くにさくロゴ
1948/11/25 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第6号
姉妹サイト
 
1948/11/25 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第6号

#1
第003回国会 労働委員会 第6号
昭和二十三年十一月二十五日(木曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体労働関係法案(内閣送
 付)
  ―――――――――――――
   午後三時十六分開会
#2
○委員長(山田節男君) それでは只今から労働委員会を開会いたします。本委員会に付託されておりまする公共企業体労働関係法案、これは前の委員会において政府委員から御説明申上げましたように、相当訂正の箇所もございます。本日は本法案につきまして政府側の逐條説明を求むることといたします。
#3
○政府委員(竹下豐次君) それでは公共企業体労働関係法案の第一條から逐條的にその内容につきまして、簡單に御説明申上げます。
 第一條の第一項はこの法律の目的に関する規定でございます。即ちこの法律の目的といたしますところは、公共企業体における團体交渉の慣行と手続とを確立することによりまして、公共企業体の正常なる運営を最大限に確保して、公共の福祉を増進し擁護することにあるのであります。本條に「苦情」という言葉が使つてありまするが、これは職員がその労働條件について有します不平不満を申すのであります。尚「紛争」と申しまするのは労働関係の当事者間におきまして、労働條件に関する意思又は主張の不一致がありまして、そのために現実に争議行為が発生しているか、若しくは発生する憂いのありまする状態、換言しますれば労調法第七條の労働争議とほぼ同様の状態を意味しておるのであります。尚本項におきまして「團体交渉の慣行と手続を確立すること」を謳つておりますのは、これまで労働組合法、労働関係調整法で團結権、團体交渉権を抽象的に補償するに止まつておりまして、團体交渉権の具体的行使の態容につきましては、これを労働関係当事者の自主、自立に委ねていたのに比べまして注目せらるべき一つの点でございます。即ちこの趣旨としまするところは、公共企業体の労働関係が社会公共の福祉に及ぼす影響の重大なるに鑑みまして、その友好的且つ平和的調整を図るように、かねてより團体交渉の手続を明確にいたしまして慣行を確率することが緊要とされるによるものであります。「公共企業体の正常なる運営」という言葉が使つておりまするが、これは公共企業体の業務が法律に定められました秩序下のに社会通念上正当に期待される能率を以て運営されておる状態をいうのであります。例えば業務管理とか生産管理等によつて運営されているような場合には、たとい運営能率が一時的に上昇いたしましても、これを以て正常なる運営であるとは云えないという意味なんであります。第二項につきまして御説明申上げます。第二項はこの法律が定める團体交渉及至苦情又は紛争の調整等の手続に関與する関係当事者の責務を謳つておるのであります。即ちこれらの関係者は國家経済と國民福祉に対する公共企業体の重要性に鑑みまして、紛争の防止及び主張の不一致の友好的か調整のために最大限の努力を盡さなければならないということを謳つております。尚本項に特に「経済的紛争」という文字を使つておりまするが、これは前項に職員の労働条件に関する苦情又は紛争と謳つてあるのと相俟ちまして、本法による調整の対象となる紛争や苦情は本來政治内容を持つものを含まないことを明確にしておるものであります。
 第二條は公共企業体というのは一体どういうものであるかということを規定しておるのであります。
 第一項は、この法律において公共企業体と言われるものが具体的には日本國有鉄道及び日本專賣公社の両者であることを明らかにいたしております。
 第二項は、この法律において職員と呼ばれるものの範囲を規定しております。即ち、ここに職員と申しますのは常時公共企業体に勤務して一定の報酬を受ける者であつて、役員及び二ヶ月以上の期間を定めて雇用される者以外のものをいうのであります。「役員」と申しまするは、日本國有鉄道法及び日本專賣公社法において役員と呼ばれているものを指しております。從つてその具体的範囲は二つの法律の定めるところによるのであります。即ち具体的に申しますると國有鉄道にあつては総裁、副総裁及び理事の地位にある者を言い、日本專賣公社にありましては総裁、副総裁、理事及び幹事の地位にある者を言うのであります。それぞれ第十八條と第十條に規定してあるのであります。「二ヶ月以内の機関を定めて雇用される者」とありますのは、具体的に例を申しまするならば、鉄道の災害復旧等のために臨時に雇用される人夫等がこの中に入るものでございます。
 第三條は本法適用の範囲を規定しておるのであります。で、本條は公共企業体の職員に関する労働組合並びに労働関係及びその調整は、この法律により、この法律の定めないものについては原則として労働組合法によることを規定しておるのであります。尚本條は公共企業体の職員についてはこの法律が労働組合法の特別法であつて労働組合法が一般法であることを明らかにしております。このためにこの法律に明記されたものは労働組合法は適用されないことになるのでありまして、労働組合法第十一條、第十二條及び第二十四條から第三十七條の規定は公共企業体の職員には適用されないことになつております。この適用されない主な点は、労働委員会の規定が公共企業体の職員については全く排除されたことであります。尚、労働関係調整法は公共企業体の職員については適用されず專らこの法律の定めるところになることになつております。
 第四條は職員の團結権について規定しております。
 第一項について先ず申上げます。本校は職員の組合の結成及至加入に関する規定であります。即ち職員は労働組合法による労働組合を結成することも結成しないことも自由にできるのであります。又かかる組合に加入することも或いは加入しないことも等しく自由にできることになつております。但しあとで述べまするように、管理又は監督の地位に或る者及び機密の事務を取扱う者は組合を結成したり又はこれに加入したりすることはできません。次に右によりまして明らかでありまするように、本法は公共企業体の職員の團結の自由を保障すると共に、組合のショップ制についてオープーン・ショップ制を採ることを明確にしたものでありまして、この法律の一つの大きな特色となつているのであります。本條により職員の結成及至加入する労働組合は労働組合法上の労働組合でありまするから、この法律によつて特別の定めがなされまするか、若しくはこの法律による規定と矛盾及至競合しない限り、当然労働組合法が適用されるのであります。
 次に本條中に「官吏の地位にある者」というのがございますが、これは公共企業体の財産の維持、保全についと直接責任を負い、且つその業務の運営について権限を有する者を申すのであります。尚その下に「監督の地位にある者」とございますのは、職員に対して身分上及至業務上監督する地位にある者を申します。具体的にはまあ課長以上という者がこれに含まれると解せられるのでございます。又「機密の事務を取扱う者ということばがございまするが、これは例えば人事とか経理等に、企業運営に伴う機密の事務を取扱者を申すのであります。総裁の秘書等の如きこれに含まれるのでございます。尚これらの具体的の範囲については、第二項に定めてありまする通り、政令でこれを定めるということに相成つておるのであります。
 第二項は前項但書に揚げた「官吏、監督の地位にある者」及び「機密の事務を取扱う者」の範囲は政令で規定されておるということであります。それだけのことであります。
 第三項は公共企業体の職員の組合員又は役員となるには公共企業体の職員でなければならないということを規定しております。尚労働組合は労働者が主体となつて自主的に組織する團体又はその連合体であることを要件とするに止つておりまするから、必ずしも該当事業体の職員でなくてもその組合の職員及至役員となることを妨げないのでありまするが、公共企業体の組合につきましては特に組合に自主性を確立するため、このような規定を設けられてある次第でございます。
 第五條は不平等取扱の禁止規定であります。本條はいわゆる不当労働処遇の禁止に関する規定でありまして、労働組合法の第十一條に類似する規定なのであります。ここに申します不当労働処遇の禁止は次の二点について適用されます。即ち第一、使用者たる公共企業体は、組合員であること又は組合のために活動したことを理由として職員として雇入れなかつたり、又は職員に対してこようその他不利益な取扱をするようなことをしてはならないというこであります。
 第二は、職員は組合に加入しなかつたことを理由として使用者又は組合によつてどのような不利益な取扱をも受けないということであります。本條は第四條第一項の規定と相俟つて一面職員の團結権を保証すると共に、多方面同行に規定されたオープン・ショップ制を確保せんとするものであります。「組合のために活動したこと」という文句がございますが、これは組合の結成、加入若しくは組合の運営等のためになした活動のことであります。而してこのような活動は無制限且つ無条件に保護されるものではなく、やはり組合法第一條第一項及至第十一條等に謳つてありますように、社会通念上正当なる範囲を逸脱しないものであることが條理上要請されるのであります。「不利益な取扱」と申しまするのは、例えば昇級、昇進、賞與、物資の配給、職場配置その他について、他の者に比し現実に不利益な結果を生ずるような取扱を指摘しておるのであります。
 第六條は、組合規約の必要事項について規定してあります。本條は職員が結成する組合その他の團体の規約の必要的記載事項に関する規定でありまして、その具体的の内容は次の通りでございます。一、無記名投票による役員選挙に関する規定二、外部の監査人による組合資金の定期的監査に関する規定三、組合員の会計報告要求に関する規定これが具体の内容でございます。而して特に右の一及び二の規定を欠くときは、その組合はこの法律に定める権利例えば不利益取扱の禁止等のごときを受けることもできなければ、又この法律に定められた團体交渉、苦情処理及至紛争調整等の諸種の手続に参與することはできないものとされておるのであります。以上の必要的記載事項の外に、労働組合法による労働組合については組合法第七條に規定する事項を記載しなければならないことは勿論のことであります。特に本條において役員選任及び会計監査に関する事項を必要的記載事項とした所以は、從來の我が國の労働組合等の実情を見まするに、役員選任に関する規定が極めて不十分であり、又組合資金の支出と、これに関する監査の規定を殆んど欠除したものが少なく、このために組合の民主的運営に重大な障害の因となつたことに鑑みまして、こういう規定を設けておる次第であります。而して本條では、公共企業体の組合にあつてはその役員の選任はすべて無記名投票によるべきことを要件とし、その具体的手続を詳細に規定しなければならないこと、及び組合員に会計報告をなさしめることを目的として公正な外部の監査人による組合資金の定期的監査に関する所要の規定、又組合員が適当な期間、例えば各四半期毎に会計報告を要求することができる旨の規定を必要最小限度に設くべきことといたしておる次第であります。
 第七條は、專從職員に関する規定であります。本條は、いわゆる組合事務專從職員に関する規定でありまして、公共の企業体は一定数を限つてその職員が組合役員として組合の事務に專任することを許可することができるということに相成つております。即ち本條によつて組合事務に專從することを許されるのは組合の役員に限るのであります。ここに申しまする役員と申しまするのは、具体的には組合長、副組合長、執行委員、監査委員、鬪爭委員等、組合員の委任を受けて組合運営の責に任ずる者を言うのであります。從つて例えば組合書記等のごとき者は役員には含まれないのでありますから、これについては職員の專從が認められないのであります。右によります組合事務專從者に対しましては、公共企業体に何らの名目を以てするとを問わず如何なる給與も支給してはならないということに相成つております。尚本條の規定は、組合がその負担によつて外部の者を組合事務職員として雇入れることを妨げるものでないことは勿論であります。
 次に第八條でございます。これは團体交渉の範囲を規定しておるのであります。その第一項は團体交渉の範囲から公共企業体の官吏及び運営に関する事項を除くことを規定しております。本項に「官吏」と申しますのは公共企業体の財産の性質を変じて、その現状を維持し、又は財産に多少の変更を施し、或いはこれにより果実を生ぜしめるようなことを言つておるのであります。これを具体的に申しますれば、財産の保存、財産の性質の本質を変じない範囲内における利用改良等を言うのであります。
 次に「運営」と申しますのは公共企業体の業務の捜査を申します。これは管理とは違つておりまして、財産に何らの変更を加えず、財産の現状において財産を操作することであります。例えて申しますれば、國有鉄道について申しますならば、日常の業務を実行するために時間表を作成し或いは配車を行うようなことがこれに当たるのであります。
 本項は公共企業体の経営そのものは、職員との團体交渉となり得ないことを規定しておるのでありますが、これは労働組合法においては明記しておりません。併しながら公共企業体の性格は完全國有法人であることによりまして、その経営は國民の代表である国会及び政府に対して全面的な責任を有する者によつて行わなければならない。このために政府により任命されました経営の責任者がその責任においてに共企業体を運営することは、それ以外の者により貸すことができないものとして保証されねばならない必要上、この規定が設けられたのであります。
 次に第二項は、團体交渉の行われる範囲を明確にしてこれを限定し、第四條によつて組合に加入し得ない以外の職員の労働條件に直接又は密接に関連する事項に関してのみ團体交渉が行われ、この團体交渉の範囲の事項について労働協約が締結されることを規定しておるのであります。「労働協約」と申しますのは、労働組合法の第三章に規定する「労働協約」というのと同じ意味でございます。「終業規則」と申しますのは労働基準法の第九章に規定しております就業規則と同一の意味であります。「時間外割増賃金」と申しますのは、所定労働時間以上に労働した場合の超過労働時間に支拂われる賃金は、労働基準法の第三十七條によつて二割五分以上の割増賃金を支拂わなければならないことになつておりますが、その資金を申すのであります。
 先任權ということがございますが、法律上從來余り使われたことのない用語でありますが、これは英語のシニオリテーという言葉に当つておるわけであります。労働組合は会社と一緒に、その会社の全從業員の勤務期間を記した名簿を作り、この名簿が先任者名簿又は古参者名簿とでも申しますか、会社において又はその部局において順位の高い者は、昇進において優先権を持つ。解雇が大仕掛けに行われるというような場合には、順位の低い者から先に行われる。これによつて職場における情実等を排して労働條件の適正化を図ろうとするものであります。苦情処理機関と申しますのは、日常の作業條件又は労働協約の解決又は適用から生ずる不平不満を処理するために設けられたる機関を申します。この明かにされました範囲によつて、團体交渉が行われ、これに関して労働協約が締結されるのであります。この点は労働組合法において團体交渉の範囲が明かにされていないのを明確にいたしておるのでございます。
 第九條は、交渉委員のことについて規定しております。その第一項は、團体交渉が公共企業体と、その職員の交渉委員とによつてのみおこなわれることを規定したのであります。労働組合法第十條によりますれば、團体交渉は労働組合の代表者又はその委員を受けた者が行うことになつておりますが、これに対して本法では、労働組合法で認める團体交渉が、交渉委員によつてのみ行われることにいたしまして、交渉権限を交渉委員に決定いたしております。交渉委員は、第十條に規定する團体交渉を行いますに適当なる單位毎に設けられ、その單位において排他的に團体交渉を行うことになつております。
 第二項は、交渉委員の最大限の数と、この法律で規定していない機能について政令で定めることにいたしております。機能と申しますのは交渉委員の機能及び働きをいうのであります。例えば單位内の組合との関係、労働協約の締結に関する能力等が含まれるのであります。
 第十條は、團体交渉を行うに適当なる單位の決定であります。その第一項は、團体交渉が行われますには、いかなる場であるかを決定してあります。「團体交渉を行うに適当な單位」と申しますのは、團体交渉が交渉委員によつて行われるに適当な職場、又は適当な職種の職員の集團を申します。例えば國有鉄道の鉄道局ごとにした方が團体交渉に適当だとしますならば、その鉄道局がこの單位となり、若し管理部が適当であるのだということになりますれば、これがその單位と決められる。或いは機関手が一つの職能組合を作つていたといたしまして、この組合と團体交渉を行うことが適当であるとしますならば、この機関手の組合が單位とされる。こういうことに相成るのであります。かような單位は公共企業体と職員に非常に大きな利害があるのであります。この両者が相互に協議して決定することにいたしております。併しながらこの單位が何時までも決定し得ないときは、当然交渉委員も選出することができませんので、第十一條におきまして二月十五日までに交渉委員が單位の決定がないために決定し得なかつた時は、労働大臣がこれを決定する。こういうことに規定いたしております。
 第二項は、決定した單位を労働省労働局に届出なければならないという規定でございます。
 第十一條は職員を代表する交渉委員の選出に関する規で有ります。第一項は職員を代表する交渉委員の決定を規定いたしました。これが職員により自主的に二月二十五日までに決定し得ない場合には、労働大臣が決定した手続に從つて、労働大臣が職員をして交渉委員を選出させるための措置を取るるということを規定しております。本條に主たる組合と申しますのは單位における組合の内、数的に最も多い組合を意味しております。交渉委員の指名は、その單位における主たる組合が、組合員以外の職員の代表者と協議して二月二十五日までに行われるのであります。ここで協議してと申しますのは、お互いに話し合うことでございまして、この話し合いが成立しなければ交渉委員は指名され得ないということになるのであります。交渉委員の権限は、その交渉委員の属しまする單位における排他的にに團体交渉を行うものであります。第九條において規定されておる團体交渉の行使方法に対して、ここでは交渉委員の方面から見て規定したものであります。かような交渉委員が職員によつて二月二十五日までに自主的に決定されないときには、労働大臣が交渉委員を職員に選定せしめるために、この法律で定められた基準によつて二月二十五日の翌日から数えて三十日以内に必要な措置を講ずべきことを求められております。ここでこの法律で定められた基準と申しますのは、労働大臣の決定しまする第一項の第一号から第三号及びこの決定で考慮を拂われる第二項、第三項を申しております。労働大臣が右によつて交渉委員の選出のための措置をなすために、労働大臣は第一項に掲げる各号を決定いたします。即ち先ず單位を決定するが、この單位がすでに第十條で決定しておりますときは、この決定を行いまする必要はありません。單位が決定されていないときに限つて、この決定が行われるのであります。次に第二号におきましては、交渉委員を選出することに参加することのできる組合と、その他の職員の代表者を決定する。その決定はその單位における職員の意思を十分入れて決定されるのであります。この点について第三項において詳細に規定されておるのであります。
 第三号においては、第二号において決定した交渉委員を選出するのに参加する場合、又はその他の職員が交渉委員を選ぶのに投票を行うことになりますが、その投票の手続を決定するのであります。併しこの手続を決定するに当たりましては労働大臣は、この投票に参加する組合、その他の代表者を選んだ職員の集團の職業的任務やその單位における数的勢力に対します考慮を拂わなければならないことになつております。例えば組合の行使し得る票数又は投票管理、投票時間等について考慮が拂られることになるのであります。
 こうして決定されたものによりまして、労働大臣が交渉委員を選ぶ措置が取られるのであります。併しこの各号が必ず労働大臣よつて取られなければならないというのではありませんで、労働大臣はこれらに則りながら職員の交渉委員を選ぶことを第一の目的としまするから、必要のないときは例えば第三号によつて投票しないで、第二号によつて定まつた組合と職員の代表者の協議によつて交渉委員を決定することも許されるわけであります。
 第二項は第一項第一号の單位を決定するために労働大臣が考慮を拂うべき点を明らかにしているのであります。單位は團体交渉を行う場であるから、この單位内の職員は團体交渉について同一の利害を持つことが求められます。職種とか経験とか賃金その他の労働条件は、職員にとつて最も密接な関係がありまするから、これらが同一になることを必要とするのであります。第三項は、第一項第二号の決定を行うに、労働大臣が特別の事情があると認めるときは、職員に無記名投票を命じ、これを管理することのできることを規定しております。「特別の事情があると認めるとき」と申しまするのは、單位における組合とその他の職員との勢力関係が複雑でありまして、容易に交渉委員の最終的選出に参加し得る組合又は他の職員の代表者について職員の意向を推測し得ない場合を申します。例えばその單位において、組合が幾つか存在して、その勢力が伯仲していて、職員の多数の意思を確かめ得ない場合などがその一例であります。労働大臣は右のような特別の事情がありまするときは、職員の多数の意思を確かめねばなりませんので、その最終的として職員に対して無記名投票を命じ、管理し得るのであります。この選挙の場合における本項後段に掲げるような事項に関することは、政令で定めることにいたしております。
 第十二條は意義の申立に関する規定でございます。その第一項及び第二項は、第十一條によつて自主的に又は労働大臣の関與によつて行われた交渉委員の指名について異議のある者は、これらの指名が行われた後五日間以内に労働大臣に異議の申立ができることを規定しておりまするが、これは單位の職員に交渉委員の選出について十分その意思を表明し得る機会を與えたものであります。尚この異議の申立及び労働大臣による解決の手続は、政令によつて定めることにしております。
 第十三條は、公共企業体を代表する交渉委員の選出について規定してあります。
 第十四條は交渉委員の証明及びその任期に関する規定であります。第一項は関係者の請求があつたときは、労働大臣は交渉委員であることの証明書を交付しなければならないということを規定してあります。交渉委員は單位における排他的に團体交渉をなす者でありますから、職員にとつても、公共企業体にとつても重要な存在でありますので、交渉委員であるか否かを公証することは、團体交渉における権限を明らかにすることなどにおいて重要な意義がありますので、この規定が設けられてあります。ここで「関係者」と申しますのは、單に公共企業体と職員ばかりでなく、團体交渉について利害関係を有する者を含んでおります。例えば職員の組合が他の労働組合に加入しているとき、この労働組合等はこの関係者という言葉の中に含まれるのであります。第二項は、交渉委員の任期を明示しているものであります。
 第十五條は、團体交渉の回数について規定しております。本條は團体交渉の行われます場合を規定すると共に、毎年一回は少くとも雇用の条件についての労働協約を締結する目的を以て團体交渉が行われなければならないということを規定しております。本條におきまして交渉委員の会合について定めておりまするが、これは交渉委員の性格から見まして、團体交渉を行うために会合を開くことをその主たるものといたしております。但し團体交渉に入らないでも、そのための準備的打ち合せ等のための会合もこの中に当然含まれておるのであります。この交渉委員の会合は一方の請求がありますれば開き得るのでありまして、公共企業体及び職員代表をする交渉委員の双方の同意を必要といたしません。併し交渉委員の一方の請求があれば開かなければならんことを他の一方に強制し、義務付けておるものでもございません。但書におきましては毎年少なくとも一回は賃金その他の雇用の基礎的條件に関した事項を具体化した労働協約を締結するために交渉委員の会合が開かれなければならないことを義務づけております。が、これに関する労働協約を必ず更新しなければならない、或は新たに締結しなければならないというような義務が付せられてあるものではございません。本條は團体交渉の開かれまする場合を規定すると共に、その但書において、毎年少なくとも一回は雇用の基礎的條件に関する事項を具体化するための労働協約の締結を目的とする團体交渉を義務付けておりまするのは、かくいたしまして結ばれた労働協約によりその一カ年の労働関係を平和に維持して行くことを趣旨といたしております。即ちこれは職員の生活が年々必ず新たな基礎の下に確立され、これによつて労働関係の不安を除いて公共企業体の業務の正常なる運営と能率の発揮を確保しようとするものであります。
 次に第十六條は、資金の追加支出に関する國会の承認の要件であります。第一項は公共企業体の既定予算によつては、又は企業体が自由に支出し得る資金によつては賄い得ないような公共企業体と職員の組合との協定は、政府に対してどんな拘束も加えることができないものであるということを規定いたしております。又その支出が國会の措置を要するものであるときは、國会による法令上の措置がとられるまでは、右の協定に基づいて如何なる支出もなされないことを明記しておるのであります。本條に「予算上」という言葉がございまするが、これは日本國有鉄道法案第三十八條及び第三十九條又は日本專賣公社法案第三十二條及び第三十三條の既定によりまして、日本國有鉄道又は日本專賣公社の予算として既に確定しておりまする予算から支出されることを申します。尚、本條に「資金上」という文字が使つてありまするが、これは日本國有鉄道法案の第四十四條及び第四十五條は日本專賣公社法案第三十八條及び第三十九條の既定による借入金又は政府よりの貸付金から見て支出し得るものを言うのであります。「所定の行為」と申しまするのは、憲法上及び財政法等の如き法令によつて定められた行為を申します。「協定」と申しまするのは、公共企業体と職員又はその組合とが取り決めた事項を申しまして、労働協約よりも廣い内容を持つております。前段におきまして政府と公共企業体と職員の組合が結んだ協定との関係を規定いたしまして、これ等の協定が政府を何等束縛するものではないとしておりまするが、これは政府は國民の代表である国会の信任を得まして選ばれたものでありまするから、一部のものによつては拘束されないということから來る制限を明示したもであります。後段は前段の協定に基づく支出について規定し、國会による憲法上又は法令上の行為が行われるまでは如何なる支出もされないことを明かにして、これ等の協定が國会の行為を侵すものでないことを規定しておるのであります。
 第二項は第一項のような協定が結ばれたときの措置とその効力について規定したしております。本文におきましては前項の協定について政府が取らねばならぬ措置を規定しております。但書前段には國会の閉会中のことを規定したしております。但書の後段は國会による所定の行為が取られたときの協定の効力に関するものでありまして、これにより協定履行を行い得る財源が用意されたときは、その國会承認の日に拘らず協定の日付に遡つて協定が効力を生ずることを認めてあります。併しながらこれは國会が必ず協定の日付に遡つて効力を発生せいむる措置取らねばならないということを義務付けているものではございません。
 第十七條は争議行為の禁止規定でございます。第一項は職員及びその組合に争議行為を禁止し、且つこれを共謀し、そそのかし、若しくは煽動していはならないことを規定しております。「正常な」と申しますのは公共企業体が日本國有鉄道法及び日本專賣公社法で定める既定に從つて業務が運営されることを言い、例えば日本國有鉄道が普通のダイヤで列車の運行をしていても、それが総裁又はその他の業務執行者の指揮を排除して行われておるような場合は「正常」な運営とは言えないのであります。本項で予定しまする正常な運営阻害行為は争議行為として行われる場合を申します。その例として同盟能業、怠業の如く争議行為としての代表的なものを挙げておる点から見ても、かく解せられるのであります。本項で職員又はその組合に争議行為を禁止しましたのは、公共企業体の公共の福祉に占める地位と、公共企業体が完全國有法人あつでて、これが業務の停滞は政府に直ちに脅威を與えることによりまして、かくの如く争議行為は禁止されたのであります。而してかかる禁止されました行為を共謀し、又はそそのかし、若しくは煽動することも当然同様の趣旨から禁止されねばならないのであります。
 次に第二項は第一項と対應して公共企業体が争議行為として作業所閉鎖を行い得ないということを規定しておりますが、かかることにより労働者に対しまして争議行為の威力を以て臨み得ないこととしたのであります。
 第十九條は苦情処理共同調整の会議につきまして、規定しております。
 第一項は苦情処理共同調整会議に関する既定であります。
#4
○田村文吉君 議事の進行について……出席者も少ないようでありますし、まだこれからの御説明も相当時間がかかると思いますが、明日に続行して頂きたいと思います。
#5
○委員長(山田節男君) 明日、明後日は公聴会がございますから、今日中にも説明は終わりたいと思いますから、違つた点だけを賀來政府委員より御説明願いたいと思います。
#6
○政府委員(加來才二郎君) それでは特に我々の方で御了解願いたい点について申上げたいと思います。第十九条の点は、これは組合法にない点でありまして、特に苦情を至急に処理させる、かような意味で苦情処理共同調整会議というものが設けられておる点であります。
 第二十條はこの前に正誤を差上げましたが、これはこの前の正誤前のにおいては、調停委員会みずから調整をしない、監督だけをする調停委員会があつたのでありますか、それがなくなりまして、中央と地方に国有鉄道と專賣公社に関しまする調停委員会を作るというふうに簡素化されて参つたのであります。
 次は二十一條でありますが、二十一條におきまして、これは別に申あげることはありませんが、ただ調停委員会が普通の労働組合法の場合と違いまして、三名によつて構成されるということと、それから選任の手続を規定しております。これも組合法と違つた点であります。その次は二十四條の第五号、これは組合法と違つておる点であります。労働大臣の外に運輸大臣、大藏大臣も同時に請求できるという例外的な措置を講じておるのであります。
 それから二十六條以下の仲裁の方であります。この点は労働組合法と非常に違つておる点でありまして、仲裁委員会は三名を以て設けまして、これによつて強制的な仲裁もできる、こういう点がこの法案の大きな特徴になつておるのであります。
 それから第五章は全部仲裁委員会についての規定でありますが、その次は三十三條でありまして、この三十三條におきまして基準法の三十六條の既定につきましての仲裁も特にやる、こういうことを掲げてあるのであります。この点は企業体法の方の労働基準法の関係をこちらで明確化するというふうな念のための規定ということになつておるのであります。
 その他につきましては、三十八條におきまして、この法律の運用及び施行の責任は、本法に特別の定めのあるものを除いては労働省が所管すると言うことを明らかにしたという点は、これは今までの労働組合法とこの法律の性格から見まして特に定められてあるものであります。大体主要な点は以上であります。
#7
○委員長(山田節男君) それでは今日はこの程度にて散会いたします。
   午後四時一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           田口政五郎君
           門屋 盛一君
           田村 文吉君
           波田野林一君
  政府委員
   労働政務次官  竹下 豐次君
   労働事務官
   (労政局長)  加來才二郎君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト