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1948/11/15 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第4号
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1948/11/15 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第4号

#1
第003回国会 人事・労働連合委員会 第4号
昭和二十三年十一月十五日(月曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後一時五十六分開会
#2
○委員長(中井光次君) それでは只今より開会いたします。本日は一昨々日山田労働委員長よりの御要求がありまして、淺井委員長より本案審議についてのいろいろの経過の中、特に秘密会でも開いてお話を願う点につきまして、御要求がありました。本日淺井委員長よりお話を願うことにいたしたいと存じます。又一昨日上野政府委員の御答弁中に、総理大臣が御出席になりましたので、その御答弁も中途になつておりまするから、淺井委員長のお話がありましたならば、この次にその御答弁を続行いたしたいと存じます。
 それでは政府委員の方より要求がありますので、この際秘密会を開きたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中井光次君) 御異議ないと認めます。只今より秘密会を開きます。委員、政府委員及び事務を執る者以外の方の退場を願います。どうぞ……。
   午後一時五十九分秘密会に移る
   ―――――・―――――
   午後二時四十四分秘密会を終る
#4
○委員長(中井光次君) 國会法第六十三條によりますと、秘密会議の記録中。
 特に秘密を要するものとその院において議決した部分は、これを公表しないことができますが、本秘密会の記録は特に秘密を要するものとして、この会議録は公表しないことと決定してよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(中井光次君) 御異議がないと認めます。以上の通り決定いたします。
 前日に引続きまして、田村委員の御質問に対する上野委員の答弁中に、総理大臣との質疑應答が行われましたから、その上野委員の御答弁を続行して頂こうと存じます。
#6
○政府委員(上野陽一君) この前、確か三つの質問を頂きましたが、恐れ入りますが、簡單にもう一度残つている部分について、質問を繰返して頂きます。
#7
○田村文吉君 そうおつしやられると困るのですが、はつきり記憶いたしておりまする問題は、なぜ六大都市に対して、五割というような大きなものを附加しなければならんのであるのか。民間の一般から申しますと、二割或いは三割、又独身者に対してはその半額というような手当が行われておりまするのが普通でありまするのに、なぜ五割というような高額のものをお用いに相成つたのか、それが一つ。
#8
○委員長(中井光次君) 増額の比率ですか。
#9
○田村文吉君 ええ。家族手当につきましては、一般の民間では、一人五百円というくらいのところが一般の常識に相成つておりますのに、突飛に一千二百五十円というようなことになさるということは、今後の民間の家族手当を著しく増額させる虞れもありまするし、甚だその点が不穏当に考えられまするので、この点をお尋ね申上げる。
 もう一つ、高給の人たちも二割上り、下給の人たちが三割五分上ると、こうようなことに相成つておりますが、税引の戰前の給與と、今日の給與との比較から申しまするというと、さようなことになりますることによつて、高給の人と下給の人とが、殆んど差がなくなつて來て、そこに著しい不均衡が生ずると思うのであります。同じく三割五分なら三割五分上げるというならまだよろしいのでありますが、実は三割面分高給の人は上りましても、実質的には、一割五分しか上らない。況んや二割上りましても、実際には五分しか上らない。こういうことになつて、甚だその点が不均衡を生ずると考えますので、この点をお尋ね申上げて置くのであります。まだもう一つ何かあつたと思うのですけれども、これは後で御説明を伺いましてから、思い付いたら申上げます。
#10
○政府委員(上野陽一君) お答えいたします。六大都市という御質問でありますが、これは特地と申しておりまして、必ずしも六大都市だけではないのでありまして、六大都市と同じ程度の物價の高い所を持地と申しまして、六大都市の外、これに準ずるものはみんな入つております。持地の地域手当がなぜ五〇%増しになつたか。余り多過ぎやしないかという御質問でありますが、これは実際の生計費調査に基いた結果でありまして、数字を申上げますというと、四月、五月、六月、七月の四ケ月に亘りまして、最近のC・P・Sによりまして数字を出して見ますと、六大都市及びこれに準ずるものは中小都市に比べて約一五〇%弱である。それから中都市と小都市とで、中都市は一一〇%弱になつておりまして、これは私共調査をいたしました者も、実は割にその距離の多過ぎることに驚いておるのでありますが、これは実際の消費者價格調査によつた結果、こういう比率ができたのであります。
