところにこたえるゆえんではないかと思うので、重ねてお伺いいたす次第であります。
#85
○周東國務大臣 まことにごもつともなことでありまして、この点につきましては、ざつくばらんに申し上げまして、私どもでき得る限り超過供出に対する代金の報奬的な性質を考えて、でき得れば全部免税というようなことまで進めたかつたのでありますが、いろいろの関係上そこまではできませんでした。これに対しましてただ超過供出米を出し得る生産農家は、おそらくは施肥あるいは労力等について、過分な経費を要しておるものと考えられますので、それらのものを必要経費として、受取る代金の中から差引いて所得額を決定するような方向に、重ねて税負担を軽からしめるようなことに大体処置をいたしております。
#86
○川島委員 続いてお伺いしますが、農業所得課税に対しまして――この問題につきましては、あとで大藏当局にもお尋ねを申し上げたらと思つておるのでありますが、ややもすれば農業所得に対する課税は、從來しばしば國会でも問題にしており、ことに自由党の諸君におかれましても、前國会、前々國会から非常な重要な問題として取上げて参つておるのでありますから、この問題については農林当局においても、すでに対策ができておらなければならぬと私は思うのであります。と言うのは、農業所得の課税の場合に、税務署では耕作反別だけで大体の標準を立てて課税されておる。たとえば田一反に対して幾ら、畑一反に対しては幾ら、こういう均等的な割当的な税をもつて徴收しておるということが実際の問題であります。はたしてそれが國民所得に対するところの公正妥当なる課税になり得るかどうかということは議論の余地がない。そういう問題に対して、少くとも農林大臣は在野時代からも相当に研究されて來たものであろうと私は思いますので、その問題に対して、大藏当局との間に相当の折衝をすべき性質のものであろうと思いますが、その折衝をされたことがあるかどうか、またあつたとすれば、今後はその農業業所得に対して、どのような方針で臨もうといたすことになつておるかどうか、それは政府の一員としての國務大臣として、あるいはまた農林大臣として、両方の立場からその問題に対する、確信のあるところの所信を、明快にしていただきたいと思うのであります。
#87
○周東國務大臣 農業得額所の決定基準の方法につきまして、この改善方について今折衝はいたしておりますが、まだ結論に至つておりません。たとえば農家の收入となるべき自給肥料、自給飼料に関する收支の計算が時期的にずれておるとか、あるいは米の生産に関して必要な経費の計上が時期的にずれておるというような事柄について、これは一例でありますが、そういうことについての決定基準についてどうするかというようなことについて、いろいろ相談をいたしておる最中でありますが、まだ決定に至つておりません。
#88
○川島委員 くどいようでありますが、その問題についてもう一度お尋ねいたします。從來農業所得に対する税務署の課税方針は、根本的に誤つておるという考え方を私は持つております。そういう事柄に対しては、農林大臣はおそらく同感であろうと思うのであります。一体水田に対する一反歩幾ら、畑は一反歩幾らというような、均等的な割合で課税をする。こういう課税方針こそ、まつたく農民をして耕作の意欲を減退せしむる大きな原因になるおそれが十分にあると思う。そういつたことに関して、今日最も憂慮すべき耕作地の放棄の問題が起つておると思うのでありますが、一体これに対してたまたまここに大藏当局もおるのでありますが、大藏当局の見解をひとつこの際聞かしてほしいと思います。
#89
○平田政府委員 農業所得の計算がいろいろむずかしいところもございますし、從いましてそれに関連して問題を起して参りましたことは事実でございます。理想から申しますと、これは税法の規定通り、各納税義務者ごとに收支の計算を正確にやりまして、それに基きまして所得の計算をするというのが原則でございます。なかんずく今度の所得税法は、それを本人の申告によつてやるという建前に相なつておるのでありまして、從いまして私どももでき得る限り收支の計算を明らかにしまして、本人の申告に基きまして農業所得税を決定する、これが理想としましては行くべき道だと考えておるのでございます。ただ現状は御承知のごとく各農業者におきまして、もちろん正確に記帳をしておる方々は非常に少いようでございますし、それから現在の実際の状況といたしまして、申告等によりまして正確な計算をしていただくことが、なかなかむずかしい状況に相なつております。