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1959/07/03 第32回国会 参議院 参議院会議録情報 第032回国会 社会労働委員会 第2号
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1959/07/03 第32回国会 参議院

参議院会議録情報 第032回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第032回国会 社会労働委員会 第2号
昭和三十四年七月三日(金曜日)
   午前十一時二十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     加藤 武徳君
   理事
           高野 一夫君
           阿具根 登君
   委員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           佐藤 芳男君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           片岡 文重君
           小柳  勇君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
           村尾 重雄君
           常岡 一郎君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
   労 働 大 臣 松野 頼三君
  政府委員
   厚生政務次官  内藤  隆君
   労働政務次官  赤澤 正道君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度に関する調査の件(厚
 生行政の基本方針に関する件)
○けい肺及び外傷性せき髄障害に関す
 る特別保護法の一部改正に関する請
 願(第八号)
○鹿児島県出水公共職業安定所移改築
 に関する請願(第一二号)
○定年退職者に対する失業保険金一括
 支給の請願(第一七号)
○失業対策事業の改革に関する請願
 (第三〇号)
○国民健康保険の財政確立に関する請
 願(第三一号)
○石炭鉱業離職者救済対策確立に関す
 る請願(第三五号)
○継続審査要求の件
○継続調査要求の件
○労働情勢に関する調査の件(労働行
 政の基本方針に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから会議を開きます。
 社会保障制度に関する調査の一環として厚生行政の基本問題に関する件を議題といたします。
 渡邊厚生大臣から発言を求められていますので、発言を許します。
#3
○国務大臣(渡邊良夫君) 私は、今回岸内閣の改造に当りまして、厚生大臣の重任を負うことになりました。厚生行政については何分にも経験に乏しく浅学非才の身でございますが、幸いに各位の御協力御援助を得て、その任を果して参りたいと考えております。本日この機会に一言ごあいさつを申し述べたいと存じます。
 あらためて申し上げるまでもなく、社会保障制度の確立をはかり、もって国民生活の安定と国民福祉の向上をはかることは、福祉国家の実現を期する上にきわめて重要な意義を有するものでありまして、現内閣の最も基本的な施策とされているのであります。厚生行政は、これら諸施策を推進するに当りましてその中核をなすものとしてきわめて重要な役割を有するものであります。私といたしましても、あらゆる障害を克服して、社会保障制度の整備充実、ことに当面の問題として国民の所得保障と医療保障の実現その他厚生行政の推進に努めたい所存であります。
 まず、第一の問題といたしましては国民年金の円滑なる実施があります。国民年金は、医療保障とともに社会保障制度確立の二大支柱をなすものでありまして、将来、国民の所得保障の分野における中核体となるべきものであり、その健全な発展いかんは、国民生活の安定に重要な影響を及ぼすものと考えられるのであります。政府におきましては、第三十一回国会において成立いたしました国民年金法により本年十一月分から支給される無拠出制の福祉年金並びに昭和三十六年四月から保険料の徴収を開始する拠出制の年金について、目下鋭意これが準備に励んでおる次第であります。なお、今後とも国民年金法の円滑適正な実施を期するとともに、さらに本制度の向上充実に一段と努力いたして参りたい所存であります。
 第二は国民皆保険の達成であります。
 医療に関する国民皆保険の達成につきましては、関係各位の非常な努力により順調な進展をみているところでありますが、今後はさらにその完全な実現を期したい所存であります。なかんずく、その中心となる国民健康保険につきましては、新国民健康保険法の成立によりまして、一そうその普及が促進され、皆保険体制が確立されたものと信ずる次第であります。また、国民皆保険の基礎である医療体制につきましては、総合的な整備計画を樹立し、医療機関の偏在を是正し、病床不足地域の解消をはかる等、その体系的整備をはかりたい所存であります。
