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1948/11/28 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第9号
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1948/11/28 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第9号

#1
第003回国会 労働委員会 第9号
昭和二十三年十一月二十八日(日曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○労働基準法適用猶予並びに緩和に関
 する陳情(第五十一号)
○公共企業体労働関係法案(内閣送
 付)
  ―――――――――――――
   午前十一時十二分開会
#2
○委員長(山田節男君) 只今から労働委員会を開会いたします。
 先ず最初に本委員会に受理されました陳情が一件ございますので、これの御審議をお願いいたすことにいたします。
 この陳情五十一号は労働基準法適用猶予並びに緩和に関する陳情、東京都中央区日本橋本町一ノ二ノ二、社團法人東京実連協会会長中野金次郎氏の名義で出ております。その陳情の理由を朗読いたします。
#3
○專門員(柴田義彦君) その要旨はお手許に差上げて置きましたが、この問題は世間でも大分問題になつております重大な問題でありますので、陳情書自体の全文をここに朗読いたしたいと存じます。「画期的労働憲章とも言うべき労働基準法は我國過去におけるいずれの労働立法に比し優れたる内容を有し殊に労働條件を基礎としたる諸点は、実に世界的水準に達し、いわゆる人権擁護を目的とする法の精神は吾人等のひとしく尊重するところであり、且つ実施に協力を憎むものでない。
 今や中小企業は異常なる金融逼迫に直面し、不振にあえぎ、日々経営難に呻吟しつつも日本経済再建への希望に燃え、不断の努力を傾注し、あらゆる方途を案出し、危局突破に邁進しつつある。
 一方外資の受入態勢は着々整備の過程にあり、又國際貿易の完全なる復活の日近きが予見せられるるの朗報は、激甚なる國際競争場裡に進出するも決して屈服することなく、我國中小企業の眞價を全世界に発揮宣揚するの牢固たる信念を堅持せしむるの示唆に外ならない。不幸にしてこの努力、この決意潰滅せんか、中小企業の沒落、延いては大量の失業群となつて現出し、收拾すべからざる社会問題に発展し、想像するだに慄然たるものがある。
 思うに新生日本の創造はもとより容易ならぬ難事ではあるが、全國民然一体となり、よく難局に善処し、不撓不屈の精神に透徹すべきで、経営者先ず企業経営の適正化、生産技術の向上等、幾多重要案件の急速なる解決を期するは、緊要にして瞬時も忘却し得ないと共に、勤労者又労働の重要性を洞察し、勤労意欲の昂揚により生産を増進し、流通部門の活溌化を図ることこそ要諦である。
 然るに労働基準法の全面的実施は、経済復興の現過渡期において再考すべき幾多の問題を惹起し、特に労働時間、賃金の両面において紛爭誘発を煽動するの企図は絶えず潜行し、これが便乘の結果生産は極度に低調を辿り、企業者をして企業意欲を減殺せしむるのみが、新規開業を躊躇せざる余儀なきに至らしめ、事業の進歩発展は阻害せられ、経済活動の萎靡沈滯は覆うべくもない。
 又週休制を採用する一方、年間八割以上の出勤率により、有給休暇の支給を強制するは、月平均実働二十日にして当然その請求権を獲得することとなる。かくては人情の然らしむるところの勤労を忌避し軽視する至り、精神的弛緩を招き、就労目標は極度に低下し、企業の成立を根底より否定するものと言うべし。
 勿論吾人等中小企業者は從來の経営方法を固執し、何ら措置を講ぜざものにあらず、その態度、観念を徹底的に改め、該法制定の趣旨に應じ、徒らに勤労者のみに負担を加重するがごとき封建的思想は嚴に戒心すべきであるが、業者の公正なる経済的利益は又擁護さるべきものと確信する。
 よつて特に中小商店、工場の実情に鑑み、一部適用の猶予の期間を設け、且つ経営者、勤労者間の調整を目途とし、彈力性に富む適切なる解釈運用の下、常に当局不撓の教育指導に期待し、経済再建に寄與せられんことを要望するものである。」という趣旨であります。
#4
○委員長(山田節男君) 只今朗読いたしましたような趣旨で本陳情が本委員会に提出せられておるのでございます。この陳情に関しまして、御審議願いたいと存じます。
#5
○政府委員(竹下豐次君) 労働基準法は可なり細かく規定が設けられておりまして從來工場法等極めて簡單な規定が急に変つたことに相成つておりまするので、業者の方におきましては、相当にお困りになつておる箇所が多いということもよく承つておるのであります。ただお含みまでに先ず申上げたいのは、この基準法制定がされまする前、準備工作をいたしておる際におきましても、企業者側の意見も相当に立入つた点につきましても承りまして、特に中小工業方面について無理のいかないようにという御希望もありまして、それを含んで大企業のものに比べまして中小工業等につきまして、相当に考慮を加え、規定も緩めてある部面もあるということは皆さん御承知の通りであります。然るにも拘らず、今日の突然の状態から申しますると、相当に無理が行つておるという声も相当に高いようであります。併し現在まで施行しました期間というものがまだ短いのでございます。今急にこれを猶予期間でも設けなければならないというように政府の方では考えていないのであります。監督者の側といたしましても、まだ法の施行に不慣れな監督者も幾らかあるのでありまして從つて不行届きのために業者に多少の無理があるという場合もあるのかと存じております。又業者の方におきましても、少しお慣れになれば、今お感じになつておるという程までお苦しみにならないで済むんじやないかというふうにも考えられておるのであります。とにかく政府といたしましては、猶予期間を設けるという考えは持つておりません。ただ無理の行かないようにできるだけ実際の運営の面におきまして、監督官の方で注意して行くということにいたしたいと存じておるのであります。
