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1948/11/17 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号
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1948/11/17 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号

#1
第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第7号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○海外残留同胞引揚促進に関する決議
 案の件
○引揚者厚生対策に関する件
○議員派遣の件
○公聽会に関する件
  ―――――――――――――
   午後一時四十二分開会
#2
○委員長(草葉隆圓君) これより在外同胞引揚に関する特別委員会を開会いたします。先ず本庄の海外残留同胞引揚促進に関する決議案につきましては、本委員会におきまして各党派挙つて御熱意のある御協力を願いまして、満場一致可決いたしましたことをこの機会に厚くお禮を申上げる次第でございます。
 本日の議題となつておりまする水産関係資材配給につきましては、都合によりまして明日に延ばしまして、第二の労働者災害補償保險法適用に関しまする問題を議題といたしたいと存じます。
#3
○淺岡信夫君 今の議題の前に今日の引揚促進の決議に対しまして、誠に何とも言えないまあ一議員といたしまとで、感謝に堪えないのでありますけれども、この決議だけでなく参議院におきましては、こういう決議ができましたということを、できますならば婦人議員の方々にその決議文を携えられまして、GHQ、対日理事会関係方面に要請をして頂いたらというようなお計らいをお諮り頂きたいと思います。
#4
○委員長(草葉隆圓君) 只今淺岡委員から本日決議になりました決議の要旨を、それぞれ只今お述べになりましたような方面に、殊に婦人議員から携えて決議の実行についての要請をいたしたらどうかという御動議でございますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(草葉隆圓君) それでは只今淺岡委員からの御発言のように成るべく近い機会に、この数日のうちにこの参議院の熱烈なる眞情を代表いたされまして、殊に婦人議員の方々からそれぞれの関係方面に、成るべく有効な方面に一つ御活動を願いまするようお願い申上げたいと存じます。
#6
○宮城タマヨ君 勿論喜んで参りますが、参りますにつきましては、先ず各党全部の婦人議員が集まるような機会を一つ打合わせて頂きたいと思います。
#7
○委員長(草葉隆圓君) それでは只今宮城委員の御意見のように関係党婦人議員の方々の一応お打合会を開いて、そうしてその上でこれがやり方についてのことを御協議願つてからお進めになるように、進めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(草葉隆圓君) それではさように進んで参りたいと存じます。何かほかにこの決議案の実行方法につきまして他に御意見等がありますれば承りたいと存じますが。
#9
○淺岡信夫君 ちよつと今の委員長の御提案私聞き洩しましたが、その前に実は私の所属しております民主自由党には婦人議員がおらない、そうした党は如何いたしませうか。
#10
○星野芳樹君 それは衆議院と交ぜたらいるのじやないか、私どもの方も婦人はいないけれど、衆議院には松谷さんがいるだけで……。
#11
○淺岡信夫君 私はこの問題は衆議院、参議院一緒に行くことが、いいか、或いは参議院だけ行くことがよいかということに対しましては、一応お諮りを頂きたいと思います。
#12
○委員長(草葉隆圓君) 只今淺岡委員の御発言のように、先には衆議院と参議院との婦人議員だけに、両方の婦人議員でしたらどうかという御意見でありましたが、衆議院、参議院両方一緒にするか、参議院だけにするかということについても御意見がありますれば承りたいと思います。
#13
○岡元義人君 これは昨日衆議院も決議案を上程いたしまして、通過いたしておりまするから、できますなら二重になるよりも、むしろまあこの際参議院も衆議院も一緒になりまして、婦人議員の方に勝手なときにだけお願いするようなことになりますけれども、まあ一つ惡しからず婦人議員の方々に御了解を得まして、是非一つお願いしたいと思うのです。どうぞそのように衆議院との方の連絡も委員長の方において取つて頂きまして、近く打合会をやつて頂く、そうして特に、特に私のお願いしたいことは、ソ連大使館に対して強くお願いして頂きたいということを希望して置きます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#14
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元委員の御発言にありましたように、参議院だけではなく、衆議院、参議院の両方の婦人議員で同道をしながら、この問題の解決に御協力を願う、その取扱い方は委員長に一任するという御動議でございますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(草葉隆圓君) さよう決定いたします。それではいずれ委員長の方から衆議院の方と協議をいたしまして、婦人議員の方々に御会同を煩わしまして、その上で日取その他を決定いたしたいと存じますから、さよう御了承を願います。
#16
○岡元義人君 議事進行についてちよつと…。
 今日は先程委員長から水産関係の方は明日に廻すということになりましたのですが、第二の案件に入ります前に、簡單でございますが、先日來問題となつております放送に関して御報告をばさせて頂きたいと存じます。
#17
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元委員の御発言にありました放送関係の御報告から先にいたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(草葉隆圓君) それでは岡元委員にお願いします。
#19
○岡元義人君 各議員の方がお帰りになりますと又困まりますので、先に願つて置きたいと思いますが、今までに折衝いたしました結果、放送局ではずつと前にスケジユールを組んでおりますために、直ぐ割込むというようなことができない事情なんであります。この決議案が上程されましたときに、これを十分二ユースとして取扱つて頂くようにお願いしてございますが、尚十二月の五日にこの参議院の在外同胞引揚問題に関する特別委員会の実況を放送させて頂く、こういう工合に今のところ了解を得ておるのでございます。この点御報告いたして置きまして、それぞれ皆様の方にもご用意があると思いますならば計画その他につきましては委員長と企画の方に御一任願えましたならば非常に結構だと思いますが、尚御意見等がございましたらこの際伺つて置きたいと考えております。
#20
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元委員の動議にありました放送関係につきまして、参議院における在外同胞引揚に関しまする特別委員会の実況放送をすることに相成つたのでありまするから、その方法、内容その他については委員長と企画部長並びに企画部の方へ一任を願いたいということでありますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(草葉隆圓君) それではさよう取計らいまして、その内容が決定いたしましたら、改めて委員会に御報告を申上げることにいたします。
#22
○淺岡信夫君 今の委員長並びに企画部長においてなされることに対しましては、私御賛成申上げるのでありますが、そこで如何なる企画がなされ、如何なる方法においてなされるかということに対しましては、何も私申上げませんが、ただ一つお心して頂きたいといる点は、昨年は十二月六日を以て引揚の輸送が停止されたのです。そうした点を併せ考えまして、どうしてもこの面に対しましては、先ず引揚促進というものを一本に取上げて頂くということにおいて、内容、方針を一つ御決定を頂きたいということをお願いする次第であります。
#23
○委員長(草葉隆圓君) 只今申上げました実況放送の内容その他については、企画部と十分案を練りまして御相談をすると申上げましたが、同様に何か皆さんの方で、只今淺岡委員の話の中にありましたようなもので、御希望等がありますると案の中へ加えることがいいと存じますので、予め私なり岡元企画部長の方へ御連絡を願つて置くといいと思います。どうぞこの党もよろしくお取計らい願います。
#24
○宮城タマヨ君 十二月の五日とおつしやいましたか。
#25
○岡元義人君 そうです。
#26
○宮城タマヨ君 日曜日ではございませんか。
#27
○岡元義人君 放送は十二月の五日にされるのでございますが、実況はその前に録音等に取つて、十二月五日の引揚の時間に放送されるということになります。
#28
○星野芳樹君 いつ取ることになりますか。
#29
○岡元義人君 その前に。まだ決まつておりません。
#30
○委員長(草葉隆圓君) 放送の日取、内容等はいずれ決定いたしまして、御通知を申上げることにいたします。放送関係は外に何が御質問ございませんか。
#31
○淺岡信夫君 これはもうあとあとで申上げてもいいのでございまするが、できますならばその放送の録音を取りますときには、全議員この特別委員会に御出席願えるような方法を、委員長の方で特にお計らい頂きたいと思います。
#32
○委員長(草葉隆圓君) 御趣旨は十分承知いたしまして、左様取計らうようにいたします。
 それでは労働者災害補償保險法適用についてを議題といたします。
#33
