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#1
第004回国会 本会議 第5号
昭和二十三年十二月七日(火曜日)
 議事日程 第四号
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 人事官に淺井清君、山下興家君、上野陽一君を任命することについて同意を求めるの件
 國務大臣の演説に対する質疑
    午後二時十七分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、人事官に淺井清君、山下興家君、上野陽一君を任命することについて同意を求めるの件を上程されんことを望みます。
#4
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 人事官に淺井清君、山下興家君、上野陽一君を任命することについて同意を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。人毎委員長角田幸吉君。
    ―――――――――――――
    〔角田幸吉君登壇〕
#6
○角田幸吉君 ただいま議題となりました人事官に淺井清君、山下興家君、上野陽一君を任命することについて同意を求めるの件に関する本委員会の審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、十二月二日、本委員会に付託されたのでありまして、本委員会におきましては、十二月四日以來、連日にわたつて委員会を開催し、人事官の地位の重要性にかんがみ、まず本件について政府委員より詳細なる説明を聽取し、さらに上述の三君の履歴書及びその他の資料について愼重審査を行い、本日、本件を討論に付しましたところ、民主自由党の根本龍太郎君及び民主党の生悦住貞太郎君より、三君を人官に任命することについて同意を與うるに賛成する旨の発言があり、次に日本社会党の島上善五郎君、労働者農民党の玉井祐吉君、社会革新党の田中健吉君及び第一議員倶樂部の相馬助治君より、三君を人事官に任命することに同意を與うるに反対する旨の発言がありました。
 賛成意見の主なる内容は、三君は、臨時人事委員会発足以來その運営に当り、また新しい人事院の運営方針にも即應する人物と考えられ、またさらに各般の客観情勢を勘案して適任者とするものであるというのであります。次に、反対意見の主なる内容は、國家公務員法によれば、人事官はきわめて廣汎な職務権限を有し、從つて同法は、その資格については嚴格な要件を定めており、一面また同法は、公務員の労働運動に対して大きな制約を設けるものであるから、まず何よりも、人事官は労働運動及び賃金問題に対して深い理解と識見とを有する人物でなければならない、この見地から主君は適格性を欠くものと考えるというのであります。
 引続いて採決の結果、多数をもつて本件は同意を與えるべきものと決定いたした次第であります。
 以上、簡單ながら委員長の報告といたします。
#7
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本件は同意を與えるに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#9
○議長(松岡駒吉君) 國務大臣の演説に対する質疑に入ります。辻寛一君。
    〔辻寛一君登壇〕
#10
○辻寛一君 民主自由党を代表いたしまして、吉田内閣の施政方針に関し、わが党の立場を明らかにしつつ若干の質疑を試みたいと存じます。
 現内閣は、申すまでもなく民主自由党よりなる單独内閣であります。議院内閣制が確立されてより、内閣の入れかわること、ここに四たびである。しかも、單独内閣はこれをもつて嚆矢といたします。けだし、議院内において過半数の勢力を占むる政党の出現せざる限り、連立政権またやむを得ないが、しかし、それにはおよそ限度というものがあります。政党の性格において大同小異であり、その主義政策の傾向においてほぼ相似たるものが寄つて組織する連立政権ならば話はわかる。すなわち、第一次吉田内閣の当時、自由党、進歩党の連立政権であつたごとき、これであります。しかるに、その後の、片山内閣、芦田内閣は、いずれも根本的に主義政策の違う間柄である政党が寄り合つてつくつた連立内閣である。かかる、生れながらにして不自然なる連立内閣の常として、結局中途半端な政策でお茶を濁すのやむなき実情を暴露し、完全に國民の不満と不信を買つたことは、けだし当然でありまして、時に中道政治などと、もつともらしく笛を吹いてみても、国民がこれに和しておどらなかつたのは、ゆえあるかなと存じます。
 国民は旗幟鮮明なる單独内閣の出現をまつこと久しかつたのであります。すなわち吉田内閣は、たれに氣がねもいらぬ、水入らずの單独内閣である。在野時代の公約を敢然として実行に移す熱意と勇氣を國民は期待いたしておるのであります。吉田首相の施政方針演説において、さらに泉山経済安定本部長官の経済演説におきまして、ある程度その氣魄はうかがい得られましたが、まだまだ足らぬ。從つて、さらにこの点を國民の前に徹底的に明確ならしむるために、わが党かねての主張をここに宣明しつつ、これに対する政府の率直なる所信をたださんとするものであります。
 しかして、それに先だつて、まず念を押して置かなければならぬのは、國会解散についての政府の信念のほどであります。施政方針演説の冒頭に首相が宣言されたごとく、過日政府と主要なる野党間に成立いたしました協定により、追加予算案提出の日より二週間を経て野党より出す不信任案の通過をきつかけとして、一路解散に突入する手はずと承り、信を國民に問う日がいよいよ近づいて参つたことを喜ぶものでありますが、ただ、ここに一抹の不安を感ずるのは、協定成立後、公務員法改正をめぐつて社会党の不信行爲に目のあたり接したわれわれは、解散回避のためには再び協定を弊履のごとく捨てて顧みざるの挙に出るのではなかろうかとの疑念を抱かせられるのであります。万一さような事態が生じた場合において、政府はいかなる態度をもつてこれに処せんとするのであるか。ここまで承つておかねばならぬほど、生き馬の目を拔くような、ゆだんのならぬ政界の今日を悲しむものでありますが、人を見て法を説かないと思わぬ不覚をとることを念頭に置いて、解散の初一念を貫徹するに万全の策を立てられねばならぬと存じますが、これに対する首相の決意を明らかにされたいと思うのであります。(「首相はいないぞ」と呼び、その他発言する者あり)首相は、ただいま御不在のようでありますから、他の閣僚よりこの由をお傳えいただきまして、直接首相の御答弁を得たいということを要求いたします。
 なおこの機会に、朝野をあげて論議されておりまする解散権の根拠について、政府の憲法解釈を明らかにされておきたいと存じます。まず、これをお伺いいたしまして、順次問題を追うて質問に入りたいと思います。
 第一に、綱紀の粛正に関してお伺いいたします。吉田内閣が、組閣の第一声においても、また重ねて一昨々日の施政方針演説においても、政界、官界財界を通ずる綱紀の粛正を強調されたることは、心から賛意を表するものであります。今や日本の政界、官界、財界は、見るにたえぬ醜状を白日のもとにさらしているのでありまして、芦田内閣退陣のもとをなした昭電疑獄問題を初め、炭鉱國管事件、繊維疑獄等等、とどまるところを知らぬ醜悪なる不正事件は徹底的にえぐり出して、各界にひそむ毒血の一滴までも洗い清めなければ、首相のいわゆる健全なる民主政治の確立は、とうてい望み得ないでありませう。吉田首相は、與党野党の別なく断固として不正を糾明すべしとの決意を披瀝し、特に官界の腐敗に対しては、綱紀粛正委員会を設け、粛正工作を行う意向のように組閣直後発表されましたが、これは一体どうなつたのか。
 大体、どの内閣でも、組閣の第一声として綱紀粛正をうたわないものはなかつたのでありまするが、それだけでは、新内閣おきまりの御祝儀的あいさつにすぎません。かつて片山内閣は、官界刷新要綱をつくり、行政監察委員会を中央・地方に設けて、官界の能率向上、綱紀粛正をその一大看板としたのでありますが、その実際はどうであつたか。一片の口頭禪と化し、今日のごとき事態を現出したではありませんか。思えば、これも当然のことであろう。閣僚の中から続々疑獄に連座する人を出すようでは、どんなりつぱそうな委員会をつくつてみたとて、百日の説法へ一つということになる。たとい吉田内閣によつて、予定のごとく綱紀粛正委員会が生れても、片山内閣がつくつた行政監察委員会の二の舞いを演ずるようなことでは、それこそ屋上屋を架する子供のいたずらにすぎません。少くとも内閣全体の責任として、身をもつて綱紀粛正の先頭を行くだけの威信と政治力を示さなければならぬと存じますが、綱紀粛正の具体的方策と政府の信念決意のほどを、つつこんで承つておきたいと存じます。
 第二は、行政整理の問題であります。これも、歴代内閣にして行政整理を唱えざるはなく、しかも断固として行政整理を行つた内閣あるを聞きません。いずれも一片の掛声に終つている。これによつてみても、行政整理がいかに今日の日本にとつて緊急な課題であるかということを立証するとともに、またいかに行政整理が言うべくして容易に行われがたい微妙な難事業であるかということを物語つておると存じます。官公翼の数は、現在二百六十万と推定されております。地方を除き、一般、特別会計の予算定員だけとつても、一般会計四十七戸、特別会計百二十万、合せて百六十七万に上つております。国民は重税にあえいでいる。やせさらばえた國民経済の上に、かような尨大な官僚機構を支えて行くことは、実に国民にとつて、耐えがたき負担であります。官吏亡國論が盛んに唱えられるのも、むりからぬ次第と存じます。