 なお、これに関連いたしまして、本年度設置されました医療制度調査会におきまして医療に関する諸制度等につき根本的な調査審議を行い、新しい情勢に適合した適切な医療制度の樹立に資したいと考えております。
 また、結核対策の強化推進は、医療保障の一環として重要な問題でありまして今後とも一そう強力な推進をはからねばならぬと存ずる次第であります。
 次に、健康な国民生活の基本となる生活環境の改善等でありますが、ことに、一九六四年のオリンピック開催も一つの契機となって、生活環境整備を要望する世論も大きく、盛り上って来ており、今後、上下水道、屎尿処理施設等環境衛生施設の整備につきましては格段の努力を傾注いたしたいと念願しておるものであります。
 さらに老齢者、身体障害者、精神薄弱者等に対する援護措置の強化、児童健全育成の強化、母子衛生施策の強化に意をいたすとともに、国立及び国定公園の整備、同和対策の強化等国民福祉の向上に努力いたしたい所存であります。
 最後に、この機会に厚生行政の長期計画の問題について述べてみたいと存じます。
 政府といたしましては、十年後における国民所得の倍増を目標とした長期経済計画を考えておりますが、厚生省におきましても、長期経済計画に即応し、厚生行政全般にわたり国民生活の改善向上に必要な総合的な長期計画の作成を検討中であります。
 以上るる申し述べましたが、諸般の問題につきましては各位の御意見を十分尊重し、誠実に実行するとともに、明年度以降推進すべき厚生行政の具体的な施策につきましては関係各位の御協力御援助を得まして、できる限りその実現に努め、厚生行政の飛躍的発展をはかって参りたい所存でありますので、ここに重ねて各位の御協力をお願い申し上げる次第であります。
#4
○委員長(加藤武徳君) ただいまの厚生大臣の発言に対して御質疑を願います。
#5
○坂本昭君 私は渡邊新大臣の御就任を心からお祝い申し上げたいと思います。ことに非常な御抱負と熱意をもって新しく厚生行政に当られる新大臣に対して心から敬意を表する者でございます。
 一言だけごあいさつをいただきましたので、簡単に決意のほどをお伺いいたしたいと思いましてお伺いいたします。それは大臣も御指摘しておられます通り、当面の問題として、国民の所得保障と医療保障、これが一番大きな問題でございます。ことに昭和三十六年度から国民皆保険と皆年金が発足いたしますので、来年度の三十五年度の予算というものが、この準備期間として非常に大事な役割を果します。たまたま今、来年度の予算編成が省内において作られているときでありまして、私はこの二つの所得保障と医療保障の中で、医療保障の中心になるものはやはり結核対策だろうと思います。また、所得保障の中で一番問題になっているのは積立金の問題になろうと思います。この積立金の問題につきましては、前三十一回国会が終りましてから厚生当局は大蔵省と非常な折衝をしております。それでこの結核対策と、それから現にある厚生年金の積立金の問題、また、国民年金の積立金の問題について、新大臣としてどういうふうな決意でやっていかれるおつもりか、その一点だけお伺いをしておきたいと思います。
#6
○国務大臣(渡邊良夫君) 結核対策につきましては、特に新薬の発見等によりましてできるだけ早くこれをどうか実現をさしてもらいたい、こういう要望が非常に強かったのであります。政府といたしましては、あらゆる機関にいろいろと結核対策につきましての要望を諮問いたしまして、六月二日に中央社会保険医療協議会に対しましてこれが答申を求めたわけでございます。ところが、私が参りました十九日にこの答申が出て参っておるわけでございます。一方におきましては、中央社会保険医療協議会というものに対しましていろいろな関係団体との間に多少の摩擦があるのじゃないだろうかということが新聞等に伝えられておるのでございまするけれども、これはしかし、結核対策につきましては各方面から全部要望されておるのでございまして、できるだけ早く、これはほんとうをいうと七月一日から実施すべきであったのでございますけれども、しかし、七月一日はとうてい間に合わなかったのでございます。間に合わなかった理由といたしましては、これは新薬徹底周知、こういうものにつきまして、全国に対しまして周知徹底せしめるに十分な時間というものがまだ足りなかった、こういうことでございまして、この結核の治療指針というものが多少おくれておる。しかしながら、すみやかにできるだけ早い機会にこれは関係当局とも協議いたしまして、できるだけすみやかに私どもの事務当局では進めておるような次第でございます。
 年金の積立金の運用につきましては目下いろいろの要望等がございますので、慎重に検討をいたしておるような次第でございます。
#7
○坂本昭君 御検討よろしくお願いいたします。
#8
○委員長(加藤武徳君) 他に御質疑ございませんか。――なければ内藤厚生政務次官がお見えになっておられますから、何かごあいさつがございましたら簡単にお願いいたします。
#9
