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1948/12/17 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 本会議 第15号
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1948/12/17 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 本会議 第15号

#1
第004回国会 本会議 第15号
昭和二十三年十二月十七日(金曜日)
 議事日程 第十四号
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 炭鉱、電氣事業、海運等重要産業の賃金問題に関する緊急質問(岡田春夫君提出)
 海員ストライキに関する緊急質問(成重光眞君提出)
 大屋大藏大臣臨時代理の食言に関する緊急質問(西村榮一君提出)
 佐藤官房長官の國会無視に関する緊急質問(重井鹿治君提出)
 議事進行に関する発言
 予算審議遅延の政府責任に関する緊急質問(榊原亨君提出)
 降旗逓信大臣をめぐる疑惑などに関する緊急質問(梶川靜雄君提出)
    午後五時一分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 炭鉱、電氣事業、海運等重要産業の賃金問題に関する緊急質問(岡田春夫君提出)
#3
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、岡田春夫君提出、炭鉱、電氣事業、海運等重要産業の賃金問題に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#4
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 炭鉱、電氣事業、海運等重要産業の賃金問題に関する緊急質問を許可いたします。岡田春夫君。
    〔岡田春夫君登壇〕
#6
○岡田春夫君 私は、現在院外において澎湃として巻き上つておる、生活窮乏のためにみずからの生活の安定を求めて悲痛な叫び声をあげて賃金値上げの要求をいたしております現下のストライキの問題について、政府の所信をお伺いいたしたいと思います。
 あらためて申し上げるまでもなく、吉田内閣は、五千三百円のベースを今度の追加予算におきまして撤回せざるを得ないはめに陥りまして、全官公廳の賃金ベースの問題についても、明らかに無能力をみずからの手によつて暴露いたしたのでありますが、これのみならず、一般の民間産業につきましても、何ら今までになすすべを持たずして、賃金値上げの要求によつて、今や日本の國内は働く人々の悲痛なる要求によつて、完全に全國津々浦々に至るまでストの渦中にたたき込まれんといたしておるのでございます。
 電産の問題につきましても、あらためて申し上げるまでもなく、十五日からの東京都内においての一齊の停電ストを初めといたしまして、十二月二十三日へ四日においては、私鉄総連の全國私鉄ストライキと合流をして、また海運ストライキが行われておるが、これと相呼廳しつつ、日本の全陸海の交通は完全に麻痺の状態に陥らんとしておる。また石炭の問題においても、過般來労働組合と資本家側の交渉において何ら解決の道が見出されない。十月の現在においては、すでにストライキに入つております全國の労働者の諸君は百万に達するという状態でございます。
 これに対して、第三國会の本会議におきまして増田労働大臣は、炭鉱労働の賃金問題について、あるいは電産の問題につきまして、私の質問に対して、十一月中旬中に何とか解決の目途をつけたいというようなことを答弁されておつたにもかかわらず、その後においては、十一月の二十九日に至りまして、急遽責任を回避して、その当時行われておる炭鉱爭儀の問題については、これは労資の交渉によつて解決せらるることが最も妥当であつて、経済三原則を強行する限りにおいては政府としてはあずかり知らないがごとき言辞をもつて、責任を回避されようとするような三大臣の共同声明を発表され、第四國会に至りましては、その後何らの解決の道を得ずして、すでに二十日になんなんとしているという現状でございます。
 このような状態に対しまして、いまだに政府がこれら重要産業、電産あるいは石炭、海運その他の賃金の問題について具体的な解決を施さないならば、日本の産業がいかなる状態になるか、あるいはまた窮乏する全國労働者の諸君の生活はいかなる状態になつて行くかということを考えました場合に、政府はこの問題をすみやかに解決しなければならないと思う。それにもかかわらず、いたずらに追加予算の問題にのみ籍口し、追加予算の問題についても何ち解決をする能力もなくして、民間産業の問題について、まつたく手の施すところがないということは、明らかにこれは政府の責任である。政府はこの問題をいかにして解決さるるかということを、具体的にお伺いしたいと思います。まず、その点について労働大臣にお伺いを申し上げまして、その次には三原則の問題について、時間がありませんから簡單にお伺いいたします。
 先ほど申し上げました、十一月二十九日の三大臣の共同声明によりますと、経済三原則はあくまでも強行するという方針をとられております。それにもかかわらず、この間出されました追加予算の内容を見ますると、三原則の方針を打破つて、補給金を石炭あるいは電産等に出すというような予算が計上されておる。これでは一体三原則を通すのであるか、あるいは三原則を破るのであるか、これについての一貫された具体的な方針というものが、いまだにきまつておらない。これはほかでもない。もしここで三原則をあくまでも強行するならば、民主自由党のかねて國民大衆に公約をいたしております生産第一主義というものが破綻に瀕するからである。ところがまた、三原則を強行せざればインフレを回避することはできない。ここで吉田内閣は、三原則と生産第一主義の間にはさまれて、完全なるジレンマにたたき込まれている。
 商工大臣が出ておられますから、おわかりでありましようが、私は、この前本会議の質問のときに、炭鉱経営の実態についてお伺いしたところが、炭鉱の経営は現在赤字であるといわれた。ところが、赤字であるということ、それに対して三原則を強行して赤字の穴埋めをしないとするならば、この場合において、日本の炭鉱の約半数が全部倒れてしまう。このようになつて来ると、石炭の増産の目標である三千六百万トンの生産というものは絶対に不可能だ。こうなつて参りますと、かねてから口に呼称されておる生産第一主義の方針などは、とうてい行い得べくもないのである。この場合において、経済の三原則というものを強行される意思がおありなのかどうか、われわれは、もしこの方針を強行される場合においては、労働者にいたずらに首切りと飢餓賃金を強要するばかりではなく、中小企業を徹底的に倒産させてしまう吉田内閣の責任を明らかにしなければならないと思う。この点について、商工大臣の責任をお伺いいたしたいと思います。
 第三の点、時間がありませんので簡單に申し上げますが、現在一番問題になつております炭鉱賃金の問題であります。これは労働大臣も商工大臣もおわかりの通り、今度の賃金問題――資本家側の回答をいたしておりますところの賃金というものは、現在物價高で悩んでおる炭鉱労働者の生活を極端に窮乏の中にたたき込むばかりではなくて、彼ら自身をほんとうに炭鉱の犠牲者として、負傷者として死の中にたたき込むことになつてしまう。簡單な例を申し上げますと、今度の炭鉱連盟が回答をいたしております賃金は、四月に協定をいたしました四千円の賃金ベースと同じ賃金の水準を今度は回答いたしておるのであります。この四千円の賃金水準に対して、四月の当時の能率よりも一四%能率を上げるならば、千二百円だけ上げてやろうという、そういう回答をしておる。これでは五千三百円ですら予算を組みかえて――ひつこめなければならない現状において、炭鉱労働者に対しては四千円の飢餓の状態にたたき込めている。こういう点についても、政府がもつとはつきり責任を感じて、はつきりこの問題を解決しない限りにおいて、炭鉱の増産の減退ということは、一にかかつてこの問題を通じて吉田内閣が責任を負わなければならないと思います。
