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1948/11/15 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 農林委員会 第2号
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1948/11/15 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 農林委員会 第2号

#1
第003回国会 農林委員会 第2号
昭和二十三年十一月十五日(月曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○馬匹去勢法を廃止する法律案(内閣
 送付)
○畜産振興に関する件
  ―――――――――――――
   午後一時五十一分開会
#2
○委員長(楠見義男君) それでは只今から委員会を開会いたします。
 本日は、この委員会に予備審査として付託されております馬匹去勢法を廃止する法律案を議題にいたします。最初に北村政務次官から提案理由の御説明を伺います。
#3
○政府委員(北村一男君) 只今御審議を願います馬匹去勢法を廃止する法律案の提案理由を説明いたします。
 申すまでもなく、去勢は畜産の改良発展を図る根本條件でありますが、古来我が國には家畜に去勢を行う習慣がなく、その利益を知らず、却つてこれを忌避していたであります。從つて明治年間頃までの我が國の馬匹は、その資質劣惡にして、産業上の要求を充し得なかつたので、馬匹の改良の点から去勢が取上げられるとともに、有事の際の徴発馬の取扱い上からも去勢実施の問題が著しく世人の注意を喚起するに至つたのであります。然るに当時の民度は低く、去勢を徹底させるには法をもつて励行しなければその目的を達することができなかつたので、政府は明治三十四年馬匹去勢法を制定して今回に至つたのでありますが、すでに三十数年を経過して同法制定の主旨も徹底し、その目的を十分果しましたし、以下に申上げるような主要な理由で、最早本法存続の必要もなくなつたのであります。
 先ず第一には、同法では、去勢の効用を普及徹底させるため、國費を以て強制的に去勢を実施して來たのでありますが、現段階では最早家畜飼養者自らが自主的に行うべきであると考えるのであります。
 第二には、從來去勢技術は或る特定の技術者の独占的事業のごとき感があり、一般開業獣医師の干與すべきものでないという嫌いもありましたが、最近開業獣医師の自発的な技術の錬磨により去勢技術は普及向上されて参り、戰後は開業獣医師の去勢頭数が急激に増加して來ているのであります。從つてこの際民間の開業獣医師の活躍に期待したいのであります。第三には、新たに制定された種畜法により優良種蓄の確保も可能になつて來たのであります。
 第四には、もやは有事の際の徴発馬を考慮する必要もないのであります、
 以上のような理由によりまして、この法案を提出した次第であります。何とぞ愼重御審議の上速かに可決せられんことをお願い申上げます。
#4
○委員長(楠見義男君) どうか御質疑をお始め願います。
#5
○岡村文四郎君 去勢は提案理由にありますように、最早畜主が自覚をしたから廃止してもよかろうというのでありますが、軍馬がなくなつたから廃してもいいというのだと思いますが、これはそういつた面ばかりでなくて、本來は去勢しない馬を使役に使いますことが非常に能率の上には惡いわけでありませんので、戰馬はいざとなると疲れた時分には去勢した馬と去勢しない馬との差は、非常に強いのでありますが、使つて見た場合には非常に不便が多いのでありまして、法がなくても畜主が自覚をして去勢をするということはありますが、非常にそれは今後少い数になりはしないかと思うのであります。例えば大都市に使はれまする馬などは当然去勢をしていないと、春先などはひんひん跳ね廻つて人でも危險もありましようし、非常に使役しても惡いのでありますが、農家で使いましてさえも非常にこれは弊害があるわけでありますが、法律を廃止し放しにしないで何らか自覚を持つというのでは非常に乏しいのじやないかと考えます。それから種畜法案が制定されましたが、今の馬の種付料は非常に高いものでありまして、戰爭中などは農林省の馬などはまるで切手代のようなもので種付ができたのでありますが、今では殆んど民有馬と変らんような種付料を初めとつておつたのが、今度は漸次その頭数は減つて参りますが種馬というものの價値が非常に落ちたといいますかたやすくなるような関係で、あながち種馬に行かなくても本当に輓馬として陸運業に使いまする馬は、種馬以上の馬を使つてそれで算盤が立つ、去勢をしないで商賣人が輓馬に使いますると、これ亦非常に能率が出て、そうすると去勢をしないで輓馬に使つてそうして秘密に種付をする、こうなりますと今の種付料の恐ら半分ぐらいで、三分の一かも知れませんが、種付をしてもそれで事が足りると思うのであります。馬の價値、能力、血統を非常にやかましくいう時分にはそんなわけにはいかんのでありまするが、今の世の中になつて見ますると競馬馬は別でありまするが、そうでない一般輓馬はそれを放しつぱなしにされると非常な弊害がありはせんかと考えますが畜産局長の御意見を伺います。
#6
