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1948/11/16 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第3号
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1948/11/16 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第3号

#1
第003回国会 労働委員会 第3号
昭和二十三年十一月十六日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本國有鉄道法案に関する件
○日本專賣公社法案に関する件
○公共企業体労働関係法案(内閣送
 付)
○理事の辞任及び選任の件
○公聽会に関する件
  ―――――――――――――
   午後一時四十九分開会
#2
○委員長(山田節男君) 只今から労働委員会を開会いたします。本日の議題は、第一に今回本委員会に付託になりました公共企業体労働関係法案でございますが、それに関連いたしまして、日本國有鉄道法案並びに日本專賣公社法案が出ておりますので、それと併せて御説明したいと思います。運輸大臣がおいでになりますので、最初に運輸大臣から、日本國有鉄道法案の提案の理由を御説明いたします。
#3
○國務大臣(小澤佐重喜君) 只今から、日本國有鉄道法案の提案理由について御説明を申上げたいと存じます。
 先の第二國会におきまして、國家行政組織法が制定されたのに伴い、現行の各省官制は、すべてこれを法律で制定することが必要となつたのであります。運輸省におきましても、運輸省関係の行政組織を法律を以て規定すべく、諸般の準備を進めて参つて來たような次第であつたのであります。元來、運輸省におきましては、交通事業の監督行政の外に、國有鉄道事業の経営のごとき企業運営を所掌しており、殊に國有鉄道はその規模におきまして形式、内容、共に我が國最大の公企業でありまして、その健全な発展が、國家社会に及ぼす影響の極めて大きいのに鑑みまして、夙に運輸省所掌事務における行政と企業の分離について研究を進め、一應の成案を得つつあつたのであります。
 然るに御承知のごとく、本年の七月二十二日に至りまして、内閣総理大臣に対し、連合國最高司令官から書簡が発せられまして、國家公務員の労働関係諸問題が、現行のものに対し極めて重要な変更を加えられることとなりまして、國有鉄道におきましても、その書簡のうちで、特に「鉄道並びに塩、樟脳、煙草の專賣などの政府事業に関する限り、これらの職員は普通公職より除外されてよいと信ずる。併しながらこの場合においては、これらの事業を管理し運営するために、適当な方法により、公共企業体が組織せらるべきである。而も雇傭の標準方針並びに手続を適正に定め、且つ普通公職に與えられている保護に代えるに調停、仲裁の制度が設けられねばならぬが、同時に職員において、その雇傭せられている責任を忠実に遂行することを怠り、ために業務運営に支障を起すことなきよう、公共の利益を擁護する方法が定められなければならない」と指示されて参つたのであります。これによりまして、新たな考え方から、國有鉄道に関する諸般の問題の取扱方針が明確化されるに至つた次第であります。
 当省といたしましては、右の指示に基く方針に従いまして、國有鉄道公共企業体の設立につき、所要の研究を進め、特に経営の企業性と公共性とを保証し、以て経営の合理化と民主化を可能ならしめるように、基本的な諸事項を解決すべく、関係箇所と折衝協議を続けて参つたのでありまするが、今回國家公務員法改正法案が國会に提出されましたので、これと密接不可分の関連を有する國有鉄道公共企業体に関する法律案を同時に提案いたす必要を生じ、関係官廳と打合せの結果、急遽この法案を整備の上國会に提出した次第であります。
 以上御説明いたしましたごとく、十分時間的に詳細研究を遂げる暇がなく、ために國有鉄道経営に関しまして、その自主化、能率化等に必要な諸般の措置が、必ずしも整備されたとは申し難く、でき上つたものは國の機関と大差ないものとなり、公共企業体本來の内容を完備しておるとは申上げ兼ねるのであります。併しながら、これによりまして、國有鉄道が公共企業としていよいよ健全な発達を遂げ、以て公共の福祉を増進するための第一歩を踏み出したものであり、同時に又行政と企業とを分離して、運輸省の機構を整備する結果となるものであると申すことはできるのであります。
 以上簡単にこの法律案を提案いたしました趣旨を御説明申上げましたが、次に、この法律案の内容の概略について御説明をいたしたいと存ずるものであります。この法律案によつて設立さるべき公共企業体は、これを日本國有鉄道と呼称し、政府の金額出資による公法上の法人でありまして、國が現在國有鉄道事業特別会計を以て経営しておりまする鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営によつてこれを発展せしめ、以て公共の福祉を増進することを目的といたしております。即ち現在國有鉄道事業特別会計の方式を以て、國が経営しております國有鉄道事業を、そのまま國から独立させ、それに法人格を與えたものであると申上げてよいと存ずるものであります。併しながら、これは先にも御説明いたしましたごとく、公法上の法人でありまして、一般の私法人とは大いに趣きを異にしておるのであります。例えば財政法、会計法、國有財産法等、会計財務を規律する法律は、そのまま日本國有鉄道に適用せられ、恰も國の一機関であると考えられる次第であります。從つて課税その他の点につきましても、一般法令の適用に関しても、現在國有鉄道が有しておるのと同様な地位を保持せしめ、同様な取扱いをいたすものであります。
 次に、日本國有鉄道の監理機構に関しましては、諸外國の例をも参酌して、監理委員会を設置することにいたしたのであります。監理委員会は、任期五年の委員五人及び一人の職務上当然就任する委員、即ち日本國有鉄道の総裁を以て組織する会議体の機関でありまして日本國有鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有するものであります。監理委員会の委員は、運輸業、工業、商業又は金融業について廣い経験と知識とを有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を経て内閣がこれを任命するのでありまして、これによりまして日本國有鉄道の運営が民意を十分に反映して、公共企業体としてふさわしい方法で行われることと期待しておる次第であります。
 次に、日本國有鉄道の役員として、総裁、副総裁、理事を置くことといたしたのであります。総裁、副総裁の任期はおのおの四年とし、総裁は監理委員会が推薦した者につき、内閣においてこれを任命するのであり、副総裁は、総裁が監理委員会の同意を得てこれを任命するのであります。役員以外の日本国有鉄道の從事員は、これを職員といたしますが、これら職員につきましては、連合國最高司令官の書簡に指示されてありますごとく、普通公職から除外をいたし、國家公務員法は適用されないことといたしたのであります。併しながら日本國有鉄道の公共企業体たるの本質に鑑みまして、職員には特別な地位が與えられております。即ちこれらの者は、法令により公務に從事するものとみなされる外、一般公務員に準ずる身分の保障が與えられておる反面、國民経済に重大な関係のある輸送業務の円滑な遂行を確保するために、労働基準法に対し若干の特例を設けまして、時間外勤務等につき規定を設けられておるのであります。從事員の共済組合等の厚生施設につきましても、一般公務員と同様の取扱いを行なつて、何らの変更を加えることなく、又恩給につきましても、現在恩給法上の公務員である者は、依然として同法の準用を受けるのでありまして、從事員の既得の諸利益につきましては、國有鉄道の経営形態変更によつて、何らの変更を來さないよう、諸般の措置を講じたような次第であります。
 次に、日本國有鉄道職員の労働関係に関しましては、本法律案中に規定することも考慮いたしたいのでありますが、日本專賣公社の從事員の労働関係と一括して、別の法律で規定することが適当であるとの助言を受けましたので、別に御審議を願うこととなつておりますところの公共企業体労働関係法案に譲ることといたしましたが、その内容の概略を御説明いたしますと、公共企業体の従事員には、罷業権が與えられないこと、公共企業体の管理及び運営に関する事項を除き、その他の事項に関して一定の團体交渉権を認めること、労働関係の紛争について最終的決定を行う仲裁機関が設置されること等でありまして、この法律によりまして、公共企業体の労働関係が公正妥当に規律せられることを大いに期待しておるような次第であります。
