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1948/11/25 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第8号
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1948/11/25 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第8号

#1
第003回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第8号
昭和二十三年十一月二十五日(木曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○引揚者厚生対策に関する件
○決議に対する政府の処置に関する件
  ―――――――――――――
   午後一時十二分開会
#2
○委員長(草葉隆圓君) これより在外同胞引揚問題に関する特別委員会を開会いたします。
 本日は議案といたしまして、第一に未復員者災害補償の問題、第二に、第三回國会の決議に対する政府の処置に関する問題、この二問題を中心に協議を進めたいと存じます。先ず第一の木復員者災害補償の問題につきましては從來本委員会におきまして、或いは未復員者、未帰還者、遺族、傷痍者に対する災害補償の問題として、相当詳細に突込んで檢討を進めて参つたのでありまするが、尚本日十分この点について、各委員並びに政府委員の方から御検討を進めて頂きたいと思います。
#3
○岡元義人君 議事進行について、一應政府委員の出席されている方をば委員長から各委員にはつきり分るようにして頂きたいと思います。
#4
○委員長(草葉隆圓君) 只今までに政府委員として御出席になつておりまする方、並びに政府説明員として出席せられでおりまする方々を御紹介申上げて置きます。林厚生大臣、近藤外務次官、平岡大蔵政務次官、團厚生政務次官、並びに管理局引揚課長の高岡引揚課長、及び引揚課の山川事務官、法制第一局長の林局長、現在まで以上であります。尚お政府委員以外の政府説明員に対する御答弁も、この機会に皆さんの御異議がなければ発言を許可して差支ありませんか。
   〔「異議なし」「差支なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(草葉隆圓君) それでは御異議がないものと認めまして、御質問の都度、適当に御発言を許可することにいたします。
#6
○岡元義人君 順序といたしまして、この労務災害補償法が引揚者に適用されていないということは、その根拠がどういう理由で今まで支給されていないかという点について、先ず第一番に法制局から、昭和二十年十一月二十四日附の連合軍の指令につきまして一應お伺いたしたいと思います。(イ)の、これは各委員のお手許にありますが、「軍隊勤務の理由によるもの」という箇條の中で、但書がありまして、「受給者の勤務能力を制限する肉体的不具癈疾に対する補償金は軍部以外の勤務により生じたる同程度の肉体的不具癈疾に対する最低補償を越えざる率にで支給する事を得」こういう但書があるのですが、これに対して法制局の見解は、終戰後に強制収容されまして、そこで死亡したり或いは作業中に負傷したというようなものは、当然軍人ではないのでありまして、この点についてこれが適用されるかどうかという点を一つお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(林修三君) 私法制局の第一局長でございますが、その点につきましては、或いは私から申上げるよりは、大藏省なり、厚生省の方からお話があるのが至当かとも存じますが、只今までの取扱いとしてやつておりますのは、昨年出ました昭和二十二年法律第百六十七号において、政府職員に対して從來労働基準法の線まで給料が行つてないものについては、労働基準法の線まで給料を上げることができるという規定になつておる。あの法律については、只今までのところは、一應はあの政府職員には未復員者は入らない、こういうような解釈でやつて来ておる。実際扱つて來ておるように伺つておるわけでございます。
#8
○矢野酉雄君 何故にそれが入らないかということに対する根拠を明かにして置きたいというのが、質問の趣意だつたと思うな。
#9
○政府委員(林修三君) これにつきましては、從來の大蔵省なりの解釈によりますと、政府職員、あすこで書きました政府職員、あの法令の解釈といたしましては、未復員者は一應あれは除外することになつておるということと、それから労働基準法の適用でございまするが、これは海外において在留しておりまする職員については、一應は労働基準法の適用があるという解釈は取れないという解釈をやつて來ておつたと聞いておるのでございます。ただその点につきましては、從來の取扱いがそうであるというふうに聞いておるのでございますが、法制局としての見解を申上げますと、あの法律ができました時の趣旨としては、恐らくああいうふうな書き方をいたしましたことから申しまして、労働基準……未復員者そのものに対してあの法律を適用する趣旨をはつきり意識して作つたものとは私共考えられないと思うのでありますが、仮に拡張解釈によつてあの法律を運用する場合において、それが確実に法律違反になるかどうかということに関しましては、必ずしもそういう運用をした場合において、確実に法律違反になるとは考えておりません。
#10
○岡元義人君 この際関連いたしまして、人事委員会に丁度公務員法が提案されておるときでありますから、公務員法改正法案の、今度の修正案の中の第二條の一番しまいに「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給與を支拂つてはならない。」こういうことが書かれて今提案されておるわけでありますが、この文面から申上げますならば、当然未復員者給與というものは支拂うことはできない、公務員でないならば……。公務員であるならば当然支拂つていいわけであります。この点について、人事院からの回答を願いたい。
#11
○委員長(草葉隆圓君) ちよつとこの機会に御了解を願つて置きたいと思いますが、本日人事院には連絡いたしましたが、どうしても都合が悪いので今までまだ御出席になつておりません。御出席になりましてから、只今の問題は御答弁を願うことにいたします。
