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1948/12/09 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 本会議 第7号
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1948/12/09 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 本会議 第7号

#1
第004回国会 本会議 第7号
昭和二十三年十二月九日(木曜日)
 議事日程 第六号
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑
           (前会の続)
    ―――――――――――――
 第一 科学技術行政協議会法案
 (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 日程第一 科学技術行政協議会法案(内閣提出)
 國務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後二時四十八分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
    ―――――――――――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、科学技術行政協議会法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長小川原政信君。
    〔小川原政信君登壇〕
#4
○小川原政信君 ただいま議題となりました科学技術行政協議会法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、明年一月二十日から発足することになつております日本学術会議と政府との間に立つて両者の意思の疎通をはかり、科学と國策とが互いに遊離することのないようにするための審議機関を設けんとするものでございます。
 本法案は、去る第三國会におきましてすでに本院を通過いたし、参議院におきましても委員会において可決を見たのでございますが、時間の関係上審議未了となつたものでありまして、今回あらためて提案されたものであります。本月二日内閣委員会に付託されましたが、委員会は、政府当局の説明を聴取の上、質疑、討論を省略しまして、満場一致原案を可決いたした次第でございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(松岡駒吉君) 國務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。中崎敏君。
    〔中崎敏君登壇〕
#8
○中崎敏君 日本社会党を代表いたしまして、内閣総理大臣並びに各閣僚に対し質疑を試みんとするものでございます。吉田内閣総理大臣の施政演説を聞きましてこの非常時局を突破するだけの用意と施策のないことにつきまして唖然たらざるをえなかつたわけでありますが、以下各項目にわたりまして、いささか質疑を試みたいと思うのであります。
 まず、政界、官界、財界の浄化についてお尋ねいたします。吉田総理大臣は、自分に非違があるならば自分のからだを縛れということを言うております。しかしながら私は、政界、官界、財界の粛正をするならば、第一にまずみずから自分のからだについて、十分にその懸念があるかどうかということを考えなければならぬと思うのであります。(拍手)とかく世間には吉田首相自身についていろいろな批評のあることを承つておるのであります。(拍手)さらにまた、炭鉱國管問題を中心とし、あるいはまた昭和電工事件の場合におきましても、その疑獄は、この吉田第一次内閣のときに始まつているということが言われているのであります。さらにまた繊維事件について考えてみましても、某前大官にもまた大きなる疑惑が存在しているということが言われているのであります。
 わが社会党は、綱紀粛正のために、西尾君の不祥事件に対しましては、除名をすることによつて罪を天下に謝すとともに、さらにまた党自体の粛正を断行しているのであります。民主自由党の中にも、前幹事長のごときは、遂にこの疑獄事件に関連いたしまして、一時はとらわれの身となつた事実があるのでありますが、わが社会党の行つた態度とは異にして、吉田内閣組閣のときにおきまして、この幹事長が出て來るまで内閣の組織を延期する、この内閣をつくる喜びをともに味わいたいというふうなことを告白しているという事実があるのであります。はたして、かくのごとき心境をもつてして、政界の浄化廓清ができるかどうかということについては、多大の疑惑をさしはさむものであります。さらにまた、今回問題となつておりますところの田中角榮君の逮捕の件につきまして、首相は法務政務次官という重要な立場に指名をしているわけでありますが、これに対して、はたして首相はいかなる責任を感じておられるかということを、お尋ねしたいものであります。
 次にまた、炭鉱國管は天下を衝動するところの大きなる問題であるのにもかかわらず、いまだ遅々としてこれが進んでいないということは、われわれは選挙を前にして、党利党略のためにこの重要なる官界の粛正を実行しないのではないかというふうな氣持さえ持つものでありますが、炭鉱國管の現在の調査の状況はどうであるか。さらに、総選挙前においてこれを公にして、その黒白をはつきりさせるところの意向があるかどうかを、お尋ねしたいと思うのであります。
次に、民主教育の徹底についてお尋ねしたいと思うのであります。民自党の言うところのいわゆる自由主義というものは、アダム・スミスの言うところの個人の自由放任の主義に立脚しておるものと思うのであります。ところが、個人の自由は遂に弱肉強食となり、いわば個人を立場としたところの自由であつて、個人主義的な立場に立つておるのであります。わが社会党の主張するところのいわゆる社会主義は、自由というふうな、こだわつた考えでなしに、さらに自由の上に平等観念の上に立つておるのであります。ある一部の人が、自己の利欲を満足させるがために、どこまでも強く主張し、かつてな行いをやろうとするのが自由主義であるわけであります。ところが、國民全体が相携えて行こうとするところの、いわゆる平等観念の上に立つておるところの、この社会党の主義をもつてするのでなければ、眞の民主主義の確立はなし得ないと考えておるのであります。
 この点に関しまして、民主党では、いわゆる眞の自由主義ではいけない、さらにこの自由主義にある制限を加えて、國家社会のために中道を歩むところの考えをしなければならぬというふうな、いわゆる修正資本主義というものが唱えられるようになつたのでありますが、社会党は、さらにこれを一歩進めて、いわゆる社会全体の上に立つて社会全体の利益を確保しようという社会民主主義を唱えておるわけであります。これこそ眞の民主主義であると考えるのであります。しかるにもかかわらず、自由党は依然として保守反動の考え方の上に立つておるのでありまして、これをもつてすれば、國民全体の利益の上に立つところのいわゆる社会民主主義の確立はなし得ないのでありますが、はたして吉田首相の言うところの民主主義なるものは、わが社会党の主張するような社会民主主義のごときものを意味するものかどうかを、お尋ねしたいと思うのであります。
