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1948/11/25 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 文部委員会 第4号
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1948/11/25 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 文部委員会 第4号

#1
第003回国会 文部委員会 第4号
昭和二十三年十一月二十五日(木曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國立國語研究所設置法案(内閣提
 出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
   午後四時二分開会
#2
○委員長(田中耕太郎君) それでは御異議がありませんければ、國立國語研究所設置法案の審査を開始したいと存じます。本件につきましてはすでに予備審査をいたしておつたわけでございますが、只今衆議院から法案を送付して参りましたから本審査を開始いたします。引続きまして全般的並びに逐條的質疑を開始いたします。
#3
○岩間正男君 この法案に至りまして数ケ條につきまして質疑をいたしたいと思います。
 先ず第一に第一條との連関でありますが、第一條によりますというと、文部大臣は、人事及び予算に関する事項に係るものを除く外、研究所の監督をしないというふうになつておりますが、実際におきまして研究所長並びに研究所員の任命並びに委嘱におきまして文部大臣の権限が存しておる。從つてそのような人事権によつて今後のこのような國語の行政が非常に大臣によつて動かされる面があるのじやないか、こういう点について政府当局はどういう見解を持つておるか、その辺を防止するためにはつきりしたところの方針を今の中から確立して置くことが必要じやないかということが第一の点であります。
 第二の問題としましては、第四條でありますが、「研究所に所長を置く。」と、その「所長は、一級の文部教官又は文部事務官のうちから、文部大臣が命ずる。」ということが規定されております。この法案の規定された精神については予備審議のときにも一應承つて、これは單に任命の技術的な面において規定したのであるというふうに説明があつたのでありますけれども、併しこの点でこの法案が狭く解釈されて、或いは悪用されることによつて、文部省の教官や事務官でなければこれが任用されない、というようなふうに適用されることが非常に懸念される面があるので、この点に対する文部省のはつきりした見解を伺つて置きたいと思うのであります。
 第三に六條の二のところに評議員の助言としましで、事業計画、研究調査の委嘱、その他重要事項ということが規定されておりますが、この重要事項の内容についてできるだけ明確にして頂きたいと思います。
 それから第七條でございますが、第七條の評議員の委嘱についてでありますが、これは現行においては、國家公務員法の定めるところによつてこれがされなければならないということが規定されておるのでありますが、実際の問題に当りましてこの國語研究所そのものの性格から考えまして、將來非常に官僚統制的な方向に赴くことは、これはこの委員会の機能を本当に果すことに対して十分な懸念が持たれる。從つて飽くまでもこれは民間的なそのような運営、民主的な運営というものが非常に重要視されると思うのであります。特に今までのこういうような研究所そのものがともするというと官僚統制に陷つて貧血を來す、その瞬間から貧血を來す。そうしてそのためにどうも國民生活の実態から遊離して單に官廳機構だけが浮上つているというような実態になり易いのでありまして、こういう点から考えときにできるだけこの評議員は民間のあらゆる衆知を集めて、あらゆる智能を動員して実質的に國民の國語問題に対するところの権威者を集合したいこういうふうに考えるのでありますが、若し國家公務員法だけをどこまでも適用されるということによつて、一應これは國家公務員法が今現在審議されておつて、それとの連関で政府としては技術的に問題になる面があるとも思われるのでありますが、それを強行することによつて、実は例えば民間のそういうような有識者、有能者の中で公務員法の拘束規定が非常に煩瑣である、而も評議員そのものの生活権というものは別にこれに委嘱されることによつて確立するのではないので、つまり受けるところはそれ程でないのに、拘束されるところが非常に多い、そういうことによつてこれは嫌がる、そういうふうな委嘱を余り内心から喜ばない、或いはこれを断るというようなことが起るんじやないかという点が非常に懸念されるのでありまして、先つき申しましたところのあらゆる衆知を集合するという見解があるときに、評議員のごときは國家公務員法の適用を受けるという点を余り強調する必要はないんじやないか。この点について政府の見解を伺つて置きたいと思うのであります。