 現在のような低賃金のもとにおいて、炭鉱労働者の諸君は全力をあげて増産に邁進をしつつあるその結果において、炭鉱の犠牲者は続々増加しつつあります。現在のところ、皆さんは御承知であろうと思いますが、一日平均三人の犠牲者、死亡者が出ておる。いろいろ計算して参りますと、七分間に一人ずつ死亡者あるいは犠牲者が出ておる。私がこういうようにしやべつている七分の間に一人の犠牲者が出ているという惨憺たる状態である。今炭鉱連盟が回答をしておる賃金の協定をうのみにするならば、この後において、炭鉱の犠牲者ほ約四倍に達する。もし協定の通りにするならば、今後において、一箇月一万五千人ずつの犠牲者が出て行くということは、はつきり計算からいつても出て参ります。
 こういうような、きわめて犠牲を強要する状態において、何らこの問題についての解決の道を講ぜずして、そのまま放棄をして、そうして二十九日の三大臣の共同声明のごとく、炭鉱の賃金の問題は労働者と資本家の自主的な解決にまつべきであつて、政府の何らあずかり知らざるごときものであるというような意味の声明をされたということは、われわれきわめて遺憾しごくに存じます。
 われわれは、この意味において、働く者の最低の生活の安定と同時に、日本の再建のために、これら緊急の問題をすみやかに解決される必要があり、この点について、率直に日本の現在の情勢を見て、関係大臣の答弁を願いたいと思う次第でございます。(拍手)
    〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#7
○国務大臣(増田甲子七君) 岡田さんの御質問にお答え申し上げます。
 石炭爭議並びに電産争議が、今日まで完全に解決されていない点につきましては、私衷心より遺憾に存じておる次第でございます。
 しかしながら、岡田さん御指摘のごとく、十一月二十九日に出したわれわれの声明は、何も強行声明というわけでもございませんし、また、この爭議の解決を労資だけにゆだねてしまつたというわけではないのでございます。すなわち三原則というものは、岡田さんもよく御承知のごとく、赤字融資はいけない、それから一般物價水準に影響ある物價改定はいけない――一般物價水準に影響がなければ、物價改訂も全然拒否しておるわけではございません。それから、歳入の伴わない政府の補助金はいけない、つまり公債等で歳入をまかなつて政府が補助金を出すというようなことは不健全であるからいけない――すべて條件がついておるのでございます。
 この三原則を、われわれどうして強硬に主張するかといいますと、岡田さん御承知のごとく、日本の企業というものは、それぞれ自分の足で立つことが絶対に必要である。経済復興の上にも必要であるし、また名目賃金の向上ばかり叫んでおりますると、賃金と物價との悪循環のために、勤労者自身もまた困つてしまうのである。最近労働課長のヘプラーさんが声明された御趣旨も、まつたくその通りでございまして、われわれは衷心より賛同いたしておる次第でございます。強行声明とおつしやいまするが、あの声明の末尾にも、企業の努力なり能率増進なりに向つて経営者と勤労者が協力一致してくれるならば政府も援助にはやぶさかでない、という言葉で結んでおる次第でございます。そこで石炭爭議は、今せつかく團体交渉をいたしておりまして、まさに妥結の域に到達いたそうといたしておりまするが、政府ももとより関心を拂い、また側面から協力しておる次第であることを御了承願います。
 それから電産爭議につきましては、せつかく中労委等が調停案をつくつていただきましたが、御承知のごとく、十月の生計費物價指数というものは下つて來ております。その下つた率をかけますると、調停案よりは幾分下目に給料をきめてもよろしいのではないか、こう思つております。しかしながら、それにいたしましても相当の額の金が要るのでございまして、どうしても、企業努力や政府の補助金だけではまかない得ない、料金の値上げによらずんば、というような問題がございまするが、これは今の三原則にちようど衝突しておりますので、非常に解決に悩んでおる次第でございます。しかしながら、一生懸命われわれが解決しようと努力いたしておるという点は、御了承願いたいのであります。
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#8
○国務大臣(大屋晋三君) 岡田君の御質問にお答えいたします。
 第一問、三原則と生産第一主義の関係につきましては、御承知の通り日本の産業は、敗戰以來今日におきまして、ここに心構えを一新いたしまして、新たなるスタートをいたさねばならぬ時期に到達しておると考えるのであります。この点に対しまして、三原則を忠実に眞に実行いたしますならば、私はこれが最も生産を増強いたしまするところの最大の方式であると考えておるのでございまして、この三原則の実施が生産の減少を來すとは考えないのであります。もつとも、いわゆる甘やかされた、政府にばかり頼ろうとするような傾向にありました過去三年來の弊風をここに断固として一新いたしまするその間のギヤツプにつきましては、岡田君御懸念の通りのようなことが多少ございまするが、この三原則の適用が、眞の日本の産業の生産増強のほんとうのよい考え方であると、私どもは信じておる次第でございます。
 さて次の第二問の、炭鉱の賃金の問題に関しましていろいろ御心配の御意見がございましたが、ただいまも増田君から御答弁を申し上げました通り、この点につきましては、私どもも、労資の間にこの三原則の精神を眞に体得いたしまして、企業の努力、企業の能率の増進、その方式によりまして、ここに生産の増強があつて、初めて賃金の上昇が本質的に実現し、獲得できるという精神を、政府といたしましても援助いたしまして、目下労資の間に團体交渉をいたしておる次第でありまして、この問題につきましては、政府も極力この妥結に対し盡力いたしておる次第でありまして、私は不日この問題の解決することを確信しておる次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#9
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。なわちこの際、成重光眞君提出、海員ストライキに関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#10
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 海員ストライキに関する緊急質問を許可いたします。成重光眞君。
    〔成重光眞君登壇〕
#12
○成重光眞君 私は、ただいま行われております海員ストライキと、これに関して、なおその前に、歳末を控えてひんぴんとして起つております各種の爭議等に関しまして、あるいはこの点直接政府当局には関係ないかもしれませんが、しかし所管入団である労働大臣は、これらの件に対していかなる見解を持たれておるか、あわせてこの点も、この機会にお聞きしたいと思うのであります。
 吉田内閣が重要政策の一環として特に指摘しております点は、政界、官界、財界の粛正と、高く掲げておりますところの生産第一主義による國民生活の安定であつたと考えます。この二大政策は根本から破壊され、國民を欺瞞した吉田民主自由党單独内閣は、日とともに馬脚を現わし、國民の信頼を失墜しつつある。その現実の一つの現われは、この歳末を控えての多くの労働攻勢で、これはすなわち吉田内閣の政治性の欠如と断じて、あえて過言ではないと私は考えるのであります。
 この歳末のあわただしい最中に、電産ストのため、十五日朝、東京都内及び千葉縣下の都電あるいは私鉄は一時間、茨城縣下では三十分にわたる交通機関のストツプが行はれ、東京、千葉には十六日もこれが続行され、さらに二十日まで、栃木、埼玉、群馬縣等では、私鉄に対する送電停止が波状的に行われるなど、押し詰まつて、はけ口を見出そうとするところの労働攻勢は、まずその足の危機から姿を現わしておると思います。
 二十二、二十三の両日には、全國私鉄が二十四時間ストとなり、しかも電産ストは、五百キロワツト以上の大工場の送電も停止し、最高二十万キロワツトに達する全國的な波状ストを伴つて、二十日以後まで反復される計画が立てられており、また全繊維労組も、綿紡十六万人が二十一日から無期限ストを決行するのであります。さらに、スト態勢再交渉に入つた石炭三組合の動向も樂観を許さないし、金鉱の十五日以降の無警告スト通告など、鉱山関係を初め、公務員法は通過したとはいえ、すわり込み戰術など職場闘爭は、要求貫徹を掲げて、すでに闘爭宣言を発しているのであります。全逓や全官公労の動きを見ると、その規模は基幹産業各部門をそつくり巻き込んでいると思うのでありますが、從つてこのうねりが拡大すれば、生産低下の招來はもちろん、年末年始の國民生活にも、当然食糧、燃料その他一般の打撃甚大なることを憂慮するのであります。
 なかんずく海上輸送は、國民生活はもちろん、わが國産業貿易の基盤をなす重大なる産業再建の一環をなすことは、いまさら多言を要しないと思うのであります。海上では、すでに去る十一月二十九日から、第三次にわたる海員ストライキが本日まで続行されているが、この海員ストに関して、特に所管運輸大臣に質したいと思うのであります。
 海員ストライキは、その基因するところは、本年七月十三日、全日本海員組合が、船舶運営会所属船員約四万人について給與改善を要求したのであります。すなわち平均八千百三十八円の要求を提出しているが、この金額は一見高額に印象されるが、御承知の通り海員生活の実態は、政府当局においても十二分に了承されている通り、海員は二重生活をなし、あわせて給與外の時間外勤務、またはその勤務のいかに生命の上に危険性を持つ職たるかは、その説明を要しないと思います。これに対して、その後船員中央労働委員会の調停案が出されたが、海員組合は、八月二日、これを拒絶しているのであります。続いて十月の二十三日には、船員中労委会長の職権によるあつせん案が出されました。その一点は、現行給與三割増し、すなわち税込みの七千六百三十五円を、六月より八月まで支給することとし、二点は、新給與については團体交渉をすることの二項目でありましたが、このあつせん案は労資双方の受諾するところとなり、十一月十三日、九月以降の新給與について要求書を提出しておりますが、その要求金額は九千五百五十円、これは税抜きであつたが、十一月十八日に運営会の対案が提出され、税込み九千四百八十円、実施期を九月一日とした。この対案を組合は拒絶し、あつせん案の三割増し即時支給を要求したのであると思うのであります。この三割増し即時支給に対して、政府は緊急妥当な手段を講ぜず、遂に組合は尖鋭化して今日に至つたと思うのであります。
 かくして十一月二十五月、組合は闘爭宣言を発し、以降政府は、ようやくこれが解決に乗り出したが、関係筋との間、新財源を設定の上國会の協賛を経なければ支給することは不可能との態度をとつていると察するのであります。よつて政府に、この点を政府の予算関係から質してみると、三割増し、六月以降年度末までの四億五千万円は、運営会予算二十五億の中に含んでいる。第二は、運営会対案を九月以降実施のため、年度末までで四億五千万用を必要としているのであります。政府は、対案の十一月以降の実施のためには三億二千万円を必要とすると私は思いますが、前述の二項、三項の金額は予算に計上されているかどうか。あるいはまた、組合案を実施のためには十億三千万円を必要とすることになるが、これに対して、政府としてはいかにしてこれを解決せんとしているのであるか、その具体的な所信をこの機会に承りたいと思うのであります。
 これによつて行われている爭議の状態は、第一次停船ストライキが十一月二十九日から十一月三十日までの四十八時間、第二次停船ストが十二月三日から十二月八日の実に百二十時間、第三次停船ストが十二月十一日から現在、これが続行されているのであります。かくのごとくにして、日本再建の要諦たる海運輸送に、年末を控え一大支障を惹起していることは、ゆゆしき重大問題であると私は信ずるのであります。よつてここに、特に私は、窮乏のどん底に追いつめられている國民生活の不安の最中、歳末を控え迫り來る各種の労働攻勢に対処する所管大臣の所信と、あわせて海國日本再建のかぎを掌握しております海員ストライキに対して、政府はいかなる方途をもつてこれを解決せんとしておるか、特に運輸大臣の明確なる御答弁を求めまして、私の質問といたします。
    〔國務大臣小澤佐重喜君登壇〕
#13
○國務大臣(小澤佐重喜君) 成重君にお答え申し上げます。
 お話のように、現在海員ストが進行中であるということは、まことに遺憾な次第であります。だんだん詳細に成重君がお話の通りの経過を経まして、現在の爭議になつたのでありまするが、その爭議になつた大きな原因は、大体三つあるのであります。その一つは、お示しの現在の水準に対する三〇%の即時現金支給という問題、それからもう一つは、本年の二月、片山内閣でしたか、芦田内閣でしたかわかりませんが、とにかく二月、退職資金の問題つきまして、大体一箇年勤務した表に対しましては二箇月の退職資金を出すべしという一つの陳情が出まして、それを運輸大臣が認可するかいなかという問題が一つあります。もう一つは、お話のように十月一以降の新賃金をどう設定するかという問題、この三つが現在の海員ストの原因になつておるのであります。
 まず第一に、ただいまの三〇%の即時現金支給という問題でありまするが、これは詳細に成重君がお話のように、ちようど十月の二十三日、あつせん案が成功いたしましたので、政府といたしましては、組閣早々でございましたが、これに対する五億円の予算経費を大藏省に要求し、大藏省もこれを認めまして予算化し、ただいまお話の二十五億のうちの五億がこの三〇%に当る予算額であるのであります。從いまして、今御審議願つておりまする予算案が通過いたしますれば、ただちに船員諸君にお支拂いができる状態になつております。
 第二の問題につきましては、退職資金が、大体他の一般官廳あるいは会社等の標準から見ますると、一箇年勤務者に対して二箇月の退職金という要求は、バランス上非常に困難なのでありまして、結論におきましては、一箇年の就職者に対しては一箇月程度の退職金が適当であろうということに政府部内で意見がまとまりましたので、もちろん向うの要求通りではございませんが、この点につきましては、後日團体交渉を始めますれば、おそらく妥結に至るものではないかと考えておりましす。從つて、政府といたしましても、ただいまの一箇年に対する一箇月を標準とした退職金を許可する準備があるのであります。
 さらに第三の問題でありまするが、これは約三億八千万円――成重君は三億五千万円とおつしやいましたが、三億八千万円の予算化が必要となつて來るのであります。從つて、この三億八千万円の予算化の問題につきましては、現在の價格差補給金の方から三億八千万円を船舶運営会の補助に充てることに閣議の了解を得まして、何とか現在の紛爭をとどめようと努力いたして参つたのでありまするが、これは関係方面の承認を得ることなくいたしまして、遺憾ながら、いまだその実現の運びになつておりません。しかし政府といたしましては、一旦決定いたしました方針をどこまでも堅持し、了解を得ながら現在の爭議を解決いたそうと考えておるような次第であります。
