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#1
第004回国会 外務委員会 第3号
昭和二十三年十二月十四日(火曜日)
    午後二時十三分開議
 出席委員
   委員長 生越 三郎君
   理事 若松 虎雄君 理事 和田 敏明君
   理事 多賀 安郎君
      幣原喜重郎君    竹尾  弌君
      中村 嘉壽君    加藤シヅエ君
      竹内 克巳君    戸叶 里子君
      馬場 秀夫君    並木 芳雄君
      野坂 參三君
 出席政府委員
         総理廳事務官 森永貞一郎君
         外務政務次官 近藤 鶴代君
          外務事務官 大野 勝巳君
          外務事務官 倭島 英二君
 委員外の出席者
        專  門  員 佐藤 敏人君
        專  門  員 村瀬 忠夫君
十二月十三日
 委員井上知治君及び野坂參三君辞任につき、そ
 の補欠として亘四郎君及び林百郎君が議長の指
 名で委員に選任された。
同月十四日
 委員林百郎君辞任につき、その補欠として野坂
 參三君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 講和会議促進懇請及び中國における諸問題等に
 関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○生越委員長 これより会議を開きます。
 本日は講和会議促進懇請及び中國における諸問題等につきまして、外務大臣より説明を聽取いたすことになつておりますが、外務大臣が病氣で御出席がありません。去る六日の本委員会において、天皇の発したメツセージの内容及びその手続が問題となり、その眞相を調査の上本委員会に報告させるという動議が成立しておりますので、まず政府より眞相調査の結果の報告を求めます。
#3
○近藤政務次官 お答えいたします。新聞に報道されておりますような、公的な正式のお話はなかつたように存じております。從いまして天皇がごく私的なお心持をもちまして、雜談の中にお話になつたことが取上げられて報道されたように考えて参るのが至当ではないかと存じます。
#4
○野坂委員 そうすると政府側としてはどういうふうな手続で、どういうふうにして今のような報告を受けられましたか、その点をちよつと伺います。
#5
○近藤政務次官 これは大臣から直接伺いましたので、大臣がどのような手続をおとりになりましたかということにつきましては、伺つておらないのでございますけれども、大臣のお言葉といたしまして、新聞に報道されたような公的な性質のお話ではなかつたと、はつきりおつしやつたのでございます。
#6
○野坂委員 今の御説明では納得しかねるのですが、もつと深い意味があるように思われる。たとえば政府の方でその筋と交渉して、そのときの実状を調査して報告されたのか、それとも今までのように、吉田外相がいつものあの手で、ぶつきら棒に、こう言つておけばいいというぐらいで出したのか、私はその点信じかねます。
#7
○近藤政務次官 その点につきましては、外務大臣もそれぞれお当りになつたようなお氣持は、お話の中に伺うことができたのでありますから、大臣が独断でおきめになつたことではないということを、はつきり申上げられると思います。また日本の新聞に非常に大きく取扱はれましたけれども、新聞に取扱つたほどのものであつたかどうかということについては、日本人として相当考えて参つていいのではないかと、このように考える次第でございます。
#8
○和田委員 せつかく動議が成立して、調べて報告すべしということになつたのに、そういう報告ではまつたくわれわれとしては納得が行きません。吉田さん自身で調べなくてもいいんです、沢山事務当局がおるんだから天皇陛下に会うのが一番いいわけですが天皇陛下に直接会わんでも、調べる方法はあると思います。今の政務次官の答弁を聞いていると、吉田さんがこの前ぼくの質問に答えた程度を一歩も出ていません、そういうことでは國民も納得しません。調べていなかつたと私は断定します。なにかそういうものは、刃物に触れるかのような態度でいつまでも避けているようなあなた方の考え方が、私は非常に間違いだと思う。今日天皇陛下が政界に関して権限があるかないかということは問題であつて、單に吉田さんが、そうあなたに傳えてくれというようなことでこの委員会を納得させようとしても、これは非常な間違いです、また委員会を侮辱するものだと思います。その点はどうなんですか。事務当局がもう少し誠意をもつて調べたのかどうか、その点を私は聞きたいと思います。
#9
○近藤政務次官 当るべき筋には全部当つておられるということを私はお話しておるのでありまして、はつきり伺うことができましたので、それをお答え申上げたのであります。これが御納得が行かないということになりますと、私といたしましては、これ以上申し上げようはないのでありますから、それぞれの手を盡されました結果として、そういうお話があつたということを申し上げたいと思います。
#10
○野坂委員 和田君と意見は同じです。あれは新聞の一つの記事だから、いいかげんにして置けということではないかと思います。問題は國際的の相当に大きな根本的の問題になり得ると思いますし、われわれの希望として、もう一度徹底的に調べてもらつて、どういうふうにして、たれがどう言つたということも、今度の機会に報告してもらいたいと思います。
#11
○和田委員 きわめて賛成ですね。
#12
○竹内委員 この問題は憲法上における天皇陛下の御位地と、その前途ということについて將來非常にお考えにならなければならぬ問題でありますが新憲法上における天皇の御位地というものが現在のようにきまつた以上、天皇のメツセージというようなものは、外務省並びに外務委員会等において愼重に審議されて、そうしてこれが声明はなさるべきが当然じやないかと考えております。その取扱いもなく、ちようどこの前の第一回の條約御審議のときの外務省のやり方とちよつと似たようなお取扱いが、この天皇のメツセージに対してあつたんではないかと私は考えるのであります。この点特に將來もあることでありまして、よく外務当局においても御注意なさつてということは、お取扱いの上に御研究の必要があるのではないかと思います。
#13
○幣原委員 私は先刻の外務次官の説明で満足しております。これは常識で判断するべきで、あの新聞でメツセージとして記事を読んでみますと、メツセージというから、何か書いた書類の声明書のようなものをお渡しになつたようにお考えになるのですが、それは間違いで、あれは口頭でお話になつたと書いてあります。二人の友達があつて、よろしく申しておいてくれというのも一つのメツセージで、それを公式の意味を付する必要はないと思います。そうして今の英文の通信の文句を読んでみますと、何もむずかしいことではない、ただメツセージということを、英語そのままに日本に傳えたために、声明書のような書きつけをお渡しになつたと見るから間違つたのだと思います。メツセージというのは間違いだと思います。重要性があるとは思いません。
#14
○近藤政務次官 なおただいま竹内委員から御発言がありました通り、外務委員会が國政運営上、ことに対外関係の上におきまして重要な機関であるということにつきましては、政府も十分同感でございますので、考慮を拂つてまいりたいと思います。
#15
○和田委員 私は民自党の立場、あるいはいろいろ考えて、必ずしもこれ以上発言すまいと思いましたけれども、幣原さんがそういう発言をされるならば、私は幣原さんにもう一回考えてもらわなければなりません。つまりかくのごとき重大な発言を天皇がしていいものかどうか、それを考えなければなりません。自分の意見を、しかも重要な外交上の意見を今日述べる地位に天皇があるかどうか、私もあなたの言う常識をもつているのでありまして、書いたメツセージとして渡したと決して言つていない、書いたメツセージを渡したとすればたいへんな問題だ、場合によつては天皇に退位を要求しなければならないような重要な事態だと思います。しかしたとえ軽口にせよ、天皇がそういう外交上の重要な発言をすべきではないというのがわれわれの主張です。その点を認識されずに、他人を非常識呼ばわりするに至つては、われわれ非常に憤慨にたえません。野坂さんの発言もありますから、もう一度本当に天皇陛下に当つて、あるいはそれがあなた方いやだつたら、天皇陛下の周囲にいる人々に当つてはつきりした眞相を明確に報告すべきであると考えます。
#16
○生越委員長 ほかに御質疑はありませんか。
    ―――――――――――――
#17
○生越委員長 ないようですから、次に中國における諸問題について、政府委員より御説明を願います。
#18
○大野(勝巳)政府委員 中共の將來に関しましては、日本が現に置かれている立場にかんがみまして、この席で論議をすることができませんことを、はなはだ遺憾に存じますが、さよう御了承願います。
#19
○和田委員 この席で論議をすることができないなら、他に適当の措置はありますね。その点はどうお考えになりますか。
#20
○大野(勝巳)政府委員 祕密会ということでありまするならば、具体的に中共の諸問題について、問題をコンクリートにあげていただきますれば、その問題に対しましては、そういう席でお答え申し上げましてもよろしうございます。
