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1959/07/03 第32回国会 参議院 参議院会議録情報 第032回国会 大蔵委員会 第2号
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1959/07/03 第32回国会 参議院

参議院会議録情報 第032回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第032回国会 大蔵委員会 第2号
昭和三十四年七月三日(金曜日)
   午前十一時十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   理事
           上林 忠次君
           山本 米治君
           平林  剛君
           天坊 裕彦君
   委員
           青木 一男君
           大谷 贇雄君
           岡崎 真一君
           梶原 茂嘉君
           木内 四郎君
           塩見 俊二君
           西川甚五郎君
           椿  繁夫君
           永末 英一君
           成瀬 幡治君
           原島 宏治君
  衆議院議員
           芳賀  貢君
  政府委員
   大蔵政務次官  前田佳都男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       木村常次郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十四年産米穀についての所得
 税の臨時特例に関する法律案(衆議
 院送付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○理事(山本米治君) ただいまから委員会を開きます。
 本日は、加藤委員長が差しつかえがありますので、私が代理を勤めさせていただきます。
 昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案を議題とし、提案理由の趣旨説明を聴取することにいたします。衆議院議員芳賀貢君。
#3
○衆議院議員(芳賀貢君) ただいま議題となりました昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 米穀についての所得課税の特例措置は、米穀の供出を促進し、食糧の確保をはかることを目的として、昭和二十六年産米につき、議員提出によって立法化されたことに始まり、自来二十九年産米まで毎年、ほぼ同一内容の法案が提出され、米穀の超過供出奨励金、早期供出奨励金、供出完遂奨励金等の各種供出奨励金を非課税とする臨時措置が講ぜられ、昭和三十年産米からは、奨励金制度が廃止されて、いわゆる米価の一本化をはかるとともに、米穀供出制度にも画期的な改正を加え、いわゆる予約供出制度が採用されるに及んで、売り渡された米穀の代金の一部を非課税とする特例措置に切りかえられ、同時に、法律案の提出も内閣から行われ、今日に至っておりますことは、各位のすでに十分に御承知のところであります。しかして、その間、本制度が農家経済の安定と国民食糧確保の上に果しました効果には見るべきものがあったのであります。予約供出制度の実施以来今日までの間、政府が、米穀の集荷に当り、農民の協力を得て、ほぼ所期の目的を達成しましたのも、実は、予約米に対する減税措置が陰の力となって、強くこれを推進したからであると断定しても過言でないのであります。
 しかるに、政府は、三十四年産米穀からこのような予約減税措置を廃止して、従来の減税相当分に当る金額を予約加算金にさらに加算することとし、三十四年度食管特別会計予算に、予約加算と減税分とを合せて石当り百七十五円を計上しているのであります。しかして、政府が本制度を廃止するに当り掲げているおもな理由は、現在の制度が創設された昭和三十年産米当時には、その恩恵を受けておった農家数はおよそ九十万戸もあったが、その後税制の改正に伴いその数は漸減し、さらに本年の所得税法改正の結果、所得税納付農家、すなわち予約減税対象農家数はいよいよ大幅に減少して四十四万戸程度、予約売渡農家総数の一三%程度と推定されるに至り、この制度の恩恵を受ける者は、もっぱら一部の上層農家のみに限局されることとなるため、この際、むしろこれを廃止して、予約減税相当額を全予約農家に均霑するように米価に加算する方が、税制上、米価政策上好ましいというのであります。このような政府の説明は、一見もっともらしく聞えるのでありますが、果してその通りでありましょうか。本制度発足当時の経緯を冷静に顧み、また制度廃止を理由づけるために政府が提出した資料をしさいに検討し、あるいは農村における課税農家の実態調査の結果を徴しまするに、遺憾ながら政府側の説明には多くのごまかしと背理を含み、この措置の真意については全く疑念なきを得ないのであります。
 そもそも、昭和三十年産米から実施してきた石当り平均一千四百円という非課税措置の算定基礎は、予約格差を行当り二百円とし、うち百円は米価に織り込み、残りの百円は減税により実質的に百円の手取りとすることとし、それに相当する非課税分を五百円とし、また二十九年の奨励金減税に相当する実質手取額を確保するための非課税分を八百円、さらに米価織り込みの格差金百円、合計一千四百円として了承されておったことは明らかであります。従いまして、予約格差二百円と各種奨励金にかわる減税措置とは、実質的に別建で農家手取りとさるべきものと解されるわけであります。それにもかかわらず、これらの事実を伏せておいて、富農政策是正の美名のもとに本制度の廃止を企てる政府のやり方は、政策の歴史的背景をことさらに無視した暴挙と言うべきでありまして、われわれはにわかに賛同しがたいのであります。