でありますが、私どもは本年度といたしましては、できるだけ一月の確定申告に当りましては、相当詳細な所得の收支計算をしていただきまして、それに基きまして申告をしていただいて、できるならばそれをできるだけ尊重いたしたいと考えております。ただしかしながら最近までの状況から考えますると、なかなかそういう点が完全には行かないじやないかと考えます。こういうことになりますと、御承知の通り農業所得税の納税者は、全國で約四百万近くに相なりますが、これを税務官吏が一々各納税者につきまして收支計算をやりまして、適正な所得を課税するということは、これはまたなかなかむずかしいのでございます。從いまして便法といたしまして、從來から所得の標準率というものを設けまして、それによつて反当りの所得が幾らであるか、あるいは所によりましては賃貸價格別にその区別をつけておる所もございますとか、あるいは收穫金幾ら当り幾ら、こういういろいろの方法を用いておりますが、一番多く用いておりますのは田の普通ならば一反当り幾ら、畑ならば幾らというように、一つの標準を設けましてやつておるのでございます。この標準をつくるにあたりましては、できる限り中庸の地を選びまして、極力適正を期するようにいたしておるのでございます。そういたしまして從來はややもすると、一率になるきらいが多かつたのでありますが、本年といたしましては、昨年の経驗等にかんがみまして、できる限り市町村ごとにも差をつける。同じ市町村におきましても地方等に應じて、できる限りの差別をつけて、個人的事情にできる限り適應するようにいたしたい。そのことにつきましては、各町村におきまして精通者等の意見も、でき得る限り聞きまして、適正を期したいと考えております。理想は先ほど申し上げました通り、できますならば、各納税義務者が正確な基礎に基く收支の計算をしていただきまして、それに基いてそれをそのまま課税上採用するというのが理想でございますが、しかし今日の段階におきましては、そこまで私求めるのは無理であろう、極力そういうふうにいたしたいのでありますが、結果におきましてはやはり相当標準によつて決定するというように行かざるを得ないじやないかと考えております。ただそれをやります場合におきましては、やはり先ほどから申し上げておりまするように、でき得る限り各地域ごとの事情並びに個人的事情に應ずるように努力を進めて行きたい、かように考えておる次第であります。
#90
○上林山委員長 この際給與局長の答弁を要求いたします。
#91
○今井政府委員 今回の政府の予算單價では、赤字になりはしないかという御質問のように伺つたのでありますが、政府の予算單價は、人事院の詳密な御調査を基礎にいたしましたのでございます。すなわち人事委員会の調査によりますと、七月におきまして中等度の成人職員は、税込みにしまして二千四百七十円、手取りにしまして二千二百四十円の額が必要である、こういう勧告に相なつております。これは御承知の通り、厚生省の栄養調査を基礎にいたしました実態に基きまして、日本における國民の生活内容、食事の内容をそのまま織り込んだものであります。ところがこれは七月でありますので、当時七月は御承知の通りにCPIよりますと、指数は三九四でございましたが、その後八月にはこれが四二〇に上昇いたしました。さらに九月は逆にこれが四一七に下りまして、十月はさらに二・六%下つておりますが、今回の政府提案は十一月を四二六と推定いたしまして、さらに明年の三月までにはもう一割くらい十一月より上るであろう。從つてその中位をとりまして、五%の余裕を見積りました。その金額が人事委員会の案と同じく標準の小都市によりますと、税引きにいたしまして二千五百四十二円ということに相なります。それに税金を百七十円、さらに人事委員会の方式と同じく恩給の納金と、共済組合の掛金百十八円を加えますと、二千八百三十円になります。この二千八百三十円を基礎にいたしまして、なお今回の政府案は人事委員会の案と異なりまして、乙地すなわち標準の小都市にも地域給を一割つけることにいたしておりますので、二千八百三十円を十一割で割りまして、二千五百七十三円という数字を得たのでございます。これは人事委員会の二千四百七十円という数字に見合うものと、かように観念した次第であります。從いまして、これが丙地におきましては、四級一号に該当するわけであります。そういたしますと、二千五百七十三円は、現在丙地の四級一号がもらつております千九百五十円に対しまして三割二分の増加に相なりますので、その三割二分を全部乘じまして、本俸を算出した次第であります。從いましてこれに関する限りにおきましては、ただいま人事委員会の言われておる数字を基礎にして考えますと、その後のCPIの足取りから考えましても、赤字計算にはならないものと考えておる次第であります。