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1948/11/13 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第3号
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1948/11/13 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第3号

#1
第003回国会 人事・労働連合委員会 第3号
昭和二十三年十一月十三日(土曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十時四十六分開会
#2
○委員長(中井光次君) それでは、只今より委員会を開会いたします。総理大臣は、衆議院の委員会が開催されて、その方へ出ておるということであります。こちらへ御出席がありませんから、議事は逐條に入つて行きたいと存じますが、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○田村文吉君 ちよつとその前に……
#4
○委員長(中井光次君) 何かありますか。
#5
○田村文吉君 印刷にお間違いがありませんか。若しありましたら、先に一つ御注意願いたいと思います。
#6
○政府委員(佐藤朝生君) 印刷の方の間違いは、今調べれておりまして、大体ないと思います。一ヶ所だけ間違つておりますのがございますから、ちよつと申上げます。極く技術的な間違いでございますが、三十七頁を御覽願います。附則第九條というのがございます。第一項と第二項と第三項とに分れておりますが、第二項は第一項にくつ付いておるのでございます。それだけの間違いを今ちよつと発見しております。後は今読合せております。
#7
○早川愼一君 先般発表されました、又我々の手許に参つております、人事委員長から内閣総理大臣宛の給與改訂の、これに関して何か御説明がありましたら。
#8
○委員長(中井光次君) 只今伺いましたら、お手許に配付しました資料につきましては、本日上野政府委員がお見えになつておりますから、後刻御説明を申上げてよろしいそうであります。
#9
○政府委員(佐藤朝生君) それでは、今回政府から提出いたしました國家公務員法の一部を改正する法律案の改正の要点につきまして、大体逐條的に御説明いたしたいと思います。
 先日山下政府委員から御説明がありました通り、本改正法律案を通じまして、全文改正の箇所が三十二ケ條、新らしく附加されました部分が十四ケ條、一部改正の箇所が七十七ケ條に亘つておりますが、その概要を初めから申上げたいと思います。
 先ず人事委員会を人事院に改めましたのでございます。これに関連いたしまして、その他の名称についても変更がございます。即ち人事委員長を人事院総裁、人事委員を人事官、事務局を事務総局、事務局長を事務総長に、人事委員会規則を人事院規則にそれぞれ改めました次第でございます。又從來の人事委員会が、内閣総理大臣の所轄の下に置かれることになつていましたのを改めまして、今回内閣の所轄の下に人事院を置くことにいたしましたのでありますが、これに應じまして從來の法文中「内閣総理大臣」とあります箇所を「内閣」と読み替えることにいたしました。
 次に第一條につきましては、從來の法中の中には括弧の中で「この法律で國家公務員には國会議員を含まない。」という規定がございましたのを削りまして、新たに四つの項を加えております。即ち第二項といたしまして、「この法律は、もつぱら日本國憲法第七十三條にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。」この條文が新らしく加わつたわけでございます。次に第三項におきまして、何人もこの法律や人事院規則又は人事院指令に違反したり、或いはその施行を妨げてはならない旨の規定を設けましたのであります。これはいわば当然の規定でございます。更に第四項、第五項におきましては、この法律の在る規定が効力を失い、又は無効とされましても、この法律の他の規定又は他の関係における適用は、その影響を受けないということを規定しております。次の規定は、この法律の或る規定が、從前の他の法律の規定と矛盾牴触する場合においては、この法律が優先することを規定いたしました。これらは單に法律解釈の一般的原則を規定したものと思います。
 次に第二條でございますが、先日山下政府委員からも御説がありました通り、國家公務員の職は特別職と一般職に分類されるのでありまして、特別職は、この國家公務員法の規定は適用されないのでありまして、一般職のにみ適用されるのでありますが、その特別職の範囲を整理いたしまして、縮小いたしまして、即ち一般職の適用範囲を拡大いたしまして、この法律の適用範囲を拡大することにいたしました。從來の規定におきましては、公團の職員。現業廳の職員、或いは顧問、参與、委員というものが特別機に属しておりましたが、今回の改正におきまして、一般職に属することにいたしました次第であります。それから各省次官も特別職に属しておりましたのを一般職に属することにいたしました次第であります。次に同條の第二項におきまして、「人事院は、ある職が、國家公務員の職に属するかどうか及び本條に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。」ということになつております。それからその條文の第五項におきまして「前項の規定は、政府又はその機関と外國人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。」尚四項におきましては「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給與を支拂つてはならない。」との規定を設けてあります。
 次に、人事委員会を人事院に改称いたしましたことは前にも一言いたしましたが、名称の変更のみならず、その内容につきましても相当の改正をいたしてございます。即ち從前は内閣総理大臣の所轄の下に人事委員会が設けられておりまして、人事委員長を命ずること、人事委員の彈劾の訴追その他人事委員会が國家公務員法に基きまして行う種々の意見の申出、報告、勧告等は、すべて内閣総理大臣により、或いは内閣総理大臣に対して行われておりましたのでありますが、これを改めまして、内閣の所轄の下に人事院を置きまして、意見の申出、勧告、報告等は、國会、内閣又は、内閣総理大臣にすることにいたしますと共に、人事院総裁の任命、人事官の彈劾の訴追を内閣において行うことにいたした次第であります。更に人事院の独立性を明確にするためにその権限を強化いたしまして、且つこれを具体的に規定し、人事行政の民主的且つ公正な運営を期しておる次第でございます。即ち人事院は人事官三人を以て構成されるのでありますが、その資格要件を從來の法律よりも一層嚴重にいたしますと共に、その身分の保障を規定し、その給與に関しましても國務大臣と同じ基礎に基くものでなければならんこと、及び他の如何なる官職をも兼ねてはならん旨の規定を設けました次第であります。
 尚第十二條でありますが、人事院会議の項につきましては全文改正になつておりますが、これは字句の修正その他表現を変えたに過ぎないものであります。順序は少し逆になりますが、第四條におきましては、「人事院は、事務総長及び予算の範囲内においてその職務を適切に行うため必要とする職員を任命する。」と規定いたしました。そうして人事院がその内部機構を管理することにいたしました。國家行政組織法は人事院に関しては適用されないことといたしております。
 次に十三條に参りますが、十三條におきましては、人事院の予算につきまして第三項に規定しております。第三項におきましては、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の要求書を人事院から内閣に提出いたすように書いてございますが、その次の次の項におきまして「内閣が人事院の経費の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを國会に提出しなければならない。」というふうに規定いたしました。從來の規定によります最高裁判所、國会の予算と同じような地位の予算の独立権を認めるような規定になつております。この條項の前の條項には應急予備金の規定がございまして、昭和二十七月三月三十一日まで即ち昭和二十六年度までは人事院の予算の中に應急予備金を設けられなければならない、この應急予備金は、人事院総裁が管理しまして、ただその支出には人事院の議決を経なければなりませんが、人事院の議決だけで支出することができるような規定になつております。
