くにさくロゴ
1948/11/10 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第5号
姉妹サイト
 
1948/11/10 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第5号

#1
第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第5号
昭和二十三年十一月十日(水曜日)
   午後一時五十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○引揚者厚生対策に関する事件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(草葉隆圓君) これより委員会を開会いたします。
 先ず本日の議題につきましては、予めお手許に差上げて置きましたが、その第一の越冬対策資金については、御案内のように、前々委員会におきまして委員各位から引揚者の越冬対策には殊に緊急を要するものがあつて、速かにこれを解決しなければならない。殊に本年の新規引揚者は長期に亘る抑留後帰還されましたから、その生活の困窮状態は極めて逼迫しておる状態であるから、來るべき嚴寒に当つて越冬に必要な寝具、或いは燃料、或いは住宅の應急手当などを急いでしなければ、誠に悲惨な状態にあるということを縷々御開陳になりしまて、当時岡元委員からも数字を挙げて説明になつた次第でありまするが、これに対しまして、いよいよ嚴冬を迎えて参りました昨今でありまするから、急いでこの問題の解決をいたさねばならないと存ずる次第であります。本日は政府委員といたしまして、大藏省から政府次官並びに主計局第四課長、及び監理局管理課長、厚生省から厚生次官など御出席になつております。先ず越冬対策に対しまする大藏省からの御説明を一應伺うことにいたします。
#3
○岡元義人君 大藏省からの説明を先に求められるのですか……。
#4
○委員長(草葉隆圓君) それでは只今鉛護局長が見えましたから、援護局長から大体の越冬対策に対する今までの措置、方針などを伺うことにいたします。
#5
○説明員(田邊繁雄君) 越冬対策につきましては、昭和二十一年度及び二十二年度におきまして、引揚対策の重要な一環として実施して参つたのでありますが、本年度におきましては、樺太等からの引揚者の状況並びにすでに引揚げて來ておりまする者の住宅の状況等を考えまして、更にこれを充実する方針の下に所要の経費を見込みまして、二十三年度追加予算として目下大藏省に予算を要求し、折衝中でございます。即ちその第一は、蒲團、毛布の寝具の支給費でございますが、これは二十年度及び二十一年度において、すでに実施した通りの方針の下に経費を計上した次第でございます。第二は、引揚者の越冬燃料支給費でございますが、これは本年度において、新たに越冬対策の中に盛込んだものでございます。これは本年の四月、五月再開以來樺太等からの引揚げて來た者であつて、北海道に定着した者の燃料に要する燃料費の支給であります。昨年度におきましても北海道に定着する引揚者があつたわけでありますが、これに対しましては、道廳といたしまして生活保護法の運用によつて燃料を支給したのであります。御承知の通り、生活の方に要する費用は、國費六割、地元府縣二割ということになつております。最初一年間はそういうふうになつております。昨年度においては、樺太から引揚げて來ます北海道の定着者の数が僅かでありましたので、北海道廳としては生活費の二割分の負担は北海道で賄つたわけでありますが、本年度におきましては再開後樺太から引揚げて來る数が非常に多く、その大部分は北海道に定着する希望を持つておつたのであります。ところが北海道廳といたしましては道費その他の関係から、沢山の引揚者が、殊に無縁故者が道内に來るということについて余り歓迎しない空氣があつたのであります。併し樺太から引揚げて來る者の希望、実情等から考えまして、北海道にその大部分を定着させますことが最も適当であると考えましたので、厚生省といたしましては、極力北海道にその受入方を強力に勧奬いたしまして話合はできたのでありますが、その際、北海道廳としては無縁故者が多数ある状況に鑑みまして、是非住宅の措置をして欲しいという強い希望がありました。第二は燃料費であります。本年度においては多数の引揚者に対する燃料注を生活保護法によつてやるということになりますと、その二割と計算いたしましても相当厖大な経費を要することであり、その負担は現在の北海道廳の財政状況から非常に困難であるから是非この点は國で全額負担して貰いたいという強いまあいわば約束みたいな形でなつておつたのであります。さような関係から私の方でも生活保護法とは切り離しまして、この予算を全額を國で負担する建前の下に予算を要求中でございます。越冬対策の第三は、既存住宅の、引揚者住宅の補修費であります。二十一年度及び二十二年度で緊急住宅施設といたしまして、府縣に補助といたしまして、引揚者等を收容する集團施設の措置をいたしたのでありますが何分にも経費も十分でなし、早急の際でありましたので、改修等も十分にできない点もあり、殊に火災予防の措置につきましては非常に不十分でございます。その結果、最近栃木、山口、福島、青森等の縣におきまして火災が起きまして、その都度若干の犠牲者を出しておるような状況であります。これはどうしても避難階段であるとか、或いは水槽であるとかいうような火災予防のための措置をしなければならん状況になつております。その他雨漏りであるとか、或いは窓の補修であるとか、疊であるとか、壁であるとか、或いは衛生設備であるとか、いろいろと最少限度の、住宅としての最少限度の手直しをしなければならん状況に相成つております。この点につきましては地元の軍政部等が非常にやかましうございまして、是非本年度において所要の改善を加えるということを強力に要求せられておるのであります。府縣におきましてもさような関係がありますので、我我に対しまして、是非何んとか措置して欲しいということを強く希望しておりますので各府縣から最少限度の改修計画を出させまして若干私の方でそれに手を加えまして、所要経費を計上いたしまして追加予算として要求しておるような次第であります。大体以上であります。
#6
○岡元義人君 今の援護局長の御説明に関連してもう一つ伺つて置きたいと思います。それはここに出ております追加予算の項目は、燃料と越冬用の住宅補修、寝具、それだけに止つております。併しこれと併行いたしましてまだ駅頭援護の予算というものが全然今の御説明の中になかつた。これも先達つてから東京都だけが百三十万円支給されておりまして、各地方の縣に対しましては全然支給されてないというような縣が相当あるのです。これはどういう工合に御処置になつておりますか。
#7
○説明員(田邊繁雄君) 只今御質問の駅頭援護の補助費の増額の点でございますが、これは追加予算として計上しないでも、援護廳としてすでに頂戴しております予算の中で、遺繰りによつて措置できることでありますので、追加予算には計上いたさなかつた次第であります。
#8
○岡元義人君 大体その金額をお示し願いたい。
#9
○説明員(田邊繁雄君) これは五百万円を増額する方針の下に流用の手続をやつております。
#10
○矢野酉雄君 局長にお伺いしますがその予算処置は四月か五月に請求したのですか。五百万円という予算は本年四月か五月にそれは予算が成立したわけでしよう。
#11
○説明員(田邊繁雄君) それは今年度の当初予算において成立いたしました予算を今度の物價改訂に伴いまして全面的に手直ししなければならんことになつております。その際に合せて五百万円の経費を駅頭援護費として増額するということで、これも大藏省の方に御相談申上げなければならんので、目下そういう方針で大藏省に御相談中でございます。
#12
○矢野酉雄君 そうすると、今まで引揚げて現実にやつて來たところの諸君には厚生省より駅頭援護費は支給しておりませんが、現在の駅頭援護の費用は主要駅府縣に対する補助費ということになつております。從つて主要駅と申しますのは全國の府縣全部でございませんので、大きな駅である府縣だけに補助いたしております。然るに最近の状況から考えまして、駅頭援護を一層充実し、更に全國的に充実する必要を認めまして、全國的にそういう予算の措置ができますように増額いたしたい、こういうことで計算いたしまして、既存の予算の範囲内で遣繰りするということで大藏省と御相談中であります。
#13
○矢野酉雄君 若しも御記憶ありますればお答え願いたい。御記憶がなければそのままで結構です。後で御報告を頂ければいいですが、福岡縣のごときは私十数回、眼の辺りに目撃したのですが、福岡縣にはどれくらい支給されておりますか御記憶ありますか。
#14
○説明員(田邊繁雄君) ちよつと今資料を手許に持つておりませんので、後程調査いたしまして申上げます。
#15
○矢野酉雄君 それと関連しまして、この前ちよつと援護課長に言つて置きましたが、駅頭援護の経費は運輸省に関連する問題であります。門司ならば門司で汽車を組立てる時あの引揚者諸君のために客車を一台か二台人数に應じて追加して頂きますと、結局坐つて帰れるし、紛失の虞れがないところがそれが一つも徹底していないために、或いは予算を取つてないためか、一般の乘客の中に分散して乘らなければならんだから優先権のある内地の諸君が平氣で腰を掛けておる。ところが引揚げの諸君は皆通路に坐つておる、或いは立つておる、おまけに折角頂いた二十一点の中全部奪われたり或いは一部を盗られたりして非常に危險がある、そういうことに対して、対策審議会は勇敢に直ちに運輸省その他必要な関係官廳に言つて、実施すべきだと思う。その費用が必要だつたらその方面から出すようにしたらいいと思う。それについて局長は何か具体的に手を打たれましたことについて御返答願いたいと思います。
