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1948/10/22 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第3号
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1948/10/22 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第3号

#1
第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第3号
昭和二十三年十月二十二日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○引揚者厚生対策に関する件
  ―――――――――――――
   午後一時五十九分開会
#2
○委員長(草葉隆圓君) これより在外同胞引揚問題に関する特別委員会を開会いたします。
 本日実は委員各位の要望によりまして総理大臣、大藏大臣、厚生大臣、農林大臣その他の出席を求めておりましたが、総理大臣はどうしても五時頃までは手があかないということでございました。大藏大臣、農林大臣もどうしても本日は出席いたしかねる事情にある、厚生大臣は三時過ぎには是非とも出席するという御回答でありました。從つて総理大臣に代つて佐藤官房長官が出席いたしておられますから、この点御了承を願いたいと存じます。矢野委員から発言を求められておりますから、矢野委員。
#3
○矢野酉雄君 今まで議院運営委員会で、木下君、三木君の北海道派遣に関する問題は、矢野から説明いたしまして、非常に熱心に休会中も示唆して頂いたことを説明して、是非残された調査を継続してほしいということは特別委員会の満場一致の希望であるから、是非御承認を願いたい、全員賛成して呉れまして、可決されましたので、御報告しておきます。
 それから本日総理大臣がこの特別委員会に御出席のないことは、実に残念でありますが、相当、委員長は、又事務当局は、周到な連絡をとつておやりになつたのでありますから、これは万止むを得ない事情のためであつて、決して本特別委員会に対する熱意がないための御欠席でないということを私は十分了承しておりますので、その問題については何ら意見はありません。併し、幸いに佐藤官房長官がおいでになつておりますので、これは本日でも、或いは明日でも、閣議の席上において、官房長官から、首相初め各閣員の注意を御喚起を願つて置きたいと思います。後で厚生大臣が出席せられるとすれば、その際に、各委員からも御発言があると思います。民自党内閣というよりも、吉田内閣のときには、石橋湛山君が藏相で、曾ては引揚者に対して一万円乃至一万五千円の生業資金というものを無條件に給與しようというような案も具案されたことがあつたのであります。そういう一つの歴史的繋りを持つ民自党内閣として、この引揚問題に関して内閣挙つて十二分の熱意をこれに示されんことを、冒頭に当つて官房長官を通して政府に強く要望して止みません。
 すでに六百二十万、未帰還者約六十万、家族合すれば三千万を突破するようなこの引揚の苦勞を嘗めております日本の同胞をこのまま放置せんか、絶対に私は祖國の民主化、祖國の独立ということも不可能であると思います。それで今まで私達、第一回、第二回、休会中、第三回の國会等、力を併せて万全を盡したのでありまするが、生業資金の増額においても、或いは復金の特別融資の問題においても、或いは復金の一般融資を通しての引揚者、未帰還者、家族の、その事業を通して國家に寄與するというその熱意を育てるという点においても、率直に申上げまして、まだ他のいろいろな施策に比べるというと、問題にならない程政府、國家の施策というものは微温的であります。現に御承知のごとく、未帰還者の軍人、軍属に非ざる家族に対しては、國家は手拭一本も金十円も給與していない実情であります。これは由々しき、デモクラシーの根本原理である平等の原則に去ること千万里であつて、このままに放置することは、人道上から言つても断じて許すべからざる問題であるし、資金、資材両方面から言つても、解決をすべきところの問題がまだ山積しておるのであります。勿論占領下にあるという條件のために解決のできないこともあるけれども、政府に非常なる熱意あり、積極的の火と燃える決心ができるならば、國会には両院共に引揚問題に関する特別委員会がありますから、國会を挙げて政府の計画施策を大いに支持したいと待ち構えておりまするので、本日の新聞を見れば、民自党は党議を以て引揚問題の解決を急速に図るということを御決定の由でありますから、政党政治である以上は、その趣旨に從つて御奮斗下さると信じて疑いません。是非この問題について、閣議を通して、官房長官から十分の熱意を以て当られるように要望して頂きたいと思います。
 その他例を挙げますと、失業手当法案の法律となる場合でも、当時同じ委員をしておりました岡元義人委員等を通して、私は米窪労働大臣に対して、引揚げて來た者は港に上陸した一歩から最も完全な失業者であるから、当然失業手当の法律の恩典に浴すべきものであるということを強調したけれども、何らか次の機会において方策を立てるからというような言質は與えられたけれども、現在に至るまで何らその具体的実現を見ない。或いは災害補償法案においても、手一本なくすれば、その翌日二万円程度の補償を受け、命を損じた者は二十万円程度の國家補償を受けるのにも拘わらず、我々に代つて今尚骨も凍るシベリヤのあの曠野において営々孜々として重労働に服しておるところの我々の同胞は、手をもがれ足をひしがれても、帰つて來ても何らこれに対する一銭の國家の補償もないという、平等の原則に反しておるのであります。
 つらつら各方面の事情を総合して見ますると、何故に生業資金の増額ができないか、復金の特融が何故にできないか、一般融資を通してその企業を大いに振い興して國家の建設に協力したいというこの命を懸けた体驗を持つておる引揚者がそれが絶対的できないような状態に何故置かれておるかといえば、その結論は、この前私は委員会で闡明しておきましたが、結局我々のこの要望が、引揚者の要望が、平等の原則を超えて分不相應に引揚者のみを優遇せよというようなふうな、非常なる誤解を受けておる。給與金は、御承知のように、本年の四月一日から未帰還者の家族は一ケ月僅に二百二十五円しか貰つておりません。扶養せらるるところの家族は、死んでも千円の葬式に過ぎない現状である。こういうような実体を見ますと、何らか引揚者の要望がすべて平等の線を乘越えて一歩を高い所から優遇せよというかのごとき認識を関係筋に與えておるのが一番の癌だと思うのであります。我々國会としても万全を盡しますが、是非あの吉田内閣のときに引揚者に対して一万円、一万五千円を給與するというような案まで計画されただけの御熱意を持つておられたこの民自党内閣といたしましては、この関係筋の認識の誤謬を起さしておるところの日本の内部的の各諸條件というものを一掃せられまして、もつともつと今の五倍、十倍、二十倍の一つの資材の上、金融の上に引揚者を待遇しても決して平等の原則にまだ達しないくらいの待遇であるというような認識を持つように政府は一つあらゆる方策を講じて御努力を願いたいと思います。その点について政府が我ら特別委員会等と御協力を仰ぎますならば私達は欣然として政府のその協調的態度に力を併せて隘路を突破するように努力したいと思います。併しその問題も結局は本立つて途生ずるわけでありますので、政府御自体が今までやつておる、あらゆる引揚者に対する施策、並びに引揚未帰還者の待遇が平均線上に達しておらないということの点の御認識と、更に暖かい友愛の精神を以て一切の隘路を、一切の障害を打開して頂きまするように、組閣の当初新らしいお氣持の際に十二分に肚をお決め頂くように総合的の見地から私は強くお願いをし、又特別委員会として要望して止まない次第であります。幸に大臣も御出席のようでありますから、官房長官といたしましても又御覚悟の程をお聞かせ願えれば非常に幸甚の至りであります。