 次に第十四條は、これは人事院の事務総長の権限を規してありますものでございます。次に人事院の権限の強化といたしまして重要な事項は、第十六條でございます。十六條におきまして「人事院は、この法律の執行に関し必要な事項について、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。」と規定してございます。これは從來の國家公務員法によりますと、人事委員会は、内閣総理大臣の承認を経て人事委員会規則を制定することができるのでありましたけれども、それを改めまして、内閣総理大臣の承認を経ることなく人事院規則を制定することができるというようにいたしました。又新たに人事院指令という形式のものを発することができるようになつております。
 以上述べましたような人事院の財政的、機構的改正と相俟ちまして、その権限も單なる勧告的なものだけでなく、指示し、監理し、或いは又一定の措置を講ずる権限を認めますると共に、人事院の所掌事項も明確且つ具体的に規定いたすことにいたしました。
 それでは後に戻りまして、第三條の規定を御覽になれば、そこに現在の規定よりも明確に、人事院の権限を事細かに規定してございます。そういたしましてその第三條の第四項におきまして、人事院が処置する権限が與えられている行政部門におきましては、人事院の決定及び処分は、その定める手続によつて、人事院によつてのみ審査されれることとし、これに行政部門における最終決定権を認めることといたしてあります。勿論前の條項によりまして、法律問題について裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではありません。
 あちらこちら飛びまして甚だ恐縮でございますが、次に、人事院の機構の中に設けますものといたしまして、第十三條におきまして、法律顧問というものを新たに置くことになつております。これはこの法律の、國家公務員法の目的達成上、法令の制定改廃に関して、國会や内閣に意見を申し出たり、或いは人事院規則の制定改廃や、人事院指令を発したり、或いは法律規則の解釈、又はその他の事項に関しまして助言を行なつたり、更に訴訟の当事者となるような場合もありまして、高度の法制的知識を必要とする場合が多いので、專門的な法律顧問を置くことができる旨の規定を設けた次第であります。
 次に、從來は人事委員会に、その権限に属する事項の庶務を掌るために事務局を設けておつたのでありますが、これを事務総局にいたしまして、この機構を拡充いたし、この法律の目的達成に遺憾なからんことを期しているのであります。尚総局の組織につきましては、人事院規則で制定し得ることといたしております。
 以上が第一章におきます大体の御説明でございますが、第一章、第二章でございますが、次に、官職の基準に関する規定の改正について申上げます。申上げるまでもなく、人事行政が、民主的に且つ最大の能率を発揮するように運営されますかどうかということは、前に述べましたような人事院の適切な活動と共に、この官職に関する基準を如何にして規定するかということが重大な鍵でございますが、一面この点に関しましては、國会公務員全体、延いては國民一般に取つても非常な関心事でございますので、職階制、試驗、任免、給與、能率、分限、懲戒、保障、服務等の事項につきまして所要の改正をいたしまして、本法の趣旨の達成に遺憾なきを期しておる次第でございます。
 先ず通則について申上げますと、平等取扱の原則を徹底いたしまして、人種、信條、性別、社会的身分によつて差別的取扱をしてはならないと同時に、この法律の第三十八條第五号、即ち「日本國憲法施行の日以後において、日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壞することを主張する政党その他の團体を結成し、又はこれに加入した者」という條項がございますが、それに規定する場合を除きましては、政治的意見や政治的所属関係によつても、差別してはならないことといたしました。
 又その次の二十八條におきましては、この法律に基いて定められる給與、勤務時間その他勤務條件に関する基礎事項は、國会により、社会一般の情勢に適應して、変更されることといたしまして、それらについては、人事院は勧告を怠つてはならない旨の規定を設けたのでございますが、このことは現在のような経済の変動期におきましては、單に國家公務員の生活を確保するということだけでなく、後で述べますような服務や能率ということとも関連いたして來るわけでございます。更に人事院は、毎年少くとも一回俸給表が適当であるかどうかについて調査し、その結果を國会及び内閣に報告いたしましたり、或いは又給與を決定する諸條件の変化によりまして、給與を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、國会及び内閣に適当な勧告をしなければならないことになつたのでございます。又その給與は、後に述べますように、官職の職務と責任の程度に應じて決定されるわけでありますが、その決定に当りましては、生計費や民間における賃金その他の事情が考慮されることになつておりまして、この支拂は人事院規則及び人事院指令に從つて行われ、且つ人事院がこれを監理することといたしておるわけでございます。
 次に職階制について申上げますが、そもそも職階制度の最も基本的な概念はクラスということでございます。從來はこの言葉を「職種及び等級を同じくする官職」というふうに言つておりましたが、これを「職級」という言情を用いることにいたしますと共に、この法律に規定する職階制と政府職員の新給與実施に関する法律との関係及びその効力についての規定を設けました次第でございます。
 次に試驗及び任免の事項について申しますと、職員の任用は、この法律及び人事院規則に從つて行われますが、それはその者の受驗成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行うこと、更に職員の免職は法律に定める事由に基いて行わなければならんことといたしました。又職員の昇任につきましては、受驗者の範囲を拡げまして、その官職より下位の官職の在職者の間における競爭試驗によるものといたしました。これは三十七條に規定してあるところであります。更に人事院は、任用のための試驗に関して、その職権により、或いは人事院規則の定めるところに從いまして、臨機の措置を取ることができるように規定いたしました。
 又從來は、人事行政上の用語等の定義を、この法律の中で規定しておつたのでありますが、今回の改正によりまして第三十四條におきまして、これらの用語の定義、説明及び使用等につきましては、人事院規則で規定することといたしておる次第でございます。
 次に任命権者でございますが、第五十五條であります。改正法はその範囲を明確にいたしまして、任命権は、法律に別段の定めある場合を除いては、原則として内閣、各大臣、会計檢査院長及び人事院総裁並びに各外局の長に属するものといたしました。そういたしまして、その任命権は、その部内の機関に属する官職に限られることにいたしました。又任命権者が、その部内の上級職員にその任命権を委任することができることになつておりますが、その場合には、その効力が発生する日の前に、これを人事院に提示しなければならないことにいたしました。更にこの法律、人事院規則及び人事院指令に定める要件を備えない者に対しては、如何なる任命権も行使することができないことを明かにいたしました。
 尚五十六條の改正によりまして、採用候補者名簿による職員選択の範囲につきましては、技術的考慮も加えまして、昭和二十六年七月一日までは、人事院において高点順の志望者四人以内に制限し得ることにいたしたのであります。
 次に、職員の給與、恩給及び補償制度等に関する主な改正点を申上げます。先ず給与に関しまして、第一に、給與準則に規定すべき事項として「扶養家族の数」を加えました。次に、給與簿に関して必要な事項を專ら人事院規則で定めることにいたした次第であります。これは第六十五條、第六十八條の改正でございます。
 第二に、恩給制度のことでありますが、これは第百八條に規定してありますが、これは健全な保險数理の基礎の上に定められなくてはならないことにいたしまして、更に災害補償制度のことに関しましては、九十三條におきまして、從來は立案のみを人事院でやることになつておりましたのを、立案のみならず、実施につきましても人事院において行うことにいたしましたのであります。