#14
○成重光眞君 海員スト以外の歳末を控えての一般國内に起つておる各種の爭議に対するその所信を労働大臣に伺つておるのでありますが、お答えがないようであります。労働大臣のお答えを願います。
    〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#15
○國務大臣(増田甲子七君) 成重君の御質問にお答え申し上げます。
 ただいま多くの爭議が起つておることは事実でございます。しかし、先ほど岡田君が御指摘になりましたが、爭議行為に入つておるものは百万ほどはございません。爭議状態にあるものが相当あることは、まことに遺憾に存ずる次第であります。しかしながら、爭議がめでたく妥結に到達したという事件も、日立とか八幡その他たくさんあるのでありまして、全面的な労働攻勢というようには私どもは考えていないのでございます。それで政府といたしましては、補助金なりあるいはその他の援助をして解決すべき爭議につきましては、一生懸命解決しておりまするし、また地方的爭議は、地方労委なり、あるいは労政関係、労働関係の者を大いに勉強させまして、それぞれの地域闘爭につきましては、せつかくあつせん奔走させている次第であります。
 それから電産等が延びましたことは、先ほど料金の値上げが三原則と正面衝突をして今悩んでいるということを申し上げた点で、どうか御了解願いたいと存じます。
 それから、一般紡績関係はまさにストに入ろうとしておりますが、われわれといたしましては、せつかく中労委がりつぱな調停案をつくつてくださいまして、六〇%の賃金増額というような、われわれから見ましたならば非常な賃金の値上げでございます。これを紡績関係の労働者諸君が今のんでくださるか、くださらないかという境目に立つておりますが、この中労委の調停案を実現することは、政府といたしましても非常な勉強が必要でございまして、皆さんのごやつかいにもならなくてはならぬ問題で、大奮発を要する調停案だと思つております。これはぜひ紡績関係の労働者諸君にのんでいただきまして、破壊的なスト行為等には入らないように、どうか皆様の御協力を衷心よりお願い申し上げる次第であります。
     ――――◇―――――
#16
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、西村榮一君提出、大屋大蔵大臣臨時代理の食言に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#17
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。、
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 大屋大蔵大臣臨時代理の食言に関する緊急質問を許可いたします。西村榮、一君。
    〔西村榮一君登壇〕
#19
○西村榮一君 私は、十五日の私の質問に関連いたしまして、再度大藏大臣にその言動の行き違いを質問せざるを得ないということは、まことに遺憾に存ずるのであります。
 私は、十五日の午後五時四十分に、政府は現在提出の予算案を組みかえ、あるいは入れかえ、その他の補正予算によるか、いかなる方法によるか、予算の変更はないか、という質問を大藏大臣にいたしたのでありまするが、その際における大藏大臣の答弁が……(「臨時代理だ」と呼ぶ者あり)臨時は言いにくいから、ちよつと勘弁してください。この問題につきましては、総理大臣並びに大藏大臣に対して質問の通告を出していたのでありますが、総理大臣は急遽本問題の処理のために各方面に折衝中であるということを承りましたので、私はこの演壇から、質問の答弁者を変更いたしまして、内閣の統一ある、かつ責任ある答弁を、代表閣僚から総理大臣代理として求めたのであります。そのときに、大屋大藏大臣は内閣を代表されて、統一的かつ責任ある答弁といたしまして、現在政府が提出している追加予算は絶対に変更をいたしませんということを、本議場において一言明せられたのであります。
 しかるに、その時すでに佐藤官房長官は、院内において新聞記者團に対しまして、予算案について政府は新たなる提案をせざるを得ない、ということを公表せられておつたのであります。私は、この点は、さきに申しましたように、政府の統一せる、かつ責任ある答弁ということを要求したのであります。この予算案は修正かつ変更しなければならないということは、十五日の午前十一時には、すでに衆議院議長を通じて政府に傳達されておつたはずであります。しかるがゆえに、内閣総理大臣は本問題の処理のために各方面に折衝せられて、本議場にいなかつたのであります。このことは、單に十一時に判明せるのみならず、私は午後の四時半に自分の質問通告を総理大臣並びに大藏大臣に提出しておるのであります。ここに内閣が謙虚な氣持において國会多数と國家内外の輿論に耳を傾け得るだけの政治的良心がございますならば、当然我を張らずに、本予算案は変更するか、ないしは修正しなければばらないということは、認識しておられたはずであります。しかるに、絶対に変更することなしと、ここに言明せられたのでありまするが、それらの事態を、十五日の朝の十一時以來の新たに発生せる事態を認識した上において、大屋大藏大臣は予算案の変更絶対になしと言明せられた上からは、その信念に向つて邁進するか、信念を貫くことを得ざれば当然自己の責任を本議場において明らかにされるべきものであると確信して疑わぬのであります。(拍手)
 第二点においては、本予算案を予算委員会に提出せられたこの原案に対しましては、内閣は十分に各方面と連絡折衝の上に提出せられたのであるかどうかということを、私がお伺いいたしましたるときに、十分なる連絡と打合せの上に提案したのでありまするから少しも御心配御無用という御答弁があつたのであります。私は、この政府原案が、十分なる事務的な用意と、各方面との綿密なる折衝と、万般の用意が整えられて議会に提出されますならば、おそらく今日のごとき、政府がみずからの手によつて原案を撤回するか、あるいは野党に懇請して野党側から大修正をしてもらわなければならないというような事態には断じて陥らなかつたはずであるといわざるを得ないのであります。(拍手)私が憂えたのはこの点であります。
 もしも政府の原案をわれわれが信頼して、政府の言明を信頼いたしまして、國会多数をもつて政府原案を通過したときに、不十分なる政府原案の作成は、その実行上において多大の支障を來すであろうということは、現下のわが國の避くべからざる現実であるということを考えてみますならば、万一政府原案を信頼して國会多数がそれを議決し、それが実行不可能になつたときには、一体だれが責任を持つか。すなわち、ここにおいて、日本國民多数の意思によつて選出されたるところの日本國会の権威は地に落ちる状態に至るということは火を見るよりも明らかであるということを私はおそれたがゆえに、大藏大臣に対しまして、その点を質問いたしたのでありますが、しかるに何ぞ、舌の根も乾かないうちに現下見るごとき原案を撤回しなければならない事態に立ち至つたのでありますが、この点大藏大臣はいかなる責任をとられるかということを私は質問せざるを得ません。
    〔「社会党の責任じやないか」と呼び、その他発言する者あり〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 静粛に。
#21
○西村榮一君(続) 今民自党の諸君から、社会党の責任であるということを申された。しかし、政府の原案をそのままうのみにするならば、國会の権威は地に落ちるということを、民自党は知らねばならぬ。この國会の権威の破局化を食いとめたものは多数党による努力であるということを民自党の諸君は銘記してください。