#16
○政府委員(田邊繁雄君) 引揚者が帰郷する際に乘車いたします特別の引揚列車でありますが、こういう点については先般引揚同胞対策審議会におきまして採上げられましたが、あらゆる面で引揚者の列車につきまして便宜を與えるように決定いたしまして、直ちにこの旨を運輸省の方に申入れまして、運輸省の方でできるだけの便宜を図つて頂くような措置をいたしております。そう御了承願います。
#17
○淺岡信夫君 先程局長から五百万円の予備金ということを言われましたが、これはどうなんでしよう、今年中にということは言われないかも知れませんけれども、現実に今学生同盟その他の諸君が各都道府縣、或いは重要な駅をやつておるそういうところに配分されるのでしようか。
#18
○政府委員(田邊繁雄君) 本年度の予算でございますれば本年度に拂つております。
#19
○淺岡信夫君 そうすると、本年ということはですね、來年の三月までを言うのですか、或いは今年中のことですか。
#20
○政府委員(田邊繁雄君) できるだけ早くという意味で大藏省との話が纒まりますれば、早速配分するつもりでおります。
#21
○淺岡信夫君 その配合につきましては、例えば一番重点をなすのは東京都であるかも知れませんが、実際におきまして私共が目撃した点から行きますと、先ず京都府、それから北海道の函館或いは九州というようなふうに、やはり重点的になされることは勿論でしようけれども、ところが学生同盟の約三万になんなんとする人たちの動きというものは、随分末端まで行つておるのでありまして、それで引揚復員列車に私共行つて、援護の学生諸君の声を聞きますと、非常にそれが行き届いておらんのです。それでまあ既往のことを言つて見ても仕方ございませんが、今後そういうものは重点的に或いは末端まで及ぶようなふうに、一つお心遣いを頂きたいということをお願いしたいと思います。
#22
○岡元義人君 援護局長の御説明で大体分りましたのですが、ここで大藏当局に御質問いたしたいと思います。この越冬資金につきましては、委員長初め穗積委員並びに木内委員、私と、先達ても大藏大臣に外相官邸で夜中御面接を願いまして、極力要望してあるのでありますが、その後林厚生大臣にも、十分にこの越冬対策に対しては万全を期して頂きたいということをお願いしてあるのです。只今援護局長からの御説明によりまして、援護廳としては大体の組入れを終りまして、ただ大藏当局の解決を待つておるというようなふうに我々は解釈するのでありまするが、併しながら非常に微妙な國会の空氣の中で、この追加予算をどういう工合に大藏省が処置されるか、その点一つ伺つて見たいと思います。尚内容は先程來縷々と述べられましたように、非常に重要な問題でありまして、もう今度帰つて來る無縁故のは昔の無縁故者とは尚一層その程度が違つて來ております。それから地方をば我々が調査に廻つて見ますと、援護局長の説明の中にはありませんでしたが、実際二疊に対して二家族も入つておるというようなひどい実情なんであります。本日も公務員法の問題が予備審査されておりますが、いわゆる公務員の三百万という問題があれほど眞劍に叫ばれるのでありますが、それ以上に、実際六百万に余るところの引揚者の実情というものは、もつと切実で、もつとみじめな状態にあるのであります。本当にこの冬をばうまく政府が遣繰りして呉れないというようなことがありましたらば、恐らく今まで大分黙つておりますけれども今後に起きる事態というのは相当これは憂慮しなければならないということを私はもうここではつきり申上げておくのであります。今まで三年間何にも言わずに辛棒して來た引揚者たちでありますが、若しここまで辛棒しても尚政府がこれを知らない振りをしておつたということになりますと、これは禍根を永久に残すことになるということは必定でありますから、この点どのようにお考えになつておりますか。そうしてこの処置をばこの委員会に明かにして頂きたいと思います。
#23
○政府委員(平岡市三君) この引揚者の越冬対策については目下のところ昨年の程度のものは支給する考えでありまして、これを追加予算に組む予定でありますけれども、細かいことにつきましては、まだまだ檢討中でありまして、金額その他についてはちよつと申上げられる段階にまでなつていないのでありますが、よく厚生省の方の御意見もお聽きしますし、予算全体とも比較いたしまして、成るべく努力いたしたいと考えております。
#24
○岡元義人君 今のお答えは非常に不滿足であります。というのは先程來、ことが重要性を持つておるが故に、我我は夜中外相宮邸で、而も佐藤官房長官にまで立会つて頂きまして、例えば災害対策という問題も大きな問題でありますが、併しこの問題はこと人命に関する問題であります。災害対策よりももつと優先的に私は考えて頂きたい、この冬を生きるか死ぬかの問題なんです。それが今から追加予算の中で何とか考慮して行こう、そういうような生まぬるいような態度では私はこのお正月は過されない。而も來月お正月が來るのです。そういう切羽詰つておるのでありますから、もつと眞劍に、もつとまじめに採上げて頂きたい。そうして尚具体的な問題は所管の課長なりから十分御説明願いたいと思いますが、一應この点政務次官に対して強く要望して置きます。
#25
○矢野酉雄君 これは実際に自分で引揚げて見なければ分らん問題でして、なかなか胃痙攣をやつたことのない人は胃痙攣の苦痛が、同情的立場くらいの程度しか分りませんが、岡元委員が申されましたように六百二十万、そうしてソ連はこの十一月も約二万七、八千の者を帰して呉れるということに言明、通告を受けておる。これは刻々今々の問題でありまして、追加予算を今から組むとか組まんとかいうのでなくて、こういう問題は直ちに予備金から、そう大したことでもないのですから予備金の支出でできると思うのです。大藏当局と今日は幸いに厚生政務次官がおいでになつておりますので、その方面の御折衝は全然なかつたようです。そうして予備金で足りなければこの追加予算の正式の編成を要望してよいのでありますけれどもそのままの空氣では果して追加予算がこの本会議に上ぼせられることができるかどうか、少くとも常識的には甚だ困難と思いますので、緊急の処置を先ずして、そうして追加予算は追加予算として、一刻も早く成立せしめるというような政治的処置をしなければならない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それだけの熱意があるかどうか。事柄の如何によつては私も重大な一つの覚悟を持つております。(「同感同感」と呼び者あり)どうぞ御答弁を願いたい。
#26
○政府委員(團伊能君) 只今のお話でございますが、追加予算を通過いたしまして、例えば住宅の建設におきまして北海道等におきましては、今日殆んど建築をすることが不可能な時期に入つております。その他、寝具その他の用意を整えるといたしましても、ここで今日の生産の状態を考えまして、急にできないということは明らかでございまして、勿論追加予算は極力これを主張いたしますが、只今おつしやいましたように、事は追加予算の通過を待つていない。冬は一刻々々参りますという状態は切実に考えられます。この点におきまして、厚生省といたしましては、追加予算のみならず、私はここに非常に詳しく計数を挙げることはできませんが、手持の古い物資のあるものもございまするし、又追加予算が得なくても、建築資材その他が他の方法において手に入る物もございます。又現在の北海道その他においては、勿論先程援護課長の御説明のように、修繕を要することは必要と思いますが、そのまま入れませんが、既成住宅もございます。現にございまして、これらの問題は現実に今ここにある問題でございますから、この問題に即しまして、できるだけ可能なる範囲において、この越冬設備も考えたいと存じます。只今駅頭援護というようなお話もございましたが、これもなかなか問題がございまして、先日大阪に参りましたが、大阪にある建築物で使用しておりますものも、いろいろな借地関係から、昨年内に多分返さなければならなかつたのを、一年延ばして貰つておりますが、それを返さなければならない状態にございますが、そういうものは無論返すべき契約にはなつておりますが、この問題はそういう契約をやや超越した問題と思いますので、この契約は又待つて貰つても、これを確保いたし、駅頭援護のごときも、或いは宿泊設備その他をここに断乎として守つて、この冬を越す決意でおります。その点御了承頂きたいと存じます。
#27
○矢野酉雄君 大藏当局から予備金の問題について……。
#28
○政府委員(平岡市三君) 矢野委員のお説は、極めて御尤もでありますけれども、政府次官といたしましては、予備金支出してやるかどうかということを、ここでちよつとお答えすることは、私として確答できませんから、ちよつと大臣にお会いしまして、この点篤とお話いたしたいと思います。その辺で御了承願います。
#29
○矢野酉雄君 その問題は、それ以外にお答えできんと思いますから、予備金問題は國会の承認は今得る必要はありませんから、即刻政治的の手を打つて頂きたいと思います。