 次に、職員の分限、服務、懲戒、保障等に関する主な改正点を申上げますと、職員の休職、免職、復職、退職等のことを行ないますには、この法律及び人事院規則によらなくてはならないという規定を加えたことであります。更に職員がその意に反して降任され、休職され、又は免職される事由を、法律及び人事院規則で定めることにいたしました。前者は第六十一條であります。後者は第七十五條でございます。
 次に、休職についてでありますが、先ず休職の期間を人事院規則で定めることといたしまして、次に休職中は原則として職員は給與を受けることができないことにいたしました次第であります。これは第八十條の改正規定であります。更に職員の離職に関する規定は、この法律及び人事院規則で定めることにいたしております。これは第七十七條であります。
 次に、懲戒に関しましては、先ず懲戎をする者、懲戎権者でありますが、これは從來と同じような任命権者が、即ち懲戎権者でありますが、人事院も亦この法律で定められた調査を経て、職員を懲戎手続に付することができることに改正いたしております。懲戎手続に関しましては、從來のごとく刑事裁判所の手続に優先権を認めることを廃しまして、懲戎に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間におきましても、人事院又は任命権者は、同一事件について適宜に懲戎手続を進め得ることができるということにいたしまして、又同一事件に関する懲戎処分は、刑事上の責任を免れしめるものでないことを明らかにいたしました。それは第八十五條及び第八十四條の規定でございます。
 次に、服務について申上げますと、先ず勤務成績の優秀な職員に対する表彰及び成績不良者に対する矯正の方法に関しましては、人事院において、これに対する適当な措置を講ずることにいたしております。職員の勤務條件に関する行政措置の要求等に関する審査につきましては、公正を保持する見地からいたしまして、その審理及びこれに基く処置を人事院の職権といたしまして、又この審理の判定は、すべて人事院のみによつて最終の判定が下されることにいたしました。これは第九十二條であります。更にこの審理におきましては、職員が、人事院から要求された情報の陳述又は証言を行うには、職務上の秘密を守る義務から免れ得ることといたしまして、その陳述又は証言を拒んだ者には、この法律の罰則が適用されることとして、その実効性を期することにいたした次第であります。これは第百條に規定してございます。
 次に、重要な点といたしまして、九十八條の点を御説明いたします。職員の組合組織に関する規定を加えたことでありまして、その概要を御説明申上げますと、先ず組合組織はオープン・シヨツプ制を採ることといたしまして、この組織を通じて、職員はその代表者をみずから選び、勤務條件及びその他社交的、厚生的活動等の適法な目的のため、人事院の定める手続に從つて当局と交渉することができることを明確にいたしますと共に、職員がこれらの團体に関する行爲をしたことのために不利益な取扱を受けない旨明らかにいたした次第であります。又たとえ職員が、このような職員の團体に属していない場合でも、不満を表明し、又は意見を申出でる自由な十分保障することといたしました。更に警察職員等に対しましては、前述の組合その他の團体を結成し、又はこれに加入することを禁止いたした次第であります。尚職員の争議行爲及び怠業的行爲は一切これを禁止しました。これに違反したときは、政府に対して雇傭上の権利を以て対抗することができないことといたしたのであります。更に職員をして服務に專念せしむるために第百一條の規定を改正いたしまして、先ず職員は人事院によつて認められた場合以外は、勤務時間中、職員團体のための事務を行うことを禁止いたしました。且つ官職の兼職を原則として禁止いたしました。更に第百二條においては、職員の政治的行爲の制限を強化いたしました。先ず公選による公職の候補者又は政党その他の政治的團体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割を持つ構成員となることは一切認めないことといたしました。又選挙権の行使を除くの外は、人事院規則で定める政治的行爲をしてはならないことといたしております。
 次に、私企業からの隔離であります。第百三條におきまして、職員の営利企業からの隔離を嚴格にいたしまして、離職後二年間は営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた國の機関と密接な関係のあるものに就職することを禁止いたしました。
 その他の改正点といたしましては百九條、百十條におきます罰則を強化いたしましたこと、及び次に申上げますことは、附則第九條におきまして、この法律施行後、現在のこの官廳に勤めております幹部の者の臨時的任用をいたします範囲を廣くいたした次第であります。從來は局長級まででありましたのを、次官、局長、次長、課長、課長補佐、その他これに準ずる官職にまで、その臨時的任用を拡げることにいたした次第であります。
 次に、附則第十五條におきましては、昭和二十六年七日一日以前におきましては、人事院は、都道府縣、市その他の地方公共團体の人事機関の設置及び運営について協力し得るようにいたしました。
 次に、第十六條におきまして、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法及び船員法並びにこれらの法律に基いて発せられる命令は、一般職に属する職員には適用しないということにいたしました。
 次に申上げますことは、第一次改正法律附則、即ちこの改正法律を施行いたしますについての附則でありますが、これをざつと申上げますと、人事院の應急予備金につきましては、昭和二十四年度の会計年度から、これを適用することといたしました。次に、その附則の第二條におきましては、職員で現に公選による公職に在る職員は、昭和二十四年二日一日前にその公職を退かない限り、その日において公職を失うことにいたしました。
 次に、第三條におきましては、一般職に属する職員の勤務條件に関しましては、別に法律が制定実施されるまでの間、この法律の趣旨に矛盾しない範囲内において、労働基準法及び船員法並びにこれらに基く命令の規定を準用することにいたしまして、一般職に属する職員を主たる構成員といたします現在の労働組合は、これを人事院に登録せしめまして、組合その他職員の團体として引続いて存続せしめることといたしまして、これに関しまして必要な事項は、法律又は人事院規則で定めることにいたしました次第であります。
 次に、公共職業安定機関に勤務する職員及び政府の海上企業に從事する船員の人事に関しましても、國家公務員法の規定に合致するように、職業安定法及び船員職業安定法の一部に対して、それぞれ所要の改正をいたしましたのであります。
 尚この改正法律施行によりまして、先の公布されました昭和二十三年政令第二百一号は、國家公務員に関します限りは、効力を失うことに定めた次第であります。
 それから第十一條におきましては、國会及び裁判所の職員に関しましては、昭和二十六年十二年三十一日まで、この法律の定める一般職に属する職員とすることにいたしました。
 最後に、從來定められておりました官吏懲戒令、高等試驗令、高等試驗委員及び普通試驗委員会官制、一級官吏銓衡委員会官制、二級事務官吏詮衡委員会官制、その他の勅令及びこれらに基く命令は、この法律施行の日から廃止することにいたしました次第であります。
 以上を以ちまして、この改正法律案の要旨を御説明申上げました。
#10
○委員長(中井光次君) もう暫くいたしますと、総理がこちらへ見えるそうすであります。
 御質疑は後にしまして、先程早川委員からの御要求によつて、お手許に配付してあります資料について、上野政府委員からの御説明を伺いたいと思います。
#11
○政府委員(上野陽一君) お手許に差上げました公務員の給與に関する勧告について、要点を申上げます。この新らしい給與を決めましたについて申上げて置きたい個條が四つございます。
