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1948/11/22 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 大蔵委員会金融制度改革に関する小委員会 第1号
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1948/11/22 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 大蔵委員会金融制度改革に関する小委員会 第1号

#1
第003回国会 大蔵委員会金融制度改革に関する小委員会 第1号
昭和二十三年十一月二十二日(月曜
日)
  ―――――――――――――
昭和二十三年十一月八日(月曜日)大
藏委員長において左の通り小委員を選
定した。
           森下 政一君
           黒田 英雄君
           油井賢太郎君
           伊藤 保平君
           高瀬荘太郎君
           木村禧八郎君
           米倉 龍也君
同日大藏委員長は左の者を小委員長に
指名した。
           黒田 英雄君
  ―――――――――――――
十一月十日(水曜日)小委員油井賢太
郎君辞任につき、その補欠として木内
四郎君を大藏委員長において選定し
た。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○金融制度改革に関する件
  ―――――――――――――
   午後一時二十八分開会
#2
○委員長(黒田英雄君) ただいまから金融制度改革に関する小委員会を開会いたします。本日は経済同友会、経済團体連合会及び日本産業協議会よりお手許御案内の通り五名の方々においでを願いまして金融制度改革に関して御意見をお述べ願うことになつておりますが、説明員として発言を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(黒田英雄君) それではこれから順次御意見をお述べ願いたいと存じます。速記を止めて……。
   午後一時二十九分速記中止
   ―――――・―――――
   午後一時五十四分速記開始
#4
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて……。御質問は後にお願いすることにいたしまして、次に日本特殊鋼管大塚万丈君にお願いいたします。
#5
○説明員(大塚万丈君) 只今までの金井さん並びに仲矢さんの御意見の開陳によりまして、大体のところはお分りのことと存じます。ただこの金融制度改革に関する日本産業協議会の意見を只今読み上げましたが、これにつきまして多少補足的に申上げたいと思います。
 この財政と金融の分離につきまして、日本産業協議会が一番心配いたしました点は、余り財政と金融をはつきり区別し過ぎて、現状に即さないような運用になつては困ると申しまするのは、この中にも特に書いておりますごとく我が國の資本の蓄積というものは実に少いのでありまして、今日の産業資金と申しましても、その重要な部分を國家財政で賄わなければならんというような偽わらざる現状から考えましたときに、財政と金融をはつきり区別すると申しましても、実は非常に困難な点がある、のみならずむしろ積極的に政府といたしましては、財政を通じて産業の振興を図らなければならない面がある。その面については金融と調整するというここが重大な任務になつて來るわけであります。その運用がまずいと、どうしても産業の興隆は期し難いのでございます。從いまして財政と金融の分離と申しましても、その辺を適当に調節して行かなければならない、そういうような観点から、例えばバンキング・ボードの所轄大臣にいたしましても、これを本來の性格から言えばいわゆる分離を明らかにする点から言えば、無論内閣総理大臣の直轄下に置くべきであるというふうに考えられるのであります。けれども、只今申上げましたように、財政と金融の緊密な調整というような点を併せ考えましたときにはどういたしましてもやはり大藏大臣というものの、一應直轄下に置くのが適当であろう。少くとも有機的な連絡調整を図る責任を大藏大臣にとつて貰うのが議会に対する責任であり、又運用の実際の面から考えまして適当ではなかろうかというような意見が有力であつたのであります。
 その次にこの資金計画の策定及び融資規制、実はこの金融業者の集まりであります金融協会の方の御意見といたしましては、資金計画の策定はすべてこのバンキング・ボードでやるべきであるという御意見があるように伺つたのでありますが、これに対しましては我々産業人といたしましては全幅的に賛成いたしかねるのであります。その理由はここに書いてある通りでございまして、少くとも今日我が國の現状から考えましたとき資材と資金とは実は切つて離せない裏表の関係があるのでございまして、一方において資材を統制しながら資金の方は他の機関に委ねる、而も機関から申しますれば資材の方は安本が統制しておる。割当その他はやつておる、然るに資金は全然別の機関であるところのバンキング・ボードにやらせるということに相成りましては、到底円滑なる運用ができないことは明らかでございまして、從いまして、この点は少くとも現状が暫くの間変化ないものと仮定いたしまするならば、資金の面を規制しまするところの貸金計画はどこまでもやはり資材と一本に策定せらるべきである。從つて機関その他の考え方もこれに準じて考えるべきである。かような考え方から結論が出ておるわけでございます。
 金融諮問委員会の設置につきましては、バンキング・ボードそのものが強化され、ここが絶対的な責任を持つならば、今更諮問委員会の設置のことは無用ではないかという御議論があるかと思いまするが、実際上このバンキング・ボードの任務がどういうようなことに相成りまするか、今からはつきりしたことは申されないにいたしましても、大体予想されますことは金融機関の事務的な統制の面が相当多いのであつて、いわゆる國策に準ずる政策の面はそう常にあるわけのものではない。勿論日常研究するということは当然必要かとも考えられますが、毎日のようにそれを、新らしい案を作つて出さなければならんというようなことは先ず想像されん、そうしますと、その機構の責任並びに性格から考えましてもできるだけ簡素な形において強力に進めることにすれば一番適当であつて、これを徒らに厖大な機構にするということは、殊に委員の数を沢山にするというようなことは余程考えなければならん。運用の面から言えば、そういうふうにできるだけ少数の委員に仮りに限るということにいたしますると、それでは今度は金融に関する各界の意見を反映するという面から申しますと、到底十分なことは期し難いことになる、そこで我々が適当だと考えますのがこの金融諮問委員会でありまして、これを通じて、金融に関係のある各界の意見を漏れなく反映せしめる、これによつてバンキング・ボードの運用に全きを期して貰いたい。これが金融諮問委員会の設置に関する希望でございます。通貨の発行限度の決定方法につきましても、これは國家の現実に即して、やはりこういう考え方にならざるを得ないのでございます。尚この上にも三つ附け加えておきたいことは、先つき永野君が申されましたように、我々が最も実際の面に即して考えたときに重大だと考えておりますのは、長期金融の問題でございまして、今後我が國の産業を復興し、生産をどしどし急速度に高めて行きますためには、どうしましても施設の拡充が必要であります。それに伴いまして長期の資金が必要であることは、いうまでもないのでございますが、これを今までの経驗に徴しますと、或いは復興金融金庫、或いは日本興業銀行、或いは勧業銀行というような、限られた機関を通じてやるということになりますると、ややもすればここに一種の特権的な色彩ができて來る。その運用につきましても若干独占的な面が出て來ざるを得ない。而もそれで円滑に行くならば、論議の余地はないのでございまするが、実際の面から申しますと、今後の長期資金の利用は非常に大きな金額になりまするから、從いましてただ單に民間金融機関だけに委かして置くというわけにゆかんという一面は当然にございます。從いまして特殊な金融機関をつくるということは、必要に應じまして必ずしも否定するものでございませんが、併しながら何と申しましてもその厖大な金額、並びに今後時宜に適した運用をして行くという点から考えますと、一特定の機関にのみ、これを委ねるということが必ずしも適当ではないのです。そこで我々が考えましたのは、是非とも一般の金融機関を通じて長期金融を賄い得るような組織と運用をして頂きたいと申しまするのは元來この金融の面からその妥当適正を確保いたしますためには、実は運轉資金のみに限るという現在のこの行き方は、必ずしも適当ではないと思うのであります。長期金融と短期金融と合せて、始めてその事業の健全性或いはその運用のうまさを発揮し得るのであります。そういう点で私は長期金融と短期金融を合せて行うというところに、この制度の大きな狙いがあると思います。そういう意味合におきまして、実はこの産業界といたしましては、普通銀行全部が或程度の條件を前提にいたしまして、債券を発行し、その限度内において長期金融を賄う仕組にして頂きたい。これは実に産業界の一致した意見でございます。この点は是非とも参議院におきましても、特に御考慮を願いたいと考える次第でございます。
#6
○委員(黒田英雄君) 日本産業協会の帆足計君にお願いいたします。
#7
○説明員(帆足計君) 先程皆さんからの御意見で十分盡きておりますので、一言だけ附け加えますと、バンキング・ボードの業務の範囲でございますが、銀行協会からの案は御承知のように、第一に通貨信用政策の策定と実行、それから第二が新金融業法の実施、第三が日銀を含む全金融機関の監督制度、それから第四が金融機関の健全性並びに合法的且つ公正な運営確保、こういう点を挙げられております。その中で問題の点は只今仰せになりましたように、第一の通貨信用政策の策定と実行、この範囲をどう限定するかということであります。從いましてこれにつきましては、只今先程の御説明にございましたように、日本再建という角度から現在総合施策をいたさなければならない、又民間の資金蓄積だけではやつて行けませんので、國家資金の應援とかその他廣い観点からこれを見ねばなりませんし、資材の割当にいたしましても、生産拡充にいたしましても、爲替相場の決定などにいたしましても、総合的観点からやらねばならん。從いまして金融の監督行政並びに金融の自治的な健全な調整作用と申しますことは、固よりその根本でございますけれども、更に総合施策と睨み合せて頂かねばならん。そこで我々といたしましては、インフレの処理の問題、爲替相場の決定の問題、通貨の最高発行額の問題、資金計画の問題、こういう問題は綜合的観点から、それぞれの機関で、行政機関が國会に責任を持つて、國民の協力の下にやつて頂きたい。こういうことでございます。ただその場合に、バンキング・ボードがそれから隔離されておるというわけには勿論参りませんから、そういう各綜合的の委員会には、バンキング・ボードからの連絡委員が、相当の資格を以て御出席になることは勿論賛成でございます。要点を更に補足申上げまして御参考に供します。
#8
○委員長(黒田英雄君) それではこれより御質問を願いたいと思いますが、小委員以外の方もお見えになつておるようでありますから、小委員以外の方もどうぞ御質問をお許ししたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員(黒田英雄君) 御異議ないようでありますから、そういう委員以外の方もどうぞ御質問を願います。
#10
○委員外委(小川友三君) はじめ………。
#11
○委員民(黒田英雄君) ちよつと待つて下さい。仲矢さんも、もつとあれがあろうと思いますから。………。
#12
○説明員(仲矢虎夫君) 大体産業界の意見はこの意見書の中に纏まつておると思いますが、その中でちよつと少しく補足的に申上げたいと思いますのが二、三あります。第一の財政と金融の分離についてでございますが、これはそのスキヤップからの指示が大体そういう線に副つております。且つそれは一般的に申しまして、当然な正当なことであるので、産業界といたしましてもそれに賛成しておるわけでございますが、ただここで一言申上げたいのは、財政から金融を分離するということは、その意味は、金融をいわば大藏省の支配から解放するということを意味するものでありまして、財政から分離するということは、國家の支配から金融を解放するという意味では決してないと私共は考えるのであります。ところが金融の財政からの解放ということは、これは元々自由主義経済の根本原則でありますが、金融政策の根本理念というものは、経済情勢の推移、或いはむずかしく言えば歴史の発展と共に変化すべきものでありまして、いわゆる古典的な金融理念というものを、無條件にいつまでも固執することが、國民経済の発展に寄與するということにならないのでございます。このことは、この自由主義の発祥地でありますイギリス或いはアメリカにおきましても、最近は現実の必要から、理念ということではなしに、現実の必要に應じて統制が次第に強化されておるということは、これは何と申しますか、寡少生産に惱んでおる日本の現実に照しては、実に自由主義の本家本元においてさえそういう傾向が強まつておるということを、十分我々は考えなければならぬと思うのであります。
 それから第二の資金計画の策定と、バンキング・ボードの問題に関連しましては、先程來金井さんその他の方々から繰返し御説明がありましたが、ここでこの点は我々が伺いますと、産業界と金融界では、可なり意見が、最終的な細かいところにおいて、意見の一致を見るように至つていないように伺つておるのであります。それは大体この資金計画の策定と申しますのは、皆様も御承知のように、現在三段階に分れて行われておるのでありまして、第一段は、各金融機関に集まりました資金を仮に百なら百といたしますと、その中の三十なり幾つを財政資金、或いは幾つを産業資金に分けるかという産業資金とそれから財政資金の分割の比率の規定であります。現在は大体におきまして金融機関に集まりました資金の百の中三十五は財政資金に、それから六十五は産業資金にというふうにとにかく大まかに分けられております。これは第一の資金計画の第一段階であります。第二段階はこの分けられましたそれを更に百の中の六十五が産業資金に配当されますが、その六十五の中の更に石炭に幾ら或いは鉄鋼に幾ら、肥料工業に幾らというふうに産業資金を百として更にそれを業種別にどう分けるかということが第二段の資金計画なんであります。第三段におきまして初めて鉄鋼に割当られました資金を更にどの会社に幾らというふうにこれは主として復金の融資になりますが、産業業種別に分けられました資金を更に会社別に分けられる第二段の資金計画があるわけであります。金融方面におきましては最初資金計画を相当程度バンキング・ボードの権限の中に入れるべきであるという意見が多かつたのでありますが、結局におきまして第二及び第三の段階においては、つまり業種別の産業資金のトータルを更にどういうふうに業種別に分けるか更にこれを会社別にどう分ける心、これは勿論結局は、バンキング・ボードに與えることが適当でないかということをお認めになつた次第でありますが、ただ一点、第一のトータルの産業資金、資本の蓄積の部分を財政資金と産業資金にどう分けるかという第一の点においては、やはりバンキング・ボードに與えるのが至当ではないかという議論が今以て相当強いように我々は伺つております。と申しますのは、財政と金融の分離という目的がこの財政の金融支配を解くという点に最大の狙いがあるとすれば、財政資金に幾ら、産業資金に幾らというものはむしろ金融界の事情に通じたバンキング・ボードにおいて國家が自由に赤字公債なりをできないようにするためにはどうしても更に最初の第一段階の産業資金と財政資金の分割の比率はどうしてもその趣旨からいつてバンキング・ボードに與えた方が適当であろうという議論が強いように伺いますが、我々はこれに反対でありまして、この反対の理由といたしましては一つの一番大きな問題は先程申しましたように、現在は資材の割当が全部この三段階の割当そのものが全部これは安定本部その他とにかく國会に対して政治的責任を持つておる官廳において行われております。ところが先程永野さんからも詳しく御説明がありましたが、資材の割当と資金の割当ということは、これは産業計画の縦の両面でありまして、資材の割当が一つのAという人間の意思によつて決まり、資金の割当がBという他の人間の意思に上つて決まるということになりますと、産業計画は円滑に遂行できないわけであります。どうしても資金と資材というものは單一の意思に基いて單一の方針に上つて計画を立てられなければ産業界は非常に困るのであります。從いまして今申しましたような貸付の割当と資金の割当は單一の意思によつて行うものという一つの理由によつて、これはやはり財政資金と産業資金の枠の設定というものをバンキング・ボードによつて行わしめるということには反対であります。反対の第二の理由はこれはむしろ産業界から要求すべき筋ではないかと思いますが、客観的に申しまして御承知のようにバンキング・ボードには政府の代表は入つておらないわけであります。これは立前といたしましてバンキング・ボードというものが金融本來のこれは金融業務に関連する事項に大体限定するということが大きな狙いである関係上政府機関が入らないのはこれは当然でありますが、從いましてバンキング・ボードの委員の中に大藏省関係の利害代表者は入つておりません。その政府の代表者が入つていないバンキング・ボードにおきまして、この政府の財政資金の枠の設定をするということは、これはとにかく発言権を、全然発言のチャンスを與えられていない政府に対してバンキング・ボードがそれで当てがい扶持をするという結果になるのでございまして、これは産業界といたしましては別に利害関係はございませんが、客観的に申しまして筋が通らないのではないか、こういうふうに考える次第であります。それからこれはやはり財政資金と産業資金の分割という大きな問題、これはむしろ政治に連なる問題でありますから、國会に対して政治責任を持つておる政府機関において、バンキング・ボードの代表者も入つて、そこで決定するというのが公正に見て妥当な方法ではないかと考えます。それから第三の理由といたしましては、全く技術的の理由でございますが、御承知のように金融業法というものが恒久立法でありまして、今申しました資金計画というものは、これは飽くまでも暫定的な臨時的の統制でございます。この臨時的のものを、恒久立法である金融業法の中に入れるということは、これは技術的な面から考えましても、法律そのものの体裁からいたしましても、これは少し妥当ではないのではないかと考える次第であります。