 元來、行政整理には二通りの意味があり、行政機構の簡素化と人員整理とにわかつわけであるが、二者いずれも切つても切れぬ不可分の関係にありまして、行政機構の簡素化と相まつて人員整理も行われ得るわけでありますから、在野時代からいわゆる行政整理の断行を強力に主張して來たわが党内閣が、いち早く行政簡素化について具体策を練りつつあることは、当然であります。しかし、從來の例にかんがみ、ゆだんのならぬのは、とかく最後には官僚のお手盛り案に牛耳られて、さて実行の段取りとなると、簡素縮小化の目標が、いつの間にやら複雜拡大化の現実にすりかえられて來たことであります。論より証拠、内閣に列する直前までは行政整理の急先鋒として自他ともに許した民主党の北村徳太郎氏が、一たび大臣となるや、ために首切り大臣來るとばかり、そのおもむくところ鬼のごとく恐れられたが、一体どんな行政整理の実をあげたであろうか。逆に片山、芦田両内閣を通じ、行政機構は複雜化し、役人はその数を増したのが、現実の姿であります。
 一体、行政整理が言うべくしてなかなか行われない眞の原因は、統制経済そのものに内存する矛盾にあることを知らねばなりません。官廳機構の拡大、官吏の増員を宿命的に必要とする統制経済と、官廳機構の縮小、官吏の減員を使命とする行政整理とは、生れながらに背中合せの道理であります。すなわち、統制を整理して順次自由経済の方向へわが國の経済体制を切りかえて行こうとするわが党にして初めて可能な仕事であると言わなければなりません。しかも一方、多年にわたる鉄壁の備えと、時に根強い反撃力を発揮する官僚組織の中へ馬を乗り入れて行政整理の実をあげ、もつて國民の負担を軽減し、高賃金、高能率の原則を打立てるには、並々ならぬ勇氣と政治力を必要とするのでありますが、これに対する現内閣の所信とその具体策を、特に岩本行政管理廳長官から、はつきり示していただきたいと存じます。
 次に、労働対策についてお尋ねいたします。労働対策は、現下の重要問題であり、かつ日本経済再建の中心課題をなすものと思われます。私はここに、主要な諸点について政府の方針と決意とを伺いたいのであります。
 思うに、労働問題解決の中心は、あくまで健全にして民主的な労働組合の質と量との両面にわたる拡大強化でなければならないと思うのであります。そこで政府は、組合の眞の民主化、今後の育成について、いかなる方針で臨んでいるか、その根本的態度を宣明していただきたいのであります。
 次に給與の問題は、これも労働問題解決の中心点をなすものでありますが、さきに人事院から提出された六千三百七円ベースに対して、政府はこれをどう見るか。われわれの考えでは、わが党の主張するいわゆる高能率、高賃金の根本方針から見ても、能う限りこれに近い給與を支給すべく努力すべきであるが、將來にわたり、賃金政策について政府はいかなる態度で臨むか、これを明らかにされたいのであります。同時に、高能率、高賃金の原則を確立するためには、とりもなおさず強力にして総合的な労働者及び事務系統の配置転換を伴わなければならぬ。從つて、これがためには、政府は失業救済の面において強力廣範な準備を整えなければならぬと思うが、この点について、いかなる方策を準備されているか伺いたい。
 さらに、労働関係法規の改訂に関してでありますが、そもそも、労働関係法規の改訂は、必ずしも労働問題解決の根本的、第一義的なものではない。しかし、一度定めた法規は絶対に改めず、改訂はすべて改悪なりと頭からきめてかかるような、一方的な公式論に拘泥する必要はありません。改善なり改正なりと信ずればこそ改めるのであつて、改悪としりつつ改めるばかはない。改正と言い改悪と呼ぶも、所詮は立場の違いにすぎぬ。よろしく情勢の変化に應じて適当に改訂せられることが当然でもあり、正しい行き方でもあると信じます。日本復興のために、労働双方のために必要なりと信ずる改訂は毅然として断行すべきであると思いますが、労働法規の改訂について、政府は当面いかなる態度をもつて臨むか、とくと承つておきたいのであります。
 さらに、電氣、石炭等重要なる公益的事業が、今日爭議の中にさらされ、國民一般の公益が重大なる侵害を受けておる現実に対しては、新たなる角度から國民的批判を加えるべき段階と見られるが、政府は、これらの当面せる現実のストに対して、いかなる方針で臨んでいるか。さらにまた、近き將來の見通しについて率直にその見解を発表していただきたいのであります。
 労働問題については、以上四つの重点についてお伺いいたします。
 なほこの際、電氣・石炭問題に関して、ちよつとお尋ねいたしておきたいのは、鉄道の電化問題であります。国鉄の使用する石炭は尨大な量であり、石炭生産目標の達成がきわめて困難なる実情にかんがみ、鉄道電化による石炭節約は、経済復興に寄與するところ大なるものがあり、なお同時に国鉄の経営合理化ともなると信じますが、今後大規模に鉄道を電化して以上の目的を達成する方途について、運輸大臣の所信を承つてみたいと存じます。
 次に、産業政策について伺いたい。わが國経済再建の課題が、当面インフレの收束に集中されることは、言うまでもありません。しかして、インフレ対策には二通りあつて、一つは通貨面に重点を置く対策であり、他の一つは物資面、生産面に重点を置く対策であります。しからば、わが党はいずれに重点を置いて対策を考えるかというと、通貨は生産関係の結果的表現であるという建前から、すなわち生産関係に安定的要素のできない限り、通貨はいかに工作しても、結局また元のもくあみになつてしまうものであるという観点に立つて、生産面に対する強力政策こそインフレ解決の正道なりと考えるものであります。この観念から、政府の産業に関する諸対策を伺つてみたい。
 まず第一は、統制撤廃に関してであります。泉山経済安定本部長官の演説によりましても、経済安定復興方策の第一條件として、不必要な統制を廃して企業の自主性を確立しなければならぬと申しておられるが、その通りであります。わが民主自由党が、自由主義経済を目標として、統制の緩和排除に向かつて前進を試みんとするのも、一に、わが國の経済安定、経済復興の勘どころが、できるだけ企業の自主性を認め、各個人、各企業の自由な活動を保証し、その創意とくふうを最大限に発揮せしめるところにあると信ずるからであります。日本の経済が一應安定すれば統制のわくを大幅にはずすとは、他のいずれの政党も言うておるところであり、芦田内閣においても、先般百余種の公定價格を撤廃したほどでありますから、きわめて微温的な統制緩和は、たれしも異存はあるまいが、わが党年來の主張とするところは、むりな悪統制が経済安定の速度を不当に阻害している現実を指摘して、経済が安定すれば統制のわくをはずすなどというのではなく、日本経済の安定復興を促進するためにこそ、まず統制の大幅な整理を要するという、根本的見解に基くものであります。
 そこで、わが党の唱うる統制の大幅整理とは、すなわち主食その他の基礎的重要物資若干を除く以外は思い切つて統制をはずすべしという原則論に立つものであります。いたずらに机上の需給状況にあくせくして、小手先でこれを調節しようという、從來の小ざかしき態度を改めよと主張するのであります。人間の自由によつて、わき上がる創意くふうと増産意欲が、いかにすばらしい経済復興の原動力となるかを知るわれわれは、勇敢に思い切つた統制整理の発表される日を待ち望んでやまぬものであるが、これに対する政府の決意と当面の具体策を、いま少し明確に示していただきたいと存じます。なかんずく、わが党主張の先端を行く生鮮食料品の統制撤廃と、供出完了後における主食の自由販賣について、政府の率直なる所見をお恥きしたいと存じます。
 次は、産業合理化の一環として、まつ先に議題に上るのは、言うまでもなく企業整備であります。官界における行政整理とともに、民間における企業整備が必要にして避くべからざるものであることは、つとに認められながらも、容易に手が下されなかつたのは失業対策の不備と政治力の貧困からであつたが、大屋商工大臣出るに及んで、さすが産業人だけに、企業整備は万難を排して強行徹底化する意氣込みと承りますが、大屋商工大臣の言うように、いたずらに社会政策的見地にとらわれていたのでは踏切りがつかぬことはわかるが、さればといつて、不用意に、ただ自然発生的に、手当り次第血刀を振うのでは、いたずらに混乱を拙くのみと思われるが、具体的にどの部面からこの問題の解決に臨もうとするのか、その眞意と構想を承りたいのであります。
 企業整備の主たる対象となるのは、いうまでもなく中小企業であるが、元來中小企業は、口でこそ経済再建の中核体をなすものだなどと叫ばれながら、その実、政治的には從來あまりに等閑視されて來た傾向が多く、先般中小企業廳ができましたが、発足日も浅い状態である。金融面において、資材面において、中小企業の悩みは実に深刻でありますが、一口に中小企業と言うのみで、その実態の調査がまだできいておらないから、ただ企業整備の掛け声で、みそもくそも運命をともにするようなことがあつては、たいへんであると思います。中小企業対策の中心を一体どこに置こうとするか、またどこに置くにしても、効果的ならしめるためには、まず完全な実態調査を急速に進める必要があると思いますが、所見を利いたい。特に中小企業に対する特殊金融の具体的方針、さらにいわゆる大屋商工行政なるものの観点から、石炭國管問題並びに電氣事業再編成の問題について所信と見通しをお聞きしたいと存じます。
