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1948/12/23 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 本会議 第21号
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1948/12/23 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 本会議 第21号

#1
第004回国会 本会議 第21号
昭和二十三年十二月二十三日(木曜日)
 議事日程 第二十号
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 不信任決議案(片山哲君外十四名提出)
 健康保険法の一部を改正する法律案(参議院提出)
    午後四時五十四分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします‥‥。
    〔発言する者多し〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#5
○今村忠助君(続) すなわち、片山哲君外十四名提出、不信任決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
#6
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 不信任決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。片山哲君。
    〔片山哲君登壇〕
    〔「大臣はどうした」と呼び、その他発言する者多し〕
#8
○議長(松岡駒吉君) 商工大臣は関係方面との要務のため出席いたしかねております。御了承を願います。労働大臣、逓信大臣は間もなく出席いたします。
#9
○片山哲君 私はここに、野党提出、吉田内閣不信任案を説明いたしたいと思います。(拍手)しかしてこれは、政府を彈劾せんとするものであります。(拍手)これはもちろん、憲法第六十九條による衆議院の政府不信任の意思表明であります。
 過般の政変に際しましては、少数党たる民主自由党内閣の成立に対して多大の危惧を持つておつたのでありますが、かすに時日をもつてし、しばらくその施策を見るために、時局担当の衡に当ることにあえて反対をしなかつたのであります。また過般の協定においては、不信任案通過後解散に進むことを内容としたのでありまするけれども、第三國会以來、現内閣の態度ことごとく当を失し、かつ数次にわたり陸続突発せる新事態の発生は、遂に本不信任案をもつて吉田内閣総辞職要求の意思表示たらしめているのであります。(拍手)けだし、政府の無力無能をもつてしては、とうてい解散断行の資格なきものなりと確認いたすものであります。(拍手)衆議院は、ここに現内閣の退却を要求するものであります。今、その理由を説明いたします。
 第一に、吉田内閣の存在は、わが國民主化を後退せしめるものであります。(拍手)その基本的立場において、まずわれわれは、これを信任しないのであります。吉田保守内閣は、第三國会以來、その反動性を如実に現わしつつあります。独断專行の吉田首相個人を中心といたしております点、院議を尊重いたさざる点、時代遅れの自由経済を基本政策とし、特に特権階級の利益を擁護する古き傳統に変革を加うることを少しもなさざる点、これらより見まして、保守反動性を露骨に現わし、日本民主化を後退せしめつつあるのであります。(拍手)わが國民主化の前進は、われらの使命でありますから、これを熱望するわれわれは、これを後退せしめる反動内閣の打倒に邁進しなければならないのであります。(拍手)祖國再建は、保守反動政策をもつてはなし得るものではなく、世界情勢に呼應する進歩的革新政策をもつてするにあらずんば、断じて達成し得ざるものであります。(拍手)これ現内閣の退陣を求める第一の理由であります。
 第二に、講和会議開催促進のために、保守反動政権の存続は断固排撃すべきものであると信ずるのであります。(拍手)さきに述べましたる通り、反動政権は日本民主化を前進せしむるものではありません。施政方針の演説において、吉田首相は、講和会議促進のためにも、まず第一に、わが國において民主政治が確立されなればならぬ、と述べられました。けれども、事実ははたしてその通り進行しておるものでありましようか。外國新聞があげて、吉田内閣の出現は日本民主化の後退であるということを批評いたしておるのであります。(拍手)言うまでもなく、講和会議促進は日本國民の要望いたすところであります。この要望にこたえるため、政府はその準備をなすべきであります。その準備とは何でありましようか。日本民主化を前進せしめることでなければならないのであります。(拍手)すなわち、その命題に従つて困難を克服しつつ民主化前進体制をつくり、これを整備しなければならないのであります。その途上において保守反動内閣出現は、はたしてその希望を達成し得たでありましようか。吉田内閣の出現は民主化の後退であり、これは実に講和会議促進の非常なる障害となるものであるといわなければならないのであります(拍手)講和会議促進を熱望いたしまするわれわれは、その意味において、民主化を後退せしめる現内閣の後退を要望しなければならないのであります。(拍手)
 第三に、われわれは、吉田首相の民主政治に対する認識の誤謬を指摘し、これによつては、とうてい民主政治の確立はできるものではないと断定しなければならないのであります。首相は、繰返し民主政治の確立を唱えておられるのでありまするが、その意味と内容が明らかになつておりません。たとえば、第四國会の施政方針演説において、首相は、最初の総選挙の結果を尊重し、首班を第一党たる社会党に譲り、吉田内閣は総辞職をし、民主政治の趣旨精神の貫徹徹底に努力したとありまするが、しかしこれは、一に憲法第七十條によつたまでのことであります。当時の四党政策協定及び閣外協力に従つたのにすぎないのであります。これだけのことで、民主政治は確立せられたりといい得るでありましようか。民主政治とは、かかる形式的な観念では断じてないのであります。(拍手)もつと実質的にして、生活的に豊富なる内容をもつたものでなければなりません。たとえば、第三次農地制度改革が滲透し、農民の生活が向上し、農村に新しき文化が樹立せられることでなければならないのであります。(拍手)これによつて農村に民主化ありということが言い得るのであります。労働者一般大衆に、健康にして文化的なる生活が確立せられ、政治経済の制度を民主主義に徹せしめないことには、断じて民主政治は確立せられたりということはできないのであります。(拍手)首相は形式だけを見て、その実質を見ざるもまたはなはだしきものなりといわなければなりません。(拍手)言いかえれば、基本方策として保守反動政策をとりつつ、はたしてしかく簡單に政治の民主化のみならず経済産業の民主化が確立せられるものでありましようか。内閣首班指名にあたり儀礼的投票をなしたりということだけで民主政治が確立するものでありましようか。(拍手)かりに、かような形式ができたといたしましても、その政治運営の形体、経済産業の諸政策が非民主的であり、独善的、反動的である場合においては、断じて民主政治はできるものではないといわなければならないのであります。(拍手)
 首相はさらに、新憲法の成立したる今日、これが運用を全からしめることは、その精神にのつとつて最も正しい憲法上の慣例をつくりあげることであると主張されておりまするけれども、首相は、第三國会劈頭において、施政方針の演説をしなかつたのであります。また決議案が可決せられましても、その院議を尊重せず、これを無視いたしたのであります。(拍手)公務員法の審議にあたりましては、当然新給與ペースとその予算審議が伴うべきにかかわらず、これを切り離すことを頑強に主張し、また独断的に法案審議期間をひとりぎめして、これを押し進めんとするなど、すべて横紙破りを強行いたしておるのであります。わが國議会政治における多年のよき慣例を、みずから破つておるのであります。相手かまわず、やたらに自己の所説を押し通し、それでよりよき憲法上の慣例をつくり得たりとなし、これなくしては民主政治の確立はなし得ないと、ひとりぎめすることは、自己の考えを他人に強いるものでありまして、これより大なる非民主主義はないものといわなければなりません。(拍手)独断によつては民主政治は確立せられるものでは断じてありません。すなわち、多数の意思いかんにかかわらず個人的の好みによつてなす政治を称して何と言うか。これを称して非民主的の政治、反動的政治といわなければなりません。吉田首相も、遂に正論に従い、公務員法と予算関係の不可分なことを認められました。また解散については、議会多数派の意見を尊重しなければならないということを認めるに至つたのであります。(拍手)
 首相は、二大政党の対立を非常に希望せられておるようであります。なるほど、それは一つの理想型でありましようけれども、わが國の現実は、いまだそこまで発展してはおりません。それには幾多の理由があるでありましよう。今日実施いたしております中選挙区制では、当然小党分立を來すものであります。二大政党の実現は、今日、今すぐ望むごとはむりであります。選挙法に対する思い切つた改正も行わず、新しい檢討もこれに加えることなく、また小党分立の現状をも無視して、自分の好む二大政党の定型を仮想いたしまして政権の移動を論じ、この型に当てはまらないものはすべて民主政治に反するものであると断ずるは、ドグマのはなはだしいものといわなければなりません。この民主政治に対する誤謬を指摘いたしまして、現内閣を強く不信任いたすのであります。(拍手)
 第四に、吉田内閣は現下難局を打開する能力と政策とを毫末も持つていない、無為無能の内閣であることを指摘いたすのであります。首相の申し訳的施政方針演説は、單なる追加予算の機械的説明にすぎないのであります。また、一枚看板の解散を要求いたしておるだけであります。難局突破の基本政策については少しも明示いたしておりません。特に、野党時代公約いたしておりまする取引高税の即時撤廃、供出後の米麦の自由販賣、料飲店の即時開店等については、はたして実行するのかしないのかこれを明白にせず、全部ごまかしておるということを指摘しなければならないのであります。(拍手)しかして、これら一切をあげて、ただ解散論でおおわんといたしておるのであります。
 私は、かつて述べました通り、解散断行賛成であります。(笑声)しかしながら、解散の主張と併行いたしまして、積極的に政策を立てるべきであります。いやしくもこの難局を担当いたしましたる以上は、初めから終りまで解散論題一点張りとは、あまりにも無為無策であるといわなければならないのであります。(拍手)解散だけで民主政治の確立ができると主張し、わが國再建計画や、経済復興設計や、民主化の手段方法を示さずともよろしいという理由は、一つもないのであります。
 しからば、現内閣は選挙管理内閣であるから、一枚看板だけでよろしいと、あるいは言うかもしれません。私は、芦田内閣に向いまして、これを選挙管理内閣としたいと提言いたしたことがありまするが、今日吉田内閣の場合とは、非常に違うのであります。(笑声)すなわち選挙管理内閣は、どこまでも議会内において多数を占め、その多数派により政府がつくられた場合でなければ、管理内閣としての資格はないのであります。吉田少数党内閣は、この意味において、選挙管理内閣としての資格は全然ないと断じなければなりません。(拍手)しかも、急遽間に合せのため、十一月二十九日に提出いたしましたる追加予算案及びその後の給與法案は、すこぶるずさん粗漏をきわめ、これがために、政府の責任においてその審議を延期し、遂にこれを修正しなければならなくなり、かつ、まれに見る総理大臣の失言取消しにまで進んだ幾多の失態を演ずるに至つたのであります。かくのごとく無力無能、失態の内閣によつては、はたしてよくわが國の國際的信用を高め、難局打開ができるでありましようか。断じてしからず、日本民主化のために、無力無能な内閣の打倒に邁進しなければならないと思うのであります。(拍手)
 第五に、政界淨化を組閣第一声とせられたる現内閣は、はたして淨化の力ありや、またその資格ありや、私は、現内閣にその資格及び能力なしと断じなければならないと思うのであります。(拍手)のみならず、かえつてその後突発せる百万円献金問題、泉山問題その他等々につき、政府は当然責任を負うべきものなりと考えているのであります。(拍手)吉田首相のわれわれ國民に対する約束は、疑獄事件の徹底的究明と、政界、官界、財界の淨化をはかることでありました。われわれは、その積極的活動に多大の期待をかけておつたのでありまするが、その後の態度すこぶる不徹底であります。
 過日問題となつた吉田首相直接関係の百万円政党献金問題は、第一次吉田内閣の出來事であります。当時の閣僚星島二郎君関與の事件でありまするが、首相は、政令違反、政界淨化の見地から、いかなる責任をこれに感じられているのでありまするか。(拍手)また当面の責任者でありまする殖田法務総裁に至つては、一体何を今までしているのでありましようか。(拍手)政界淨化については、何ものをも恐れず、一党一派に関係なく、公正なる処置をとると、壇上において廣言した殖田君は、この明白なる百万円政令違反事件につき、何ら今日まで処置をとつていないのであります。(拍手)のみならず、國管疑獄事件については遅々として進まず、一政務次官の逮捕にとどまつているということで、何で政界の淨化ができるものでありましようか。(拍手)のみならず、泉山前藏相の院内乱行事件に至つては、醜態の限りであります。民主政治の確立を口にしながら、かくも道義をわきまえず、官紀を乱し、國際的信用を失墜いたしましたる事件は、稀有であります。その他大屋藏相の平然と言い放つ食言問題、佐藤官房長官の官僚的陰謀など、一つとして民主政治を確立せしめたものはなく、逆に民主化を汚涜せしめたということを言い得るのであります。
 第六に、戦後の復興経済政策は、國際情勢に対應し、世界政策の一環のもとに、新しき計画性を持つたものでなければなりません。しかるに現内閣は、これに孤立いたしまして、独自の旧態依然たる自由経済に立てこもり、なおこれを基本政策となさんとしつつあるのであります。去る十九日発表せられたる日本経済自立の九原則及びマ元帥の吉田首相にあてられたる書簡は、実に旧式なる自由放任経済の根本的建直しを要求しているものであるといわなければならないのであります。(拍手)言いかえるならば、現内閣の根本政策たる自由経済の否定であるといわなければなりません。(拍手)
 戰後の復興計画については、経済方式の変更が要請せられているのでありまして、同時にまた、片山、芦田両内閣のとつて参りましだる方針を吉田内閣も踏襲せざるを得ない段階に入つていることを指摘されているのであります。はたして民主自由党は、自由放任経済を放棄し得るのでありまするか。現内閣また率直に基本方針の切りかえを断行し得るのでありましようか。踏襲し、切りかえをなさんとするならば、切りかえの前に、まず出直さなければならないということを要求するものであります。(拍手)問題はあまりにも重大であります。眞劍に考うべき問題であります。單なる小手先や、あるいは弁解によつて、これを処理することはできない事態にあることを、自覚しなければならないと思うのであります。(拍手)九原則を忠実に実行せんとするならば、民主自由党の傳統の自由放任経済を潔く撤回いたしまして、われらに追随し、復興再建の計画経済へと基本的轉換をなすべき時期に到達していると考えられるのであります。(拍手)
 国民の自由を保障することは、われらの常に念願いたしているところであります。しかしながら、この自由は平等であり、どこまでも國民全部が公平に獲得し得る自由でなければなりません。(拍手)しかして、この自由平等は、一應特権階級の独占を排し、國家再建復興計画と一致するよう、新しき施策を立てて進まなければならないと思います。
 戰後の復興経済政策は、放置せられたる自由を整理いたしまして、それを計画経済のわく内に入れまして、新しき機構をもつて物資を國民大衆のために生産し、これを國民のために公平に分配せんとするものであります。生産の増強と分配の公平を期する計画経済を立てなければ、断じて祖國再建はできるものでないといわなければなりません。(拍手)民主自由党の政策は九原則の趣旨に反せず、かつこれと一致するものなりと強弁するにおいては、われらまた何をか言わんやであります。(拍手)近代的経済感覚のなき現内閣に総辞職を要求する一途あるのみと信ずるのであります。(拍手)
 第七に民主政治は理想を持つ政治であり、出たとこ勝負の卑近な政治では断じてありません。政府は、その政治的性格を明らかにするとともに、いかなる理想をもつてこの困難なる時局を担当するものなるかを明らかにする必要に迫られておるのであります。吉田首相の政治的理想は、はたしていかなるものなりや、全然國会において明示されないのであります。政治の理想を示さずして、戰後の復興はできるものではありません。欧洲復興計画を見ましても、そこに確固たる復興理念、政治原則が打立てられているのであります。物資豊富なる場合においてはいざ知らず、欠乏に続くに欠乏をもつてする國々においては、政治の理想、政治理念がなければ民主政治の発達はあり得ないのであります。民主政治は、多数の意見を民主的にまとめる運動でありますから、理想と主張を盛つた、すなわちそれから割出した政策を中心としいたすものでなければ、民主政治と言い得るものでは断じてないのであります。(拍手)この意味において、個人的関係を中心として動く政治は、これに反対の非民主政治であります。同時に、それは似て非なる英雄政治に堕するものであります。(拍手)英雄政治は独裁專制となり、反動政治に進むことは、言うまでもありません。理想なき政治は個人中心の政治であり、旧式な独裁專制政治となることは、政治学を学んだ者のまず知らなければならない原則であるといわなければなりません。(拍手)
 吉田首相が、公党たるものは一時の党利党略を去つて、國論の命ずるがままに総選挙を行い、正しい民主政治を確立すべきであると言われたことは、大いに賛成であります。しかし、今解散すれば有利である、年内でなければ不利である、遅くなれば遅くなるほど不利であるという解散論を称して、党利党略の解散論というのであります。(拍手)
 すでに満身創痍の現政府は、総選挙を行う能力を喪失したものでありますから、衆議院はあげて現内閣の退陣を要求いたしております。民主政治を守るために、日本民主化を前進せしめるために、現内閣の退陣を要求いたします。そうして、眞にわれわれは、民主政治の確立を本質的に國民多数の名において実現しなければならないものであるということを強く主張いたしまして、私の提案理由の説明を終りたいと思う次第であります。(拍手)
#10
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。植原悦二郎君。
    〔植原悦二郎君登壇〕
    〔発言する者多し〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#12
○植原悦二郎君 私は、片山君の御提案になりました内閣不信任案に対して反対の意思を表明する者であります。
    〔発言する者多し〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#14