○政府委員(平田左武郎君) 御質問の要点は二つに分れているかと思いますが、第一は去勢法を廃止いたして、今の去勢というものを農民の自覚に待たせるばかりで、果していいか、という御議論のようであつたのであります。ところでこの馬匹の去勢を強制いたしましたのは、先程政務次官からも御説明がありましたように、すでに明治三十年頃の、三十四年の法律は当時の戰時の徴発馬を対象としてできた法律であつたのでありましてその後、今日までの間におきまして去勢の効用と申しますか、その利用の方面もだんだんと侵透いたしておりまするし、そうして又國が縣の機関を通じまして強制的に行いまする制度の外、畜主が自発的に行つて参りまするいわゆる開業獣医師による去勢の頭数も漸次増加して参つておるのであります。お手許に表が差上げてあるかと思いますが、馬匹去勢施行中の去勢成績表を御覧願いますると、大正六年から昭和二十二年までの両方面の数字がでております。それによりますれば官行去勢、即ち法律に基いて強制的に実施いたしました馬匹去勢の頭数は大正六年、三万八千八百十を最高といたしましてその後逐年数字が低下いたして参り、戰前には概ね三万台を維持して参つたのでありまするが、昭和二十二年になりますと一万七千九百十頭というような激減をいたして参りまして、その半面におきまして、馬主が自費で以て去勢いたしまする馬匹の頭数が当初におきましては一万三百五十五と大正八年の数字が掲げているのでございまするが、それから爾後段々と頭数を増加いたして参りまして、一万八千、九千というような数字になつており、昭和二十二年におきましても一方四千四十三となつておるのであります。この傾向の数字を眺めてまいりますると、もともと強制の去勢にまつて実施いたして参つたのでありまするが、その間どうしても一定の時日を墨守してそこに馬を引きつけて、殊に春の三月、四月頃の農繁期のときに、一定期日を空費せしめられるということは非常に苦痛でもありますので、そうした強制による去勢よりも、むしろ開業獣医師の手による自費に基く去勢がよいという気分が現われて参つて、今日においても両方が半々というような状態にまで進んで参つておるのであります。從いまして、法律によつて一定期日に強制去勢するという時代は最早過ぎ去つておると認められまするし又開業獣医師の数を漸次増加いたして参つておりまして、その前の表を御覧願いますと分りまするが、去勢技術員の獣医師数を御覧願いますると、一番上り段の去勢技術員数、これが官行去勢を行いまする縣の職員の数字でございまして、その総数は六百六十四八になつておるのであります。然るに、その次の欄の、開業獣医師の数を御覧願いますると、これは総数が五千六百三十五人というようなことになつておりまして、全体を通観いたして見ますれば、民間のそうした開業獣医師の数が非常に多くなつており、その力に依存して去勢を行うといつた面が大変廣く開けて参つておるというような事情を通観いたしまして、この際馬匹去勢法の官行去勢制度というものは廃止しても差支がないのではないかと、かように認めましてこの法律を廃止するような運びに至つたのであります。
 第二点は、料金の問題をお尋ねになつたのでありまして、官行去勢の時代には種付料が非常に安かつた。然るに民間の場合には相当高きを要求されるというようなことがないかと、いうような点であつたと存じます。勿論当初の官行去勢に要しまする種付料は大変安かつたのでありまして、昨年昭和二十二年頃の料金を考えて見ますると、二月に出ました勅令五十七号によりまして一頭について六十円ということになつておつたのでありますが、ところが大藏当局からこうした非常に安い手数料を以て去勢を行うということは、財政の均衡の見地からして容認できないというような議論がございまして、その年の四月十日に一頭二百円に引上げられ、それから二十三年には大藏省のこれ亦要求に基きまして三百円に引き上げられて参つたのであります。現在りこの一頭三百円の去勢料と申しますると、大体民間で実施慣れる金額の約半分近くになつているのでございまと、從つてこの金額そのものは民間の去勢料に比して非常に安いということは言い難いと思うのでありますが、さてそれでは民間の方はどれ位になつておるかと申しますれば、高いのに千円を超すものもあるようでありますが、安いのは五百円位、平均して一頭につき七百円位の去勢料が取られておるようであります。從つて官行の去勢料三百円、約二分の一というような開きがあるわけでありますが、この点が先程申しましたように、官行の強制去勢でありますれば、一定の期日を指定いたしまして、縣の職員が巡廻して、そこに馬を持つて來させて去勢を実施させるというようなことになりますので、期日の墨守というような固定性がありましで、その期日が思うときにやれないということから農繁期上農民の苦痛が半面に生ずるような関係になつておりますので、むしろこの程度であれば自分の思うときに去勢して貰つた方が少しは高くてもよいというような氣がが出て参つておるようであります。それが実際に今日両方が半々であるというような数字の上においても実証されておりますので、從つて我々といたしましてはこれを全部自主的の去勢、即ち民間の開業医を活用する方面に委せましても著しく馬主に不当な迷惑をかける所以ではあるまい、かように考えまして去勢法廃止の法律を提出するということにいたした次第であります。
#7