 次は、外資の導入と輸出の振興に関して伺いたい。外資導入と輸出振興が、わが國の経済再建に量も必要であることは、言うまでもありません。しかしながら、このためには、まずわが國の経済が安定し、外國資本の安全性と利潤性とが保証されることが絶対の要件でありますから、各種企業の健全化合理化を促進するとともに、價格体系その他経済の全般にわたつて國際経済との調整をはかり、もつて外資の導入に適する経済態勢を確立する必要があると思います。
 そこで、端的に伺つておきたいと思うのは、第一、特に民間外資の導入に関する政府の見通しいかん。第二に、民間外資導入促進のため、外資に限つて免税その他の特権を與える考えがあるかどうか。第三に、外國企業による日本企業の支配を制限する考えがあるかどうか。第四に、外資導入と関連して独占禁止法を緩和する考えがあるかどうか。右の四点を伺つておきたい。なお單一爲替レートの設定については、政府はいつごろ、そのレートはいくらくらいにこれを設定尾する至当と考えているか、また單一爲替レートが設定せられた場合において、國内生産、輸出、物價等に及ぼす影響を緩和するため、いかなる方策をとらんとするか、右の二点について政府の所見をただしておきたいと思うのであります。
 次は、金融対策についてお尋ねいたしたい。今日ほど各方面において金詰まりに悩んでいるときはありません。政府は、この金詰まりの現状を打破するために、いかなる金融政策をとろうとなさるのか。泉山藏相は、金融の健全性を保持しながら、しかも生産の増強、経済の復興に活路を與えるように善処したいと述べられていますが、かような当然過ぎる抽象論では満足することできない。泉山藏相、大屋商相等の経済閣僚が、組閣以來各方面で発表しておられる談話と、一萬田日銀総裁が各地で発表された金融引締め論との間には相当の食い違いがあるように各方面では見ているが、その眞意はいかがであるか。政府は一体、金融緩和と生産増強とインフレ問題との因果関係を、いかなる線において調整しようとなさるのか、具体的な金融対策をお示しいただきたい。
 わが党は、生産第一主義と金融梗塞打開という政策項目を掲げているが、ただ金さえ出せば生産がふえるという素朴な考え方ではない。ただ金さえ引締めればインフレがとまるという公式的な考え方とともに、わが党のとらぬところであります。赤字融資はあくまで排斥するが、企業合理化と並行して、生産に必要な資金は大いに出すべしと、わが党は主張いたしております。藏相の言う弾力性に富む金融というスローガンを、いま少し具体的に御説明願いたいと存じます。
 次は、現制に関し二、三の問題についてお伺いしたい。
 まず第一は、取引高税の廃止についてであります。取引高税が天下の悪税として、即時廃止の輿論が廣がつていることは、御承知の通りである。わが党も、つとにその廃止を天下に公約せるところであり、政府もまた取引高税廃止の根本方針を明らかにしたが、國民は、その廃止の時期の一日も早からんことを待つているわけであります。
 先日泉山藏相は、当議場において、民主党の北村氏と、できることと、できないこととの禪問答においていわく、取引高税のかわり財源調達はまことに容易ではないが、しかし政治力の結集によつては、できないこともできるのであつて、幅のある財政とはこのことであると申されたが、まことにわが意を得たる答弁である。いかにも非常時財政を切む盛りするのに、初めから可能と不可能とをわけて、できないことはできないと手取り早くあきらめ、だから中道を行くというのではまことに心細い。一見不可能と見えることをも、これを可能にするところの熱情と努力こそ、われわれは非常時の大藏大臣に期待するものであるから、その意氣を壯とするものであるが、そこで一歩を押し進め、藏相のいわゆる蛮勇に期待して答弁を得たいと思いますのは、この取引高税の廃止を可能ならしめ得る見通し、すなわちその廃止の時期であるが、ぜひ蛮勇を振つてお答え願いたいと存じます。
 税制問題の第二は、最近國民の間に一大恐慌を巻き起している所得税の更正決定についてであります。予算申告納税制度は、最も自主的な納税制度として理想的ではあるが、現在国民の納税思想の水準に照しては、よほど納税思想の高揚と徴税事務の親切適切を期さなければ、その目的を達し得ない現状であるにもかかわらず、納税者を千篇一律に頭から疑い、官吏の独善によつて更正決定を行うならば、正直者ほどばかを見る政治はここにも行われ、納税思想はますます低下し、かけひき申告を助長し、かけひき更正を盛んならしめ、出すまいぞ、とつて見せるぞと、国民と政府との血で血を洗う爭いはいよいよ激しくならざるを得まいと存じます。かかる憂うべき状態を緩和し、收税の確保を期するためにも、この際民主的なる租税調整機構を確立する立法的措置を講ずる必要ありと、すでにわが党より政府へ進言いたしておりますが、この租税調整に関し、いかなる対策を有せらるるや、お伺いしたいと存じます。
 なお、今回かくのごとく大幅なる更正決定をいたすの余儀なきに至つたおもなる原因は、前内閣が國民所得の確証を把握するに際し、その過大なる見積りのもとに予算を編成したところにあり、勢い收入予算へ帳じりを合すに急にして、所得の実情を顧るいとまがなかつたというところに、すでにしてこの問題の生ずる必然性をはらんでいたと解せられるが、これに対し、現政府はいかなる見解を有し、また將來いかにして方策を立てんとするか、お尋ねいたします。
 さらに税制問題の第三として、料飲店再開について所見をただしたい。吉田首相は、常に裏も表もない公明正大なる政治を行いたいと言われているが、水商賣といいながら、裏と表のあること、これほどはつきりしたものはありません。同じ政府で、表口はほとんど商賣をとめておきながら、裏口でやつたものと見込んで税をかけて來る。ここでも、正直者はばかを見るぞと政府みずから教えておるにひとしい。裏と表のある、これほど不明朗にして不公正な政治がありましようか。食糧の輸入を進駐軍の好意に仰いでいる今日、主食を初め、これに類した食糧はもとより禁ずべきであるが、一定の條件を嚴守せしめることによつて、すでにその実を完全に失つている料飲業禁止令のごときは即刻解除して、容易にとれる税金はどしどし徴收することが、いかに賢明な策であるか、多く論ずる要はありますまい。せめて大衆料飲店は、至急これを再開せしむべきものと思うが、その用意ありや。しかして、料飲店再開により一体どれだけの税源を確保し得る見込みであるか、お伺いしたい。
 次に、文教政策についてお尋ねいたします。総理は、施政方針演説においても特に文教政策に言及し、文教刷新、民主教育の徹底こそ國家再建の根本であるから、政府はできる限りの熱意をもつてその実質的な完成を期したいと述べておられるが、現在地方における最大の問題は、六・三制義務教育の完成であると思います。これがためには、現在のごとき貧弱なる予算、國庫補助の程度をもつてしては、地方農村の貧窮化ますます拍車をかけるのみで、その完成は遠い將來のように感ぜられます。六・三制問題をめぐり、地方財政のやりくり難から、遂に責をとつて辞職する町村長、公職者がいかに多いかを見ても、想像がつくと思います。この際國庫補助の半額制を奮発して、七割補助を実現しなければ、実質的完成を期することはとうていおぼつかないと思いますが、これに対する政府の所見を伺いたい。
 なお次に、明年度から新制大学実施が予定されていますが、各府縣とも、現在の高等專門学校を大学に切りかえるにあたつて、必ずしも地元の希望通りに行かず、相当複雜微妙な問題をはらんでいる地方もあるようであるが、これについて円満な切りかえを完全に行うだけの自信があるか。また、大学法の制定についても目下考慮をめぐらされていると聞くが、明春の新発足に間に合うためには相当急を要すると思いますが、今國会に提案の用意ありや。なお、その法案の骨子について承りたい。
 なお一つ、最も重大なる問題がここにある。というのは、近時教職員の志望者がきわめて少く、現に本年度師範学校志望者のごとき、募集人員の一割にも達しない学校すらあると聞きます。この教職忌避の傾向は、高專、大学に至るまで、とうとうとして今日の風潮をなしている。從つて、無資格教員が六割を占める状態である。大学の数はふえても教授にその人を得ぬというありさまである。國家再建の人材養成に当る教育一界として、これほど憂うべき事態はないが、これというのも、教職員の給與がきわめて惠まれない現下の情勢では、背に腹はかえられぬということより起る悲しむべき現象でありますが、これに対しまして、政府は一体いかに善処する考えをお持ちになつているか、承つておきたい。
 次は農林対策でありますが、まず現内閣における農林行政の基本方針をお尋ねいたしたい。すなわち、食糧を中心とする農産物の生産力を向上せしめ、農林水産業経営の安定を保持するため、総合的見地に立つた能率的にして適正なる施策を講ずるとともに、國土の保全につき、いかなる方策を立てているかということを承りたい。たとえば、まず、第二次農地改革は本年度をもつて一應打切り、第三次農地改革のごときはこれを行わないと言明した政府は、しからば今後における農地対策の中心点をどこに置くか。第二に、從來実効の比較的あがらなかつた向きもある開墾事業を再檢討することによつて、土地改良対策といかにかみ合せて行くか。第三に、近年頻々として起る水害を根本的に防止するためには、單なる目前の災害復旧にとどまることなく、今にして総合的、根本的な治山治水の対策を打立てなければならぬと思うが、その根本方針はいかがであるか第四に、近來、ともすれば、山林についても農地改革同様の措置がとられるのではないかという不安から、山地の保全と林業経営の安定を欠くおそれのあるきざしが、ぼつぼつ見えているがこの際いかにして積極的な民有林対策を推進せんとするか。以上の四点について所見をただしたいと思います。