 それから先程申しましたのは、資材割当と資金の割当に関しましての比喩的の例でございますが、銀行界の連中の第一段階の資金配分をバンキング・ボードにさせるのが適当であるという理由は察しまするに、金融資金の分離ということの外に、資金というものは自分等の手許に集つた金である、それを分けるのは自分等がやるべきであるということが、或いは無意識に、その氣持の中にあるのではないかと思います。若し仮にそういう理由が成立つといたしますならば、仮にここに永野さんは日鉄の常務取締役ですが、鉄鋼は日鉄なり鋼管なり、その他の鉄鋼会社が生産されたものでございまして、これは自分が作つた自分のものでございます。ところが金融界に集りました金は自分のものでなく、預つた金でございます。若し自分のものは自分で分けるということであれば、これは甚だ卑近な例で恐縮でありますが、鉄鋼は鉄鋼局なり鉄鋼連盟なりで配当計画を建てたらよろしい。石炭は石炭協会なり石炭廳が分けたらよろしい、硫安は化学局でやるのがよろしいという議論が成立つのでありますが、ところが現在は鉄鋼会社は勿論鉄鋼局でも鉄鋼の配当計画を建る権能は全然ないのであります。これは飽くまで綜合企画官廳であります。安定本部で全面的に行つておるのでありまして、そういう意味から申しましても、この資金の配分というものをバンキング・ボードでやるということは妥当でないということが十分にいえるのではないかと私共考えております。それから更に最後のバンキング・ボードの所管大臣につきましては、この意見書の中にも述べてございますが、安定長官にしたらよろしい、総理大臣にしたらいい、或いは大藏大臣にしたらいいとかいう意見がありましたが、併しながら結局におきまして日産協としましては所管大臣は大藏大臣にするのが適当であるということになりました。これはスキヤップから出ました指針にも大藏省から、つまり金融と財政を分離するということはありますが、必ずしも大藏大臣の所管に置けということを指定しておるわけでございません。大藏大臣にした方がよろしいという理由は、ここに書いてありますように、バンキング・ボードの握ります権限は主としてお札に関する、いわゆる日本銀行券の発行に関する問題でありまして、これはどうしても当然バンキング・ボードの所管に入るわけであります。ところで御承知のようにお金は銀行券だけでございません。いわゆる政府発行の貨幣があります。これは貨幣法におきまして大藏大臣の所管になつております。ところが同じ通貨でありながら銀行券は、バンキング・ボードであり、本來の貨幣の所管は総理大臣であるとかいうようなことになりますと、同じ通貨の所管関係が二分化しまして、これは誠に便利が惡くなると思います。
 それからもう一つ、ここにはいろいろな関係を考慮しまして、その理由の一つに挙げなかつたのでありますが、今一つ、非常に同じような点で、若しこれを大藏大臣にしないときは不便が生じますことは、これは將來の通貨クレディツトの設定に関する場合のことでございまして、御承知のように通貨のクレディツトというものが仮に將來設定されるといたしますれば、これは政府対政府の國際協定になるわけで、決してバンキング・ボードとの関係になるわけではございません。從いましてこの通貨クレディツトの運用の問題は、これは一に掛かつて政府、即ち大藏大臣の所轄の下に行われることと思うのでありますが、仮に通貨の安定のために通貨クレディツトが設定された場合に、これは、バンキング・ボードの所轄を総理大臣、そういうようなことにいたしますと、銀行券だけはバンキング・ボードで、從つて総理大臣、ところが本來の貨幣である通貨クレディツトの関係は大藏大臣ということになりまして、爲替政策の上で日本の爲替制度の根本が二分化せられたような恰好になると思いますので、これは産業界として利害関係を通して見ましても有利でないとか有利であるとかいう問題と離れまして、日本の將來を考えまして、これはどうしても大藏大臣でなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。これは所轄の大臣のことに関する問題でありますが、産業界としての利害関係からそういうことを申すわけではなくして、これは日本の現実を考えてそういうふうに我々は考えておる次第であります。大体私から申上げたいことはそれだけであります。
#13
○委員長(黒田英雄君) それでは御質問を願いたいと思います。
#14
○委員外委員(小川友三君) 簡單にお伺いいたしますが、今のバンキング・ボードの問題でございますが、産業界では金融と産業の配給機関は單一細胞のものがいいのではないか、AならAというような一つのものがいいのだということは、今日おいでの皆さんの御意見であります。ところが話を長く聽いて参りますと、それが枝葉が分れて來まして、皆さんの御意見が纏まらないところに來ておるように思いますので、そこをお伺いいたします。安本が資材を配給する、それならばバンキング・ボードも、或いは今後作ろうとするいわゆる審議会というものも、結局安本長官がその中心になつておれば話が非常にいいのだという、皆さんの結論はそこに行くのではないかと思います。
 それから今仲矢さんは大藏大臣とバンキング・ボードの委員長との食違いのお話をなさいましたが、それは食違つたように見えますけれども、内閣総理大臣の所管にいろいろないわゆる細胞の大臣があるのでございまして、そういう点は余り氣廻ししないで、産業を振興させる重点からちよつとお伺いを続けて参ります。つまり單一細胞の中で残業と金融というものを円滑にやりたいという御意見が急所なのでございます。皆さんの方針はそこでありますからして、安本長官を代表としてやるということにしたらいいのではないかと思いますが、それにつきましてバンキング・ボードはやはり大藏大臣がいいのだというと、二つの細胞になつて参りまして、複数の細胞になつてやりにくくなるという食違いがある。皆さんの御意見は初めはそうなつておりますが、終いに食違つておりますが、この点につきまして御所見をお伺いいたします。
 それからバンキング・ボードの問題で、産業界の意見を代表する委員が出るだろうけれども、それだけでは産業界の意見を十分反映させることができないということでありますが、これは十分意見を反映させるには金融界を四にして、産業界を六にしたら相当いけるのではないかと思いますが、それに対してどういう御意見でありますか、お伺いいたします。
 それから(五)の通貨発行限度の問題でありますが、通貨発行審議会で決めてしまうのだと大雜把に書いてありますが、これは最後は國会で決めるのでありますからして、産業界と金融界とバンキング・ボードというようなもので発行高を決めることはできないものでありますからして、それにつきまして研究をお進め願つて、これは纏つていないかと思いますが、お氣持をお伺いいたします。
 それからバンキング・ボードの問題に対して産業資本家は非常に恐れておりますけれども、産業資本家が、今日いらつしやつておる方は相当の一流会社と思いますが、株式をどんどん増資して行くという立前を採つたら、金融委員会或いは金融協議会というものができましても、何をか恐れんやと思いますが、その点につきまして社債を出す、或いは増資して行くという手が幾らも残されておりますが、こういう点については十分お考えと思いますけれども、市中金融機関だけでは困るという御説も御尤もと思いますが、増資して行く、社債を出して行くということでありますれば、現在の産業会社の一流会社でありますれば、二倍、三倍、五倍くらいの増資は不可能ではないと思いますけれども、そのお見通しを伺えれば幸いと思います。
 それから帆足先生にお伺いいたしますが、資金計画ですが、総合施策をやる、その通りでありまして、そうして昭和二十三年、二十四年、二十五年、今後五ケ年計画をやる場合、産業資本家の信用を中心としまして、どのくらいの資本が産業資本家によつて集められるか、來年はどのくらい、再来年はどのくらい、株券の増資、社債の発行をして、國民がどのくらい消化して行くか、及び市中銀行がどれだけというお見通しが分りますれば、來年は何百億、再来年は何百億という單位を以てお漏らしを願いたいと思います。
#15
○説明員(永野重雄君) 只今の御質疑の中の所管の問題で、物の面なり或いは燃料なりという生産的の方面のことだけは安本を中心にして計画を立てて、資金が大藏省であるのは如何にもお前は矛盾するようなことを言つておるじやないかというように伺いましたが、実は私共が考えております所管の意味は、政府の機関であれば人事とか予算に対しまして責任を持つ官廳が必要なのでありまして、さような意味合での所管を申上げましたので、資金計画の配分については現在やつておりますように政府が各省寄つて研究して、それを安本で産業別に割当てられるという扱い方を申したのであります。ただ先程ちよつと説明をいたしました中に、金融方面の希望としては相当高度の権限を金融委員会に與える。実はその基といたしまして先方から参ります要請の中にノン・ポリティカルというようなことがある。政治と金融財政と金融を分けろという趣旨から言えば、資金の配分整理等についても、相当大きな権限をバンキング・ボードが持つというようなことに対しまして、先程來産業界の者といたしまして我々が申しておりますのに、飽くまで金と物とは並行して、相互に関連を持つ生産手段であるという意味から一つの中でやつて頂きたい。從つて政治的に無関係だ、ノン・ポリティカルという面から言えばおかしいが、実際から申しますれば、その金の処理というものが生産と背馳した行き方をして責任を持てない、どうしてもそれに対して國家が、総合的に責任を持つておられる國家の直接の機関としてやつて貰いたいという趣旨から申上げたのであります。