 第三点において、私は、内閣総理大臣がただいま本議場において留守でありますから、これまた内閣を代表する閣僚から答弁を承りたい最後の一点は、日本國憲法第六十六條第三項に「内閣は、行政権の行使について、國会に対し連帶して責任を負ふ。」とあるのであります。しかるに、この大藏大臣の食言に対して、内閣は全体いかなる責任を持たれるか。この点を、代表閣僚から御答弁を煩わしたいのであります。
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#22
○國務大臣(大屋晋三君) 西村君にお答えをいたします。
 西村君は、私が食言をいたしたと言われておりますが、私は食言は一切した覚えはございません。すなわち、ただいまにおきましても、同君の御質問の第一点、私の申し上げたことは、かわりがございません。
 第二点、統一ある観点に基きまして、一昨晩御答弁を申し上げた次第でありまして、もしも官房長官が予算案を変更しなければならぬというようなことを言うたとすれば、それは誤りであります。
 さらに第三点につきましては、これは私の答弁の限りでありません。
    〔西村榮一君登壇〕
#23
○西村榮一君 ただいま大屋大藏大臣から、再度にわたる驚き入つた答弁をわれわれは受取つたのでありまする。今、政府原案に対して何ら変更ないという御発言がありましたが、本日佐藤官房長官は……。
    〔発言する者多し〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#25
○西村榮一君(続) 佐藤官房長官は、政府を代表せられまして、議院運営委員会に対して、政府の原案を撤回するか、あるいは野党が大修正を加えて、それを政府が承認する方がよいか、いりずれが簡單であるか、議院運営委員会において考えてもらいたいという意思表示をなされたことは、一体いかなる意味を持つものであるかということを、大屋大藏大臣は知らねばならぬのであります。
 第二点において、大屋大藏大臣は、何らの心配なしということを御答弁せられたのでありますが、私は、十五日の午前十一時に、政府原案はその俸給表も原則も承認していない旨を、衆議院議長を通じて政府に通告しておるということは、閣僚の一人たるところの大屋君はよく御存じのはずであると信ずるのであります。しかるにもかかわらず、予算案は何ら政府として変更の意思は今日もなければ、その意思表示もした覚えがないということでは、一体佐藤官房長官と大屋大藏大臣との間においていかなる連絡があるのであるかということを疑わざるを得ないのでありまするが、私はこれは、内閣自体の問題として深く追究いたしません。けれども、これは予算案でありまして、政府の……。
    〔発言するもの多し〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#27
○西村榮一君(続) これは單に内閣の連絡が不十分であるというには、あまりにも重大であります。何となれば、予算編成の責任者は大藏大臣である。その大藏大臣が御存じないうちに、政府を代表する一人が、議院運営委員会に向つて原案の撤回か野党側の修正を要求した、この申入れとの間においては、内閣はいかなる統一ある責任をとられるのであるかということを、もう一應大屋大藏大臣にお聞きしたいのでありまするけれども、私は時間がないから、もう一度登壇することはできません。結論を申しましよう。
 この十五日の答弁といい、今日の答弁といい、このでたらめの答弁は、單に私は大屋晋三君個人の意思表示ではないと思うのであります。何となれば、天下にでたらめな、できもしない政策を公表して選挙民を欺瞞するものが民主自由党の本質であるといたしますならば、大屋晋三君こそ最も民自党の忠実なるお家藝を代表するものであるといたしますならば、大屋晋三君の二度にわたるでたらめの心情は、また掬すべきものがあるとお察しはいたしますけれども、本議場を愚弄した罪は、議会政治の上に万死に値するものであるということを、政治家大屋晋三君は銘記しなければならない。
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#28
○國務大臣(大屋晋三君) 西村君にお答えいたします。私は決してでたらめな答弁ではない。速記録をよく調べてごらんください。
     ――――◇―――――
#29
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、重井鹿治君提出、佐藤官房長官の國会無視に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#30
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 佐藤官房長官の國会無視に関する緊急質問を許可いたします。重井鹿治君。
    〔重井鹿治君登壇〕
    〔発言する者多し〕
#32
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。
    〔発言する者多し〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――重井君、論旨を進めてください。
#34
○重井鹿治君 私は、佐藤官房長官の行動に関して質問いたしたいと思います。
 吉田内閣は、組閣以來三箇月、国家公務員法と不可分である追加予算並びに給與法案をいまだ決定し得ず、政界を暗黒に陥れつつあるのであります。しかも、その首謀者は佐藤官房長官であるといわれております。一官僚の行動を批判することは、あまりにおとなげないことでありますが、吉田内閣は、この独善官僚に引きずられておる事実を見るとき、國会の名において彈劾せざるを得ないのであります。(拍手)しかも佐藤君は、追加予算及び給與法案は政府原案が関係方面の了解による最後案であるがごとく策動し、宣傳しておつたのであります。その結果は、今日の政界混迷の原因をなさしめておるのであります。また賃金ベースの遅延は、労働不安を惹起し、電産爭議、炭鉱ストライキ、船員ストその他、重要産業を麻痺せしめんとしておるのであります。この責任は当然政府が負うべきであります。私は、佐藤官房長官がいかなる策謀をなしつつあつたかを事実によつて究明し、質問をいたしたいと思うのであります。
 去る十二月十四日午後九時ごろ、佐藤君は予算委員長に対し、総司令部経済科学局顧問ベーカー氏から、予算委員各党代表が打そろい、ただちに來訪せられたいとの申入れがあつた旨、通告せられたのであります。これを聞いた上林山予算委員長は、急遽理事会を招集して、その通告に関する打合せを行つたところ、一部の理事諸君から、佐藤君の出席を求め、親しく事の詳細を聽取せんことを要求したのであります。しかるに、聞もなく、すなわち午後十時ごろ、佐藤官房長官は、情勢変化のためその儀は中止に相なつたと答え、そして出席を断つたのであります。しかるに、またもや午後十時十分ごろ、佐藤君は松岡議長を議長室にたずねて、日本社会党、民主党並びに國民協同党の各党首またはその代表と同道して、ただちにベーカー氏のもとに來訪すべしとのベーカー氏の申入れを傳え、かつ、もし來訪ぜざる場合は政府提案の原案に賛成したるものとみなすとの付言を傳えられたのであります。松岡議長は、即時三党代表に対して官房長官の傳言を通達されたのであります。よつて三党代表は、議長と相はかり、とりあえずベーカー氏に直接電話をもつて事情を確かめましたところ、ベーカー氏は、全然自分の関知せざるところであると答えられたのであります。なお念のため、國会対策課長ウイリアムス氏のもとに確かめたところ、これまた何ら関知せずとのことでありました。