#21
○野坂委員 今の問題につきまして、個々の委員会の議事の運営とか、性格についての根本問題になつてくると思います。ここに來て、何か新聞に書いているような、ああいうことをまた政府から聞きに來たんではないと思います。この際問題についてはともかくも、われわれにはニユースは非常に限られている。しかし政府側にはわれわれの手に入らないものをお持ちになつている。それを基礎にしてわれわれにもう少し國際状勢について廣い、正確なニユースを與えてもらわなければ、われわれは正確な判断ができません、この意味において、たとえば中共側のコンクリートなフアースト・ハンドのものを提供していただきたいと言つたのであります。今の政府側の御意見では、例の通りに、國会の答弁と同じように、とにかく何でも國際問題だから知らせることはできないという態度ならば、私はこの委員会をつくつたところで大した意味はないと思います。そういう問題について、そういうお考えでは……。
#22
○生越委員長 お諮りいたします。今政府に申し出ております講和会議とか、あるいは中共問題というものは、具体的にこういう点について聞くということが出ないで、大ざつぱに出ておりますので、政府といたしましても、これに対して答弁をすることが困難だというふうに見受けられるのであります。そこで並木委員よりいろいろのこれに対する緊急質疑を、要点をあげて参つておりますから、これを順次御質問するという方法をとつたらどうかと思いますが、いずれ諸君において……。
#23
○野坂委員 私それは賛成ですが、その前に先ほど大野政府委員の方から、つまり中共のこういう問題については――ここではどう申されましたか、何も言うことはできないという態度をおとりになつた、その問題だと思いますがね。そうすればコンクリートの問題であれば、何でもお答えになれるかどうか。
#24
○生越委員長 それは今大野総務局長が言われるような、具体的な問題がここに出ておれば、それに対して答えるということでありますから、一應質問をして、それで祕密にわたる問題があつたら、そのときにまた考えたらどうかと思うんですが……。
#25
○大野(勝巳)政府委員 ただいま野坂さんのお話でございましたけれども、委員長から補足されましたので、私どもの眞意といいますか、御答弁申し上げました氣持を御了解願つたと思いますが、別に私どもはこの委員会で何も述べるわけにはいかないとか、國際情勢に関しては祕密だから述べられないというような、從來の官僚の立場を固持しているわけではないのでありまして、ことに中共問題につきましては、野坂さんのごとき日本における最高権威の一人がおられるんですから、われわれは相当そういう意味におきまして、問題によりましては公にならない方がいいという問題もあるでありましようし、あるいは通り一ぺんのお答えもこういう公開の席ではできない問題もありますので、具体的にどういう問題がどう、ああいう問題はどうとおつしやつていただければ、その問題について、今日本の置かれている國際環境から見まして、さしつかえないと思われるものにつきましては、これは喜んでお答えもできることと思いますし、また野坂さんとか、和田さんからの御意見も承つて、一緒に勉強していく、そういう立場をとつておりますので、誤解なさらないように、特にお願い申し上げておきます。
#26
○生越委員長 先ほど申し上げましたように、並木委員の御質問を許すことに御賛成願います。
#27
○並木委員 それでは質問の方よりごく簡單に申し上げますが、お答えの方は、なるべく詳しくお願いしたいと思います。外務大臣にお願いしたかつたんですが、御病氣とあれば仕方がありませんが、ただ私前もつて大体その要点だけは御通告いたしておきましたので、政務次官、政府委員の方が、必要な点は外務大臣と御連絡があつたと思いますから、その線に沿つてお願いします。
 第一は終戰処理費についてであります。非常にむずかしい問題でありますから、どうのこうのということはもちろんできない性質のものでありますが、処理費の日本の財政に及ぼす影響は相当大きなものでありまして、政府としての根本的の見通し、どんなふうになつているだろうということがおわかりでありましたらお願いします。
#28
○森永政府委員 ただいまの御質問でありますが、問題は司令部のいろんな計画に直接関係した問題でございまして、私どもの方としても、的確な見通しを立てることはできないのでございますが、ごく最近の情勢から判断しますと、新しい建設その他はだんだん減少して参りまして、どちらかといえば、人的経費といつたものがだんだん多くなつているようでございます。從つて今後新しい建設はないにいたしましても、現在進めている維持、補修等の割合が相当多くございますので、これがさらに減少することはあまり見受けられないような状態ではないかと、大体そのように見ております。
#29
○並木委員 もちろんこれは非常にむずかしいお願いではあると思いますが、連合國の方に対して、できるだけ費用を節約していただきたいというように、政府として今までお願いをされたことがあるでしようかどうか。ぜひそのお願いは私たちとしてもしていただきたいと考えております。
#30
○森永政府委員 予算編成の都度非常に大きな問題となつておりまして、われわれ政府としては日本の現状をお話し申し上げまして、從來もしていただいております。また政府といたしましても、十分その点はいろいろ援助その他のことも考えていただいておるというように承知しております。なお今後におきましても、日本の國力の現状から十分先方に対しまして了解を深めるように、努力をしなければならないと存じております。
#31
○並木委員 終戰処理費によつて建設された施設のようなもの、あるいは將來不用になつたものは、どういうふうに処理されて行きますか。
#32
○森永政府委員 ただいまのところその問題につきましては、ここではつきりお答え申し上げることができないことを非常に遺憾に存じます。
#33
○並木委員 次に第五の問題に移ります。これはもちろん仮の呼称でございますが、かりにアジア・マーシヤル・プランといつたものも新聞に出ておりますが、こういうものに対して外務大臣、政府としてはどういうふうに考えておりますか、御所見を伺いたいと思います。
#34
○大野(勝巳)政府委員 並木さんの御質問にお答えいたします。マーシヤル・プランというのは、御存知のようにただいまのところヨーロツパ、特に実際上西ヨーロツパを主眼とした包括的な計画経済的な、ないしは開発を目的とした計画であるわけであります。從つてこういう根本趣旨にのつとつた援助計画がアジアにもそのまま適用されるかどうかということになりますと、状況はヨーロツパの方とアジアの方と大分違うわけでありまして、そのままはとうていただいまのところでは準用できないというふうに、われわれは考えておる次第でございます。申すまでもなくアジアにおきましては、ことに最近におきましては、政治的な不安定というものが随所に残つておるのでありますし、またアジア諸國の植民地的な性格がまだ完全に拂拭され切つていないというわけでありまして、こうした要因がヨーロツパの場合と非常に違つております。從つて米國が力を入れておりますところの、世界経済における不均衡な個所をなるべく直して、世界経済全体として均衡を得しめて行く、そういういき方から見ますと、アジアに対しましても、ヨーロツパに関する面に比べまして、決してマーシヤル・プラン的なものの必要の度合いが少いわけではなくて、非常に多いというふうに考えますが、今申し上げましたような客観的な情勢から申しまして、ヨーロツパに適用されておりますような、ああいう行き方でそのままアジアに適用されるかどうかと申しますと、これはただいまのところ疑問なきを得ない、かように考えます。從つて今の情勢から判断しますと、やはりアジア各國に対しましては包括的な一つの経済計画というものはなくて、個々の地域別に、その地域の特殊事情とよくにらみ合せまして、機動的に援助のできるような、そういう趣旨の援助計画というものがここにできる可能性はあると思いますが、ただこの際注意すべき問題が一つあります。それは國際連合の社会経済理事会の所管下にあるのでありますが、アジア極東経済委員会というものが結成されておりまして、これがすでに回を重ねること三回に及んで、現在はオーストラリアのラツプストーンにおきまして会議を十一月の末から開催中であります。これは前会の会議が本年の初夏のころにインドのオータカムンドにおいて開催されまして、この会議におきましてアジアの開発問題に関連して、廣汎な研究課題が取上げられております。ただいま濠州でやつております会議におきましては、オータカムンドにおける会議の引続きをいたしまして、その具体化への努力をしきりにやつているわけであります。われわれはこのアジア極東経済委員会の事業の発展いかんという点に対しまして、多大の注意をもつてただいま推移を見守つておるような状況でございます。
#35
○並木委員 ありがとうございました。外務大臣または外務省として、連合軍との間で、この点について何か今までお話合いをされたことがありますか。
#36
