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1948/11/17 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第5号
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1948/11/17 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第5号

#1
第003回国会 人事・労働連合委員会 第5号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十時四十三分開会
#2
○委員長代理(山田節男君) 只今から人事、労働連合委員会を開会いたします。本日は中井委員長がちよつとお差支がございまして、労働委員長である私が代行いたします。
 國家公務員法の改正案に対しましては、過日政府委員から説明がございましたが、労働委員会の方では、公共企業体労働関係法案がすでに付託になつておるようなわけであります。実は今日はこの改正案の中で、労働関係の分を政府委員から御説明を願つて、そうしてその後におきましては、労働委員会はもつぱら公共企業体労働関係法の審議に当る。又必要に應じて人事委員会と連合してやる。その間人事委員会においては、この改正案に対する審議を進めて行かれる。そういうふうにして頂きたいという希望もございますので、議案審議の進行上、そういうことにいたしたいと存じまして、只今から岡部政府委員から、この改正案中の労働関係の点を重ねて詳細に御説明願うことにいたします。
#3
○政府委員(岡部史郎君) それでは、これよりこの改正法律案の中で、労働関係の條項に関しまして、若干御説明申上げたいと存じます。主として労働関係の條文は、この改正法律案の附則第十六條、それから法律案の第九十八條、それから第一次改正法律附則或いは第二附則と申して、この改正法律案の附則でありますが、それの第四條、これらが主たる関係條文でございます。
 先ずこの改正法律案附則第十六條におきまして、「労働組合法、労働関係調整法、労働基準法及び船員法並びにこれらの法律に基いて発せられる命令は、一般職に属する職員には、これを適用しない」と規定したわけでございます。その趣旨といたしまするところは、マッカーサー元帥の書簡にもはつきりと謳われています通り、その勤務、その勤労を公の仕事に捧げるところの公務員と、私企業の從事員とには、その性質上違ひがあるものである。從つて一般の私企業の勤労者に対して適用せられる労働関係法規は、これを國家公務員には直ちに適用しないで、國家公務員に対しては、その國家公務員という本質、身分に基く新たなる別個の法体系でこれを規定すべきものである、こういうような考えがその根本的な構想となつているわけであります。この十六條に基きまして、その團結権の面に関しましては、労働組合法を外します。爭議行爲に関しましては、労働関係調整法を外し、勤務條件に関しましては、労働基準法を外したわけであります。而してこれらは陸の関係の労働関係法でありますが、海の関係の労働法といたしましては、これらに相應する船員法、これを外すわけであります。而してこの團結権及び爭議権に関する労働組合法及び労働関係調整法を外しまして、その後をどうするかというのが、第九十八條の規定なのでございます。九十八條を御覧頂きたいと存じます。
 九十八條の第一項、これは從來からある規定でございまして、單に法令及び上司の命令に從う義務を規定したものでありまするから、これは別問題といたしまして、その第二項以下が國家公務員に関する團結権、爭議権の点を規定している、こう御承知頂きたいと思うのであります。第二項におきまして、先ず國家公務員の團結権につきまして、原則を規定しているわけであります。で、この労働組合法を外しまして、労働組合を結成することはできなくなりましたが、或る種の職員組織を認めまして、その職員組織の結成の原則といたしましてはオープン・シヨツプ制を採用しているわけであります。即ち職員といたしましてはそう「團体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。」こう規定しているわけであります。
 次にこの職員組織の活動能力といたしまして、これらの團体が適法に代表者を選んで、その代表者を通じまして、主として職員の勤務條件に関しまして、又勤務條件と並んで社交的、厚生的活動というような適法な目的のために、人事院の定める手続に從つて当局と交渉することができる、こういうように規定してございます。ここで問題になりますのは、この交渉することができるというのが第一点でありますが、團体として交渉することができると申しますから、いわゆる團体交渉権を意味するのかどうかという点が直ちに問題になつて参るわけであります。申上げるまでもなく、團体交渉権というのは、長い間の労働運動又は労働法上に次第々々に認められて來た歴史的な一定の意味にあるものと承知しておるのでありますが、その交渉権の内容といたしましては、團体協約を締結し、その締結者同志が対等の立場に立つものであり、その協約が両者に拘束力を持つものであるということを本質とすると存ずるのでありますが、そのような意味合におきまして、本條の交渉権は、政府と團体協約を締結する権利は含まないものであるということを規定いたしまして、ここにいわゆる交渉することができるというのは、いわゆる團体交渉権ではないということを、できるだけはつきり規定しているわけであります、即ち團体は、勤務條件に関しまして当局と交渉することができるが、それはいわゆる團体交渉権を含まないものである、こういう意味でございます。次には当局でございますが、当局というのは、それぞれその関係事項について権限のある当局という意味でございます。いろいろな勤務條件に從いまして、これは中央政府が決めるべきもの、或いはそれぞれの所轄当局において決定し得るものもございましようと存じます。それぞれその所管に應じまして、当局と交渉する、その所管に應じまして、それぞれその当局が分れて行く、こういうつもりでございます、結局この勤務條件に関しましては、人事院が公務員を保護する機関であるという精神に則りまして、最終的には人事院がこれの交渉相手となることが多かろうと存ずる次第であります。尚この交渉手続につきましては、「人事院の定める手続に從い」と謳つてございまして、この手続は、人事院規則で定められることになる予定でございます。その手続の内容につきましては、人事院規則がまだ制定されてございませんが、この法律が施行されるまでには、その人事院規則は公布されるように取り運びたいと存じておる次第でございます。それから團体が代表者を選んで、勤務條件に関しまして、当局と交渉することができるわけでありますが、その代表者は、必ずしも團体の構成員でなくとも構わん、みずから適当な人とその團体において考える者を選んで、これを指名して、代表として当局と交渉させることができると、こういうわけであります。
 次にその後段に書いてあります「すべて職員は、職員の團体に属していないという理由で、不満を表明し又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。」と、こういうことがここに書いてございますが、これはこういう建前になつているわけであります、即ち國家公務員は、團体としてもそのように勤務條件に関して交渉することができるが、飽くまでも公務員個人としての資格においても全く同じように、團体的に行動するのと同じような力を持つものであるという意味でございまして、どこまでも個人としても個人の希望なり意見なりはこれを否定されてはならない。團体的にも行動できるけれども、個人的にも行動する自由を認めなければならない、こういう趣旨でございます。併し個人的に行動する自由を認めますと同時に、團体的に行動したからといつて、そのために不利を受けてはならない、今の労働組合法第十一條に規定してありますのと同じ精神が、この團体を通じての活動にも尊重されなければならない、こういう考えに基きまして、本條の第三項ができておるわけであります。即ち「職員は、前項の組合その他の團体について、その構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその團体における正当な行爲をしたことのために不利益な取扱を受けない。」こういうことを規定してございます。