 吉田首相は、口を開けば民主教育の徹底と言つておりますが、その行うところと言うところとは、まつたく雲泥の相違があるということを、われわれは認識しなければならないと思うのであります。
 まず第三國会におきまして、施政の演説をやるかどうかということについて問題となつて参りました。まず施政方針の演説をやるということは、歴代内閣の慣例である。さらにまた吉田内閣は、組閣以來、何ら國民に対して政見の発表をしていないのであります。いやしくも非常時局に立つて政見を担当するからには、いかなる政策をもつてこの危機を突破し、さらに國民生活の安定をはかるかということを國民の前に発表するのが、新しい憲法政治における根本の原理であり、さらにこれは、古い憲法下におきましても、日本の憲法政治を通しての慣例であつたのであります。この慣例を破つて、そうして独善的に、しかも國会の決議を無視いたしまして、遂に施政方針演説をやらないで終つたのであります。組閣方針演説をやるということは、國民とともに政治をやるということであります。さらに國会を通して、國会議員の協力のもとにこの時局を突破するということであります。それがなされなかつたというところに、実にわが憲法の運用の上において一大汚点を印したものといわなければならぬのであります。
 吉田総理大臣は、施政方針演説をやらない理由として、第三回國会は公務員法制定のために召集されたところの國会であるということを、唯一の理由としているのであります。ところで、第三國会におきましては、決して公務員法だけが審議されたわけではありませんで、そのほかいろいろと、直接公務員法に関連のないところの法律案が審議されたことは、すでに皆さん御承知の通りであります。さらにまた、これと関連するところの賃金ベースに関する予算のごときも、ただ單に賃金ベースだけの問題ではありませんで、災害復旧の費用、あるいはまた終戰処理費といたしまして、百二十億の厖大なる予算を含んでおるのであります。國民は、この終戰処理費がいかなる形において処理されるのか、さらにまた今後いかなる形において支出されるのか、ひとしくこれを知らんとしているのであります。これらの重大なる予算が、賃金ベースのほかに一括して提案されているでありますが、これらに対する何らの言明を聞き得ないということは、われわれのきわめて遺憾とするところであります。
 さらにまた民主自由党は、野党のときにおきまして、臨時國会召集の理由といたしまして、公務員法の審議と同時に取引高税の審議を要求しているのであります。ところで、第三國会になりまして、しかも吉田内閣において、この取引高税を遂に提出することができなかつたのであります。そのほか米の供出後の自由販賣のごときも、この内閣において、しかもこの端境期において、とうていこれがなし得ないということは、火を見るより明らかでありまするが、これらの点についてなし、得なかつたというところの理由を國民に廣く宣明する必要があるわけでありまして、これらもまた國会を通じてなさるべきものであると信じて疑わないのであります。それに対しましても、ほおかむりの手段に出まして、遂に施政方針演説をやらなかつたということは、非立憲もはなはだしいということが言えるのであります。はたして、これによつて民主教育が徹底し得るかどうかということについては、多大の疑問を有するものであります。これらの点につきまして、施政方針演説をやらなかつたということは、わが憲法史上における悪例であるということを、吉田首相は認められるかどうかということを、ただいま申し上げましたような理由を御承認の上で御答弁願いたいと思うのであります。
 次に、連立政権のあり方についてお尋ねいたします。吉田首相は、主義主張を異にしている政党が連立内閣をつくる場合においては、國家再建を妨げるがゆえに、片山内閣のときにおいても民主自由党は入閣しなかつたということを言うておるのであります。ところで、幣原内閣、あるいはまた第一次吉田内閣におきましても、同じように主義主張を異にしたところの政党が内閣を形づくつたことは明らかであります。その場合においては何らかのごときことに言及せずして、片山内閣並びに芦田内閣に対してのみ攻撃を加うるがごときは、理論の矛盾を來すものといわなければならぬのでありますけれども、さらにまた片山内閣のことにおきましても、民主自由党は挙國政権を樹立することによつて危機突破をする必要があるということから、最初四党政策協定をつくり、さらにまた各大臣のいすの割当まで決定したのであります。しかるにもかかわらず、ある事情に基いて、遂に四党政策協定を破棄することによつて内閣に加わらなかつたのでありまするが、これは主義主張を異にするところの連立政権が國家の再建を妨げるという理由でなしに、ただ感情的の理由に基いて片山内閣に加入せなかつたということは、明らかなる事実であります。はたしてこれが事実であるとするならば、吉田総理大臣が先日國会において言明したところの、主義主張を異にする政党が連立政権をつくつても國家の再建を害するということとは、大いに異なることがあると言えるのであります。
 吉田首相の言うがごとく、主義主張を異にした政党の連立政権が國家の再建を阻害するという考え方から、吉田内閣は單独内閣であります。ところで、この單独内閣において、二箇月間の今日まで、はたして何をなし得たかということを考えてみたならば、やはりこれは一面において、日本は占領政策のもとにおいて、しかも日本の経済は、そう簡單に、單純にこれが克服し得ないということが、明らかに示されるものと思うのであります。現在画策中であるといわれるところのいわゆる保守連立も、やはり主義主張を異にしたところの政党であるわけでありまするが、これも、ただ單にいわゆる御都合主義で行われているものと考えなければならぬのでありまして、こういうふうな点から考えてみましても、依然として現在の段階において、主義主張を異にしたところの政党といえども、ひとしく國家の経済を再建するという大乘的の見地に立つならば、やはり必要も認めなければならぬということが言えるのであります。
 以上のような意味におきまして、私たちは、ただ單独内閣が時局を拾収する上において最善のものであるということは理論的には認めますが、現在の段階において、そうしたところの理想が容易に実現するものではないということも、吉田首相みずから認識していることと考えるのであります。
 次に、憲政の常道について尋ねてみたいと思うのであります。片山内閣から芦田内閣に移りましたときに、民自党の諸君は、いわゆる政権たらいまわしだと言つてこれを非難いたしました。はたしてそうであるならば、幣原内閣から吉田第一次内閣に移つたときには、政権たらいまわしでなかつたかどうかということを、尋ねてみたいものであります。さらにまた、白票を投じたということにつきましても、いかにもこれが非立憲的であるかのごとき言辞を弄しておるのでありまするが、これに対しましても、われわれは、きわめて冷静に、あらゆる立場を考慮の上においてなしたものであります。