 それから團政務次官のお話は、その問題について專門でおありでないので、初めてのことですから、只今の御答弁無理もないと思いますけれども、蒲團ができるとかできないとかいうそんな問題は、ここで実は問題にしたくはないので、物資は相当あります。現に援護局長は、それを確実に帰つて來るための準備は十分にありますし、各地各所に相当の物資がまだ温存されておりますから、それだけでも現在まで帰つて來ておる者も、帰つて來る者に対しての愛の心であればやりたいという、又愛の心の上に意思が働いていたならば、できる見通しがついております。是非一つ日頃尊敬しております團政務次官が今御説明の御精神に即して、大いに主管の当局のお尻を叩いて、即刻一つ着々手を打つように一層のお骨折を切望してやみません。
#30
○紅露みつ君 私も住宅とか燃料とかいう問題は、これは本当に欠くことのできない援護物資だと思うのでありますが、私共一番心配しますのは、住宅建築に要する資材とか或いは燃料とかいうものは、また都合の付けようもあろうかと思いますけれども、蒲團それからその他の下着類とかいうような防寒の纖維類が非常に心配になつておつたのでありますが、今矢野委員からのお話で、それは心配することはない、物資は十分あるというようなお話で、それが本当だとすると、これはもう安心いたすのでございますが、蒲團ばかりではないと思いますので、今申上げる通り下着も要りますし、上着も要りますし、これは融通の付けようがないと思います。國民の間には、全く長い間の纖維の枯渇と、それから綿にいたしましても、融通はても付かないと思います。是非これはあるものでございますならば出して頂かなければなりませんし、ないとすればこれは大問題だと思いますので、この点を政務次官から、是非はつきり安心を與えて頂きたいと思いますし、特にこの点お骨折願いたいと思います。
#31
○政府委員(團伊能君) 只今の紅露委員からの、又矢野委員からのお話は、私もきれらの物資が、どれだけこれを利用して得るものが現実に存在しておるかということにつきまして、まだ調査もいたしておりません。大体の感じにおきましては、その温存しておられるというお話が、或いはこれは厚生省当局にこれは使えるものでありますかどうか存じませんが、その辺は御承知の通りに、纖維品は非常なる不足のうちに参つておりますから、或いは温存してどこかにあるかのごとく思われても、事実これが利用できるものか、その点につきましてまだ調査もいたしておりませんから、調査いたしお答えもいたしたいと思いますが、全体の感じといたしまして、それ程豊富でないという感じを持つております。相当の量、これはどうかして獲得しなければならんという工合に考えております。若しも矢野委員におきまして、そういう点の御承知がありますならば、又御教示も頂きたいと思います。
#32
○紅露みつ君 まだ御就任後間がないので、御尤もだと存じますけれども、これはもう早急に手を附けて頂きたいと思います。この点お願いしておきます。
#33
○矢野酉雄君 厚生政務次官から、大藏省にも関係があると思いますが、北海道のごときは、現に一千五百万石の材木が蓄積されて、而も下の方は三年もそれをそのまま置かれておるために、三分の二はその材木が腐つて、そうして建築材料として使うことができない。各縣、各省、御調査になつたならば直ぐ分る。こういうのは結局は各官廳のセクシヨナリズムの一大弊害であるから、新内閣はよろしく民意を暢達するという意味からも、早く運輸省その他農林省等と関連をおとりになりまして、そうして即刻そういう実に國の宝を腐らすというような、こんな実に不届き千万な政治の貧困、行政のマイナスをしないように即刻手を打つて、そうしてじやんじやんそれらのものは統制的ないろいろな今までの規則というものをどしどし撤廃して、そうして最も自由に簡素に建築ができるような一つの制度に改めて頂くような、十分の御研究と熱意を示して頂くように私は要望して置きます。
#34
○委員長(草葉隆圓君) 越冬対策の問題につきましては、田邊援護局長その他からいろいろ当該政府の責任者としての御計画等を御発表願つて大藏当局と御折衝のことと存じます。本日主計局長がお見えになつておりませんので、甚だ遺憾でありますが、幸い主計局の吉岡第四課長がお見えになつておりますので、主計局として大体お考えになつておりますことを、この機会に卒直にお聽かせを願うということをお願い申上げたいと存じますが。
#35
○岡元義人君 今のそれも私要望したかつたのでありますが、その前に非常に大事なことですから、先程も厚生政務次官の御説明を聽きまして、非常に不審に思えてならんことがあるのであります。というのは北海道等はすでに建築もできんというようなお話がありまして、今の御説明の中の先程矢野委員からもありましたが、厚生政務次官として、余りにも越冬対策というものについてお分りなさ過ぎると思うのです。というのは非常に大事な問題があるのです。というのはここに越冬住宅補修費という名目が掲げてありますが、これは先程同胞援護会というものが全國にございまして、この同胞援護会は今までどうやら賄つて参つたのでありますが、御承知の通りこれは今度すつかり財的方面において行詰りを生じたのであります。それがために全國の今までの引揚者等が入つておりますところの住宅は、殆んどどこからこの営繕費を出せばよいかということで非常に行き悩んでおるのであります。そういうような最も大事な実情がお分りであつたならば、この越冬住宅補修費というものが如何に重大なものであるかということは、政務次官はお分りにならない筈はないと思うのであります。一体あれはあの中央からの指令に基きまして、関係方面との関係もありますが、そこで打切られた同胞援護会が持つておる建物に收容されておる引揚者は、今年の冬は越せないのであります。これは当然厚生省がこの問題については考慮しなければならない、それ故に、地方自治体からあらゆる要求がここに出て來ておるわけであります。こういうような重要性を持つておる内容を十分檢討されまして、この問題はどうしても解決付けなければいけないのだという、もつと私は積極的な心構えを厚生政務次官に要望して置きたきのであります。尚只今委員長からお話がありました通りに、所管課長からどういう工合になつておりますか、御説明を願いたいと思います。
#36
○説明員(吉岡英一君) 私主計局の吉岡でございます。本日局長がお伺いする筈であつたのでありますが、あいにく追加予算の問題で司令部に呼ばれておりまして、出席いたしかねましたので大変恐縮でありますが、私から現状を御説明申上げます。私から申上げますので、極めて事務的な現状の御説明になると思います。大要につきましては政務次官から御答弁がありました通りでありますが、厚生省から先程御説明がありましたように、越冬対策といたしまして、三つの項目の御要求が参つております。第一の寝具、毛布の無償或いは國で一部負担をして配給をいたす問題と、それから越冬用の燃料の問題と越冬用の住宅補修費の問題の三つであります。事務的な段階を申上げますと、第一の越冬用の寝具毛布の配給につきましては一昨年、昨年も実施いたして参つた事柄でありますので、大体昨年度程度のものはいなければならないという考えで、点数を目下大藏省と御相談を願つておる段階であります。それから越冬用の燃料につきましては、昨年も実際の問題につきましては、北海道について同じ問題があつたのでありますが、こういうふうな採上げ方をいたしておりません問題であります。それから第三の住宅補修費につきましても、一應新たな問題でありますので、事務的には厚生省の申出を承認するというところまで至つておりませんで、尚檢討をいたしておる段階であります。それからこれも極めて事務的な御説明でありますが、これを追加予算にいたしまして、予備金にいたさなかつた理由は、追加予算全体がどういうふうにいつ頃成立するかという問題は我々の関知し得ない点でありまして、実際どういうふうに決まりますか、我々には分らないのでありますが、一応我々が事務的に指示をされましたことは、追加予算は先ず或る部分が早急に成立をするものという予想の下に、その一番目に成立をする予算に組むということで進んで参つております。從つてこの越冬対策の費用を含んだ追加予算は非常に短かい期間に成立するというふうな予想で今まで進んで参つたわけであります。そこでその追加予算が全体の関係で成立をいたさない、或いは冬を迎えた期間に間に合わないというようなことになりますと、これは今までの前提が変りますので、或いは予備金の支出、或いは流用というような問題になるのかと思います。で若しそういうことになりますと、予備金の使用が事務的に不可能ということになりますと、或いは外で何かやりくりをするというような手段に出なければならないかと考えておるわけであります。ただその辺は我々の非常に事務的な考えでありまして、この追加予算がどういうふうに決まりますか、決まりますれば又違つた方法が考えられるかと思います。
#37
○岡元義人君 只今の御説明で大藏省の段階は大体分つたのでありますが、これは委員長に私申入れをしたいと思います。というのは先程我々がこの特別委員会を代表いたしまして大臣に申入れをいたしましたことが、まだ十分に大藏省の内部におきましてその意図が反映していないということを私は考えられると思います。これは非常に遺憾な点でありまして、この点は更に政務次官も見えておりますから、委員会として委員長から我々があれだけ夜間押掛けて行つてお願いしてあるしの氣持をもつと酌んで頂きたい。ただ徒らに我々が晩までお伺いしておるのではないからその点申入れをして頂きたいと思います。