○岡元義人君 この問題は先に特別委員会で労働省から説明を求めたのでありますが、その説明の中に厚生省から出ておりますところの通牒を読上げて頂いたわけであります。この通牒によりますと、今までこの特別委員会が非常に心配いたしておりました問題が、全面的とは申されませんが、或る程度までの解決がつく予定でありましたので、各方面と連絡をとりまして調査いたしましたところが、図らずも厚生省におきましてこの通牒はその後取消の通知が出ておつたのであります。この間におきますところの先ず事情をば関係当局から説明を願いまして、尚委員会といたしましては一應部内と申しますか、いわゆる政府内におきまして、こういうような打合、了解があつたものであるということはここで想像し得るところでありまして、どこかにこの問題が残つておると思われるのでありますが、委員会においては積極的にそのどこにどういう欠陷があるのか、どういうところの難点があつて解決つかなかつたかということをば、この際究明しておきたいと思うのであります。尚厚生省もこういうような通知を取消したというようなことは、やはり委員会にも報告し、又労働省とも十分にそういう場合においては、連絡をとられる必要があつたのではないかということをば、併せて私は注意を喚起しておきたいと、かように考えますので意見を申上げておきます。
#34
○委員長(草葉隆圓君) 申上げておきます。厚生省から厚生政務次官團伊能君、復員局業務課長岡林諄吉君、労働省からは労働基準局労災補償課長池邊道隆君、大藏省からは大藏省給與局長今井一夫君が御出席になつておりますから、さよう御承知を願いたいと思います。
#35
○岡元義人君 併せてこの案件が参議院の厚生委員会にも請願が出されておりますので、この際、この問題については各委員会におかれましても、十分にどこに欠陷があるのかということをば御追求して頂きたいと考えております。
#36
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元委員から御意見がありましたように、労働者災害補償保險法の適用につきまして前回委員会において相当突込んだ御意見の御開陳並びに研究が進められて参つたのでありますが、本日はその根本的の方面について尚十分御檢討を願いたいと存ずる次第であります。
 つきましてはこの労働者災害補償保險法の適用を実施されるに当りましての、復員局長の通牒及び取消ということについての両方の通牒が出ておるのでありまするから、この関係につきまして政府の当時の経緯を成るべく詳細に御発表を願いたいと思います。復員局岡林業務課長。
#37
○説明員(岡林諄吉君) 岡元委員の御要求によりまして今までの経緯を私の知つております範囲を赤裸々に申上げたいと思います。尚只今岡元委員から御指摘になりました復員局から労働者災害補償保險法を適用するという通知を出しておいて、それを取消したに拘わらず、最も関心を持つておる委員会の方に通報しなかつた点につきましては、全く私共の粗漏でありましてお詫びを申上げます。前回の第二國会の終頃にやはりこの席上で岡元委員から御質問がありまして、私からそれまでの経過は申上げましたけれども、重ねて初からの経緯を申上げたいと思います。
 只今委員長から労働者災害補償保險法の関連について申されましたけれども、実はこれは、労働者災害補償保險法とは直接関連はありませんので、政府職員に対する公務災害補償に関連を持つ問題であります。昨年の十二月に法律第百六十七号として労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給與の應急措置に関する法律が出されました。それによりまして大藏省の方で給與應急準則という規則が出されました。その規則の第十三條に、公務災害補償について記載されてあります。その内容は、政府職員で公務のために怪我をしたり或いは病気になつたり或いは死んだ者に対しては、労働基準法の示す條項に準じて災害補償を行うという内容のものであります。
 そこでその公務災害補償の適用になる政府職員の中に未復員者を含むかどうかという問題が、私共としては非常な関心を持つところでありまするので、ここに給與局長が來ておられますが、給與局の主務課長である第三課長に、当時の復員局の業務部長である私から実は紹介をしたのであります。そうしますと、同第三課長から折返して、未復員者を政府職員の中に含むという見解を、文書によつてはつきり頂きました。そこで私共は非常に喜びまして、早速公務災害補償法は、未復員者に適用するという通牒を全國に出したのであります。但し予算処理の都合上、この事務は各府縣の世話課が実施するのでありますが、世話課において補償額の支拂を直ちに実施することなく、その実施する前に、一應本局の方に申し出て、そうして実施するようにという但書は付けておきました。
 その中に北海道の世話課から該当者が出て参りました、書類が出て参りました。それを持つて今度は大藏省の主計局と予算折衝を開始したのであります。ところが主計局側の方におきまして相当これに対して難色を示される状態になりました。いろいろ折衝をいたしましたがなかなか埒があきません。その中に第二國会の関係上、復員局の方々と十分意見を交換する余裕を得ませんで、第二國会終了後に漸く本当の折衝を始めたのであります。が取敢ず余りに折衝が遅くなりまするので、而も各政府縣の世話課としては、事務をどんどん遂行する上におきまして、又どんどん復員をして來る人に対して、この公務災害補償の適用を実施しなくちやいかんという実務に立つ立場上、非常にお困りになつておりまするので、今の事情上取敢ず公務災害補償の実施を保留して頂くように私から通牒を出して、一應これを保留したのであります。そうしておいて折衝を開始いたしました。ところが、なかなか微力、どうとも解決の方法がいい方向につきませんので、ついに九月になりまして大藏省よりこの法律百六十七号による政府職員の中に未復員者を含むという解釈はとれない、從つて、未復員者に対してこの種の補償を実施するなれば、別個の法律即ち未復員者給與法の改正等によつて考えるべきであるという見解をはつきり示されました。そこで止むを得ず九月二十二日に復員局長より、前の公務災害補償法を実施するという通牒の廃止を通牒した次第でございます。
 大藏省のこの問題に関する御見解等につきましては、給與局長も來ていらつしやいますからそちらの方から承つて頂きたいと思います。概要の経緯を取敢ず申上げます。
#38
○天田勝正君 今の廃止の月日をちよつと……。
#39
○説明員(岡林諄吉君) 九月二十二日でございます。
#40
○政府委員(今井一男君) 復員局の方の説明に引き続きまして、大藏省の方から申上げます。この問題は、先程の御説明の中にもございましたように、昨年の末に公布せられました法律第百六十七号というものの解釈から起つた問題でございますが、確かに法律的に申しますというと、議論の余地のある極めてむつかとい点があることは事実でございまして、その間意見の一致しない点のまま手違いを起しまして、只今御質問のような御迷惑をかけたことは誠に申訳ないのでありますが、私共の方といたしましては、これを更に別の観点から法律的に取上げて、合法化する方法を講じまして、只今御説明の中にございましたように、未復員者給與法という法律が私の方で出ておりまして、これが現在いわゆる二千九百二十円ベースのままになつておりまするので、これを新しいべースに引直さなければならんという問題もございます。かたがたその改正の機会に、理論的に申せば若干の無理もございますが、ここへ織込む法案を只今準備中でございまして、多分この國会に間に合う積りで準備の手続は完了いたしまして、目下関係方面と折衝中でございます。これによりまして前に復員局の方からお出しになつた通牒と同程度のものが皆様の手に渡るような運びにお願いできる、こういうことに相成ります。一つ御了承を願いたいと存じます。
#41
○星野芳樹君 只今の大蔵省政府委員のお答によると、未復員者給與法の改正は、ベースが改訂にかなつていないからベースを改訂するという御発言ですが、今の災害補償法の方は、それで了承いたしますが、今日の給與の改訂ですね、それを大藏省当局はベースの改訂に比例した率だけの改訂で十分だと思つておられるのか、これに対しては、全國の留守家族が血の叫びを以て、根本的には、外地において誰かが果すべき労働に服しておるので、國家の公務員として扱うべきで、平均年齢が三十才でありますから、その際二千百円程度が至当ではないかという要求も出ております。それからあの最近できた内閣審議会においても千円ということは、千円と二千百円で議論がされて、弱い線でも千円が確認されておる。前内閣官房長官である苫米地氏も、留守家族代表にこの千円を約束し、それについて、私は前回の特別委員会で、新しい内閣の官房長官に引継ぎを受けたかどうかを質した。これは相当、金額ははつきり言えないが考慮するということを言われておる。ところが今の大藏省の御発言じやただベースの率を上げるだけだ。これでは甚だ意に充たないものがあると考えたので、この点はどういうことですか。
#42
○岡元義人君 議事進行について。今星野議員の御質問の内容は重々分つておるのでありますが、御了解を得たいのでありますが、未復員者給與法の問題は又別に出すようになつております。今日は災害補償法の問題が案件となつておるので、一應先に今説明が順序を追うて來ておりますから、その点一つ済んでからお願いしたいと思います。
#43
○委員長(草葉隆圓君) 只今星野委員の御質問に対して、岡元委員のように取計らつて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(草葉隆圓君) それではさよう御了承願います。
#45
○岡元義人君 今大藏当局と厚生省の御説明がありましたのですが、一應労働省としてこの間お読み上げになつた精神ですね。労働省としてはこういう氣持を持つておるのだと、こういうことに変りはないか、この点を一つつ確かめて置きたい。その点一つ労働省の御説明を願つた上で御質問したいと思います。
#46
○説明員(池邊道隆君) 只今岡元議員から労働省の見解はどうであるかというような御質問を受けましたから、ちよつとお答え申上げて置きたいと思います。労働基準法が制定されましたときに、我々考えました事柄は少くとも官に使用されようが、或いは民間に使用されようが、ともかくも労働基準法の立法精神と申しますのは、労働者としての基本権を飽くまでも守つて行こうという線でありまして、その労働者が國家から俸給を受けようが、或いは民間から受けようがそういうことを問うべきではなく、労働の條件としての最低基準を示したものである。こういうような見解に立つておるわけであります。この問題につきまして復員局の方から基準局の方に照会がありましたどきに、未復員者につきましては労働基準法の適用有無ということにつきましては、我々といたしましては外地にある者に対して労働基準法を適用するということが、疑義がある。併しながら災害補償の面について考えるならば、これは労働基準法の精神を体して、当然労働基準法に規定された給與額をやつて頂かなければいかん。そういうことを申上げた次第であります。從つて未復員者に対しましては少くとも現在國庫からこれらの方々に対して給與が出ておるものでありますが、少くとも國家として、現在公務員として働いておる者に対しては、國家公務員災害補償法案なるものを立案せんとしておる、尚又只今、今井給與局長のお話がありましたように、未復員者に対する給與法というものを別途改正いたしましてこれに災害補償の面を持つて行こうというようなお考になつておるようでありまして、こうした線に進まれることこそ我々労働当局といたしまして、労働基準法を持ちました精神に合致するのではなかろうかと考えておる次第であります。
#47
○天田勝正君 どうも労働省大藏省の政府委員共に私共には納得行かない。それはベースの問題だ、値上ということはこれは政府職員に対する俸給等に関する法律に関連して、一体未復員者の俸給は、今度未復員者の俸給の法律によつて決定すると、こういう一定の、要するにこれは給料というものでありまして、その外に内地の政府職員は、公務員の災害補償ということで補償されておる。そこで外地に行つておりましても、政府の命令を以て行つて帰ることができないという者には、やはりそれと同様に要するに補償を與えるべきではないか。こういう精神を以て岡元委員等いろいろと調査なされ、指摘もしておるわけなのであります。そういうことについて一体別の俸給面のお答えを頂戴しても、それは全く私どもから見れば筋違いなわけなんです。(「同感」と呼ぶ者あり)
 そこで尚この機会に今井給與局長が見えておられますから、私が聞きたいのは、過日も外務省の方がおられましたので、一体然らば政府が派遣されておる外交官は、向うに抑留されておつてもどういう処置を取つておられるか。俸給面、或いはその災害補償にいたしましても、今議題となつておりませんが、要するに失業保險の問題についてもどういう差別をしておられるか、又どうい條件で同一に扱つておられるか。こういうことをお聞きいたしましたところが、これに対する明確な答えはなかつたわけです。幸い給與局長が見えておりますから、若しそのように外交官である政府職員には、如何に未復員と誰も内地の政府職員と同様に扱つておられるというならば、要するに他の未復員者にこれが適用できない筈がないと私共は考えるわけです。その点に対する御見解を伺いたい。
#48
○政府委員(今井一男君) 只今の御質問、外務省の外交官で向うに抑留されておる者に対する現在の給料の取扱いのように伺つたのですが、これに対しましては只今大体本人が貰つておりますいわゆる本俸の半分が本人の生活に当てられる分であり、半分は家族に当てられると、こういう観点からいたしまして現在半額を支給いたしております。本人がこれはいろいろ実は理窟を申しますとむずかしいことになるのでありますが、終戰以來そのラインを追うて、ただべースの上がる度にそれだけの是正をして來ておる。從いまして今日留守家族の残つておられる方は家族手当を國内において拂つておりますが、本人に対しては勿論送金の方法がありませんが、本人の俸給の半分を留守家族に渡しておる、こういつた方法を取つております。
#49
○天田勝正君 ちよつと私はこういうことをお聞きしておるのです。これらの未復員の外交官に対して、政府職員の俸給等に関する法律で俸給を差上げておるのか、又は未復員者に対する給與法によつて俸給を差上げておるのか
 そこで若し政府職員の俸給等に関する法律で給料を支拂つておるものだといたしますならば、それらの人にもやはり公務員としての、政府職員としての災害補償を適用されておると思うのです。そうされておるのか、おらないのか、二段構えでお伺いしておるわけです。
#50
○政府委員(今井一男君) 失礼いたしました。それらの外交官その他政府の公務員のままの身分を持ちながら引続き現地に残つております者に対しましては、政府職員の俸給令の方が適用されております。
#51
○天田勝正君 從つて補償、保險もそのまま適用されることになりますね。
#52
○政府委員(今井一男君) さようでございます。(「それは不都合だ」と呼ぶ者あり)
#53
○岡元義人君 今の天田委員の御質問は非常に適切な御質問だと私は考えるのでありますが、尚もう少し私からも当局に二、三の点に亘つて御質問したいと思うのですが、先程第一回目以來の御相談によつては含めるものだ、いわゆる二十二年法律第百六十七号の中に含んでも差支ないもんだという見解が一應取られたということを我々はここで想像し得るのであります。その後において予算処置等において今度はその本拠の大藏当局から、あれは含んでないんだと、こういうことを言いだしたわけです。この間の事情は実にどこを掴んでいいか、我々としても非常に了解に苦しむところなんです。
 そこで一点伺いたいことは、公務員の定義を今井局長に伺いたい。それから尚これに併せまして拂えないという法的根拠をここではつきり一つ説明して頂きたい。
 それからもう一つ、これは非常に大事な問題でありまして、特別委員会の委員の方々にも十分私は教えて研究して頂くし、又教えても頂きたいと考えるのでありますが、私も一時は未復員者給與法の中に、この災害補償法をば入れ込むということがよいんだと、こういうような考え方を持つて、その線で自分も勉強して來たのであります。併しながら最近に至りまして多少考えをば変えて來ておるのであります。というのは、この軍人、軍属というものは、これは抑留生活というものをさせられても止むを得ないのでありますが、併し一般邦人が一緒になつておることはもう皆さん御承知の通りでございます。今私たちは目先においては、成る程留存家族その他が非常に困つておる。だから何とかして上げなければならん。これはよく分るのです。併しながら近き將來において、この賠償問題が起きて來た場合において、軍人、軍属であつたということになつてしまいますと、今度は賠償問題のときにそれだけの受けられるべきものを受けられないというようなことが起きて來やしないか。そこでこれは愼重に考えなければならんじやないか。今の今井局長の御説明はそういう点まではお考えになつていないようだと察せられるのであります。併しなぜ私がそういうことをば申上げるというと、政府がいわゆる本当の、この問題を処理しようと思えば法律によらなくともやれる途がある筈です。それをやらずにおつて飽くまでこういうような処置に持つて來ようとするところが、我々の了解に苦しむところなんであります。こういうようなことは、例えば第一國会以來問題となつております軍人、軍属にあらざるところの留守家族のいわゆる手当という問題と併せて、この問題を何とか処置ができるのじやないか。できないか、できるかというこの点を一つ今井局長からここで御返答を承りたいと思います。尚この問題は非常に政治的な問題にもなると思いますので、政務次官のお考えも一つここで聞かして貰いたいと考えるのであります。
#54
○政府委員(今井一男君) 終戰後、今までの間に公務員などという言葉の意味は可なり変化して参つたことは御承知の通りでありますが、又終戰後政府が早々の間に、いろいろのいわゆる法律その他によらない便宜的な手段を講じて來たことも御承知の通りでありますが、それが新憲法その他の関係から段々恰好がついて來ました。これが結局におきまして政府職員と未復員者というものが筋が変つて來た行懸りだとかように考えます。いわゆる純粋な雇傭主という立場と、それからまあ権力的に人を使う立場とを分離しようというような見解、或いは又この元軍人という者に対する関係方面の特殊な考え方といつたところが、この法律の建前を二つにしなければならなくなつた一番大きな原因だとお聞き下すつてよかろうと思います。無論これを労働基準法の建前から申しますれば、いろいろの理窟が立ち得ると思います。併しまあ純粋に、細かに潔癖的な考え方といたしますれば、施行地以外の事項であるというような考え方も立つと同時に、先程労働省のお話のように復員の際、少くともそういつた傷害の原形を残しておるような場合におきましては、これに対する精神的な給與を與えるという解釈も、勿論いわゆる常識的な見方とも考えるのであります。現在の役人の給與というものは、建前といたしましては勤労に対する報償という建前が大きく表に浮び出されております。勿論未復員の方々は非常にお氣の毒な状況にあることは、私共は全然異論のあるところでございませんけれども、これに対する外からの給付を考えます際にこれを給與と考えるべきか、或いは別のことで考えるべきかにつきましては、これ亦議論のあつたところでありますが、結局関係方面の了解を得る便宜その他の関係から、未復員者給與法という名前を以てこの整理が昨年非常な難関を越えましてでき上つたのでありまして、そういつたものと結び合せますというと、やはり未復員者給與法のラインにおいて災害補償を取上げた方が、筋として坐りが落着くといつたようなところから、こういつたふうな考え方に纏りました。率直に言つて、行き掛りでございますが、要するにでき得る限りのことをまあ名目は多少あちこちいたしましても、できるだけのことをしたいという意味合がいろいろあちこちで突つかかりまして、こういうふうなことに相成りました次第でございまして、無論これを純粋の救済の面から、或いは國家としての当然の負担というような意味から申しますれば、いろいろの御議論があることは私共も十分了解できることなのでございますが、ただそれを未復員者給與法というような形で取上げることが適当であるというような関係から、只今のような形に落著いておりますことは、この前給與法が通りましたときに政府委員の方から申し上げたと思つております。