 それから第二の質問、家族手当千二百五十円というのは多過ぎやしないかという御質問でありますが、これは今までのいわゆる家族手当、公務員に対しては家族一人に対して二百五十円となつており、民間は平均三百五十円、多いのは七百円、五百円などというのもございますが、この民間及び今までの公務員に対して拂つておりました家族手当は、本当の意味の家族手当というのではなくして、どうもこれじや食えない、それならば家族手当という名義でこれだけ出そうという点から、出しておりまするのでありまして、私共の立案いたしました家族手当は、家族が一人増すたびにこれだけはなければ食べられないという最小限度の数字を出したのであります。ですからこの人事委員会の給與案の中に盛られておる家族手当と、今まで公務員及び一般民間に支拂われておりました家族手当とは本質的に違うのでありまして、その本質的に違うもうを端的に比べて、一度に五倍にするのは多過ぎやしないかという質問をたびたび受けますが、これは総額において比較して頂きたいのでありまして、單に給與を構成しておる一構成分子だけの比較では適当でないと考えます。それから増加率のパーセンテージが出ておりますが、あれは計算の便宜上出したのでありまして実質的にはあれだけ増すという意味ではないのでありましてすでにこの前も申上げました通り、下は四級の一号で抑え、上は民間の次官級に相当する位置、会社の社長でありますが、社長の階級に属する人々の給與を調べまして、一番高いところはそれで抑えてありまするから、そのときすでに公務員の中以上の人に対しては増給になつておるわけであります。併しそれだけ増給いたしましても、所得税の累進課税が非常に高いのでありまして、仮りに次官給を一万五千円と抑え、家族手当が四人として五千円、合計二万円、それに五〇%の地域手当を加えると三万円になりますが、この中から所得税を差引きますというと、二万円切れるのでありまして、お説の通り決して十分な給與だとは申せないのでありますが、この点において私共は單に倫理的、社会的の條件を考えるばかりでなく、今日の日本の経済情勢の下においては、上の人もこのくらいな程度で我慢して貰うより仕方あるまいという観点を加味して、そういうふうに決定いたしたのであります。
#11
○田村文吉君 只今各都市のC・P・Sから算出したものが、東京においては小都市に較べて一〇〇に対して一五〇%あつた、それが今年の五月、六月ですかのお調べであると、こういうことでありますが、御承知でもございましようが、昭和二十二年度において、鉄道従業員組合において作りましたものは、二十二年度においては確か三〇%ぐらいであつたと思います。或いは三〇%切れておるかと思います。かような数字で、C・P・Sというものは非常に内閣は御信用になつておりまするが、私共から見ると甚だ不信用なんです。こういう架空の数字をお作りになつて、そうしてこれによつて五〇%というようなことをなさるということは、蓋し今御説明がありましたように、係官自体が非常に驚かれたというくらいの非常識なんであります。こういう非常識な数字をお用いになるということは非常に私共危險であると考えるので、この点は確かに御一考なさるべき問題であると私は考えるので、重ねてこの点についての御注意を喚起しておきたいと考えます。
 第二に、家族手当が、在來の家族手当というものは別に家族を一々食わせて行くための家族手当ではなくして、一種の増給が家族手当という名前に変つておるのだ。こういうのであつて、今度は眞に家族を扶養することのできる意味で家族手当を附したというような御説明と承りますが、間違いありませんね。そこでその点は私共非常に違うのでありまして、一般の民間で給與をやりまする場合には、いわゆる能率によつて支拂うべきもの、即ち戰爭前においては本人の力相当に拂わるべきものが、今日では、それが全部であるべきものを若干は生活給というものを加味して家族手当をやる、これは上は次官から下は小使に至るまで同じであります。これはいわゆる生活給の意味でありまするが、余りさようなことを極端にいたしますると、非常に能率というものを軽視することになりまして、例えば同じ一つの職場に働いておる場合に、非常に頭のよくない、併し大変長くおる人であつて、家族は四人も子供を持つておる。そうすると今おつしやつたように、五千円に二千四百七十円を合せまするから、七千四百七十円という收入になります。その隣りで復員帰りで一生懸命で、仕事はその人よりは遙かに多くできる人が二千四百七十円を貰わなければならん。こういうようなことが起りまするというと、必ずそこに不平が起る。こういうことが過去の民間の企業においては常にあつたのであります。そういう意味でありまするから、成るべく家族手当というものを若干は考えるけれども、余りこれを多くしない。つまり生計費の問題は本給の方に多分に盛り上げて置いて、若干は家族手当で以て補正する、こういう考え方が今日の一般の常識に相成つておると考えます。然るにここに突飛もなく、今まで二百五十円であつて、今お話のように民間では多くて七百円、大体三百円から五百円ぐらいの程度になつておるものを、官で率先して千二百五十円というようなことを御発表なさいますということは、在來の手当の外に生活給というものを非常に重いフアクターとして持たなければならん、こういうようになつておる場合に、これは迷惑をする者が非常に多い。こう考えるので、どうも少しく早計でおありなすつたのではなかろうかと、こういうことを考えるので、あります。
 第三番目の問題については、これは私伺いたいのでありますが、大体最低の人と最高の人は税引で同倍ぐらいを至当とお考えになつて、何かそこに根拠をお持ちでありますかどうか、若し伺えたら伺いたい。こう考えるのであります。
#12
○政府委員(上野陽一君) お答えいたします。今度の給與案は無論目下の経済状態から考えまして生活給本位の給與案でございます。そこには特に能率というようなことを考えておる余地がなかつたのであります。給與の本質から申しますれば、この前も申上げました通り、家族手当などという名目で別にこれを加えなくとも給料だけで官分の家族を養い得るだけ出さなければならないのが給與の本体であります。併し目下の情勢においてはそれができませんので、二千四百七十円という成年男子の一人の生活費を基礎といたしまして、それに一人家族が殖える度に千二百五十円を加えよう。全く生活給本位の考え方でありまして、これは決して給與の本來の面目でないということは重々承知の上で立案したのであります。それから最後には何でしたかね。高給……。