 かくのごとく、政府の傳言なるものは全然根拠なき謀略であり、総司令部の各によつて國会を愚弄し、フアツシヨ政治を行わんとしたのであります。(拍手)この事実は、單に奇怪なる事件として、このまま等閑に付することのできない重大なる意義を持ち、かつ將來のためにこの際その責任を明確にして、いやしくも再びかかる失態を繰返さないよう戒めなければならないと確信するものであります。(拍手)
 佐藤官房長官は、單に個人としてではなく、政府を代表して、國家の最高機関たる國会の議長を通じ、野党三党首の行動を要求する占領軍当局の意向を傳えたのであります。ことに見のがすことのできない重要なる点は、第四國会における重要案件たる追加予算案に対する野党側の賛否を、もし來訪なき場合は賛成とみなすというがごとき高圧的言辞を弄し、民主政治を冒涜せんとしたことであります。(拍手)この謀略は、あたかも戰時中の國会において、その名も同じ佐藤局長が、黙れの一喝をもつて軍部の野望を達成した行動と何らかわるところなき、保主反動政治の陰謀であると断言するのであります。(拍手)われわれは、かかる奇怪なる陰謀を未然に探知することができたことは、まずもつて幸いといわなければならないのであります。
 そこで私は、吉田総理に質問申し上げたいのであります。もし政府の一部に、かかる哀れむべき小策を弄する陰謀家があつたとしましたならば、吉田総理は、民主政治の確立のために断固たる処置をとる決意があるかどうかということであります。
 次に、敗戰の結果、わが國は今や連合軍の占領下にあつて、國会と日本政府は連合軍総司令部の制約のもとに置かれているという事実は、誤れる過去の指導者の企てたる侵略戰爭の結果であるとはいえ、八千万日本國民にとつては未曽有の悲劇であり、深刻なる民族的悲しみであります。しかるに、この事態を利用して、國家最高の機関たる國会をまさに愚弄し、侮辱し、陰謀政治を行わんとしたのであります。事は何者かの陰謀によつたものであるとはいえ、そして辛いに成功しなかつたとはいえ、政府の國民及び國会に対する責任は重大であるといわなければなりません。(拍手)かかる愚劣なる策動が、佐藤官房長官その人によつて企てられたものではないにいたしましても、これ幇助した佐藤君の責任は許すべからざるものであります。私は、國民に対し、國会に対し、佐藤長官はよろしくその職を辞し、その罪を天下に謝すべきであると断ずるものでありますが、吉田総理並びに長官みずからは、いかなる考えであるか、責任ある答弁を願いたいのであります。なおこの際申し上げたいことは、十二日十五日牛後三時、政府は声明書を発表せられております。その声明によれば、追加予算及び給與法案は、五千三百三十円が総司令部り承認せる最後案であるかのごとく述べ、あたかもこれを了解せざる野党の態度を攻撃しておるのであります。しかるにその後、政府は六千三百七円ペースを準備れつつあるといい、なお昨日も今日も、この國会に提出されておらないのであります。この事実をもつて見ても、いかに羊頭を掲げて狗肉を賣る無責任きわまる態度であるかを証明するものであります。その多くは、佐藤官房長官の官僚独善的行動のしからしむるところであると言われております。この際、政府のためにも、民主自由党のためにも、はたまた國家のためにも、よろしくその責任を明らかにし、眞摯なる態度をもつて國会に臨まれ、すみやかに予算審議を議了して、政界粛正浄化のために議会解散を断行されんことを希望するものであります。
 以上私は、吉田総理大臣及び直接の責任者たる佐藤官房長官の、良心ある御答弁を要望する次第であります。(拍手)
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
#35
○國務大臣(林讓治君) 重井君の御質問にお答えいたします。
 ベーカー氏との関係問題につきましては、ただいま私ども伺うのが初めてなのでありますから、よく取調べまして、適当な時期に御答弁申し上げることにいたしたいと考えるものであります。
 なお政府におきましては、決して議会を無視するなどというようなことは毛頭考えておりませんで、ひたすら議会を尊重いたしまして、議会の運営を全からしめるように努めたいと考えておるのであります。
     ――――◇―――――
#36
○議長(松岡駒吉君) 野上健次君より、総理大臣の本会議出席の件につき、議事進行に関する発言を求められております。これを許します。野上健次君。
    〔野上健次君登壇〕
#37
○野上健次君 歳末を控えまして、全官公三百万の労働者並びにその家族は、本國会にかけられておりますところの給與法案及びこれらの予算がいつ通過するかというので、かたずをのんでこれを見守つておるのであります。少くとも年末の越年に際しまして、少しでも至急にこれを実際にとりたい。給與を與えられたい、という念願を切に持つておるものでありまするが、政府は、過日來の予算の審議及び給與法案の審議に対しまして、常にそのみずからの責任を全うせず、しかも予算委員会におきましても、本会議等におきましても、十分責任あるところの態度を明らかにしていない。しかも昨日のごときは、政府みずからの責任において本会議及び委員会を休むことを申し入れて來たのであります。(拍手)これに対しまして、昨日に政府の申入れを了として、その政府の責任を確認することによつて、委員会及び本会議が休まれたのでありまするが、本日もまた同様、政府は政府みずからの責任によつて本会議及び委員会を休んでくれるよう、議院運営委員会に対して申し入れて來たのであります。
 しかるにわれわれは、この重大なる時局に際しまして、一日ならず二日にわたりて本会議を休むということが、いかに國民に対して惡影響を與えるか、これらの点を考えまして、本会議を開いたのでありますが、しかも吉田総理に対するところの重要なる質問が相重なるにもかかわらず、総理はこの院内におられて、しかもここに出て参られない。これはいかなる理由に基くのであるか。予算自体を政府はいまだここに出さぬではないか。なお法案及び予算案審議の遅延の責任を、ともすれば責任あるところの……
    〔発言する者多し〕
#38
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#39
○野上健次君(続) 佐藤官房長官あるいは政府は、しばしば責任ば野党にある、かような声明をしておるのでありますが、それにもかかわらず、政府自身は何らそのなすべきことをなしていない。まつたくみずからの責任をごまかし、國民大衆をごまかさんとするところの選挙政策にすぎないのであります。
 私は、かかる重要な時期に際して、何ゆえに吉田総理が議会におられながらも出て來られないか、しかも責任ある態度を示されないか、このことについて、議長より明確にこの事情を、吉田総理はなぜ本議場に出られないかということについて、議長において明確にお取調べを願いたい次第であります。
#40
○議長(松岡駒吉君) ただいまの議事進行の発言に対し、議長より一應お答えいたします。先刻重井君の質問中、総理大臣の出席を求められましたので、議長はただちに内閣に対し総理大臣の本会議出席方を求めたのでありますが、内閣より、総理大臣はただいま渉外関係のために登院していないとの御返事がありました。
 右、お答えいたします。
     ――――◇―――――
#41
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、榊原亨君提出、予算審議遅延の政府責任に関する緊急質問を許可されんことを望みます。(拍手)
#42
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 予算審議遅延の政府責任に関する緊急質問を許可いたします。榊原亨君。