 第一は、この新給與の算出は、今までのペースによる算出と全然違つた方法で計算いたしたものでありまして、第一に基礎となつたものは、中小都市に生活しておる成年独身男子の一人分の生活費を計算いたしました。これは新たに調査する時間も人手もありませんでしたので、今まで各官廳において調査しておるところの材料を提出して貰いまして、それによつて計算いたしましたのが、東京都において行いました栄養調査を参考といたしまして、品目別に細別いたしまして、いわゆるCPS(消費者價格)の調査の七月分に示されました東京都における実効價格によつて、各品目を金額に換算合計いたしますというと、千七百四十三円となるのであります。これをフィッシャーの指数と申しまして、大都市において調査したものを小都市に換算する数字がございます。それは、こういう数字は、なかなか中小都市では正確な数字が得られませんので、それともう一つは、東京のような大都市で調査したものが、数字として最も正確なものが得られておるのであります。そこでこれをフィッシャー指数を用いまして中小都市に換算いたしますというと、千七百四十三円が千百二十八円になるのであります。千七百四十三円は東京において調査した数字であります。これを中小都市に換算いたしますと一千百二十八円になります。これが食糧費であります。食糧費以外の経費に関しましては、東京都が最近行いました家計調査の分析によつて得られた数字がありますからして、それを計算すると一千百十二円になります。この外に、公務員は税金、共済組合の掛金、恩給納金、それらを合計いたしますと、毎月約二百五十円を必要といたしますので、それを加えますというと、この勧告文にありまする独身者の生活費が二千四百七十円と出て來るのであります。この二千四百七十円は、新給與法に決めてありまする職階の四級の一号の俸給額として決めたのであります。これはどういうわけであるかと申しますというと、只今の職階の三級以下のものは、大抵独立の生活をいたしておりません。親もとから通つておるというようなのが多いので、この最低生活費を償う給與の基準といたしましては、三級以下を標準にすることは不適当であるという見地から、四級一号を基準として計算いたしました。で、お手許に差上げました勧告文の最後に、細かな数字の表がございます。あれはどういうふうにして決めたかと申しますというと、只今申上げましたように、職階の四級一号を二千四百七十円と抑えまして、これはまあ下の方を抑えたわけであります。今度上の方を抑えるために民間の給與の調査をいたしました。丁度官廳の十四級と申しますと、局長の古いところ、或いは次官に相当するのでありますが、この役人の局長、又は次長に相当する民間会社の位置にある者を摘出いたしまして、民間の調査をいたしました。そうしてこの級に属する人の給與を約一万五千五百円と抑えたのであります。そこで職階から申しますと、四級一号を二千四百七十円と抑え、十四級を一万五千五百円と抑えまして、この間の十階級にどういうふうにこの金額を分布するかという問題が起るのでありますが、現在の新給與法によりまする俸給の分布は、算術級数によつておるのでありまして、これは甚だ学問的に見て不合理なやり方であります。從つて今日は下の半分を確か五十円、上の半分になるというと百三十円ぐらい飛びの分布方法になつておりますが、今度はこれを一切機何級数的に分布することにいたしまして、ずつと今までよりは科学的になつたわけであります。
 次は、家族手当、扶養手当であります。これを千二百五十円に増額した理由如何という質問が当然起ると思いますが、今は官吏の家族手当は二百五十円であります。それを五倍にしたということは非常な突飛な増額であるという感じを與えますけれども、今までの二百五十円というのが、これこそ突飛な安い数字でありまして、今日行われておりまする官吏の俸給の体系を調べて見ますというと、インフレーシヨンのために段々食べられなくなつて、そんならこういう手当を出そうか、今度はこういう名目で手当を出そうかといつて、段々手当を殖やして行きまして、御承知の方もあると思いますが、官吏の受けまする俸給袋の表面にはいろいろな手当が五つも十も書いてあるのでありまして、受け取る本人も今月幾ら貰うのか分らないような状態である。これは全くインフレーシヨンに攻められて、継ぎ継ぎした結果こんなことになつたのでありまして、誰も家族手当が二百五十円でよろしいという立場から決めたものではなくして、そんなら家族手当を少し出そうかというような状態で、いろいろな継ぎ継ぎをした結果、今日の複雜怪奇極まる給與体系ができ上つたのであります。それを一切整理するためには、一体独身者が妻君を持つて二人になつた場合、第一の家族に対して幾ら金が要るか、それすら又子供が一人生まれたならば、幾ら要るかということを詳細にいろいろな資料に基いて調べたのでありますが、これは常識的に考えましても、人数が殖える度に段々一人当りの経費は減つて行くということは当然であります。併しながら官吏の平均家族数は一・五であります。扶養家族数の平均は一人半でありまして、五人も六人も生むという場合には割に、そういう場合は全体から申しますと、パーセンテージが少いのでありまして、いろいろ数字を檢討いたしまして、最初は逓減主義の案を立てて行きましたが、結局これは平均で行こうということで千二百五十円になりました。結婚して妻君を迎えた場合に千二百五十円で足りるかというと、それだけを考えますと、最初の一人に対してはこれは平均の数字でありますからして、むしろ低いのであります。いろいろな計算の手数を省く上から、いろいろな事情から一律に、千二百五十円といたしましたわけであります。
 それから、その後は地域手当であります。地域によつて或る割合で増額をいたしませんと、小都市に勤めている者と六大都市に勤められまする者は、物價の差が非常に多いために、只今までの数字はすべて中小都市を材料として計算したのでありますからして、大都市、それから特地と申しまして六大都市に勤める者に対しては地域別に相当の増額をする必要がある。それもいろいろの数字を集めまして調べました結果、只今までのやり方は小都市が零、中都市が地域手当一割、大都市が二割、それから六大都市が三割、こうなつておりまするが、四月、五月、六月、七月の数字を研究いたしました結果、今まで一割の違いがあると考えられてありました中都市と小都市とは、殆んど物價が一樣になりまして、これは区別する必要を認めなくなりました。認める必要がなくなりました。そこで中都市には地域手当を出さん。それから大都市に一割、それから六大都市には五割、こういう地域手当を出す案にいたしましたわけであります。
 以上申上げました通り、今度の給與案はすべて計算の基礎が生活の実態に置かれておるのでありまして、これを今までの考え方の、いわゆる今は三千七百九十一円ベースと称せられておりますが、あのペースの考え方によつて計算をし直しますというと、即ち換算いたしますというと、六千三百七円になる、こういうわけであります。初めからベースを変える考えでやつたのではないのでありまして、実態調査によつて出した数字に基いた結果をベースに直すと六千三百七円になる、こういうわけでございます。
#12
○田村文吉君 今の給與の問題につきまして、先にちよつとお尋ねをしてもよろしうございますか。それともその方は後にして、この法の方の質問に入りますか。若しお許しを願えれば、丁度今御説明がありましたから、ちよつと給與の問題についてお伺いして見たいんですが……。
#13
○委員長(中井光次君) どうぞ……。丁度今上野政府委員が見えておりますから、都合がいいと思います。
#14
○田村文吉君 詳わしく勉強したわけでありませんが、大体今の御説明について、ちよつと二、三点お尋ねして見たいのでありますが、我々も民間の建前から行きますというと、今の給與の立て方が甚だそぐわないような感じがするのであります。今弁解式にお話になりましたように、例えば家族手当でありまするが、民間は普通五百円くらいというのを、千二百五十円とお置きになりますと、六千三百何がしかの、大体三割くらいになるのだと思います。二割八分から三割と思いますが、民間の方では大体家族手当は現在では一割程度になつておると私は推定するのであります。そういたしますと、非常にこれは不均衝な形になりますので、これは御承知でもありましようけれども、この労働組合運動が盛になりましたときに、政府が逸早く家族手当というものを附けたから民間が家族手当なるものを附けた。初めは家族手当一本で、それを増額することを労働組合としても要求しておつたのでありますが、若い人たちになりますと、同じ職場で働いておりましても、隣りの人は年を取つて仕事もろくすつぽできないのに、ただ家族が多いというので、收入の二倍も、三倍も取る、これは不公平だということを組合でいろいろ檢討した結果、若い人たちの意見が出て來た。この結果、今日では又能率を主とした給與の体形にしろと、こういうような情勢下にあるのに、ここでさような突飛な、家族手当を千二百五十円出すということは、民間で今後の仕事をやつて行く上に非常な困難を感ずると思いますが、この点についてはお考えをなされましたか、どうかということをお伺いしたいのであります。
