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#1
第004回国会 予算委員会 第8号
昭和二十三年十二月十日(金曜日)
    午前十一時五十三分開議
 出席委員
   委員長 上林山榮吉君
   理事 苫米地英俊君 理事 森  直次君
   理事 稻村 順三君 理事 竹谷源太郎君
   理事 小坂善太郎君 理事 田中源三郎君
   理事 今井  耕君 理事 大原 博夫君
      青木 孝義君    淺利 三朗君
      大内 一郎君    尾崎 末吉君
     小野瀬忠兵衞君    田口助太郎君
      西村 久之君    平島 良一君
      本間 俊一君    前田  郁君
      松浦  榮君    宮幡  靖君
      若松 虎雄君    川島 金次君
      鈴木茂三郎君    田中織之進君
      野上 健次君    林  大作君
      松永 義雄君    押川 定秋君
      川崎 秀二君    後藤 悦治君
      中曽根康弘君    長野 長廣君
      井出一太郎君    河野 金昇君
      小枝 一雄君    叶   凸君
      岡田 春夫君    世耕 弘一君
      高倉 定助君    織田 正信君
      野坂 參三君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 泉山 三六君
        文 部 大 臣 下條 康麿君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
        商 工 大 臣 大屋 晋三君
        労 働 大 臣 増田甲子七君
        國 務 大 臣 岩本 信行君
 出席政府委員
        内閣官房長官  佐藤 榮作君
        総理廳事務官  内田 常雄君
        大藏政務次官  塚田十一郎君
        大藏事務官   河野 一之君
        大藏事務官   平田敬一郎君
        商工事務官   山本 高行君
        商工事務官   長村 貞一君
 委員外の出席者
        專  門  員 小竹 豊治君
十二月十日
 委員仲内憲治君、鈴木明良君及び森直次君辞任
 につき、その補欠として若松虎雄君、山村新治
 郎君及び千賀康治君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)
 昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)
    ―――――――――――――
#2
○上林山委員長 会議を開きます。
 質疑に入ります。世耕弘一君、商工大臣に対する質疑を続行願います。
#3
○世耕委員 私は商工大臣に簡單に二、三点お尋ねいたしたいと思います。
 お尋ねいたしたい第一点は、政府はマル公を設定いたしますけれども、マル公を設定した商品に対する品質の吟味というのは、どういう方法でされておるか、ただマル公をしつぱなしで品位等については政府が干渉しないのかどうか。たとえばごく卑近な例でありますが、われわれが日常使つておるところのマツチのようなもの、近ごろのマツチは公定價格はきまつておるようでありますが、一本すつただけではタバコが吸えない、少くとも数本を使わないと一本のタバコが吸えないというような現状であります。これは一つのマツチの例にすぎないのでありますが、商品のマル公を決定する場合に、マル公決定後の品質の檢査について、商工省はどういうふうな態度で臨んでおるかということを伺つておきたいと思うのであります。
#4
○大屋國務大臣 ただいまの問題は大体各商品の規格を定めまして、その規格に合致しておるかどうかを見本檢査をやつておるようなわけでありますから、あるいはその規格に合致しないぺけ品がやみに流れるということがあるわけでございます。マツチの例についてはただいま政府委員から詳細に答弁いたします。
#5
○山本政府委員 マツチは御承知の通り、去る九月から配給統制を撤廃いたしております。但しそのときに價格の統制も撤廃するかどうかということが問題になつたのでございますが、関係方面の意向もございまして、價格の統制だけは残しておるのであります。從いましてその價格の表示の中に、一定の規格が表示されておるわけでございますが、実際におきまして配給制を撤廃いたしております関係上、相当不良のマツチが出ているということも事実でございます。しかしこのマツチの不良の理由は、檢査をするとかしないとかいう問題のほかに、その資材の関係、あるいは軸木とかパラフインとかにかわとかいうようなものが、昔使つておりましたような非常に良質のものを、メーカーに割当てることができないような状況でございまして、パラフインの代用品とか、あるいは軸木について申しましても松材とかを配給いたしております。またにかわが非常に不足しておりますので、のりで間に合わしているというようなこともございまして、事実上相当國民に御迷惑をかけるようなマツチが出ているのであります。しかしメーカーによりましては、これらの品質の惡い原料を使いましても、やり方によりましては相当いいマツチもできるというようなことでありまして、こういうメーカーの良質マツチの競爭をしていただくという意味合いにおきまして、配給統制を撤廃いたしたのであります。しかしながらこの過渡期におきまして、從來の不良マツチが、マツチ産業株式会社に一手買取販賣をやらせておりましたので、そのストツクが相当ございまして、それが出まわつておりますので、まだしばらくの間はやや不良なものが、出るというような状況でございますが、これは遠からずマツチの配給統制を撤廃しました結果といたしましての競爭の結果、マツチの品質はだんだん改善されるというふうに信じている次第でございます。
#6
○世耕委員 私がただいま申しましたのは一例をマツチにとつたのでありますが、資材その他の関係で、戰前のような優良品が製造できないという言い訳は一應ごもつともだと思いますが、資材ばかりでなしに、商人の道徳心の頽廃からかくのごとき不良品の出て來ることが一つの原因と、もう一つは無理解な、社会情勢を度外視したマル公が、かえつてかくのごとき商品を製造せしむるに至るものであるということを、十分考慮に入れておいていただきたいと思うのであります。この点は特に私はくろうとの大屋商工大臣に御注文申し上げたいと思うのであります。
 また他の面から一つお願しておきたいと思うことは、ごく最近のことでありますが、報奬物資として鉱山労働者の方へ絹張りのこうもりを配給してみたり、あるいは鉱山労働者として縁の遠い絹のくつ下を配給するというような見当違いな配給すら行われている。この実例を総括的に申し上げまするならば、マル公と配給という関係と、同時に國民の生活にいかにこの商品が消費に適当であるかという親切味が欠けている結果、こういうことになるのだと思う。私は幾多の例を持つているのでありますが、二、三の例を示して、今後かくのごとき非難の起らないように御注意が願いたい。
 なおまたただいまマツチを例にとつて申し上げたのでありますが、たとえば肥料のごときも同樣であります。ただいま規格品というお言葉を承つたのでありますが、できればこの品物が規格品である、規格品に該当するものであるという表示をなさつたらいかがか。しからばそれによつて國民は、これは規格品だからこれはやみ物資だから、これは不良品だからということが明瞭になろうと思うのでありますが、こういう点について何か施策をお考えになつておるかどうか、伺つておきたいと思います。
#7
○大屋國務大臣 ただいま世耕君の御指摘の、鉱山その他に報奬物資のはなはだ不適当なものが配給せられているという事実は、さようなことがままあるのでございまするが、將來は実情に即應しまして、適切なるものを配給するということに十分注意をいたす所存でございます。
 なお第二点の商品の規格を表示する方式を考えているかという御質問でございますが、現在はある一部のものに対しましては、規格査定委員会というものを設けまして、一号品、二号品というような証紙を張つて、現に実行している商品がございますので、よく実情にかんがみまして、必要のあるものには随時この制度を適用いたして行きたいと考えておる次第であります。
#8
○世耕委員 規格品に該当しないものを市場に出して暴利をむさぼり、あるいは弊害を起した場合の処罰等に対して、商工省はどういうふうな手続をとつておりますか。ただそういうことは注意くらいの程度か、あるいはそのまま放任されておりますか。
#9
○大屋國務大臣 ただいまの点は私よく実情を存じませんので、政府委員からお答えを申し上げます。
#10
○山本政府委員 お答えいたします。政府の規格を守つておらない品物を販賣し、ことにそれによつて暴利を得るというようなことに対しましては、物價統制令による取締りが行われておるのであります。
#11
○世耕委員 もしさような規格外のものをば販賣した商店に対して、指摘された場合には、商工省としては嚴罰に処すという方法があるということに承つてよろしゆうございますか。
#12
○山本政府委員 お答えいたします。そういうふうな場合には、物價統制令による取締りを、商工省としては当然それぞれの向きに要請するという方針で参ることにいたしております。
#13
○世耕委員 物價統制令というのは、從來われわれが聞くところによりますと、多くは價格違反を中心に考えられているようであります。從來品質の不良なものを出した場合に処罰された例はありますか。もしあれば、その実例と件数をお知らせ願いたい。
#14
○山本政府委員 お答えいたします。規格一号、二号と定まつております。その規格を破りまして、そうでないものを、たとえば三級品であるものを一級品であると偽りましたような場合には、先ほど申し上げましたように、物價統制令による取締りが必ず行われるわけでございますが、現在それについてどれだけの具体的な案件があるかというお尋ねに対しましては、ただいま私ここに具体的の件数は申し上げかねるのでありますが、最近の事例といたしまして、過燐酸肥料についてその種の問題が起りまして、統制令による取締りを受けたという事例が一件ございます。
#15
○世耕委員 これは商工当局にお願いいたしたい。また物價廳にも機会があれば私は質問しようと思うのでありますが、價格の統制にのみ熱心で、品質の取締りが不十分だ。そのために價格維持ができない現状であります。同時に信用もそのために落す。ことに今後輸出等の関係があつた場合には、特にこういう点は御協力が願いたいということをお願いしてやまないのであります。
 その点はその程度でとどめまして、商工大臣に直接承つておきたいと思うことは、現在マル公を撤廃してさしつかえのない品物が相当数あろうと思うのであります。おもなる種類について御持論があれば、將來の対策としてお聞かせ願えればけつこうだと思います。
#16
○大屋國務大臣 ごもつともな御質問であります。商工省関係の商品としまして約二百五十種ほどの統制をいたしておりまして、目下そのうち八十五種ほどのものにつきまして、統制をはずすべくそれぞれ研究中でございます。その表もございますから、あとでお手元に差上げます。
#17
○世耕委員 それではこの表はひとつあとで御発表願いたいと思います。
 次にもう一点お尋ねいたしたいことは、私の調査した範囲では、まだ隠退藏物資が相当あります。これは商工省並びに法務廳関係の熱意によれば、まだ莫大な数量が出て來ると思うのでありますが、これについて何かお考えがあるか。最近引続いていろいろな隠退藏あるいは不正物資の摘発等に盡力されておるようでありますけれども、まだ一部分しかその効が遂げられておらないように私は思います。まだ纖維品のごときも相当数量が隠退藏されているということは、私の手元にも情報が入つておるのであります。これが大きなやみの原因であり、疑獄の中心になると思います。私は常に考えているのだが、隠退藏それ自身が確かに犯罪に違いない。しかしながら終戰当時のどさくさの時代に起つた政治的な行き詰まりが、すなわちまじめな商人をして不正な行為に立ち至らしめました原因もある。ゆえに隠退藏物資をただ頭から所有者は不都合なものであると責めるだけが能ではなかろう。ゆえに一部これは政府の責任がある。同時に退藏しておる者も責任がある。両方の点を十分吟味して、そうしてできればかような隠退藏物資の物をすみやかに出して、國民の窮状を救うべきではないか。かように私は考えております。だから一片の法律だけでは解決できないいろいろな事情が伏在しておると思うのであります。これははたして実行できるかどうかわからぬデリケートな問題ではありますけれども、適当な價格、しかも過去の罪をあまり嚴重に処断せぬというような一種の大岡式なさばきでもつて、そして國民もそのために喜ぶ、持つておる者も喜ぶ、そして國家も得するという三得の案が頭をひねれば出て來ると思うのであります。言葉をかえて申しますれば、持つておる者もこれくらいならひとつ出そう。また國家もそれくらいの程度ならがまんしようというふうな、お互いに讓りつこして考えれば、出て來る品物がまだ相当あると思うのでありますが、こういう点について、商工大臣はどういうふうな御見解があるか、この機会に承つておきたいと思うのであります。
#18
○大屋國務大臣 ただいまの隠退藏物資を扱う役所は、実は経済安定本部と経済査察廳とになつておるのでありまするが、商工省といたしましても、これに十分協力して行く考えを持つておるのであります。
 なお世耕君の後段の御所論に対しましては、まことに私も同感でありまして、隠退藏物資を何かの動機で出し遅れたという点に関しまして、かつまた現在物資がはなはだしく不足しておるという実情から考えましても、これを何らかの方式で、さまでこれを法律によつて嚴罰にするということでなしに、これを放出せしめて、正常のルートに乘せて参ることは最も必要なことでございますので、御趣旨の点は深く了承いたしまして、何がしかうまい方法を考えて行きたい。さように考えておる次第であります。
#19
○井出委員 ただいま世耕さんの質問中、纖維の問題等もございました、なおまた纖維局長もお見えのようでありますから、一、二点お伺いをいたしたいと思います。
 わが國の輸出の大宗であります纖維工業が今後とも非常に重大であることは間違いないのでありますが、その中で大企業によらない、中小企業によつて営まれておるものが相当多くあるわけでございます。しかるに最近商工省の方針でありますかどうか、企業整備というふうな形で、能率的な大企業に対しては手をつけないで、そうして中小企業を整理して行くというふうな方向がすでに現われておりまして、私の知つておる範囲でも靜岡縣、愛知縣等にはこういう傾向が見えると思うのであります。しかし一面この日本の産業の中に中小企業の持つウエートはこれまた非常に大きいものがあるのでありまして、單に大企業を育成するために、中小企業を犠牲にするというような方針であつてはいかがかと思うのであります。この点、商工大臣並びに詳しくはひとつ纖維局長からも伺つておきたいと思う次第であります。
#20
○大屋國務大臣 ただいまの井出君の御質問の点は、政府といたしましては、ことさらに中小企業と大企業との間に区別を設けてはおらないのであります。むろん重点産業、輸出産業という点につきましては、そこに相当の観点の差が重点的に付されておりますが、何分にも御承知の通り、中小工業はその経済力の面におきまして、あるいは技術経営の面におきましてまだ十分でないものがございます。特に昨今は輸出産業の点に対しまして、纖維工業のいわゆる製品工業という方面で、非常に大きなウエートが中小企業の面にかかつておりますので、商工省といたしましても、中小企業廳の開設その他金融の面に特別の考慮をするという点から見ましても、できるだけこれを整備して行く考えでございますが、何分にも御承知の通り、輸出をいたします為替レートの関係か何かで、早くその機能を合理化すという点と、また場合によりましてはどうしてもいけない面、企業として成立たない産業というものは、少くともこの為替レートが暫定の時期までに、業者自体がみずからの力によつて、企業の整備をしていただく、ことさらに戰時中の統制方式のように企業整備を積極的にいたさない。業者で自主的にひとつやつてもらう。そこにおのずから黒白、優劣が生じて参る。さような見解で政府は臨んでおる次第であります。
#21
○井出委員 ことさらに企業整備という方向に政府が上からの指導はなされておらぬ。自主的に各企業自体がおのずから内容を改善して行くという方向をとらしめたい、かような御所論に伺つたのでありますが、今私の申し上げた靜岡、愛知の実例等については、纖維局の方には何か御報告等は受取つておられませんか。
#22
○大屋國務大臣 ただいまの点は纖維局長をして答弁いたさせます。
#23
○長村政府委員 ただいまの点について御答弁申し上げます。纖維関係におきましては、ただいまお話のございましたように、特にいわゆる中小規模の企業者というものは非常に数が多いわけでありまして、生産力の関係から申しましても、非常に大きな部分を占めておるわけでございます。そういう関係でございますので、私どもといたしましては、特にこの方面の中小規模の業者の將來を考慮しておるわけでございます。靜岡、愛知の地区というお話でございますが、特にこれらの地区におきまして、他の地区とかわつて割当その他の取扱いを異にしている例は見ておらぬのでございます。大企業と中小企業との関係は、ただいま商工大臣から御答弁のありましたようなわけでありまして、纖維産業の分野におきましても特に区別をいたしまして、大企業を有利に扱うということは、あらゆる面に対してやつておりません。むしろ中小企業の纖維産業に占める地位等から考えまして、この中小企業者の立場というものに対しては、十分の考慮を拂つておるつもりであります。
#24
○井出委員 為替の一本レートという問題に関連しまして、もちろん日本の産業はこれに耐え得るような再編成をしなければならぬわけです。しかして商工大臣は先ほど來この点を非常に力説せられまして、政府当局としてもさような意味での準備をすでに進めておられるような御口吻のように承つたのでありますけれども、昨日でありましたか、大藏大臣が勝間田委員の質問に答えられて言われるのには、差迫つた問題としては考えておらぬ。さような意味で特に対策を持ち合せていらつしやらぬような御意見があつたのであります。そういたしますと、商工大臣と大藏大臣とは為替一本レートを一体いついかなる方法でどの程度に決定をするか、これはもちろん内外の情勢にも支配されましようけれども、何か少しく食い違いがある、政府部内の思想統一ができておらぬ、そのような印象を受けたのでありますが、この機会にさような食い違いが一体あるのかどうか、ちようどお二人いらつしやいますので、この点を明確にしておいていただきたいと思います。
#25
○大屋國務大臣 為替レート一本建決定の面に関する商工大臣としての考え方は、今ただちに会議をそれぞれの関係官廳で開いて、為替レートをどういう線でいつきめるという、さような実質上の手続をとつておるということは毛頭ないのです。その点をあるいは大藏大臣がさよう仰せられたのじやないかと思うのですが、しかしながらしよせんこの為替レートは内外の経済情勢の上から考えても、特にわが國の輸出産業重点主義採用の上から見ても、この為替レートは一本にしなければならぬ。私は為替レートは必ずそのうちに設定しなければ、日本経済の本質的立直りはできないのだというので、警鐘を乱打して、産業界に呼びかけている次第でございます。これは聞き手によりましては、あるいは商工大臣は大いに準備を急いでいる、あるいは大藏大臣には対策がないというふうに聞き手が主観的にお考えになるのではないかと思うのでありますが、私の観点はただいま申し上げた通りでございます。
#26
○泉山國務大臣 お答えをいたします。一本為替レートの設定につきまして、その時期の見通しにつきましては、いろいろ御意見はあるかと思うのでありますが、政府当局におきましては、ただいま商工大臣からも述べられました通り、これを確実に実施する、さようなことは今日考えておらぬのであります。從いましてこれが対策の準備は、さような意味合いにおきましては準備はいたしておりますけれども、まだこれを具体的に申し上げる段階には立ち至つていない、かようにお答え申し上げます。
#27
○井出委員 ただいまの問題につきましては、両大臣の間に若干表現の相違はあつたが、本質はかわつておらぬというふうに了承をいたしておきます。
 そこでもう一点、纖維の問題でございますが、綿花回轉基金が設定されまして、これに対してはわれわれも非常な期待と希望を寄せたわけであります。そうして場合によつては、これから國内の現在の逼迫しておる纖維事情を緩和されまして、いくらかは暖かい冬を迎えられるのではないかというふうにも考えておつたのであります。しかるに実情は必ずしもさようなわけにも参らないようにも聞いておるのであります。この回轉基金がどのような効果を上げておるか、あるいは配給計画等において、國内纖維が何ヤールかふえて参つておるか、この点商工大臣から重ねてお答え願いたいと思います。
#28
○大屋國務大臣 レヴオルヴイング・フアンドを綿花の輸入に六千万ドルのうち約四千万ドル使用いたしております。なおこの輸入の將來の見通しにつきましては、ここに数字を持つておりますから申し上げます。原綿の輸入綿は約十月三十日までの実績で、百五十九万俵輸入をいたしております。うち五十七万四千俵を内國綿として拂下げております。なお今後の輸入の見通しにつきましては、年間米綿が約六十万俵、印綿が十五万俵、エジプト綿が五万俵、合計八十万俵、かように存じておる次第であります。
#29
○井出委員 内地向けのわれわれに配給される衣服の面において、どの程度の影響がこのレヴオルヴイング・フアンドを通してできて参るか、この点をひとつお伺いしたい。
#30
○長村政府委員 ただいまの輸入綿花は御承知の通り、その多くのものが輸出されるものでございまして、これが内地需要に渡りますものは、輸入綿花全体といたしまして三割、四割程度のものであるわけであります。しかもこの内地需要に渡ります綿布、綿製品のその大部分は、いわゆる報奬物資として使用されております。一般國民に配給されます綿布という点から申しますと、これはほとんど微量のものになつてしまうのであります。
#31