#12
○岡元義人君 では副総理をかねております厚生大臣から、このことについて伺つて置きたいと思います。
#13
○國務大臣(林讓治君) この問題について私深く存じておりませんから、後程にお願いいたしたい思います。
#14
○岡元義人君 了解いたしました。
#15
○矢野酉雄君 未復員者に失業保險手当法を適用する件とこれは趣旨は同じだと思いますがね。第一國会でこの法案を通過させる時に、時の労働大臣であつた米窪君は、必ず未復員者……未復員者という言葉は実は私は狹いと思います。何となれば、軍人軍属にあらざる者はこれに入らない。未復員者という言葉は、だから未復員者及び未帰還者、これは共に同等に私は質においても量においても取扱わるべきものだと主張する。國家としては、政府としては、國民としてもそういう立場から当然このソ連から、その他の地区から日本に帰つたら、帰つたと同時に彼らは失業の実態を示すわけですから、失業保険手当法の適用を受けるべきものである。一方の手を一本怪我しても翌日は二万円金を貰うし、命を捨てるような怪我をしたら約二十万円貰うけれども、同じ國家國民のために、同じどころではない、実に涙ぐましい働きをして呉れておる未復員者並びに未帰還者に対して何らこの災害補償、保險法の適用を受けていないというようなことは、絶対民主主義の原理、平等の原理に反することは万々であつて、或る程度予算が多くなるからこれらの諸君はこれに加えなかつたということは、これは実に惡いので、前内閣、前々内閣の一大手落ちであつて、これを又了解して來た國会も責任を負わなければならない。新内閣は須らくこれについて積極的な保護法を立案し、予算等の処置も具体的に設計して頂きたい。この希望と、又質問に対する御意見を承りたいと思います。
#16
○紅露みつ君 只今お話の未復員者給與法、それから災害補償法、失業保險法、これらの問題は、これまでたびたび当委員会で問題になつて來たところでございまして、こんな分り易い問題がいつまでも解決されないことは誠に遺憾だと存じております。これは余りに規則に捉われてむずかしくお考えになるということが、解決を見ない原因ではなかろうかと思います。政治は偉大なる常識だと言われておりますが、政府がこれに親心を持つて、常識的に考えて頂けば、おのずと解決の途が開かれるのではなかろうかと思うのであります。それとも外にこの解決を阻むような理由があるのでしようか。只今伺つたところでは、規則の上でということだけのように思いますが、これを伺いたいと思います。
#17
○淺岡信夫君 今矢野委員、紅露委員からのいろいろな質問もございましたが、この問題につきまして、同じ政府職員でありながら、外務省関係の職員と、或いは一般の職員と、或いは未復員者、そうした人たちが内地へ帰つて来た場合における施策というもの、或いは実際の実施されておりまするところが非常に異つておる。外務省の関係の人は非常に厚いのです。こうした問題に対しまして、何故に外務省関係の人のみが厚いのか、旧軍人、或いは軍属の人たち、こうした人たちが薄いのかという点について一つはつきりとした先程矢野委員、紅露委員の御説に関連いたしておりまするから、お伺いいたしたいと思います。
#18
○國務大臣(林讓治君) 私はそれの区別が非常に違つておるということを不幸にしてよく存じておりませんが、未復員者などにつきましては特殊のものと考えまして、極力政府職員として準じた取扱を現在いたしたいというので、政府としてはやつているわけなんですが、これはただ御承知の通り、いろいろな関係もあろうかと考えるわけですが、それくらいで極めて曖昧な答弁のようでありますけれども、その点はお察しが願いたいと考えます。
#19
○委員長(草葉隆圓君) 只今淺岡委員の御質問に対しましては、昨日も一應御答弁がございましたが、幸い本日外務省管理局引揚渡航課長の高野課長が見えておりますので、今の問題について御答弁を願いたいと思います。
#20
○説明員(高野藤吉君) 今の問題について、私も引揚者促進の方をやつておりますが、身分関係、給與関係については実際は会計課長が存じておるわけで、責任を以てお答え申上げられませんが、私の知つておる範囲でお答え申上げたいと思います。今淺岡委員の言われた外務省員だけが特に厚遇されておると申されましたが、それは外務省員でなくて、まだ在外におられる政府職員が一般に公務員として政府の役人なるが故に、公務員法乙至労働災害法が適用されておるということで、一般の法人は政府との雇傭関係がございませんから、それが法律的なことを適用できないということじやないかと思います。次に一般の軍人軍属の身分関係につきましては、これは法律的に現有如何なる地位にあるか、即ち政府と雇傭関係にあるかどうかということがはつきりいたしておらない、乃至は消極的に解釈もし得るのじやないかということで、正式に公務員法なり労働災害補償法が適用されていない。その結果淺岡委員の言われたような、その待遇乃至給與について厚薄があるんじやないかと私は承知いたしております。
#21
○淺岡信夫君 只今の御答弁に対しましては、私は非常に不満があると申上げるより外仕方ないと思います。例えば申されました点につきまして、外務省職員、或いは曾ての鉄道関係の人たち、例えば鉄道関係の人たちが帰つて來ました場合においては元の職場に帰れないのです。曾ての駅長であつたとか、助役であつたとかいうような人が帰つて來て、その職場にそのまま留つて行く、或いは新らしく採用されるというようなことはないのです。ところが外務省関係の人たち、或いはその家族の人たちは非常に温かい恩典を蒙つておるということは現実なんです。こうした問題に対しましては、どうしてもはつきりと結論を出して頂かなければ承服できないと思うのです。
#22