○大野(勝巳)政府委員 その問題に関しましては、日本は御存知のような國際環境に置かれておりますので、求められるならば、むろんこれに対してあらん限りの力を盡して協力するにやぶさかではないのでありますが、公式に連合軍側からこうしろああしろということに関しましては、今日までのところありません。但しこの問題に関する資料であるとか、これに関連した所見等につきましては、われわれが研究する過程におきまして、随時先方からいただいて來ております。
#37
○並木委員 次に移りますが、オリンピツタ参加の問題についてお尋ねいたします。これはもちろんアメリカのオリンピツク委員会でやることでございますが、非常に次のオリンピツク大会に参加の可能性が出てきたというふうに看取されますので、ただ民間にまかせず、この際政府としては積極的に、やはり民間の方で準備ができ、オリンピツクへ参加できるような態勢、または必要なれば予算的措置、こういうことを將來講ずることが好ましいのではないか。こういうふうに考えるのでありますが、現在政府としてどういうふうな準備をされておりますか、お尋ねいたします。
#38
○近藤政務次官 オリンピツクにわが國が参加を許されるかどうかということは、マツカーサー元帥とオリンピツク委員会との意思によるものと考えられるわけでございますが、オリンピツク大会出場の各代表は政府の代表ではないから、オリンピツク参加の問題は講和條約締結の時期とは必ずしも関係がなく、連合國の対日管理政策がこの方面に緩和されるかどうかにかかるところが多いと思つております。マツカーサー元帥は六日APの通信員に対しまして、日本のオリンピツク参加を実現されるような國際状勢にすることを希望する旨を語つておられます。要するにわが國の民主化が進行しまして、オリンピツクに参加するにふさわしい平和愛好國民としての実を世界の輿論によつて認められることが、わが國の大会参加を促進するものであろうと考えますので、そういう面に向つて極力政府としては努力をいたしたいと思つております。
#39
○並木委員 マツカーサー元帥の御承認を得る必要があるわけでありますが、その御承認の手続は、結局政府がやつて行かなければならぬものだと考えるのでありますが、民間の方のそういう組織から直接やるものでしようか、実際問題としてどうなつておりますか、お尋ねいたします。
#40
○大野(勝巳)政府委員 はなはだ先のことではありますので、手続のことは予断は許されないのでありますが、われわれが判断し得る限度においてお答えいたしまするならば、オリンピツクのことに関しましては、日本に最初にオリンピツク委員会というものが存在し、かつそれが世界的に公認されることがまず先決條件であると、かように考えるのであります。日本にもむろん永井松三さんなどが会長になつて、委員会的なものがあると承知いたしておりますが、万國委員会において承認されるかどうか、もしもそれが承認されるようになると、おそらく万國オリンピツク委員会の方から日本のオリンピツク委員会の方へ、公式か非公式にか連絡があるものと考えるのでありまして、その場合においてマツカーサー元帥の方に連絡があるか、あるいは日本側で連絡を受けたのをマツカーサー元帥の方へお傳えして、さらに海外に出かけて行くことについて、ないしはこの競技に参加することに正式に許可を求めるという手続になるのではないか、これは冐頭に申上げましたように予測ではありまするが、そういう手続になるのではないかと思います。
#41
○並木委員 いかがでしよう、オリンピツクの準備委員会、促進委員会というものを設置する御意思はございませんか。
#42
○大野(勝巳)政府委員 政府といたしましては、まだはつきりそういう政策をきめたことはないのでありますが、ただいま政務次官からお答えになりましたように、マツカーサー元帥の言われた言葉等にもかんがみまして、そういう状勢が刻々好轉してくることは、はなはだけつこうなことでありますから、情勢によりまして、ただいま並木委員の御示唆になられた点につきまして、喜んでいろいろの措置をとるにやぶさかでないとかように考えております。
#43
○並木委員 次に第四の質問といたしまして、中共地区等の引揚げについてお尋ねいたします。その前に、ごく最近シベリア方面からの引揚げは中止のやむなきに至つたということが報ぜられておりますが、政府としてこの点的確な情報を私どもにお知らせ願いたいと思います。
#44
○近藤政府委員 ソ連地区の引揚げが中止になりましたについては、冬期であるがために引揚げが行えないという以外の理由はないのであります。政府といたしましては、いろいろの点につきまして十分努力を続けて、この冬の引揚げが続行されますようにということにつきましては、骨を折つて参つたのでございますが、遂に中止のやむなきに至りましたことを、まことに心痛いたしておる次第でございます。
#45
○並木委員 引揚げの費用について、日本側で負担すべきであるというようなことが傳えられておりましたが、今日ただいままでにその点に関する情報がおわかりでありましたら、お知らせを願いたい。
#46
○倭島政府委員 今の費用の問題でありますが、具体的にはその費用の問題はすでに御発表がありましたが、ソ連の方から司令部に対して、引揚げ費用を日本側から拂う問題について協議をしたいという申出があつた模様でありまして、それ以上のことはその後われわれとしては承知しておりません。今度の引揚げ中止の際におきましても、ソ連から司令部の方への通告の中には、何らその問題には言及されておらない。それからもう一つ訂正しておきますが、今度の引揚げがとまります際に、司令部の方から発表がありましたが、昨年の引揚げのとまつたときの事情としては、氣候の問題と結氷するから引揚げは続行できないということがあつたので、司令部の方としては、結氷の困難があるならば、碎氷船を持つて行くようにとりはからつてもよろしい、それから寒いということから引揚げに困難を生ずるということがあつてはいかんから、冬用の諸施設を施した船を持つて迎えに行つてもよろしいという申出があつたように発表されておりますが、今度ソ連から引揚げを中止するということを通知して來た書面の中には、司令部からのその申出の問題は言及されておらぬ模様であります。ただ天候と結氷の関係から來年航行が可能になる時期まで延期するというふうに來た模様であります。從つて費用の問題も、それから碎氷船等の問題も、何ら言及されておらぬと承知しております。
#47
○並木委員 中共地区からの引揚げに対しまして、外務大臣、政務次官、それから外務省として――就任してから非常に日が短かいですが、どういうふうな具体的の御努力を拂われましたか、お伺いします。
#48
○近藤政府委員 中共地区、特に満州にはまだ六万余の邦人が残留しておりますので、その状態についてはまことに心配しておる次第でございますが、政府としては残留邦人の実状調査及び引揚船には重大な関心を持つて、GHQに対しましても、再三その引揚げ促進方を懇請しておりますが、まだ所期の目的を遂げることができないのでございます。まことにこの点遺憾に存ずるのでありますが、中共地区の引揚げ促進の困難であるという理由は、御承知でもございましようが、終戰以來満州が國共内戰の戰場であつたことと、中共地区の邦人引揚げ促進に対する交渉の相手がないという、この二つがあげられるのでございます。ソ連といたしましては、中共とは何の関係もないと申しますし、日本政府としましては、GHQといたしましては、交渉の相手のない問題なので、まことに困難を感じておる次第でございます。現在まで少しずつ瀋陽まで脱出して來た者がございますが、これらは日共連絡所初め、在瀋陽米領事のあつせんによつて、胡芦島経由で引揚げており、また七月六日に舞鶴入港の宗谷丸で三百五十一名が引揚げて参つておるのであります。政府といたしましてはこのような困難な事情の下にも、今後ともGHQはもちろん、中國政府または赤十字國際委員会などに対し、あらゆる機会をつかんで引揚げ促進のために努力方を懇請し、組織的に大量引揚げが一日一刻も早く行われるように努力してみたいと思います。またラジオとか新聞などを通じまして、現地の情報を適時に傳えて、國内の輿論を大いに喚起したいとも考えております。
#49
○並木委員 むずかしい問題であることは了解できますが、つきましてはこれは私が直接見たり聞たりしたことではございませんので、もとよりわからないんでございますが、特に中共地区の事情に対して御理解の深い方を派遣して、向うの方と交渉願つたらどうだということを間接的に私聞いたんでございます。たとえばその場合に、もしも飛行機が準備されれば行けるんじやないかということを聞きましたが、特に中共地区に対してそういう方を派遣したらば適当であろう。それについて派遣ができるような方法が見出せないものかどうかというような点、政府として何か実際にお当りになつたことがございませんでしようか。
#50
○倭島政府委員 今のたれか適当な連絡をつける方法はないかという問題につきましては、帰つて來られた人々からの意見もございますし、われわれ政府といたしましてもいろいろ考えたのでありますが、その点につきましても、結局司令部の了解なり援助なりというものが得られなければどうにもならないという現状でございますので、その連絡方法を何とかこちらから積極的に向うへつける方法はないかということは、從來一再ならず相談をしております。はなはだ私その点遺憾ながら、現在までのところ連絡の方法を、こういうような方法ならできるという具体的な解決方法がありませんので、直接日本から人を派遣して何らかの連絡をするということは、まだ実現し得ない状況にあります。