#4
○國務大臣(林譲治君) 私図らずもこの度厚生大臣の重責を汚すことになりました、どうかよろしくお願いいたします。中途で参りまして初めのお話はいかようなお話であつたかは存じませんが、私が参りまして後に伺いましたことは悉く私共同感であります。併しながら事予算にも関係をすることであります。在職中において自分達の力のあらん限り御希望に副い得られるように努力をいたして見たいと考えております。只今私ここで伺いまする前に衆議院の挨拶を兼ねまして、GツーとGスリーに参つたのでありまするが、只今問題になつておりまするこの特別委員会の事柄につきましては、全力を挙げて自分達も應援をする、遠慮なしに自分達のところへ言つて來いとこういうお話があつたわけであります。殊にGスリーに参りましてのお話はまだ発表はできんのでありますからお許しを願いたいのでありますが、近く皆様に対してこの予算問題とは関係なしに進駐軍として非常な好意あるお話を伺つて参つたわけであります。それでそれは引揚の問題なのでありますが、尚引揚げた後の問題につきましては私共もしみじみ親しく私共自からも見ておる点があるのでありますから、及ばずながら私共も就任いたしました一つの場合といたしまして、努力をして諸君の御期待に副うようにいたしたいという心組だけは持つております。どうかその点を御了承をお願いいたしまして、何かにつけて私共御鞭撻御指導をして頂きまするように切に私の方からもお願いを申上げて置きたいのであります。極めて簡單でありまするけれどもこれを以て答弁といたします。
#5
○委員長(草葉隆圓君) ちよつとこの機会に皆さんにお願いを申上げて置きます。
 林國務大臣も、佐藤官房長官も御予約がおありだそうでありますから、大体あと二十分程度でお許しを願いたい、こういうことでございますので御質問等は、成るべく簡にして要を得る、その範囲内でお話願いたいと思います。木下委員から発言の通告がありますからお許しします。
#6
○木下源吾君 厚生大臣が見えられておりますので、特に一つお願いして置きたいと思うのですが、私は北海道の引揚者の住宅問題についてであります。先般國会から派遣されて北海道の事情を調べましたところ、予算が遅れておるために住宅の建築が進んでおらない、こういう実情であります。そこで今又再び冬を迎える時期になつておりますので、当院から派遣されて参る段取りになつております。この機会に北海道の引揚者に対する住宅の非常に拂底して困つておるという実情をちよつと一例だけを申上げて御注意を喚起して置きたいとこう考えます。先ずここに昨日も北海道の苫小牧市から陳情に参つております。ここへ今持つて参つておるのでありますが、この苫小牧の実情の一端を申上げますと、苫小牧という市は、市の人口が二十二年の十月の一日現在では三万でございました。然るに今日では三万六千六百人に殖えております。この間において四千七百八人という数の引揚者が入つておるのであります。これは実に現在の苫小牧の総人口の比率でも二一%に当つております。この間において政府がいわゆる無縁故住宅という政策で若干は建てておりますけれども、殆んど住宅を持たない者が大部分であります。六〇%以上であります。これはひどいのになりますと畳一畳に一人半というようなところがございます。どうしてもこの冬を越されないという実情にある者は現在七十二戸、三百三十六人、この者は元のトーチカに入つたり牛舎の隅におつたり鶏小屋の差掛けにおつたり、こういうのが今申上げる中の七十二戸、三百三十六人という数になつております。これは苫小牧の例でありますが、北海道至るところこういう実情にあります。この原因については、やがて皆さんから順次お分りになろうと思いますが、要するに無縁故住宅というものが本当に無縁故というものの実態に即しただけのものを國で建てていないということであります。勿論予算関係でありますが、このようなわけで特に寒いあの北海道に勿論樺太、満洲或いはソヴィエット領から來るのでありますから、寒いことには非常に相当錬えられておるといいましても、このような実情では受入れというものの体制がどういう実情であるかということはもうすでにお分りだと思うのでありまして、この葉についてはすでに吉田総理も北海道へ参つたときには必らず声を聞いておる筈であります。我々はこの状態を率直に一つ政府が認められて、一般の住宅の建設というのじやなく、戰災者はすでに家がなくても先に皆占拠しておるのであるから、今來る引揚者、この引揚者それ自体は全く家がないということであります。殊に政府全体のつまり住宅政策といたしますれば、仮りに建てる能力があつても、この引揚者が柱一本も板一枚も当らない、こういう事情にありますので、引揚者に関する限り、住宅問題は、特別にこの政策を以て引揚住宅を建てることができるように、一つ御配慮を願いたい。まだ組閣早々でありますので、こういう要望のみを申上げ、殊に緊急、今迫つている北海道の冬を迎えるこの際でありますから、万難を排して緊急措置を講じて頂きたい。この要望をいたして、私は簡單に日本始めてお出でになりましたので、敬意を表してお願いたして置く次第であります。
#7
○岡元義人君 官房長官にお願いしておきたいと思います。
 本日は総理の出席をお願いいたしましたが、できませんでしたので、できるだけ早い機会に総理大臣に引揚の促進、今後の政府の計画をば、この委員会において所信を明らかにして頂く。
 第二番は引揚定着援護対策に対する特に資金の面について、総理大臣から直接聞きたいと思います。
 第三番は、遣家族、留守家族に対する援護設備について。
 これだけ、三つの点について、親しくお聞きしたいということをお願いしておきます。
 第二点は、外資交換の借入金は、しばしば國会において採択になつているにも拘わらず、未だに解決を見ないのであります。で関係方面と折衝の余地は十分に残されているという段階でありますから、特にこの際吉田内閣において、これの解決をば絶対にして頂くように、官房長官に強く要望しておきます。
 第三点、本日も各大臣の出席をば要請してあつたのであります。而も委員会は火曜日に一回開きまして、金曜日は当局の事情も十分了解いたしまして、金曜日の午後一時からだけ政府委員の出席を煩わしている、この委員会の運営方法をとつているわけであります。然るに本日の委員会にも要請いたしました大臣の出席が願えないのであります。これでは、最も緊急を要する引揚問題の処理は不可能なのであります。特に官房長官は、我々この委員会が政府のいろいろ都合も十分参酌、斟酌した上で要請しているのでありますから、要請に答えて、必ず出て頂くように、この点官房長官に特にお願いいたしておきます。以上三点であります。