 尚お含みまでに申上げて置きたいと存じまするのは、この労働基準法に規定してあるような事項は、外の國の労働法規には可なり前からこんな細かい規定がありまして、そうしてその通りに実行されておるのでありまするが、ひとり我が國におきましては、外の國に比べまして非常に簡單な法規でありまして、今日まで継続しておつたのでありまして、從つて日本の労働状況が非常に労働者のために不利益である、それが物價にも影響するというようなふうのことで、外國の方から見ますると、何とかして日本の労働法規をもう少し外國並みに改めて貰はなければならないということは、もう二十年も前から各國の日本に対する註文でありまして、國際労働会議等ではたびたび問題にされたことなのであります。この後日本と外國との貿易がいよいよ正式に開かれるというようなことになりますると、特にこういう問題は貿易方面にも影響して行くことであろうと存じまするのであります。できるだけ労働者の待遇をよくし、その危害を防止しなければならないという点は、國際的の立場におきましても十分考慮しなければならないというふうに考えられる次第でございます。この点はよくお含みの上御審議願いたいと思います。尚細かい点につきましては御質疑がありましたら、お答え申上げます。
#6
○委員長(山田節男君) 只今の竹下政府委員の御説明に対しまして、御質疑はございませんでしようか。
#7
○田村文吉君 この陳情の趣旨がはつきり分らない点があるんですが、中小工場、商店の実情に鑑みて、或る一部適用の猶予期間を設けられたいということは、全面的に労働基準法を特殊の業者に対しては猶予して呉れというのか、或いは労働基準法の中の或る一部分を適用の猶予をして貰いたいというのか、その意味がはつきりしておりませんが……。
#8
○委員長(山田節男君) 只今專門員が朗読いたしました陳情書を読みますると、労働基準法の中の労働時間及び賃金に関するもの、労働基準法の一部というのはそういうもののように書いてあるんです。
#9
○田村文吉君 先刻文書をお読みになりましたときに、その点は大分前段の方に書いてありますが、最後の結論の方ではやはりここに書いてあると同じような結論であるんですが、そこで陳情の趣旨は甚だはつきりしないんですが、前段の議論としては賃金とか時間とかいうような問題について不都合を感じているがということはありましたが、最後の陳情の結論はやはりこの一枚の紙を頂きましたものと同じように伺われるのでありますので、その陳情の趣旨ははつきりいたしておらないと思うんですが、專門員の方でその字句がはつきりとお分りになれば、それによつて審議してもいいと思いますが……。
#10
○委員長(山田節男君) これに紹介議員がございませんので、その本旨を、ここで敷衍して説明する人がおりませんですが、大体今專門員が申上げたように、結論としてやはり労働基準法の一部の適用を猶予して呉れという、労働時間と賃金に関するもの、そういう主題の下にしたいと思います。
#11
○田村文吉君 特に中小商店、工場の実情に鑑みというのですか……、というので賃金、或いは時間の問題を全面的に猶予期間を設けて欲しいという意味でありますか、中小商店とか、工場の実情に考えてその方面に対して猶予を設けて呉れというのか、その点がはつきりしないのですが、どうなんですか。
#12
○原虎一君 それははつきりしてないのが書類の実情じやないのですか。それならそれとして扱うよりほかないでしよう。紹介者がいないし、説明者がいないのだから……。
#13
○委員長(山田節男君) どうでしようか。今田村委員の仰せになるような趣旨がはつきりしないということは(「しない」と呼ぶ者あり)……。又委員の言われるごとく、はつきりしないのがやはりこの本陳情の……。これは両方に解されるわけでありますが、この本委員会としての扱い方を一つ……。
#14
○田村文吉君 その趣旨がはつきりしておりませんならば、改めてお問いする程までのこともないならばないとして、承り置く程度で如何なものでしようか。
#15
○委員長(山田節男君) 今田村委員の御発言もございますが、幸い寺本政府委員がお出でになつておるので、私からちよつと御質問申上げたいのですが、この労働基準法が昨年の同月でしたか、実施されて、本年の四月からは摘発主義に入つていると、こういう話があつたのでありますが、爾來労働基準監督法によつて摘発と言いますか、いわゆる労働基準法違反として挙げられた今までの大体の数、それから若しできればここに陳情に書いておるような中小商工業、そういつたような部類、部門に労働基準法の違反件数が、いわゆる大工場に比較して多いか少いかというような点について御説明願えないでしようか。突然ですから極くかいつまんだ傾向だけでもいいんですが……。
#16
○政府委員(寺本広作君) 労働基準法の実施状況につきましては、昨年九月大部分を施行いたしまして、それから十一月一日に安全、衛生、女子、年少者の関係の部門を施行いたして参つたのであります。併しながらこの法律の施行に当ります行政組織の方にも、陣容の整備関係、職員の教養訓練というような点で懸念されるところが非常に沢山ございましたので、施行直後から直ちに法律を文字通り執行するというような方法を採りませんで、昨年の九月法律の大部分施行と同時に、当分の間は一般の使用者並びに労働組合に対して法律の趣旨を普及徹底させることに重点を置くように、違反は特にあの中に規定されております強制労働であるとか、中間搾取であるとかいうような一般の刑事犯罪とも見られるものを除いては、当分の間違反の摘発は見合わすようにという方針でやつて参つたのであります。そういたしまして、この行政組織の方の教養訓練と、法律の趣旨の一般社会に対する滲透性とを睨み合せまして、今年の一月の下旬に関係方面からの要望もあり、漸次違反を取締るといつた方向に向けて参りました。ただ違反の取締が地方別に苛酷になつては工合が惡い。それから又地方別に非常に寛嚴に違いがあつても工合が惡いことで、違反取締は全部中央において統制をする。中央に伺いを立てた上で、違反の取締をするというような方針を取つてやつて参つたのであります。本廳とも緊密な連絡の下に、本年一月からそういう方針を取つて参りましたが、今年四月末までの間に、この関係で捜査されましたのは、強制労働、中間搾取の事件が確か二件かあつたかと思つております。こういたしまして今年上半期までこの法律の趣旨をますますよく滲透させる。それから関係官の教養訓練も随分積んで参りましたので、法務廳及び関係方面とも打合せの上、今年五月一日から大体地方廳で、違反の取締は檢察当局の指揮の下に移す。殊に全國的に影響のある事件、及び二府縣以上に跨がる事件は、こういうものを中央に委任するという方針で、この五月から違反を取締るという方針でやつて参つております。併しながらこれも違反があれば直ちに全部取締るというようなことはございません。本廳ともその違反の扱い方については詳細に協議を遂げまして、大体の方針といたしましては、この角度から申しますと、強制労働、中間搾取というような惡質事犯については、これを嚴守する。併しながら賃金の支拂であるとか、労働時間の違反であるとかいうようなことで違反があつても、その後監督官の注意によつて改めたというものは、送致をするというようなことは原則としていたしません。ただそういうようなことで、何回も戒告を加えても尚改めないという事犯は送局する。普通の形式違反、法律の中に違反の大部分を占めておりますところの、手続の違法であるとかいうような点は、できるだけこれは教養訓練といいますか、法律の趣旨の徹底によつて、法律が遵守されるというようにやつて行くというような方針で今日までやつております。從つて監督官が出掛けて行つて、現場で違反件数として取締つて参りますものは、月々現在で一万二、三千あるというふうに統計では出ておりますけれども、その中の大部分は、就業規則を職場に貼り出していないとか、労働者名簿を備えていない、賃金台帳を備えつけないというような形式関係が大部分であります。実質的に言えば、女子に深夜業をやらせるというような、実質違反は非常に少ないと思います。深夜業は現在まで、四月以來最近の統計で八月末まで出ておりますが、檢察局に送りました事件は百件まで出ないと思つております。正確な数はここに持ち合せておりませんが、ざつと確か百件を出ておらん、こういうふうに思つております。大部分は強制労働、中間搾取であるというような刑事犯罪に類するようなことが多いのでありまして、形式犯について送致するというようなことは、まだ全然事実がございません。尚正確な数字は御必要でございましたら、調べまして又次の機会にお答えいたします。
#17
○田村文吉君 丁度こういう陳情のありました機会でありますから、特に新らしい法律でありますことと、社会情勢が混乱し、経済状態が安定を欠いております今日の情勢におきましては、運用のよろしいか拙いかということが非常に影響するわけでございますから、この上とも特にこの運用につきましては、寛嚴よろしきに從つて実際の取締りをやり、殊に問題の始終起りますのは、中小企業に多いのであります。中小企業には実際在來の習慣がありして、なかなか商店にいたしましても、中小工業にいたしましても、違反の点等におきましては、殊にルーズな点、そういうような点においおいと改正されることは結構でありますが、余りに嚴重に失するということは、いわゆる産業を萎靡衰退させるということがこの陳情の趣旨ではないかと思います。この点につきましては十分御当局でも御反省を頂きたい。これはあつたとは申しませんが、大分地方にあります労働事務の、例えば縣の労政官ですか、或いは國の安定所、いわゆる基準局等に、特に過激な思想を持つておられる人があるかのように聞いておるのであります。これは実際その局にある局長さんなり、所長さんなりが随分お困りになつておるかと私は思つておるのでありますが、いわゆる札付きの赤というはつきりしたのが居る。そういうことのために非常に他方的に民間の人と感情的に拙い点が起つておるということが、あつたとは申しませんが、そういうようなことがあり得る可能性が可なりあるのであります。そういう点についての人事の問題についても、十分の御監督をお願いして置きたいと思います。今後私ははつきりした実例を見付けましたならば、又御質疑申上げたいと思います。余まりに官吏である人が、はつきりした思想を持ち過ぎて、その自分のイデオロギーの下に行政をやつて行かれるということは非常に困る。さような点についての特に御注意をお願いしたいと、こういうわけでございます。
#18
○委員長(山田節男君) 今の田村委員の御質問によつて、更に附け加えて関連してお尋ねしたいのですが、労働省として、今問題となつておる中小工業に対する労働基準法の実施の状況の矛盾及び困難、こういうものがあるのですが、労働省としては、政府としては、現下の逼迫したインフレで痛められて経営難の中小商工業に対して、労働基準法の嚴正する適用、先程田村委員も仰せられましたが、そのようなことについて幾分か考慮するというような、何か根本的な態度は決つておらないのですか。
#19
○政府委員(竹下豐次君) 只今御指摘の点は大変大事な点であると存ずるのであります。労働省の方におきましては、十分地方の監督官を講習いたしまして、法規の理解等をよく徹底せしめ、よく教育を施すということもありますが、そういう際に同時に又御指摘になりましたような点につきましても、特に注意を加えまして、行過ぎのないようにということははつきり申しておるような次第でございます。でも多数の者の中にはやはり程度を越すというものもあるかも知れないと思つておりますが、特にそういう点につきましては、特別な注意を重ねて拂いたいと思います。
#20
○委員長(山田節男君) そういたしますと、この陳情は、先程田村委員からの御発言もございましたが、この趣旨は勿論分るのでありまするが、具体的な論拠というものがはつきりしておりませんので、全体問題とすれば、これは勿論陳情の理由があると思いますが、一應この陳情は本委員会において承り置くという程度にしたら如何でしよう。
#21