なお扶養家族の関係でございますが、扶養家族の今回の案が、人事委員会の案より相当に下りまして、妻を六百円、その他を四百円という案にして本國会に提案してございますが、それによりますと、乙地におきましては九月のCPS全額が確保されまして余裕が出て來るのでありますが、特地、甲地につきましては若干の赤字が出て参ります。赤字の額は全部ひつくるめますと平均しておよそ七、八パーセントに相なろうかと思います。しかしながら政府のいわゆるベースなるものは、毎月きまつて支給する額だけでありまして、このほかに特殊勤務手当もございますし、超過勤務手当もありますので、そういうものをひつくるめますと、おおむねカバーされるものと判断いたしております。なお御参考のために一言申し上げますと、最近総理廳統計局でとられました勤労者の世帶收入調べすなわちPISという最近のCPSに基く收入調査によりますと、勤労者の都市家計における世帶主の收入は、家計費の七七・一%に当つております。これは勤務先から得られる一切の收入を含めたものでございますので、もしこういつた割合だけをベースにとるといたしますと、今回の政府の案はこれを相当上まわつておる計算に相なります。
#92
○川島委員 その問題の詳しい説明は、また大藏大臣が見えてからお答え願いたいと思います。ついでのことでありますから人事院の方にお伺いいたしますが、人事院といたしましては、つとに諸般の事情を考慮し、さらに今回改正になりました公務員法の精神等を基礎といたしまして、六千三百七円の基準を立てて、これをもつてしなければ公務員の生活の保障はもとより、公務員に対する十分な待遇とは言えぬという確信のもとに立てられたのであろうと私は考えております。しかるにただいま説明を聞いておりますと、五千三百円ベースでも家計の赤字はないだろう、こういうようなことを当局は一方的に言われておるのでありますが、人事院当局といたしましては、この六千三百円を算定いたしまするに当りまして、十分な努力と研究をされたと私は想像いたして、その努力に敬意を表しておるのでありますが、ただいま政府当局、給與局の方から申されますことと、人事院当局の考えておりまする事柄につきましては、相当の開きがおのずからそこにあるように私どもは信じておるのであります。それについて人事院の上野さんがお見えのようでありますから、上野さんからこの問題についての確固たる考え方をこの機会にお示しを願いたいと思うのであります。
#93
○上林山委員長 速記をとめて……。
#94
○川島委員 せつかく上野さんが見えられましたからついでにお伺いいたしておきたいと思います。人事院がそもそも六千三百七円ベースを決定いたしまして、そのベースを公表いたしまする場合に、傳えられるところによりますと、その公表を猶予されたいという意味の申入れが、政府からあつたやに承つております。その事実がはたしてあつたのかどうか、それをこの際お聞きしておきたいと思います。
#95
○上林山委員長 速記をとめて……。
#96
○川島委員 重ねてお伺いいたしますが、その発表するに至りまする場合に、その経過においては、それぞれ必要なる筋との折衝のあつたことと想像いたすのでありますのであります。その必要なるところの筋の全き了解を求めた上での発表であるかどうか、それをもあわせてお伺いいたします。
#97
○上林山委員長 速記をとめて……。
#98
○川島委員 なお続いてお伺いいたしますが、これは政治的なことでありますから、上野さんに聞くことはどうかと思うのでありますが、一應上野さんでも答えができるかと思いますのでお尋ねいたします。人事院は官公吏の給與についての政府への勧告案を常時研究し、調査しなければならない仕事を持つております。これがしかも初めてのことであります。しかるに人事院がそれぞれの筋と必要なる折衝をし、必要なる了解を得て提出をいたしました給與案の、いわゆる勧告案なるものが、政府の考え方と食い違いを來した。しかもその食い違いを來した場合に、これが最初の事柄であるから非常に重大なことであると思う。そこで人事院の案と政府の案というものが、多少の違いならばいざ知らず、相当のギヤツプが事実上できた結果になつております。そういうことになりまして、これが前例となりますれば、今後人事院においては、政治的の立場において、そういう事柄を常時熱意を持つて調査研究されまして、それが実行不可能なような事態になりました場合に、一体人事院の立場というものは、どういう形になるのであるか。同時にまた將來の問題もありますので、その事柄についてもさだめし御檢討が続けておられるのではないかと思いますので、この機会にそういつた事柄についての人事院としての見解を、ひとつ表明していただきたいと思います。