 憲政の常道というものは、はたしてどういうものであるか。すなわち、反対党の第一党に政権を渡すことが憲政の常道であるかどうかということを、靜かに考えてみなければならぬのであります。これは、今までの日本の憲法史の上においても、あらゆる政権が野党第一党に渡されておるという慣例は何ら見出し得なかつたのであります。新しい憲法に基きますと、國会の多数によつて選出された者が内閣の首班となるのでありまして、はたしてしからば、野党第一党であるところの民主自由党が、國会の多数を制し得るだけの政策を持ち、しかも眞に國会の運用の上において、われわれの協力を得るだけの政策であり得たかということを、みずから反省しなければならぬのであります。われわれは、保守反動の政党をもつてしては、とうていこの時局を乗り切り得ないというところの見通しの上に立つて、しかも、その保守反動の代表的存在は、当時の総裁であるところの吉田氏であるということを認めましたがゆえに、この人に対するところの指名はとうていなし得ないという観点に立ちまして、遂に白票を投じたわけであります。片山内閣並びに芦田内閣は、あらゆる努力をして経済突破のために盡して参つたのでありまするが、遺憾ながら、政界の腐敗防止の意味におきまして、不祥事件の責任を負うて遂に辞職したからには、再びまた内閣を組織することは当を得ないと考えたわけであります。さらにまた、はたしてそうであるからといつて、保守反動であるところの吉田氏に首班の指名をすることは、われわれの観念が許さないということによつて、ここに白票を投ずるよりほかに方法はなかつたということを、明らかにしておきたいと思うのであります。
 次に、経済財政一般についてお尋ねしたいと思うのでありまするが、日本経済は、現在興亡の岐路に立つておるのであります。國民は、日本の経済が今後いかなる方向に進みつつあるのか、さらに國民の生活はどういうようになるのかということについて、深い関心と懸念を持つておるのであります。片山内閣の当時におきましては、いわゆる経済白書を発表いたしました。日本経済財政のあるがままの姿を率直に公表することによつて國民の協力を得たのでありまするが、吉田内閣におきましても、やはり同じように、産業経済の実態に即したところの経済白書のごときものを公表することによつて國民の協力を得るところの用意があるかどうかということについて、お尋ねしたいと思うのであります。
 次に、來年度の予算は実に厖大なものを予想されるのでありまするが、その予算の見通しについてお尋ねしたいと思うのであります。物價も相当にでこぼこの状態にあるのでありまするし、経済も相当に困難なる事態に置かれておるのでありまして、さらに今後予算編成の上におきましては、酒、タバコ、汽車賃あるいは郵便料金の値上げを再びやられるようなことがあるのかどうか。新しい予算編成の上において、さらにこの新物價改訂の上にこれらの予算が編成されるのかどうかというふうなことについて、答弁を煩わしたいと思うのであります。
 さらにまた、補正予算におきまして四百十億の水割り所得税を計上しておるのでありまするが、それでなくとも國民は、租税の負担に耐えかねて、これ以上の負担がかかるからには、とうてい納税をなし得ないというふうな、怨嗟の声が至るところに起つておるのであります。これに加うるに、さらに四百十億の厖大なる租税が、しかも水割り形において課せられる場合においては、とうていこれでは國民が負担に耐え得ないというふうに考えられるのでありますが、はたして政府は、これに対して円満に徴税がなし得ると考えておられるかということについて、質問したいと思うのであります。
 今回の補正予算における租税収入のほとんど大部分は、いわゆる大衆課税の形において勤労大衆に課せられるものであります。ことに配給タバコの値上げのごとき、ひとしくその日の生活に困つておる勤労大衆に対する大きな負担となつて現われて参るのであります。さらにまた、租税の徴收の上におきましても、いわゆる天くだり的な徴税の方法として、國民ひとしくこれに対して怨嗟の声を放つておるのでありまするが、政府は租税の徴収の上において、さらにその徴税の方法あるいは徴税の機構について、一段の考慮を拂われる考えがあるかどうか。さらに、民主的な方法によりまして、いわゆるその協力機関を設けまして、この件について公平なる判断をなし得るかどうか。異議の申立てについても、迅速的確に、しかも適正
に、これらの機関の御意見を聞いて、これを実行する考えがあるかどうかということについて、具体的な方策を示していただきたいと考えるのであります。
 ただいまのように、追加予算によつて実に厖大なる租税の徴収がなされなければならぬのでありまするが、本年末から來春にかけて、再びまた租税の更生決定がされることになろうと考えるのであります。このときを契機として、いわゆる税金闘争が猛烈になつて参るのでありまして、一部の勢力をこれによつて跳梁跋扈せしめるようなことがないとも限らないのであります。政府は、徴税の上におきましても万全を期しまして、公正なる割当、さらに適正なる取立という方向において努力されんことを望む次第であります。
 次に、來年度の予算に対処するがために、政府は名目財産税を設置する考えがあるかどうか、ということについて尋ねてみたいと考えるのであります。すなわち租税の大部分は、いわゆる勤労大衆に対して、しかもそれが過重なる負担の形において現われておるのでありまするが、終戰以來、いわゆる経済の妙な混雜に乘じまして、一部のには不当なる利得をしておる者もある。さらに大口の利得者、さらに脱税等によりまして、富の均衡は著しく失われておる現状にあるのであります。政府は、この際名目財産税のごとき、財産の実体に触れないで、しかも財産に対して軽度の税金を課することによつて、財産並びに所得の所在を確実に調査し、そうしていわゆる所得税の補完税として、税制の上において万全を期するところのお考えがあるかどうかということについて、尋ねてみたいと考えるのであります。
 一部の論者は、名目財産税を設けることによつて再び換物傾向を生じ、やがてはまたインフレ助長の原因となるであろうということを、唯一の反対理由としておるようであります。われわれもまた、いわゆる換物傾向の助長によりまして、インフレ助長を望むものではもちろんありません。けれども、やはり換物傾向の現れわれて参ります度合いは、今までのごとく食生活のきわめて不安定な、さらに國民生活の不安固なときにおきましては、この傾向はきわめて濃厚でありまするが、漸次インフレも終息の方向に進みつつあり、さらに食生活の面におきましても、あるいは物資の面におきましても、漸次増加の一途をたどり、さらにまた通貨も漸次その信用をとりもどしまして、そうして預金も漸次増強の形に進みつつあるのであります。かくのごときどきにおきましては、その施策よろしきを得まするならば、換物傾向もあえて恐るるには足りないというふうな状態になるのではないかと考えるのであります。
 ことに、この際注意せなければならぬことは、まずたとい新円の措置がありましても、あるいはまた新円措置に付随いたしまして預金の一時的の措置をするにいたしましても、新円の措置をすることによつて自分の財産は決して減るものでないということを國民に普及徹底せしむる必要があるのであります。あるいは一部に考えられておりまするように、通貨の措置をするならば、それだけ自分の財産が減るがごとき錯覚を起しておるところに、いたずらに換物傾向を助長するおそれがあるのでありますが、これは眞に経済の実体を把握しないところにその誤解があるわけでありまして、政府は、この面に十分の力をいたし、経済知識普及の上において、さらに貨幣通貨に対するところの正しき認識を得せしめることによつて、換物傾向は著しく緩和せしむることができると信ずるのであります。かくのごとき予備工作を十二分に施した上においてこの名目財産税を設けることによつて一面財源の不足を補い、さらに富の分配を公平にすることによつて社会政策の目的を達し得る、いわば一石二鳥の手段となるのではないかと考えておるのであります。
 次に、來年度予算に対処するために、政府はあらゆる経済社会政策実行の上に、さらに予算の不足を補う上において、薪税を設けられるお考えがあるかどうか、ということについて質問したいと思うのであります。
 次に、取引高税について質問したいと思うのであります。これはしばしば問題となつておりまするが、これについて、いささか私見を述べながら政府の所信を尋ねてみたいと思うのであります。
 民主自由党は、野党のときにおきまして、取引高税に反対しております。そのときにおきまして、財源を用意して、そうして修正案をすでに出しておるのであります。ところが、今日自分が政権をとつて、しかも第三國会に取引高税撤廃を提出すべきことをみずから要求したのにもかかわらず、ついに取引高税の撤廃をなし得なかつたのであります。泉山大藏大臣は、藏相就任早々、取引高税の撤廃は、あれは野党のときに言うたので、自分が政権をとつたときには、またそれは違うのだ、というふうなことを言うたということが新聞に明らかになつておるのであります。もし、そうであるとするならば、民主自由党と泉山大藏大臣との間には、責任観念の上において著しき差異があるということが言えるのであります。さらにまた、先日泉山大藏大臣は取引高税を撤廃するところの根本にはかわりはないということを言うておるのであります。ところで、來年度における取引高税の予定額は四百億以上になるのでありまするが、この四百億に上るところの厖大なる税金にかわるべき財源を何に求めようとするかということについて尋ねたいと思うのであります。
 本日の新聞によりますと、民主自由党は、手形税を設けて、手形に対して一%程度の税金をかけるということを言うておるのであります。わが社会党におきましても、かつては手形、小切手等に対して軽度の税金をかけるということを主張したものもあつたのでありまするが、しかしこれは、これがために信用を阻害するところの弊害がいかにも大である。ようやく通貨の信用をとりもどし、そうして取引も、手形、小切手によつて相当流通し、ようやく信用取引の流通秩序が確立されるその緒についたときにおきまして、手形に対する課税をするということは、はたして信用助長の上において、さらに國民経済向上の上において大きな弊害を流すものではないかということに思いをいたしたがゆえに、社会党といたしましては、現在これを断念しているのであります。すなわち、物の生産第一主義を唱えているところの民主自由党において、そのたての反面をなすところの信用の上に著しき障害を來すならば、物の生産の上においても大きな障害を來すべきことは火を見るよりも明らかでありまして、金融界において育つたところの泉山大藏大臣が、はたしてこの説に賛成するかどうか。しかも金融界全般として、さらに経済界全般として、はたしてかくのごとき主義に賛成をするかどうかということについて、多大の疑問を持つておるのでありまするが、この点に対しまして、泉山大藏大臣の明快な答弁を要求するものであります。
 社会党といたしましても、取引高税がいかにも悪税であるということは、とくに百も承知のことであります。それにもかかわらず、日本の経済財政の実情が、この取引高税によつてまかなわれるよりほか道がないというところの現実に即して、これをやむなく承認して参つたのでありますが、できることならばこれを撤廃したいということは、腹一ぱいであります。ところで、先ほどから申し上げましたように、できないことを、いかにもできるがごとく、國民を欺瞞するということは、責任のある政治家として、しかも責任のある政党として、なすべきことではないのであります。わが社会党は、取引高税の改廃を主張
して参りたいと思うのであります。
 しからば、いかにして取引高税を改廃するかと申しますると、まず第一に、取引高税は、取引の個々の場合において、しかもあらゆる段階に税金が課せられるがために、取引の円滑を害するということにおいて非常な不都合な点がありますので、むしろこれを物品税のごとく、いわゆる生産に対する課税、いわゆるメーカーに対する課税あるいは原料・製品課税というふうな形においてこれを改むべきではないかというふうにも考えておるのでありますが、さしあたりパーマネント、あるいはまた塩十物、種苗、大衆食堂における食事料、こういうふうなものに対しましては、むしろこれを免除することによつて大衆に対してはできる限りこれを課税せないというふうな方向に進むべきものだと思うのであります。先般の大藏委員会におきましても、この方針を決定して参つたのでありまして、当時民主自由党の委員の諸君も、これに賛成しておられたのであります。民主自由党といたしましては、取引高税の撤廃を公約しておる建前上、こうした一部的な修正は、いかにも民主自由党が取引高税の撤廃をやらないというふうに考えられ、それが來るべき選挙に惡影響を及ぼすというふうな党利党略の考え方から、これを実行されないというふうに、われわれは耳にしておるのでありますが、むしろこの際、最も手軽になし得るところの、ただいまのようなことだけでも、まず改正する必要があると思うのでありますが、大藏大臣はどういうふうに考えておられるか、この点について答弁をお願いしたいと思うのであります。
 次に、地方財政に関する問題につきまして、一言尋ねたいと思うのであります。近時、地方の負担も漸次その極度に達しまして、現在地方の財政は窮乏のどん底に追われておるのであります。政府は、今後この地方の窮乏を救うために、いかなる施策を施さんとするか。今までのごとく、依然として配付税中心で行こうとするのか、あるいはさらに地方に新しいところの財源を與えることによつて地方財政の確立を期そうとしておるか、これらの点について答弁を願いたいと思うのであります。中央と地方との財政を適正に調整するということが刻下の急務であると考えておるのでありますが、この点についていかに考えておられるか、お尋ねしたいと思うのであります。