○井出委員 それでは纖維の問題はこのくらいにいたしまして、もう一点商工大臣にお伺い申上げたいのであります。商工協同組合法が今日の実情に必ずしも当てはまらない、ことにこれは何か戰時統制的のにおいが存在しておるようにも思うのでありますが、この点は前内閣当時にも改正の声が上つておつたのでありますけれども、現政府はこの商工協同組合法について、どのように御認識なさつておられるか、またこれが改正の意図をお持ちになるかどうか、これをお伺いいたします。
#32
○大屋國務大臣 ただいまの点は政府委員をして答弁いたさせます。
#33
○山本政府委員 お答えいたします。現在の商工協同組合の制度につきましては、目下商工省といたしましては、その改正の必要を認めまして、この改正原案をせつかく檢討中でございます。できるならば次の國会にぜひ御提案するようにしたいと考えております。
#34
○井出委員 これからあとは大藏大臣にお伺いいたします。すでにこの委員会でもいろいろな角度から論議が継続せられまして、私のお伺いいたしたい点も、ある程度は解明されたと思いますが、大藏大臣は非常に抽象的なレトリツクの妙とでも言いましようか、まことに捕捉しがたい御答弁をなされるのであつて、この点はどうか具体的に、以下申し上げる質問にお答えを願いとうございます。
 今回の予算で給與ベースが改訂せられまするが、物價の点については何ら触れておらない。おそらくこの給與ベースの引上げが、直接、間接に物價の高騰に影響をもたらすものであることは間違いないと思うのであります。去る七月に行われました物價改訂を考えてみますると、基礎的な物資については相当大幅な、二倍とか、三倍とかいうふうな値上げが断行せられましたけれども、第二次製品については大体七割という線でとめられておつたはずであります。このことは過去のストツクによつてメーカーがこしらえておりまする限りにおいては、どうやら採算はとれたでありましようけれども、今日はもはやそのストツクはほとんど枯渇しておると考えなければなりません。從つて一般消費財等における採算というものは、非常な困難に陷つておるのが現状でありまして、從來であるならば、賃金、物價を同時に決定するという建前であつたのが、今回は物價に何ら触れられておらない。しかも七月の物價改訂は、今申し上げたように基礎物資と第二次製品との間にずれがあつたのでありまして、こういう点から考えますると、物價改訂は特に一般消費財、第二次製品等に関する限り、非常に急を要するのではないか、このように考えまするが、大藏大臣は三原則をたてにとつて、いろいろ言われるでありましようけれども、そういつた抽象的な問題でなくて、具体的に――物價体系はくずれかかつておると私どもは見ますが、これに対する大藏大臣及び安本長官としての泉山さんの御答弁を願いたいと思います。
#35
○泉山國務大臣 お答えいたします。ただいま井出さんのお話の中には、まず公務員諸君の新給與ベースを五千三百三十円に引上げた。かるがゆえにその賃金引上げによつて物價の高騰を來すではないか、さような前提に立つのでありますが、政府といたしましては、はなはだ遺憾の意を表せざるを得ないのであります。何となれば、その新給與ベースの引上げによつて、いかにして物價の騰貴を抑制するか、さような点に十分配慮を用いたのでありまして、さればこそ追加予算の面におきまして、種々配意を加えましたのは、井出さん先般御承知の通りであります。從いましてこの五千三百三十円の新ベースこそ、今日の段階において適切なものであるというように御理解を得たいと思います。なおその前提の上からいろいろ御議論を承つたのでありまするが、つきまして價格改訂の問題は、私たびたびこれまた御答弁申し上げておりまする通り、今日全面的な改訂はその時期にあらず、かようなことであるのであります。しかしながらただいま承りますように、前内閣当時におきまして、價格の補正的改訂をいたしました際に、その間に何らか欠陷ありとすれば、ただちにこれを修正するのにやぶさかではないのであります。以上お答えいたします。
#36
○井出委員 どうも具体的にはなはだ的確を欠く御答弁であります。十分な御配慮を加えられたそうでありますが、どうも私はこれを先刻御承知いたさないのであります。そこで問題を次に進めます。
 先般生産増強対策という点について、竹谷君の質問に対して、大藏大臣は何か時間的、空間的にというふうな非常に彈力性のある施策を持たれているような御答弁、これまた非常に明確を欠いたのでありますが、私は生産第一主義という民自党從來の方針は、ずいぶんしばしば聞かされて参つたのでありますけれども、今日のインフレを克服いたしますために、單に生産第一主義だけでいいかどうか。もちろんインフレは物の面からいたしまして、今日のような縮小再生産を克服しなければならぬことはもちろんであります。同時に通貨の面、金の面に対しての配慮もあわせて行わなければならぬのでありますけれども、この通貨面、金融面の政策において、現内閣は少し貧困ではないかと思うのであります。單にお題目的に生産第一主義を強調せられるのみでは、なかなかインフレは克服され得ない。何となれば、生産増強をする前提として、たとえば通貨の面、金融の面の対策をどうしなければならぬか。こういうふうな問題が先に出る場合も出て参るのであります。この点單に生産第一主義をお唱えになるということだけでは、問題は解決しないと思います。大藏大臣は通貨金融面をどうされるか、この際明確にお示しを願いたい。
#37
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。生産第一主義を貫徹せしめるがために、インフレの現段階におきまして、まずこれが收束に当る。まことにけつこうであると思うのであります。しかしながらその通貨の面に対する措置といたしまして、直接的に言うがごとき通貨措置、かようのものは今日その必要もなく、また害あつて益なきものと政府においては考えている次第であります。なおしかりとはいえども、通貨並びに金融の面に対して、施策なきやのお話でございましたが、この点については鋭意研究を遂げておりますのみならず、問題としてわれわれが取上げました点につきましては、これまた再々本会議において私より申し述べました通り、あるいは融資規正準則の相当程度の改善、あるいはまた中小商工業者に対する金融の面の緩和、あるいはまた金融機関に対しまして國債の保有高に対する緩和とか、その他相当の政策を随時随所に展開いたしておるのでございまして、その点は井出さんも御了承のところと私は信じておる次第であります。
#38
○井出委員 どうもあまり了承をいたさないのであります。そこでこの点だけひとつお伺いをしておきたい。私どもはいずれかの機会に、一度は通貨処理というものに遭遇をしなければならぬと思うのであります。それはあたかも為替一本レートがいずれかの時期にきまることが必然であるのと同樣であります。そこでこの通貨処理をする時期は、いまだその時期でないと大藏大臣は言われる。私も今ただちにというわけには参るまいと思いますが、民自党がその一枚看板とされる生産第一主義を強行せられまして、幸いにそれが功を奏して――私もそうなることを願つておりますが、日本の現在の鉱工業生産水準は四、五十パーセントというような非常に低いものでありましようが、これが漸次高まつて、おおよそ何パーセントかのところまで上昇をいたしました際に、通貨処理というものが行われてしかるべきものと思うのでありますが、安本長官はその生産回復の水準をどのくらいにお見込みになつていらつしやるか。その点をお伺いしておきたいと思います。
#39
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。ただいまのお尋ねは大体におきましておおむね御所見のように承つたのであります。つまり通貨の処理をいたしますという前提において、しからば生産状況の線をどの線まで、あるいは六割か七割か、かようのお尋ねのようでありますが、先般お答えを申し上げました通り、政府におきましては通貨処理のごときことは考えておらないのでありまして、以上御了承を願います。
#40
○井出委員 通貨処理は当面お考えにならない、これは現内閣が選挙を前にいたしまして、きわめて暫定的な一種の解散内閣であると考えますならば、これはあるいは追究する方がむりかもしれませんが、これは遠からず当然考えなければならぬ問題でありまして、再び選挙後に泉山大藏大臣と相まみゆる機会がありますれば、その際に讓りたいと私は考える次第であります。
 先ほど來委員長からぜひこの審議促進に協力をするように再々言われますので、残るところはきわめて簡潔にいたしたいと考えます。
 今回の追加予算を組むにあたられても、おそらく財源の面において、政府当局も非常なる御考慮を煩わしたことと思います。四百億余りが所得税の水増しというような数字が計上せられておるのに徴しましても、これは苦しい予算編成だと思うのであります。そこで私はこの財源の点について、一点泉山さんと問答をしてみたいと思うのでありますが、泉山さんの御郷里はたしか東北地方でございましようが、この地帶は古來有名なるどぶろくの産地と聞いております。今日とぶろくといいますか、あるいはカストリといわれているようなもので消費されております米の量は莫大なものに上ります。責任ある食糧管理局の首脳部の推定をもつてしましても、大体二百万石というふうに言われておりますが、私どもはとても二百万石ではとどまるまいと思う。そこでこのことは、主要食糧が非常にむだにされ、配給ルートからのがれておるという弊害のみではなくして、品質の粗惡なアルコール飲料を飲むことによつて、國民体位の上に大きな影響があるわけであります。さらにまたこれはいわゆる脱税というふうなことから出て参りまする遵法の観念、これにももとるところ大なるものがございまして、この面からも今日道義というものが崩壊しつつあると言わなければならぬのであります。このどぶろく対策を適当に立てるならば、これは相当に大きな財源になる。いろいろな面からその弊害が是正せられまするならば、まさに一石三鳥であると思うのであります。酒の総取締りをなさつておる大藏大臣のこの方面に対する対策をこの際――特に東北山形の地はそのような弊害が多いように聞いておりまするから、深甚な御関心を持つておられると思いますので、大藏大臣に伺います。
#41
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。ただいま御指摘の点につきましては、いろいろ政府におきましても、いわゆる声なき声を聞いておるのでございまして、かような意味合いからまずこの道義の根底をつちかい、そうしてただいま御指摘のように、あるいは國民をして芳醇なる酒に醉わせ、また財源に資するところ十分なるものあることを期待いたしておるのでありまするが、遺憾ながら妙案はいまだこれを得られないのであります。從いましてもし井出さんにして一石三鳥の名案ありとせば、即刻承りたいものと、かように念願いたすものでございます。しかしながら政府におきましてもその方向に向つて進んでおりますることは、昨日私が参議院で御答弁申し上げました通りでありまして、酒の増石につきましては、政府といたしましては今回ために三十億円の予算を計上いたしておるような次第でございまして、なおまた今後一層この方面に努力を重ねたいと、かような念願に燃えておる次第でございます。
#42
○森(直)委員長代理 ちよつと各位に申し上げますが、一時から閣議があるそうでございまして、あと十二三分でありますから、そのおつもりで……。
#43
○井出委員 どうも酩酊したような御答弁で、はなはだわが意を得ません。かえつて私に何らかの対策を示せと逆襲を受けました点は恐れ入りました次第であります。そこでこういうふうなことはお考えになれないものかどうか。すなわち供出の問題ともからみ合せまして、農家が供出を完遂いたしました際に、一つの報奬手段というふうな意味合いから、ある一定量の原料米を限りましてこれを委託釀造させる。このことは正々堂々と大藏大臣の言われる芳醇なる酒を農家の諸君が飲用することに相なりまして、その面から一つの財源ともなり得ましようし、また供出を促進させまする要因ともなると思うのでありますが、このような問題は大藏省ではあるいはすでに御研究とも存じまするし、また主税局長もお見えになつていらつしやるようでありますから、少し具体的にお伺いをいたしたいと思います。
#44
○泉山國務大臣 たいへん重要な問題でありまするので、主税局長から御答弁を申し上げます。
#45
○平田(敬)政府委員 酒類の密造対策につきましては、大臣からもお話がございました通り、いろいろな方向においてこの問題を解決したいというので、目下研究し、あるいはものによりましては実行に移しつつあるものもございます。何と申しましても、この基本はやはり正規のルートで流すところの酒の供給量を、そのときの食糧事情と十分かみ合せつつ、極力ふやして行くというのが、基本的なラインになるべきものだと考えまして、本年度におきましても、先ほど大臣からお話になりましたように、若干の増を見たような次第でございます。さらに値段等につきましても、できるならばもう少し低い値段にいたすのが、こういう見地からいたしますと、私ども望ましいと考えるのでございますが、ただいかんせん、現在の苦しい財政事情のもとにおきましては、それをいたしますと、また減收になるといつたようなこともございまして、まだそういう運びに至つておりません。でございますが、基本的には食糧事情の許す限りにおきまして、極力正規の酒を増加する、これで行くのが本筋ではなかろうかと思います。それと関連いたしまして、一方におきましては密造が相当あることは事実でございますから、それに対しましてやはり適当な取締りは励行して行くということを考えております。これにつきましては、目下各縣に密造の防止対策協議会というものを設けまして、でき得る限り実効の上る方策を具体的に企画して実施に移すということで、各地につきまして現在すでに警察等が中心になりまして、相当な取締りを励行しておる面もあるようでございます。それによりまして若干の効果は上りつつあると思うのでございますが、さような方法によつてできるだけこの問題は解決いたしたい。それから今御指摘の、最後に言われた方法も有力な一つの方法だと考えるわけでございますが、供出の状況等との関係もにらみ合せまして、私どもといたしましても、できる限りそういう方向におきましても一つの解決策を見出すべく努力いたしたい。かように考えておる次第であります。
#46
○井出委員 ただいまの報奬的に供出完遂農家に酒をつくることを許容する、委託釀造の形式によるか、あるいは米と酒を交換するか、そういつた具体的な問題は主税局におまかせをするといたしまして、この点に関して、農林省方面においてはあるいは若干の異論があるようにも聞いております。しかし今日財源の点から見ましても、また先ほど私の指摘した幾多の弊害からいたしましても、これはあるいは窮余の一策、苦肉の策であるかもしれぬけれども、ただいま主税局長の言われるように、せつかく御研究のみならず、これをひとつすみやかに実施されるように希望を申し上げておきます。
 それからもう一点、酒の問題に関連いたしまして。おそらく今度の予算をつくるにあたりましても、一應酒ということが財源の一つに取上げられて、何とかこの方面からしぼり出すくふうがないものかという御配慮をなされたに違いありません。そこで現在の特價酒、これはもう一升千円というふうな酒は、たとえ給與ベースが改善されても、とても高嶺の花になつてしまつて、まず大衆の手の届くところにはないわけであります。これについてはもう少し價格の点でくふうをする必要がなかろうか。そのためには一應予算の面で、現在の限られた酒を現在の特價酒で賣ることによつて、歳入面が組み立てられておるはずでありますから、なかなかもつて値下げをするわけには参りますまい。從つて何とかして量をふやすことによつて増量せられた酒を、これは特價酒でなく、むしろ一般普通の配給酒くらいの値段で正規のルートで流す手はないものか。こういうことが考えられるわけでございます。今年なるほど酒米は昨年よりも十万石程度ふえておりますけれども、これを釀造いたしまして、一般市場に出しますのは、二十三年度ではこれは間に合いません。從いまして今すぐ打つべき手として、ここに私は次のようなことを考えてみたい。と申しますのは、今日政府はいわゆる專賣のアルコールを相当にお持ちになつておりはせぬかと思うのでありますが、これを配給いたしまして、現在まだ酒造家の倉の中にあります酒、これはもちろんアルコールが若干入つております。けれどもこの酒を持つて行つて、さらにアルコールを添加することによつて増量をいたすわけであります。これは品質の点が懸念されますけれども、市中に横行しておるようないかがわしいものに比べればはるかにりつぱなものである。こういう方法で酒類を増石することが可能かどうか。それによつて歳入源に相当の計上を見得るのではないか。こういうことを実は考えてみておるのでありますが、この点大藏大臣いかがでございましようか。
#47
○泉山國務大臣 お答え申し上げます。ただいま井出さんの御質疑の御意見はまことにごもつともなのでございまして、政府におきましても、その線に沿いましていろいろ立案をいたし、また関係方面とも折衝を重ねましたが、いまだ成果を得られない。かようのことを遺憾といたす次第であります。
#48
○井出委員 こ点について主税局長からもひとつ……。
#49
○平田(敬)政府委員 ただいまのアルコールを清酒に添加することにつきまして、若干御説明を申し上げておきたいと思います。御承知のように清酒にアルコールを添加する方法は、すでに二、三年前からやつておりまして、ことに昨年度におきましては、米が非常に減りましたので、極力それをやらせる方針で参つたのでございます。手元に正確な数字はございませんが、燃料局のアルコールもそのために相当の分量をさいて、添加用として使わしていただいているような状況でございます。昨年は大体二割から三割くらい混入しておると思いますが、この混入技術はまだなお若干改善の余地がございますし、今後におきましても、お話のように極力そういう方向において酒類を増加することには私たち極力努めたいと考えておりますが、ただ現在におきましても、相当にやり得るところはやつておりますので、今後は今までに比較して、そう大きく期待することはいかがであろうと思つております。しかし方向といたしましては、ごもつともな御意見でありますので、極力そういう方向によりまして供給増をはかりたいと思います。なお御承知の増産分は極力配給酒をふやしてはどうかという御意見でございますが、これも私どもまことにごもつともな御意見と思います。本年度の計画は少し歳入を出すために配給の方を圧迫し過ぎまして、特價酒が少し余計出ておるというところが賣れ行きに影響しておるので、今後増産になりますれば極力配給酒の増加に振向けまして、もつて歳入の増加をはかりたい。かように考えておる次第でございます。
#50
○井出委員 酒の方はそのくらいにいたしまして、砂糖の問題を一点伺います。先ごろの御説明によりますと、主食のわくからはずしまして、本年度内に配給せられます砂糖がおよそ十万七千トンと承つております。砂糖の一斤の値段は白砂糖が五十円、赤砂糖が四十五円、このように聞き及んでおります。けれどもわれわれは長い間砂糖のない生活に耐えて参つておりますし、砂糖は一種のぜいたく品であるとも考えられております。從いまして、今日一般のブラツク・マーケツトにおける砂糖の値段というものは、相当高値を呼んでおるはずであります。從いまして、この配給砂糖の五十円、四十五円という値段は、政府としてはずいぶんサービスの値段のようにも考えられるところでありまして、これをむしろ倍くらいにしても、砂糖需要というものは十分あるのじやないかと思いますが、もしも一斤の砂糖を百円というところまで持つて行きますならば、これから生れて來る財源というものは、私どもの計算からいたしまして、およそ七十五億円くらいの数字が出ると思うのであります。これは輸入砂糖を一般配給に乘せて、しかも砂糖の税法も改正されるようでありますが、この機会に竿頭一歩を進めて、もう少しこの面から税金をとることをお考えになつたらどうか。これは非常に簡單に、しかも確実にとれるのではないか。こういう祕法を大藏大臣に公開してしまうと少しどうかと思いますが、この点いかがでございましようか。
#51
○泉山國務大臣 砂糖のお話は、実は今回これに再び税をかける、かようなことで財源を計上いたした次第でございますが、これはただいま御指摘のように、從來主食として配給をいたしておりましたものはその主食の面からこれをはずした。さようなことで、これを還元いたしたのでございまするが、その場合その販賣價格が甘きに失しやしないか。さようなお話でございましたが、これはまことにごもつともなお話じやなかろうか。これを何ほどかに上げまして、七十五億円、かようなお話もあるのでございます。ただその点で私の耳には、むしろ配給をはずして相当程度にこれを販賣するにおいては、千億の財源もこれを獲得できるのじやないか。さような提案もあるのでありまして、決して甘い考えは持つておらないのであります。
#52
○井出委員 どうも御答弁的確を欠いておるのですが、事務当局もう少し何かこれについて御研究がありましたならば、御発表願いたい。
#53
○平田(敬)政府委員 この砂糖の税率につきましては、いろいろの見地からいろいろ研究してみたのでございます。今お話の通り、砂糖の実際價格は相当高いから、もつと高くしてもいいのじやないかということを大分研究してみたのでございます。現在におきましても、なおそういう考え方が相当有力にありますことはもちろんお話の通りでございまして、ただ現在提案しました税率をきめた根拠を一應申し上げまして御参考にいたしたいと思います。と申しますのは、先ほども御指摘になりましたように、砂糖で配給する分が十二月から三月まで十万七千トン、そのうち九万七千トンが一人一箇月三百グラムといたしまして調味料として家庭に一律に配給する分でございます。残余の約一万トンがその他の乳兒用とか、給食用とか労務者用、工業用等でございまして、大部分は一人何グラムというふうに一律に家庭に配給される砂糖でございます。そういう配給状態が一方においてございます。それから戰時におきましては、御承知の通り砂糖は大体六割程度はむしろ製菓用、加工用か業務用等でございまして、家庭で使われる分は四、五割程度であつたのでございますが、今の状態ではまだ砂糖の現在の供給量が少いために、大部分調味料として家庭配給する、そのような実情に一方においてなつておるということ、それを考慮に入れつつ税率の一應の定めをしたわけでありますが、その場合におきまして、大体今お話の通り白砂糖五十円という値段は基準年次に対しまして二百十一倍という高さに相なります。これをさらに税率をうんと高くしますと、倍率は非常に高くなつて來るのでありますが、現在の公定價格のバランスといたしましては、この程度が妥当じやあるまいかという各方面の意見がございまして、私ども実はもう少し税率が上げられないかと大分研究してみたのでありますが、そういう全体の食糧、砂糖の公定價格のバランスからいたしまして、さようなところが妥当であるということに相なつたのであります。すなわちみそ、しようゆ等は百倍くらい、それから油は二百倍、米は百四十五倍といつたような程度でありまして、その程度のものでありますれば、この程度が妥当じやないか。酒の配給値段は二百五十倍ですが、これも一部におきましては、配給酒の値段が相当高いという声が農村方面にもあるくらいでありまして、この際といたしましては、この程度の税率が穏当、妥当なところじやあるまいか。ただ財政上の事情その他からいたしまして、さらに徴税の余地があるかないかということは、將來の問題としてはなお研究の余地があろうかと思いますが、今の公定價格の大体のバランス等から考えまして、しかもその大部分が家庭に一律配給したという点を考慮に入れますと、まず今回程度のところが穏当かつ妥当な線ではなかろうかという趣旨で税率を定めたような次第であります。