#99
○上林委員長 速記をとめて……。
#100
○川島委員 上野さんのお話は一應もつともだと思うのでありますが、しかも人事院は公正な立場において、熱心に常時に物價事情、生計の実態等を考慮、調査されまして、立案されて來るものであります。しかるに政府当局のベースの問題について、ただいま申し上げましたような事情で大きな開きを來したという結果になり、これが將來において次の問題が起りましても、政府と見解の相違を來した、さらに三度目も政府と見解の相違を來すということになりますると、一体人事院の調査研究勧告というものは、無意味なことになるような形に結果においてはなる。これは重大な事柄で、人事院の立場といたしましても問題であろうと思うのであります。事務的には一應勧告するだけの義務があつて、その後における責任は人事院にはないのだということでありますが、政治的には少くとも人事院はこれを実現せしむるだけの努力は、必要なことになつておる立場にあるのではないかと思うのでありますが、その点についての見解をもう一度お示しを願いたいと思います。
#101
○上林山委員長 速記をとめて……。
#102
○川島委員 先ほどの農林大臣への質問が残つておりますので、一應元へもどります。
 言うまでもなく、わが國の農地改革は大体本年をもつて終了いたす段階に入つたのであります。そこで私どもは第二次農地改革から第三次農地改革ということを考えておるのであります。一例を申し上げますならば、在村地主の一町歩の保有耕地の問題、あるいはそれに関連した山林等の問題に対して、さらにもう一歩つつ込んだ農地改革が必要である。農村の民主化の上に、食糧生産の増強の上において、きわめて必要な事柄であるという確信のもとに立つてわれわれは第三次農地改革というものを考えておるのでありますが、農林大臣はこれらの問題に対して、どのような見解を持つておるか、その点についてお示しを願いたいと思います。
#103
○周東國務大臣 お答えいたします。御指摘のように第二次農地改革は、大体この年末くらいまでに小作農家に土地を所有せしめるような形において進んで参つたことはお話の通りであります。從つてこの後において、どういうふうな農地政策をとるかということについては、愼重に考慮しなければならぬ点が多々あると思います。お話のようにあるいは残つている在村地主一町歩未満のものについても同樣にこれをとることがいいか、あるいは山林等に関しても同樣な形においてとることがいいかということについては、私はただいまのところただちに御意見のように考えません。ことに山林等におきましては、これは農地と違いまして、その経営等に対しましては、もつと積極的に安定する方向に持つて行く必要が多々あるのでありまして、戰爭中植樹伐採等の不均衡のためにかなり山が荒れております。こういう点から見て、今後における日本の耕地保全、またせつかく自作農になつた農家の耕地の保全からいたしまして、山を治めることが速急に必要だと思う、こういう際において國有林、公有林、私有林を通じまして、ここに林政に対しまして、もう少し愼重に当つて行く必要があると思いますので、今ただちに林野に関してまで、今のような御趣旨の点は考えておりません。もつと根本的に國土保全の立場と、農業経営の安定の立場から、今後における農政を考えて行きたい。かように考えております。
#104
○川島委員 その問題については、基本的に農林大臣の所見と見解を異にしておるのでありますから、さらに追究することをやめたいと思います。そこで最後にもう一言農林大臣にこの際お伺いをいたしたいのであります。言うまでもなく、日本経済の復興、生産の再建、いずれも根本の問題はいろいろありまするが、その中で最も重要なることは、日本の食糧態勢の充実ということが基本であろうと私は考えております。そこでただいま申し上げました第二次農地改革はすでにその完了の段階に入つておる。從來日本の歴代の政府は、農地改革を中心に推進をして來たというような傾向であるのでありますが、この農地改革の一應の終了の段階に入つたその後における農業生産、言いかえれば、農業生産力の増強という問題をにらみ合せた場合に、農地改革から次に農業改革に入るべき段階も非常に重要な事柄であろうと私は考えております。その問題について就任早々の農林大臣に聞くことはどうかと思うのでありますが、あなたにもすでに長い間在野時代からそういう方面も研究されておる、しかもたまたま農林大臣に就任されておりますので、おそらくこの農業改革の問題、いかにしたら今後日本の農業生産力の増強に資すべきかということについての、総合的な具体的のお考えがあるに違いないと私は考えておるのでありますが、農林大臣において、その農業改革についての所見、あるいは構想というものがありましたら、この際聞いておきたいと思うのであります。