#13
○田村文吉君 最高最低の税引何倍ぐらいですか。
#14
○政府委員(上野陽一君) これは日本の従來のインフレーシヨンの起る前の数字を見ましても、アメリカの連邦政府の給與の体系を見ましても、約一番下の者に対して十五倍の給料を一番上の者がとつている。又そのくらいなければ人が一生懸命勉強して上に進んで行こうという刺戟にならないということは、一般常識と考えてよいかと思います。併しながら現在のアメリカでも一番安いのは年六百ドルでありますが、高官になりますというと九千ドル以上というような数字が出ております。尤も今は特別の状態で上に天井を設けておりますが、平時においては少くとも十五倍の差はなければ刺戟にならないというのが普通の考えのようであります。
#15
○田村文吉君 税引でどうというようなことはお考えになつてありませんか。
#16
○政府委員(上野陽一君) この給與体系の中には全部税金が経費の一部として加算してございます。
#17
○田村文吉君 私のお尋ねしたいことはですね、今一対十五というような割合でアメリカでは戰爭前には、やつておつたというのでありまするが、日本の現在はこのような上と下との比率は税を引いてどのくらいのことをお考えになつているのか、正味でどのぐらいの差が然るべしとお考えになつているのか、これをお伺いするのであります。もう一つ序でにう伺のですが、今のような生活給だけを主にしたように考えたやり方でありますると、今の比率でするということ自体がおかしいのです。すでに比率ということがある限りにおいては、その能力に従つて給料が決められるべきである。それを家族手当を殆んど主としてやり方でお考えになるということは、甚だ御意見の中に矛盾があると考えるのですが如何でしよう。
#18
○政府委員(上野陽一君) 生活給と申しましても、人間の生活にはいろいろの階級がありまして、いわゆる最低生存費、それだけなければ命が続かない、命を保つて行くことができないという階段から、健康を保ち、相当礼儀を守るに必要なる費用、尚進んでは相当慰安のできる生活費、尚余裕をとれば相当裕りある生活費、或いは上流社会の生活費等、生活費にはいろいろの階段がございますので、これは一方の人には最低の生活費であつても、或る階級の人にはそれは最低の生活すら支えることのできない費用であるかも知れないのであります。
 それでこの職階の第一から第十四までに属しておるおのおのの人の最低生活費というものも相当違わなければ、公務員としての体面と生活とを維持して行くことができないと考えまして、そこで下を四級の一号で押え、上の次官級のところを民間の社長級の給料で押えて、そうしてそれを各階級に應じた生活費と考えたのであります、
#19
○田村文吉君 これ以上はいずれ予算もできまして御案が内閣から回付になりましたならば意見を申上げることにいたします。
#20
○山田節男君 今上野委員は生活給だという御説明ですが、この間臨事人事委員会から勧告案として出された六千三百七円ベース、これが、今日の財政上どうしても六千三百七円ベースが保てない。今言われたところの四級一号二千四百七十円、このべースではどうしても補正予算が組めない。財政上の都合で捻出できないということになつた場合にはこれを更に四千三百七円にするか、そういつたように下げなければならんといつたようなべースはやはりこれは臨時人事委員会で決めるのか、或いは予算に睨み合せて、財源に睨み合せてその額を決めるのか、その点を一つお伺いしたいと思います。
#21
○政府委員(上野陽一君) 御承知の通り給與には二つの方面がありまして、第一には経済上の要件、第二は給與を受ける者の社会的倫理的要件であります。第一の経済的要件から申しますれば、これだけしか財源がないから抑えないのである。これで我慢して貰うより仕方がないということになり、社会的倫理的にどれだけの給與を與えなければ、労働基準法にもあるような人たるに値する生活ができないかという観点から考えますと、これは財源などには関係なく、これだけなければ人間らしい公務員としての生活はできないという一應の数字が出て参るのであります。ところが今までは大蔵省で初めから財源を押えて、財源がないという立場から仕事をして参りますからして、一方でもつと寄越せと言えばそこに一つの鬪爭が起つて参ります。そうしていろいろなごたごたがあつた後に、それならせめてこれだけで我慢して貰いたいというふうに、要求を待つて辛うじていろいろな名目で以て少しずつ上げて來たというような状態であります。これは全然経済的の要件の立場からやつて來たやり方であります。
 人事院といたしましては主として社会的倫理的の立場から公務員が中正に公平に不正を行うことなくして生活し得るためには、少くともどれだけ與えなければならないかという、保護の立場から立案したのが今度の案でありまして、これも全然経済的の要件を考えないで立案したのではなく、最小限度これだけはやらなければならないということで立案したのでありまして、これをどう捌くかは、結局は大藏省及び國会の仕事になるのであると、こう考えます。
#22
○山田節男君 今の私のお尋ねしておるのは、國会においても、或いは大藏省としても、どうしても財源がない、どうしても六千三百七円べースでは出し得ないといつた場合には、現実問題としてそのベースはどうなるのでありますか。
#23
○政府委員(上野陽一君) それは私共のは勧告でありまして、その勧告を御採用になるかならないかは、政府及び國会の御仕事になると、こう考えております。
#24