 今日、農山漁村にとりまして最も切実な当面の問題は、金詰まりと供出と換金の三つに要約されると思います。二年前には、全通貨の半分以上が農村漁村に集まつておつたが、今では二割程度に減少している。この分では、今後一年半もたてば、すつかり底を拂つてしまうという形勢と思われる。しかも、税金を含めて公租公課は、実に農家收入の平均四割三分に達するという調子である。これでは悲鳴のあがるのもむりではありません。この際、農村金融の緩和、農村課税の調整に関する対策が至急立てられねばならぬと思いますが、所見を承りたいと存じます。
 なお食糧対策につきましては、今日のいわゆる米麦中心の食生活を科学的に再檢討して総合食糧主義に切りかえるのが現在の環境にある日本民族將來への食生活の目標でなければならぬと思いますが、その意味において、今日軽視されがちな沿岸漁業、有畜農業に力点を注いで、動物性蛋白給源を確保する根本方策を講ずべきであると考えまするが、これに対する政府の考え方を承つておきたいと存じます。
 最後に、民生対策について伺いたい。まず厚生当局にお尋ねいたしたいのは、社会保障制度についてであります。社会保障制度については、憲法第二十五條に規定せられているところでありますが、國民生活の窮乏化につれ、国民の間からも、本制度実施への要望と期待は時を追うて高まりつつありますが、政府は、これについていかなる具体的措置を講じているか、お答え願いたい。
 なお、海外残留者引揚げの促進と引揚げ同胞及び留守家族の援護厚生については万全の措置を講じたいと、特に総理も施政方針演説で述べておりまするが、終戰後すでに四年目に入つているにかかわらず、引揚げは遅々として進まず、なおソ連地域を主として五十万人に近い同胞が残留しており、四度目の冬を朔北の地で送らねばならぬ悲境にあります。一方、引揚者及び留守家族も、現下の社会経済状態に照して深刻なる様相を呈しつつあるとき、緊急に解決を要する問題も多いと存じますが、これらの対策をいかに進められつつあるか、とくとお尋ねをいたしたい。
 民生対策の最後の問題として、住宅対策についてお尋ねいたします。人間生活に欠くべからざる衣食住のうち、特に住生活は、相かわらず深刻なる社会問題として、迫り來る冬空のもとに大きくさらされている現状であります。建設省の推定によれば、全國の住宅不足数は約三百八十万戸であるが、一戸当り平均五人としても、さしあたり千九百万人が住宅難に直面いたしておるわけでありまして、住宅問題がいかに重大でありその解決がいかに焦眉の急を要するかは、多言を要せぬと思います。住宅復興長期計画も立てられてはおりますけれども、なかなか目標には達しないという話であります。しかもその原因は、資材面ではなくして、一に資金面にあるというのであるから、住宅金融の專門機関を早急に設置して所要資金の融通を行うなり、それがさつそくむずかしいということならば、さしあたりの措置として、特殊金融機関をしてこれに当らせるなりして、一戸でも多く、一日でも早く住宅難緩和に努力をしなければならぬが、その対策はどうであるか。なお、今後の住宅政策上考慮すべき問題として、民営による貸家企業を育成すること、建築統制の撤廃緩和をすることなどいろいろありますが、これら住宅問題に対しまして、一括してその対策を承りたいと存じます。
 以上十数項目にわたつて、吉田内閣施政の根本方針並びに具体的施策について、質問申し上げた次第でありますが、最初に申し上げましたごとく、現内閣はわが党單独内閣であつて、国民はあげて、わが党が在野時代天下に公約したわが党独自の政策をいかに具現するかということについて、多大の期待をもつて、そのなすところを見守つておるのであります。今日国民が政治に信を失いつつある原因の一半は政界の不祥事件にありますが、さらにその大なる一半は、政党が平素掲ぐるところの主義政策を、一朝責任ある地位に立つた場合に、これを実現する熱意と実行力に欠くる憾みが多かつたところに原因すると考えます。すなわち、政治の信用を回復する道は、あくまで政界の淨化と公約実行の二つあるのみであります。自己の政治的責任を明らかにすることを念願されておる吉田首相の決意も、またこのほかに出るものではなかろうと信じます。この場合、明朗健全なる民主政治の將來のために、吉田内閣総理大臣の、これに対する金鉄のごとき決意を最後に望んで、私の質疑を終る次第であります。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#11
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 第一の辻君の御質問は、先般の協定が今後破られたときは首相はいかなる方途に出るかという御質問と承知いたしまするが、先般できました協定は四党の間の公約でありまして、これが今後破られるということは、私は想像いたさないのであります。從つて、破られた場合の方途については、ただいま考えておらないのでございます。(拍手)
 また、ただいま引揚げ同胞の問題についてお話がありました。これは最近の吉報として御披露いたしますが、中華民國が御承知のごとく今日はなはだ不安な状態にあるので、なお戰犯その他の関係から中華民國に残留いたしておる同胞の安否については、われわれもはなはだ懸念いたすのでありますが、最近承知いたしたところによりますと、連合軍司令部においては、特に艦を仕立てて、その日本への帰還について、すでに準備を進めておるそうであります。
 その他の諸問題については主管大臣から答弁いたされるはずであります。
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
#12
○國務大臣(周東英雄君) 辻君の質問にお答えいたします。
 第一の、現内閣の農林行政の基本方針についてのお尋ねであります。現下の情勢と將來の見通しからいたしまして、農林行政の基本は、食糧を中心とする農林水産物の生産力の向上と、農林漁業経営の安定保持ということを中心として立てらるべきものと考えます。御承知のように、現下の農村の実情は、農地改革の遂行によりまして、農村民主化の基盤はすでにできたのでありますが、最近におきまする相次ぐ災害の発生と、地方の減耗、金融の梗塞、あるいはまた、ようやく農漁村における税負担の過重になつて來たというような事柄からいたしまして、農山漁村民の経済はようやく困難な事情になつて來ております。從つて、こういう線から考えますときに、どうしても農林行政の基本は、生産力の向上と経営安定の基本條件を整備するために、総合的見地に立つた土地の能率的利用開発に適正な施策を講じますと同時に、國土の保全につきまして一段と拔本的な施策を立てることが中心であると考えます。
 この観点に立つて考えますときに、第一に、農地改革後における農地政策をどうするかという問題であります。農地改革の施策も、すでに第二次、第二次と進んで参りまして、小作農家に対しまして土地を保有せしめて自作自営農家をつくるという線につきましては、大体この年末ぐらいにおきまして、その目的を達成することになつております。しかし、眞に農地改革の目的を達成させて、この自作自営農家を中心として農業生産力を上げ、農家の経営を安定させるためには、今後の農地政策について相当考えなければならぬと思います。
 その点につきまして、まず第一に考えることは、すべての土地の調査を行いまして、山林とか既耕地あるいは牧野、原野というような、すべての土地につきましての総合利用計画を立てて、その立地の上に立つて農家経営を今後どう持つて行くかということを考えて行かなければならぬと思います。同時に、農地改革の目的はよろしゆうございまするが、その目的遂行の途上において現われた社会的な不合百理な点についての是正を必要とすると考えます。
 第二の点につきましては、ただいまお話がありましたように、農業生産力の増進からいたしますると、何と申しましても土地改良ということが中心とならざるを得ないのであります。既耕地に対する床締、客土、暗渠排水等の実行によりまして、今日生産力の平均以下になつておるところの土地の生産力を増強させることによつて生産増加をはかるとともに、農家経営の安定をはかることが考えられるのでありまするが、この点に関連して考えることは、何と申しましても治山治水の根本を立てることであります。國土の保全、既耕地の保全の上から言いましても、森林資源の確保から言いましても、まず山を治めて相次ぐ災害頻発による既耕地の惨害を防止するという点につきまして基本政策を立てることが必要であると考えます。この点につきましては、政府は、昨年度から立てました五箇年計画によりまして、相当に思い切つた方法によつて治山計画を進め、植林計画を進めたいと存じておる次第であります。
