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1948/11/26 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第7号
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1948/11/26 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第7号

#1
第003回国会 労働委員会 第7号
  公聽会
――――――――――――――――
昭和二十年三年十一月二十六日(金曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体労働関係法案(内閣送
付)
  ―――――――――――――
   午前十一時十八分開会
#2
○委員長(山田節男君) では只今より公聽会を開会いたします。
 会議に先立ちまして、公述人の方々が御多忙の折から本労働委員会のためにわざわざ御出席頂きましたことに対して、委員長として厚くお礼を申し上げます。
 公聽会の案件は、公共企業体労働関係法案についてというのでありまするが、時間の関係上各公述人の方の公述時間は各十五分にいたしたいと存じます。そうして各公述人の方に対しまする質疑應答は午前の部と、午後の部との二回に分ちまして、一括して御質疑應答を願いたいと存じます。質疑應答ともに各五分間と制限いたしまするから、さよう御了承をお願いいたします。折角御多忙中わざわざ御出席を願いましたにも拘わらず、時間の関係上公述の方に対しましては甚だ短かい時間しかないことに対しまして、改めてお詑び申上げる次第であります。尚公述のことにつきまして公述の方々に御注意申上げまするが、参議院規則第六十八條によりますと、公述人による公述は、問題の範囲を超えない、それから不穏な言動がないということになつておりますので、さよう御了承願いたいのであります。公述の順序は御出席の都合によりまして多少の変更があるかも分りませんから、その点は御了承願いたいと存じます。最初に國鉄労働組合執行委員長の加藤閲男君にお願いいたします。
#3
○公述人(加藤閲男君) 國鉄労働組合中央執行委員長の加藤でございます。御指名に上りまして只今から公共企業体労働関係法案に関し、直接この法律によつて律せられまする國鉄從業員の立場を代表いたしまして、意見を申述べることにいたします。
 最初に、私は去る二十二日衆議院の労働委員会の公聽会におきまして、略々同様の公述をいたしましたことを御報告申上げて置きます。この法案は、私から改めて申上げるまでもなく七月二十二日首相宛マ元帥の書簡に基きまして、國有鉄道事業及び専賣事業を公共企業体の事業とするに伴い、公共企業体とその職員との間の労働関係を規律する制度を確立するために提案されたものでございます。從いまして時間的に極めて余裕がなく、早急の間に十分檢討されることがなかつたのは否むことのできない事実であつたと考えております。一体マ書簡にも明らかに示されておりますように、鉄道その他を必ず公共企業体に改めるべきであるということは、命令されたのではなく、この点は日本政府の処置に任されておるものであるということは、政府みずからが数次の総司令部との折衝によつてよく承知いたしておるのであります。その故に國家公務員法が絶対的なものとして、可なり早く立案を了しました後においても、この公共企業体労働関係法案に関する限り、或いは運輸省案であるとか、或いは、法務廳案であるとか、或いは労働省案であるとか、区々の意見に分れておりまして、私共といたしましては暗中模索の域を出ることができなかつたのであります。併しながら國有鉄道の経営形態につきましては、マ書簡の出される余程以前から、私共も種々研究をいたしておつたのでありまして、最小限度行政面と企業面は切り離すべきであるとの論が支配的であつたのであります。マ書簡が出されまして、公共企業体という一つの経営形態が示唆されましたことによりまして、恰もこれが命令であるかのように政府によつて処置せられることになつた次第であります。私共はマ書簡発表後の新情勢に対処するため十月初旬には大会を、十一月初旬には中央委員会を開催いたしまして國家公務員法、國鉄機構改革並びに本法案に対する組合の態度を一應決定いたしたのであります。本法案に対しましては、大会におきましては、公共企業体從事員の労働関係については現行労働法規を適用すれば足りる、よつて組合としては公共企業体労働関係法の制定に対しては反対するものであるという基本方針を一應決定いたしたのであります。その後当局に対し、立法民主化を図るために、数次組合側との話合を迫つたのでまりますが、政令二百一号を楯にいたしまして頑として應じませず、極めて非民主的に準備が進められておつたことが判明いたしました。而もこの法案の根幹をなすものがCTSとLSとの会談の結果、運輸大臣及び次官に対し示された大要次のごときものであることを察知いたしましたのが、昨月末でございます。即ち國鉄の労働関係については四項ありまして、一、労働者側はオープン・ショップ制の下に組合を組織することを許るべきである。二、罷業権は否定さるべきである。併し労働條件に関する團体交渉権はこれを認むべきである。但し鉄道の経営管理に干渉してはならない。三、罷業権の否認をカバーするため調停仲裁の特別機関を設置して、労働者側の不平調整に当るものとする。四、仲裁委員会の決定は、経営、労働の両者を拘束するものとする。このようなものでありました。私共はマ書簡の公共企業体に関する勧告の中にはマイト・ウィル・ビーと書いてございまして、先程申上げました通り、日本政府の自由裁量の余地が残されておつたのであります。國鉄の機構改革に一種の示唆を與えておるというものに対し、只今申上げました覚書が全部シャル・ビーという字句で表現されている経緯につきまして、多大の疑問を持つものでございます。マ書簡を正確に判読いたしますならば、その書簡の一節に指示されました事項といたしましては、調停仲裁の制度が設けられなければならんということと、職員においてその責任を忠実に遂行することを怠り、ために業務運営に支障を起すことなきよう、公共の利益を擁護する方法が定められなければならない。この二つが書簡の國鉄に対する勧告であるとかように考えまして、只今申上げましたCTSのLS会談の結果出されたものに対して、私共は重ねて申上げるようでございまするが、非常なる疑問を持つものでございます。併しながらこのことは占領下にある冷嚴な現実を考えるとき、批判の自由を許されません。よつてこの段階に対処するため、私共は当面の基本的、具体的方針といたしまして、この四項目に対する対策は、一、組合組織は自主的に決めるものとする。二、経営参加を認めさせる。三、調停仲裁の手続を必要とする場合にも、罷業権及び團体行動権は確保する。四、生活保障は科学的調査に基く國民的水準を下らない二と。こういうことを決定いたしまして、すでに先々週だと存じまするが、参衆両院議員の皆様方のお手許にプリントととして提出して、法案審議の御参考に供した次第でございます。從いまして私共は、労働三法を適用すれば足りるとの基本方針を変えるものではありませんが、不本意ながら現在の段階におきまして示されました法文の内容につきまして修正意見を以下申上げて見たいと思います。
 第一章の総則、第一條の目的及び関係者の義務に関する條文を次のように全文を修正して頂きたいと、かように考えております。即ち「この法律は、公共企業体の職員に團体交渉その他の團体行動を行う権利を保障し、正当な範囲内において行使することができるよう措置するとともに、公共の利益を擁護するよう紛争を解決し、経済日本の隆盛を図るを目的とする。」この理由といたしまして、原案は二節二百十八字よりなつておりまして、極めて長文なものでございます。非常にむずかしい字句が多く、注釈書を付けなければ解釈に苦しむ面が非常に多いのでありまして、私共も原案の第一條についてはまだよく了解が付かないのでございます。從いまして組合といたしましては、組合法と原案の中間的性格を持つように、修正意見を提出するものでございます。
 次に第二章、職員の組合に関する事項中、第四條の職員の團結権に関する條文を次のように、全文を修正して頂きたいと考えるものでございます。職員は組合その他の團体以下組合という自主的に組織することができる。但し公共企業体の利益を代表すると認められるものの参加を認められない。その範囲については公共企業体と組合との双方が協議して決める、そのように修正して頂きたいと考えるものでございます。理由といたしましては、原案は組合の組織に対する内部干渉でございまして、なかんずく第二項は極めて一方的であり、これを惡用されるときは組合は分裂或いは崩壊するであろうと思われるのであります。第三項についても、組合の現状といたしまして今後に残る問題があり、訂正を妥当と考えるからでございます。
 次に、第七條專從職員に関する條文中、「その定める一定数を限り、」という字句を削除し、末尾を、この場合においては俸給給料を支給しないことができる。かように修正して頂きたいと考えるものでございます。その理由といたしまして、專從職員の数については、当然公共企業体の管理者側と組合側との交渉によつてその数が決定するのでありまするから、ここに殊更かかる文句を入れる必要はない。そのように考えるのが一つでございます。又末尾の、「いかなる給與も支給してはならない。」という字句は、現在家族手当のみは当局において支給を受けておるのでありまするから、既得権として確保したいので、かような修正を希望するものでございます。