 それから第二番目に、六大都市には五割の手当を出すということは、普通ならば大体三割から二割です。これが民間の大体の標準であります。それだのに、都会には特に五割もお附けになるということは、これも甚だ突飛なあれではなかろうか、さようなことをお考えになるならば、むしろ公務員法の中にもございますが、寒冷地で、燃料が沢山要るというような所に特殊に手当を考えられるのが合理的であると思います。今のように都会地に五割も附けるというようなことは非常に突飛なものになると考えるのであります。例えば今お話になりました次官級の方々が一万五千五百円でありますが、これに五割が附くわけであると思うのであります。そういうようなことは、民間の常識からいつて余りに突飛過ぎてどうかと考えますので、この点についてはどうお考えになつておりますか。
 それから、この増額の率が、最高が三割五分で最低が二割、そういう率で大体基本をお決めになつておるのでありますが、即ち下級の方は三割五分上つても、上の人は二割しか上らない、それはよろしうございますが、実際は今日高級になる程、税金の率が非常に高くなつて参りますので、二割上つても、実際は五分しか上らないというような結果が、税金を引くと、そういう数字が出て來るのであります。こういうことをお考えになつた上のことであればよろしいが、そうでないと、つまり戰前の基準年度の給料、賃金と比較すると、高級の人たちが非常に割合が惡くなつておつて、やつてはいけない。こういう問題があるのでありますが、その点御考慮下さつたのでありましようか、これを一つお伺いしたいのであります。
#15
○政府委員(上野陽一君) 今度出しましたこの勧告案は、私共人事院といたしましては、決して理想案ではないのでありまして、この経済情勢の下においては、せめて生活のできる最小限度を保障すべきであるという見地から立案したのでありまして、給與のかくあるべき姿から申しますれば、家族手当などを加えなくとも、当然相当の位置にある人には相当の家族数があるのでありますからして、その家族を十分に扶養し、そうして相当の教育を受けるだけの給與を與えなければならない筈の者であります。ところが今日の経済情勢においては、それが許されない。だからせめて独身者の場合には、その独身者だけが食べられるよう、一人殖えたならば、それだけの扶養を増額して行くという、ほんの臨時の措置に頼するような給與案でありまして、將來経済情勢の改善されるのを持つて、できるだけ速かに、この家族手当のごとき変態的の附加給は廃止しなければならんという考えでおるのであります。
#16
○田村文吉君 議事進行について……総理が見えられたようでありますから、私に対する答弁は後程でよろしうございます。
#17
○委員長(中井光次君) 総理大臣に対する質問を……。
#18
○原虎一君 総理大臣にお伺いしたいと思います。私共この國会において、総理が劈頭法案を説明されましたように、本法案は、本國会の召集される第一條件の法案であります。而もこの法案が御承知のようにマ書簡に基く改正法律案でありますだけに、非常に國際的な関連を持つておるところの法案であるということ、それが当時官吏職員の殆んど全部が給與改正の要求を政府に提出して、非常に險惡なる情勢と申しまするか、深刻な情勢になりました当時にマ書簡が出まして、それだけに又國民が受けた衝撃、こういうものは深刻なものがあるのであります。同時にこの改正案につきましては、極東委員会において問題とされるような重要なものであるということも我々は承知しておるわけであります。こういう國際的に重要な関係を持つ法案であるということは、やはり審議の過程とその結果は、單に國内における國民が受ける影響とか、國民に與える思想上、或いは経済上の問題ということばかりでなくして、國際関係における日本に及ぼす影響が重大である。こういう点についての先ず総理の所見をお伺いしたい。と申しまするのは、法案改正に当つての審議に、我々は前條提案であるものに対する総理の所見を十分に質し、その前提條件の意見に相違があるならば、この條文に対してもおのずと変つて参る。そういう関係からして、私は総理の今申しました本法案の國際性、こういうものについての総理の御所見を承わりたいと思います。
#19
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。公務員法は、御承知のごとくマツカーサー書簡に基いて提案されたものでありまして、その後國際情勢にいろいろの変化があつたというお話でもあり、又さようにも聞いておりますが、併し日本政府といたしては、主としてマツカーサー元帥の書簡に基いて提案もし、又日本の現下の現状から、これを必要として、主として國内問題、御承知のごとく官公労の運動等については一々運動もあり、又陳情もしておるような状態であつて、一日も早く公務員の地位なり、生活なりを安定させたいということから出したので、國際情勢よりも、主として國内情勢を、私共は考えて置いて、そうして提案いたしておるわけでございます。
#20
○原虎一君 私の説明が足りなかつたかと思いまするが、私の申上げておりますのは、今総理が言われますごとく、日本に必要なる改正案であるから出されたことは当然でありまするが、それと同時にこの法案が日本に必要であるというばかりでなくして、必要のことは当然でありまするが、その法案の出たところの情勢、その後におけるところの世界の情勢などから勘案して、かかる間に、この法案が日本に必要であるから、我々が審議するのは当然でありますけれども、その状況、その結果というものが、國際間におけるところの、言換えますならば、世界の注視の的になつているということについてのお考えがあるかどうか。簡單に申しますれば、日本の國民もこれを非常に重要視しておるが、世界も又この審議状態、又この法律の審議の結果等について重要視されておるということについて、どういう御所見であるか、これを伺いたいと思います。
#21
○國務大臣(吉田茂君) 御答えをいたします。世界と申しまするか、とにかく諸外國を挙げて、この公務員法等の審議については相当関心を持つておるだろうと思います。というわけは、日本の今日の最も急務と考えられることは、日本の復興であります。日本の復興は労働者のこの復興に協力する愛國的熱情がどう発現するか。労働者の勤労態勢も日本の復興に十分協力するということでなければ、日本の復興はできないのである、故に日本の労働法制について、両院が十分なる熱意を示されて、そうして日本の労働問題を解決することに全力を挙げて盡されたという事実が示されることによつて、日本の復興も自然促進せられるのである。この見解を以て公務員法等の形勢については相当な関心を以て、世界は見ておるであろうと、考えられるのであります。從つて又その観点から申しても、公務員法の議事の両院通過ということは、政府といたしては切に熱望する訳であります。
#22
○原虎一君 大体総理の御所見は私共と同樣だと了承いたしました。つきましては先程も総理からお話がありました通りに、マ書簡に基くこの法案の改正、言葉を換えて申しますれば、法案の改正の精神は、マ書簡にあると見なければならん。そこで我々はこの法の改正に当るところの、審議いたします心構えとして、マ書簡に対する考え方、見解というものが、政府と我々との間に、どれだけ相違があるか、ないかということも、我々は十分檢討してかからなければならないと思います。そこで先日山下委員から御質問がありました通り、或いは本会議におきまして、総理から説明がありましたこと等と併せ考えて見ますと、結果は大体次のごとくになるのではないかと思います。マ書簡の趣旨の、要するに解釈すると申しますか、法案審議の基本的前提條件を、今申しましたように考えまするときに、第一は、日本における民主主義の成功を阻んだ旧官僚制度の宿弊を是正するに足る建設計画を定めて行く。第二は、現代生活において、労働組合主義が極めて重要なものであり、又現代の産業経済に伴う多くの弊害を是正するのに、労働組合運動が歴史的意義を有するものであるということ。第三は、併し勤労公務員の捧げるものと、私的企業に從事するものとの間には、嚴格に区別され、公務員は公共の信託に対し、無條件に忠誠の義務を負うもので、一切の爭議行爲は勿論、團体交渉も認められないが、個人的に、若しくは團体の代表者をして、雇傭條件の改善を求めるため、自由な意見、見解を、不満を表示表明することができること。第四点は、職員に課せられた特別の制限ありという事実は、政府に対し、常に政府は政府職員の福祉並びに利益のために、十分な保護の手段を講じなければならん義務を負つていること、五は、鉄道、專賣等、政府事業に関して、その所管、運営のために適当なる方法により、公共企業体が組織さるべきである。大体以上の五点の精神が盛られておるのであります。こう解釈いたしますが、政府はこの五項目についてどういうお考えでありますか。マ書簡の精神を如何に解釈されておりますか。この点御所見を御発表願いたいと思います。