 なお、お話の中にありました開墾に関する点でありますが、この点は、適地を開墾して土地の造成をはかることは必要であると思いますけれども、今までの未墾地開墾につきましては、ややともすると行過ぎの点がありまして、それが治山治水をやらなければならぬ今日におきまして、治水上いかがわしい点もありまするし、既耕地の関連等におきまして、今後は十分に科学的に調査いたしまして適地を嚴選してやりたい、かように考えておる次第であります。
 なお、お話の山林等につきましても、農地改革と同様なことを行つて山林分散の方法をとるというようなうわさが出ておるというので困るがという御質問に対しましては、山林という特殊性にかんがみまして、現在政府として、さようなことを実行することは考えておりません。ことに森林のごとき、経営につきまして長期証貸金の寢る今日におきまして、これらに対しましては、特に金融面につきまして、林業経営の安定上、ある程度國家が助成施設を考えつつ、一面森林組合等を強化いたしまして正常の合理的計画を立て、植栽、伐採等について一つの計画のもとに進めさせたい、かように考えておる次第であります。
 それから食糧の問題について、澱粉主食糧に偏重しないために、蛋白、脂肪を考えた畜産、水産等について考慮する考えはないかという御質問であります。この点は、もとより政府としては、さような方向に向つて進んでおるのでありまして、從つて、水産並びに畜産振興につきまして特殊の計画を立てて今日進んでおるのであります。
 次に、農村における課税、金融の問題であります。先ほど申し上げましたように、今日農漁村における課税の負担は相当に重くなつております。この点につきましては、ただいま大藏当局とも、農漁業所得の計算基準につきまして適正な方法に改善をしていただくように折衝いたしますとともに、先ほどお話がありましたように、進んで所得額決定につきましては何らか諮問機関等を設けまして、民主的の方法によつて、これが内面指導をし、参加するような方法をとつてもらうように、折衝をいたしておるのであります。なお、農漁業を通じての金融問題につきましては、お話の通り、これが中心問題でありますので、あるいは中央金庫を通じまして農業協同組合における信用事業を固める、それに対して必要な資金を政府資金等において考慮するという事柄につきまして、農村村並びに漁村等、ともに考慮いたしておる次第であります。(拍手)
    〔國務大臣岩本信行君登壇〕
#13
○國務大臣(岩本信行君) 辻君より、行政整理をどういう構想で実行するか、こういう問題についてお尋ねでございましたが、実はこの問題は現内閣の重要な政策でありますから、愼重なる研究を遂げつつありますが、実は退職條件及び失業対策というこの重大裏づけについて各方面と折衝中でございますので、この場合お答えすることは、行政管理廳長官事務取扱としての私の構想を申し上げます。しかし、これはやがて閣議の最終決定を経まして政府案とすることに間違いなく努力するのでありますから、そういう意味合いでお聞取を願いたいと存じます。
 まず、人員整理の問題、機構簡素化の問題、しかして事務の間素化と迅速化の問題、こうしたことが伴うわけでありますが、とりあえず人員整理の構想について申し上げます。
 今まで長い間行政整理ということが唱えられましたが、いつの場合でも予算定員ということが標準になりまして、実際の実人員の整理というものは行われなかつたのでありますが、わが國の経済状態の困窮なるこの場合において、しかも待遇改善をはからなければならぬという事態でございますので、最も勇敢に実人員を対象としていたしたい、かように考えます。
 しかして、実人員の関係で申し上げます。もちろん、一般会計の中にも整理から控除されるという國会、裁判所、会計檢査院、警察、消防、檢察、刑務所等のお方もございますので、それらは、もちろん対象から減らします。しかして、現在の欠員の状態も推定いたしまして、最後に残つた問題は、一般会計から原則としては三割の整理、特別会計からは原則として二割の整理を考える結果、結局実人員において三十万五千七百人、こういうことになります。しかして、さらにそれ以外の公團関係、これが二万五千六百九十五人、しかしてこれをさらに推し進めまして、地方公共團体にもこうした考え方によつて協力をしていただく、こういうことになりますと、これが二十四万二千六百八十人となりまして、合せて五十七万四千七十五人という実人員を考えておる次第であります。
 しかして、その前提條件といたしまして、十二月以降の増加は行われず、新しい施設の問題が起ります場合においては今後配置轉換によるということを構想いたしまして、数日中に行政絹繊法が施行せられるまでのストツプ法ともいうべき暫定法案をこの議会に提出する予定であります。もちろん、お話にもありまするように、退職條件及び失業対策というものは容易ならざる事件でございますので、冒頭に申し上げましたように、ただいま各方面の意向を拜聽中でございます。いずれ決定を遂げてげてから具体的のお話は申し上げます。
 次に、機構の簡素化の問題でありますが、これは原則として、各省各廳ともに一つの局以上を減らしてもらう、局はまた一つ以上の課を減らしてもらう、こういうことを考えます。次長制度は廃止する、特に経済安定本部、物價廳の機構に対しましては根本的なる檢討を加えたいと存じます。(拍手)さらに、多年の問題でありますところの出先機関の徹底的整理、各位御賛成の向きでございますが、これを強力に推進したいと考えまして、ただいま私の構想いたしておりますところでは、まず廃止してその事務を都道府縣知事に移讓する問題として、農林省関係で資材調整事務所四十六箇所、木炭事務所四十七箇所、商工省関係で商工局出張所五十三箇所、運輸省関係で道路運輸監理事務所五十二箇所、労働省関係の都道府縣労働基準局四十六箇所、労働基準監督署三百三十六箇所、公共職業安定所四百五十五箇所、これは移讓の意味であります。
 次は、これから申し上げるのは機関の廃止移讓でなくして、廃止の構想であります。(「構想はだめだ」と呼ぶ者あり)実行する予定であります。総理廳関係で地方経済安定局、地方物價事務局、公正取引委員会事務局地方事務所、大藏省関係で財務局地方部、文部省関係で大阪出張所及び教育施設局出張所、厚生省関係で医務局出張所、農林省関係で食品局駐在員、水産廳駐在所、これは廃止の予定でああります。
    〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#15
○國務大臣(岩本信行君)(続) 次に、左の機関は設置を見合せることにいたします。厚生省関係の國立公園監理所、労働省関係の地方労働局、さらに、この前の内閣の閣議で決定せられておりました左の機構は、すみやかに手続を完了することにしたいと存じます。文部省関係の教育施設局都道府縣駐在員、厚生省関係の防疫駐在員、ただいま申し上げました各機関の地方への移讓もしくは廃止もしくは設置見合せ、これを諸君の協力を得て勇敢に実行したいと存じます。
 次に、專務の簡素化、迅速化の問題について、かようにいたしたいと存じます。要するに、経済統制、この制度を、先ほどもお話がありましたように、眞にやむを得ざるもの以外は大幅に整理することによつて、事務の簡素化を期することが第一であります。次は、今日規則攻め、法律攻めになつておりまする現状から考えまして、法令規則の根本的整理減少をはかりたいと考えております。さらに、共管事務を可能的一省にとりまとめたいということであります。しかして、許可認可の日数の短縮――戰時中に行われましたように‥‥(「何日間でやる」と呼ぶ者あり)何日か、一定期間以外は認可ありたるものと見なすというこの行き方は勇敢に取上げたい、かように思うのであります。(拍手)
    〔議長退席、副議長済席〕
賛成の模様でありますから、さらにお靜かにお聞きを願いたいと思います。(笑声、拍手)
 次は、取扱い主任の責任制を強化いたしまして、ただいまの持ちまわりの判こ主義を、きわめて整理をいたしたい、こう考えておるのであります。さらに事務の標準化、機械化――一つの形をつくりまして、交代してもそれが簡明にわかるような行き方、さらに機械化によつて、人の減つたところをこれによつて捕つて行くという行き方を考えるのであります。
 次は、官廳の電話の優先整備と、中央地方とのいわゆる電話によるところの連絡方法をとりたいと思うのであります。
 しかも、ただいままでのことを実施いたしまする方法として、この仕事の事務は行政管理廳と大藏省の主計局とで取扱いたいと思うのであります。しかして、各省は管理廳、主計局と協議の末、一月末までに具体案を作成して閣議の決定を途げたいと存ずるのであります。(拍手)しかして、この構想を窮極において実現いたしまするのは、來年の三月末日までに完了したいと存じます。機構や定員の改正は、四月一日から施行予定の各省設置法及び定員法の中へ織りこむつもりであります。さようにいたしまして、これによつて浮んだ費用というものは、もちろん待遇改善の費用、しかして節約をした予算的の措置を講じたいと存じます。私どもは、五千三百円というものが満点でないことは承知するのでありますが、ただいま申し上げましたようなことを完成することによらざれば、幾らおつしやつても、この理想は到達いたしません。この意味において、これは政党政派を超越して御支援、御協力を願いたいと存ずるする次第であります。(拍手)
    〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#16
○國務大臣(増田甲子七君) 辻さんの御質問にお答え申し上げます。