○植原悦二郎君(続) 皆様方御承知のごとく、わが國の新憲法が初めて効力を発するようになりましたのは、昨年五月三日のことである。申すまでもなく、新しい憲法においては主権在民が明らかにされておりますごとく‥‥
    〔発言する者多し〕
#15
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#16
○植原悦二郎君(続) 國民すべての基本的権利自由が規定されておるところの、世界にもまれなるところの進歩的憲法であると、御同様にその公布を喜んだのであります。
 申すまでもなく、皆様方御記憶を呼び起していただきたいのであります。明治憲法は、歪曲せる解釈と、その運行を誤りましたがために、國家の生命から申せばまことに短かい、わずか五十七年の歴史をもつて弊履のごとくに捨てられました。その歴史を考えましても、われわれ衆議院議員は、昨年初めて効力を発生いたしましたところの新しい憲法に対しては、これを正しく解釈し、これを正しく運用することは、われわれ日本國民が將來に対して與えられたるところの重大なる責任であることを、皆さん方よく御了承を願いたいのであります。(拍手)私はこの場合に、一吉田内閣、あるいは一社会党、民主党、國協党の党利でこれを論ずるのではありません。われわれ日本國があらん限りに、この憲法を正しく運用いたしますところの慣例をつくらなければならないがゆえに、ここに皆さんのために愼重なる考慮を要求するのであります。
 皆さん方御承知の通り、昨年四月に総選挙が行われました。五月三日に新しい憲法が効力を発するようになりました。当時社会党は、皆さん御承知でありましよう、衆議院において第一党たる地位をお占めになつたのであります。もし社会党が第一党であるといたしましても、社会党は衆議院の絶対多数ではなかつたのであります。衆議院の四百六十六人に対しますれば、社会党はその三分の一にも足らざる少数党でありまとたが、新しい憲法を正しく運用する慣例をつくるがために、当時の吉田総理は、社会党の委員長でありますところの片山君を推薦し、それを首班者に定めたことは、皆さん方の御記憶に新たなることでありましよう。(拍手)かようにいたしましたことは、われわれが新しい憲法の運用を正しくいたしたいという念願にほかならなかつたのであります。
 皆さま方御承知でありましよう、片山内閣は國民歓呼の声をもつて迎えられました。片山内閣に対して、國民は一つの期待をもつてこれを迎えました。しかるに片山内閣は、連立内閣の悲哀のために、片山君が思う通りの政策を実行することはできなかつたでありましよう。社会党の方々がみずから國民に声明されたことを、八箇月の片山内閣の間に実行し得たかと問われたら、おそらくノーと答えるよりはいたし方ありますまい。なぜ、さような状態かと申しますれば、連立内閣の悲哀であることを皆さま方痛感いたさなければならないのであります。
 片山内閣が倒れました後、芦田内閣が成立いたしました。世間は、これをたらいまわしなどと申しますが、さような言葉のことを私は論議するのではありません。議会政治というものは、いかに党派がわかれておりましても、結局事を決するときには、イエスかノーで決するよりいたし方がないのであります。それゆえに、社会党内閣は議会の信任を得て成立いたし、議会に責任を有するところの閣僚は、片山内閣が倒れましたときには、それと同一なる全責任を負わなければならないことは、議会政治の本則であります。(拍手)
 およそ議会において事をきめるときに、いかに党派にわかれましても、事を決するときには、イエスかノーか、賛成か不賛成かであるよりは決することができない。これが民主政治、多数政治の原則であります。それゆえに、片山内閣と行動をともにした芦田君が、ただ憲法の規定の上において多数さえあればよろしいというので内閣を組織したことは、議会政治の本義にもとるものであることを知らなければなりません。かようなことをいたしますれば、いかにりつぱな憲法がありましても、決しで民主政治は行われるものではありません。
 片山君は、先刻來民主政治のことを、言葉をきわめてお説きになりました。片山君のおつしやることも、一つの議論でありましよう。また私どもの考えることも、一つの説としてお聞きになるべき義務と責任とのあることを御理解なさるべきであります。それゆえに、民主政治におきましては、責任をとり、責任を有する内閣が辞職いたしましたときには、その政権を反対党にゆだねるべきが当然であります。英國などにおきましては、政府が倒れましたときには、その倒れた政府は、反対党の領袖を推薦して初めて辞職いたすのであります。それこそ議会に責任を持つ民主政治の原則であることは、皆さま方よく御承知のはずでなければなりません。私は今日、政権たらいまわしのことを非難攻撃するためにこれを申すのではありません。日本の憲法を正しく運用することを御同様に深刻に考慮いたしたいがためにこれを申すものであることを御了承願いたいのであります。
 そこで芦田内閣は、御承知のごとく昭和電工事件のために崩壊いたしました。芦田内閣も、片山内閣と同じように、民主党と社会党と國協党との連立内閣であります。これも八箇月間存在いたしておりましたけれども、ほとんどその政策を実行することのできなかつたことは連立内閣の微弱であることを國民全体に告白した、明らかな事実でございましよう。これを皆さん方御否定なさることはできません。芦田内閣の後にできましたのは、御承知のごとく議会のようやく三分の一を有するところの民主自由党の吉田内閣でありました。議会政治のもと、責任政治を実行するために、民主政治を実現するために、少数党内閣が成立いたしましたときには、ただちに議会を解散して信を國民に問うことが、議会政治の根本であります。(拍手)その問題については、諸君が何をおつしやろうとも、世界の憲法学者でこの論理を否定するものは一人もございません。これは議会政治の通則であります。にもかかわらず、吉田内閣がただちに議会を解散して國民の信を問わざりし理由は、芦田内閣当時から、わが國としてどうしてもいたさなければならない公務員法の制定の問題があります。公務員法の制定に伴う新給與問題があつたのであります。それに加うるに、御承知のごとく水害、震災等によるところの、まことに氣の毒な多数の罹災者がありましたがゆえに、これらに必要なるところの追加予算を計上することは、いかなることをさしおいても、この吉田内閣がなさなければならない当面の問題でありました。これらの問題について、民主党の方も、社会党の方も、國協党の方も反対することのできなかつたところの一つの明らかなる事実によつても、吉田内閣が何をさしおいても、この三つの事項は國民の前に決定いたさなければならなかつたことは、皆さん方御異論のないところでありましよう。(拍手)そのことはすでに済みました。これからいよいよ吉田内閣がその政治を実行しなければならない責任を負わされておるのであります。
 ここにあらためて申すまでもなく、わが國の新しい憲法によりますれば、議会を解散する道は二つある。第七條による規定と、第六十九條による規定であります。少数党内閣は、現在衆議院に列なるところの代議士諸君が選挙後二箇年も経過し、現在存在しておるところの衆議院が國民の総意を正しく反映しないと考える場合においては、内閣はいつでも、少数党内閣として憲法七條の規定によつて解散することが原則であることを、よく御承知のことであろうと思うのであります。これは新しい憲法においては、世界の議会政治の通則においてもあやまたない通論であります。これを否定することはできないのであります。
 しかるに、片山君の仰せになりましたところの不信任案理由なるものを聞きまするに、民主政治の徹底を必要とせられる御議論が盛んにありました。民主政治を徹底せしむるには、憲法を正しく解釈し、憲法を正しく服膺し、憲法の運用を間違わないことが第一の要件であることを承知されなければなりません、憲法を歪曲し、かつてな議論をして、独断的にこれ民主政治であるなどという議論をいたすに至つては、驚かざるを得ないのであります。諸君御承知の通り、吉田内閣の政策は、先日の議会において、吉田首相及び安本長官からこまごまと発表し、天下周知の事実であります。これを実行するためには、まず國民の信頼を得ることが絶対に必要であります。(拍手)吉田内閣は、重要なるところの緊急の三つの事項、公務員法と給與法と追加予算を定めた以上は、いつ何どきでも、吉田内閣がこの機会こそ國民の信を問うべき最善の機会であるというときに議会を解散して、国民の信を問えばよろしいのであります。片山内閣以來芦田内閣と続いて秕政続出し、國民の間に信を失うておるところの片山君によつて内閣不信任案とは、おそらく天下の國民は唖然とするであろうと思うのであります。(拍手)しかも片山君の論ずるところは、ただ大言壯語、他を指彈攻撃するの強い言葉以外に何ものも発見することができなかつたのであります。
 諸君、吉田内閣の政見は、すでに皆様方に明らかな通り、もし野党の方々が吉田内閣を彈劾するとおつしやるならば、吉田内閣のなしました跡を見て、これならば國家國民のためにならないと彈劾なさるものならば、これまた理由がありますが、わずか二箇月や一箇月半、しかも重要なる三つの緊急事項を取扱つておる間に、他の政策を実行する余地のあろうなどとは、思いも至らざるところであります。(拍手)
 また私は、片山君に対して愼重なる考慮を煩わすのであります。吉田内閣の税政がどこに現われましたか。吉田内閣を攻撃するところの材料は、おそらく一つもまだ事実の上において存在しなかろうと思うのであります。それゆえに、ただ諸君が内閣不信任案というものを出して、吉田内閣を彈劾して解散を企てる、まことに女々しいお考えであると言うよりほかに、何も言うことができないのであります。議会政治の本義から申しましても、民主政治を徹底せしむる上から申しましても、吉田内閣成立後二箇月、この状態を見ましても、吉田内閣が少数党であることを考えましても、この場合に吉田内閣を彈劾する、辞職を勧告するなどということは、皆様方はいかようであろうとも、大多数の國民は決して皆様方に賛同せざることを、よく御承知を願いたいのであります。(拍手)
 ただ党利党略のために、かような事重大なる時期に、内閣彈劾にひとしきような不信任案を提出したお心構えに対しては、私は衷心同情にたえないという一つの言葉をもつて、これに反対の意思を表する次第であります。(拍手)
#17
○議長(松岡駒吉君) 吉川兼光君。
    〔吉川兼光君登壇〕
#18
○吉川兼光君 私は、これより吉田内閣不信任決議案に賛成する所信の一端を申し述べます。私が以下述べるところは、日本社会党を代表する意見の一つであると解せられたいのであります。
 吉田内閣不信任に関する片山委員長の演説は、完膚なきまでにその意味を説明しておると思うのでありまして、これに対しまする植原悦二郎君の反対討論を、ただいま拜聽したのでありまするけれども、その内容はあまりにも空粗にして、噴飯以外の何ものでもないということを断言するものであります。(拍手)彼は、明治時代にアメリカとかで勉強したそうでありまして、口を開くと、ただちに憲法論のごときものをもてあそぶ癖があるのでありますけれども、遺憾ながら彼の憲法論は、今や現代の感覚による新しき憲法論ではないということを、私は断言してはばかりません。(拍手)特に、片山首班投票の際における当時の自由党が片山さんに投票したことをもつて、さも憲法の常道ででもあるかのごとき御議論でございましたが、これまたその誤謬の大なるものであるといわなければならない。
 彼の議論の大きな間違いは、あの当時の政治事情について、ことさらに目をおおつておるという事実である。すなわち、あのときに自由党が片山首班に投票いたしますその前に、いわゆる四党政策協定というものがあることを忘れてはなりません。(拍手)四党政策協定をいち早く破棄したのは自由党ではないか。しかも、その自由党の破棄の理由は、社会党の片山内閣の一枚看板でありましたるところの炭鉱國家管理法に対する反対のための政策破棄であつたということを、彼は忘れている。(拍手)因果はめぐると申しますが、たまたま炭鉱國家管理問題に関する疑獄について、植原悦二郎君の身辺に疑惑の雲が起つているという事実であります。牽強附会といわなければならないのであります。
 吉田内閣成立以來三箇月の治績を見まするに、片山委員長が論断いたしましたるごとく、無為無策、無定見の連続以外の何ものでもない。現内閣成立当時の英米その他の外國新聞の論評にもありましたように、吉田内閣の存在が一日長ければ長いだけ日本の民主化が著しく後退するのであります。それでは國際信用はますます轉落の一途であり、生産は興らず、日本経済の再建は断じて望まれない。大衆の生活不安はますますつのる一方であるということを、われわれは考えざるを得ない。本日の内閣不信任案が通過いたしましたならば、吉田首相は、日本の民主政治確立のために、何ら遅疑逡巡するところなく、ただちに総辞職を行うべきであるということを、私は断言するものであります。(拍手)吉田首相が政治家として祖國に寄與するところのただ一つの途は、即刻首相をやめる以外の何ものでもないということを私は附加したい。(拍手)
 吉田総理はなぜ総辞職しなければならないかということの理由について、われわれは数々これを申し上げることができますが、まず第一の点は、彼は民主政治に対する理解が足りない。あるいは勉強が足りない。齢七十にして今さら勉強でもあるまいと言いますならば、民主政治を解する能力が遺憾ながらないということが適切な言い方であるかもしれません。(拍手)
 まず憲法の解釈について、彼の見解はことごとく誤りであつたということは、すでに一般國民大衆の知つておるところである。第七條の國会解散論を、さも学問的な正しい意見ででもあるかのように振りまわしておることは、諸君の記憶に新たである。いま一つ大事なことは、彼はややもすると院議を無規する。また自党内におきましては党議を無視するところの彼は独裁政治家ではないか。そういう者においては、われわれは断じて日本の民主化は一歩も前進するものでないといわなければならないのであります。(拍手)
 彼がいかに院議を無視したかということは、いろいろの例証がありますが、最も大きなものは、第三國回において、遂に彼は施政方針の演説をやらなかつたという一事である。野党各派によりまして、施政方針の演説をなすべしとの決議は、十月十五日の本会議場において司決されておるのでありますけれども、遂に彼はこれに應じない。また十一月十六日に、やはり本会議場におきまして、公務員法と新給與ベースは不可分の関係であるということを意味する決議案がこれまた通過いたしておりますにもかかわらず、彼はこの院議を黙殺いたしまして、依然として第三國会の最終近くまで、公務員法だけを通過せしめて、ただちに第三國会を解散に導く、という態度を堅持して讓らなかつたのである。しかしながら、諸般の情勢から、いよいよみずからの考えが間違つておりますことを認めた場合において、彼はようやくわれわれの主張に聽從いたしまして、第三國会の終りにおいて、すなわち会期をわずか二日残したるところの十月二十九日において、不承々々に新給與を含むところの予算案を第三國会に提出したのであります。しかしながら、すでに余すところ二日の会期をもつてしましては、この予算案を審議することはむずかしいのでありまして、遂にこれが審議未了となりましたことは、諸君の知るところである。しかして、これに伴いますところの新給與法案のごときは、これを第三國会に提出なさずして、越えて第四國会の十二月三日に提出されたことを、われわれは知らなければならない。
 すなわち、もし吉田首相にいたしまして、最初から、第三國会の当初において、わが党の主張するところの公務員法改正法案と新給與ベースとは不可分の関係にあるということに彼が同意いたしておりましたならば、新給與法案は第三國会においてこれが成立いたしまして、今時分は、全國二百七十万の公務員に対するところの給與は、すでにこれが実行されておるはずであります。しかるにもかかわらず、彼はこのことを行わない。しかしてこの第三國会の新給與の問題は、たな上げというような結果となつたのであります。
 しかして第四國会におきまして、やつと新給與の問題が具体的になつて参りました。しかるに一方におきましては、押し迫るところの年末のために、公務員諸君の給與の問題が俄然焦眉の急となりまするや、彼は第三國会におけるところのこの給與問題に対する吉田内閣のサボタージュはこれをたな上げいたしまして、知らぬ顔の半兵衛をきめ込みまして、その給與遅延の責任は野党にあるかのごときことを新聞に宣傳し、はなはだしきは先般二十一日の本議場におきまして、その責任は野党にあるということを放言し、ただちに野党側の抗議にあいまするや、これを取消したところのこの一事、もつて吉田内閣、いな吉田総理は、いかに無智無能なる、沒常識にして無自覚なる政治家であるかということを、われわれは断ぜざるを得ないのであります。
 また同じく公務員法の改正にあたりまして、わが党が極力反対いたしましたにもかかわらず、労働者の團結権、團体交渉権に極端なる制限を付し、さらにその罷業権を取上げることによりまして、公務員がみずからの力によつてみずからの生存権を主張するところの最後の手段を封殺してしまつたのは、だれであるか。これは吉田首相が政治家としての持論でありますところの、労働者は不逞の輩であるという考えから出たるところの労働者彈圧政治以外の何ものでもないと、私は断言したいのであります。(拍手)吉田内閣が、このようなる労働階級彈圧の政策を継続いたして行きまする場合、生産復興に対する重要なる要素でありますところの労働者諸君の自主的な生産協力の意欲というものが妨げられるのであります。また一面におきましては、この労働者諸君の生活窮乏につけ込むところの共産党その他の跋扈跳梁を來すということを、われわれは考えなければなりません。このような事態を招きますることも、あげて吉田総理大臣が、吉田内閣の労働政策が、何ら新しき感覚に立つものでないことの大きな原因を、われわれはそこに見出さなければならないと存ずるのであります。
 また新給與ベースの問題につきまして、政府は、諸君も御承知のように、当初は五千三百三十円ベースを固く持しまして、第三國会の終りごろに提出いたしましたるところの追加予算の中にも、その標準をもつて予算を組んでおつたのでありまするが、われわれは、最低の賃金べースは六千六百円でなければならないということを党議で決定いたしておりました。しかるにもかかわらず、國家財政の窮迫する現下におきまして、諸般の事情より、やむなく、不満足ながら六千三百七円ベースに改めまして、これを吉田内閣に勧告いたしたのでありまするけれども、吉田首相は、また増田労働大臣は、がんとしてわれわれの勧告に耳をかさなかつたのであります。しかるにもかかわらず、諸君すでに御承知のような経過によりまして、國際関係その他の情勢より推して、野党案の六千三百七円が最も普遍的な妥当性をもつものであることを知りまするや、いち早く豹変いたしまして、六千三百七円ベースとすりかえ、ただ実際給與のテクニツクの面において若干の異を立てることによりまして野党案瓢窃論から免れようといたしておりまするがごときは、あまりにもわれわれ國民をばかにしたるところの厚顔無恥の態度であつて、その政治的良心の麻痺状態は驚くに足るといわなければならないのであります。