#54
○井出委員 ただいまの平田さんの御説明で内容はよくわかりました。私は砂糖のごとき、今日の日本における稀少物資は、他の食糧品との倍率のバランスというふうなものを若干乘り越えてもいいじやないかという氣持を持つております。從つてこれはまだ相当の有力財源であるという私自身の氣持を捨て得ないものがあるのであります。大藏省はタバコなどについてはずいぶん思い切つた倍率を採用しておられるのでありますから、ここらからももうちよつとお考え願つてもいいかと考えて発言したわけであります。
 なおまだ私大藏大臣に二、三点お尋ねしたい問題が残つておりますが、今閣議の方へお帰りになりましたので、この点は保留さしていただきます。なお総理にも若干の質問を保留してありますが、これは一括後刻に讓りまして、私は一應これをもつて打切つておきます。
#55
○叶委員 主税局長にお尋ねいたしたいと思います。過ぐる夏に予算委員会から、おもに第一線の徴税状況につきまして、私どもの班は兵庫縣、和歌山、京都、大阪方面をまわつて來たわけであります。われわれ國会におきまして、また徴税事務の首脳部の方々がいろいろ御苦心をなさつておるわけでありますが、私どもは、数字をもてあそぶことはまず後刻にいたしまして、われわれの政治的な第六感によりますと、いろいろな具体的な現象から見ますと、日本の徴税というものもようやくその飽和点に達して來ているではないかと思うのであります。現在私ども政治を口にします上におきまして、この徴税を現実に、実際的にどういうふうに民衆の協力を得て遂行するかということは、これは政治の根幹に横たわる大問題であると思う。本日の新聞等を見ますと、方々で相当問題が起つている。相当手の混んだような問題が起つて來ている。私どもの知つております実際、あるいは実情をよく知つております農村におきます徴税についても、たえず紛爭がつきものになつて來ている。私どもは正式に予算委員といたしまして、第一線の税務署をまわつたわけでありますが、私がまず感じたことは、かつて戰爭中に勤労動員署であるとか、その他戰爭中のどさくさにできて、非常に不完備であつて、民衆の協力を得ないような雰囲氣におきまして、あらゆる惡條件を無理押しにやつたことが、すべて勤労動員につきましても、失敗の根源であつたとわれわれは考えているわけであります。ことにいかにわれわれが美辞麗句を並べ、いかに綿密なる数字をここで論議いたしましても、何と申しましても、結論的に厖大なるところの徴税をやらなければならぬということは、これははつきりとわかつていることであります。ところが私どもが概算をいたしますると、郵便の窓口であるとか、あるいは銀行の窓口までは、われわれは予想できないかもしれない。しかしながら國民の義務であるところの税金というものを、われわれは拂いに來たのだという感じを、民衆が持つことができるような態勢にまで税務署はなつていない。ことに税務署の諸君が非常に過労である。第一線をまわつて見ましたが、まず自轉車がない。それからまた税務署の人事の関係でいろいろな因縁ができますると、徴税の事務につきましては、必然そこにいろいろの醜惡なる事件が起るわけでありますから、相当長距離にわたる人事異動が行われているようであるが、しかしながらこれの住宅がない。かりに住宅を提供する人がありますると、これは人情の常であつて、住宅の提供者に対して、やはり税務署の諸君が個人的な親愛の情を感ずることは、これまた火を見るよりも明らかである。十人のうち一人ないし二人病氣欠勤者がある。しかもその病氣を直接聞いてみますと、肺病系統の人が多い。これはまつたく第一線の徴税事務に携わつている人々の疲労困憊というものをここに如実に表わしているわけであります。しかも税務署の諸君に聞いてみると、税務署をりつぱにすることは民衆の反感を買うものである。だから大藏省は予算をくれないのであります。こういうわけでありますが、私どもが知つておりますところの欧米方面の徴税というものは、日本のごとく陰惨なものではないのであります。日本の徴税というものが、やはりこういうような体制を整えない限りにおきましては、日本というものが革命体制に入つて行く端緒はこの徴税の紛爭より起ると思う。農村におきましても、左翼的な急進的な勢力というものは、いわゆる全財労の精鋭分子と結びつきまして、こういう方面からまず大衆の中に入つて行つているわけであります。こういうことは私どもとしては默つているわけには行かぬのであります。こういうわけで、いかなる予算を組みましても、徴税というものをどういうふうに私どもが近代的にやるかということは、非常に重要であると思うのであります。こういうわけで追加予算また追加予算でだんだんだんだんとこの税金がかさんで行つて、國家というものはその收入をあらゆる部門に求めなくちやならぬような段階に置かれているわけでありますが、第一線の人たちの氣分というものは、まじめな者は倒れるし、要領のよい者は收賄で投獄される。普通の人間は体力の上から行つてサボタージュを起すのであります。われわれ國会議員でも夜通しやれば、どんな元氣な者でも國会に行く前に一眠りしなければならぬことは、人間が生き物である限りやむを得ないのであります。こういうふうな徴税の第一線に立つております者は、そういう徴税に関しまして、すべからく事務当局の人たちは要求がなければならぬと思う。こういう実態を今のままで、いたずらに一夜つくりのこういうような予算を組んでもどういうことになるか、まずこういうことについて予算が大きくなればなるほど、あなた方の方としてはそれに対する体制の準備がなされなくちやならぬ。徴税事務の民主化、それからまた機械化と申しますか、自轉車がないような者が、どうして廣い都会や農村を走りまわれるか、こういうことについては大藏当局として遠慮することはない。まずあなた方の偽らざる見解を聞きたいと思う。そうでなければ何べん予算を組んでもとれやしない。とれない予算を組んだつてどうするのだ。まずそれから聞きたいと思う。
#56
○平田(敬)政府委員 まつたく私ども今のお話は同感でありますことを、まず最初に申し上げまして、感想を述べさしていただきます。現在はお話の通り、徴税機構と申しますか、徴税組織が不十分なところが実に多いということは、私ども実に痛感いたしております。御指摘のいろいろな施設等が非常に惡いといつたようなこと、なかんずく職員の轉勤等も税務においてはどうしても必要ですが、これは住宅問題の解決ができないために、実は私ども苦労いたしているといつたようなこと、それからそれのみならず、あらゆる役所内の施設が惡いし、それからまたそういうことに関連いたしまして、税務の能率が上つていない。これはまつたく御指摘の通りでございまして、幾ら私ども中央でいろいろな計画を立てましても、その実施面の実際の運行がうまく行かなければ、結果におきましてほんとうによい効果は生じないということについては、私どもはつくづく痛感いたしております。從いましてこの点につきましては、本年におきましても税務機構に関する小委員会というものを、國会の一部の方々にも入つてもらつておりますが、根本的にどういうふうにすれば、刷新改善ができるだろうかということを、一面におきましては根本的に研究をいたしております。他方におきまして、苦しい予算の中でございまするが、でき得る限り今御指摘のような自轉車その他の施設等につきましても、予算をもらいまして、その方面から極力拡充をはかりたい。ただ遺憾ながらこれはなかなか一挙に完全な効果を上げるということは、現状といたしましてむずかしいようでございますから、これも國の再建計画と同じく、何箇年間の計画をもちまして、能率のよい税務官廳をつくり上げるべくせつかく努力いたしたいと考えているのでございます。
 これに関連しまして若干感想を申さしていただきますと、実際現在のインフレを防ぐ防波堤の一つが税務に來ていると思うのであります。しかも中央におきまして、予算のバランスをはかるために、税制の計画を立てるのは、若干むりとは思いましても不可能ではないのですが、ただそれをいかにして実効を上げるかということになつて來ますと、私どもなかなかいろいろな計画がありましても、それを引受けるまでの決意ができかねるということが多々あるのでございます。本年におきましても実に今回の予算等の関係によりまして、また徴税の第一線に非常に重圧が加わつてくるわけでありまして、いかにして予算に計上された租税というものを、円滑にしかも適正に徴收するかということは非常に困難がございまして、私どもは目下これをいかにすべきか、実に苦心いたしておるのでございます。そういう際におきましても、恒久的な財政ということを考えますと、実はあまり一時にむりをいたしまして、かえつてせつかく能率よく動き出しつつあるのをひつかきまわす、そのためにまた今度は恒久的な能率改善というものがうまく行かない。そういうことで結局におきましてなかなかむずかしい問題があつて、解決を困難ならしめる事情が多々あるのでございますが、しかし一面におきまして、当面のインフレ防止のために、どうしても予算のバランスをはかるということが必要でありますし、歳出等において極力切り詰めても、なおいる歳出はどうしても租税その他の適正なる徴收によりまして確保しなければならぬ。こういう要求といかにしてマツチせしめるか、私ども日夜非常に苦心いたしておるところでございます。今後におきまする税務の行政の実質的な改善、能率のよい税務行政を打立てるということにつきましては、先ほどの御意見まつたくごもつともでございまして、私ども一挙にはできぬと思いまするが、なるべく早い機会に徐々にそういうような方向に持つて行くべく懸命の努力をいたしたい。かように考えておりますことを申し上げて御参考にいたしたいと思います。
#57
○叶委員 主税局長も見たところ私たちと同じ年かつこうだと思うのですが、元氣でひとつおやりなさい。革命が起つてしまいますよ。すべてのどんなよい税金でも、とり過ぎたら皆惡税なんですよ。その惡税をまたとるところが閻魔の廳、地獄の三丁目に行くようで、警察へ行くよりも税務署へ行く方が命が縮まるというのが民衆の声なんだ。つまりもう少し税務署の明朗化をはかり、まず働いておる人ももう少しぼくだとか、主税局長ぐらいをすえなければいかぬですよ、ぼくは肥えておるから割合に惡口を言うてもにくまれないらしい。体質もあるが、やはりそれはある程度何と申しますか、特にあなた方の部下なのでありますから、直接大胆率直に急速に明朗なる税務署をあとう限りつくりたい。タイプライター一つないようなところがざらにあるのです。そうして女の子がげたばきでがたがたやつて書類が山になつている。だから一回税金をとりに來たのに二度とりに來る、ねじこむとほかでまけてもらつたのもとりに來はせぬかというのが徴税に対する民衆の氣持です。これをやらなくては何ぼ予算を組んでもだめだから、特にひとつ勇氣をもつてやられることを望む。そうしてもつと徴税を具体的にやらなければ、民衆はついて來はしない。革命情勢の前夜にあるわけだから、特にその点勇氣を振われることをぼくは希望したいと思う。
 それからもう一点、日本は当然占領下に置かれているわけだが、第三國人の税金が限られた範囲におきまして、とれるはずだ。それに対して勇氣がないのじやないか。ぼくはいたずらにトラブルを起せということを言うのではありませんが、とれるものはとらなくちやいけません。こういうわけで、神戸の徴税の第一線に立つている人たちが非常に困つておるのです。こういうことはおろそかにされまするが、やはり第三國人と日本人というものは同じく軒を並べておるわけでありますから、これはやはり徴税の民主化をはかると同時に、もつと本省が正しいことを強く主張し、惡い点はこれを修正すればいいわけであります。そういう点が欠如しておる。こういう点につきまして、主務局長としてどういう感想を持つておられるかということを、最後に聞いておきたい。
#58
○平田(敬)政府委員 ただいまのお話もまつたく同感であるということを申し上げれば十分なくらい、私どもの考えておりますと同じような御意見をお話になつたことと、私は少くとも今感じたわけでございますが、なかんずく今まで課税漏れになつている部分に対しましては、外國人であろうと日本人であろうと、これは公平な見地におきまして、どしどしやるべきものはやる決心で、目下いろいろいたしております。外國人の問題につきましても、昨年の暮に、司令部のはつきりしました法律的な見解が明らかになりましたので、その後におきまして、いろいろ調査をいたしまして、若干のステツプを踏んで最後の目的を達成するように進めて参つたのでございます。現在のところ御指摘の通り、必ずしも完全な効果は現われておりませんが、これにつきましては、さらに有効適切な方法を考えまして、日本人であろうと外國人であろうと、納むべきものは適正に納めてもらうということにつきまして、邁進するつもりでございますから、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
#59
○叶委員 これで一應質問を打切ります。
#60
○苫米地(英)委員長代理 それでは一應休憩いたしまして、午後は二時から開会いたします。
 これにて休憩いたします。
    午後一時二十四分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時三十四分開議
#61
○上林山委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 この際岩本國務大臣が見えておりますから、世耕君の発言を許可いたします。
#62
○苫米地(英)委員 議事進行について……。非常に会期が逼迫いたしておりますにかかわらず、委員の出席が非常に少い。そして質問の通告だけはありますけれども、通告しつぱなしでちつとも出ておらない。また出て來て質問をする場合にも、欠席がちであるがために、重複した質問が長々と続く、これでははてしのないことでありますから、どうか委員長から議長にこの旨を正式にお話になり、議長から各党に警告を発して、出席を督励するようにいたされんことを希望いたします。
#63
○上林山委員長 苫米地英俊君の議事進行に関する御意見はきわめて適切な御意見であり、委員長としては劈頭から本予算の緊急性にかんがみまして、理事会を通じ各委員諸君を通じまして、積極的に協力方をお願いしたわけでありますが、御承知のような事情になつておる点にかんがみまして、しかるべく処置をいたしたいと考えます。
#64
○世耕委員 簡單に岩本國務大臣にお尋ねいたしたいと思います。重複したところがありましたら御説明を願わなくてもけつこうであります。
 過般岩本國務大臣が本会議場において説明されたように記憶いたしておるのでありますが、いわゆる行政整理の線に上る人員が六十万人ぐらいはあるというようなことを言われておつたのでありますが、はたしてその数をお認めになつてのことであるか。また六十万人の行政整理をして首切りということになりますれば、失業ということがここに出て來るのであるが、当然積極的に考えれば、配置轉換ということも考えなければならぬ。この配置轉換に基くところの能率の低下ということも考えなければならぬ。それが生産面に影響することもまた大きい。この点をどうやりくりするかということ、一應退職手続をとるとすれば、概算でありますけれども、少くとも財政の面において三百億くらいの費用の退職手当というものを考えなければならぬ。そういう点も考慮に入れての六十万人の整理ということをお考えになつておるかどうか、中央、地方を通じまして、少くとも百万人くらいのものが整理の線に上るであろうと、かように考えるのでありますが、この点について一應御説明が願いたいと考えるのであります。
#65
○岩本國務大臣 世耕さんのお尋ねにお答え申し上げます。先般衆議院の本会議で私の構想を、質問がありましたのでお答えしたのでありますが、それによりますと大体五十七万四千七十五人という数字になるのであります。しかしてこれを実行するためには、退職手当という問題、これはただいま概算で世耕さんのお見積りで三百億くらいになるであろうというお話であります。あるいはそれより多くなるかもしれませんし、少くなるかもしれません、ということはどういう方法をとるか、未だ確定いたしておりませんが、今の退職金の規定から申しましても、十年勤めた者が全部だということになれば、一應規定されておるところでは十箇月半、こういうような規定もあるようであります。それから三十年勤めた人が大部分だということになれば、これまたたいへん大きくなりまして、そういうことでいまだその金額の概略は実は出て参りません。しかしながら行政整理を行います場合においては、その裏づけである退職金の問題、あるいは失業対策、就職の問題、これはまつたく不可分と考えるのでありまして、この点が整わない以上は、どう申しても行えないのでありますが、しかしながら適当なる対策を探り出して、どうしても現下の日本の國情として行政整理を施行して、私の構想しておりまする数に持つて行きたい、かように考えております。そこで問題は今御指摘になりましたような、配置轉換をすればそこに能率の落ちる場面もあろう、こういう点もお話の通りあろうと存じます。しかしながらどう考えても優秀な者を残すことになろうかと存じますので、その轉換よろしきを得るならば、御心配のような点は皆無とは言わざるまでも、きわめて少く済み得るのではなかろうかと存ずるのであります。しかして実はこの仕事をする前提として、昨夜衆議院へ提出したのでありますが、これは明日の委員会にかかると存じますが、簡單に言えば、増員のストツプ令という議案を提出しておるようなわけであります。同時に、ただいまの莫大の金を一ぺんに拂うことになればインフレの関係も伴うと存じますので、それには年賦の手段とか、いろいろ道はあろうかと存じますが、このことはきわめて重大でありますために、先般の本会議でも申したように、有識者各方面の意向をただいま聽取中でありまして、私は率直に皆さんに申しておるのでありますが、議員各位からも國家のためにこうと思うような最善の策について、私どもまでお教え願うことを希望するのであります。以上きわめて簡單にお答え申し上げます。
#66
○世耕委員 大体御説明によつて構想は了承いたしました。さらにつつ込んでお聞きしたいことは、財政面から見た行政整理、能率の面から見た人員の整理ということが考えられると思うのであります。能率の面から見れば、能率本位で、能率を上げないような者は整理されるということは、当然出て來るわけでありますが、財政面とくつついてそれを考えた場合に、本人は非常に能率を上げているのであるが、家族が多いので家族手当を多く出さなければならない。その点から見て、財政上あの男はやめさせなくちやならないというような問題が出て來るわけであります。そういう点についてどう処理するかは、非常にめんどうな問題が出て來るのではないか。よつて私はまず人員整理の根本的理念、根本対策をしつかりと聞かしておいていただきたい。元來歴代内閣が行政整理、人員整理を常に述べられているのだが、龍頭蛇尾に終るきらいがあります。國民の声も相当大きくなつて來ておりますから、この機会にそういうような根本的な方針を明確に示していただくことが必要じやないか、かように考えるのであります。また整理される面から見ますと、おれが整理されるのじやないか、だれが整理されるかという不安が自然伴うのでありますから、その点を明確にすることによつて、その不安を除去するということになるのでありますから、いわゆる行政整理の基本方針について、もう一つ掘り下げて御説明いただけばけつこうだと思います。
#67
○岩本國務大臣 世耕さんの御質問にお答えいたします。財政の面から行くか、能率の面から行くか、その基本方針をはつきりすることが必要だ、まことにごもつともなことと存じます。しこうして不安を與える、このことはまつたく申訳ないことでありますが、何としても一應これはやむを得ないことでございます。そこで財政の面と能率の面、これを二つ切り離して考えることはちよつと困難かと存じますが、主としてまずどつちに分か多いのか、こういうことになれば、とりあえずは財政の面、こういうことが趣旨になろうかと存じます。しかし財政だけ助けて、実は人数が減つて一年だけは財政面で助かつたが、能率の面で下つたために、また先に行つて人をふやさなければ仕事が処理できぬ、こういうことになれば有終の美を收めるわけには参りませんので、もちろん主としては財政の面でありますけれども、それには能率の面ということを十分考えつつこの問題に当る、かように今のところ考えておる次第でございます。
#68
○世耕委員 財政の面並びに能率の面、しかも個人に支拂う場合の俸給の関係等には、相当デリケートな問題が起ろうと思いますから、私はこの機会にそこまでお聞きすることを避けたいと思いますが、大体各省関係、地方事務所等を通算いたしまして、およそどのくらいの人員というようなことが、各省別におわかりでございましようか。わかればその表をこの機会に御明示が願いたいと思う。
 なお質問を簡潔な取扱いをするつもりでもう一点この機会にお尋ねいたしたいことは、今岩本國務大臣がおつしやつたような行政整理の方法もあるが、もう一つは、私は現在の無意味な官僚統制を整理したならば、もつと合理的に、しかも國家的な多くの費用を出さずして、自然に行政整理ができるじやないか、こういうような思想を私は持つておるのであります。この点について大臣はどういう御見解を持つておられるか、ひとつお尋ねしておきたいと思うのであります。
#69