#55
○天田勝正君 この法律第百六十七号に未復員者を当嵌めるか否かということについては、先に第一復員局の方からも通牒が出ており、第二復員局の方からも三月三十一日に通牒が出ておる。その当時の政府はこれに当嵌めるべしという考え方で処理ができた。次には今度はこれを当嵌めるべからずということで、今お聞きすれば九月の二十二日に廃止した、こういうことであつた。而も関係方面というお話がありましたが、一体これに適用すべしという通牒を出すときも勿論関係方面の了承を得ておる筈です。廃止するというときもやはり関係方面の了承を得ておる筈です。ところが最後のお答えは政府の意思によつて適用もできれば適用もできなくなると私はこういうふうになると思うのです。であるから私の申上げたいのは、これは一應廃止した、そこでこれを適用せしむべしという意思がありや否や、この点について政務次官のお考えを先ず伺つて置きたいと思います。
 それから労働省の政府委員の方が先程答弁になりまして、私は甚だ腑に落ちなかつたのでありますが、その先ず前段に、労働省としてはたとえ政府職員であろうとも、民間の労働者であろうとも、苟も勤労に携つておる者に対する考え方は労働基準法が最低としてこれを守つて行く、こういうことをおつしやつた。然るにすでにここには二つの問題ができて來たのです。一つは同じ政府の命令によつて外地におるにも拘わらず、外務省関係は一切内地の政府職員と同じである。片方はこれに対して非常に不利な立場におかれておる。一体この矛盾を労働者の基本権を尊重して行くという立場に立つところの労働省関係は、どう処置せられるつもりか、どう調整されるつもりか、との問題が一つ。
 それからもう一つは、自分の意思に全く反して、外地に不自由の生活を営んでおる人たちが、これだけ基本的な人権が、敗戰の結果とは申しながら脅威されておる。その上に尚且つ自分の同僚が内地において受けておるのと違つた待遇を受け、更に災害補償、或いは帰つて來た場合において必ず約束されておるところの失業という問題等につきましても、違つた待遇を受けざるを得ない。こういうことについて一体労働者の基本権を擁護するというものはどういうことを具体的に擁護するのか。実際にそういう面からは擁護していないということが問題になつて來るけれども、これらについてのお考えを伺いたい。
#56
○政府委員(團伊能君) 御質問にお答えいたします。この問題につきまして甚だ研究も足りませんが、ここで伺いまして、先程から聞きましたところにおきまして私の見解を述べたいと思います。この問題の根本に私これは政務次官としてではなく、個人としての考えが入りますかも知れませんが、了解いたしかねますことは、この未復員者は労働基準法の対象でないということを主計局の見解として御発表になり、それによつて再び厚生省において未復員者にはないという通牒が出ておるのであります。
 そこで、どうも未復員者は公務員の取扱をしないという動機が、いわゆる予算の上にからんで出て來たのではないかと思いまして、その点これは全然別個の問題である、未復員者、公務員それ自身の観念の決定からはつきりすれば、当然未復員者が入るか入らないかは決定されるべきものだと思います。これは主計局などの考えではなく、外で、恐らく法制局かと存じますが、その点ではつきりお決め頂くということが、或いは委員会におきまして御研究頂き、未復員者は明瞭に公務員の中に入る、或いは入り得ないということの決定が第一に來るべきものであると思います。それが第一義にはつきりと決定されなければならないところに、この一種の非常に出たり入つたりしておる問題が起つたのではないかと存じます。
 それから先程岡元君から或いは未復員者は公務員という形で以て海外において労役に從事しておりまして、或いはその後賠償というような問題になつたときに、又特別な取扱を受けるかも知れないというお話がございましたが、この留守家族の問題につきましては、只今未復員者、或いは公務員その他と、そうでないものとが共にやはり外地におりますので、留守家族の問題はこれは皆さんの御協力を得まして、又別個にこういう公務員の取扱、未復員者の取扱とやや別の観点から、少くとも現実における留守家族の非常に困窮しておる状態に対して援助するという方法を、先ず考えられないこともないかと存じます。簡單でございますが……。
#57
○天田勝正君 ちよつと一体理窟を方方へ散らばしまして見当が違つたと思います。私はお聞きしてこの経過を考えて見ますと、政府の意思によつてどうにでも適用ができるということを私は伺つたと思うのであります。先には適用すべしという一旦見解を下したのに拘わらず、次には廃止であるとこういうふうな建前になつたのでありますから、これはいずれもが関係方面の了承を得なければならない事項であるならば、いずれもが了承しておる筈だと思う。であるから政府の意思によつてどのようにでも適用もできれば、適用しない方法もできる。
 そこで國さんの個人としての御意見を伺うには控室で伺えるのであつて、そこでここには政府の代表として來られたのであるから、あなたといたしましては一体これを適用しようという御意思であるか、又今廃止になつておるので廃止のままで行こうという御意思であるか。或いは自分一人ではできないのでこれに対してこれを適用するがごとき努力をなされる御意思があるかどうか、こういうことを要するに政治的に決められる問題であるが、政務次官に聞くのであります。
#58
○政府委員(團伊能君) 私といたしましては未復員者は当然公務員というものに含まれるものであると思います。併し特別に考えなければならん点もあるかと存じます。政府といたしましては、未復員者を公務員に含めずという立場において取扱つていますが、含めるように努力いたしたいと思います。
#59
○説明員(池邊道隆君) 労働省の見解を申しますと、労働者の基本権が労働基準法の一定の線よりも低くなるかということについては、重大な関心を持つておるわけであります。未復員者につきましては、実は先般のこの委員会にも申上げましたように、二月、三月を通じまして復員局の方から通牒が出ておるというような事柄で、我々といたしましては一應安心しておつたような次第であります。その後続けられておるものと考えておりましたところが、九月二十二月にこの通牒が廃止されましたし、又この通牒に代るものといたしましては、前にも申上げましたように國家公務員災害補償法案の中にそういうことが盛られておることを我我には見ておつたのでありますが、併しながら只今今井給與局長がお話になりましたように、その筋の関係でどうしても別個に扱わなくちやならんというというなことになつたのだと思うのでありますが、今日國家公務員災害補償法案の内容を頂いて参りますと、第一條に但書が入つております。「但し未復員者給與法の適用を受けるものは除外する。」というようなことを書いておるのであります。こういつた行き方でございまして、この分けましたゆえんのものは今井給與局長が只今説明になつたことだと考えておる次第でございます。
#60
○天田勝正君 それでは八つ当りになりますが、一つ復員当局にお聞きしたいのでありますが、今冒頭に復員局の当局者のお話を聞けば一旦これが廃止になつたという経過を述べられて、その原因というのが外に保障された法律なり、或いは適用基準なりというものができたが故に廃止ということじやない、たまたま実際問題としてこれが起きて財源的に大藏省へ持つて行つて、大藏省で反対されたから止められたという、凡そ私に言わせれば筋が通らない。こういうことは厚生省であるとか或いは労働省であるとかいうところで、これ廃止した方がいろいろな混乱が起きなくてよろしいという面から、廃止されたというならばすぐ肯くのです。廃止の指導権を握つたのが大藏省だというに至つては全く驚かざるを得ない。そういう工合に、一体復員局というものは幾ら先に自分の通牒を出しても、あとはよそから言われたからはい止めますと、こういうふうなことで一体よろしいのかどうか。そういうことで止められるならばこれはもう一体我々は、この復員問題、或いはいろいろな未復員者に対するところのいろいろな施策に対しても、復員局と話しても無駄になりはせんか、こういうふうにすら実際思うのです。こういうことは未復員者の家庭の人なんかには聞かせられないと思う。
 そこでそういうただざつくばらんに経過をお話申上げますということだが、他の全く場違いな、労働省というなら分りますが、そういうところで言われて直ぐ復員局は一体引つ込んでよろしいのかどうか、これは一つ重大なことですからお伺いしておきます。
#61
○説明員(岡林諄吉君) 只今の問題についてお答えいたします。先ず最初に公務員災害補償法を適用するという通牒を出しましたときの経緯は、先程申上げた通りでありますが、その当の責任者といたしまして、私は自分を反省いたしまするのに、この百六十七号の法律に基き給與支給準則を出しました。その給與局の主務課の課長と話をして、その結果よろしいということで安心をして実は出したのであります。即ち大藏省全部の省議として決つた意見ではなくして、主任課長とはいいながら、一課長の回答を信じてそのまま通牒を出したという点、並びにその前に予算の処理をせずしてこの通牒を出したといろ点につきましては、復員局の主務課長といたしまして、局長を輔佐する課長といたしまして私は大きな責任を感ずるのであります。