#51
○並木委員 たとえば飛行機なんかお願いするのは絶対だめなものですか。
#52
○倭島政府委員 GHQと、それから向うの方との関係がなかなかつかず、連絡しにくいのではないかと思います。從來そういう問題も含めて、いろいろ話を持ちかけて見たんでありますが、現在までのところはどうにもできない状態であります。
#53
○並木委員 次に第五の、講和條約を控えての外資導入についてお尋ねいたします。外資を導入するために何か為替レートの関係、その他國内的の事情以外の原因による日本の通貨に対する措置、封鎖的措置とかいろいろありますが、そういつたことを何か政府として考えておられるかどうか、この点を御質問いたします。
#54
○森永政府委員 日本の復興あるいは安定のために、外國よりの政府へ援助だけでなく、民間への外資の導入も非常に歓迎せられ、また期待せられておるということは、申し上げるまでもないことだと思います。私はこれは單なる通貨措置だけではだめで、経済の実態が改善され、安定してくるということでなければならないと思います。從いまして外資導入に関連して通貨措置を今特別に行うということは、考えられていない次第でございまして、むしろ経済の実態の改善、各般にわたつての施策による努力が拂われておるわけでございます。
#55
○並木委員 要するに今までの片山内閣にしても、芦田内閣にしても、通貨の措置はやらないとはつきり言明して來たわけであります。今度の本会議における質疑應答の中に、何かこういうはつきりしたものがあるのかと思つて聞いておりましたが、私の聞いた限りでは、特にそういうことは表明されておらなかつたと思います。問題は為替の方からくるほんとうの意味の平貨切下げとか、そういう意味における通貨の何らかの措置が行われはしないかという懸念と申しますか、絶対にそういう方面からやらぬという意味でしようか。
#56
○森永政府委員 遠い將來は今ここで断言できませんが、現在の段階におきましては、考えられておりません。なおただいまお話のありました政府の方針ですが、先般安定本部総務長官が行いました演説の中にも、このことははつきり明言しておつたと記憶しております。
#57
○並木委員 同じくそれに関連しまして、先般外務大臣は、鉄道とか通信、電話などの事業は、どうしても民有民営に移していかなければならない。こういうふうにしてやつて、それに外資の導入を載せて行きたい、こういうような御答弁があつたんです。何の新聞でしたか、今日マツカーサー元帥にお会いして、電氣とか鉄道などの民営移管について話をされたのではないかという記事を見たことがあります。外務大臣あるいは外務省として、具体的にこれを民営に移すということについて、連合國司令部の方と何か話合いをされましたでしようか、お伺いいたします。
#58
○森永政府委員 外資導入の対象となる事業につきまして、事業の性質から考えまして、こういうものが最もいいとかいうことは判断ができるわけだろうと思います。單純にそういつた観点から考えました場合に、あるいは鉄道、電氣、通信事業等も考えられるかもしれません。しかし一方國内的に考えますと、これらの事業は非常に公益的な事業として、公共性に非常な重点が置かれている次第でございまして、今ただちにこれを民営に移して外資導入をするというようなことは、政府といたしましては目下のところは考えられていないと存じます。資源の関係等で話が出ましたかどうか、私つまびらかにしません。正式なものとしてはおそらくそういう話は起つていないと判断いたします。
#59
○並木委員 そうしますと、その点少し外務大臣と違うようにも感じるんですが、この際外務大臣は、ああいう自分の感じか氣分で御答弁されるんでしようか、外務大臣があれだけのことを言われたということは、私ども非常に大きな関心をもつて承りました。当然安本その他関係筋と十分の連絡がついておると思つて聞いていたんですが、ただいまのお話ですと、政府としては全然そういう計画がないというようなことだつたんですか、実際どうなんでしようか。
#60
○森永政府委員 政府の取上げた問題としては、正式には問題になつておりません。また具体的にそういう話があるようにも実は私どもとしては承知しておりません。
#61
○並木委員 その点はいずれ外務大臣が出席のときにお伺いいたしますが、一つ外務大臣にも御連絡を願いたいと思います。次に同じ外資導入に附帶する問題ですが、外資導入法とかりに呼ぶ法律、あるいは措置といつたものは十分すでに準備されておるのではないかと思います。現在の段階ではどうなつておりますか。
#62
○森永政府委員 外資導入のためには、先ほども申上げましたように、國内の経済上の実態の安定がまず根本の前提であると思いまして、そのためにいろんな努力が拂われておるわけでございます。そのほかに外資を導入するにつきまして、いろいろな制度の上の障害といつたようなものもないではないのございます。たとえば独占禁止法の問題であるとか、内外人の無差別待遇の問題を貫徹するためのいろいろな制度の改正とか、そういつた問題があろうかと存じますが、何といつても根本は経済の実態の改善でございまして、現在の段階では、そういつた障害を一本の法律にまとめまして、外資導入法というものを制定するような段階にはまだ参つておりません。今後経済の実態の改善という方に全力をあげて努力すべきではないかと考えております。
#63
○並木委員 とにかく外資の導入は焦眉の急だということはお認めになつておると思います。ただいまのお話ですと、現実の要求に沿はないのではないかと思います。先般外務大臣がこの点にも触れられて、暫定的なとりきめ、包括的なとりきめでなくても、個々の場合のとりきめ、そういうものも準備中だとおつしやつたと思つている。そういうものを総合しますと、それは一つの外資導入に対する受入れの措置、あるいは法律にする必要があれば法律になつてくると思うのでありますが、これはぜひやる必要があると思います。ただ國内の態勢ばかり整えることに氣をとられずに、安本としても外務省関係としても、当然これに着手する御用意があると思いますが。
#64
○森永政府委員 外資導入はもとより非常に歓迎するところでございまして、それに対して個々の制度につきまして、もしもかりに障害があるとすれば、これは一本の法律にまとめるばかりでなく、除却に努めなければならぬことはもちろんでございます。そういつた意見で、個々の制度につきまして檢討は行つておりますが、これを一本の法律にまとめまして、外資導入法というようなものをつくつたからといつて、すぐに外資が入つて來るというわけではなくて、根本はやはり経済の実態の改善である、それに大いに努力しなければならない。そういう趣旨で設けるので、制度に改善すべきものがあれば、もちろん一本にまとめるばかりでなく、すみやかにそれを改正して行かなければならないと、さように思います。
#65
○並木委員 外資というものは電氣、あるいは大きな会社組織、そういつた民間の事業を対象として多く論ぜられておるように思われますが、日本の主要事業である農業、あるいは中小企業、また協同組合組織というものを非常に奬励されて、今日まで協同組合というものも普及されつつありますけれども、こういうものに対する外資の導入の見通しについてお伺いいたします。
#66
○森永政府委員 外資の導入につきましてはいろいろ話もございますが、どういうものに最も外資が見込まれるかということについては、現在のところそれほど具体化しておりません。お尋ねの農業について、どういう見込みかということですが、農業につきましても、農業技術の改善とかいつたような意味等におきまして期待するところはあるわけですけれども、目下のところはまだ何にも話がありませんので、將來の見通しはちよつと困難かと思います。
#67
○並木委員 そうしますと私の希望といたしまして、計画を進めて行く途上において、やはり農業とか、中小企業とかいうような利子を生まない。不安定であるから外資の導入がなされないという部面に対しては、やはりある程度政府が計画経済を進めて、そうしてプール制のような観念から、片方の利潤を保証するといつたような点で、不公平のないような導入の適用方を希望いたします。
 最後に第六の問題といたしまして、資格審査のことでございますが、この間政治方面の資格審査がございましたが、政府において近くこれを改訂するというようなことを発表になつておられますが、こういうものは日本の政府だけでやれるものか、当然向うの許可がいるものと思いますが、その点まずお伺いします。
#68
○大野(勝巳)政府委員 ただいまの御質問でございますが、これは一つ総理大臣にお伺いしましてからお答えいたしたいと思います。はなはだ恐縮でございますが……。
#69
○並木委員 それではもしここでお答えできなければ、この点も一つ申しにくいのですが、こういうことを言つていいかどうか、要するに追放に該当された方で、実際今度資格審査が再開されたとき、たとえば若い方で、たまたま國の命令なり、組織によつて追放に該当された、しかしほんとうにその人が民主的に立ち直つて、新しい民主的な平和國家に貢献しようということが立証された場合に、そういう者に対する再審査をどんなふうに政府としてはお考えになつているか、あわせてお伺いしたいと思います。
#70