○岩本國務大臣 お答え申し上げます。実は私の調べましたのは、十二月一日現在の大藏省主計局調査による人員でございまして、今のところどの省が幾ら、こういうことは全体の合計で推しております。しこうして予算定員と控除しなければならぬ面と、それからさらに欠員の推定、こういうものを差引きまして、最後の実人員、こういうふうに考えたのでありますから、予算定員とかあるいは控除すべきもの、警察とか裁判所とかいうような種類のものを差引きまして、また欠員の推定を除いて、実人員の点で申し上げたいと思います。それによりますと一般会計で八万一千二百人、特別会計で二十二万四千五百人、これはなお申し上げておきますが、同じ特別会計のうちでも私どもの考える三割に相当して引ける分もあります。そういうのもみんなそのうちに合せてやつてみまして、ただいま控除しようという人員の数を申し上げたのであります。その合計が三十万五千七百人、しかして公團関係で二万五千六百九十五人、それから地方公共團体、私ども地方のことを若干知つておりますが、これは予算定員じやなくして、実は実人員と見てさしつかえないと思います。百二十一万三千四百二人のうちから二割と見ました二十四万二千六百八十人であります。合せまして五十七万四千七十五人、こういうことに考えておるのであります。もちろんこうは申しましても、これは大ざつぱでございまして、中には三割と見た面も三割五分でもよかろうと思うのもありましようし、二割と見たのでも一割なければいかぬという面もありましようから、ほんとうにぶつかると、若干の異動は生ずると思いますけれども、概略としては、ただいま申し上げたようにこの通りであろうと考えております。費用を使わずに、しかして有効にこの整理を完了する手段も相当あろうと、こういう御注意であります。それらのことは十分考えなければなりません。財政窮乏に対処するのが主たる目的でございますから、そういう名案をきわめて考えるべきであります。そこでそれには何としても就職を考える。こういうことでありまして、ただしこの就職と申しましても、今労働省でも研究してもらつておりますけれども、非常にむずかしい。なぜむずかしいかというと、この五十何万というものが一つ所に、つまり東京なら東京の一團体におるのだと、配置轉換、あるいは他の方面に振向けるのもきわめて簡單だと思いますけれども、全國に散在しておつて、しかも住宅難なり、交通難などがありますから、きわめてむずかしい仕事であるのであります。しかし御趣旨もありますので、いわゆる負担を軽めて、有効にこれをいたすということについては、十分なる研究を遂げたいと存じますけれども、ただいまのところ、この時間におきまして、こういう案があるかというお尋ねに対しては、遺憾ながらいまだお答えする材料を持ち合せておりません。以上お答えいたします。
#70
○世耕委員 労働大臣がお見えになつたようですから、労働大臣に二、三お尋ねしてみたいと思います。それは労働賃金の問題でありますが、いわゆる能率賃金を主として今後の対策をお立てになるのか、あるいは生活費を基準としてお立てになるのか、この基本的立て方によつて相当関係が違つて來ると思うのであります。ごく簡單でけつこうでございますからその基本的な政策に対する御説明を承つておきたいと思います。
#71
○増田國務大臣 世耕さんの御質問にお答え申し上げます。今後の賃金政策といたしましては、能率賃金に重きを置くという行き方で参りたいと思つております。
#72
○世耕委員 労働者の情操教育ということも、今後新しい文化國家の行き方として必要であろうと思うのであります。こういう意味から、あるいは労働問題に縁遠いというふうな見解を持つ方があるかもわかりませんが、私は重要な項目の一つとして、労働大臣の御所見を承つておきたいと思うことは、労働時間の間に情操教育を発達せしめる意味において、音樂等の情操教育の設備並びに指導等についてお考えがあつてしかるべきじやないかと思うが、この点はどういうふうにお考えになつておられるか、承つておきたいと思います。
#73
○増田國務大臣 労働者が情操がゆたかであるということは最も必要だと思つております。労働する上にあたつても、音樂的なリズミカルな運動方法によつて、能率を増進し得るというようなことは、われわれ学んだところでございまして、いわんや労働時間外における労働者諸君の藝術的情操をゆたかにするということは、最も必要であると思つておりまして、労働省といたしましても、労働教育という職責を持つておりますから、この方面にも從來から意を用いておりますが、將來も大いに意を用いて参りたいと思つております。そこで世耕さんのおつしやる音樂教育等につきましては、御承知の通り各工場等の非常に進んだところは、專門に送いようなオーケストラ・バンドを持つているところもある。あるいはコーラス隊がある、あるいはソロを習うというようなことをいたしておりまするが、音樂に限らず、映画、演劇、あるいは俳句をつくる、あるいは和歌をつくる、短歌会をやる、そういうようなことは大いに奬励して参りたい、こう思つております。ことに工場、事業場の経営者といたしましては、福利施設を大いにやる必要があると思つておりまするが、また労働組合自身が経営者の福利施設によらずに、みずから自発的に各種の情操教育施設をするというようなことも、また大いにこれから後も引続き鋭意力を入れてもらいたいと存じております。
#74
○世耕委員 もう一点伺つておきたいと思いますることは、女子の労働状態について、非常に日本の労働関係は條件が惡くなつておりますが、これについて特別の指導保護並びにこれに伴う施設、特に生理的に女子の労働者には、いろいろな点について故障を生じて來るのでありますが、こういう方面について何か積極的な指導設備、計画等をお持合せであれば承つておきたいと思います。
#75
○増田國務大臣 世耕さんの御質問にお答えいたします。私就任日まだ浅うございまして、労働省として、あるいは地方における労働基準局あるいは労働基準監督署等において、いかなる施設をしておるかということは存じておりませんが、各工場、事業場等で御承知のごとく労働法によりまして生理休暇等は與えられておりまするが、この生理休暇の時における処置等についての性教育というようなことも、もちろん労働教育の一つとして必要ではないか、また施設等が必要なものであるならば大いにこれを奬励して参りたい、こう存じております。ただ、就任なお日浅いために、どういうふうな施設がどういうふうに行きわたつておるか、御答弁できないことを非常に遺憾とする次第であります。
#76
○世耕委員 労働大臣が御就任になつて日なお浅いということはよく承知しております。しかしながら労働大臣は地方長官としてなかなか労働方面については精通された方であり、多年の御経驗から私は相当の御抱負はお持ちになつておられるだろうと思う。しかしながら御就任後日浅いのでなく、内閣組織後まだ日が浅いので、いろいろな御方針について具体的なことを御発表できないということは、ごもつともだと思いますから、これ以上お尋ねすることを差控えますが、どうぞただいま申し上げたことを――日本の労働の円満なる発達を期する意味において、十分今後新しい施設を試みてもらいたいということを、お願いしてやまないのであります。
 なお、最後にもう一点お尋ねしておきたいと思いますることは、今後の生産事業に携わる者は、どうしても能率本位に考えて行かなければならぬ。そうしませんと、生産の向上が得られない。かようにわれわれも考えておる一人でありますが、しからばこの労働者の能率を増進する方法に対しては、労働者の教育ということが非常に大切であります。こういうようなことも國家的に大いに考慮されなくてはならぬ。残念ながら日本の今までの國家施設としては、この点が非常に欠けておるようでありますから、優秀な労働大臣が出られたのを機会に、新しい御方針のもとに御計画を建てていただきたい。それについては少くとも適材を適所に配置するということが、能率を上げる上において非常に大切だと思うのであります。この点に関しまして、いわゆる労働者の能率なり、並びにその知能を檢査する何か機関を当然持たなければならぬと思いますが、いまだ私はそういうような設備のしつかりしたもののあることを聞かないのでありますが、あればひとつお示し願いたい。なければ、それの御計画を立てるように御推進が願いたい。さように考えるのでありますが、いかがでございましようか。
#77
○増田國務大臣 世耕さんの、労働能率増進のために知能檢査なりその他のことを励行する必要がある、この方面における施設の状況いかんという御質問にお答え申し上げまするが、お説はまつたく同感でございます。労働能率増進のために各種の科学的な施設が設けられることが最も必要であると私ども思つております。そこで現在のところでは、職業安定所にそれぞれ技術官がおりまして、メンタル・テストなり、あるいは適性檢査、本人がいずれの方面に向くかというようなことや、それから科学的の職業補導はいたしておる次第でございますが、この上ともこの方面を充実整備して参りたいと存じております。またこれは労働者の能率と直接関係があることでございまするが、工場、事業場における生産工程等を科学的に分析いたしまして、いわゆる段取りを科学的に立てる。そういうことによつて労働能率を上げて行くという、現場指揮の方面も將來は大いにやる必要がある。これはもちろん商工省と共管事項になるかもしれませんが、私はそこまで行かなかつたならば、安定所へ労働者を呼んで、そうして心理学的の機械を一應並べただけで簡單にやるということだけではだめである。工場全体を科学的に再檢討して、そうして労働能率を増進し得るように、從つて生産能率を高め得るように、工場全体の科学的の調査あるいはテストというようなことが必要である。こう感じておる次第であります。
#78
○世耕委員 なお、つけ加えて申し上げておきたいと思うことは、諸外國の例を見ましても、たとえば不具者のようなものも、その才能を生かせば非常に優秀な技術家となり、大きな能率を上げて、國家的に貢献した例もあるのでありますから、こういう点も十分労働省として御研究願つておきたいと思うのであります。
 最後に、私の希望として申し上げたいことは、よく世間では、労働者の最低生活の保障、こういうことをやかましく言われておる。まことに労働者自身にとつて、最低生活の保障ということは、非常に大切なことだと私は思いますが、それよりももつと労働者の心をつかむものは、愉快に働く社会をつくるということが、私は必要ではないかと思う。こういう点に仕向けて行つて、初めて文化人らしい――労働に興味を感じ、労働の神聖というものが生きて來ると思うのでありますが、どうぞ労働に理解のある増田大臣は、特にこの点について十分に御留意あらんことを希望して、私の質問を終りたいと思うのであります。
#79
○上林山委員長 では質疑を続行いたします。この際林大作君に発言を許可します。商工大臣が出席していますから質疑を続行願います。
#80
○林(大)委員 商工大臣にお尋ねをいたします。まず最初に、今公團形式の商工行政が相当廣く行われております。この公團というのは戰爭中にありました営團経済形態というものから変化したものでありまして、日本の新しい経済機構としては相当研究をし、改良もしなければならない点が多々あると思います。この公團方式に対して商工大臣はどういうふうにお考えになり、どういう方向に持つて行かれるおつもりであるか。特にアメリカの選挙の結果もありまして、アメリカのニユー・デイールの考え方というようなものが、私はかなり日本の公團方式というようなものに大きな影響を與えていると思うのでありますが、こういう國際経済の一環としての日本という立場から、また日本の経済の方向としては大きな動きのものであるという意味から、なるべく詳細に御意見を承りたいと思うのであります。
#81
○大屋國務大臣 ただいま林君の公團方式に関する政府の所見の御質問でありまするが、御承知のようにこれはただいま政府貿易と、最近に至りまして民間貿易と、二つの形に相なつておるのでありまするが、政府貿易をいたしまする必要上、現在商工省に貿易関係の公團が四つほどございまするが、関係筋の意向といたしまして、目下この四つの貿易関係の公團は、これを少し簡素化して整備したらいいのじやないかというような考え方を持つておりまして、たとえば現在御承知の纖維公團だとか、あるいは原材料公團だとか、あるいは鉱工品公團だとかいうようなものを、大まかに二つのカテゴリーにわけて、輸出公團ないし輸入公團というような考え方が一部に行われておるのでありまするが、これも必ずしも二つにわけてやるということが、事務を敏活に行うということに相なるかといいますると、これに対しては異論がございまして、原材料公團というようなものは存置しておいた方がよろしいという考え方をしておる一部の者もありますので、現在のこの公團方式は、ただいま申し上げたような線における考え方がありますので、いかようにいたしまするかは、目下のところまだ最終決定までは至つておらないのであります。さしずめのところは、公團はさような程度に考えている次第でありまするが、はるか將來のことは、そのときの貿易状態、國内の産業の情勢によることで、まだはるか先のことは考えておらないというのが現状でございます。
#82
○林(大)委員 商工大臣は公團と言えば貿易公團だけを見ておられまするが、貿易公團のほかに大きな公團が二十くらいあります。この公團というものを入れた、つまり日本の経済構造の方向というものについての、もつと大所高所からの御意見を私は要求しておるのであります。
#83
○大屋國務大臣 現在商工省所管にあらざる農林省所管の公團というようなものを集めますと約十四の公團がございますが、これはいわゆる統制経済の本質からかような機関が必要であるのでありまするが、私の本質的の持論からいたします場合におきましては、漸次かようの機関は撤廃をいたしまして、これを自由なる姿に返す、自由なる姿というのはあまりこれは漠然としておるのでありまするが、いわゆる生産者からこれを取扱う商人を経て、それをさらに問屋制度、それから小賣人制度、消費者というような段階の方がいわゆる自由経済の本質に從いまして、私は先の先はいいのではないかと考えております。しかし現在は何と言いましても、手放しの自由経済はできないのでありまして、そこにいろいろな制約がある。從つてそこに公團制度というものの存立の意義があると考えております。この公團方式については商工省に関する関係はただいま申し上げましたが、農林省その他の関係の公團もありますので、まだ吉田内閣といたしましては、そこまで手が及んでいないと私は考えております。
#84
○林(大)委員 今のお話を要約いたしますと、商工大臣はいわゆる自由主義的な、資本主義的なフリート・レードというものを根本に置いて話をされておりますが、私の御質問申し上げておりますのは、アメリカのごとく、物資がゆたかで、樂にやつて行ける、資本主義経済が伸びる素地を持つている所においてすらも、ニユー・デイールのシステムをもつて相当大きく社会主義的な政策を取入れてやつているものと比べまして、人口ばかり多くて、土地も資金も資材も少い日本において、大臣が考えられるような自由経済、資本主義経済を究極の目的とするという考え方そのものが、はたして適当であるかどうか、この点が私の論点の中心であります。その点について忌憚のない御意見を伺いたいのであります。
#85
○大屋國務大臣 日本における経済樣式をいかように持つて行くかという問題は、御承知の通り人口が多くて資材が少い、生産設備も非常に貧弱である状態で、アメリカに比すべくもないのでありますが、要するに日本のように人口が非常に多い國におきましては、生産方面の物資を流す配給の機構においては、なるべく公團というような限られたる組織をとらないで、たくさんの人に平等なるチヤンスを與える意味におきまして、やはり昔のような自由商賣という形で御賣、小賣人、あるいはブローカーのような、たくさんの人口の中から選ばれたエキスパートにチヤンスを與える方式の方がいいのであつて、さればと言つて少い資材をこれで活用ができないということでなしに、生産の面におきましては、適当の統制も行われるが、配給の面においてもやはり多くの人々を使つて行くような方法を考え、また生産の面におきましても、大工業はもちろん、中小工業にしろ、イヴン・チヤンスを與えるというような行き方を、日本としてはことさらに考えなければいかぬのではないかと思うのでありまして、アメリカのようなニユー・デイール方式が、必ずしも日本の將來の経済機構の上に適切であるとは私は考えておらぬのであります。
#86
○林(大)委員 今のお話を承つておりますと、ますますもつて商工大臣の頭は明治の初めのいわゆる商人と私は問答をしているような感じがいたすのであります。それではたして今の日本が必要なものに対しては、強固な統制をやつて行かなければ、やつて行かれないという事情をよく見て、考えてやつておられるのであるか。イヴン・チヤンスを與えるとおつしやいますが、あなたの言われるイヴン・チヤンスとは、金がある者にはその金の量に対してイヴン・チヤンスを與えるということにしかならないのであります。それではこの数の多い日本人はとうてい食つて行かれない、着て行かれない状態が生ずることは明らかであります。今の時代において、今大臣のようなお話でございましたならば、われわれとしてはまことに生活を保障されないという不安を多分に持つのであります。この点ははなはだ遺憾でございますが、それで質問を轉換いたします。
 次にお伺いいたしたいことは、最近輸出貿易を振興させなければ、日本は成立たないという意味から、輸出貿易に関するいろいろな施策が考えられておるのでありまして、新聞紙上などで大臣がいろいろ説明されておられるのを承つているのでありますが、私の見るところでは、日本の貿易というものは、まつたく自主権を喪失してしまつている。われわれ民族の手で貿易ができるように考えて行かなければ、いつになつても自分たちの創意くふうから編み出されたところの貿易の振興はできないように考えるのであります。この点について、必要ならば速記をとめても、大臣の率直な御意見を承りたいのであります。
#87
○大屋國務大臣 その点につきましては林君と考えが同じでありまして、日本のフリーなる自主権を獲得いたしますには、何と言いましても講和條約が締結されたあかつきでなければ、その制約は解除されないことは自明の理でありますが、しかしそれまでも貿易の振興の立場にのつとりまして、いわゆるポンド・スターリングの方面におきましては、支拂い協定であるとか生産協定あるいは商品と商品の特殊な協定を現在におきましてもそれぞれの國と締結いたして、この制限の中にも貿易の振興に適切な方策は、それぞれ講じておるような次第であります。
#88
○林(大)委員 貿易自主権に対する御所信はよく了解いたしました。それにつきましては、まずわれわれ國民に日本の貿易が一体どういうバランス・シートになつているか、ざつくばらんにこれを公表することがまず第一着手であると思うのであります。大体でもよろしゆうございますから、ドル價格におけるところの貿易じりないしはそのバランス・シートを適当な機会に御発表になる御意思がございますかどうか、承りたいのであります。
#89
○大屋國務大臣 昭和二十二年度並びに昭和二十三年度の上半期までの数字並びに数量は公表してよろしいことになつておりますので、資料を調整いたしましてあとでお手元に差上げることにいたします。
#90
○林(大)委員 次に同じく貿易のことでございますが、自主的な考え方で貿易ができるように大臣にお進め願う、そしてドルのバランス・シートも御発表願うことになりますと、そこで私は詳しい技術のことはあとにいたしまして、われわれが貿易において一番渇望しておりますところのものは食糧であります。数十年の間わが國は朝鮮、台湾あるいはビルマ、サイゴンなりの非常に近い所からとりよせまして、われわれの嗜好に合つた米などがかなり自由に入つていたのであります。ところが敗戰以來というものは、そういう近くのわれわれの嗜好に合つたものがまるで入らなくて、とんでもない所から――米が來るとしましてもエジプトなどから來るとか、遠い所の麦が來るとか、砂糖でもキユーバから來るとか、こういうようなこと自体が、日本の貿易そのものを不必要にゆがめておるという点が私は非常に心配なのであります。こういう点でわれわれが過去数十年來やつて参りましたところの貿易のやり方並びに日本人の嗜好を、もつと率直に端的に向う側に懇請せられまして、やりやすい自然の理にかなつた貿易、こういうものにとりもどされるような御努力を現在なさつておられるかどうかを伺いたいのであります。
#91
○大屋國務大臣 ただいま林君の御意見はまことにごもつともなことでありまして、現在は日本から見まして非常に近接した、在來の貿易のお得意さんというようなところに商品があるにもかかわらず、非常に遠い所から品物を持つて來る、たとえば台湾から砂糖を持つて來ればいいのに、遠いキユーバから持つて來る、ジヤワから持つて來ればまだよろしいのでありますが、さようなことがたくさんあるということを是正しなければならないということは同感なのでありますが、何分にも現在の貿易は先ほど申し上げました通り、日本の政府の自主権のもとに行われる貿易にあらずして、ガリオア・フアンドによります、つまり米國の好意による一方的の措置で恩惠を受けておるような次第でありまして、今のところでは日本の希望するような方法が許されないのはまことに残念でありますが、これもだんだんそれぞれの手を打ちまして、連合國と交渉いたしまして、たとえば米につきましては、この間シヤムとの間に具体的の協定ができておりまするが、その割当の数量並びに時期に対しまして、まだ幾分未交渉な点があるのであります。かような措置はただいまの林君の仰せられた通り、今後米をシヤムからとるということは最もふさわしい。だんだん砂糖その他の食糧にいたしましても、さような方式で、なるべく経済でしかも日本がそのために安く手に入れられるというような、日本側の希望を連合國のアメリカの方にも御依頼いたしまして、さようにとりはからうべく着々具体的にいろいろな交渉を今やりつつある次第で、ただいまの米のシヤムの例は、その最も具体化しつつある例でございます。
#92
○林(大)委員 次に輸出を振興されまして、大体五箇年計画でもつて現在の七倍とか八倍とかいう多量の輸出を、計画されておるように新聞紙上で伺つておりまするが、一体この輸出をふやせばふやすほど、國内の物資は足りなくなりまして、そして生活水準は当然引下げられる可能性が多分にあるのであります。一体現在の御計画で七、八倍の、つまり五箇年先の日本の状態を見ますと、生活水準はどのくらい下るものであるか。この点御研究の結果をお伺いしたいのであります。