#105
○周東國務大臣 まことにごもつともな質問であり、私は農地改革という土地所有権を中心とする改革が一應段階を告げたときにおいては、今後考えられる問題は、このせつかくできました自作自営農家を中心といたしまして、その農家がその自己の経営上においても、また日本農村の農業の將來においても、いかなる形において農業経営を持つて行くかということについての、基本的の政策を確立すべきであると考えます。從つてこれらについてはいろいろたくさんあると思います。一、二例をあげますると、ことに合理的に経営をせしめる上において、土地の交換分合ということも考えられます。またその間において農業の基本となるべき土地の保全ということに関しては、先ほど申し上げました治山治水の基本を確立すると同時に、農業生産力を上げる上においての大きな問題は、何と申しましても、土地の改良を主として考えなければならない段階だと思うのであります。これはおそらく片一方において土地の開墾という問題がありまするが、いろいろ引揚者その他におきまして、日本の耕地が適地であれば、これを廣く開墾いたしまして、耕地面積を拡げることも必要でありまするが、生産力増強の立場から考えますると、やはり現在濕地あるいは地方のやせておる所に客土するとか、暗渠排水するというかつこうで、土地の改良に対して徹底的な施設を推進することも一つでありましよう、また同時に生産力の拡充に対しましては、先ほどからも御指摘になりましたように、終戰後農村に課せられたいろいろな増産をはばんでいる、たとえば農村課税の問題あるいは供出の問題、あるいは農業金融というものをどうするかというような基本問題が、これに並行して考えられて行かなければ、せつかくできました自作自営農家も、その経営の途中においてこれが参つてしまう。こういう面から今後における農業の改革については、よほど具体的に計画を進めて行きたいと考えております。ことに日本の置かれた地位から考えまして、農業に関しましても、適地適産主義というような事柄、從つてその作付等に関する問題まで考えるために、これが土地の利用計画、土地の基本調査というようなことが考えられて、初めてその上にしつかりした農業の計画が立てられるものと、かように考えております。
#106
○川島委員 ただいまの農林大臣の農業改革に対する中で、農地の交換分合という言葉がありました。これは私どももきわめて重大な、しかも必要な事柄であろうと思う。そこで端的にお伺いしますが、この交換分合に関して農林大臣は、これを法律化し、それを強力に推進するという腹案を持つておられるかどうか、その点についてお示しを願いたい。
#107
○周東國務大臣 ただいま立案中であります。但しこの問題につきましては川島さんも御同感のようでありますが、理想的にはぜひ私はやりたいと思いますが、これに対する実行方法について、かなり交換される土地の地方の問題があります。あるいは家を中心としての土地を周囲にまとめるということから見ると、一面には長所もありますが、同時に生産されたものの農業共同事業に関していろいろ短所も起りますので、それらの点を愼重に考慮しつつ、今成案を急ぎつつあるような状況であります。
#108
○川島委員 最後にもう一つついでにお伺いしておきたいのは、これまた先ほど経済安定本部長官の立場での説明によりますと、料飲店の再開を期しておるということをはつきり公に言明された。料飲店の再開の問題については、農林大臣の責にあるあなたにも非常な関連が多い事項であろう。ことに生鮮食料あるいは魚介、こういつた問題が関連して初めて料飲店の再開という目標が達成できることになるのであります。しかるところ、今日の日本の農産の実情、あるいは生鮮魚介の生産の実情、これらの事柄を考えあわせまして、はたして政府が考えておりまするがごとくに、早急に料飲店の再開という問題が、これまた先ほど申し上げました米の自由販賣と同樣に、客観的な情勢において、それが近い將來にはたして実現ができるものかどうか。この問題については私どもは相当な疑念を持つておる一人であるのでありますが、農林大臣といたしましては、この料飲店の再開に確実なる見通しを持つておられるかどうか、料飲店再開の場合には、あなたの所管であるところのいわゆる食糧の問題が関連しております。そういう立場において確実な見通しを持つておられるかどうか、それについてのお考えを聞いておきたい。
#109