 それから今の御説明によりますと、まだ大藏当局がただ一つの事務的な処理というようなふうの考えが強いように伺われるのであります。この越冬住宅補修費という科目になつておりますが、実際はもつとこの中にはいろいろな内容が含まれていると私は考えるのであります。というのは無縁故者というようなのは、單に北海道東北六縣に限つているのではない。併しながら北海道、東北六縣の無縁故者の收容住宅というのは先に予算を頂きまして今着着建築中なんであります。併しその外に只今舞鶴等に上つて來るところの者は、先日田邊局長とも一緒に舞鶴をば視察して御承知と思いますが、殆んど無縁故者であります。必ずしも北海道から來る者だけが無縁故者ではない。そういうような無縁故者を何ら処置されていないという実情であります。ここに幸いに田邊局長は一緒に困つている実情にぶつかつて來ておられるのであります。そういうような実情がありまして、これは全國的に相当な無縁故者というものをばこの際考えてやらなければならないという状態に立至つておるのであります。而もソ連地区の引揚者、樺太の引揚者を除きました外の者は、只今大連地区等から帰つて來るのは殆んど無縁故者であります。無縁故者なるが故に今まで向うの中國人なり、第三國人の第二号になつたり、第三号になつたりして今まで辛うじて生きて來た。併しながら向うの指令に基きまして止むを得ず帰されて來ているこの人たちは殆んど舞鶴病院その他に入つているが、病院の部屋から一歩も出れんというような実情にある。而も女が非常に多くなつて來ている。そういうことをば勘案されまして、もつと事務的処理でなくて、実際にああいう実情にあるのだということを大藏当局は把握して欲しい、でなければこの越冬対策資金というものは如何に重要性を持つておるものかということがお分りになつて頂けないと思います。この点強く要望いたします。
 第一点は去年やつたからよろしい。第二点、第三点は今年初めてのことであるから今のところ何しておるというのでは我々承認し得ないところであります。どうぞ一つ二点、三点というのは、今まで皆が我慢して我慢し切れなくなつて來ておるという点をば御了承の上で、十分にこの問題をば処理されるように、而もこのまま正月をば越さしてしまうというようなことのないように特に私は切望しておきます。
#38
○委員長(草葉隆圓君) 他に御意見ございませんか。
#39
○矢野酉雄君 議事進行。
#40
○委員長(草葉隆圓君) それでは只今の岡元委員の御発言にもありますように、この越冬対策は目下の緊急を要する問題であります。只今大藏事務当局の御説明によりますと、寝具は大体において処置しよう、あと燃料並びに住宅の補給はまだ問題が解決していない、ところが燃料は今年から北海道も新らしい道民に対して政府が新らしい手を打ちましたように、北海道としましては、燃料は主食に相当するような重要なものだということは、私がここで、又本委員会がここで申すまでもないことだと思います。殊に引揚げて参りました人達は何ら燃料の貯えもなく、而も住宅は吹き曝しの所で疊もないような状態の應急住宅が多いのでありまするから、どうしてもこの燃料の問題と住宅の補給というのは、この冬を迎えまする前に是非とも政府としては至急予算的処置を講じて、この冬に間に合うような方法をとつて頂かねば大いなる憂慮すべき状態に相成つて來ると存じます。幸い平岡政務次官も見えておりまするから、この点十分大藏当局内部におきまして急いで予算的処置を講じて頂いて、その状態を一應本委員会に至急御回答を願いたいと、かように存じまするが、委員の皆さん御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○千田正君 只今北海道のごとく承つておりましたが、東北六縣が特にいけないと思います。
#42
○委員長(草葉隆圓君) 勿論今一例を北海道の燃料問題に採りましたが、これは住宅は全國的な問題でありますから、この点は附け加えて申上げて置きます。
#43
○矢野酉雄君 燃料は東北もやらなければ……。
#44
○委員長(草葉隆圓君) これは一例で……。それでは特に本委員会では越冬対策についての政府の緊急なる処置を強く要望いたしまするために、大藏当局において財政的処置を急いでして頂いて、その結果をこの委員会に一つ御報告を願いたいと、こういうことを申入れて置く次第であります。
 では次の問題に移ります。第二の生業資金について。
#45
○岡元義人君 私からこの問題につきまして、一應簡單でいいのでありますが、援護局と大藏当局と両方から……、若し大藏当局は所管が違いましたら構いませんが、先程來まだ一世帶交付額の値上の問題がはつきりいたしておりません、この点につきまして、簡單でよろしうございますから、その見通し、それからこれに対する便法処置、この間特別委員会で申入れいたしました便法処置等について、御説明が願えれば結構だと思います。
 それからもう一点、これは非常に大事なのでありますが、もう冬を控えまして、生業資金の第三次、第四回を必ず支給されますかされませんかということを、お答え願いたいのであります。
#46
○説明員(田邊繁雄君) 生業資金の限度の引上につきましては、度々本委員会において我々も方針を御説明申上げましたので、御説明することを省略いたしたいと思います。この点についての問題は……。ちよつと速記を止めて下さい。
#47
○委員長(草葉隆圓君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて……。
#49
○説明員(田邊繁雄君) 越冬資金の値上につきましては、御要望に副うように取計いたいと思います。
#50
○岡元義人君 第二点は御要望に副うようにというお話がありましたが、現金化されるのはいつになるか、度々当委員会で、前の厚生大臣の時にも問題になつたのでありますが、只今早速手を打つて頂かなければ、お正月前の現金は入らないというふうな状況です。お正月に入らないような生業資金の処置でありますならば、これは非常に効果がないのであります。だからこの越年を控えまして、相当自殺者を出したり何かした問題の生業資金でありますから、出される肚がありますれば、早速出されるように手続をとつて頂きたい。第一点の問題は、御説明を聞けば止を得ないと了承されるのでありますけれども、もう今度の國会、この休会中からもう二三日、もう一日と、こういう工合に待つて來たのですが、多少その間において、援護局長も答弁しにくいような氣持だろうと思う、もう少し誠意を以てはつきりしたことを言つて頂くように、はつきり解決して頂くように併せてお願いいたしておきます。尚大藏当局からこの点について御説明が願えたら御説明して頂きたいと思います。
#51
○説明員(吉岡英一君) 生業資金の限度引上の問題については、田邊局長から御答弁がありました通りでありまして、これは厚生、大藏両省間の問題では……ちよつと速記を止めて下さい。
#52
○委員長(草葉隆圓君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#53
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて下さい。
#54
○矢野酉雄君 その問題は政府を幾ら通じても政府はそのままだから特別委員会としてやはり一遍も手を打つていないのだから、正式に渉外部の責任である北條委員を中心にして、紅露委員とか、或いは木内委員というような女の議員の方々も加わつて頂いて、そうして実情を、参議院の意思を反映せしめるように、やはり数回々々に交渉すべきだと思うのです。是非我が委員会が、そういう方面に國会としてのいわゆる活動を十分なさなければいかんと思います。政府だけに頼つておるべき行政措置じやないと思います。如何ですか、委員長。この点、この問題を議題にして早速今日できればやつて頂きたいと思いますが……。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(草葉隆圓君) 只今矢野委員の動議のように、むしろ本委員会が一方における主体となつて、そうして関係方面に十分その趣旨の了解を求め、徹底を期するようにして行つたらどうか、かような御発議でございますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○矢野酉雄君 伊東君なんかはその方面の側だから、こちらの方面の考慮をして、即刻、今日でも明日でもやるように、伊東君は渉外関係なんだから……。
#57
○委員長(草葉隆圓君) それでは矢野委員の只今の御発議のように処置をして行くことに決します。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(草葉隆圓君) では次の問題に移ります。順序を狂わして恐縮ですが、前野監理局管理課長がラジオ放送の問題で出席しておられますので、この放送関係に関する件から先に採上げて参ります。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(草葉隆圓君) それでは放送関係に関する件。
#60
○岡元義人君 この放送関係と申しますのは、この間から特別委員会でいろいろ協議いたしまして、委員会として採択されました問題でありますが、第一は、今までの持ち帰り安價証券が本人に許可になつた分から送つてやつても、宛名の住所におらないので返つて來るというような証券類が非常に多数に上つておる。これに対してラジオ放送だけで以て何らか本人にその有價証券が渡るようにしてやつたらどうかということをこの間採択になつたのであります。ところがその後放送局と折衝いたしておりますけれども、なかなか放送局側の方の何かがまだ決定いたしませんので、前野管理課長が放送局の管理課長だつた事情を知らなかつた。非常に失礼しておつたのですが、あなたの方の関係の問題なんです。だから特に都合いいと思うものですから、放送局の引揚の時間、今度もちよつと船の入港が杜絶えておりますので、その中間だけは余り大した引揚時間の放送もないので、そういうときに放送を実施させるように一つ取計つて頂きたい。