#93
○大屋國務大臣 將來は輸出入のバランスをとりたいと考えておりまして、五箇年先くらいに相なりましたならば、ドルにいたしまして約十五、六億ドルの輸出を目標といたしておるのでありますが、現在はその何分の一にも御承知の通り当らない。しかして輸出の数量がふえ、輸出が多量に相なりました場合におきましては、國内の消費水準が、生活水準が低下しやしないかというような御懸念のお尋ねでございまするが、これにつきましては、かねて林君の御承知の通り、経済復興五箇年計画の中にそれが考えられておるのでありまするが、最近の実情におきましては、いわゆる日本の消費者水準は昭和五年ないし九年の平均よりもやや低目に持つて行かなければ――ただいま林君の仰せられた通り輸出を十五、六億に持つて行く場合には、在來考えられた水準よりもやや低目にせねば相ならぬのではないかというふうに考えられておりますが、さように非常に低い水準までは落さなくても事足りると考えている次第であります。
#94
○林(大)委員 今の点がわれわれといたしましては非常に心配する点でありまして、これ以上一般の生活水準を上げなければ國は立たないというときに、輸出を振興させることによつて下げなければいけないことがはつきりわかつているという場合には、当然その間の矛盾を解くべきいろいろな方策が講ぜられておるべきはずであります。その点の調和をはかるべき具体的な方策を承りたいのであります。
#95
○大屋國務大臣 水準を昭和五年――九年の平均程度よりもやや下げるという程度でありまして、しばらくの間はそれくらいの水準で、決して日本國民が生活上はなはだしく不便を感ずるというふうには考えておらぬのであります。
#96
○林(大)委員 そういうことならば、吉田内閣になつてからいろいろなものが自由になつて、物資もゆたかになるというような感じを與えるような民自党の宣傳の仕方は、これは逆のことをおつしやつているのであつて、どこまでもまじめに輸出を八倍にするならば、生活水準は商工大臣のお言葉でもややだけでなくて、やややや下げなければならないということを國民にはつきりとお示しになつて、ふんどしを締めさして行くことが必要であると私は考える。この点はそれでおきまして、その次の問題に移ります。
 貿易に関しまして、最近貿易廳の長官を更迭されたのであります。なおかつ巷間におきましては、これまた新聞発表であつたと思いますが、貿易廳を内閣総理大臣の直轄下に置きたいというような御意向が、民自党の中か、閣議の中かしりませんが、出ているようであります。まず最初の問題でございますが、私どもの見るところでは、商工大臣も実業に御堪能な方でありまして、貿易廳というような現実の実業官廳と申しますか、ビジネスをやらなければならない官廳が民主化されて、そしてビジネス・マンが中心になつて行かなければならないことは当然であります。ところが、あにはからんやこれが逆行して、外務官僚のお方が貿易廳の長官をおやりになるというようなことは、國民として私ははなはだ心外なことであります。これに関して將來貿易廳のようなビジネス官廳をもつと民主化して、実業家をどんどんお使いになつて、ほんとうに日本の貿易を振興させるつもりであるかどうか。この点を商工大臣にお伺いしておきます。
 もう一つは、貿易廳を内閣にお移しになるといたしましたならば、ますますこれが官僚化するものであり、そして実際のものを扱う商工行政から離れたところに貿易廳を持つて行つてしまつて、はたしてこれでビジネスのデパートメントである貿易廳が動くと、実際家であらせられる商工大臣はお考えになつておられるかどうか、御意見を伺いたいのであります。
#97
○大屋國務大臣 ただいまの第一点の貿易廳長官更迭の件は、前長官がかねて本年の夏以來、辞意を漏らしておりましたのを、たまたま適任者がありましたので、これにかえたわけでございまして、現在の新貿易長官は私は適任者だと考えてやつたことでございます。
 第二の点は巷間貿易廳の機構の問題に対しまして、いろいろなことがうわさされておるやに私も聞いておるのでありますが、公式には何らいまだ貿易廳の機構を改めるというような考えは持つておらないのであります。
#98
○林(大)委員 今の第一点のお話は、吉田さんの好みであるから、大屋さんが長いものに巻かれておるという感じが私は見えるのであります。そうじやなくてあなたが実業家として、日本の貿易をほんとうに振興さすためには、実業家を思い切つて半分以上も取入れて、長官ももちろんビズネス・マンにして、民自党が常に言われるところの民主化をほんとうにおやりになる腹がおありになるかどうかということを、私はほんとうにまじめな意味でお尋ねいたしておるのであります。もう一應その点の忌憚のない御意見を承りたいのであります。
#99
○大屋國務大臣 ただいまお答え申し上げた通りで御了承を願います。
#100
○林(大)委員 その点ははなはだお答えにくいようでありますから、私もそれに敬意を表しますが、その次に綿糸布と申しますか、紡績関係のことについてちよつとお尋ねしたいのであります。御承知のごとく四百万錘のわくの中で、なるべく輸出を大いにやろうという仕組みになつておりまするが、この紡績につきましても特殊紡であるとか、簡單な紡績等もございまして、登録錘数と実際錘数との間に相当な開きがあるようであります。また織機につきましても登録された織機と、隠してやつておるところの織機との台の数間には、相当な開きがあるようであります。從つてこれは愛知縣におきましても、大阪府、和歌山縣あたりにおきましても、今やがちや万こら千という言葉があるようであります。隠した織機を一台持つておれば月に一万円くらい浮くのは簡單である。それから巡査がそれを押えに行つて、こらと言えば千円ふところに入れてもらえるというのが常識であるということが言われておるのであります。こういう登録錘数並びに登録織機数と、実際の錘数並びに織機数との差異が、非常に原料の配給に大きな影響を及ぼしまして、從つてそこに大きなやみの生産が行われ、それがひいてはやみの商賣の根源になつておると思うのであります。現に豊橋から岡崎あたりのいわゆるがちや万こら千という織機屋連中がじゆずつなぎに檢察廳であげられております。こういうようなつまり商工省の行政が徹底しないがために、起つておるところの犯罪並びに現実の物資の配給においての矛盾、こういうものを商工大臣は將來どのようにお取扱いになるつもりであるか、その点を伺いたいのであります。
#101
○大屋國務大臣 ただいま林君の御指摘のような実際の登録錘数とやみのものがあるかという問題でありますが、これは実際さようなことはないのであります。しかしながら市場にやみの商品が流れておるということは事実であります。統制経済の嚴格な目をくぐりまして、やはり多少のものがやみに流れていることは事実なのでありますが、これも嚴重に取締る方針をもちまして、また資材の配給の点に対しましても、御説のようにこれを適正に処理いたすという方針で、これから十分留意いたす考えでございます。
#102
○林(大)委員 今のお言葉の中に登録錘数並びに台数と実際錘数、台数との差異はないとおつしやいますが、現実にありまするのをどうお考えになるか現実にあることを見のがして行つて、やみ屋を助長なさるおつもりであるか、そのお言葉はそのままには受取れないのであります。その点についてもつと率直な、それでどうしようかという相談に乘つていただきたい、こう思いまするが御意見いかがでありますか。
#103
○大屋國務大臣 それではそれは後刻纖維局長に御答弁申し上げさせます。
#104
○林(大)委員 次に貿易にもどりまするが、この日本の貿易が非常に一本為替のレートというものに対して十分な研究をしなければならないことが一つでありますが、これについてはすでに相当論議が盡されておりまするから、私は意見もございまするが、ここでこれを述べません。
 ただ最後に船舶に関する問題でありまするが、今の貿易の非常にコストの大きな部分が、船舶の運賃の支拂いよつてなされておるのであります。これがつきまとつております以上、日本の貿易というものは二割とか三割というものが常に不利な地位に置かれるのであります。もちろんこれは運輸大臣の管轄とおつしやればそれまででございますが、貿易廳としてもこれに対する相当なお考え、御要求というようなものが必ずおありにならなければならないと思いまするが、これに関する御意見を承りたいこと。
 それからもう一つは貿易機構につきまして、先ほど輸入貿易公團、輸出貿易公團、この二つにしよう、したらどうだろうというような御意見がございましたが、私の意見はこれは逆でありまして、むしろこれは官廳のセクシヨナリズムというものが簡單に清算されない今日におきましては、商工省関係の貿易公團と農林省関係の貿易公團との輸出入を合せた二つのものにする方がより実際的である、かように私は考えておるのでありますが、それに対して大臣はどのようにお考えになつておられるか、承りたいのであります。
#105
○大屋國務大臣 ただいまの第一点の自國船による輸出品ないし輸入品の運輸という点はまことに望ましいことでありまして、これは次第にさような方向に参りまするように、関係方面とも協議をいたしまして努力したいと考えております。
 さらに第二点の問題は、今日の御質問の最初に申し上げました通り、目下どういう方法に持つて行つたらいいかということを研究いたしておりまするわけでありまして、ただいま林君の御説のような点も考慮いたしまして、これからこれを何とか考えて行きたい、さように考えておる次第であります。
#106
○後藤委員 私は日本の農政問題若干について農相の意見をこの機会に伺いたいと思うのであります。
 まず最初に伺いたいのは、わが國の経済が漸次再建されて参りまして、貿易が再開されるあかつきにおきましては、少くとも日本の経済力をもつて、食糧の輸入を自力をもつて行い得る段階に、一日もすみやかに到達することをわれわれは念願せざるを得ないのであります。かようなことを私どもは一日もすみやかに念願するとともに、日本の農家の現在の生産規模からのいわゆる生産價値、農産物價格の問題であります。この問題に対して將來農相はいかなる見解をお持ちになつておるか。まず第一点として承りたい。
#107
○周東國務大臣 まことに御意見ごもつともでありまして、今後においてでき得る限り早く日本における食糧の自給度を高めまして、外國依存の割合を少くすることについて努力しなければならぬことはもちろんでございます。
 第二点のそういう場合における農産物價格の問題でありますが、おそらく今後日本の経済再建に伴い、かなり多くの面が農業用原料資材等について外國に仰がなければならぬことを考えまして、農産物價格も工業生産力の價格と均衡せしめるようなかつこうに持つて行かないと、農家の経済は立ちにくいということについては同感であります。
#108
○後藤委員 私の質問要旨と御答弁が食違つておるのであります。自由貿易が行われるようになり、わが國の経済力をもつて食糧が輸入できるあかつきにおきましての國際的農産物價格と、わが國の生産費によるところの農産物價格との平衡であります。農村恐慌については今日すでに一部の識者によつて唱えられておるのでありますが、この点に関する御見解を伺つておるのであります。
#109
○周東國務大臣 御意見の点了承いたしました。結局今後における國際貿易がある程度自由になつたという段階においては、常に國際物價が日本の物價に影響することはもちろんであります。その間において外國の方が從來の例から申しますと、農産物價格が比較的安い、それによつて起る日本の農産物價格の影響に対しては、おそらくその場合には輸入制圧をどうするかという問題。一面においては政府の施策によつて日本の食糧の不足分等について、場合によつては大幅に政府が買上げて、日本の價格との調整をはかるという行き方が一つ。もう一つ関税問題に関連して、これが調整をはかることにいたしたいと思つております。
#110
○後藤委員 私は農相のただいまの御見解に対していささか失望を感ぜざるを得ないのであります。政府が一括して輸入いたしたり、あるいは日本の農業を保護するために関税措置を行うことはきわめて消極的であり、日本の経済力を國際水準より落す措置以外にないのであります。かような措置は私は断じて日本の農業政策として、とつては相ならぬと思うのであります。少くとも日本の農業規模に適應するがごとき多角経営をもつて世界の食糧價格とマツチする食糧價格でもつて、日本の農産物が生産されねばならないと思うのであります。現在の農相のお考えは私は少くとも日本農政のために悲しむのであります。この点についての御見解を伺いたいのであります。
#111
○周東國務大臣 当然わが國内における農業経営を多角化し、かつ農家における経営の安定を立てる上に、今後貿易依存による部分が相当工業生産費等の関係においてありますから、その点を裏づけするために、農家の作付その他についての考慮を拂いつつ、これを高度化するということについては賛成であります。しかしおそらく当分のうち、急激にその変化を望むことは困難な事情にあると私は思うのであります。これは復興五箇年計画の内容から見ましても、ある程度今の状態で、急激に後藤さんの御意見のように処置するとか何とかいうことは困難だと思いますが、その間においてはおのずから関税問題なり、あるいは政府が一括と申しますか――これはかつての戰前における自由な時代においても、ものによりまして政府が一括買入れをいたしまして、適正な價格にこれを調整するという措置をとつたことがありますので、その点は経過的に必要であると私は考えます。
#112
○後藤委員 私が今お尋ねしておるような現実に両三年のうちに直面するとは私も考えておりません。しかし一國の農政を指導される農相には、少くとも農村が今日農業に從事いたしまする上において、これは子々孫々に傳えておるのでございまして、將來に対する不安なからしめることに対しましては、少くとも農家に安定感を増加させる見地から、一つの將來を見通した達見というものを確立しておらなければならないと考え、私は質疑をいたした次第であります。しかし現実におきましても、私は幾多の解決しなければならない点が多いと思うのであります。たとえば今日の農村自体においては、かなりの遊休労務が潜在することは、天下何人も認めるところであります。この農業の遊休労務をいかに有効適切に多角経営化して生産化するかということが、今日の課題であります。少くとも今日のこの課題に当面して、具体的に政府がこの措置を取上げねばならないと思うのでありますが、今日の現段階において、現農相はただちにこれを具体化されんとする構想について伺いたいと思うのであります。
#113
○周東國務大臣 この点についてはしばしば本会議にも申し上げたのでありますが、せつかくできました農地改革による自作自営農家を中心にして、一面においては農家経済の安定ということと、それから食糧を中心とする農産物の増加促進方策というものをあわせ考えて進んで行くことが必要であると思います。それに対しましては農村の將來としてまず考えらるべき問題は、土地の利用につきまして総合利用計画を立てることが、まず第一の大事な問題であると考えます。林野、牧野、耕地、内水面等、とにかく合せて総合的な土地の利用計画を立て、その基本に基いてそこに各地方々々に適当した多角形経営を営ましめるについては賛成であります。それに関連して特に考えて行かなければならないことは、農家経済を立てる上からも、先ほど申しました貿易依存体系に臨むことについて、輸入物資の裏づけをすることについて、農業の受持つ部面は相当大きなものがあるのであります。この部面についてぜひやらなければならぬことは、農家の経営の内部において、いかなる作物をいかなる方法に適地適作に考えるかということが、基本にならなければならないと思うのでありますが、今日のごとくやむを得ざる事態ではありますけれども、いかなる場所においても食糧生産中心の形に動いておる。このことはもう少し考えて行く必要がありましようし、その間において酪農経営あるいは農村工業というような面を織りまぜつつ、適地適産並びに輸出品等の原料の生産という方面に向いつつ、一面において食糧を増産し、一面外から入るものに対する裏づけを考えるというように、農家経営の安定に、農村の將來の行き方がある、かように考えております。
#114
○後藤委員 この点につきましては私もほぼ同感でありますが、少くともこれが一つのペーパー・プランであつては相ならぬのであります。今回政府が國帑を費してまで行政整理をいたします以上には、受入れ態勢をつくらなければならぬ。あるいは失業保險の施設を持たなければならぬ。こういう際に、少くとも農村の潜在遊休労務を百パーセント利用しないということは國損になるのであります。これは私は少くとも焦眉の急であると思うのであります。理論でなくて、具体的な実際的措置として、いかなることをお考えになつておるかということを私はお尋ねしておるのであります。なお私はこの際に、少くとも今農相がお述べになりました以外に、もつと、たとえば俗に言われます有畜化にいたしましても、あるいは農産物の加工施設にいたしましても、あるいは一毛作地帶等の冬季の遊休労務を何らかの一つの工業化をする、こういうような施設が現実に具体的に今持たれねばならぬ段階にあると思うのであります。これに対しまする現実の施策としての構想を伺つておる次第であります。
#115
○周東國務大臣 農村の遊休労務を効率的に利用するという事柄についての御意見でありますが、大体これも同感であります。ただいま考えており、また実施しつつありますものは、一面におきましては、適地に対する開墾政策が一つ、それから農村工業の面に向つて、これらの遊休労務を工場の配置轉換とともに考えられる部面として考えて行く。それにつきましては、全國に大体七十箇所ぐらいの農村工業期間工場というものを設けまして、そこで技術の面と工場経営の面とを指導いたして、その指導をした人々をして、適当に有効な農村工業の方面に、新しく生産の面に從事せしめるように努力いたしております。計画は七十箇所になつておりますが、予算等の関係で現在実際に動いておるものは大体二十六箇所ぐらいになつております。しかしこれにつきましてはたいへん効果が上つておりますので、その農村期間工場の設置、及びそれに対する予算増加によつて内容を充実し、でき得る限り遊休労務を指導して、そうして効率ある生産の方へ向けて行く。こういうことを考えておる次第であります。
#116
○後藤委員 さらにそれと関連をしてお伺いいたしたいと思うのは、農家が有畜経営をやることによりまして、食糧にいたします場合でも、一つの畜類という再生産過程を通つて來ますことによつて、より高度な食糧となり、より多くの栄養量を攝取することができるのであります。こういうような有畜経営――從來の農家が耕牛あるいは乳牛を個人の規模で飼育いたしますよりも、協同組合方策をもつて、かような農業と畜産との関連性を與えなければならぬと私は思うのであります。ことに今夏のごときは、青果におきましてはマル公を割つたのであります。しかもある程度地方におきまして作付指示をいたしておきながら、マル公を割つても何らの責任を当局はとつておらない。これがためにかなり多くの農村からの非難をこうむつておるのであります。かような場合等におきましても、もし農村が食品加工の施設を持つておりましたならば、これらのせつかくの生産物を腐敗せしめなくて、これを貯藏食糧化し得たのであります。これらを運用いたしますことは、私は、今日の農村の経済の実情から申しまして、個人の創意くふうと、これに伴いますところの資金計画というものが、農村の負担だけでは私はむりであると思うのであります。ここに農村の協同組合が百パーセント利用されなくちやならぬ。また國はこれに対して十分なる資金援助を與えなければならぬ。かように考えるのであります。しかるに現在の日本の農業協同組合のあり方を見ますと、少くとも過去の農業会の看板の塗りかえである。地方廳が行います農村行政の末端機関としての役割を演じておるにすぎない。かように概略的に言い得るかと思うのであります。これは私は少くとも間違いであると思うのであります。十人とか十五人とか、一つの部落で二つも三つもの農業協同組合があつてよろしいと私は思うのであります。十五人でも二十人でも、一つの部落が二つでも三つでもの協同組合にわかれて、いわゆる同志的の結合をやつて、それぞれの施設から金融をはかり、個人でなし得ないところのいろいろな農村と関連事業をやる、ここに私は多角経営の本質があると思うのでありまして、最もその線に沿つて國は施策を行わなければならないと思うのであります。少くとも一箇町村に一農業協同組合が存在することが、あたかもその町村が円満に行つているかのごとき考えを持つということは、誤謬もはなはだしいと言わなければならないと思うのであります。少くとも農業協同組合の指導は、この観点に立つて行われねばならないと思うのでありますがこの点に関しまする農相の御見解を伺いたいと思うのであります。
#117
○周東國務大臣 協同組合の指導方針についてということでありますが、今日の農業協同組合法ができて以後約一年たちました今日、その設置されておる跡を見てみますると、大体後藤さんのお考えのような方向に向つております。從來は大体において一町村一組合主義のような形でありましたが、十一月二十日現在設立を終つておるものが二万六千余になつております。当時設立計画中または総会を終つてまだ登記の済まぬものが約五万幾らあります。これらは、大体調べてみますと、部落における從來の部落実行組合というものの單位がこれになつておるかと思います。從つて、現在の町村数に比較しますと、市町村内に相当多数の組合ができるような形になつております。その点については大体後藤さんのお話のようなことになつておりますが、私どもも、現在の農村の経済力の弱い部面から見まして、政党的な考え方、あるいは部落的感情から、同一でよろしいものがことさらにわかれるというようなことは避けなければなりませんが、しかし必要に應じて特殊な形態において別な組合ができることについては、今日は自由にこれを認めておる次第であります。
#118
○後藤委員 これに対する國家資金の注入方法でありますが、少くとも現在の制度をもつていたしましては、農業協同組合が安易に資金を借り入れるというわけには行かないのであります。おそらくその手続の煩瑣と、せつかく計画をいたしましたものの、時間的ずれが起るために手を出せないということが通常の場合であります。よほど事情に精通した人たちが存在する組合のみがそれを利用するという形態でございますが、これをもつと簡便化する考えはないかどうか、この点について伺いたいのであります。
#119
○周東國務大臣 金融の問題についての御心配はごもつともであります。実は農村金融について特に考えられることは、農業の特殊性にかんがみまして、從來から大体相互金融機関が中心になつておる。昔の産業組合というものが、その町村における相互有無相通ずるという観念で、自己資金を集め、それを融通しておつたのが中心となつておつたのでありますが、今日の事態におきましては、それらのかつての産業組合、それを受け継いだ農業会、それが今度解散されて農業協同組合になる経過において、相当の自己資金がなくなつております。しかも中心の機関であるところの中央金庫においても、かなり今日資金は枯渇しておりますから、新しくできた農業協同組合においても、元の相互金融の本体は残しておりますけれども、今ただちにその自己資金だけでは間に合わない、これに対しては中央金庫を通じて相当これに政府資金を援助する必要があると私は考えておるのでありますが、先ほど御指摘のありました農村工業に対する資金融通に対しましても、政府としても第二・四半期、第三・四半期を通じて、中央農林金庫を通じて一億五千万円ずつ流されておりますが、これが農村工業部面に対する一つの資金でありますが、全体の営農資金、その他中期、短期の資金につきましては、もう少し中心機構について考えて行かなければ、御説のようにちよつと農村の金融問題は行き詰まつて來る、かように考えております。
#120
○後藤委員 さらにお伺いいたしたいのは、米價問題であります。今日パリテイー計算をもつて米價を算定いたしておるのでありますが、將來も農相はこの方針を踏襲されるのでありますか、あるいは原價計算主義をおとりになるのか、この見解についての御所見をお伺いいたしたいのであります。
#121
○周東國務大臣 さしあたつての当分の問題といたしましては、パリテイー計算に織り込まれる要因等について、そのウエート等について改善を加えて臨みたい、かように考えております。しかし將來の問題として、お話のように実際問題として、原價計算が的確に握られて、全國的に平均値が出得るような方法が考えられますならば、これは一番的確なものであると存じますけれども、現在いろいろの点から、やみ價格あるいは公定價格等の物品を使つて生産しておる、その生産コストを実際的に反映することは非常に困難な実情にありますので、一應パリテイー計算によらざるを得ない、かように存じておりますが、その方式の内容については改善を加えたい、かように考えておる次第であります。
#122
○後藤委員 次に青果の問題についてお尋ねいたしたいのであります。民自党が在野時代に青果の統制の即時撤廃を党是として考えられましたことは、何人も承認しておるのであります。この問題に対しましてしばしば質疑が行われ、しばしば答弁を伺つておるのでありますが、しかしいずれも時期と方法という抽象的な御答弁で、当局は責任のある御回答をなさつておいでにならないのであります。そこで私は今日鮮度をたつとびますところの青果が、何といたしましても公定價格を附随するということは、原則的に申せばむりなのであります。私は野菜がすみやかに統制が撤廃されるのを望む論者の一人でありますけれども、少くとも一氣呵成に統制が撤廃されない限りにおいては、少くとも配給ルートを残されても價格撤廃が行われるのが至当ではないか、それが完全に自由に移行いたします経過的措置といたしましては、適当な方法ではないかと考えるのであります。この点についての御見解を伺いたいのであります。
#123
○周東國務大臣 生鮮青果物、たとえば野菜等についてただいまの統制撤廃に対する御意見まことにごもつともであります。私どももちろんああいう、腐敗品につきましては、一面においては販賣者、取扱者の競爭心によつて、鮮度の高いものを供給さす、一面においては消費者の方に選択権を持たせて、必要なときに必要量を、しかも鮮度のよいものを選んで買う、こういう行き方にして、おのずからそこに適当な價格に落ちつかせることが一番正しいと思つております。ことに今日の時代においてはかなり特殊なもの、季節向きなものではありますが、だいこん、かぶ、菜つ葉の類のごときは非常によくできまして、各生産地等において公定價格を割り、出荷に非常に困難を來しておるという現状において、できるだけ早くそういうような方向に向けたい。ことに御指摘のように、出荷地から消費地に向つては配給について一つの制限を設けつつ、價格をはずして自由選択にまかす、競走にまかせるということがよろしかろう、その結果は家計に及ぼす影響も大してないのではないか、こういう面からこの際撤廃を研究はいたしておりますが、御承知のようにこの点は二月、三月の冬枯れを控えております、これは自由時代におきましても、その時期は当然に價格が上るものではありますが、今日のいろいろの関係からその面の乘り切り等の問題もありまして、今日即答いたしかねることを御了承願いたいと思います。
#124
○後藤委員 その次に供出後の米麦の自由販賣について重ねてお伺い申し上げたいのであります。これもしばしば民自党の公約問題といたしまして、質疑應答が繰返されておるのでありますが、少くともわが國が自力の経済力をもつて食糧を輸入し得ない期間中は、何と申しましても、供出後であつても自由販賣にするということは國際的に申しましても、相手國の資金をもつて食糧が輸入される関係と、國内的に申しましても、金力あるものが飽食できるという点ないしは買占等の投機の対象になる点、これらから申しましても、いずれも至難な問題であろうと思うのであります。しかるに時期と方法をもつて行いたいというこれまた抽象的な御答弁のみで終始しておられるのであります。現実に農相は、ただいま私が申しました自力で食糧輸入がし得る時期にならないでも、自由販賣にできる可能性があるとお考えになつておりますかどうか、具体的に伺いたいのであります。
#125
○周東國務大臣 お答えいたします。主食につきましてはなかなかこれは困難な事情が蔬菜以上にあると思うのであります。ただ今日の場合におきまして、いつも繰返しますように、一般供出後においての超過供出について、農家に対して協力を求めておる今日、いたずらに混乱を來さないように、時期は考えておりますが、しからば將來の問題、今日以後の問題についてのお尋ねに対してお答えいたしますと、これは大体でき上つたものだけの分配についてということだけでなくして、できれば供出責任量の出たあとは、自由処分を認めるというような事柄によりまして、農家の生産意欲を向上するということによつて、國家的に見て、総量をふやすことに努力させるということが必要である。いかに外國の援助を仰いでいるときといえども、だんだんに外國の輸入量を減じつつ外國の負担を減して行き、自給度を高めて行くということに効果が上つて行くのではないか、そこらの全体的な條件を勘案して、時期と方法を考えたいということが残つておると私は考えます。
#126
○後藤委員 この点についてはもつと私は追究いたしたいと思いますけれども、この程度で、あとは大藏大臣への質疑の時間が中曽根君から要求されておりますので、いま一点だけ私は質疑をいたしまして、一應私の質疑を打切りたいと思います。それは食糧の消費部面におきますところの購入のフリー・クーポンについてであります。最近東京都におきましては、粉の配給を受けますかわりに、パンのフリー・クーポンを発行いたして、自由にその購入券を持つて、いずれのパン製造業者からでもパンが購入し得る道を開いておるということを聞いておるのであります。少くともパンの製造業者を選ぶことができることと、ないしパンで受取れるか、粉で受取れるか、ということについては非常に利便が多いのであります。そこで私はさらにこれをこの乏しい食糧をもつと豊富に調理をいたしまして消費者がいただけますように、このわくを拡大していただきたいと思うのであります。それは粉とパンと麺類、少くともこの三つぐらいに範囲を廣げまして、フリー・クーポン制をこれに及ぼす、そうして券を持つて行つて、公團の出張所に行けば粉がとれる。パン屋に行けばパンが買える、うどん屋さんに行けばうどんが食える、こういうような嗜好に應じた制度に私は廣げられることがよろしいと思うのであります。少くとも私の承知いたします範囲においては、公團の代行機関をもつてパンと同樣にこれらが麺類にも及ぼし得ると思います。本年は相当かんしよの辞退を出したのでありますが、もし廣げられますならば燒いも屋まで開いて、この自由クーポンで燒いもまで買えるということにいたしますと、非常に便利であろうと考えます。これらの選択範囲を廣げた消費者の利便をはかる自由クーポン制を、全國的に御実施になるお考えがあるかどうか伺いたい。
#127
○周東國務大臣 ただいまの御質問に対してお答えいたします。今日すでにパン及び粉の間に選択制を認め、クーポン制を認めている事柄を推して麺類に及ぶということも一つの行き方であると思う。この点については具体的に今案を進めつつあります。なお今燒いもの問題が出ましたが、非常にたくさんできて供出の成績もいい今日、この点についてはあわせて考慮いたしたいと思います。
#128
○上林山委員長 田中源三郎君、農林大臣に対する質疑を願います。――ちよつと速記をやめて……。
#129
○上林山委員長 速記を始めてください。
#130
○田中(源)委員 事前割当につきまして、いろいろこういうものを始めますときには、すべき完全な手段というものは盡されないだろうとは思いますが、たとえば今日本政府の收入から見ますならば、專賣收入が約一千億万円あつて、その九〇%まではタバコの收入で占めている。これも國民嗜好の上から申しますと、在來種をだんだんと黄種に轉換をして行かなければなりません。最近においては各專賣局をまわつて調べてみますと――芦田内閣当時、ピースを値上げして六十円で賣るということに私は絶対反対した。しかし政府收入の観点からやむなくあれを六十円にしましたが、それは賣れない。政府は何とおつしやるかしれませんが、大藏大臣がいかにおつしやつても、このままでピースを賣つて行けばだんだん賣れ行きが減つて、今きんしの配給タバコの値上げをしてカバーされようとしておられますが、これを値上げしないと五十億くらいタバコの予定收入から欠損、赤字が出ると私ははつきり見ておる。それでタバコの耕作面から申しますと、事前割当につきましてもタバコをつくつたあとに米のできる地方もありますし、できない地方もありますので、今回は農政局の農産課の方ではつきりそれをきめておられると思いますが、全國至るところこの問題についてトラブルを起しておる。これを事前にはつきりいたして、そうしてタバコをつくる反別はいくら、何がいくら――そうしてつくつたあとはわれわれ供出を拒むものではありませんから、ほんとうにとれた物を割当の量と比較して、適正に供出をさせるというふうにしなければならぬと思います。九州南部におきましても、あるいは高知縣においてもそういうふうな扱いをいたしておりまするが、先般の休会の期間を利用しまして、近畿以西の專賣局管内の耕地を全部まわつて、当局並びに耕作者の代表を集めて懇談しましても、政府当局とわれわれとが懇談して大体の方針を決定したものが、まつたく徹底していないというふうになつております。こういう点ははつきり願つておきませんと、ここであなたがこうだああだと言つていろいろ御説明をなさつても、実際はその通りに行かない。ここできめたことがよく徹底して行くように、專賣当局と事前に打合せを完全にして、指令が地方の長官に徹底するように御処置を願つておきたい。こういうふうで、今後はタバコの耕作は非常に要望されておりまするけれども、食糧との関係で一定の制限を受けております。この点について私はむりに反別を増加せよと申すのではなくして、事前割当の食い違いをはつきりとそこに出して、そうして耕作者からいろいろな問題が起らないようにやつていただきたい。これは大藏大臣もそこに見えておられますがあなたはお忙しいでしようけれども、ついでですから申し上げておきますが、農作物に対する課税は、立法上は所得税の申告にはなつておりまするが、今日日本の全國の農家はまだそこまで徹底した頭をもつて申告する者が少い。そこで結局は一定の見込み課税になる。ところがタバコのごときは実收課税で、実收課税と見込み課税とそこに食い違いができて來るのであります。この点もいろいろ主税局とまた地方の專賣局との間において、私どもは調節をはかるようにいたしたのでありますが、つとめて農家経済を科学的に立体的に行わせる点からいたしまして、今後農業協同組合等におきまして、できるだけ納税申告を正しくせしめるよう政府が指導的な方法をとつて、見込み課税と実收課税とがダブつて、そうして農家の課税の面に不平を少くしたいと私どもは念願しておるのであります。この点についてはよく農業協同組合等において申告せしめるよう一つの処置を政府はとつて、そうして今申し上げたような問題が起らないように、指導方針を考えていただきたいと思いまするが、一應この機会に御所見だけを承つておきます。納税上の問題については、ことに先ほども後藤君の質問の中にあつたいわゆる工業製品と農産品との價格を、民自党の政策から言えば均衡を保つということが出ておりまするが、これはなかなかむずかしい問題であります。この問題についても御所見をもつと具体的に承りたいものもあるのであります。しかしお急ぎのようですから、その問題は價格の面は別といたしまして、ただしばしばここで問題になつておりまする土地改良の問題でありまするが、政府のいわゆる開拓政策の上に、あなたもわれわれと同一意見であろうと思いまするが、新しき一つの観点から、実際に將來見込みのある開拓政策をとる方法を考えていただきたい。それと同時に土地改良を完全にやる。用排水幹線路の施設、あるいは灌漑用水施設等をこしらえて、災害を未然に防いで増收をはかつて、たとえ日本の食糧不足の現在の生産量の一〇%でも増收をするというふうに持つて行く方がいい。農相のお考えはおそらくそうであろうと思う。しかしそれについては私はいろいろ予算面に制約されておる点もあろうと思います。しかしこれは勇敢にやる必要がある。重ねてこの問題について開拓政策をいま一歩檢討し直し、そして土地改良に重点を置くということについてのあなたの確言だけをこの際得ておきたい。お急ぎのようですから、いろいろありますけれども、その二、三の点についてあなたの御所信だけを承りたい。
#131
○周東國務大臣 お答えいたします。第一点のタバコの耕作地の事前割当等のことについての御質問でございました。実は農林省で事前の耕作反別割当をいたしておりますのは、食糧を中心といたしております。從つて食糧について米、麦、ばれいしよ等をどのくらい作付するというようなことに大体割当をいたすわけであります。その他食糧以外のものにつきましては、実は地方にまかされておるというところに、今の田中さんの御質問の中にありましたような弊害といいますか、なにかが起つて來ておることと思います。從つて地方廳ではまちまちに主食を割当てるために、どうしてもタバコの方も考えなくちやならないということでやつておることと存じますが、そういう事柄の連絡のとれないために起る今までの御意見につきましては、今後よく注意をいたさせたい、かように考えております。
 それから第二点のお尋ねでありますが、まつたく同感でありまして、今日の場合急ぐ食糧増産につきましては、何と申しましても、既墾地に対する土地改良、灌漑、用排水、暗渠排水とか、客土とかいうような方法に予算を相当つぎ込んで、國が土地の改良に力を入れて行く。それから増殖をはかることが最も手取り早いのであります。新内閣といたしましても、その線に沿うて、二十四年度予算等については重点的に予算を盛りたい。かように努力いたしておるのであります。從つて今日開墾、ことに未墾地開拓等によりまして開墾が推進されて参つたのでありますが、ともすれば從來の方法はその土地を開くということだけで、この計画が進められて、眞に開いた土地が後に耕地として灌漑用水の立場から考えましても、あるいは開墾地との関係でそこが開かれたらどういう影響が起るか。あるいは治水上そこを切り開くことによつて、水の面においてさしつかえないかということを檢討せずに、ただ割当てられているこの行き方に対しては、根本から檢討の仕直しをしたい。科学的に適地を選びたいということで、中央地方を通じまして開墾地の嚴選を命じておる次第でございまして、その線に沿つてやりたい。但し開拓地等において適地があれば、それに対して入つて行つた入植者に対して、爾後非常な困窮に陷らせない程度に予算を集中して、考えて行く方がよろしかろうと考えております。
#132
○田中(源)委員 私は米價決定に伴うて政府がとつておられるパリテイー計算――いろいろウエートのとり方もありましようけれども、農業というものは企業だと私は考えております。いわゆる農家企業である。工業も一つの企業である。資本と土地と労力と資材とによつて一つのインダストリーが生れて來るならば、農家もそれぞれの資材もあれば、労力もすべてのものを整えた一つの企業だと思う。その企業的観点に立つてパリテイー計算をしている。ところが、自家保有労力のごときは計算の中に入つていない。鉛筆一つつくるのにも、一時間の労力も皆換算されて入つて來る。農家が企業であるか企業でないか。私の経済学的の論拠は企業であると考える。從つて今の米價決定に対するすべての方式の上において、農家企業という観点に立つた企業方式、米價決定方式を考えていただきたい。これは大藏省の方から言わせるならば、自家保有労力も幾分は見ている。しかしながらこれはその範囲内にあると仰せられることはわかり切つている。そういうことであるためにいつも問題が起きて來る。日本の経済は從來米の價格によつて左右されておりますけれども、日本の今後のあり方は、從來のような物價の基礎が米であるというような考え方で、米の價格を改訂して行くことは古い観念じやないかと思う。この点について農林大臣は今後の米價決定に対する方針は、農家企業として総合的なすべての面を取入れた観点に立つて價格を決定されるのか。現在のような米價の決定方式を改訂される意思があるかどうか、その一点だけを承つてあなたに対する私のお尋ねを終りたいと思います。
#133
○周東國務大臣 ただいまの御質問に対しましては、先ほど後藤さんにお答えいたしたように、ただいまのところパリテイー計算方式を改めるということは考えておりません。パリテイー計算方式の中で取入れられている七十一品目でございますが、農業経営必需用品、生活物資等そのもののとり方及びその中に現われたウエートにつきまして改善を加えて行きたいと思つております。しかし先ほども申しましたように、また今田中さんが御指摘のように、小さいながらともかくも農業は一つの企業であるがゆえに、ほんとうを言えば、その生産費から出て來ることが至当だと思う。かつて自由経済時代におきまして、戰爭中米價決定について――米價と申しますか、政府が買上げる米の價格決定に際しましては、地方に相当数の標準農家を大、中、小ととつて、そこでできた米の生産費を集めてその最高、最低というような極端なものをはずして、平均値をとつたという過去の一つの例もあるのであります。しかしこれは今日の場合、生産費を見出すのに非常な苦労がいりますし、ことに自家労働というものをいかに見積るかということに対して、標準農家はそれぞれ違つておりますので、一つの困難性がありますから、これらは將來において十分研究はいたして行きたいと思つていることだけを申し上げておきたいと思います。
#134
○上林山委員長 運輸大臣に対する質疑を田中さんできるだけ簡單に願います。
#135
○田中(源)委員 今日船舶運営会を見ますると、この予算にも二十五億ばかり出ております。大体今までの輸送量を見てみますると、内航では百八十三万五千トンふえておる。外航では九十万トンほど減つております。これは石油が二十七万九千キロリツトルほど減つております関係もあるので、これに伴う運賃收入減というもが出て來ておる。そこで物價が上つて來ておるから非常に不足が生じて來るということはわかる。そこで輸送の量を見てみますると、一般貨物の約七四%が石炭である。一般貨物を内外航にわけてみますと、内航は八八%、外航は約一二%程度になつております。これに伴うトン当りの平均運賃收入を見てみますると、内航は約四百十六円、外航は千九百六十八円ということになつておる。これに対して内航は約八百円、外航は約一千二百円実費がかかつておるわけである。從つてそれの差額が赤字に出て來ているということになる。そこでタイム・チヤーターにして、船舶運営会を合理的に運営せしめて行く上において、われわれどもは、その筋にも請願をいたすのみならず、前議会におきましては、私は決議案まで提出しておるのですが、会期が間に合わなくて行かなかつた、いわゆる船舶運営会の改組問題ということは長い間の問題になつておりまして、ようやくタイム・チヤーターということについて今度許可になつたわけであります。これに対して民間の受入れ態勢がどこまでできておるかという問題であります。それと同時に鉄道も独立採算制をとつて今度パブリツク・コーポレーシヨンとして行きますにはこれは一つの企業体として、独立採算制がとつて行けるようにして行けない場合は、國家の経済政策と相マツチしてあるパーセンテージを國家が負担するということは話がわかる。運営会もこれでどんどん改組して行つて、運営会自体がフリー・チヤーターで行けるようにやつて行かなければならぬと私は思う。そうでないと、いつまでたつてもこの赤字をカバーして行かなければならぬ。そこで反面から見て、しからば造船業を考えてみますると、最近の資材の値上り、あるいは労銀の値上り等からトンネージに対しては非常な上り方になつて來ておる。今三千トンの船一ぱいつくれば少くとも一億円の金がかかる。おそらくそれで行けるか行けぬかという事態である。だから半面にそういつた高い船を船舶の公團から金を借りてつくつて行かなければ、旧來の戰標船では能率が上らぬということになる。そうなつて來ますと、結局そこにタイム・チヤーターに対しても、船主の経営困難な面が起きて來るということもまた一つ考えられる。それから荷動きを考えてみると、鉄道はなるほど一億三千五百万トンの輸送計画を立てられておつて、いまだにそのシヨート・カツトの輸送方法が具現されて來ない。先般來あなたのお答えを聞いておりますと、貨車の修繕量が三千輛程度に減つて來る。まことにけつこうなことだと私は喜んでおる。できるだけ早く修繕をシヨート・カツトして船を動かさなければならぬ。だらだらと長いキロ数を貨物で輸送するなどという方法はないのであります。この点でどしどし船舶を利用して船へまわす。最近の船の滯船を見ますと、貨物が港に出て來ないために、滯船しておる。その滯船のトン数が一万トンや二万トンではないという状態です。船腹過剩はそこから來ておる。おそらく第三次ストは起ると思います。私はあなたが非常に御心配をしていただいているので、早く解消していただきたいと願つておりまするが、今の樣子を見ますると、船の第三次ストは必至のような情勢にあるように思われる。船は一方でストライキを起すし、受入れ態勢はまだ十分できていない。せつかく與えられた定期傭船主義というものに対して、一体民間の船主は何をしておるのか。私は声をあげて民間の船主に会うたびに、勇氣を出して君らはほんとうに國家のために、働いてくれなければだめじやないかと、いつもしりをたたいておる。これは政府もお考えになつて、早く民間の受入れ態勢を完全にしてやつて、定期傭船主義を完全に履行せしめて行けば、それだけ國家の損害のマイナスが小くなつて來ます。そこで今の二十五億という金でも、おそらくこれは足りつこないと見ておるのですが、これについて一体あなたの方はどういうふうに今後この船主の受入れ態勢を整備なさいますか。あなたは御就任早々で、船の方のことについて十分おわかりにならない点があるかもしれない。私はしいてあなたを追究しようという意味で尋ねているのではなくて予算の面から申しますと、いつまでも船舶運営会の赤を補填して行かなければならぬということは、いずれの内閣にしても除かなければならぬ問題である。その問題について、あなたのお考えをここでお述べを願いたいと思うのであります。
#136
○小澤國務大臣 田中さんにお答えいたします。運輸行政についてまことに造詣の深い田中さんから詳細な御質問を受け、なお御同情のあるお言葉まで賜わつて恐縮いたしております。
 お話のように日本海運の再建という問題につきましては、運輸省としては非常に重大に考えております。從いましてまず日本の海運の再建という面の一番重要な問題は、船舶の運営を漸次民営に還元いたしまして、創意とくふうに基く点から漸次これを再建しなければならぬと考えておるのであります。その第一前提でありまする定期傭船の切りかえの問題が、お話のように一應関係方面の了解も得まして、これがすみやかに実施されることが、ひいては日本海運再建の大きな前提條件になると思うのであります。從つて政府といたしましては、この定期傭船切りかえに要しまする約二十三億の予算を編成いたしまして、つまり修繕料等でありまするが、極力大藏省とも交渉し、本追加予算に計上して、ただちに定期傭船の切りかえを実施しようと運輸省は考えておつたのであります。ところが財政上の都合から、この二十三億、すなわち定期傭船に要する費用というものは、一切削除される運命になつたのでありまするが、しかしこの問題につきましては、必ずしも二十三億の予算がないから定期傭船の切りかえができないとは私は考えておりません。從つて船主側の非常に大きな協力と犧牲とを覚悟していただきまして、少くとも一月中あたりには、この定期傭船切りかえを実行したいという所存から、船主諸君と極力相談中でございまして、非常に御理解ある回答を現在得つつあるのであります。從つて私どもの目的のように、この定期傭船の切りかえが、ただいまの予算に計上してなくとも可能ではないか、換言いたしますれば、たとえば裸傭船で要しました船舶の修繕等につきましては、もちろんこれは当然修繕いたさなければなりませんけれども、その費用を一應國家の債務に立てておいて、將來適当な時期に船主に返すというような方法も考えられまするし、一方船員の退職の問題でありまするが、この金も、一應運営会の雇入ではなくなりまするけれども、船主に引継がれまして、引続き職務にあるということだけは間違いないのでありまするから、從つて將來退職金等につきましては、やはり國家の債務あるいは引受けというような形をとりまして、船員が事実上職を離れた場合において政府が徐々にその金を支出して行く、あるいは補助をして行くというような形も考えられるのではないかという見地から、ただいま申し上げましたように、極力船主側の協力方を要望し、船主側におきましても、大体現在の政府の立場を了承せられまして、一日もすみやかに定期傭船が実施せられるように努力を続けていただいておるような現状でございまするから、現在のところでは一月、おそくも二月中にはこれを実施することができるのではないかと考えておるような次第でございます。
#137
○田中(源)委員 一月末ないし二月には大体の見通しがつくというふうにお答えを願つてまことにけつこうだと思います。この定期傭船の切りかえについて要するすべての費用は、一時政府において立てかえておいて、後日徴收するという考えがある、これもけつこうでしよう。私が考えますると、今の状態では、スムーズな切りかえがちよつとむずかしいではないか。というのは、そう言うと失礼ですが、最近の船主はもう一文も金がないというような状態になつているので、一月ないし二月に切りかえなさるときに思い切つてもう一べんその筋と御交渉になれば、私はおそらくスキヤヂヤップもこれには同意するのではなかろうかと思う。そこで一歩乘り出して、もう少し裸にした方がかえつて仕事がやりよいのではないか。政府もやりよいし、向うもやりよいし、船主の方もやりよい。これは政府の方でもう一歩進んで御交渉なさることが國家のために必要である。これを私はあなたに進言しておきます。そうして來年度予算をお組みになるときには、思い切つてひとつ船舶運営会の改組をし、眞に民営に近い予算をお組み願いたい。形だけはパブリツク・コーポレーシヨンにしても、あるいは專賣局をそういつたような民営の形に持つて行きましても、結局政府企業の赤字というものは当分拔け切らないと思う。これを一刻も早く拔け切らすくふうをしなければ、日本の財政の建直しはできない。これをあなたがひとつ思い切つておやりになつていただきたい。大体独立採算制は運輸省の機構だけでなく、政府の企業全体に対して考えなければ、國家財政というものはやつていけない。これを念のために申し上げておきたい。
 次に海上保安廳の機構はどの程度まで整備されましたか、この際御説明願いたいと思います。
#138
○小澤國務大臣 お答えします。海上保安廳という制度は、御承知のごとく日本には從來なかつた制度でございまして、從つて大体関係方面の勧告、あるいはお教えを請いながら、漸次発展して参つておるのでありますが、御承知のように船舶の試驗というようなものも港外においては從來も扱つておつたのでありますが、港内におきましてもやはり海上保安廳の一貫した行政の一つといたしまして、これを切りかえると同時に、そういう面に関する從來の海運局の管轄を一應海上保安廳に整備するという方針が決定いたしまして、具体的の人員を整備人選中でありますが、おそらく今月中にはこうした今までの問題になつておりました船舶の檢査等に関する諸機構も一切この海上保安廳に移しまして、本來の海上保安廳の目的を達成するように努力中であります。
#139
○田中(源)委員 私はそれもけつこうですが、何万トンほど來年になれば整備ができるか。許された範囲において船舶はどのくらい、配給状況はどう、そうしてどういうふうに今日機能が活動しておるか、まことに不十分なる船舶をもつて、非常に不十分な仕事をしておることは了承しております。その後の整備がどの程度に進んで、ことに最近非常に朝鮮海峽及び日本海、太平洋の一部にはいまだ十分なる海上警備ができないのであります。保安廳の整備についてあなたからでなくとも、大久保君からでもよろしいが、きようは出席ないようですから、この次に説明してもらいたいと思う。
 もう一点は今後運輸省のとらんとする電化政策、日本の鉄道の整備の上における電化政策をどういうようにするか、それについて來年度予定は何マイルやる予定か、それに対する資材はどうするか、また今後電化以外の鉄道の改良計画、それの資材はどのくらいいる、一キロ当りの予算はどのくらいをもつて考えておられるか、このお答えはおわかりでなかつたら、担当者から詳細に文書をもつて御回答願つてけつこうであります。
#140
○小澤國務大臣 お答えいたします。ただいまお話の詳細につきましては、お話の通り書面をもつて御報告いたすことにいたしますが、まず第一の海上保安廳に関する船舶の整備充実の問題でありまするが、これは現在の海上保安廳の有する船舶はまことに古い、ほとんど新しい能率のない船でありまして、これを根本的に整備拡充いたさなければならぬ重大な段階にあることはお話の通りであります。從つて來年度の予算編成にあたりましては、でき得る限りこの点を大きく見まして、この欠陷を補つて行きたいと考えております。なおこれに関する詳細な点は、政府委員から後刻書面で申し上げることにいたします。
 さらに、第二点の鉄道電化の問題でありまするが、これは先般本会議でも、どなたかの質問がありまして、一應私の構想を申し上げたのでありまするが、言うまでもなく、鉄道電化という問題は、單に鉄道というばかりではなく、日本の重要な、しかも緊急を要する大きな國策の一つであると考えておるのであります。なぜかと申し上げますれば、かりに七千キロの電化が実現できたということになりますというと、これがために節減せられるところの経費の予定というものは、大体現在の計算では二百七十億、あるいは二百八十億というような大きな節減が予期されておるのであります。從つて現在の主要幹線、たとえば東海道線、山陽線、東北本線、信越線というような主要な路線、あるいは大都市の近所の路線等を含めますというと、大体七千キロ程度になると思われます。この七千キロがただちにかりに電化されたということなりますと――ただいま申し上げた通り、二十三年度の鉄道予算は、一般会計から約二百八十億ないし三百億の繰入れによつて、ようやくまかなつておるのであります。ところが今のように、もちろん仮定の議論でありますが、七千キロの電化によりまして、現在の人員を整理することなく、あるいは運賃を上げることなく、一應独立採算制がとれるというような数字が出て参るのであります。そればかりでなく、かりに七千キロの電化が実現することによつて、石炭の使用額が約八〇%減になるのであります。そうしてみますというと、大体一箇年八百万トンというような計算をしますというと、八八、六百四十万トンの石炭が節約できるということになりまするので、これを他の産業に振り向けることによつて、日本の生産の増強ということが、期してまつべきものがあると思うのであります。以上の点は、私が申し上げるまでもなく、田中委員は私以上に詳しいのでありますが、一應私の信念を申し上げまして、この電化計画につきましては、從來とりました五箇年計画にもさらに再檢討を加えまして、これ以上の能率で、すみやかに電化の方途に向けるように進めたいと思います。一番難点は、言うまでもなく資材の面でありまするが、この資材の面等につきましても、極力奔走努力をいたしますし、また関係方面等とも交渉いたしまして、何とか電化の促進につきましては、思い切つてこれが実現に努力いたしたいと存ずるものであります。なお詳細につきましては、お話の通り政府委員から、書面をもつて詳細にお答えを申し上げます。
#141
○上林山委員長 中曽根君。簡單に願います。
#142
○中曽根委員 電化の問題で、今運輸大臣の御所見を承りまして、非常に傾聽いたしたのでありますが、さしあたり來年度運輸省においては、どの路線を電化するという計画でありまするか。われわれの考えによりますと、運輸大臣の今のお考えは非常にすばらしいものでありまして、非常に同感を禁じ得ないのでありますが、運輸省において、今予算を組もうとしておる、あるいは組んでおる來年度の計画を、ひとつお漏らしを願いたいと思います。
#143
○小澤國務大臣 中曽根委員の御発言でありまするが、まだ省議として決定はいたしておりませんから、從つて申し上げることは、いわゆる個人私の考えだけでありますが、大体東海道線は名古屋、米原あたりまでを目ざしております。逆に進んで來る場合におきましては、大阪から米原あたりを考えております。それから常磐線は取手あたりまでを考えますし、東北本線では小山、あるいは信越線では高崎あたりまで考えておりまするが、これはただいま申し上げました通り、資材という方面も十分考えなければなりませんので、いまだ確定はいたしませんけれども、少くとも本月あるいは一月中には、電化のできる路線につきましても具体的に檢討を加えまして、決定の上、一般國民にもこれを発表して、御批判を仰ぎたいと考えております。
#144
○上林山委員長 大藏大臣に対する質疑を続行いたします。大原博夫君。
#145
○大原委員 私は本会議で大きな問題は質問いたしますから、小さい問題だけを数項お尋ねいたします。去る八月、予算委員として中國、四國の方面を調査して参りましたが、その結果、昨年は水増しの割当を各財務局にしておるというような議論がありました。これは水増しをしておるかいないか、おそらく多少はいたしておると思うのでありますが、しかしながら大体におきまして大した影響はなくして、それよりも実際の税額の方が多くなるというような結果になつておつたのであります。その調査でまわりましたところによると、大藏省から割当てた目標よりは徴税額の方が確かにふえる、税の方が多いということであつたのであります。この多い税は、どの程度多くなつておるかということをお聞きしたいのであります。また財務局によつては少いところもあるかどうか、この点をひとつおき聞いたしたいと思います。もう数字ははつきりわかつておると思いますから、今までのところをお教えを願いたいと思います。それからその際、財務局のある支部で、追加予算をやるたびに、税務署は困る、そのたびごとに更正決定を変更しなければならないと言つておつたのでありますが、予算が追加されるたびに、かかる更正決定を今までやつておつたかどうか、また現在でもやらすつもりであるかどうかという点を、まずお聞きしたいと思います。
#146
○泉山國務大臣 大原さんにお答えを申し上げます。予算に対しまして、実算と申しますか、徴收額がこれを超過しておるかどうか。前内閣当時においてさようの事実があつたやに承つておりまするが、詳細は政府委員より答弁をいたさせます。
 なお、更正決定につきましては、追加予算のたびごと――さようのお話がありましたが、さようのこととは必ずしもあれではありませんが、この一月に、恒例によりましてこれをいたす、かようのことになつております。
#147
○平田(敬)政府委員 お尋ねの第一点は、昨年度におきまして、一應各税務署の目標額というものを示したのでございますが、この目標額に対しまして、相当超過したところがあるというようなお話でございます。これはところによつては相当あるようでございます。なかんずく地方におきまして、事務の能率のよいような方面におきましては、特にさような向きが相当あつたようでございます。結局これは、全体として決算と予算との数字の差になつて現われておりまして、全國として決算面におきましては、今正確な数字がございませんので、正確なところは後ほどまた説明してもよろしゆうございますが、大体百十億程度、予算に対してオーバーしております。そのうちの大部分は、大体におきまして勤労所得税が約七十億、それから酒の税が約三十億近く、その他におきまして若干プラスいたしまして、結局全体といたしまして、予算に対しまして約百十億程度の増收を得た、かような結果に相なつておる次第でございます。タバコにおきまして若干減收になりましたが、歳入におきましては、全体といたしまして、從つて予算に対して若干の自然増收が出たような状態に相なつております。各財務局ごとの数字は今持ち合せておりませんが、大体におきまして東京、大阪局等は、やつと最終期限に目標に達したという状態でございます。その他の財務局におきましては、たとえば仙台とか札幌といつたような、すでに早く目標に達したところは相当いい成績を上げております。概況はさような状態に相なつておる次第であります。
 今一つの更正決定の問題でありますが、これは本年度といたしましても、努力目標といたしまして一應の目標を示した方が、税務署が能率的に仕事をやる上において有効であるという考え方の上に、本年の九月ごろ一應の目標を示しております。そうしてこれは年度間全体の目標ではない。やはり追加予算等によりまして変更がありますならば、それに應じて若干の変更を加えるという前提のもとにいたしておりまして、今度追加予算がきまりますれば、これに應じまして若干の補正をいたしたい。そういたしまして、これはあくまでも目標でありますが、その目標に應じまして、各税務官廳が一生懸命努力いたしまして、適正な税收入をはかるというようにいたさせたい、かように考えておる次第であります。
#148
○大原委員 ただいま二十二年度のお話を承つたのでありますが、私のお尋ねしたのは二十三年度――この八月に参りましたときにも、政府の示された目標額よりはこういうふうに超えて來るのだというふうに、所得税の面でお話を聞いて來たのであります。その所得税がどうなつておるか。どの程度超えておるかということをお聞きしたのであります。今からの予算にも関係がありますから、今年度のものをお示し願いたいというのと、第二項としてお聞きしたのは、更正決定をやるたびに目標をかえて行くかどうかということであります。この九月にお示しになつたのではなくて、その以前に目標が示されていて今度の更正決定をやる。それは多少今までの事情とは違うでありましようけれども、やはり追加予算のたびに更正決定をやるのかどうか。こういうことを聞きたいのであります。
 またこれは、ただいまの答弁では満足できませんので、重ねてお聞きするのでありますけれども、今度自然増收を認められておりますが、この自然増收は大体机の上で決定されたものであるか、あるいは各財務局から自然増收がどのぐらいあるということを取調べたものも、これに加わつておるものであるかどうかということをお聞きしたいのであります。
#149
○平田(敬)政府委員 まず最初に、本年度の大体の收入実績のお話でありますが、先ほどの御指摘のときにおきましては、おそらく昨年度のことであろうと思いまして、昨年度のお話をいたしたのでありますが、本年度といたしましては、昨年の経驗に顧みまして、できるだけ早くから歳入を確保しようという意味で、各税務署に努力せしめて参つたのでございます。その結果といたしましていろいろな統計ができておりますが、大藏委員会の方に資料として配付してございます。最近の租税の收入実績を簡單に申し上げますと、大体所得税におきましては、源泉課税は相当良好に相なつております。今度の追加予算を入れましても、十月末日までに收入しました額は四八%と相なつております。ところが一番よくないのは申告所得でございまして、これは昨年はもつと惡かつたのでございますが、本年度におきましては、十月末日までに、予算額の千二百二十億に対しまして二百四十三億、すなわち一割九分の收入しかあがつておりません。これは最近行いました更正決定による收入というものは、大部分まだ入つていないと申した方がいいぐらいでありまして、十一月、十二月、この二箇月の間に、先般更正決定を行いました税收入確保を極力やりたいと思つて、目下努力させております。これが入りますと相当の成績を上げ得ると思つておりますが、それにいたしましても、なお非常に成績が惡い状態であります。從いましてこれにつきましては、今後におきましてよほど私ども努力を要すると考えております。更正決定につきましては、先般主として営業所得を中心に更正決定を行つた次第でありますが、これにつきましても若干見直して、やはり來年の一月の申告状況次第によりましては、二月に再び更生決定を必要とするのではないかと考えております。これはあくまでも一年間の実績に顧みまして、相当の調査をした上で、税法上所得があるという前提の上にやるわけであります。さようなつもりでございますから、單に予算のふえたということでなくて、現実に所得を捕捉いたしまして、さきに更正決定いたしましたものと相当差がある場合には、再び更正決定をやる。さようなわけであります。農業所得につきましては、現在のところまだ更正決定をいたしておりません。これにつきましては來る一月にあらゆる宣傳等をやりまして、極力申告で納まるような方向に持つて行きたいと考えておるのでございますが、実際問題といたしましては、相当の更正決定はせざるを得ぬ実情に相なるのではなかろうか。さような場合に対処いたしまして、各般の調査を目下進めておる次第でございます。一番問題なのは申告所得でございますが、あらゆる努力を傾注して予算額を確保いたしたい、かように考えております。その他の租税につきましても、それぞれ最近までの歳入状況等を見込みまして、今度の自然増收の計算をいたしたわけでございます。法人税等も、昨年に比べますと相当成績がよろしゆうございます。本年におきましても相当の成績を上げております。追加予算額を入れました額でも、十月末で約三割八分程度の成績をあげております。その他織物消費税、入場税各税につきましても、できる限り実績を檢討いたしまして、それに若干の見込みを立てまして、相当歳入に確実であるものをこの予算に計上いたした次第であります。さような次第でありますので、現在の状況といたしましては、申告所得税につきましてあらゆる努力を拂わなければならないと考えておりますが、その点がもちろん所期通りの成績を上げますならば、大体において今度提出いたしました予算額の確保が可能であると考えております。
#150
○大原委員 相当の滯納があるように傳えられておるのでありますが、もちろんあるでありましよう。これらの滯納はこの十二月のうちに強制執行してとるというふうにも聞いておるのでありますが、この強制執行をやると、中小企業には相当倒れて來るものがあると思います。これはあまり重い税をかけられて、そのために倒れるというような非常に犠牲のものも出て來るのではないかと思うのでありますが、これらの滯納の原因のおもなるものは何か。どういうふうに御観察であるか、ひとつ教えていただきたいと思います。
#151
○平田(敬)政府委員 滯納が相当多いことは御指摘の通りでございまして、十月十日現在で一つの調べがございますが、それによりますと、滯納の総額が二百七十一億円程度になつております。このうち財産税とか戰時補償特別税という特別の租税を除きすと、二百三十九億円という額に相なつております。その中でなかんずく多いのは所得税でありまして、所得税が百七十九億という数字に相なつております。これが原因といたしましてはいろいろあると考えますが、相当負担が重いのに対しまして、最近なかなか金繰りがうまく行かぬという点が大きな原因ではないかと思います。しかしながらそれと同時に、もう少し納税するという積極的な心構えをとつていただきますれば、あるいはこの中には相当納まる部分もあるのではなかろうかと考え、私どもも極力あらゆる方面から対策を考えまして、税の円滑なる收入を確保したいと考えております。
#152
○大原委員 公務員の年末調整については、何とかするというお考えが政府にあるようでありますが、どういうふうにその点を考えておられますか。また生活補給金は出すつもりなのか、予算のやりくりをしてでも何らか措置するものか、この点をひとつお知らせ願いたいと思います。
#153
○泉山國務大臣 大原さんにお答え申し上げます。年末調整について、政府におきましてはせつかく立案を急いでおります。
 なお生活補給金、この点はよく具体的に承らぬと申しかねるのでありますが、もしも三千七百円ベースがその設定の当初より誤謬がある、さようなことからの生活補給の意味でありますれば、すなわち七月から十月まで、かようなことでございますれば、それはことごとく新給與ベースの設定の上に考慮をせられているものである、かように御理解を願いたいのであります。
#154
○大原委員 今度のこれは建設大臣の方かもしれませんが、土地沈下の予算が災害対策費の中に入れてあるのか、もし入つておればその額をお知らせ願いたいことと、次に大体統制のとれるものはとると言つておられますが、どんなものをとるお考えなのか、また統制を一面強化するということであるが、どういうものを強化するお考えなのか、これをお知らせ願いたい。
#155
○泉山國務大臣 統制を強化すべきもの、統制をはずすべきもの、かようなお話でございますが、私、経済安定本部総務長官として、その経済並びに財政の施政演説を申し上げた中にもございます通り、その強化すべきものは、もとより今日におきまして必要欠くべからざるものに限定をいたしておるのであります。その領域におきましては断然これが統制の度を強め、その方策についてはなお一層の強化をいたす、かようなことでございまして、統制の撤廃の面におきましては、あるいは今日もはや統制の必要なきもの、あるいは害あつて益なきもの、あるいはまたその手続があまりに煩瑣にすぎるとか、多々弊害を伴つているものもあるやに考えられますので、かような具体的な問題について、今日一層檢討を加えて、一日も早く実施に移したい、かような構想であります。しかしながら他の半面におきまして、野菜のごとき問題は、時期的に当面の問題として最も國民の関心を寄せる点でありますので、これはにも統制を撤廃せんとする勢いであります。
#156
○大原委員 統制のとれるものはどういうものなのか、統制を強化るものはどういうものか、その名称をお聞きしたいのでありますが、これは今決定しておらぬというのでありますか。
#157
○泉山國務大臣 重ねてお答えを申し上げます。ただいまのお話は各品目についてのお尋ねのようでございましたが、これはよく取調べましてお答えを申し上げたい、かように考えます。
#158
○後藤委員 議事進行について……。
#159
○上林山委員長 質問を続行願います。
#160
○後藤委員 議事進行の方が優先的だ。
#161
○上林山委員長 後藤君。
#162
○後藤委員 私は委員会の権威のために、委員長としての見解をこの機会にお尋ねしたい。私が青果の統制撤廃について農相に質問したときには、少くとも野菜等は冬枯れ等があつて二、三月にはこれはやることができない。將來といえども適当に考えなくてはならぬ。ことに私が質問をいたしました配給ルートは残しても、せめて鮮度の保持の上から言つて價格操作がむずかしいのであるから、統制ルートを残して價格だけでも撤廃したらどうか、何とかそういう方法も研究したい、こういう所管大臣の答弁であつたのであります。しかるに安本長官は今にもやりたい、実に無責任きわまる暴言であり、政府としての施策の眞摯性も欠いているし、また委員会を愚弄するもはなはだしいと言わざるを得ないのであります。かような政府の答弁の食い違いについて委員長はどうお考えなのか、この処理をつけられた上で、私どもは委員会の議事を進行いたしたいと思うのであります。
#163
○上林山委員長 ただしいまの後藤君の議事進行に関する意見について、委員長として見解を表明いたします。委員長は委員会の委員長でありますので、政府側の答弁の食い違いに対しては責任ありません。但し適当な機会に、食い違いを速記録を見て発見いたしましたならば、両大臣の答弁をさらに要求したいと思います。そういう意味合いにおきまして御協力願いたいと思います。
#164
○後藤委員 私は速記録を調べる必要はないと思うのであります。たつた一時間も経たない時間的経過のその間に、この二つの同一政府の國務大臣の答弁が食い違つておるのであります。かようなことでは私どもはまじめに審議を進めることはできないと思うのであります。ただいま泉山安本長官の今にもやりたいと答弁されたことが眞意であるかどうか。また農相の答弁が眞意であるかどうか、これをただされた後に私は議事を続行いたしたいと思うのであります。
#165
○上林山委員長 大藏大臣、ただいまの発言に何か御答弁がありますか。
#166
○泉山國務大臣 議事進行に関しましての後藤さんの御発言に私からお答えを申し上げます。私の先ほどの答弁はまことに眞実を申したのであります。いろいろ野菜と申しましても多々あるのでございまして、その点は先般御了承と思うのでありますが、その野菜の統制の撤廃につきまして、一日も早からんことを期待するとともに、一日も早くこれは実現せられるものというような見通しをつけておるのでございます。率直に申し上げたにかかわらず、何かよほどそのことが御機嫌を害したというようなことで、私たいへん意外に感じておるような次第でございます。
#167
○後藤委員 委員長にさらに議事進行について申し上げたいのであります。ただいま安本長官の御答弁を聞いておりますと、私は率直に眞実を傳えたと言つておられるのであります。農林大臣は、少くとも野菜は冬枯れ等があつて、平時でも價格の非常に高騰するときである、いわんや今ただちに撤廃するということは考えられない、と述べておられるのであります。安本長官と所管大臣の答弁と、議員はいずれを正当と判断するのが適当でありまするか。委員長の御見解を伺いたいのであります。
#168
○上林山委員長 委員長の見解をただされれば、委員長としては、先ほど申し上げたごとく、両大臣の答弁を適当な機会に要求いたしまして、その帰結を得ることが適当であろうというふうに考えますので、ただいま農林大臣を呼んでおります。しかるべく御了解願います。
#169
○後藤委員 私はさようなことでは審議を続行しかねると思います。少くともただいま起つた食言問題でありますので、ただいま即刻御調整になりまして、政府側として統一せる態度を表明された後に、私どもは審議を続行したいと思います。從いまして、この際休憩せられんことを望みます。
#170
○上林山委員長 五分間休憩いたします。
    午後六時十二分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後六時二十一分開議
#171
○上林山委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 この際委員長として政府側の答弁を要求いたします。
#172
○泉山國務大臣 私の答弁を求められたのでありますが、私は先ほど申し上げた通り、野菜のある部分につきましてこれを急速に撤廃したい、今日目下しきりに折衝を重ねております。まあそこまでそういうことを申し上げたのでありまして、ただいま周東農林大臣との間に話を承れば、その間には別に私の申し上げた範囲においては食い違いはないようでありまするので、どうぞこの点十分に御了承願いたいと思うのであります。
#173
○周東國務大臣 ただいま大藏大臣が答弁いたしましたと同樣であります。先ほど後藤さんの御質問に対して、私は最近におけるかぶ、だいこん、菜つぱ類の非常な増産と、それによつて産地における非常な値下りがある現状において、これらについてははずすことはよろしいと思うけれども、二月、三月の端境期と申しますか、冬枯れの時期を控えておりますので、その切り拔けのときを考えたいと申しましたのでありますから、食い違いはないと存じます。
#174
○大原委員 私は統制の問題は意地惡くお尋ねしたわけではないのでありますが、ただいまの御答弁によると、統制のとれるものは早くとる、統制を強化しなければならぬものは強化すると御演説がありましたので、さだめしこれについては相当具体的に進んでおるものと考えたのでありますが、ただいまの御答弁によりますと、別に具体的なものがなくして、それだけを御演説なさつたということだけだと私は解釈いたします。
 次に食糧の問題でありますが、この食糧も種類にもよることでありますが、大体また輸出をする國にもよることでありますが、この食糧は一体何ほどの價格で購入しておるのかということをひとつお教え願いたい。
 次に砂糖の値段も何ほどで輸入しておるかというこの値段をひとつ教えていただきたいと思います。私の質問はこれで一應打切ります。
#175
○周東國務大臣 これは大原さん御承知の通り、食糧に関しましてはガリオア・フアンドでアメリカ陸軍省の予算でもつて決定されたものが日本に輸入される。日本では貿易資金特別会計の方に入つておりますので、それらについて幾らで購入しておるかということはちよつとわかりません。
#176
○大原委員 砂糖はどうですか。
#177
○周東國務大臣 同樣であります。
#178
○大原委員 それならば一体今の外國から入つて來た食糧の價格に対して、どういうような算定をされているか、さつぱり基礎がないのでありますが、何か基礎はあるのでありますか。
#179
○河野(一)政府委員 ガリオア・フアンドで入つて來ますものをそのまま貿易資金に入れまして、國内に賣る方は國内の生産者價格で賣つておるわけでありまして、向うからの買入價格というものを特にきめておるわけではないのであります。
#180
○大原委員 答弁が落ちておるのがあるのですが、土地沈下の予算が災害費に入つておるかどうか。
#181
○河野(一)政府委員 土地沈下の予算が入つておるかどうかというお尋ねでありますが、これは淀川の関係の分とそれから南海震災、高知縣その他と両方あつたかと思いますが、ちよつと金額は書類を持つておりませんので、具体的なことははつきりいたしておりませんが、今度の予算に計上してあります。
#182
○大原委員 後ほど金額をひとつ知らしてください。
#183
○上林山委員長 大藏大臣に対する質疑を続行いたします。田中織之進君。できるだけ簡單にお願いいたします。
#184
○田中(織)委員 私は実は先ほど本会議で大藏大臣にいろいろお伺いをいたしたのでありますが、この点に対する御答弁が、ちようど大藏大臣は質問中におられなかつたので、後ほど速記録を見てお答えくださるということでございますが、再質問申し上げましたいわゆる勤労所得税の年末調整の問題であります。これはきわめて緊急を要する問題でございますので、この機会に大藏大臣にお伺いしておきたいと思うのであります。私の手元に参りました全逓の調査によりますると、二十三年度の所得税の年末調整額が局長、課長、係長、事務員とわかれておりますが、たとえば四人家族の事務官を例にとつてみますと、十一月分、十二月分の給與を新ベースで予想して、五割額を計上したもので一月から十二月までの給與の総額が十二万二千四百十八円七十銭に相なるのであります。それに対して現在までの納税額が一万三千九百八円五十銭ということに相なつております。ところが年末調整の関係から出て参ります税額が、この四人家族の事務官にいたしまして二万百六円ということに相なりまするので、結局この年末調整を十二月に行われるといたしますと、差引六千百九十七円五十銭を拂わなければならないことになるのであります。そういたしますと現在の給與の関係から申しますならば、ほとんど十二月の手取りはないという結果に相なるのでありまして、この問題は現在のこの予算に盛られておりまする五千三百円が、しかも十一月から支給するということに相なるといたしますならば、一体官公労働者はどうして年を越すかという重大なる生活問題に直面しておることに相なるのでありまするが、私らの党としましては、もちろんこの現在の予算の五千三百円には絶対反対でございます。本日人事委員会からも重ねて正式の発表がなされておりまするように、最低人事委員会案の六千三百七円を予算化しなければならない義務が当然政府にある。社会党としてはあくまでも社会党のいろいろ財源等をも見合いました六千六百円をもつて、この予算を修正しようというわれわれは具体的な準備をいたしておるわけでありますが、しかもその問題につきましては、われわれは七月にさかのぼつてのいわゆるバツク・ペイを考慮に入れてかからなければならない、こういう主張を持つておるのでありまするが、かりにこの予算の通りに万が一決定に相なるというような場合になりますと、それでなくても年來の税金調整のために、十二月分の手取りがほとんどなくなるというような窮状に官公労働者が追込まれる。これに対して大藏大臣としていかに対処せられておるか。この機会に明確にその方針を承つておきたいのであります。
#185
○泉山國務大臣 先ほど田中さんから本会議におきまして御質問があつたのでありましたが、私はこちらにおりましたのでそれを承らなかつたのであります。ただいまその一端を再びお尋ねにあずかつたのであります。年末調整は税金の調整でありますので、一應法律上当然のことであるのであります。しかしながらその反面におきまして現実の実情におきましては、ただいま田中さん御指摘の通り、とにかく十二月の月にまとめて税金を徴せられる、かようなわけで現実にもしもその税金がその月の月給の中から拂うという形のみを申しますならば、御指摘の通り相当額をとられるのであります。しかしながらまずこの際その前提を確かめなければならないことは、田中さん御指摘の通り、月給の全額をとられるようなものはないのであります。大体におきまして平均値におきましては相当低いのであります。しかしながら政府といたしましては低い高いにかかわりませず、とにかくそれが痛いのは人情のしからしむるところ、かようの点に思いをいたし、今日この税金調整に対する問題については、その具体的のしかも適切なる方途について、鋭意研究を進めておりまして、近く成案を得るはずでございます。さよう御了承願いとうございます。
#186
○田中(織)委員 その点は今鋭意研究を重ねておるということでございますが、これは年末差迫つておる問題でございまするから、私はこの予算の成立と前後いたしまして、すみやかに処置をしていただきたい。ただいまの大蔵大臣の御答弁にありましたように、十二月分の月給から必ずしも差引かなければならないというわけでもないように承りましたので、私がこれから御質問申し上げまする越年資金の関係もにらみ合せなければならぬ関係がありますので、これは法律できまつて当然拂わなければならないものであることは私も認めておるのでありまして、とりあえず越年資金との関係からにらみ合せまして、これを年内はたな上げいたしまして、年度末までの間に適当になしくずし的にこれを行うというような御処置に向つて、最善の御努力をお願いしたいのであります。
 次にお伺いしたいことは、これは現在の給與予算とも関連を持つのでございまするが、政府がこの追加予算に組んでおります五千三百円をかりに是認するといたしましても、これは十一月から支給せられるのでありまして、現在の給與との差額というものはわずかしかならないのであります。またこれをわれわれが主張いたしますように七月にさかのぼつて、しかもベースを社会党の六千六百円あるいは人事委員会の六千三百円にするといたしまして、七月にさかのぼつてこれを支給することになりますれば、差額は当然相当の金額に上ることは必至であります。しかしながらこれは官公労働者の立場から申しますならば、当然取得し得べかりしところの金でありまして、われわれが年を越すにあたりまして、在來の関係から申しましても、こうしたものとは別箇な形において、相当多額の越年資金を要することは、大藏大臣も御同樣経驗せられておるところであると思うのであります。昨晩私の所へ大阪逓信局関係から代表者が見えまして示されたところによりますと、どうしても越年資金、生活補給金として手取り本人平均して一万四千円、家族一人約五千円を支給してもらわなければならないということに対しまして、大阪逓信局関係のほとんど全從業員が署名をいたしまして要請書を持つて参りました。これは明日逓信大臣あてに提出いたすことに相なつておるのであります。この額の問題については御議論があろうかと思いますけれども、私は今申しましたような観点から、当然今度の予算における給與に関する処置と別箇な形において、この越年資金について御考慮を願わなければならない段階に來ておると思う。ことに全逓のごとき現業におきましては、六日の給料日をどうしても四日あるいは二日に拂わなければ、実際に仕事が動かないという実情にあるのでありまして、私はこの問題の解決はきわめて緊急性を持つておると考えるのであります。現在提出いたしております予算とは別箇な立場に相なりますが、越年資金の問題について大藏当局においては、具体的に何らかの対策を樹立せられつつあるか、この際大藏大臣から明確にお答えを願いたいと思うのであります。
#187
○泉山國務大臣 田中さんにお答えを申し上げます。今回官公吏諸君の新賃金ベースを定めましたにつきまして、人事委員会の勧告に基く六千三百円なにがし、これに対しまして、これに見合うべきものとして今日におきましては五千三百三十円を適当とする、かようの観点に立つてこれを修正いたしたのであります。この意味合いにおきまして給與の構成、給與の性格からこれを御理解願えることと思うのであります。この意味におきまして越年資金の問題は、これらの点を考慮いたされているものと御理解願わなければならない段階にあるのであります。政府におきましてもその点については深き同情を持つのでありますが、たびたび申し上げます通り、新給與ベースの性格、骨格につき深い御理解を賜わりたいと思うのであります。
 なお賃金の六千三百七円の御主張につきたびたび言及せられたようでございますが、政府におきましては全國勤労者諸君のためにあえて多言を用いるのは、今日におきまして五千三百三十円こそ勤労者のためである。何となれば、われわれは今日勤労者の生活に対して、深き同情と理解と熱意を持つのでありまして、かようの観点に立つて、いかにしてその実質賃金を確保するか、この点について実情を披瀝いたしている次第であります。いたずらなる名目賃金の追求に対しては断固反対するものでございます。もし財政面におきまして六千三百七円といたします場合におきまして、さらに三百億以上の財政負担と相なるのでありまして、いかなる点に財源を求むるか。もしかりにその財源を求むるとしても、はたして物價の面に影響なきやいなや。しかりしこうしてその賃金の面に影響なきやいなや。私はその点について深く國民諸君の御理解を得たいと思うのでありまして、まことに多言を要しはなはだ朴済まぬ次第でございますが、決して五千三百三十円は、言うがごとき消極的なものでないということを披瀝いたしたいと思うのであります。
#188
○田中(織)委員 私のお伺いいたしました、五千三百円ベースをかりに是認するといたしましても、別個に越年資金について何らかの処置を講じてやらなければならぬ情勢、これは大藏大臣もそこにおられる閣僚諸君もひとしく認められる事実であると思います。この問題についておそらく財源の点できわめて困難な情勢に置かれていることは、われわれは一應了解できるのでありまして、その点についてなお格段の努力をすることについて、この際何らの御返事を承ることができないのはきわめて遺憾であります。ただいまの御答弁から推量いたしますと、五千三百円の問題でも、財政的な関係から見まして最高の限度であるから、それ以外に生活越年資金等のごときは何ら顧慮することはできない、こういう意味に承つていいのでありますか。
#189
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。ただいまの田中さんの重ねての御質問、その御熱意に対しては敬意を表するのであります。しかしながら先ほども申し上げました通り、今回の人事委員会の勧告の給與の骨格につきまして、それに近代性を多分に織り込んだ性質のものでございますので、その点につきまして政府の先ほど申しました越年資金に対する熱意、かようの点とのその間の関連につきましては、田中さんにおきましても十分御理解賜わりたいと思うのございまして、政府におきましても熱意においては今日なおこれを有することを明言いたしたいと思うのでございます。
#190
○田中(織)委員 その点については大藏大臣並びに現内閣の最大限の努力を要請いたすものであります。
 最後に一点お伺いしておきたいのは、國家公務員法第二十八條の関係から、これは人事院の内閣並びに國会に対する勧告を規定した問題でありますが、その第一項にこの法律に定められる給與その他の基礎事項は、社会一般の情勢に適應するように、國会により随時これを変更することができるというようになつておりまして、われわれは人事委員会が本日重ねて総理大臣並びに衆参両院議長あてに人事委員会案の勧告をただちに採用することを要請した発表がなされている点からも、またその中におきまして、給與の問題についていろいろ異論があるようでありますが、しかしそれらは人事委員会案を除いた以外は取るに足らないということを、はつきり人事院の声明にうたつているのであります。そういう意味からわれわれは別の委員会にかかつております給與に関する法律案を、その人事委員会の線において修正決定するという態度を堅持いたしまして、その修正の実現を確信しているものでございますが、その場合には大藏当局におきましては、給與に関するこの予算を組みかえる用意があるかどうか、この点を明確にしておいていただきたいのであります。
#191
○泉山國務大臣 お答え申し上げます。今の國家公務員法の第二十八條のことでございますが、今回の政府案に対しまして、人事院の勧告の案に修正いたされました場合のお尋ねでございましたが、先ほどから私がるる申し述べました通り、五千三百三十円の案こそ、今日最も適当なるものであるという信念の上に立ちます限りにおいて、さようなことは予定いたしておらないのであります。
#192
○上林山委員長 速記をやめてください。
#193
○上林山委員長 速記を始めてください。
 御承知の通り本予算の緊急性は委員諸君の御承知の通りでありますので、鋭意御協力を願いたいわけでありますが、ただいま懇談申し上げました通り、できるだけ明日午前中に一應質疑も終るという氣持で、積極的な御協力を願うことにいたしまして、明日は午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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