#23
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。私はこの國家公務員と申しますか、極く簡單に申せば役人、日本の官吏が議会政治若しくは政党政治が発達するに從つて、官吏の心構えが変つて來ることはないか。もつて率直に申せば、政党の色が附くとか、或いは政治に官吏が余計入り込んだために、いわゆる忠誠の念を害うというような、害するようなことがないかということは、平生常に心配いたしておつたのであります。これは今日に始まつたのではありませんが、私が先年外務次官を奉職いたしておつたときなどにおいても、恰も議会政治、政党政治が段々発達して行つて、そのために官吏が或いは政友会とか、民政……憲政会と申しますか。いずれにしても政党色が附いておる。或いは政党びいきするというようなことのために、官吏が國家の官吏として、國務に献身從事するというその氣持に、多少いわゆる忠誠の念の変つて來ることがないかということを心配いたしておつたのであります。マ書簡の一々は記憶いたしておりませんが、今お読みになつた通りであろうと思いますが、狙うところもやはりそこにあると思う。それは日本の國情から申して行つて、最も適切な勧告であり、政府といたしても、その勧告を容れて、そうして公務員法の制定を急ぐ方がいいと、こう私は考えて國会に提案いたした次第でございます。
#24
○原虎一君 大体只今総理の御所見の発表は、マ書簡に対する私の見解の第一番と第三番程度のものである。第二番にありますところの、現代生活において労働組合が極めて重要なものである。又現代の産業経済に伴う多くの弊害を、即ち産業経済に伴いますところの多くの弊害を是正するのに、労働組合が歴史的意義を有するものであるということ。そういうことについての御所見の発表がない。そうして官僚の政党から受ける禍いを除き取る、そのためにこの法案の改正が必要だという程度であります。從つて私は甚だ恐縮でありますけれども、一間一答の形で、第一から五までをお伺いしたい。
 第一の、日本における民主主義の成功を阻んだ旧官僚制度の宿弊を是正するに足る建設計画を定めている。項目的に申しまして、第一に対する御所見を先ずお伺いしたい。
#25
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。公務員法の狙うところは、先程申した通りに、いわゆる官僚政治と申しますか、或いは民主主義の徹底を図るためと申すか、人事院が人事に関しての特別な監督権を持つて、そうして一には只今申したような政党色を帶び、若しくは忠誠の念に反するようなことがないように、又一面から申すと、官僚政治に陷つて民主政治を妨げる、民主政治の発達を妨げるというようなことがないように、人事院としては或る程度の独立性を保つて、重要な司法権と申すか、とにかく重要な権限を持つて、政府の監督外に立たないまでも、一々政府の指揮監督を受けるのではなくて、独自の地位を持つようにさせることによつて官僚政治の弊を救う、よつて以て民主政治の確立を図るという点に重きを置いておると考えまするから、これ又政府としては、公務員法の勧告の趣意に賛成をいたして、提案いたしたわけでございます。
#26
○原虎一君 第二は、先程申しました現代生活において、労働組合主義が極めて重要なものであり、又現在の産業経済に伴う多くの弊害を是正するのに、労働組合運動が歴史的意義を有するものである。この精神に対しての総理の所見を伺いたいと思います。と申しますのは、先般の本会議におきまするところの、総理が板野議員の質問に対し、或いはその他の議員の質問の中にありましたが、曾て総理をされた当時に、労働大衆に向つて不逞の輩と言われたごとく社会に報道され、総理の御答弁によれば、一部の労働者にそういう者があるということを言つたのであつて、全体を指したのではないというような言葉もございました。そういう点から考えまして、私は総理のマ書簡の重要な條項でございます今私が申しました第二項、これに対する総理の御所見を伺いたいと思うのでございます。
#27
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。昨日でございましたか、一昨日でありましたか、例の不逞の輩についての御質問がありましたが、そのときにも説明いたしましたが、労働者の一部にというわけではないのであつて、労働者の背後にあつて、この労働運動を政治的に利用しようという輩は、これは不逞の輩であると申したので、労働者そのものが不逞の輩と申したのではないのであります。その点は十分御了承願いたいと思うのであります。それから又先程も申しました通りに、日本の復興は、一に勤労大衆の協力に俟つべきものであつて、この労働大衆が協力しないという場合においては、日本の復興の前途は甚だ遼遠である。例を申せば、日本のような今日資源の甚だ乏しい國において、唯一の資源と申せば労働勤労大衆であります。この多数の勤労大衆、つまり從來の日本の産業の例から申して見ても、この勤労大衆は最も正直であり、最も勤勉であり、最も能率的であつて、この勤労大衆によつて日本の産業があれまでに発達いたしたのである。不幸にして敗戰後その労働力……日本の産業は衰ろえましたが、併しこの衰ろえた産業を復活せしむるためには、更に労働階級の生産意欲を盛ならしめて、そうして日本の復興に協力する、心持よく愛國的熱情を持つて日本の復興に協力するという、協力が得られなければ日本の再興の前途というものは甚だ覚束ないと考えるのでありまするから、労働政策については十分私の内閣においても注意いたすつもりであります。主として一体どうするかということになりますれば、自然労働大臣等からして詳細な具体案を説明いたしましようが、「私としては労働組合の健全なる発達、而も進歩的な発達をなすことによつて労働者の地位も確保せらるるのであり、権利の点も確保せられ、或いは進歩的の発達ができるのではないか、こう考えております。又公務員法についても特別な、特殊な組合を認めておるのでございます。」
#28
○原虎一君 第三番は、大体只今の説明で了解いたして置きます。第四項の、政府職員に課せられた特別の制限のあるという事実は、政府に対し、常に政府職員の福祉並びに利益のために、十分な保護の手段を講じなければならん義務を負うている。こういう問題であります。只今総理は労働大衆の協力を得る、或いは生産意欲を高めなければ日本の復興はあり得ない。これはもうどなたも異議のないことであります。又その労働大衆の協力を求められるあなたの言葉は、或々はたびたび承わりますが、その労働大衆の生産意欲を高める、労働大衆の協力を得るところは、言葉にあらずして具体的政策である。この問題について各所管大臣が説明すると言われますが、少なくとも國家公務員法に基く人事院は、総理の所管にあるのであります。その人事院が、先日官公吏の給與の改正を発表いたしました。こういう問題に対して、政府はこの法律の改正に当つて審議を急がれるが、一方給與の問題について何らの表示がないために、昨日の本会議において決議案が通過されたわけであります。こういう点について、私は総理が具体的に労働者の協力を得る、労働者の生産意欲を高めるために何をやるか、少なくとも人事院に関する限り総理の所管であります。労働大臣に私は聽く必要はない、総理から御説明を願いたいと思います。
#29
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。人事院は私の監督の下にあるのでありますが、一方においては独立性を持つている性格もあるのであります。從つてその性格から、人事院として見たところを発表したのでありましようが、政府といたしましては財源の関係もありますし、又このいわゆる六千何百円という、この給與ベースが、果して適当であるかどうかということは、政府として更に考えなければならん。又一般の財政の上から考えて見て、どうこれを処置するかということは、現に当局において、頻りに研究をいたしておるのであります。決してなおざりにいたしておるわけではないのであります。
#30