 尚委員長に申入れいたしますが、厚生大臣は、今日は三時以後は時間がないということを先程言われたのでありますが、非常に緊急を要する問題が山積いたしておりますので、厚生大臣だけは、できたならばもう少し時間を頂きたいということをお願いいたします。若しできなければ、私質問を一、二点残しておりますので、一應お諮りの上お答え願いたいと思います。
#8
○委員長(草葉隆圓君) それでは只今の岡元委員の御希望で、厚生大臣はもう暫く時間を御融通願えるそうでありますから、御了承願います。
#9
○星野芳樹君 私は、主に官房長官に伺いたいのですが、先程矢野委員の一般質問に触れましたが、引揚問題の最も重要な問題である未帰還者に対する待遇でありますが、現在では未帰還者給與法によつて、本人に一ケ月百円、留守扶養家族に百円が、ベースの改訂で百五十円になりました。留守扶養家族に対して一人二百二十五円というのみであります。併し一家の支柱を在外に抑留されている留守家族は、これでは到底生活ができないので、殆んど雀の涙という支給額であります。これに対してこれの増額の要望が留守家族から燃烈なものがありまして、去る九月二十一日の留守家族大会、あの五百数十名が断食したという留守家族大会の主要な國内的要求の一つは、これの増額であります。この増額については、理屈からいえば、これは國民の誰かが負担しなければならん犠牲を……、外地において労働に從事しておるんですから、國家の公務員と同等に扱うべきだと考えるのであります。そういう考えからすると、現在外地にいる者の平均年齢が大体三十歳であります。三十歳ですから、二十一歳の入営の時から官公廳に入つたと考えて、勤務手当や家族手当を全部除去しても、大体一ケ月に二千百円ぐらいを現在のべースを支給するのが当然と理論的に考えられ、又留守家族の要望もここにある。併しこれに対して、過日留守家族大会の席に、その代表が前内閣の官房長官と交渉して、官房長官は、月額一千円ぐらいを予定して、追加予算を組もうという特約をしたのでありますが、これが引継があつたかどうか。そうして又現内閣官房長官は、前内閣の追加予算にこれを計上する意思を持つておられるかどうか。この点をお伺いしたいと思います。
#10
○説明員(佐藤榮作君) 昨日苫米地前官房長官と事務の引継をいたしたのでありますが、実は純形式的なものでありまして、内容的な仕事の引継は殆んどなかつたのであります。只今お話がありましたような経過でありますれば、私、改めて前官房長官に当時の模様を篤と證つてみたいと思います。それはともかくといたしまして、現状におきまして、非常に留守家族の方が困つておられるという現状は、前内閣時代のお約束が如何にあろうとも、私共といたしましても、十分の援護対策を講ずべきものと、かように考えております。ただ先程厚生大臣からお話のありましたごとく、財源との睨み合せのある問題でありますので、只今私が月額幾らということを申上げかねる現状でありますが、この点は、更に私の方で研究いたしまして、早急にこれが対策を講じたいとかように存じております。一言所見を申し述べます。
#11
○北條秀一君 吉田内閣組閣された第一回のこの特別委員会に、林副総理及び佐藤官房長官が出席されたので、引揚者の問題の基本的な点について、一つ質問をしたいと思います。それによつて、政府の御決心を伺つて置きたいのであります。
 それは、五月の二十五日、二十六日の、即ち第二回國会におきまして、引揚同胞対策に関する決議が衆参両院、満場一致を以て通過したのであります。而もこの引揚同胞対策に関する決議は、明治憲法始まつて以來、百数回の帝國議会、或いは新らしい國会におきまして、衆参両院が全く同じ精神で、同じ文章で、同じ内容で決議をしたということは、空前のことであり、恐らく又絶後のことであると私は考えます。それ程この決議は、その事情を考えましても、如何にこの決議は重大なものであるか、特にこの決議は、終戰後の國内問題の最も重要なる政治の基本を決定しておるのであります。從つてこの決議については、林副総理は十分に承知しておられると思います。佐藤官房長官は議員外でありますので、恐らく知つておられると思いますが、特にこの決議を吉田内閣は十分に認識されておるかどうか、この点について、私はその一点だけをお伺いしたいのであります。特に佐藤官房長官には、前官房長官との間に事務の引継が完了されたと思いますが、最も重大なるところの引揚同胞の問題についてこの決議が官房長官の事務引継の中に入つておつたかどうか、それを明らかにして頂きたいと思うのであります。更にそれに関連いたしまして、先に自由党の第二回臨時大会におきましては、引揚同胞対策に関する決議をされたのであります。然るにその御考慮は、今後の引揚者なり復員者に対する課税については、各種の税金の徴収については、特段の考慮を拂うというふうになつておるのであります。然るに先に申し上げました同胞対策決議においては、各種の税金を免除すべきであるというふうに、國会でははつきりとそれを明示しておるにも拘わらず、自由党大会では特段の考慮を拂うというふうに、可なり譲歩された形になつておるのであります。話は一應外れますが、先きに新聞に出ておるところによりますと、自由党は野にあつたときには、取引高税は撤廃すると、或いは各種の統制を大幅に撤廃するというようなことを宣明されておつたのでありますが、一たび朝に立つと、これについては十分な研究をした上でやらなければならんというふうに、可なり自由党としての政策から後退されておるような事情を考えますので、從つて先の國会の決議とこの自由党の第二回全國大会の決議を比較して見ますと、國会の決議は各種の税金を免除すべきであるというふうに、方針を明示してあるに拘わらず、自由党の大会においては、考慮するというふうに非常に後退した考え方があるのです。こういうふうなことでは私は吉田内閣が如何に引揚者の問題を強く叫ばれましても、その前途に満腟の信頼を置くことができないのでありますから、この点につきましては特に林副総理の御決意の程をこの際伺つて置きたいと、こういうふうに考えます。若し御答弁が困難でありますならば、次回閣議において十分に御相談願いました上で、御回答願えれば誠に結構であるとこう考えます。
#12
○國務大臣(林譲治君) 私の方も両院の協議の上決議になりましたことをよく了承いたしております。從つてその決議に基ずきまして、我々は今後とも大いに努力いたしたいと考えております。只今自由党の政策について、取引高税の問題なんかは野党に在つたときと少し氣分が違うんではないかというようなお話もあつたのでありますが、これは内容をよくお読みになつたならば、大藏大臣の泉山君のお話は違つておるのだということを、本日の閣議にもお話になつたのでありまして、我が民主自由党の方におきましては、昨日も衆議院の運営委員会にも総理大臣が出席をせられまして、どなたかの取引高税の問題なんかについて、やるつもりかというお話があつたのであります。財政上の問題をいろいろ考慮した上で、次の議会には出すのだ。出して置くんだ。こういう御決意もなされたわけであります。それと同じように、課税の問題なんかにつきましても、党議で決定をいたしましたような問題については、十分努力いたしてみたいと、こう考えております。さよう御了承願います。
#13
○委員長(草葉隆圓君) この機会に皆様にお諮りいたしますが、官房長官は御予定の時間がおありだと思いますが、何か急いで御質問がありましたら……。
#14
○北條秀一君 今の質問した点について、引継があつたかどうか。
#15