 もう一件は先日調査團が廻りました際に、船舶輸送関係と駅頭援護会の者に対しまして、今まで勿論先に予算面に現れました通りに、終戰後今日に至るまで非常に活躍して頂いたのでありますが、船舶輸送の人達も我々がこうして南に北に輸送に当つているのに、國民からは惡いことをしているということばかり聞かされている。これだけ努力しているということをちつとも認めておらないというような非常な愚痴が出たのであります。これに対しては当然なことなんだと思うのでありますが、それをこの委員会におきましては、どう犒ろうか、感謝の放送をしようということになりましたので、この点をば紅露委員と私と二人でラジオ放送をば感謝の放送をするというふうに起案したのでありますけれども、放送局に入れるに今のところ見通しが付いていないのであります。この点につきまして、政府側として、放送局との連絡をとつて頂きたい、こういう趣旨であります。
#61
○説明員(前野直定君) 只今岡元委員から放送の関係でお話がありましたが、放送局の方で私のことをどういうふうに申しましたかちよつと存じませんが、実は私としましては、放送局の別に管理をしているわけでもないのでありまして、ただ從來引揚者の関係で、いろいろ引揚者の方々に周知して頂く事項が多い関係で、私として放送局へ交渉をしているだけでありまして、今お話になりましたような輸送に盡力しております船員の労を犒うというような点につきまして、放送局の方へ交渉することは、実は私としては何ら権限がないわけでありまして、その点はちよつといたしかねると存じます。
 それから返還有價証券の受取人住所不明の点でありますが、これは從來も放送局を通じて再三やつたことがありますし、それから実は昨日の引揚者の時間にも、外の件で、私の方の所管事項を放送して頂いたのですが、そういうふうに今後とも私の方の所管事項で放送局へお願いすることが多々ありますので、もう一度返還有價証券のことにつきましても、引揚者の時間に組入れて貰うように交渉いたしてみようと思つております。
#62
○委員長(草葉隆圓君) それでは放送関係については、いずれ関係方面とよく打合せた上に本委員会で採択しまして事を進行するように御了承願いたいと思います。
 次に帰還者課税特例法案、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案、この両案について、大体小委員会でこれは御進行願つておると存じますから、そのことをここで御発表願うということにお願い申上げたいと存じます。
#63
○北條秀一君 只今の件でありますが、帰還者課税特例法案につきましては、昨日法律関係の小委員会におきまして、駒井小委員長を中心としまして審議いたしました。その結果を今日駒井小委員長が本委員会に報告される筈でありましたが、御出席になりませんので、私から代りまして説明いたしまして、御了承を得たいのであります。
 この法案は、非常に緊急を要しますので、是非本日の委員会において決定をして頂きたい、こういうふうに考えております。この法案は、先の第二回國会におきまして提出した法案と同樣のものであります。ただ先の第二回國会におきましては、所得税が一ヶ年間十万円を超過しない場合においては、所得税を免除するということになつておりましたが、本回は、諸般の情勢を考慮しまして、十万円の所得を二十万円に限度を引上げました。それが最も重大な訂正された点であります。而してこの法案を提出します所以は、先の第二回國会におきまして、引揚同胞対策に関する決議が全会一致において採択されました、その第二項に、千九百四十八年以降に外地から帰つて來るところの引揚同胞に対しては、その帰還の日から一ヶ年間すべての税金を免除すべきであるという方針が明示されてありますので、その明示された方針に基いて本法案を特に單行法の形において作り上げたのであります。從つて、この法案を提出します理由につきましては、先日皆さんのお手許にガリ版刷りで差上げました提案の理由書が附いておるのであります。これを読みますことは時間が掛かりますので、大体御覧願つておることと考えまして、省きますが、内容につきましては、一項から四項までになつておりまして、國会の決議に從つてこうした特例法案を作るのです。つきましては本日本案の御決定を得ますならば、これに基いて正式に関係方面と折衝を続けて行こう、こう考えておる次第であります。
#64
○淺岡信夫君 今の北條委員の説明によつて、実によく了承いたしたのであります。ところが、そのプリントしたものを私共すでに頂載しておつたのですが、それを粉失してしまつたのです。煩雜かも知れませんが、一應これを読んで頂きたいと思います。
#65
○北條秀一君 それでは読みます。
   「帰還者課税特例法案
 第一条 昭和二十年八月十五日以前から海外に在つて昭和二十三年四月一日以後日本へ帰還した者(以下帰還者という)でその所得金額が二十万円以下であるものに対しては、政令の定めるところにより、帰還した日から一年以内において納付すべき所得税を免除する。
前項の所得金額は、所得税法第八條に規定する同居親族で帰還者であるものがある場合には、その所得金額を合算した金額による。
 第二條 前條の規定の適用を受けようとする者は、命令の定めるところにより、所轄行政廳に申請しなければならない。
 第三條 帰還者でその所得金額が二十万円以下であるものに対しては、帰還した日から一年以内において課すべき府縣民税、東京都民税(地方税法第八十五條の十の規定による特別区税を含む)北海道民税、特別市民税及び市町村民税は、これを課することができない。
前項の所得金額の算定には、第一條第二項の規定を準用する。
 第四條 前三條の規定は、連合國軍の命令により、戰争犯罪人として処刑された者には、これを適用しない。
   附則
  この法律は、公布の日から、これを施行する。」
以上であります。
#66
○委員長(草葉隆圓君) 只今北條委員の御説明並びに本日本委員会において決定して、本委員会として議員提案として國会に提出したいという動議に御異議がございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(草葉隆圓君) 異議ないものと認めます。
 本委員会は、北條委員の御説明によりまする動議のように、本國会に、帰還者課税特例法案として提案いたすことに決定いたします。
 では次の問題の、第四に移ります。
#68
○北條秀一君 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案について説明をいたします。引揚同胞対策審議会設置法は、昭和二十三年法律第二百十二号を以て施行されたのでありますが、その一部を次のように改正したいのであります。即ち設置法の第三條「審議会は、委員長一人及び委員十五人以内でこれを組織する。」となつておりますのを「委員二十人以内でこれを組織する。」即ち委員を五名殖やしたいのであります。同じく第三條の第二項の二を新たに設けまして「特別の事項を調査審議するため、必要があるときは、臨時委員十人以内を置くことができる。」という新らしい項目を設けようと考えるのであります。即ち臨時委員は、從來の規定にはなかつたのでありますが、どうしても臨時委員を必要といたしますことは、過去三回の審議会の運営の結果に基きまして、どうしても必要でありますので、臨時委員を十人以内置くようにしたい。第三條の四項は、先には「委員は、関係各省の次官、引揚援護廳の長官及び厚生大臣の認める引揚團体の代表云々」とありましたが、その項目の中に、経済安定本部副長官が前に拔けておりましたので、新たに委員増加と共に、経済安定本部の副長官をここに入れるということに改正したいのであります。それがこの法案を改正する要点であります。更に新らしく第五項として、臨時委員の任免についての項目を加えたいのであります。即ち「臨時委員は、関係各廳の官吏及び学識経驗ある者の中から、内閣総理大臣がこれを命ずる。」こういう規定を設けたのであります。以上が対策審議会設置法の一部を改正する法律案であります。
 本設置法は、第二回國会におきまして、衆議院の方から提出されて、そうして七月五日に成立した結果になつているのでありまするが、諸般の情勢を考慮いたしまして、この設置法の修正は、参議院の方から出しまして、そうして急速に、第三回國会中にこれが成立しますように処理して行きたい。こういうふうに考えているのであります。つきましては、関係方面との折衝でありますが、今日まで折衝を続けて参りまして、よろしいと、大体よろしいのでありますが、問題は、委員を今度は五名殖やして、その殖やした五名の委員の内、官廳側は何人、誰と誰が委員になる。民間側は何人で、誰と誰が委員になるということでありますが、その点につきましては、官廳側は二人、先程申しました経済安定本部の副長官が一人、もう一人は、労働次官が一人、計二人。それから民間側から三人委員を出すということが、本日併せて御了承を得ればですね、最後的な折衝を関係方面といたしまして、早急にこれが本会議に持つて行かれますように処置して行こう、こういう考えであります。
#69
○委員長(草葉隆圓君) 只今北條委員の、引揚同胞対策審議会設置法の一部改正に関しまする御説明のように、第三條の、審議会は、十五名の委員を二十名に殖やし、それから特別の事項を調査審議するため臨時委員十名を置くと、且つ各省の関係次官の外に、経済安定本部副長官を加えて、第五項に、臨時委員は、関係各廳の官吏及び学識経驗ある者の中から選ぶことにしまして、殊に五名増員の二名は、経済安定本部の副長官及び労働省の次官、民間三名、こういうことにいたして行きたいという御説明でありまするが、これを本委員会で決定いたしまして、参議院の特別委員会提案として、只今の北條委員の御説明のように決定いたしまして、御異議はございませんか。