 第八條、團体交渉の範囲に関する條文中、公共企業体の管理及び運営に関する事項は、團体交渉の対象とすることができないとあるのは甚だ不満でございます。むしろ管理及び運営に関する事項については、組合の代表者を参加させる方途を講じなければならない、かように修正意見を提示するものでございます。特に第八條につきましては、日本國有鉄道法案と公共企業体労働関係法案の共通して流れる精神、つまり経営に関與をさせないという條項について、かかることを存置いたしましては経営の民主化が成り立たない、かように考えまして、特に十分なる御考慮をお願いするものでございます。日本國有鉄道法案第十二條及びこの法案の條文が経営参加を認めないことを端的に露呈しておるのでございます。もとより私共といたしましては、管理権、運営権は当局側にあることを率直に認めます。併しながら事業の管理運営に当つて、組合代表者の意向を十分に聽取することなくしては企業の民主化があり得ない、かような観点から以上のように修正を希望するものでございます。
 同條の第二項の原案には八といたしまして「厚生基金の使用」という字句があつた筈でございます。これを是非削除されましたものから更に追加をして頂きたいと考えるものでございます。
 第九條の交渉委員に関する條文中、本文末尾に、但し交渉委員以外の者もその委任された場合は行うことができる、かように追加して置いて頂きたいと考えるものでございます。尚第二項で、「交渉委員の最大限の数及びその機能は、政令で定める。」とありますが、その機能は、公共企業体と組合との間で決める。かように修正を希望するものでございます。例えば先程から縷々申上げております通り、一方的に政令で決定するという條文が所々にございますことについては、組合側としてはどうしても納得の行かないところであります。
 次に第十五條、團体交渉の回数に関する條文でございまするが、但し書に、「少くとも一回は賃金その他雇用の基礎的條件に関する事項」云々と、回数を年一回というふうにいたしておりまするものを、二回以上と修正方を希望するものでございます。理由といたしましては、勿論基礎的交渉でありまするから、経済状態がノーマルである場合には、或いは原文でもよろしいかと考えますが、我が國の現状では二回でも足りない。基礎的交渉を持つというのでは非常に現在困りますので、二回以上と、かように修正を希望するものでございます。
 次に第六章、仲裁の項に入りまして二十七條委員の欠格條件を規定した條文の第三号、「國会又は地方公共團体の議会の議員」とあるのを、「又は」という字句以下を削除して頂きたいのでございます。この点は國家公務員法、國有鉄道法案、並びに本法案、いずれも共通して処置して頂く條項であるかと考えておる次第でございます。これは現行通りを希望するだけでございまして、別に新しい希望をいたしておるのではないということを特に附加えておきたいと思います。
 第二十九條、委員の罷免を規定いたしました條文の第二項の「内閣総理大臣は、その他の理由により、」かようにございます。この節以下を全部削除して頂きたいと考えます。これは内閣総理大臣にいわゆる中央労働委員会その他現在行なわれておりまする、委員の職権委嘱というような恰好を、この公共企業体にとらんとするものであるという考え方で、削除を希望するものであります。
 最後に第十六條と第三十五條との関係でございまするが、私共も配布を受けましたものは修正れさておりませんでしたので、はつきりとした見解を出すことができないのでございまするが、第三十五條におきまして、「仲裁委員会の裁定は当事者双方とも最終的決定としてこれに服從しなければならない。但し、第十六條に規定する事項について裁定の行われたときは、同條の定めによる。」かように書いてございます。而して第十六條には、予算その他を伴う場合においては、國会の承認がなされなければならないというふうなことを書いてございまして、「いかなる協定も政府を拘束するものではない。」尚第二項にございます條文と照し合せました場合に、三十五條と第十六條の関係が可なり矛盾を感じ、而も当局側に非常な有利にできておる。いかなる仲裁をいたしましても政府側は拘束されないということになりましては、非常に組合側としても不満でございまするので、この点は三十五條と十六條の調整を特にお願いしたいと、かように考えておる者でございます。
 この法律は二十四年四月一日から施行されることになつております。このことは日本國有鉄道法が同日付を以て実施されるので、一面当然のことと考えるかもしれませんが、併しながら私共國鉄労働組合員は、御承知の通り、マ書簡に基いて政府が発しました政令二百一号により、罷業権はもとより團体交渉権をも奪われ、只今は全く有名無実の形でございます。而もこの法律が明年四月一日から施行されることになりますると、國家公務員法の枠内に入ります國鉄従業員としては、極めて不利になりまするので、この間の事情を明察せられまして、國家公務員法とこの公共企業体労働関係法の実施の間における暫定措置を、特に御考慮頂くようにお願いいたしまして、私の公述を終らして頂きます。
#4
○委員長(山田節男君) 次に東武鉄道株式会社專務取締役の畑中四郎君にお願いいたします。
#5
○公述人(畑中四郎君) 指名によりまして、該法案につきまして、前置きは拔きまして、簡明率直に、最も私共といたしまして関心を持つている二、三の点を申上げたいと思います。
 何といつてもこの問題の中必点は、公共企業体の労働関係者の争議行爲が禁止される條項が手嚴しく謳われてあることであります。もとよりこれは立場によりして非常に意見が相違しておりますけれども、いろいろな理論を抜きまして、このため連合軍の最高司令官の書簡によつて決まつたのでありましようが、一應我々はこれに賛成せざるを得ない、止むを得ないではないかと思われる節もあります。つまりその前提條件としましては、公共企業体というものが、どういう性格でどういうものであるかということは、その基本法規によつて決まつてはおるのでありまして、少くとも職員としましては、公務員に準ずるところのものであつて、非常な國家の経済関係に重要な関係を持ち、公共の福祉に密接不可分な関係があつて、而もそれが独占的であつて、我々の生活に日も、一刻も欠くべからざるものとして結び付いているから、止むを得ずこれだけを取上げてなつたのではないかとこう思つておりますからして、一應止むを得なかつたのではないかとこう思います。併し何人と雖も、その前提條件として、その職員に対しては、國家の力においてできるだけ、又國民の一般の水準から考えて見て、少くとも惡い待遇はできませんし、そうかといつて非常な最高の水準も與えられないでしようけれども、標準の生活の待遇は受けるという前提條件でなければならんと思います。又それは直接國会或いは政府の責任が課せられてあるという前提で私はこれを容認しているのであります。
 併しただ私の疑問とするところは、國有鉄道と私鉄の鉄道業務との関係がどういうように調整されるだろうか、これは我々の職員、又経営者としても非常な疑問を持つて、解釈に実は迷うております。同じ交通事業で同じ規模で、又同じ重要程度でやつておる密接不可分のような仕事がございます。民間のものがやれば構わない、公共企業体というものであれば嚴重に取締られる、その間の調節はどんなものであろう。又國鉄と密接な関係のある小運送業者、早くいえば日通と申しますか、ああいうものとの関係をうまく調整しなくて、ただ過去の國鉄の人だけやかましく言うてもうまく運用ができるのであるかどうか。而して迷惑するのはやはり國民であり、利用者である。そういう点について將來どういうようにお考えになるかというような疑問がございます。
 次に問題になるのは、罷業権は抑えたが、それに代つて團体の團結権と從つてそれに対する交渉並びに團体協約権を認めてありますが、これについても私も実は少し疑問があるのであります。條文が私の手許にありませんから、急いで昨日素読したのでありますが、今度の公共企業体に対して罷業権を抑えてある。抑えてあるというのは、もはや公共團体の職員の人は、昔の労働法規で縛つておるような労働者とは大分やはり性格が変つて來ておりまして、國家の公務員と同じように、或はそれ以上大切かも知れませんが、同じに、協力してやる人である、一緒に仕事をやつて行く人である、そういうふうに精神が変つて來ておるのであります。そういうふうになつて來なくてはならないのであるからして、單にマッカーサーの書簡だというのでなくして、その本格的に変つて來たところに対應して考えなくしてはならんではないか。官業がこういうパブリック・コーポレーションといいますか、ガヴァンメント・コーポレーションといいますか、こういう公共企業体のようにこれは一つの進歩といいますか、何といつたらよいかわかりませんが、そういうようになつて來たということは、やはり單に労働関係の法規だけではなくして、根本に官業の名をもつて、もつと社会化して行きたい、早く民主化して行きたい、能率をあげて行きたい、ものによつては採算をとらせたい、そうしてより良きサービスを國民に與えてやりたい、そういうことがその裏にあるのであつて、書面の裏の精神をよく我々は考えるときにおいて、もつと國鉄の職員の人労務者の人との協力体制をとられたらいいじやないか、そういう精神で果してこの條文が組まれてあつたかどうかということについて、私は多少疑問を持つたのでありまして、そういう点においてどういう筋か知りませんが、團体交渉においてやるところの範囲とかというものには、管理と経営は入れちやいかんということが書いてありますが、一應了承はできるけれども、若し協力態勢でやらせるというならば、経営といいましても、管理に差支ないところの能率を増進するとか、或いは設備、資材を改良して行くとか、その他サービスの改良なんかについては、どうしても労務者の協力に俟たなければならんものがあるのでありますからして、それは何らかの形において、むしろ加えてやつて、そうして明るい面と協力態勢をこの線に盛り込んだらどうか、というような氣持を実はいたしたのであります。