○原虎一君 それは正式には採択をしない、政府に送付する必要なしという決定でいいんじやないですか。
#22
○委員長(山田節男君) 内閣に送付する必要がないと……。
#23
○原虎一君 逆に言いますれば、不採択ということに決定すれば……。
#24
○委員長(山田節男君) どういたしましよう、この陳情を本委員会で採択しますか。
#25
○田村文吉君 これは何んですか、内閣に送付する場合には、本会議における必要があるんですか。
#26
○委員長(山田節男君) ここで審議して採択になれば、それを本会議に出して、本会議において、内閣に送付するものとそこで決議されれば、それを内閣へ送付をするという、こういう二段になつておるのであります。
#27
○田村文吉君 本会議にかからないと、内閣に送付にならんのでしたかね。
#28
○委員長(山田節男君) そうです。本会議だけへ出すものと、本会議にかけ、更に本会議によつて内閣へ送付する事のという二つあるのであります。本会議に出すだけで済むものと、本会議にかけて、更に内閣へ送付するものと。これは院議で決めるんですね。どういたしましよう。
#29
○專門員(柴田義彦君) 放つて置けば、第三國会が終れば審議未了ということになります。
#30
○田村文吉君 如何ですか、その不採択という反対表示をする程のことでもないので、そのまま審議未了で残して置かれたらどうでしようか、もう少し趣旨がはつきり分れば、審議のしようもあるんですが、趣旨がはつきりしないというような意味でね……。但しその謳うている心持は、さつき私が申上げたような意思であろうと推察ができると、こういう程度でありますから……。
#31
○委員長(山田節男君) 原委員、何か御意見ございますか。
#32
○原虎一君 もういいです。
#33
○委員長(山田節男君) どうでしよう、この陳情の趣旨が曖昧であるというので、一應採択、不採択を決しないで、留保いたしましたら、どうでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(山田節男君) 御異議ないものと認めまして、さように取計います。
 次に只今本委員会に付託されております公共企業体労働関係法の逐條の説明が終りましたので、逐條審議に移りたいと存じますが、労政局長は只今衆議院の労働委員会に出席中だそうでございますのでこちらに参りませんので、只今和田事務官がこちらに來ておられます。和田事務官から説明を受けることとして、逐條審議に入つたら如何でございましよう……。それでは御異議ないものと認めまして、只今から第一條からの逐條審議を始めます。
#35
○田村文吉君 説明ですか。
#36
○委員長(山田節男君) 説明はもう終りました。
#37
○田村文吉君 もう済んだんですね。
#38
○委員長(山田節男君) 説明は済みました。
#39
○田村文吉君 審議に入るんですか。
#40
○委員長(山田節男君) 一應審議に入ります。
#41
○田村文吉君 一條ごとにお進めになりますか。
#42
○委員長(山田節男君) 各章余り長くないようですから、章を区切りまして、逐條御審議を願うことにいたしたいと思います。先ず第一章総則、一條、二條、三條までを議題にして行きます。
#43
○早川愼一君 この公共企業体というものは、一体どう定義されているのか分りませんが、第二條に二つに限定されておりますが、そうすると今後ここへ何か追加されるといたしますと、公共企業体というのにどこで決まるのですかうこの法律自体で決まるのですか。その点を一つ……。
#44
○政府委員(竹下豐次君) 將來加わることがあると仮定いたしまするならば、この法律に追加しなければならないことに相成るのであります。
#45
○早川愼一君 公共企業体というものは、それじや他の別個の法律で決まるわけですか。
#46
○政府委員(竹下豐次君) 別にお手許に配つてありまする國有鉄道法、專賣公社法という案が出ておりますが、そういうふうな形式を取りまして、又別に定めなければならないということに相成ると思います。
#47
○早川愼一君 とこがですね、これには別に公共企業体というのは書いてないですね、ただ國有鉄道法とか或は專賣公社法、こうなつていまして、公共企業体の説明は何もない。そういたしますと、公共企業体というものは、この法律によつて決まるのかということです。
#48
○説明員(和田勝美君) 御説明申上げます。公共企業体という言葉が使つてございますのは、この公共企業体労働関係法だけでございまして、日本國有鉄道法案及び日本專賣公社法案にもこのことはないわけでございます。併し日本國有鉄道法案と、日本專賣公社法案を両方読み合して参りますと、大体公共企業体というものの概念が一應出て來るように考えるのであります。その概念といたします所は、國家が完全に資本金を持つておるところの会社である。そうしてそれが一つの企業体としては國とは別の人格のものによつて運営されておる。それから業務は企業体自身によつてみずから計画され、遂行されることができること、但しこれに対しては管轄大臣から種々なる監督がございますが、大体自治的にできること、これが、これに非常に類似しております公團と違うところであります。公團は御存じの通り経済安定本部総務長官の定めるところの基本的な政策と産業計画に從つて、その枠内で、安定本部総務長官の全面的な指導監督の下に行われるのであります。公共企業体は自主性のあるところが公團とは違つておるわけであります。この企業体は資本金を持つております。公團の方は基本金でありまして、資本金は持つておりません。そういうような点が公共企業体が主として持つておる性格というように考えております。
#49
○原虎一君 この第四條の公共企業体の職員に関する労働組合、この場合の労働組合と労働組合法第二條における労働組合との性質は変わつて來るのでありますか。この労働組合法第二條との関連における労働組合、即ち「労働組合トハ労働者ガ主体ト爲リテ自主的ニ労働條件ノ維持改善其ノ他経濟的地位ノ向上ヲ圖ルコトヲ主タル目的トシテ組織スル團體又ハ其ノ連合体」そういうこの第二條を受けての関連性ですね。これを説明願いたいと思います。