 尚これを廃止いたしましたのが、單に大藏省の主計局といいますか、大藏省側の反対に会うて簡單に廃止をしたと、こう言われる件でありますが、これは労働省とは直接の関係はございません。大藏省の主管の事項であります。そこで大藏省の方でその後研究の結果、この政府職員の中に未復員者を含めないということが決定的になりましたので、私共といたしましては、局としても今後どう持つて行くかということについて実は研究したのであります。その結果、これは結局大藏省の今の決定的意見によつて左右せられるという結論に局長以下落着きました。のみならずすでに公務員災害補償法を適用すると言つたのが本年の二月であります。この実務を担当しておる各府縣の世話課では日々この業務を遂行中なのであります。但し勿論支拂はいたしません。而も未復員者に対して、災害補償の適用があるというので帰つて來ました未復員者から、世話課の方はすでに攻められておるのであります。そういう事情にありまして、いつまでもこれを遷延することはできないという苦しい立場に局としては追込まれましたので止むを得ず思い切つてこの際打切りにする。そうして新たに未復員者給與法の改正で大藏省と折衝するという、ここに一つの轉機を取つたわけであります。
#62
○岡元義人君 一問一答でお願いしたいと思います。先ず今井局長に……。先程私が質問しました公務員の定義ということが非常に曖昧ですが、條文の中にはつきりと謳つてあります、條文に大藏省の財源を以て支給するという條項がある。この点について御回答願いたいと思います。
#63
○政府委員(今井一男君) 只今御質問の点は公務員災害補償法に拘わるものと考えますが……。
#64
○岡元義人君 公務員の定義です。
#65
○政府委員(今井一男君) 國家公務員という立場から申しますと、只今法律的に一番の拠りがかりとなりますものは、今國会にも出ておりますあの國家公務員法だろうと思うのでありますが、あの観点から申しますれば、未復員者は國家公務員法の中に入らないもの、かように解釈いたします。
#66
○岡元義人君 私は今の公務員法でなく、今までの公務員の定義ということをお聞きしておるのです。この点はつきりと從來の公務員法の……。
#67
○政府委員(今井一男君) 國家公務員法が、公務員の定義につきましては一般の根拠とすべき法律と考えまするが故に、外の法律に使われておる場合におきましても、これを基準として解釈するのが相当と考えます。
#68
○岡元義人君 大藏省の財源を以て支給するというのを公務員と言う、この点聞いておるのです。あなた給與局長だから分つておられるだろう……
#69
○政府委員(今井一男君) 別に大藏省の財源云々ということは、公務員ということに相成らないと思います。公務員と別問題と考えます。
#70
○岡元義人君 この問題は、あとで條文をば委員会に提出いたしまして、更にはつきりした回答を願いたいと思います。それからもう一点、先程未復員者給與法の中にこれを入れたらという今井局長からの話がありました。政務次官もお見えになつておりますから、特に私は注意を喚起したいのですが、未復員者給與法について往々にして、前の委員会が第一國会以來悩んだのは、いわゆる軍人、軍属にあらざるところの留守家族という者に対して非常に困つておる。それは復員局自体だけがこの未復員者給與法というものを起案起草したというふうに我々は見受けられる。それで肝腎かなめな一般の邦人の留守家族という者には一銭の手当も貰えない、こういうような欠陷が出て來た。然らば今私が聞かんとするところは、今井局長にお伺いするが、今度災害補償法は、軍人軍属でいわゆる強制労働に服して怪我したという者は、災害補償を受ける、併しながら外の一般の邦人で強制労働に服しておる者は、怪我した場合は、どうして受けられるか。この点二つ御回答を願いたい。
#71
○政府委員(今井一男君) 法律上の解釈から申しますれば、只今御指摘の点は、公務員災害補償法も未復員者給與法も取扱いになりません。
#72
○岡元義人君 それはできない筈です。だから私はもつと、先程今井局長は、我々はよくこの事情は分つておるということを言われた、だから同情しておる。その同情しておるというのは、成るほど口にも出され、心にも思つていらつしやるでしよう。併し苟もも政府の重要な位置にあられる方は、それを如何にして現わすかということが問題と思う。
 で私は先達て労働省から読上げになられました、いわゆる法律第百六十七号に含んでいるとみなす、このみなすということが運用の妙なのです。この運用の妙によつてどれだけの人が救われるか、而もこのみなすということは容易にできることなんです。それをやつて頂きたいのです。問題は、これはできないことではないのです。あなた方みたいに机の上で物事を狭く取つて行かれれば、必ずここに又未復員者給與法の改正によつてこういう問題ができたとしても、根本的に未復員者給與法を改正するか、或いは又別途に法律を作らなければ、こういつたような、一般邦人の災害補償というものは救われない。だから無論そういうような暇取つたことをしないで、もう六百万もの中あと五十万しか残つていないという段階まで來ておる。少くも政府の意のあるところは、うまみのある血も涙もあるということであつたならば、もうそういう法律とか何とかいうのじやなくて、臨機應変にみなす。こういう運用の妙によつて救つて貰いたい。(「同感」と呼ぶ者あり)できないことはないと思います。これは未復員者給與法についても同じことだと思います。留守家族の人たちに対しても、あの法律で軍人、軍属とみなす、たつたこれだけでよいのです。たつたこれだけの行政措置だけでできる。それを何とかかんとかいうので自分たちは苦しんでやらなければならん。こういうような措置は大いに愼しまなければならん。この点一つ今井局長の最後の肚を質したい。
 又政務次官としても、是非この際民自党の内閣になりましてから、これはとにかく大きな人助けなんですから、政務次官が、これは命をかけて、馘になつてよいというくらいの肚を以て、これだけやつて頂きましても、私はどれだけ國民が喜ぶか分ると思います。一つ肚を決めてかかつて貰いたい。これは團政務次官に私心からお願い申上げます。
#73
○政府委員(團伊能君) 只今の留守家族の問題、これは今岡元君の言われましたのと全く同感でありまして、その留守家族の中にいろいろな復員者、未復員者、或いは公務員であるとかないとか、或いは未復員者給與法に当るとか当らないとかいう問題は別といたしまして、全部の留守家族は非常に困つておる。それをできるだけ政府が扶けるということが、結局問題の目的であろうと思います。そこにおきましてこの未復員者給與法の運営を、只今御指摘になりましたように、これを軍属と認めると解釈するかどうかの問題につきましては、両当局として研究いたさなければなりませんのでございますが、こういう方法を取るか如何は別といたしまして全部をカヴアーするという点に努力いたしたいと存じます。
#74
○政府委員(今井一男君) 私共前からこういつた特別なケースの場合におきましては、公務員なり或いは未復員者なりという言葉は、我々の立場におきましては、でき得る限り廣い解釈をしたいということはつねづね思つております。おりますが何分法律の文言との関係からおのずからなる枠のあることは御承知を願わなければならん。私共といたしましてできるだけのことを考える用意はございます。
#75
○天田勝正君 私今日は八つ当りの感があるのですが、一人々々政府委員をいじめてかかるということになりますが、諄いようですが、過去において法律第百六十七号を適用すべし、こういうことで一体第一復員局も第二復員局も通知を出しておる。而も地方の世話課におきましては、その通牒に基いていろいろと処理されて來たに違いない。それを今度は実際問題が起きて來たから、これは当嵌めるという場合になつて、どうもそれでは都合が悪いだろうからというので止める。なる程止めるという方の業務課長はそれでもよろしいでありましようが、そういう約束で留守家族を安心させて参られた出先の世話課の方々たちは、恐らくその方々たちの立場に非常に困つておられるだろうと思う。そういう工合にこれはできるできないを今論ずる必要がないのです。止めたのは、今日はそうした経緯から主として大蔵省の意向からこれを止めた、こういうことでありますから、政府の意思によつてこれはみなすという、只今の岡元委員のおつしやる通り幾らでもできることでありますから、早速これはやつて貰いたい、これはもういろいろと申しますと、ただ長い答弁を聞くだけでありまして、できることだからやつて呉れということを私は申上げます。
 そこでもう一つこれは実は時間の関係から徹底的に頭に呑み込めるように、一問一答一した方が仕事が早いのでありますが、岡林業務課長は先程來おつしやいましたが、あなたがこの通知を出されまして、廃止される期間までに第二復員局から出してからでも半年あります。その半年のうちに地方においていろいろこれに應じて又末端の町村なり、その他にそうしたいろいろの通知も出してあるだろうと思う。そこでこれを扱われました地方における世話部において、一体この問題をどういうふうに処理されたか、先程例を挙げられましたこういう問題が起きたということがすでに本省に言つて來ている以上は、地方の世話課においてはそれは確かにこの通牒に從つて補償を受けられるものなりということで約束されて、書類を出させたと思いますが、そういう処置を一方的と言うてもよいくらい、中央から廃止したというようなことで、どういう処置を取られたか伺います。
#76
○説明員(岡林諄吉君) お答えいたします。先程申上げましたように本年二月七日に通知をいたしまして、そうして実際問題が起つたのはたしか四月二十日に第一件目が私のところに來たと思います。それから主計局との交渉になりましてなかなか順調に進みませんので、六月二日に私の名前で各世話課の方に保留の通知をしたのであります。從つて問題はその間に起るのであります。約四ケ月足らずであります。実はどれだけの書類が私の方に参りましたか、統計を採つておりませんので今ここで即答はいたしかねますが、先日、先日と申しましても九月の初めでありますが、和歌山縣の副知事から厚生大臣或いは引揚援護院長官或いは私の方に通知がありました。それは公務災害補償を適用すると約束して、今言つた六月の初めに私から保留の通知をいたしました、その間におききする補償を約束した件数について、滋賀縣、和歌山縣、京都府、奈良縣、福井縣、兵庫縣、大阪府の統計が出て参りました。これを何とか処理をせよ、こういう要望があつたのであります。