○千田正君 先程林厚生大臣の御答弁の中に、十分この問題については御存じないというお話でありましたが、一應私から申上げます。その一例を取りますというと、労働基準法の施行に伴う政府職員の公務災害補償は昭和二十二年法律第百六十七号により、旧軍人軍属にも適用されるように定められたのでありまするが、その範囲は昭和二十二年九月一日以降給與事由の生じた者のみに限つておるのであります。併し旧軍人軍属の公務災害の補償は、殆んど全部が昭和二十年、終戦前に発生したものでありますが故に、その適用を受けておるものは、死亡者一万人につき僅かに一、二名に過ぎないのであります。而もその算定の基準となる平均一人百円として、一般公務災害に比しますと、三十分の一程度にしか過ぎません。このような災害補償しか受けておらない。現実において私が簡單に申上げますと、例えば一般公務死亡者に比して、旧軍属は七十分の一、旧軍人は約二百六十分の一の補償しか與えられておるのに過ぎないのであります。例えば旧軍人は二百七十円、軍属が千円、一般の労働者は二千九百二十円ベースにおいて七万円の補償を受けておる。かくのごとく差違があるのでありまして、この点においては、單に死亡者、或いは遺族、或いは未復員軍人、或いはこの災害によつて苦しんでおるところの傷病の人たち、こうした人たちに対して今後改正する意思ありや否や、その点について林厚生大臣のお答えを頂きたいと思うのであります。
#23
○國務大臣(林讓治君) 只今伺いまして、意のあるところをまく拜聽いたしました。政府といたしましては、かかることに対しては区別のないよう、できるだけ努力をいたしたいと考えます。併しながら全体について予算その他にも関係があろうかと考えますので、只今私は、自分は将來努力をするということを以てお答えをいたしたいと思います。
#24
○天田勝正君 先程政府委員の御答弁を聞いておりますと、法律の解釈上通用ができなやのではないかというような御答弁がございました。そこで私は災害補償にいたしましても、失業保険にしても、これは労働基準法を母体として発せられたものでありまして、而も適用については、適用ができるのだという解釈をいたしております。それは私の解釈ばかりでなくして、本年の二月の七日に復千七百七十九号並びに三日二十一日の未復第十六号の七十八によりまして、これらの取扱についての通達が出ております。それによつて当然内地の労務者と同様に扱うべしということに相成つておるわけであります。然るに、それが本年の六月の二日に一應保留ということになりまして、九月の二十二日に廃止、こうなつたので、そこで先ず第一に、この適用すべしということについては勿論政府の措置でありまするから、関係方面とも十分折衝された結果、適用できるということになつて來たと思います。更にこの廃止についてもこれ亦了承されたと思つておりますが、一体、一應適用ができるのだというふうな政府の処置があるといたしまするならば、必ずこれは誠意によつて適用ができるのでありまして関係方面におきましても、先程岡元委員の仰せられたように、二十年の十一月二十四日附の通牒によりましても、この災害補償等のごときは、内地の労働者同様程度にはやつてよろしい。こういうことになつておりますのを、かように変更されたという基準は一体どこから生まれて來たか、その誠意は今日どの程度に持つておられるか、更に関連いたしまして、全般のこれらを含むところの給與の問題でございますが、先ず軍人、軍属と、それから出先の外務省官僚とに差があることは淺岡委員の指摘した通りであります。更にもう一つの差違は、外地におります外務官僚と、内地におりまする外務官僚との差違でございまするが、これについても若し戦時中におきまして、百円程度の給與を貰つておつた外務官僚といたしますならば、今日内地に帰つておれば八千円以上の給與になつておる。それが外地におるばかりで一千百三十円プラス家族手当という工合になつておる。こうした三つの段階に給與が分れておるのでありますが、そうしたことに日々接しておりながら、それらのことをただ氣の毒だということだけで済まして置く心理が私共には誠に了解ができないのであります(「同感」と呼ぶ者あり)これらのことについてどういう措置を以て今後臨まれるか、はつきりした御答弁を願いたいと思うのであります。
 第三の点といたしまして、外務官僚の大きな一つの役割は、外地におきまして邦人の諸権利を擁護するという建前でなければならないと思いますが、然るに私共の知つておる範囲におきましては、これらの人たちがやはり軍の上層部と同様に終戰になりまするや、その地位を利用をいたしまして、いち早く先ず逃げ帰つた、こういうふうにすら見られるのであります。今日外務官僚として残つておられる者は二百名足らずということを聞いております。勿論抑留されておるのでありますから、十分なる邦人の保護ということがなし得ないことは私共も承知いたしておりますが、軍人でない限りは最後まで踏み止まつて邦人の安否を見届けるくらいの誠意があつてもよろしいのではないか、これは必ずしも外地におられる官僚を責めるわけではないが、内地に繋がりますところの外務省の誠意が、結局そうした邦人見殺しという形になつて現われると考えますので、これらの点について如何お考えになつておりますか、この三点を伺いたいと思います。
#25
○星野芳樹君 関連しておるので伺います。未帰還者について災害補償法が適用されるとしても、その計算の根本になる未帰還者給與法が月額百円などという小さい額では、先程委員から指摘された通り不公平だと思う。これは絶対に直らないか、この点をどうお考えになつておるか、留守家族の大会の決議としては、これを月額二千百円ぐらいということを要求されておる。前内閣もこれに対しては相当大幅の増額をする用意をして、本内閣に引き継ぐといわれておるのですが、これに対して予算にどういうふうに盛られておるか、この点をはつきり伺います。
#26
○政府委員(平岡市三君) 答弁が御質問とぴつたり合わないかも知れませんが、あとで政府委員にお答えを願います。今回未復員者給與法の一部を改正いたしまして、既存の給與の引上げ、又新たな制度として疾病、負傷に対する療養費の支給、及び傷害一時金の支給を行うように法律の改正をいたそうと考えておる次第でありますが、これと國家公務員災害補償法との関係でありますが、未復員者給與法の一部を改正する法律案におきまして、新たに設けられる療養費の支給、傷害一時金の支給などは、國家公務員災害補償法の扶助よりも却つて割合がよくなつておると考えておるわけであります。尚未帰還者のことにつきましては、皆様がお話になる通りでありまして、この件につきましては、財務当局といたしましても、厚生省その他と十分連絡を取り、研究の上何とか考慮いたしたいとこう考えておる次第であります。細かいことにつきましては、政府委員より答弁いたさせます。
#27
○岡元義人君 今の星野委員の申されておる未復員者給與法の百円の金額が安いではないか、今度の改正案では相当大幅に引上げる肚があるかということを聞いておられるのですが、この点は尚本日この委員会が一應時間が参りましてから、もつと詳しくお聞きする必要があるのではないかと考えられますので、この点は一時保留して頂きまして……。