 さらに政界、官界、財界の粛正淨化の問題は、吉田内閣成立当時の事情よりしまするも、現内閣の最大命題の一つでなくてはなりません。昭和電工、繊維疑獄、千葉無盡、炭鉱國管等に関する疑獄事件は、いまだその片鱗を國民の前に示したのみでありまして、その眞相は何ら明らかにされておらないという程度にしか進んでおらないのであります。しかるにもかかわらず、國民の疑念は、これらの疑獄問題に関しましては、政界、官界、財界が底知れぬどろ沼の中にあるがごとき考えにとらわれておると見なければならないのでありますが、政府はこれに対しまして、何ら積極的な熱意を示しておらない。きわめて低調であるといわなければならないのであります。すなわち、それは何をもつてしかるかと言いまするならば、急いで解散を行わんとする事実にも、そのことをわれわれはとらえることができます。
 すなわち、眞相の究明が最も公明に、最も力強く、公平に行われまするのには、わが党の武藤君を委員長としておりまするところの不当財産取引調査委員会においてでなければならない。しかるに、この解散を行うことによりまして、不当財産取引調査委員会の活動は解散と同時にぴたりととまることを、吉田総理は御承知であるかと聞かなければならない。私は、こういうような重大問題を、ただ單に檢察廰のみにまかしておるということは、國民を代表するところの國会議員といたしまして、はなはだ無責任であるという批評を浴びせられましても、これを避けることができないのではないかと考える一人であります。
 たまたま昨日の本会議場におきましてなされましたところの、わが党の花月純誠君の緊急質問の中に、重大なる発言がありました。花月君は、この発言をするにあたりまして吉田首相が欠席しておりましたがために、特に殖田法務総裁に念を押しでいわく、吉田総理の答弁が聞きたいから、法務総裁からこの質問の要旨を首相に取次いで、適当な機会に答弁するようとりはからわれたいということを申し傳えておつたのでございます。しかしながら、本日この本会議が始まるまで、吉田総理から適切な方法によつて花月君に向つて答弁をなされたということを聞いておらない。こういうような重大なる前提のもとに、私は花月君の昨日の質問の速記録をここで読み上げておきたい。
 花月君いわく、私は吉田首相にお尋ね申しておくのでありますが、もし解散直後において、あなたに属しておられる人々の中に相当多数の出血者があつた場合に‥‥。政党を支配し、影響力を持ち、その党の名誉に関する云云、内閣の運命に関する人々にそういう疑惑が與えられた場合に云々、さらに最も重大なることは、もしも吉田首相そのものに何か問題が起つたときには、どうなさるのかということを聞いておる。そうして、しばらく間がと切れまして、あの千葉無盡の問題を聞きましても、あるいは先般の百五十万円云々の問題を聞きましても、私はそういうことを考えてみたとき、一体この事態が起り、選挙の最中にどういう態度をおとりになるかということをこの際聞いておきたいということを、彼は言つておるのである。
 しかるに吉田さんは、自分の名前がここに明らかに出ておりますにもかかわらず、この問題に対する何らの答弁をこの時刻まで行わないといいますことは、彼はこれらの疑獄に対する國民の疑惑が、花月君の表現によりまして、吉田首相みずからの身辺に及んでおるにもかかわらず、これに対して一言の答弁もできないだけの理由があるのかどうかということを伺いたいのであります。もし吉田総理が、この問題に御答弁をなさることなくして第四國会が解散された場合、われわれは國民大衆とともに、花月君のこの質問に吉田さんは答弁するだけの身の明しを立てる自信がないものであると解釈してもさしつかえがないかということを、私は伺つておきたい。(拍手)
 諸君、世上ややもしますると、吉田総理大臣を目して自由主義者であるごとくこれを言うのである。その一つの理由といたしましては、彼はかの戰時中において、その言論が反戰的であるという理由のもとに、時の憲兵隊に拘引されたということをあげるのである。しかしながら私は、実は新聞記者時代に、今を去る約二十五年前、彼が奉天の総領事をいたしておりますときに、彼に会つたことがある。その当時、私とともに吉田さんに会いましたところの同僚が、はしなくも今日議会の傍聽に來て私に注意された。私は、実はそれ以來二十数箇年にわたりまして、吉田さんの言動にきわめて好意ある注目を怠らない一人である。しかるに彼は、戰爭中に憲兵隊に拘引されたという事実は、私もこれを知ることができます。しかしながら、それは彼が、日本の当時の國力の充実したるところの日本の力を背景としまして、外交官として、欧米至るところにおいて、あるいは支那におきまして、彼が傲然と構えて白たびをはいて張學良その他を鼻の先であしらつておつたときのその態度は、私は決して自由主義者の姿であるということはできないと思うのであります。
 ただ單にそればかりではない。彼の人生観には、そういうような、たとえば自由党の総裁といたしましては、自由党の党議を無視して、自分の考えをもつて、自分の個人的なる関係をもつて内閣を組織して、党の長老をそでにしても、恬としてものに動じないところの考え方、また彼が一國の総理大臣といたしましては、このいわゆるポツダム宣言による無條件降伏を甘受いたしておりますところのやむを得ない國際情勢に、ややともすると反駁しかねまじき態度をもつて接するところの、その不遜なる態度、たとえばそれは、佐藤官房長官の既往にもその事実があるのではないかと考えられるのであります。あるいはまた、永田氏の安本長官のオーケーが來ないというちまたのうわさ、これはうわさでありますから、私はあえて事実とは申し上げませんが、こういううわさにも、彼がややともしますと、佐藤君が運輸次官時代に、大臣に昇格しようとしてオーケーが與えられなかつたという風評も、当時生んだのである。ややともしますると、オーケーがもらえないような人物を、オーケーのいらないポストであるからというので、党内に多数の有為なる人材があるにもかかわらず、それを一擲いたしまして、これを重用するというような、こういう摩擦を党の総裁としていたすことは、これはきわめて重大なる民主政治破壊者の資格を具有するものでなければならないと思うのであります。
 私からいろいろ申し上げたいことはありますけれども、私は二十数年來、吉田総理に好意を持つところの一人の知人として申し上げますが、彼はこの際言語道断なる解散を考えず、すべからく総辞職をいたしまして、いわゆる政治家として、あるいはできるならば政党の総裁もおやめになりまして、眞にその元氣の続く限り、まず民主政治を第一ページより繰返して勉強されたいということを申し上げまして、私の賛成演説といたす次第であります。(拍手)
#19
○議長(松岡駒吉君) 山口喜久一郎君。
    〔山口喜久一郎君登壇〕
#20
○山口喜久一郎君 ただいま上程されました吉田内閣不信任決議案に、民主自由党を代表して反対の討論を行おうとするものであります。、
 この不信任決議案が通過することは、わが党が絶えず主張して参りました衆議院解散への道へつながるものでありまして、総選挙を恐れてあらゆる解散回避手段を講ぜられたる野党の諸君も、ここに解散の門を開くところの不信任決議案までようやく來られたことは、遅かりしといえども欣快にたえない次第であります。(拍手)
 御承知のごとく、わが党は、今年初頭片山内閣崩壊の時から、総選挙によつて民意を正しく反映した國会を構成し、政局を安定に導くことを主張して來たのでありまして、片山社会党党首も、この夏以來これを主張され、芦田総理も力説されたところでありました。それは憲法第七條に基くところの解散を意味したものであつたとわれわれは解釈しておつた次第であります。(拍手)
 そこで、民主自由党單独少数内閣のとるべき当然の措置として、内閣成立と同時に解散を断行すべきがあたりまえであつたのであります。また國民も、こぞつてこれを要望したのでありまするが、たまたまマ元帥書簡に基くところの國家公務員法改正案が、芦田内閣当時から第三臨時國会に審議成立を要請されたことは、日本の現状よりして緊急不可避の案件であり、その通過成立後に解散を断行する方針を立てたのであります。しかるに、さきに憲法第七條に基く解散を力説した片山、芦田両君の陣営から、奇怪しごくにも第七條を否定とて、第六十九條による國会の議決を前提とする解散という新しい憲法解釈論が提出されると同時に、また一方には新賃金ベースに伴う追加予算案が國家公務員法改正案と不可分であるとの有力意見が表示せられて、わが党及び政府は、客観情勢並びに民主的な國会運営を考慮して、大乘的な見地から、十一月二十八日、野党三派の諸君といわゆる協定をとりかわした次第であります。しかるに、その間野党諸君が、ただいまの片山氏の言葉をかりて言えば、横紙を破つて予算案審議の遷延を策したるがごときは、然諾を重んじ、天下の公道を闊歩すべきところの政党政治家のとらざる道だと、われわれは信ずる次第であります。(拍手)
 さて、ただいまの不信任案提出理由を要約すれば、わが党が在野時代に公約せる政策の実行が不可能に陷つたという点、政界淨化、綱紀粛正の不徹底、この解散は政略的であるとなす点、また吉田内閣は國際的に不評判である、こういう点、その他はおおむね聞くにたえないところの個人攻撃に終始されておつたようであります。諸君は、口を開けば客観情勢に名をかり、わが党の諸政策が実行不可能であるかのごとき印象を國民に與え、自己の非をかばうに汲々たることは、われわれの断じて賛成することのできない態度である。いわんや、今回発せられたる経済九原則をあたかも鬼の首をとつたように考え、世間に吹聽しておるのでありまするが、このことは、渉外局の談話にもある通り、日本経済を安定点に導くために、また國家のとりつつある政策をもつと能率的に効果的に遂行させ、かつ單一為替レートを設定する諸條件を確保するために、マ元帥の年頭所感の線に沿いまして、すべての國家、すべての人類の最後の幸福は自由主義への復元である、またこの大目的へ一歩でも半歩でも進むためには、現在までのごとき生産をはばみ、復興を妨げるところの不必要なる統制までも強化せよとは、断じて書いていないはずであります。(拍手)むしろ國民の創意と情熱とを傾注して生産意欲を向上するために、今まで行つていた経済統制のうちで、むだなもの、不必要なものは、これを撤廃して勇敢に整理廃合をなし、その効果を高めることこそ、この経済九原則に沿うゆえんのものであると、認識しなければならぬのであります。(相手)これがためには、鮮度を生命とするところの生鮮食料品、特に蔬菜、鮮魚介類の生産や出まわりを阻害する面を是正し、不必要なる統制面を排除しようとわれわれが努力することに、どこに間違いがありますか。農民の生産意欲を強化し、供出の完璧を期するためには、主食の自由販賣への道を開く第一段階として、供出完了後の自由販賣を唱え、あくまでも主義主張のためにあらゆる努力を傾注しようとするわれわれの信念に、いささかも間違いはないと信じておる次第であります。(拍手)
 取引高税が天下の惡税であるということは、これを創設した諸君さえも唱えておるではありませんか。共産党の野坂君も昨日これを力説されたはすである。これを全廃しようとするわれわれに、あるいは財源や客観情勢にかこつけて反対され、これに妨害されるところの諸君の態度こそ、奇怪しごくと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに野党の諸君は、今回の解散を政略的だと非難されておるようであるが、國会を解散すべしという声は、今や全國民の常識ではありませんか。これがために、片山さんも芦田さんもこれを主張されたはずである。諸君が今日となつて政略的解散と言わるるのは、今回の総選挙が諸君のために不利であると思われておるからであろうと思う。(拍手)この諸君のために形勢が不利であるということは、諸君が一年半にわたつて、あるいは秕政の数々、あるいは公約を不実行に終つた、諸君みずからが負うべき罪であると思う。(拍手)早期解散こそわれわれのとるべき道であつて、政略解散などというお言葉は、この際諸君にすつくり返上を申し上げたい。(拍手)
 また政界淨化、綱紀粛正につきましては、今世上に問題になつておりまする石炭國管問題、あるいは繊維、疑獄、あるいは昭和電工、かような問題がいかように今後進展しようと、それは公正なる檢察当局が断固としてなすべきである。これにゆだねるべきでありまして、もしかかる問題において、わが党員に出血があるようなことがかりにあつたとしても、われわれの主張や、われわれの陣営は、微塵も動かないのであります。(拍手)むしろ公平に徹底的に、断固として涙をふるつて馬謖を切るところの凛然たる姿こそ、國民諸君がわが党を信頼するかてとなるであろうとわれわれは思つておる。しかるに、石炭國管問題をカバーせんがために解散を急ぐなどと先ほど來お話がありましたが、そのこと自体が、解散を恐怖さるる解散恐怖病患者の世迷い言だと私は思うておる。(拍手)かかる議論は、あるいは諸君にだけは通用するかもしれませんが、一たびこの議会を出て街頭に立つてごらんなさい。あるいは全國の新聞論調に、あるいは輿論の調査に、あるいは街頭の録音に、政界の淨化、綱紀の粛正のためにこの際断固として解散すべしということは、國民のひとしく望むところではありませんか。(拍手)
 この解散を通じて、民衆はひとしくわが吉田内閣に多大の信頼と期待をかけておるということも事実であります。しかるに、言うことに事欠いて、二、三の外國通信社の批判をとらえて、あたかも吉田内閣が國際的に評判が惡いとか、さようなけちをつけて、そうして國民に、いかにも國際的に不評判であるかのごとき印象を植つけようとする態度こそ、國際信用をそこねる、不見識なる政治家の断末魔のあえぎといわざるを得ないのであります。(拍手)吉田内閣成立以來の巍然たる態度と、これに反して公約を蹂躪してまでも解散を回避しようという陋劣なる諸君の心境と、そのいずれが國際的に信用をかち得るであろうか。國民諸君が來るべき総選挙において公正に判断を下すでありましよう。日本の内閣は、日本人に信頼されることが大切である。
    〔「いつ解散を回避した」と呼び、その他発言する者多し〕
#21
○議長(松岡駒吉君) 静粛に。
#22
○山口喜久一郎君(続) 日本人に信頼されることが、すなわち國際信用を高めるゆえんであると、私は思うのである。
    〔発言する者多し〕
#23
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#24
○山口喜久一郎君(続) 諸君が、名目賃金の美名のもとに官公労組諸君にこびを賣らんとした欺瞞的な策謀や、理論的にきわめてあいまいな中道政治などという自家陶酔に陷つておる間に、諸君、人民國家管理の根強い線と力が諸君の戰線を蚕食しておることを知らなければなりませんよ。(発言する者、離席する者多く、議場騒然)議長、注意して下さい。
#25
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。
#26
○山口喜久一郎君(続) 諸費が、名目賃金の美名のもとに官公労組諸君にこびを賣らんとした欺瞞的な策謀、理論的にきわめてあいまいな中道政治などと言つて自家陶酔に陥つておる間に、人民國家管理の根強い線と力が諸君の戰線を蚕食しておることに氣づかない限り、しまいには共産党に食われてしまうではないかしらんと思う次第である。(拍手)この意味において、もし片山氏の言葉を借りて言えば、諸君こそここに基本的な政策の変改をせられんことを望む次第であります。
 諸君、さもあらばあれ、賽子はすでに投ぜられた。いかに諸君が騒ごうとも、本決議案が通過成立すれば、好むと好まざるとにかかわらず議会は解散せられるでありましよう。自由への扉を開かんとするわれわれに軍配があがるか、計画経済、國有國営の方へ逸脱せんとするところの諸君の主張が勝つか、それはあげて賢明なる國民の審判にまつべきであります。かくて、われわれの翹望してやまなかつた解散は、もはや時間の問題となつて参りました。また何をか言わんやであります。われわれとしては、堂々として信を國民に問う以外に方法はないのです。
 以上の観点から、われわれはわが党内閣に絶対の信頼の意を表し、野党の諸君から提出されたるところの本不信任案に断固反対する次第であります。(拍手)
#27
○議長(松岡駒吉君) 不信任案の討議でありますので、場合によつて発言者の言辞が極端にわたることがあるかもしれませんが、議長は職権をもつて速記録を適当に処理いたします。米田吉盛君。
    〔米田吉盛君登壇〕
#28
○米田吉盛君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま上程せられておりまする吉田内閣不信任決議案に対し賛成の意を表明するものであります。(拍手)
 そもそも現下國政の根本は、混乱せる人心を一新し、わが國経済産業の起ち上るべき態勢を速やかに整備強化して、悩める八千万の過剰人口を生産人口として活用する方途を明示し、國民をしてわが國再建の自信と熱意とを回復させることにあると存ずるのであります。しかして、これが具体的諸施策は有効適切に講ぜられ、しかも一日もすみやかなることを要し、一刻の偸安、空白も許さるべきではありません。それゆえに、この難局を背負つて立つ総理大臣としての第一要件は、これをなし遂げ得るところの能力を必要とするのであります。この能力なくして、單に國会において指名せられたからということによつて、國政燮理の地位にありながら、むなしくその責任を盡さざるものありとすれば、天人ともに許さざるところであります。從つて吉田内閣は、組閣後遅滯なく最大の政治力を発揮して、時局收拾に当らなければならぬのであります。
 吉田総理は、首班指名後の十月十六日、記者團との一問一答において、明朗な民主政治の確立を期し、一貫した政策を実行し云々と、第一声を発表せられたのであります。越えて十九日、初閣議後首相談を発表せられまして、内閣の心構えとして三つの根本方針を述べられております。第一は、明朗にして健全なる民主政治の確立、第二は、政界、官界、財界を通ずる綱紀の粛正と社会道義の確立、第三は、経済再建に対する國民の熱情を振起すること、日本再建は八千万國民の勤労以外に頼るものなき旨を述べられまして、政局担当の抱負を明らかにせられたのであります。さらに二十八日におきましては、閣僚懇談会を開かれて、取引高税の問題、生鮮食料品統制撤廃、料理飲食店再開、行政機構簡素化、官紀粛正等在野時代の公約を強力に推進する申し合わせをせられておるのであります。
 かくのごとく現内閣は、組閣の当時におきましては、実に意氣さかんなものでありました。時を経るに從つて、その熱意は次第に冷却して参りまして、今や龍頭蛇尾に終らんとしているのであります。組閣後すでに三箇月、吉田内閣は、この間何をなし得たでありましようか。その言の壯なるに反し、わずかに前内閣より引継いだ公務員法と給與問題を、おそまきながらよたよたと解決したに過ぎないのであります。これ以外には、初閣議の声明も野党時代の公約も何一つ実行いたさず、その日その日を糊塗するに汲々たる状態であります。御承知の炭鉱、電産その他の重要産業の労働爭議につきましても、何ら有効なる解決の手を講じておらぬのであります。遂に関係筋の勧告あつせんを招くに至つて、その無能を暴露しております。今日労働省あつて労働政策なき感を與えておるのであります。(拍手)