#50
○政府委員(竹下豐次君) お答えいたします。第四條に書いてあります労働組合と申しまするのは、労働組合法による組合と同じであるのでございます。ただ第四條と第六條におきまして多少の制限を受けるということだけが違うのでありますけれども、組合の本質といたしましては、組合法による組合と同じでございます。
#51
○委員長(山田節男君) この第一章の各條に亘りましては御質疑ございませんようですから、第二章第四條、第五條、第六條、第七條に亘りまして、御質疑願いたいと思います。
#52
○田村文吉君 第四條の管理及び監督の地位にある者について、この間例を挙げて御説明頂いたのでありますが、何か大体お決めになつております案がありますか。今後政令でお出しになることになつておるのですか。
#53
○政府委員(竹下豐次君) まだ詳細に決めるというところまで至つておりません。
#54
○田村文吉君 管理、監督ということになりますると、非常に実に廣範囲になりまするので、或る程度まで……この程度という例示を御研究になつて御説明を頂くということにならないと、一体どこまで入るのか、管理、監督ということになりますと非常に範囲が廣いのでありますが、何かそれでも基本的に分類のできるような法則ができておれば結構ですが。
#55
○説明員(和田勝美君) 御説明申上げます。管理、監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者の範囲につきましては、御指摘の通り概念が非常に廣うございますので、確かに法案御審議の上に種々御支障があることと存じます。併しここに特に第四條の第二項におきまして、政令で定めるとして、一方に定めるようにしておりますが、これは現在國鉄及び專賣におきまして、労働協約等で組合加入の範囲をば相当明確にしておる部面等があるわけでございます。それらをば参考にいたしますと同時に、公共企業体自身として考えねばならないような点をば加味いたしまして、政令で定める。そういう点につきましては折角努力を重ねておる次第であります。ただ、具体的に申上げますと、この前労政局長の方から御説明をいたしましたように、大体本省、それから局等の課長は勿論管理というような地位に入る、それ以上の者は監督の地位に入る。現在一應爭点になつておりますのは、國鉄におきましては駅長のところでございます。駅長及び保線区の区長、そういつたところが問題になつておりますが、これは國鉄の組合に例を取りますと、從來組合に入つたり、或いは組合から出たりしておるわけであります。現在におきましても、駅長のうち組合員でない駅長もございますれば、組合員である駅長もあるというようになつておりますので、それらをどういうように調整するかという点が今一番研究されねばならないところだと思います。でございますから、課長以上の者は大体この管理。監督の地位にある者に該当するというように御理解願えれば、とかように思います。
#56
○田村文吉君 今のお話は課長以上ということになりますが、課によつても非常に大きいところの課があり、係長でも非常に多い人を使つて指揮監督をしているという場合があるのでありますので、在來はややもすれば組合側と折衝の場合に、組合の大きな勢力に押されて、不公正な入るべからざる人が入つているというような場合もあつたろうと思います。さような場合があるのでありますから、今度お決めになるならば、倫理的に、管理監督の地位にある者は入らないなら入らないということをはつきりとされなければならないと思う。これはなぜ私がこの問題を言うかというと、これはひとり公共企業体だけの問題でありませんので、労働組合法における用語も非常に曖昧なんです。各地の労働委員会で常にこの問題が取上げられて、非常に困つているのでありますから、こういう機会にはつきり一つ管理、監督ということはどういう地位まで及ぼすのか。例えばアメリカのごときは、いわゆる職長は相当大きな権限を持つておりますが、職長は組合に入つておらないということもあるのでありますので、若しこれをお決めになるとするならば、これが手本になるのでありますから、余程愼重になさらなければならない。その意味で希くば大体どういう程度までお入れになるのかお分りになつたら御通知を願いたいとこう思うのです。今お分りになつておりませんければ止むを得ませんから、そのままで審議を続けます。
#57
○原虎一君 関連して……。專賣の、例えば煙草の專賣局で、職長も組長も或る意味においては管理、監督、そういう具体的な問題になつて來たら、これらはどちらに属するか……。
#58
○政府委員(竹下豐次君) 職長、組長とかいうところまではこの管理、監督の地位にあるといううちに包含させない方がよかろうという程度に今考えております。
#59
○委員長(山田節男君) 私からちよつと……。今の御説明は、先程田村委員からの御質問もありましたが、やはり管理、監督の地位にある職長は勿論これはその管理、監督であると言えるのでありますが、更に嚴密に言えば、門衛だとか守衛、これは少くとも監督の地位にある。いわゆる雇傭主の利益を代表する者というので、守衛門衛でもアメリカでは労働組合に入れない。そういうような点から、管理、監督の定義をはつきりしないと非常に私は濫用される虞れがあり、又一方においては組合の経営参加についての相当爭論の焦点になりはしないかというような私は疑を持つております。この点を政府はもつとはつきりしてやらないと、駅長、区長ばかりでなく、監督の地位にあると言えば、守衛、門衛でもこれは嚴密に言えば入れるべきなんである。現にアメリカでは入れている。こういう点は一つ、はつきりして貰わないと非常な困難を生ずるのではないか、こういうように考えております。
#60