 内容的に拜見いたしますと、一番大きな問題は復員患者が病院に入つて療養をしておる。即ち療養負担の問題であります。その件数が各府縣でまちまちでありますけれども、例えば大阪府では七十五件、滋賀縣では五十一件、その他三十件、四十件という数字になつております。そこでこれを災害補償の適用がなくなるということになりましたので、せめて約束した期間において何とか処置の方法はないかということにつきまして、大藏省とも交渉をいたしましたけれども、なかなか方法がつきません。それから厚生省の医務局の方と相談をいたしまして、実質的には本人から金を徴收をしないで行く方法を、実はいろいろ研究をしたのでありますが、その結果これ亦大藏省並びに会計檢査院側の了解を得るなれば、療養費の免除即ち支拂未済ということの恰好で病院としての歳入欠陷というので行つたらどうだろう、こういう実は話合いをしたのであります。そこで大藏当局の方には主務の方にそのことを申出まして、会計檢査院の方には実は今月中に伺つてその点を相談しようと考えておつたのであります。何とか一番大きなこの約束期間における療養補償につきましては、実質的に復員患者に不利を與えないようにしたい考えであります。
#77
○天田勝正君 実はもう要するに今その期間の中へ入つてるというのであれば、私はこれから質問するようなことを申上げないのですがこれはあなたのお話にもある通り済んだことです。もうすでに廃止になつておることです。約束して來てそれから廃止になつて期間はもう過ぎてもう二月にもなります。それで何とかしたいと今頃言われておるのは一体甚だ以ておかしい、何とか結論が出ておらなければならない。これは止むを得ないから大藏省に押されて当人が金を取るようにいたしましたとかなんとか、その歳入欠陷でも何でも、今言つたような取扱い方法にいたしましたとか、そうした手が一体どうして打てなかつたかどうか。お伺いします。
#78
○説明員(岡林諄吉君) これは今もちよつと触れましたが、未復員者給與法改正問題が直ぐ引続いて起りました。その点において何とか前に遡つてやつて頂く点は実は交渉したのでありますが、これはやはりその通りにならんということになりましたのでいそこで私が医務局の方に行つてその話をしましたのが、今月の実は初め頃であつたと思います。その間その後会計檢査院の方にまだ話していない、そこをはつきりしていない、即ち十日くらいの期間があるに拘わらずという点は確かに私の怠慢でございますが、急の間に会計檢査院の方に話をいたしまして何とか通知の道を講じたい、こう考えております。
#79
○天田勝正君 そのことはもう止めます。
 そこでもう一つは先程も指摘いたしましたように外務省の官吏はどこにいようと、抑留されようと、何をされておろうと、全部内地の政府職員と同じ給料も受ければ、むしろ外地にいるという余計な手当も受けておる、その外に政府職員の公務災害の補償も受ければ失業の場合の失業保險の適用も受ける。こういつたような案に偏頗であるということは誰が見ても明らかで、これはもう論ずる必要がない程明瞭なことです。これ程明瞭なことになつておるのに、所管の復員局といたしまして、これを衝いてどういうようにしてくれという要求をなされないということは甚だ遺憾であつて、(「その通り」と呼ぶ者あり)その以上に尚向うの大藏当局から何か意見をされたから先の通牒すら取上げると、一体こういう不見識至極な話はないのでありまして、そこで私お聞きし、且つ要望したいことは、そうしたこの外交官と比較して偏頗なこれを是正すべしという正論に立つて一体主張されるのか、されないのか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)又今後においてそれ程明らかになつており、而も本委員会の決議にはなつておりませんが、少くとも本委員会に出ておりまする委員各位恐らくこれは総意と言つても差支えない。(「その通り」と呼ぶ者あり)この参議院の引揚促進の委員会においても、かようかような意見なりということを提げて、大藏当局と折衝する意思ありや否やという点をお伺いしたい。
#80
○説明員(岡林諄吉君) これはすべて私の不敏のいたすところでありまして、外交官に対する現在の給與方面の取扱いの実情につきましては、実は私はこの席上で承りましで初めて承知いたしました。誠に迂闊千万でございます(「暢氣過ぎるね、それは」と呼ぶ者あり)從つてその点を実例を以て強く大藏省に当るということは実は今まではよういたしませんでした。只今御指摘の通りに、私としてもその点についてはよく分かりましたので、大藏省にその点を以て更に折衝をいたしたいと考えます。
#81
○淺岡信夫君 給與局長にお尋ねいたしたいのですが、この外務省の官吏、或いは人達と、それから今までの軍人、軍属、そうした人達の立場において実際與えられた給料が違う、この一点に対して給與局長はどういうふうな見解を持しておられるか、これをお尋ねしたい。
#82
○政府委員(今井一男君) お答え申上げます。先程天田委員がおつしやいましたが、これと関連いたしますが、外務省の者に勤務地手当、在勤地とかなんとかいうような費用でありますとかいうものは、これは現在全然ついておりません。又本俸が半分になつておるだけ不利になつております。併しそれと未復員者と比べましてどうという点につきましては、只今淺岡委員のお話の通り、いろいろ御議論があると思います。併し大体同じような観点でこれを給與法に結び付けるところに……只今未復員者給與になつておりますけれども、これは便宜に未復員者給與にいたしたのでありまして本質的に申しますと、これはこんな戰争ということから起つた犠牲を、同じように國民全体が被るという観点から処理して行くべき性質の問題でありまして、片一方は雇傭契約に基きましてずつと使つておる人間に対する、いわゆる労働者賃金的なものでございまするから、その点私共の立場に比較いたしまてどうこうということは申上げ難いと存じます。
#83
○紅露みつ君 未復員者のこの災害補償問題について先程からだんだんお話を伺つて、その全貌がすつかり出て参りました。それで私共の感じますことは、これは法的ないろいろの解釈もございましようし、予算の問題もございましようけれども、一旦通牒を出しておきながら、それが間もなく停止される、そういうようなつまり朝令暮改というような解釈を政府が取られるといたしますなら、國民はどの法律を信ずることも、亦政府を信頼することもできないと思います。殊にこの未復員者、それから未復員者の家族というような方々は非常に力の弱いものでございますから、それがこうした予算の問題とか、なんとか、まあ外に原因があるにいたしましたところで、訳なくそれを取上げてしまうというような、そんな安易に扱われてはこれはならないと思うのでございます。いろいろむつかしい理由もありましようけれども、これはやはり政府において熱意に欠けるところがある。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はかように考えるのでございまして、もう少し本当に氣持の上でもつと誠意を持つて頂きたいと非常に強く感ずる次第でございます。
#84
○政府委員(團伊能君) 只今紅露委員の御忠告誠に御尤もでございます。これが朝令暮改という工合になりまして通告を出したところには、復員省といたしましても、亦大藏省の考えで早急にこれを決めまして、又改めてこれを止めたというところには甚だ努力の足りなかつたことはあると思います。この問題につきましては將來強力に一つ解決したいと思います。
#85
○紅露みつ君 是非一つ厚生次官もそのおつもりで願いたいと存じますし、大藏省の方におきましてもいろいろお考えもおありのことと存じますけれども、只今申上げました通り、非常に未復員者の方々やその家族は力が弱いのでございますから、その点特にお心に留めてお考え頂きたいと思います。是非お願い申上げます。
#86
○淺岡信夫君 簡單ですが、給與局長にお尋ねいたしますが、今未復員者の人たちが月幾ら給料、つまり手当を貰つておるかということを御存じでしようか。
#87
○政府委員(今井一男君) 只今扶養家族の手当しか……
#88
○淺岡信夫君 いや私の伺いましたのは、この未復員者が帰つて來たときに、幾ら貰えるかということをお尋ねしておるのであります。
#89
○政府委員(今井一男君) 從來からの本俸の変つて來たものを一括して、さつき申上げましたが、その外には普通の旅費だけでございます。
#90
○淺岡信夫君 それは昨年の七年に遡りまして委員会がいろいろ努力しました結果、今まで兵隊ならば九円なにがししか貰えなかつたのが百円になつたのであります。ところが今三年も四年もおいて帰つて來て僅かに三千九百円というようなふうなことではどうにもならないのであります。私がお尋ねいたしたいのは、帰つて來る人たちと、その人たちの中で外交官であつた人と兵隊であつた人との差が余りにあり過ぎはせんか、これでは浮ばれません。ですからその点に対して、外交官にはこういうふうだという点がどうも納得しかねるのです。それを納得されるようなことを一つ御説明頂きたい。
#91
○政府委員(今井一男君) ちよつと速記をお止め願いたいと思います。
#92
○委員長(草葉隆圓君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#93
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
#94