○政府委員(内藤隆君) 私は、厚生政務次官に就任いたしました内藤隆でございます。厚生行政に関しましては全くのしろうとで、ことに私は知識が乏しい者でございますから、皆様方の御鞭撻、御支持によって大過なく大役を勤めていきたい、かように存ずる次第でございます。ただいま新大臣からも施策等につきましてるるお述べになりましたが、この点を実現するために皆様の御意見をさらに尊重いたしまして私は勤めて参りたい、かように思う次第でございます。
 どうぞ御支援、御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
#10
○委員長(加藤武徳君) 他に御質問がありませんければ、本件に対する本日の調査はこのくらいにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(加藤武徳君) 異議ないものと認めます。
 ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(加藤武徳君) それでは速記を起して下さい。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時四十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時二十六分開会
#13
○委員長(加藤武徳君) それでは、休憩前に引き続いて会議を再開いたします。
 まず、請願第八号、第十二号、第十七号、第三十号、第三十一号、第三十五号、以上六件を一括議題といたします。御審議をお願いいたします。――別に御発言もないようでありますから、いずれも採択することにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(加藤武徳君) 異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#15
○委員長(加藤武徳君) 次に、閉会中継続審査要求に関する件についてお諮りをいたします。
 結核医療法案、身体障害者雇用法案、保健婦、助産婦及び看護婦等の産前産後の休業中における代替要員の確保に関する法律案、以上三案は、いずれも今期国会開会中においては審査を完了することが困難でありますので、閉会中継続審査要求書を議長あて提出することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#17
○委員長(加藤武徳君) 次に、閉会中継続調査要求に関する件についてお諮りをいたします。
 社会保障制度に関する調査及び労働情勢に関する調査は、いずれも今期国会開会中においては調査を完了することが困難でありますので、閉会中継続調査要求書を議長あて提出することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#19
○委員長(加藤武徳君) 次に、ただいままでに決定いたしました閉会中継続審査及び継続調査要求に関する手続等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#21
○委員長(加藤武徳君) 次に、労働情勢に関する調査の一環といたしまして、労働行政の基本方針に関する件を議題といたします。
 松野労働大臣から発言を求められております。発言を許します。
#22
○国務大臣(松野頼三君) このたび労働省を担当いたすことになりました松野頼三でございます。この機会に所懐の一端を率直に申し上げ、皆様の御理解と御協力をお願いいたしたいと存じます。
 私は労働問題の特徴は、それがすべて人間関係の問題であるということだと思います。従って、労使の関係におきましては、そのときどきの現象に変化がありましても、その底には相互に常に変らぬ理解と信頼がなければならないと考えるものであります。
 私はまた、わが国の発展にとりまして、健全な労働運動が果す役割はきわめて大きいと存じますが、それだけにまた、それは民主的社会のルールに従ったものでなければならないと考えております。労働運動の現状は、この点から見まして必ずしも満足できない点がいまだかなりあると思われるのであります。
 私は労使双方の間に基本的な相互の信頼の上に立って、まず土俵を守るという好ましい傾向が一そう助長されるように、関係者の特段の努力を期待いたしておるとともに、労働行政の面においてもその方向に力を尽して参りたいと思います。
 次に、倉石前大臣のとられた日の当らない労働者への思いやりある行政については、私も全く同感であります。特に先国会で成立いたしました最低賃金法及び中小企業退職金共済法の施行は今後の問題でありますので、私はその完全な結実のために力を尽したいと存じます。また、このほか週休制の普及、勤労青少年ホームの建設等による余暇善用方策の樹立、産業災害防止対策等の確立、五人未満の事業所の失業保険加入の促進等、主として中小企業を対象とした諸施策及び日雇労働者の福祉対策、内職問題の対策につきましてもこれを一そう推進していきたいと考えております。
 最後に雇用問題でございますが、最近の人口白書が示しておりますように、ここ数年の生産年令人口の急激な増加によりまして、雇用対策はきわめて重要となって参ると考えます。幸い雇用審議会がつい最近において、わが国の雇用政策全般について基本的な方策を答申されたところであり、また、新内閣もその重点施策として、国民所得の倍増と雇用の増大を目ざす新長期経済計画の樹立を考えておりますので、私もこれに即応して従前の失業対策といった消極的な施策にとどまらず、むしろ産業の発展を通じて雇用量の増大を推進していく方向で特に職業訓練に重点をおいた積極的な対策を検討してみたいと思っております。
