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1948/11/19 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第6号
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1948/11/19 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 人事・労働連合委員会 第6号

#1
第003回国会 人事・労働連合委員会 第6号
昭和二十三年十一月十九日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後一時三十二分開会
#2
○委員長(中井光次君) それではこれより連合委員会を開会いたします。昨日労働に関連した問題についての御質問が残つておるそうでありまするから、それを少し続行いたし、然る後に又第一章から逐條に進もうと存じております。原さんから御質問があつたそうでありまするが、原さんがお見えになつておりませんから、では原さんがお見えになりましたら又改めて御質問願うことにいたしまして、逐條に進行いたしたいと存じます。
#3
○政府委員(岡部史郎君) それでは本日は逐條につきまして、その要点について御説明申上げまして、その都度御質問を頂きまして、それでお答え申上げるというようにいたしたいと存じます。
 先ず第一章の総則の第一條でございますが、これは先般淺井委員長から申上げました程度以上に附加えて申上げることがございません。次に第二條一般職及び特別職の問題でございますが、これは淺井委員長からも御説明申上げました通り、この國家公務員法はできるだけ廣い範囲の國家公務員に適用すべきものであるという原則からこれを拡げたわけでありまして、從いまして、今までこの特別職の範囲というものは何を標準にするかということにつきまして統一的な言辞を見出すことが比較的困難だつたと存じますが、改正案におきましては、特別職というものは主として政策立案に携わる者、いわゆるポリシイ・メーキング、こういうような地位にある者が特別職になるのだ、こういうような説明も可能かと存じます。それの例外といたしましては、司法部の幹部的職員、これは勿論そういう理由によりまして特別職に入れますが、そのほかは大体ポリシイ・メーキングの地位にある職員を入れる。それでこの第一條と関連いたしますが、從來におきましても國会議員が國家公務員であることには疑いがないのでありますが、この法律の建前として國会議員はこれは特別の地位におられるから法律の適用は初めから除外しておる、こういうような趣旨であつたように承わるのでありますが、この度はやはり國会議員と雖も國家公務員である。その特殊性、特別な地位にあることは十分認めるけれども、やはり國家公務員という意味においてこの國家公務員法の適用は……一應國家公務員法の枠の中に入りまして、やはり特別職の中に入ることが法律上適当であろう、こういう意味におきまして第二條の九号を改正いたしました。現行法の第十一号を九号にいたしたわけでありますが、九号におきまして「就任について選挙によることを必要とし、」こういう條項におきまして、國会議員をこの地位に含ませることに相成つておる次第でございます。
 尚十二号に参りまして、最高裁判所判事祕書官、これは裁判所法の改正に伴いまして最高裁判所の判事にそれぞれ祕書官がつくことになりましたので、これも他の祕書官並に特別職に入れることにいたした次第でございます。尚先般お尋ねにお答えいたしたのでありますが、國家公務員の範囲の明確に抽象的に規定することが極めて困難なのでございまするので、國家公務員法の範囲に属するか属しないかということが問題なので、或いは特別職か一般職かということが問題になることがあり得ることでありますので、それらの具体的な事柄につきましては人事院がこれを決定するというようなことにしたわけでございます。それから尚この場合におきまして、外國人に関して規定してございますが、原則といたしましては、政府と雇傭関係に立つ日本人は一般職か特別職かどちらかに入るのでありまするが、政府又はその機関と外國人との間に個人的基礎に基いい労務の提供、契約、もつと廣い意味におきまして勤務契約がなされた場合におきまして、それが國家公務員になるのかならないのかということがいろいろな場合にあろうかと思います。日本の國法の建前において、國家公務員とは認められないということがあろうかと思うのでありますが、そのような場合におきましても、そのような契約は有効である。その前に項において一般職又は特別職以外の勤務者を置いてこれに給料を支拂つてはならないという規定があるわけでありまするが、それ以外の場合があり得るのだということを申しておるわけであります。
 その次は人事院の問題に入りまするので、一條、二條につきまして以上の御説明申上げた点につきまして御質問がございますならばお答え申上げたいと存じます。
#4
○委員長(中井光次君) 一條、二條について御質問がなければ……。
#5
○羽仁五郎君 私遅れて來たので、ちよつと伺いたいのですが、國家公務員法の一部を改正する法律案の第一條ですね。
#6
○政府委員(岡部史郎君) さようでございます。
#7
○羽仁五郎君 この第一條の三項以下ですが、「何人も、故意に、この法律、人事院規則又は人事院指令に違反し、」というのと、それから「この法律の規定が、從前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する」云々と、こういう規定は、どういう意味でかように入れられたものか、それを伺いたい。
#8
○政府委員(岡部史郎君) この第三項の何人も故意に、この法律に違反してはならない云々のことでありますが、これは当然のことでありまするが、この法律の忠実な、或いは誠実な履行を確保するという意味の宣言的な規定でありまして、これに対しましては別に罰則の規定がございませんから、この條項に関しまする限りは、これは強行法規ではないものと言えようかと存じまするが、要するに罰則の適用がなくとも、この法律その他の規定に違反してはならない。それに違反した場合においては行政上の処置は受けることがあるという程度の、いわゆる訓示的な規定と御了承頂きたいと思うのであります。
 それから、その次の項でございますが、これもちよつと珍らしい形の項かと思うのでありまするが、先般淺井委員長から御説明があつたように記憶しておりまするが、これは最高裁判所の法律審査権と関連しておるものと私は解釈しております。即ちこの法律の條項のうち或る規定が、これは憲法違反であるというような判決を受けますと、その條項は無効とされることがあり得ると存じます。併しながらその一つの條項が無効とされましても、別にこの法律全体の他の規定はその効力に影響がない。又或いは或る項の規定が、或るケースに対して適用……具体的なケースに適用される場合があるわけでございますが、その適用が具体的な判例その他において、このケースにこの條項を適用すべきものではないというような判決例を受けることがありましても、その條項はそれではそのまま効力を失うわけではないのでありまして、他の違つたケースに対してはそれが適用があり得るというような、別に特別変つた意味の原則を闡明しておるわけではないのでありまするが、要するに最高裁判所の法律審査権との関係における原則を一應第一條として謳つたものと考えております。又「この法律の規定が、從前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には、この法律の規定が優先する。」と申しまするのは、これはいわば後法、前法の関係を仮に規定したものと申すことができようかと思いまするが、立法者の趣旨といたしましては、それを倫論的に、道徳的に、この法律が從來の官吏関係の法律の中で基本的な規定になるのだというような氣持を現わしていようかと思つております。