#28
○星野芳樹君 一應返事を願いましよう、簡單でも。
#29
○淺岡信夫君 関連事項ではないではないか。
#30
○岡元義人君 議事進行について申上げているのですが、一應天田委員が質問した点について、先にお答えをば願つたらどうかと考えます。これをお諮り願いたいと思います。(「同感」、「賛成」と呼ぶ者あり)
#31
○委員長(草葉隆圓君) 予算関係と尚未復員者給與法の改正についての予算的措置と、その他の未復員者並びに未帰還者援護に対する災害補償範囲、その点についての御答弁を願いたいと思います。
#32
○政府委員(河野一之君) 海外同胞の引揚に関する予算上の問題でありまするが、現在この問題につきましては、未復員者給與法の問題と、その外に一般的な引揚者に対する援護の問題と二つございます。一般海外引揚者の援護の問題につきましては、両院議員の皆さんからいろいろ実情をお述べになりまして、熾烈なる要請がございまして、財務当局といたしまして、十分この御趣旨を含みまして、誠意を以て現在努力している段階でございます。現在の復員関係の経費の中の繰廻しによりまして、或る程度御希望に副い得るような処置ができるのではないかと考えております。
 次に未復員給與法の問題でありますが、未復員者、元の軍人、軍属につきましては、未復員者給與法として取扱つておりますが、その他の一般海外引揚者についてこれを適用しようという問題につきましては、これは多少身分関係もございますので、未復員者給與法に入れるべき問題ではないのではないかというふうに考えております。
 それから公務災害補償を未復員者に適用せよという問題につきましては、これは法制上の建前と申しまするか、從來からの考え方といたしまして、一般の公務員とは多少違つたものでございまして、一般の公務員につきましては、労務管理上いろいろな手段があるのでありまするが、海外における未復員者につきましては、一般公務員とは多少様子が異つておりますので、未復員者給與法におきまして、この公務災害と申しまするか、これに対する措置について考慮いたしておるような次第であります。従いまして一般公務員と同様に災害補償を考えるということは、現在の段階では困難ではないかと、こういうふうに考えております。
#33
○矢野酉雄君 今の局長の御答弁は実に怪しからん話で、(「確かに怪しからん」と呼ぶ者あり)実情を御存じないいわゆる机上の立場からの御答弁であると思います。例えば軍人、軍属にあらざるところの者を、その範疇の中に入れないというのは、何を根拠にして結論を出されているのか。大体八月の十五日の終戰の詔勅の後に、僕が動乱の満洲におつて、八月十八日まで召集した、而も全部満洲その他各地においては、軍事上の機密書類というものはみな軍が燒却してしまつておる。だから誰が軍人であるか、軍属であるかということも明確なることは断定を下すことは不可能であります。而も現在シベリアその他各地において抑留されておるところの諸君は、軍人、軍属と何ら質においても量においても変らない、我々に代つて義務を遂行して呉れておるのであつて、これを峻嚴に見別して、そうして未復員者にあらざる即ち未帰還者に対しては、國家はですね、寸厘の擁護の手も伸ばしていない、それを主計局長の立場からこれをはつきり分けて、未帰還者の場合には何らこれに対する擁護の予算措置は取つていないというような今の御答弁のごときは、どういうようなところからそういうことをおつしやるか、僕は動乱の中におつて、現実を知つておるから、その不当を訂正して頂くように要望します。
#34
○岡元義人君 議事進行について……法制局長からはつきりこれが違法ではないという確言を得ておりますので、この問題は後程暫く時間を貰いまして、十分検討することにして、第二案をば皆さまにお諮りを願いたいと思います。
#35
○矢野酉雄君 僕は岡元委員の動議に反対します。今直面しておる重大な問題についての主計局長のその考を訂正して頂くなら訂正して頂く、飽くまでも自分の所信はこの見解で進むなら進むということを、はつきりして下さらなかつたら、結局進むことはできないのです。
#36
○委員長(草葉隆圓君) 矢野委員の質問に対して局長の御答弁を願います。
#37
○細川嘉六君 ちよつとそれに関連しておりますから……。そこに意見の大きな食い違いがありますが、主計局長の説明にも道理があると思う、ですからあなたは十分にその主張をここに明らかにせられたい。それだけ。
#38
○政府委員(河野一之君) お答え申上げます。これをどう見るかの問題だと私は思うのであります。身分関係と申しますか、雇傭関係と申しますか、軍人、軍属の関係は、雇傭関係と言うのは或いは語弊があるかも知れませんが、國との間いにおて、何らかの労務関係がある、この場合には給與の問題であろうと思います。そうでないその外の場合におきましては、これは私は給與の問題ではなしに、或いは救済とか、或いは援護とか、そういう問題として考えるべき問題でありまして、未復員者給與として扱うべき筋合のものではない、といつて何らの手に伸ばさんでもいいとか何とかいうことは別問題でありますが、考え方として私はそうであろうという趣旨で申上げた次第であります。
#39
○千田正君 只今のが局長の御答弁であるとするならば、現在の政府がこうした不幸な人たちに対して取つておるところの態度に対して、私は難詰せざるを得ない。なぜかなら、公務員に適用するというような問題は、雇傭関係であるとか、そういう面において大体の見当を決めておるとするならば、希望もしないのに、誤れる指導者のために、應召というような声によつて召されて、終戰の後、軍人じやなく、軍属じやなく、ただの個人であるその人たちが、今尚還されないで苦痛を受けておる者に対して、それならばどういう方法を以てこれを補償し、或いは給與以上の手を差伸べるかということを質問したい。現在行われておるところのものは、雇傭関係の再開においてさえも尚與えちれないところの給與水準より更に遥かに低いところの水準を以て、こういう人たちに対する補償とか給與とかおこがましい言葉を以て政府はこれを糊塗せんとしています。こういうことに対しては國家のその指導的立場にあるところの、或いは給與とか、そういうものに携つておるところのあなた方の頭をはつきりと冷嚴にこの問題に対処してもらいたい。改めて私はその標準になるところの言葉をもう少しはつきり聞きたいと私は思うのであります。
