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#1
第004回国会 本会議 第18号
昭和二十三年十二月二十日(月曜日)
 議事日程 第十七号
    午後一時開議
 第一 昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給等に関する法律案(内閣提出)修正の件
     ――――◇―――――
○本日の会議に付した事件
 第一昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給に関する法律案(内閣提出)修正の件
    午後十時五十六分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○(松岡駒吉君) 昨日内閣から、昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給等に関する法律案を修正したいとの申出がありました。
 本件につき質疑の通告があります。これを許します。前田種男君。
    〔前田種男君登壇〕
#4
○前田種男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいまの承諾を求める一件に関し、給與ベースに関する法律案の問題につきまして、以下項目をあげまして、総理大臣並びに大藏大臣の明確なる答弁を求めるものでございます。(拍手)
 給與問題の論議は、先月の第三國会再開以來、公務員法の改正とともに不可分の関係におきまして、本会議におきましても、委員会におきましても、毎日論議が集中されたのでございます。先月九日、人事院は人事院の試案を発表いたしましたところが、政府は人事院の勧告に対してすら應じがたいという声明を発表いたしまして、今日までその主張を通して来たのでございます。(拍手)しかもわれわれが、公務員法の改正と不可分の関係にある給與ベースの問題は、どうしても前議会において提案し決定しなければならぬと問題を押し詰めました結果、わずか二日を残しまして、先月二十九日に、あわただしく追加予算案を提出いたしまして、今日なおその審議が継続されておるのでございます。今日政府が突如として大幅の修正案を出すに至つた過去の実際の経過を顧みましたときに、先月二十九日に提案した追加予算、さらに本月三日に提案いたしましたところの本法律案が、いかにずさんきわまるものであつたかということを、暴露しておるのであります。(拍手)私はこの点について、政府は本法律案を提案するにあたつて関係方面と十分なる了解ができておつたかどうかということを、この議場を通じて明確にしてもらいたいのが、第一点でございます。(拍手)
 もし十分なる了解ができておつたといたしますならば、何をもつて今日こうした根本的な修正案を出さなくてはならなかつたかという原因を明確にしていただきたいと思うのでございます。(拍手)しかも政府は、本國会再開以来、連日委員会を開き、審議を継続して参つたのでございましたが、最近一週間この方、この法律案をたな上げにして、全然審議を不能の状態に陷れたところのその責任は、まさに吉田内閣か全部持たなければならぬといわざるを得ないのでございます。(拍手)
 吉田内閣は、言葉を盡して、人事委員会の試案には應じがたしと言つて來たのでございます。しかし、野党三派が寄り寄り相談をいたしまして、修正案の内容を検討して参りましたところが、それに抗しまして、あらゆる策謀と謀略をもつて、野党側に対していろいろな陰險な手段を盡して來たのでございます。私は、その一例を申し上げます。
 政府案で行けば、十一月から五千三百円ベースの支給ができると言つております。私は、五千三百円案で行つて、はたして十一月一日から実施ができるという確信があつたのかどうかということを、明確に答弁を願いたいと思います。さらにわれわれが六千三百七円案をつくり上げましたところが、政府は、十二月に対しましては六千八百円の案を出すということを言つております。十二月にはたして六千三百七円以上の手取がとれるようなことができるかどうかということを、明確にしていただきたいと思います。
 さらに佐藤官房長官は、次官、局長の陳情に対して、こういうことを言つて、おります。十七日の朝日新聞によりますと、長官の答弁によりますれば、局長たちの気持はよくわかる、それだからこそ政府は五千三百円ベースの給與予算の追加に躍起になつていたのだ、野党が妨害するから、こんなことになつた、責任は野党にある、ということを言つております。一体、五千三百円ベースと年末調整金の問題と、いかなる関係にあるかといういことを、はつきりしてもらいたい。われわれは、六千三百円になつた場合と五千三百円になつた場合とのいろいろな問題もあるのでありましよう。しかし、六千三百円ベースに最後まで反対いたしました政府が何ゆえに今日大幅修正を出さなくてはならなかつたかというところの原因を明確にしなくてはならぬと思います。(拍手)しかも、前内閣が三千七百九十一円ベースを決定したときには、これが生活の最低だといつて勤労所得税の大の軽減を実行したのでございます。政府は、責任をもつて五千三百円を出し、五千三百円が生活の最低との確信を持つならば、何ゆえ勤労所得税の大幅軽減を同時に提案せなかつたかということを、私は主張するものでございます。(拍手)
 さらに政府は、今度の問題に対しましても、いろいろな策謀はしておりますが、すでに去る十五日に、関係方面からの六原則が示されておるのでございます。この六原則の中には、完全に政府案は廃案にひとしいものになつてしまつているのでございます。廃案にひとしいものをたな上げにして、今日の議会の審議を遅らせた責任を一体どうとるかということを、明らかにしてもらいたいと思うものでございます。今回のように、政府が自信をもつて出、した案を再び大幅に修正せなくてはならないというこのやり方は、今日までの議会政治の中にはなかつた例であると私は言いたいのでございます。吉田内閣は、今日のこの案に対しましては、大なる失政なりといわざるを得ません。この失政は、新らしい國会史の上に大きな汚点を残したものといわざるを得ないのでございます。(拍手)
 私はこの意味において、吉田総理大臣は明確たる答弁をされんことを希望いたしまして、私の質問を終るものでございます。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#5