#9
○羽仁五郎君 この末段の「從前の法律」というのは勿論憲法を含まないのだろうと思いますが……。
#10
○政府委員(岡部史郎君) 勿論憲法を含んでおりません。
#11
○羽仁五郎君 今御説明を伺うと、これらの第三項以下の條文というものは、必ずしもなくともよいというものであるのじやないかと思うのであすが、政府委員が特に專門家として、こういうものが法律に食い付いておることが法律の権滅を高めるゆえんであるか、低めるゆえんであるか、どうお考えでありますか、
#12
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。高めるゆえんか、低めるゆえんかというお尋ねでありますが、こういうような規定があつたからといつて、法律の権滅が高まるわけでも、又特別低めるわけでもございませんが、私見を申上げますと、從來の法律と申しまするのは、極めて簡潔に、簡素に一字一句もゆるがせにしない、極めて嚴格な表現の法律が多かつたかと思います。併し最的の傾向といたしましては、できるだけ説明的な分り易いような表現、それは文章の表現のみならず、意味におきましても繰返繰返その理解に便ならしめるというような方向が強いように存じます。そういうような一つの現われでありまして、從來の法律は羽仁先生もよく御承知の通り、法律の目的などを謳うようなことはございませんでした。又は法の趣旨などを謳うようなことはございませんでしたが、最近におきましてはその目的であるとか、効果であるとか、或いは倫理的な又は訓示的な規定を謳う、そういうような最近の傾向の一つの現われである、こういうような解釈であります。
#13
○羽仁五郎君 政府委員の只今のお答えは、政府委員の法律の專門家としての良心に基いておられるかどうかを私は疑わざるを得ない。というのは、明らかに普通のまあ俗論ならばいざ知らず、法律家が良心を以て考えるときに、從前の法律がよかつた点を今日改革すべきでない。從前の法律が簡潔であるというのは、法律は決して曖昧な言辞を以て、或いは人民の権利を侵害するというよなうことは絶対にあつてはならないという意味から、法律の規定は常に明確でなければならない。で今おつしやる或いはその法律の目的とか或いはその趣旨とかいうものを現在の法律が用いているということと、それから只今問題になつている場合とは全然問題の性質が違います。それで結論的に申上げますと、この法律が違反されるのではないかということが予想されておる法律だて思うのです。即ちこれは惡法です。惡法は法ではないのです。法律というものは、根本的に國民が喜んでこれに從うものでなければならない。ところが何かそこに無理があると、この法律が最初から違反されるのではないかという懸念を持つて立案されている。そういう場合にこういう規定が出て來るものだと思うのです。これは政府委員がどうお考えになりますか。法律が國民が如何にも尢もだと納得して、そしてこの納得に基いてこれを忠実に守るという法律が、さつき申した私の法律の権滅を高からしめる法律だというのです。そうでなくて、何らかそこに無理がある、從つて國民がそれを違反せざるを得ないものがあるのじやないかということを予想して、それに対する禁止規定というものを、第一條に揚げるというようなことは、法律の権滅を失墜するということを、私は申上げるのです。そういう点において、これはどうしても殊にこの重大な國家公或員法第一條において、そういう意味において客観的に理論的に解釈されるように、この第三項以下の條文にお削りになる意思はないかどうか、そういう点を御研究になろうとお考えにならないかどうか、それを伺いたいのです。
#14
○政府委員(岡部史郎君) 平素尊敬しております羽仁先生から、良心を疑われるような説明と言われまして、私としては大変心苦しいのであります。率直に申上げたいと存じます。今お尋ねのような点につきまして、これが、この法律が違反されることを初めから予想して、それを恐れるというような建前から、この條項が入つているわけではないのでありまして、飽くまで法律は法律の建前からいたしまし前、現在の憲法の建前、即ち從來の明治憲法の上から申しますと、裁判所には勅令に対する審議権はございますが、法律に対する審査権は認められてないわけでございます。從いましてこのような第一條四項に見ますような規定は許されなかつたかと解釈しております。併しながらこの新憲法の下におきましては、このような建前が法律の建前として、当然であるわけなんであります。即ちその國会の意思によつて制定されました法律も、それは一度は最高裁判所の行において、憲法の鏡に照らして、これが有効か無効かという判定を受けなければならない運命にあるのであります。そういうような意味におきまして、そういう原則をここに規定したわけでありまして、初めからこの法律が違反されることを危惧して、こういうように表現をやつたものではないとかように確信しております。尚先程私が一番整に申上げました法律の規定の表現の問題、これは御承知の通り、日本の法律というものは、極めてこの嚴格な倫理的な発展を追うておる、極度に観念的な大陸系法律を骨子といたしまして、それに漢字の最も簡潔な表現と結び付いたものが、從來の法律の形だつたろうと存じます。それが今の、殊に終戰後の法律におきましては、そういう法律の体系で、主して大陸法系的の考えから、英米法系的の考えにその観念が変つて來つつある。俗な言葉で申しまするまらば、プラグマティズムのような精神が次第々々に現われまして、できるだけ分り易くしよう。少しは余計な言葉に見えるかも知れないけれども、成るべく分り易い、親しみ易いことにして、簡潔よりは十分に説明するというような表現を取ろう。こういうような傾向になつて來ておるのでありまして、それをどちらが法律としていいか惡いのかということは、これは又別な表現の問題であろうかと存ずるのであります。以上を以て御説明を終ります。
#15
○羽仁五郎君 それでは伺いますが、この改正案の第九十八條第五項においては、この法律が國家公務員について規定すると、それに限らるべきであるのに、國家公務員でない一般國民に対する規定を含んでおる。これは政府委員としてだけではない。專門家としてのあなたの良心から、法律として立案されたものであると、こうお考えになりますか。どうお考えになりますか。
#16
○政府委員(岡部史郎君) 今のお尋ねの所は、九十八條第五項の後段「又、何人も、このような違法な行爲を企て、」云々してはならないということをお指しになつておることと存ずるのでありまするが、これはこの法律が、原則といたしまして、國家公務員に関して規定しておることは申すまでもないことでありまするが、法律の性質といたしまして、すべてを國家公務員に限定することができないことはこれは言うまでもないことなんであります。例えて申しまするならば、試驗について規定いたしまする場合につきましても、何人も公開の競爭試驗を受けることができる。又何人も門地、社会的身分或いは政治的團体に所屬しておること或いは政治的思想によつて差別されてはならないという場合におきましては、國家公務員以外の者に及んでおるわけであります。又同じくそういうように、技術的な面におきまして、どしうても國家公務員以外に及ばなければならない、或いは及びのが当然な場合ができて來るわけであります。又お示しの九十八條の第二項におきまして、「職員は、これらの組織を通じて、代表者を自ら選んでこれを指名し、」云々とございますが、この場合の代表者、これも國家公務員の範囲外に属する者があり得るわけでありまして、そういう工合に、何人もこの國家公務員のみならず、國家公務員以外の者を規定することは、これは法律の技術的のものでありまして、お示しのような倫理的な意味において、國家公務員以外に一般的な國民をこの枠内に持つて來るということは、その具体的な條項は別でありますが、技術的に許されるべき法律技術と存じております。
#17
○羽仁五郎君 今九十八條の第五項でしたか、それを挙げたのは、この第一條の第三項以下と関連して挙げたのでありまして、只今の御説明は、いずれも私の学問的良心を満足させることはできないと存じます。で、九十八條に現れておるような精神が、第一條にも現われておる。客観的にこれを眺めるときに、どうしても、單に法律を分り易くするというような人民に対する善意から出ておるとはこれは考えられません。どうしても第一條の第三項以下のものは、この立案者において、予めこの法律は無理であるということを意識してこの規定を設けたものだと解する外ないと思います。それから、從つてこの第一條のこれらの精神が第九十八條の第五項かに現われておるように、この「何人も」というのは、さつきの代表者の場合とは全然意味を異にしておる。これは日本國民が政治的或いは経済的な主張を以て活動することに対する制限であります。明瞭に憲法において保障されておるすべての國民に共通する基本的な人権に関係する規定であります。そういう意味でこういう規定が國家公務員法の中でなされ得るならば、それは憲法の中でなされ得るものでなければならない。從つて第一條の第三項以下のものも、こういう精神というものは憲法の中に十分保障されておるので、だから法律の規定は又常に必要にして十分でなければならないのであります。その必要に十分な限度を超えて來る場合には、これは基本的人権を侵害する、或いは國民を無用な恐怖に陷れる、そうして却つてこの法律が國民によつて喜んで守られるというふうにならない……という私の理解は、御説明によつて少しも納得できない。で、併しどうか今申上げたことを、第一條及び第九十八條の、その第一條の同じような精神に関する限り、尚今後も十分良心を持つて研究をして頂きたいというふうにお願いをいたします。これは実際國民の將來を長く決定することであつて、こういうことを繰返しておるうちに、我々が最近深刻の経験をしておるような、國際法廷の判決というものを受けなければならないことにならないとも限らないのであります。どうかこの点は十分御研究を願いたいというふうに希望いたします。
 次に第二條でありますが、第二條につきまして、皆さんがよく御承知のように、國家公務員法の本法におきましては、その第十二号に現業廳と公團その他に関する規定があり、そうして第十四号には單純な労務に雇用される者というのがあつたのであります。で、これはこの國家公務員法の本法が昨年末第一國会において審議されましたときに、國会は十分の愼重の審議を以てそうして國家公務員法本法を制定したのであります。これが先日來、淺井委員長或いは……殊に淺井委員長の御説明の中にもあつたように、数ヶ月にして変えられるということは、國家公務員法本法そのものの権威に関するし、從つて又この國会の権威にも関することなのであります。これにはいろいろな事情もありましよう。いろいろな事情もありましようが、併し我々が國会において守られなければならないことは、第一には國会の権威であり、從つて第二にはその國会を一旦通過した法律というものの権威は十分に守らなければならないと思う。この点はどういう方面に向つても十分主張し説明することのできることで、それを何が故にこの國会を通過した國家公務員法のインクを乾かないうちにこの重要な項目を削除をされるということを敢えてなさるのか。これは國会の権威のために、又法律の権威のために是非元に復して頂きたいというふうに考えておりますが、どうお考になりますか。
#18
○政府委員(岡部史郎君) 只今御質問中にございました前段の点につきましては、尚十分考えせさて頂くことにいたします。それから後段の特別職の範囲の問題でございますが、お示しの通り現行法の特別職と何を基準にしてこのような特別職というものを構成しているのか、法律的に見まして、これを何か貫く標準なり現理なりがなければならんものと存ずるのでありまするが、これを幾ら読んで見ましても、これを適当な現理で分類することは殆んどできないものでございます。特別職というものはどういうもので大体なければなせんか。國家公務員法の適用を受ける一般職即ちクラシフアイド・サーヴイスでありますか、そういう種類のもので、一般の國家公務員法のと申しますか、官吏法の原則を受けるというものは大体こういうものである、それをなし得るものはこういう原則によるものだ、そういう意味におきまして、この度は整理したわけでありまして、この点につきましては、先程申上げました通り、第二條の特別職は、今度は主として政策の企画立案に從事する者を主とするというような原理を貫くことができるように思うのであります。そういうことを先般御説明申上げたわけでありますが、從いまして現業廳、公團に從事する職員、それから單純なる労務に從事する職員はこの中から抜けまして、一般職の範囲内に入つたわけでございます。これを一般職に入れるか特別職に置いて置くかということにつきましては、お示しの通に十分論義のある問題でございます。又どちらが絶対的にいいのかということも簡單には言えん問題でありまして、お示しの御議論に十分根拠があり、道理がある御尤もな議論と存ずるのでございますが、これを除きました理由は、これらの職員に関しましても、できるだけ合理的な人事行政を行うようにするのが本筋ではないか、こういうような考えが一つと、それから主として現業廳の問題でございますが、現業廳の職員が特別職になつております実益、実益と申しましては卑俗な表現になりまして恐縮でございまするが、その現業廳の職員が特別職として許されている大きな特色は何かと申しますと、現行法の下におきましては、労働爭議権が許されているということが一つの大きな特色であつたわけでありますが、これが排除される。それのみならず労働組合の結成も排除されるというこの法律の別な構想の方面から考えて見ますると、こういう点が抜けて参りますと、その外の点については同じようないろいろな規定を適用する方が一層科学的、合理的な人事行政を受け、他の一般公務員と同じように、待遇の点につきましても、自動的に同じような便益を得るというようにした方がよかろうと、こういう建前から今度の規定が設けられたわけでございます。勿論その背景をなします現業廳の職員というものが國家公務員である前に純粋の勤労者である、その勤労者としての立場をどうするかという問題につきましては、これは一層深い問題があろうかと存じまするが、そこまでは触れないで、以上を以てお答えといたします。
#19
○羽仁五郎君 今のお答を伺つて、さつき私がお尋ねいたしたことにお答えがないのですが、私の要点は、そういうあらゆる問題に関する討論は第一回國会において終了して現行法が成立しておるということなのです。國会においてあらゆる論議が繰返されたものを、数ケ月を出でないで、本法の印刷したインキの乾かないうちにこれを変えるということをやることが國会の権威、又法律の権威のために歎くべきこととお考えにならないのかということをお尋ねしておるので、これが除かれた理由を伺つたのではありません。その点について十分……眼前の個々の問題ということにばかり眼をとられておると、國家及び國民を不幸に導くことがあるので、そのことを我々としては最も深く考えるべきことなので、基本的な点を守るということは関係方面にも十分説明され得る筈だと私は思うのであります。それで、今の御説明に関係した点だけでなく、先ずその点についてのお答えをお願いしたいのであります。
 その次に今御説明になつた点でありますが、單純な労務或いは現業廳に働いておられる方達というものに対して、恰かもその利益を保護するために、これを公務員として一般職の中に入れられたような御言葉がありましたが、どうかそういうようなお考えは止めて頂きたいと思うのであります。そういう現業廳或いは單純な労務に雇傭されておる人達は、それ自身の力を以てそれ自身の生活を守る方法があるのです。で、それでそれが又近代の民主主義の原則でもあるのであります。この國家公務員法の最近の改正の中には、幾分いわゆる戰時法と言いますか、軍事法的な色彩があると学問的には考えざるを得ないのであります。そういうことを我々がこの國会において、民主主義を建設して行くときに許されるべきことではないと私は考えるのです。やはり本法は先申上げましたように、國会の権威のためにも、又法律の権威のためにも、忽ち制定後数ヶ月にして改められる、いわゆる朝令暮改ということをやるべきではないということ、次に單純な労務に雇傭されておる人達に対しては、その第一の方法、つまり労働組合によつてその人達がその人達の生活をみずから守るという方法を採るべきであつて、その人達を公務員の中に入れて、これを保護してやるという考えに立つべきではない。民主主義の基本的な方針からそうお考えにならないかどうか。その二点について伺いたいと思います。
#20
○政府委員(岡部史郎君) 第一点につきましては、お答え漏れいたしたわけでございますが、勿論仰せのごとくに法律というものが廣く一般國民を対象としてその理解の下に運営されなければならないことは申すまでもないことでございまするから、その意味において法律には法的安全ということが尊重されなければならんことは申すまでもないことであります。從いまして法的安全という意味から申しまするならば、できるだけ或る法律が変更を見ないで施行されることが望ましいことは言うまでもございませんが、又同時に社会情勢が激動しておりまするときにおきまして、法的安全を固守するということは、法律の化石化或いは時代遅れを招く虞れのありますことは、これは申上げるまでもないことでございます。そういう意味におきまして、この國家公務員法が昨年の十月の下旬に制定されたばかりではございますが、その後の社会情勢或いはいろいろな情勢を考え合せまして、これが制定を見ると同時に、又これが今の情勢に適應しつつ、この激動する社会情勢に適應しつつあるのかどうかということを絶えず檢討をすることも、立法に携わる者の必要欠くべからざる仕事と存ずるわけであります。そういう意味におきまして、マッカアーサー元帥の書簡にもありまする通り、制定後間もなくこの法律についても改正すべき点があるかどうかということについて研究が行われつつあつたということが示唆されておるわけであります。その後の研究の結果に基いてこの法律に欠点がある、直すべき点があるという結論に達したということも、たしか同書簡にはつきり見えておつたと思いますが、そういうような趣旨において、この法律がこの度取上げられたというように御了承頂きたいと思うのであります。それはひとりこの特別職の範囲のみではございません。
 次にこのお尋ねの第二点でありますが、極めて根本的な問題、民主主義の下における國家公務員の根本的な在り方に触れて参りますお尋ねでございまするが、國家公務員法をこれらの國家公務員に適用するという一つの大きな狙いは、これらに対しまして科学的な能率的な人事行政を確保いたしまして、同時にこれらの職員がその民主的な手続によつて選ばれ、選択されるものであるというようないろいろな原則を規定しております。勿論その國家公務員が國家公務員としてふさわしい生活、ふさわしい待遇を受けなければならないという点におきまして、又これらの者が不当な取扱、不当な処分を受けた場合において、これが是正救済の途も開かれている、そういうような意味において保護的な規定もあるということを申上げられようかと思うのでありますが、必ずしも何でもかんでも保護してやるのだ、保護してやるのだという建前ばかりでもないのでございまして、決して單なる保護規定でもない、併し現在の職能的な國家といたしまして、すべての勤労を國家の公務に捧げる職員をできるだけ手厚く面倒を見ようという國家側の意思が、これに現われていると申しても言い過ぎではなかろうかと存じまするが、これを以てお答えといたします。
#21
○羽仁五郎君 もう一遍お答え頂いた方がいいのか、それとも考えて頂いた方がいいのか分らないのですが、どうかもつと根本的に考えて頂きたいと思うのです。それで情勢の変化によつて法律を変えるということは勿論あることですが、併しながら法律は絶えず進歩的にのみ改正することができるので、人民の既得権を侵すことはできないのです。決して情勢がどうであるからと言つて、前に進歩的な規定があつたものを削るということは少くとも國会がやるべきことではないのです。それが何らか他の理由でやられるという場合に、或いは軍事的或いは戰時的というようなことがある、その場合は法律は引つ込んでサーベルが出て來た場合なのです。そういう意味でもつと根本的に考えて御覧になつて、國会は昨年に愼重審議決定したことが今日すでに誤まつているということがあつたと、あなたとしてお考えになれるかどうか。又我々として、國会議員として考えることができるかどうか。我々は昨年の末に今日を予見することができなかつた程愚かな議員であるのか。或いは愚かな國会であるのか。又この問題は具体的にも関連して來ますが、公務員に規定される人達が公選による公職による公職に就いておる場合、先日の原委員からの御質問であつたと思いますが、その場合の時間のズレというものをこの法律は平氣で侵している。そういう点から見れば今の御説明はむしろ逆にしか解釈されないのであります。そういう点から当然サーベルによつてではない法律によつて考えれば、現業を区別することが、單純な労務に属している人をこの中に入れないのが当然であります。その点を考えて頂きたい。
 それから次に保護ということを、これは先日來、上野委員も頻りとその言葉を使つておられますが、パターナリズムは法の進歩かどうかお分りでしよう。パターナリズムを我々は復活させてはならないのであります。その意味で科学的な調査をしてやるということをおつしやいますが、これもパターナリズムの新らしい変型に過ぎません。單純な労務に從事している労働階級、或いは現業廳に働いておられる人達がそれ自身でそれ自身の生活を守ることが民主主義の根本であるということを申上げておるのです。現に上野委員も先日來、非常に苦心されておりますが、國家公務員法を以て單純な労務に從事している労働階級の人達を保護しようということは、人事委員会、或いは人事院の到底なし得ないことであります。現在の予算を御覧なさい。何の力によつて人事院なり人事委員会なりは、いわゆる科学的に算定した賃金ベースを守れるという確信がおありになりますか。現にないではありませんか。そういう意味で、僞善的なことを我々は國民の前で、二度と繰返してはならないという意味から、私は法の第二條の第十二号及び第十四号というものは、國会の権威において存続せられることが、これを改正法において削らないことが占領政策の完全な効果を挙げることでもあり、國会の権威を挙げることでもあるということを、この委員会において皆さんにおいて十分に考えて頂き、政府においても考えて頂きたい。眼前のことに眼を奪われることなく、日本の民主主義をただ一筋に築いて行く。後世の歴史家から我々が批判されて恥しくないという方向に是非進んで頂きたいというふうに我々は希望しますと
#22
○早川愼一君 私お伺いしたいのは第一條の第二項のことであります。いろいろ御説明を伺いましても、どうも國家公務員という範疇がよく分らないのであります。実はこの現在出ております政令の方に「任命によると雇傭によるとを問わず國、又は地方公共團体の職員の地位にある者」こういうふうに公務員を規定しておられますが、こういうことが國家公務員であるかどうか、どうもそこのところが御説明によるというと、最終的には人事委員会でお決めになる、こういうふうに受取られるのですが、それにしても國家公務員とは何であるか、それに関連しまして憲法七十三條にいう官吏、この官吏と國家公務員とはどういう関係を持つているのか、又この第二項はどういう意味を持つてここに書いてあるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#23
○政府委員(岡部史郎君) 國家公務員の範囲につきましては、確かにこれを定義付ければ、今の段階においては極めて曖昧なものしか規定でなきないことは誠に遺憾とするところであります。例えて申しますれば、官吏の範囲如何ということは、これは極くはつきりいたすことでございます。その代りにその官吏の中にはいわゆる雇員でありますとか傭人でありますとか、或いは嘱託というような、実際、相当國の事務……ひとり現業的な仕事のみならず、行政事務にさえ携わつている人達をも、この官吏の中には入つていないわけでありまして、具体的に申しまするならば、官吏任用叙級令で、官吏を分つて一級、二級、三級とする、というこの範囲に入つているものしか官吏と言わぬわけでありますが、この國家公務員法におきましては、一級、二級、三級、或いは從來の親任官、勅任官、奏任官、即ち高等官とか判任官とか、こういう等級別を廃止いたしまして、廣くこれらのものは勿論でありますが、この他雇員、傭人、給仕、小使さん、こういうような、從來の観念で言いますならば民法上の雇傭契約に過ぎないのではないか。私法関係の雇傭勤務関係に過ぎないのではないかといつたものをも國家公務員の中に包含いたすことにしたわけであります。そういう意味におきまして、この範囲は極めて曖昧でありまするが、將來職階制が実施されるようになりまするならば、その職階制の中に含まれているポストを占めるものはすべて國家公務員である。すべての國家公務員が占めるあらゆるポジションというものはすべてこの職階の中に含まれてしまう。そういう意味で、次第々々にはつきりして参ろうかと存じておるわけであります。現在のところにおきましては、そういう意味でいわば從來の極めて嚴格な公法的観念と私法的観念との混淆を來し、この二つに網を被せてしまつているという関係で、実にはつきりいたしませんが、そのようなはつきりしない観念は、他の幾多の現行法においてもすでに現われているわけでございまして、すでに御制定頂いております國家公務員共済組合法におきましても、その第一條といたしまして、國家公務員たる職員といたしまして、「國に使用される者で國庫から報酬を受けるもの」という程度にしか縛つておりません。これなども極めて曖昧な表現でありまするが、大体この程度以上の表現というものが困難であるということを示しておるものかと思います。具体的ないろいろな法律を適用するに当りましては、このような曖昧な包括的な表現のうちその適用を排除するものを具体的に抜き出して來る。こういうようなことによつてやつて行くより当分致し方なかろうかと存じます。誠にこれは私共といたしましても不十分であり、心苦しい次第であります。
 次に憲法とこの法律との関係につきましては、時間的なズレがあるのでありまして、憲法におきましては、憲法と國家公務員法との制定の間には僅かしか時間のズレがないのでございますが、現在のように國家公務員という観念がこれ程廣く使われて、官吏という観念が急速に、近い將來において拂拭されるだろうとは予想されなかつたところと言えるのであります。この点は先程羽仁委員から御指摘があつた点にも関連するのでありますが、現在の情勢の下においては、この法律観念も極めて激動しつつある一つの例であろうと存じます。憲法においては御承知の通り十五條などにおきまして公務員という観念は使つておりまするが、それと同時に從來の官吏という観念を使つているわけでありまして、その官吏という観念をなぜこの第一條第二項において借りて來たかとこう申しますると、これは第三條に関連して來るのでございますが、人事院が設置されますと、内閣の中において、憲法にその根拠を求めるならば、七十三條第四号の「官吏に関する事務を掌理する」、この仕事をするのだという意味でございまして、表現は憲法そのままの官吏という言葉を使つておりまするが、將來憲法が改正される時機がありまするならば、この官吏というような言葉も或いは國家公務員というような言葉に替えられることもあろうかと私内々では考えているわけであります。少くともここに食い違いがあることはお説の通りでございますが、この第一條第二項はその憲法の言葉を引張つて來たという意味において御了承頂きたいと存じます。
#24
○早川愼一君 國家公務員法で國家公務員と言つた場合に、その言葉の範囲がはつきり分らんということは、非常におかしいと思うのでありますが、何か併し例えば現在政令で出されておりますこの文句ですな、「任命によると雇傭によるとを問わず國の職員たる地位にある者」、これが一体公務員なのかどうか、或いは又國家の俸給或いは支拂いを受けている、そうして國に使用されている、こういう者が國家公務員であるということくらいは決めて差支えないのじやないですか。職階ができなければ公務員がはつきりしないというようなことは、範囲が決まつて初めてその間に職階ができるだろうと思うのですが、どうも逆のような御説明にしか受け取れないのですか。
#25
○政府委員(岡部史郎君) 全くその点はお説の通りでございまして、できたら國家公務員とはこれこれを言う、併しそれについて疑問があれば人事院が決定するとか、何かで決定するとかいうことも立法技術として全く考えられるところかと存じます。ただこの法律といたしましては、そこまで行くことに躊躇いたしたいというような状態でございます。
#26
○早川愼一君 一つそれじや具体的にお伺いしますが、進駐軍に備われている人達、これは一体公務員なんですか。
#27
○政府委員(岡部史郎君) 進駐軍のために労務に服しておりまする者が國家公務員であるかどうかということにつきましては、一應疑義があるわけでございまして、必ずしも自明のものではないと存ずるのでありますが、いろいろ実情を調査いたしました結果、結局進駐軍の労務に從事する者は、國の仕事に從事し、國から雇傭されているという範囲内において、そうであるものである限りにおきましては、これはやはり國家公務員の中に入れなければならないのじやないか、こう存ずる次第であります。又例えて申しますれば、その法的根拠その他も当つて見たわけでありまするが、大体において現在までもやはり國家公務員の一種と考えておるわけでありまして、先程援用いたしました國家公務員共済組合法におきましては、「國に使用される者で國庫から報酬を受けるもの」を職員といたしまして、これらの者が「相互救済を目的とする共済組合を組織する。」とこう規定しております。併しこれらの者の中で、共済組合法の適用を受けるのを不適当とする者を具体的に除いております。例えば明白に國家公務員ではあるけれども、常時勤務に服しないような者は掛金その他を取る関係で省こう、それから公團又は特別調達廳の職員の中で一定の者、それは明らかに國家公務員なのでありまするが、これも特別の事情によつて除く、それと肩を並べまして連合國軍の需要に應じて連合國のために労務に服する者というのをこの法律の第一條で除いておるわけでありまして、こういう法律の建前から申しましても、やはりこれは從前から、この法律制定の当時の意識におきましても、やはり國家公務員と見ていた証拠がございます。その他疑義がありまするので、私共といたしましては、調べれば調べる程実は公務員法の適用を受けても外すべき、その特例を認めるべき余地が非常に多いことはいよいよ分つて來るわけなのでありまするから、いろいろ打合せもいたし、研究もいたし、殊に関係方面とも打衝いたしまして、結局これはやはり國家公務員の一種に属するに違いないというように私共では解釈いたしております。
#28
○早川愼一君 それは何か人事院規則でもできますとはつきり分ることですか、それともその都度その都度新たに起きた事件によつて公務員法の範疇に入れるか入れないかお決めになるのですか。
#29
○政府委員(岡部史郎君) 人事院規則でこれこれは國家公務員の範疇に属しないということを規定することも一つの方法かと存じまするが、具体的にそれぞれの所管廳から疑義があります場合に申出て下さるのを例としております。例えば進駐軍労務者につきましては、特別調達廳から申出がありました場合に、これに対して解釈を回答の形で差上げるというような措置をとつております。
#30
○早川愼一君 もう一つお尋ねいたしますが、そうしますと、例えば單純な労務を供給しておるような、日々不定な人が傭われておる。こういうものは公務員なんですか。公務員でないのですか。
#31
○政府委員(岡部史郎君) 極端な例は別問題でありますが、私共の解釈の限度といたしましてはい國家から雇傭され、國から給與を受け、而も或る程度の継続的な常勤的な観念はこれを入れたい、こういうように私共考えております。
#32
○平野善治郎君 第二條の問題及び第一條の今までの政府委員の話を聞いておりましても、全くこれは辻褄の合わないことばかり申しておるようでありまして、羽仁、早川委員の指摘しておることが一々本当であつて、これに対して人事院が本当の基礎的なものを何も持たないでここへ條文を出しておるように考えられます。そこでそれでは実際この法案の審議を進めて行く上において不可能である。いろいろな範囲を聞きますというと、はつきりしておらない、どうしてそういうことが御説明できない段階においてこういう法案を改正するのか、この職権の関係におきましても、現行の第十二項、第十四項というものに対して、先から羽仁委員に対するお答えを聞いておりましてもはつきりしない。これは何かこういう公式の委員会ではお話しにくいことがございまするならば、別の方法でも考えて詳しく御説明願わなければ、先に進んで行つても非常に無駄であると、こういうふうに考えます。
 それから第二條の中の特別職に入れたものは、政策の企画立案に主として携わるものを特別職にしておる、こういう御説明であつたように思いますが、現行法においては各省次官を特別職に入れてあります。各省次官は、もうこれは政府委員の説明するように、政策の企画立案に主として携わつておりまして、毎週総理大臣官邸で次官会議を開いて、そうして重要に政策の企画立案を、むしろここで主としてやつておるように思うが、これを今回除いたという趣旨はどこにあるかということが一つ。それからいろいろ先程の單なる労務者、單純なる労務者について特に聞きたいのでありますが、國家から雇傭され、給與を受けている者で、而も可なり継続的なという、こういうお答えでありましたが、その可なり継続的というのは大体一ケ月とか或いは半年とか、この大体の限度を承わりたい、こういうふうに思うのであります。
#33
○政府委員(岡部史郎君) 各省の次官を特別職から除いた理由でございますが、次官が事実問題として政策の立案に携わるということは、これは何人も否定し得ない一面があるわけでございますが、議院内閣制の下におきましては、建前としては次官というものは、やはりこの事務官の最高峰に位するもの、現在の法律の下におきましては、政策を企画する政策官と事務官との接触点にあるものとして、これを特別職に入れておるわけでありますが、この度の考えは、その接触点にあるけれども、やはり議院内閣制の下におきましては、大臣の下に政務次官というものがあり、政務次官というものが副大臣としての機能を果して行く、こういう意味におきましては、普通の事務官はやはり事務官として、事務官の枠の中に入れるという意味において、國家公務員法の原則の適用を受ける方がよろしかろうという意味において、これを一般職に入れた次第でございます、これも比較便宜の問題でありまして、絶対的な標準をこれに求めるということはもとより困難であろうかと存じます。便宜或いは程度の問題、この法律にはそういう程度の問題が若干あろうかと思つております。
 次に單純な労務者で國家公務員法に、然らば期間という要素があるならば、その期間の標準はあるかというお尋ねでございますが、これも実は重ねてお叱りを受けるような感じがいたしますのでありますが、先程お答え申上げました通り、私の解釈のぎりぎりといたしまし、期間の要素も入れたい、こう考えているのでございまして、例えばこの度の公共企業体労働関係法におきましては、二月以上勤務するものをいう表現を使つておりますが、そういうことも参考的な基準になるかと思います。只今のところ、何日以上というような観念は、何日以上というようなはつきりした基準を今申上げることはできないのを申訳ないと思つておりまするが、何日という具体的に数字よりは、観念として常勤的なもので、常勤と申しますか、常傭的な、継続的な要素が必要であろうということを申上げた次第であります。
#34
○山田節男君 國家公務員法は、第一回の國会審議のときにおいても、法案そのものが他の諸法案に比べて非常に特殊の形態を取つたということで、國会の審議に際しても困つた実例があるのでありますが、更に今度の改正案を出したについても、やはり第一國会にて、現行の國家公務員法を審議したと同じような我々は審議の困難にぶつかつておるわけであります。逐條を重ねて行く程に、そういう個所が非常に沢山出て参る、そのようなことからして、過日淺井人事委員長から秘密会においてこの改正案の草案の作成に際しての事情を聽取したのでありますが、この公務員法が目的とするところは、日本の官僚の民主化である、それは非常に美しい言葉でありますけれども、併しこの改正案の第一條から最後までを見ると逆な感じを與える、即ちこの法案が通過することによつて人事院は第二の内務省ということになると巷間に傳つておる。又結局はこの法案の審議に先立ちまして、いろいろ政府委員の説明を聞いておると、どうもこれを裏書きするような点が多々ある。又只今第二條の單純なる労務、これを一般職にした、特別職から各省の事務次官を削除したという説明を聞いておると、最も科学的であるべき人事院の当局が、こういう法律を作るときに極めて観念的であつて、実情を見ていない。又この草案を作るについて一遍も公聽会を開いていない、こういう杜撰な観念的なことで、これは惡く言えば官僚独裁的な法案になつて來る。その事情については勿論我々は了承するのでありますけれども、人事院が今度立てようとする民主的な、最も民主的に行政組織を確立しようというものが、どうしても奥歯に物の挾まつたような、又第二の内務省の出現したかの如き感じを與える。そこに羽仁委員、平野委員が言われたような、我々審議上誠にはつきりしない点がある。これは各條を追つてこういう問題があるのでありますが、例えば人事官の任命においても、これは憲法で首相の指名をすることをそのままここに入れておる。誠にこの法案を見ると、最後まで我々として根本精神においてこれが突き当ればどうなるかということを我々は予想するのでありますが、國会議員として、この点は十分嚴正に審議しなければならん。これは條項を追つて私申上げますが、第一に第一條の、この前に「人事委員会」を「人事院」に、「人事委員長」を「人事院総裁」に、「人事委員」を「人事官」に、これは第一國会のときに衆参両院協議会でわざわざ來るべき人事院は民主的であるべき建前からして「官」という言葉を使わないというので、或いは「院」という言葉も使わないというので、わざわざこの人事院、これはナショナル・パーソナル・コンミッションという言葉を使つた。併しオーソリティという言葉に書いてある。それから人事委員長、チェアマンというようはものを今度はクエスである。「人事院」を今度はやはりこれは英語で言えば、いわゆるコンミツショナルと同じである。ただ後の段が、オーソリティというものがコンミティーションになつたために「人事官」ということになつておるようであります。これは先程羽仁委員も言われたように、第一國会において相当これは研究してやつたものを、全く朝三暮四的な改革をして、こういう提案をして、殊に先程私が何遍もいうように、今度人事院のやることが極めて杜撰な、独裁的な、而も独善的なものを出して、この両院協議会の決めたことを、更に今度の改正案では先ず引つ繰り返しておる。これは何としても先程の羽仁君も言われたように、人事院の臨時人事委員会の態度は奈辺にあるか、私は了解に苦しむのであります。もつともこれは極端に言えば、この臨時人事委員会の諸君がこの法案を作るに先立つて、特に民主的な日本の中で、官僚として最も私は独裁的な考えを持つておる法案を起しておる。こういうように思うのであります。この点はこれは岡部法制部長にそういうことの返答を求めることが無理かも知れませんけれども、どうも最初からの説明を聞いても隔靴掻痒の感がある、我々の常識的には分らない。第二條の特別職の問題、特別職は関係方面から言えばいわゆる特権官僚を、これを撲滅するために成るべく特別職を少くして、何でもかんでも一般職の方の追い込めてしまう。即ち支配するものは「公務員法」、それを行政するものはこの「人事院」である。こういう建前だというように我々は了承しておるのであります。然るに岡部政府委員の説明を聞くと、この点にも可なり食い違いがある。いわゆる政府の立案企画、このものが立つもののみを特別職に入れると、こうような非常に食い違いがある。これではどうも逐條審議して見ても我々としては困るのであります。これは今平野委員が言われたように、関係方面との折衝の経過を聞きながらこれをやると、又たとえそういう関係当局の意見があつても國会としてはこういう日本の民主化に反比例するようなものを、これを審議するにおいて國会議員としては相当愼重にやらなければならん。今の岡部法制部長の言われることは、その苦衷とすることは分りますけれども、我々今法案を審議して來て、こういう進み方では我々同情しかねる。もう一つ言えばこれが輿論を聞いたものではない、あなた達の一方的な考えでやつておるというところに、この杜撰性が現われておる。そこに今の單純な労務者を削除するというようなことになつて來ておる。現に我我が受付けておる請願も沢山ありまするが、單に進駐軍の労務者だけではない、農林省の営林署関係、全國十六万ばかりのものが公務員法を適用されておる請負業者、それが團体交渉権も奪われて労働協約も無効になつておる今日もう数十人という代表者が來ておる、こういつた実際を無視したようなことを根拠としてやるというようなことは、我々法律の立案者としては実に無責任極まるものであるといわなければなりません。先程羽仁、平野議員の言われたように審議して來ても我々は実に不便である。これについて今後の進め方について淺井人事委員長も同じだとすれば、もう少し審議の方法を変えないことには我々國民の代表として実際的な適切な法律を作るに非常に不便を感ずる、この点について若し岡部政府委員がこの点についてどうしたらいいかということを一つ御意見があれば、或いは相談の上でもよろしうございますから、そうして我々の審議の最も便宜のように示唆を與えて貰いたいと思います。
#35
○羽仁五郎君 この岡部政府委員に対しても、上野政府委員に対しても、淺井委員長に対しても、私が國会が希望することは民主的な官吏たれということであると思います。決して眼前にあるストライキをやらしたくないとか、何とかいうようなことからでなく、民主的な政府官吏として良心の命ずとるころに從つて自己の所信をあらゆる場合にはつきり述べて頂きたいと思うのであります。それが第二次の東京國際裁判を防ぐ唯一の途なのであります。然るに日本の官吏は眼前にサーベルがぶら下ればいうことを言わない、再び第二次國際法廷を我々は東京において開くということを絶対に許すことができないと思うのであります。そういう決意のない方はこの人事委員或いはこの國家公務員法というようなものをいじくる権利はないものである。國会の任務において今山田労働委員長の言われた通りであります。情勢によつて法律も変えるなんということを、でたらめなことをやつて……民主的に法律を改正する、法律を改正する唯一の途しかないのであります。これに逆らう者は第二次國際法廷を東京で開こうとする者である、我々は一度騙されても決して二度騙されてはならないと思うのであります。どうか人事委員におかれても法務廳の責任ある方々におかれても、その点を帰つて十分お考えになつて、一つ上野さんも、この間あんなに苦労しても、あなたの專門家としての権威も地に墜ちてしまいます。科学的に研究して六千三百七円案というものを誰が守ることができるのでしようか。人事院の権力を拡大して守るものじやないのであります。労働者の團体権、團体交渉権、罷業権、そういうものの外何ものもない、それに代るものを作るためにパターナリズムというものは如何に危險なものであるかということを最早御承知になつておる筈であります。情勢力というならば、今日國家公務員法改正が問題になつてからの情勢、公朝の新聞をよく御覽になればよい。鮎澤巖或いは末弘嚴太郎というような方は穩健な意見の持主であります。それがこういう改正というものに賛成しておられないのであります。人事院の中には調停機関を設けておるということは恥かしい問題である。みつともない話である。我々の責任になる。雇主が雇主の中に調停機関を設けて置いて……國際的な物笑いです。八月二十八日の対日理事会において英連邦の代表のパトリツク・シヨウのような穩健な人がどういうことを言つておるか、御研究になるがよろしい。パトリツク・シヨウ自身が、私は私自身一方において國家の官吏であるが、一方において労働組合の組合員であり、私は私自身この双方であると考えている。アイ・リガード・マイセルフ・ボウス。労働組合の團結権と國家の官吏であるということは絶対に矛盾するものではないということを、長い民主主義の歴史を持つ、傳統を持つ、労働問題の長い経驗を持つ英國の責任者が対日理事会の席上で言つておることを、あなた方が民主主義的な官吏であるならば十分研究して、そして自己の所信に從つて上司に、意見を述べる、或いは関係方面に意見を述べるべきである。それが日本の権威を高める唯一の途です。それが講和会議に近付く唯一の途です。依然としてサーベルが眼のにぶら下れば震え上る。ストライキを何とか止めたい、そんな料簡でどうして日本をこの悲しみから救うことができるか。どうかよく考えて貰いたい。上野さんも先日來、最近の数日間の参議院における委員会における空氣からもよく考えて御覽なさい。ああいうことで國家公務員を保護するなんて言うことはできないということはお分りだと思う。ですから私は先刻から言うように、又今山田労働委員長も言われたように、民主主義に逆行してこの人事委員を人事官とするような、みつともないことはやめるがよろしい。それから第一條の三項以下を削られた方がよろしい。そうして第二條においては、現行法の第十二の現業廳、十四の單純なる労務に服する者、これを存置することが理論上当然です。無理は決して通るものではない。結局日本を警察國家に導くだけです。この法制を御覽になつて下さい。岡部君にいても、上野さんにしても、民主主義的な官吏としての資格をはつきりして頂きたい。それがこの次の委員会にはつきり現われるならば我々はそういう方法を採つたらいいと思いますし、現われないならば我々委員会みずからがそういう処置をとるべきだと思います。この委員会において当然……妨げがあるならば、その妨げのある方面に委員会みずからが行つて、今山田労働委員長が議事進行のやり方について言われたのであるが、実際こんなやり方ができるものじやない。國会を侮辱するも甚だしいと言わなければならない。眼前の赤旗やなんかがおつかないのじやない。この國会の権威を再び地に墜すことが恐いのです。八月十五日以前のような意識で日本の官吏がおるだけに、問題か下の方にあるのじやない、上の方にある。そういうことはよくお分りだと思う。上野さんのあらゆる能率科学というものも結局どういうところに実現ができるだろうか、お考えになつたらいい。それを実現するのはただ人民の團結力あるだけですよ。正義を守つてあらゆる非違と戰える者は人民の組織よりほかないということは我々はこの戰爭の悲惨な十数年につくづく感じたことじやないですか。どうか一つそういうふうに持つて行つて頂きたい。それは我々参議院の持つている唯一の理由です。國民の重い税金を使つている唯一の理由です。ですから、あなた方の方でそういうふうな態度をお採りになるか、それが望めないならば、やはりこの委員会として関係方面にこの我々の意見を述べるべきだと思う。どうか委員長においてその二つの途のいずれかを採つて頂きたい。先ず最初にやはり私は岡部君にしても、或いは上野さんにしても、淺井さんにしても尊敬している人達だから、だからこの長年のそういう方の主義主張というものを……淺井さんにしても実は長年立憲主義というものを作らうとしている。上野さんの能率精神というものは遂に帝國主義時代の日本では実現できなかつた。民主主義時代の日本では実現できるかも知れない。そういう方向に行かれる意味から人事院において十分考えて頂きたい。それを伺つて協力して進んで行きたい。それができなかつたら、第二段として我々としては考えた方がいいと思うのであります。これは絶対に眼前のことに眼を奪われていると再び十数年前のことになるのですから、これは本委員会の先輩の方々もどうか考えて頂きたい。どうして日本は結局東條のサーベルの下に入つたかと言えば、眼前にストライキがある、これは止めたい、労働組合は解散したらいい……。そういうことをやつていると、日本の資本主義の健全な発達もあり得ないのですよ。だから資本主義の立場から言つても、眼前のストライキとか、賃金を余計拂いたくないとか、そういう眼前のことから民主主義の根本を崩して行つたら、日本の資本主義は永久に発展する可能性がなくなつてしまう。そういう点を十分委員各位においても考えて頂きたい。参議院の権威、國会の権威というものを守つて、どうか日本國民を一遍仕合せの道に導いて頂きたいというふうに切願いたします。
#36
○山田節男君 ちよつと速記を……。
#37
○委員長(中井光次君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#38
○委員長(中井光次君) 速記を始めて。それでは休憩いたします。
   午後三時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時二十八分開会
#39
○委員長(中井光次君) それではこれから再開いたします。本日はこの程度で閉会いたしまして明日は午後一時から開会いたします。それから大臣を呼んで置きますか。
#40
○門屋盛一君 この法案をこの國会に提出いたしました時の政府は十日間というできない会期の延長を申込んで來て、それが國会独自の立場から、この月一ぱい、三十日までになつておるんでありますが、今日までの審査の状況から推しても、審議未了になる虞れは十分にある。審議未了になる原因は、いずれもこの法案の不備と、こちらから院議を以て要求しておるところの補正予算が出て來ないというようなことが審議未了の原因になるんですが、政府に言わせると國会が怠けておつて審議未了になつてやるのであるというようなことを、今の政府は考えたがる政府なんですから、それで適当の機会と申上げたいんですが、成るたけ早い機会に総理大臣、大藏大臣、労働大臣と法務総裁の御出席を求めて、こちらからそれだけの注意をすることは注意し、説明を聞くことは説明を聞いて、所見を質すことは所見を質して置きたいと思うのであります。計画的の審議をやる上において、時間が許せば明日でも呼んで頂きたい。若し時間が許さなかつたら公聽会の直後にでも呼んで頂きたいと思います。それは委員長と理事に私はお委せしたいと思います。
#41
○委員長(中井光次君) 明日今おつしやつた方々の出席を求めて置きます。本日羽仁委員から総理大臣の御出席を求めておられましたが、総理は風邪のために今日は出席できないという回答がありましたから、それを申添えて置きます。明日は只今のお説の通り出席を求めて置きます。では本日はこれで閉会いたします。
   午後三時三十一分散会
 出席者は左の通り。
  人事委員
   委員長     中井 光次君
   理事
           小串 清一君
           宇都宮 登君
   委員
           木檜三四郎君
           佐々木鹿藏君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  労働委員
   委員長     山田 節男君
   理事
           平野善治郎君
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           門屋 盛一君
           竹下 豐次君
           波田野林一君
           水橋 藤作君
  政府委員
   臨時人事委員  上野 陽一君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局長)  佐藤 朝生君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局法制部
   長一級)    岡部 史郎君
   労働政務次官  竹下 豐次君
ソース: 国立国会図書館
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