#40
○木下源吾君 今までも、当日この軍人が員数が足りんという場合に、一般邦人もその中に充当して、そうして引つ張つて行かれておる、こういう実例がございました。こういうことに対しては今言うように、未復員とか何とかいうように限定する必要はないですね。國会においてこの人たちに対するいろいろの給與を決めて行くべきだと、そう決めてですね、これを政府にやらせるということで問題が解決するのじやないかと思うのでありますが、(「賛成」と呼ぶ者あり)今それが未復員であるとかないとかいうようなことで、今政府がすでに決つて霊る未復員法という、そういう性格のものをまげて適用しろというようなことを今ここで言うてもしようがない。私共は國会においてこれを決めて、政府の意図が分りさえすれば分つた、今日にお」ては國会で決めて、これらの人たちに補償を與えるということを決められていいと、かように考えます。
#41
○岡元義人君 先程動議を出して置きましたが、この問題は相当まだ本日検討する必要がありますので、二時十分以後にこの問題を更に検討させて頂くことにいたしまして、第二案の先程参議院におきましての引揚促進決議案に対して、その後政府はどういう処置を執つたかということを坂上げて頂だくように動議を提出いたします。
#42
○委員長(草葉隆圓君) 御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(草葉隆圓君) それでは只今の問題は國会としても相当強い意見のあるところでありまするから、後刻に廻しまして、第二の第三回國会決議に対する政府の処置に関する件に移ります。
#44
○紅露みつ君 第一に私は政府にお尋ね申上げたいと存じますが、引揚促進の決議案は過日衆議院におきましても、参議院におきましても、満場一致で可決、採択されておりますが、あの本会議で政府はごの決議案の趣旨に副つて善処するということを誓われたのでございますが、その後この問題についてどう処置をされたのでございましようか。それからこれは問題の中に含まれておるとも言えるのでございますが、先般、本年の結氷期の引揚を継続しますために、連合國総司令部から砕氷船を提供して呉れるという有難い申入れがあつたのでございますが、これに対してその後ソ連側から何らかの意思表示があつたのでございましようか、私共は未だ聞いておりませんので、これを伺いたいと存じまするが、それに対して政府がどのような手を打つておられるかということ。先ずこれから伺いたいと存じます。
#45
○淺岡信夫君 只今紅露委員から発言がございまして、この第三國会に引揚促進の決議が上程され、満場一致可決した問題に対しまして丁政府の処置を伺つておるのでありまするが、先ずその前にこの参議院といいまして、この決議に基いてどういう処置を執つたかということを簡單に説明して頂きます。
 この問題につきましては、御承知の通り参議院の特別委員会の委員長が、衆議院の委員長と図られまして、更に参議院におきまして議せられ、これは参議院の婦人議員が全部打揃つて対日理事会のシーボルト議長の下に参つて、縷々懇請する、決議のことを申上げるということで、二十日の土曜日の一時を期しまして、対日理事会に参るように一切の段取りをいたしたのでございます。ところが図らずも対日理事会のシーボルト議長の方から、今日は差支があるから、日を変えてこちらから通達する、それまで日を変更願いたいということになつておりますので、この婦人議員の皆様が打連れ立つて行かれるということにつきましては、今まで何もいたされておりませんが、その一應経過だけを申上げておきます。
#46
○政府委員(近藤鶴代君) 引揚促進に関しまして、決議案が上程されました後の、政府といたしましての処置をお話申上げたいと思います。
 御承知の通り引揚の問題は外務省の関係当局、或いは政府当局だけの問題ではなくして、恐らくは敗戰と同時に日本國民が最も関心を持つた中の一つの問題であろうと存じます。従いまして、決議案が上程されるとかされないとかいうことは問題ではなくして、いずれの当局におきましても、これに全力を挙げて参られたということは皆様方も御承知であろうと存じます。私共も所管省に参りまして、今日までに政府がいろいろと骨を折つて参りました点を十分に了承いたしまして、更にその上に何をなすべきかということについて、十分考えて参つたわけでございます。父兄の立場においてなされましたところの引揚促進に、更に母親の立場を以て、更に妻の立場を以てこれに全力を挙げて行きたいということが、私の就任する時の願いであつたのでございますが、たまたまそのときに、又皆様方の御熱意のあるところの決議が衆参両院を通過いたしましたので、私は去る十九日であつたかと記憶いたしておりますが、それより前にもつと早く参りたいと思いましたが、お差支がありましたので、司令部の方々とのお約束によつて十九日に参つたのでございます。訪問いたしました人は四名でございましたが、倭島管理局長と一緒に参りまして、決議の内容について、或いは又当局者として熱望いたします点について、十分意のあるところを傳えまして、これを了承して頂いたということが、した一つのことであります。その後管内、所内におきましてその次はこうしたい、その次にはこうしたいという段取は決めておりますけれども、相手側の都合の悪い日とか、又私共の都合のいい日ということでなかなかうまい工合に参りませず、又一つには、司令部はこの問題に対して非常に深い理解を持つて、十分努力を続けて下さつております関係上、余りこう矢継ぎ早に参りますのもどうかと思いますので、その点の勘案も考えておる次第であります。
 又砕氷船につきましての、司令部の考え方はというお話でございましたが、これは私共の要求いたします通りに、全部手配ができておるように聞いております。ただ問題が、私共の折衝の相手と違いますので、幾らかそこに確たる御返事を申上げることができないのを残念に存じますが、二十六、七日頃には或る一つの段階の報告が得られる時期ではないかと考えておりますので、その時期には又いろいろと折衝して見たいと思つております。
#47
○委員長(草葉隆圓君) 大藏省の御答弁を願います。
#48