 次に、日本國有鉄道の財務につきましては、先に御説明いたしましたごとく、國の会計に関する諸法規が全面的に適用せられるのであります。從いまして予算及び決算は、これを國会に提出することとし、運賃の変更につきましても、現行の通り國会において御審議を願うことになるのであります。ただ予算の形式につきましては、國有鉄道事業が一つの企業であることに鑑みまして、一般行政官廳のそれとは異なつて、企業の実体に即したものといたしたく、十分研究の上、政令で定めるごととした次第であります。尚日本國有鉄道に損失を生じた場合において、特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として、政府はこれに交付金を交付する一方、経営上利益を生じたときは、別に予算に定める場合を除き、これを政府の一般会計に納付することといたしております。
 次に、日本國有鉄道に対する監督について御説明申上げます。日本國有鉄道に対する一般的監督者は運輸大臣でありましてうその監督の内容は公共企業体の本質に鑑み、必要の最小限度に止め、鉄道新線の建設及び他の運輸事業の讓受、日本國有鉄道に関連する連絡船航路又は自動車運送事業の開始、営業線の休廃止について運輸大臣の許認可を受けることの外は、公共の福祉を増進するため、特に必要があると認めるときに、監督上必要な命令を発し、又監督上必要あると認めるときは報告を徴することができる程度にいたした次第であります。併しながら現下の我が経済の状況におきましては、運輸大臣は一般的監督者としての立場から、日本國有鉄道に対して、法規上の監督をなすに止まらず、その他相当の援助を與えなければならないと考えておる次第であります。
 以上、この法律案の制定の趣旨及び内容の概略を御説明いたしましたが、しばしば申上げましたごとく、この法律案におきましては、日本國有鉄道は、公共の企業体として十分な実質を具えておるものとは申し難いのでありましてこの点につきましては、鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体の実体を規律する諸法令を将來速かに整備いたしまして、日本國有鉄道の健全な発達を図らなければならないと考える次第であります。
 尚この法律案は、國家行政組織法との関係及び会計上、その他諸般の事務上の切換等の便益から、明昭和二十四年四月一日を以て施行いたしたいと存じておる次第であります。
 何とぞ愼重御審議の上、速かに可決あらんことを希望する次第であります。
#4
○委員長(山田節男君) 只今の運輸大臣の、日本國有鉄道法案の提案理由の御説明に対しまして質疑に入ります。御質問の方はございませんでしようか。……ないと認めます。
 続きまして、日本專賣公社法案につきまして、その提案理由の説明を大藏省專賣局長官官房長松尾氏にお願いいたします。
#5
○説明員(松尾俊次君) 提案の理由を御説明いたしたいと思います。
 去る七月二十二日に、連合國最高司令官より、日本政府宛に書簡が発せられまして、國家公務員法改正に関する書簡のうちに、「鉄道、通信並びに塩、樟脳、煙草の政府事業に関する限り、その職員は普通公職から除外されても良いと信ずる。併しながらその場合には、これらの事業を管理し、運営するために適当な方法により公共企業体が組織せらるべきである。」とあつたのであります。この示唆に基きまして、政府といたしましては、專賣事業の形態をどういうふうにしたらよろしいかという問題を鋭意検討をして参つたのであります。今回その結論を得まして、この日本專賣公社法案を上程いたしたような次第でございます。
 法案の極く大雜把な大要を申上げますると、日本專賣公社は、煙草專賣法、塩專賣法及び粗製樟脳、樟脳油專賣法に基き、現に國の專賣に属する事業の健全にして能率的な実施に当る法人とし、資本金は現に專賣局特別会計に属する財産を以て政府が出資することにいたしたのであります。役職員の身分につきましては、國家公務員より除外をいたしまして、職員の労働関係につきましては、別に公共企業体労働関係法案を提出いたしてございます。業務に関しましては、現在の專賣局の所掌事務と同一といたしまして、各專賣法に基きまする、あらゆる事業の許可、或いは專賣の取締、こういつたものまで公社をして行わしめることといたしたのであります。
 次に、会計経理につきましては、先ず原則といたしまして、公社を國の行政機関とみなしまして、特別に規定する場合の外は、國の会計法令の規定によるものとすることといたしておるのでございます。従いまして公社の予算は閣議決定を経て、國の予算と共に國会に提出することにいたしまするし、決算につきましては、財産目録、貸借対照表、損益計算書につきまして、大藏大臣の承認を受けまして、決算報告書は会計檢査院の檢査を経て、國の歳入歳出決算と共に國会に提出して御審議を受ける、こういつたような規定に相成つておるのでございます。又利益金の納付につきましては、毎事業年度の利益金は、すべて國庫に納付するという建前を取つておるのでありまして、これは從來の專賣特別会計と同一なのであります。荷公社の業務に係る現金につきましては、公社は政府と独立いたしました公法上の法人に相成るのでありまするが、公社の業務に関係いたしまして取扱う現金につきましては、相変らずこれは國庫金といたしまして、國庫金の例に上らなければならない、こういうふうにいたしている次第であります。
 大体今申上げましたのが、日本專賣公社法案の提案理由の大体でございます。只今提案の大体の理由を御説明いたしたのでございまするが、更に少し内容に入りまして、日本專賣公社法の少し御説明をいたして置きたいと思います。
 法案の順序に従いまして御説明を申上げたいと思うのでありますが、その目的はこの提案理由にも、今御説明を申上げました通りでございまするが、條文につきましても、第一條にその目的が書いてあるのでございます。煙草專賣法、塩專賣法及び粗製樟脳、樟脳油專賣法、この三つの專賣法に基きまして、現に國の專賣に属する事業の健全にして能率的なる実施に当ることを目的とする、こういつたような目的が出ているのでございます。從つてこの考え方といたしましては、專賣法という一つの法律があるのでありまして、公社はその專賣法を國の委託によつて行う。こういつたような考えに十つているのであります。從つて國家とは独立した法人格を持つている公社というものが設立されるわけでありまして、この法人の性格といたしましては、公法上り法人とする、從つて民法その他の一般の規定は適用されない、こういつたような特殊な結論が出て参るのでありまして、第二條には、そういつたようなことが掲げてあるわけでございます。それで問題になりまするのは、法人でありまする以上は、資本金は一体どのくらいかといつたようなことが起りますので、この法律案につきましては一條設けまして、資本金の規定を謳つているのであります。ただ資本金の決め方といたしましては、本法案につきましては、「法律施行の日に政府から出費される資産の額とする。」こういうふうに書いてございます。これを何億何千万円というふうに直ちに規定いたしませんでしたのは、大体立て方といたしましで、現在政府が現有いたしております資本を、そのまま引き継ぐという建前ではありまするが、やはり正確なことをやりまするのに、相当いろいろの手続きもございまするし、從つて法律案の規定といたしましては、こういつたような政府から出資される資産の額とする、こういうようなことになつているわけでございます。公法人でありまする建前といたしまして、やはりその他一般の公法人と同じように免税をいたす。こういうようなことになつておりまして、所得税及び法人税は課さない、又地方税におきましても、地方税を課することができない、ただ特別な鉱産税、電氣ガス税、木材取引税及び遊興飲食税、これらの附加税並びに遊興飲食税割、こういつたものにつきましては、一般の例に倣いまして課税する、こういつたような建前になつております。この專賣公社につきまして、従來のやり方と非常に運営の方法を変える必要があるといつたような一つの現れといたしまして、專賣事業審議会といつたようなものを拵えまして、事業の項目につきまして審議会の諮問を受けましてやる。こういつたような立て方を取つたのでありまして、法案の方におきましても、第二章に、專賣事業審議会といつたようなものを設けているのでございます。この審議会につきましては、大藏大臣の諮問に應じてやる審議会でございまして、これは諮問機関ということになつているのでございます。ただこの諮問機関の中で一番、一番と申しまするか少し変つたものといたしまして專賣公社の総裁を決めまするときには、大藏大臣は審議会の諮問を経て、その推薦を受けて、その中から選定をする。それから又総裁の解任をいたしますときにも、やはり審議会の諮問に基きまして解任をする、こういうような建前になつておるのでございます。
 次に、公社の役員及び職員の問題であります。これは官職と異なりまして、やはり普通の公社或いは公法人、それに類似する法人は、同じように役員には総裁、副総裁、理事、監事、こういつたようなものを設けておるわけでございます。それで、その中で総裁は、今も申上げました通り審議会の推薦に基きまして大藏大臣が任命する、こういつたようなことに相成つております。副総裁以下、理事につきましては、これは総裁が任命する。ただ監事につきましては、利害の点におきまして公社と或る程度対立をするといつたような場合も非常にございますので、これは総裁と同じように審議会の推薦に基きまして大藏大臣が任命する、こういつたようことに相成つております。これは又あの公團その他の法律と同じように、総裁、副総裁及び理事の任期につきましては一定の任期、これが四年となつております。監事の任期は三年となつておりますが、公團その他の法律案と同じように、半数の任期は二年ずつにしまして、同時に任期が來まして全部変ることのないように心遣いをいたしておるようなわけであります。公法人でありまする関係からいたしまして公社の役員はやはりその職務につきまして、現業その他の問題に一つきまして、非常に制限を受けております。他の営利を目的とする團体の役員となることはできないとか、或いは営利事業に従事してはならない、こういつたような制限を受けております。國会又は地方公共團体の議会の議員であることができない、こういうような制限を受けております。職員につきましても、公法人の職員でありまするので、同じような相当の制限を受けておりまして國会又は地方公共團体の議会の議員であることができない、こういつたようなこともございまするし、又秘密を保持しなければならん、こういつたような公務員、公務員ではありませんが、公共公法人の役職員といたしまして、その職に関して相当の制限を受けておる、こういつたようなことになつております。ここで一番問題になりまするのは、この役職員につきましての性格でありまするが、役職員はいわゆる國家公務員法に基く公務員ではないという建前になつておるのであります。併し刑法上におきまする公務員としては取扱つておるのでありまするが、國家公務員法におきまする役職員ではない、こういつたようなことが、この公社法の役職員の身分上の非常な差異になつておるようであります。從つてこれの給與関係、それから労働関係につきましても、官吏とは非常な差があるというのがこの特色であります。労働関係につきましては、國家公務員ではないというところから出発いたしまして、今提案になつております公共企業体労働関係法という法案が出ております。こういつたようなことになつております。
 給與問題につきましては、國家公務員法の適用を受けませんので、独自の立て方になつておるのでありまするが、併しこれといたしましても、公社がやりたい放題のことをやるというわけにも参りませんので一定の基準なり、制限を設けまして、大体國家公務員法を基準にいたしまして、その給與を受ける、こういつたような有様になつております。法案の方といたしましては第二十一條にそういつたようなことが掲げてあります「公社の職員の給與は、生計費並びに國家公務員及び民間事業の従業者の給與その他の事情を考慮して定めなければならない。」と、こういつたような規定になつておるのであります。実際問題といたしまして、公社の職員の給與を決めます場合には、こういう抽象的と言いますか、原則的な制限の下に、如何に決められるかという問題なんでありますが、今申上げました生計費、民間事業の從業者の給與、国家公務員のいろいろな状況を判断するのでありますが、これにつきましては、團体交渉によつて実際の額を決める、こういうことになつております。併し團体交渉によつて決めるのでありますが、最終的には、やはり予算の点において拘束を受けておりまして、國会において承認された予算の範囲内において團体交渉によつて決める、こういつたような立て方に相成つております。公社の役員及び職員が國家公務員法の適用を受けないという立て方になつておりますが、やはり公共事業に非常な関係がありまするし、國家の公法人として取扱われておりまする結果といたしまして、職務の遂行につきまして、いろいろな制限、或いは身分について、いろいろな制限を受けておりますると同時に、片一方におきまして、その職員の身分につきましても、或る程度の保障をされているのは当然なことと思います。從つて職務を落す、いわゆる降職するとか、免職するとか或いは減給或いは戒告の処分をする、こういつたようなことにつきまして、総裁は一方的な、何でもかでもやるといつたようなことのないように、特定の事項を決めてやる。こういつたような定めになつております。
 然らば、この專賣公社の業務はどういつた範囲かという問題に相成るのでありますが、これは第四章の業務といたしまして、一つの章が設けてございます。これによりまする、冒頭にも申上げました通り、現在專賣局がやつております仕事を、原則といたしまして、そつくりそのまま公社に引継いでやらせるという、こういつたような趣旨でございますので、煙草に関しまする賣渡しや葉煙草の収納、製品の賣渡し、製造、そういつたようなものは全部これでやらすことにつきましても、そういつたような業務は全部、又樟脳につきましても、そういつたような業務は全部やる。こういつたような立て方になつておりますが、これは冒頭に申上げました通り、特に煙草の耕作の許可、それから專賣取締、塩の製造の許可粗製樟脳及び樟脳油の販賣の許可、そういつたような、やや行政的色彩の強い許可行為、そういつたようなものも公社にやらせる。こういつたような建前にいたしまして、できるだけ現在の状態がそのまま公社によつて行われるといつたようなことに相成つております。
 問題に相成りまするのは、会計の問題でありまするが、会計をどういうふうにして取扱うかという問題が次に起つて来る問題と思うのであります。会計につきましては、この法案の第五章に掲げておるのでございまするが、この会計につきましては、別に公共企業体の会計に関する法律を專賣法或いは鉄道、これはどういうふうな立て方になりまするか、両方一つに纏めまして、公共企業体に関する法律ということになりますが、或いは鉄道だけ、或いは專賣だけということに離れたものになりますか、その点はまだ確定しておらないのでありますがいずれにいたしましても公共企業体の会計に関する法律が、別途制定に相成ることと思われるのでありますが、それが制定されるまでは、現在この公社を國の行政機関と見まして、今までありました專賣局及び印刷局特別会計法、財政法、会計法、國有財産法その他いろいろ國家の機関として適用されまする会計法をそのまま適用される、こういつたような建前になるようになつております。いずれこの公共企業体の会計に関する法律を制定いたしまするならば、その適用を受けるのでありまして、而も公共企業体会計法が、相当程度この企業の運営が円滑にできるように、又活撥にできるように制定せらるべきものではないかというふうに考えられるものであります。現在におきましては差当り國の行政とみなしまして、今まで行われました会計法、会計規則、すべてが適用されるのでありますが、この公共企業体の会計に関する法律が制定いたされましても、会計に対する立て方といたしましては、國家の会計と同じように十分なる監督もやりまするし、十分な規制を受けるといつたような建前に相成つておることは変らないのでありまして、從つて予算編成の問題、決算の作り方、そういつたものは現在におきますると、殆んどそのまま踏襲をしているといつた立て方に相成つておるようなわけであります。その関係につきましては第三十一條に、ここに挙げてあるのでございまするが、事業年度は、毎年四月に始まつて翌年三月に終る。これは一般の國家の財政と同じように、四月から三月というふうに、これはしてございます。決算につきましては七月三十一日までに完結する。予算につきま、でも、予算を毎事業年度の予算を作成いたしまして、大藏大臣に提出する。内閣はこの予算を決定しましたときは、國の予算と一緒にこれを國会に提出する。これは恐らく專賣公社予算というのが別に作られまして、これは國の一般の予算と独立にと申しまするか、並んで國会の方に提出されまして、御審議を願うといつたようなことになるだろうと思います。この本来の予算は、こういうような手続きで、現在のやり方と殆んど同一に扱つておりまして、從つて追加予算というようなことに対しても、現在のやり方と同じように、個々に追加予算が出し得るといつたようなこともやつております。ただ公社につきましては、はつきり今度は公社として特殊の事業体に相成りまするので、毎事業年度ごとに財産目録、貸借対照表、損益計算書を作つて、そうして決算完結後一ヶ月以内に大藏大臣に提出して、その承認を受ける、こういつたことで、その都度公社の財産、状態、経理状態がどういうふうになつているかをはつきりさせる、こういつたようなことで、相当この事業の私企業的な面もここに加わりまして、事業の能率化の一助にしよう、こういつたようなことをここに織込んであるわけであります。
 問題になりまするのは、何と申しましても、專賣公社は収益は上げる、租税に代りまして益金を上げるといつたようなことが目的なんでありまして、この公社を設立いたしましても、その収益を落さないということが現在の機構と余りに変えないということの根本の考え方になつておりまして、この益金納付につきまして、どういうふうにするかといつたようなことが重大問題に相成つて来ると思います。從つてこの益金納付につきましても、今までの考え通り、やはり経費と事業の収益、それを差引きしまして残りましたもの全部を益金としてみなす、こういつた立て方を採つておるようなわけであります。第三十七條に、毎事業年度の益金を國庫に納付しなければならない。ただ問題になりまするのは、官職でやつておりまする場合には、絶えず政府の收入が國庫金といたしまして日本銀行の方に記帳されておるわけでありまするが、この公社の場合におきましては、勿論國庫金として取扱うのでありますが、最終的には益金がどういうふうになるか分らない。從つてどれだけが益金になるかというのは、最終三月三十一日現在といたしまして、それを決算の形にいたしまして計算しなければはつきり分らんのでありますが、現在の官廳組織といたしましては、勿論その間收入の一部分を、一應國庫金として振替えて自由に使い得るわけでありまして、その点が公社となりました場合と現在の官職とは相当に差があります。従つて政府の方といたしましては、二月三十一日になりまして、収益計算がはつきり分つて、益金を使うといつたようなことが、年度の途中において金切れが起りますので、その途中におきましても、何とかして公社の事業収入を、やはり歳入として受入れて使い得る方法を講じなければならないというので、第三十七條の第二項の方には、決算完結前において概算で納付させることができる、こういつたような規定を設けておりまして、自由に收入金を國庫金として使い得る、こういつたような規定を作りまして、会計決算が完了いたしまして、更にはつきりいたしまして、そこで精算すると、こういつたような特別の取扱いをいたしております。公社が又事業をやりまする途中におきまして、現金の行き詰りができまするとか、或いは特に施設をしなければならない場合には、非常に金が要るようなことがありまして、公社に相成りますると國庫より独立をしておりまするので、これにつきましてそういつたような金につきましては、一般会社、公法人と同じように政府の長期の借入金、一時借入金をすることができる途を開いておるのでありまして、これが三十八條に「政府から長期の借入金及び一時借入金をすることができる。」と、こういつたような規定ができておるわけなのであります。ただ問題になりまするのは、この規定にありまするが、公社は市中銀行その他の民間から借入れをしてはならない、こういつた規定が設けてあるのでございます。この公社の金と申しまするか事業收入、これは國庫金とみなしておるのでありまして、すべてこれは國庫の金と同じようなものだと、こういうような考えからいたしまして、借入れをしました金につきましても國庫金と同じような取扱いをする、又同じように考えるといつたことからいたしまして、市中の普通の貯蓄から集めました預金を、これに使わないという建前からいたしまして、こういつたような制限を設けておるようなわけであります。尚年度の途中で歳入と益金を概算で納付させることができまするが、その概算で納付させる前に、相当やはり公社といたしましては事業收入がありまするので、これは場合によりましては國庫の方に預入をするといつたような形は、実際において取ることに相成るだろうと思います。ここにいずれ又訂正をお願いいたすことに相成ると思いますが、第四十一條の二項には、その余裕金を國庫に預入するといつたような規定があるのでありまするが、この規定によりますると、利子を附するということに相成つておりますが、これはこういつたようなものは利子を附さない方がいいだろうというので、この第二項はいずれ全部御削除を願うといつたようなことに相成ることと思います。会計につきましては、只今申上げましたような構成に相成つております。
 この公社の監督につきましては、四十五條に監督の規定がございます。勿論これは大藏大臣が監督をする、こういつたような規定に相成つております。役員の解任につきましては、四十六條に特定の各條項がございまして、これに当嵌つたときには解任される。これは普通の法人或いは公法人と殆んど揆を一にしているような次第でございます。
 罰則につきましても、特に申上げるようなことはないと思うのでありますが、ただ雜則の経過規定といたしまして、恩給、共済組合の問題があるのでございますが、この恩給につきましては、五十條に書いてありますように、この法律施行の際に、現に恩給法の第十九條に規定する公務員、これは恩給を受ける公務員でありますが、公務員が引き続いて公社の役員、職員となつた場合には、國庫から俸給を受ける者として、勤続するものとみなして、当分の間恩給法の規定を準用する間は公務員とみなしまして、本來から言いますれば、この公社の建前は、その役職員につきましては、國家公務員法に属する公務員としないのでありますが、恩給に関する限りにおきましては、これは國庫から俸給を受ける者として、勤務する者とみなしまして、恩給法を準用するわけであります。こういうような経過規定を設けております。共済組合につきましても、そのままそつくり引継ごうということになつております。
 大体誠に大雜把でございまするが、主なところを御説明申上げました。
#6
○田村文吉君 質問してよろしゆうございますか。簡單に……。
#7
○委員長(山田節男君) よろしゆうございます。
#8
○田村文吉君 会計の問題でありまするが、公社となりますると、一つの資本金が決まるわけであります。今度工場を二つ、三つ建てるような場合には金が要るのでありますが、その場合すぐ増資をなさることになるのでありますか、その点を一つ……。
#9
○説明員(松尾俊次君) その場合には、非常に大きな工場に相成りまして資産が固定するということになりますと、或いは増資という問題も起るとも考えられますが、事実上において長期の借入金、そういつたようなもので賄うのが実情ではないかと思います。
#10
○田村文吉君 多分そうだろうと思いますが、政府から長期の借入金をして工場の建設をなさるという場合には、簿記の方から申しますと、一方では政府が貸すから借入金であつて、一方には工場財産というものができる。こういうことになります。そこで長期の借入金の方法を取つて償還をなさらなければならんということになるわけです。仮に一億円借りたものを一億円返済なさいますと、利益金のうちからなさる以外には方法がないわけです。利益金で償還をなさいますと、一方には財産が残つて、借入金は消滅する。そうすると簿記の数字が合わなくなつて來る。こういうことになりますが、これはどういうふうになさる御予定でありますか。これはひとり專賣公社だけでなく、日本國有鉄道の方も同じでありますが、どういうようになさるおつもりかお分りでしようか。
#11
○委員長(山田節男君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(山田節男君) 速記を始めて……外に御質問はありませんか。
#13
○原虎一君 十六條の二項にありまする「公社の役員及び職員は、國会又は地方公共團体の議会の議員であることができない。」、これはどういう理由ですか。この点を明らかにして頂きたい。それから現在なつておる者はどうなるのですか。次は、價格の決定の方法であります。ちよつと私うつかりして調べておりませんが、御説明を願いたいと思います。
#14
○説明員(松尾俊次君) 十六條の第二項の、「公社の役員及び職員は、國会又は地方公共團体の議会の議員であることができない。」、これは專賣公社が相当公共的な性質を持つておりまするので、役職員に國会又は議会の議員が相成りますると、現在の國会の議員或いは地方公共團体の議員の職務は相当重要で、而も長期に亘るお仕事でありまするので、それを相兼ねますると、役職員が自分の仕事は殆んどできないといつたような、事態を起しまするので、特に両者の、そういつたようなことができない、こういうふうなことに制限を加えたのであります。現在の実情は、これは勿論現在のは官吏でございまするので、官吏一般の制限を受けております。次に、價格の点についてのお尋ねでございまするが、煙草の價格を決める場合に、これは財政法第三條によりまして、國会の御承認を得なければならん、こういうふうに決めております。公社に相成りましても、やはり煙草の價格、そういつたようなものにつきましては、國会の御承認を、政府の方から出しまして御承認を受ける、こういつたような立て方に考えております。
#15
○原虎一君 十六條の二項ですね。議員になることができないということですが、公共性があるということは、これは分りますが、議員になれば、長期の欠勤があるということが考えられるというような事情になりますと、その方が主なんでしようか、どうなんでしようか。
#16
○説明員(松尾俊次君) やはりその方が主であろうと解釈いたしておるのでございます。
#17
○原虎一君 これは公共性が強いからというのなら理解できるんですが、長期欠勤ということが想像されるからというのでは、ちよつと理解に苦しむと同時に弊害が多いのではないかと思うのです。民間においてもそういうことが当然言われるんですね。
#18
○説明員(松尾俊次君) ちよつと御説明が足りなかつたと思いますが、公共的性質を有するからというのが実は主なのでございます。公共的性質を有する結果といたしまして、その事業に専念してやらなければならん。國家の歳入も相当影響がありまするし、事業の運営も十分運営されないであろうと、そういつたようなことから後の方が出て参つて、それを附け加えたようなわけで、公共性があるということが、やはりこの議員であることができないということの主たる原因であろうと思います。
#19
○委員長(山田節男君) 外に御質問ございませんですか……御質問ないようでありますから、日本專賣公社法案の提出理由の説明は、これで終ることにいたします。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(山田節男君) 速記を始めて。続きまして、今回本委員会に付託されました公共企業体労働関係法案の提案理由につきまして、労働大臣より御説明をお願いいたします。
#21
○國務大臣(増田甲子七君) それでは、只今議題となつておりまする公共企業体労働関係法案につきまして、その提案理由と大体の構成について御説明申上げます。
 先ず、提案理由の第一といたしましては七月二十二日付を以ちまして、マッカーサー元帥より、当時の芦田内閣総理大臣に対して、國家公務員法の改正に関する書簡の参りましたことは、すでに御承知の通りでございまするが、この書簡におきまして現在特別会計によつて行われておる鉄道事業及び專賣事業については、公共企業体への組織替えが示唆されて、種々研究の結果、今次國会に、別に日本國有鉄道法案及び日本專賣公社法案が提出されたのであります。この二つの法案によりますと、これら公共企業体の職員には、國家公務員法が適用されないことになるのであります。このため公共企業体の職員は当然國家公務員法の改正案が成立いたしました後においても、労働組合法及び労働関係調整法が適用されることになります。併しながら公共企業体は、一つの企業体ではありまするが、その特異性に鑑み、完全國有の法人として、國家の嚴重なる管理と監督の下に運営されることになつておりまして、一般民間の企業又は或る程度の國家の管理を受けている企業とは、その性格を異にするものでありまして、マツカーサー元帥の書簡にありますように、職員の責任の遂行を怠ることによつて、公共企業体の業務運営に支障を起すことのなきよう、公共の利益を擁護する方法が確立されなければなりません。このため公共企業体の職員の労働組合及び労働関係については、労働組合法及び労働関係調整法の規定いたしますもののみにては不十分と考えられますので、これに対処する必要の措置を講ずるため、この法案を提出いたした次第であります。
 第二の理由といたしましては、公共企業体の労働関係は、第一に述べましたような、公共企業体の性格から共通の特異性を持つものでありますので、日本國有鉄道と日本專賣公社とに、別箇の労働関係に関する法制的措置を講じますことは適当でなく、且つ又公共企業体の労働関係を統一的に把握する見地よりしまして不適当であると考えられますので、この法案によりますように、統一的取扱いをいたすようにいたしました。
 第三の理由といたしましては、公共企業体の職員には、團体交渉権は、労働組合法の定めるところにより完全に保有するのでありますが、これが行使の方法につきまして、從來一般組合においては、ややもすれば混乱を生じ、無用に労働紛爭議を生ぜしめている傾向があります。併しながら、かかる混乱は努めて排除されることは望ましいことでありますが、特に公共企業体において、これら無用な紛争議を極力排除することにより、正常な團体交渉を保障し、これによつて職員の地位の維持向上を図り、以て公共企業体の能率発揮と正常な運営を確保しようとする法制的措置を必要としたことであります。
 第四の理由といたしましては、公共企業体の職員には、國家公務員に認められるその地位に関する特別の保障がありませんから、これに代えて、完全な團体交渉と適正迅速な調停と厳正なる仲裁との制度を確立することにより、職員の生活の安定を保障する必要があるのでありまして、これに関する法制的措置を講ずるを必要としたことであります。尚この点に関しましては、御承知のように先程申しましたマツカーサー元帥の書簡におきましても、かかる仲裁、調停の制度が設けられることが示唆されております。
 以上は、この法案を提出いたしました理由でありますが、続いて法案の構成について説明いたします。
 第一章の冒頭におきまして、この法案の目的が公共企業体の職員の苦情と参紛争とを友好的且つ平和的に調整するため、團体交渉の慣行と手続とを確立いたしますことにより公共企業体の正常な運営を最大限に確保し、以て公共の福祉を増進することにあることを規定いたしまして、立法の趣旨を明かにいたし、更に関係者が公共企業体の重要性に鑑み、紛争をできるだけ防止し、主張の不一致を友好的に調整するために最大限の努力を盡すべきことを義務付けている次第でございます。
 第二章におきましては、職員の組合の民主性、自主性を保障するための規定を設けますと共に、公共企業体の廣く國民に開放されるべき性質より、オープン・シヨツプ制を規定し、更に公共企業体の運営を正常に確保する必要上、職員の組合に加入し得ない者の範囲を明らかにしておるのでございます。併しながら一方においては、職員の組合が健全に発達いたしますことは、民主主義の発達極めて望ましいことでございますから、職員が組合員であること、組合の正常な行為をしたことを理由にして、如何なる差別待遇も受けないこととし、万一かかる差別待遇がなされましたときは、仲裁委員会の命令により、かかる行為の停止を命ぜられることにいたしまして、労働組合法第十一條違反処理に伴う欠点を是正いたし、職員の組合の健全なる自主的発達に法上の保護を與えております。
 第三章は、團体交渉の手続に関するものでございまして、この法案におきまして甚だ重要な部門であります。先ず、第八條において團体交渉の範囲を明確にいたし、團体交渉の対象から、公共企業体の管理及び運営に関する事項を除き、更に同條第二項において、その範囲を明示して、労働条件に直接或いは密接に関連あるものに限り團体交渉を行い得ることとして、この交渉範囲を巡つて生ずる無用の混乱を避けております。
 第九條より第十四條におきましては、團体交渉が公共企業体を代表する交渉委員と、職員を代表する交渉委員によつてのみ行われ、而も交渉委員は團体交渉を行うに適当な、予め定められた單位ごとに設けられることを規定いたし、團体交渉の統制ある慣行を確立しようとしております。これらの單位又は交渉委員は、公共企業体又は職員の自主的決定に俟つのでありますが、これがいろいろな事情によりまして、企業体又は職員が、みずからでは決定し得ないときは、労働省において、当事者の意向、特に職員の意向を十分に尊重して、單位については労働大臣みずからが、職員の交渉委員については、労働大臣の定めた手続に從つて、職員自身によつて決定されるように措置いたして、努めて自主的に決定されることを建前としております。
 併し以上の点につきましては、労働組合運動発達において日の浅い我が國におきまして、未だ慣行的に確立されたものはないのでありますから、多少実施上困難があるかと思います。併しながら組合が一つの企業体に二つ以上存在します場合、往々にして組合相互におきまして團体交渉について爭いを生じ、このために職員に無用の紛糾を惹き起すことも、アメリカ等におきましては從來経験されているところであり、我が國におきましても、最近においてはこの虞れもあるわけでありまして、この第三章で規定しますような手続により、これらの無用の混乱を防ぎ、よき慣行を確立することにより、團体交渉の円滑な且つ正常な発達を願い、この点から労働関係の不安を除きたいと存じております。
 團体交渉に関しましては、これが公共企業体の職員に対する重要性に鑑み特に第十五條において、毎年一回は基礎的労働條件の確立のため團体交渉が行われ、これにより労働協約を締結することを特に法律上の必要事といたしております。併しながら公共企業体の予算経理については、國会及び政府の嚴重な監督下にあることが予定されますので、これに関連して國会の所要の措置が取られるまで、労働協約の効力の発生を停止するの規定を第十六條に規定いたしております。
 第四章におきましては、職員の爭議行為を禁止いたすことにいたしておりますが、これは公共企業体が完全國有法人でありますので、これに対して爭議行為を行いますことは、延いては國家に対し脅威を及ぼすことになり、更に公共企業体が、再建途上の國家経済と國民の福祉に占める重要性に鑑みまして、これが業務の運営の停滞は寸時と雖も許されません。かかる事情よりして、止むを得ず争議行為禁止の措置を講ぜざるを得なかつたのでありますが、併しこの反面におきましては、完全なる團体交渉権の行使と公正な調停及び仲裁機関の迅速的確なる活動により、職員の地位の向上については十分なる保障がなされることになつております。
 第五章におきましては、苦情及び紛争の調整と調停の方法と、その機関を設け、苦情処理の適正なる解決のため、苦情処理共同調整会議を公共企業体の交渉単位に設けしめ、職員の日常の不平を迅速に解決して行くことにしこれによつて尚解決しないものは労働関係調停委員会の調停に俟つことといたしております。
 労働関係調停委員会は、日本國有鉄道及び日本專賣公社ごとに別個に設け、中央及び所要の地域に設けることにいたしておりますのは、この二つの企業体の業種の相違に鑑みて別個にいたしておる次第でございます。この調停委員会は三名で構成され、その中の二名は企業体と職員との推薦する者から選び、他の一名は、この二名の選ぶ者を当てることにいたしておりますが、これは調停に当る委員に関係当事者の意向をよく理解し得る者を得ることにより、苦情及び紛争の解決を迅速にするためでございます。調停の開始のうち、強制調停が労働、運輸、大藏の各大臣よりなされることになつておりますが、これは労働関係に関する統一的行政運営の上からは誠に異例でございますが、公共企業体と特に密接なる監督大臣との関係から、かかる方法を止むを得ず採り、これにより公共企業体の紛争を迅速に解決する必要があると考えられたためでございます。
 第六章におきまして、仲裁に関する方法機関を設けておりますが、労働紛争議に占める仲裁の制度は誠に重大でありまして、これが運用は特に愼重且つ的確でなければならないものと信ずるのでございます。特に本章におきましては、強制仲裁の制度制が設けられておるのでありまして、事は更に重大であろうと考えます。このため公共企業体の仲裁委員会には、事務に練達にして且つ公正な人を得なくてはならんと存じますので、これが人選には、特に労働関係について経験が深く、且つ中正なる立場にある中央労働委員会と、船員中央労働委員会の第三者委員の選択する人々を委員の候補者とすることにいたし、以上の必要に應じ得るものと考えております。而も仲裁も調停のごとく、これを実行して行く上に、関係当事者の意向を汲み得る人であることが又必要でありますので、関係当事者に中労委と船員中労委の第三者委員の選んだ委員候補者のうちから、相互に協議して三名の委員候補者を決定して、内閣総理大臣に届け出でしめることにいたしております。併しこの関係当事者の協議が三十日以内に整いませんときは、仲裁委員調停委員会の委員とは異なる性格から見て、中労委及び船員中労委の第三者委員が、みずから三名の委員候補者を選び、内閣総理大臣に届け出で、これに基いて委員の委嘱がなされることになつております。かくのごとくして選ばれた仲裁委員会の委員は、どこまでも嚴正中立でなければなりませんので、一方に偏することのないよう、一定の欠格條件を定め、更に事務遂行に支障なからしめるため一定の罷免條件を附しております。
 次に仲裁の開始のうち、特に重要なるものは三点であります。その第一点は、調停にかかりまして、調停委員会が事案を審査いたしまして、調停にては解決困難と認められるもの、又はその他の理由で至急仲裁を要すると判断される事案は、その調停委員会の決議により仲裁に附することになつているのであります。第二点は、調停が開始されてから二ケ月経過しても、尚解決し得ない事案は、自動的に仲裁に附されることといたしたこと。第三点は、労働、運輸、大藏の各大臣から仲裁の請求がなされたとき、仲裁が始まることでございます。
 以上三点は、関係当事者の意思に拘わらずして、事案が仲裁にかかる、いわゆる強制仲裁であります。労働関係の調整は、自主的になされることが望ましいことは、労働関係法規の基本的精神でございまして、強制仲裁のごときことは、この精神からはやや離れております。併しながら争議行為の実行を禁ぜられた労働者の地位をよく保全し、向上せしめますには、事案の解決が迅速になされなければならないのであります。又一方には労働関係の不安をいつまでも残しますことが、公共企業体の正常な運営と能率の発揮の上から見まして重要でありまするので、かかる強制仲裁の制度を設けざるを得ないのでございます。併しながら強制仲裁の制度の運用は、余程適正に行わなければ重大な結果さえ惹起されることが予想されます。かかる理由よりいたしまして、この章に定められます仲裁に関する諸規定の運用は誠に重大と言わざるを得ません。
 以上この法案を提出するに至りました理由と、法案の構成の概略について御説明申上げた次第でありますが、この法案につきまして十分御審議の上、各位の御賛意を得て、この成立を得られますことを備えにお願い申上げる次第であります。
#22
○委員長(山田節男君) 只今の増田労働大臣の公共企業体労働関係法提案の理由に対して、御質問はございませんですか。
#23
○田村文吉君 二つの事柄を労働大臣に伺いたいのでありますが、その一つは、乏しきを憂えず、等しからざるを憂うるという言葉がございますように、現在の官公吏の給與というものが、民間に比べて非常に低いということはどなたにも御承知のことでありますが、この問題は、終戰後逸早く起つて参りました問題で、各歴代の内閣が無論その点についてお心付きにならないとは申されないのであります。十分心付いて、これが施策をお考えになつているのでありますが、常に財政上の問題のために、ようできんというような結果に相成つておるのであります。そこで今度内閣もお変りになりまして、新らしい労働大臣が御就任に相成つたのでありまするが、やはりない袖は振れないというようなことで、事実上これでは無理だと思召しても、やつておいでになるのか、私はこれについては少し深刻に考えているのでありますが、食える食えないという問題と、官吏としての体面の維持できないようなことをしておいて、國が金がないからできないということで、そのままにしてお置きになるということは、これはもう甚だ面白くないことでありまして、殊に二百万の官公吏の生活に関係することで、これがためには誠に悲惨なことも起ると同時に、勢い費用を流用いたしましたり、或いは最近に起つて参りまするような、誠に不祥な事柄も起つて來ておる。こういうようなわけで、いわゆる民間の模範ともなるべき官公吏が誠に忌わしい事件に関係しておる。こういうようなことでありますので、どうしてもこの問題は、ただ金がない、財政上成立たんということだけで問題を放棄さるべきではなくて、先ず或る程度まで財政を超越しても、官公吏の給與、少なくも食えるだけにはしておやりになるということが必要なのではなかろうかと考えるのであります。無論それにつきましては、國家の財政状態を全然無視するということはできんのでありまするが、一時かような場合には、極く短期の赤字公債をお出しになつても、これは支拂べきものは支拂つてやらなければならんのではないか、然る後、現在の情勢から見まして、実際官吏の数が多い、又いろいろの不必要と申しましようか、煩雜な統制が段々なくなつて参りますれば、当然ここに行政整理という問題も起つて來るのであります。今日のような煩雜な統制を止めまして、主食品或いは主要品程度の統制になりますれば、官吏は恐らくは半分で済むのじやないか。現業は別でありまするが、一般の官吏から言つたならば、半分で済むのではないか。こういうふうに考えられますから、今後一年間の間にこういう整理をする。そうすれば今年仮に赤字を出しても、来年に行けばその赤字は埋めることができる。こういうことも成立つわけでありまするので、この事柄が官公吏の生活に関係する限りにおいては、先ず給與だけは増してやる。これがために一時赤字公債を出しても、これは來年に行つて黒字で埋める、こういうことを考えれば、できないことはないのではないか。こういうふうに考えられますが、これに対しては、大臣の衆議院の御答弁、新聞の御発表等から見ますると、私の意見とは必ずしも御賛成でないような考え方でおられるかと思いますが、この機会に御所見を承わりたい。
 第二には、一方で官公吏が非常に窮屈な生活をしておりますにも拘わらず、一方で私企業に参りますというと或いは八千円であるとか、九千円であるとか、或いは一万円以上の平均賃金を要求しておる、こういうようなことでありますると、一方で折角仮に、今度の六千三百円が正しいか正しくないかは存じませんが、かような給與を官公吏に直しましても、いわゆる一方で一万円か一万二千円ということをいうのでは、いつまでも不平が絶えない。又インフレを増進するということに相成るのでありまするので、これに対しては、大臣は最高賃金は決める考えはないかのようなことを発表になつておりますが、果してそうでありますか。私はこの際、さようなものに対してこそ、何らか方法をお考えになつてお置きになることが正当でないかと考えるのであります。
 以上の二点につきましてお伺いいたしたいのでありまするが、もう一つ、昨日人事委員のお方々から、六千三百七円の内訳の御説明を伺つたのでありまするが、その内訳は、家族手当及び地域差というものが、民間に比べますると、途方もない大きな差額に相成つておりまして、到底今日の我々の常識では判断のできないようなものが内閣に勧告されておるのであります。六千三百七円が正しいか正しくないかは、今後審議を盡すべき問題であると考えまするが、かような一般の民間の給與体系を全然壊してしまうような勧告案が來ておりますが、これに対して労働大臣は、全般の労働行政の上からお考えになつて、どうお考えに相成つておりまするか。以上三点についての御答弁を伺いたいと思います。
#24
○國務大臣(増田甲子七君) 田村さんの御質問にお答え申上げます。いずれも御尤もな御質問でございまして、私もこの際御質問に対して所見を明確にする必要があると思いますから申上げます。
 先ず、給與の改善を相当する必要がある。そうして公務員をして立派にその公職に安んぜしめる必要がある。こういう御意見は誠に御尤もでございます。私共はできるだけ、公務員と言わず、又一般労働者の労働条件も改善いたしまして、そうして公職に没頭して貰う、又労働者諸君には大いに働いて貰うということが必要であると思つております。御承知の通り、今労働運動全体を見ますると、これは御質問の外にもなりますが、私は労働者諸君が権利を主張することは、大いに主張して貰つてもよろしいのですが、権利と義務とは、これは二次元の世界ではないのでありまして、一体的関係になつておる。必らずその裏には義務があるのでございますが、労働という方面はやはり大いに働いて貰う、そうして給與はできるだけ良くする。この義務の裏付けの方面、即ち権利というものを、本当に三次元の義務の裏付けのある権利にして初めて完全な権利であるというような、本当の民主主義の思想に徹底して貰うように労働運動を持つて行きたいと、こう思つております。それにつけて、給與を良くしないで、ただ働けと言つてはまずいのでありまして、殊に公共企業体の関係は、これは職員でございまするが、併し一般労働者諸君とも違う。それから公共企業体でない他の公務員は、いわゆる役人でありまして、一面國民全体の奉仕者である、國民に対してお仕えするものであるという関係で、上下の関係には寺つておりますが、又公職を行うというわけでございまして、相当に品位を保つという点については、私は、給與は必らずしも、十分に行つておらんことは、誠に御同感でございます。できるだけ給與を良くして参らなければならんと思つております。ただ併し、この給與を良くした場合に、その財源を赤字公債に求めるかどうかという点については、私は多少違つた意見を持つております。赤字公債というものは、やはり建設公債とか、生産公債、我々は生産公債という言葉を提唱いたしましたが、この頃は建設公債というような言葉が用いられておりまするが、要するに生産設備を造る。例えば災害復旧費とか、或いは道路を造るとか、或いは電力を開発するとかというような、将來の生産設備なり、将來長年使える商賣道具を造るというような場合は、その年の税金で必らずしも賄う必要はないと思つております。ところがその年使つてしまう消費的な経済万両の支出は、借金で賄なつてはまずいのではないか。家庭の消費経済を借金で賄うということは、これはまずい。但し商賣を始めるならば借金してもよろしいというような一つの原理に、國家の経済についても私は同様ではないかと思つております。ただ併し、この急場には、この際そんなことは言つておられんじやないか、公務員の給與をどうするのか、この際だけ特別に赤字公債というようなことを考慮しろというような御意見でしたら、これも一考に價するというふうには拜聽いたして置きます。
 それからその次に、六千三百円のあの数字を決定ざれた場合に、更に民間の産業労働賃金が、又これに権衡を保ち平仄を合せるというようなことで、そこに権衡運動が起きて、結局シーソー・ゲームで切りがないようになりはしないかということを慮れる、労働大臣は、この最高賃金設定について考慮しておるのか、していないのかというような御質問、これも御尤もでございます。私共は六千三百円がいいかどうかということは、今検討中でございまして、殊に御説の通り、他の産業労働賃金によくない意味の、悪影響のないように、できるだけ注意して参りたいと存じております。
 それから賃金統制、賃金安定の問題についても、いわゆる経済十原則のうち、最も重要なのは、私は賃金安定の問題であると思います。これもできるだけ早く安定方策を講じませんと、賃金と物價との「いたち」ごつこで、もう切りがございませんから、インフレの終局的方策のためにも賃金を安定することが、結局賃金労働者のためにもなる、こう思つている次第でありまして、できるだけ早い機会において賃金安定の方策を講じたい、こう思つております。
 それから六千三百七円の内容を、昨日私実は忙しくてこちらへお邪魔できませんで、甚だ恐縮でございましたが、人事委員会の方から聞いたところが、内容については随分常識から見ておかしな点があるというようなお説でございますが、これも私共実は検討いたしておりまして、お説のような点がないでもございません。例えば家族手当が一人一千二百五十円、民間の家族手当は田村さんの御承知の通り五百円乃至六百円でございまして、そこで賃上運動というようなことも起るし、それが一つと、それからお説の通り地域差には五割、一割、零、甲地、乙地、丙地との差異がひどすぎるというような点もございまして、これらも折角今検討中でございますから、どうぞ御了承願います。
#25
○田村文吉君 私の申上げ方が悪かつたか知れませんが、第二問に対するお答えとして、又六千三百七円に直すということは、又民間に影響するのじやないかというような御答弁でございましたが、そういう意味じやなしに、官吏の方は今度上つても六千三百七円、ところが民間の方では八千円、一万円にもなつているので、かようなことをそのままにしておりますと、いわゆるインフレを昂進することになり、又官公吏たちの不平を多くするということになるのだから、第三にお答え下された、いわゆる労働の安定を得る根本策をこの際一日も早くお立てにならなくちやいかんのじやないか、こういう意味で第二問をいたしたのであります。それから第一問に対しての、私は言葉も足りませんでしたが、私の言うのは、この場合だから止むを得ず赤字でも何でもおやりなさい、來年になつたら民自党の言われる政策から考えて、この際徹底的に行政整理をおやりになるという御決心さえあれば、今日赤字公債をお出しになつたところで、來年に行けば立派に黒字にできるのだというめどが付けば、國民も満足するかも知れない、こういう意味でございまするから、私はこの点について赤字公債も何でも、とにかく今日食えないようにして置いて、官吏の待遇もできないようにして置いて、それでよくやれといつたところで、それは無理なんでありますから、どうしてもやるべきものはやる、先ずギブ・アンド・テーク、與えるものは與えて、然る後行政整理すべきことは、徹底的に來年おやりになるということでおやりになれば、必ずしも赤字公債であろうが一向遠慮することがないのじやないか。却つてそれがためにあの税金をここでほじくり、この税金をここでほじくりというような、そんなやり方をなさるということは、徒らに摩擦刺戟だけを多くして、國民はますます不平が多くなる、こういうことではなかろうか、こう考えますので、大臣の御所見を伺つたわけです。
#26
○國務大臣(増田甲子七君) 田村さんの御意見、誠に御尤もでございまして、謹んで拜聽いたした次第であります。第一の、この際であるから、將來は民自党も行政整理を政策にも掲げておるし、その際行政、財政の合理化ということを断行して欲しいけれども、その前にこの一時だけは急場凌ぎで、非常な困難な時であるからして、この場を切拔けるため、臨時的のものとしての赤字公債を考慮せよという点については誠に御尤もでございまして、同感でございます。これは実は関係筋ともこの際のことだというわけで、実は交渉もいたしておりまするが、今日交渉過程でございまするから、どうか御了承願いたいと存じます。
 それから勿論六千三百円は妥当であるけれども、一般産業労働賃金が少し高く要求しておる。それが又賃上をしなければならないといつたような問題が起きはしないかという御質問であつたそうでありまして、その点は私少し誤解しておりまして恐縮に存じますが、一般産業労働賃金につきましても、財源のない上り方をしたのでは、又公務員の賃上運動が起りまして切りがありませんから、そこで賃金安定を主眼とするところの経済安定の十原則が取られたものと思う次第でございまして、できるだけ早く全体の賃金構造というようなものの、一つの調和の取れた賃金体系を、公務員を含めた全産業労働賃金を、産業別の賃金構造というようなものを得たいということで、折角今研究中でございます。
#27
○委員長(山田節男君) 他に御質問ございませんか。
#28
○平野善治郎君 労働大臣にちよつとお尋ねしたいのでありますが、この法案はやはりマツカーサー書簡の趣旨を体しましてできた法案でありますが、我々前の公務員法案を審議しておつても、これを審議しておつても、一つ感ずることは、あの書簡には明瞭にいろいろな制限を、今度は公務員なり、こういうような公共企業体労働関係法案の中にも制限を受けるのでありまして、その狙いというものは、一方においてそういう従業員、公務員であり、こういう従業者に対して、その福祉と利益を十分に保護してやらなければならん義務を負つておるのであるということが明瞭であります。これは常識としても私共は一点疑いの余地がないのであります。ところが政府が今議会に、マッカーサー書簡によるこういう法案を出すときに、片一方の方は、どうも私共から見ると誠意がある取扱いをしておらないと思う。法案だけは出ておる。それでこの前にも参議院において、院議を以ていろいろなあの追加予算の措置をやることを要望してあるわけでありますが、政府の答弁を今まで聽いておりますというと、まあ一生懸命やつておるのだということはよく分りますが、併し公務員法並びにマツカーサー書簡でできました法案は、常識的に考えましても臨時國会には政府も通したいからであろうし、又私共といたしましても十分審議はしますが、努めて通すことにおいては努力をするつもりであります。ところが一方の給與の改善に対するところの具体的の措置が、一体審議ができそうな時間に同会に提出ができなければならんと、こういうふうに我々は強く思つておりますが、政府はどのような考えで、もう具体的に大体の日取が分つたかどうか、その点一点と、もう一つは若しその具体策がまだできないで、ただ速かにといつて、若しもこの本國会に片方の法案だけ通つて、そうして別の給與に対するところの裏付けになる追加予算の方が出ない場合において、私共は非常に憂うべき現象が労働者の中に起つて來ることを恐れておるのであります。それに対するところの労働大臣の所見を私は伺つて置きたいと、こう思う次第であります。
#29
○國務大臣(増田甲子七君) 平野さんの御質問にお答え申上げます。御尤もな御心配でございます。私共はマツカーサー書簡に謳われておりまする公務員の特殊的な地位を確立しろ、あの御趣旨と共に給與、福祉並びに利益の擁護についても心配をせよというような御趣旨は、両方共これを厚く遵奉しなくてはならん、こういうふうに考えておる次第であります。そこで公務員法は、今御承知の通り提案されておりまするが、これに引続きまして、これに接着して給與の改善案のことについても、早く成案を得て國会に提出いたしたい。そうして皆様の御協賛を得たいというわけで、一生懸命財務当局はもとより全政府を挙げて、又関係筋とも毎日交渉いたしておる次第でございます。どうぞ御了承願います。從つて、まあ私の考えでございまするが、公務員法だけ通つて給與は取残されるというようなことは、お説のようないろいろな遺憾の点も予想されますから、できるだけ、九分九厘までそういうことのないことを期したい、こう思つて進んでおります。
#30
○委員長(山田節男君) 御質問ありませんか。私から一つお伺いいたしますが、ここに提案された公共企業体労働関係法案は、聞くところによると、法務廳案だ、他に労働者の案もあつたということなんですが、これは実は御発表できる範囲内で、逐條審議する前に、労働省案と法務廳案とのどの点が著しく違つておるか、殊に第二章以下ですね、違つておる点を簡單に御説明を願いたいと思います。
#31
○國務大臣(増田甲子七君) 委員長の御質問にお答え申上げます。労働省といたしましては、これは法務廳が主として立案をして呉れたものでございますが、他の関係者は、例えば今公共企業体を主として所管いたしまする運輸省及び大藏省の大臣初め関係官、それから労働省は大臣初め関係官が、やはり同等の責任を持つて審議策定したものでございまして、その審議過程におけることは、これは余り実は申上げにくいのでございまして、どうかその点はお許しを願いたいと思うのでございまして、審議過程におきましては意見があつたことはそれはございます。併しながら政府の統一的意思として、ここに公共企業体労働関係法案が提出されたわけでありますが、このラインで御審議を願いたいと、こう思う次第であります。
#32
○委員長(山田節男君) 他に御質問ありませんか。他に御質問もないようでありますから、時間も過ぎましたので、次回に公共企業体労働関係法の逐條審議を願うことにいたしまして本日の議題は、御説明はこれで終ることにいたします。尚散会に先立ちましてお諮りしたいことがあります。竹下理事が今回労働省の政務次官に御就任になりましたので、理事辞任届を出されたのでございますが、竹下君の辞任を許可して御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(山田節男君) 御異議ないものと認めます。つきましては、その後任を互選いたしたいと思います。
#34
○原虎一君 理事の互選につきましては、成規の手続を省略いたしまして、理事指名の件を委員長に一任することの動議を提出いたします。
#35
○委員長(山田節男君) 原委員の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(山田節男君) 御異議ないものと認めます。それでは私から早川愼一君を理事に指名いたします。さよう御了承願います。
 もう一つ公聽会のことでございますが、本委員会に予備審査のために御付託になりました公共企業体労働関係法案につきまして公聽会を開きたいと存じまするが、公聽会は、御承知の通り、参議院規則第六十二條に「委員長は、委員会に諮り、公聽会を開くことができる。」ということがありまするので、これによりましてお諮りをいたすことにいたします。これにつきまして公聽会を開くことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(山田節男君) 御異議ないものと認めます。つきましては参議院規則第六十七條におきまして「公聽会において意見を聽く利害関係者及び学識経験者等(これを公述人という)は、予め申出た者及びその他の者の中から、委員会においてこれを定め、本人にその旨を通知する。」という規定になつておるのでありますが、これを公告いたしまして申込みを取るのであります。又その他の者を選定いたすのでありますが、これを委員会でお定めを願うことに規定はなつておりますが、これにつきまして、前例によりまして委員長にお任せを願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(山田節男君) ではその点も御異議ないと認めます。それでは議長の承認を要することになつておりまするから、承認を得る手続きを取ることにいたします。それでは期日は二十六日と二十七日といたしたいと考えております。この手続きをいたします。成るべく時間までに、定刻にお願いいたしませんと、公述人の時間が遅れますから、どうぞ定刻までお揃いを願います。ではこれを以て本日の労働委員会を散会いたします。
   午後三時四十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           平野善治郎君
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           田口政五郎君
           門屋 盛一君
           竹下 豐次君
  國務大臣
   運 輸 大 臣 小澤佐重喜君
   労 働 大 臣 増田甲子七君
  説明員
   大藏事務官
   (專賣局官房
   長)      松尾 俊次君
ソース: 国立国会図書館
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