 それから次の問題は苦情処理機関、苦情とか、不平とか、紛争についてはなかなか細ま細まと決めてありまして現場、職場單位に紛争処理の会議と申しますか、そういう調停委員会とか、仲裁委員会というふうに、職別に、又は地理的に、又は最後の線まで決めてあるが、これは結構でありますけれども、一つ少し先程も前の公述者からお話があつたように、罷業権を取上げておるのでありますから、もつと自主的に、民主的にやる規定がないだろうか。これは率直に私はそういう批判を受けるだろうと思いますが、併しこういう規定はその人物と運用によつて決まるのでありまして、ここでごちやごちや手続問題をやつても、結局は人と運営によつて決まるのでありますから、紛争にはなりますけれども、余り價値のない議論ではありますけれども、併しそういう感じがするのであります。
 もう一つ、私が最後に疑問としておるところは、どうもこれは変なものである。同じ交通事業をやつてでも、こういうパブリック・コーポレーションにされた國鉄或いは專賣という特殊の國家の利益とか、財源とかに密接の関係にあるものもありますから、それは別として、同様の交通事業について、國鉄がやれば罷業権はなくなる、私鉄がやれば野放しというわけではなくしても、或る一定の手続を経ればやつてもいい、組合法も労働法でやられる。ところがこういうことはどなるのだろう。公務員で交通事業をやつた場合においては、これはどうなるのだろう。例えば都電のような例がそれにぶつかつて來るのではないか。あれは公務員法で制限を受けるのだろう。そうすると罷業権もなくなるかも知れない。それ以外に團体交渉権とか、或いはこういう苦情処理機関のような、いろいろ調整とか、仲裁とか、或いは調停のような、その適用で保護を果して受けられるのだろうかどうか。それはそういう組合の方から見ても公平じやないじやないか、そういう問題がどういうように考えられておるのだろう。将來問題を残しておるのじやないだろうか。私は手許に法案もありませんし、ただ昨日友人から借りて全体を素読したのであります。一々條文に亘つてどうということは申上げられませんが、そういう感じを持ちましたからして、その点だけを率直に申上げまして、時間があるならば、修正すべきところは修正して、立派なものとしてつまり將來の模範的の、こういう公共企業團体の事業に対する法規として決めて貰いたいということを希望します。終り。
#6
○委員長(山田節男君) 次は産別会議の情報宣傳部長の寺井達夫君にお願いいたします。
#7
○公述人(寺井達夫君) 御指名に與かりまして産別会議を代表いたしまして若干意見を申述べます。
 先程國鉄加藤委員長から詳細に亘つて申述べられましたことは、私共といたしましても全面的に賛成いたすところであります。ただ私共としての立場から、特に二、三指摘しておきたいというところがありますでのその点を申述べます。
 先ず一般的見地に立ちまして基本点を申上げますならば、この法案の重要な点は、罷業権を公共企業体從業員から取上けるということ、それから團結権、團体交渉権に対する実質的な制約、制限である、このことが言えると思うのであります。この点につきましては、これは明かに憲法に規定されているところの基本的人権或いは労働者の基本的な権利、これを無視するところの規定であるところから、公務員法の場合と同様な立場において我々はこれに反対しなければならない、先ずこのことを申述べます。又やはりこれが公務員法との関連において公共企業体職員或いは労働者はふさわしいところの給與が與えられるということが、先ず前提にならなければならないと思うのでありますが、これが又同時にいわゆるマッカーサー書簡の精神であると思うのであります。この点がまだ十分に審議され、決定されておらない段階において、この法案が決定されるということになるならば、私共としてはこれは絶対に納得できない点であります。
 尚一般的な民間産業の立場に立ちまして申上げますならば、いわゆる國家公務員或いは公共企業体職員の労働條件或いは給與水準が、このような形で決定されるといたしますならば、民間の労働條件或いは給與水準が、これによつて大きな影響を受けるということは明らかなところでありますので、私共といたしましては、この点について重大な関心を持つておるということを申述べなければならないのであります。いわゆる公共企業体は、一般財政と分離された独立採算制をとるところの一つの企業体である、ただ一般企業と異るのは、これが國有の企業体であるという点であります。併しながらこのことは、國有企業体だからその下に働く職員或いは労働者が、特別の取扱いを受けなくてはならんということではないと我々は考える。而も現在日本の組織労働者の相当部分の労働者が、この法律の適用を受けることになるのでありますが、今日のような経済状態において、國家の財政で國民の税金を独占企業に対する補償とするような政策、これが行われておる限り、國が経営しているのだということで、労働爭議が絶対に起らないというようにしようとするこの法律は、明白にこの日本の労働者の基本的権利が侵害されるということを意味しているというふうに、我々は考えております。
 以下この法案の要点について二、三申上げますと、第一に團結権の問題であります。オープンシヨツプを謳つておるのでありますが、法律をもつて結権の内容を確定させるということがよいか、惡いかという点は、自主的な労働組合の発展という見地からしてこの点は明白だと我々は考えるものであります。國家の法を以て團結権の内容に干渉するということは、実は実質的に團結権の制限である。この意味は次の團体交渉権の規定において明らかであろうと考えます。團体交渉をするときに労働者側が一つに統一されていないというときの保障が、この團結権の中で與えられておるのでありますから、統一的な交渉はその企業者側が分派を作ることによつて、これは現在いわゆる資本家團体の一つの重要な戰術となつておるように我々は考えておりますが、而も誰がその交渉に当るかということは、労働省労政局が決定するという、交渉の單位を決めるという、これは現在の企業に存在するいわゆる職階制的な観念、この形をすり替えてこれを團体交渉の段階にしようとしておると我々は考えざるを得ないのであります。交渉の内容については、企業の管理及び運営に関する事項を除いて、而も公共企業体の予算上、又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も政府を拘束しないし、且つ國会で決議されるまでいかなる資金も支拂つてはならない、このような條件においては、何ら有効な團体交渉は不可能であります。又争議行爲につきましても、爭議行爲の禁止は勿論のこと、これと共謀、教唆、煽動、これも禁止されておる。又作業所の閉鎖の禁止ということもいつておりますが、これは労働者が爭議をしてはならない、罷業権を実質的に取上げておるというこの事実からいつて、この條項はそれ自体矛盾ではないかと我々は考えるものであります。
 次に調停及び仲裁の事項について申しますれば、調停は、政府の大臣が任命する公共企業体労働関係委員会即ち調停委員会、この監督を受ける、この委員は内閣総理大臣が、二十一條の二項による候補者の中から委嘱する。そうして大臣の請求があれば直ちに調停する。こういうことになつておりますが、これは現在全國各地に行われておるところの、いわゆる知事が一方的な職権を以て委員を委嘱するという、この紛争の根源となつておるところの事態を合理づけておるというふうに我々は考える。又仲裁は中央労働委員会、船員中央労働委員会の第三者委員の推薦に基いて、使用者と労働者の同意を求め、同意が得られなければそれでもよい、そうして六名の名簿を出してその中から総理大臣が選ぶ、こうして生れた仲裁委員会は職権強制調停、我々はこの言葉によつてこの内容を表現するのでありますが、而もこの決定が最後的な決定であるとされる。労資関係の当事者である政府が同時に調停委員、仲裁委員について選択し、決定する権限を持つということは労資対等ということは仮にも申すことはできない。労資対等の原則を蹂躪するものであると私は考えるものであります。要するにこの法案第一條にあるごとく、「公共企業体の正常なる運営を最大限に確保し」というこの條項が、実はこの法案によつては絶対に確保できない。労働者の正当な権利の行使があつて、初めて労働者の協力が得られるものであるということから、我々はこの法案については非常に疑点があることを申述べたいのであります。
 尚最後に、いわゆる労働関係法規の改正についていわれるところの國民の福祉、或いは公共の福祉という点につきましても、先程私が指摘いたしましたように一般民間企業においても、いわゆる労働條件乃至は給與水準に、公共企業体、或いは公務員に対するこのような制限をさせて、而もそのような状態で決定されるということが、非常に大きな影響を持つという意味合におきまして、國民の福祉というこの言葉が、実は無内容になつておる。我々はこの点非常に疑問を抱かざる得ないわけであります。以上非常に一般的でありますが、我々の考えておりますところの基本点を申述べて私の意見といたしたいと思うのであります。
#8
○委員長(山田節男君) 次に東宝株式会社副社長の馬淵威雄君にお願いいたします。
#9
○公述人(馬淵威雄君) 御指名によりまして東宝株式会社の副社長の馬淵でございます。本日公共企業体労働関係法案に関します私の所見を申さして頂きます。
 我々の企業と全く縁のない企業体の労働法案でございまするの、一見無関係のように見えまするが、我々民間企業の労働関係にも重大な影響を及ぼします法案でございまするので、その関連性におきまして若干意見を述べさして頂きたいと存じます。
 第一番にこの法案を繞りまして、新聞紙上等でしか我々は知らないのでありまするが、憲法違反ではないかという声が、主として労働組合方面、労働者側から出ております。成るほど憲法に基本的人権いたしましていろいろのことが保障されておる。言論の自由、信仰の自由、或いは又労働関係としましては結社の自由、組合團結の自由、交渉権の確立といつたようなものがあります。それをこの法案では爭議権の否認というふうな形で、大きく團結権、或いは交渉権に重大な影響を及ぼすようになつておる。從つてこれが遡つて憲法違反ではないかという意見が一應成り立つように見えます。殊に憲法においてかく天賦の人権である言論の自由或いは信仰の自由というものと列んで勤労者の團結権の自由、交渉権の確立というものが載つておりますので、そこに何ら甲乙がないということになつて参りますれば、明らかに憲法の違反であるというふうには一應考えられるように思います。併しながら、これにはいろいろな意見がございまして、我々憲法学者でない者が、こういうことを云々することはできませんが、ただ我々素人として考えて見まして、この天賦の人権である言論の自由、信仰の自由といつたようなものは、これは何人も侵すことのできないものである。併しながらその天賦の人権を達成するために、手段として考えられる憲法で保障されておる人権或いは勤労者の今の團体交渉権、或いは團結権というものが、或る場合において、制限若しくは禁止を受けるということは、分けて考えられる点があるのではないかというふうに、私共はかねて考えておつた。それがこの法案によつて如実に現されようとしておる。極めて事重大であると我々考えます。で仮に分けて考えるとするならば、この場合それは飽くまでも、公共の福祉のため、或いはこれを禁止し、或いは制限することによつて、天賦の人権である國民平等に何人にも與えられておる人権が、ますます確立し、或いは保障されるという裏打ちがなければ、そういう違憲論をさえ喚び起すような大きな法案を出そうという場合には、それが眞に公共の福祉、或いは何人も保障されておる天賦の人権を護ると同時に加えてこれによつてのみ護り得るという確信が、政府或いは國会になければいけないというふうに私共考えるわけであります。いずれにいたしましても、この憲法に牴触するかしないかという問題は、極めて重大であつて、現在被占領國でございまして、我々をしてはどうにもできない、一室劇求杓 支軸首玉冷るわけでありますが、これが仮に我々が独立國を許されました曉におきましても、憲法に対してこれを蹂躙して行くというふうなことが起つて來るならば、極めて事重大でありまするので、この法案を審議されますときに、その点が特に、愼重に明らかにされなければならないというふうに考えます。ただ私の意見としましては、只今申上げましたように、これは分けて考えることができる。併しそれは眞に公共の福祉、或いは今言つた、天賦の人権が更によりよく大きな意味で確保されるということが、明らかもあるという場合にのみ、許されるべき性質のものであろうかというふうに考えております。
 次に私はこの法案を実は余り詳しく研究しなかつたのでありますが、読んでおつて気付きますことは一体この立案の目的と、法をつくつた場合の法の立て方と申しますか、つくり方と申しますか、その間に矛盾があるのではないかという感じがいたします。と申しまするのは、我々は簡單にこれは公共に至大な影響を及ぼす事業というものにいつて、それが絶えず労働争議をやつておる、或いは國家産業全体に非常な影響を及ぼすというような場合に、止むなくなすところの処理であるのではないかと思つておつたところ、この法の立て方は單に國家が、完全に株を持つておる、或いは國家が完全に國有しておる、そういう法人にのみやるということである。そして運輸省でありますか、日本國有鉄道と日本専賣公社というものにのみ限られておる。成程そういう面からいえばこれだけで完全でありますが、この中には必ずしもその公益に至大な影響があろうと思われるようなものが、必ずしも全部含まれておるとは思えない。例えば樟脳專賣というようなものがただ單に完全國有法人だということの故を以て、そこに働く從業員がすべて争議権を奪われてしまう形になつておる。果してそれでよろしいのであるか。又先程東武鉄道の方が申されておりましたが、一般の民間の、例えば日通のような小運送などというものは、一体どうなるのであるか。それは非常な影響はあるけれども、完全國有でないからそのままであるというふうな形になつておる。そういう單に完全國有の法人であるから一切の争議権まで奪うようなことをしなれけばならんのか。或いはそのもののみが公益に至大の影響があるからやるのであるか。その点が甚だ明確でない。又一方若しもそれであるならば、公團などは一体どうなるのであるか。公團などは当然この法律に入るべきものであろうと思いますがそれは公務員法の方へ入つておるからというのでありましようが、職員は公務員に入つても、あすこの食糧営團の下の方の、いわゆる労働者に属する者は公務員法には適用がないのじやないかと、よく知りませんが思いますが、それなどは一体ここへ入つて來のか來ないのか。そこも明瞭でない。又市電の從業員はどうなるのか。その点もはつきりしておらない。又一方仮にこの法案の提案の理由というようなものを、ちよつと拜借しまして先程読んでみたのでありますが、こんなことが書いてございます。「これは公共企業体が完全國有法人でありますので、これに対し争議行爲を行うことは、延いて國家に対し脅威を及ぼすことになり、更に公共企業体が再建途上の國家経済の國民の福祉に占める重要性に鑑みまして」ということになつておりますが、國家國民の福祉に占める重要性ということになれば、電気或いは石炭、鉄といつたようなものは、先程の例をまつまでもなく、樟脳の産業などよりは遙かに重大であつて、國の死命を扼さんとしておる産業である。これはどう考えられるか。私はむしろ後者の石炭、電気、鉄のような産業にこそ、公共の福祉のため、又違憲論さえ出そうなこの法案に対して、考えらるべき最大の産業ではあるのではなかろうかというふうに考えております。そのように考える余地があるのではないかというふうに考えおります。そういう点におきまして、この立案者の根本観念が一体どこにあるのかという点がはつきりしない。その点におきまして、國鉄の加藤さんなども恐らく多大の御不満があろうかというふうに考えます。それが二点であります。
 次にこの爭議権の否認問題でございますが、これは先程の私の自分勝手な解釈から申せば、現状におきまして労働組合が非常な行き過ぎ的な争議権の濫用、或いは團体交渉権の濫用をいたしまして、そうして國家の再建に多大の障害を來たしつつあることが今や明白になつております今日、特に國家全体の機構に重大な影響を及ぼすような産業に從事する人達につきまして、或る程度の争議権の制限が設けられるということは、これは考えられる余地が十分ある。さりながら仮にこの法案を單に完全國有法人であるこの二つの事業に限らず、鉄、石炭或いは電気といつものを仮定するならば、その面で全部争議権を否認してしまうということは、これは相当考えなければならない重要問題であります。そこで若しもそういうような産業にまで及ぼすことが仮に可能であるとするならば、爭議行爲をその都度禁止し、その都度場合によつて何らかの機関、この調停委員会とか、或いは仲裁委員会とかいうようなものができておるようでございますが、そういう達識の人達の意見によつて、或いは國会がみずから乗り出すとか、或いはその他の制度によりまして爭議行爲を國民の名において否定することができる、或いは止めることができるというふうな程度のことで、或いはいける方法があるのではないかということを考えます。その理由といたしまして、單に一片の法案で以て爭議権を全部否認してしまつた、而も先程のこの法案の立法の立て方が極めて一方的な見方で、單に完全國有法人であるという建前からのみ見ておる場合には、いよいよ以て労働者間の差別が甚だしくなつて来るという点から考えまして、これを強行した場合に、一片の法律で以て爭議を抑えることができるかどうか。或いは又仮に押えることができましても、そこに入つて労働者が絶えず不平と不満を持続けて、そうして万年サボタージユをやる、眼に見えない能率阻害を行う、そのために今でさえ能率が余り上つておらない、この國有難がますます萎縮沈滯してしまつて、何らの成果を上げ得ないということになるのではないか。最も警戒すべきは、一つの法律で以て万事が右向け右になるというふうな考え方があるとするならば、余程愼重に考えなければならんのではないかというふうに考えます。
 次にこの法案をお出しになりますときに一番考えなければならんことは、やりはこれに從事しておる人達の待遇、給與の点であります、これが確保されないで一方的な法案だけが出るということになりまするならば、ますます以て事を紛糾させる、どうしてもそれが並行的に出なければならないということを考えます。
 同時に私はここで甚だ労働者の方に、この方面の事業に携わつておる労働者にとつて一番痛いことを申上げるわけでありまするが、現在日本が当面しておる最も大きな問題、インフレーションの克服、或いは産業再建にとりまして大きな障害をなしておるものは、こういう國有事業、或いは政府事業に携わつておる從業員の非常に尨大なる数であります。即ち何故行政整理を或る意味において断行しなければ給與改善はできないのじやないか。すべてが國民負担にかかつておる場合に、あのままの人員を擁して、而も或る程度の待遇改善をするということは不可能である。可能であるとすれば、それは大きな國民負担を敢てする。國民負担を敢てすることが結果において又インフレーションを捲き起すといこうとになつて來るので、その裏打をしてそうして或る程度の行政整理をこの際行う。それを條件として給與を大幅に引上げる。引上げて苦情紛爭を少くすることによつて或る程度の爭議権の制限或いは又禁止を行う。それによつて全体の公共福祉が保たれるというふうに関連性を持つてお考をして頂きたいということを考えるわけであります。時間が参りましたので、まだ述べたいこともございますが、私の公述を終ります。
#10
○委員長(山田節男君) 次に帝國電氣株式会社社員の水野卓君にお願いします。
#11
○公述人(水野卓君) 私は只今御指名を頂いた永野であります。今般閣議において國鉄、專賣両事業の公共企業体化に伴う公共企業体労働関係法案が決定されましたが、この法案について重要な点より逐條的に意見を述べたいと思います。
 最もこの法案について論爭の的となつたのは、今までの公述人の方々が述べておられますように、爭議行爲の禁止についてであります。この第四章、爭議行爲について先ず私の考を述べて見たいと思います。爭議権は團体交渉権、團結権と共に終戰を契機といたしまして、労働者に與えられた基本的権利の一つでありまして、労資が交渉過程において、労働者が雇傭主に対して力の均衡を示すその潜在的武器の一つでありますが、この爭議権の行使というものが、今まで社会の信話に應えて適当になされたことが極めて少いと思います。労働組合運動なるものは政治的イデオロギーの下に、強引に一部指導者の特定的政治目的のために引きずり廻されて、その走狗となつてしまつて、本当の労働組合の使命より遊離して大衆の非難を買つたことは今までしばしばであります。殊に國鉄等多数の組合員を擁する全官公廳労働組合が曾て急先鋒となつて、特定政党の指示と指令の下にゼネラル・ストライキを企図し、政治的意図を爭議権という見えざる武器によつて一挙に達成せんとしたことは、我々のまだ記憶に新しいことであります。國民の総意の下に自由の意思に基いて選出した我々の國会議員のうち、僅か数名の議員しか有し得ない最下等の政党の影響を大きく受けて、その政策、イデオロギーを無批判に攝取して、我々國民大衆の感情とか輿論とか、そういうことにはお構いなしに、強引に企てるストの戰法というもの、爭議行爲というものが果して民主主義に合致するものであるかどうかということは、ここで論ずるまでもないと思います。我々國民がかかる共産主義の政治形態を本当に望んでおり、それを念願する意向が強いならば、共産党は過去数回の選挙におきまして、当然に上位政党であるべき筈であります。併し実情はこれと全然違うことは事実が証明しておることであります。又仮に更に讓つて労働組合運動においてそのマルキシズムというものが、唯一の正しい運動であり、それが眞理であるかも知れません。併しそれが我々の教養とか、或いは文化の低さにおいて是認され難いときは、即ち我々がそれを信じていないときは、支持しようとする人が極めて少いときは、たといそれが眞理であつても一部の者がこれを強行的に、破壞的に行動によつて実現とようというのは、民主主義に対して根本的に相反すると思います。一部の階級的利益の追求というものを社会全体の名の下に、倫理的にも強制的に是認させようとするのは、正にフアッシヨの再現の外の何者でもないと思います。こういうような、今までの労働組合において組合自体の主体性を確立しおらず、労働運動が極めて幼稚なる段階にある現在においては、過渡的にも法文で爭議行爲を制限することも亦止むを得ないと思います。かかることを法文化するのは極めて残念でありますが、諸般の事情を鑑がみるとき止むを得んと思います。殊に我國の鉱工業生産というもの初はめて戰前の五割を突破しまして、経済再建の前途に非常に見通しがついて來たとき公共企業が体議爭行爲を計画して産業の原動力を萎靡させるようなことがあつては、再建途上に大きな支障となると思います。公共企業体は完全國有法人で、國家機構とは変らず、その從業員の爭議権が公務員の特別の地位に鑑がみて禁止されるのは、必ずしも違憲ではありませんが、公共の福祉という名の下において、それを廣く解釈し、公共企業体從業員が爭議権がなきことをよき理由として、從業員の正当の諸要求を一方的に圧迫するのは、旧憲法に逆行することになると思います。その点はこの法律の運営に当り愼重になされねばならん大きな関心問題であります。政府はこの経済不安定下において、インフレーションの高進するとき責任を以てその公共企業体從業員の最低生活を保障して、それを保擁するような積極的な努力をなすべきでありますし、その規定を明護に明示すべきだと思います。又ここに、違反した職員はこの法律で有する一切の権利を失い、解雇されるとありますが、これはこの程度で十分であると思いますけれども、罰則が從來はとかく苛酷過ぎたことは、この際改められてよいと思います。第一章の爭議行爲について終ります。
 次に團体交渉及び交渉委員の任命についてお話したいと思います。團体交渉を行い、労働協約を結べる範図として、賃金、労働時間、労働條件等、協定事項には、規範的事項が多いのでありますが、更にその債務的事項として、公共企業体從業員の特殊の性格に基いて、組合はその雇用主に対して不良從業員について責任を負うように明示した方がいいと思います。又契約などに限り、管理及び運営に関する経営参加を認めないとありますが、こういうようなことは、一國の生産力その他般諸の経済事情を総合的に参酌して決定すべき事柄でありますから、組合が参加せずとも当然であろうと思います。團体交渉の回数は、先程國鉄の加藤さんがお話になりましたけれども、少くとも年一回やるのは余りにも少いものでありまして、殊にこういう不安定な事情の下においては、少くとも数回以上しばしば開いて、双方の誤解等に基く紛爭の端緒となるようなものを除いた方がいいと思います。
 次に第五番目には、第五章の苦情及び紛爭の調整、調停、これについてお話いたします。苦情及び紛爭の調停を行う調停委員会が特にその定められたる地域の事務を行うと規定したことは、先の労働組合施行法の改正と関連しまして地方労働委員会の権限というものが縮小されることは事実と思われますが、地方に対する目附役として地方労働委員会が、各種労働事情調査を行い、及び建議の期限を残しておいた方が全体としての公共企業体の運営は遥かに民主化されると思います。この規定は少し中央集権的の色彩が濃いと思われますから、若干考慮して頂きたい。
 次に第六章の仲裁について、仲裁委員会の決定は最後的なものであるし、双方が服從すべきことであるから、この委員の選定は特に愼重になされねばならないと思います。仲裁委員の数は正副おのおの五名であり、任期は三年であるから、たとい民主的に選出せられたとはいえ、数名の委員では余りにも少く、数年に亘つて強い権限の委任となりますから、この人数は少くとも倍加した方がいいと思います。又仲裁は團体交渉及び調停で解決しなかつたすべての問題について行われ、労働協約の條項解釈による紛爭について行われるとありますから、仲裁委員会はこの点を廻つて、更に適宜学識経験者なりを招き、その意見を尊重しなければならないと思います。
 次に職員組合について、オープン・ショップ制がとられましたけども、職員の組合はオープン・ショップ制で、当該組合員であることを雇用條件としていないが、殊に不平等の取扱がなされないようにしなければいけないと思います。これが空文に終らぬように努力すべきであるし、職員組合というものは、その非組合員に対して不利な立場に立たせんように、立法上更に積極的考慮が望ましい思います。一定数の專從職員は、当然認むべきであるし、明確に無給與となつておるのもいいと思います。
 以上が各章毎に述べた私の大体の意見でありますけれども、この法案は、いろいろ重要な問題を含んでおりますし、外の労働組合について影響するところも大でありますから、政府がこれを一方的に決定し、上から押え付けるように施行することでなしに、更に決定にいたるまでに、労働者とか、或いは学識経驗者も含めた特例の小委員会を設けるようにして、愼重に最後的決定がなされればいいと思います。私の意見は今述べた通りであります。
#12
○委員長(山田節男君) 大分時間も経過いたしましたので、午前の部はこの程度に止めたいと思います。只今の公述人に対しまする労働委員からの御質疑があればお願いいたしたいと存じます。
#13
○原虎一君 東武鉄道の畑中さんにちよつとお伺いいたしたい思いますが、この法案がいわゆるあなたの御関係等の私鉄に及ぼす関係といいますか、そういう点を考慮するために賛成されるのですか、反対されるのですか。その点がどうもはつきりしないような……、私鉄にも及ぶならば賛成だとも取れますし、私鉄に関連すれば反対だとも取れますので、その点はどつちですか。
#14
○公述人(畑中四郎君) この原案の公共企業体の労働関係法としては賛成であります。これを同業者と申しますか、密接不可分の関係にある仕事に対しては、余程愼重に考えて貰わないと……、東武鉄道の例を引くのはいけませんが、貨物は殆んど今一万トンくらい輸送しております。その中の七五%というものは國鉄と同じです。殊に旅客なんかは殆んど九割くらいが國鉄と連絡関係にあるだろうと思います。片方は止めた、片方は動かしておると随分、これはお客さん、荷主に対しても迷惑なものだろうと思いますので、私は一本になるというか、これが関連をどういうふうに考えておるのか、これは労働者も経営者も非常に関心を持つております。その辺の調整を考えておるのかどうか。ただ。パブリック・コーポレーションになつたから片方は押えて置くんだ、片方はいいのだというのはちよつと変じやないかと皆実は疑問に思つております。
#15
○原虎一君 できるだけ私の方は意見は避けております。結論的に申しますと、この法案は公共企業体としては賛成だ、從つて希望的には私鉄にも及ぶべきだという御希望を持つておられるというふうに解釈するのでありますが、その辺は如何でしようか。
#16
○公述人(畑中四郎君) そうであります。
#17
○原虎一君 どうも有難うございました。それから馬淵さんにお伺いいたしたいのでありますが、あなたの御意見のように公共企業体、公共の福祉ということになれば、石炭も電氣も樟脳の專費以上だということは申すまでもないが、そういう方面にも重要なんであるから、それらも考えずに、考えずというよりは、それに手を着けないで、鉄道或いは專費だけをやるということは適当でないという御意見のように伺つたのですが、その点は如何ですか。
#18
○公述人(馬淵威雄君) 私のはむしろその立案の趣旨が一体どつちにウエイトがかかつておるのかはつきりしない、若しも公共の福祉というところにウエイトを置いて考えるならば、私は今の労働情勢から見まして止むを得ないと見ておる一人であります。ですから及ぼしてよろしいと思つておるのでありますが、それならばそういう今の電氣、石炭等に当然及ぼしたものを考えるべきではなかろうか。單に公共企業体というのを公務員法との関連において何とかしようというならば、そのものだけに爭議権の剥奪まで敢てする必要があるかどうか、他にもつと重大なものが沢山あるに拘わらず、單に公共企業であるから爭議権を全部否定してしまう、そこまで行く必要があるのかどうか。その辺はむしろ何かの第三者の手で爭議権を禁止することができるという程度で、一應の爭議権は認めておいてもいいのではなかろうかというふうに考えるのであります。
#19
○原虎一君 どうも有難うございました。それから國鉄の加藤さんにお伺いいたしたいのですが、あなたの方で発行されております公共企業体労働関係法に対する我々の要求内容というのを拜見いたしておるのでありますが、基本的には反対だ、これはもう明らかになつておりますが、つまり國家公務員法の改正というものが行われるならば止むを得ないが、次のように内容の修正を要求する、こういうようにも解釈できるのでありますが、この点はどうですか。私のお聞きするのは、公務員法ができる以上はむしろ止むを得ないし、公共企業体労働関係法というものができるのは当然だ、こういうふうにも解せられるのであります。公務員法の改正というものが前提になるという元に立つておると思うのでありますが、その点はどういうふうな考えでありますか。
#20
○公述人(加藤閲男君) 公務員法が改正されまして、公務員は枠外に置かれましても、私共としては、基本的には現行労働三法を適用して貰いたいというのが基本的態度であります。併しながらマ書簡の後段にございます先程私が申述べました点がありますので、これが立案される場合にはさように修正をして頂きた、いこういうふうに申上げたつもりでございます。
#21
○原虎一君 もう一つ、これは條文の中のものでありますが、今日本國有鉄道本案とこの公共企業体労働関係法との関係、公務員法といろいろ関係いたしましておるのでありますが、いわゆる本法の四條の三項にあります職員以外の組合員を認めないということであります。要するに職員以外の代表者を認めないというのでありますが、これは正直に申上げまして議員の内部においても意見が二つあるのであります。外部の代表者も、組合が自主的に選任したものは認めるべきだ、こういうのと、やはり職員以外の組合員というものの加入を認めない、從つて役員にもしない、こういう二つの意見があるのでありますが、國鉄としては、又あなた個人として、今日の実情からどちらが正しいか、或いはどちらが適当かという点をお話願いたいと思います。
#22
○公述人(加藤閲男君) 第四條の三項についての意見を求められたものと考えます。基本的にはこの條文でよろしいのでございますが、私共過去の体驗からいわゆる率直に申上げまして、職場離脱というようなものを生じました場合には、それは一方的に馘首をいたします。その場合にこれを認めないというような見解から、その者が管理者側に言わせれば組合員でないという主張をいたしますが、我々の方は組合員であるという主張をいたしておるような段階におきまして、今までのこの三項をそのまま認めて行くという考え方に若干の変更を來してわけでございます。特別に組合員でないもの、職員でないものという場合は、いわゆる労働爭議における犠牲者としての職員でないものというふうに、限定して考えて行きたいというのが、私共の考えであります。
#23
○原虎一君 私、これでよろしうございます。
#24
○委員長(山田節男君) 外に御質問ございませんですか……、御質問ないようでございますから、午前の部はこれで打切りまして、午後一時半から再会いたすことにいたします。暫時休憩いたします。
   午後零時四十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十七分開会
#25
○委員長(山田節男君) 只今から午前に引続きまして公聽会を開会いたします。全逓の中央執行委員長の土橋一吉君にお願いいたします。
#26
○公述人(土橋一吉君) 本日公共企業体労働関係法規に関しまして私を公述人に御指名下さいました労働委員の皆様に深く感謝の意を表します。これから私は政府原案によりまする公共企業体労働関係法規の三十八ケ條の條文の内容について詳しくお話を申上げたいと思いまするが、時間的な制約もあると存じまするので、大まかに大体私はこの法案に根本的に反対しておる立場を表明したいと思うのであります。御承知のように本法案は七月二十二日最高司令官の総理大臣に対する書簡によつて策定されておる、こういう政府の提案理由によつてこの法案が出たのでありますが、私の見るどころではこれは日本國の憲法に対するところの重大なる誤りを犯しておるという点を先ず第一点に指摘したいと思うのであります。これは労働委員の皆さんには私が再度公聽会でお話を申上げておりますので、詳しく申上げなくても御存じかと存じますが、憲法の前文を皆さんが繙いて御覧になると分りますように、我が國の政治、経済、行政の運用につきましては、少くとも、專制或いは圧迫、或いは偏狭的な観念を以てしてはならないということが、まず明確に謳われまして、更に第三章に参りますと、國民としての、又人民としての基本的な権利の保障に関する條文が第十一條から明記されておるのであります。即ちこの憲法が保障する基本的な人権は、永久に侵すことのできない権利として、國民がこれを享受し得るとかように明記されておりまして、あらゆる権利の保障をしておるのでありまするが、更に憲法二十七條におきましても、勤労者の権利は明確にこれを保障し、二十八條に至りましては、これはもう今日まで労働委員の皆さんがよくお聞きの通りに、團結権、團体交渉権、更に團体行動に関する権利は、勤労階級が明権に保障されておるのであります。更に憲法の内容の最高法規の規定が、確か九十七條から始まつておりまするが、この規定を見ましても、少くとも基本的な人権につきましては、これを侵すことができないということを明確に規定しておりますので、私は現日本國憲法を改正をする國会を召集し、日本國憲法の基本的な人権に関する條項を、基本的に改正しない限りにおいては、かような法律案を上程するという政府の考え方が根本的にまず法律的に間違つておるという点を第一に私は指摘したいと思うのであります。
 第二の理由として我が國のこの現在の政治、経済、國会の運営は、少くとも一九四五年七月二十六日のポツダム郊外において結ばれた、ポツダム宣言の第十條の規定に、その根源的なものを持つておるのであります。更に労働関係につきましては、十一ケ國の極東委員会がワシントンにおいて決定いたしました十六原則が、やはり関係方面におかれますところの対日労働行政に関するところの基本的な態度であろうかと考えておるのであります。從つてこういうような世界の少くとも平和國家、文化國家、更に敗戰國の日本が、日本の民主的な再教育、日本の民主的な再編成というような基本的な立場からこの問題を考えて見ましても、遺憾ながらこの法案はさような根本的な原則に違反をするものであるという点が第二点であります。
 第三点は労働法規に関する問題でありますが、少くとも事、労働行政法規に関する限りにおきましては、これは資本主義経済において誤つておりまするところの公法、或いは私法、特に雇傭関係におきましては、民法の規定においても規定をしております。或いは特に組合関係においても民法は規定をしておりまするが、これは個人的な雇傭関係における規定であります。ところがこの規定は資本主義経済の下ではどうしても貧乏人、労働をする者、働く者が不利な立場に置かれますので、それではいけないというので働く者の権利を認め、働く者の生活を保障するため、更に最近におきましては、各位もすでに御研究済の通り、少くとも日本の再建のためには働く勤労階級の権利を十分保障すると共に、その生活を十分確保しなければ日本の再建はできないということは、もはや日本の社会通念として至当な考え方であることは、各位の今日まで示されておる論文、或いは公述等によつてもお分りと思うのであります。こういうような面から見ますると、少くとも労働三法に関する対象であるところの労働者は、事の如何を問わず、この労働三法が規定しておりまする基本的な態度を容認をしなければならないというのが原則でないかと思うのであります。それで独立採算制とか、或いは企業の合理化とか、或いは從業員の能率増進というような態度のみに法案の中心的なものを持つて参りますと、どうしでも資本主義的に人の首を切らなければならん。先程どなたか公述人の方がおつしやつたのですが、どうしても行政整理をしろ、首切らなければならんというような暴言を吐く諸君が出て來るのであります。そこで私は日本の將來の産業の復興のために、日本の再建のためにはどうしても勤労階級の生活を全面的に保障すると共に、將來勤労によつて自分の生活を営まんとする者のために、本質的に國家の財政、或いは國民経済、或いは物價と賃金の関係というようなものを、総合調節するところの大國策を樹立しなければ解決しないという点が、まず私の考えておる第三点であります。何故かならば、仮にかような公共企業團体におけるところの労働法規を作りましても、國家が財政面において、少くとも國民生活と遊離したような財政を編成する場合には、その財政は、常に現在の公定價格を中心としておるのであります。ところが世上一般國民生活をしておる限りにおいては、この公共企業体といわれる中に入る勤労者でありましようとも、我々全官公廳の勤労者でありましても、民間の勤労者でありましようとも、社会生活を営む過程におきましては常に闇というものに附纏われておるわけであります。從つて流通秩序の確立と食糧対策、或いは建築なり被服というようなものに対する総合調整をした、立派な國策を樹立し、而も金融関係においては金融の國営、社会化というような面において、金融方面の調節を図るとか或いは財政面におきましては、少くとも國民所得のうち租税を免れるというような者が絶対にないような、そういう仕組をやらないと、これが常に惡性インフレ、或いは投機、思惑の根源をなして來るのであります。從つて先ず要は、國家財政の基本的な確立と、常に國民経済に即應した國家財政を確立するという態度、公共企業体の從業員であるから、これは闇生活をしておらんというようなそういうものの見方でなくして、どこまでも公共企業体であろうとも、工場の諸君であろうと、農民の諸君であろうと、國民として社会生活をしておる限りにおいては、公定生活の面のみを取上げて行くというような態度を國家が止めない限りにおいては、こんな法案を作つて、ここに書いてありますが、爭議行爲の禁止がまず第四章に規定してあります、或いは團体交渉権の制限、交渉委員の任命は第三章に規定してありましても、特に私は委員の皆さんにお聞きを願いたい点は、公共企業体の労働業を、何故この法案が職員というような名称で、極めて曖昧なる、而も爭議行爲なり團体交渉なり、その他の行爲を制限するような文字を使つておるかという点は、明らかにこれは政府がこの法案を出すときに、これを労働者と書けば、どうしても團体交渉権を認めなければならんとか、或いは爭議行爲についても行わしめなければならんというような意図から、これを職員というような極めて曖昧な、從來の封建的な観念でこの規定の立案を進めておるという点が、私には先ず承服ができないのであります。
 さて私は物價と賃金の関係を皆さんにお願いをしたいが、私は今日丁度朝起きまして新聞を見ました。そうしたらその新聞に書いておるのは、古い新聞でありましたが、労働者が賃金の値上をするから物價も上つて來る。こういうようなことを東京の大新聞が書いておるのであります。皆様もすでに御承知のように、労働者が賃金の値上をするというようなことは、少くとも物價が高くて、到底現在自分の私生活が営めないから、團結を強化して、物價に即應して賃金値上をやるのであつて、決してこれが物價高促進の基本的な原則でなくして、物價を高めつつあるところの國家のインフレ財政を先ず克服しなければならんと同時に、金融関係におけるところの融資関係を嚴重に取締らなければならん。特に金融について市中の銀行なり、特殊銀行なり或いは復金の融資というような放漫政策をとつて、金融の放出状態が極めて不健全に行われ、而もそれが、傾斜的に而も、政府或いは現在の支配階級が考えておりまするような、一方的な方向において資金の流通を行わしめておるというような、こういうような面を根本的に是正をしないことには、如何に法律案をこういうようなものを作りましても、爭議とその不平不満というものは到底止まないというのが私の主な理由であるのであります。特に私は現政府の態度は全く遺憾でありまして、現政府が労働階級に関しまして本質的な計画的なものを持ちまして、そうして日本の産業対策というものと相並行して両輪の轍のような態度をとつておるならまだしものこと、私はそれでも不満であつて、少くとも日本の勤労階級の生活の保障が第一で、次にその上に立つて産業対策を如何ようにするか、金融政策をどうするか、流通秩序の確立はどうするか、或いは輸送の関係はどうするかというような点を論議して然るべきではないかと思うのですが、この法案はそういう点については一指も触れておりません。すでに委員の皆様も御承知のように、第一條を見ますると、「この法律は、公共企業体の職員の労働條件に関する苦情に関する苦情、又は粉雪の友好的且つ平和的調整を図るように」とある。ところがそこには又書いてあります。
 「主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を盡さなければならない。」というような理由で、極めて法案の内容が上滑りをしておるのであります。私が今申上げたような根本的な問題を是正して、それで且つ労働者諸君の生活を十分保障される、こういうような態度ならば、かような法案がなくても私は労働爭議は起らないと思うのであります。少くとも労働爭議が起るということは、現在の資本主義的な國家機構の中において、労働階級がどうしても物價関係、或いは賃金と物價の関係において救われないというこの窮状を打開する根本的な道を考えないで、こういう法案を幾ら作りましても、これでは勤労階級は所詮救われないのでありまして、同時に労働不安がますます旺盛を極め、労働の不安は直ちに全人民の不安であると同時に、政治の不安を呼べば答えるように起して來るのであります。從つて我が國の國家の靜穏と我が國の正しい再建を図るとするならば、常に労働階級の不平と不満、そういうものを除去する基本的な態度をとらなければならんと、私はこの第一線にも言えると思うのであります。
 又考えられることは紛爭処理をするということはこの第一條の基本的な態度でありますが、少くとも私はこれは丁度今年の五月七日に、政府が四月以降の新給與について話合いをしようということで分れましたが、丁度政府は五月七日に官公廳に申込みました。それは新給與について話合いをする前に紛爭処理機関というものを設けようじやないか、而も平和的に事態を解決しようじやないかということを申出まして、紛爭処理機関を、政府が全官公廳の八組合へ持込んで來たのであります。そのときの考え方がこの公共企業体労働関係法規の全面的な内容と同じことを言つておるのであります。これは明らかに労働組合が正当に團体交渉権を持ち、更に罷業権を持つておるという、その内容を眞つ向から制限する考え方であるということは、この紛爭処理機関を政府が持ち込んだときに明瞭な事実があるのであります。その内容をここに謳われておりますので、これは五月七日であります。そういう趣旨から見ても、こういう法案を作ろうということは、すでに彼らは全官公廳が八月七日以來ストライキを行うであろうという予定を考え、更にもう三ケ月も前に彼らはこういうことを企んでおつたということが考えられるのであります。從つて私はこういうようなものの考え方については、労働者として黙視することはできないという点を指摘したいと思うのであります。
 第二條を見ますると賢明な委員の皆さんもお分りのように、煙草を作る会社、或いは煙草を作る國家の事業がどこに公共性を持つておるでありましようか。少くとも公共企業体であるという以上においては、我々は煙草を作るがごときことは社会の公共企業体とは思われないのであります。これは國家が專賣の利益を獲得することによつて国家財源を増徴させるという、そういう意味合において彼等は公共企業体と言つておるのでありましようけれども、私達は煙草を作つたり、酒を作るというようなことが公共企業体の観念に入る、かような観念を持つこと自身が如何に私は頭が惡いと申しましようか、或いは観念の本末顛倒をしておると言いましようか、全く私は黙視できない。本質的にはこれは誤つておるのであります。從つて公共企業体であるというような法律にいつては、煙草專費について少くともこういう規定の中に入れるということは誤つておると思うのであります。
 第四條でありまするが、この第四條を御覧になりまするとお分りのように、職員の團結権を保障しておるかのように書いてありまするが、第四條の内容を見ますと、保障もなにもない。労働組合を作る者は作れ、作らない者は作らなくてもよろしい、こういうようなことを書いておるが、如何に日本の労働運動を誤らしめておるか、如何に分裂主義者を作らしめておるかというようなことが明瞭でありまするので、これは政府が我が國の労働運動を眞に守り立て、勤労者の力によつて祖國の再建を考えようという意思が微塵も現れていないということが証明できるのであります。こういう團結権の保障を破るような規定を設けておることは、これは全日本の勤労階級に対する敵対行爲である、かように私は断ぜざるを得ないのであります。從つて私は先程から申上げておりまるように、憲法の規定及び労働法規の三法の建前から見ましても、かような規定をぬけぬけと書いているこの政府の態度を、私は全勤労者の名を以て攻撃すべきである、かように考えておる次第であります。先程の公述人の方からもお話があつたのでありますが、第三項の規定も明らかにこれは團結権の保障をしないということを意味した規定であつて、それ以外の何者でもないということがこの三項でも言われると思うのであります。
 第五條に至りますると、ここに書いてありまするように、労働組合活動を行う、或いは組合員であるがために不利な取扱を受けない、こんなことは当然過ぎるほど当然なことであつて、少くとも勤労階級が労働組合を作り、團結権を拡充するために團体交渉をするときにおいて不利益を受けないのは当然のことである。これは公共企業体でありましようが、國家公務員でありましようが、或いは民間の基幹産業でありましようが、当然の規定である。こういう規定を書くということは如何に反動性を待つておるひということを私は如実に示すものと思うのであります。
 次は第六條の規定を見ましても、この中に書いておりまするが、「公正な外部の監査人による組合資金の」云々という、組合が自主的に、自分の会計の内容についてはいろいろ私共の組合でも御配慮を願つておるのであります。それにも拘わらす公共企業体の労働者の組合であるから公正な外部のそういう監察を入れるということを書いておるが、如何に労働組合に対する不当な干渉を断行しつつあるかという、これはいい手本であります。
 尚組合專從者の問題につきましても、組合專從者に少くとも労働組合が要求しておりまする最低限度の生活の保障を冀うところの、現在で申しまするならば七千三百円、八月現在の手取りにおいての要求、こういうものが本当にその公共企業体から支給をせられ、その上に尚且つあらゆる給與面が行われるならば、それは私は組合專從者は組合費を以て賄うというようなものの考え方についても、成程了解のできるものもありまするが、我々は七千三百円を要求すれば、仮りに全官公廳に例を取つて申上げるならば、政府は五千三百円、人事委員会は六千三百七円、こういうように極めて段階を持つておつて、我々の要求について應じないというような態度が、これがまま世間の一般の企業体及び将來の公共事業の体恐らく理事者の諸君の考え方ではなかろうかと思うのであります。そういう中にこういう規定を設けるということが、如何に彼らが本質的に労働組合を彈圧しようかという考えを持つておるいい例証だろうと思うのであります。
 更にこの第八條を見ますると、團体交渉権の内容を制限しております。團体交渉というものは労働條件に関する一切の問題について、或いは特に例えば國鉄労働組合というような場合を考えてみますると、その事業運営の並びに運用、管理に関する事項につきましても、組合の諸君の十分な御意見を聞き、又その御意見に從つて行うについて努力を持たないような、そういう企業体であるならば、これは私は聊か心得違いをしておると思うのであります。でありまするから、私はここにも書いてありますような態度でなくして、やはりどこまでも團体交渉の範囲というものは、特に企業の運営、運用或いはそういうものに至つても労働組合側と親しく話合をするという態度を明示すべきではなかろうかと思うのであります。なぜかならば、現在我が國の経営権というもの或いは企業権というものが、彼ら資本階級或いは労働組合側に反対の立場をとつておる諸君のものの考え方、そういうものに基ずいての経営権に果して我が國の再建がでるきかということは断言できません。これは私の極めて身近な経驗でありまするが、逓信省の場合も考えましても、逓信省の経営に関すること、管理に関する事項について現在のあの腐敗堕落をし、而も極めて低級な頭を持つておる官僚諸君のものの考え方では、少くとも逓信部内における郵便でありましようが、電氣通信業務でありましようとも、或いは電波統制に関する問題でありましても、恐らくこれは全市民、全國民諸君の要望を担うような運用はできないと思うのであります。況んや身近な足の問題でありますところの國有鉄道の問題についても、特にさような問題が考えられるのであります。若しもそういう点を力説し、そういう点を彼らで主張するような態度を國家が容認するならば、これは企業権と労働権が惡い意味において相抗爭を展開するだろうということを、私は予言せざるを得ないのであります。從つて國家再建とか、こういうような問題について、この想定に私は本当に反対せざるを得ないと思うのであります。
 條文をずつと繰りまして、私は爭議行爲の点に移ります。第四章でありますが、私の頂いたプリントには爭議行爲とただ書いてありまするが、原案を見ますると爭議行爲の禁止ということを書いてありまするから一應私は宛書を省きます。少くとも爭議行爲を國家が正当に行わしめるという態度をとらしめない限りにおいては、私は労働問題の解決はできないと思うのであります。先程の公述人は、非常に労働爭議というものは行き過ぎで不都合なことをやつておる、從つてこういう禁止法が出ることも、むべなるかなというような公述をなされました。その方は非常に考え違いをしておると思います。資本主義経済の國においては、労働者勤労階級が極めて弱い立場に立つておることは、これは言を俟たないのであります。ところが、この弱い立場に立つておるところの権利を消極的にも防衞しようというのが、現下の資本主義経済下におけるところの一般の考え方であります。私達は更に百尺も千歩も進めまして、労働者が強く祖國の再建を考えられるというような態度で生活を保障される、その権利が十分伸長されておるということが我が國の再建に最も必要な段階でありますので、爭議行爲は大いにやらすべし、爭議行爲は、現に給與なり待遇問題が十分是正できるならば爭議行爲をやれといつても労働者は爭議行爲を行いません。從つて今のような状態であるならば、爭議行爲を正しく的確に國家がやはりこれを保護しながら行わしめるところに、日本の企業家の誤れるものの考え方、資本主義的の誤れる方式を根本的に是正できると考えるのであります。從つで私は爭議行爲は必要に感じ労働者諸君の権利伸長ためにの、新しい正しい日本の民主革命を断行する意味におきましては、政府当局におかれましても、議員の皆さんにおかれましても、爭議行爲をただ抑えるというような、そういう誤つた考えではなくして、正当な爭議行爲は國家、又國民も公認をしてやらすという態度の中に、爭議行爲は本質的なものとして理解しながら調整がとれる、かように考えておるのであります。
 調停、仲裁の問題でありますが、これは冒頭私が申上げましたように、政府が申込んで参りました紛爭処理機関と殆んど同じであります。そういうものの考え方を以て作り上げられたものでありますので、私は余分のことを省きまして、この規定については申上げません。
 最後に行政権限のところに「本法に特別の定めのあるものを除きこの法律の運用及び施行の責任は、労働省が掌るものとする。と書いてありますが、これはどういう意味か、私はむしろ政府の方がおられたならばお聽きしたい條項であります。
 以上あれこれと公共企業体労働関係法案について申述べましたが、結論的に私はかような規定を作ることは、只今の段階において明らかに労働者の基本的生活権の防衛、或いは少くとも民主國家において守られておる権利の保障、或いは働く者を中心として働く者が祖國の再建をするというような、基本的な精神を本質的に誤つて、この法案が作られておるということを言わざるを得ないのであります。從つて即時にこの法案を政府に返上し、こういう法案を作つた政府の責任を委員の皆さんが追求せられることをお願いしたいと思います。こういう法案を作るということは現在の民主主義國家において、少くとも反動的な、反労働者的な、而も反人民的な意図を以てかような法案を作つておると、私はかように断じますので、このような法案は政府に返上し、荷本法案と密接な関係のあります公共企業体についても、七月二十二日の最高司令官が仰せになつたその内容を更に、更に詳しく研究し、我が國の実情に即應するような態度を以て作らなければならんと思うのであります。例を申上げますならば、私が承知しておる範囲における現在の國有鉄道は、少くとも運輸大臣の責任において鉄道行政が運用せられ、而もあらゆる問題が政府の責任において行われております。この國有鉄道については公共企業体の本質的な行政を的確に行わないと、これはマッカーサー元元帥の御要請下された公共企業体の性格に反する点が沢山あるやと聞いております、從つて我々は書簡の内容を十分見極めまして、この書簡の内容をよく理解して公共企業体の行政が的確に行われることを要請したいのであります。從つて煙草專費或いは樟脳、これは多少異論がありましようが、煙草專費が公共心業体であるという観念は、どこをどう間違つたか私は存じませんが、これは問題にならない、かように考える次第であります。公共企業体の諸君は名前が公共企業体の從業員であるから、それは職員である、從つて爭議行爲をしてはいけない。こういう形式的な誤れる法案は作るべきでないということを繰返し申上げて本日の私の公述を終ります。
#27
○委員長(山田節男君) 本日午後の公述人に欠席がありましたり、或いは明日に変更の要求等がありましたので、本日はこれで終ります。只今の土橋公述人の公述に対しまして委員から御質問があれば御質問を伺うことにいたします……。別に御質問がなければ質疑はないものと認めます。公述人の方にお礼を申上げたいと存じます。十日は非常に御多忙の中を労働委員会のために公述して頂きまして誠に有難うございました。明日は午前十時から第二日目の公聽会を開催いたすことといたしまして、本日の公聽会はこれを以て閉会いたします。
   午後二時五十一分散会
 出席者は左の通り
   委員長     山田 節男君
   理事
           平野善治郎君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           門屋 盛一君
           竹下 豐次君
           田村 文吉君
           水橋 藤作君
  委員外議員
           松村眞一郎君
           内村 清次君
           小泉 秀吉君
           宇都宮 登君
  公述人
   東武鉄道株式会
   社       畑中 四郎君
   國鉄労組執行委
   員長      加藤 閲男君
   帝国電氣株式会
   社社長     水野  卓君
   全逓中央執行委
   員長      土橋 一吉君
   東宝株式会社副
   社長      馬淵 威雄君
   産別情報宣傳部
   長       寺井 達夫君
ソース: 国立国会図書館
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