○周東國務大臣 ごもつともなお尋ねでありますが、これにも結局方法と時期があるのでありまして、ただいま料飲店再開というお話でありますが、これはぜいたくなどんちやん騒ぎをするような所を必ずしも復活させるということは考えておらない。いろいろその点は方法と時期の問題でありまして、むしろある意味においては、まじめに越党派的に考えなければならぬことは、大衆的にも非常に利便を得ておるレストランというものを、何らかの制限のもとに開くことが、むしろ國民大衆のために必要であるかとも考えられます。しかしこれらのことは、すべてお話のように諸般の事情を考慮して、方法と時期を考えなければならぬということを安本長官から説明をしたはずであります。
#110
○川島委員 次に運輸大臣が見えられておるという話でありますから、運輸大臣に二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。運輸大臣は在野の時代に、先般の國会の際に上程されました鉄道運賃の値上げの問題に対しましては、最も強力に反対をされて來たお一人であります。その立場において今度たまたま運輸大臣になられたのでございまするが、一体この運賃の値上げに伴いまして、現実の問題といたしまして、年度内に例の二・五五倍の運賃收入が確実にあるような状態になつておるかどうか、もし收入が減少するというような予定でございますならば、どの程度の赤字が運賃の面において出るのか、その計算がありましたならばまずお聞かせを願いたい。
#111
○小澤國務大臣 大体運賃の関係におきましては、年度内においてはわずか收入減になるかもしれませんが、大体において予算通りに行くであろうという考えを持つております。その内訳を申し上げますと、料金の値上げ前におきましては、大体定期外、すなわち定期以外の收入がプラスの二〇%になつております。それから定期の收入がプラスの八%になつております。これは改正料金の値上げ前であります。改正後におきましては、定期外においてはマイナス五%、定期におきましてはプラス五%ということになつておりますので、大体この二つの関係を見ますると、多少現在では少くなつておりますが、予算通りの收入があるのではないかという見解を持つております。一方貨物運賃は、先般の災害等によりまして多少一時減じましたが、漸次また上昇しつつありますから、貨物の運賃についてはほとんど予期通りの收入があると考えております。しかし現在においては多少收入を下まわつておりますから、ただ今後上まわるであろうということを予測のもとに、わずかの收入減しかないのではないか、こう考えております。
#112
○川島委員 予定の收入に達するというような事情であれば、まことに幸いと思うのであります。
 そこであらためてさらにお伺いをいたしたいのでありますが、運輸省は本年度の輸送計画量を、需要に対して、私の記憶によりますと一億九千万トン、しかしいろいろ事情によつて、一億三千万トンを一應の目標で前内閣は輸送量の計画を立てた。そこでその後災害の問題、あるいは石炭の事情、あるいは電力の事情等にもよるのでありましよう。さらにまた運輸省自体の貨物の配車の事情等によりまして、その計画量が十分にまだ達成しておらないような事情であるのではないかと記憶いたしております。そこでお伺いいたしたいのは、その一億三千万トンの輸送計画が十分に達成できませんことは、ひいて日本経済、國民経済の上に私は重大なる関連を持つものであろうと思いますので、この目標額の達成のいかんは、私個人といたしましても非常な関心を持つておるのでありますが、はたして年度内において、この目標であるところの一億三千万トンの輸送計画が達成できるような事情のもとにあるかどうか、もし達成できないというような事情の計画でありますならば、どの程度の減少で食いとめることができるのか、その点について見通しがありましたならば、この際示してもらいたい。
#113
○小澤國務大臣 お答えいたします。一億三千万トンの輸送計画が予期の成績に反する場合におきましては、それに應じまして日本生産の減退を來すというようなことはお話の通りであります。從いまして現内閣といたしましても、前内閣の方針を踏襲いたしまして、極力年度内における一億三千万トンの目標達成に努力をいたしておるのであります。しかし現在ではやはり災害等もございまして、その計画量の九五%から九六%を上下いたしておるような現況でありまして、多少減退をするかもしれません。しかし今後これが対策につきましては、具体的な方法を講じて、極力年度末までには目標を達成しようと努力をいたしておるのであります。