○生越委員長 政府委員の方に申し上げます。今の問題はただ外務委員会の問題だけでなく、他の問題もありますから、総理大臣とよく打合せをされて御答弁をされたらどうかと思います。ちよつとお諮りいたします。今まで並木委員が質問されました問題に対しまして、まだ馬場委員その他からいろいろの質疑の通告があるんですが、前々より多賀委員より、在伯同胞に関する質疑が出ておりまして、はなはだかつてではありますが、発言をお許しいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
#71
○生越委員長 御異議なしと認めまして、多賀委員に発言を許します。
#72
○多賀委員 在伯、ブラジルにおる日本人の問題につきましては、すでに昨年の九月二十一日の当委員会において一度お尋ねいたしましたが、実は安心しておつたのであります。その内容につきましては前会申し上げましたので、簡單にブラジルのサンパウロ市の中央警察部保安課長アルフレツド・アツシス警視の報告書によつてこれを要約いたしますと、今次戰爭において日本の降伏せる八月十五日を境として、超國家主義的狂信的一部の日本人は、当國に居住する同國人、日本人間に、日本人は勝つたという誤れる観念を流布せり。かかる観念は何ら根拠あるものにあらざりしも、日本人の狂信的性格に適合せるものか、たちまち廣く傳播せられ、彼らの居住する限り、僻遠の地といえども通達せざるなく、多数の奉信者を獲得するに至れり。かくのごとき状況のもと、当サンパウロ市に一祕密結社が結成せられ、戰勝を信ずる同國人を結集して神道連盟と呼称したり。問題はこの神道連盟が、日本はほんとうに負けたのであるという、いわゆる戰爭に負けたという認識派の日本人を、血を血で洗うように、次から次へ主として指導者を殺してしまつたのであります。この問題につきましては、在伯二十三万に余る日本人に直接つながつており、日本のこれらの肉身の人々が非常に心配をいたしまして、われわれブラジルに関係を持つた者のところに頻々として問合せがあるのでございます。先ほど申し上げましたように安心をいたしておつたのでありますが、その後ちよいちよい地方の新聞等で、多少氣にかかるような新聞記事も見受けられたこともありましたが、とにかくその後は小康を得て、次第に平靜に帰しつつあるものと、希望的観測も手傳つて大した心配もいたしていなかつたんであります。ところが去る九月の四日付のブラジルの新聞に、たとえば見出しを御紹介しますと「困つた話、北パラナに特攻隊、まるでランペオン氣取り」とあつて、英雄氣取りでおつたのを、劍銃を見つけられて、日本人をさらに暗殺して歩こうという計画が発覚したという状況であります。さらに最近私のところに、十月五日付の通信でブラジルの指導的立場におる三宅壽一という人から、このような神道連盟のまつたく氣違いじみた報道が行われておるために、ブラジルにおる二十万の同胞は、町を歩くのにも戰々兢兢として、実際日本が負けたという現実の上に立つて在伯同胞の今後のいろいろの計画を立てて行かなければならないのに、それを実践して行くことは、これらの背中に日の丸をつけた特攻隊員によつて非常に危險な状態にさらされるというので、日常満足な活動もできない状況で非常に悩んでおるということを、十月五日付の私信で私によこしておるのであります。最近ブラジルの新聞を見ますと、たとえばジユリオ・デ・サンパウロ新聞の報道で、日本移民を禁止せよ、評判の神道連盟のものすごい狂信ぶりは、一九三四年の法規をもつて日本移民に制限を加えろ。一九三四年の移民制限というものは、從來日本から二万人ずつ入つておつた、それの二分制限、四百人しか入れないという制限をやつたのでありますが、この日本人を入れないという制限をするということの措置は決して誤つていなかつた。これら日本人の意図はいかに有害であり、いかに非ブラジル的であるかを、來るべき市議会にわれわれはこれらを指摘せんとする。ブラジルの憲法において日本人の移民の入國を禁止しようというような意見さえ、この新聞では社説で論じておるのであります。さらにエスタードという新聞には、この神道連盟を呼称して、これら危險分子をわれわれの世界からなくなしてしまう権利を規定し得るものはたれもおらぬのだろう。われらは日本人に入つてもらつて労力を提供してもらうことは言うまでもないが、無差別な移民によつて外國から、狂信、暴力、残忍、非社会、非人道の輩が流入して來るに及んでは、遠からずしてこの國は統治すべからざる國家に陷つてしまうだろうということを言つておるのであります。このような事態に処して、外務当局におきましてはいかなる対策を現在実践しつつあられるか、私の見解によれば、向うの方からもそういうことを要求して來ておるのでありますが、たとえばスポーツでブラジルに行つていたなじみのある人、あるいは経済的にいろいろそれぞれの顏なじみの深い人が向うえ行つて、直接日本はこういう状態であるということを傳えるよりほかに手がないであろう。なるほど新聞やら映画やら、いろいろ御努力のあとは見られるのでありますが、皆途中でアメリカですべてとりかえられて、謀略的なものが入つて來ている、日本の家族から送る通信さえも、皆アメリカの謀略的な意図によつてわれわれのところにこういうものをよこしているんだと、これさえも彼らは信用しないというのですから、生きた、しかも顏なじみの人間が向うに実際に行つて状況を説くよりほかに、しようがないと思います。これにはいろいろの現在の日本の立場から制約はありますが、このような方法を考えておられるかどうかということについても、一應御見解を承つておきたいと思います。私は重ねて御質問しませんから、これらの問題について現在の状態、これに対する当局の対策、これらについて御説明を願いたいと思います。
#73
○倭島政府委員 今御質問のありましたいわゆる神道連盟というものにつきましては、政府としましても何とか実情を認識してもらうようにしたいというわけで、從來もいろいろ努力して來たわけであります。今お話になりましたように、終戰当初在留同胞は、大体日本が負けるはずはないという氣持から、今お話になりましたような神道連盟関係の人たちの相当強硬な指導、宣傳等もあつただろうと思いますが、七、八割の在留同胞はそういう氣持であつた。その後われわれの得ております情報によりますと、だんだんと事態を認識するに至つて來た。政府といたしましては占領下にあります関係から、一時海外との通信も禁止せられておりましたし、その後開かれたのを利用しまして、いろいろ手を打つて來たわけであります。たとえばその最初の通信が開かれなかつた当時におきましては、これはスエーデンが利益代表國をしておりましたので、そのスエーデンの利益代表國を通じまして、現地の方へ敗戰の状況を明らかにするような関係文書を傳えてもらう。それからその後現地のブラジルにあります米國領事館というもののあつせんで、そういう報道をまた傳えた。あるいはその際に、敵のいろいろな作意によるとかいうようなこともあつたかもしれませんが、とにかく通信が禁ぜられておりました当時は、そういう処置をとつたわけであります。その後昭和二十一年の九月から、國際郵便が再開されるようになりましてからあとは、主として新聞その他書籍、映画というようなかつこうで、現在の実情はこうなつておるということを認識するようなものを送ることに努みておるのであります。なお刋行物その他によりましては、やはり信用を受けないという点もありますので、政府といたしましては、結局その近親の方からいろいろ通信をしてもらうに限るということで、移住組合連合会にいろいろ協力をしていただきまして、そうして一つは家族の方から通信をしていただく。その通信の状況を申しますと、最初通信が開けまして、一昨年の状況では、大体日本からブラジルへ参ります通信の状況が一箇月一千通台であつたわけでありますが、今申し上げました移住組合その他の協力を得まして、家族からどしどし通信をしていただくというその運動を起しまして、以來ずつと通信がふえて参りまして、今年の状況を申しますと、たとえば今私ここに十月までの統計を持つておりますが、一月から五月までは毎月三千七、八百通、四千近く行つておりまして、大体おととしの三倍近くになつております。それから六月ごろから四千台を越しまして、一箇月に四千四、五百通出ております。家族関係からはどしどし最近の状況を向うの方へ言つていただいております。從つて大部分の者といたしましては、日本の実情というものはわかつておるのではないかと思います。結局神道連盟の関係の人たちの氣持は、一種の宗教的なところにまで固まつておるということで、その人たちに対する直接の効果というものは、現在許されておりまするいろいろな方法を使いましても、なかなか困難だと存じております。なおその対案として、だれか從來関係のあつた方で、その方が向うへ行かれれば神道連盟の人たちもこれを信用し、言葉を信ずる、そういう人が行つたらいいじやないかというお話がございました。政府の方といたしましても、その問題は從來もいろいろ具体的に考えてみたことがございます。しかしながら現在の國外に行けます状況その他の関係からいたしまして、具体的にこれを実行に移すということについては、現在もなおいろいろ困難がございますので、今まで実現するに至らない。その海外に渡航し、そういう方面へ連絡をとるという状況についての困難がとれますれば、そういう問題を実行に移したいと思つておりますが、現在の状況としては、まだ困難な状況にあるという現状でございます。