○政府委員(平岡市三君) 過般の皆様の決議案並びに本委員会の御熱心なる申出によりまして、最初外務当局と六たしましては、非常に予算が窮屈であるために、毛布、薄團等の寝具だけ一昨年通かの割合で支給するごとに決定いたしておりましたけれども、越冬の燃料費とか、住宅補修費につきましては、実は逡巡いたしておつたような次第でございますけれども、皆様の御熱心な申し出によりまして、外務当局しては財政の許す限り多額の計上をしたつもりで、追加予算にも計上するつもりでおつたような次第であります。その他の件につきましては、差当りいろいろの研究はいたしておりますけれども、申上げるまでの段階には至つておりません。
   〔木下委員発言の許可を求む〕
#49
○委員長(草葉隆圓君) ちよつとその前に金額の発表をして貰います。予算の算定の……。
#50
○政府委員(平岡市三君) 全体で一億三千万円ばかり計上いたしております。
#51
○木下源吾君 大藏当局の只今の燃料、寝具、補修費等に対する御配慮は一應了承します。併しながら我々の決議による本当の趣旨というものに対して、政府は実際それを行おうとする本当の誠意があるのかどうか、ということについて疑わざるを得ない点があるのであります。というのは、二の受入態勢におきまして、日本をもう少し進んだ、民主化の方向へはつきりしなければいけないということであります。今日見るように、労働者の基本的人権というものを剥奪して置いて、そうして労働者の行動に対して、或いは統制を加えようとするような國家公務員残の通過を急いでおりますが、他面にねいて、これらの公務員に対して生活の保障、そうして眞に安心して、その身心を保ち得るような給與というものに針して政府は何らかの誠意を示してお広ない。誠にこのような反動的な場面を今日の政局に表わしておつて、果してこれがポツダム宣言の履行という線げ沿うているかどうか、私共は引場促進というものに対しては、國内の情勢を民主化しなければならない、その下げおいてポツダム宣言の主張を奥行しなければならない。こういうことが基本であるのでありますが、今日まで政府が成立以來、この促進に関する問題を何故速かに予算化して計上しないか。(「同感」と呼ぶ者あり)補正予算を何故計上しないか、このことなくして幾ら口でお願いしても、お頼みしても、みずからなすところに怠慢があつたならば、この引揚促進というものば決して目的を達するものではないと我々は確信いたしておるのであります。ただ席上に集まつていろいろ言うておりまするけれども、履行を伴なわなければならん。政府成立以來今日まで何らの見るべき予算的措置を講じないということは怠慢であります。院議によつて浄定せられたならば、ひれに忠実に政府が待つて、直ちに奥行に移さなければならん。それは取りも直さず予算的措置を的確に講ずることであると我々け考えております。こういう点に対して、厚生大臣はどういうお考えを持つておられるか。
#52
○國務大臣(林讓治君) 予算の問題つきましては、政府は一日も早くこれを完成を見るように焦慮いたしております。それで御承知の通り今日の立場といたしまして、財源の捻出であるとかいうような点も非常に苦慮いたしまして、目下一日も早くできるようにということで、大藏当局並びにその他の関係方面と非常に努力をいたしておるのがその眞相なのであります。それで私の方でもできるだけ、できたならば直ちにこれを諸君の前にお示しをしたい、こういうよ与な段取になつて心りますから、その点は御了承をお願いいたしたいと考えるわけであります。
#53
○池田宇右衞門君 引揚者の用意といたしまして、衣料問題には相当大藏当局が考えておられるという答弁がございましたが、引揚促進から申しましても、又引揚者の今後の生活の安定の上から申しましても、住宅の必要は最も必要中の主なるものであると思います。この住宅問題に対しましては、到る所にその不足を聞くと同時に、今日住宅問題において、建築法の制定に上つてなかなかその住宅の建築に当つて困難なことはお聽きの通りであります。國家によつてその住宅を失つて、國家のために災害を蒙つた方々に対しましては、当然國家がこれに対とまして建築をして、その方々に安心するところの住宅を貸し與えるのが当然であろうと思います。かるが故に政府といたしましては、今よりも引揚促進の上から申しまして、相当の支出をいたして住宅の建設をなし、殊に北海道、東北、北陸というような、目下冬の季節に入り、降雪を見るという今日におきましては、速かにこの施設を講じたかつたならば、引揚促進に相当な支障を來すのみならず、引揚者に対しまして、非常な不安と生活上の困難を與することでありますから、この方々に対して大蔵当局はどういう予算の計上をなしておるか、又厚生大臣はどういう案を持つておるか明快なる御答弁を廟いたいと思うのであります。
#54
○木内キヤウ君 関連して……、遺族それから留守家族の家に御考慮下ざいましておりますが、その中でも力弱い未亡人、子供の多い働くことのできない者、年老いて身寄りのないところの残された両親、そういう者がこの年上に又物價騰貴するにつれて自殺しておる者が新聞紙上のもよりより私達に知らせられております。これに対してどういうような特別の積極的の御擾護の方法が請ぜられておりますか、予算の方から一つそれもここで伺わせて頂底たい。
#55
○政府委員(河野一之君) お答え申上げます。今回予算的には、住宅の補修費として多少を計上する予定でございまするが、この外にこれは安定本部の公共事業費の関係でございますが、八共事業を以て或る程度の施設をいたしたいと目下考えております。住宅は一般的に不足いたしておりまして、又資材その他の関係から行きまして、なかなか十分を期し難い事情にあるのでざいますが、引揚者の実情その他を出えまして、できるだけ努力をいたしたいと考えて、おる次第でございます。う一つ未亡人その他の非常にお困りなつておる方々に対して、どろいう、うな措置を取つておるかといろお話でございまするが、これは生活保護法等によりまして、そういつた非常に困窮せられておられます向につきましては、その運用によりまして、生活扶助或いは生業の補助その他の途を取つております、又病人その他国おきましても或る程度の救護の手を伸べておるのはいたして猛りませんが、現在の制度の下におきまして、そういうような置ができる建前になつている次第でります。
#56