○原虎一君 第五番目は、これは政府事業の、即ち企業体の変革でありまするから、これはいずれも近くそれぞれ法案が提出されますので、重ねて質問することは省きます。大体今の総理の御答弁によりますれば、我々のマ書簡に対する政策の解決の近いものがありますにも拘わらず、私は敢てここで質問いたしたいことは、この法案の審議のために召集された國会を、十日間の会期と定めたいという政府の希望、又議員が院議を以つて今月一ぱいの審議期間を決定したにも拘わらず、僅か六、七日でこの重要なる法案の審議を終了して貰いたいという政府の要望であります。十六日までにこの法案の審議を終了しなければならんという、この理由を御説明願いたいと思います。
#31
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。政府といたして十六日までにというのは、十六日ということではなくて、成るべく速かに審議をして頂きたい。何となれば、官公労の運動、その他、現にいろいろ問題が輻湊いたしておりますので、政府の基本政策を定めるためにも、成るべく早く、この問題を議了して頂きたいという希望なのであります。十六日でなければいかんというわけではない。成るべく早く議了して頂きたいという希望から申して置いたのであつて、十六日でなければいかんと申したわけではない。その点はよく御了承願いたいと思います。
#32
○原虎一君 この点は、どうも運営委員会の報告等を聽きましても、只今の総理のお話とは可なり違うのです。それはともかくといたしまして、私は十六日までにこの審議を終了しなければ、政府は行政運営上どういう点に支障があるのか、先程総理は前提において、この法案が國際環視の中に審議されているということを御承認であります。又総理は本会議において、官民共に本案については七月二十二日以來研究を続けられて檢討されて來ておるのであるから、そう長い期間を必要とするわけはないというような意見を持つてお答えになつている。私に言わしむれば、法案を鵜呑みにすれば別でありますが、十分に檢討し、研究していれば、いる程、尚更十分の審議期間を要するのであります。こういう点は総理の、研究しているから簡單に済むというお考えは了解できないのであります。私は政府が、いろいろな政策実行上において、どうしても十六日までに仕上げなければ、支障を來すという事実の案件を出して、我々に了解できるように御説明願いたい。
#33
○國務大臣(吉田茂君) 重ねて申しまするが、本日の官公労、その他の労働問題から言つて見まして、この法案は、いわゆる基礎法法案でありまして、成るべく早く御審議を願いたい、又審議は短い時間でというのは、現在の実情において、これを必要とする内外の事情から考えて見て、成るべく早く審議を願いたい。願いたいという考えから、施政の方針等も後廻しにして、この問題が先ずでき上つたところで、即ち國家公務員法の議事が完了したところで政府の方針を申上げたい。というのは、これは御議論があるかも知れませんが、公務員法の問題は、前内閣以來の懸案でありまして、そのために、この特別議会が召集せられたのでございまするから、議員各位におかれましても、政府においても相当の研究が進められておるものと私は考えて、先程お話の通り、本会議においても、すでに御研究は積んでおるのであろうと思う。現下の事情から申して、成るべく早く審議をして頂き、又審議をして頂くためには、施政の方針も後廻しにしたい。これは早く、早く審議をして頂くという希望から述べるわけであつたのであります。
#34
○原虎一君 どうもその点については了解いたし兼ねます。それから先程具体的に労働大衆の協力を得る、労働大衆の生産意欲を高める具体策として、少くとも官公廳の労働者に対して、具体的な方法を取る最も手近な問題は、即ち全官公の給與の改正であります。この給與の改正に対して、先日から本会議で大藏大臣に給與改正に必要なる予算案をいつ出すのであるか、こういう点を質しましても、折角研究中である。本会期中に審議を終了し得るような出し方をするとも、およそ何日頃に出すということも、大藏大臣は言明しないのであります。総理は眞に労働大衆の協力を得ようという熱意があるならば、少くともこの法案の改正案と同時にお出しになることが必要なのであります。それで時間的にその準備ができないならば、できない事情を明らかにし、少くとも本会期中に終了でき得るように出すというところの熱意があつて然るべきと思う。併しながら大藏大臣は、ただ折角研究中であると言うだけであつて、我々は了解に苦しむのであります。この点総理は一体その新給與改正予算案を、いつ頃お出しになるか、少くともいつ頃お出しになるか、この点についてお伺いしたい。
#35
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。しばしば申すようでありまするが、今日日本の財政の現状としては、殆んど財源が涸渇いたしておるのであります。又涸渇しておるところに、災害復旧とか、いろいろな緊急を要する問題が輻輳いたしておつて、そのために財政全体の計画が立たない。これは誠に政府としては予算の組み方に困つておるわけなのであります。この事情は諸君においてもよく御了解と思いまするが、そのために大藏当局としては日夜予算の編成に努力いたしておるのであります。この努力が、然らばいつまでに切上げられるか。ところが日本の現在の財政の状況は、余りに酷いものでありまするから、これをいついつまでにやれということをおつしやつても、これは私としても、又大藏大臣としても、いついつまでに切上げるということの目当は付きにくいだろうと思います。のみならず、占領下において各方面との間の折衝もありまして、法律案と違いまして、予算案に至つては簡單に片付かないのであります。先ず公務員法において、いわゆる公務員に関する法制が決つて、根本方針が決つて、その原則の下に計算を作るという以外に、今日申上げることはできないのであります。
#36
○原虎一君 甚だ遺憾でありますが、先程十六日までに審議を終了するように希望されたところのこの事情、並びに予算案を提出することに対する政府の責任感等について、私は了解することができない。殊に十六日までに審議を終了してほしいという御希望に対して、政府がいろいろの、執行上どうしても、そうしなければならんという事情がありますならば、それをお話願いたいと申しましても、お話がない。從つて政府がこの十六日までに終了して呉れという強い希望はどこにあるか、即ち今日の総理の御答弁では、我々は了解できない。了解できないとしますならば、社会のいろいろの情勢から判断して行くより外ない。それは総理は十六日までに終了して、その直後に國会を解散しようというお考えである。新聞紙の報道に基いて判断するより外にない。又今の御答弁によれば、新聞紙の報道を裏付するがごとき総理の答弁であります。殊に私はここに十一月十一日の朝日新聞を持つておりまするが、総理はこういうことを言つたということを書いておる。「一方吉田首相は『情勢によつては公務員法、新給與問題の解決をまたず解散する』との意向をもらしたとも傳えられ、新給與問題に対し政府がどう態度を決めるかが注目されている」、同じ項の中に、「臨時閣議は同日午後二時から院内で開かれたが、その結果、臨時人事委員会の六千三百七円案は、國家財政の現状から、これを受け入れ難いが、財源と見合う新給與をきめ、早急に追加予算案を編成しようということになつた」、こうあります中に、又今度は、民自党が早期解散を讓らずという見出しで、こういうことを言つております。「大野、網島、石原氏らが吉田首相と会見し『公務員法および追加予算の成立以前に解散は行い得ないか』と首相の意中をただした際、吉田首相は『公務員法成立のいかんにかかわらず解散はできる、もちろん急速にこれを成立させるため努力するが、野党側の態度がいまのままでは、成立をまたず解散することになろう、その時期は早ければ本月中旬だ』」、即ち中旬、十六日頃であります。総理はこういう新聞記事には責任を持たんと言われるかも知れませんが、であるから私は、十六日までに審議を終了してほしいといわれる政府の申入れが奈辺にあるか、こういうことによつてではないことを我々は希望しまするが故に、お尋ねしたのでありまするが、これを打消すだけの材料を提供されないことは甚だ遺憾であります。從つて私は、この記事に基いて首相の解散に対するお考え方をお伺いしたいのであります。
#37
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。政府が十六日とか、十五日とか希望いたしたのは、本週間に相当の議会の審議が進められ得るであろう。即ち十五日、月曜には衆議院が議了をし、又十六日には参議院がこれを議了して頂けば結構であるというので、十五日、十六日と申したのであつて、解散という問題は別であります。又今お話の通り、朝日新聞でありますが、何新聞かにあつた記事については、私は御意見の通り責任を負うわけには参りません。