○淺岡信夫君 私は寡聞にいたしまして復員局或いは厚生省関係からは、こうした面に対しては國会として御協力頂きたい、或いはこうした点に対して打合せをいろいろとやつて頂きたいということは随分過去にあつたのでありますが、大藏当局から今給與局長が個人的にいろいろ同情しておるということをおつしやられましたが、こういう面に対して委員会でも一つこういうふうに努力しようじやないか、或いは自分たちの立場から言えばこうだということに対して、協力を求めたということを曾て私は聞いたことがありません。これは委員長始め同僚委員もお聞きになつたことはないと思います。そういうようなことでは決して解決はつかないのです。ただ努力します、努力しますということを政府の人たちが如何に言われたつて解決はいたしません。その熱意がおありならば、委員会と共に懇談するとか、或いは委員の各位とそうした面に対して、この面で切り開いて行こうぢやないかというくらいの熱意を、私は今後に示して頂きたいということを強く要望いたしまして私の質問は打切ります。
#95
○星野芳樹君 先程から政府委員のいろいろ御説明もありましたが、この未復員者給與法に、軍人軍属にあらざる、或いは開拓民なりで行つておつた者が、同じ仕事をしておつた、これを除かれておるのは根本的には何ら理由がないのであります。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)御承知の通り占領政策の基本方針は、軍人軍属を特に優待してはならないとあるのです。ところが軍人軍属の方は手当を貰つておつて、一般邦人は貰つていない。それを貰わせるというのはちつとも占領政策に違反しない。むしろ軍人軍属だけに與えて、一般邦人に與えていないということは、詮索すればむしろ占領政策違反とさえ考える。なぜこういうことができたかというと、これは全く実は外務当局の怠慢にあるのであります。復員局の方は軍人軍属の問題を非常に心配されて、この未復員者給與法というものを立案されたけれども、外務当局からはこういう企ては全然ない。而も外務省の予算を見ますと、在外邦人処理費というのが二億円ある。それで私は外務委員でしたので追及した。ところがこれは外務省官吏の手当である、又外の台湾や何かの官吏の手当であるという。而も從來の未復員給與の額でありましたならば、その一般邦人全部を軍人軍属と同等に支給をして貰つても、僅か五千万円程度の予算があれば十分で亘つたのですが、実にこれは言語道断の話で、一般邦人にも及ぼすということは、これはもう徹底的に必らずやつて頂かなければならんことと思つております。
#96
○天田勝正君 先程業務課長が、自分の迂闊だということを率直に言つておられた。私はもう質問は申上げません。ただ一言だけ要望しておきたい。それは勿論軍人軍属以外の人たちも非常にお氣の毒ではありますが、先ず第一点といたしましては、外交官とこれらの軍人軍属と非常に懸隔があるということを再々申上げまして、注意を喚起したのでございますが、とにかくかような口とは、恰も同じ主人が二人の小僧を使いに出して、一方は川が氾濫して溺れて使いができなかつたと、使いができないからこれは一向見てやらないのだと、こういうことと同じいたちでありまして、これは法律の解釈ならば、私どもみな法律の專門家が多いのでありますから、どうも法律の字句に担われやすくなつて、一体人間が生きているということを忘れ勝ちだと思うのであります。そこで同じように、軍人、軍属であろうと、外交官であろうと、又その他の在外同胞であろうと、みんな生きているんだということに先ず主眼点を置いて、適用なり、運用なりをお考え願うように、政務次官初め御努力願いたい。
 更にもう一つお願いして置きたいのは、若しも海外に参られた方が自分たちの商賣のために参られましてそのためにいわゆる見込み違いになつたのだと、こういう解釈をするならば、それはそれもよろしうございますが、ところがどうしてもそういうふうに解釈のできない人たちがあるのであります。それは例えて言えば、満蒙義勇軍、少年義勇軍であります。それから開拓團、これは明らかに徴兵したのと同じような形で連れて行つたということは、誰も異議がないところだと思う。これは要するに專業に從事すべく内地から外地に行つた人たちと、てんで同率に扱うわけに相成らんのであります。こういう人たちに対しては私共は勿論でありますが、政府当局としても特段の施策を講ぜられんことを、この際要望申上げて置きます。
#97
○岡元義人君 時間も経ちましたので、最後にこの問題は、未復員者給與法の改正という問題がここに出ておりますので、先ず未復員者給與法の改正に至るまでに、今日この委員会に取上げられましたことをばもう一歩研究して頂きまして、そうして我らが今日要請いたしましたことが、その運用の妙によつて活かし得るという段階に達しましたならば、これは又幸なことだと思うのであります。
 それを次の來週の委員会までに一つ十分御檢討願いまして、御回答が願いたいということを強く要望いたしますと共に、先ず労働省に私はお願いしたいのは、成る程労働省の方でも、今までの経過でこれはよその火事見たいにお考えにならない至只今の労働省関係の引揚関係につきましては、失業保險法も失業手当法も除外してしまつて、たまたま災害補償があるがこれも今のところは実施されていない。これでは日本の労働省というものは單なるいわゆる内地におる日本人ということになるのですが、まあ六百数十万の日本人というのは、日本人並みに取扱われていない、除外されている形になつているわけです。この点は十分お考え願つて、当然これは労働省という大きな看板を上げている以上は、無関心たり得ない筈であります。私はできますならば、同僚委員の総意によりまして、この際速かに労働省からとそれから大藏省側から、舞鶴の只今帰つて來まして收容しておりますところの病院を、直ちに視察して頂きたい。(「同感」と呼ぶ者あり)これをば同僚委員の総意によつて一つ要請したいと思います。
 それはなぜかと申しますと、只今帰つて來てこの適用を受けなければならんという者の大半が、大陸その他において殆んどレントゲンに掛けられておりますが、骨折患者が多い。その骨折患者は相当長期間に亘つて療養しなければ治らない。そういう者は殆んど切断を受けまして、長いのになりますと一年間、而も奥羽地方や鹿兒島あたりから、この家族の人たちがあそこに看護に行くのですが、看護に行く旅費一銭も貰つておりません。そして自分の手鍋を下げて看病しているのです。こういう実情から先ず御覧になつたならば、取りも直さず一番先にしてやらなければならない災害補償というもの承諾であるかということははつきり分ると思う。このことをこの委員会の総意によつて要請したいと思います。(「同感」と呼ぶ者あり)
 それからもう一つは、先程來いろいろ地方におきまして、地方と申しますと、東京の眞中におりますと、よく分りませんが、地方末端に参りますと、片一方の労働者は、災害補償法によつて、十数万の金を貰つた。片一方におきましては僅か千六百円しか貰つてない、旅費とも千六百円ですが、九百円の埋葬料と、こういうような、非常にそこに差が非常に激しいのであります。こういうことが本当に民主化を目指しておる日本再建の途上において、果して本当に將來に禍根を残さないかということを、眞劍に私は檢討して頂きたい。
 それからもう一つ、これは昭和二十一年の次官会議のいわゆる通牒によりまして、各府縣に出されております。先程今井局長から説明がありましたような、いわゆる内容の通牒が、地方自治体へ出ておるのであります。併しながらその後の情勢は非常に変つておるということをば、この際知つて頂きたい。尚今井局長のお話に、私は非常な期待を持つておつたんでありますが、出ませんでしたけれども、今年の第二國会の五月二十五六日の衆参両院を通過いたしました、あの決議案の第六項目には、遺家族、留守家族に対しては、積極的に援護を行うべしとしてあります。この決議案は、もう十分御承知の通り関係方面の了承を得たる決議案であります。あなたのここで御説明なすつたのとは大分その間に非常に懸隔がここに生じておるということに氣づいて頂きたい。で、できますならば、最初に戻りましてこの運用の妙をば発揮して頂いても差支ない段階に來ておるんだということを、私は強く指摘したいのであります。
 それからもう一点誤謬ありますから、これも今井局長に質しておきますが、この委員会に御説明なさいました外務省の役人の問題であります。これは当委員会においてつとに予算編成のときに指摘された問題でありまして、これは何も復員軍人、一軍属という問題ではなくて、外務省の出先役人と雖も一般の邦人と何ら変るところなく、私も引揚者の一人でありますが、外務省の役人であるからどうこうということは、全然今のところはないのであります。引揚げて來るまでは、單なる一般の邦人として、一様に引揚げて來るのであります。それが外務省に籍を置いたからといつて、一般邦人が一銭の金が貰えないのに拘わらず、外務省の役人だけが貰つておるということは、第一國会以來この委員会として指摘されておるのであります。併しながらその当時は、我々としても目を瞑つたのであります。併しこういうように外の問題まで解決つかないので、いつかこれは指彈の的にならなければならんということは明らかでありますから、この際私はそれを取消してくれというのじやなくて、これと同様に外の方も取扱つて頂くように、とくにお願いして、この問題は今日は打切つて頂きたいということをお願いいたします。
#98
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元委員の御発言にもありましたが、この問題大分時間も過ぎましたし、且つ本日政府の御答弁を承つておりますと、尚政府自身において相当御檢討を願う点が多々あると存じまするので、次回に政府の御意見を纏めて頂いて、御回答を願うことにして御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(草葉隆圓君) それではこの際政府におきまして、さようお運びをお願い申上げまして、この問題は以上を以て打切ります。岡元議員の御希望にありました、労働並びに大藏関係者が舞鶴の引揚病院をよく見て頂くことによつての、この問題の認識が深められ、且つ問題の解決に急速なる運びをいたし得るという点を、よく御了承を願いまして、両省においてできるだけ早くさよう取運びを願いたいと、この問題を併せて両省にお願いを申上げて置きます。
#100