 日本再建の國民的熱情を振起する使命を持つところの内閣であるなれば、関係筋の手をまつまでもなく、積極的に爭議のまつただ中に飛び込んで國家の実情を訴え、敗戰日本の再建は、共貧乏の闘爭であるとか、階級の利害の主張のみの低い視野に立つたのでは、永久に解決できざるゆえんを明らかにし、階級を超えて高き祖國愛に訴え、労資協力の友愛、愛國的解決を推進しなければならぬと信ずるのであります。(拍手)かかることをなすことが経済再建に対する國民の熱情を振起する具体的方途であるにかかわらず、これなくして、ただ現在のごとく労働政策に無能な内閣が永続するということは、勤労者をして知らず知らず左翼に走らす危險なしとしないのであります。
 次に、現内閣は少数党内閣であるから、解散をして多数をとつて政策を実行すると言つております。これでは、共産党の諸君が、共産党に天下を渡せば樂にしてやるとおつしやることと、どこが違うか。(拍手)料理飲食店再開の問題というようなことも、少数党であつても、心だにありまするなれば、政令一本で、政府單独に明日からでもやれるのであります。それなのに、何ゆえこの問題を解散後に延ばされんとするのであるか。取引高税についても、野党時代に、成規の手続きをふんで右法を廃止する法案を出すといつて臨時國会を要求しておりながら、今日みずからなし得る立場に立つたものが、何ゆえこれらに手を染めないのであるか。
 民自党は野党時代に、あれもやる、これもやると、あたかも遊女の甘言よろしく、できもしないことを出まかせに約束せられた。敗戰日本の再建がしかく安易になし得るごとく民心をまどわされた。そうして政府をとると、とたんに黙してなさざる態度に出でられた。そうして公約実行を迫られると、今にやる、解散後多数を與えてくれたらやる、次第に責任を轉嫁し、延期論が出る、回避論が出るという状態で、一時を過しておられる。おしろいのはげない間に解散に隠れようとせられますと、解散が近づくにつれて、総理を初めとし政府與党の人々の中に疑惑が増大して來た。(拍手)事件の進展いかんによつては総辞職寸前を思わしておる。給與問題をめぐりましては、前代未聞の、予算などはどうでもよいという泉山事件を起しておる。また関係筋とは連絡上の不手ぎわを暴露しておる。(拍手)このために國会の審議の遅延を招いたのであります。解散権の解釈に当りましては壁にぶつかつてしまつた。先ほど來述べられたように、憲法第七條によつて解散ができるという解釈は、すでに前世紀の解釈であるということを、明言しておくのであります。内閣が持つておりまするところの以上のごとき本質から來る馬脚が次々に現われて参りまして、國民は鼎の軽重を問わんとしておるのでありますさらに決定的打撃を與えましたものは、今次発表せられましたる米國の日本経済安定計画であります。これを誠実に推進いたしまするなれば、当然民主自由党の根本思想である自由経済政策は正面衝突を避けられないのであります。(拍手)その失脚は決定的であります。
 以上数々の事実に顧みまして、総理大臣は公約を実行することは不可能である。しいて断行するをは、國家の犠牲において自党の面目を立つる危險あることを明らかにし、その不明を天下に謝罪し、出所進退を明らかにせられんことを望む次第であります。(拍手)かくいたしますることが、総理のいわゆる明朗健全な民主政治確立に寄與するゆえんであります。このこともなく、さりとて時局の收拾も公約の履行もなく、荏苒その地位をむなしゆうしていることは、みずから声明に逆行し、國民をあざむく態度であるといわなければならぬのであります。(拍手)
 しかのみならず、現内閣はインフレについて確固たる定見を持つておりません。ただにインフレにとどまりませず、財政政策全般にわたり一貫した方針の明示がないのであります。(拍手)民自党は、野党時代に政府の租税政策を攻撃せられたのでありますが、今回みずから出された追加予算では、今まで以上に増税を断行せんとし、國民の負担を倍加し、百三十九億の課税の中で、実に八十四億という高率を農漁民から取上げんとしておられるのであります。(拍手)かくのごとく農漁民のみに偏重せる重圧は、民自党日ごろの宣傳いずれにありやと言いたいのであります。
 また民自党は、口を開くと自由々々と言われるのでありますが、歴代内閣の中で統制を最も強化したものは、第一次吉田内閣であります。(拍手)臨時物資需給調整法は吉田内閣がつくつたのであります。これによつて極度に統制を強化いたしましたことは、今なお忘れんとして忘れ得ざるところであります。今日地方において困つておりますところの六・三制の文教問題のごときも、その根源は、第一次吉田内閣のときに、何らの定見も準備もなくして、八十億円は初年度に必要だといわれる予算を、突如としてわずか十分の一の八億円で出発したがゆえであります。(拍手)片山内閣は、吉田内閣のやりました統制をやや緩和し、芦田内閣は吉田内閣來の膏藥張りの統制主義に一大修正を加え、百六十余種類の統制を解除したのであります。(拍手)これをもつて見まするならば、自由々々と言う吉田内閣は、りんごの一箇も自由販賣をなし得なかつたのであります。これを忘れて、あたかも自由主義が自己の專賣であるかのごとく錯覚せられている人々は、失礼ながら思想的健忘症であると私は思うのであります。(拍手)
 次に芦田内閣におきましては、統制によつて物價を安定せんとしまするところの第一次吉田内閣の方針を修正して、健全財政、健全金融主義によつて漸次デフレ的傾向に轉ぜしめ、インフレのテンポは次第に緩慢化したのであります。そのときに、吉田内閣のごとき放慢政策をとる内閣が出るということは、國家國民のため不幸なりと言わざるを得ません。(拍手)
 以上の失政は、そもそも内閣の組閣のときに端を発しておると考えるのであります。すなわち、取引高税撤廃は困難であると発表して、自分の党に帰るとしかられて思い直すというような、党あつて國家なき態度のごとくうかがわれる閣僚などがおるからであります。組閣にあたつて閣僚の顔ぶれを発表せられましたときに、言論機関は何と言いましたか。秘書官内閣の称号を奉つたのであります。國民の落胆に対しましては、こう言つて答えておられる。現内閣は選挙管理内閣だ、いずれ総選挙後には本物の内閣ができる、こう答えておられるのであります。しからば、本物の内閣があとにできて今のはうそものの内閣であるという結論になるわけであります。何というこの組閣の無責任ぶりであるかということを、嘆かざるを得ないのであります。國会における大臣の答弁も、少し込み入つて参りますと、すぐ政府委員にかわらなければ答弁ができない状態であります。また認むべき経綸はありません。言は人なりであります。かくのごときことで、いかにしてこの難局を背負つて立つことができましよう。私は民自党に人ありと信ずるものであります。何ゆえ、かくのごとき人材を登用しなかつたか。吉田総理大臣の責任をただしたいのであります。(拍手)
 かかる閣僚であるがゆえにか、野党の強き要求にもかかわらず、組閣後最初の國会である第三國会劈頭において、施政演説すら行わなかつたのであります。そうして、わが國立憲史上かつてない惡例を残されたのであります。おそまきながら、先般施政方針演説らしきものをせられました。しかしながら、日ごろの公約の具体化については一言も触れておらない。今日の難局を背負つて立つ総理大臣の救國の抱負としては実は物足らないものがあつたのでありまして、國民はひとしく失望を禁じ得ません。
 元來吉田内閣は、組閣以來、内閣の心構えは先ほど述べましたように声明いたしておりまするが、その基本方針に基いていかなる具体的政策を実行するかということは、何ら明示しておらぬのであります。基本方針については問題はないのであります。問題は、この基本方針をいかなる具体的政策によつて実現するかにあるのであります。すなわち、いうところの明朗健全な民主政治はいかにして確立するか、綱紀の粛正はいかなる方法でなし、社会道義の確立はいかにしてするか、経済再建に対する國民の情熱はいかなる方途をもつて振起するかというように、吉田内閣が抱懐しておる政治目標を、かくのごとき信念と、かくのごとき方法をもつて達成するという、中身のある施政演説を、國会を通じて國民の前に明らかにするということは、國政が國民の嚴粛な信託によることからして当然なことであると思うのであります。國会尊重の態度はここから発すべきであると私は信ずるのであります。しかるに、この公明なる挙に出でず、追加予算の範囲に限定するという演説は、かえつて解散宣言の内容を持つておるのであります。党略の前に國会なしというそしりは、これによつて明らかであります。
 かくして、在野時代の甘い政策は、民意を釣るえさでしかなかつたことを、國民は今日知つたのであります。その甘さは、滋養がある砂糖の甘さにあらずして、あの毒薬の甘さであることを知つたのであります。かかる不誠意と無能を知つた以上、この内閣に時局の匡救を期待することは、木によつて魚を求むるたぐいであります。
 次に、現内閣は少数党内閣であるから、解散をして過半数を獲得してやる、こういうことでありますが、しかし、民自党單独で過半数を獲得するという予想は、よほどの誇大妄想狂であります。(拍手)冷靜に考えますと、わが國は今再建途上にあります。米國からは日本経済安定計画を受取つたのであります。寸刻の空白も許されないときであります。このときに、結果が現在と大同小異である総選挙を行うということは、得ること少く、失うこと大なりと言わざるを得ないのであります。選挙の結果を考えてみますと、数に消長はありましても、依然として三大政党は残るのであります。單一にて過半数を獲得する政党は、常識上ありません。しかるに解散により、國民の多数は正業をよそに選挙運動に沒頭することになります。金と物をおびただしく使うことになります。せつかくインフレがとまらんとしておるこのときに、これだけの拍車をかけるということは、インフレ高進を倍加することにならざるを得ないのであります。從つて今次の解散は、再建途上におけるわが國の國力の浪費以外の何ものでもありません。されば、賢明な政治家ならば、解散を好む匹夫の勇を押えて、高き理性の立場から、政治の空白と國力の浪費もインフレの結果を比較判断すべきであると思うのであります。まして年末年始を顧みない解散は、國民の生活慣習を無規し、選挙の腐敗を考慮せざる暴挙であると言わざるを得ません。独善またきわまれりと考えるのであります。近來吉由総理の独善癖は、総理の民主化の声に反比例いたしまして、ますます高潮に達しました。私は、解散熱に浮かされておられる総理に対して、高き理性の立場から、解散には時期があることを申し上げて警告するのであります。
 諸君御承知の通り、この内閣は綱紀粛正内閣だそうであります。このことは、組閣後新聞やラジオで嚴粛に発表せられました当時、私は、わが意を得たりと共鳴を禁じ得なかつたものであります。ところが、その後綱紀粛正はどうなつておるのでありましようか。最近では、むしろ政府與党に火がついて参つておるのであります。そうして、極力これをもみ消しておるのではないかとさえ疑われんとしておるのであります。いわゆる総理の百万円問題のごときも、愼重なる数百言の弁明にもかかわらず、國民の疑惑は依然として解けておりません。その他閣僚や党幹部のうわさは、うわさにとどまることを願うものでありますが、綱紀粛正内閣としての信用は次第に欠如して参つたことは、残念ながら認めざるを得ないのであります。泉山事件のごときも、あれは偶然のできごととは見えないのであります。吉田内閣の持つております本質上の品格の当然の現われであると考えるのであります、総理は組閣当時、無名の泉山君を見出したことを非常に御自慢でありました。同君の酒癖が今日始つたものでないということを知りますときに、かかる人物を閣僚に登用し、政府と國会の信用を内外に失墜せられたところの首相の責任は、まことに重大であると思うのであります。(拍手)
 以上論じ來りますれば、現内閣は綱紀粛正内閣にあらずして、綱紀粛正をされる内閣であります。(拍手)かかる内閣の選挙管理など、思いもよらぬことであります。この状態で、いかにして社会道義が確立されるでありましよう。この状態をもつて、いかにして全國二百数十万官公吏に官紀の粛正とその嚴達ができるでありましよう。かくのごときことで、いかにして万民の信頼をつなぎ、祖國再建の熱情をわかし得ることができましよう。綱紀粛正もなし得ず、國民の奮起も促し得ず、民主政治に逆行する吉田独善内閣は、よろしくその責任を痛感し、天人の憤りをおそれ、ただちに総辞職をすべしと要求するものであります。(拍手)
 これを要するに、吉田内閣は、時局に対し無為無策であつて、その收拾に無能力であり、初閣議の声明にも逆行しつつあり、明朗健全な民主政治に反する非立憲独善内閣である。綱紀粛正内閣にあらずして、綱紀粛正をされる内閣であると断じ、かかる内閣の選挙管理など思いもよらぬ。ただちに総辞職を要求するため、ここに吉田内閣不信任決議案に対し、民主党は欣然賛成することを表明する次第であります。(拍手)
#29
○議長(松岡駒吉君) 加藤吉太夫君。
    〔加藤吉太夫君登壇〕
#30
○加藤吉太夫君 本員は、日本農民党を代表いたしまして、上程されたる不信任案に対し反対の意を表するものであります。(拍手)なぜならば、新憲法が制定せられて以來初めての憲法第六十九條に基くところの不信任案上程であります。從つて、その意義たるや重大であります。しかるに、その上程されたるところの不信任案は、知性と理性を失つたるところの、不可解なる三党協定によつてやむなく提出されました不信任案でありまして、いわゆる將棋のせつちん詰めにあつて、やむなく追い込まれたところの、窮余の不信任案上程であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 いわゆる三党協定なるものは、公務員法改正法案並びに追加予算案は通す、そのかわりに不信任案は提出するという、不可解しごくの三派協定であります。もちろん農民党は、いささかも関知しておらない三党協定ではありますが、私の強く言わんとするところは、この協定中に、不信任案を必ず可決するという但書があることでございます。かくのごときは、議員みずからの審議権と自主性とを放棄するものであつて、愚の骨頂であるといわざるを得ません。(拍手)いわゆる反対せんがための反対であり、不信任せんがための不信任案であり、野党三派の好まざるところの不信任案であります。(拍手)これがために、かえつて與党の党利党略に乘ぜられるところの不信任案であると言わなければなりません。まことに農民党といたしまして理解しかねるところの論理であります。野党として、予算案を可決して、何の不信任案でございます。この点は厳正に追究さるべきであると私は確信するのでございます。農民党は、通常國会において、吉田内閣が持つところの政策を十分表したところの本予算を提出して、その審議の段階において不信任案を提出すべきであると信ずるのであります。
 片山君の提案理由の説明に至つては、いたずらに小手先論爭にすぎず、政治性の貧困を物語るものであります。(拍手)かくのごときは憲法第六十九條の冒涜であると断ずるものであります。なぜに野党三派は、昭電、國管、纖維の大疑獄事件の全貌を國民に明らかにし、官界、財界、政界、檢察界の醜状を國民に訴うるの挙に出ないのか。すなわち、政党の醜状をごまかし、國民の公正なる批判に対し煙幕を張らんとするものであります。ここに私は、この点を國民に強く訴うるものであります。
 以上をもつて本不信任案に反対いたすゆえんであります。
#31
○議長(松岡駒吉君) 細川隆元君。
    〔細川隆元君登壇〕
#32
○細川隆元君 私は、簡單に本決議案に賛成の意思を表明したいと存じます。
 深刻にして複雑微妙なる國際情勢を背景といたしまして、敗戰祖國の國民的再建に当面せる現内閣は、まず何をなすべきでございましようか。現内閣の退陣こそ、吉田内閣のまずなすべき仕事であります。(拍手)われらが現内閣に対して不信任の決議を行い、その総辞職を要求するゆえんは、まさにここにございます。その不信任の理由につきましては、すでにわが党片山委員長の提案理由説明によつて委曲を盡され、さらに野党同僚議員諸君から詳細にわたつて討論されましたので、私としては、何をかこれに加える必要がありましようか。この場合私は、本決議案に賛成するわれわれの基本的態度の一、二について論及しようとするものであります。
 戰爭以前におけるわが國政治の根本的欠陥は、一体どこにあつたであろうか。これは今回の無謀なる戰爭を引起した根本の原因ともなつたところでございますが、日本の政治、なかんずく時の政府の政治に対する根本的考え方の上に非常な誤謬と無知があつたからであります。それは何であつたかと申せば、國内政治を取り扱う上において、國際的背景を考えて政治を行わず、内に対しましては、人民大衆の生活安定の上に立つところの國民的基盤の上に政治をつかさどらなかつた点にあるのであります。こういつた観点に立つて現吉田内閣を見ますとき、吉田内閣の本質と性格こそは、まさに戰爭前のわが國政治の根本的欠陥と矛盾とをそのまま包藏していると断言してはばからないのであります。(拍手)
 われらは、いかに敗れたりとは言え、絶対に自信を喪失してるものではない。この意味において、日本民族の独立とその起ち上りこそは、われら敗戰國民の究極の目標とならなければなりません。しかし問題は、実にこの点にあるのであります。この一大目標を実現するためには、どこまでも國際的背景の上に政治を行うべきものであります。言葉をかえて言うならば、日本の再建と國際的背景をどの点で調和せしめるか。どの点で調整するか。識者が申しまするように、日本再建という國内政治を國際的規模の上に実現せんとする心構えこそ必要なのであります。
 この点について吉田内閣を見るときに、政治を行う上におきまして、その視野はすこぶる狭隘にして、國際的活眼に欠くるところがあるのみならず、まつたく独善的、非國際的にして、ある場合においては、しばしば戰爭中に見られたような竹槍精神、特攻精神ないしは國際情勢の鉄壁に向つて体当りするかのような玉碎主義のにおいが、われわれのみならず全世界に発散されている感がいたすのでございます。(拍手)これは吉田内閣の基本的性格の反映であると同時に、内閣首班吉田茂氏その人の特質、すなわちその独善的、独裁的横車精神の発露であると見てさしつかえないのであります。(拍手)
 政府及びその與党の民自党の諸君は、どうして現内閣はこんなに國際的に歓迎されていないだろうかと、何が何だかわからないような氣持ちでおられるに違いございません。だが、このことは、政府並びに與党自身、諸君みずからの体から発散するところの体臭でございます。(拍手)わきが持ちには、わきがのにおいはわからないものであります。われらは、今日の祖國再建にあたつて、独善的な非國際性という戰爭前の日本政治の根本的欠陥を一蹴し去つて、新しき日本政治の國際性をとりもどさなければなりません。夏祭り的な、無軌道な勇みはだは、今日の戰後日本の政治には絶対に通用いたしません。(拍手)軌道に乘つた合理主義のみが民主國新日本に通用する政治の原則なのであります。吉田内閣の存在を否定して、その退陣を要求せんとするわれらの基本的態度の一つは、現内閣の非國際性にあるのであります。
 さて、現内閣弾劾の第二点は、吉田内閣が人民大衆の生活安定の上に立つところの國民的基盤に立つていない点に向けられなければなりません。吉田首相は、政治運用の基本的要素として、共産党の存在價値をはなはだ高く評價せられまして日本の政治には保守と共産党のみの存在をもつて足れりとなし、この点に二大政党政治の原則を適用し、政治学の第一頁に書いてあるような文句の一つ覚えで、寝てもさめても幼稚な政治論を振りまわしておるのであります。共産党をまず左に置いて、自分はこれに対して極右に位せんとする考え方であります。