○小串清一君 私は先程田村委員に御答弁せられたいわゆる家族手当の問題ですが、これはこの前御説明のときからちよつと変に思つたのです。やはり家族に対する考え方は田村委員と同じように、自分も会社にいろいろ関係しておりますが、今度平均二千四百七十円にして、家族手当を五倍即ち千二百五十円になる。これはそうしなければ一人の生活ができない。こういう御勘定だそうでありますけれども、実際問題としては三人の家族もあれば、一人の扶養家族もあれば、七人八人のものもあります。でそういうものが、大勢になるときと一人のときとでは自然に違う筈でありますが、他方家族手当はやはり生活の幾分補助をするというのであるから、そういう累進的若しくは比例的に出すべきものではない。というのは公務員というものは、失業救済のための仕事をさせるものならそうかも知れんが、私は家族手当に対する観念が、人事委員の方の家族手当に対する観念と少し相違しておると思うのですが、家族手当というものは比率によつて、平均予算の上では一・五ということになつておりますが、そういうことを実際にやれば、小使でもつて子沢山の人は、随分局長以上の手当を貰つておるような変態なことが往々現れるのぢやないか。これは非常に変なことになるのじやないか。その点は今労働委員長の説明された点を私も考えております。少し議論になりますが、家族手当というものに対する観念が、少し我々とは違つておるようでありますから、その点ちよつとこうすべきものだという根拠を……。私は役所は失業救済のものぢやないと思つておりますが、その点を伺いたいと思います。
#25
○政府委員(上野陽一君) 本俸という言葉も、それから家族給という言葉も、地域手当というのも、これは全部生活給の計算の仕方でありまして、こういう問題も民間に及ぼす影響の立場からお考えになりまするときには、どうか家族手当一本だけを抜出して、今までの五倍に急増したというふうにお考え下さらないで、民間給與の総計と、公務員の受ける給與の総計とは、どれだけの開きがあるかという見地から御検討を願いたいと思うのであります。今まで民間の給與と公務員の給與との間には、相当の開きがありまして、下級の方はさまで違わないのでありますが、上の方、中以上の階級になりますというと、非常な差が出て参りまして、それを何とかして公務員の給與を民間の給與に近附けませんことには、中以上の階級からは公務員がどんどん民間に走つていつて、官職には上層部に有能なものがだんだんなくなる虞れが非常に多いのであります。
 そこでそれを防ぎまするためには、どうしても官職の給與を民間の給與に近附けなければならない。その近附けるためにいろいろ案を建てたのでありまして、この人事委員の提案通りに実行いたしましても、決して民間の給與よりも上廻ることは絶対にないのです。まだこれでも民間の給與より低いのであります。それはここに曲線を持つて参りましたから後で御覽を願いますが、提案通りに実行いたしましても今の民間給與よりは遙かに低いのであります。
#26
○田村文吉君 今の問題について、これ以上の問答は無用と考えるのでありますが、一つ伺いたいのは、地域手当は、家族手当に対しての地域手当が付くのでありますか。
#27
○政府委員(上野陽一君) 付かない……。
#28
○田村文吉君 そういたしますと、先刻申された四人の家族を持つておる年齢四十歳か四十五歳になつた男は、如何無能であっても家族手当が五千円、本人の二千四百七十円、そうしますと七千四百七十円に五割の割増が付く、こういうことになります。そうすると、一方は一万一千幾らを貰うことになりまするし、同じ仕事をしておる隣の独身者は二千四百七十円の五割増の四千円しか貰わない。そこに途方もない差が出て來るのであります。これはどうも実は問答を申上げても仕方がないと思いますが、これは人事委員でやり直しをなさらないと、いかんのじやないかと考えるのであります。そういうふうな実際の例を一つ篤とお考え頂いたらいいのです。私は六千三百円ならそれでも構わないが、家族手当は三百円とか、五百円に直して、給料の本給を増しておやりになることがいいと考えるのです。甚だ不遜な言葉でありますが、これはもう一遍やり直して來て頂かないと、國会としては殆んど取扱うことができないのじやないか、こういうふうに私共は考えるのであります。
 尚申し落しましたが、大体四人の子供を持つておる人達は、すでに大体十八、九、二十歳の働き手が一人か二人ある場合が多い。そういう場合でありますと、一万一千円の外に、又伜は幾ら働いて來るということで、無能であるに拘わらず一万五千円も取る。一方は三千円か四千円しか取れないという、こういう大きな矛盾が起りますので、もう少し常識的に合うような一つ理論を立つて頂けたらいいのじやないかと思うのでありますが、これくらいにして置きます。
#29
○政府委員(上野陽一君) 家族と申しましても、その中に生活しておる人を全部家族と申すのではありません。十八歳以下の者ですから……。
#30
○田村文吉君 十八歳未満の者、連合い、それから六十歳以上の者、それが家族に入る。それは分つておりますが、私の申上げましたのは子供を四人も持つておる人は、それより上の長男とか、次男とかが大抵十八、九か二十になつて働いておる。本人が一万一千円貰つておる外に、長男、次男がよそから又働いて來るので、一万五千円にも二万円にもなる。こういうふうに実際はなるのでありますが、そういう者と独身者との釣合いが取れないじやないか、同じ仕事をしていながら。
#31
○山田節男君 さつきの上野委員の御説明に、扶養手当は生活給の一部とみなした、こういう御説明であつたのでありますが、この家族手当は御承知のフランス、ベルジューム、こういうところで古くからやつておりますが、フランス、ベルジュームのフアミリー・アラウアンスは人口を殖す、人口政策の一部として大体始めたことは御承知の通りであります。そうして日本では賃金の内容が非常に複雜しておる。これはこの間も臨時人事委員の方から説明があつたのですが、将來給與を成るべく單純化して、できれば本俸一本建で行く。家族手当とか或いは結婚資金とか、その他いろいろなものを成るべくシムプライズして行くと、大体こういう方向に行くべきじやないかと私は思う。ところが今度六千三百七円べースに扶養手当を生活給の一部とみなして算入したというようなことになつて來ると、これは人事委員会で將來給與を決定する、いわゆる賃金制度の確立を図るために、やはり扶養手当というものを飽くまで残存さして行くつもりなのかどうか、これをちよつと承つておきたい。