 労働政策がわが國産業復興の中心課題であるという点については、私、全然同感でございます。同感でございすから、わが吉田内閣におきましては、労働政策に最も力を入れまして、労働條件の維持改善をはかり、労働の生産性を高揚いたしまして、わが國の急速なる経済復興をはかつておる次第でございます。
 そこで、健全なる労働組合の育成発達をはかるために、いかなる方策をもつておるかという御質問にお答えいたしまするが、私どもといたしましては、昔と違いまして、労働組合に対してあまり干渉するということは、近來民主政治のもとにおいては、おもしろくないと思つておる次第でございます。ただしかしながら、労働省設置法においても規定されておりまするように、労働省の啓蒙宣傳ということは政府の責任になつております。この見地から、労働組合の役職員の選出方法であるとか、あるいは労働組合の團体行動が民主的であらねばならぬ、すなわち幹部の專制にまかされておつたのでは、ほんとうの民主的の労働組合は発達いたしませんから、そういう方面には大いに力を入れて参りたい、こう存じております。その次に、わが吉田内閣の賃金政策いかんという御質問にお答え申し上げます。これはもとより民主自由党時代から公約いたしておりまする高能率、高賃金による労働の生産性の高揚、この政策は最近示されましたいわゆる三原則にたまたま一致しておるという、きわめて奇妙な現象を呈しておる次第でございます。(拍手)すなわちわれわれは、どうしても高賃金を得さして、そうして労働者の実質賃金の確保をはかりたい、それには高能率に限るというこの三原則の示された方向と、われわれの政策の方向とは、全然一致いたしております。この方向に向つてわれわれは邁進いたすことを、この際宣言いたします。
 それから、この高能率、高賃金政策を実現するためには、辻さんは、配置転換なり、あるいは失業問題の解決が必要である、これに対する対策いかんという御質問にお答え申し上げます。先ほど來、各閣僚がお答え申し上げております通り、われわれといたしましては、まず第一に、消極的な社会政策よりも積極的な受入態勢が必要である、こう感じて努力いたしております。すなわち、私どもの見るところによりますと、今や事業量におきましては――終戰処理費等は、だんだん額においては非常な高額になつておりますが、事業量といたしましては漸減の方向をたどつております。從いまして、重要物資等の割当がだんだん國内の民需方面、すなわち経済の復興の方面に向けられることに相なつて來ております。それから、もう一つ外資導入という方面、だんだんその額が高まつて來るのではないか、また高めるために、われわれは渾身の努力を傾倒いたしている次第でございまして、この方面から積極的の受入対策はできる。また積極的の受入態勢をつくつた後において――同時というよりも、むしろつくつた後において、行政整理なりあるいは産業合理化を大幅に断行すべきものであるというふうにまで考えている次第でございます。
 それから次に、労働力の需給調節ということはこれまた大事な仕事でございまして、この方面に大いに力を入れたい。すなわち職業安定の仕事には大いに力を入れて参りたいと存じております。
 それからさらに、社会保險その他の失業手当あるいは労働保險でございますが、これは私どもから見ますと社会政策でありまして、むしろ第二義的の意義を持つている。むしろ、この方面で救済されるものは、できるだけ少くいたしたいと思つておりますが、御承知の通り失業保險制度は、今額から申しますと成功ということになつております。この額が非常に成功しているということは一面おもしろくない現象ではありますが、二十万や三十万の失業給付を受けに参りましても平氣なだけ保險の金額は今たまつておりますから、どうぞ御安心を願いたい。
 それから次に、労働法規の改正は勇敢にやれということ、これはごもつともであります。われわれは、改悪は絶対にいたしませんが、改正はいたさなくてはならぬと思つております。
 それから次に、石炭と電産のストライキの中間報告を御質問に應じてお答え申し上げます。石炭は昨日から團体交渉の域に入つております。從つて、当分のうち第三次ストライキはない見込みでございます。それから電産は、せんだつて中労委が調停案を提示されました。政府といたしましては、せつかくこれを尊重し、これを具体化する方向に向つておりますが、今のところ、この具体化の條件である料金の方面について、関係筋との交渉がございまして、未解決になつております。以上、中間報告でございます。(拍手)
    〔國務大臣小澤佐重喜君登壇〕
#17
○國務大臣(小澤佐重喜君) 辻君の御質問のうち運輸省所管の部分を御答弁申し上げます。
 現下の國鉄電化問題は、きわめて重要でかつ緊急な大きな國策問題であるということは、お話の通りであります。すなわち現在の國鉄、たとえば東北本線あるいは東海道、山陽その他の主要幹線七千キロを、かりに電化したといたしますれば、これによつて約二百七十億から二百八十億の経費が節減できるのであります。こういうことになりますと、御承知のように、昭和二十三年度における一般会計からの特別会計に対する繰入金が、ややこれと匹敵いたすような状態になつておりまして、もしこれが実現いたしますれば、現在の賃金と現在の人員でも独立採算制に近づくというような状態になつているのであります。さらに石炭の節約面から申し上げますと、石炭を使用した場合と電化によつた場合におきましては、石炭が約八〇%の節約になるのでありまして、ただいまの七千キロが電化されたということになりますと、現在の使用量年間八百万トンのうち、その八〇%すなわち六百四十万トンという石炭が節約されることになりますから、この余剰の石炭を一般生産面にまわすことによつて、日本の経済再建がよりよく可能になるということの見通しがありますので、われわれといたしましては、ここに從來の電化計画というものに再檢討を加えて、できるだけすみやかに、できるだけ率直に資材資金の面等を考慮いたしまして、これが実現を目下立案中でありまして、やがて成案を得ましたならばこれを発表し、皆様方の御協力を得て、すみやかに実現を期したいと考えておる次第であります。(拍手)
    〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#18
○國務大臣(泉山三六君) まず、統制の撤廃についてのお尋ね並びに御心配についてお答え申し上げます。
 統制撤廃は本内閣の根本方針であります。その具体的政策におきましては、当面いたします生鮮食料品につきまして、特に野菜類につきましては、目下具体的政策をもちまして、せつかく関係方面との間に折衝中に属するのであります。
 次に、供出完了後の米の自由販賣につきましても、米穀の需給の推移ともにらみ合せながら、その実行の時期並びに方法について、せつかく考究中であることを、御了承願いたいと思うのであります。
 なお、料飲店の再開の問題につきましては、その統制がいかにも困難なる事情にあります。その事実に徴しましても、これが撤廃は、今日常識としても必要である、かようの認識のもとにまず大衆料飲店につきまして、すみやかにこれを撤廃せんとするものであります。
 次に、御質問の第二点は、外資の導入と輸出の振興とについてでありますが、わが國の経済の安定、経済の復興に当面相当多額の外資の援助を受けておりますことは、各位御了承のところであります。食糧を初めといたしまして、経済復興用資材や輸出用原料等の輸入につきまして援助を受けておりまして、またこれを懇請すべき段階にあるのであります。なお目下司令部当局におきましても、わが國の経済復興計画に関連いたしまして、今後の計画を檢討中であるやに仄聞いたされるのであります。國民とともに、その好意に対しては深甚なる謝意を表せんとするものであります。
 次に、金融政策についてのお尋ねでありまするが、まず、私のたびたび唱えまする彈力性に富む金融とは何であるか。彈力性に富む金融とは、金融が國民経済において営むべき機能を十二分に認識いたし、その機能達成のために、必ずしも一定の方式にこだわることなく、客観的の情勢の変化等に應じ、時間的にまた空間的に伸縮融通自在の運用にまつものである、かように御了承願いたいのであります。
 その当面の施策といたしましては、まず年末金融を差控えまして、あまねく國民の要望にこたえんがため、政府といたしましては、各種の政策を用意いたしておるのであります。たとえば、政府支拂の促進につきましての多多具体的政策を用意いたしておるのでありまして、日々これを展開いたしておる実情であります。第二に、銀行の財政資金運用の割合につきまして、各位御承知の通り、銀行に集まりました蓄積資金は、その三五%を國債の消化に充てることに相なつておるのでありまするが、特に十二月に限りまして、これを三〇%に引下げたのでございます。次には、産業資金融通順位の改訂を行いました。昨年六月以來、いわゆる融資規正準則がそのままにすえ置かれたのでありましたが、これを今日の金詰まりの状況に即應いたしまして、相当根本的に改訂を加えまして、数多くの修正を加えたのであります。次には、丙種の運轉資金につきまして、從來は一件三十万円を限度といたしておつたのでありまするが、これを五十万円に引上げたのでございます。さらに復金の中小企業金融につきましては、御承知の通り十億円を予定いたしておつたのでありますが、そのうち五億五千万円は復金が直接融資をいたし、他の四億五千万円は復金の保証によつて市中銀行にこれを求めるという建前に改めました。その保証の面を一億五千万円切下げ、復興金融金庫から直接に出しますものになお三億円を追加いたしまして、これを八億五千万円に引上げたのでございます。さらに、日銀の中小企業特別融資の増額その他預金部地方資金特別短期融通等諸種の金融的措置を講じておりまして、これ、いうがごとき彈力ある金融の実施であります。