 次に一應これらが從來の労働組合法に基くいわゆる團結権としては或る程度まで制限を受けておりますが、その制限の根本的な理念といたしましては、國家公務員が全体の奉仕者である、公共の福祉のためにこれだけの制限は受けるのだということがあるわけであります。そういう制限を受けるという理念を一層強く規定いたしましたのは、その次の第四項でございまして、御承知の通り、警察職員、消防職員、監獄において勤務する職員は、現在の労働組合法の下におきましても、労働組合を結成することが禁止されておるわけであります。その趣旨といたしますところも、全くこれらの職員が國家非常の場合において國家の治安の責に任ずるものであつて、國家が公共の福祉のためにこれらの人たちの團結権を制限する、こういう点にあることと存ずるのでありますが、これらの職員の労働組合の結成権を制限したのと同じ理念、同じ精神に基きまして、これらの職員がやはり勤務條件に関しまして、一種の團結権を行使いたしまして、当局と交渉する権利又は自由を有するということが、公共の福祉の面から制限を受けなければならない。こういう考えに基きまして、これらの職員は第二項のいわゆる職員組織を結成し、又はこれに加入することができない、こう規定したわけでありますが、併しながら、これらの職員が勤務條件に関して交渉するための團体を結成することは、これによつて禁ぜられておりますが、主として文化的な、社交的な、或はクラブ的な團体、或は親睦團体、そういうような團体を結成することまでを禁止する趣旨ではないのでございまして、そういうような團体を結成することは本項の範囲である、こう存ずるわけであります。簡單でありますが、團体結権に関する御説明はその程度にいたしまして。
 その次の項は罷業その他の爭議権に対する制限を規定しておるわけであります。第五項に参りまして、「職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の爭議行爲をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行爲をしてはならない。」こう規定しておるわけでございます。又ひとりこれらの職員がこのような行爲の制限を受けますのみならず、「何人も」、何人もと申しますのは、この職員以外の者も含むわけでありますが、「何人も、このような違法な行爲を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」即ち職員の内部或いは外部を問わず、これらの爭議行爲に対して、これらの行爲を企てると申しますのは、刑法上で行きまするならば、実行に着手するという観念に当ろうかと思うのでありますが、そういうようなこと、「又はその遂行を共謀し、」これは二人以上でこのような行爲を企てる、そそのかし、若しくはあおるというのは、それぞれ教唆又は煽動の独立のものになろうかと思うのでありますが、これらの行爲を禁止しております。これらの行爲、即ち後段の「何人も、このような違法な行爲」を云々してはいけないということに関しましては、百十條の第一項の十七号で、これらの者に対して罰則を規定しておるわけでありまして、職員がこれらの煽動、教唆によつて怠業的行爲に出たという場合においては、これはその罰則の適用を外しております。
 次に罰則の適用は今申上げました通り、一般の職員につきましては、單に爭議行爲に訴えたというだけでは罰則の適用から外れるわけではありますが、その次の項におきまして、然らばこれらの同盟罷業その他の爭議行爲をした職員はどうなるかということを第六項に謳つておるわけでありまして、これらの行爲をした者は、「その行爲の開始と共に、國に対し、法令に基いて保有する任命又は雇用上の権利を以て、対抗することができない。」こういうように規定してございます。即ちこれらの爭議行爲をした者が、これらの行爲に基いて、それらの任命権者又はその他の権限を有する者から、それぞれ行政上の処分を受けた場合においては、自分はかくかくの法令に基いて身分の保障を持つておるのだということを以て、だからそれらの行爲は無効だということは主張することができない、こういう意味でございます。勿論それらが事実の誤算、或いは自分が病氣で入院しておつたのに、他の怠業、罷業その他の行爲をした者と一括して行政処分を受けたという、そういう場合におきましては、それは他の限定、即ち八十六條、或いは八十九條、九十條というような行政措置の是正の要求ができるものと考えております。
 次は技術的な規定になるわけでありますが、それらの今申上げました職員の團体の法人格の問題であります。これらの本條で認められました團体は、これを希望するならば法人とすることができる、こう規定をしておるわけでまあります。即ちこの法人がどういう法人の性格であるか、必ずしも民法上のいわゆる公益法人、社團法人、又は財團法人としての公益法人かどうかということは疑問でありまして、むしろこの法律に基いて特別な法人格を與えられた特殊法人と解釈することが正しいかと思うのであります。これに法人格を與える手続といたしましては、民法三十四條に規定する公益法人に準ずるものといたしまして、民法と、非訟事件手続法の公益法人に関する規定は、この法人としての職員團体にこれを準用することにいたします。但し公益法人は、主務官廳の許可を得なければならないということになつておりますが、この主務官廳が何であるかということにつきましては、いろいろ疑義が生ずる虞れがありますから、それはすべて主務官廳は人事院である。人事医の許可を得なければならんということになつておるわけであります。それでその詳細の手続に関しましては、改正法律の附則、即ち第一次改正法律の附則第四條において、その詳細を規定することになつております。改正法律の附則第四條の規定によりますると、職員を主たる構成員とする労働組合又は團体で、この國家公務員法附則第十六條の規定が適用される日において、即ち労働組合法の適用が排除される日におきまして、現に存するものは、尚引続いて存続しようと思えば存続することができる、こういうことを規定いたします。但しこれらの團体は、すべてその役員の選挙でありますとか、業務の執行について民主的な手続を定めなければならない、民主的な手続と申しますのは、言うまでもなく役員の選挙について祕密無記名投票の方法を採るとか、そういうことを謳うわけであります。そういうことについて民主的な手続を定める、「その他組織、目的及び手続において、この法律の規定に從わなければならない。」こう謳つております。これらの存続しようと思う團体は、人事院の定める手続によつて、人事院に登録しなければならない。從來の労働組合、その他の職員の團体が引続いて存続しようと思えば、それは人事院の定める手続によつて人事院に登録しなけばならないと謳つておるわけでありまして、この人事院の定める手続もやはり人事院規則によつて規定するわけでありまして、その人事院の規則もこの法律施行と同時に出す予定でございます。その他これらの團体に関しまして、必要な事項は、法律又は人事院規則で定める。これらの團体の登録、それから登記、これらの業務執行について民主的な手続を定める方法、それらにつきましては、人事院規則で定める予定でございます。以上申上げましたのが、労働組合法、労働関係調整法が外れた後の措置でございます。