#32
○政府委員(上野陽一君) 先程も申上げました通り、家族手当が付くということは、給與の体系としては本質的には望ましからんことでありますので、できるだけ早い機会において、家族手当の制度は取除きたい考えを持つております。
#33
○山田節男君 今職階制を國家公務員法が布かれてとつているわけでありますが、そうすると飽くまで給料報酬というものは職務の複雜性と申しますか、その重要性、責任、これによつて拂うのであつて、決してその人の家族、家庭の事情等によつて決めるべきじやないというように私は見ているのでありますが、然るに今度の勧告案に家族手当を入れるということは、非常に私は矛盾していると思うのです。これには、さつき御説明があつたように、六千三百七円ベースが民間の産業人より決して上廻らんということでありますが、その金額の問題は別問題として、それを算出する場合に、私はどうも人事委員会としてはその方法は正しくないように思うのですが、むしろ本俸をうんと上げるならばいいと思うのですが、この五倍にも増額するような扶養手当を以て加算したということは、どこに根拠があるのか、それをちよつとお伺いいたします。
#34
○政府委員(上野陽一君) 本俸が公務員の社会的倫理的の要求を相当に満足さしている場合においては、家族手当を加算する必要がないのでありますが、最低生活費が基礎数字になつておりますので、どうしても家族がいるということが現実の事実でありますから、それに対して一入当り最小限度の生活を保障する給與を出さなければ、皆は生活を全うして行くことができないのであります。將來は本俸が職階制の趣旨に基いて相当大幅に下の者と上の者との間が差別ができるようになりましたらば、そのときは家族手当も止めるときが來るわけであります。当分のところはこういう方法を採るより外、仕方がないという考えで計画いたしたのであります。
#35
○小串清一君 先刻私の質問に、民間の会社なんかに比べるとまだ大いに低いと言われるのですが、会社は随分困難で月給が四分の一しか拂えないとか、或いは非常に低い所がある立派な会社で低い日給をやつておるのもあるのであります。又会社が時代の波に乘つて非常に儲かる所は非常にいい俸給をとつておりますが、そのどういう点をとられたか知らんけれども、民間のそういう会社というよりは、私はやはりこの公務員の最低生活を実際に見て、それに対して俸給を今山田委員長の言われたように、本俸でやり、そうしてそれを能率的にやる。ただ生活さえ支えてやればいい、能率の方は構わんということでは、先刻おつしやる通り、官吏は皆民間へ逃げて行つてしまうというようなことだけれども、今のような方法によつて家族手当というような、その人の能率に関係のないようなもので助けてやつて、そうして能率の方はさつぱり見ないということの方が、官吏で民間に逃げて行くような者ができるのじやないか。いずれにいたしましても、人事委員のお調べになつた根拠は、外の諸君の突かれるように、私としては納得が行かないのですが、よくお考え直しになつて、官吏が民間へ逃げて行く予防に今のような方法をお考になつたとすれば、大変違つておるように私は思うのですが、それらの点について一言お伺して見たいと思います。
#36
○政府委員(上野陽一君) 職階制の原別によりますと、給料というものは、その職階に属する一つ一つの仕事についておるのでありまして、人の能率には一先ず関係がないのであります。人に拂う給料でなくして、その職階に属する仕事に対してこれだけの給料を拂うというのであります。その人がその職位にいて果して十分の能率を上げ得たかどうかということは、外の方法で見て行くのであります。例えば今人事委員で考えておりますことは、年に二回能率評定ということをいたしまして、成績の良かつた者は、その職階の中において昇給の手続をとる、成績の良くない者は昇給が遅れる、又は昇給しない、甚だしい場合には降任する、位置が下るというような方法で能率の方を振起して行く計画でありまして、給料としては人に関係なく職階に属する仕事に対する給與、こういうふうに考えております。
#37
○小串清一君 だから職階制によつて行くにいたしましても、先刻のように家族手当のようなもので、均一に家庭の事情によつて、その條件を備えた者へは、皆さんが御指摘になつたように、一万五千円でも二万円でも手当をやるということによつて、官吏の能率のいい人も外へ逃げて行くという考はおかしいと思つて、それは今の方法、職階制によつて能率のいい者は上げて行く、一方においてはおいて置く。本俸を、先刻やはり外の方が指摘されたように、十分にやるというならば納得できるけれども、家族手当というようなもので而も一人の場合も五人の場合も同じような率で行くということになると、私は甚だ根拠が了解に苦しむので重ねてお尋した訳なんです。
#38
○木下源吾君 ちよつとお伺しますのは、人事委員会が給與について政府に勧告いたしましても、それに應じない場合は如何ともすることはできないようになつておるのですが、このことを公務員法の中に何らかの形で効果あらしめるような規定を設けることができなかつたのかどうか。そういう点について考究したことがあつたのかどうかということを一つ承りたいのであります。
#39