 次には、租税対策について申し上げます。租税対策につきましては、今日最も問題になつておりますのは、本追加予算に計上いたしました自然増收の計上につきまして、これが完全徴收、この一点に帰着するかと思うのであります。この点につきましては、政府におきましても、その完全なる徴收につきしては、いうがごとき苛斂誅求に相ならざるよう、しかも今田の徴税機構をもつて十分その目的を達成せんがため、これまた二十三年度租税收入確保対策を閣議決定といたしまして、多々名案を考えておるのであります。
 なお取引高税の撤廃につきましては、これを追加予算中に計上できなかつたのは、私として、はたはだ遺憾にたえないのでありますが、しかしながら、これが財源の捻出は遠からずこれを期待し得る見込みでございますので、当年度内には必ずこれを実現いたしたいと存ずる次第であります。
 以上をもつてお答え申し上げます。(拍手)
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#19
○國務大臣(大屋晋三君) 辻君の御質問はたくさんありますが、簡單に御答弁申し上げます。
 電産、石炭争議の件は、労働大臣からお答えがありましたから、これを省略いたします。
 次に産業対策に関する御質問がございましたが、私の考えまする現下の産業対策といたしましては、いわゆる生産第一主義、簡單に申せばこれであります。これを遂行いたしますためには、いろいろな事柄がございますが、賢明なる諸君は、私が一々その内容を申し上げなくても、すでに御承知の通りであります。まず輸出の面にもつぱら重点を置きまして、せつかく米國の好意によります政府のクレジツトによりまして、たくさんの物資が輸入されておりますから、内地の産業をこれに対應いたすべく編成をいたしまして、それらの代金を内地の産業で――その輸出の金額をもつて輸入の金額をカバーし得る状態にまで持ち來すということが根本問題であろうかと思うのでありますが、そのためには、いわゆる爲替レートの設定、それから徹底した企業の合理化というような事柄、從いまして不必要な統制は撤廃する、諸君御承知の通りの事柄をうまく組み合せまして、これを行うという、ごく平凡な考え方をいたしております。
 次に、これに関連いたしまして、中小工業は、その実態調査をしないで中小工業の指導振興はできないのではないかというような御意見でございましたが、まつたくその通りでありまして、目下中小企業廳におきましても、中小工業の実態を調査いたすべく、それに差手いたしているような次第でございます。
 次に、石炭國管に対する商工大臣の考え方はどうかというようなお尋ねがございましたが、これは大体におきまして、法律が施行されまして、石炭の生産がこの面に沿いまして目下進行中でございますので、私といたしましては、しばらくかすに時をもつてしまして、もしその間に、はなはだしく生産を増長いたしますのに欠陥がございますならば、これを檢討いたして行きたい、かように考えておる次第であります。
 次に、電氣事業の再編成に対する考え方はどうかという問題でございまするが、これに対しましては、今年の二月に、日発あるいは九つの配電会社それぞれからも、あるいはこの労働組合からも、それぞれ編成の意見が提出されておりまするし、また本年の十月に、各方面の権威者を網羅いたしました電氣事業再編成の民主化の委員会からも答申書が出ておりまするが、私の考えといたしましては、將來はともかくも、現在は現状のままで、しばらくやつて行きたい、かように考えておる次第であります。
 さてその次には、民間外資の導入に対する政府の見通しいかんという問題でございます。御承知の通り、この民間外資の導入は、從來しばしば話がございましたが、民間の会社と海外のいわゆる投資家の間におきまして、いまだ確定的の外資の導入が締結されておらぬのであります。もつとも、目下一、二具体的に進捗中のものもございまするが、これもまだ進行中でございます。政府といたしましてももちろんこの民間クレジツトを導入いたしまして、こちらの商品をさらに外國に輸出をいたすという形を希望いたしておるのでありまして、これに対しましても万全の策を講じたいと考えておる次第であります。しかしながら、これの導入の前提といたしましては、わが國の産業の安全合理化、いろいろな法制上の制約というものを撤廃する準備工作が必要であることは、言うまでもないことであります。
 次に、外國の企業によりまする日本企業の支配を制限する考えがあるかどうかというお尋ねがありましたが、これはもちろん、かりに外國人がわが日本に投資をいたしまして、産業を経営するという場合におきましても、まつたく内地人と同じ見地に立ちまして、何らそこに差等を設けない方針であることを申し上げておきます。
 また、外資導入と関連いたしまして独占禁止法を緩和する考えがあるかないかというようなお尋ねがございましたが、目下その問題につきましては十分研究をいたしておる次第であります。
 また、爲替レートの問題に関しまして、いつごろ設定をするか、あるいはそのレートはどれくらいにするつもりかというお尋ねがございましたが、御承知の通り、このレートの設定の時期に関しましても、この準備の工作の期間が要るのであります。すなわち、わが國の現在の経済は非常に異常でございまして、経済をこれから再編成をいたし、そうしてこの現在の状態が爲替のレートを設定するに適当であるという時期が参りましたときに初めて設定をいたさなければ、わが國の産業に対しまして非常なる障害を來し、その目的に対しまして逆な効果を招來するという点は、何人もこれは考えるところでございますので、ただいまは、いつやるということは申し上げられないと考えております。また、やるとすれば比率はどれくらいの程度にいたすかという問題でございますが、これも御承知の通り、この数十種の輸出品のいわゆる円ドルの比率は、百円から極端に参るならば千円までの間を上下いたしております。また、その輸出円ドルの平均比率は大体三三〇、輸入の方は一三〇というような数字が出ております。また人によりますと、この円ドル比率は三五〇ないし四〇〇の間にきめたらどうかというような人もありますが、これらのレートに関しましては、目下正確なことは何人も言えないと考えておるのであります。
 さて、單一爲替レートが制定されました場合に、國内産業あるいは輸出及び物價等に及ぼす影響についてはどういう考えをもつておるかというようなお話でございますしたが、もちろん爲替レートの設定の際に、わが國の輸出産業にあまり大きな打撃を與えない程度のレートとしなければならないのでございます。輸出に関しましては、補助金制度というようなものは考慮いたしておらないのであります。しかしながら、輸入につきましては、急激な値上りがわが國の経済にもしも致命的な打撃を與うるおそれがあるというような商品、たとえば食糧でございますとか、あるいは復興の資材というようなものにつきましては、あるいはしばらくの間國内價格を調整するというような事柄が必要であろうかと考えるのでありまして、その場合には、いわゆるそのギヤツプを埋めます補助金制度を考えなければならないかと考えておる次第でございます。
 これだけであつたと考えるのであります。
    〔國務大臣下條康麿君登壇〕
#20
○國務大臣(下條康麿君) 辻君の御質問は四点であります。
 第一点の六・三制に関する國庫補助の増額の問題でありますが、これにつきましては、比率の点は別といたしまして、相当増額の計画を立てまして、現在関係方面と折衝中であります。
 第二点の、新制大学に切りかえの関係において、地方においていろいろ問題が起つておるのじやないかという点でありますが、これについては大体まとまつておりすが、一部少数の地方におきまして、なお問題が残つておりますが、これも円満解決を見る見込みであります。
 第三点は大学法でありますが、これは昭和二十四年度から実施する目的をもちまして、今成案を急いでおります。間に合うように提案いたすつもりでおります。
 第四点の大学法の内容でありますが、これは四つの点、すなわち、從來文部省の持つておりました中央集権制を廃するということ、大学の自治を確保するということ、第三は大学行政に國民の関與を許す、第四点は大学の財政を確立する、この四点であります。
 以上、簡單でありますが、お答えいたします。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
#21
○國務大臣(林讓治君) 辻君にお答えいたします。社会補償制度の問題につきましては、お説の通り憲法第二十五條の規定に基きまして、國民生活の現状に照しまして、すみやかに本制度が完成せられることを望むものであります。さらに、去る七月におきまして連合國からの御勧告もありましたし、すみやかにこれが具体化に着手しなければならないと考えておりまして、目下研究中でありますが、何分この制度というものは、きわめて大がかりのものでありまして、これに要するところの財源なども相当考えなければならぬばかりでなく、その利害関係が國民の各層に及ぶものでありまして、それらの方面を十分研究いたさなければならぬものと考えております。つきましては、これを成立いたさせます一つの順序といたしまして、各方面の代表者をもつて構成いたしまするところの強力な審議機関をつくりまして、そこで十分調査審議するようにいたしたいと考えまして、本國会に社会保障制度審議会設置法というものを提出いたしたいのであります。本審議会設置の上は、十分その意見を尊重いたしまして、一日もすみやかに法制化の運びに進めたい覚悟でおりますので、今後とも社会保障制度につきまして十分の御協力をお願いしたいという考えるわけであります。