 次に、企業の三原則について申し上げてみたいと思うのであります。企業の三原則でありまする、いわゆる價格差補給金は出さない、物價を引上げない、赤字融資をしないということであります。経済のきわめて混乱しておるときにおきまして、この三つの原則を嚴格に適用することは、きわめて困難ではあるのでありますが、泉山大藏大臣は、これに対して、企業の三原則は固く守るということをしばしば言明しておるのであります。ところで、この價格差補給金は、今回の補正予算の中に、百十億の價格差補給金と、さらにまた二十五億の船舶運営会に対する補給金、都合百三十五億円の價格差補給金が計上されているわけでありますが、これは経済の三原則に反するのではないかということを尋ねてみたいと思うのであります。すでにこの原則が破れ、次から次へと、こうして價格差補給金を新しく予算に計上することによつて、この経済三原則の一つを破るのではないかということについて懸念を持つものでありますが、これについて、今後の見通しをお尋ねしたいと思うのであります。
 次に物價対策について申し上げて見たいと思うのであります。すなわち、今回配給タバコは値上げされまして、物價の引上げをせないということの経済三原則の一つも、またここに破られておるのであります。さらに來年度の予算の編成の上において、汽車賃、郵便料金、酒、タバコ等が大幅に値上げされるのではないかということを懸念しておるのでありますが、この点についても、大藏大臣の明確なる答弁を願いたいと思うのであります。
 次に、物價体系についてお尋ねをしてみたいと思うのであります。すなわち泉山大藏大臣は、賃金の安定の伴ないところの物價の改訂は失敗に帰したいということを言うております。ところで、私の見るところによりますと、物價体系の確立によりまして、第一次吉田内閣のときにおいて、しどろもどろとなつたところの物價政策というものが確立され、生産増強の態勢がようやくここにでき上りまして、今日のごときインフレ安定の傾向にまで進みつつある基礎をつくつたのは、一にかかつて、こうしたところの物價体系の確立よろしきを得たというところに存するのでありまして、これをもつて決して私は失敗に帰したとは考えていないのであります。こういう意味におきまして、賃金の安定はもちろん必要ではありますが、必ずしも賃金の安定を絶対條件としなくても、物價体系よろしきを得るならば、やがては流通秩序も確立せられ、物の生産も漸次増加せられ、これによつて勤労大衆の生活も安定し、ここにまた賃金の安定も期し得られるのではないかというふうに考えておるのでありまして、こういう意味におきまして、泉山大藏大臣といささか所信を異にするものでありますが、この点について、さらに泉山大藏大臣の所信を承りたいと思うのであります。
 泉山大藏大臣は、物價を引上げせないと言つておりますけれども、その後の情勢を考えてみますと、漸次物資も増産されまして、物によつては、むしろ公定價格を下まわつておるものもあります。さらにまた、公定價格では配給されるが、むしろそれによつて十分の利潤をかち得ておるものもあります。言いかえれば、不当の利潤を得ておるものもあるのであります。さらにまた、物價に著しきでこぼこがあるわけでありまして、物によつては、むしろ公定價格の引下げの必要のあるものもあるのであります。こういうふうなことを総合的に考えてみますならば、むしろこの際物價を再檢討する必要があるのではないかとさえ考えておるものであります。
 さらにまた今後外國為替のいわゆる一本建になるというふうなことが氣構えられておるときにおきまして、國内における物資需給の点のみから割出された價格政策の上において
は、この際思い切つてこの体系を改訂する必要があるのではないかと思うのであります。すなわち、今後為が一ドルかりに二百七十円に定められるとするならば、日本の輸出は深刻なる打撃を受けるのであります。すなわち、かりに一ドル二百七十円と仮定するならば、日本の輸出品の六割ないし七割は遂に輸出できない状態に追いやられるであろうと考えられるのであります。さらにまた、これが一ドル三百五十円に換算されることになりますならば、日本の輸出品の約四割方が遂に輸出不能に陥るのではないかというふうに考えられるのであります。われわれは、日本の経済の自立を考えるがゆえに、吉田首相の言うごとく、生産の増強はもちろん、輸出に重点を置かなければならなぬということになるのでありますが、これに対しましては、この際國内の物價の体系を輸出に適合するがごとく、さらに一本建の為替ができるためには、これらの対策を十分に打立てる必要があると思うのでありますが。こういうふうな意味におきまして、むしろこの際、物價は全面的に再檢討の段階に入つておるのではないかと考えておりますが、この点について大藏大臣の答弁を求めるものであります。
 次に私は、この輸出入貿易を円滑にするがために、管理貿易のもとにおきまして、いわゆる輸出入商品のプール制を行つてはどうかということを提案したいと思うのでありますが、この点についての大藏大臣の答弁を求めたいと思います。
 次に、経済三原則の一つである赤字融資をしないという点について、所見を述べながら答弁を求めたいと思うのであります。泉山大藏大臣は、融資の責任を明確にするために復興金融金庫を改組するという考え方を持つておるようでありますが、私たちも、もちろん、今日まで復興金融金庫はいわゆる國策のために利用されていたがために、遂に復金インフレを起し、さらにまた忌まわしい疑獄事件まで起すに至つたわけでありますが、いわゆる國策のために復興金融金庫を使わないで、復金の経済性、さらに自主制を確立することによつて、採算の合わない事業に対しては金を貸し出さない、さらにまた、それは復金自体の判断によつて、いたずらに政治的に命令を下すことによつてこの融資を使わないという方向に進べきものと考えておるのであります。この点について泉山大藏大臣の答弁をお願いしたいと思うのであります。
 さらにまた大藏大臣は、赤字金融はこれを行わないが、金融には彈力性を持たせると言うでおわけであります。赤字金融を行わないということと、金融に彈力性を持たせるということには、おのずからそこに大きな矛盾があるのであります。いわゆる金融の彈力性という言葉の中に隠れて、そして放漫な貸出しをしたのが、いわば石橋財政であつたのであります。石橋放漫財政がいかに日本の財政経済を荼したかということは、國民周知の事実でありますが、泉山大藏大臣も、再びこの石橋前大藏大臣の二の舞を踏まんとするのではないかということについて、疑念をさしはさむものであります。すなわち、今後金融の円滑化をはかるがためには、政府はできる限り預金の増強に全力を注ぐべきものであります。増加した預金をもつてこれを産業資金に振り向けることが、眞に健全金融を守るゆえんであるのでありますが、現在政府としては、この預金増強のためにいかなる手を打つのか、現在いかなる施策を講じつつあるのかというこについて、尋ねてみたいと思うのであります。
 さらに、中小工業者に対するところの金融に対しましては、でき得る限り増強されたところの預金をもつて、これを優先的に貸し出すということが必要であるのであります。もちろん、これらの資金というものは、國家経済の全体に対しまするところの資金に比べれば、きわめて微々たるものであるのでありますが、これに対して、でき得る限りそのわくを廣げて、中小工業優先の方向にこの金融を推し進めるべきものではないかというふうに考えているのであります。こういう意味におきまして、むしろ今後復金の行き方というものは、大きな産業に対する赤字融資あるいは價格差補給の意味を持つたところの融資をするよりも、むしろ中小工業中心の金融機関として進むべきものであります。これがために使うべき融資というものは、比較的少額で済むのではないかというふうに考えられるのであります。こういうふうな方向に進む考えがあるかどうか。さらにまた中小工業者に対しましては、特別の金融機関を設けることによりまして、一面融資の円滑化、適正化をはかるとともに、さらに信用保証制度の確立によりまして、信用資力の乏しいところのこれら中小工業者擁護の対策を講ぜられる考えがあるかどうか、尋ねてみたいと思うのであります。