○政府委員(上野陽一君) それに関する條項は、「人事委員会は、給與準別に関し、常時、必要な調査研究を行い、給與額を引き上げ、又は引き下げる必要を認めたときは、遅滯なく改訂案を作成して、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。」とありますだけで、これをもつと強制力を與えるというような規定は、お話通のりございませんが、これは別に行政管理職という役所がございまして、そこでは官吏の定員に関する査定をすることが重要なる仕事の一つとなつておりますから、この給與案を審議するに当つては、大藏省側の財源と共に行政管理職あたりの協議も必要とするのではないかと私は思つております。
#40
○木下源吾君 私のお伺いするのは、つまり公務員の生活保障の何か原別というようなものが公務員法の中には銘記されることが恐らく今の人事委員でも考えられておるだろうと思いますが、そういうような生活のつまり保障並びに、この権威と品位を保ち得る生活の保障をするというところの規定を設けることにお考えになつて御努力をなさつたのかどうか、こういうことをお尋ねしておるのであります。ただ勧告するだけで、それで効果が何もないということになれば、外の関連において團体交渉権も実質的にはなくなる、爭議権も実質的にはなくなる。而も一方においては能率的な事務を非常に負わせておつて、経済的な面の保障というものが何もないことになるので、その点について、その規定の中に公務員たるの生活の保障、そういうものを規定するということを誰でも私は考えるだろうと思うのですが、そういう点にはどういう経過を辿つてきておるのかをお伺いしたいと思います。
#41
○政府委員(上野陽一君) この頃の情勢にぶつかりまして、私共も痛切に、そういう條項を書いて置く必要があつたということを痛感しております。甚だ遺憾の極みであります。
#42
○木下源吾君 いろいろ人事院の方の御説明も伺つておりますが、先般來の政府との質疑應答においても、どうしてもマ書簡の趣旨を完遂するためには、公務員法の改正と同時に給與問題、それからもう一つは公共企業体の問題と、この三つが不可分のように考えられますので、本委員会としては適当な機会に委員長みずからマッカーサー元帥のところに出向きまして、この三つの不可分の関係をよくお話しになつて、そうしてこの元帥の書簡の趣旨を完遂するために、やろう、やりたいという希望を述べられて、これに対する元帥の御回答を一つ承つて参る必要があろうと考えますが、私は今ここで皆さんにお諮りして、このことを決めて頂こうとは考えませんけれども、委員長に一つ適当な機会までにお考え下さいまして、これが実現ができるようにお計らいを願いたいと、かように考えます。
#43
○大山安君 このベース問題でありますが、先程から六十七條ですか、これを以てすべて決定をする、それの権限によつて勧告するというような御意見でありますが、これは先程、條文としては明かに勧告するということであります。併しこのうちに調査研究をして、その結果において適当なやはり勧告をなすというふうに解釈される。この場合に調査研究ということについて甚だ莫然で、國家の公務員として六十何條であるから勧告するというふうに、これを始終濫用されることがあるとしたら、甚だ迷惑であるということになりますから、これでよろしいという場合には、私としては納得できないものである。別にこれはそうするように執行法、いろいろな國家公務員法に基いて活動しておるところの者に、G・H・Qもこのくらいなものを何処までもやれという、そういう無茶な論は言わないと思う。これは六十七條で調査ができるというが、どの方面に調査するか、第一今度の賃金べースも、私は貧乏人からできておる國家、官公吏ばかりによつて國家というものは構成しないものと思う。官公吏が幾らありますか。現在三百万か四百万かある。日本の國民は七千万ある。それにも拘わらず、官公吏の賃金ベース賃金べースと言つておる。國民中には職のない者もありますし病氣な者もある。不具な者もある。それを対象としないで、單に國家公務員であるという点のみに調査研究を置いておる。それもよろしい。完全に独立國となり、経済の立直つた場合にはよろしい。現在はそういう一方を保護するということばかりによつて國家は立つて行かない。それのみによつても憲法に反するのではないか。職のない者もある、食うに困る者も現在ある。にも拘わらず、こういう法案を出す。これは國家の経済撹乱、人心を動搖せしめる。國家は官公吏ばかりで國家に成つておらん。國民にはまだ苦しい者がある。食うに食えない、住む所がない。こういう法案で以て無暗な勧告だ、何だという考えを持たれては困るから、そういう人事委員の方で一方的に考えるとすれば、これに対する不相應なこういう調査でなく、これを総括的な結果において勧告するという法案を拵えて欲しい。出鱈目ですよ。こんなものは……。
#44
○田村文吉君 先般來いろいろ手を盡して頂いて、今日は秘密会を開いて説明を承つたのでありますが、ややもすれば、問題が脇道に外れまして、給與の問題が脇道に外れまして、給與の問題がまだ内閣からその勧告に待つての御提案もないのであります。この問題は別問題といたしまして、公務員法の逐條に関する御質疑を明日からお始め頂くようにお願いとたいと思います。
#45
○羽仁五郎君 土曜日に私時間を得なかつたので、土曜日の本委員会における首相のお答を伺つても、どうしても納得できない点がありますので、長い時間を必要としないと思うのですが、その問題をはつきりさせるために、どうか大変恐縮でありますが、もう一回首相に來て頂いて、それらの点についてはつきりしたお答を頂きたいと思います。
#46
○田村文吉君 只今の御提議は御尤ではありまするが、次回といつても、そういう問題のために逐條の御説明を伺いたいことが延び延びになつて來ますから、一應次回からその意味で一つ御審議を頂くようにいたしまして、その間に総理の御都合の好い時に一つ來て頂いて、羽仁さんの御質問等は行うようにいたしまのんと、いつまでもその問題の核心に触れておりません。そのように次回から一つ專門に御進行願いたいと思います。
#47