 極右という言葉は、民自党の諸君が最もおきらいな言葉でありますが、今日の議会政党の中で、見渡しましたところ、民自党よりももつと右の政党は、残念ながらないようでございます。そうするならば、民自党は男らしく、極右政党の名称をみずから買つて出てもらいたいものであります。ところが、今日の日本再建が、こういつたいたずらなる対立感のみから発足するところの両極政党で、はたして行われ得るかどうかは、常識的にあまりに明瞭な点であります。(拍手)保守なら保守でけつこうでございましよう。この保守提携実現の実力もなく、保守戰線結成に必要な多数派工作の政治的能力も持ち合わせず、一体何の二大政党でありましよう。二大政党の政治原論などは、まず保守戰線の統一が成つてから叫んでもらいたいと存じます。まず出なおして來ていただきたいものであります‥‥。
    〔発言する者多し〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
#34
○細川隆元君(続) 同じ保守陣営に属する人々でさえも、今のままの姿の民自党と握手することを非常にいやがつておられるではありませんか。それは、現内閣と與党の國内政治に対する根本的な考え方が、あまりに反動的だからであります。(拍手)ここから保守反動という言葉が、たくまずして起つて來るのであります。國際的に評判の惡い吉田内閣が、どうして自分たちが評判が惡いかと、自分でどうしてもわけがわからないのと同様に、どうして自分たちが保守反動呼ばわりをされなければならないか、これまた諸君はどうしてもおわかりにならないようであります。(拍手)これも、あるいはむりからぬことかもわかりません。井戸の中のかわずは井戸の中しかわからないものであります。(拍手)國内的に見て、かかる政治的立場をとつておるところの井戸の中のかわずが、どうして人民大衆の生活安定の上に立つところの國民的基盤を持つ政治を行えませうか。視野狭隘にして、偏見と独断に打包まれておる吉田現内閣に、これ以上政局を担当してもろうことは、國民大衆の一大不幸でございます。(拍手)これ、國内的に見て、われらが吉田内閣の即時退陣を要求する第二の点であります。
 吉田内閣の公約無視、國会軽視、その政策実現の無能力につきましては、先ほども申し上げましたように、同僚諸君から完膚なきまでに糾彈されましたから、私はここに繰返しはいたしません。さらにこれを数え上げましたら、きりがないのであります。ただ、ここで一つだけ申し添えておきたいことは、先般マ書簡によつて発表されました経済九原則に対して、はたして吉田内閣とその與党の民自党は、いかに対処せんとするのでありましようか。この九原則なくしても、すでに吉田内閣は、その公約せる政策の実現に行詰りを來しておるのであります。そこへ持つて來て、今回の経済九原則は、まさにこわれかからんとしておる自由経済看板のボロ家に、かみなりが落ちたようなものでありまして、ここに吉田内閣とその與党は、まつたくその存在意義を喪失して、いわば一大絶壁にぶつかつたようなものであります。(拍手)そこで政府は、解散の深淵に飛び込むといつた、たつた一つの道に逃げ込もうといたしております。解散後の吉田内閣が、みずから飛び込んだ深淵から上つて來たときの姿を想像するに、石炭國管の汚職事件と、公約政策実行不可能の汚水で水ぶくれとなり、そうしてこの水ぶくれの土左衛門は、経済九原則の鉄槌によつて一瞬にして押しつぶされ、その哀れな姿を國民の前にさらすことは、はなはだ明瞭でございます。かかる見苦しい姿をさらさない前に、吉田内閣はすみやかに総辞職をすべきでございます。(拍手)
 私は最後に、植原、山口、加藤の與党三氏の本決議案反対の討論に一矢を報いて、私の賛成討論を終りたいと存じます。
 植原悦二郎君の反対討論は、過去一箇年のわが國の政治史と安價なる憲法論の説明に終始したものでありますが、こんなことは、民自党直営の政治学校にでも行かれて演説していただきたいことでありまして、何ら反対討論の價値なきものであります。ただ最後に、御親切に野党に対して非常な同情を表されたのが、反対論の結論であつたのであります。
 山口喜久一郎君の反対論は、経済九原則の問題に言及をしまして、野党が鬼の首でもとつたように民自党の政策行詰りを攻撃していると、るる陳弁に努められましたが、山口君は、鬼の首さえとり得ずして、苦しい討論に終始された、まことに御同情にたえない討論であつたのであります。ただ一つ、ラジオ式座談のお家藝だけは、軽い氣持で興味をもつて聞いたことだけを申し添えておきます。
 加藤吉太夫君の反対討論に至つては、一言反駁の價値を認めません。院の内外において、加藤君の所属する日本農民党は、今や民自党の與党といわんよりは、民自党フラクとさえ呼ばれる声を聞くに及んで、また何をか言わんやであります。
 これを要するに、與党三氏の反対討論をもつてしては、何ら本決議案を否決するの理由が全然ないことを確認いたしたことを、ここで申し上げておきます。
 民自党單独内閣であると言われている吉田内閣は、まさに吉田独裁單独内閣であると称せられておりますが、私はむしろ、現内閣は官僚色濃厚なる吉田超然内閣、政策棚上げ内閣と断ずるものでございます。(拍手)われらは、吉田超然内閣、政策棚上げ内閣に対しまして不信任を表明し、すみやかにその退陣を要求するものであります。(拍手)
#35
○議長(松岡駒吉君) 椎熊三郎君。
    〔椎熊三郎君登壇〕
#36
○椎熊三郎君 日本民族の最大なる不幸であつた戰爭の責任者東條以下七名の戰犯者は、本日午前零時三十五分をもつて処刑せられたとの報道に接して、私は実に感慨無量のものがあるのでございます。今こそわれわれ日本國民は、平和日本再建のために嚴粛なる祈りを捧ぐべきときであると思われます。時も時、私は今この壇上に立つて、平和日本再建のために一大障害となつておるところの現政府吉田内閣を弾劾しなければならないということは、祖國の運命とともに、実に遺憾にたえないところであります。(拍手)
 およそ政党の生命は、政府の政策の実行にあるのであります。過去一年半、民自党は野党として、政府に対しあらゆる攻撃と非難を加えるとともに……
    〔発言する者多し〕
#37
○議長(松岡駒吉君) 私語を禁じます。
#38
○椎熊三郎君(続) 日本再建は自由主義経済をもつてすると主張してまいつたのであります。しかして、特に最近に至りましては、あるいは取引高税の撤廃であるとか、料理飲食店の再開であるとか、米麦の供出後の自由販賣であるとか、統制経済の大幅撤廃であるとか、かくのごときことを、いかにもまことしやかに吹聽して、あまつさえ、これを文書に掲げて、いなかをまわつて党員を獲得し、調印をとつて歩いた醜態を何と見るか。(拍手)
 しかも吉田さんは、内閣をつくる時分に今度の吉田内閣は、疑獄事件などのにおいのする者は大臣にしないのだと、ラジオで放送せられた。あの辺にすわつておられる民主自由党のおえら方は、みんなこれは疑獄事件のにおいのする方でしようか。(拍手)諸君、そしてできた内閣は、ごらんの通り、はじから勘定してごらんなさい。全部世間では祕書官内閣と言い、カバン持ち内閣と言うのであります。(拍手)このがん首のだれ一人、独自の政見を持つて断固國民の負託にこたえるだけの勇氣のある政治家がおると思われるか。(拍手)驚くべき醜態の内閣でございます。
 諸君、ただいま七時のラジオの放送で――ラジオの放送ですぞ。今晩は炭鉱國管案に関する被疑者等を十数名檢挙するはずであつたが、國会は夜半に及ぶであろうから、明日午前九時に檢挙すると、ただいま放送せられしまた。(拍手)それ、そこにおられる人々の心事を私はお察し申し上げる。(拍手)
 諸君、自由党は鳩山一郎先生のつくつた政党で、旧自由党以來の政友会の傳統をくんだ、日本の政党史上ではかなりに貢献した、りつぱな傳統を持つた政党であつたと私は思つておる。そこに、石炭國管問題に関連する三十名近くの人たちを合同して民主自由党という名にかえましたところ、旧來の自由党の本然の姿がぼかされて、妙な政党になつたではありませんか。(拍手)しかも、この議場が始まつてから実に奇異に感ずる問題は、旧來の、創設以來の自由党の方々の態度は、さすがにりつぱなところがございますが、何とやら同志クラブなどと名称づけられた者どもが一たび議場に入ると、あの醜状をさらけ出してのわめき方を何と思うか、まさに良心の呵責にたえかねて、みずから欺瞞している姿でございましよう。(拍手)
 私は、今日日本に残つている政治家では、吉田さんなども確かに一流の政治家であると尊敬いたしますが、政党の生活にはおなれでなかつたせいか、政党員の中から人物を選び出すということには、はなはだ手ぎわがよろしくございません。よつて閣僚の中にも、とやかくと疑惑を持たせる者は、それ、あなたの同列に列んでおりますぞ。実にあなたは、その点では切歯扼腕しておられることだろう、あなたのような、がんこで、一本氣で、正直な人は、さだめし心中御不快のことだろうが、これもやはり、あなたのまいた種でございます。いまさら悔いても、せんないことでございまして、あなたのような、長い外交官生活をされた、貴族的の生活をお好みになる方は、とてもこれらの者どもとは一緒に生活はできません。(拍手)
 そこで私は、これほど一年有半に及ぶところの苦しい野党生活をなめた吉田さんが、さて政権を獲得して、永年の抱負経綸を実現せんとして何もできないという今日の状況を見て、あなたは何と感ぜられるか。これが敗戰日本の現実の姿でございます。しかし諸君、吉田さんは、いなかへ参りますと、これでもなかなか人氣があります。それはどういう点にあるか。何か世間の受ける印象は、日本の独自性ということをほんとうに主張できるのが吉田さんではなかろうかという印象を受けている。そして、ともすれば、今置かれた日本の現状を忘れて、何か反抗するがごとく印象づけられている。それはちようど明治維新前における尊皇攘夷の思想のごときもの、これを世間では、吉田さんの反動性と申しております。ひとりわれわれが言うだけではありません。立つ同僚諸君もことごとく言われた。
 全世界の新聞で、この吉田さんの反動性を痛撃しないものはございません。ことにニユーヨークの新聞のごときは、吉田さんが内閣をつくつて、日本の民主化が三十年逆行したと書いてある。支那の新聞は、恐るべき反動勢力の傀儡政権だと彼を言つている。(拍手)もつとも、そう言われてもしかたはありますまい。彼が、あの自由党の前の総裁がやめられた後、おれは政党はきらいだから、いやだとおつしやつたそうだが、入物拂底の折柄、やむを得ず総裁にさせられたとき、この自由党の背後には名前を申すことは、今夜に限つて私は遠慮する。それは、今晩はお通夜の夜だからだ。(笑声)そのボスどもが、自由党製造のために金をばらまいたということを聞いて、非常に憤慨されたという。そのボスは、今はこの世にないけれども、吉田さんが頭を下げないというので、吉田さんが大きらいであつたということである。きらいであろうがあるまいが、去年の選挙では、八十何名に、例の軍服拂下げ事件になる不淨の金を公認料としてばらまいたということだ。今この大臣席にすわつておられるまん中ごろの大臣も、そのボスから金をもらつた一人だ。(拍手)実に諸君、驚くべき内閣ではないか。吉田さんほどの政治家が、こういう閣僚と一緒では、とうてい今日の時艱を克服することは困難でございましよう。
 あなたの性格としては、大体この議会の空氣はぴつたり行つていないようであります。あなたは議会ぎらいのようでございます。第一回の國会では、吉田さんは、あのころその辺に議席を持つておつたが、二百四日という長い議会のうちに、たつた三日より議席についておらぬ。(拍手)第二回の國会では、二百九日という長い議会であつたが、わずかに十二日より、あすこにすわつておらない。(拍手)その他はことごとく、荻外莊とか申す豪奢なる別莊にふんぞり返つて、民主自由党の幹部諸公は日参して、茶坊主のごとき態度をとつたという。(拍手)これでは、とても民主化されたる日本の新時代の政治家ではございません。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)今、組閣以後の態度を見ましても、新聞の写真をごらんなさい。着流しで、白たびはいて、ふところ手をして池の端を散歩するような貴族趣味では、今日の困難なる日本の政局を担当する資格は断じてない。(拍手)
 諸君、かつてわれわれは、軍部の煽動によつてできた輿論のために、世界の大勢を見定むることなくして侵略戰爭を開始し、さんたんたる今日の敗北を喫しました。諸君、われわれは再びこの愚を繰返すことはできないのであります。世界の大勢に目をおおうて、馬車馬のごとく突進して、遂に祖國をして敗残の底に沈淪せしめた者に、さきには東條英機あり、今またここに吉田総理大臣を眼前にすることは、これを宿命というには、あまりにも悲惨なる事実であります。(拍手)
 諾君、私は、ことに政治家としての吉田さんの性格は、日本人の堂々たる政治家の氣魂に欠けている点を祖國再建のために惜しみます。それは、この方の性格から來ておるのではないかと、私はそれをおそれる。思い起す、昨年の総選挙におきまして、議会は関係方面の命令によつて総選挙を行うという段階になりました。当時政局を担当したもの、今日の吉田内閣であります。吉田さんである。いざ選挙が始まるとなりますると、正面の敵たる、忘れもせぬ去年三月三十一日をもつて立党したるわが民主党に対して、選挙の最中、犬養健先生、石黒幹事長その他数名のわが党幹部を一挙にして追放に縛り上げてしまつた。追放した。諸君、堂々たる政治家が、相手方をかくのごとき窮地に陷れて、それで五分と五分との戰いができると思うか。相手に毒を食らわして足をひつぱるがごとき行動は、政治家の断じてなすべき行動ではございません。(拍手)私は、これはそのときの事情によつたものかと思つておりましたが、今度いよいよ選挙をしようとなつたら、この性格がまた現われたのでございましよう。反対党の領袖を鉄窓の中にぶち込んでおいて、それで四つに組んだ相撲ができると思うか。諸君、吉田さんの心中は、はたしていかがでありましよう。
 あなたは、今日世間からどのようなことを言われておる人か。同じ百万円事件を、あなたは何と考えるか。(「昭和電工はどうした」と呼ぶ者あり)諸君、百万円事件については、最近新たなる事情が世間に傳わつております。(拍手)十二月の十九日、前橋市における麻眞田会社の総会において、重役磯村なるものが、最近小菅から出されておる身であるが、重役会の席上において、現金百万円の問題だけは断じて口を固く守つてくれと、中村何がしに申しております。(拍手)それで世間では、この事件を百万円事件と言つておるが、実はしからず。これは二百五十万円の事件なんである。(拍手)星島何がしという民主自由党の最高幹部は、この百五十万円の小切手を受取つたと、世間に傳えられておる。ほかに口を緘して言わずしてくれといつておる。百万円は現金でございます。そこで、口を割らずにくれと頼まれた中村某は、議会における不当財産取引調査委員会に召換せられて証言を求めらるる際は、自分は偽証罪に問わるることがいやだから、一切合財ぶちまけてしまうと言つておるのであります。
 そこで、議会はおそらく今夜限りでしよう。民主自由党が議会の解散をお急ぎになるのも、むりからぬ点であります。諸君、議会が開会中でありますと、もし綱紀粛正‥‥。
    〔発言する者多し〕
#39
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#40
○椎熊三郎君(続) 綱紀粛正を唱えておる吉田さんの内閣では、すでに法務総裁のもと、田中角榮君は現職のまましかもこの壇上で、わざわざ議席からはい上つて政府委員席にまで出張つて、あそこから堂々とここへ來て、断じてさようなことはないと言つて、ただちに檢挙せられた。本日は起訴せられておる。その上、泉山事件などという醜態もあつて、この上閣僚の中になわつきでも出るようなことがあれば、これも吉田さんは、議会開会中なら、断じて総辞職、のたれ死に以外に道はないのであります。けれども、議会が解散されておりますれば、総選挙が済むまでは総辞職することができないのです。後継内閣はつくることができないから、どんな惡い内閣でも居すわることができる。それですから、解散を急いで、何事が起つても一箇月くらいはほおかむりで通そうというお考えであるとならば、それはあまりにさもしいりようけんでございます。(拍手)
 諸君、しかも民主自由党は、それでもこの吉田内閣を中心として、國家再興の基幹たる國会を解散しようと考えておられるということだ。憲法の條章によつて、われわれは今ここに内閣の弾劾案を出しておる。これが可決されますれば、内閣は総辞職か解散以外に道はない。そこで、こんな満身創痍の内閣、こんな定見のない、政策も持たず、主張も開陳せず、実力もなき内閣にして、ひとり政界、財界の綱紀粛正を絶糾して、みずから綱紀の頽廃を現出しておるこの内閣が、國家の最高の機関たるこの國会を解散して総選挙を行わしめるなどということは、まさに狂氣のさたではございますまいか。(拍手)常識ある政治家のとるべき態度ではございません。
 諸君、民主自由党の代表者として、植原悦二郎先生が、先ほどこの壇上に立つて党代表の演説をなされました。あなたの心臟の強さにも私は驚く。(拍手)諸君、今先輩であるが、植原君は、炭鉱國家管理問題に対し世間の疑惑の的になつておる人物でございますぞ。(拍手)これを民主自由党の代表者として神聖なるこの壇上に立たしめたということは、それ自身民主自由党の現実の姿なのであります。(拍手)
 諸君、かくのごとき状態のまつただ中において、時も時、ワシントン並びに総司令部からは経済九原則なるものが発表せられまして、晴天の霹靂のごとく、現内閣はその存在を否認されたのであります。この経済九原則の前には、おそらく民主自由党は、良心に立ち返つて解党せざるを得ないであろう。諸君、この経済九原則は、政府、國会、國民全員にとつて、きわめて重大なる問題であります。この安定計画が実現された場合は、日本は全アジアの模範とするに足るであろうところの進歩的な安定の型をつくり上げるといわれておる。しかしながら、もし万一これに失敗すれば日本は破滅するであろうと、マ元帥は書簡の冒頭に言われておるのであります。実に重大なる問題でございます。しかも、この九原則をさらに吟味すれば、さる七月芦田内閣閣議決定の経済十原則と同一の内容であることが明らかに相なりました。そうして、この前提をなすものは、日本のすみやかな経済安定は連合國と日本國民共通の第一義的目的であると示されておる。ここが重大な点である。米國民は日本國民を養うため日本國内の資源不足を補うように要求されておるその限り、米國には日本國民に次のことを要求する権利があると示されている。
 その第一は何か。日本國民は最大の勤勉をなせという。第二は、配給拙惡による損失や生産不振を防止しなければならぬ。行政や産業運営上のやみ、むだを抑制しなければならぬ。これは米國民がわれら日本國民に要求する権利があるということ。そのためには無分別なる政爭をやめよと書いてある。無分別なる政爭、目的をわきまえない労働紛爭、破壊的な思想的圧迫等による復興の妨害は、連合國の積極的干渉によつて最もよく回避せらるべきことと書いてある。
 第三の問題は、諸君われらをして今日ただいま挙國一致の態勢を整えよということだ。党利党略に堕して、みずからの党派の利害消長のみに拘泥して、國家永遠の利益を忘るるがごとき理不盡の政爭は、この際断じて停止しなければならぬということは、関係方面の至上命令であると私は解釈する。しかもこの基本目的は、政治的自由を正当化し、かつ保障するに足るだけの経済的自給体制を日本にすみやかに確立することであつて、その目的を達するためには、國民の生計が他國の慈悲に頼つておる限り政治的自由はないというのである。諸君、実に私どもは、この一句を見て、敗残の哀れさをさらに一層痛感せざるを得ないものでございます。かつての相手方アメリカより慈悲的に食糧を輸入されている今日、わが日本民族には政治的自由はないぞと、はつきり申されておるのでございます。