○國務大臣(林譲治君) 先程申上げました通り、前官房長官との引継は誠に簡單な引継をいたしておりますので、内容的には詳しい引継をいたしておらんのであります。いずれ書類等は後には必ず重大な決議でありますので、その中に封じ込んではあると思いますが、口頭を以ちましての詳しい引継がなかつたということだけ明かにいたしたいと思います。
#16
○淺岡信夫君 厚生大臣並びに官房長官に、これはお尋ねよりか要請をいたしたいのでありますと申しますことは、第二國会の継続審査中、休会中國会から北海道並びに京都、更に、九州に二回派遣されまして、そうして援護対策の問題なり、その他の、この衆参両院におきまして行われたところの決議、更にそれに答えた当時の芦田内閣の総理並びに厚生大臣に、そうした問題が地方官廳に実際どの程度まで徹底しておるかどうかということを、九州におきましては各縣に亘つて調査をいたしたのでありますが、僅かに鹿兒島縣或いは長崎縣、そうした縣を除いた以外は、殆んど徹底しておらんのです。殊に地方長官或いはその衝に当つている民生部長、或いは厚生課長、更にいろいろな点におきましての決議の第一項から第六項に亘る、その第三項の点に至つては、殆んど徹底しておらんのです。そうした点であるならば、如何に國権の最高機関である國会が、如何なる決議をいたしましても而も参議院、参議院が同じ字句の決議をしたということは、先刻同僚議員の北條君が申し述べた通りでありまして、これをここまで持つて來るということに対しましては、特別委員会が非常な努力を拂つて來たのです。その結果が中央においては一應分つておる面があるといたしましても、地方末端に至つては、実に歎かわしい次第です。この問題に対しましては、個々のことを申上げることはどうかと思いますが、第一回國会当時の厚生大臣であつた一松厚相は、衆参両院の第二回の國会のこの決議を二、三日後に委員会に來た時に知らなかつた。その時私は一松厚相に、元厚相に、あなたは前の厚生大臣じやなかつたか、それがこの引揚問題に対する決議を三日後になつて知らんという馬鹿なことはないじやないかということで、非常に私は叱責をしたのであります。そういうことの中央にあつたことは甚だ遺憾ではありますが、実際に地方を、一縣々々派遣された縣を廻つてみますと、殆んど徹底どころではない。知らない所が多いのです。どうか、殊に今度の内閣は政党内閣としても單独内閣であり、殊更九日の民主自由党の大会においても緊急決議してこれが出され、更に新らしい厚生大臣が第一声に引揚者対策問題を採上げて言われておるということに対しましては、感謝の意を表する次第ではありますが、同時にこの問題が地方末端に徹底いたしますように、強く官房長官並びに厚生大臣に要請する次第であります。
#17
○説明員(佐藤榮作君) 只今の御趣旨誠に私同感でございます。今後は政府並びに議会等におきまして決定されました重要事項に対して、地方に対して十分徹底いたしますよう連絡を緊密にいたしたいと、かように考えております。そのことをお答え申上げます。
#18
○岡元義人君 先程留保いたしておきました厚生大臣に対する質問のうち、二点だけ申上げたいと思います。問題は非常に緊急を要すると申しましたが、これは越冬対策の予算であります。この越冬予算が、我々仄聞するところによりますと、大藏当局がこれに対して非協力的であるというようなふうに承つておるのであります。若しこの越冬対策の予算が取れなかつたということになりましたならば、もう初めての冬を迎えまして、非常に無縁故者その他が実に困つて來るのであります。この問題は幸いに厚生大臣が副総理もしていらつしやいますので、是非一つ責任を以て解決をして頂きたい、これをば要望いたしたいと思います。
 それからもう一点は、生業資金の金額引上げというものが、只今のところ懸案になりまして、この一ケ月あまり約二ケ月になりますが、全國的に生業資金の貸付が値上りを待つて借りようというので、ストップになつておるのであります。これは一時も早く解決を付けるようにして頂きたい。それでしばしば一万円の価上げ、一世帶に対して一万円の価上げ、特別の事情あるものは、一万五千円を事務当局からすでに貰うておるのであります。然るに二ケ月経つても実際の確定を見ないので、全國非常な迷惑を蒙つております。この二点について取敢えず厚生大臣に対して、特に御解決を願いたいと、それだけを要望しておきたいと思います。
#19
○國務大臣(林譲治君) 只今の越冬対策の予算につきましては、目下事務当局も頻りに大藏省と折衝中でありますから、又幸い……と申しましようか、折から私も就任いたしたわけでありますから、努力をいたしてみたいと考えます。それから今一つの單價の引下げの問題でありますが、こちらの方でも頻りに努力はいたしておりますものの、今日の場合、遺憾ながら、こちらの思う通りにならない事情も又考慮いたさなければならんと考えますので、先の問題と共に私共研究努力をいたしてみると、こういうつもりでございますから、御了承願いたいと思います。
#20
○北條秀一君 先程林厚生大臣即ち副総理は、私の質問に答えられた点が、ピントを外れておりますので、この点をよく認識して頂きたいと思いますので、申上げます。それは引揚同胞対策に関する決議を、林厚生大臣が十分に承知されておるということを言明されまして、我々としては欣快に存ずるのでありまするが、その後で、私が自由党大会の党の決議と比較して申しました点は、こういう点であります。即ち國会の決議では、各種の税金を免除すべきである、こういうふうに決議をしております。ところが自由党の党大会の決議は、各種の税金の徴収に関しては、特に考慮を拂う、國会の決議は非常に明確に、而も強硬に方針を述べておるのでありまするが、自由党の決議は、考慮するというようなことになつておるのであります。で、私は今日当然主張すべきことは、政府としては、國会の決議に基いて、各種の税金を除すべき処置をとるべきであります。ところが林厚生大臣は、党議において決定したものを、これが実施について十分に考慮する考であるというふうに言われましたが、そうすると、自由党の党議は、國会の決議よりも遥に実行力のない、まあいわば一つのごまかしのようなことになつて來るという点を、先程聞いたのであります。そういうようなことでは、心許ないのでありますので、その点は、國会の決議を飽くまでも政府においては尊重されまして、各種の税金を飽くまでも免除して行くという措置を、強力に講ずるようにやつて頂きたい、こういうことを重ねて申上げます。
#21
○委員長(草葉隆圓君) 他に御質問はございませんか。
#22
○岡元義人君 厚生大臣は私が無理に引留めたのでありますが、あとは大野次長にお相手をして頂けば結構だと思いますから、一言申上げます。
#23
○委員長(草葉隆圓君) この機会に皆さんにお諮りを申上げたいと思いますが、それはいずれ吉田内閣が施政方針を定められ、施政方針演説をなされると存じまするが、その機会に、当委員会としては、引揚問題に関する吉田内閣の所信を明確に一つ織込んで御発表願いたいと存ずるのでありますが、皆さんの御意見は如何でございますか。
   〔「賛成」、「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○委員長(草葉隆圓君) それではどうぞその施政方針演説につきまして、現下我が國の最も当面いたしております重要で緊要なこの引揚問題についての政府の所信を強く御発表願いまするように、委員会としては強くお願を申上げます。
#25