 次に労働基準法が外れるわけでありますが、労働基準法が外れた後の措置はどうするかと申しますと、これもやはり國家公務員にふさわしい勤務條件その他を、勤務條件に関する詳細が法律又は人事院規則で規定されなければならんわけでありますが、勿論その精神といたしましては、労働基準法というものは、新らしい日本におきまして、日本再建の基盤となる労働條件につきましての、最低の國際的な労働條件の原則を定めたものでありまするから、國家公務員の労働條件がそれ以下であつてはならないことは言うまでもないことであります。そういう意味におきまして、今後正確な労働條件について、法律又は人事院規則でそれぞれ規定されることになろうかと思いまするが、何しろ厖大なる規定を必要とするものでありますから、取敢ずは第一次改正法律附則の第三條におきまして、一應この一般職に属する職員の労働條件につきましては、國家公務員法の精神に牴触しない、又は國家公務員法の規定に基いて、法律又は人事院規則で定められた事項に矛盾しない範囲においては労働基準法、それから海の労働基準法としての船員法の労働基準法に関する部分でありますが、それらの規定を準用して行くという構想であります。但し労働基準監督機関の権限に関する規定、これは國の事業に適用するのには不適当でありますから、監督部分だけは準用しない、こういう構想でございます。勿論労働基準法を準用するといたしましても、いつまでも準用して行くことは不適当でありまして、できるだけ早い機会におきまして、それぞれ國家公務員に最もふさわしい労働條件、勤務條件を法律又は人事院規則で、その根本は法律で、それの細則が人事院規則で、こう決めるべきであると思つております。その勤務條件と申しましても、いろいろございますが、この労働基準法に規定しておりまするのは賃金でありますが、賃金につきましては、これは給與法、或いは給與準則で規定することになるわけでありますが、これは当然労働基準法を外して、新らしい給與法、給與準則ができるわけであります。それから労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇、これらに関しましては、御承知の通り、古くは太政官布告、或いは閣令、勅令、その他によつてばらばらな、即ち体系をなさないで規定しておるわけでありまして、それらが今の建前におきましては、優先的に適用になつて、部分的に労働基準法が現在において適用になつておる、こういうように私共は解釈しておりますが、これらを今までばらばらに規定してあります休暇、休日、労働時間、或いはこの勤務時間というものについての規定を体系的に早く法律に纏めまして、制定して頂くことが私共の勤めと、こう思つております。これは成るべく早い機会におきまして、御議決を頂くように、私共の方で準備いたしておる次第でございます。尚安全及び衞生に関する事項でありまするとか、技能者の養成に関するような事柄につきましては、技能者の養成、その他寄宿舍でありまするとか、そういう極く技術的な面に関しましては、この労働基準法、それに基く詳細なる安全規則その他が、当分準用される余地があろうかと存ずるわけであります。尚災害補償に関しましては、國家公務員災害補償法というようなもので規定されることになろうかと存ずるわけであります。そういうようにいたしまして、次第々々に國家公務員の労働基準と申しますか、勤務條件の基準と申しますか、そういうものが新たな法律に基きまして、体系的に規定されて行く、それに應じまして、労働基準法の準用が次第になくなつて行く、こういうような構想でおるわけでございます。以上を以ちまして取敢事ず主として労働関係に関するものにつきましての御説明を終りまして、御質疑によりまして、お答え申上げたいと存じます。
#4
○委員長代理(山田節男君) 委員長からちよつとお願いしたいのでありますが、大体直接労働関係の御説明を願つたのですが、尚これと関連を持つておる百二條の職員の政党又は政治的行爲、この問題も一つ併せて御説明願いたいと思います。
#5
○政府委員(岡部史郎君) それでは併せて百二條の政治的行爲の制限に関する條項につきまして御説明いたします。
 この條項の基礎をなす観念といたしましては、國家公務員の政治的中立性ということがその根本的な観念であると存じておるわけであります。即ち國家公務員というものは飽くまで政治的に中立でなければならない、殊に公の選挙におきまして一党一派のためにその公の全体の奉仕者として、公に捧げるべき勤務活動を一党一派のために割くことは許されないことであると、こういうのがその根本的な観念でありまするが、從いまして、職員の、國家公務員の政治活動は主として選挙における投票によつてこれを行使すべきものである、こういう考えが本條の基礎をなす考えと存じております。從いまして、この百二條の第二項におきましては、現行法におきましては、「人事委員会規則で別段の定をした場合は、公選による公職の候補者となることができない」とあつたわけでありまして、只今までのところ人事委員会規則で規定したものはございません。ところがこの度の改正法におきましては、一般職に属するところの國家公務員は一切公選による公職の候補者となることができないというようにいたしました。職員の身分を保有する限りにおきましては、それらの公職の候補者にならずに、政治的に中立性をこれによつて確保したい。こういうような考えでございます。
 次に第三項に参りまして、「職員は、政党その他の政治的團体の役員、政治的顧問、その他これらと同樣な役割をもつ構成員となることができない。」と規定いたしますのは、現行法の下におきましては、法律又は人事委員会規則で定めて職員だけが、政党その他の政治的團体の役員となることができないとありますのを、その苟くも國家公務員たる身分を、持つ一般職に属する職員は、ひとり政党その他の政治的團体の役員のみならず、顧問、即ち若しも顧問が役員の中に入つておりますならば当然でありますが、いわゆる役員の中に入らなくとも、政治的な意味の顧問、それから役員に入らず、或いは顧問というような一定の職名を持たなくとも、同じようなそれぞれの政党又は政治的團体においてこれらと匹敵するような政治的な役割を持つ党員、その他の構成員となつてはならない。でありますから、この第三項が規定しておりますのは、職員の当然の権利といたしまして、政党その他の政治的團体の党員になる。これは当然許されておることでありますが、この党員としての最低限度の、或いは党員としての当然の活動以上の役割を持つところの党員、その他の構成員となることができないと、こういう意味に御了承を頂きたいと思うのであります。
 尚第一項に参りまして、第一項は「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行爲に関與してはならない。」というのが現行法の建前でありまするが、改正法律案におきましては、これに附加いたしまして、「あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行爲をしてはならない。」と規定したわけであります。その根本的な趣旨は、政治的行爲というものは、選挙権の行使によつて主として現わすべきものであつて、それ以外の政治的行爲をしてはならない。從いまして、ここで人事院規則で定める政治的行爲をしてはならないという書き方でありまするが、上に「選挙権の行使を除く外」と、こう大きく嚴格に被せてあります点を考えましても、選挙権の行使以外に、政治的行爲をなし得る範囲というものは極めて限られている。勿論人事院規則の規定の仕方といたしましては、これこれの行爲はいけないと、こういうように規定する方針でおるわけでありますが、それが、非常に幅の限られた、制限された政治的行爲しか許されないような形になり得ることは、なりそうなことは御了承を……察し頂けようかと思うのであります。この人事院規則で定める政治的行爲をしてはならないと規定してございますので、やはりこの法律が公布になり、施行になると同時に、この人事院規則で本條に基く政治的行爲はこういうものであるということを規定した人事院規則が制定されることになろうかと存ずるのであります。
#6
○委員長代理(山田節男君) もう一つ私からお尋ねしたいのは、二十七條と、それから第三十八條の第五号というような問題を、一つ併せてこの百二條に関連して御説明願いたい。
#7
○田村文吉君 どうでしようか、いろいろ御質問なさりたい点もあるかと思いますから……。
#8
○委員長代理(山田節男君) 丁度労働関係だけ今日済まして頂けば、尚又委員から……。
#9
○田村文吉君 質問を願うとなれば全部お願いすることになりますから……、各箇條的でなくとも……。
#10
○委員長代理(山田節男君) 今の政治的活動に関連しまして、二十七條と三十八條の第五号でございますね。
#11
○政府委員(岡部史郎君) 簡單に申上げます。三十八條、第五号、これはこの前御制定頂きましたそのままでございまして、この趣旨を持つて來まして、はつきりとこの三十八條、第五号に規定するような場合は除くけれども、その外の政治的意見、政治的所属関係、即ちそれが合法的な政党、或いは合法的な政治團体として許される限りにおきましては、それらの政治的意見、若しくは政治的所属関係によつては、外の社会的身分、又は門地その他によつて差別されてならないと同じように、差別されてはならないものであるということを二十七條に平等取扱の原則として規定したに止まると承知しております。
#12
○委員長代理(山田節男君) これで大体本改正案に含まれております直接労働法の関係の箇條に触れた御説明があつたのでありますが、これにつきまして御質問があれば……。
#13
○大山安君 意見を労働関係ということについて……と伺つたように聞かれますが、この改正法案は極めて人事院というものの権限が強いようにできておられます。というのは、すべてが人事委員会によつて官公職員が自由にされるというような内容になつております。私も深くは知りませんが、一應眼を通しました。というのは、例えば起訴権から判決権までがこの人事院に権利があるというような内容になつております。これは十分檢討しなくてはいかんのじやないか。殊にそういう内容が多分にあるにも拘わらず、すべては人事院の規則によつてこれを定めるというときには、これは相当今後この法案を作るについても、つまり笠議上相当の研究を要するものであるから、その辺は今日人事関係において、人事院としてつまり独立性を持つというような権限を得るという場合には、こういうような法案というものは法の精神が僕は抜けといるという感じを持つています。第一本法に從つて細則を設けるという場合には、本法にその根拠を現わさなくてはならん。例えばここにありますが、何條でしたか、警察とか、その他官職のことがありますな。何條でしたか……。これらについて團結してはならない。併しながらこれをいろいろ廣義に解釈すれば、善意の團結というものはあるのです。惡意の團結というものもある。善意か、惡意か、その團結だが、これは正しい善意であるという下に團結をしたという考えである。又人事院は我々から見れば御三人の人事官が……。今日でも三百万か四百万あるでしよう。大きくなればつまり一億くらいになるでしよう。國民全体が挙つて勤労するという場合には……、今は職がないから多数はありませんが、その場合に二、三人にしてその権利を左右される、意見を左右されるということは、極めてこれは國家的な在り方じやないというような考えを持つております。で、この細則というのは、結局人事院規則というものに殆ど左右されるようにできておりますから、これは私から考えますると、これはどうしても國会で審議すべきである。現在の段階では、この細則ということについては國会で審議するだけのことがある。國会で審議の必要がない細則だという場合には、この法律案に明文化するということでなくてはならんものである。そこをよく研究されてありますか、國家の法律をですね‥…。人事官が二、三人で仕事をする。例えば仮りに裁判所としましても、一審でつまり最終の判決を得るということは確かにないわけです。一審は警察犯処罰令にはあるけれども……。これはそうでなくできておる。実際にその氣持で以てやつた仕事なんです。やはり人事院規則でどんなことをするか分らない。分らないことをここで審議するわけにいかない。それを完全なものが拵えられるように、ここを十分な訂正をしなければならん、こういうことになります。そういう必要を手を借りずに、我々いろいろの國家全体に亘る國策に関して法律も研究をしておりますが、あなた方は專門家だ。そのときには國家のためには挺身して國家の有効なる法律を作るわけだ、ということにしてはこれは如何です。それは基本的な動かすべからざるものがあるでしよう。私は惡く言えば、GHQの指令に便乘して國会を目隠しをして作つて、自分の権利を極めて保護するというのは、これは独善主義ということを多分に含んでおる。決して僕は個人的でなしに、一方的でなしに、公平な國家的観念から、これは言うことです。それは多分にありますよ。ないと言うならば、この辺はそうだなんということは言えます。僕はあると思う。GHQがかくしなければならんということに便乘して、これはよいことだ、このうちだ、何もかも國会なんか盲だ。ところがどうして参議院はそうはいかない、変つたものですから……。そういうことがないように……、確かにこれにはありますよ。こんなことは意見を聞いたり、証人を呼んだり……という條文はあります。そういうところをよく研究して調べて下さい。大体出してみて下さい。審議上進捗するものと私は思います。
#14
○政府委員(佐藤朝生君) 只今大山委員からのいろいろの御意見を承りまして、我々これからの仕事をいたします注意といたしたいと思います。人事院規則の性質につきまして、いろいろ御意見承りましたのですが、人事院規則は、勿論この國定公務員法の下にある規則でございますし、又國家公務員法の中でも職階制でありますとか、給與に関しますことでありますとか、そういう國家の財政に関係いたしますこと、或いは國家のいろいろな方面に関係いたしますことは、法律で御制定を願う趣旨でございまして、その外に人事行政に関しまするいろいろ細かい專門的事項を、主として人事院規則或いは人事院指令で発する我々の氣持でございます。ただ先程岡部法制部長が申上げました政治的行爲の制限のみにつきまして、ちよつと人事院規則で政治的行爲を制限するような形になつておりまして、この点は例外でございますが、その外の点は大体そういうような考えを持つております。
#15
○平野善治郎君 ちよつと政府委員にお尋ねしたいのですが、二十八條の交渉の問題ですね。これは非常に重要な問題であります。その内容或いは組合の力がどういうように現れるか。こういうようなことが皆これは今のところ人によつて解釈がいろいろ違つて來ると思います。さつきから佐藤さんのお話を伺つておりましても、我々交渉ということを日本人が考えるときは、大体対等なような立場に置いた氣持で進められる、こう解釈するのでありますが、併しこの條文や佐藤さんのお話を聞いておりますと、全然それとは反対でありまして、結果においては單なる申入であるというような結果になるようにも聞きとれるのであります。從つてこれらのことがさつき人事院の定める手続にしたいと、こういうことがありますが、この手続というものの内容が分つて参りますと、私共は判断をするのに非常に拠りどころができて來るのでありますが、あなた方が今予定しているのがありましたら、お知らせ願いたい。こう思うのです。
#16