 次に労働対策についてお尋ねしたいと思うのであります。すなわち政府は、労働の生産性を高揚し、健全なる労働組合の助長を促すと言うております。まつたくその考え方には同感であります。ところで、いかなる具体的な方法をもつてこれをなすのであるか、労働者に対する正しき理解を持たないところのこの吉田反動内閣によつて、はたして適正なる労働政策が確立し得るやいなやについては、多大の疑問を有するものであります。以下、少しく労働政策の具体的な問題について尋ねてみたいと思うのであります。
 現在、石炭、電産、海員ストその他の労働爭議は、あたかも燎原の火ごとく、次から次へと燃え盛つているのであります。これに対しまして、政府は何ら打つべき手を打たない。むしろぼう然自失、そのなすべきすべを知らないといつた方が適切ではないかと考えられるのであります。政府は、すみやかにこれらに対しまして適正なる方途を講じ、一日もすみやかにこのストをやめ、そうして経済再建の上に努力を拂うべきものと考えるのであります。すなわち政府は、これらに対して、いたずらに不親切な態度をもつてすることが、むしろこれらの爭議に対して、より以上その炎を燃やすという結果になつているのであります。これについては、あらゆる努力を拂い、適正なる方途を講じて、一日もすみやかにこの爭議の終熄をはかることによつて、石炭の増産、さらに電力の適正なる供給、あるいは海員ストの停止によつて船舶運営のすみやかなるところの改善をなすべきものと考えるのであります。
 政府は、ストに対しまして、融資を停止することによつて彈圧しようというふうな心構えがあるということが傳えられておるのでありまするが、この点、はたして事実であるかどうか。たとえば石炭のごとく、日本経済再建の上に絶対に必要なところの、この目標の生産額が、いたずらに融資を停止することによつて増産ができないというふうな場合におきましては、民主自由党の主張しておるところの生産第一主義も、遂にはその目的を達し得ないと考えられるのでありまして、融資の停止によりましてストを彈圧するというごとき手段は決してとるべきものでないと考えておるが、政府はこれに対していかに考えておるか。さらに、これらのスト産業に対して融資を停止するとしても、これら関連産業に対して直接大きなる打撃が波及するわけでありまするが、これらに対していかなる手を打とうとするのか、それらの点について質問してみたいと思うのであります。
 さらにまた政府は、いわゆる高能率、高賃金と言つておるのであります。これは、まつたく私たちも同感でありまするが、現在のごとく、いたずらな賃金のくぎづけには、決して賛成するものではないのであります。現在労働大衆は、その日の生活にも困るというふうな状態に追いやられておるのでありまするが、これらの人々に対して、いたずらに賃金のくぎづけによつて、そうして生活を脅威するがごときは、とるべき手段ではないのでありまして、むしろ私は、労働者の最低生活を保障するところの賃金と、しかもこれに能率給を加味したところの賃金政策、すなわち最低生活を保障するところの賃金スライド制を設けるの用意があるかどうかということについて尋ねたいと思うのであります。
 さらに、官吏の給與ベースについて一言尋ねたいと思います。人事委員会の提案によりますると、官吏の給與ベースを六千三百七円としておるのでありまするが、政府の今回補正予算に盛りましたところの案によりますると、五千三百円となつておるのであります。すなわち人事委員会におきましては、官吏の最低生活を保障する上において、さらに民間産業の賃金ベースを考慮に入れて、六千三百七円は絶対的に必要なる線であるということを主張しておるのでありまするが、政府は、経済財政の点を考慮して五千三百円を計上したということを言うております。ところで私は、ここに政府に尋ねたいことは、人事委員会の提案と政府の提案とは、國会に提出する前において十分の協議打合せをして、一致したところの点において國会に提案すべきではなかつたか。政府は、これがためにもあらゆる手を打つたかどうか。今後においてさらに打つべき手があるかないか。これらの点について、政府の意見をただしたいと思うのであります。
 社会党は、官公吏の給與ベースを六千六百円と主張して参つておるのであります。ところで、これに対しましてわれわれは、今後予算の修正の形においてわが党の主張を貫徹すべく努力するわけでありまするが、少なくとも、この政府の二つの異なつたる案が國会に提案されるということは、きわめて好ましくないわけでありまして、政府は、この点の調整にいかなる責任を持つか、これをいかにせんとするかということについて、明確なる答弁を促したいと思うのであります。
 次に、企業の合理化について尋ねたいと思うのであります。泉山大藏大臣は、企業みずからの自覚と努力によつて企業を合理化すべしということを言うておられるのであります。ところで、経済の三原則によつて明らかなことく、すなわち物價は政府が一方的に決定しておるのであります。いかに経済の実態において物價の引上げを望んでも、政府がこの三原則のもとに物價の引上げまかりならぬということを言うておるからには、これに対して赤字を融資するか、さらにまた價格差の補給をなすのでなければ、とうていその企業は立ち行かないのであります。しかるにもかかわらず、政府は企業みずからの自覚と努力によつて企業を合理化しなければならぬということを言つておるのでありまするが、ここに一つの矛盾があるということを感ぜざるを得ないのであります。どこまでも政府は、これに対して一つの指導的な方策を樹立することによつて、民間の企業の合理化が円滑に、しかも適正に進められるように指導すべきであると考えるが、政府はどういうふうに考えるか。
 さらに、企業の合理化によりまして人員の整理は不可避なこととなつて参りまするが、これに対して政府は、その失業者に対する何らの具体策を持ち合せていないのであります。すなわち、大幅の企業の合理化、人員の整理が民自党の持論であるといいながら、これに対して何ら適当な具体策、すなわち失業対策に対して適当な具体策を持ち合せないということは、いたずらに党利党略のために國民を欺瞞するにすぎないと考えるのであります。さらに岩本國務相が、先般本会議において声明しましたところのいわゆる私見なるものは、これは閣議の決定を経たものではなく、來るべき総選挙を前に、宣傳の具に供したものにすぎないと考えておるのでありまするが、少なくとも、もう一段と誠意をもつて、これら失業者に対するところの適当なる施策を講ぜられるように、さらにまた、これについていかなる具体策を持つておらるるかを、あらためて質問したいと思うのであります。