○矢野酉雄君 厚生大臣に特にこれは政治的のいろいろな御折衝を願いたいと思うことが一つあります。それは例の御承知のごとく、昭和電工その他繊維局、そういうような悲しむべき又、憎むべき事件が起つて以來というものは、金融の処置について、程度以上の恐怖心を以てこれに当つている関係官廳や金融業者があるのです。その影響を受けて、実に痛い境遇に突落されつつある者のうち、最もその被害が大であるというべき階層は、引揚者並びに未帰還者の家族であります。これは実際にお当り下さいますと直ぐ分ります。水産業を通じて事業をやりたいという者、或い零細な資金を以て、自分が銀行から融資を受けようとする場合、あらゆる方面において、非常に金融業者並びに関係の官廳が、むしろ繁文褥礼と思う程の繁難な関門を設けて、結局金融が不可能であるというような実情を現出しつつあるのであります。九州の引揚者の各縣の代表者からも、現に何本も電報を受け、今日の靜岡縣の水産企業について融資を受けようとする正当な一つのその事業計画が、相当の資金、その資金も、僅か一枚持つておつた毛布や服を賣つて、そうして東京に來て、いろいろ運動をして、正しい運動をして、そうしてそうした資金を費やしておつて、中途にしてこれを止めなければならんというような窮状にある者が、雨後の筍のごとく、全國に見ますと、続出しておりますので、勿論緊縮すべきは緊縮すべきでありますが、絶対にいわゆる粛正運動が、正しきその事業計画の芽さえも摘まむことのないように、正しきに向つては、断乎として大いにやれという助成行政の立場に立つて頂きますように、心からお願をしておきます。どうぞ閣議を通して、大藏大臣、安本長官等にも一つ注意を御喚起願いたいと思います。以上。
#26
○委員長(草葉隆圓君) 引揚廳の大野次長並びに岡田資料課長が出席されました。御質問がありましたら……。
#27
○北條秀一君 先程委員長の発言で、吉田内閣の施政方針に引揚対策を十分に盛るようにというお話がありましたが、私字を書いておりまして、私失念して、皆さんの意思が決定した後批判をして誠に恐縮ですが、これは内閣に希望するというのは、私は適切じやないと思うのです。実は内閣は当然内閣の信念に基いて各種の方策を出して、我々がそれに対して批判をして、これを鞭撻するのが、國会としての政府に対する役割だと私は思う、從つて先程希望するということになりましたが、特に林副総理がおつしやつたその希望を容れたわけでありますから、特に私が後で申上げたいのは、こういう希望を特別委員会は特にこれ以上政府に何らかの形でするということは止めた方が適切である、私はそう考えるのであります。一應お諮りを願いたいと思います。
#28
○岡元義人君 今の北條委員の発言の内容は、別に特別委員会から申入れをするというふうに私は聞かなかつた。ここに副総理が見えておるから委員会の全部の氣持をば率直にここで披瀝しようという意味に私解したのであります。そうでなかつたんですか、この点を一つはつきりして置きたいと思います。
#29
○委員長(草葉隆圓君) お答え申上げます。施政方針を定めて、いずれ吉田内閣は國会を通じて國民にこれを演説することと存じますが、現下我が國の最も緊要にして、当面しておる引揚問題についての吉田内閣の所信を、或いは如何なる所信でありますかは存じませんが、その所信を我々は問いたい、いわゆるそれにはつきりとその内容の如何は別として、採上げることを希望したいと、こういう意味だつたのであります。
#30
○矢野酉雄君 北條君はよく純粋学者論を発揮する人でありますが、今もやはりその北條君の独自性を発揮したのだと思います。司法、行政、立法の三権はおのおのその分を守つて侵さずというのがデモクラシー形態のこれは常識でありますが、併しながら政府が施政方針をやるということも、これも行政の一つの行爲である、その行政行爲が現われてから事後の批判でなければならんということは、絶対に國権の権能に対する條件付けはないのであります。若しそういうことのような考えからの御意見であるならば、國権の最高機関たる國会の権能を縮少する意見であつて、私は改めて頂かなければならん。むしろ事前の行政処置に向つて、國会が國会の與えられたる権能によつて、正しき行政処置をなすべしということは、希望であつても、鞭撻であつても、要望であつても、決してこれは本委員会、國会の権威をマイナスするものではないのであります。又憲法の絶対千犯でもないのでありますから、最前の委員長の処置はそれで適当であると思います。
#31
○千田正君 今の問題については、我我としましては、若し吉田内閣が如何なる方策をとつて、施政演説を行うとしても、実際我々のこの委員会で討議し、決議し、或いは要望する事項に当て嵌まらなかつた場合においては、吉田内閣の退陣を要求するだけの我々は権威と覚悟を持つべきであると思います。であるから今の論はむしろ今後に俟つべきものであつて、諸氏の十分なる檢討と権威を持つて当られんことを我々は希望する次第であります。
#32
○委員長(草葉隆圓君) それでは本日の議題に入りまして、復金特別融資につきましては、先刻御報告申上げましたように、大藏大臣どうしても止むを得ず出席いたしかねるということでありますから、金融公庫貸付要綱の問題と共に次会に讓りたいと思います。
#33
○岡元義人君 次会に讓るのでありますが、非常に緊急を要しておりますので、次会の火曜日には大体申合せは政府委員を呼ばないということになつておりますけれども、できましたならば各委員の御了解を得まして、大藏関係だけでも火曜日に約一時間、時間を借りればいいと思いますが、お諮り願いたいと思います。
#34
○委員長(草葉隆圓君) 岡元委員の御希望のように、火曜日に大藏省関係当局を呼んで説明を聽くことに手筈をいたしまして、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定をいたしまして次に進みます。
 生業資金及び越冬対策に関する件を議題といたします。
#36
○岡元義人君 今の事項につきまして本日の前々から企画を担当いたしております関係上、委員部とよく協力して連絡をとつたのでありますが、本日大臣の出席をば見ることができなかつたのであります。それで委員会の全委員の決議を以ちまして、議長名を以て大臣をば出席させるという手続をとりたいのでありますが、一應この点お諮り願いたいと思います。
#37
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元委員の動議について御意見はございませんか。
#38
○矢野酉雄君 それは今岡元委員の言われた通りであつて、大臣その他政府委員の要望は、國会法の示す通りに、委員長が勝手にはできない、必ず議長を通してでなければ要望することはできないような規定になつておりますから、單なる慣習的に委員部等から簡單にやつておつたものはそれは誤謬でありますので、正しく議長を通して出席を要望するように励行するように願いたいと思います。
#39
○委員長(草葉隆圓君) 岡元委員の御発言はこれは当然だと思います。普通の手続通りに進めて行きたいと思います。
 次に漁業資材第三、四半期割当に関する件も、農林大臣並びに水産廳関係は本日は差支えがありまするので、次会に延ばしたいと存じます。
#40
○矢野酉雄君 次長、課長もですか。
#41
○委員長(草葉隆圓君) 次長、課長も出張して不在であります。
#42
○矢野酉雄君 水産廳長官は要望しなかつたのでありますか。