すなわち、何がゆえにこの目標額を下まわるような情勢になるかということを考えてみますと、きのうも本間君にお答え申し上げました通り、その大きな原因は、いわゆる荷役小運送等が迅速にできませんので、一駅に滯貨する空車の時間が非常に多いのであります。一駅に大体二十時間程度の空車、滯貨と申しましようか。貨車が残つておる時間があるのでございます。これは結論は荷役が思うように行かない。すなわち積み込みが思うように行かない。積卸が思うように行かないというのが、大きな原因でございまして、目下これが目的達成のためには、この荷役を、すなわち積卸の夜間作業をお願いいたしまして、そうして極力目的を達成し得るように努力いたしております。それからもう一つの隘路は、本年度は非常に修繕貨車が多くて、約八千輛というような大きな修繕貨車があつたのであります。つまりこれが修繕に要しまする関係上、自然配車の関係が円滑に参りませんので、この修繕貨車を極力減らしまして、そうして今日では、大体三千三百輛程度の修繕貨車に減縮しておるような現状でありますから、あと約三箇月半もございますので、どうやら本年度の輸送計画量に達するのではないかと考えております。
#114
○川島委員 もう一つ最後に運輸大臣にお伺いしますが、運輸省といたしまして大臣に就任せられましてから、今度の予算に関連して、國民大衆に関係のあるという理由で、予算編成にあたつて、極力料金等の値上げの阻止に努力したようであります。それは大体私ども想像いたしておるのでありますが、問題は独立採算制と、明年度の予算の問題であります。明年度の予算というものを今ここでかれこれ論議することはどうかと思うのでありますが、しかしこれも差迫つた問題になつて來ております。從つて政府はもうすぐにこの國会が終了すれば、ただちに明年度の予算の編成に着手いたさなければならない段階になつておることは、言うまでもありません。その場合において、運輸大臣は來るべき予算の編成にあたつて、あなたが在野時代並びに就任いたしましてからも強く主張しておりますところの、いわゆる運賃の改正なくして、來るべき特別会計の予算が組めるというお見通しを持つておられるかどうか。この問題はわれわれ國民といたしましても、明年度のこととは申しながら、相当重要な事柄でありますので、あなたの見通しを、腹藏ないところをひとつ聞かしておいてほしいと思います。
#115
○小澤國務大臣 お話のように現在の経済情勢は、たとえば賃金と物價の惡循環というようなことが非常にはげしく交流いたしておりまして、現にいわゆる賃金の改訂というような問題も、現在御審議を願つておるような状態であります。これをどこでとめるかということが國民の最も希望しておるところであり、また政府としても最大の力を注いでおるところであります。しかしながらこうした問題から考えますと、一方において運賃あるいは官業の一般的料金値上げというようなことも考えられないではないのであります。しかしただ單に運賃の値上げ、あるいは郵便料金の値上げ等を行つて、新しい物價の改訂あるいは賃金に対する施策を施さずにおるということは、経済界を非常に混乱に陷れるものと考えますので、私は依然として現段階において運賃値上げをすることには、断じて反対しておるばかりではなく、極力これを避けたいと思うのであります。しかし川島君の質問の趣旨は、來年度の予算の編成についての私の考えについてのようでありますが、もちろん今、來年度上げるか上げないかということを確約申し上げることはできません。しかしながら現状のような姿において、官業だけを値上げすることは私は絶対反対でありまして、もし來年度の予算の編成にあたりまして、政府が全般的に賃金物價の大きな改訂を考えたような場合においては、その率に合うだけの値上げということも、やはり容認しなければならぬのではないかという考えを持つております。ずつと先のことでありますから、仮定を前提として、以上のような御答弁を申し上げる次第であります。
#116
○川島委員 來年度の予算のことで、大分將來のことでありますから、明確な見通しを持つことは困難であろうという趣旨のようでございますが、しかし來年度の予算編成は目睫に迫つておる。從つてわれわれの今の見通しから申し上げれば、いかに運輸大臣が運賃の値上げを阻止したいという方針を持つておりましても、具体的には、結果するところによれば、どうしても運賃の値上げをしなければならぬような段階に、必然的に入つて來るのではないかという見通しをわれわれは持つておる。從つてこういうことを私は伺つておるのであります。運輸大臣がどのような考え方を持つておりましても、今の予算、二十三年度の予算、しかもさらに改訂すべき給與の問題、國鉄の独立採算制の問題、かようなことを総合的に考えてみますと、國鉄は少くとも五割程度の値上げをしなければならぬような必然的な運命を背負つておるということを考えておるのであります。