 更に第十條に参りまして研究所長の権限としまして部課等の編成、それから職員の選出及び配置とありますが、その中の選出の問題でありますが、これは研究所長がこれを選出するところの権限を持つておる。これは先の予備審査のときにも伺つたのでありますが、この選出の意味をもつと明確にして頂きたい、更にこの選出という意味をもつと消極的に解釈して部課員を罷免するような権限も所長にあるのであるか、つまり研究所内の人事機構というものを研究所長の権限によつて改廃することが十分に可能なのであるか、そうして文部大臣の任免権との連関においてそれがどの程度までの権限の範囲を持つものであるか、その点をもつと明確にして置くのが非常にこの法案を審議するのに重要だと思うのであります。尚最後に研究所員の名称ですが、この法案だけによりますというと、文部教官、それから文部事務官というような名称で呼ばれるようなふうにとられるのでありますが、これは研究所員というふうに呼ばれるかどうか、この点がやはり明らかにされることが必要だと思います。
 以上の大体五、六点について御答弁を願いたいと思います。
#4
○政府委員(小野光洋君) 岩間委員の第一の御質問につきましては、これは第一條の文部大臣の監督権が人事及び予算以外には及ばないと規定されておつても、人事及び予算の面から結局他の部面にまでも監督が実質的に及ぶことに相成るのではないか、その点は如何かということに了解いたしましたが、これはこの第二條第二項の運用如何によつては岩間委員の御心配になる事実が絶無であるとは申上げかねると思います。ただ当局といたしましてはさような意味では絶対にないのでありまして、今後の運用についてもさようなことに陷らないように絶対注意して行きたいと思つています。特に具体的に申しますというと人事の問題でありますが、これは次の御質問にも出て参りまするけれども、即ち人事は公務員法、或いは今後規定さるべき人事委員会規則等に許される範囲内において、できるだけ民間の有能の士を採用し、而も公平にこれを扱うようにいたしたいと思つております。それから第二の第四條第二項の文部教官又は文部事務官の中から所長を文部大臣が任命するというように、言葉の上では解釈もできるのでありまするが、この問題は先程岩間委員の御質問の中にもありましたように、これは任命の手続上、技術的にかような規定があるのでありまして、これは文部事務官の中からというのは、文部事務官の兼任しておるという意味ではなくて、そういう手続を以て所長を任命するということであつて、又それを現実の問題としても必ず第一回の所長からさような方針を以て選定いたしたいと思つておりますと御了承を願いたいと思います。
 それから次に第六條の第二項、重要なる事項ということにつきましては、これはもつと明確にこの重要な事項ということを示して貰いたいというようなお話でありましたが、これは第二項において毎年の事業計画、調査研究の委託、その他の重要事項というものはこれは、研究上運営の上においても今後起るべき極めて重大なる問題が沢山あると思いますが、それらを指すのでありまして、予めこれを限定した重要事項としては、かようなものだというように限定することは、不便を來たすのではないかと思うのであります。その点をご了承願いたいと思います。
 それから第七條の評議員の任命についてできるだけ民間の有能の士を評議員として採用するようにしたらどうか、ただ国家公務員法等に縛られて、却つて有能の士を逸するというようなことはしないか、又折角有能の士を選定しても國家公務員法というようなものによつて縛られるというと、その就任を肯じないのではないか、こういうような御心配があるという御質問でありますが、これも極めて御尤もと思う次第でありますが、現在文部当局もこれを実施しまするに当りましてはすでに数回御答弁申上げましたよう、創立委員会がございまして、その委員会によつて大凡その規格を定めて研究を進めて参つたのでありまして、この評議員の任命についても文部大臣が独断にかようなことを任命するというようなことはいたさないつもりであります。尚又今後人事委員会の細則ができることと思いまするが、その規則を作る場合におきましては、この評議員の任命については極めて只今の御質問の趣旨を採り入れることのできるようなふうに立案をするように人事委員会の方に文部当局として要望するつもりであります。
 それから次に第十條の職員の選出の問題でありまするが、これも公務員法の定めるところによりまして、極めて民主的にこれを扱つて行きたいと思うのでありまして、所長が專断でこれを決定するのではなく、所長は文部大臣に上申し、文部大臣がこれを任命する、或いは又罷免するということに相成るのでありまして、その間文部行政の運用の上において大臣自体も十分御質問の趣意を尊重いたしまして、独断に陷り却つてかようなことから人事的に統制するというか、統制がやがては研究の内容にまで及ぶというようなことは絶対に相成らんように注意いたしたいと思つておりますから、第十一條の名称の点でありますが、この名称はやはり法文的な名称といたしましては文部教官又は文部事務官と申すより外はちよつと申しようがないのではないかと思うのでありますが、実際通俗的にはこれを研究所員と申すのも一向差支えないことだと思うのであります。これを法文の上に研究所員というような名称を採用するというようなことはちよつと困難ではないかと考えます。以上を以てお答えといたします。
#5
○岩間正男君 ちよつと私も質問の要点が或いは悪かつたと思いますが、第六條の重要事項ですな、これについては私は法文の上に出たことを問題にしたのではなくて現在どのような内容を政府としてはお考えになつておるか、それをお聞きしたのでありますが、第十條の選出の問題ですが、選出と同時に罷免の問題をも含めておるのか、その点について明らかにしたいと思います。
#6
○政府委員(小野光洋君) 重要事項というのは研究所の研究の方法その他についての重要事項でありまして、これは実際研究を進めて見ないというと分らないことで、予め決められないことでありまするからかような表現をいたした次第であります。
 それから選出の意味には勿論積極的には職員の任命について選出するということがございますが、消極的にはその中に罷免も含まれておるものと御了承願いたいと思います。
#7
○委員長(田中耕太郎君) 外に発言はございませんか。
#8
○河野正夫君 この際速記に留める意味から予備審査のときとやや重複するかも知れませんが、一、二点お伺いいたしたいと思います。
 第一條の目的ですが、國立國語研究所の目的と在來からあるところの國語審議会の目的との関係を明確にして頂きたい。
 それから第二は先程岩間委員から質問もありましたがその御答弁の中に第七條の問題であります。その御答弁の中に創立準備委員会で評議員の選任を考えておるとこういうようなお話でありましたが、学識経験のあるものを各界から集めるのだろうと思いまするが、どういう方面から集めるつもりになつておるか、これは法律ではありませんけれども、只今の準備委員会の状況から見てこうこうこういう方面から集めるつもりで、あるというようなことがいわれ得ることと思いますが、その点を明かにして頂きたいと思います。
#9
○政府委員(小野光洋君) 第一條の目的において國語研究所と、國語審議会と重複しないかその間の目的は如何という御質問でございますが、当國立國語研究所の方はこれは國語及び國民の言語生活に関する科学調査研究を行いというように、主として科学的調査研究を行うのでありまして、そうしてその結果國語の合理化の確実な基礎を築くためということでありまするが飽くまでもこの國立国語研究所は科学的な基礎を極めて政策を交えずこの嚴正に取扱つて行きたいとこういうところにこの研究所の目的があるのであります。國語審議会の方にこれらの研究所において得られましたところの科学的な國語研究所のいろいろな基礎を如何に現実にマッチしてこれを現実するかということを審議する機関である、かように御了承を願いたいと思います。
 それから第七條の如何なる方面から評議員を任命するかということでございますが、これは大体國語学者、一般言語学者、或いは支那学者、外國文学者、民族学者或いは新聞或いは放送、國語運動家、教育者、心理学者、生理学者、或いは作家、学術研究会の代表者、或いは実業家、かようなこの國語問題についての各界の有識の士を評議員として委嘱いたしたいと思つておるのであります。
#10
○堀越儀郎君 質疑を終了して討論に入りたいと思いますが……。
#11
○委員長(田中耕太郎君) 堀越君の動議に御賛成の方は……。
#12
○松野喜内君 ちよつと一言予備審査のときもお尋ねしたんですが、或るところでは國語の文字を使い、或るところでは國語國字という字を使つて説明しておられる、言語文字というふうにも言われておる。單なる國語でありますけれども、これは文字を含むものということを了解いたしたということを念のために申上げて置きます。
#13
○政府委員(小野光洋君) 國語というのは廣い意味においては國語、國字その他言語に関する一般の問題を含んだ意味でありまして、又それを分けまして或いは又この國語にもなり、或いは國字にもなるといように御了承を願いたいと思います。
#14
○委員長(田中耕太郎君) それでは掘越君の動議のように質疑はこれで終了いたしまして、討論に移ることにつきまして、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(田中耕太郎君) それでは討論に入ります。
#16
○河野正夫君 國語問題の研究ということにつきましては、すでに明治初年から引続いて断続的に行われておつたのであります。然るに極く戰時近くなりましてからは、例えば國語審議会というようなものも、國語問題の研究ということよりも、國語行政、言語行政といつたような方面に主眼点が置かれて、戰時中、科学的な研究それによつて國語政策の基礎を作るところのそういう研究というものに重点がなかつたように思うのであります。それ故に今回國立國語研究所を作るというための設置法が提案せられたのでありまするが、その趣旨は極めて結構なことであると思うのであります。ただ憾むらくはこういう研究所は一般に民間の有力なる團体或いは個人によつて盛んに行われ、官僚的な統制によつて研究が進められるのでなくして、自由な学者の立場において研究が進められるということは望ましいのでありまするけれども、今月の國民経済の状態においては、民間の團体なり、有志なり、個人の学者なりが、有能な研究成果を上げるように研究を進めて行くというのには甚だ困難な状態にあるのであります。それ故にここに國立の研究所を建てるということは時宜を得たものとして賛意を表する者であります。ただこの法律の内容におきましては、先程質疑も行れておりましたが、評議員の任命乃至は所長の任命というようなところに、もう少しく明確な民主的な方法がとられれば尚望ましい、その上に民間人を沢山加える意味からいうと、いわゆる國家公務員法に基く一般職といような枠でこれを縛るというようなことは、有能の士を迎えるには如何かと思う点もありまするけれども、現在のいろいろなる事情を総合して、それらについては一方においては運営に俟ち、一方においては將來の改正に伴つて目下の状況においてはこの原案で止むを得ないものと思います。この意味において原案に賛成いたします。
#17
○岩間正男君 私も原案に賛成をする者でありまするが、先程質問いたしました点について、先程又河野君からも特に注意があつたのでありますが、私も懸念しておるところであります。今までの官僚行政の中にともするというとこういうような機構が作られてどうも國民大衆の生活事態から遊離する、そういうことが非常にあり、更に戰時中はこういう問題が國語統制となり、更にそれが思想、文化の統制まで及んで行つた実体を我々はまざまざと見て來たのであります。從いましてこの法案は飽くまでそのようなところに赴くとしたならば非常に危險性があるのでありまして、そういう点から今後この法案の運営につきまして、飽くまで國民大衆の生活実態に深く根を下ろし、そうしてそれらの総合的な一つの文化の育成のために、十分なる力を盡すために本來の面目を発揮されることを私は切望しまして……、特に切望しまして、賛成の意を表します。
#18
○松野喜内君 私もこれには賛意を表したいものであります。この國立國語研究所の設置と並んで、これまでありし國語審議会等と、それぞれその性格性能を並んで活用できるようなふうに一段の工夫を望んで止みません。又先程各委員から質疑がありましたごとくに、これが運用されるに当つては是非民主的な意味を強調し、扱われたいと要望してこれが賛成の意を表するものであります
#19
○鈴木憲一君 私はこの國立國語研究所はとうに生れるべきものであつたと思うのであります。むしろ今回法文に現われて來ましたことは遅きに失した憾みがあつたものと思うのであります。予備審査の際にもそういう点から、質問もいたしたのであります。文相が大臣が提案理由の説明の際にも、これは明治以來の懸案であつたということを言つておられたのであります。併しながら質問してみまするというと、どうもそういうところに不足を感じましたので、そういう答弁であるならば、これはどうも如何にも突如として現われた法案のように思われる、敗戰の結果或いは教育視察團の勧告にのみよるのではないかというような懸念を強く一般國民が感得するのではないかというふうに心配をしたのでありますが、その後、文部省からもこの國語問題の明治以來の年表が提出され、尚又山本委員から明治以來の先覚者たちが、非常にこの問題に対して苦心を重ねて來たという実情も話がありまして、尤ものことであると私もよく了承いたしたのであります。そういう生れるべきが、むしろ、遅きに失した感がある、ただ今後は生れた以上は大いに運営についてその独自な自主性というものを大いに期待いたしまして、進んで本案に賛成をいたすものであります。
#20
○梅津錦一君 國語の問題はこれは國民の感情に繋がつていることは事実でありまして、結局昔から現在まで幾変遷を経て現代語ができたのです。この現代語は又将來どんどん変つて行く。この姿がこの日本國民の生きて行く姿である、これを忘れては國語の研究は成り立たない。そういう意味で審議会と國語研究所との両方が、本当にマツチして行けば、それは成果を挙げることができる。併しながら國語研究所の方が独善的に或いは調査、或いは科学的な基礎というものを楯にとつて、國民感情を忘れているならば、死せる國語であつて、生きて行く國語にならない。私はそういう意味において、今後國語研究所が國民の生活と睨み合せて、生活から生れる言葉、生活から生れるところの内容、これが全部が國民の感情、意思を表示するところの國語であり國字である。ですからこういうところをよく研究するということによつて、この國語研究所の成果が挙げられるならば非常に幸いである。國語研究所の独善的な一方的な調査に終らないように、多角的な調査によつて、この國民感情を純粋なものに仕上げて行くという重大な責任があるとこう思いますのでこの点を強調いたしまして、この法案に賛成いたします。
#21
○山本勇造君 この國立國語研究所の請願というものは、片山内閣の励会党内閣のときに請願で出て來たものであります。そのときに皆さんが文化委員会におきましても、全員が賛成されたのであります。そうして第二國会の民主党の芦田内閣で、この予算を認めて呉れました。今度第三國会の吉田内閣において、國立國語研究所設置法案が提出されました。この國立國語研究所というものが、本格的にここで通れば、実施されることになるものだと思うのであります。予備審査のときにおきましては、岩間委員或いは河野委員その他の方々から、非常に急所を突いた質問がありました。それは速記に載らないのは非常に残念に思いますが、非常にいい質問がございまして、私も全く同感なんで、そういう点。本來言うたら実は僕は直すべきじやないかと思うのですけれども、併しながらそれをしておるとさまざまの点で実施の時期が遅れるというような虞れがありますので、恐らく他の委員の方々におかれましても、ともかくことの実施というような上で、御賛同になつておるのだと思いますけれども、自分自身も全くそうなんでございまして、無論この原案の通りで、我々は賛成をいたしますが、併しあのときの質問の要旨というものは、政府におかれましても十分に御理解下さいまして、民主的に、そうして科学的にこの研究所が育つて行きますようにお計らいを願いたいと思います。先程鈴木委員からお話がありましたように、明治二年以來、殊に明治三十年前後におきましては、上田萬年博士が、あのときにおいて非常にこの國語の研究所の設置を叫ばれたにも拘わらず、單に國語の調査会の程度のものができなかつたのであります。併しその調査会のときでも、調査をやりましたことが大変な利益を得まして、私は民間におりまして、國語の問題でいろいろやつておりましたが、それはあの時の研究が、無論賛成の方もあり、不賛成の方もありましたけれども、私はあのときの研究資料が私の役を果しておるのであります。いま若しこの案が通るということになりましたならば、明治二年の前島密さんが、明治三十年前後におきましての上田さんが申したことが、大変遅蒔ではありますが、とにかくここに現実ができるというようなことは、これはもう國民全体、先程申しました各党ともやつたことでありますから、恐らく國民全体賛成であると思いますが、又地下においても上田萬年、前島密というような先覚者も、嘸かし御満足であろうと思います。私もこの案が実施されるならば、何とも感慨に堪えないものがあるのであります。そういう意味におきまして、この原案に私は賛成をする者であります。
#22
○委員長(田中耕太郎君) 外に御発言はございませんか……。では御意見も盡きたようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。國立國語研究所設置法案、本案を可決することに賛成の方のご起立を願います。
   〔総員起立〕
#24
○委員長(田中耕太郎君) 全会一致でございます。國立國語研究所設置法案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。尚本会議におきます委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條に上りまして、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長におきまして本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承認願いますことに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出いたします報告書について、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可決することに賛成されました方は、順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
   岩間 正男    堀越 儀郎
   松野 喜内    鈴木 憲一
   梅津 錦一    山本 勇造
   河野 正夫    梅原 眞隆
   三島 通陽
#26
○委員長(田中耕太郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           河崎 ナツ君
           松野 喜内君
           高良 とみ君
           岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           梅原 眞隆君
           河野 正夫君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           山本 勇造君
           鈴木 憲一君
  委員外議員
           油井賢太郎君
  國務大臣
   文 部 大 臣 下條 康麿君
  政府委員
   文部政務次官  小野 光洋君
   文部事務官
   (学校教育局
   長)      日高第四郎君
   文部事務官
   (教科書局長) 稻田 清助君
ソース: 国立国会図書館
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