#43
○委員長(草葉隆圓君) 要望したのであります。
#44
○矢野酉雄君 それも公用ですか。
#45
○委員長(草葉隆圓君) 公用です。
#46
○矢野酉雄君 一應大臣と水産廳長官はここに顏も見せていないから、是非早く二人とも出席を要請して頂きたいと思います。
#47
○委員長(草葉隆圓君) 本日出席いたしかねた各関係大臣には更に出席いたしますよう、次今並びに適当な機会に取計らいたいと思います。
 次は第四の生業資金及び越冬対策の問題について御意見を承ります。
#48
○岡元義人君 只今大野次長と岡田指導課長が見えておりますから少し伺つて行きたいと思いますが、先ず生業資金の問題は只今厚生大臣からお話がありまして、折衝中であるということでありますが、併しながらもう二ケ月も経ちまして今尚折衝中であるというようなことで以てやつていいか惡いかということは眞劍にこれは檢討する必要があるんじやないかと思うのであります。一万円の値上りに対しましてこれが漏れたということは、全國的にやはり一万円になるのを持つてから借りようというようはことになつておりますので、ここに手を打たなければ実際に生業資金の本当の持つ性質、目的から外れて行くんじやないかと思うのであります。それで私はここに私見といたしまして政府当局に申し上げたいと思うのでありますが、できますならば七千円ぐらいの金額で取敢えず貸付をやつて置きまして、そうして後程金額が上つた時にその後を追加で貸付けするというような特別な方法をとるか、何か外のこれに代る具体的な案をば援護廳は速急に処理される必要があるんじやないかという一点であります。それからもう一つは貸付方法でありますが、貸付方法が先程償還奬励という問題につきまして全國的にこの運動を展開したのでありますけれども、根本的に一つの誤謬があるということは、貸した金をば一應返してしまいますと、今までの附則によりましたならば、もう二度と借さないというようなことになつておりますので、五年間はどうしても返す能力があつても返さないという方法を現にとつておるのであります。これでは償還の実績は上がらないのでありまして、こうしたものに対しては、何らか面倒を見てやるというような制度を、果してこれから樹立する必要があるのではないか、どうか、この点であります。それから実際に生業資金で事業体を作り上げましても、その事業体が、このインフレの実情に直面いたしまして、もうどうにもこうにも行かなくなつたというような事業体が、多数あるのであります。これを完全に見殺しにしてしまえば償還奬励ということは、実が上がらないのでありまして、これに対する措置は早急に政府は考える必要がある。この貸付方法に対する二点であります。この点と、それから商業資金の引上げというものは、どうしても考慮してやる必要があるんじやないか。合せて三点になりましたが、この三点について大野次長並びに、指導課長のお氣持をお伺いしたい。それから最初質問いたしました一万円に対して、現在七千円をどうするか、という問題についてお伺いしたいと思います。
#49
○説明員(大野連治君) 生業資金の問題につきまして、平素この問題に、格別御熱心に御面倒を見て頂いてております岡元委員から、いろいろ御質問がございまして、誠に残念に思うのでございまするが、お述べになりました通り、すでに相当、期間が経つた後でありますので、当然あれに並行して從來の一世帶当りの單價の引上げをもなすべきであります。これは理の当然であります。私共も、だから立案いたしました関係からいろいろと折衝いたしました。幸に國内的には、この問題は、どうやら解決いたしたのでありますが、最後に必要な方面の承認を求めるという段になつて、ちよつと停頓したという状態になつております。それも絶対に、この趣旨がいかんというのではないのでありまして、差当りこの生業資金が、必らずしも本來の趣旨通りに使われておるかどうか、多少これを調べて見る必要がある。現在生業資金の貸付の行われておる事業体について、これから一齊に調査し、その調査表を見た上で最後の定め方をしたいというような意向のようであります。併しこれも大藏省と私の方と一緒になつて、余り時期が遅くなるようなことになりますというと、非常に困りますから、その間の事情をよく申述べることによつて、打開せられるかどうか、まだ今のところ予測はつかないのでありまするが、せいぜい努力いたして見るということを考えております。尚このお話の通り、どうも最近生業資金の消化が鈍つたように見ておるのであります。私共の一世帶当りの單價の引上ということが、相当一般に知れ渡つて、上つてから借りようという氣持から、そういうことになつておるのではないかという話でありますが、或いはそうかも知れません。とにかく最近の消化状況はやや鈍つておるのであります。ただそういうような事務的な案が自然に漏れるというお叱りを受けましたが、私共はそういうことについて別に公表というようなことは絶対にいたしたつもりはありません。ただ從來のように最後的に決まるまでは一切どこにも言わん、そういうことでは却つて引揚問題などにつきましては、私共事務局が幾ら頑張つてもやれる限度は決つておりますから、どうしても各方面の盡力が必要であります。そこでそういうような必要と認められる方面には確かに從來から連絡はしております。どこからそうなつたかは存じませんが、一方物價改訂もなされたので、当然一世帶当りの單價の引上げもなさるのが当り前だということから、別に私の方から案として漏すことがなくても、そういうふうに考えられることは或は自然ではないか、そういうところから多少見送りになつておるという形になつておると思います。併し事実はそういうような状態でありまして、このままではいかんではないか、何とか考えようという話でございまして、一つの方途として七千円として今やつておる。それから若し仮りに一万円ということで最後的の承認が得られましたならば、遡つて後三千円を借すというのも一つの方途かと思います。そういう点についても考えております。関係各折衝の上、話が円満に運びますれば是非共そういうようにいたしたいと考えております。
 尚生業資金の貸付はこの前にちよつとお話のありました特融問題と合せて、第二回國会で通過いたしました審議会設置法であります。あれによつて審議会がすでに発足し、総会を二回、小委員会を数回開いておりますが、その中でこの資金問題は最も大事であるということは特に民間側委員から発言があつたのであります。もとよりこの法案が議員提出の法案であり、皆さんには格別御苦心が深かつたのでありますから、一々経過等を御報告申上げることを要らんと思います。これがうまく行つておりませんことは申訳ありませんが、この委員の方から随時お聞き及びのことと思います。とにかくこの会議において住宅、資金というものは非常に大事な問題であるということは取上げられました。まだ具体的という程ではありませんが、或る程度の案と申しまするが、例えば生業資金の貸付事業の強化という点につきましては、借入申込の実情に即するように貸付資金の増額を図る、一世帶当りの單價を経済事情に即するように引上げる。こういつた程度のことが、各委員の了承を得て賛成するところとなり定められたのであります。今後回を重ねるに從いまして、更にもう一層この点が、細かく定められて行くのではないかと思います。目下のところは、こういうような状態になつておりまして、事務当局が、審議会の、それらの意見と、十分マツチするように対策を、立てておるような次第であります。