#70
○岡元義人君 ちよつと伺いたいのですがね。この第三條二項の臨時委員十人を置くことができる。特別の事項の調査審議をするため、としてありますが、臨時委員は、第五項に、関係各廳の官吏、これは、私は構わないと思いますが、学識経驗のある者の中からそれを又選ぶということになつておる。併しこの審議会は、もうあとそう長くないんです。そこへ持つて來て、又ここへ臨時委員を何しまして、今度は、これは恒久的なものでありませんから、この臨時委員のあとの処置をしなければならないというようなことは、相当どうかと考えられます。関係各廳の官吏であれば、これは問題がないと思いますが、実際問題にぶつ突かりまして、地方からいろいろ学識経驗、これは一つの通用語でありますけれども、いろいろやはり廣汎に亘るものでありますから、その中からこういう人が選ばれる。本人の身になつて考えて行かなければならんのではないかと考えられますが、この点一つ、北條委員の御意見を伺いたい。
#71
○北條秀一君 岡元委員のお話は、審議会はあと僅かしかないということでありますが、その点は、よく設置法を十分納得頂きたいと思うのでありまして、それは委員会は、九月の二十日に始めたところでありまして、まだ一ケ月十日しか過ぎていないのであります。正確に言いますと、あと一ケ月と二十日間あるわけであります。從つて一ケ月済んだ時分に、もうあとが少いということを言われますと、これは二進も三進も動きませんので、その点は、もつとよく了解して頂きたいと思います。この引揚同胞対策審議会設置法の趣旨は、一ケ年間で、各般の大問題の処理に当ろうという強い決意をしてやつておるのであります。そのために、現委員が現在十五名でありまして、民間が八名になつておるのでありますが、とてもこの一年間でそれだけの成果を得るためには人が足りない。そこでその委員を殖やそうということは、先程説明した通りでありますが、なぜ臨時委員を置くかということになりますと、先程岡元君が心配されたように、委員になる人の立場もありますので、從つて最も合理的に、集中的に、一つの特殊な問題を考えて行くためには、臨時委員という制度を作つた方がよろしいと、例えば引揚者の在外資産の問題、或いは引揚者が持つて帰つたところの証券類の処理の問題、或いは救済資金の処理の問題、こういうような問題になりますと、その問題に極めて精通した人間があるわけであります。そういう人間を緊急に、一ケ月或いは二ケ月というように、必要に應じて動員いたしまして、その問題の処理に当らせる。研究に当らせるということは最も必要であるということを考えて、この改正案を出したわけであります。
 以上申しましたことによつて、大体お分り願えると思うのでありますが、最も集中的に、廣汎な問題を処理するためには、こうした臨時委員制度を設けることが一番合理的であり、且つ強力に処理できるという建前からこの改正案を出したのであります。尚御了解できなければ更に言葉を重ねて御説明申上げたいと思うのであります。
#72
○岡元義人君 この法案は非常に急ぐ法案であることも十分分つておりますので、できるだけそれを早く仕上げてしまわなければならないと考えるのでありますが、併し今北條君の御説明を承わりまして非常に矛盾を感ずるのです。私は実際問題としてお話いたしたのでありますが、單に一ケ月、二ケ月というような話ならば、東京都とかそういうところにおられる方々だけだつたら、これはもう私は止めて欲しいと思うのであります。何故かと申しますと、すでに今までの審議会でもそうでありますが、地方末端から総合的な一つの資料というものが出なければ審議会の目的は達成されないのであります。だから実際一ケ月か二ケ月九州あたりから一人の人間を選ぶのでも、その一人の問題でも相当これは考慮しなければならないと思うのであります。何故かと申しますと、一ケ月間東京へ引つ張られてそのまま放り出されて、これではその人の基本的な生活の方針は立つて行かない。そういうように考えましたから、ただ單に官吏であるというのなら差支えない。併し少くともこの審議会の有終の実を上げるという建前から行くならば、むしろやはり地方から総合的な資料を持つて集まるということが大事である。それには十分その人の立場に立つて考えてやらなければならないから、私は先程申し上げましたのです。もう一度この点は各委員の方の御意見を伺つて見たいと思うのであります。
#73
○委員長(草葉隆圓君) 他に御意見はございませんか。今の岡元委員の御質疑に対して北條委員何か……。
#74
○北條秀一君 先程私が申し上げましたことによつて要を盡しておると思うのでありますが、岡元委員の主張は、廣汎な組織的な資料を持つということが一つと、もう一つは臨時委員を命ぜられて東京に駐在した場合に、その人の生活の根拠をどうするかというふうな問題であると思うのであります。
 この二つの問題は勿論重大な問題でありますし、眞劍に考えなくちやいけないのでありますが、廣汎な組織的な資料を集めるかどうかという問題につきましては、対策審議会そのものが全体としてこれはやつておるのであります。從つてこの対策審議会が十分に組織的な科学的な資料を蒐集し得るということを、私は当事者でありませんが、当事者はそういうふうに考えておると思いますし、私も亦そういうふうに信ずるのであります。臨時委員を命ずるという点につきましては、その臨時委員を任命された人の生活の根拠の問題でありますが、これは先程申しましたように、二月なら二月間東京に住めば、当然東京にいる間の旅費、日当は予算の中から出すわけであります。ただ二ケ月或いは三ケ月間、時には六ケ月になるかも知れませんが、東京におつてこういう仕事のために献身して頂きたいということを國家が要請したときに本人は、それができなければできないで断わる自由を持つわけであります。本当に犠牲を拂つてやろうじやないかという人の中から選ぶわけでありますから、その点についてはそう心配は要らないと考えております。どうしても臨時委員というものが必要なんであります。と言いますのは先程申上げましたように、一ケ年間その人間を拘束する、一ケ年間行動を拘束されてもいいという人と、それじや困る、特別な專門の問題については、例えば在外資産であるとか、或いは在外公館の借上金であるとか、そういうような特殊の問題については自分は二ケ月なり三ケ月なり專心にそれに当つてもいいという人は沢山あるのでありますけれども、それは一ケ年間となりますとなかなか容易じやないというので、又そうした臨時委員は本当に今日までの運営の実情からいつて必要なんでありますから、是非これだけは置かなければならん、こう考えてこの改正案を出すようになつたのであります。改正案を提出しまする理由は、一にかかつて審議会を運営して参りました今日までの結果に基いてやつているわけであります。その点を了解願いたいと思うのであります。
#75
○委員長(草葉隆圓君) それでは速記を止めて。
   〔速記中止〕
#76
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて下さい。只今北條委員の御説明にありましたように、引揚同胞対策審議会設置法一部改正に関する法律案は、参議院の本委員会の提案として、今第三國会に提案する。その内容は、只今説明にありました通りの内容を以て提案することに決したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○委員長(草葉隆圓君) さよう決定いたします。
 次に在外公館借上金及び在外同胞救済資金返還の件、これを議題といたします。
#78
○北條秀一君 在外公館借上金及び在外同胞救済資金返還の件につきまして、説明を申上げて御賛成を得たいのであります。これは第一回國会以來最も引揚者問題の重要なる案件の一つであります。即ち終戰後外地におきまして、一般避難同胞を相互扶助するために、外務大臣の指令に基きまして、訓令に基いて、外地においてそれぞれ相互に金を借上げて、その金でお互いが生活困窮状態を救つた。そうして引揚者が日本に帰れた。その金は当然外務大臣の訓令に基いて日本政府が補償すべきであるという問題なのであります。その点につきましては、第一回國会の、即ち昨年の十一月二十八日第一回國会参議院本会議におきまして、この問題に関して請願、陳情を報告いたしまして、参議院の本会議は、滿場一致、これを採択したのであります。昨日の参議院の本会議におきましても、元委員長中平議員が請願、陳情の審査報告をいたしまして、過半数で可決された問題であります。同じ問題でありまするが、第一回國会におきまして全会一致を以て、これを緊急に処理すべしと参議院は決定しました。その後政府はこの問題について関係方面との折衝に当つて來ておつたのでありますが、本年の七月二日関係方面からこの問題については尚研究する余地ありというふうに回答が來たのであります。その点につきまして、爾來政府は飽くまでもこれを一方的に処理するということでありましたが、最近になりまして、政府の処理だけではいけない、どうしても國会が、國会の独自の立場から、これの処理に当らなければならんという事態がはつきりしましたので、この際参議院の特別委員会といたしまして、すでに院議において決定した問題でありまするし、而も数百万の引揚同胞の極めて関心の的となつております問題でありますので、早急にこれが処理に特別委員会として乘り出して行きたいと考えまして、お手許に出しましたようなプリントに、本件の骨子を書いて行つたのであります。内容を読み上げることも時間の都合で差控えたいと思いますが、分割して申上げますと、第一は本件の性格、即ち在外公館の借上金及び在外同胞救済資金がどういう性格のものであるかという点を、第一項に明らかにしております。ただそこに間違つておりますのは、その訓令第七十二号と書いてありますが、これは訓令第七百二十六号の六というところが抜けておりますので、それは間違いであります。本件の性格は、A、B、C、Dに書きましたような性格を持つておるのであります。第二は國会の決議、即ち國会が本件の取扱に対してどう処理したかという問題であります。それを、A、Bの二つに分けて書いてあります。三は、本件に対する政府の処理方針とそれに対する國会の見解を、大きく(一)(二)と分けて書いてあるのであります。第四に、それを解決する方法としてこういうふうな方法があるのではないかということを書いてあるのであります。