 次に生産対策であります。すなわち、民主自由党は生産第一主義を主張しておりまするが、これが実際におきましては、そう口で唱えるがごとく、生産は簡單に向上するものではないのであります。あらゆる努力、あらゆる施策を傾け、さらに労働者全体の協力を得て、そうして初めて生産はここにその実を結ぶものであります。すなわち、そういう意味におきまして、あらゆる施策をここに傾け盡さなければならないのであります。これについて、少なくとも民主自由党は、どういう点に重点を置いて生産第一主義を実行しようとするか、さらに政府は、これをどういう方向に進めて行こうとしておるのであるかということについて、具体的に説明していただきたいと思うのであります。 今後の生産のあり方というものは、ただいたずらに量の増産のみではありません。量より質へ進まんとするのが現在の段階であるのでありまして、いたずらに粗製濫造することによつて國家の貴重な物資を濫費することは、この際嚴に愼むべきものであります。量より質への轉換の方策として、政府はいかなる施策を施そうとしておるのであるか。さらにまた、重点生産と重点配給とをこの際徹底することによつて、比較的國民生活に関係の薄いところの物の生産は極力抑制しなければならないと考えておるが、政府は、この点についていかに考えておるか。さらにまた、日本の経済の再建、物の生産のためには、たとえば食糧、さらに繊維というふうな國民生活に欠くべからざるものを確保することによつて國民の生活の安定も期し得られるとともに、さらにやみも漸次下向きになる。物の生産が漸次ふえることによつて秩序の確立をなすことができると思うのでありますが、食糧あるいは繊維の配給増加の点について、政府はいかなる具体策を考えておるか。物の生産のためには、これらの点について最も重点を置くことが必要であると考えるが、政府の所見ははたしてどうかというとについてお尋ねしたいと思うのであります。
#9
○議長(松岡駒吉君) 中崎君、申合せの時間の問題もありますから、結論をお急ぎ願いたいと思います。
#10
○中崎敏君(続) いろいろまだあるのですが、それでは最後に統制の問題について、いささか所信を申し述べながら意見を聞きたいと思うのであります。
 民主自由党は、統制の大幅撤廃ということを主張しておるのであります。すなわちこれは、自由主義から來た必然の結果だと思うのでありまするが、立党の初めから自由主義を唱えておつたところの民主自由党は、第一次吉田内閣のときにおいて、臨時物資需給調整法をみずからの手によつて提案し、そして國会を通過したのでありまして、これによつて現在の統制の基礎が形づくられておるのでありまして、爾來吉田内閣の手によつても、統制は漸次強化されて参つたのであります。それが野党に下れば、たちまち手の平を飜すがごとく、すなわち統制の大幅撤廃というふうな、いたずらに党利党略に走つた宣傳をなしておるのであります。ところが、先般泉山大藏大臣が本会議において説明したところによりますると、不必要な統制はこれを撤廃する、しかし必要な統制はこれを強力にやるということを言つております。これは三党政策協定において、不必要な統制はこれを撤廃し、必要な統制は依然としてこれを強化するといつたことと、少しもかわりがありません。すなわち、民主自由黨が大幅に統制を撤廃するといつて國民に公約したこととは著しく違つておるが、泉山大藏大臣は、これに対していかに答弁をするか、その点について尋ねたいと思うのであります。
 そのほか、インフレの収束しましても、一本為替の制定、國際貿易の正常なる進歩とともに、漸次インフレの収束についてわれわれはあらゆる努力を拂い、さらにまた、これについて十分の準備が必要であると考えるのでありまして、場合によれば、各般の準備の上において、新円に対しましても思い切つたところの措置を講ずる必要があると思うのでありまするが、この点について政府の所信を尋ねることにしたいと思います。
 以上をもつて私の質問を終ります。
(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#11
○國務大臣(吉田茂君) 中崎君の御質問に対してお答えをいたします。
 第一の質問は、政界、官界、財界の浄化をどうするかというお尋ねでありますが、これは、私がしばしばこの議場において申しております通りに、司法当局及び官界粛正委員会等によりまして適当な処分をいたすつもりでおります。
 また施政の方針については、昨日もこの議場において説明をいたしましたが、これをもつて御了承願いたいと思います。
 また、連立政権によつて日本の経済復興が可能と思うかという御質問でありまするが、これはしばしば申す通りに、政権を同じゆうする政党が相提携して時局の収拾に臨むべきものであつて、政見を異にする連立政見は時局を収拾するゆえんではない。(拍手)これは、私がしばしば申しておるところであります。しかし、第一次吉田内閣において進歩党と提携をいたしたのは、すなわち自由党と政見を同じゆうする政党として提携をしたのであります。
 その他については主管大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#12
○國務大臣(増田甲子七君) 中崎さんの御質問にお答えいたします。
 電産、石炭あるいは船員等がスト態勢にあるということでございますが、必ずしも態勢にないものも相当多いのでありまして、これらの問題が急速に解決しないのは、いたずらに不親切な態度をもつて臨んでおるから爭議が惡化するのであるというお言葉ではございまするが、今これらの問題が急速に妥結に到達し得ないのは、いわゆる経済三原則との間に悩みがあるからでございまして、われわれは、この三原則とにらみ合せまして、急速に円満裡に解決したいという熱情に燃えておる次第でございます。
 それから吉田保守反動内閣云々と言われましたが、戦時中におきまして、よく、彼は反國体であるとか、あるいは反軍國的であるとかいう惡口が入りましたが、こういう惡口のために、國家の方向が非常に誤まられておると思うのであります。人あるいは人の集團を批判するには、よろしくその團体なり人の行動の実績を分析し檢討した後に批判していただきたいと私は思うのであります。(拍手)由來自由主義というものは、本質的に反フアツシヨであり、また反全体主義であります。
    〔発言する者多し〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#14