○國務大臣(吉田茂君) お答えを申し上げます。この給與法案に対しては、年末が差迫つているので、政府といたしては、どうかして早くこの法案が上程せらるるように、かつまた議会において議了せらるるように、種々盡力をいたしたのでありますが、何らのその間に工作は加えておらないが、しかしながら、上程が今日まで遅れたというのは、(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)詳細のことは係の大臣にお答えいたさせます。
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#6
○國務大臣(大屋晋三君) ただいまの前田君の御質問に対しましてお答えをいたします。
 前田君は、今回政府が提出いたしました修正案につきまして、関係方面との了解を得て修正をいたしたかというお話でありましたが、その点に関しましては、十分なる了解のもとに提出いたしたことを御了解願いたいと思うのであります。
 なお前田君の御質問の中に、修正案の提出までに至りまするこの数日間の審議を空費いたしたのは政府の責任であるというお言葉でございましたが、これは政府の責任にあらずして、野党の諸君もこの問題に対して御研究あそばされたことは、よもや野党の諸君もお忘れはないと私は存ずるのであります。(拍手)これは政府の責任では絶対にないのであります。
 なお、政府が今回さらに六千三百円ベースの修正をいたしましたにつきましては、これは諸君も御承知の通り、諸般の情勢の変化によりまして、かような処置を提案した次第でございますことを、御了承願いたいのでありまして、二の六千三百円ベースを一月一日から実施いたしまして、はたして十二月の給與に対して確信があるかという御質問でありましたが、私は、野党諸君の案と称するものの内容を詳しく存じませんが、政府案の賃金の方が、十二月分において二百八十円も多いということを、御銘記願いたいのであります。(拍手)
 さらに前田君の御質問の中に、給與の改訂にあたり何ゆえに勤労所得税の軽減をしなかつたかという点がございますが、これは、新給與は現行税制下におきましても実質賃金の上昇になるのでありますから、その必要がないのであります。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    〔前田種男君登壇〕
#7
○前田種男君 総理大臣並びに大蔵大臣は、今日まで遅延した原因が野党の責任だと言つております。私は、政府がいかに無能であるかということが、この答弁において明確になつたと思います。(拍手)
 大藏大臣は、野党の案よりも政府の案が、十二月手取り二百八十円多いと言つておりますが、私の計算で行きますと、來年の三月まで計算いたしますと、野党の案が二百八円多いのでございます。(拍手)十一月から三月までの政府の案は、二万二千七百十二円でございます。野党の案は、二万三千二十円になつておるのでございます。政府が、かようなべらぼうな案をもつて、そうして本議場で答弁をしておるということは、まつたく恐れ入つた態度であるといわざるを得ません。(拍手)しかも政府は、野党がいろいろ策動しておると言つておりますが、われわれは、修正案をつくるにあたりましても、人事委員長同伴の上で、関係方面に行きましても十分折衝をして、堂々と相談をしておるのでございます。政府は、その態度に対していろいろの策謀をし、修正案ができ上ることに対して妨害をもつて臨んで來たことは、歴然たる事実であるといわざるを得ないのでございます。(拍手)
 私は、今日年の瀬が押し迫つて、公務員諸君の生活の窮乏の実情を考えてみて、いかに吉田総理以下内閣の諸君がこの問題に対して冷淡であつたかということを、今の答弁において明らかに暴露しておるといわざるを得ません。吉田内閣は、おそらく解散以前の諸政策に対してに何らの檢討もしていないということが、今の大藏大臣の答弁でわかります。大藏大臣は、この席上において、五千三百三十円の予算問題は変更する意思がないと言つております。しかし、その後数日にして、諸般の事情やむを得ず六千三百七円を認めざるを得なかつたということを言つておりますが、それが事実であるといたしますならば、諸般の事情の見通しが、いかに政府になかつたかということを、暴露しておるといわざるを得ません。もう一度、その問題について明確なる御答弁を願う次第でございます。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#8
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。私が申すのは、政府としては、この議案について、歳末を前にして、なるべく公務員に給與が行き渡るように、最善のカを盡したということを申したのであります。
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
    〔発言する者多し〕
#9
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います――静粛に願います。
#10
○國務大臣(大屋晋三君) ただいまの前田君の再質問に対しましてお答えをいたします。私のただいまの発言に関しまして、責任問題という点に関しましては、いろいろなお考え方がございましようが、詳しいことは委員会に讓ることにいたしまして、何とぞ諸君の御協賛をお願いいたしとうございます。
    〔「懲罰だ」「休憩々々」「議長早く進行せぬか」と呼び、その他発言する君あり〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 細川隆元君より休憩の動議が提出されました。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて動議のごとく決しました。(拍手)
 この際暫時臨休憩いたします。
   午後十一時一十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後十一時四十七分開議
#13
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
 内閣総理大臣より発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣吉田茂君。
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#14
○國務大臣(吉田茂君) 責任の所在に関するさきの発言については、これを取消しますから、諸君の御了解を願いたいと存じます。(拍手)
#15
○議長(松岡駒吉君) これにて質疑は終了いたしました。
 討論の通告があります。これを許します。松谷天光光君。
 この討論は、申合せによりまして、嚴格に五分間に制限いたします。
    〔松谷天光光君登壇〕
#16
○松谷天光光君 労働者農民党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする案件に対し反対の意を表明するものであります。
 人事委員会が、かつて六千三百七円を決定しておるにもかかわらず、政府はことさらに、飢餓線を下まわるところの貧乏線である五千三百三十円を決定提出いたしました。政府は、この五千三百三十円案をもつて、いかにも労働者が生きて行かれるという放言をして、はばからなかつたのであります。しかるに今日、いかなる理由によるのでありましようか、ただ單に新情勢の発生ということによりまして、突如として六千三百七円案を、國会法の五十九條によりまして修正の承諾を求めて参つたのであります。六千三百七円案と五千三百三十円案との間には、だれが見ても明白なる差がある。このべースの変更は、ただ單に修正というがごときもので片づけ去られるものではなくして、根本的な、基本的な問題があるはずであります。從つて政府は、五千三百三十円案を、國会法の五十九條によりまして、まず撤回をいたしまして、あらためて六千三百七円案を再提出すべきが筋であります。從つてわれわれに、ただ單にほおかぶりをいたしまして’修正によつて國会を欺瞞せんとするところのこの態度に対しまして、反対をいたさなければならぬのであります。
 しかも、仄聞するところによりますと……。
#17
○議長(松岡駒吉君) 松谷君、時間が参りました。結論を急いでください。
#18
○松谷天光光君(続) 野党の社会党、民主党、國協党も撤回を要求するという態度を決定しておつたやに聞くにもかかわらず、これを、ただいま急に政、府の修正案に賛成することは、われわれ了解に苦しむところであります。
#19
○議長(松岡駒吉君) 松谷君、時間が経過いたしました。中止を命じます。
    〔松谷天光光君なお発言す〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 松谷君、時間が参りました。降壇を命じます。――松澤兼人君。
    〔松澤兼人君登壇〕
#21
○松澤兼人君 私は、社会党、國民協同党、民主党その他本案に賛成する党派を代表いたしまして、この修正案の提出につきまして賛成の意を表するものであります。(拍手)
 私どもは、政府が五千三百三十円という給與の改訂を提出たしまして以来、すでに半月以上にもわたりまして、この政府の案が絶対のものであると考えて、これを中心にして審議して参つたのであります。しかも政府は、この案が最上の案であるごとく考え、その間、人事院が六千三百七円の給與の改訂を勧告したのにかかわらず、これをのむことができないといつて、拒否して来たのであります。私どもは、六千三百七円の科学的、合理的根拠のあることを信じまして、これをすみやかに政府が採用すべきであるということを論じて来たのであります。しかるに、今日突如として、いかなる理由かわかりませんけれども、六千三百七円の案を修正提出しようとしておるのであります。
 私ども、五千三百三十円の給與の改訂の案を見ましたときに、その内容がずさんきわまるものであるということを、すでに指摘したのでありますが、今回六千三百七円給與の改訂の政府の案を見ますときに私どもは、十日以上も寝る間も寝ないで、五千三百三十円に対する六千三百七円の案をつくつて参つたのであります。しかるに政府は、その間何をしておつたでありましようか。われわれの案がようやく固まりそうになつたときに、突如として六千三百七円案のベースを用意し、われわれがすでに幾多の困難と鬪いながら獲得したところの条件を、いつの間にか自分の案の中にすりかえておるのであります。なるほど、その表紙に日本國政府でありましようが、内容は他人のものを剽窃しておるにすぎないのであります。
 長い間、五千三百三十円案は絶対不動のものとわれわれに押しつけて來たところの政府の態度は、まつたく議院を侮辱するものであると私どもは考えておるのであります。(拍手)本來ならば、政府は、先ほどの案を撤回いたしまして、あらためて案を提出するのが当然であります。全然その内容が別個のものであり、その採用するところの基準も別のものである。これを全面的に修正という形をもつて来ることはわれわれには納得が行かないのであります。しかし、年末を控えて飢えに苦しみ、生活の安定を欠いておりますところの政府職員は、一日も早く改訂せられたところの六千三百七円の支給を待つておるのであります。この間の事情を考えまして、一應私どもは、今日ここに修正に同意を與えようと思います。しかしながら、政府の案がよいか、野党の案がよいかということは…。
#22
○議長(松岡駒吉君) 松澤君、時間が参りました。結論をつけてください。
#23
○松澤兼人君(続) 政府の出来がよいか、あるいはわれわれの案がよいかということは、人事委員会において黒白はつけられるのであります。この意味において、一應はここで修正案提出に賛成するものであります。
#24
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本件に対し承諾を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#25
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて承諾を與えるに決しました。
 明日は午前零時五分より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
    午後十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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