 以上簡単でございますが、私が現在感じておりますことを申し上げました。今後とも行政運営につきましてよろしく御援助を賜わりますようお願い申し上げる次第であります。
#23
○委員長(加藤武徳君) 次に、赤澤政務次官のごあいさつがございます。
#24
○政府委員(赤澤正道君) 今回はからずも労働政務次官を命ぜられました赤澤正道でございます。労働行政につきましては、全くのしろうとでございますけれども、皆さんの御協力を得まして、職責を完遂いたしたいと思いますので、どうか何分よろしくお願いをいたします。
#25
○委員長(加藤武徳君) それでは労働大臣の発言に対しまして御質疑を願います。
#26
○阿具根登君 私は代々の労働大臣の施策の中で今日まで労働問題を審議して参りましたが、まず一点お聞きしたいことは、石田労政の場合は、いわゆる片手でむちで片手であめだ、こういうことを言われました。いわゆる法律や慣行は双方が守らなければならない、こういうことで労働行政を進めてこられたと思っております。次に、倉石さんのときになりますと、法律は、あるいは慣行は、労働者がまず守らなければならない、こういうようにニュアンスが少し変ってきたと思うのです。今度松野新大臣は、労働大臣としてどういう観点からやっていこうと思われるのか、同じ岸内閣の中ですから極端なことはできないと思いますが、労働者が一番よりどころにするのは労働省だけだと思うのです。だから、労働省は労働者に対するサービス機関だと言われておりますが、最近はほとんど労働者のサービスということではなくて、資本家、経営者のサービス機関になっているということを感じられるわけですが、労働大臣の考え方を、言葉じりをとるようでございますが、ただいまのあいさつの中でも、労働問題の特徴はすべて人間関係の問題であるということを言っておられてそのあとで、民主的な社会のルールに従っておらないのは労働運動だけだというようなことを言われている。そういたしますと、これは私が最初言いました考え方をするなら、石田さんよりも倉石さんよりももっと考え方が右に寄っておりはしないか、双方ルールを守れということをおっしゃるならば、一応儀礼的なごあいさつとしてもわかるけれども、こういう場合に、一方だけがルールを守っておらない、相手のことは一切言っておらないとすれば、相手がいいので、君たちが悪いのだ、こういう印象を、とれないとも限らない。これは言葉じりをとるようでございまして、これ以上申し上げませんが、一応感じましたのがそういうふうに感じましたので、一応新大臣としての今後の労働問題に対しましてお伺いをするわけでございます。
#27
○国務大臣(松野頼三君) 私のただいまの実はあいさつの中にも、労働運動の現状ということで、労使ともにルールと土俵を守ってくれということを実は力説したわけであります。しかし、世間に、あるいは私の言葉の中に、労働運動という言葉がいたずらに労働者階級の行動だけを私は指摘したわけじゃございません。ある場合には不当な労働行為によりまして使用者が労働者を挑発するというような場合も、これはやはり労働運動としてはよくないというので、いわゆる労働法全般を通じて労使ともに実は対等な立場でこの言葉を私は書き上げたのでありまして実は私自身が筆を入れましたので、言葉が足らなかったかもしれませんが、しかし、大事なところはみな共通な場面、労使ともに土俵を守れ、ルールを守れ、
 こういう実は私の作文でありまして、気持は、あるいは倉石君がどういうことだったか知りませんけれども、私は今でも労働省というものは、少くとも労働者が頼り得る唯一無二の役所だ、そのために私は就任したのだ、労働省設置法が私の土台なんです、その上に立って私が微力ながらできることをやるので、基本はあくまでも法律であり、設置法だ、その設置法にはあくまでも労働者の権利や生活の擁護がこの使命だという意味から私は書き上げたもので、文章はいろいろございまして、これは全部私自身が書いたものでございますから、役人が筆を入れたものじゃございません。その意味で、文章が誤解を招くかもしれませんが、しかし、大事なところは今のように土俵を守ることと、ルールを守ることと共通な意味で私は書き上げたつもりでございます。第一には、設置法を労働大臣の使命の大前提に掲げなければ、私は労働大臣は一日も勤まるものじゃない、こういうように私は思っております。
#28