○國務大臣(増田甲子七君)(続) 自由主義というものは、本質的に反フアツシヨであり、また反全体主義である。すなわち、進歩的の本質を持つておるものであります。もし動とか反動とかいう言葉を使うならば、私は、去年の一月一日のマツカーサー書簡を諸君に再び想起していただきたいと思う。どう書いてあるか。すなわち、過去一年間において、自由主義勢力とこれに対する反動勢力とが互いに基盤を爭うたと書いてあります。もし動、反動というならば、自由主義勢力が動であるということを、マツカーサー書簡は、去年の一月われわれに明示しております。(拍手)しかしながら私は、この動とか反動とかいう言葉はあまり使いたくない。だから、社会党の諸君に対しましても、彼は非常に急激である、過激であるというようなことを言つたことはございません。われわれと社会党の諸君とは、経済政策において主義主張が違うのである。すなわち、諸君は産業の社会化を主張するけれども、われわれは、私企業と、あるいは公正なる自由競爭という原理に立たなかつたならば生産力は発展しない、われわれの必要とする消費財あるいは生産財は、われらの経済原則によつてでなかつたならば、急速にこれを増産し、生産力も発展できない、だから産業の社会化はだめであるということは言つております。しかしながら、いたずらに惡口は言つておりません。社会党は急激であるとか、あるいは過激であるとか、惡口は、お互いに公党の指導者としては愼みたいと私は思つております。私は繰返して申します。われわれこそは民主主義の使徒であるという確信のもとに、われわれは健闘いたしております。(拍手)
    〔発言する者多し〕
#15
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
    〔國務大臣岩本信行君登壇〕
#16
○國務大臣(岩本信行君) お尋ねの地方財政につきましては、相当窮状にあることは了承いたしております。目下、全國各府縣、市町村に向つて財政の実態調査を進めつつありまして、きわめて最近のうちにその実態がわかりまするので、御心配の点もありましたその趣旨に沿うべく善処するつもりであります。
 しかして、行政整理の問題についてお尋ねになりましたが、この点は、先般申し上げましたような趣旨において、日本再建のために絶対必要なりと信じまして、目下強力に具体案作成中でございます。(拍手)
    〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#17
○國務大臣(泉山三六君) 中崎議員のお尋ねにお答えいたします。
 まず、本内閣において、片山内閣当時において発表せられたるがごとき経済白書のようなものを出されてはどうか、かようのことでありましたが、ただいまにおきましては、その必要を認めておらないのであります。もし必要ある場合におきましても、いたずらに國民に暗い影をもたらすかようのものは発表いたさないつもりであります。
 質問の第二点は租税に関する問題で、御質問が多々あつたのでありまするが、大衆課税をいろいろやつておるではないか、かような話でありましたが、これは申し上げるまでもなく、たとえば鉄道料金の引上げ、郵便料金の引上げ等のごときは、これを断固避けました次第でありまして、もつて物價の面に影響なからしむることに十分配意いたしたのであります。
 なお、徴税機構の点につきましてお尋ねがございましたのでありまするが、政府におきましても、徴税機構の運営には十全の配意をいたしておるのでありまして、今日、その民主的運営の面につきましても、薪たなる構想に基きまして、せつかく具体案を作成中であるのであります。なおまた経済査察官制度の活用によりまして、大口やみ所得等の捕捉に万遺憾なからしむるよういたしておるのでございます。
 なお取引高税の問題について、その撤廃についてたびたびお尋ねがあつたのでありまするが、重ねて中崎さんのお尋ねにお答え申し上げます。取引高税の撤廃は、すでに言明の通りであります。近く諸君の前にその具体案を提出いたしたいと考えております。
 次に、企業のいわゆる三原則について、これは價格差補給金制度などとは相反するものではないか、かようのお尋ねでありましたが、決してさようなものではないのであります。中崎議員御指摘の通り、経済三原則におきましては、政府の補給金は原則としてこれを認めないのでありまするが、その財源の用意あるあかつきにおきまして、何らこれを拘束するものではないのであります。
 次に、物價体系を改訂するのかどうか、かようのことでありましたが、政府におきましては、今日これを適当でないと考えておるのであります。
 次に赤字金融の問題につきまして、私が從來、今日の経済実相に即應いたして、他面において幅のある財政を展開し、その一面、これと相呼應して彈力に富む金融を標榜いたしておることに対しまして、中崎議員はすこぶる危惧の念を抱いておらるるやに拜聽いたしたのでありまするが、もとより赤字金融は、これをいたさないものでありまして、ただ彈力に富む金融におきましては、かねて銀行家として、深き御経驗の中崎君にして御承知の通り、金融の運用の面におきまして、格段のくふうを用いることは、その一方法であるのでありまして、これにつきましては、その具体的方策は、先般この議場におきまして私よ
り数々明示いたした通りであります。
 次に、官公吏諸君の新給與ベースにつきまして、人事委員会より勧告せられましたるものは六千三百七円でございます。それに対しまして、政府は五千三百三十円を適当といたしたのでありまして、遺憾ながら人事院の勧告は、これをそのまま取入れることはできなかつたのであります。しかしながら、詳細にこれを見ます場合に、給與体系が、まず基本給與、家族給與、地域給、この三本建におきまして、基本給與におきましては、むしろ低きに失するもの、かようにまで考えておるのでありまして、地域給におきましても、その構想が、あまりにその間の差がひどすぎる、かような点から反対をいたしたのでございまして、問題は、むしろ家族手当の一挙五倍、すなわち千二百五十円に引上げられた点につきまして、政府の納得を得られなかつたのでございます。もしも、かような給與体系にして、あまねく天下にこれを施すにおいては、民間の給與体系の根本がくつがえるのでありまして、各位御了承の通り、今日民間給與におきまして、家族手当は一人当り五百円ないし六百円をもつて最高といたしておるのであります。家族手当の増額は、一見勤労階級に対する給與の増額なるやに考えられる節もあるかもしれませんが、しかしながら、その反面におきまして、多数の家族を持たれる勤労者の方々が、もしもそういう職業戰線からあべこべに排除せられるがごときことがあつたならば、それこそ重大なる問題であると、かように厚き同情を持つのであります。
 なお、この席上をもちまして私より――人事委員会案につきまして、世上、ベース六千三百七円、かようの表現をなしておるのでありますが、その勧告を詳細に檢討いたします場合に、その反面におきましては、あるいは鉄道のパスであるとか、あるいは洋服であるとか、すべてかような実物給與は、これをことごとく差つ引くのでありまして、実際の収入は、おそらく五千円を下るものではないか、かように考えておる次第であります。
 以上具体的の点につきまして、簡單にお答えを申し上げます。
#18
○議長(松岡駒吉君) 先ほどの中崎君の発言中不穏当な言辞がありましたので、速記録を取調べの上、適当に処置をいたします。
    ―――――――――――――
#19
○今村忠助君 國務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#20
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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