 また、政府の説明のごとく、税制改正に伴って所得税を課せられる予約減税適用農家数が減少することは事実でありましょうが、しかし、予約減税を廃止いたしましたならば、税制改正によってせっかく所得税がかからないことになる農家も、再び課税農家として浮び上りますので、果して政府が主張するごとく予約減税対象農家数が四十四万戸程度に減少するかどうかには多分に疑問があるのであります。しかも、所得税農家数は若干減るといたしましても、売渡数量の点から見ますと、これら農家の売渡数量はなお相当な比重を占めておる実情であって、かりに政府の言うようにそれが全体の三〇%と見込みましても、約一千万石に上るのであります。しかも、これら農家はほとんど米作専業農家の階層の主体をなしておりますので、もしもこれら農家が税制上の恩典が受けられなくなりますならば、予約減税があってさえ農民は税に対しては一種の恐怖心を抱いていることは事実でありますから、課税の重圧からのがれるための自衛的手段として、勢いやみ売りに走る危険性が多分に予想され、ひいてはせっかく軌道に乗っております予約制度を大きく後退せしめ、ひいては米穀の統制制度上にも重大な影響をもたらすおそれが多分に存在するのであります。この場合、農家経済はもとより国民経済全体に及ぼす影響には容易ならざるものがあることは今さら多言を要しないところであります。
 また、政府が予約減税額として推定する金額は、国税で十五億円、地方税で八億円、合計二十三億円でありますが、その算定の方法や基礎の内容につきましては、作為的な点、疑問とすべき点が多々指摘されるのであります。地方税に対する影響について見ましても、住民税の所得割の課税方式では、所得税額を課税標準とする第一課税方式を採用している市町村はきわめて小範囲であって、大多数の市町村が所得額を課税標準の基礎とする第二課税方式または第三課税方式を採用しているのが現状であるので、予約減税を廃止する場合、地方税の増税は予想をはるかにこえて重くなり、すなわち所得税を納付しないような比較的零細な農家の中にも、予約減税廃止によってかえって不利となるものが数多く現われるに至るのであります。この点に関する政府の事前の配慮は全く不十分であったと言わざるを得ないのであります。
 かくいたしまして、予約売渡農家の中には、税制改正によって他の国民がひとしく減税の恩典に浴するにもかかわらず、その恩典がゼロになるばかりでなく、なおその上に多額の持ち出しをしなければならない者さえ多数生ずるという重大なる結果を招くこととなるのであります。すでに三十四年産米についての農家の予備予約は着々と進行中であります。農民が、政府の言うごとく、大多数の者に有利であるというような無責任な抽象論を信用して予約したといたしましても、その欺瞞性は今年分の所得税及び住民税の上にやがて事実となって現われてくるのは必定であります。その場合において農民が政府に対して果してどのような感じを持つでありましようか。そこには重大なる紛争が生じないとも保証しがたいのであります。
 政府の予約減税制度を廃止しようとする動き、ないしはその企ては今に始まったことではなく、この制度発足の当時から、財政当局及び自治庁側が課税の公平化をたてにとって本制度の廃止を強く主張していたことは隠れもない事実でありまして、その真意が米作農家に対する税の増徴にあったことは否定できないことであります。
 政府は、一方では、一部大企業者に対し、国税だけでも約八百億円以上に上る各種の税法上の特典を残してその利益を擁護しているにもかかわらず、農民に対しては既得権ともいうべきささやかなる特例措置をも剥奪して顧みないのであります。税の公平化の見地からいいますならば、このような租税上の特例の全面的整理とか、法人と個人間の課税上のアンバランスの是正とか、その他国税と地方税、直接税と間接税を通ずる税制並びに税務行政の根本的改革こそまず実行いたさるべきであります。それ以前における一方的な予約減税制度の廃止に対し農民の大部分が強い不満を抱くのもまことに当然と思われるのでありましてそれがひいては農民の政治に対する不信となり、予約売渡制度に対する非協力を結果することとも相なれば、それははなはだ悲しむべき事態と申さねばならぬのであります。
 以上の観点に立ちまして、われわれは、昭和三十四年産米穀に対しても従前通りの税法上の特例措置を継続すべきものと認め、ここに本案を提出した次第であります。
 以下、簡単に本案の内容について御説明申し上げます。
 昭和三十四年産米についてその生産者が政令で定める日までに政府に対し売り渡しの申し込みを行い、その申し込みによ締結した契約に基き、昭和三十五年二月二十九日までにこれを売り渡した場合は、昭和三十四年分の所得税については、次の区分に従って、そのものの売渡米穀にかかる農業所得を非課税にすることとしているのであります。すなわち、昭和三十四年九月三十日までに売り渡した米穀については玄米換算正味六十キログラムにつき八百円、十月十日までに売り渡した分については七百二十円、十月二十日までに売り渡した分については六百四十円、十月三十一日までに売り渡した分については五百六十円、及び十一月一日から翌三十五年二月二十九日までに売り渡した分については四百八十円につき、おおむね前年並みの非課税措置を講ずることといたしたのであります。
 本法律案の提案の理由及び概要は以上の通りであります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第でございます。
#4
○理事(山本米治君) 都合により、午
 後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十九分休憩
  [休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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