#74
○多賀委員 ただいまできるだけのことはやつておる、こういうお話で、われわれもできるだけやつていただけることをさらに廣げていただくことに期待を持ちたいと思います。このことにつきましては、ブラジルの政府に対しても非常な御迷惑、御心配をかけておることでありますし、せつかく今まで在伯同胞がいろいろ好遇されて参つたことに対する信義を裏切ることにもなりますし、さらにまた向うにいる日本人が、先ほど申しますように非常に不安な状態に置かれており、これにつながつた日本の二十万以上の肉親の人たちが非常に心配しておることでありますので、この上ともできるだけの措置を講じていただきたいという希望を述べまして、私の質問はこれで終ります。
#75
○倭島政府委員 ちよつと先ほどの御説明で申し落しましたが、本件につきましては結局政府としていろいろな刊行物を送ることに努力しておりますが、その問題が結局予算にもひつかかつて來ますので、予算の関係などからまた関係筋の方へもいろいろ説明をし、了解を求めておる次第であります。そういう状況でございまして、先ほど御説明にありましたような最近の状況なども、さらに向うにもいろいろ傳えまして、現在のでき得る範囲において関係方面にもまた了解を求め、あるいは何か方法についても御相談したい、今後とも努力をするつもりでおります。
#76
○中村(嘉)委員 関連して一言申し上げます。今その問題については私にもしばしば手紙が來るのですが、非常に憂うべき状態であることは今の御説明の通りであります。同時にまた一面にはだんだん理解も深まつて、日本人を迎えたいという傾向のあることも事実であります。実は私に対しまして同胞の間から、あるやんごとなきお方と二人一緒に來てくれんかというようなふうのことも言つて來ておるのであります。経費とか何とかいうことは向うが拂つてくれるという申出があるのです。そういうような場合において、政府は何か手続をとつてくださることがあるかどうか、これをちよつとお伺いしたいと思います。
#77
○倭島政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、具体的に適当な方に現地への連絡を願いたいというような問題についても、從來も具体的に考えまして、できるならばこれを実行に移したいという案をもつて、いろいろ考えてみ、相談もしてみたのでありますが、現在の実情ではちよつと困難かと思います。しかしながらさらにその状況もまたいろいろ移つて行くわけでございますから、その状況の動き方と関連をして、また時期を見てそういう問題を考えるということもあるかと存じますが、現在のところは大体今申し上げたような次第であります。
#78
○生越委員長 先ほどの外資の問題についての質疑を続行いたします。馬場委員。
#79
○馬場委員 私は本日外務大臣の出席をお願いいたしまして、この前の質疑を続行いたしたいと、かように提案いたしたものでありまするが、本日は外務大臣が見えないで政府委員が御出席でありますから、二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。
 まず第一にその前提といたしましてお伺いいたしまするが、この前の委員会において、私は外務大臣はもつと適当な人をお選びになることが、総理大臣として肩が軽くなるだろう、こういうことを申し上げたのであります。その際に外務大臣としては、私が一番適任であると申されました。そのときにあまりの言葉に私も唖然として笑つてわかれましたが、今大野総務局長以下の外務省の人たちは、現在の事態において、吉田外務大臣をいただくことにおいて満足しておられるかどうか、これをお伺いしてから、その前提に立つて質問申し上げたいと思います。
#80
○生越委員長 馬場委員にお答えいたします。今の御質問は、政府の職員といたしては非常に困つておられるようでありますから、その程度で御返事を求められぬように願いたいのであります。
#81
○馬場委員 おそらくさようであろうと思つて申し上げたのでありますが、しかしながら今日非常時の日本を背負つて立つところの官吏の方々は、もう少しく自信をもつて立たれるということが、私たちの熱望するところであります。私たちは議会人といたしまして官吏の方々に熱望するものは、自信あるところの熱意をわれわれに表わしていただきたいということであります。
 以上によつてこれを打切り、続いてお尋ねいたしますが、この前の委員会のときに、外務大臣は私の尋ねましたことに対して、暫定講和協定というものを今話合つておる。こういうことでありまして、その後新聞その他によつて、日本の置かれている現在の立場において、最も國民の熱望するところの講和條約への一歩前進的過程において、暫定講和協定というものが云々されているということは、非常に明るい希望を與えたと私は確信しておるのであります。從つてこの構想がどういうような構想であるか、具体的なことはお願いいたしませんが、大体アウト・ラインはどういうものであり、しかしてこれに対して國民大衆は、どういうような心組みをもつて行つたらば將來の日本独立國家、あるいは完全な講和條約締結への前進であるかということを御説明願いたいと思います。
#82
○大野(勝巳)政府委員 馬場さんの御質問、きわめて適切な御質問でありまして、國民の聞かんと欲するところを聞かれたと思うのであります。過日來総理大臣におかれまして、ただいま馬場委員のおつしやつたような御趣旨の御説明がありました。そこで暫定講和ということでありますが、私どもの解釈しているところによりますと、別段これが暫定講和條約だといつて一册の條約書がありまして、それにサインするという趣旨のものでは必ずしもないのではないかと考えられるのでありまして、問題は、占領三年間を越えたのでありますが、その間に未解決のまま放つておきますと非常に不自然であり、また日本にも連合國側にも不便を生ずるという問題がすでにだんだん起つてきていることは御承知の通りであります。こういう問題につきましては、いろいろな形におきまして問題が事実上解決の緒についているか、あるいは近い將來において解決する望みもある。こういう状況に現在なつてきているような次第であります。從つてある時期から振り返つてみまして、こういう一つ一つの問題が、その問題の性質に從いまして自然固まつて参るということを全体として見た場合におきましては、これを事実上の講和と申しますか、あるいは暫定講和と申しますか、そういうふうに考えましてもさしつかえなかろうかと、かように考えるのでありまして、從つてそこには実はいろいろな問題があるのであります。具体的に一、二の例をここで申し上げまして、他は御賢察にまちたい、かように考えるのであります。
 過般この國会に対しまして日本の萬國郵便條約への加盟並びに世界電氣通信條約への加盟が連合國側によりまして許されまして、すでに加入書を連合國総司令部を経由いたしましてその事務所に送り届けつつあるような状態であります。かかる問題は、これはやはり事実上、こういうふうな國際協力の面においていつまでも日本をのけものにしておくということは相互に不便であるという観点から出発してきているものであると思うのであります。つまり交通であるとか通信であるとかという面におきましては、これはやはりいかなる戰敗國といえども、まだ主権を回復していない現状においても、これは協力してもらわなければならないし、またさせなければお互いにぐあいが惡い、こういう問題であろうと思うのであります。こういう問題はまただんだんほかの問題の方にも出て参る、かように考えるのであります。ただいま二つの問題だけを取上げましても、これはすでに既成事実になりつつある、かようなことであります。また通商経済の方面におきましては、これは馬場さん御承知の通りでありますが、米國が非常に力を入れて日本の経済復興ということを援助しているわけであります。この場合におきまして、日本の自力で経済ないし産業を復興して行くというような方向にだんだん導いて行くに違いないと思うのでありますが、それに関連しまして非常に興味がありますのは、今月六日、ワシントンにおける極東委員会において、マツカーサー司令部に対する指令として採択したと傳えられる一連の政策があるのであります。これは新聞紙の報道によりまして、先刻御承知のこととは存じまするが、そのおもなる点を申しますと、降伏後の対日基本政策と矛盾しない範囲におきまして、極東委員会の規定した日本の平和的需要と即應する水準まで日本の産業を上げて行かなければならない。ことに輸出を大いに増大して、國内の疾病及び社会不安を防止すると同時に、日本が國際市場への物資供給へ参加し得るようなふうに、だんだん指導して行かなければならないという大きな前提が掲げられ、かつ日本貿易の自由競爭を確保し、内外資本を問わず、独占的な統制を排除するように指導しなければならない。こういう指令が実は決定されたという報道があるのでありまして、これがもしこちらに参つておるといたしますれば、このラインに從つて徐々にこれらの問題が結実して行くものとわれわれは期待しておるわけであります。そしてこの目的に合致するために、いろいろな問題が出て來ておるのでありますが、先ほど來ここで御質問もありましたように、為替をどういうふうにきめるか。