 なお、引揚げ促進の問題でありまするが、最近一部において、引揚げ促進がはかばかしくない原因といたしまして、引揚げ船舶の不足などいわゆる受入体制の欠如が今日に至つているなどというような説を流布せられているようなことを耳にいたしますが、これはまことに遺憾なことでありまして、現在引揚げ輸送船といたしましては、就航中の船舶が、三十二隻に及びまして、月間およそ二十四万人を輸送し得るところの態勢を整えているのであります。各引揚港には、船腹に白十字のしるしをつけましたところの引揚船が数隻常に待機をいたして、出航命令を待ちあぐんでいるという実情にあるのであります。一方引揚げ施設は、函館、舞鶴、佐世保の三援護局におきましても、月間優に二十万人を超ゆるも收容し得られるところの能力を今日有しているわけであります。引揚船は、ソ連からいつ何千人を帰すからという配船要求があつて、総司令部から日本政府にさらに命令が出まして後に出航するのでありますが、このときは、必ず要求以上の人員を收容し得るだけの船舶に、実際所要量のいろいろな食糧などをほとんど倍数も積んで、迎えに行つておるような次第であります。あるいはまた被服、日用品などにつきましては、現在のところ、海外にある未帰還同胞が一時に帰還いたしましても何ら事欠かないように十分の準備をいたしているということを、御了承願いたいと考える次第であります。
 さらに、留守家族の援護につきましては、隣人のあたたかい愛の手と力強い激励とを要することは、ここにあらためて申し上げるまでもありませんが、政府といたしましては、一般國民の心の奧底にひそんでいる同胞愛が力強く盛り上り、発展することを期待いたしてやまぬのであります。今般、民間側の團体の主唱によりまして、十二月十七日から一週間を引揚げ援護愛の運動の週間といたしまして、全國的に展開されることを承りまして、まことに喜びにたえない次第であります。政府といたしましては、できるだけの御援助を申し上げたいという所存でいるわけであります。
 また、未復員者の救護法の改正の必要についてのお話でありますが、まつたくこれは御同感でありまして、できるだけ近い機会において、現在の経済の状態などに即しました改正が実現するように、万全の努力をいたしたいと考えております。
 以上、御了承をお願いいたします。(拍手)
    〔國務大臣益谷秀次君登壇〕
#22
○國務大臣(益谷秀次君) 今日、住宅問題がきわめて重大なる社会問題の一つでありまして、一日もすみやかに解決いたさなければならぬことは、質問者とまつたく御同感であります。政府といたしましては、今日約三百八十万戸の住宅の不足を見込んでおるのであります。そうして、年々かりに五十万戸ずつ新築いたして参りましても、御承知の通り自然消滅もしくは火災等の恒常不足の戸数がありまするから、これを計算に入れますると、大体十二、三年の長い期間を要することになるのであります。しかしながら、これでは國民の要望の今日の住宅問題を解決することができないのでありまするから、つとめて資材ともにらみ合せて多くの戸数の建設を計画いたそうと存ずる次第であります。本年は約四十万戸の建設を予定いたしたのでありまするが、幸いにいたしまして、年度内においては、これを上まわるほどの戸数の住宅が新築せられるものと見込んでおるのであります。
 今日の住宅問題は、ただいま申しましたように、量の上においても一戸でも多くつくらなければならぬことは当然でありまするが、さらに今日の住宅問題として最も重点を置かなければならぬのは、申すまでもなく今日住宅難で最も苦しんでおるのは都市に在住の勤労者の階層であります。これに対する住宅をすみやかに多量に供給いたさなければなりません。もう一つは、経済再建のために重責をになつておられるところの重要生産労務者の住宅問題であります。このいわゆる庶民住宅と、また從來生産に携わる労務者に対する住宅は、大量にしかもすみやかに建設をいたさなければならぬのであります。政府といたしましては、從來の方針を踏襲いたしまして、さらに新たなる構想をもつて、この施策を強力に推進いたして参りたいと存じておるのであります。
 本年は、この庶民住宅といたしまして、半額を國庫補助にいたしておる住宅でありますが、これは約四万二千戸の計画を立てて、そうして、これは幸いにいたしまして、年度内においては完成いたすものと見通しをつけております。しかしながら、これはいわゆる庶民住宅といたしましては、國庫補助の住宅、公営住宅でありまするが、これにのみ頼ることはできません。しかも公営住宅は、國家の財政あるいは金融の面から制約を受けまするので、あまりに多くのものを求むることができないのであります。しかも今日は、一日もすみやかに住宅問題を解決いたさなければならないのであります。そこで、建設の性質上、長期しかも低利の金をたくさん融通いたさなければならないのであります。しかも、前段申しました通り、財政金融面において非常に制約を受けますから、この解決に対しても非常に困難と存じます。しかしながら今日の住宅問題の緊要性にかんがみて、國家の重要なる國策の一つとして、どこまでもすみやかにこれを解決いたすために努力いたさなければならぬと存じておるのであります。このために、政府におきましては、低利長期の資金を供給いたしまする住宅專門の金融機関を設置いたさなければならぬという考えをもつて、今愼重に研究中であります
 第二は、貸家企業の助成に対する御質問かと存じております。御承知のごとく從來は、都市における住宅の約七割は貸家であつたのであります。そうして、これは民間の貸家企業によつて経営いたされて参つたのであります。しかしながら、戰後、この貸家企業はいまだ遺憾ながら復興いたしておりません。ゆえに、住宅を熱心に要求いたされておるところの市民階層の人たちは、政府の國庫補助による公営住宅による以外には、今日ほかに手段がないのであります。しかしながら、これではもとより数を多く期待することはできないことは、ただいま申し上げました通りであります。政府は、民間の貸家企業に対しては非常に期待をもつておるのであります。しかも、今日の経済の事情において、貸家新築の費用と、借家人たる勤労階層の人たちの実際支拂い得るところの家賃あるいは統制家賃との関係が極度に平衡を失しておりますから、今ただちに貸家に投資を求むるということは、まつたく絶望に近い事情と見ておるのであります。しかしながら、政府のいわゆる公営補助住宅では満足することはできないのでありますから、どこまでも政府は、ただいま申しましたように、長期低利の資金を融通するために住宅專門の金融機関を設置いたしますると同時に、高度の國庫補助によつてこの貸家企業の発達を期しておる次第であります。その点については、前段申しました通り、政府は愼重に研究中であります。
 もう一点は建築統制のことと存じます。申すまでもなく。これは昨年二月八日から実施いたしておりまする臨時建築物制限規則、これによつて統制をいたしておるのであります。この統制の目的は、申すまでもなく、重要経済再建のために欠くべからざるところの重要なる生産資材を確保いたして、これの濫用を防止し、そうして必要方面の用途に充足して参るために、この規定を設けておるのであります。從つて、この重要生産資材を比較的多量に使用いたしまするところの建築物並びに附帶施設に対して許可制度をとりまして、不要不急の建築物を極力抑制いたしておると同時に、許可をいたしましたものに対しては所要の資材を配当いたし、容易にかつ公定價格で入手することができるような措置を講じて参つておるのであります。しかして、今日重要資材の需給状態を見ますと、御承知の通り臨時物資調整法並びにこれに基くところの生産資材割当規則というものを廃止いたしまして、ただちに統制を撤廃いたすというような時期には、今日達していないのであります。從つて、今日の段階において、ただちに建築の統制も撤廃いたすということは、困難かと存じておる次第であります。しかしながら、政府は不必要な統制を固執するものでは断じてありません。事情の許す限り、この法の運用をなめらかにいたしまして、國民の不便を緩和いたして参ろうといたしておるのであります。そうして、これに対する改善も今日まですでにいたしておるので、一日もすみやかに、また不便を緩和するように、この線に沿うて今後とも努力いたしたいと存ずる次第であります。
 以上、御了解を願います。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○今村忠助君 國務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明八日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#24
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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