○岡元義人君 決議案に対する政府の処置というのは、近藤政務次官から御説明がございましたが、重々内容は我我も了解できるのでありますけれども、併し両院において、しばしば決議案が上程されているのでありまして、この点は十分お含みのことでありますが、尚一層何らかの、いわゆる留守家族等が安心できるような一つ回答を早くして頂くように切望して止まないのであります。尚私は最後に政府のどこに責任があるか知りませんが、一般引揚促進運動が留守家族だけのものになつていることは、今の内閣でなく、むしろ前内閣、前々内閣当初よりどつかに私は欠陥があつたのだと思います。が、この促進運動は決して留守家族だけに委して置くべきものではないと思います。(「同感」と呼ぶ者あり)全國民挙つて、國民の義務としてやるべき仕事だと思う。それをば政府が黙つて見て卒たということは、これはおかしいと思う。少くとも現内閣は、特に厚生大臣におかれましては、全國民が挙つて促進をば運動する、願うこういう線に持つて存つて頂くように切にお願いして置きます。
#57
○淺岡信夫君 今岡元議員からのお話がございましたが、一つの事例を取つて見ますると、この九月の末に約六百人になんなんとする人が三日間も断食をされて、そうして、この引揚促進の血の叫びをなさつたのであります。北は北海道から南は九州の端、年令は七十二才の老婆から、九才の少女に至るまでなされた、ところがこれは止むに止まれない立場からそこに來たのでありまするが、それを中央におきます引揚促進協議会というような方々が眞劔にこれを携つておられまして、その一つの運動を展開される予算というような面に対しましても、二十七、八万或いは三十万近いようなものが要つてしまつたのです。そうした結果から地方から出て來た人たちが國会なり、或いはその他に行かれまして、そうして各議員から若干のものを援助して呉れというような声があつたのであります。これに対しまして、区々になされた議員の人もおります。或いは党として、しようか、しまいかというようなことも議論された点があるのでありまするけれども、これはとにかく八千万国民の誰かがなさなければならないことを、而も氣の毒な、一家の支柱を失つたところの留守家族の人たちが、零細な金を出されてなされているのであります。こうした面につきまして、小さな問題かも知れませんが、その予算の面というようなものに対しまして、若干の補助金なり、或いは助成金といいますか、名目はどういう形でもいいのですが、何とか今後におきましても、こうした運動がより以上展開されるという点も考慮されまして補助金なり助成金なり、何かの保護の予算をこうした面にも計上して頂くことができんものでしようかどうか、これを一つ御当局に伺いたいと思います。
#58
○細川嘉六君 政務次官は戰後の歴代の政府が、又今日の政府亀引揚促進のためによく盡されよう、こういう御意見であつた。これは大間違い。第一に先程木下委員が、國内の受入態勢というものは、この何年間できておらん。その根本は、民主主義の完成について眞劍な努力をしておらん、その実績を、示しておらんということを述べました。それはその通り。そういうことを言うとここにおる委員の方もどうかするというと、不都合なものだという声を出す人がいる。私は、政府はその責任を盡しておらんというのみならず、この引揚委員会の人は、その精神ももつと入れ替えて貰わなければならんと思う。今までこの引揚運動をやつて來た者、それと、この委員会の人たちも関連がある。それらは反ソ宣傳をやらない者があるか。その点であります。第一にそういう反ソ宣傳をやつておる者は軍国主義の夢から覚めていない。(「何を言うか」「独断を言うな」と呼ぶ者あり。その他発言多し。)この十一月一日から四月までの間……(「反ソ宣傳も悪いが、親ソ宣傳も悪いじやないか」と呼ぶ者あり。
#59
○委員長(草葉隆圓君) その問題に限つて御発言を……。
#60
○細川嘉六君 引揚船がナホドカから帰つて舞鶴において又引揚げて來た者は四日間泊つておる。その間にリンチ事件ができて來た。船から十三人の人聞が海に流されたとか、引揚地において十三人不足しておる。その中の三人が死んでおる。援護局において、三十人の人間が病室にまで入れられなければならん程、傷を受けて、今日尚留まつておるというのであります。そういう状態は、これは今日始めて起きたものじやない。今年の五月、六月からの、少くとも今年だけを例にとつて見ましても、そういうようなリンチ事件が起きて來ております。それで今年の七月……(「委員長脱線」と呼ぶ者あり)責任者の態度について私は詰問します。その後……
#61
○委員長(草葉隆圓君) 細川委員に申上げます。今の問題に局限して御発言を願います。
#62
○細川嘉六君 それを言います。そう
 いうわけで(「君は意見ばかり言うな」と呼ぶ者あり)私は、だんだんと事件が大きくなる。この点について私は政府に対して文書で質問しておるのでありますが、まだ返答がありませ心。厚生大臣から返答がある筈であるが、そのことについて厚生大臣はどういう調べをなさつたか。このことは重大なことであります。日本の民主主義はどこまで行つておるのかということを端的に暴露しておるものであります。それでありますから、今までのいろいろの受入態勢の諸問題についても、ここに本当の性根を据えないで、ここに民主主義がどこまで來ておるかということをはつきりさせないでは、何ものも名だけがあつて実のないこととなる。そこで引揚は促進されるどころか、遅れるという徒卒の状態を続けるでありましよう。私はこの点を心配しますが故に、政府において、第一に今申した質問にお答え下さい。
#63
○池田宇右衞門君 かような我々は民族のために真剣になつて或いは政府に義ね、或いは政府の答弁を促し、そう書して引揚問題に対しては申すまでもなく、本当に留守家族の万々を考えるときに、涙なくてこの問題を議する乏いうことができない今日の状態において、質問は質問の要旨を言うのが質問者の、又議員の職責である。意見を申して質問の本旨を忘れるようなことは、議事進行上大いに聞違いであると思うから、委員長はよろしく議事の進行を明瞭に、且つ簡明に図られんことを望みます。
#64
○委員長(草葉隆圓君) 只今の細川委員の御質問に対しましては、先般政府から一應の報告がなされております。この機会に皆さんにお諮りをいたしますと暫時休憩いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
#65