○政府委員(岡部史郎君) 先程大山委員からもお尋がございました通り、人事院規則の規定に讓つているところが非常に多いわけであります。それから私が先程御説明申上げました点につきましても、可なり重要な点は皆人事院規則で規定するのだというようなことを申上げたわけであります。これから人事院規則の制定公布に取りかかるわけでございますが、この法律そのものの建前といたしまして、この附則の一條を御覽頂きたいと思うのでございますが、一條の二項でございます。「この法律中人事院及び服務に関する規定以外の規定は、法律、人事院規則又は人事院指令の定めるところにより、実行の可能な限度において、逐次これを適用することができる。」と、それでございますから、この法律は公布施行になりましても、同時に全面的に適用になるわけではございません。殊に職階に関するようなものは、今後可なりの年月を適用になるまでは必要とすることになろうかと思うのであります。これらの法律が採用しておりますいろいろな制度につきましては、そのときどきに準備ができ次第、法律又は人事院規則で逐次これを適用して行くということになつておりますが、即ちこの法律が公布施行になりますと同時に設立されます人事院、それから職員の服務に関する規定、即ち服務に関する規定は本法律の九十六條から百六條まででございますが、これらの規定は直ちにこれが適用になるというふうに解釈しているわけでありまして、從いまして人事院関係は除きまして、服務に関する規定に関しまして、必要な人事院規則は少くともこの法律が制定され、公布されるまでに施行されなければこれが適用に差支を生ずるという状態にありますので、私共その緊急なものにつきましては、鋭意その準備に努力しておりまして、目下大体成案を得たものにつきましては、関係方面と折衝を重ねております。又いろいろその他必要なものにつきましては、やはり関係方面の助言を得たりしておるわけでありまして、只今お尋ねのこの九十八條の人事院の定める決議でありますとか、百二條の人事院の定める政治的行爲につきましては、それぞれ一應の成案は得まして、今折衝中なのでございまして、近い適当な機会におきまして、これらの内容につきましても、淺井委員長から皆樣に申上げるという予定になつておるのでございまして、そういう意味におきまして、今日はちよつとその内容につきましては、保留させて頂きたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
#17
○田村文吉君 今日の審議方法は、これは労働関係だけの質問に止めますか、それともそれ以外のお尋ねをしてもよろしうございますか。
#18
○委員長代理(山田節男君) これは前にも中井委員長から申上げましたが、逐條審議中に一般的な質問もやろうと、こういうことで進行されておるようでございますが、今日の審議は労働関係に限つて実は説明を願いましたけれども、併し一般的に質問があれば勿論受けるつもりであります。
#19
○田村文吉君 これは今度の改正に始まつたことではないのでありますが、第一條の第二項でありますが、「この法律は、もつぱら日本國憲法第七十三條にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定める、」こうあるのでありまして、一体公務員というものをはつきりと、何か憲法か或いは又この法律とかによつて例えば雇員、傭員等は公務員に入れるとか入れないとかいうことについてはつきりしたものがどこかにあるのでありましようか、これを一つお尋ねいたしたいと思います。
#20
○政府委員(岡部史郎君) お答えいたします。この憲法におきましては、勿論公務員という観念は採用いたしておりまして、この公務員の中にはつきり身分、等級を持ちました官吏という観念もその中に一部分入れておるわけでございますが、國家公務員法におきましては、官吏という観念はこれは採用しないことにいたしまして、全部國の仕事をし、即ち國の仕事に從事し、國から給與を受けておるものは、その任命、雇傭の形式を問わず、すべてこれを國家公務員とする、そうしてそれについての規定を設ける、こういう建前で進んでおりまするので、何が國家公務員かということについて積極的に規定は設けてございません。但し今お尋ねのありました通り、國家公務員の範囲につきましては、いろいろ疑義が生ずることは言うまでもないことでございます。それでそういう意味におきまして、或る職即ち或るポスとの仕事が國家公務員の職に属するかどうか、その中でも一般職に属するものであるか、特別職に属するものであるか、ということについての区別を具体的に決めるものといたしましては、それは人事院がこれに当るのだということを特に第二條において規定しておるわけでありまして、その考えといたしましては今私が申上げましたような極く廣い抽象的な定義、國の任命、雇傭の形式を問わず、國の仕事をし、國から給與を受けている者が國家公務員であると定義した。ところでその内容ははつきりしないというような考えから、具体的にこれを規定して行つた方がよかろうということでこの第二條の四項にその趣旨を謳つているわけでありまして、具体的にどれが公務員に属する、即ち勿論國家公務員の範囲に属するものについて自明のものが多いのでありますが、疑義があるものにつきましてはこれを決定して行く、こういう決前をとつておるわけであります。ただこの第一條第二項において「もつぱら日本國憲法第七十三條にいう官吏に関する事務」云々という言葉を使いましたのは、これは憲法七十三條のこの言葉そのものを引いたためにここに官吏という言葉を用いて來た、こういうように御了承頂きたいと思います。
#21
○田村文吉君 そうしますと人事院の解釈によつて、入れても出してもいいということになるような虞れがあるのですが、こういう法律はもつとそういう点についてはつきりと定義すべきものじやないかと思うのでありますが、或いはいろいろ御折衝の結果そういうことになつたのか存じませんけれども、少くとも人事院はどういうものをこの公務員法でやるのだという範囲だけは、次回にでも明瞭に一つお示しを頂いた方が結構だと思います。できましようか。
#22
○政府委員(岡部史郎君) さようでございます。田村委員の仰せの通り私共の仕事の建前といたしましては、抽象的にその原則を引くというのじやなしに、具体的にこれこれがこの法律の規定に当るのだということを各條につきましても具体的に決めるという建前でやつておりますので、疑問のあります点につきまして一々決定して行くわけでございますが、それでありまするから、例えて申しますると進駐軍の労務者が國家公務員であるかどうかということにつきましても、これは一々疑問が出て來るわけであります。そういうことにつきましては、これが國家公務員であるかどうかということにつきまして、一々決定して行くような措置をとつておるわけでございまして、疑問の点につきまして可なり個別的に列挙することは参考資料としては可能かと存じます。その準備をいたしまして、こういうものはこれは國家公務員と解する、こういうものは國家公務員と解しないというようなリストを作成することは可能かと存じまするから、そういうリストを作成して差上げたいと存じます。
#23
○田村文吉君 非常に國民の重大関心を持つておることでありまするから、自分達が一体公務員法によつて束縛を受けるのか受けないのかということは非常に大きな問題になるので、そういうことは法律のできるときにはつきりと、公務員というものはこれこれのものを考えて公務員とするのだということは御表明頂くことが順序でないか、以上は議論になりますから……。