この指令によりますと、一本為替をできるだけ早期に決定すべしということが取上げられておるのでありますが、もし日本に一本為替をなるべく早期に決定すべしという命題が與えられますならば、それと必然的にうらはらをなしております、たとえば國際通貨基金であるとか、あるいは世界復興銀行であるとか、あるいは國際貿易憲章といつたようなものに、日本側といたしましても事実上だんだん加盟を許されるということでなければ、一本為替の早期決定と申しましても、これはなかなかむずかしかろうと思うのであります。もしこの一本為替の早期決定をほんとうに一生懸命に決定するということであれば、先ほど來森永政府委員からも御答弁がありましたように、國内における通貨措置の問題等も起つて來るわけでありまして、この点は並木委員がしきりに御心配になられた点でありますが、それと同時に國際為替市場におきましても、このリーパーカツシヨンが急激に來ないような措置を十分に講じなければならないのでありまして、そういう必要からいたしますと、一連のブレトン・ウツズ的な協定に事実上何らかの関係において関連を持たしていただくということでなければならないと思うのであります。そういうふうにだんだん考えて参りますと、自然この國際経済協力機関への事実上の関連というものを生じて來る、かように考えるのであります。またこの極東委員会の指令の中には、でき得る限り廣く貿易業者、あるいは銀行家であるとか、保險関係の人などを日本にたくさん自由に來てもらつて、そうして居住を許し、かつ自由に日本の業者との間に接触を保つようにしたい。こういう規定もあるのでありまして、こういう問題が一々出て参りますと、そこには通商條約上当然規定さるべきところの相互の國の商人の渡航の問題ということが具体化して参るわけであります。またこの指令の中には、連合國人で戰爭の前に日本に資産を持つておりまして、これに関連して日本にやつて來ることの必要な者に関しましては、なるべく早くまた自由に來られるようにする。こういうこともございますし、また占領軍の運ぶ占領政策のための貨物の運輸であるとか、ないしは賠償、掠奪物資の返還といつたようなことのために船舶が日本の港に入つて來る場合は例外でございますけれども、それ以外の普通の商業関係で船舶が入つて來ます場合には、連合軍司令官は日本の法令の定めるところによつて、これに港税を課し、その他諸がかり等を課することができるという規定も、この指令の中には見えておるのであります。そしてこれを貫く一連の思想は、國によつて差別待遇をしてはいけないということがあるのでありまして、これらの点は、われわれが通商條約等においてかねがね考えております最惠國待遇とか、あるいは各國無差別の原則といつたようなものと一脈通ずるものがあるのでありまして、根本精神においてはこれにもとるものではなかろうと思うのであります。こういう一連の事実がすでに極東委員会の指令の中にも見えているような次第であります。こういう問題が逐次これからどういう形で実現して参りますかは存じませんが、近き將來において一つ一つ具現化して参るといたしますならば、これらの問題を総体的に把握いたしまして、暫定講和といいますか、事実上の平和体制というものが漸次軌道に乘るということは、これは申せようと思うのであります。そういう意味かと御解釈願いたいのであります。
#83
○馬場委員 ただいま長々と御説明はいただきましたが、私のお尋ねいたしましたことは、われわれ國民の立場からどういうぐあいにしたらよいかということが基礎なんでありまして、連合國がこういう方針を持つているからという御説明は、われわれは十分了承しているのであります。從つてこの間吉田外務大臣が答弁されましたその言葉からいつて、今大野局長が言われたようなことが前提となつてああいう言葉が現われたものであるか。あるいは外務当局の知らざる間に、外務大臣がみずから何かやつておられて、ああいう言葉が出たのかということを、まずお答え願いたい。
#84
○大野(勝巳)政府委員 ただいまの点でありますが、外務大臣の考えておられる点と、事務当局の考えておる点とは、別にギヤツプがある次第ではありません。
#85
○馬場委員 外務大臣のこの間の御答弁は、今までのいわゆる万國郵便條約とか、その他既成の事実に立つてやつているというような感じをわれわれは受けませんでした。國民が今まで知らされた範囲内においての問題でなくして、少くとも講和條約を前提といたしまして、相当希望があるがごとき言辞を述べられたのであります。從つて私も満腔の敬意を表してこれを聞いて、そうして國民とともにこの眞相が奈辺にあるかを確かめたい。これが私の外務大臣に要望いたしました質問の一つであります。從つて今大野局長の言われたようなことが前提でああいう言葉が出たというならば、國民を瞞着するもはなはだしいと言わざるを得ないと思うのであります。この点御見解を伺います。
#86
○大野(勝巳)政府委員 外務大臣が述べられたことと、われわれの考えておることとは、事実上において私はギヤツプがないと考えるのでありますが、しかしながら外務大臣はまた別に、近き將來においてもつと馬場さんなどが御希望になつておられる点について何か考えておられるかもしれないのでありまして、その点は私からここでこれを推測して申し上げるわけには行かないのでありまして、御了承願いたいと思います。
#87
○馬場委員 では次官にお尋ねいたしますが、おそらく次官は外務大臣のかわりで御出席のことと思うのであります。從つて次官のお口から、はたして暫定講和協定という外務大臣の御説明は、眞相はどこにあるかということをお答え願いたいと思います。
#88
○近藤政府委員 講和條約に関しましては、総理大臣が本会議の席上、あるいはまた当委員会の席上においてしばしばお述べになつたのでございますが、それ以上につきましては、私といたしましてここでお答え申し上げるわけに参らないのでございます。
#89
○馬場委員 それはごむりと思いますが、それくらいの自信を持たずして何ゆえにこういう所へ出ておられるかとわれわれは遺憾に思います。少くとも政府委員がここに出られる以上は、確信をもつて出ていただきたいということが私たちの念願であります。お答えできないならば出られる必要はないと思う。私のお願いいたしましたことは、少くも國民に対して、暫定講和協定という字を使われたということにおいて國民に多大の希望を與えたということが、今大野局長の言われたような既成事実を前提にしてそういう言葉が出たというならば、國民を瞞着するもはなはだしい、こういうように言わざるを得ないのであります。從つて私はこの暫定講和協定という字が正しいかどうかは知りませんが、少くも國民大部分の要望する講和條約への一歩前進的な――この言葉がはたして具体的にどういうものであるか、そうして國民がこれに対してどういうような態度をとつて行くことが日本独立への最も早い道であるかということを國民が知りたいということにおいて、あくまでひとつその趣旨をお伺いしたい、かような意味においてお尋ねしておるのであります。
#90
○大野(勝巳)政府委員 馬場委員の御趣旨はよくわかつたのでありますが、私が今若干の事実をここに例示しましたのは、この事実についてこれ以外の事実も考えられ得るのであるからして、馬場委員も御賢察を願いたいということを特に申し添えたつもりでありますが、要はここでは空で何か言つてもしようがないのでありまして、言つてみればコンクリートの問題も、こういうものもあるということを示したにすぎないのでありまして、情勢の推移いかんによつてはどういうことになるかわからないのでありまして、これは望みがあるといえば私は十分あるとも思いますし、それはここで空で議論しても始まらない、要は國民がどういう態度で臨めばよいかということに盡きると思うのであります。これは簡單でありまして、要するに徹底的な民主化を実行して國際信用を高めるということ以外にはなかろうと思います。また先ほど政務次官からお答えになりましたように、外務大臣が前からしばしばその問題につきましてはかなり詳しいことを述べておるわけであります。いかに日本側でいろいろなことを考えましても、國際情勢によつて左右されることなのでありまして、これはこれ以上ここでどうというふうにお答えするわけには行かないのであります。ただ私はあくまでここで誤解を解いておきたいと思いますが、私が若干のコンクリートな事実をあげたことをもつて、それだけというふうにおつしやらないでいただきたい。これは若干の例を例示したということを冒頭に申し上げておるのであります。そういう問題に関連してどういうふうに動いて行くかということは、これはひとつ馬場さんの御賢察にまちたいと思います。
#91
○馬場委員 よくわかりまして、了承いたしますが、今あなたの言葉の中に、日本の講和條約への途は政治の民主化であり、國際信用の回復である、かように言われましたが、あなたが外務省に席を持つておられるということを前提としてお伺いいたしますが、はたして外務大臣が現在さような実力をもつておられるとあなたは思つて外務省の席を占めておられるのかどうか。私が最初にお伺いしたのはそれなのであります。國際信用をあなたが強調される。私も外務委員として、誠心誠意外國の信用を得られなければ、日本の再建は不可能なりという前提に立つておるのであります。從つてあなたと同じように、そういう場合に外務大臣は最適だということを言われたのだから、それで今日は外務大臣にゆつくりお伺いしようと思つておつたのですが、遺憾ながら見えないので、それで逆戰法になりましたが、あなた方がこういう外務大臣をいただいて、はたして國際信用を回復し得る見込みをもつて外務省に席を占めておられるかどうか、お伺いしたいのであります。