○政府委員(竹下豐次君) 守衛の御質問が出ましたが、只今のところ政府の方で考えておりまするところは、まあ幾らか部下を使つて、そうして働いておる地位にあるものということを目指しておるのでありまして、只今考えておりますところでは、自分だけ働いている守衛というものはこの但書の中には入れない方がよかろうというぐらいの程度で考えております。尚先程田村委員から御指摘の点で、この規定によつてその範囲がはつきりするかしないかということは、民間の企業にも影響することで、非常に大事なことであるからはつきりするように、という御注意がございました。御尤のことだと思つております。政令を制定いたしまする時には、特にそういう点は考慮をいたしましで、不明確であるがために余計な紛爭を起すというようなことのないように十分氣を付けたいと思つております。
#61
○田村文吉君 丁度守衛のお話が出ましたが、このように爭議権のない守衛というものは、大して必要ありませんが、各工場間の協約によりますと、守衛を入れている所もあり、入れていない所もある。中に変則的に爭議の場合には中立を守るというようなわけで、それは爭議が始まると、守衛が組合員になりますと、工場を守る人がいないのであります。又早い話がストライキをやつてしまつたときには、工場は誰が出入しようが、何を持つて行こうが分らない。或いは又組合側の爭議部に入りますと、会社側が入場する場合は拒む。かようなことで守衛というものは非常に重大な役目を持つておるのでありまするので、今爭議権のない公共企業体はさような場合には守衛さんはどうでもいいかもしれませんが、これはとにかく手本にもなりますから、余程その点は愼重にお考えになつてよく練らないと、在来の惰性でそのままでものをお考えになつて御決定になると、取返しのつかないことになると思う。その意味において余程愼重にお考えにならなければならない。で今もお話のありましたように管理、監督という言葉が使つてある限りにおいては、或る程度まで管理、監督ということが理論的にはつきり明示されて行かないと今後困るだろう。こういうわけなんであります。
#62
○説明員(和田勝美君) 今守衛のことが問題になつておりましたが、実は法案の作成の当初におきまして、守衛の問題が出まして、一事守衛をば加入し得ないというようなことに事務案で考えられたことがあつた人ですが、今田村委員が御指摘になりましたように、この公共企業体の職員は爭議行爲ができませんので、そういうものをば特に除く必要がないというような結論に達しましたのであります。一般の組合につきましては確かにそういう点でいろいろ不便な点があろうと思うわけでございます。アメリカ等におきましても、守衛というような職務にある者は、普通の職員の組合でなくて別個に組合を結成させるようになつておるので、その点等を勘案いたしましてよく研究いたしたいと思つております。
#63
○委員長(山田節男君) それから第四條はこの間の政府委員の説明によるとオープン・シヨップ・システムを採用したのだ、こういうことを言つております。オープン・シヨップ・システムというのは、これは私は草案を作る場合に非常に誤解されていると思う。オープン・シヨップというのは、これはアメリカでも古くから経驗していて、一面においてはいわゆる労働の組織化を排撃する。これは主として向うの資本家側が採つたオープン・シヨップである。労働組合の團体が強くなるとユニオン・シヨップ、クローズト・シヨップになる。殊にオーブン・シヨップの場合は組合を作ればクローズト・シヨップになり易い。そこで今までオープン・シヨップで行つたものがユニオン・シヨップとか、ちよつと日本訳を知りませんが、メインテナンス・オブ・メンバーシヨップとか、いろいろなものが工夫される。政府はこの第四條でオープン・シヨップ・システムというようなことで、極めて一面において曖昧なオープン・シヨップ・システムというようにやつているのじやないかと、こういうふうに思うのですが、この点は立案当時考慮されたか、その間の事情を御説明願いたいと思います。
#64
○説明員(和田勝美君) 第四條のオープン・ショップに関します委員長の御質問でありますが、オープン・シヨップ制をここに採りましたのは、先日労政局長から御説明申上げた通りであります。委員長が今お話になりましたように、組合の実力は、現在の國鉄の労働組合におきまするように実質的に一つしがなくて、それは全部の組合員を包含している。それが使用者側とユニオン・シヨップを結ぶのでなくても、組合の実力がそうなつておりますれば、実際上の効果からいえばユニオンと変りはないのであります。立案の途上におきましては、その両方の考慮をいたしたわけでありますが、法律で以てはやはり公共企業体の性格から一應オープン・シヨップ制を探る。実体がユニオン・シヨップと変りがないということになるということは、組合員の意思等によつて変つて來るのでありまして、それはそこまで干與する必要はないと、そう考えたわけであります。
#65
○委員長(山田節男君) そうするとクローズト・シヨップになつてもいいわけですか。
#66
○説明員(和田勝美君) 普通シヨップ制は協約として結ばれたことを言つていると解釈しておりますので、協約上の問題としてユニオン・シヨップ、クローズト・シヨップは探ることはできない。ただ実際的にそういうことになり得る可能性もあるではないかと、かように考えております。
#67
○田村文吉君 第五條について伺いたい。第五條の「職員として雇い入れず、又は不利益な取扱をなし、若しくは解雇してはならない。職員は組合に加入しなかつたことをもつていかなる不利益な取扱も受けない。」これは分るのであります。ただ「職員として雇い入れず、」、どういうわけでこういう文句を入れなければならないか。職員として入れないということは雇主の自由でありまして、入つてからの不利益の待遇ということはできませんが、又解雇するということもできないことは分つておりますが、「雇い入れず」ということを何が故にこんなところに規定しなければならないのでありますか。
#68
○説明員(和田勝美君) 御説明申上げます。「雇い入れず」という点は、ここに特に入つておりますのは、確かに五條全体から申しますと、一應入つてからのことが書いてあるように思いますが、これは組合のために活動をしている者は職員に入れると後が困るというような点等が公共企業体で万一でも考慮されて、組合員が雇い入れられないということのないように、それは当然の組合運動を助長することが望ましいのであります。そういうものに差別待遇をしないと意味で、特にここに書いたわけであります。
#69
○田村文吉君 そうすると雇主は、雇入れるか雇入れないかは自由なあれを持つておるのに、こういうことのために雇入れないということはいけないんだということを法律で決められることは、雇主の自由の権利を束縛しておることにもなるのでありまして、これはアメリカのようなところで、例えば、AFL・CIOですか、ああいうような團体に入つておるとかいうことで以て雇入れてはいけないというような場合は分るのですが、日本の現在の組合の情勢からいつて、組合に入つておるから雇入れないというようなことをこの際に法律に入れるということは非常におかしいのですがね。
#70
○説明員(和田勝美君) 御説明申上げます。今の点は、御指摘の点もあるのでございますが、例えば現在の労働組合の第十一條におきましても、雇用條件について一應の制限が加えられておるのであります。それは組合をば健全に育成して行きたい、使用者側の勢力によつて組合が歪曲されないようにしたいという配慮が勿論加わつておるわけでありまして、それらと照應いたしましてここに入れた次第でございます。それで雇入れの自由は勿論使用者側、公共企業体側が持つておるわけでありますが、その自由に対してこういうように一應の枠が加わる、それは当然組合が健全な発達をするために必要であるからそういう枠も加わつたというように御理解願いたいと思います。
#71
○田村文吉君 どうも御説明では失礼ですがさつぱり分らないのですが、雇入れる入れないは自由の権利になつておりますのに、そういう特に制限を加えるという必要がどこにあるのか。差別待遇しないとかいうようなことについては分つておりますよ。その理論は分つておるが、それは不利益な取扱をしたり、或いは解雇するとかいうようなことをしてはならないといふことは組合法にもありますので分つておりますが、雇入れをするということについてまず何の必要があつて入れなければならんか。將來のことですからね、それでお伺いするのです。
#72
○説明員(和田勝美君) その点は、組合法の第十一條の第二項に、雇用條件について制限があり、これは將來の問題についてもやはり規定があるわけでございます。要するにイエロー・ドッグ・コントラクトと申しますか、組合に加入しない、或いは組合活動をしないというような雇用條件をば付することを、組合法の第十一條は禁止しておりますが、それも同じく將來の問題について雇主の契約條件に一定の制限が加わつておりまして、それと符合を合せるものと考えております。
#73
○田村文吉君 そういうことで議論するのは余りあれですが、十一條のあれは全然違います。將來こういうことをしてはならないという條件を付けて雇入れるということはいけないということなんでありまして、元組合に入つておる者であつたからといつて雇わないということは許さんぞ、というようなことの法律をここで決めるということはおかしいと思います。これは明日でも結構ですが、どういうわけで入れなければならないのか、何か外に御意味があるのかどうか、お知らせを頂きたいと思います。
#74
○原虎一君 それと関連するところもあると思うのですが、第四條の三項ですね。「公共企業体の職員でなければ、その公共企業体の職員の組合員又役員となることができない。」これは何故こうしなければならんかということと、それから事務專從者は休職の形において労働組合の活動をやるわけです。その人間を今度職員に戻す、こういうような場合に、今田村委員が買われた、組合活動をしたという理由で雇わないということがあつてはならないというふうに私は解釈しておりますが、この点はどうなんですか。
#75
○説明員(和田勝美君) 第四條第三項につきましては、先日労政局長から御説明申上げましたが、第七條の專從職員につきましては、これは身分はどこまでも公共企業体の職員としての身分をば存続しておりますので、第五條の「職員として雇い入れず」というところには当らないかと考えております。
#76
○原虎一君 この第四條の三項の、組合員の資格制限をしておるということは、この間の労政局長の説明では不十分だと思います。というのは、こういう問題が起きて來るのです。職務規程による違反者として当局者がこれを処分した場合、これは繋爭中であつても一方的にいえばもう職員でない。そうするとこれは、この規定から行きますと組合員でなくなります。そういう場合には、当局は組合員でないというこまでも考慮されてお決めになつておるのですか、現にそういう問題が起きております。
#77
○説明員(和田勝美君) 御説明申上げます。今原委員から御指摘になりました点は、確かに現在出ておる状況でありますが、その点につきましては、五條に該当する違反行爲であるということになりますと、三十六條によりまして、仲裁委員会がその行爲の取消を命ずることができるわけでありまして、取消されれば本來その職員は職員としての身分を保有しておるということになります。
#78
○原虎一君 その取消されればということですが、一方的行爲において当局が処分した場合においては、組合員でないという解釈で当局が当るために、この第三項はそういう解釈ができるんじやないかということを申上げたのであります。
#79
○説明員(和田勝美君) ちよつと恐れ入りますが、もう一回おつしやつて頂きたいと思います。
#80
○原虎一君 簡單に言えば、鉄道当局の一方的処分によつて組合員というものは資格を失うことが現れて來るのではないかというわけです。
#81
○説明員(和田勝美君) その点につきましては、國有鉄道法及び專賣公社法に、それぞれ免職の場合の制限規定が入つております。それを具体的にどういうふうに適用するかは、第八條の第五号によりまして、どういう場合に免職されるかという基準につきましては、團体交渉によつて明確されるわけであります。若しその基準に從いまして公共企業体が免職をいたしますれば、五條違反が成立しない限り当然職員でなくなりますので、第四條の第三項によりまして、当然組合員でなくなるわけでございます。
#82
○原虎一君 そこのところはちよつと私理解いたしかねるところでありますが、それはそれとしまして、こういう制限をなぜしたか、そうしてこの組合加入の制限は組合法の精神を汲んで來なければならないので、現行労働組合法の精神をここで非常に制限して來るわけです。そういうことは非常な至当性がなければならん、事情がなければならん。これが明らかにしてなければ、こういうことは一般民間労働組合にも、この法律は、事業主側が心配する惡影響、労働組合側から見る惡影響が起るわけであります。何故にこうしなければならんかということがもつと明らかにならなければならん。これはあなたよりかむしろ労政局長なり労働大臣なりが明らかにして、公共企業体なるが故になぜこうしなければならんか、現行労働組合法の精神からいつて非常な制限を加えるということです。これは私に言わしむれば、原則としては労働組合員自身の自主性に委すべきものだ、これを法律によつてこう制限している。職員以外の者は一人も入れられない。例えばお名前を指してはなんですけれども、竹下労働次官が非常に組合から尊敬されていて、役員になつて貰おうとしてもこれはできない。鉄道職員でなければこれはできない。そういうことをなぜしなければならんか、ということは、労働組合の自主性を非常に制限する。外部からの役員を入れるか入れんかということ、役員なり組合員にするかせんかということは、労働組合自身が決定すべきもので、こういうことを法律で制限するということは、先程田村委員からも言われましたように、労働組合のために活動をした者を職員として雇い入れないということは、政府としてできないという條文を入れるのは理解できんというのと逆に、根本的な問題をここで制限するのは、これは民間に及ぼす影響が公共企業体にもこれがあるのだから、民間にもそういうことが強く言われるということは必ず起つて來るわけです。そうすると労働組合の自主の原則というものが、組合自身が決定する自由の権利というものが拘束されて行くわけです。これは明らかにして置かんと弊害が起きて來る。
#83
○説明員(和田勝美君) この点は今原委員から御指摘になりましたように、確かに大臣からお答えになるのが正当かと存じますので、若し一應の説明としてでもいいというならばお答えいたしますが、問題が非常に基本的なことになると思いますので、差控えたいと思います。
#84
○原虎一君 よろしうございます。
#85
○委員長(山田節男君) 私からひとつ、第五條の只今田村委員の指摘された職員として雇い入れるという、職員の定義は第二條の第二項にあつて「常時公共企業体に勤務して一定の報酬を受ける者であつて、役員及び二箇月以上の期間を定めて雇用される者」……そうすると今の通念からいうと、職員を雇い入れるということは、すでに文句としてはおかしな法文になるのであります。ところが第四條で「管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者は、組合を結成し又はこれに加入することができない。」こういうように職員という言葉は非常に異例な使い方をしてある。これは法案ですが、若し國有鉄道等の場合にこれを考えた場合、管理又は監督の地位にある者は勿論組合法による組合員にはなれない、加入ができない。併し御承知のように、殊に國有鉄道の場合には技術家が非常に多い。例えば電氣、建築、それから通信、こういうようなものが労働組合法による組合ではないが、一つの連合会、自由職業家としてのアソシエーションを結成し、或いは加入することは、これは何ら制限されておらん。その結果においては労働條件の維持改善ということになつても、これは構わないわけですか。
#86
○説明員(和田勝美君) 五條に職員として雇い入れると申しますのは職員の定義が委員長から御指摘になりましたように第二條の第二項にあるわけでございまして、職員以外の職員に就いていろいろの活動をいたしますことについては、勿論この法案の中に触れておるところではございません。
#87
○原虎一君 午後一時から又人事委員会が開かれるのでありますが、食事の時間も必要ですが、どうでございますか。もうこの二章が大体終りましたら、二章だけで今日は打切つて頂きたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#88
○委員長(山田節男君) そういたしますとこの二章の四條、五條、六條、七條に亘りまして質疑御意見ございませんでしようか……ではないようでありまするから、本日は第二章までにして置きまして、次回は第三章より入ることにいたします。
#89
○村尾重雄君 七條で一言伺いたい。專從員の一定数を限りという「一定数」とありますが、これはやはり團体交渉の範囲に入つて定められることになるのでしようね。どう解釈するのですか。
#90
○説明員(和田勝美君) 七條は「公共企業体は、その定める一定数を限り、」ということにいたしておりまして、第八條の團体交渉の範囲を列挙いたしました中に專從職員に関する事項がございませんので、これは團体交渉として決められるのではなくして、公共企業体がそれ自体において定めることができることになつております。
#91
○委員長(山田節男君) それではこれを以て今日の労働委員会を散会いたします。
   午後零時二十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           平野善治郎君
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           竹下 豐次君
           田村 文吉君
           水橋 藤作君
   常任委員会専門
   員       柴田 義彦君
  政府委員
   労働政務次官  竹下 豐次君
   労働事務官
   (労働基準局
   長)      寺本 広作君
   労働事務官   和田 勝美君
ソース: 国立国会図書館
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