○淺岡信夫君 今の大蔵並びに労働省が行くという日時が分かりましたら、委員会まで知らして頂きたいということを一つ念を押して頂きたいと思います。
#101
○星野芳樹君 ちよつと次の問題に入る前に。本日樺太の引揚者團体が陳情に参りまして、これは樺太において一般邦人中、いろいろな事情で刑を受けている人々の問題を、考えて呉れという趣旨でありますので、五分間ぐらいで代表者が陳情できると思うので、委員長のお許しを得て陳情させて頂きたいんですが、如何ですか。
#102
○委員長(草葉隆圓君) 只今淺岡委員の御希望は委員長から傳えて置きます。
 暫く速記を中止して事情を承ることにしたらどうですか。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(草葉隆圓君) それではさよう決定いたします。速記を中止願います。
   午後三時三十二分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時五十二分速記開始
#104
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて下さい。
 休憩前に引続いて再開いたします。
 第三の地方引揚者復員者と厚生状態視察に関する件を議題にいたします。
#105
○岡元義人君 この第三番目の案件は、この間から九州地区をば厚生の状況を視察に参りまして又先に東京都の実態調査をやつたのでありますが、引揚者等から非常に関心を持たれまして又喜ばれたのであります。ただ喜ばれるというだけでなくて、地方自治体等におきましても、十分に中央に意のあるところが分らなかつたというようなことで、効果的には恐らく各縣におきましてもそういう御意見を聽いたのでありますが、今まで國会の議員派遣をされて來た中で、こういう意義のある調査は初めてであつたということをば、どこに行つても洩されたのであります。この度他の地区よりも非常な要望がございますので、國会の進行状況と睨み合せながら厚生状況を視察に出たらどうかという案件でございまして御了解を得ますれば非常に結構だと思います。
#106
○天田勝正君 私は不幸にいたしまして舞鶴に参つておりませんので、是非そうした機会が與えられますならば、百聞は一見に如かずでございますから、是非さような催しを本委員会におきましてやつて頂きたいと存じます。
 そこで期間の問題でございますが、恐らくはこの二十五日後に相成りますると、続々と本会議に重要法案が出て來るのではなかろうか、それまでは恐らく本会議に出ないだろう、こういう推定がおよそ付きまするので、一つこの機会には遠い地域でなくして、一週間か十日で帰つて來られるという地域をお選び願いたいと思うのであります。岡元委員の方に腹案でもございますならばお示しを願いたいと思います。
#107
○淺岡信夫君 どうでございましよう。この問題は委員長と企画担当の岡元委員の方で大体案をお作り願いまして、その上でお諮りになつて決定するということで如何でございましよう。
#108
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元委員の御説明にありました各関係府縣を調査に行き、視察に行くという件につきまして、天田、淺岡両委員からの御賛成御意見等もありましたが、その中にありましたように、企画部におきまして案を作つて頂いて、委員長と企画部長とでよく御相談申上げて、明日委員会がありますから、一應明日御相談して大体進めて行くということにいたしまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(草葉隆圓君) さよう決定いたします。
#110
○星野芳樹君 今会期は相当重要議案が出るのですが、会期中に行くつもりなんですか、それとも会期が終つて……。
#111
○委員長(草葉隆圓君) それは只今天田委員からの御意見にもありましたように、成るべく重要法案に差支ない程度において視察を実行したい、こういうわけで一つ計画を組んでみたいと存じますから、その点御了承を願います。それではこの問題は以上のように決定いたします。
 最後に附加えて、第四といたしまして公聽会に関します件を議題にいたしたいと存じます。
#112
○岡元義人君 この公聽会に関する案件は、今まで特別委員会は、こういう非常に複雜多岐なる問題をば処理して行かなければならんのでありますが、まだ公聽会というところまで行つたことは別になかつたようなんであります。若しできますならば、財源その他の打合せをば計つて参りましたが、その方も大体了解が付きましたので、当然これはやはり声を聞いて、そうして皆といろいろな問題を処理して行くという工合に取計らつた方がいいのじやないか。(「賛成」と呼ぶ者あり)まあ企画といたしまして考えたのであります。それで公聽会の人選その他については、皆さんの御意見を徴しまして、こういう人の先ず声を聞きたい、こういう人の声を聞きたいというような皆さんの御推薦によりまして、そうしてその中からセレクトして、あらゆる問題に対する公聽会をば一應開いてみたならば何か大きな收穫があるのじやないか、こういう予定でここに問題をば急遽取出したわけでございます。皆さん方の御了解が得られましたならば、予算その他につい了解が得られておりますから、この点をお含みおき願いたいと思います。
#113
○星野芳樹君 この公聽会を開くという意見は前の特別委員会で山田節男氏の主張されたものであります。本員は甚だ賛成するところであります。併し質問するところは、問題の引揚問題の一般となさるおつもりでありますか。或いは特定の問題を取上げてなさるおつもりですか。
#114
○岡元義人君 この点につきましては、非常に範囲が廣うございますから、問題を区切りまして何と何の問題についてというように行きますか、それとも廣く行きますかは皆さんの御意見に從つてやりたいと思います。
#115
○淺岡信夫君 私公聽会の問題に対しましては、いろいろ取上げるべき点が沢山ありましようが、なんとしてもこの如何にしたら引揚が完了になるか。この促進問題をどうしても第一義的に取上げて頂きたいということを強く要望いたします。
#116
○岡元義人君 まあ今この地方で一番問題になつておりますのは、今淺岡委員の促進関係も当然でございますが、もう一つ生業資金の問題が非常に民生委員あたりで荒れているのであります。特別委員会といたしましても、生業資金あたりを一應聞いてみる必要があるのではないかということが考えられるのであります。この点を一つ若し御同意が得られましたら、(「賛成」と呼ぶ者あり)この間北海道で大会を開いた際その問額もあり、厚生省自体もこの問題は頭痛鉢巻なんです。この点を一つ皆さんにお諮りしたいと思つております。
#117
○紅露みつ君 生業資金の問題が重要だからというお話で、同感でございますが、その場合に男子のそうした申込ばかりでなく、婦人の、つまり未亡人の面でございますが、この面にそういうような資金の問題を考えて上げなければならんということをかねがね考えておりますので、是非そこに一つ力を入れて頂きたいと思います。
#118
○星野芳樹君 それでは当面その引揚促進問題、生業資金の問題を題目として、第一回目の公聽会を開かれたら如何かと思いますが、如何でしよう。
#119
○委員長(草葉隆圓君) この機会におきまして委員長としても皆さん方の御了解願つておきたいと存じますが、從來、在外同胞引揚問題に関します特別委員会は、主として請願、陳情の処理というものを中心に進んで参つたのでありますけれども、今回からは更に引揚げた人たちの援護という点について、大幅に参議院の特別委員会は拡げられておりますることを御了承願つて、從つて遺族、未亡人、傷痍者という点につきましても、当然今後共、この委員会が相当活動いたしまする点を御了承願つておきたいと思います。
#120
○岡元義人君 公聽会の件はそれで終るんでありますが、ここでちよつと今日の本会議で、細川委員から問題になりました、いわゆるリンチ事件について先程來、問題を報告して頂くように、調査をば依頼してあつたのであります。最近の輸送にあつては、今日の細川君の言つた程度、それは今御説明があるのでございますが、非常に荒れておるということは、事実らしいのです。今も政府から、ここで簡單に、時間を余り取らないで、今朝の本会議における、あの問題については、説明して頂くようにお願いしてあつたのでありますが、委員長、その点、若し今日間に会はなければ、明日にしましよう。
#121
○委員長(草葉隆圓君) この公聽会につきましては手続その他の関係もありまするので、企画部長と委員長に一つ御一任を願いまして、尚参議院内における事務当局その他でよく打合せまして進んで参りたいと思います。この点御了承を願つておきます。
 本日はこれを以て散会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○委員長(草葉隆圓君) これを以て散会いたします。
   午後四時三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     草葉 隆圓君
   理事
           木内キヤウ君
           岡元 義人君
           星野 芳樹君
   委員
           天田 勝正君
           淺岡 信夫君
           紅露 みつ君
           宮城タマヨ君
           矢野 酉雄君
           細川 嘉六君
  政府委員
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   厚生政務次官  團  伊能君
  説明員
   厚生事務官
   (復員局業務課
   長)      岡林 諄吉君
   労働基準監督官
   (労働基準局労
   災補償課長)  池邊 道隆君
ソース: 国立国会図書館
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