 つきましては、第四の点が本委員会としては特に問題でありますので、その点だけはここで読み上げたいと考えます。即ち
   解決する方法
 本件の九億一千七百万円の返済を(一)國会と政府の責任を果すために、(二)引揚者を正常なる國民生活に急速に復帰させるために、(三)生産を増強するために、次の方法によつて行うことが適切である。
 A、九億一千七百万円を國庫より支出し、これを政府の選定する銀行に預託し、債務処理を代行させる。
 B、銀行は各個人の債権に対して債券又は預り証を発行する。
 C、各個人の債権額は政府及び民間合同の專門委員会が確定する。
 この三つの原則によつて処理したらどうかというのが、私の見解であります。何故こういう債権債務の処理に当りまして、片方は貸した方だ、だから返せ。政府の方は借りたんだから、返そう。從つて債権債務の処理ですから、簡單にやればいいのですけれども、この問題が関係方面との関係におきまして、インフレを促進するかしないかというふうな問題が一部の理由になつて参りましたために、むしろインフレを促進するというような考え方でなしに、生産を増強して行くというふうな方向にこの九億一千七百万円を活用して行こう。そのためにこういうふうな方法を考えたのであります。
 以上極めて概略的でありますが、從來政府からこの問題についてどう処理したかという点につきましては、このプリントの中にもありますが、しばしば政府から説明のありましたところを各委員に聽いておられますので、省略さして頂きまして、以上の補足的な説明をいたしまして、皆さんの御檢討を願い御協力を願つて、早急に御了解願いまして、関係方面との強力なる折衝に乘り出して行きたい。こういう考えでおるのであります。
#79
○委員長(草葉隆圓君) 御意見はありませんか。
#80
○穗積眞六郎君 この中で今一番終いの「解決する方法」というところについて、少し納得し得ないような点があるのでございます。と申しますのは、これを政府が、これは外の在外財産とは違つて、政府の返還すべき義務のある金である、行政費として即刻返さなければいかん、こういうふうに決められましたのは、結局債権者に対して返さなければいけない、こういう意味であつた。これは明らかだと思うのでございます。で、勿論北條君の言われるような、これを返すと同時に生産的の方面に使う、こういうことは第三者たる人達から見れば望ましいことであり、それから第三者的に考えて見ますと、どうもそれをそのままそつくり向うで貸した人が受取るというのは、ちつと虫がよ過ぎるというような氣もいたさないことはないのであります。併し根本が貸した金であるから速急に返せと、こういうふうな原則から出て來ておりますと、これを或る程度ほかに利用するというような傾きを持たせるということはどうも面白くないではないかとこういう氣がいたすのであります。で、できますれば綺麗にこの点は借りたものは返えすという原則を貫くような結末が得たいのだ、こういうふうに考えるのであります。
#81
○岡元義人君 私も今穗積委員の申されたように非常にこの点はもう少し伺つて見たいと思います。合点ができないのであります。なぜかと申しますと、飽くまで貸した金は、貸借の勘定であるということは向う樣も認めておるわけであります。その一本でこの問題は処理すべきである。いわゆる政府の責任においてこれを処理すべき性質のものである。二項三項に出してある問題を提げますとこれは生業資金なり或いは他の方法によつて、その問題は処理できるではないか、こういう工合に出られましたならば、これは一歩も我々としては、これに應えることができなくなるだろうと思うのであります。ただ、ここに北條君が提案されました理由はよく私分らないのですが、こういう工合に何か向う側からその支拂出し方法が決まれば〇・Kを與えるという何か内示があつたのですか。その点伺つて見たい。
#82
○北條秀一君 これにつきましては岡元議員が最もよく知つておるところでありますが、三月に岡元議員が、この件が早急に解決するという話をいたされたのであります。私はそれをあとで修正いたしまして、岡元君から相当譴責を受けたことがありますが、あれが相当影響いたしまして、いろんな投書が実際向うに入つております。投書の入つておりますその内容が先程の生業資金と同じようにすべて生活に困つておるのだ、困つておるから早く出して貰いたいというような投書が非常に多いのです。自分は五十、七十で、せめてこの金があれば日本に帰つて多少でもやつて行けるのだ、多少でもやつて行けるという意味の生業という方面、例えば七十のおばあさんが古着屋をやつて、それによつて金儲けをやると向うが取ればいいが取らない毎日生活に困つておつて金が欲しいから、向うでは直ぐ食つたり飲んだりしてしまうというように解釈される。特にはがき、手紙によります。投書も本年の五月以來來ておるわけであります。それがこの問題について、いつでも出したところでこの金は意味はないじやないか、飴玉になつたり、菓子になつたり、芋になるじやないか、こういうふうに考えておるわけなんであります。その点につきまして非常に私は顧慮するものですから、そこでどうもそいつは、そういうふうに飴玉になつたり菓子になつたりするのじやない、これを別途に生産復興の線に使うのだというふうに持つて行くより方法はないというふうに考えて出しておるわけであります。穗積委員が言われたように、これは借りた金を返すのだ、岡元委員が貸借の金だからあつさりと処理すべきであると言われたが私共全く同感であります。借りた金だから返すのは当り前でありまして、國会はそういうふうに決定したのであります。併しその方式で今日まで参りまして依然としてデツト・ロツクに乘り上げておるのでありますから、それを打開するために何らかそこに幅廣な解決方法を持つて行かなければ折衝ができない、我々としては今まで芦田総理大臣が行き、更に朝海連絡長官が向うに出掛けまして、そうしていずれも断わられて來た、それと同じことを我々が言つてもこいつは駄目だと思います。理詰めですから……。ですから我々が行くときは今後多少でも、政府よりは廣い解決方法を持つて行く用意をして行くということは必要なんです。それを私説明のときに申せばよかつたのですが、申さなかつたのですが、そういう意味で趣旨は穗積、岡元両委員が言われたように、借りた金だから返すということは飽くまでも原則でなければならん、併しながらそれでは結局、水掛論になつてしまう、押して押し返されるだけなんですから、それじや押して借りた金だから返すのだと言つたときに、それでは工合惡いと言つたときに、それではこうしたらどうかという幅広の方針で以て行くことが今の段階では絶対に必要だ、こういう建前から、こういう措置を考えた。是非この点を御了解願えれば願いたいと思います。而も急を要しますので早急にこれはやつて行かなければならんと思いますから、そういうふうに御了解願つて折衝されることを強化されたいと思います。
#83
○岡元義人君 これは私は從來この点については数回足を運んでやつて参りましたので、一應お聞届け願いたいと思います。というのはいろいろこの問題は関係方面と折衝する段階が非常に複雜であります。厚生省、大藏省、それから外務省、この三つが漸く歩調を合せるだけでも約一年余り掛かつた。レート関係もあり、いろいろ関連した問題があるわけでありまして、非常に複雜です。そうしてその段階を乘り越えまして、いよいよ最後の案が、日本側の歩調が揃つて向うに提案されたわけであります。その間の折衝の経過をもう一度ここで簡單に申上げます。第一案として向うがいけないという理由がインフレの助長を來す虞れがあるというのが一点で、ここに書いてあります。第二点はこれを許可すると他に及ぼす影響が大であるということ、それからもう一点は不正送金の手段に選ばれたことである。こういう三つの理由を挙げて反対したのであります。その三つの個々の問題について非常に折衝が外務省としても重ねたが、その交渉経過はインフレの助長ということは九億幾らの金が日本の通貨の價値に比べて問題にならない、それは向うも了承したのであります。不正送金という問題につきましては、物は裏からも考えなければならん。成る程不正送金を内地に帰つてからこれだけの金を貰えるから立替えて置けばいいというのだから、それは不正送金であるということが一應考えられる。併しながら又裏から考えて、この金が若し現地で醵出されなかつたということになりましたならば、難民の救済を一体どうするか、日本の同胞達は皆餓死してしましたじやないかということも考えられる。この点はそういう表からだけ考えて貰つては困るんだ、裏から考えて欲しいということで、向う側も了解したということになつたのであります。