○委員長(中井光次君) 議事の進行について田村委員のお話しございましたから、私からお答えを申上げます。連日労働、人事連合委員会を開催いたして頂いたのでありまするが、大体本日で連合委員会をちよつと休んで頂きたいという何があるのでございます。明日は労働委員会單独の委員会を開き、人事委員会も單独に開く。これは別の問題でありますが、そうして労働委員会に付託されたる議案についての審議をする都合があるということでありますので、明日は連合委員会を開かないつもりであります。その次の十七日以後におきましては、労働委員長と御協議を申上げまして、私も逐條に入つて行きたいと存じておりまするが、御協議を申上げまして、進んで行きたいと存じます。
#48
○田村文吉君 御尤もでありますが、こういう重大なる問題は、私共この内容について伺いたいことは沢山ある。そういう問題は非常に重大なんです。それを未だに一つも触れないで置くということは甚だ私共合同審議会の権威に反する。こう考えるのであります。明日労働委員会では、丁度労働委員長がおられますが、労働委員会ではどういうことを御協議なさろうというのか、蓋し今後この問題の審議方法についての御協議かと考えられます。さようなことは三十分か一時間で済むことでありますから、でき得れば私共折角勉強してやつているのに、又二日も三日も置かれると忘れてしまう。でき得れば成るべくこの際続けて逐條の審議を御続行なさることを御提議したい。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#49
○山田節男君 田村委員の御発言がありますが、実は一昨日公共企業体労働関係法案を付託された。これは議院運営委員会においても労働委員会に正式に付託になりましたので、これも実は急いでおる。而も重要な問題であります。同時にこれに関連して、この專賣公社法、それから日本國有鉄道の法案というものも出ております。これらは付託されておるので、早急に審議を開始するだろうと思います。早急に労働委員会としても、付託された公共企業体労働関係法案の少なくもと提案理由の説明を早く開きませんと、次々に迫つて参りまして、それで実は明日は労働委員会に付託された議案については労働委員会を開くことに決定しておりますので、而も時間が午前、午後と亘ればよいと言われるかも知れませんが、事実上委員会といたしましても、明日は午前、午後開くということはどうかと思いますので、それで明日は労働委員会はさような事情で、実は中井人事委員長に申入れをしたわけであります。
#50
○田村文吉君 止むを得ませんけれは、明後日でも結構でありますが、すでに開かれてから一週間以上になつておつて、まだ一つも内容についての質問を許していない。こういう審議の方法はないと思います。もう少し良心的に進む必要があると存じますので、その意味で明日どうしても差支えるならば、明後日からでも結構であります。一應審議だけは進めさして頂きたいとこう考えます。
#51
○一松政二君 ちよつと止むを得ぬ用事のために遅く出まして、甚だ失礼でありますが、或いは他の委員の方からお触れになつたことがあるかとも思いますが、ちよつと一つだけ伺つて見たいと思います。
 政府に勧告したこの新給與金額ですが、六千三百七円というこの金額は、最も忠実であり、勤勉であり、人の模範とするに足るような人物に値いする給與であるということをお考えあつての御発表ではないかと私は考えておるのでありまするが、若しそうでないということであるならば、又伺いたいのでありまするが、現在の國家公務員と称せられる方々が、皆日本の今の置かれておるこの経済事情と、今日の厖大なる官公吏の数とが、これを全部一括してこれが六千三百七円に値いするものなりと御決定になつたのであるかどうであるか、その点をちよつと伺いたいと思います。
#52
○政府委員(上野陽一君) 先程も申上げました通り、この給與は各職階の中に含まれておる一つ一つの職位に対する給與でありまして、一應は人のことを考えておりません。その職位に就く人の資格、要件については、別に試験の方法を以て、最用忠実に、有能にその仕事をなし得る人を選択するという建前になつており、その職位に就いてから後の成績については、先程申上げました能率評定によりまして、その成績によつて給料を上げたり上げなかつたりするということになつております。現在二百万以上の公務員が現存しておるのでありまするからして、それが果して我々の要求にぴつたりと合致した公務員であるや否や、その質において……それは先程淺井委員長から説明申上げました中に、今年の七月一日以後は、すべての公務員を臨時的に採用されたものとみなし、二年間に試験をして、その去就を決するということになつておりますので、現在おりまする公務員に対する採否はその方法によつて決せられるわけであります。
#53
○一松政二君 そうしますると、先程ちよつと伺つておりまするというと、この公務員の人数その他についてはこれは臨時委員会の職務外になりますか。そういたしますると、ちよつと私は世間で誤解を生ずる虞れがあると思いますから、伺いたいと思うのであります。六千三百七円という一應の基準を出されるというと、忙しくない人も忙しい人も、怠ける人も怠けない人も、或いは今日の多くの公務員の中には無論忠実な、尊敬すべき人も沢山ありまするけれども、中には甚だ不心得な者があつて、私がいつか司令部に参りましたときにも、業務中に遊戯をやつていた官吏がいたということをはつきり言つておるのでありまするが、そういう者も一應六千三百七円に値いする者なりという感じを私は多く與えてやしないかと心配しておる者なのであります。でありまするから、この金額を発表された時に、最も理想的な人のみがこういうことを享受し得るものであつて、若しそういうものに値いしないような人も或いはあるのではないか。