 次にこれは改めて参議院全体としての意見になる問題であると思いますので、ただ、前例に從つてお入れになつたのであるというような御説明で結構なのですが、第五條の人事官の任命について、衆議院と参議院の権限問題であります。これは前に公安委員の場合にもそういうような例があつたのでありまするけれども、甲とか乙とかいう議論でどちらかに纏めなければならん場合においては、これは衆議院の意見に從うという憲法上の解釈はよろしいのでありますが、これは認証でありまするから、衆議院も認めない、参議院も認めないという場合には、そういうことはあり得るわけで、一向差支ないことなのです。然るにさような場合に、参議院の認めない者でも衆議院の認めた者であるから……こういうような認め方は甚だ両院の根本趣旨に合わない考え方でありますので、これは参議院全体としてのこれは議論となる問題と思つておりまするが、何かこれについて……これを漫然とお入れになつているのでありますかどうか。それだけちよつとお聞きいたします。
#24
○政府委員(岡部史郎君) この條文につきましては、今回の改正の中には入つておりませんで、昨年の國家公務員法制定のときに、この條文を入れたわけでございまして、前例と申しますか。外のいろいろの例によつて、こういうものをやつたものと御了解願います。
#25
○田村文吉君 それからこの間ちよつと御説明頂いたのですが、私実際的に呑み込めなかつたのは、第三條の何項になりますか、一番最終の項でありまして、「前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。」ということですね。これをちよつと御説明頂きます。
#26
○政府委員(岡部史郎君) この末項及びその前の項でございますが、即ち第四項によりまして、人事院がレヴューする。審査する。こういう権限が與えられているわけでございます。それがその行政部門におきましては、その人事院の審査は最後的なものである。こういうのがこの四項の意味でございますが、それが併し法律問題……それは違法である。違法であるということの理由といたしましては、それは憲法上におきまして、行政機関は最終審とすることができないというのがございますが、その当然の規定によりまして、法律問題、及び私の私見といたしましては、法律問題判定の基礎となる事実問題をも、事実の認定の問題をも含めまして、憲法七十六條の第二項の後段の方、「行政機関は、終審として裁判を行うことができない。」こういう意味におきまして、これは裁判所に出訴し得るものである。こう解釈いたしますが、その当然のことを念のために規定したに過ぎない條項である。こう考えます。
#27
○田村文吉君 委員長。
#28
○委員長代理(山田節男君) 関連した問題ですか。
#29
○田村文吉君 関連した問題です。第八條の人事官の問題でありまするが、第二項の第一号に心身の故障のため、職務の遂行に堪えない場合、第二号に、職務上の義務に違反し、その他人事官たるに適しない非行がある。非行という言葉がある。これは前からあつた言葉なんでありまして、特にお伺いするのも恐縮でありますが、非行という意味は、これはどういうふうに解釈されておつたのか。それからもう一つ、人事官として全く不適当な、無能な人事官がおられるような場合にも、このあれは入れられてもいいのじやないかと私共考えるのですが、そういう條項は何もないようですが、非常に無能な人事官がおられるような場合に、いつまでもそういう人がおられることは、実は困るのですが、そういうようなことについての、何かこれは救済規定が外にありますか。
#30
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。この人事官の選任につきましては、内閣が両議院の同意を得て任命するという形になつておりまして、その人事官の選任につきましては、両院の御同意を得ると、その上で内閣が任命する。こういうような形になつておりまするから、只今の田村委員の後段のようなお尋ねの点は、任命の方法で抑えられるのではないかと存じております。尚この第八條第二項の第二号の「非行」ということにつきましては、これは別段限定した意味がこれに加わつているわけでございませんので、大体社会通念といたしまして、職務上の義務に違反したというような場合において、やはりこれが非行の一種になろうかと思います。その他社会通念といたしまして、重大なる職務上の義務に違反したのと同じような程度のものが非行になろうかと存じます。
#31
○田村文吉君 第五十九條をちよつと見て頂きたいんですが、「一般職に属するすべての官職に対する職員の採用又は昇任は、すべて條件附のもの」としてありますね。それは、採用の場合はいいんですが、昇任の場合でもなんでしようか。何級官になつたという、昇進した場合には、半年なら半年は、現状のままに置くというわけでありますか。どういう意味でありますか。例えば課長のような場合はどうなりますか。
#32
○政府委員(岡部史郎君) これは、結局その何級官という観念が、この條文にはないのでございまして、この條文の結局生れて來たところは、職階制を背景といたしまして、職階制によつて、それぞれのクラスに昇任をする。その昇任した場合においては、そのクラスに長く置いて置くのが適当であるかどうか分らんから、その間、六ケ月の間は、これを條件附のものとして、身分の保障その他を與えないで、いつでもトランスファーできるように、轉任させることもできるようにというような意味でございますから、從いましてお示しの通り、最初の採用の場合のみならば、このグレード、グレードと申しますか、等級又は職級が上る場合において、最初の六ケ月は、條件附になるものと解釈しております。今日この職階制を前提として申上げましたが、この五十九條の條項を、然らば職階制が完成するまで適用できないのかと申しますと、そうでもないのでございまして、現在あるままにおいて、現在の制度の下においても、係長、課長補佐、或いは部長というようなものに任命いたします場合においても、これをこの條項に基いて、半年の間はこれを條件附にするというようにすることも可能でございます。
#33
○田村文吉君 それから九十八條のさつき御説明の中に、交渉する場合には、代表者をみずから選んでこれを指名するとなつておりまするが、これは、職員でなくともよろしいんですか。
#34
○政府委員(岡部史郎君) これは、職員の中からという制限はございません。
#35
○田村文吉君 ただその前の文句に、「これらの組織を通じて」とありまするから、おのずからそこに、職員ということを制限している意味にちよつと取れるんですが、そういう意味ではないんでしようか。
#36
○政府委員(岡部史郎君) 「これらの組織を通じて」とありまするのは、職員が團体的にという、換言いたしまするならば、團体的に代表者を通じてというような意味に御了解頂きたいと思うのでございまして、これは團体的に交渉することができるという意味でございまして、代表者をみずから選ぶ場合におきましては、勿論その團体としての代表者を選ぶわけでありまするが、適任者があります場合において、自己の團体の組合員のみならず、その他適当な人を團体として選ぶ、その選ぶ方法といたしましては、一部の者が勝手の選ぶのではなくて、適法な手続で選ばなければならんわけでありますが、選ぶのは組合員に限らない、こういう意味でございます。
#37
○田村文吉君 これは初めの原案では、職員の中からということが確かにあつたように聞いておつたのですが、それをどうしてもあつてはいけないという事情が出てそういうふうに御修正になつたのでありますが、常識的に見ますと、職員の中から出るのが普通であります。
#38
○委員長代理(山田節男君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#39
○委員長代理(山田節男君) 速記を始めて。
#40
○田村文吉君 第百八條でありまするが、「前條の恩給制度は、本人及び本人がその退職又は死亡の当時直接扶養する者をして、退職又は死亡の時の條件に應じて、その後において適当な生活を維持するに必要な所得を與えることを目的とするものでなければならない」とこういうのでありますが、現在の恩給制度でありますと、到底こんなわけには行つていないのです。余程これに対しては巨額の恩給を考えないとやれないわけになるのであります。これは果してこういうことが堪え得る状態なのでありますかどうか……。
#41
○政府委員(岡部史郎君) この恩給制度に関しましては、今お尋ねの背景をなしております制度といたしまして、現在の恩給制度に根本的な改革をするということがその建前となつております。即ち百八條の三項に持つて参りまして、恩給制度は健全な保險数理を基礎として計画されなければならない、健全な保險数理の欠くべからざる要件といたしましては、それが收支償うと申しますか、一應赤字なしでやつて行けるというのが健全な保險数理でなければならないと思います。即ち國庫から或る程度の相当巨額な基金を出すことになるだろうと思います。それに対しまして恩給受給者となるべき國家公務員の方から一定の掛金を出しまして、それによつて恩給基金を造成し、恩給基金と掛金との範囲内においてこれを賄うというのが健全な保險数理というものの意味になろうかと思うのであります。そういう意味におきまして、これは新らしい恩給制度を作ることを前提としております。その保險数理につきましては、最も專門的な研究を必要といたすわけであります。その新らしい恩給制度につきましては、これは人事院がその研究をし、その成果を認めることがその職責であります。併しその成果を得るにつきましてはまだ相当な年数が掛かろうかと思つております。それまでは現在の恩給法が運用されて行く、こういうように考えられますので、今お尋ねの百八條一項というものは、健全な保險数理を基礎として打立てられる恩給制度と第一項の原則とを組合わされたものが新らしい恩給制度でなければならない。その形につきましてはまだ先の問題でございまして、今の殊に経済界の状況その他を考えますと、こういう新らしい恩給制度というものがいつから実施されるか、どういうように運用するかということはまだ未確定の分子が多かろうと存ずる次第であります。
#42
○田村文吉君 すでに恩給と申しますれば、今の養老保險とかいうものと性質が違いますから、当然國庫から差上げるものでなければならん。そうなると、今の仰せになつたような、健全な保險数理というようなものでやるべき性質のものではなくて、この條文を読んだ限りにおいては、國家の恩給法というものを、とにかくそのあとの遺族の人がやつて行けるだけのものは必ず拂え、拂う制度を立てろ、こういうことを法律ではつきり決めることになるのでありまするが、これに対しては、非常に國家の財政的に負担すべき金額が非常に大きくなるのに、まあお心持はそういうお心持で考慮をなさるとしても、法律にはつきりとこう書いてありますと、そこに非常に問題が残るように感ずるのでありますけれども、お尋ねいたすわけであります。
#43
○政府委員(岡部史郎君) その点は只今お答え申上げた点に盡きるのでございますが、この現行法の、今の田村委員の仰せは、現行法においても変つてないわけでございます。それをどういうように運用するかということを、この度この三項の健全な保險数理を基礎としてやらなければならないのだという点で抑えておるわけでありまして、大体今のアメリカの公務員の恩給制度、これはやはりこの保險数理の基礎の上に立てられておるものと承知しております。一九二六年以降は、この新らしい保險数理の基礎を置くことに切換えられておるかと承知しております。大体そういう考えが背景になつておるもの存じております。
#44
○田村文吉君 もう一つだけ、甚だ長くなりまして……最後の百九條の罰則でありますが、罰則の第二項の一号に「第五條に規定する資格を有しない人事官の任命に同意した閣員」が懲役一年以下、三万円以下の罰金になるので、これは甚だ嚴しいお灸のようでありますが、第五條に規定する資格というのは、第五條の本文と、それから第二号以下があるのでありますが、この本文を含む意味になりますと、随分抽象的な文字が使われておるのでありますが、この御解釈は、この第三項の各号という意味でありますか。そうでなく全部に対しての任命をした場合に適用されるのでありますか。例えば「人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり」なかなか抽象的に非常にむずかしい問題であります。どうも人格高潔ならざる人を選んだ場合には、これは内閣総理大臣はそこで処罰を受ける、そういうふうなことに相成るのでありますが、第五條に規定する人格ということは、その全文を意味するのは、然らずして第三項の各号を意味する意味か、これをちよつとお伺いしたいと思います。
#45
○政府委員(佐藤朝生君) 只今のお尋ねでございますが、私共の解釈は第五條全文をやはり意味するのでございます。
#46
○田村文吉君 以上で私の質問を終ります。
#47
○原虎一君 労働関係について二、三点お伺いしたいと思いますが、先程田村委員から質問がありました九十八條、職員が代表者を選んで政府との折衝ができるという代表者のことでありますが、今御説明によると芦田内閣時代にこういうふうに決めた、吉田内閣になつてこれを職員の中から選ぶということに変えたい、併しこれが困難であるという御答弁でありますが、それはどういうわけですか。どういう理由でありますか。吉田内閣でいいということは、どういう理由でなつたのでありますか、お伺いしたいと思います。
#48
○委員長代理(山田節男君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#49
○委員長代理(山田節男君) 速記を始めて。
#50
○原虎一君 私の聽かんとするところは、職員の中から代表者を必ず選ばなければならんということは、いろいろなその意見に対しては想像ができまするが、これは別といたしまして、我々は職員以外からも選べるという途を講じて置くことが、より労働者の公務員の権利を保護する建前に立つものであるという解釈をとるものであります。例えば簡單に考えますれば、大都市或いは小都市にいたしましても、都市におきますところの公務員は、政府と折衝する場合におきまして、知識の点において或いは力量の点において劣らない場合が多いのでありまするが、例えば失礼に亘りますれども、林野、山の中にあるところの公務員というようなものは、必ずしもそういう知識、力量という点において十分備えておるわけではないのであります。そういう場合において又今度事務專從者というものが制限されて休職になつた場合においては公務員という権限がどうなるか、公務員でない事務專從者、傭われた事務專從者が職員でないということになりますれば、この代表者は折衝権を持たない、これは折衝できないということになる。そういう点から考えましても、これは外部からも選ばれる、そのいずれを選ぶかということは、組織の機関が決定するのである、これが私は進歩的であり、労働者を保護するところの精神に基くものであると解釈する。こういう点について現政府がこれを変えなければならんとされたとするならば、その論拠をお伺いしたいから申上げた次第であります。
#51
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。只今佐藤政府委員から申上げましたのは、いろいろ折衝の経過を申上げたわけでございますが、結局現内閣におきまして國会に御提出いたしましたのは、先程私が御説明申上げました通り、代表者というものはその職員の團体において構成員以外からもこれを選び得るというようにいたしましてこれを提出いたしたわけであります。從いまして明らかにその点におきましては、原委員の仰せの通りの見解を取つておるわけであります。その点は公共企業体労働関係法案におきましても、團体交渉を行う場合におきましてその公共企業体の職員を代表する交渉委員が必ずしもその團体の構成員に限られてないというのと、首尾一貫しておる次第でございます。
#52
○原虎一君 次は政治行動に関する問題でありますが、この改正法律附則の第二條に基きまして、「職員で既に公選による公職に在る者は、昭和二十四年二月一日前にその公職を退いて辞表の写及びその辞表が受理され、且つ、その効力を生じたことを公に証明する書面を人事院に送付しない限り、その日においてその官職を失うものとする。」というふうになつております。公務員というものがはつきりして、限界が明らかになつておればこれでもよろしいのでありますが、今日提案になつております國有鉄道法であるとか、專賣公社法関係の法律から見まして、この專賣関係の從業員と國鉄從業員は、公務員法の適用を受けない政府職員というものができるわけであります。そうすると、これはこの法律が実施されますというと、現在鉄道職員で公職を持つておる諸君が即座に二月一日までに辞めなくちやならん。併し今度は鉄道國有法が通過しますれば、公務員でなくなるのでありますから、辞める必要がない、そういう具体的な問題が起つて來るのであります。又人事院において決定されることによつて公務員法の適用を受けない政府職員というものがある。それを進駐軍労働者の中にある者に、そういう問題が起きて來ると思うのであります。こういう具体的な時間的な関係において、当然持つておられる権利を喪失しなければならない。こういう問題が起きて來る虞れが想像されるのでありますが、こういう点はどういうふうにお考えになつておりますか、お伺いしたいと思います。
#53
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。この附則第二條ができました趣旨は、百二條に遡りまして、百二條の第二項によりますと「職員は、公選による公職の候補者となることができない」ということになつておりまするから、その法律の当然の解釈といたしまして、この法律が施行されまするならば、國家公務員で公選による職員にある者は、当然その職務を失うことになろうかと思うのであります。併しそれは甚だ酷な措置になるのでありまして、事情の許します限り、その國家公務員の職にある者が、現に持つておりまする既得権と申しますか、既得の地位、これはできるならば適当な機会までこれを保有させることが妥当なことは、仰せの通りでございます。その意味におきまして、それぞれ折衝を重ねまして、最後に二十四年二月一日まで延びたわけでありまして、これも御承知の通り私がいつぞや申上げた頃の時期よりは更に延びておるわけでございます。そういう間の事情も御諒察頂けたらと、こう存ずるのでありますが、何と申しましても、只今原委員が仰せの通り現在におきまして、國家公務員で將來の時期におきまして、即ち日本國有鉄道法でありますとか、專賣公社法は、これは來年の四月一日から施行になる予定と承つておりますが、その後に施行になりまするならば、その後は公職を兼ね得る職員でありまして、現在の下におきましては兼ねられなくなる、こういうギヤツプが出て來ることは、これは仰せの通りでございます。これはいろいろ経緯があるわけでありますが、併し結局それらの國有鉄道或いは專賣公社に属する職員にいたしましても、國会議員でありまするとか、地方議会の議員とかいうような、主な公職とは兼ねることができないようなそういう案で、その点におきましては、或る程度までその矛盾を事実上は少くなるような、案としては出ているわけでありまして、今後御審議頂くわけでございますが、案の建前としてはそういうような構想で、そのためにギヤツプは事実問題としてはそう多くはない、こういうように考えておりますが、仰せのギヤツプは一應確かにあろうかと思つております。
#54
○原虎一君 もう一つお伺いしたいと思いますが、それはこの法律によりまして、公務員は勿論労働組合法の適用を受けないことになつております。併し労働組合法の四條から行きますれば、警察官、消防夫、監獄に從事する職員は、これは労働者の團結権を持つていない。公務員は労働組合法による團結権は持たない。公共企業体の労働者は、私はまだ十分研究いたしておりませんが、そういう関連法との関係において、一体この公務員法に基く職員組合を作れるのかどうか。團結権の禁止されておる労働組合法との関係であります。これらについては政府当局はどういうふうにお考えになつておりますか。公務員には違いない、監獄に從事する職員、それから消防夫、警察官は……労働組合法で禁止されておるということと、この公務員法によつて職員組合組織ができるということと、この点の関係はどういうふうに法的に解釈したらよろしいか、お伺いしたいと思います。
#55
○政府委員(岡部史郎君) 恐れ入りますが、ちよつともう一度おつしやつて頂きたいと思います。恐縮でございますが……。
#56
○原虎一君 簡單に申しますと、労働組合法の第四條に基いて、監獄に從事する者、消防夫、警官は労働組合は作れない。公務員法に基くと、これは職員組合は作れる。そうすると、これは労働組合法と公務員法との関連はどういうふうになつて來るか。法的解釈を明らかにして頂きたい。
#57
○政府委員(岡部史郎君) 私のお答えに或いは誤解があろうかと存じますが、聽き違えましたら又改めてお答え申上げますが、警察職員、消防職員及び海上保安廳又は海上において勤務する職員というものは、從來におきましては労働組合を結成することができなかつた。今度の國家公務員法の中に取入れられました場合においては、当局と勤務條件に関して交す渉る團体を結成することが許されないものであるということを、先程申上げたのでありまして、原委員はそういう團体を結成することができるというように仰せられたように思いますが、それはできないと私共申上げたのでございます。
#58
○原虎一君 私少し出席が遅れましたから、その説明を聽いていなかつたので……。それなら私も言う必要はないと思います。それで結構です。
   〔羽仁五郎君発言の許可を求む〕
#59
○委員長代理(山田節男君) どうでしよう、お諮りいたしますが、すでに十二時半でございまして、速記を十二時以後は成るべく使わないということで、三十分経過しておりますが……。まだ御質問もあるようでございますが、一つ次回にお讓り願えませんか。
#60
○羽仁五郎君 了解いたしました。
#61
○委員長代理(山田節男君) それでは次の会に讓りまして、今日は散会いたします。
   午後零時三十分散会
 出席者は左の通り。
  人事委員
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
   委員
           赤松 常子君
           大山  安君
           東浦 庄治君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  労働委員
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           平野善治郎君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           田口政五郎君
           田村 文吉君
           早川 愼一君
  政府委員
   臨時人事委員  上野 陽一君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局長)  佐藤 朝生君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局法制部
   長一級)    岡部 史郎君
ソース: 国立国会図書館
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