 それから次にこれは後から帆足さんから御説明するようにというお話でありますので、私から申上げるのはどうかと思いますが、只今のところ産業方面としましては長期の資金或いは中期の資金等について処理できるような施策が願いたいと申しておるわけでありまして、これを社債なり、増資なりでできるのではないかというような御意向に伺つたのでございまするが、現在のような、これは國のインフレを抑制するというような立前から、物價政策、その他の諸施策の結果、必ずしも各産業は全部とは言えないでしようが、相当大きな産業部門におきましては資金を自分の力で集めるだけの段階に至つておりません。それでどうしてもそういう資金に対して自己の信用で、集めていいような資力或いは信用を持つている、仲立ちして呉れる機関があればいいのですが、確に、現在は只今おつしやつたような意味の自信と力を持つていないような立前になつておりますので、この点をちよつと申上げます。
#16
○説明員(大塚万丈君) 今の何で、ちよつと私感じましたことを補足的に御説明申上げます。バンキング・ボードの委員に産業界の委員を五人でも三人でも十分入れまして、強いて諮問委員会というものは必要ではないという御質問、これは実は我々も考えたのでありますが、どうしてもこのバンキング・ボードの委員会が多数になるということは、第一におきましては、一体それ程の人数の必至があるかないか、つまり仕事の量と質の点におきまして、日常の事務というものはそれ程沢山あるかないか。この点が第一の点……。そういう点から考えますと実はこれに詰め切つて毎日々々やられなければならん、いわばビジネス・ワークというものの量というものは、それ程多いことはないのではないか。極く少数でやつて行けないことはないのじやないかということが第一の理由……。それから第二の理由としましては、むしろこういうような機関はできるだけ少数で、簡素な機構で迅速に適確に判断をし、結論を出し、これを施行する、こういう能率的な動き方が必要なのであつて、その場合には、多数で以て構成する委員会、たださえ委員会というものはややもすれば纏り難いもので、いわゆる時間的に能率的でないということが、これはよく言われることでございまするが、況んやこれが多数になりました場合には、果してターニングがうまく行くかどうかということは、これは実際問題として考えなければならん、そういう点から申しましても委員ができるだけ少数の方がいいということになります。ところがその場合少数を、仮に前提としていいとした場合に、産業界の人間の入る余地というものは極く僅かでありまして、いわば一人か二人しか入れないということは事実であります。現に三人がいいか、五人がいいか、極く少数に考えてるわけであります。その三人から五人の間に産業界の人間が多数入つて行くことは実際困難であります。そうして御承知のように複雜な産業界であります。ところがあらゆる種類のものを持つている、規模から申しましても大小様々でございます。而も國内関係だけでなく、國際関係も將來はいろいろ生じて参ります。かように複雜な産業界を代表する者が、一人、二人で果して全般的に眼を注ぎ、全般的な知識を持ち、そうしてそれを前提として十分なる意見が述べられるかどうかということになれば、事実これは神業に等しいことでありまして、困難であります。そこでその補助機関としまして、産業界の今後の重大な任務に鑑み、又適正な運用を期する意味から言いましても、その完全な、そういう意見を発表する機関として、そういう諮問機関というようなものをお作りになれば、そこにできるだけ、許される限りの多数の産業人を出して、そうして余すところなくその考えを申上げ、或いは発表する機会を得たい、これがその考え方の根本であります。それからもう一つ、今永野君も御説明になりましたが、産業資金の中で、特に長期資金について、我々が重視をしている一般銀行に長期金融をやつて貰いたい、殊に債券を発行して貰いたい、こういう要望をいたしましたことにつきまして、その必要はないではないか、大体大きな会社は皆んな自分の資金そのものを増資の形で取ればいい、又それが足りなければ社債を発行すればいい、正にその通りであります。私はこれは否定いたしません。併しながら御承知のように我が國の産業の構成は大きなスクールの企業ばかりではございません。而も我が國の産業の特徴といたしまして、中小企業が非常に廣汎な又重大な責任を持つております。事実大会社が代表されます場合でも、その下部機構としましては中小企業が皆その手足となつて動いておるのが実情でございます。從いましてこの中小企業の金融というものを軽く見るわけには行きません。ところが大企業が起債を発行し得る場合におきましては、中小企業は自己の信用において債券を発行し得るということは極く稀れであります。少くともそれだけの信用がない。そういう場合には何と申しましても信用のある機関を通じて長期金融を求める、これは当然なことであります。又事実それができませんければ中小企業の金融というものは必ずしも円滑を期し難いと思うのであります。たまたま中小企業に関しまする特別な金融機関を設けるといたしましても、これに中小企業の全般の金融を賄い得る程の機能を発揮し得るかどうかということになりますと、我々は非常な疑問を持つのであります。これは極く普通の金融機関では、その危險、その信用、あらゆる点を考慮して事実行い得ない。特殊な者が主として委員になるということは先ず常識であります。そうしますと、一般の業務に從事する者で、又その信用程度におきましても普通の者が一般の金融機関に信用を求めるというのは、これは普通の途でありまするし、その場合に長期金融を如何にして求めるか。これは最も簡單な而して最も実際に即した行き方は、銀行というような大きな信用を持つた機関を仲介者として長期金融を求めるというのが当然であるし、又一番効果の多い行き方である。必ずしも大企業のみを前提としてこれを考えていないということを申上げておきたいと思います。
#17
○木村禧八郎君 ちよつと一つお尋ねしたいのですが、財政と金融の分離の問題ですが、只今お話伺つておりますと、財政と金融を分離しなければならない事情につきまして、例えば市中銀行へ集つた蓄積資金の中で、公債を発行して、その公債の強制引受のような形で公債を持たさせる、それらは市中銀行は自分で作つた資金で消化されますから、そういう意味で市中銀行などではバンキング・ボードに強い力を與えてそうして市中銀行の蓄積資金に公債を組み込まないようにする、そういうことをまあ希望する、そういう行き方が一つの財政と金融の行き方だと思いますが、もう一つ、今の日本の差迫つての、又現在の問題として財政と金融を分難しなければならない理由は、例えばこの政府の價格政策の誤りなどで、例えば石炭、鉄鋼その他で公定價格の上げようが不十分なために赤字が出る、その赤字を債格差補給金で補わなければならない、けれどもそれだけの税が取れない。又公定價格を上げてもその赤字を消し得ない場合には、例えば復金あたりにその信用を持つて行つて、復金融資としてこれを一時的に赤字を消して行くという方法がまあ取られれば、これなどは財政の当然負担すべきものを金融に轉嫁する。これなどは財政と金融を最も混同した著しい例じやないかと思うのです。財政と金融の分離の必要は、今の現実の問題としては、こういう面に非常な重点があると思うのですが、まあそうだとすると、やはりこういう問題を適切に処理するには我々はバンキング・ボードに権威があり、力がないと、相当総合的な観点から調整しなければならないが、そういう点についてはどうでしようか。大藏省の下請みたいな恰好にありますと、そういうところではうまく調整できないのじやないかと思いますが、この点はどうなのでしようか。
#18
○説明員(永野重雄君) 只今の財政と金融の問題、おつしやいましたように市中銀行に公債を押附けるというようなことで、或いは政府の施策の悪かつたところを金融方面に押附けるということは正にその通りであります。我我の申します先程來の言葉の表現が或いは悪かつたのかも知れませんが、財政と金融を全然無関係にするという意味ではない。その間を関連なしにという意味では毛頭ございませんので、ただ先方と申しますが、某方面から來た指示の中のノン・ポリティカルということになつて来て、日本の政府として責任の持ち方が非常に軽くなつて、特定の金融機関を中核とするボードの意思だけで動くのでは我々と政府と意思を同じくして、生産計画を立て、それを実施する場合に、その齟齬をどうするかという点でございます。從つて只今おつしやいさしたような点につきましては、これに政府として考え願うべき点であります。從つてその点との関連をどうするかという問題を、私共実はうちわで研究いたしましたときに、このボードが政府の施策に対して強力に参画する措置を講ずる、こういうようなことで、この間の関連を調整して行つたらどうか、というふうに考えております。
#19
○木村禧八郎君 もう一つお尋ねしたいのですが、その場合強力に参画するといいましても、今の官僚制度、官僚機構からいいまして、いわゆる参画するだけではどうも困難であつて、やはりそこで政府機関とするとなつておりますが、政府機関において相当力のあるものでないと、これは永野さんあたり直ぐお分りになると思いますが、今の官僚機構ではただ参画するだけでは非常に実際問題としては弱いのじやないかと思います。それからこれにちよつと伺つてみたいと思つたのですが、実際問題としてこういう場合財政の編成権、そういうものを総理廳に移してしまつたら、総理廳の下に、内閣の下にバンキング・ボードを置きますれば、いわゆる財政と金融の調整は内閣の下で一本にできるのじやないか、それは一つ飛躍しておりますが、そういう場合を一つ考えたら、財政と金融との調整の問題はうまくいくのじやないかと思いますが、どうでしようか。
#20