 これに対して、國民の集團的意思を動員し、破壊的思想の防壁をつくる。――いいか、國民の生活を改善し、強い力とすることは、國民に確固たる威嚴がなくてはならぬ。この威嚴は、國民が自國の欠乏をみずから克服することによつて生れる、と明記されておるのであります。諸君、このことを思うならば、今吉田さんが抱かれておるような、單独政権でなければ不便だなどという、けちくさいりようけんは、目下の状況下においては許されないのです。諸君、私はこの際、吉田さんほどの政治家は、この経済安定の九原則にかんがみ、日本國家の現下置かれたる内外の情勢を達観せられて、すみやかにあなたは政治的の処決をなされなければならぬと思うのであります。(拍手)しかもマツカーサー元帥は、この九原則に伴う書簡の最後に、この要求がいかに苛酷で、これに伴う個人的犠牲がいかに大きくとも、日本政府と國民には、この國家的目的達成の能力ありと信ずる、と申されております。われわれは、このマツカーサー元帥の御信頼におこたえ申し上げなければならぬと思うのであります。
 なお元帥は、最近における國際情勢の変化について、特にアジアにおける急激なる新情勢の発展を考慮して、この構想をなされております。國際情勢下に日本経済の安定達成がいかに困難な課題であるかを考慮しておられるのであります。そこでわれわれは、これを見るに及んで、國会と各政党はただちに何をなすべきか、またただちに何をなさざるべきか、労資はそれぞれの立場に立つて何をなすべきか、また何をなすべきでないかを、明確に認識しなければならぬ段階に立ち至つておると私は思う。
 諸君、ここにおいてか私は、政界淨化を一枚看板として組閣したる吉田さんの行動は、政治的にはことごとく無為無能、失敗、劣惡、醜惡の事実を天下に表明しておると思う。今日、東亞の風雲は日に逼迫し、隣國中華の現状をいかに諸君は見らるるか。すでにして武力なきわが日本の前途を、諸君はいかに考えられるか。実に國内闘爭のときではございません。勤労者の爭議権を剥奪し、國民に耐乏の生活を要求して、ひとり政界のみが党利党略に堕しておつたならば、いつの日にか祖國の再建が実現できるでありましよう。(拍手)すなわち、吉田内閣は一刻も早く退陣して挙國一致態勢を整え、再建日本の基礎を固むべきときであります。吉田総理は、頑冥木霊なるその性質を捨てられて、祖國のために重大なる反省をせられんことを、私は國民の名において要求いたします。
 ここに私は、吉田総理大臣の祖國再建の良識に訴え、彼の反省を促して、本決議案の可決に賛意を表す次第でございます。(拍手)
#41
○議長(松岡駒吉君) 岡田勢一君。
    〔岡田勢一君登壇〕
#42
○岡田勢一君 私は、國民協同党を代表して、ただいま上程中の吉田内閣不信任決議案に対しまして賛成の意を表し、あわせてすみやかに総辞職、退陣を要求せんとするものであります。(拍手)
 まず第一に、吉田内閣は、その組閣に際しまして、他党の好意ある勧告と協力とをみずから排除しまして、國会の大多数の意思を無視し、衆議院における議席わずかに百五十一名の少数をもつて民主自由党の單独弱体内閣を組織し、現在の困難にして重大なる政局を混迷せしめ、政務を澁滯せしめておりますことは、新憲法の精神であるべき民主的議会政治の本質に逆行を敢行したものであるといえるのであります。(拍手)
 しかして、吉田内閣が成立後の態度と施政の実情を見まするに、事ごとに独善ぶりを発揮いたしまして、たとえばその國会対策においては、劈頭から挑戰的敵本行動をとり、無用の摩擦混乱を惹起せしめるのみならず、その誤れる政治的感覚を基本としまして、國際関係においても、いたずらなる誤解を生ぜしめるばかりでなく、自己の欲する政策を無準備に專行せんといたしまして、しばしば蹉跌紛糾を繰返しておりますなど、まことに國民のためには不幸なる失政を繰返しておるのであります。(拍手)
 すなわちわが党が、すでに吉田内閣の組閣に際しまして実行を要求いたしました一、國家公務員法の改正、一、官公労賃金ベースの改訂、一、災害復旧予算の成立、一、疑獄事件の徹底的究明と政界の淨化、これらの緊急案件をすみやかに処理したる上解散すべしとする、現実に即したるわが党のこの方策の主張は、当時実に全國民の翹望するところであり、内外輿論の一致したるところであります。しかるに吉田内閣は、これら緊急問題の処理を放任して、第三國会の再開の劈頭に、いわゆる冒頭解散をしやむに強行せんとして、輿論の反撃にあい、やむを得ずその方針の変更を余儀なくされたのでありますが、その後において、またしても政府は、國家公務員法の改正のみを行つて、第三國会中に早期解散を断行せんとして、あらゆる画策行動を執拗に繰返されたのでありますが、遂に実現するに至らず、今月に及びましたことは、まことに当然のことであると思うのである。(拍手)
 國家公務員法の改正には、賃金ベースの改訂、これに伴う追加予算の成立をその裏づけとせなければならないことは、もちろんのことでありまして、しかもこの夏以來係爭中である電産、炭鉱、船員その地の民間各種産業の労働組合並びに地方公務員等の給與は、全官公労の賃金の改訂が一つの標準を與えるの関係にありまして、全國の勤労大衆に新しい生活の基準を與え、労働不安を解消しますためにも、官公労公務員の給與ベースの改訂は、一日もこれを等閑に付することは許されないのであります。しかるに、何ゆえに政府はかくまで早期解散をあせるのでありましようか。傳えられるところによりますと、民主自由党は、その在野時代におきまして、料理屋飲食店の解禁、取引高税の廃止、米麦等主食の割当供出後の自由販賣、各種統制の撤廃、自由経済の実現など、一部階層個々の歓心をあがなうような政策実現をみずから全國に遊説して、人氣を集むる努力をしたといわれておるのでありまするが、今日の日本の総合的経済の実情から見まして、かかる政策の実行は、一部において当業者若干の歓迎をあがなうことはできるかもしれませんが、諸般の情勢から見まして、これらの政策を急速に実現することの不可能でありますことは、明らかであります。
 事実吉田内閣は、組閣後すでに二箇月余を経過いたしました今日、これらの公約を何一つ実行しておらない。解散が延びれば民主自由党の選挙は不利になる。それは、公約の無視と弱体内閣による無能力とが國民の前にはつきりと認識されて來る。そのために一路早期解散に直進したのであると言われておりますが、もしこれが眞相なりとするならば、吉田内閣は、民主自由党の党利党略のためには國民の犠牲をも顧みないものであると言われても、弁解の余地はなかろうと思うのであります。(拍手)
 先ごろ総司令部から指示されました経済安定九原則は、実に現在の困難なる日本経済を打開し、日本の自立を達成する根本原則でありまして、つとにわが党の主張して参りましたところと合致するものであります。しかしながら、眞にこの難局を打開して経済の自立を促進することは、今日の不幸なる敗戰経済の実情から見まして、言うべくしてまことに困難なる大事業であります。そのためには、われわれ國民は、その職種、立場のいかんを問わず、深くおのおの反省自粛をして、人的にもまた物的にも隠忍耐乏、最低の生活に甘んじて、しかも最大の勤労能率を長期にわたつて励行せられなければならないのであります。戰前のゆたかなりし時代の夢を追つて安易なる自由経済を主張し、あるいはまた、他人の犠牲において自己の優越專恣を行わんとするがごとき排他独善行為は、断じて許されないのであります。(拍手)今日の重大時局を担当する心構えは、第一、謙虚なる態度をもつて全國民の理解と協力とを十分に獲得いたしまして、眞にまじめな、堅実な政務に献身せねばならないと思うのであります。この意味からいたしましても、吉田内閣は、この際根本観念を改めまするために、退いて猛省せらるべきであると思うのであります。(拍手)
 吉田内閣が成立後、電産、炭鉱、船員、私鉄など幾多の爭議が惡化し、勤労大衆の生活苦を助長いたさしめましたのみならず、日本全体の労働不安と生産の減退を深刻ならしめましたことは、前述の通りでありまして、議会闘爭と選挙対策に沒頭のあまり、これらの重要政務の遂行に欠陷を生じた結果であると思われるのでありまするが、政府は、これらの各種爭議を自己の能力をもつてしては收拾し得ざるに至り、今や関係方面の直接の助力によりまして、ようやくにして好轉せんとしつつあるのでありますが、今日までの過程において日本経済に與えたる莫大なる損害に対する責任は、まことに重大であります。総理大臣以下閣僚諸君は、打続く生産の澁滯による大なる損害と、よつて招來さるる恐るべき結果に対して、まじめなる考慮を拂われ、計算をせられたることがありますかいなや。
 さらに政府は、今次の追加予算の編成にあたりまして、適切なる財源を研究するの努力を惜しまれました結果、その大部分の財源を安易な所得税の増徴に求め、その結果は、租税の重圧に苦しむ國民に対してますます苛斂誅求を加え、税金の取立てに対しまして司法権の発動をさえも指令しまして、一般大衆に恐怖と混乱を與えておりますことは、われわれの断じて首肯し得ないところであります。(拍手)一方においては恐怖的暴政を行い、一方においては勤労大衆の不安と怨嗟を助長いたしますならば、その結果は、國民の多数をますます深刻なる不安と経済的破局と直面せしめ、彼等をして極左陣営に追いやり、実に憂慮にたえざる結果を招來するでありましよう。(拍手)
 さらに、去る十三日の夜に発生いたしました泉山前大藏大臣の醜態と職責放棄の事件は、嚴粛なるべき議会政治を冒涜したるのみならず、國会の威信を失墜し、全世界に日本人の名誉を損壊し、議会政治の史上にぬぐうべからざる汚点を印したものであります。(拍手)かかる人物を内閣の主力たる大藏大臣兼経済安定本部総務長官の職責に任命いたしました吉田総理は、その責任をいかにせんとせられるのでありますか。ひとり泉山君の辞職によつて問題は解除されないのであります。あるいは泉山問題は單なる偶発的事件であると言うかもしれませんが、民主自由党の一部においては、しばしば從來脱皮肅党論が唱えられておると聞くのであります。その脱皮粛党改革の理由であるといわれておりまする一部の金権万能、資本家擁護、ボス的行動等の非民主的性格の反面を、これによつて如実に暴露したものであるといわれても、弁解はできないのでありましよう。
 さらに吉田内閣は、組閣の当初におきまして、綱紀の粛正と政界の淨化を公表せられたのでありますが、現在傳えられるところによれば、石炭國管問題、纖維疑獄事件その他の不正贈收賄事件に関係のある代議士が與党の民自党に多数あり、しかも民自党の最高幹部の方々に、これらの被疑者が数名ありというに至りましては、はたして民主自由党の吉田内閣は、綱記粛正の資格がありますか。司法当局のこれら疑獄事件の追究が遅々として進展しない、またその取扱いに対しては不公平があるといわれておるのでありますが、檢察当局においては、政党のいかんによつて被疑者に対する糾明に緩急の差をつけるものとは、私個人は信じないのでありますけれども、吉田内閣の不信と独善行動にかんがみまして、國民の一部にかかる疑惑を與えることは、想像に難くないと思うのであります。吉田内閣に対して、これらの不正事件の糾明と政界の淨化を期待いたしますことは、あたかも木によつて魚を求むるのたぐいであるといわなければなりません。(拍手)
 要するに吉田内閣は、かねて公約されております政策の実行が不可能であろうことはもちろんであり、日本経済及び國民の生活をますます困難なる破局に追い込み、國際信用をも失墜して、日本の経済の自立達成に大なる障害を累加しつつあるもので、政局を担当する資格、能力及び良心のないものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)本決議案が可決せられました場合は、政府は衆議院の解散を断行する考えのようでありますが、かくのごとき秕政を続ける吉田内閣は、解散を行う資格は政治常識上あり得ないものと信ずるのであります。(拍手)わが党においては、政界の淨化その他の理由により解散を早期に行うべきことは、さきに声明した通りでありまして、何ら解散を忌避する考えは持つておらないのであります。しかしながら、吉田内閣の手によつて解散を希望するものでは決してないのであります。吉田内閣は、上述の理由によりまして、その失政の罪を國民に謝し、すみやかに総辞職せられんことを要望する者であります。(拍手)
 以上をもつて本決議案に対する私の賛成演説を終ります。(拍手)
#43
○議長(松岡駒吉君) 佐竹晴記君。
    〔佐竹晴記君登壇〕
#44
○佐竹晴記君 社会革新党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表します。(拍手)
 われわれは、いわゆる三党協定に拘束されるものではありませんので、ここに内閣不信任を義務的に主張するものではない。進んで独自の不信任案を提出いたしたいと望んでおつたのでありますが、それと内容を一にいたします本決議案が上程される運びと相なりましたので、手数を省略し、共同提案に加わりまして、ここに賛成の意を表する次第であります。この点、一言断つておきたいのであります。
 吉田内閣は、その成立早々、第三國会において、堂々とその所信を披瀝し、具体的政策を明示いたしまして、日本再建の方途を天下に宣明するものと思つておつたのであります。ところが、吉田総理大臣は、何らなすところがございませんでした。そこで國会においては、緊急質問の形で施政方針演説を要求いたしましたが、遂にこれに應じなかつた。かくて政府は、極力施政方針を演説することを回避いたしまして、第三國会の終るのを待つて衆議院を解散し、ボロの出ない前に総選挙を断行すべく、一生懸命になつたかのごとく見えたのであります。しかし、給與に関する法律案並びに追加予算の審議が終りませんために、今期第四國会に持ち越され、第四國会が開かれるに及んで、政府といたしましても、もはや施政方針をしないわけには参らぬことになつて、十二月の四日、遂にその施政方針を明らかにされたのであります。しかしそれは、あまりにもおざなりなものであつて、何の新鮮味も、何の切実ささえも感ずることができなかつた。朝日新聞は、方針のない施政方針と論じ、毎日新聞は、空疎な施政演説だと難じたのであります。まことにその通りであります。
 総理大臣は、その演説において、公務員に対し妥当なる給與対策を講ぜんとするものであるとか、あるいは災害復旧には所要経費の一部を計上し、迅速適切な処置を講ぜんとするものである、あるいは海外残留者四十万、今後一段と引揚げの促進にあらゆる努力をいたすとともに、留守家族の援護厚生に万全の措置を講じたいと述べたほか、終戰処理費及び價格調整費の増額、統制の簡素化、行政の整理、企業の合理化、健全財政の堅持、文教の刷新等ずいぶん盛りだくさんな御託宣が述べられておりますけれども、何の具体性もなく、ただもう総選挙を目当にいたしました、國民の氣に入りそうなお題目を並べたというのにすぎないのであります。(拍手)われわれの望むところのものは、そんなお題目ではありません。その内容がどんなものであるか、いかにしてこれを実現せんとするかの決意を披瀝して、國民をして感奮せしめる底のものでなければならぬと思うのであります。(拍手)いささかもわれわれのこの要望にこたえられなかつたということは、遺憾のきわみであります。
 それのみではなくて、民自党には固有の政策があり、十月の九日、党の第二回大会において決定いたしました緊急十九政策と、今回総理大臣が演説をなさいましたその内容とを比較すれば、まさに見本と本物の相違があまりにも大であることに、驚かざるを得ないのであります。まつたく羊頭を掲げて狗肉を賣るという感を深うせざるを得ないのであります。民自党が野党時代に強調なさつたところの取引高税の撤廃その他、もう前各討論者において論議し盡された数項について、総理大臣は毫もその内容に触れず、まつたく國民に対する公約を無視してしまつたのであります。かような状態で、どうしてわが日本の置かれておる難局を託するに足ることができましようか。
 さらに第三國会より第四國会を通じて、靜かに政府及び與党の行動についてこれを見るに、幾多の失態を演じ、院議を無視し、民主的に時局を乘り切る能力のないことを現わして余りがあるのであります。また、組閣以來わずかに二箇月を出でないのに、大藏大臣の醜態による閣僚の更迭、この愚によつて、すでに内閣の屋台骨はゆるんだではないか。(拍手)この有様を見たときに、國民は、はたして安んじてこの難局を託するに足るという感が起るでございましようか。
 しかも政府は、綱紀粛正と國民道義の高揚を叫んでおられます。しかし、政府並びに與党の中にも、いわゆる疑獄事件に関連のある方多数ありと傳えられるに及んで、現内閣がどうしてその大任を全うする資格ありと考えることができましようか。今や日本は、極度の困難に際会をいたしております。挙國的態勢を整える以外にこれを打開するの道はないのであります。このときにあたつて、保守反動的一党だけを基盤といたしまする現内閣に、そのすべてをゆだねるということは、とうていあり得ないと断ぜざるを得ないのである。(拍手)解散の予想される今日、政府は、選挙に不利益な物價の体系や増税などはおくびにも出されず、まことに神妙にしておられまするが、いざ総選挙も済んで、もしも民自党がその政権を持続することができることに相なりましたならば、おそらくその本性を示し、フアツシヨ的傾向をさらに現わし、運賃の値上げ、大増税の断行が出來ないと、だれが保証いたしましよう。保守反動的單独内閣に対する懸念として、けだし当然のことといわなければなりません。
 よつてわれわれは、現内閣を信任せず、國民全般が信頼するに足る政権樹立のために、すみやかに総辞職すべきものであると思うのであります。よつて本案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
#45
○議長(松岡駒吉君) 岡田春夫君。
    〔岡田春夫君登壇〕
#46
○岡田春夫君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、野党共同提案の不信任案に対し賛成いたすものであります。
 わが労働者農民党は、さきに醜惡事件によりまして芦田内閣が退陣をいたしましたときに、次期政権は、少くとも昭和電工その他の醜惡事件に関係する政党が一切担当すべきではない、眞に勤労大衆を代表する政党が選挙管理内閣を樹立して、すみやかに腐敗堕落せる國会の解散を要求しなければならない、という声明をいたしました。吉田内閣に対して絶対反対の表明をいたしたものでございます。しかるにもかかわらず、保守連合に失敗をいたしました吉田内閣は、同じ階級的立場に立つ保守政党である民主党からもあいそを盡かされ、わずかに民自党單独の少数内閣をつくりましたことは、崩壊を目前に控える日本資本主義の末期の断末魔の症状として、畸型兒として吉田内閣は誕生したものといわざるを得ません。(拍手)