早く言いますると、無用の局は廃止したり、つまり行政整理ということが前提になる、そういうことが私はあり得るのじやないかと思うのであります。殊に國民の常識から見ますると、少くとも官吏の三分の一は辞めても差支えないじやないか。或いは統制を大幅に撤廃してやつて行けば、半分、或いは三分の一でも足りるのじやないかという御意見を持つておる方もあるのであります。で今日日本の窮乏状態において、先程大山委員から触れておりましたけれども、他の産業及び他の殊に農村、或いは漁村、今日の行詰つておる日本の状勢を見ますると、多くの新聞紙上にも論じてあります通り、六千三百七円というこの金額は非常に釣合が取れない、多過ぎる。そういうことを一体人事委員会は考慮したのかどうかというような議論があるのでありまして、その中には私の多分に共鳴し得る議論が沢山あると思うのであります。でありまするから、私は政府に勧告をなさる場合に、ただ給與だけが勧告されて、それを発表されたということは、そういう他に多くの同時に考慮をしなければならん部分を全然発表しないで、何故に給與の金額だけを発表したのかをちよつと伺つて置きたいのであります。
#54
○政府委員(上野陽一君) 御尤もな御質問と考え、私も至極同感であります。今度の改正案によりまして、今まで勤労者が持つておつたところの團結権も制限せられ、罷業権も否認されるような状態になり、今までそういう方法によつて辛うじて幾らかづつ給與を増して貰つておりました氣の毒な勤労者の諸君に対し、人事院としては差当り取り上げた代りに給與のベースをこれだけにして貰いたいということを勧告するのが第二の手順でありまして、與えるものを與えてから、それだから君たちはこういう條件の下に働いて貰いたいということを第三段に要求したいという考えであります。人事院としてはできることは無論人事院としてやりますし、又その他の官廰と協力してやらなければできない問題もございますので、それはべストを盡してその方向に進んで行きたいと考えます。
#55
○一松政二君 官公吏の罷業権或いは團体交渉権を取るから、それに代つて給與をよくして上げる、そういう考え方は、私は一應了承するのでありますけれども、大山委員が触れられましたから、重複は避けますけれども、日本における組織労働者ばかりじやない、今日の中小商工業の当面しておるものは如何なる状態にあるか、或いは又今年のごとき非常に不漁に際会して、漁民は一体どういう状態にあるか、或いは百姓は一体どういう景気に追い込まれておるか、今日野菜を作つた人は、「ねぎ二貫目消費地では四十円で渡るにも拘らず、生産地では一貫目二十円だという極端な話も私は聞いておるのであります。これらは挙げて罷業権もなければ何もない。罷業権というものはこれは最後の武器であつて、これは國民に向つて官吏としては当然今までから考えれば、あるべからざるものが、要求されている。アメリカあたりではすでに任用する場合に、そういう問題はもうやらないということを誓約した後にしかやつていないということも一部聞いたこともありますが、何か與えてあるものを取上げるのだから、それだからその分を特に考慮してやらなければならんという考え方は、私は國民が納得しないと思うのであります。官吏の諸君がそういう氣分になることは無論これは御尤もと思いますけれども、この税金を負担する官吏以外の階級は、私は断じてそういう考え方には承服しないと思うのであります。これ以上は議論に亘りますので、申上げませんが、その意見だけを私は申上げて御参考に供して置きたいと思うのであります。
#56
○早川愼一君 先だつて御説明のあつた青年男子の職員の二千四百七十円、あれの資料を頂きたい。どういう算出方法をしたかということを伺いたい。
#57
○政府委員(上野陽一君) 御希望であれば私の方で書き物を拵えて差上げます。
#58
○早川愼一君 六千三百七円のベースと、最近電産調停案で発表された七千円、これらの比較研究の資料がありましたら、頂戴いたしたいと思います。それは扶養家族数、年齢構成、勤務時間等に区分けしたものを御提出願いたい。
#59
○委員長(中井光次君) 委員から要求された資料を成るべぐ速かに提出願います。
#60
○東浦庄治君 官吏の扶養家族数は今分つておりますか。
#61
○委員長(中井光次君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時五十七分散会
 出席者は左の通り。
  人事委員
   委員長     中井 光次君
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
   委員
           赤松 常子君
           佐々木鹿藏君
           大山  安君
           東浦 庄治君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  労働委員会
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           平野善治郎君
   委員
           原  虎一君
           田口政五郎君
           波田野林一君
           早川 愼一君
           水橋 藤作君
  政府委員
   臨時人事委員長 淺井  清君
   臨時人事委員  山下 興家君
   臨時人事委員  上野 陽一君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局長)  佐藤 朝生君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局法制部
   長一級)    岡部 史郎君
ソース: 国立国会図書館
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