○説明員(永野重雄君) 只今の点は大藏省所管というような我々の説明が足りなかつたので誤解があつた点かと思いますが、この大藏省所管というのは、大藏大臣が最後にそれをやるということを意味するのではありませんで、先つき申上げましたように、どうせ政府機関とする限りは、所管大臣がおるわけであります。從つて予算の関係とか、いろいろの関係について大藏大臣がやつて行くという意味でありまして、今の資金の配分計画というような点につきましては、これを即大藏大臣だけでやるならば意味がない。財政金融のノン・ポリティカルの線からいえば意味がないことになります。そういう点の総合の配分計画についでむしろものの総合配分をやつておる。今まではいろいろの省、各省が寄つて幹事役を安本がやつておる。我々はこう考えておるわけであります、從つて今の内閣につけたら、その間の調整がうまく行くのじやないか。こういう趣旨でありますが、それでは現在の安本の機構が内閣に所属しておるので、おつしやるような結果になるのじやないかと思います。
#21
○説明員(帆足計君) 先程小川さんからちよつとお話がありました点二つ、一つは金融政策において、國会と行政官廳との関係はどうなる。例えば通貨審議会のごときは、國会がやるべきではなかろうかというような意味にとられるお話がありました。私は、この問題ば実は経済政策全般において、立法府たる國会と、行政官廳と最近流行になつております。やや自治的機構の委員会、この三者の関係をどうすべきかという問題に現在のような行政が非常に量的に厖大しております時代におい、國会と行政との関係はどうあるべきかということの本質的の檢討が必要であると思つております。と申しますのは最も著しい例といたしまして、今般経済安定委員会という常任委員会ができました、この経済安定委員会が何をするかということになりますと、先ずこの問題にぶつかつたわけでありますが、考えて見ますると、國会は立法府であり、行政は行政事務をやると一口に申しますけれども、最近の傾向では、立法、行政以上の高度の國策を必要とする問題が多々ありまして、五ケ年計画のごときはその最大のものでございます。而もこの重要な八千万國民の努力目標を決定する五ケ年計画、それによつて資材の割当、資金の割当、教育文化の進むべき大体の目標まで考えねばならんこの計画が、國会においてまだ一度も正式に審議されていないというようなことは、一体どこに欠陷があるのであろうか、こう考えますると、問題は極めて重要であると存じております。又立法と行政との中間に、國会が考えねばならん問題が新たに起つております。例えば物資や物價に対する統制の法規は、僅かに数ケ條で恰も総動員法のごとき形で出ております。そうしてその眞実の内容については、すべて行政が一手にこれを握つておるという現状でございます。これに対しまして私は少くともこれらの法律が出ましたならば、同時にそれに附帶いたしまして、この法案を運用すべき大体の基準、その機構並びに運営方法及び監査方法等につきましては、國会が責任を持つて手綱だけは握つておる。手綱を握つておいて、その範囲において行政に仕事を許す、併し手綱を緩め、生鮮食糧品のごときはもう撤廃する必要がある、又或る種のものについてはもつと統制を励行する必要がある。そういうことは國会において手綱が握れるような機構にして置く必要がある、こういう問題を考えますと、二十年前に國会がも抜けの殻となつて、間違つた方向に國が流れて参りましたときに、これをどうすることもできなくなつた。然らば現在そういう曾ての國会の失敗が批判されておるかと申しますと、まだ十分に深刻な檢討が加えられてはありません。從いましてこの問題は至急國会において採上げまして再檢討を必要とする問題ではなかろうか。本論から若干離れましたけれども、金融政策の問題も基本国策に関する問題でございまするから考えておることを申上げて置きます。それから資金が今後どれくらい要るかという問題につきましては、産業界といたしましても五ケ年計画の委員会に参画いたしておりまして、各業種からそれぞれ意見を述べております。第一衣の五ケ年計画におきましては御承知の通り、数兆も要るという天文学的数字でございました。これは当然圧縮されねばなりませんけれども、これを仔細に檢討いたしますと、御承知のように只今の経済状況ではややもすれば、生産は食込みの状況でございまして、むしろインフレによる物價騰貴で実際は損をしておる状況でございまして、復興が軌道に乗るに連れ、資金の蓄積は段々増加して行くことを期待いたしますけれども、尚且つ繋ぎや時間的ずれを調整するために、國家資金の持つ役割は非常に大きい、そうするとやたらに國家資金にたよるということになる。國家資金とは何ぞやと反省すると、國家資金の実態は或る種のやはりインフレと見るべき部分が大部分でありますから、木村委員の指摘されたよりに金融の健全性及び産業の健全性を守りながら、資金を捻出して行かねばならん、それを守らずに資金を捻出すれば、結局インフレでございまするから、これは極めて重要な問題であろうと存じます。このように資金が欠乏としておるというと、同時に資材が欠乏としており、企業の再建に莫大な資材や技術が要るのでございますから、これはどうしても外資の導入なくしては解決できない問題であろうと存じます。從いまして外資導入態勢をどういうふうに考えればよいかということは、今後この委員会におきましても又経済安定本部その他の関係委員会におきましても、至急檢討しなければならぬ重要問題であろうと、このように考えておる次第でございます。
#22
○説明員(金井滋直君) 只今木村さんから、物價政策の不徹底のためにそのとばつちりが財政の部面に、一般の市中金融に大きな影響がある。つまり物價で負担すべき償却とか、或いは又その他の当然物價の中に含めなければならぬものを、他の事情から、他の國民経済全体の見地からこれを物價から外してしまうという物價政策の不徹底のために、復興金融金庫においても、又市中といたしましても貸付が焦げ附くというような事態になつておりますることは、これは私共産業人としては遺憾であると同時に、実は非常に迷惑している。私共はこの問題は、この金融の委員会としてでなしに、私共の設けております物價委員会の方で目下檢討中であります。そうしてこの問題は物價で負担すべきものはすべて織込んで、いわゆる着通の経済観念における物價の本然の姿をこれからの物價の中に現わして行くようにしたいという努力を続けておるのであります。そういう点をここで改めて私から御注意申上げて御参考にしたいと思います。
#23
○説明員(永野重雄君) 先程の木村さんのお話の中に実は前の方で御説明申上げるのを落したような氣がいたしますが、ただ強力な参画だけじやどうかというような御意見がございました。実は産業方面といたしまして、政府が責任を負つて貰う機構で以て行けば動く、先つき申上げましたような物と金とが大体併行して動くというようなことを重点にすれば、どういう國家機関ができるか、これが今の政府と離れた意味の強力機関だけで動く、我々は資金の持つて行き場がないということになつておるのであります。從つて例えば先程のように政府が一方的にやつて、その結果市中金融機関に不当な圧力を加えて行く、或いは政府の施策の欠陷を又市中銀行に轉嫁して行くというようなことになる場合は、これは從來もあつたと思いますし、又あつたこと想像されるのでありますが、そういう場合に被害者の面から或いは産業面から或いは場合によれば金融方面から國会を通じて幾らでも政府に対して追究糾彈の途があろうかと思います。併し今のように独立したバンキング・ボードにその権限が全部行つてしまうのでは、國会を通じて我々は言う術がない、結局すべての場合に言いなり放題にならざるを得ないという形になるわけであります。從つて仮にバンキング・ボードが強力な参画の措置をするということを我々が言つておりますのは、ここで極く抽象的な言葉を使つておりますので、参画では最終的な機関じやないというような御疑問があるのは御尤もと思いますが、今一番大きいのは政府のやつたことに対して國会という大きな力、国民の総意を以てする力があるわけでありまして、こちらに持つて來ることも残されているわけであります。或いは委員会でこれを決定的にすれば、参画じやないということになるかも知れませんが、併し極く非公式であるけれど、現在各種の委員会があります。その委員会で意思が纏まらない場合には、結局政府としてはなかなかやり得ないような、又やれないような実情にあるのではないかということは御推察の通りであります。こういうふうな機構にいたして、これが勝手にできないということも考えられるのではないかというようなことで、ただ具体的には強力な措置の内容については、まだ案として申上げただけの段階になつておりませんが、一番強い方法としては、國会を通じて持つて來るということもあるわけでありまして、さような意味合におきまして政治的に仮に間違つたところのあるものを追究する手段が全然ないという方面ですベてが処理されるよりも、今のような政府が持つておれば只今申上げましたようないろいろの方法で以てこれを善処する途があるのではないか、こういうような意味でこの字句の御解釈を願いたいと思います。
#24