#50
○矢野酉雄君 大野次長にお尋ねします。岡元委員の初の質問であります。7千円を今貸付けた場合、直後に一万円の貸付が認められたときに、後の三千円はそれに追加して貸付けることができるかということについてのここで正式の御答弁ができなければ速記を中止して含みのある御答弁でも結構ですが、どうもその点は次長なかなかうまい答弁で、どこかへ逃げてしまつておるようでしたが、どうです。
#51
○説明員(大野連治君) これは引揚援護廳、私共といたしましては決して不可能じやないと思うのであります。この関係省と、それから更にこの生業資金貸付については非常に関心を持たれておる方面の承認を求めなければならない、そちらの方の了解さえ得られればいいのじやないかというふうに思つております。必要な方面の承認と申しましたが、こういう物價の値上げになつて、これだけを七千円で抑えて置くというようなことはどうしたつて納得されませんということについては、これは分ると言つておるのであります。よくその理窟は分るというようなこともまあ言つておるのです。
#52
○矢野酉雄君 國内処置はできませんか、國内処置は。
#53
○説明員(大野連治君) 調べた上で表を見た上で最後の決断を諮り回答をしてやるということになつておるようであります。國内処理としては、この私共の方とそれから大藏省の方とで話合が付くとです、話合が付くと申しますか、向うが納得して呉れさえすればやれるのじやないかと私は考えております。
#54
○矢野酉雄君 どうも大野先生は柔らかくお答えになるのでどうもそこがはつきりしませんが、この間外務省の吉澤次官に出席して貰つて、外務省としての非常な未帰還者数の調査等についての怠慢のことでですね、歴然たる事実が実はここではつきり分つておる、だからその時各委員から随分要望しましてですね、そうしてすでに本日と昨日の新聞の発表したように外務者の監理局長がその責任者となつて直ちにこの調査を開始した、これは國内関係だけの問題でありますが、もう実際一万円と一万五千円の問題は二ケ月といい、変つて三ケ月といわんと思う、これらのは発表されたのが当然であつて漏れたから責任があるとか、へちまとか、何ですか、そういうこと絶対にないですよ。國民の輿論は一万円どころか二万円、三万円になつておる、これは当り前の事情で、それを七千円だけに釘付けされていることがどうも常識ではない考え方で、それは漏れたとか漏れないとか、これは誰の責任でもありません、國民の当然の要求です。だからこれは國会としても、これをやりますがそれよりかですね、石の上にも三年ということがあるから、どうです一つ厚生省の大野次長始め局長も、指導課長も、その方面の関係者にですね、石の上三年というそのつもりで一日に一遍ばかりでなく二回も三回も、明日から、土曜ですけれども、実行して頂いて、そうしたら私はその熱意と熱情というものは必ず問題をほぐして行くと思いますが、一段の御発憤を切に要望して止みません、お願いします。
   〔北條秀一君「賛成」と呼ぶ〕
#55
○淺岡信夫君 今の矢野委員の何に関連してでありますが、勿論厚生省当局も援護廳当局も当然でありますけれども、一つ委員会からこれは何としても大藏省当局に強く要望しなければいかんだろうと思うのです。で、厚生省ばかりをがんがん言つてみても厚生省は大体分り過ぎる位この問題に対して分つておるけれども、その所管廳は大藏省ですから、やはりこの委員会から大藏省当局に向つて強硬にやるということが今後においての行き方じやないかと思うのです。幸いに昨日民自党の議員総会におきましても各閣僚を叱り付けたり或は督励したる中にもですね、この引揚対策という問題に対しましては急々に取上げてやるということを、この取引高税の問題なり、或はその他の枠を外すとかいうようなものの中に大きく取上げておるのですから、この線を特に委員会から強調して大藏当局を叱咤するということが根本じやないかと思いますが……。
   〔北條秀一君「賛成」と呼ぶ〕
#56
○岡元義人君 今淺岡委員から大藏当局の問題が出ましたが、全般監に大藏当局が特別委員会に対する熱意がないということはあるのであります。併し生業資金につきましては、これは十分大藏当局においても了解しておるのであります。先程大野次長から説明のあつて通り残されておる問題は関係方面だけであります。問題は、矢野委員からお話がありましたが、これは矢野委員のお話のような方法で援護廳がやろうと思えばできると思います。それは技術的にも先に七千円の通牒をそのまま活かして置いて何か外に方法が、援護廳の肚一つでやろうと思えばできるのじやないか、併しこの問題は実際問題として何とか手を打たなければ地方では事実困つております。借入れ書類も相当溜つておるのでありますが、借入れをばそうちよつと待とうもうちよつと待とうというので待つておる状況ですから、これは眞劍に援護廳においてもこれが対策をば講じて頂かなければならんと思います。是非一つ方法を見附けて頂くようにお願いして置きます。尚先程貸付方法について御質問申上げて置いたのですが、この点一つ愼重な大藏当局の御解答を願いたいと思います。
#57
○説明員(岡田好治君) 最後の生業資本と生産資本の方からちよつとお答えいたしますが、從來は生業資本と生産資本とを一定の率を大体これは文書を以て指示したものはないのでありますが、打合せ等において取扱い上そういうふうにしたらどうかという、いわゆる口頭指示程度でいたしておりましたが、現在ではこれを廃止いたしております。庶民金庫の側からも代理店の方にその点を徹底するように私の方からも申しておりますが、生業資金は本來が本人が起ち上るための資金でありますので、本人が起ち上るために営む生業を区分する根拠はないので、從つて何でも本人が計画した生人に対してそれを御援助申上げるのは生業資金の本質的な問題だからというようなことで、これは一應訂正いたします。その場合に私共の方から申しておりますが、マーケットのようなものはこの際成るべく愼んで貰いたい。個人々々の生業を営む、堅実な生業を営むなら差支えないと、こういうことを申しております。併し償還の点につきましては完済されたものについて再度貸付するかどうかということついてはまだ研究しておりませんが、要するに償還を促進するという意味と、それから現実の実際の運営の面において運轉資金に困つておられるというような点からいたしまして、運轉資金をこの際短期貸付制度として開始することが適当であるというふうに私共も考えまして、この短期資金の貸付について一体どういうふうにするかということを今私共の方で研究いたしております。ただ問題は短期資金を即刻始めるにいたしましても、本年度皆樣の方で御協賛願いましたあの五億の予算の中でこれを出しますと、結局一般の貸付がそれだけ食われる。そうなつて参りますと五億の予算をこの際殖やして行かなければならん。ところがその予算増加と合せて運轉資金の短期貸付を開始しなければならんというふうに考えておりますので、方法は今考えておりますし、又予算を一体どうするかという面についてもいろいろ考えておりますので、いずれ大体の何ができましたならば、皆樣の方の御協力を得て、予算の増額その他についても亦御鞭撻を願わなければならんのではないかというふうに考えております。
#58
○委員長(草葉隆圓君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#59