おそらく大体そんなことになるのではないかとの見通しを、われわれは持つておるのでありますが、くどいようでありますけれども、來年度予算の編成の時期はもうすでに迫つておる。そこで他の物價の改訂をするならば、運賃の改訂をしなければならぬだろうが、物價改訂をやらないでも、運賃改訂はやらなければならぬという必然的な段階に入るのではないかとの見通しを持つております。物價改訂をしないでも、運賃値上げをしなければならぬような事情に國鉄自身が置かれておる。その問題についてもう一ぺんくどいようでありますが、お尋ねしたい。
#117
○小澤國務大臣 大体先ほど申し上げた通りでありますが、これはいろいろな見方もございますので、川島君のようなお考えも、必ずしもその意見が理論上いけないというのではないのでありまして、そういう考え方も成立つのであります。ただ私の考え方といたしましては、でき得るだけ全般的の物價改訂をしないで、官業料金、すなわち鉄道運賃の値上げに対しては、極力全力をあげて阻止するという考えでおるということを、重ねて御答弁いたしておきます。
#118
○川島委員 建設関係当局がお見えになつておるそうですから、一言だけお伺いいたしたいと思います。言うまでもなく、わが國の住宅不足は、從來四百万戸に及ぶという実情でさんたんたる住宅難であります。そのことが勤労大衆の生活、勤務の上にも非常な影響を及ぼしていることは言うまでもない事柄であります。ことに勤労者の住宅問題の解決は、勤労生産意欲の増強の上から見ましても、きわめて緊切重要な事柄であろうと私は考えておるのであります。そこで大臣にお伺いしたいのでありまするが、從來の建設院における住宅復興の実情はどうなつておるか。さらに今後の住宅復興計画はどういう計画で進もうとされているか、そのことについてお伺いいたしたいと思います。
#119
○益谷國務大臣 お答え申し上げます。本年の國勢調査によりますると、戰後現在まで約百六、七十万戸と記憶しておりますが、住宅が完成いたしたのであります。しかしながらなお建設省といたしましては、三百八十万戸の不足があると推定いたしております。從つて年々五十万戸の家をつくるといたしましても、御承知の通り自然滅失あるいは火災等に相当数を見込まなければなりません。從つて五十万戸ずつつくる計画を立てましても、今後十二、三年の長期の期間を要するのであります。本年は御承知の通り前内閣によつて四十万戸の計画を立てまして、うち庶民住宅と申しております國庫において半額補助しておる住宅の方は四万二千戸計画いたされたのであります。しかしてこれは年内において順調に完成せられるものと見通しをつけております。しこうしてただいま御指摘のように、今日最も住宅難に苦しんでおるのは都市における勤労者の階層であります。從つてこの方面に対しては、國家の財政の許す限り、いわゆる國庫補助の部分の庶民住宅と申しますか、この方面の住宅建設に政府といたして努力いたさねばならぬのであります。さらになお御指摘のように、重要産業に携わつておる労務者の住宅であります。これに対しては政府におきましては、今年度におきましても炭鉱方面の住宅建設に努めておる次第であります。要しまするに、今日まで住宅の建設に対しての隘路は資材、敷地であります。さらに資金という三つの隘路があつたのでありますが、今日はやや資材の方面については緩和いたして参りました。今日最も隘路として苦しんでおるのは資金であります。從つて政府におきましても資金面について、強力に何か解決方法を見出して推進いたして参らなければならぬと思つておるのであります。國家の財政面を離れて――財政はもとよりでありますが、財政のみにたよるということなくして、適当なる融資の方法を見出して行かねばならぬと思います。そうして長期の金融であります庶民住宅のごときは、比較的家賃が高いのであります。これに対する長期の金融と同時に、比較的低廉なる家賃で住宅を借りることのできるようにいたしたいと思うのであります。これに対しては政府といたしまして目下十分に研究中であります。
#120
○上林山委員長 この際申し上げます。緊急な予算であるし、明日も続行いたしたいと思いますので、あとで理事会を開いて協議した上公報で通知いたしますから、御了承の上御協力を願いたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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