#38
○委員長(中井光次君) まだ大分ありますか、外の方もありますから、成るべく簡單にお願いいたします。
#39
○原虎一君 私のはもう一つで終るつもりであります。大体結論に入つて來たようであります。私は新聞の記事について責任を持てと申しておるのではない、それは持たんと言われることを前提において私は申しておる。併しながら、総理はこの法案の審議如何に拘わらず、解散を早くやる考えがあるということは、これは総理の言動によつて察知できることであります。從つて、こういうように朝日新聞は書いた、或いは世間で傳えられる、最もあなたと密接な関係にあると宣傳、報道されておりますところの読賣新聞も同樣なことを書いておる。私は総理の、若しこの新聞にあるごとく、或いは世間に傳えられておる、殆んど確報かのごとくになつております十六、七日頃の解散ということになりますれば遺憾ながらこの改正法案を十分に審議することはできません。同時に、昨日は公聽会を開くことを決定いたしておる。そうしますれば、審議未了の中に解散されるようなことがありますならば、これが國際的に及ぼす影響はどうでありましよう。総理は前提において、國際的に非常な環視の的になつておる法案であることは認められております。又先日の本会議におきまして、波多野議員から、外國新聞の論調が総理に対して非常に保守的なものであるとして批判を加えておる。総理は、できるだけそういう外國の批判を是正するために努力を拂うということを、本会議で声明なさつておるにも拘わらず、かくのごとき重要なる法案を審議未了にし、尚予算も出さずに解散するということになつた結果は、これがどういうふうに國際的に影響するかということは、外務大臣であるところの総理は十分御了承ある筈だと思うのであります。私に言わせれば、こういう記事が新聞に出ることそれ自体が、吉田内閣の反動性を國外へ宣傳しておるのであります。宣傳の材料は、あなたが出したのじやありませんか、それから受けるところの日本の我々國民は、如何なる迷惑を受けておるかということは、あなたはお考えにならんのですか。私は党利党略のために審議を云々するのではありません。日本が、日本の民主化が一歩でも促進するということは総理も考える、我々も考えるにも拘わらず納得できない。而も重要なる議案を審議途中において解散ができるというようなことを世間に思わせておるということを、あなたは拂拭するところの責任があるではありませんか、私は國を憂えるから申上げるのです。あなたは党利党略のために解散をしようとするが、審議未了にするより仕方がないから解散をするということを言いつおる。なぜそんなに解散を急がれるのでありますか。党利党略ではありませんか。それをあなたは党利党略でないと如何に弁明させたところで、日本の國民を騙し得ても世界の人を騙すことはできません。あなたは非常に民主的な外交官として自任させておるかも知れませんけれども、世界はそう認めていないという事実に対しては、あなたは否定できんではありませんか。私は総理の、これをこの審議途中においても解散を厭わないというという、その報道が出たものに対して責任を求めるとは申上げない。そういう報道が出るということは、一新聞が書いたのじやなく、すべての新聞が書いておるのであります。これはどこに原因がありますか、私は総理が最も民主的であるということを世界に表明せられることが必要であり、戰爭中の閣僚であり、官僚であつた者、最後の保守陣営を守る拠点であるとまで言われるこの外國新聞の社説を打消すために、総理は如何なる努力を拂われるか、総理の所見を伺いたいのであります。
#40
○國務大臣(吉田茂君) お答えします。私は公務員法が未了のままに解散するということは一度も言つたことはないのであります。新聞記事や、あなたの臆測に対しては、責任は持たないが、併しながらはつきり申すことは、この重要な法案が審議未了の間に解散するということは断じていたしません。
#41
○山田節男君 大変又時間が経過いたしましたが、ちよつと速記を止めて………。
#42
○委員長(中井光次君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#43
○委員長(中井光次君) 速記を始めて……。
#44
○原虎一君 本法案の審議が終了するまでは、解散をされないということは明らかにされたのであります。ところが昨日本会議において決議案が決定されました、新給與のための補正予算をいつお出しになるか、或いは出さなくても解散される意思であるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
#45
○國務大臣(吉田茂君) 私は、その決議案についての報告を受けておりませんから、決議案を見ました上でお答えいたします。
#46
○原虎一君 その点は説明を申上げます。決議案は、速かに補正予算案を提出するようにという趣旨であります。これは本会議において決定いたしました。その決議案のあるなしは別にいたしましても、私は改めて先程も申上げましたように、労働組合運動に行き過ぎがある。そういう点によつて、この法案の改正が、マ書簡によつて促されたということは認めております。併しながら同樣に、マ書簡には先程も申しましたように、政府が公務員の生活の安定を図るところの義務があるのです。これは労働組合の行き過ぎを抑制すると同樣に、政府は同樣な責任があります。にも拘わらず、本予算編成の困難であることは分りまするが、その予算を本会議に提出しないでも、解散する意思ありや否やということは御答弁できると思うのであります。
#47
○國務大臣(吉田茂君) その決議案に対しての答弁は、本議場においていたします。
#48
○委員長(中井光次君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#49
○委員長(中井光次君) それでは速記を始めて……。
#50
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたしますが、政府としては先程再三申した通りに、予算の提出を急ぐために、頻りに当局者においては研究苦心をいたしておるのであります。成るべく早く出したいと思います。
#51
○原虎一君 私がお聽きするのは、予算の編成の困難があるということは分つておる。併しながら法案と関連の最も深い、國際的に影響の重大だという点から見まして、私は解散をされる意思を持つておるということは明らかだ。だから予算を本会議に出さないで解散をするか、せんかということ、そのことをお伺いしておるのであります。
#52
○國務大臣(吉田茂君) 私の返事は同じことであります。成るべく早く出したい、こういう考えを持つております。
#53
○委員長(中井光次君) 本日はこれにて散会いたしまして、明後日、本会議がなければ、午前十時から委員会を開きたいと思います。散会いたします。
   午後零時五十二分散会
 出席者は左の通り。
  人事委員
   委員長     中井 光次君
   理事
           小串 清一君
           宇都宮 登君
   委員
           赤松 常子君
           木檜三四郎君
           佐々木鹿藏君
           大山  安君
           東浦 庄治君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  労働委員
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           平野善治郎君
           竹下 豐次君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           門屋 盛一君
           田村 文吉君
           波田野林一君
           早川 愼一君
           水橋 藤作君
  國務大臣
   内閣総理大臣  吉田  茂君
  政府委員
   臨時人事委員  上野 陽一君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局長)  佐藤 朝生君
ソース: 国立国会図書館
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