○藤田藤太郎君 私も一言お聞きをしておきたいのですが、松野さんはそういうことはないと思うのですけれども、前段に少し労働運動の問題について触れられている。しかし、私はやはりいつもここで言っているのですが、労働省というものは、今大臣が言われたように、たとえば職安行政であるとか、保険行政であるとか、労働者保護の安全、災害行政、こういうふうにやっぱり行政というものが先行してこなければならない。たとえば一つの問題を取り上げて、あとの方で雇用問題は今までの対策とか突っ込んで経済の面から雇用の問題を考えるとおっしゃっているのですから、これを一つお聞きしたいと思うのですが、だから労働運動というものは一つのルールの中で、今阿具根君が言いましたように、双方の中で行われる、より正しくこれを労働省が双方に公平に指導する、――この内容に入りますといろいろありますから、きょうは触れませんけれども、こういう建前でなければならぬ、だからそういう建前ならやはり労働大臣の気持として私はやはり先行してもらう。そして今、阿具根君との間に議論になったようなことは、双方にやはりサービスするということでなければ私は少し困るのじゃないか、こういうことを私は考えておる。だからその点は、就任されてまだ早々でございますから、ここで大臣と論議しようとは思いませんから、一言私の感じましたことを申し上げておきたいと思います。
#29
○国務大臣(松野頼三君) ごもっともな御注意で、実はこれを書きますときに、実はこれは内輪の話で、なぜこういう順序で書いたかというと、私も就任早々であるし、しろうとだものだから、実は自分で労働省設置法を読みながら書いたところが、労働省設置法の第一番に労使関係というものが出ている。実はあの設置法の中の順序がどちらが大事だとかあとだとかいう意味じゃありません。ただ順序がそれで書いてあるものだから、自然それに合せまして作文をしたために労使関係が先に出たのだ。おっしゃるように、労働保護とか職業訓練とかいうものが大事なことはお話の通りだと思う。労働省設置法の一、二、三、四ずっと読んで私が書きますと、労使関係が幸か不幸か一番最初に出ているのです。それだものだから、その順序に従って、しろうとがなまじ誤まった新政策を出しても危いから、まあ固い意味でこの文章を書き上げた。その順序がたまたまこういう順序になったというのは、そういう実は私の書いたときの気持をこのまま書いたものですから、まだまだ、就任早々で、いろいろなことを言いたいけれども、みな言うのはしばらく黙って、沈黙の中に私は労働行政を進めていきたい。それで事務的な話でしたけれども、私自身がそんなつもりで書きましたので、いろいろ軽重をつけたい、優先をつけたいと思っておりましたけれども、就任早々のあいさつに私があまり優先をつけるのも危いと思って事務的な意味で順序を書いたので、これはどうぞ一つ藤田さん、順序のことは労働省設置法によってどうぞ一つ御理解いただきたいる
#30
○藤田藤太郎君 ここに現われている問題は、やはり労働基準を上げていこう。これに関連して経済的な問題、いろいろの問題がある、国内的に。国際的には国際労働機関、ILOの問題があり、問題になっている八十七号とか百五号とか九十八号ばかりでなしに、百七つも条約があって、そしてそれがみんな対社会保障と労働保護の労働基準を上げていこうというところを、おしなべて条約、勧告、決議という工合に討議がされて、国際的にみんなで協力していくべき問題である。ここでこれも触れられていないが、きょうは言いませんけれども、しかし、そういう国際的な関連の面からも国内の労働基準、労働保護、社会保障――これは厚生省に関係が深うございますけれども、そういう面の一段の一つ引き上げるための御努力をお願いしておきたい。これはいずれまたいろいろ問題点を論議する際に話もあると思いますから、一言申し上げておきます。
#31
○国務大臣(松野頼三君) 特に今の問題に触れるわけではございませんが、私の就任しましてからいろいろな問題があることは引き継ぎ事項で実は聞いております。ただ困りますことは、いろいろ議論をしておるうちに、やはり前大臣が過去においてすでにやったことについては、よしあしにかかわらず私は引き継ぎ事項として受けなければなりませんし、それを批判するわけにもいきませんし、従って、過去の前大臣がおやりになった行政はすべてその日付が私の就任以前のものでありましたならば、やはりそれをそのまま引き継ぎを受けたわけであります。従って、その上に、私が就任以後のことは私は全責任を持ってやるべきことでございますので、だから、ただいまの藤田さんのお話ですと、だいぶ問題が大きい問題でありまして、しかもこれはきょう急に起きた問題でもなさそうであります。これはいずれまた別の機会ですが、その辺の私の立場を一つ御理解をいただいて、私がその引き継ぎをしたあとでできることとできないことという議論をある程度分けることも私はやっていただかなければ、過去全部の労働行政を私が善悪ともに批判したり是正したりできないこともありますので、その辺の私の立場も御理解をいただいて、一つ委員会の御協力もお願いいたします。
#32
○委員長(加藤武徳君) 他に御質疑はございませんか。――それでは労働大臣の発言に対しまする質疑はこの程度で終ります。
 ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#33
○委員長(加藤武徳君) 速記を起して下さい。暫時休憩いたします。
   午後一時四十九分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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