 自由放任主義は、やみ屋階級を中心にいたします彼ら自身の支配階級の利益を擁護するために、終戰後において擡頭せる民主勢力の進撃を阻止するために、彼ら自身が時代錯誤の自由放任主義を振りまわして、みずからの自己暴露を明らかにしたものである。この意味においても、この政策こそは、明らかに十九世紀における反動的な時代錯誤の政策に終始しているにすぎないといわなければなりません。かかる反動的内閣が成立したることは、ひとり民自党の責任ばかりではない。これは現在の國会の中において、日本の民主化を進めることに対して反対する反動的なる議員がいかに多いかということ、そればかりではない。疑獄事件に連坐する諸政党が、相かわらず醜惡事件を持つておりながら、これをひそかに温存してフアツシヨ化する金融独占資本の手先として、勤労大衆を欺瞞と窮乏の中に追い込みつつある、そのような手先の議員がいかに多いかということを証明するものにほかなりません。(拍手)
 われわれは、この意味でも、日本の民主化を妨害する吉田反動内閣の即時退陣を要求するとともに、窮乏する勤労大衆の立場に立つて闘う政党が一日も早く選挙管理内閣を樹立して、眞に腐敗堕落の極に達しておる民自党を初めとして、これらの議員の諸君を一掃し、眞に日本の民主化を確立しなければならないと考えて闘つて参りました。しかるに吉田内閣は、みずからの反動的な性格を暴露するばかりではなく、公務員法の改惡を初め追加予算の問題においても明らかに無能力を暴露した。そればかりではない。事あるごとに解散論を振りまわして、やれもしない解散論をを政爭の具に供せんとして参りました。
 また野党三派においても、みずからの疑惑、疑獄事件の傷を勤労大衆から追究されることをおそれて、第三國会以來二箇月にわたつて、窮乏する勤労大衆の生活をしり目にいたしまして、いたずらに政爭に、どろ試合に、その日その日を送つて参り、その証拠に、第三國会の中途において、われわれ労働者農民党が、日本農民党並びに日本共産党と共同提案で不信任案を提出いたしましたときにも、民主党、國民協同党、あるいは社会党その他民自党諸君に至るまで、われわれの不信任案の上程について反対の措置をとつたということについては、今度の不信任案の態度の本質は、ほんとうに不信任案を要求するものこそは、われわれ労働者農民党以外にないとわれわれは確信をいたしております。
 吉田内閣の本質は、あらためて申し上げるまでもない、野党の今までの諸君が詳しく説明をされた通りに、この内閣は、第一に、明らかに民主主義を妨害して、日本の國にフアシズムを助長するところの反動的内閣であるということ、第二の点において、芦田内閣と同じように疑獄事件に関連しておる第二次小菅内閣であるということ、第三に、この吉田内閣は、日本再建の具体的なる方策を何ら行う能力のない、まつたく無能力なる内閣であること、この三つの点において、いまさら喋々説明する要はないのでありますが、公務員法の改惡をしやにむに強行することによつて、憲法の二十八條に規定されておる労働者の基本的な人権を奪つて、そうして労働者に彈圧を加えた。そればかりではない。今度の追加予算においては、七百三億の追加予算の大半、その七割までが、大衆課税その他勤労大衆を窮乏に追い込み、吉田内閣あるいは民自党が期待しておる中小商人からも重税を取上げるところの政策をもつて追加予算を編成している事実をもつてしても、この吉田内閣は、ひとり労働者農民の敵であるばかりではなく、中小商人のまた同様なる敵であるといわなければなりません。(拍手)
 われわれは、このような見地に立つばかりではなく、醜惡賃金ベースにおいても、五千三百円を六千三百円に上げたのは、当初吉田内閣は、人事院が決定をいたしました六千三百円を、財源の理由をもつて五千三百円の給與ベースにしておきながら、無定見にも関係方面の示唆によつて六千三百円に切りかえたるごとき無能力を明らかに暴露しておるのである。
 このようにして、また醜惡事件に関連する点においても、吉田内閣は、組閣当初において、こ内閣の第一の使命は粛正にありといいながら、みずから閣内において、多くの関係者、疑惑者を内藏するばかりか、百万円事件をもつても、傳うところによれば、吉田氏自身までが疑惑を傳えられるというような醜態を重ねておる現状であります。しかのみならず、昨日の殖田法務総裁の、この会議における発言によれば、疑獄事件の檢挙の問題にしても、あたかもこれが、みずからの内閣の職権において適当に処理をなし得るがごとき印象を與えまして、疑獄事件を政爭の具に供せんとするがごときは、まことに民主主義を妨害し、疑獄事件をみずからの手に温存せんとするものといわなければならない。(拍手)このような内閣に対して、われわれはここに不信任案を提出することは、むしろ当然のことであつて、時期としては遅きに失したものであるといわなければならない。この不信任案が提出されたことは、当然これは吉田内閣が即時退陣をしなければならないということである。
 この不信任案のことについて、特に私たちとして一言申し上げておかなければならないことは、今度の不信任案は、第三國会の末期において、政府の民自党初め、野党側の民主党なり國民協同党並びに社会党の間に取りかわされた四党協定を基礎とされて、不信任案が提出されておる。この四党協定の不信任案というものは、われわれから考えるならば、民主國会を毒するやみ取引であると、われわれは確信いたしております。(拍手)すなわち第三國会において、労働者の基本的の権利を奪う公務員法の通過を認めるかわりに、野党三派の諸君は、國会の引延ばしを承諾して、公務員法の通過と解散論の引延ばしとを取引したのでございます。(拍手)第四國会から三週間後においてここに四党協定に立脚せる不信任案を上程するにあたつて、かかる措置を裏づけとして行なわれた野党三派の諸君並びに與党側の民自党の諸君のとつた態度は、これは明らかにわれわれの承服することのできないことである。(拍手)われわれは、今この吉田内閣に正面を切つて不信任案をぶつつけて吉田内閣を倒す資格のあるものこそは、これは労働者農民党をおいてほかにないと確信をいたします。(拍手)
 私たちは、この意味において、吉田内閣が即時退陣をするということ並びに退陣後の次期政権は、眞に勤労大衆の立場に立つた政党が、疑獄事件に関係のない政党が、選挙管理内閣を組織して、すみやかに腐敗堕落の極に達しておるこの議会を徹底的に粛正し、眞に民主的な國会を樹立するために、國会の即時解散を要求するものである。われわれは、もしここに吉田総理が、われわれの趣旨を理解されず、反動的な性格をそのまま残して退陣をされないとするならば、來るべき國会の解散後において、かつてアメリカの大統領の総選挙においてトルーマンが再選したと同じように、全國七百万の組織労働者は、日本の民主化のために民自党を徹底的に壊滅し、その他保守陣営を全体として打倒するための選挙の結果をもたらすであろうということを、ここにはつきり宣明をいたしまして、本案に賛成の趣旨弁明にかえる次第でございます。(拍手)
#47
○議長(松岡駒吉君) 中野寅吉君。
    〔中野寅吉君登壇〕
#48
○中野寅吉君 諸君、私は三十九歳より代議士としてお世話になり、今日は七十一歳であります。そこで、私の言わんとするところは、吉川君、細川君、米田君、椎熊君、岡田君、佐竹君、岡田君から大半述べられました。一番あとで演説するくらい不利益なものはないのです。(笑声)よつて私は、今申し上げたこの話の中で触れなかつたところを申しげて、吉田様に辞職を勧告いたします。
 そこで、その間にちよつと申し上げておかなくちやならぬのは、社会党の片山さんが御演説の中に、社会主義政策の全面的押賣りをなさつた点がある。これはすなわち、この不信任案の説明に機会を得て社会主義の押賣りをなさつたと思うから、これは私は、この件だけは削りますよ。(笑声)これを、この機会をとらえて――この機会をとらえて、これをうのみにしよう、うのみにさせようとしても、われわれは、これはうのみにはできない。生のまま、さあつと流します。統制経済、計画経済をやりつつ、むりをせず、だんだん自由経済に移つて行かなければ、この日本は立ち直らぬというのが、わが新自由党の政策であります。(拍手、笑声)そこでさらに、今日東條英機君以下、すでにこの壇上において、相当外交においても内政においても御苦労なさつた廣田氏、私は七人のうち、最も廣田氏をお氣の毒に存じます。
 そこで、この吉田さんに辞職を迫るということは、吉田樣は政策のたな上げをしておる。内閣の仕事は政策である。吉田内閣という店ができたならば、この吉田屋という料理屋は、(笑声)この料理もやります、たとえば刺身もできる、酢のものもできるというように、なぜこの料理をあげないか。それを、ただ店開きをすると同時に解散をぶつ食わすというような話は、最も乱暴な話である、こいつはこれはいかぬ。それからもう一つは、対外的に不信用である。これは吉田様の民主自由党の中には、大多数國家を憂える人はありますよ。民主自由党はええけれども、吉田茂という船頭が惡いから、こういうふうになつたんじやないか。(拍手)この船頭をとりかえろというのだ。
 それから事例を知らす。見よ、この隣邦中國の有様を。これを何と見る。これを見て、くちびるほろびて歯寒しということがある。隣邦中國のありさまを見たならば、日本はいかにするかということを、まず吉田さんは憂えなければならぬ。その日本を憂えるということは、すなわち和である。和をもつて貴しとするのである。(拍手、笑声)しかるに吉田様は、どうしても性格上――私も五黄の寅の土星である。吉田さんも五黄の寅の土星である。この五黄の寅の土星というものは、どうしてもけんかずきで困るのである。(拍手)それだから吉田様は、どうしても初めから政治家だつたらよかつた。しかし、遺憾ながら外交官として長い間やつたために、ほんとうの政治的訓練を、御無礼だか知らないのであります。(拍手)先刻植原君の話によると、何だ、四党協定によつて不信任案をお前の方で出せ、そうしたら解散して首をぶつた切ると言つたじやないか。(「やみ取引」と呼ぶ者あり)そうそう、やみ取引だ。それを知らずして、植原悦二郎とも言われる人が、ここで反対演説をするというのは、何たるべらぼうな話だ。そういう者に吉田様が動かされるから、こういうふうになるのであるから、このたびはよく考えて、辞職なさつた方がよかろうと思うのであります。(拍手)いわゆる自分知らずである。
 私は、昔伊藤様も知つておる。また原さんも知つておる。それから桂さんも知つておる。それから大隈さんも知つておる。政治の要はニコポンにある。桂太郎さんなどは、ここで反対した人に会つても、ニコつと笑つて肩をポンとたたく。ところが残念ながら吉田様は、この藝当を知らないのである。だんだん習つたならば、この藝当を御承知になりましようから、どうかひとつこのたびだけは、まずおやめになつて、そうしてこの國難を救つてもらいたい。協調性がありません。
 それから、解散は暴断である。解散する解散すると言つたつて、これはいかぬ。解散したつて、御無礼ながら中野寅吉は当選しますよ。(拍手)解散はこわいかという声が民自党の諸君から出ますが、もちろんこわいです。こわいというのは、國家のためにこわいのであります。民自党の諸君の、解散がこわいかというその声の響きを私は聞いておると、もつともへその下から出ていない。解散がこわいかとおつしやるその人の心に、すでに乃公自身こわいという考えがある。(拍手)お互に四百六十六人というものは、これ日本國民の行動の中心でございます。あなた方も私も――議長は時間が来たというようなことをおつしやるかもしらぬけれども、私は七十一歳、あるいは選挙のために落選するかもしれぬ。落選したら、再び私はこの壇上に現われることはできないのですから、中野寅吉に線香一本土げたと思つて、まあ十分間ぐらいはよけいに聞いてもらいたい。(拍手)
 諸君、お互い四百六十六人は、これ日本國民の行動の中心であります。私もあなた方も‥‥。(「約束の時間が來たぞ」と呼ぶ者あり)石田さん時間が來ましたか。
    〔「時間が来た」「懲罰にしろ」と呼び、その他発言する者多し〕
#49
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。中野君、まだ時間があります。
#50
○中野寅吉君(続) お互い四百六十六人は、すなわち國民の行動の中心であります。この中心がぐらぐらしてはいけません。もう少しわれわれ四百六十六人は、すなわちこれ日本を寝せ起しするという勇氣を持つてもらわなければならぬ。すなわちみんなは、おれは國会議員なりという矜恃を持つておらなければなりません。決して私はのんきに演説しているのではない。石田さん氣をつけろ。すなわち國のまつりごとは、國民の嚴正なる信託によつてやつているのである。その國民の信託は、國会議員が受取るのである。そして國政の権力の行使は、この國会でやつているのである。しかるに、この國会議員のお互いが、四党申合せによつて不信任案を出せば解散する、首を出せばちよん切るというような、こんなばかな話があるか。おれは解散がこわい。解散がごわいです。しかし、解散がこわいのは國家のためにこわいのです。國民に福利を享受せしめ、自由の惠沢に浴せしめ、恒久平和を得せしめる、これすなわち、われわれ四百六十六人の務めではないか。しかるに軽々しく、幹部がいうからその通りにならなければならぬ、選挙をしなければならぬというような、こんなばかな話はない。
#51
○議長(松岡駒吉君) 中野君、時間が來ました。
#52
○中野寅吉君(続) はい。要するに吉田様は、この時勢をよく見て、そうしてまずこの職を退く、そうして國管問題で疑惑になつているのだから、ここで決議案が成立しても、四日間か五日間後において解散をするならするべし、また辞職するならするべし、よく四、五日間考えて、國家のためにやつてもらいたいということを申し上げて私の結論といたします。(拍手)
#53
○議長(松岡駒吉君) 中村元治郎君。
    〔中村元治郎君登壇〕
#54
○中村元治郎君 私は、第一議員倶樂部を代表して、ただいま上程中の不信任案に対し條件付賛成をいたすものであります。今日、政界の混乱並びに國会の審議状況を見るにつけ、特にさきの総選挙以來各政党の集合離散はなはだしく、しかもまた、國会議員にして不淨なる金銭のとりことなつて檢察廳のやつかいになる者続出して、國会の権威地に落ちた今日、これを救うの道は、再び信を國民に問う解散ただ一つなることを信ずるものであります。(拍手)その解散に至る過程として不信任案提出が條件であるとする現状より推して、今日の不信任案に対し賛成するものであります。
 しかし、この野党共同提案になる不信任案の提出に至る過程におけるいわゆる四党協定なるものを見るとき、私どもは、はなはだ了解に苦しむ点があるのであります。すなわち、憲法解釈をめぐつての論爭から発展して、遂に関係筋のやつかいになつて、政治的妥協によつて到達したのがこれであつて、これではまさにやみ取引であります。民主政治を根底から冒涜するものでありまして、実に政界混乱の原因は、あげてこうした憲法無視、國会軽視にあるのであります。こうした、やおちよう的な取引の結果この不信任案提出となり、このたび私どもは、國家的見地よりこれと同調したのでありまするが、私どもは、民主政治建設の観点から衷心遺憾の意を表するものであります。
 ここに観点を別にして現在の吉田内閣を見るとき、それはまさに不信任案提出に値するものであります。私どもは、從來の片山、芦田二代内閣の政治力の貧困と、その政策実行の勇氣なき点にあきたらず、わずかに吉田茂氏に期待いたしまするがゆえに、さきの首班選挙には、第一議員倶樂部は総員これに投票し、その政策の実行を見守つたのでありまするが、組閣以來吉田内閣は、解散々々と押しまくつただけで、何事もなし得なかつたのであります。野党時代公約した取引高税廃止、料飲店の再開、供出後の米麦の自由販賣、國民負担の軽減、これらは一つとして実行されておりません。かくて、先日発せられたマ元帥の書簡にも明らかなように、民自党のいう自由主義経済なるものは、敗戰日本の現状においてはとうてい不可能なことであります。これを知らずして、実行し得るかのごとく廣言してはばからなかつた民自党の世界観は、実に時代錯誤のはなはだしいものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)今日のような日本内政の現実から考えて、世界的認識を欠く吉田内閣を、われわれは支持することを得ません。すなわち不信任する第一点であります。
 次に、政界淨化を強く主張して成立した吉田内閣に、その資格ありやいなやは、具体的事例を示してここに申し述べるまでもなく、國民すべての知るところであります。
 次に民自党は、在野当時、官僚統制の弊をあげて時の政府を鋭くついたのでありまして、私どもの同感を禁じ得ないところでありました。しかるに、最近の民自党並びに吉田内閣の官僚尊重、政党侮辱の態度は、けだしはなはだしいものがあるのであります。公約と政策、すなわち看板と内容の異なるものは、公党としての資格を欠くものでありまするがゆえに、私はすみやかに現内閣の退陣を要望するものであります。
 以上私は、政府不信任案に対し賛成の意見を申し述べましたが、この際野党三派に対して、野党三派がはたして不信任案を提出するの資格ありやいなやを強く反省することを熱望しているものであります。
 以上の観点から、條件付をもつて、ただいま提案されておる不信任案に対し、第一議員倶樂部を代表して賛成の意を表するものであります。(拍手)
#55
○議長(松岡駒吉君) 徳田球一君。
    〔徳田球一君登壇〕
#56
○徳田球一君 わが共産党は、本内閣につきましては成立以來反対である。ただちに解散するか、さもなければ退陣すべきことを要求し來つたのである。にもかかわらず、今まで待つたのがそもそもいけない。なるべく早く不信任案を提出すべきであるにかかわらず、これを提出し得なかつたことは、実に野党三派といわれる主力がみずから不信任案を提出し得る自信がなかつたことを証明して余りあると信ずるのである。
 さて、民自党にしてみたところで、この不信任案に反対すべき理由はちつともない。早く不信任案を出してもらわなければ、自分のやりたい解散もできないじやないか。それでいながら、いかにも反対するような、そういう儀礼的な変なことはやらぬがよろしい。ほんとうに欲するなら欲するで、何もここで長い時間、二時間も三時間も立つておしやべりする必要はない。そういう意味で、この議会というものは、実際嘲弄しておるような状態である。われわれは、もつともつと眞劍にやらなければならないと信ずるのである。
 さて吉田内閣は、ことに吉田首相が外交官出身のゆえに、國際情勢に対しては最も明るくなければならない。しかも、吉田内閣の最も中心的な問題としておるのは貿易である。しかるに、この貿易の中心、主力を注ぐべきところは中國である。中國に対しての貿易の計画は安本の計画によりましても、輸入において六三%、輸出において四一%を計画しておるのである。しかるに、この中共の勝利に対して、民自党はむろんのこと、吉田内閣が、どういう原因で、いかにしてこれが勝利しつつあるか、この勝利後に対していかなる処置をなすべきかに対して、外務委員会における論戰では、まつたくとほうに暮れておるのである。そういう内閣で、一体何ができる。民自党も、そういう貧弱な國際知識では、何ごともできてないことがはつきりしておるのである。
 さて、最近ワシントンから指令されましたところの九原則に対しましても、最も重大なことは、経済的安定を求めることでなければならない。しかるに、今の吉田内閣の政策は、経済安定をすべきどころのさわぎではなく、一層ますます経済を撹乱する方向に進みつつあるのである。
 経済安定の最も中心的なものは、労働階級の生活の安定でなければならない。しかるに、すでに公務員法において公務員を奴隷化するばかりでなく、一般労働者の労働組合運動に対しても、これを改惡するところの審議会を設置しておるのである。さらに、彼らの首切りは非常に驚くべきものである。年初において一千万人の失業者があるにかかわらず、さらに全官公廳の六十万人の首を切り、民間は百五十万人の首を切ろうというのである。かくのごとくして、首切りがますます強くなればなるほど、労働者階級に対する圧迫はますます、強化せざるを得ない。
 かくして、労働者階級の貧窮は何を引起す。何をもたらす。全経済における購買力の減退は、農民にとつても、漁民にとつても、中小商工業者にとつても、あらゆる方面において多大の困難を引起すことはもちろんである。かくして‥‥
    〔発言する者多し〕
#57
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#58
○徳田球一君(続) ますます生産過剰が生じて、ますます経済の破綻を激成しつつあることは、だれが見ても知る通りである。
 その中におきまして、農民の問題はどうだ。この購買力の不足のために、今や農産物はマル公を割りつつある。ことにこれは、最も頼りとしておつた野菜においてそうである。一方において米價は、賃金が上げられたにかかわらず、依然として三千七百円ベースのときの三千五百円の米價である。かくのごとき米價をもつてすれば、農民はまつたく破綻せざるを得ない。一方においては、この破綻は‥‥
    〔発言する者多し〕
#59
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#60
○徳田球一君(続) 土地の取上げにも‥‥
    〔発言する者多し〕
#61
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#62
○徳田球一君(続) 百万件という非常な乱暴な取上げをやつておるために、一層強化されつつあるのである。実際上土地改革において買收したものは、わずかに八%にすぎないのである。かくのごとくにして、農産價格は安くなり、土地取上げが多く、耕作の放棄は実に驚くべきものであり、すでに五千町歩に及んでおるのである。かくのごとくにして、農民の生活もますます破綻しつつある。
 さらに中小商工業者に対しても、驚くべき貧窮が來ておる。現在中小商工業者においても最も恐ろしいものは、金融と資材の不足でありますが、その時にあたつて、復金はわずかにこれに対して、全金融に対して三%ないし四%ぐらいしか融資しておらぬのである。すべては高利貸しに頼つておるのである。その結果、中小商工業者の資金状態は非常に枯渇し、今や、この破滅は目前に迫りつつあるのである。
 かかる状態のもとにおいて、政府は何をなそうとしておるか。政府は為替レートの一本を主張し‥‥
    〔発言する者あり〕
#63
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#64
○徳田球一君(続) この一本にすることにのみ熱中しておる。しかるに、大屋商工大臣の示すところによれば、三百円レートになれば中小商工業者の六割は倒産するであろうといわれておる。これが三百五十円のレートになつても四割は倒産するだろうといわれておる。しかるに、かかる倒産を引起すべき為替レートに対して、政府はむりやりにも三百円ないし三百五十円にしようとしておるのである。これにこたえられないような中小商工業者は、どんどんほろびて行くがいいと言つておるのである。彼らは、中小商工業者に対して、取引高税の問題その他金融の問題を論じながら、他方では、これが徹底的な破滅へ行くことさえ、ちつともかまわないのである。こういう状態で、はたしてこの政府は人民の生活の安定を保障すると言い得るかどうか。
 さらに問題は重税である。この重税は、まつたくひどいのである。言語道断の状態である。これにつきまして、吉田内閣は、このたびにおける重税のみならず、前の吉田内閣においても、増加所得税に大きな罪を犯しておるのである。増加所得税を決定しましたときに、彼らは最初に、一昨年、二十一年の十二月二十九日に新設したときの増加所得税の目標に対して、実際上四倍もとつておるのである。彼らは、税の苛斂誅求をすることにおいて、あらゆる内閣における最もひどい内閣であることを示しておる。この吉田内閣は、現在においても、さらにこの窮迫を倍加しておる次第である。実際上、昨年から今年にかけまして、十一月になつての物價の上り方は一・七二倍であるにかかわらず、彼らが指示しておるところの税の徴收は二・二倍である。すなわち、物價の高騰以上に税をとろうというのである。しかるにこれは‥‥
    〔発言する者、離席する者あり〕
#65
○議長(松岡駒吉君) 御着席を願います。
#66
○徳田球一君(続) 実際上彼らが誅求しておるものは、まさに四倍以上である。人により、所によつて、昨年の十倍ないし十五倍という驚くべき重税を加重しておるという、はなはだしい状態でありまして、かかる状態の結果は、直接及び間接税、地方税を加えますると、まさに收入の四分の三は税に納めなければならないという悲劇を生じておる。そういう内閣は、少しも早く打倒しなければならない。
 さらに勤労所得税に対しては非常な誅求をなし、この追加予算においては、まさに六一%を勤労所得税の増加に求めているのである。一般的に誅求しておるのに、さらに一層ひどくこの追加予算において誅求をなし、この追加されている予算は、すべて勤労者のもとにかかつておるのである。
    〔発言する者あり〕
#67
○徳田球一君(続) あわてるな。聞くだけ聞け。
#68
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。徳田君、あと二分であります。
#69
○徳田球一君(続) その他実際上、産業応対する施設もまつたく顧みない結果、産業並びに國土の崩壊ははなはだしいものがある。これを数えてみますと、溶鉱炉、平炉のすでに壽命を超えたもの四三%、発電所中不完全なもの八〇%、國鉄のレールの老朽せるもの五〇%以上、港湾の破壊されておるものが非常に大きいのであるが、その一例を申しますれば、新潟港は六千トン級の船の出入を許したのに、現在では三千トン級しか入らないことになつておる。それから國道、府縣道中、自動車の通うもの五六%がすでに破壊されておる。それから、これらの破壊されている道路を復旧するために二百億以上の資金を要するのに、これをほとんど放擲しているのである。水害による耕地の流失は、昭和二十年度において十七万町歩、二十二年度はまさに二十五万町歩である。にもかかわらず、これらに対する復旧作業はほとんど顧みられてない。わずかに六十億にすぎないのである。かかる内閣の存在は意義ないものといわなければならない。(拍手)
 にもかかわらず、かれらの大資本家に対する補給は、はなはだしいものがある。すなわち、復金の貸付は千四百五十億に増資し、さらに價格調整費その他をもつて千百二十九億を資本家に與え‥‥
#70
○議長(松岡駒吉君) 徳田君、結論を急いでください。
#71
○徳田球一君(続) さらに大資本家に対する不当な取引の目的となるものが千七百三十五億という厖大なものになるのであります。從いまして、漸次九原則を実施しようとするならば、とても吉田内閣や民自党ではだめだ。これは徹底的なことをやらなければならない。すなわち大衆課税を全廃し、やみによる脱税をすべて取上げ、金融資本並びに重要産業を國営人民管理にすることが必要だ。かくすることによつて‥‥
#72
○議長(松岡駒吉君) 徳田君――徳田君、時間が超過しております。ただちに結論を申してください。
#73
○徳田球一君(続) はあ、いいです。――ただちに労働者の賃金は確定される。ここに均衡あるものができるのだ。でありますから、講和を促進し、世界平和を保つために、また民族の独立を確保するためには、この内閣を一日も早く倒壊せしめなければならない。(拍手)われわれは解散を恐るることなく、この解散によつて、かれらの傲慢な、五百人の議席を占めるという恐るべき吉田内閣の声明をぶちのめして、この驚くべき妄想を打ちくだいて、われわれは人民の政府を樹立するために、一大奮闘をすべきときが來たことを喜ぶ次第である。
#74
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。片山哲君外十四名提出の不信任決議案を可決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。開鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#75
○議長(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票凾閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#76
○議長(松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
投票総数 三百五十七
 可とする者(白票)  二百二十七
    〔拍手〕
 否とする者(青票)    百三十
    〔拍手〕 
#77
○議長(松岡駒吉君) 右の結果、片山哲君外十四名提出の不信任決議案は可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 片山哲君外十四名提出不信任決議案を可とする議員の氏名
   足立 梅市君  淺沼稻次郎君
   井伊 誠一君  井上 良夫君
   井谷 正吉君  伊瀬幸太郎君
   伊藤卯四郎君  猪俣 浩三君
   池谷 信一君  石井 繁丸君
   石神 啓吾君  石川金次郎君
   稻村 順三君  今澄  勇君
   受田 新吉君  海野 三朗君
   大島 義晴君  大矢 省三君
   加藤 勘十君  加藤シヅエ君
   加藤 靜雄君  花月 純誠君
   梶川 靜雄君  片島  港君
   片山  哲君  金子益太郎君
   上林與布郎君  川合 彰武君
   川島 金次君  菊川 忠雄君
   菊池 重作君  清澤 俊英君
   久保田鶴松君  金野 定吉君
   佐々木更三君  佐竹 新市君
   佐藤觀次郎君  境  一雄君
   榊原 千代君  重井 鹿治君
   島上善五郎君  島田 晋作君
   鈴木茂三郎君  鈴木 雄二君
   鈴木 義男君  角田藤三郎君
   田中織之進君  田中 松月君
   田淵 実夫君  高津 正道君
   辻井民之助君  土井 直作君
   戸叶 里子君  冨吉 榮二君
   中崎  敏君  成瀬喜五郎君
   成田 知巳君  西村 榮一君
   野上 健次君  野溝  勝君
   馬場 秀夫君  林  大作君
   原 彪之助君  福田 昌子君
   細川 隆元君  細野三千雄君
   前田榮之助君  前田 種男君
   正木  清君  松尾 トシ君
   松澤 兼人君  松原喜之次君
   松本 七郎君  松本 淳造君
   溝淵松太郎君  水谷長三郎君
   村尾 薩男君  守田 道輔君
   森戸 辰男君  師岡 榮一君
   門司  亮君  八百板 正君
   矢尾喜三郎君  矢後 嘉藏君
   安平 鹿一君  山口 靜江君
   山崎 道子君  山下 榮二君
   山中日露史君  山花 秀雄君
   山本 幸一君  吉川 兼光君
   米窪 滿亮君  秋田 大助君
  安東 義良君  青木清左ヱ門君
   天野  久君  荒木萬壽夫君
   打出 信行君  馬越  晃君
   小川 半次君  小野  孝君
   岡野 繁藏君  押川 定秋君
   金光 義邦君  川崎 秀二君
  神山 榮一君  木村小左衞門君
   喜多楢治郎君  北村徳太郎君
   栗田 英男君  小坂善太郎君
   小島 徹三君  小林 運美君
   小松 勇次君  五坪 茂雄君
   後藤 悦治君  佐伯 宗義君
   坂口 主税君  櫻内 義雄君
   志賀健次郎君  椎熊 三郎君
   鈴木 強平君  関根 久藏君
   園田  直君  田島 房邦君
   田中源三郎君  田中  豊君
   高岡 忠弘君  高橋清治郎君
   高橋 禎一君  武田 キヨ君
   橘  直治君  圖司 安正君
   佃  良一君  坪川 信三君
   寺島隆太郎君  東井三代次君
   苫米地義三君  中垣 國男君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   中村 俊夫君  中村 又一君
  長野 長廣君  長野重右ヱ門君
   並木 芳雄君  成島 憲子君
   西田 隆男君  橋本 金一君
   長谷川政友君  原   彪君
   坂東幸太郎君  一松 定吉君
   福田 繁芳君  堀川 恭平君
   村瀬 宣親君  最上 英子君
   八並 達雄君  矢野 政男君
   安田 幹太君  山崎 岩男君
   山下 春江君  吉田  安君
   米田 吉盛君  井出一太郎君
   飯田 義茂君  石田 一松君
   大島 多藏君  岡田 勢一君
  唐木田藤五郎君  川越  博君
   川野 芳滿君  木下  榮君
   吉川 久衛君  小枝 一雄君
   河野 金昇君  笹森 順造君
   多賀 安郎君  竹山祐太郎君
   坪井 亀藏君  豊澤 豊雄君
   内藤 友明君  野本 品吉君
   萩原 壽雄君  平川 篤雄君
   船田 享二君  松原 一彦君
  松本 瀧藏君  的場金右衞門君
   三木 武夫君  谷口 武雄君
   大石ヨシエ君  大原 博夫君
   大神 善吉君  叶   凸君
   佐竹 晴記君  田中 健吉君
   高瀬  傳君  成重 光眞君
   早川  崇君  本藤 恒松君
   太田 典禮君  館  俊三君
   中原 健次君  堀江 實藏君
   松谷天光光君  森山 武彦君
   宇都宮則綱君  大瀧亀代司君
   久保 猛夫君  榊原  亨君
   世耕 弘一君  中野 寅吉君
   長谷川俊一君  織田 正信君
   黒岩 重治君  齋藤  晃君
   相馬 助治君  田中 久雄君
   只野直三郎君  中村元治郎君
   木村  榮君  徳田 球一君
   林  百郎君  荒畑 勝三君
   西尾 末廣君
 否とする議員の氏名
   青木 孝義君  青柳 高一君
   淺利 三朗君  有田 二郎君
   井上 知治君  伊藤 郷一君
   石田 博英君  石原 圓吉君
   石原  登君  稻田 直道君
   今村 忠助君  岩本 信行君
   植原悦二郎君  内海 安吉君
  江崎 真澄君  小笠原八十美君
   小川原政信君  小澤佐重喜君
  小野瀬忠兵衞君  尾崎 末吉君
   生越 三郎君  大石 武一君
   大内 一郎君  大上  司君
   大澤嘉平治君  大野 伴睦君
   大村 清一君  岡井藤志郎君
  岡村利右衞門君  奥村 竹三君
   岡西 明良君  加藤隆太郎君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   柏原 義則君  片岡伊三郎君
   上林山榮吉君  神田  博君
   工藤 鐵男君  倉石 忠雄君
   栗山長次郎君  小暮藤三郎君
   小平 久雄君  古賀喜太郎君
   近藤 鶴代君  佐々木秀世君
   佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君
   佐藤 通吉君  坂本  實君
   重富  卓君  幣原喜重郎君
   澁谷雄太郎君  島村 一郎君
   庄  忠人君  庄司 一郎君
   周東 英雄君  鈴木里一郎君
   鈴木 仙八君  鈴木 正文君
   鈴木 明良君  關内 正一君
   千賀 康治君  田口助太郎君
   田中 萬逸君  多田  勇君
   高田 弥市君  竹尾  弌君
   塚田十一郎君  辻  寛一君
   綱島 正興君  圓谷 光衞君
   坪内 八郎君  冨田  照君
   冨永格五郎君  苫米地英俊君
   中嶋 勝一君  中野 武雄君
   中山 マサ君  仲内 憲治君
   西村 久之君  根本龍太郎君
   野原 正勝君  花村 四郎君
   林  讓治君  原 健三郎君
   原  孝吉君  樋貝 詮三君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   廣川 弘禪君  深津玉一郎君
   福永 一臣君  淵上房太郎君
   降旗 徳弥君  星島 二郎君
   本多 市郎君  前田 正男君
   益谷 秀次君  増田甲子七君
   松井 豊吉君  松木  宏君
   松崎 朝治君  水田三喜男君
   水谷  昇君  宮幡  靖君
   明禮輝三郎君  武藤 嘉一君
   村上  勇君  村上 清治君
   森 幸太郎君  森  直次君
   八木 一郎君  梁井 淳二君
  山口喜久一郎君  山口 好一君
   山口六郎次君  山名 義芳君
   山本 猛夫君  吉田  茂君
   若松 虎雄君  渡邊 良夫君
   亘  四郎君  加藤吉太夫君
   河口 陽一君  高倉 定助君
   寺崎  覺君  中野 四郎君
   中村 寅太君  岡部 得三君
    ―――――――――――――
#78
○議長(松岡駒吉君) この際暫時休憩いたします。
    午後九時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後十時五十分開議
#79
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
#80
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、参議院提出、健康保險法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を省略して、ただちに議決されんことを望みます。
#81
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませか。
    〔「異諸なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 健康保險法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#83
○議長(松岡駒吉君) ただちに採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 ただいま内閣総理大臣より詔書が発せられた旨傳えられましたから、これを朗読いたします。
    〔「大臣退席しろ」と呼び、その他発言する者多し〕
#85
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――議員諸君は着席していただきます。――議員諸君は着席していただきます。
    〔拍手〕
  衆議院において、内閣不信任の決議案を可決した。よつて内閣の助言と承認により、日本國憲法第六十九條及び第七條により、衆議院を解散する。
    〔拍手〕 
    〔「万歳」「万歳」と呼ぶ者あり〕
#86
○議長(松岡駒吉君) これにて散会いたします。
   時に午後十時五十四分
ソース: 国立国会図書館
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