第三の点が問題なので、その三点の問題は、これを許可するということはこれと同じような登録公債その他の同じ性質のものがある。これを許可すればそれも許可しなければならん。必ず君達はそういうように出るじやないかというような懸念があるかのように非常に交渉経過が捗らなかつたのでありますけれども、結論といたしましては、よく分つた、特に貸借勘定である、貸借勘定であるから、いずれは日本の政府が拂わなければならない、それもよく分つておる。同じ拂うならば今もつと早く拂つた方がいいじやないか、それが非常に効果的じやないか、そういう線で今のところ交渉を継続して、その間において一番最後のシヤツテング・ドアーということにつきましては、今時期が惡い、今暫く待つて呉れ、了解した、これは拂わなければならんものであるということは認める、但し時期をちよつと待つて呉れ、こういうわけで、シヤツテング・ドアーしたが、完全なシヤツテング・ドアーでない、鍵穴はいつでも覗いて呉れ、という御回答であつた、こういうことになつております。そこでここに提案されてあるのを持出しますと、これは又一番最初の一に戻るということになる、こういうような理由で、この金を返せということでありますれば恐らく今まで長い間折衝いたしましたことが白紙に返りまして、そうして貸借勘定とかそういう問題でない、一應國民生活を早く復興させる、或いは生産増強のためにどうしてもこの際返して呉れというようなことになりますならば、むしろ私はこの面が弱いと思うのです。だからこの点は愼重に、北條委員が熱烈に向うに体当りしようというお氣持は非常に私は感謝するのでありますが、もう少し眞劍にこの内容は檢討する必要があると考えますので、一應留保して頂きまして、そうして更によく吟味して、その結論を北條委員とよく打合せした結果、総体的に特別委員会の意向として当つて頂くようにした方がよいのではないか。
#84
○北條秀一君 それは結論は結構でありますけれども、過程において岡元委員の言つている話は聊か違うのです。岡元委員の言つているのは去年の第一回國会の始まる前のやつです。実は私はすべてシヤツテイング・ドアーの説は去年の三月の話なんです。
#85
○岡元義人君 いや、そうじやない。
#86
○北條秀一君 いや、そうです。それは向うの折衝は文書で來て、こつちは文書で出した。こう言つたのです。今の岡元委員のは……日本語は言葉が非常にむずかしいので、ああいう言い廻しになるのです。我々はもつと科学的に、向うの提案書その他につきましては……、私は先程簡單に申しましたが、インフレの問題にしましても、インフレの問題は第三番目の極めてそう重くない一つの理由なんです。先方から言つているのは……。これは言つている人もちやんと分つておりますが、そういうわけですので、結論はいいのですが、岡元君の結論はいいのですが、途中を補足したようですが、この補足は現状においては多少時間的のズレがある。その点を委員諸君に了解して貰いたいと思つて立上つたのであります。
#87
○岡元義人君 この問題別にどうこうというわけでありませんが、幸いに昨日小委員会で陳情、請願が沢山出ておりますので一應小委員会では採択になつておりますが、明日の委員会に陳情、請願が出されたならば、その際に條件として政府から一應説明を求めよう。そうして特別委員会の採択をして貰うということになつておりますから、今の北條君のお話は非常に了解に苦しむ点もありますし、私も数回自分で足を運んで來ておりますので、明日は外務省からも見えますから、私共の折衝もこれは昨年のことではないということも分るのです。一應そのことの経過を聞く、その上で又判断をしなければならない。委員会として当然そういう処置も必要であろうと思いますからどうぞ明日。
#88
○委員長(草葉隆圓君) それでは北條委員に御了解願つてできるなら明日小委員会において請願、陳情の処理についてのものに関連した陳情、請願も出ているようでありますから、それと睨み合してもう一日この決定をお延し願つて、明日御相談したらどうでしようか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#89
○北條秀一君 明日は本委員会にこの請願、陳情を出して政府が説明するというわけでしよう。今の岡元委員の話はそれは決まつておるのですか。
#90
○委員長(草葉隆圓君) 明日は小委員会を開いて……
#91
○穗積眞六郎君 小委員会で昨日請願三件処理いたしまして、そうしてそのときの小委員会での申合せでは、いずれも今まで第一國会、第二國会で始終出ておりました問題なので、そういう問題については、そういうように小委員会に政府委員を呼ぶということは、必要なときはしますが、大体しないで、そうしてこの特別委員会に報告する。そのときに併しいつも出ておるのをただそのままで通してしまつたのでは又あれになりますから、必要があつたときには本委員会に政府委員に來て貰つていろいろ折衝する。こういうようなあれがあつたのです。昨日小委員会の方としては請願三件採択いたしました。明日の特別委員会にその御報告をいたします。今岡元さんの言われたのは、そのときの話です。
#92
○委員長(草葉隆圓君) よく了承いたしました。そのときに併せて御協議を進めて頂く。かように各位御了承願いたいと思います。
   〔「了承」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(草葉隆圓君) それでは御異議がないようでありますからさよう決定いたします。
 本日は大分時間も過ぎましたが、尚一、二御懇談申上げたいこともありまするが、丁度幸いに今木下委員が北海道を調査されまして今朝帰られたのでございますので、只今木下委員からそのことについての御発言がありまするから、御発言を許します。
#94
○木下源吾君 簡單に一つ急を要する問題だけ申上げて各位を御了解を得たいと思いますが、北海道の有縁故の引揚者の住宅でありますが、これはもう切羽詰つてどうすることもならない現状にあります。殆んど有縁故の引揚者の五〇%は惨たんたる居住の状況でありますので、このことについては先般來いろいろ政府に要望しておりますが、これはもう單なる要望では最早どうすることもできんと思いますので、本委員会において積極的にこの対策を練つて政府にやらせるというような御配慮を願いたい。
 次には例の開拓入植でありますが、御案内の通り本年度は滿州の部分だけよりも予算の伴う入植はしておりません。そこで本年度樺太方面からの帰還の者が非常に入植を希望しておる。熱望しておる。これに対してその筋の方の示唆もありまして、北海道の場合樺太引揚者の自力で、つまり入植できる者二千五百名を入れることになりました。併しながらまだこれは割当中でありますが、実際熱望をしておりまするけれども、さて自力でこれをやるということについては非常に難問題がある。資金の問題その他において非常な難問題がある。これを各町村に割当てておりますけれども、各その立地條件等につきまして各町村では今悩みの種になつております。それで私の考えではこれに対してもとにかくどんなお粗末な住宅でもよいから、住宅資金だけでもこれを何とかしてやらなければならん。かように見て参りました。かたがた住宅全般の問題でありますけれども、本委員会は廣汎な問題を取上げておりまするが、今時期におきまして北海道方面の住宅問題は極めて寒冷地の関係上緊急を要すると考えますので、近い委員会開催の際においては、この問題の解決に一段の努力を願いたい。一般報告の分でありますが、緊急を要する問題だけこの際御報告を申上げて置きます。
#95
○委員長(草葉隆圓君) 只今木下委員の北海道調査に対しまする御報告の中で、殊に緊急を要する住宅の問題、一應御報告がありましたが、明日本委員会を開会いたす予定になつておりますので、明日これも合して御報告願つて、本日実は御出席になる前に、北海道その他の住宅問題は、相当関係当局を呼びまして強く申入れてする関係もありますので、尚明日も実際の実状を調査された報告を関係当局からよく聞くようにして説明を求めながらこの問題を取上げて参りたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(草葉隆圓君) さように決定いたします。それでは明日は午後一時から本委員会を開きます。本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時五十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     草葉 隆圓君
   理事
           三木 治朗君
           木内キヤウ君
           岡元 義人君
   委員
           木下 源吾君
           淺岡 信夫君
           伊東 隆治君
           紅露 みつ君
           北條 秀一君
           穗積眞六郎君
           矢野 酉雄君
           細川 嘉六君
           千田  正君
  政府委員
   大藏政務次官  平岡 市三君
   厚生政務次官  團  伊能君
  説明員
   大藏事務官
   (主計局第四課
   長)      吉岡 英一君
   大藏事務官
   (管理局管理課
   長)      前野 直定君
   厚生事務官
   (引揚援護廳援
   護局長)    田邊 繁雄君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト