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1948/11/29 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第10号
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1948/11/29 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第10号

#1
第003回国会 労働委員会 第10号
昭和二十三年十一月二十九日(月曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体労働関係法案(内閣送
 付)
  ―――――――――――――
   午前十一時二十五分開会
#2
○委員長(山田節男君) それでは只今から昨日に引続きまして、公共企業体労働関係法案の逐條審議、質疑を開始いたします。昨日は第二章まで参りましたので、本日は第三章第八條から始めたいと思います。まず最初に第三章の八條から十六條まで範囲を限りまして、質疑いたすことといたします。
#3
○原虎一君 第八條の團体協約……、これに関し労働協約を締結することを妨げないの一、二、三ずつとありますが、元の、修正前の八号にあります厚生基金の使用というのを消したわけですね。
#4
○政府委員(賀來才二郎君) これは現在國鉄にも專賣局にもそういうものがないのだそうでありますので、これを削除いたしたのであります。
   〔委員長退席、理事平野善治郎君委員長席に著く〕
#5
○原虎一君 現在なくても將來を想像することができるのですが、それは消したことによつて將來もそういうことができないということにはならないですか。
#6
○政府委員(賀來才二郎君) そういうような意味ではないのでありまして、この原案に厚生基金と入れましたときの考え方と申しますか、これには將來かようなものもあるであろうというようなことも含まれておつたのであります。併しながら現在共済組合に関する問題もありまするし、厚生基金というような考え方自体は、將來もないであろうという予測はいたしたのであります。若しあつた場合どうするか、これは勿論労働條件にも関係いたすことでありまするし、この法案の第一項、第二項の前文等から見まして、当然入る。現在ないものを入れることについては、如何かというので削除いたしたわけでありまして、將來もこれをなくする、又そういうことがあり得ないであろう、すべきでないという考えを持つていないのであります。

#7
○原虎一君 それから十一條の「公共企業体の職員を代表する主たる組合は、組合員以外の職員の代表者と協議して、この場合ですね、組合員以外の職員の代表者とは如何なるものか。その代表者はどういう形のものを代表者と認めるのか。この点御説明願いたい。
#8
○政府委員(賀來才二郎君) これはこの公共企業体の労働組合は、オープンシヨツプ制をとつておるわけであります。現在のこの公共企業体の労働組合は、國鉄及び專賣局でありまして單一の組合でありまして、これが將來割れるであろうというふうなことを予測したのではありませんが、しかしオープンシヨツプ制をとつておりまする建前からいたしまして、若し主たる組合の外に組合でもありました場合、或いは組合に入らない者ができました場合に、これらの労働者一人々々の意向もやはり反映しなければならない。併しながらそれはばらばらで團体交渉は許されませんし、又團体協約も労働組合のみ許されておるわけであります。そこで民主主義に基きまする多数決の原理を適用いたしまして、主たる組合が主になつて、その代表選出についてはリードをしてゆくように……。つきましてはこれらの主たる組合以外の組合という場合には、一つは、二つ三つの組合がある場合を考えます。それから一つは、二つ三つの組合、或いは組合員でないばらばらのものがあります。このばらばらのものにつきましてはどうするか。又二つ三つの組合があります場合にはどうするか。これは主たる組合が主導権をとりまして、他の組合と話合をして行く、ばらばらの場合には、これは何とかばらばらのものを協議体と申しますか、さような意味で扱つていかなければならないだろうと思うのであります。ところでさようなことになりますると、なかなか代表選出についていろいろ問題が起つて参ります。特に使用者側がさような状態を招來するような、傾向がありました場合には、いろんな……。又アメリカ等におきましては承りますと、使用者側はさような状態に持つて行こうとする傾向が、非常に強いのだそうでありまして、さような場合にはどうするかという問題を解決いたしますために、特別な事情ということを入れまして、その時には労働大臣が、即ち國が関與いたしまして、一般投票その他の方法によりまして、代表を選出させる方法を、ここに規定いたしておる次第であります。
#9
○原虎一君 例えば千人のところを、極端に言えば百人の組合員しかない組合よりないと、そうすると、あと九百名は無組織である。その代表者を選ぶことを政府は干渉してやらせる。その代表者はそういう形において選ばれる。それが團体交渉の交渉委員になり得る、こういう形になるわけですか。
#10
○政府委員(賀來才二郎君) これも原さん御承知の通りでありまして、こういうことを申上げては失礼でありまするが、この法案によりまする公共企業体の労働組合は、労働組合法を適用されておりまするし、國体協約の点につきましても、十九條から二十三條は適用になつておるのであります。この公共企業体の労働組合の特徴は、團結権と團体交渉権を完全に持つておりまして、同時に團体協約を結ぶ権限を完全に保有せしめられておるのであります。そこで仮に只今御例示がありましたように一千人分中百人の組合員しかない、あとの九百八はばらばらであるという場合におきましても、この百人分組合のみが、團体協約を結ぶ力を持つておるわけであります。從いまして出て來ますところの代表は、或いは十人、まあ千人の場合に、百人について一名というようなことを仮に想定いたしますと、恐らく一人が組合から出まして、あとの九名は組合員外から出るだろうと思うのでありますが、さて團体交渉は一体となつてやることになるので、これが一体の、十人の交渉委員会のような形でやりましても、結論が出ました時には組合を組織しておる者のみが團体協約権を持つておるので、これは非常に力の強いものになるわけであります。さような場合は、実は極端な予想でありまして、我々はさような場合はあり得ないという予想は持つておるのでありますが、只今御例示がありましたので、その御例示の場合を申上げた次第であります。
#11
○原虎一君 これは現在においては、專賣にしても、國鉄にしてもオール組織になつておるから、そういう心配がないから簡單に考えられておるようですけれども、こういう点を獎励する形になることは、いわゆる組織を分離さす、或いは組織はなくてもいい、無組織を勧獎する結果を來す虞れがなしとしないのです。労働組合組織のあるものの代表が、即ち國体協約を結ぶのであつて、無組織のものの代表者を選んだ。丁度國会議員を選ぶ國民の権利はあるが、國会議員と政府とが團体協約を結ぶというのはおかしいのです。組織の代表者でない、選んだものであります。そうすると組織はなくても政府とは交渉はできる、代表者を選ぶ権利を持つておるのだから、組織はしなくてもいいのだという、無組織を獎励する結果を來すという虞れが多分にある。こういう点についてどうお考えになりますか。
#12
○政府委員(賀來才二郎君) 実はこれはもう原さんに議論申し上げる意味は全然ないのでありますが、一應申させて頂きますと、二つの点でご説明を申上げたいと思います。
 一つはこれはやや議論に亙つて恐縮と存じますが、我々の考え方といたしましては、現在におきまして團体交渉と言いますか、交渉をする権利と言いますか、これは全労働者にやはり許されておるのであります。ただ個々の労働者の場合では力もありませず、從つて團結ということによつて、團体行動を行う権利が保障せられておるわけであります。法文の建前といたしまして團体を組織しておるもののみに團体交渉権を許して、その他には團体交渉権と言いますか、團体の代表を出しまして、そうして自己の意思の表現を行うような権利がないような制限をすることは、これは適当ではないと考えまして、これらのばらばらの労働者といえども、何らかの方法を以て、而も民主的な方法がありますならば、或いは公正なる方法がありますならば、それから代表を選ばせまして、そうして交渉する権利を與えるということは必要であろう、かような考え方が含まれておるのであります。
 第二は、実は我々の見とおしといたしましては、原さんの御心配なり、御懸念は御尤もと思います。殊に現在の日本の労働者の現状を以ていたしますと、特に御懸念は御尤もと思いまするし、又過去の日本の労働組合の状態なり、それにつきまして、長年御指導の立場にあられました原さんといたしまして、さような御懸念をお持ちになることは、勿論御尤もと思いますが、実は最近の現状から見ましても、組合があつたものが、これが使用者の干渉なり或いは圧迫によりまして、二つになり、三つになる。それらの二つなり、三つなりがばらばらで、おのおの使用者と交渉いたしますと、組合は非常に力の弱いものになるのであります。かような場合があつてはならないというので、この法案におきましては、特に第三章におきましては、さようなばらばら交渉ができないように、各々交渉委員が出ましても、これは一体となつて、團体交渉に当るということにいたしまして、これを組合の力をばらばらにして弱めるようなことを防ぐという、建前を採つておるのであります。オープン・シヨツプ制を採つております以上、やはり何らかさような形におきまして、労働者の力が全体として結集する方法を採らなければならない、かようなことによりまして、我々の見透しといたしましては、ばらばら策戰に対しまする、これは保護の方法を考えておるのだ、かような考え方をいたしておりますので、その点御了承を願いたいと思います。
#13
○原虎一君 これは非常に大事な問題であります。実際問題といたしまして……。第二の解釈は、これは正しいと思うのであります。要するに千人の所へ百人の組合、二百人の組合、五百人の組合、これがばらばらに交渉するということは、交渉の相手方ともにこれは時間的な損失もありますし、労働者側から言えば、使用者側から利用され、又はうまく操られるという隙を與えることになるのでありますが、これは分りますが、憲法のこの二十八條に基く「勤労者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利は、「これを保障する」という点から考えて、この憲法の條章から承けて來ても、ばらばらにあるものを、代表者を選ぶという権利を認めることは差支えないのであります。併しそれが團体交渉だということにはならないのであります。逆に今度使用者側から考えても、代表者を選んだものとの交渉はするが、その組織がないのでありますから、代表者が責任を持つてその実行に当るということにはならない。そういうことを認めるために、組織團体行動というものを、憲法が保障して、團結の権利、即ち組織するということと、その組織の上に立つ團体交渉というものが、私は憲法の二十八條の精神じやないかと思う。代表者を選挙するという権利は團体交渉権じやない、それから行きますと、貴方の考は成る程代表者を選挙して、その代表者が政府との折衝を計るという権利は成る程オープン・シヨツプだから自由に認めてやるのだというお考え方は、何か非常に公平なようでありますけれども、組織を持つことと、團結することと、その團結した上で、やはり代表者を選んで交渉するということは、これは憲法の二十八條の精神とは凡そ遠い。或る意味では反するのじやないか。從業員をばらばらにして置いてもいいのだという、獎励になることであります。このことを私は申しましたので、第二の貴方の御意見の方は、私も同様に賛成できますが、團体交渉権というものは、局長が言われるようなものでないと思います。政府というものは、労働組合法というものの精神をお考えになつて、この法案は労働組合法の精神を承けておるのでありますから、労働組合は日本民主化の基礎、基盤たるための労働者組織という大きな役割を、これは法の上で、立法の精神の上に盛られておるのです。それを承けて來た法律である以上は、このばらばらになるということは、何か公平に見て、そう獎励しなければならないという結果が來るような扱い方はよくない。これは明かに一つお考えを願いたい。だから、極端に言いますれば、千名の中の百名が團体組織をして交渉をする。それと協約を結ぶことは團体協約であります。その協約が全般に及ぶかどうかということは、それは私は疑問でありますけれども、異論がいろいろありましようけれども、團体協約を結ぶ、それを獎励するという、それを承けて來た法律である以上は、ばらばらになるということを何か、公平に見てそう獎励しなければならんような結果が來るような扱い方は、私はよくない。精神から言いますれば、どうもこれは余りに公平ぶるために、逆に組織を壊すという、組織することを獎励しない結果を來す。逆に壊す結果になるという精神を含んでおる。でありますから、これは分裂政策法だというところが出て來るのであります。その分裂政策法であるというものを、理論的に論駁されて、私の承服するものを持つておられればいいのでありますが、それがないとするならば、甚だ遺憾であります。
#14
○政府委員(賀來才二郎君) どうも私は理論的には下手なんでありまして、原さんに御納得を願えるような理論は到底できないと思うので、これはもう一つ兜を脱がして頂きますが、ただまあ憲法論は別といたしまして、我々事務当局といたしまして考えましたことは、全体といたしましては先程の第二の理屈で申し上げましたように、何とかしてこのオープン・シヨツプ制を採つており團結の自由というものを、完全に認めておりまする関係から、その方面に、先程申し上げましたように、現在の日本の労働組合或いは労働者の現状では、ああいうふうな方法を採つて参りますと、ばらばら作戰に引つ掛かる惧れもある。從つてこの法案全体といたしましては、これを防止するの方法を採らなければならない、かような考え方で全体の構想を作つておるのでありますが、我々としましては、労働組合法によりますところの團結、即ち組合というものが主として、この公共企業体の労働組合におきましても、活動をいたしましようし、又全体がそれで支配せられるようになるだろう、かように思うのでありますが、労働者の一人々々の不平不満を表現するの方法を講じ、一人々々、全部の労働者が不平不満なく、この業務の正常なる運営に積極的に参加して、そうして経済生活の向上を図つて貰うというためには、それらの人の声も聽くような方法を講じなければならないと思う。ただその労働組合法による組合員のみに、これをこの法律によつて限定するということは適当でないのではないかと思う。ただ併しながら先程申しますように、ばらばらを獎励するというようなことになることは、絶対に避くべきでありまして、又先程來申しますように、それを避ける全体の構想を持つておるのであります。從いまして決して分裂を策するような意図を、この法案に藏しておるのではないということは、一つ御了承をお願いする以外にありません。宜しく……。
#15
○原虎一君 甚だこれは、私くどく申し上げますが、この十一條が現在適用されますと、國鉄と全逓直ちに惡影響がある、こういうことは考えません。現在もう組織がオール組織になつておるのであります。併し今局長が言われまする一人々々の不平を反映さすことを考えますことが政府は正しいのだ、こういう考え方、而もそれを労働者がお考えになるということは、私は納得行かない。それならば労働組合法というものは、私は組織せざるものに自由を與えるための労働組合法に、何か限られたという結論が生れて來やしないかと思う。組織せざるものの労働組合の組織を獎励して、そして一人々々の不平を反映するということは何か公平のように思われますが、一方に組織を獎励する。組織を励めて行くという立場からいいますれば、一人々々の不平を反映さすための選挙制度というものは、一歩前進かも知れませんが、労働組合よりは非常に幼稚なものである。組織に入るということは、命令をしないけれども、入ることが事業運営にも必要であり、便宜であり、労働者一人一人の不平が出るということが、選挙をして代表者を選んで交渉するよりは、組織を持つておるということが先決條件である。組織なくして一人々々で選んだ代表者、交渉委員を選んで、交渉すれば、それも一つよいのだ、という考え方は、これは労働組合法の精神の後退だと私は考える。こういうことを私は心配いたして申上げたのであつて、この程度にいたしておきます。
#16
○理事(平野善治郎君) 外に第三章でございませんか。それでは三章は終りまして、四章に関する質疑を願いたいと思います。
#17
○原虎一君 四章の爭議行爲の禁止、第十七條に「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行爲をすることはできない。」と「その他業務の正常な運営を阻害する」というこの問題でありますが、この「その他業務の正常な運営を阻害する行爲」という、一切の行爲ということになつておりますが、この問題の認定はどういう形においてなされるか。こういうことです、これをお聞きします。
#18
○政府委員(賀來才二郎君) ここで申しますところの正常な運営の阻害行爲と申しますのは、爭議行爲として行う場合を考えておるのであります。その例示といたしまして、同盟罷業、怠業の如く爭議行爲としての代表的なものを掲げておる点を見てもさような御解釈を願いたいと思うのであります。その正常と申しますのは、例えば國有鉄道が普通のダイヤで列車の運行をしておりましても、それが総裁又はその他の業務執行者の指揮を排除して行うという場合は、正常な運営とはいえないのであります。併し全体といたしましては、労働組合法で理解されておりますように、爭議行爲として行われる場合、こういうことを考えておるのであります。
#19
○原虎一君 この爭議行爲の場合におけるときは、爭議行爲の定義があるわけであります。労働組合法によりまして……。ところが、「その他正常な運営を阻害する」ということは、必ずしも爭議行爲とは解釈されない。爭議行爲は現に労調法、労組法によります定義がおのずと決まつておるわけでありますから、ここで私は「その他業務の正常な運営を阻害する行爲」という問題を何処で認定し、どの範囲のものであるかをいうことを一應限定する必要があると思います。
#20
○政府委員(賀來才二郎君) これは重ねて申して恐縮でありまするが、殊に原さんを捉えて尚失礼でありますが、我々の考えております爭議行爲というのは、要求を出しておるということが一つ、それから集團的に團体行動として行われること、それから第三は正常なる業務の運営を阻害する場合、この三つの用件を持つておりますものが、爭議行爲だという考え方で今日まで進んで参つておるのであります。從いましてここには例示をいたしておりまして「その他」と入れて非常に範囲が廣く見えますが、先程ちよつと申しましたように、正常な運営をやつておるように見えましても、それが総裁又はその他の業務執行者の指揮を排除して、而も集團的に要求を貫徹するために正常なる業務の運営を阻害する。かような爭議行爲をここで予定をいたしておるのであります。で個々の山猫的な爭議行爲というようなものは、これは爭議行爲とは考えていないのであります。ただこれが如何なるものであつたかという、これを決定いたしますのは、これは一應この法案におきましては、やはり裁判所でやることを考えられておるのでありますが、仲裁委員会におきまして、これに基いて措置をいたしました場合の取消しは、直ちにできることを予定いたしております。
#21
○原虎一君 十七條は一應この程度にいたして置きます。
#22
○理事(平野善治郎君) 他に第四章について御質問はございませんか。
#23
○一松政二君 ちよつと政府委員にお尋ねいたしますが、今の十七條の爭議行爲に限るというように、ちよつと聞えたのでありますが、爭議行爲それ自身が、果たして爭議行爲に該当するや否や非常に疑問な点が沢山あるし、又そういう隙を狙つていろいろな行爲が行われておるのが、日常見るところであると私は思うのであります。でありまするからこの法文の條文からするというと、結局その業務の正常なる運営を阻害する行爲というのは、爭議行爲の中に入ると断定できないのではないか、この点はつきりして頂きたいと思います。目的が、業務の正常なる運営が阻害される場合には爭議行爲であるか否か、判定がむずかしくても正常なる運営ができないということが、この法文の取締の要点になるのじやないか。その辺はつきりして置く必要があると思いますが、如何ですか。
#24
○政府委員(賀來才二郎君) この点を明確に書きますと、非常に労働者も使用者も助かるのでありまして、爭議行爲の限界というものは、何処にあるかということがはつきりしますと、却つて労資の関係が安定するのであります。御意見のように今日労働組合法におきましてはその点が……、或いは労調法におきましてもその一点が明確を欠いておりますために、労働者が余計にいろいろなことで馘になつて見ましたり、処分にあつたりいたしておりますし、又使用者側といたしましては非常に迷惑しておる。そこでこれを具体的に明確に現わして行きますと、今度は又別個の弊害が出て参りまして、いわゆる何と申しますか、法文の末の方に拘わつて、いやいいのだ悪いのだということになるわけであります。從つて現在の行方といたしましては、取敢ずはこの公共企業体労働関係法におきましては、取敢えず三十六條において仲裁委員会がそれぞれの一應の取消処分はやりますが、最後は裁判所で、やつて頂く。現在組合法におきましても結局最後には裁判所の判定に俟つという態度を取つております。特にこの爭議行爲をやりますと、やはり人間の権利義務の関係にも非常に影響を及ぼして参りますので、やはりこれは裁判所の裁定に俟たなければならんじやないかという考え方を持つておるのであります。但し認定によりまして仲裁委員会が一應取消したりいたしますが、この「正常な」と見られますところの、爭議行爲でなくして、そうして業務の妨害をやるというものにつきましては、これは業務妨害罪でやることを考えておるわけではないのでありますから、その点は、判定は使用者側においてやりましようが、これは問題によりますと必ず紛議を來たして参ります。さような意味におきまして、これらの紛議を早急に片付けるという制度をこの企業体におきましては特別に取つておりますと共に、普通の労調法を適用せずして、特にここに労資の関係を速やかに公正に決めるという制度を持つておるのは、そういうところから出ておるのであります。
#25
○一松政二君 尚一應將來のために念を押して置きますが、結局今の爭議行爲の範囲が限定されておる。從つてこの正常なる運営を阻害するという場合に、それが爭議行爲であるや否やという制定をつかない儘、その問題はその問題として、ここに儘残して來ておる、あとは裁判所に委せる、そういうふうに了解して差支えないのですか。
#26
○政府委員(賀來才二郎君) 最後の決定は裁判所でいたすことになるということを予定いたしております。併しながら三十六條によりまして一應仲裁委員会が、この刑罰法規によるものでなくして、民事的な効力を持つたものといたしましての措置はやることにいたしておるわけであります。ただ併し問題といたしましては、恐らくさようなこの十七條に基きましてここまで行かないように運営することが、この法案の主たる目的であります。と申しますのは、現行の労働組合法におきましては、その調停、仲裁というものがスピーディにいきませんので、いろいろ問題を起すのでありまして、最後に裁判所に行きまして、最後の裁定が出ますのに、六ケ月、或いは長いのになりますと、六ケ月以上はかかつておりまして、現在最高裁判所の判決例というものは一つもないという状況でありますが、この公共企業体におきましては、さようなことがあつてはならないというので、この十七條に関連いたしましての処分というふうなことがないように、正常なる運営を阻害することがないように、例えば爭議行爲に出なければならないというふうな事情に立至らないように、第五章以下におきまして、いろいろな方法を講じておるわけであります。
#27
○原虎一君 十七條で他から質問が出ましたので、尚一つお聞きしたいと思いますが、局長の御説明によりますと、爭議行爲の禁止條項であります。そこで爭議行爲は労調法の第何條かの爭議行爲の定義で明かになります。それがここに來ておるという説明でありますが、ところがその終りに來まして、最後の方に「このような禁止された行爲を共謀し、そそのかし若しくはあおつてはならない。」これは非常にむつかしい問題だと思うのであります。こういう問題はやつてはならないというのであつて、やつたならばどうなるか、やつたということを、爭議行爲があつたということの認定は、やはり一方的に一應決めてそれに異議があつた場合に、仲裁にかける、こういうふうに解釈いたしたいと思いますが、その点を御説明願いたい。
#28
○政府委員(賀來才二郎君) この條文の、只今御質問の「共謀し、そそのかし若しくはあおつてはならない。」これは実はこの公共企業体の職員は準公務員であるという扱いをされる意味からいたしまして、公務員法にありまする、あの規定と似たような規定がここに入つておるわけであります。更に御質問の、これを誰が決めるかというのでありますが、最後は裁判所で決めると思いますけれども、やはり異議申立といいますか、一應は異議申立を予定いたしております。ただこの三十六條におきまして……、ちよつと先に行つて恐縮なのでありますが、関連いたしますから御覽願いたいと思うのでありますが、この仲裁委員会でありますが、この仲裁委員会は必らずしもかような行爲がありました時に、本人の申告がなければみすみすあつても手を出せないというふうな意向ではないのでありまして、仲裁委員会みずからこれは活動してやり得ることは、現行の労働組合法において労働委員会が十一條関係、四十條関係におきまして、みずから活動し得る趣旨と同じであります。
   〔理事平野善治郎君退席、委員長着席〕
#29
○原虎一君 前段は別といたしまして「このような禁止された行爲を共謀」、そそのかし若しくはあおつてはならない。」これに違反した場合には処罰を受けるということになりますと、非常に先程申しますように、労働者としては重要なものであり、この後段の條項というものをなぜ入れなければならないか。例えば一つの爭議行爲の相談をしたという、それ自体がいけないことになります。よいことではありませんけれども、それが行爲に移らない、相談をしたということが、行動に移らなかつた場合もそそのかしたかどうかということについては、これは非常に紙一重の問題で、判断しにくい。紙一重のような状態にある場合が多い。そういう非常に複雑な、而も判定に苦しむようなものを、なぜこれを入れなければならないかということ、この点を御説明願いたい。
#30
○政府委員(賀來才二郎君) 御尤もな御質問でありまして、この條項は解釈次第によりますと、或いは運用の仕方によりますと、相当人間の権利にも影響を及ぼして來るものであります。ただこれを入れましたのは、重ねて申上げて恐縮でありまするが、この公共企業体の職員は、公務員に準じて扱うべきものである。公共性において、さような建前をとりまして、この法案全体が考えられておるのであります。公務員法にかような規定がありますことがさような意味合においてここに入れられておる、かように御了解を願いたいと思います。
#31
○原虎一君 公務員法に準ずるという理由だけだということになりますと、これは公務員法に基づく労働者、公務員の待遇というものに対する政府の責任が生じておるわけであります。そういう点が、本法ではない。そうすれば國有鉄道法であるとか、專賣公社法の方に入つておるということになりましようか。
#32
○政府委員(賀來才二郎君) これには明確に出ておりませんが、我々の考え方といたしましては、公務員法において、身分の保障がついておりまするし、又その待遇においても、政府がこれを保障する責任を負つておるのでありますが、我々は、あの公務員の保障の程度よりも、この公共企業体の保障は、労働組合法を適用せられ、團結権を持ち、團体交渉権を完全に持つておるといろ点においては、却つて公務員よりも有利な生活條件が得られるのではないか、さように考えておるのであります。ただ團体交渉をやりました團体協約の効力の発生に関連いたしましては、これは次の章に入りまするが、國会の権限を拘束するものでないというふうな規定がありまする点で、公務員に近い制限にありますけれども、我我としましては、この公共企業体の職員の方が、公務員よりも有利な立場にある、かような考え方をいたしておるわけであります。
#33
○委員長(山田節男君) 今の十七條の……、原委員の質問されたことについてでありますが、この第十八條、いわゆる罰則としての、「法律によつて有する一切の権利を失い且つ解雇されるものとする。」これが一つの、第十七條の一項の罰則と了解するのでありますが、こういつたような公社の從業員として、今御説明になりましたが、労働組合に近い團体に準ずるものだということでありますが、この第十八條の規定以外に、これは公社ができて、公共企業体の中で特別の規則を設けて、例えば懲罰規定を設ければ、必ず十八條でやつた者は全部くびになつてしまう。こういう趣旨ではないのであると了解するのでありますが、その点明かにして頂きたい。
#34
○政府委員(賀來才二郎君) ここの十八條におきまして、この点に違反する職員は、「この法律によつて有する一切の権利を失い且つ解雇されるものとする。」と申しますのは、御質問のように、一應規定において、公共企業体に対しては、処分権を與えておるわけであります。併し與えておることは必ずしも、第十七條違反で全部戯れという規定ではないように解釈をいたしております。処置如何によりましては、公共企業体が團体協約に基きまして懲戒規定等を入れておりましたならば、それによつて処置もできましようし、更に又刑事政策的と申しますか、檢察政策的な意味ならば、全部をやらずしてその首謀者だけをやるというようなことも、制限はいたしていないように解釈をいたしたいと思つております。
#35
○委員長(山田節男君) そうすると労働組合法の第一條の第二項、即ち刑法第三十五條における規定ですね。いわゆる刑事性の訴却、これはとにかく第十七條では労働組合法に準ずるというが、併しパブリツク・コーポレーシヨンであるというそこに限界があるということは了承するのでありますが、この組合法の第一條第二項、これまでも無視してこの第十七條の「禁止された行爲を共謀し、そそのかし若しくはあおつてはならない。」これは今申上げたように、組合結成のための正当な行爲であつた場合にも、そういつたような労働組合法で保障されたようないわゆる刑法第三十五條、これを適用しないということは、これは公務員法に保障されていないように思うのでありますが、その関係はどうでありますか……。
#36
○政府委員(賀來才二郎君) 第三條にもありますように、組合法の第一條は全部適用されております。從いましてこれが一般法の立場を採るわけでありますが、この十七條との関係においては、もしこれの違反があつたことになると「正当な」範囲外となつて第一條の適用はないのでありますが、それ以外は第一條が生きておる、かように解釈いたします。ただもし組合を組織するためにかれこれしたというようなことは第五條によつて防止されるという積りでおります。
#37
○委員長(山田節男君) そうしますとすれば、いわゆる組合のこういう同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行爲、これはいわゆる何といいますか、ピケツチングの行爲も含むのですか。
#38
○政府委員(賀來才二郎君) 含むというわけであります。
#39
○委員長(山田節男君) 第四章の第十七條、第十八條にわたつて御質疑はございませんか……。では第五章に入ります。第五章は十九條から第二十五條まで御質疑を願います……。第二十條の全國鉄道労働関係調停委員会、專賣公社労働関係調停委員会のような全國的なものと、それから地方調停委員会との関係でありますが、これは過日政令の三百三十三号で中労委と地労委との関係、いわゆる中労委から勧告、報告を求める、それから爭議の場合には、中労委で扱つておるこれを或る場合においては、中労委において扱う、こういうようなものが出てくるのでございますが、この政令三百三十三号のような必要性が、この二十條の第二項において認められるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。
#40
○政府委員(賀來才二郎君) この中央と地方との関係は二十條の四項で示されておりますが、更に五項におきましても示されておる通り、労組法施行令第三十六條の改正の趣旨は、三十六條及びこの二十條の四五で大体示されておるのであります。即ちこの地方の調停委員会の独自性はそのままやはり尊重いたします。併しながら二審制を採つておりまして、地方で調停のできなかつたものを中央がこれを扱う、或いは二地区以上のものを扱う、中央調停委員会は、地方調停委員会の調停の独自性は勿論尊重するのでありますけれども、やはり國有鉄道或いは專賣公社といたしまして、地方的な問題と雖も全國的な視野において解決をされなければならん、又全國的な視野において考慮してこそ、早期合理的な解決ができるという場合におきましては、又そういうことがあり得るわけでありますので、そういう場合においては、地方調停委員会から報告を徴し、又その事務処理に関しまして必要なる指示を行うことができるということを入れておる次第であります。
#41
○委員長(山田節男君) そうすると今の政令第三百三十三号に準じて例えば全國調停委員会は、地方調停委員会に対して勧告、或いは報告を求めるというような、一種の全國調停委員会の中央集権化するような機能は、これは持たないのでありますか。
#42
○政府委員(賀來才二郎君) 五号に書いてありますことは、中央集権という意味は持つていないのであります。これは政令の三百三十三号におきましても、或いは書き方がこういうことになりましたのでいかんけれども、中央集権的な響きを與えておりますが、あれ自身も中央集権的な考は全然持つておりませんし、況んやあれの條文におきましても、地方労働委員会の機能の独自性を侵害し、阻害する意向は全然持つていないのであります。ただ先程も申しましたように、最近一般の労働委員会にいたしましても、爭議が地方的な問題であると見られるものにおきましても、これを早期且適正に解決するには全國的な関連もありまするし、中央におきましても全國的な視野において、これを考えて貰うという必要がありますときに中労委が地労委に対しまして示唆を與え、又指示するということのできるようにいたしてあります。それがために地労委からは報告を徴するということを明確にいたしたのでありますが、この第五号におきましても、やはりその趣旨でありまして、中央集権的な意向は持つていないのであります。ただ特に一般の私企業と違いまして、國有鉄道、或いは專賣公社におきましては、全國的な繁がりが非常に強いのでありますから、左様な意味の解決を促進するために五号を置いておる次第であります。
#43
○委員長(山田節男君) 外に御質疑はございませんか。時間も実は十二時二十五分になつておりますので、この際ちよつと審議の途中でございますが、御報告を申上げたいことがございますから、お聽き願いたいのであります、ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#44
○委員長(山田節男君) 速記を始めて……。それでは今日の労働委員会はこれを以て散会いたします。
   午後零時三十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           平野善治郎君
           一松 政二君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           田口政五郎君
           田村 文吉君
           波多野林一君
           竹下 豐次君
  政府委員
   労働政務次官  竹下 豐次君
   労働事務官
   (労政局長)  賀來才二郎君
ソース: 国立国会図書館
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