○委員外委員(松嶋喜作君) ちよつと重複するようですが、私は一番大事なことは、從來言われておる財政と金融の分離ということですが、財政と金融の分解というその意義が非常に曖昧でございまして、何を以て財政と金融の分離と言うかということが非常に疑問なのであります。私は結論的に申しますと、財政と金融は嚴然と分離し得るものではない、日本の從來の金融とか財政という面から見ると、どうしてもこれは相互に融通して合わなくては産業は起らん。非常な蓄積も少い、而も資力の、富の少い我が國では、どうしても財政の力を借りなくては産業というものは起らんということは、過去の歴史からもはつきりしております。併しながら我々はこの復金融資につきましても非常に金融を反対したのは、先程木村委員の申されたように、補給金のごとき或いは当然政府から約束して受け得べかりし金が、時のずれによつて受けられないから融資を受ける、これは必ずしも悪いことではないと思います。要は結局借りる方と貸す方とで非常に轉嫁についての意思の差がある、一方は貰つたと思い、一方は補給金のつもりで出しておればいつになつても返えらないので、その尻が結局國民の負担になる、私は仮に赤字金融であつても、それが貸したものが必ず返えるという目処がついておれば差支ないのであつて、要は財政と金融の分離ということは、アメリカでもワシントンに政治の中心を置き、ニューヨークに金融の中心を置いて、そうしてその財政と金融とが混淆して金融機関を倒したり、或いは大衆に迷惑を掛けないという大きなめどの下にあつたので、私はこの財政と金融の分離ということは、要は財政資金を出しても必ずそれが有意義に運轉して返えるものなら必ずしも惡いことはないと思いますが、一体この立案をされる方が財政と金融の分離という概念をどこにおいてやられるのか、財政と金融の分離ということをただ大藏省から離すということだけではいかんので、私は要は財政と金融に或いは大藏省の十一條公債を持たすとか、或いは大藏省証券を不意に出すというようなことも財政と金融の分離でありますけれども、結局財政と金融の分離というのは、政治方面のインフルエンス、金融機関が潰れる、変化を起き得ないというような意味において分離排撃して欲しい、このように思います。それから長期金融については是非とも大塚さんその他の方の御主張のように日本の金融機関は長短併せて行い得るような機構を考えて頂きたい。何となれば日本にはアメリカとか英國式の純短期金融というもので専門の銀行は立ち得ないと思います。これは仮に短期の形で融通をして表面上は短期に見えますけれども、実際上の金融の系数を調べて見ますと、短期で集めたところの預金の何パーセントは必ず長期にやつておる、又そうしないと銀行経営の利潤の上にバランスがとれない、短期金融のみでやつておれば、殆んどそういう短期金融というものは非常に量が少くて、大きな銀行と、多数の銀行が、その短期の低利の金利では賄つて行けない、かように思いますので、今の御主張は是非特殊銀行に長期を扱わすというのではなしに、安全性を持たして市中銀行も非常に大きな預金の集まる所には必ず長短両用のこの方法を講じて頂きたい、それが健全な償還を受けるめどのついておるものであれば、或いは金で行詰つた際にはそれを救済するというような方法を講じて、是非とも短期長期の両用の行き方を堅持して頂きたい、かように思います。それから中小工業はこれから非常に大事なのですが、これは大正十三年震災後のときから非常に強調されて、中小工業という声が起つたのですが、これはどうしても社会政策的の意義でなければ、純金融では先程大塚さんのおつしやつたようにも行けませんから、これは中小工業をフアイナンスするのにはどうしても國家の保護ということが必要でありまするから、これを若し嚴密な意味において財政と金融を分離したら、中小工業なんというものは殆んど融資の途がなかろうと思いますから、この点も一つ十分別個に財政と金融の分離という意味を嚴格に守るということの外に、一つ特殊な方法を考えて頂きたいと、私はこのように思います。その一つ財政と金融のカテゴリーについてどういうお考を持つておるのか、その辺を一つお聽きしたいと思います。
#25
○説明員(大塚万丈君) 今の財政と金融との区別をどこにつけておるか。実は我々理論的にこれを細かく分析してこれから財政だ、これから金融だというふうに考えておるわけではございません。勿論これは常識的に財政と金融とはおのずから区別があることは分つておるし、又我々は一應そういう常識を前提に考えております。そういう常識的な前提の下に考えられました財政と金融におきましても、実は國家の運営上これを完全に切離して運営できるかというと、私はこれを個人の考でございますが、できないと思います。現にケーンズの流れを汲んでおりまするアメリカのハンセンなんかもそう言つておりますが、今後の國家の財政というものは、要するに公共の福祉のためにはあらゆる面でやらなくちやならん、金融の面であろうが何であろうがとにかく出て行かなければならない。そういう意味においてそういうフル・エンプロイメントのためには財政的な面における考慮が非常に必要なんであつて、その意味における財政的な働きというものを軽く考えてはいけない、むしろ積極的にこの財政と金融、この仮に二つの範疇を考えた場合に絶対に区別しなければならんどころではない。この両者をうまく、むしろ財政がすべてをやつて行くというような指導的な考え方を持つておるように思いまするし、又は事実今後はそういうふうに行かるべきではないかというふうに私は考えております。從いまして財政と金融とをはつきり区別するという意味では、そういう極く理論的な考え方ではなくて、極めて常識的な面におきまして、先つき松嶋さんがおつしやいましたように財政が金融を不当に圧迫してはならない。金融の円滑な運用を阻害してはならない、私共はさような見地から考えておりますと申しまするのは金融はやはりその金融として、我々の立場から申しますと、おのずからなる自分自身の一つの原則があつて、その原則に從つて金融というものは動いて行くべきである。これが徒らに財政というものから他動的に不当に圧迫を受けるとか、妨害されるというようなことがあつては円滑な金融の運用はできない、こういうような極めて常識的な考え、それが極端になりますれば、先つきおつしやいましたように財政の圧迫のために金融機関が或いは不当なる運用をする、それがために極端な場合には或いは破産をするとか、行詰るというような事態も起つて来るだろうが、同時に産業というものが果して円滑にこれによつて動いて行くかどうかということすらも疑問になつて來るということは事実これは必ずあると思います。そういう意味におきまして私共が考えております財政と金融という問題はそうむずかしく考えておるものではなく、極めて常識的な考え方であつて、財政が金融を圧迫しない、阻害しないということに重点を置いております。從いまして先つきの機構の問題でも実はそういうような見地から本來ならば、これは財政と金融というものを対等の立場においてやつた場合、例えば所管大臣のごときも一方を大藏大臣がやるならば一方を他の大臣がやるということは決して悪くはない、而も万一意見が合わなかつた場合には最後には内閣総理大臣がそれを適当に処理すればよいというような考え方もございまして、実はむしろ安本長官というものが、仮に政治的なインフレエンスを余り持たないものであるならば、つまり政党の色彩を余り強く帶びないもりであるならば、安本長官が物と金と両方握つて適当に運用するということが適当だと思われるけれども、どうも安本長官というものは現在段々政治的な色彩が非常に強くなつて來たということが一つ。一つは何と申しましても一年限りの……と申しまするか、極く短期の一應機関だというような考え方で作られておる安本というものを長期の機関としての金融問題の処理機関としてこれを考える場合に適当かどうかというような点から実はいろいろ考えました結果、事実上機能的に区別をして行けば運用上差支はないのではなかろうか。そこで先つき永野君が言われましたような運用をして行つて、一應ただ議会に対する答弁の責任者としては大藏大臣が当るのがいいのではなかろうかというような考え方であります。從いまして先つきお話がありましたように、仮に財政の面が内閣に直属されるというようなことになつて、大藏大臣の所管から除かれるような場合、これが又仮に他の内閣における直轄の機関として運営されるというようなことになつても、別に、不都合はないのではないかと、こういうように考えております。いずれにしましても或る程度の分離と、或る程度の相互調整と、この両面をうまく運用して行くのでなければ財政と金融はうまく行かないであろうと、こういう考え方になつております。
#26
○説明員(永野重雄君) 先程松嶋さんの言われました点は、我々全然、実は内輪話を申上げますと、全然同じ問題が出たんであります。財政と金融といつても十分関連を持たなくては、こういう形になつて非常な密接な関連が要る。それをここでなぜ財政と金融の分離という言葉が出たかと申しますと、特定の政治力というもので金融をやつてはいかんということをここで極めて婉曲な言葉で表明したのが財政と金融の分離という言葉なんでありまして、この間には当然関連がなければならん。今のような意味合からそういう深い密接な点はどうして掲げるかということが実は重点になつおるのであります。内輪でも全然同じような考え方が出たんであります。
#27
○委員外委員(波多野鼎君) ちよつと意見書の中で一、二お伺いいたしますが、第一の財政と金融の分離の中で後の方に、我は政府が公債の発行その他の手段により特殊金融機関を通じて長期乃至中期の産業資金を供給するというような処置をとつて呉れということですがこの場合、公債の発行と申しましても現在では勿論市中で賣れるわけではないのだから、結局日銀引受になるということを前提としてお考えになつておいでになるのですか。
 それからもう一つ、そこで特殊金融機関というものを特にここへ挙げておいでになりますが、後の方でですね、最後に第五としてお附加えになつたと思いますが、長期金融機関の問題につきまして特殊の金融機関でやると独占的になつたり、或いは又相当情実的な問題があつて困る、ですから長期金融を普通銀行にやらして呉れ、普通銀行が何か債券など発行する途も開いて貰いたいという御意見が出ておる、この場合の債券も恐らくこれも日銀引受ということを想定しておられるでしようか、どうですか。尚今申上げた特殊金融機関は一面においてどうも困るというような、一面においては作つて呉れというような御意見を承るのですが、その辺一つ御説明願いたいのです。