    〔榊原亨君登壇〕
#44
○榊原亨君 私は、現在最も急を要する給與予算審議に関しましての政府当局の責任について、首相及び大藏大臣に、緊急これをただしたいと存ずるものであります。
 去る十二月四日本会議において行われましたる吉田総理の施政方針の御演説中、先月二十八日政府と社会党、民主党、國協党等主要政党との間に協定が成立したのであります。すなわち政府は、公務員急與及びその他緊急予算を第三回國会に提出し、野党はその予算の提出後二週間を経て不信任案を通過せしめて、衆議院を解散することになつておるのであります云々との御発言は、まさしく國会の審議権を否定せられたものであることは、憲法第五十一條による國会内の議員の演説、討論、表決の自由を拘束したるものと信ずるのであります。もちろん各政党が、議会運営上いろいろのお約束をさるるは自由であります。しかし、この約束を公然と本会議において発言せられ、各議員の審議権を拘束することは、私どもは許すことができない憲法上の違反と存ずるのであります。
 しかも政府は、かようなる措置に出てまでも、なおこの給與予算の議決を要望せられたことは、一に給與予算が急迫せる國家公務員のために寸時もゆるがせにし得ない状態にあるからであると信ずるのでありますが、この重要なる本案上後べんべん旬日を費やし、なおいまだこれを議決し得ないことに関しては、政府はいかなる責任をとらんとするものでありますか。私どもは、当然政府の重大なる責任と信ずるのであります。
 しかるにも昨十六日朝の朝日新聞及び毎日新聞において、佐藤官房長官は、給與予算の遅延の責任を野党の妨害によるものとされたる由の発言、またさらに驚くべきことは、この佐藤官房長官の発言と、あたかも符合するがごとく、今日の毎日新聞において、吉田総理が民自党議員総会においてなされた首相説明要旨としても政府案五千三百円ベースの変更を余儀なくされた理由として、多数を頼む野党側が予算及び給與案審議を妨害し、現下の非常事態を認識ぜず、いたずらに解散回避の目的のため議事の遅延を策したためであり、しかもこのために、あらゆるデマを放送するなど醜惡をきわめた云々、とあるのであります。もし、この説明要旨が真実であるとするならば、この要旨は、吉田首相の関係筋との会見により、いわゆる新事態発生後において行われた発言でありまして、私どもは唖然として言うところを知らないのであります。(拍手)
 私どもは、いわゆる四党協定にも関係なく、年末生活苦にあえぐ職員諸君のため一刻も早く審議を完了せんと、夜を日についで努力しているのでありまして、給與予算審議遅延の原因は、決して私ども小数野党の責任でもなく、さらに野党三派諸君の責任でもなく、一に当局のずさんな予算の提出という点にあり、当局の重大責任たる事を、公平なる立場において認めざるを得ないのであります。(拍手)
 前泉山藏相の問題はいかがでありますか。わが國議会の面目のためにも、私は申し述べることを差控えるのでありますが、これは單に國内の問題だけではないのであります。これによつて先ずる対外的なわが國議会の信用失墜を、いかに考えておられるのでありますか。この事実だけでも、首相は当然給與予算に関する内閣重要閣僚の行為について総辞職すべきものと存ずるのでありますが、これでもなお野党側の故意の党略的かけひきと断定されるのでありましようか。さらに、四日の施政演説中、首相は語を継いで、予算は去る二十九日提出せられ、現に本第四國会において審議せられつつある緊急予算であります、との御発言があつたのであります。しからば、この四党協定中の予算なるものは、明らかに現に提出中の政府予算であることは明らかでありますが、もしも、この給與並びに予算に修正または撤回されなければならない事態が起るならば、その処置は具体的にいかがされるのでありましようか。この点についても承りたいと存ずるのでございます。
 今國会は、たびたび政府、特に吉田首相の御言明の通り、公務員法及びその関係法規の制定のため召集せられた臨時國会であるといたしますると、給與の本体をなす追加予算案は、きわめて重大なる案件であることは明らかであります。この予算案が重大であればあるほど、政府当局においても十分なる準備と周到なる御研究があつてしかるべきであると存ずる次第でありますが、占領治下において当然なる関係方面との御了解も、十分遂げられておるはずであります。しかるに、事実はしからずして、昨今深夜に及び急遽関係筋との頻繁なる御交渉は、何を物語るものでありましようか。もし十分なる準備なくして出された予算案のため、かくのごとき事態が発生したものとするならば、当局の責任はきわめて重大であると私は信ずるのであります。(拍手)
 さらに、去る十五日夜の本会議における大屋大藏大臣の失言問題については、先ほども述べられた通りでありますが、この重要なる給與予算審議にあたり、次々現われる政治のいわゆる新事態の原因は、ことごとく政府の責任にあるものと信ずる次第であります。かくのごとき事情におきましては、政府はみずからその責任を負い、野党よりの不信任案が提出される以前に自発的退陣をせらるべきが、憲政の常道と考えるのでございますが、この点に関し首相及び大藏大臣の責任ある御答弁をお聞きしたいと存ずる次第であります。(拍手)
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
#45
○國務大臣(林讓治君) 榊原君にお答えいたします。
 給與予算の成立につきましては、政府は常にすみやかにこれが実行せられるように望んでおるものでありまして、もし修正の必要がありまするならば、その案をすみやかに提出していただきたいと存じております。
 また、給與予算の遅延が一に政府側にのみあるとは考えておりませんが、但し昨日‥‥(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)そのきまりました事柄につきましては、その責政府にあることは認めております。予算案は、これを修正あるいは撤回などをするつもりは、ただいまのところではございません。すなわち、組みかえ追加予算または補正予算などを提出するということは、ただいまのところ考えておらぬ次第であります。
     ――――◇―――――
#46
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、前田種男君提出、政府職員の俸給等に関する法律案に対する政府の責任に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
    〔「総理がいないから棄権する」と呼び、その他発言する者あり〕
#47
○議長(松岡駒吉君) 今村君、ただいまの動議は保留できませんか。
#48
○今村忠助君 議事課からまだ何の通知も受けません。
    〔「議事課がどうした」と呼び、その他発言する者あり〕
#49
○議長(松岡駒吉君) 今村忠助君、もう一度どうぞ――先ほどの今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#50
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。――本人より棄権の申出がありました。
     ――――◇―――――
#51
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、梶川靜雄君提出、降旗逓信大臣をめぐる疑惑などに関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#52
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて議事日程は追加せられました。