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
#60
○岡元義人君 今岡田課長から説明を聞きましたのですが、大事な点はここが違うと思うのです。運轉資金に困つておる者には運轉資金を貸すというのと、それから償還を完済して者に対して再度貸付をするというのは、非常に違うのであります。これは審議会においても、後者は審議されておらんのです。前者だけが審議されております。それでこの委員会に持出したわけでありますが、先程財源問題を課長も心配されておりましたが、どうしてもこういうような方法を解決つけることによつて償還でき得た財源は、運轉資金にこれを振り向けてもよいのではないかということもこえられるわけであります。尚これは各特別委員会の同僚議員の方に是非とも御協力を願わなければ解決付かないと思う点は、先ず厚生省当局が、一万円、一万五千円という一世帶貸付額を解決付けて頂く、その後に起る問題は、要するに交付世帶数がそれだけ減つて來るという問題が起きて來るわけです。これは当然この特別委員会が十分その意のあるところを各委員の方に含んで頂きまして、折衝の余地が残されておるのではないかと考えられるのであります。とにかく一方円と一万五千円に上げて頂くということを強く私は援護廳に要請したいと思います。その点を一つお含み願いたいのと、愛つきの私が御質問申上げた点について、もう一回伺いたいと思います。
#61
○説明員(岡田好治君) 今の償還の完済になりましたものに対しまして再度貸付をするということにつきましては、先程私も触れたと思いますが、今のところ私共といたしましては、特別な計画は持つていないというわけなんです、と申しますのは、手つ取早く現在必要に申込のありますものに対して貸付けることと、それからもう一つは、償還を促進させますためには、どうしても何らかの助成というものを考えなければならんので、そこで運轉資金の枯渇というものが償還の隘路になつておるという点から、重点的に今の運轉資金の面を考えておるわけであります。從つて、今の完濟されたものに更に償還されたものの資金を循環して行きますことは、むしろ只今のところでは、二十八億以上に上る見込を、如何に政府の予算の範囲内でこれも消化して行くか、そのためには、先ず國庫歳入からも相当出すことに努めようし、尚且つ還つて参ります償還金をそれに一部当てて、むしろ循環資金によつて申込の方を消化して行こうという考え方が今主になつておりますので、勿論これは五年先には必ず全部償還する。償還されれば後はどうでもよいかということは、又將來問題が出て來るかと思うのでありますが、只今のところは、一部には完済されたものもある筈でありますけれども、一應全体的に見ましてまだ償還の中途でありますので、それと新らしく申込の方がどんどん殖えておるということから、取敢えず当面の要請に應ずる手しか今打つような余裕がないような状況なんです。從いまして、勿論私の方も調査いたしまして、仮に事業が、成功して、そうして勧奬の結果繰上償還をして貰う、そういう面が相当あるというようなことになりますれば、これも亦相当考えて行きたいと思います。
#62
○岡元義人君 これで質問打切りたいと思いますが、今のそういう調査をして頂くことは非常に結構だと思います。そういうような状態になつておる事業体が相当数あるのです。だからどうしても早く償還を完済さして、完済してしまえば今度面倒見て呉れないからこの金を五年間持つて引つ張つて行こうという氣持でおるのですから、これは何らか手を打たなければならんと思いますから、これは是非調査して頂いて、何らか方法を見出して頂きたいということを要望いたしておきます。
 それからもう一つお願いしておきたいのは、我々が今度調査に参りまして、各地方自治体の厚生担当の方々が、実際の横の連絡という点において殆んどゼロであるという点を痛切に感じておるのであります。こういう点は、今後引揚者、戰災者、そういう者に対してこういう指示が中央から出ておるというようなことは、洩らさずやはり厚生課長なり他の方の連絡を十分とつて頂く、そうすれば末端まで中央の親心が徹底して行くのではないかということを痛切に感じておりますから、十分そういう方面に御指導願いたい、これを要望いたしておきます。
#63
○委員長(草葉隆圓君) 生業資金及び越冬対策に関する問題は、大藏関係がありますので、できれば次回において大藏関係と打合せたいと存じます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(草葉隆圓君) それではさよう決定いたして進んで参ります。
 次に、前回の委員会で、請願陳情小委員その他各委員をそれぞれ御委託申上げましたが、それぞれの委員会におきましては、請願陳情小委員及び法案審議小委員、それからこの委員会の運営に関する各小委員のおのおの委員長をお選び願つて、速かにそれぞれお進みを願うように御計画をお進め願いたいと、成るべく早い機会に委員長を御選定願いまして、私の方でお知らせを願い、且つ議案の内容の御進行を願います。
#65
○矢野酉雄君 その請願陳情の小委員会に関連する問題でありますが、これは明らかに國会法に、請願陳情に関してはこれを本会議で決定して、そうして内閣に送付すべきものは送付する、特に内閣に送付したものに対しては内閣は次の國会にその処置したことを報告する義務がある、いまだ曾て一度もそういうことをしたことはない、片山内閣は、次の内閣ではなかつたか……、一遍だか……とにかくそういうことは事実上それはまだずつと蓄積されておりますので、一つ決つたことさえもやらんような内閣では困るから、民自党内閣は須らくその國会法に規定されておるその規定を身を以て実行して呉れるように、委員長から特別委員会の名において議長に要望し、議長から正式に政府に警告を與えて貰いたいと思います。
#66
○委員長(草葉隆圓君) 矢野委員の御希望に副うように取計らいます。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(草葉隆圓君) 今日は一應以上を以て散会いたしたいと思いますが……。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ないものと認めまして、本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     草葉 隆圓君
   理事
           三木 治朗君
           木内キヤウ君
           岡元 義人君
           星野 芳樹君
   委員
           木下 源吾君
           淺岡 信夫君
          池田宇右衞門君
           伊東 隆治君
           北條 秀一君
           穗積眞六郎君
           矢野 酉雄君
           千田  正君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 林  譲治君
  説明員
   内閣官房長官  佐藤 榮作君
   厚生事務官
   (引揚援護廳次
   長)      大野 連治君
   厚生事務官
   (引揚援護廳指
   導課長)    岡田 好治君
ソース: 国立国会図書館
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