#28
○説明員(大塚万丈君) 日銀と特に考えておるわけではございません。例えば復金のごときもこれは今お設のような機能を果すものだというふうに考えております。復金の処置は、これは又別途に……。
#29
○委員外委員(波多野鼎君) 私が日銀と申しましたのは、公債を発行した場合に、その公債はどうせ日銀引受になるのじやないか、そういうふうにお考えになつてのお話ですかということなのです。
#30
○説明員(大塚万丈君) 必ずしもそうではない。
#31
○委員外委員(波多野鼎君) 市中でも引受けるという、そういう前提でのお話ですか。
#32
○説明員(大塚万丈君) そうです。
#33
○委員外委員(波多野鼎君) 併し一方においては必要に應じまして、例えば復金等を活用されることは、これ亦必要に應じてはあり得る、つまり場合によつては、その極端な場合には今の日銀引受というようなところまで行くかどうかは、これは次の段階の問題でありますが、又資金が蓄積されない又金融の運用如何によりましては、実情において或いはそこまで行くことも考えられるかも知れませんけれども、一應前提としてはそこまでは考えておりません。
 それから第二の問題でおりますが、一方この市中銀行で長期金融を賄えば特殊金融機関は要らないではないかというお話でありますが、そこで矛盾しておるというお話でありますが、長期乃至は中期の産業資金を供給する途を開いて置くということは、実はこの復金という機関が一つ現実にあるということと、それから一つは特殊金融機関、例えば家屋を建築する、住宅の建築のために特別の金融機関を作るというようなその特殊金融機関を考慮しておるのでありまして、その間矛盾はない、その考え方に矛盾はないのであります。
#34
○委員外委員(波多野鼎君) そうしますと、前に言われておる特殊金融機関というのは復金のごときものではなくして、復金とか興銀とか勧銀とかいつたようなものではなくて、何か住宅建設とか土地開発の問題が出ておりましたですね。マッカーサーの手紙に……。ああいうものを指しておるのですか。
#35
○説明員(大塚万丈君) 現実には復金は考えておらないかというと、現実には過渡期における特殊金融機関はこれは勿論考慮しております。併し金融業法は必ずしもそういう臨期的な措置を前提としたものを考えてやるべきではない、これは飽くまでも安定した状況を前提に恒久法としてこれは考えなければならない、そういう意味から字句その他を使つておりますから、若干過渡的な措置と恒久的なものとの食違い等が或いは字句の上に出ておるかも知れませんが、考え方としては決して矛盾はないと私は考えております。
#36
○委員外委員(波多野鼎君) そうすると、後の方の普通銀行にやらせないでやはり特殊の銀行に中期、長期の金融を任せると独占的になつて工合が悪い。普通の銀行にやらせなければならないという考えは経済が安定した後のことを言うわけでございましようか。
#37
○説明員(大塚万丈君) そういうわけでございます。原則としてそうありたい。併しながら現実に即して何としてもそれでは賄い切れない。と申しますのは御承知のように資本の蓄積が少うございますから、市中の金融だけでこれが完全に賄えるとは我々としては考えられませんので、過渡的な便宜な方法としてはそういう臨期の措置として特別な金融機関がなければならないであろうし、又そういうものがあつても勿論悪いことはない、ただ原則としては我々はこういうふうにありたいということを言つておるわけであります。
#38
○委員外委員(波多野鼎君) もう少し……、公債の発行の問題に余り拘わるようですけれども、今の御説のように、金融業法はこれは勿論恒久的の立法なんですけれども、当面の問題に非常に直ぐ係わつて参るのですね、当面の問題を考えないで恒久的な問題を見るわけには行きませんから、当面の問題を考えますと、公債を発行して云々というようなことになりますと、この公債の発行は今あなたもおつしやつたように、國民貯蓄の少いときなんだから、市中銀行ではとても引受けられんだろう。結局当面の問題としては日銀に引受けさせるより外に方法がない。
#39
○説明員(大塚万丈君) 過渡期においては、これは理窟じやないのでございまして……。
#40
○委員外委員(波多野鼎君) 現実の問題として……、差当つての問題、今年来年の問題としてですね。
#41
○説明員(大塚万丈君) これは止むを得んと思います。それより方法がなければこれは……。
#42
○委員外委員(波多野鼎君) そういう考えなんですね。
#43
○説明員(仲矢虎夫君) 場合によつては赤字公債ということもその場合には考えられますけれども、日銀の引受のことなど……。
#44
○委員外委員(波多野鼎君) それから、もう一つ、やはりその問題に関連するのですがね。日本の資本蓄積が少ないということから日本の産業再建には外資の導入がどうしても必要だ。これは帆足君が言われた通りなんで、ところで外資の導入の條件としてといつちや少し強過ぎるかも知れませんが、外資を導入する場合において財政と金融との分離というようなことがまあ考えられておるのじやないか、こう思うのですよ。財政を健全にするとか、金融も健全にして呉れ、両方の関連がどつちかで立てられなければならんことは、これは言うまでもなのですけれども、一應両者共健全な姿にして関連さして行くという考え方だろうと思うんです。そういう考え方から実行することによつて外資の導入が容易になるということじやないかと思います。
#45
○説明員(大塚万丈君) お説の通りです。
#46
○委員外委員(波多野鼎君) そうだとすると、この意見書に流れる考え方ですが、例えば、今公債の発行に非常に拘わるようですが、これなども何だかこうちぐはぐのような感じがするんです。考え方そのものにおいて現実の問題として、ここ一年なり二年分問題として、日本の経済が安定した先きのことを念頭に置いて言われるのはこれはよく分りますけれども、そうじやなくて当面の問題として考えて行くと、公債の発行を謳つておられることはどうも私は合点が行かないのですがね。
#47
○説明員(永野重雄君) 只今の我々の意見書につきまして過渡的の問題と恒久的の問題を混淆しておるというような御指摘があつたのですが、正にその点おつしやる通りなんです。最初の第一のところで書きました。最初の頁の末行にございますね、「いま直ちに、いつさいの産業資金をもつぱら一般市中金融機関の融資に限定することとするときは」云々と書いておりまして、それでは長期の金融ができない、だから特殊金融機関に任せる、これは只今大塚君から御説明申上げましたように、これは特殊金融機関を考えておるのでありまして、住宅建設の資金を考える……、先程もちよつと話が出ましたが、中小商工業の金融機関を考える必要があるのじやないか、そういうものも考える必要がおる。それでは短期の資金を前提にする一般市中金融機関を作つて置きながら恒久的な問題として、一般金融機関としては、特定なものについては債券の発行を許せ、長期資金の獲得を許せということはちよつと矛盾になるか、その公債は恒久的制度として考え、過渡的なものは今のようなところで、それが繋ぎをとるという点を一つに書き現わしたもので、御指摘になるわけですが、さような趣旨でございます。
#48
○説明員(仲矢虎夫君) 波田野委員にちよつと申上げますが、先程今のつまり恒久的立法と過渡期の措置の問題は、これは御指摘なさる通り、正にその通りの御意見がございまして、実は一番最初の議論では根本的の考え方の第一に、端的に申しますと、金融業法というような平時的な立法を今制定する時機に非ずというのが産業界の大体の率直な考え方であります。ところがその時機に非ずと申しましても、すでに有力な方面から指示が出て、現実に根本的に法案の制定その他が準備されておるとすればそういうことを言つてもしようがないという、非常に一番最初の案では、若しそういう立法も止むを得ずとするならば、理想的な平時状態を想定した法案にすることなしに、現実の事態に即應した暫定的の立法にして欲しいという意見が強くあつたのであります。若しそうして從つて可なり利害的な規定を多くして貰いたいというような意見がありましたが、又他方におきましては、法律として制定する趣旨に基いてやる場合にはそういうことはできないから、やはり恒久的立法というものを考えざるを得ない、恒久立法ということになりますと、やはり平時的な状態を想定しなければなりませんので、その場合には困るものですから、そういうような字句が、若干そこに匂いが出ておるわけでございまして、正に御指摘なさる通りであります。