○矢野酉雄君 今の細川君の御意見は何か特別委員会が日本の民主化に反するような主張をしたかのごとき含みがあるが、これは非常な失言である、大変な間違いである。我々ここにおる者はオーヴァー一着でも帰つて來る人にやりたいと思うのである。給與もここにいる者は、今の線よりぐつとよくすることが民主化であることはよく知つておる。併しながら、それよりも早急に解決すべきことは、帰つて來たら全く失業者で、信用もない、地盤もないそれらの人を早く何とか受入態勢をよくせよということを言うのが何故に民主化に反対だ。実に不都合な独断である。取消して貰いたい。絶対に民主化に反する主張を我々はしていない。
#66
○委員長(草葉隆圓君) 細川委員に申上げますが、問題を只今の矢野委員の御意見の範囲に局限して頂きたい。
#67
○細川嘉六君 矢野君は、私が、引揚委員会の人たちが引揚促進に対して反対の行動をしているがごときことを言つたように述べられたが、それは間違いである。努力が足りない、心掛けが不完全なものがあると、その点を指摘したのであります。発言は取り消しません。それから私が何かこの議事について脱線したような話でありますが、私はこの間の事件について、舞鶴ナホドカ間の事件について質問しているのであります。この前一應のお答えがあつたと言うが、それが不完全であるからもう一遍お聞きしているのであります。脱線しておりません。
#68
○淺岡信夫君 私は先程矢野委員が言うわれたことにつきまして、賛成する者であります。と同時に細川委員並びに共産党の板野君に私はお尋ねしたい。この十一月の当初に当たりまして、引揚促進に関する請願が第三國会に出されて、それに対して元の委員長でありました中平君がその要旨を本会議で述べまして、そうとてこの請願を四件採択するに当りまして、而もその四件の請願事項は引揚促進の事項であります。満場一致可決されるものなりと私は信じておりました。ところがこの引揚促進請願四件に当つて、特別委員会は満場一致を以て採択したにも拘わらず、或いは特別委員会のときには、共産党の細川君は出席されなかつたかも知れない。(「出席した」「した」「しておつた」と呼ぶ者あり)出席しておる。出席しておつて而もそれに賛成されておりながら、本会議にこれが上程されて、その賛否を問われたときに、共産党の細川君と板野君がこれに賛成しなかつたということは、一体どういうことなんだ。私は引揚促進を阻むものと断定せざるを得ない。この問題に対しましては、脱線をしておるかも知れんけれども、引揚促進という問題は、特別委員会が一應取上げて、議院運営委員会がらこつちに廻されて取上げて來た問題、これを政府がなつておらん、或いはこの特別委員会がなつておらんということは、共産党の諸君みずからがなされておると思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)今日四十四万の人がまだ海外におる、或いは敗戦時に七百万近い人がおりた、そうした問題に対して共産党諸君がもつと誠実に力を盡して呉れたならば、とうにこの問題は解決しておるかも知れない。十一月の当初に当つて請願四件の涙ぐましいものが出て來た。而もそれが特別委員会において採択され、本会議に上程されるに当つて共産党の両君が賛成しなかつたというこの一事、これを私ははつきりして頂きたい。
#69
○岡元義人君 細川委員が欠席されておる時に詳細な報告があつたのです。あなたは欠席だつた。だから議事会議録、速記はその時なかつたと思いますが、筆記してある筈ですから、それを一つ読んで頂きたい。
#70
○細川嘉六君 今のお言葉ですが、なぜあの時に立たなかつたか。あの引揚促進に対する請願は私はよく承知しておる。あれは賛成であります。(「賛成「なら立つたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)併しながらあの時は報告が反ソ宣博の一環であつた。それは先程來申しますように引揚をどこまでも効果的にやるには、それをやつておつては駄目だ、いう点から、我々はそれに反対しておるのであります。効果のない、決議をしたりすることは、我々の権威にかかわる。(「決議じやない、請願だ」と呼ぶ者あり)その時は請願だ。報告については我々は受け取れない。一括しての採択であつた。(「それならその時に明確にしたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)私は賛成できません。
#71
○委員長(草葉隆圓君) 暫時休憩をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(草葉隆圓君) 休憩いたします。
   午後二時二十六分休憩
   ―――――・―――――
    午後二時三十六分開会
#73
○委員長(草葉隆圓君) 休憩前に引続き会議を開きます。速記をやめて。
   午後二時三十七分速記開始
   ―――――・―――――
   午後三時五十九分速記開始
#74
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
 出席者は左の通り。
   委員長     草葉 隆圓君
   理事
           三木 治朗君
           木内キヤウ君
           岡元 義人君
           星野 芳樹君
           駒井 藤平君
   委員
           天田 勝正君
           木下 源吾君
           淺岡 信夫君
          池田宇右衞門君
           水久保甚作君
           伊東 隆治君
           紅露 みつ君
           北條 秀一君
           穗積眞六郎君
           宮城タマヨ君
           矢野 酉雄君
           細川 嘉六君
           千田  正君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 林  讓治君
  政府委員
   法務廳事務官
   (法制第一局
   長)      林  修三君
   外務政務次官  近藤 鶴代君
   大蔵政務次官  平岡 市三君
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一之君
   厚生政務次官  團  伊能君
  説明員
   外務事務官
   (管理局引揚渡
   航課長)    高野 藤吉君
ソース: 国立国会図書館
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