 降旗逓信大臣をめぐる疑惑などに関する緊急質問を許可いたします。梶川靜雄君。
    〔梶川靜雄君登壇〕
#54
○梶川靜雄君 私は、降旗逓信大臣をめぐる疑惑等に関しまして、内閣総理大臣及び法務総裁に対し若干の質問をいたしたいと思います。
 去る十言、同僚石田一松君より提案理由の説明がありました、民主自由党を除く各派共同提案になる政、財、官界の徹底的粛正に関する決議案によりまして、すでにこれらの問題について相当な決意を政府はせらるべきであると思うのであります。しかるにもかかわらず、本日の読賣新聞によりますれば、「降旗逓相宅きよう捜索か」という三段抜きの大見出しで、「逓信大臣、民自党代議士降旗徳弥氏が、九州の業者から多額の反対工作費を受領していた容疑が濃くなつたため、十七日澁谷の逓信大臣官邸ならびに目白の私邸の家宅捜索を断行する模様である」と報しているのであります。
 また他の新聞におきましても、「現同僚にも波及か」という大きな見出しをつけまして、「中央炭鉱國管捜査本部は、十六日炭管反対運動にからむ收賄容疑として民自党某代議士宅の捜査を行つたが、有力な容疑をつかんだ模様である」といい、さらに語を次いで、「福岡地検において捜査にあたつて來た檢事の報告に基いて、原日氏の線かつ現職某大臣の收賄容疑が濃厚となり、特捜本部では近く同氏の身辺にも捜査の手を伸ばす模様である」と報じしおるのであります。初めに読み上げました読賣新聞の報道を裏書きするがごとくであります。
 社会の公器であり、眞実を報道すべき任務を持つている新聞が、しかも田舎のインチキ新聞と違いまして、日本において最も権威ありと一般に信じられているところの大新聞の一つである読賣新聞が、特に降旗逓信大臣ということを、はつきりとあげておるのであります。單なる誤報とか、あるいはデマ、風説とは思えないのであります。そのように黙過することは断じてできない問題であります。しからば、逓信大臣のこの收賄容疑に関する捜査はいかになつておるか、さらにまた、今後いかなる捜査方針で臨ものか、明らかにしていただきたいと思うのであります。これが第一点であります。
 次に吉田内閣は、成立の当初にあたりまして綱紀粛正を叫び、一方その組閣にあたつては、疑惑のある者は極力除外する方針であるやに博えられておつたのであります。その組閣について、私は國民の一人として、その雄々しき決意に対して、かげながら敬意を表して参つたのであります。しかるに、現内閣は、成立後旬日を出でずして、その綱紀粛正の大元締である法務当局において、しかも副大臣と称してもさしつかえのない法務政務次官の田中角榮君が、石炭國管反対疑獄の容疑によつて逮捕せらるるの一大不祥事件を惹起したのであります。すでに、この問題によつて政府の正体が暴露したのでありますが、厚顔無恥なる現政府は、何ら責任を感ずるところがなく、まつたく全國民を欺き、ほおかむりして参つたのであります。現内閣のこの無恥に対しましては、國民ひとしく遺憾に思つたところであります。しかるに今また、読賣新聞の報道に誤りなければ、現職大臣が同じ疑惑に包まれようとしておるのであります。政策の面においてはすでに完全に失敗した、無為、無能、無策なる現内閣は、その一枚看板である綱紀粛正という問題も、完全にその馬脚を現わすに至つたのであります。現吉田内閣は、綱紀粛正内閣にあらずして、まさに石炭國管反対疑惑内閣と断ぜざるを得ないのであります。もしも、現内閣にして一片の良心だにあるならば、ただちに総辞職をいたされまして、組閣の当初に約束せられました綱紀粛正という題目について、國民を欺瞞した罪を満天下に謝すべきときであると思うのであります。これが第二点であります。
 これらの問題に対しましては、現内閣は一体いかなる責任をとられようとするのであるか、簡單でありますが、この点についてお答えを願いたいと思うのであります。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
#55
○國務大臣(林讓治君) ただいま梶川君の御質問のありましたようなことは、何らそういうことはございません。
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#56
○國務大臣(殖田俊吉君) お答えをいたします。降旗逓信大臣の問題は全然事実無根であります。
    〔國務大臣降旗徳弥君登壇〕
#57
○國務大臣(降旗徳弥君) お答えいたします。
 政治家の良心というものは金銭によつて冒涜さるべきものでない、私はかく信じ、かく実行して参つたのであります。從つて、本日の読賣新聞に出ました御指摘になつた記事は、私は見まして、まことに迷惑千万に感じておる次第であります。さらに申し上げまするが、ただいま両大臣の御答弁もあつたのでありまするが、本日午後、東京高等險察廳において、野村次席險事は、新聞記者團に対して事実無根の旨を明白に語つております。
 これをもつて答弁を終わります。
    〔梶川靜雄君登壇〕
#58
○梶川靜雄君 ただいま事実無根であるという御答弁があつたのでありますが、しかしながら、もし事実無根であるならば、新聞は真実を報道すべきにもかかわらず、眞実にあらざることを報道したということになるのであります。この点は総理も御承知と思うのでありまするが、しからば読費新聞に対して、断固これを停止させるだけの措置をとられるのであるか、あるいは黙認せられるのであるか、これに対してお伺いしたい。いかなる処理をとられるか、新聞がデマを報道するということになれば、國民は非常な迷惑をこうむり、國民の正しい認識はゆがめられる、こういう点について、政府は一体どういう態度をとられるか。
 第二番目に、降旗逓信大臣から一身上の弁明があつたのでありますが、前田中法務政務次官も、この壇上を通じて、絶対にかかることはないと言つたにもかかわらず、旬日を出ずして強制收容せられておる。(「人が違うよ」と呼ぶ者あり)人が違うと言われるが、副大臣と大臣であるから、一歩手前である。そこで私は、重ねて降旗逓信大臣に、一体もし眞実であつたならばどうされるか、逓信大臣のみならず、総理もあるいは法務総裁も、どうやられるかということをお伺いしたい。
 さらに第三番目に、法務総裁に対してお伺いいたしたいのは、從來いろいろな疑獄問題によるところの捜査というものは、非常に急ピツチになされている。人権蹂躙とまで言われるほど急ピツチになつている。特にこういう問題以外の、最も國民の利益を擁護すべきところの税金鬪事、あるいはその他の問題については、司法フアツシヨと言われるまでに強硬な捜査を実行しておる。にもかかわらず、事一たび石炭國管問題になりますならば、非常に処女のごとくおとなしい捜査をして、遅々漫々としてその捜査をやつておる。こういう状態を見ますならば、はたして法務当局が、この疑惑究明にほんとうの熱意を持つておられるかどうか、疑わざるを得ない。特に田中法務政務次官の逮捕要求に当りましては、民自党の諸君は許諾を與えられた。これは内心田中君をつかまえさせたいのではなくして、おそらく田中君をつかまえさせることによつて國民の目をごまかし、大物への波及を恐れたものではないか、党利党略ではないか、ということをこの際につけ加えておきたい。
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#59
○國務大臣(殖田俊吉君) 檢察は最も嚴正公平に執行しております。決して御心配はいりません。
#60
○議長(松岡駒吉君) 叶君より議事進行の発言を求められておりますが、定足数に関してのことであります。つきましては、定足数を欠くおそれがありますので、明日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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