 それから今一つは木村さんにちよつとお答え申上げたいのですか、木村さんが先つきこの財政と金融の分離につきまして、どちらかと言えばボードの権限を強化して、私の理解したところでは資金計画なんかもボードでやらしたらどうかというようなお考えではないかと解釈したのでありますが、この点につきましては、私は木村さんの念願されておるところは、恐らくは大藏大臣とか、或いは安本長官とかいうような、いわば官僚の力によつて動され易いところでそういう國策を決定するよりも、いわゆる何と申しますか、民主的にできるだけ現実に即應した、経済界の実状に即應したところで、事情の分つたところで決定した方がいいのじやないかという趣旨からの御発言と存じますが、この趣旨は誠にその通りでございますが、実際問題といたしまして、結局この問題はどちらも先程財政と金融の分離についていろいろお話しがありましたが、結局この問題の何しておるところは、金融を財政から分離するということによりまして、從來のいわば官僚的な財政支配から金融を解放するということが一つの大きな狙いでありますが、これは勿論当然のことでありますが、併し仮に先程の銀行関係方面からの要望のごとくに、仮にボードに相当の強力な権限を與えました場合には、これはどういうことになるかと申しますと、逆に今度は金融が財政を支配するという事態を招く結果になり勝なのでありまして、現にこのことは英蘭銀行の総裁が大戰中に如何に強力な権限を持つて國家の政策そのものを動したかということは、木村さんには我々から申上げることもないと思うのでありますが、そういう危險に比べればむしろ今後先程大塚さんからもいろいろ話しがありましたが、今後は國家のいろいろな政策というものが財政資金に負う面が非常に強くなることはこれは一つの歴史的な傾向でございますから、そういう場合は逆の、つまりイギリスその他で見られましたような金融の財政支配が國家にとつて危險であるか、或いは財政の金融支配が國家にとつて危險であるかということは、これは相当考慮すべき余地があるのじやなかろうかと思います。問題は結局そういういずれも危險がある問題でありまするが、これは國会の政治力によりまして、官僚の力というものは相当私は今後は抑え得るところであると思い、又そうでなくてはならんと思うのでありますが、それに比べまして、バンキング・ボードが仮に権限を持ちました場合の金融支配というものは如何に防止し得るかということは、國会の力では簡單にはできないのじやないかと、こういうふうに我々は考えるのでありまして、むしろ財政の金融支配が弊害があるか、或いは金融の財政支配が弊害があるか、これは木村さんのお立場としては篤と御考慮頂いて然るべきことかと考える次第であります。
#49
○木村禧八郎君 只今のお考えは御尤もであると思います。それで実は私はそういうことをする場合に、又別の案を持つておるわけなんです。それで申上げたわけなんです。実はそういう工合に金融支配になる場合とボードの二つ我々の考えとしては設けて、金融委員会と、もう一つは審査委員会と設けまして、審査委員会の方に各界の代表者を非常に大勢を網羅しまして、丁度フランスにおける金融理事会みたいなものを審査委員会としまして、その審査委員会には各界の漏れなく代表を網羅して、その審査委員会からバンキング・ボードの委員を選ぶ、そういう形で、要するにボードの人選のことになるんですね、その点は……、それは十分そのお説の通りに考えなければならんと思うのです。
 それからもう一つ問題になると思うんですが、この財政と金融の分離についてあちらさんが狙つておる点は、單なる財政と金融の分離についてだけでなく、あの前文にもありましたような、心理的ないろいろな立法とか、そういうものがあるということですね。それがすぐ例えば戰争なんか起るという場合、今後の日本にはないかも知れませんが、そういう場合には直ぐ戰費調達その他を金融によつて簡單に賄う今までのやり方は、そういうことを金融から拂拭させるということが一つの狙いになつておると思うのです。ですから平時状態というよりも、中和的な金融機関にしなければいけないということが一つの狙いで、それは日本の今のこの実状に副わないかも知れませんけれども、やはり金融の行き方として向うではやはり強く要望する点じやないかと思います。少しそこにギヤップがあると思います。
#50
○説明員(仲矢虎夫君) 先程のボードのことにつきましては私よく分りましたんですが、ただこの問題につきましては、この案そのものの中にはそういう専門的な意見が出ておりません。金融制度改革懇談会におきましても、そういう木村さんのおつしやるような方針の案は全然見られないわけであります。我々はその全然見られない案に即して、現実の事態においてはどれが一番いいかということについて考えますと、先程申しましたように、むしろボードの権限は余り大きくしない方がいいんじやないかという結論に達した次第であります。
 今一つ日本には戰争はないわけでございましようが、戰争その他の政治的な理由によつて財政が金融を無茶苦茶にするという危險を防止する必要があるというお話でございますが、それは正にその通りでありますが、併し先程大塚さんからもお話がございましたように、いわゆる金融界の……、何と申しますか、営業の原則というものは、要するに市中の普通金融におきましては資金の安全性、或いは收益性、或いは流動性、大体この三原則に基いて市中金融は運営されるわけでございまして、これを普通の金融に放置しております場合に、この三原則に立脚した部門というものは、日本の現状において果してどれだけあるかということは、現在の市中金融に依存しておる場合に、復興計画が遅れて、そのために現在復興金融金庫というものが幾らかその三原則から超越した高い立場から復金が運営されておる事態を考えますときは、將來とも日本の場合におきましては、例えば住宅金融でありましても、或いは農業金融その他にいたしましても、いわゆる市中金融の三鉄則に合格するような融資部門は非常に少ないんじやないか、こう考える次第であります。從いまして例えば收益性は非常に小さいが、將來の日本経済として是非ともやらなくちやならんという事業に対しては、三原則の適用よりももつと高い政治的な立場から金融をする必要が出て來るのでありまして、その金融……どちらかといえば結局政府のコントロールの下に立つ資金たらざるを得ないわけであります。そういたしますと、そういう分野が將來廣くなるとするならば、結局ボードの所管というようなところよりも、やはり政府に対して或る程度の強力な発言権を持たして置いた方が日本の將來のためにいいんではないかというふうに私共は考える次第でありまして、特にアメリカのような資金の厖大な國と違いまして、何らかの方法によつて人爲的な手段をとらなければならんような日本の現実におきましては、市中金融機関だけの三原則による運用だけでは國家の経済生活というものは円滑に運用できんというのが我々の思想の根柢をなしておる次第でありまして、当面の問題におきましても、例えば鉄鋼に融資するというような場合に、果して市中銀行がその需要を簡單に充たして呉れるかどうかということは危ないものであります。そういう意味から復金が融資しておる。これは何も復金の運営が正しいとか何とかいう問題から離れまして、その根柢にそういう現実があるということを御承知置きを願いまして一つ御了解を頂きたいと思います。
#51
○説明員(永野重雄君) 実はバンキング・ボードが今度の金融制度の改革の一番中核をなす問題で、一番御関心を持たれて御勉強だと思います。実は只今まで申上げましたような問題は、実は先般金融方面、産業方面の者達が寄合ましていろいろ研究いたしまして、結論を得ますまでの間に内部で闘わし、又研究した議論でありまして、これは御参考になるかと思いまして申上げた次第であります。実は本件につきましては、いろんな角度から檢討いたしまして、最善の案をお決め願うものだろうと想像いたしますが、皆で寄合いまして双方の立場の者どもが寄合いまして一應要点はバンキング・ボードは何をするか、どういう権限を持つかと、いうことが結局重点なんでありまして、その点につきまして、この際我々で一應の申出る案として取決めたのは権限の内容としまして、バンキング・ボードは金融機関の組織に関する事項と、或いは金融機関の設立、営業免許に関すること、金融機関の店舗に関すること、金融機関の株主に関すること、金融機関の役職員に関すること、金融機関の業務に関すること、支拂準備及び公開市場政策に関すること、金利、手数料その他の資金融通條件に関すること、金融機関の決算に関すること、金融機関の業務及び財産の檢査その他の監督に関すること、その他金融機関に関する政策に関すること、こういう事項をバンキング・ボードが取扱つたらどうかということをば一應試案として取纏めた次第でございます。
 又バンキング・ボードの監督の範囲につきましては、日本銀行、普通銀行、信託会社、無盡会社、信用協同組合及びその他の協同組合の営む信用業務、復興金融金庫、預金部その他の特殊金融機関、その他金銭の受入又は貸金の融通を業として営む者、保險会社の資金融通條件に関する事項、こういうものについて監督したらどうかということを一應の草案として纏めたのであります、御参考までに申上げます。
#52
○委員長(黒田英雄君) 本日はいろいろ有益な御意見を拜聽することができまして有難うございました。深く感謝いたします。それでは本日はこの程度で小委員会を散会いたします。
   午後三時三十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒田 英雄君
   委員
           高瀬荘太郎君
           木村禧八郎君
           米倉 龍也君
  委員外委員
   大蔵委員長   櫻内 辰郎君
           波多野 鼎君
           松嶋 喜作君
           油井賢太郎君
           九鬼紋十郎君
           小林米三郎君
           小川 友三君
  説明員
   興國人絹パルプ
   株式会社社長  金井 滋直君
   日本製鉄株式会
   社常務取締役  永野 重雄君
   日本特殊鋼管株
   式会社社長   大塚 万丈君
   日本産業協議会
   事務局長    帆足  計君
   日本産業協議会
   産業部長    仲矢 虎夫君
ソース: 国立国会図書館
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