#92
○大野(勝巳)政府委員 どういう方が外務大臣になつて來られましても、事務当局といたしましては万全を盡しまして、國家民人のために努力いたしたい、努力すべきである。これは無限大の努力をわれわれは義務づけられており、心からその義務に從いたいと存じております。
#93
○馬場委員 それでは問題をかえますが、第一の問題は食糧輸入の問題であります。これはあるいは外務省の関係ではないと言われるかもしれませんが、國民の待望するものは食糧であり、その量が二合七勺に増配された今日において、問題は質の問題であると思う。從つてわれわれ議員といたしましては、國民の待望する量の方は一應二合七勺となりましたから、質をよくしよう。米主食の國民に米あるいは麦を與えるということが一應われわれの行く道だと思うのであります。そこで問題はビルマ及びシヤムの米でありますが、すでにビルマ及びシヤムの米の生産は二十三年度において、戰前の輸出可能能力の量に達したと言われておるのでありますが、はたして今うわさになつているようなシヤムの二十万トンの米の輸入以外に、日本として二十四年度において米の輸入がどのくらい可能であるか、その努力の結果をお伺いしたいと思うのであります。
#94
○大野(勝巳)政府委員 米に関しましては一九四八年から四九年度の世界米穀生産量を見ますると一億四千八百九十九万トンと見込まれておりまして、昨年度の一億四千二百九十二万トンをさらに上まわつており、戰後最高の記録とされております。但し戰前平均の一億五千二百万トンには若干及ばない、こういう状況であります。世界收穫面積は戰前から見ますと、三%の増加を見ておりますが、肥料不足ということが依然として存在いたします関係上、多少生産量が減つておる、かように観測されるわけであります。そこでただいま問題になりましたビルマとかシヤムとか佛印、これは世界の三つの大きな米の輸出國に相なつておりますが、その供給力を見ますと、ビルマに関しましては百七、八十万トンの輸出余力があるということに相なつておりますが、現地の政情不安による輸送障害のために、実際は國際割当の百五十万トンを履行できるかどうか危ぶまれておる状況だと傳えられておる次第であります。佛印に関しましても政情は不安をきわめ、國際的の密輸入のために、國際割当二十四万トンがやつとのことだろうというふうに観測されており、シヤムに関しましては、國際割当六十万トンを供給しても、なお二、三十万トンの輸出余力があると見られておるのであります。目下ワシントンの國際緊急食糧委員会におきまして、これは米の割当機関でありますが、この委員会におきまして、シヤムから日本に二十万トンの輸出をすることのぜひの問題につきまして檢討されておるということを聞いておるのでありますが、その結果につきましては、確たる情報にまだ接していないわけであります。
#95
○馬場委員 重ねてお伺いいたしますが、今問題になつております二十万トンのシヤム米の輸入の問題は、日本側からの希望によつて起つた問題でありますか、向う側の輸出の必要上起つた問題ですか、それをお伺いしたいと思います。
#96
○大野(勝巳)政府委員 御存じのように、日本とシヤムとの間に連合軍最高司令官のあつせんによりまして、通商交渉が過般來東京において持たれたわけでありまして、シヤムからの代表者はこの案をもちまして本國に帰還いたしました次第であります。その中に米の輸出の問題が含まれておるとわれわれは聞いておるのでありますが、これは連合軍最高司令官が日本のためにシヤムとの間に話を進めておられるのでありまして、その間の詳しいいきさつに関しましては、はつきりここで申し上げる自由をもたないのであります。どちらが欲しておつたかということでありますが、これはシヤムといたしましては、ただいま説明の中に私入れておきましたが、輸送困難その他の関係がありまして、戰爭中放任されておりました輸送機関の回復であるとか、工場の再整備であるとかいうふうな、資本財の輸入ということに多大の関心を持つており、日本がそれを供給し得るならば買いたい希望であると私どもは聞いているのであります。日本側としましても、先方から適当な物資を買いつけてもらつてバランスをとるのでなければ、うまく話は進まないのでありまして、おそらくその間に米の対日輸出という問題が表面化して來たものと思うのでありまして、これはおそらく双方の希望が合致した結果であると了解いたしております。
#97
○馬場委員 重ねてお尋ねしますが、どこの國からということはお尋ねいたしませんが、今問題になつておりますシヤム米以外に、米に関して日本が輸入いたしたいという前提に立つて話が出ている所がありましようかどうかをお尋ねいたします。
#98
○大野(勝巳)政府委員 ただいま申し上げましたように、この問題は日本が直接交渉の衝に当つていませんし、当り得ない状況にあるのでありまして、その関係上、馬場委員のお話に対しまして、的確にお答えすることのできないのをはなはだ遺憾に存じます。
#99
○馬場委員 それではもう一つ別な問題でお尋ねいたします。私は日本の再建も、あるいは食糧問題の解決も、かかつて日本の人口問題にあると思うのであります。國内において優生学的な観点に立つてのいろいろの問題は別といたしまして、私はこの島の中に八千万以上の同胞をかかえた日本といたしましては、どうしても世界にお願いいたしまして、この過剰人口のはけ口を探して行きたい、これが念願であります。もちろん講和條約が締結されない以前において、いわゆる移民という言葉が適切かどうかは別でありますが、私の申し上げますることは、よその國の再建復興に寄與し得られるような日本人の海外進出を前提といたしましての海外への進出ならば、日本の前途には相当のわくが與えられると見なければならぬと思います。從つて私たちは機会があれば、日本のこの過剰人口を諸外國の再建復興に寄與するというような前提に立つて、海外進出の道を打開いたしたいと念願いたしているのであります。今日までかような観点に立つて考えるとき、もちろん講和條約前でありますので、むずかしいというお考えであると思うのでありますが、何か処置をされ、あるいはさような前提に立つてお話をされたようなことがありましようかどうかをお伺いいたします。
#100
○大野(勝巳)政府委員 移民問題の人口問題解決上における重要な地位に関するただいまの馬場委員の御意見は、私はまつたく同感であります。ただ御存じのように、これは馬場委員もすでにそのお言葉の中に言つておられる通り、日本といたしましては、この問題についてとやかく公に言うことのできない立場にあるのでありまして、この点は御了承願いたいのでありますが、諸外國の日本の移民に対する感情をよく調べてみますと、まだとうていこういう問題を論議する状況に達していないというのが率直な私どもの感じであります。仮想のもとにこういうふうな問題についていろいろなことをいたしますことは、かえつて諸外國の感情を刺戟するような逆効果になると思われる状態でありまして、これは私どもは研究はいたしたいと思いますが、まだ何事もここで申し上げることができないのであります。また政府としましても、そういう立場からこの問題について何か公なステツプをとつたかどうかという御質問でございましたが、私はとり得なかつたということを申し上げたいと存じます。
#101
○戸叶委員 先ほどの並木委員のソ連からの引揚げ問題に関連して、一言お伺いいたしたいと思います。昨年の冬引揚げが一時とめられたのは、氣候と結氷の結果で、從つて今年もそういうような理由から一應とめられたというようなお答えがございました。それに対して司令部の方からは、碎氷船も用意し、あるいは防寒の設備をした船を出してもいいというような好意を示されておるようなことをおつしやいましたが、その手紙に対する返事は、ソ連からは何とも言つて來なかつたというようなお話がございました。司令部はこれほどの好意を示されておりますし、國内においても、ソ連地区からの引揚げに対してはみんな関心を持つて、一刻も早く帰つて來てほしいと願つておるときでありますので、政府の方としましても、司令部にさらに交渉して、その好意に甘えまして、そういうふうなことを言つてもまだだめであるかどうかということを、念を押されたかどうかお聞きしたいと思います。
#102
○大野(勝巳)政府委員 戸叶さんの御質問でありますが、この問題につきましては、かねがねもう何回か数え切れないほど連合軍側の好意あるとりはからいを懇請いたしております。今度のソ連からの引揚げ一時中止という問題が起りましても、すぐ主担当者である倭島管理局長が先方に参つておりますし、その点御趣旨に沿うよう懇請を今後も続けて参るつもりでありますから、さよう御了承を願います。
#103
○生越委員長 ほかに御質疑はございませんか。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
    午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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