○岡村文四郎君 お尋ねの趣旨とちよつと違つた御答弁です。局長のお話では自由去勢の、民間去勢の形のような頭数が段々殖えて來たから、大体去勢することを自覚したものというその断定の下にお話になつておりますが、これは去勢法があるものですから、どうしても拔かなければならんものですから、時期が惡くて適当な時期に抜けないで、変つた時期に抜いて、民間の開業獣医師が去勢をするわけなんでして、頭数の殖えておるということは、去勢法があるから殖えておるので、私のお話をする前提は、去勢法を廃止すると去勢馬がずつと少くなりはしないか、減つて來やせんかということの考え方です、そこでそうしますとこの前に申し上げましたように使役にも非常に工合が惡くなるし、今のようなことにはならんということを前提にお話を申上げておるのであります。
 それから去勢料のことは申上げません。そうしますると去勢しない馬を置いて種馬の種付料が非常に高いものですから、種馬以上の馬を去勢しないで持つて使つておつて、種付に使われる慮れがあるのじやないかということを申上げておるのでありまして、それで去勢の技術者もお話のようにこれはそうむずかしいものではないのでありまして、これをやつて貰いますと、但しこれは御承知のように若いうちに拔くことが大事であつて、年のよらない先に去勢をするものは、大体三歳でやれば一番死亡率も少いし、危險率も少いので、拔くことになつておる関係上、それはよいのでありますが、これを廃止すると去勢馬が非常に減るということの心配でお話を申上げておるのであります。その点の局長の御意見を承つたので、私は去勢料のことは心配しておりませんが、去勢法がなくなると、強制をしないで自由に委しておくと、今は一般獣医が段々去勢の技術を向上して來て、この数字に載つておるように十分にできるから去勢の心配はないというお話でありますが、これは去勢法があつて去勢しない馬を持つておりますと法律で罰せられて使役することができない。そこで当然拔かなければならんから抜いておるので、法律がなくなればそれが段々減つていくのじやないかということが一つ。
 それから去勢をしないで、種馬にもしないでおる馬の方が、いざというときには踏ん張りが利いて使う上においては非常によいのです。又それを使つて種付料が非常に高いから種付がされるのではないかという心配をしておるのであります。
#8
○政府委員(平田左武郎君) 更に敷衍して申上げますと、去勢をする馬がこの法律を廃止すれば少くなりはしないかという点でありますが、その点は我我といたしまして去勢馬の方が実際使います場合いろいろ暴れたり、迷惑を掛けることがないということの効力が大体において知識が普及されておりまして、馬主においても使役上の便宜という点からして自主的に去勢を希望せられる段階に達しておるこいうような考えから去勢法を廃止いたしまして去勢馬が非常に少くなるというようなことはあるまいというふうに考えておるのであります。
 第二に、そうすると不当な、資質の惡い馬の種付というようなことが生じまして、馬の資質を劣惡ならしめるようなことがないかという重ねてのお尋ねなんでございますが、その点は先般の國会で成立いたしました種畜法の二條と四條等の規定によりまして種畜でない牛とか馬とか、これを種付に供用してはならない。そうしてその種畜となるものは何かと申しますると、これは主務大臣が險査を行なつて、その險査の証明書を取つたものでなければならないということになつておるのであります。従いまして非常な傳染性の疾患を持うとかいうような劣悪な馬につきましては、種付ということは種畜法に上つて禁止せられておるということになりまするので、今後の運営は、お尋ねの後段の問題につきましては、種畜法の運用によつて目的を達して参りたいと、かように考えておる次第であります。
#9
○岡村文四郎君 種畜法を審議して通過いたしたのは承知いたしておりまするが、それはそれでいいのでありますが、恐らく農耕用に使う馬は左程でありませんが、実際に小運送用にでも使うという輓馬は去勢をしない方がいいのであります。それはいざとなりますと、大体私がやつた経驗では半トンぐらいの荷物は違うと思います。そこでそうなりますと、事業者の輓馬を持つ人は、恐らく私は去勢しないで使うことは当然だと思う。そこで種付の方のことも種畜法がありますが、それは法律があつても闇をやると同じで、非常に立派な種馬以上の馬を輓馬として買つて、そうして去勢をしないで輓馬として使つておつて種付をすると、料金も安くて、そうして十分な子供が生れるということになれば何ら不都合はないので、ただ血統登録を欲しいということになりますと、それは血統登録が取れないから都合が惡いでありましようが、こういう時代になりますと、馬自体さえよければ價格が高くても賣れるということになると、去勢法を廃止するということがあらゆる部面にこうした弊害が起るものだと私は考えているものですから、これは実際に話をしない分りませんが、我々のような実際にそれに当つている者は分りますが、昔はそうだつたのであります。元はそうだつたのであります。昔我々の若い時分には種馬でないものを交尾して種馬以上のものを取る、その当時はそれでよかつたのでありますが、こうなりますとそういうわけには参りませんが、闇をやると同じで一馬が実際によくて、仕事がよくできるような馬から子供が生れると、その子供も立派なものができる。種付料が二千円も二千五百円も三千円も取られるものが、三分の一乃至半分で種付をして呉れると思います。その点を十分御注意になりませんと、種畜法があるから去勢法を廃しても、種馬として立派な種馬のみが交尾される、種馬の資格あるもののみが種付をされるということはちよつと間違つていやしないかと、こう思います。
#10
○政府委員(平田左武郎君) まあなんと申しますか、闇の行為が行われはしないかという点につきましては、これはまあ私としてもお答えも外のことかとも思いまするけれども、申すまでもなく畜産の関係におきましては、血統その他の資質の登録制度ということも重要なウエイトを持つておりまして、民間團体におきます登録制度というものも着々整備されて、その効果を発揮しつつあることでございまするので、実際にどの馬がいいかという價値判断、それが血統に基くものが大部分を占めるというようなことになりますれば、本当に長年かかつて、殊に高價な飼料を用いて育成して参るというようなことになりますれば、我々としましてはこの馬の種付と申しますか。種の問題ということは非常に重要な性質を持つて参るのではなかろうか。丁度まあ養蚕などにおきましても品種の問題が重きをなしておりまするように、從つて金額にべらぼうな差があるというようなことになりますと別でありますが、現在の民間種付といたしましても一番高くても千円から千五百円ぐらいであるというようなふうに承知いたしておりまするので、よくその趣旨の普及徹底を図りましたならば、法律がなくても非常に乱れるようなことは起るまいと、かように考えておる次第でありまするが、尚死亡上の問題につきましては、御趣旨の御意見も十分に尊重いたしまして、過ちのないように指導して参りたいと考えております。
#11
○委員長(楠見義男君) 尚この機会に馬匹去勢法を廃止する法律案の外に、一般畜産関係についての御質問がありましたらどうかお続けを願います。
#12
○岡村文四郎君 まあ去勢法の方はこの程度にして置いて、変つた方面から局長にお尋ねをいたしますが、御承知のように非常に困つておりまする問題で、脳炎が北海道に非常に発生をいたしまして大きな損害を被るというので、畜産局には非常に御迷惑をお掛けし、御努力を願つて御配慮を得ておる訳でありますが、あの予防法というのはまだ今我が國では現在やつておりまする方法以外に見出されておらんものでありますか 研究でも大分進んでおりますか。お分りになりましたら……。
#13
○政府委員(平田左武郎君) 馬の流行性脳炎につきましては、これは明治の中頃からほぼ十年ぐらいの周期を以て発生いたしたのでありましたが、近くは昭和十一、二年の両年に相当の多発を見、又昨年八月高知縣に突発いたしまして、約手二百頭ばかりの罹病を見たのでありましたところ、本年は五月、六月頃から全國各地に蔓延いたしまして、今日まで我々の調査し得ました範囲におきますると、発生頭数三千六百九十三頭、その中斃死頭数千三百六十七頭、殺処分を行いましたるもの約百頭というように、非常に多くの発生を見るに至つたのであります。このお尋ねの原因とか、傳播の経路その他の衞生上の対策につきましては、実は予防注射の制度によりまして、大体成功し得る自信を昨年來日本政府の当局として持つたのでありましたが、これは一面連合軍司令部の方におかれましても研究を継続されておりましたので、いろいろと話合の結果、本年はこの病毒の分離によつて作りましたところの血清を約八万頭に対して注射いたしたのであります。その結果は相当効果があるように認められまするし又本年の発生後におきまする情勢を眺めておりましても、大体終熄をいたして参つたのでありますが、お話のように一般的の原因とか傳播系統等につきましては尚未解決の問題が相当ございまするので、これは官民の專門家を集結いたしましての調査委員会を結成いたしまして、この脳炎に関しまする研究調査項目をそれぞれ分担いたしまして、その予防治療撲滅の根本対策確立に目下鋭意最善を盡しておるような次第でありまして、これがために農林省として三百二十万円厚生省として三百万円の予算を計上いたし研究を続けているような次第でありますが、併しながら政府本年において実施いたしましたところの病毒分離によりまするもの、即ち馬の脳神経中に存在いたしておりまする病源体を鼠に移殖いたしまして、これからワクチン血清等を製造いたしまして注射するという方法なのでございます。これは相当効果ありと今日までのところ認められる情勢でございまするので、それらと、只今申しましたような根本的の專門部に亘つての研究と相俟つて、恐らく明年も発生されるかも知れんと予想されます本症に対しましても処置を考えておる次第であります。
#14
○岡村文四郎君 脳炎についてはいろいろ御心配を願つておるようで、誠に仕合せに存じますが、どうぞ今年のように俄かに発生しなければよいのでありますが若しあれが病菌でも残つておつて次年も同じように発生されますと、非常に恐ろしい事態になると思いますので、特段に畜産局の方で御心配御研究を願いたいと存じます。
 それから重ねてお伺いいたしまするが、移出の禁止はもう解けたのでありますか、未だ解けないのでありましようか、お分りになりましたら……。
#15
○政府委員(平田左武郎君) この移動停止の問題は全國的に蔓延いたしました病勢に対処いたしまするために、去る八月の中旬に次官通牒を以ちまして脳炎の撲滅対策要綱によつて馬の移動停止、集合の制限等を行なつて参つたのでありますが、その後各縣におきまして、段々報告が入つて参りまして、九月の末頃におきましては殆んど全般的として終熄をみたような報告を得ておつたのであります。大体我々としましては最終報告から二週間ばかりの間を予定いたしまして、その後に移動停止を解除いたしまするならば万に間違いはあるまいと、かように考えまして、各地の報告を集めておつたのでありまするが、九月の末頃大体終結の情勢を認識いたしましたので、司令部とも打合せの上農林省としての全國的移動禁止は十月の十二日を以て解除いたし、地方長官宛にその旨を直ちに電報を以て通知いたしたのであります。ところで北海道のみは、御承知のように非常に廣汎な地域を占めておりまするし、終熄も確定した期日がずれたというような事情もありましたので、政府の全國的移動停止は十月十二日を以て解除いたしたのでありまするが、北海道はその地の軍政当局の意見等もありまして、北海道限りの移動停止を行われておつたのでありまするが、それも去る十一月八日をもつて解除されまして今日におきましてはこういうことがなくなつた次第であります。
#16
○委員長(楠見義男君) ちよつと委員長から申しますが、只今の移動停止の問題はこの委員会にも加賀さんが紹介議員として馬匹の北海道外移動禁止に伴う対策に関する請願として請願が実は出ておるのであります。その請願の趣旨は北海道馬産の崩壞を招來せんとしているばかりでなく、府縣の農業生産力並びに輸送力に甚大な影響を與えようとしているから、停滯馬一万五千余頭の道外移出促進方途として、鉄道輸送に重点を置き、政府の責任において馬匹の計画輸送を実施する外、船舶による輸送及び必要飼料の確保等につき適当な施策を講ぜられたい、こういう請願でありまして、いずれこれは請願委員会でもこの請願を主として取扱うために、委員会においても審議したいと思つておりましたが、丁度その問題が出ましたからこの問題に関連して御質問ございましたら、又政府から御答弁がありましたら……。
#17
○政府委員(平田左武郎君) 只今脳炎の関係におきまして移動を停止されまして、北海道、主として釧路地方を中心として停滯いたしておりまする約二万頭の馬の処置に関連いたしての対策を関係者から要望されておりまするので、それにつきまして我々といたしまして措置しました事項の経過につきまして、一應御報告申上げたいと思います。釧路を中心とするあの地方から内地に移入せられます馬匹の頭数は、年年約二万頭前後に上り、しかもそれが九月から十一月頃までの鉄道によつて輸送されておつたのであります。ところが只今の移動停止の関係から今日までまだ輸送ができない。而も仮に十一月以降において輸送が解除されることになりましても、鉄道輸送の関係は御承知のごとく食糧輸送、木材輸送等と競合いたしまして、内地へ所要の時期に輸送することが困難であるということがありまするし、又その間釧路等に馬が停滯いたしますことになりまするので、その期間の馬匹予托料若しくは代金の取得が遅れる等によります損失等を如何にいたして呉れるかと、こういう御要望であつたのであります。
 それで畜産局といたしましては、只今申上げました三つの問題、即ち、第一は数ケ月を停滯せしめます、これに基く予托料の負担の問題、第二は汽車輸送が困難となり、船舶により輸送せざるを得ないということに関連いたします輸送費の増額を如何にするかという問題、第三は代金の支拂いが遅れることに基因いたしまする損失の負担の問題、この三つにつきましてそれぞれ案を具して予算の要求をいたす手順にいたしておつたのでありまするが、何分にもこうした一種の不可抗的な原因に基きまする損失のことでありますので、政府といたしましても、それを十分に補填いたすということもいたし兼ねる実情もありまするし、更に予算全体の問題から財源と睨み合せてどの程度割き得るかというような問題もありまして、結局農林省としまして、いろいろ各方面の予算を見合つた上で決定されましたのは、その三つの損失のうち、船舶輸送をいたさざるを得ないことに基く輸送費の増加に対しまする補助という名前の下に、約一千二百万円の予算を大藏当局に要求いたしておるのであります。これは約一頭につき仮に二千円を補助いたすとすれば六千頭の馬の輸送をお助けし得るということになりまするし、すでに釧路において賣却済のものが五千頭存在しておるというような数字を基礎として、そうした予算ができたのでありまするが、まだ大藏省の査定の最終決定を伺つておりませんけれども、大藏当局におきましては、その金額の半分は認めるが、全部はむずかしいというような意向のようであります。我々としましては北海道馬産関係者の御要望に副つて、でき得るならば全額を確保いたしたいということで、尚折衝を続けておる実情でありますが、一方只今申上げましたように、北海道からの輸送も近日解除されたことでありますから、すでに計画いたしております船舶によりまして、釧路から或いは東北地方だと仙台、塩釜等を中心といたし、その外の方は東京とか、或いは裏日本の方では適当な地域の航路はそれぞれ輸送計画を樹立いたしまして、適当な会社二社を選択いたしまして、すでに新聞公告等の手配をいたし、船舶輸送によつてこの釧路港方面に停滯いたしております馬の輸送を図りたいという計画を目下着々進行中でございます。
#18
○藤野繁雄君 今馬の脳炎のお話でありますが、長崎縣に対して脳炎のために仔馬の市場を中止されるような指令を出されたのであるか、どうであるか。例年の馬市よりも今年は一ケ月以上遅れて開かれたのであります。その理由は脳炎のために移動禁止のためだということであるのであります。一ケ月以上仔馬を飼養したために、それに要するところの飼料が相当多額に上つておるのであります。又親の体に影響を與えておるのであります。それで縣といたしましては、馬の取引に対する課税の際に、どれだけの期間農家が飼養したのであるから、それだけは課税の標準から控除して貰いたいという強い要求があるのでありますが、こういうような点について畜産当局はどういうようなお考えであるかお伺いしたいと思うのであります。
#19
○政府委員(平田左武郎君) 只今長崎の実情につきましてのお尋ねでございましたが、勿論全國的に移動を停止いたしましたことでございまするので、各方面からいろいろの事情をお感じになつておることと存じまするが、只今の長崎の市場停止に伴いまして一ケ月以上馬の取引が遅れた。それでその措置をどうするかという問題につきましては実は畜産局長としては余りこれまでに伺つておりませんのでございまするが、長崎の発生状況を見ますると、発生の日にちが我々の調査によりますと、初期は八月の二十六日に発生いたし、それから終期が九月の二十四日ということになつております。即ち九月の二十四日に終熄いたし、それから感染いたしました馬の頭数が五頭ということになつております。北海道のごときは七百八十五頭が感染いたした、全國総数が三千六百九十三頭のうち長崎におきましては五匹が罹つているというようなことでございまするので、いろいろ予防措置等につきましては、その期間中地方長官の判断によつて縣内の防疫措置を執られたことと存じまするが、恐らく馬の取引が蔓延を助長するというようなことから市場の停止も行われたことかとも思いまするけれども、特別に畜産当局に対してこうしろというような御要求もなかつたように存じまするので、これは地方的に自主的の解決が済んだことではなかつたかとかように存じ上げておるような次第でございまするが、尚詳細は取調べましてその結果を御報告申上げたいと存じます。
#20
○藤野繁雄君 病気予防のための最善の方法として取引中止をされたのでありますから、その方面のことはいたし方ないのでありますが、そのために農家の負担がかれてよりも多くなつたということであれば、畜産局には直接関係がないが、税金の方ではそれだけの支出が増加したということで、所得税を控除して頂くように、畜産局としても御高配をお願いしたいと思うのであります。
 次に私は農業経営上に畜産業が必要であるということは申すまでもないのであります。その畜産の奨励をするためには、優良品種の普及発達を図ると同時に、今問題に出ているような家畜の傳染病の予防に万全の策を講ずることも最も必要であると考えるのであります。又政府においてもこの点にお考えがあつて、第二國会では傳染病予防法を改正されて、いろいろと助成の方法を講じられておるのでありますが、本年の七月に長崎縣に起つたところの結果から考えて見ますると、予防注射の結果沢山の牛が死ぬ、或いは流産をしたというようなことになつたために、政府においても、縣においても、最善の方法を講じてこれが善後策を講ぜられたのであります。殊に農林省の畜産当局においては、あらゆる方法を講じて、長崎縣のために経済的の援助を與えて頂いたということは感謝に堪えないのでありますが、実際問題について考えて見ますると、現在の家畜傳染病の予防法では、予防注射のために死んだ場合があつても、三万円を超えない範囲でなくては、補助金を或いは交付金を出すことはできない、こういうふうになつている結果、長崎縣の実例を申上げて見ますると、時價十三万円の牛に対しても、二万八千八百円より余計の金は國庫は負担することはできないというようなことになつておるのであります。然るに農家の方では、農家が好むと好まざるとに拘わらず、強制的に注射をして死んだのでありますから、この牛を更に購入して行かなくちや農業の経営ができないのでありますから、更に買うだけの牛の代金を補給して貰いたいという強い要求があるのであります。それで私としては傳染病予防のためには絶対的に、強制的に予防注射をせなくちやできない。又予防注射をやるのについては農家が喜んで、又安心してそれをするようにして行かなくてはできない。完全なる予防方法を講じたならば注射をしたならば殆んど死ぬものはないと考えて差支ないと思うのであります。こういうふうに考えて來たならば現在の予防法の三万円を超えざる範囲というようなことは、殆んどそういうふうなことがないと仮定したならば、時價の範囲内において補給してやるのが当り前ではないか、又そうせなければ農家が持つているところの財産を無くしてしまつて、農家は再び立つとができないようなことになつて來るのではないか、こう考えるのであります。でありますから、政府においてはこの際家畜傳染病予防法を改正いたしまして、三万円を超えざる範囲ということを、時價の範囲内において補給するというようなことにして頂きたいと思うのでありますが、政府はそういうふうなことを考えておられるのであるかどうか。又長崎縣の実例を今申上げて見ますと、本年の七月に壱岐郡の六ケ村で七月二十日から七月二十五日の間に二千三百四十五頭の牛に注射をされたのでありますが、その中に反應があつたところの頭数が五百六十二頭、重症頭数が八十一頭、流産したところのものが二十二頭、死んだところのものが七頭、こういうふうな数字が出ているのであります。而してこの予防注射をするためには、家畜衞生試驗場の九州支場長の入江さんが直接指導監督の任に当り、長崎縣の者が十人、福岡、佐賀各縣から二人づつというようなことでやられたのでありますが、ワクチンの製造というようなことについて指導及び製造が万全でなかつたということを地方の者は話しているのであります。又專門家でないから分らないのでありますが、二CCの定量を注射しなくちやならないのに、十CCの注射器で注射して、而もそれを一定の動かないような設備をせずして、動くままに注射したのであるから、どのぐらいの液が注射されたのか分らないような状態だ。
 又血清は十七年、或いは十九年というような古いものを持つて來て、その藥が非常に惡臭であつた、この藥が惡いのではなかろうかというような話もしているのであります。又ワクチンと血清と二回注射せなくちやできなかつたにも拘わらず、或るものには一回の注射で、そのままになつているものがあるというような話もしているのであります。
 又牛の体重によつて注射の差も付けなければできないのに、体重の測定が不完全であつたというようなこともあるのであります。
 こういうふうないろいろの手落ちから先刻申上げましたような不祥事件が起つたのでありますから、縣及び政府においても最善の策を講ずるつもりで農林省から中村博士がわざわざ來て実地調査をされたというような次第であるのであります。これは全く監督不行届であつたということと、藥が完全でないというようなことに想像されるのでありますが、政府においては徹底的に病氣の予防をされなくちやならないのでありますが、將來においてはかくのごとき失敗がないように、ワクチン、血清の製造においても、注射の実行方法においても万全の策を講ぜられ、予算的措置を講ぜられなくちやできないと考えられるのであります。こういうふうな点について政府の計画及び予算的措置についでどういうふうにお考えになつているのであるかお伺いしたいと思うのであります。
#21
○政府委員(平田左武郎君) 本年実施いたしました牛疫予防の対策、一、二の、長崎縣下壱岐におきまして、お説のような事態の発生いたしましたことは、我々としましても誠に遺憾に存じ上げておる次第であります。これに関連いたしまして、牛疫予防対策といたしまして、政府当局の取つて参りました措置並びに今後の取るべき対策等につきまして、概要を御報告申上げたいと存じます。
 申すまでもなく、牛疫は牛に発生いたしまする傳染病中最もその害惡の猛烈なものでありまして、明治四年にこの問題が発生いたしまして以來、シベリヤとか満洲地方に多くの病源発生地帶を有しまする我が國といたしましては、多年、年々にそうした問題が起つて参りまして、太政官布告の発せられました明治四年の二ケ年後におきましても、直ちに朝鮮からの牛疫の侵入によりまして発生いたし、三、四万頭もそのために斃死したときもあつたように聞いておるのでありまして、その後殆んど毎年大小の流行を反覆いたしまして、全く終熄を見たのは大正十一年のことであつたのであります。ところで、この病源地帶がシベリヤ、満洲、北支の方面から朝鮮を傳つて侵入して参るということでございまするので、この牛疫予防の注射血清等を國内の牛に対して措置いたしますると同時に、進んで病源地帶のシベリヤ、満洲、北支等におきまするこの病気の一掃を図らなかつたならば、到底我が國といたしましては、牛疫の侵入に対して安きを得ることはできないのでございまするので、その後明治、大正、昭和を通じまして、半島並びに大陸方面の牛疫撲滅の措置を政府におきましても考慮いたしまして、明治四十一年には、釜山に牛疫血清製造所を設立いたし、これに先立つて、台湾においては三十八年に製造所を設立する等の措置を講じまして、戰前におきましては、満鮮の國境地帶に牛疫の免疫地帶を構成するというような計画を以ちまして、大正十五年には、豆満江流域の朝鮮側におきまして、幅員約二十キロの全牛群に毎年一回の定期的予防接種を実施するというような、牛疫予防の第一線を構築いたして参つたのであります。尚この期間におきまして、内地におきましては必要な血清類の輸入貯蔵計画を樹立いたしまして、昭和十九年までには毎年五十万CCを釜山血清所より購入いたし、常時百五十万CCは備えまして、緊急に措置し得るような措置を講じて参つたのであります。こうした予防の地帶は、ひとり内地國内のみでなく、朝鮮、満洲を通じての実施を図つて参つたのでありまするが敗戰後の今日におきまして、各種の牛疫予防の従来の施策というものが一挙に崩壞いたしまして、我が日本は牛癖に対して全く無防備に近い状態に置かれる共に、いろいろと朝鮮方面よりの密輸等の問題も、日本海方面において段々と見聞きされるようになりましたので、緊急の措置といたしましてこの牛疫が一朝移入した場合の措置を如何にするかということを、政府当局として考究を重ねたのであります。
 ところで釜山の血清製造所等を失いました結果、日本として持ちましたのは、農林省の家畜衞生試驗場の九州支場、鹿兒島でございますが、そこに取敢ず年間に約三十万CCの牛疫を製造することといたし、又昭和二十二年には更に家畜檢疫の機構を整備いたして、農林省の植物檢疫事務と合わせて、動植物檢疫所を創設するようなことをいたしたのであります。又家畜傳染病予防法を前期国会において改正いたし、牛疫血清については、製造購入に要した費用は全部國庫負担にするというような措置を講じますると共に、侵入の懸念されまする半島方面よりの牛疫を防止いたしますために、更に昭和二十二年分九月から二十三年の二月にかけまして九州、中國、各縣の家畜防疫の主務官を招致いたしまして、防疫の会議を開催いたしまして、その結果取敢ず、農林省が手持の予防接種につきまして、約三十六万CCを持つておりましたので、これを重点的に実際的の防疫方面に利用する措置を講じますると共に、一方各民間の輿論といたしまして、牛疫の予防を是非急速に確立しなければならんというような声に應しまして、兵庫縣におきましては赤穂の町に縣立の牛疫血清製造所を先般完成いたしまして、年間三百万CCを製造し得るよう跡態勢にまで発展して参つたのであります。
 ところで、本年の実施しました措置は、先程申しました三十六万CCの手持の血清を以ちまして、最も懸念されまする地方として九州の長崎、中國の島根、及び家畜衞生試驗場の九州支場の所在地であります鹿児島縣の谷山地方の三つを選定いたしましてそうして先ず鹿児島より手初に行いまして、島根、長崎といろいろの連絡の上において実施いたして参つたのであります。これは手持血清数量が三十六万CCあつたのでありますが、國際檢定基準に照しまして、檢定に合格いたしましたものは、その内二十六万八千CCであつたのであります。これを以ちまして牛に対して注射をいたしますると、平均の体重七十貫といたしまして、一貫当り約〇・六六CCの注射を必要といたしますので、この檢定合格血清を以ちましては六千四百頭分が接種可能である、こういうことになりましたので、これを各縣に振当てまして約、大数を以て申上げますならば、鹿児島縣谷山附近において一千頭、長崎縣の壱岐若しくは対島において二千頭、島縣根、山口縣境の方面においで三千頭を予定いたし、更にこの牛疫予防に関しまする家兎化毒につきましては、連合軍司令部の好意によりまして、すでに昨年の十一月上旬朝鮮から輸入しまして、これを九州支場において保管いたしておりましたので、この家事化毒と牛疫血清の共同注射を行うことといたしたのであります。その結果先ず最初に行いました鹿児島縣の谷山地区の予防接種の状況は、別段の支障も起らず、反應牛のこともなく、無事に済んだのであります。これは頭数を申しますると五百七十七頭、鹿児島縣の谷山町は五百七十七頭であります。これに対しましては何ら見るべき反感もなく、事故がなかつたのあります。次に島根縣におきましては、七月の下旬から八月上旬にかけまして、山口縣寄りの益田町を中心として一町九ケ村の牛二千六百六十六頭について予防注射を実施いたしましたところ、反應牛が百五十二頭発生いたし、その中二頭が死亡するに至つたのでありまして、やや遅れて少数の流産事故が発生いたしたのでありますが、その原因等についてはまだはつきりしない点があるのであります。
 それから更にお尋ねの長崎縣下につきましては、縣当局と打合せの結果、壱岐、対島、いずれを選ぶかという問題があつたのでありまするが、縣の意向に従いまして、壱岐の南部地方一町五ケ村を選定いたし、七月下旬から二千三百十二頭に予防注射を実施いたしたのでありますが、注射後一週間頃になりまして、下痢熱発を主とする注射反應感が続出いたしまして、合計五百五十頭になつたのあります。その中の重反應のものが九十七頭、死亡が六頭。又重反應感牛の哺育いたしておりました仔牛に六頭発生いたし、その牛又同居中の一頭について事故が起つたというようなこともありまするし、更に遅れて流産の事故も起つたのであります。これについての措置ということにつきましては、只今お話のございましたごとく、農林省といたしましても直ちに衞生試驗場の中村博士並びに畜産局上りも衞生課の担当官が出張いたしまして各種の調査を行つたのでありまして、今日まで大体分つておりまする点もございまするし、又若干不明の点もあるのであります。
 先ず、第一、実施期の当時の実情を申しますると、只今申しましたように、血清の数量から限定されておりまする関係上、重点的に実施しなければならんというような点がありましたし、更に又日程につきましても、壱岐においては一日の注射頭数が平均五百頭内外であつたのでありまして、これらの点においては別段措置を失したとも考えられないのでありまするが、たまたま雨天の時期で或いは牛の中に疲労していたのもあるかも知れないというようなこともなつたようであります。又体重の目測によつて注射量を決定いたしたというような関係から、これらの点においては若干粗に失したこともなかつたとは言えないようでございます。併しながら牛疫の予防注射も結局從來の予防注射と、注射の方法上は性質上の相違がないのでございますので、專門家の行なつた予防注射そのものに対しては重大な過失があつたとは認めることもできないような実情にあるのであります。
 尚ワクチン即ち家兎化毒の点でありまするが、家兎化毒の注射液製造は牛疫の家兎化毒を接種いたしました兎を、注射前に屠殺いたしましてその腸間膜淋巴腺から注射液を製造するのでありまして、その製造過程におきまして技術の巧拙ということは毒の強さに反比例するというようなことにもなつておりまするので、若し技術がまずかつたならば毒の強さが少くなるというようなこともございまするからして、注射事故が、家兎化毒の注射液の製造法が未熟であつた、ということにも必ずしも認められないようなことがあるのであります。但しこの共同注射の際に血清の注射を洩らしたものもあつたような事実もございまするが、併しながらこれが果してこの事故の主要の原因であつたかどうかというようなことも十分に断定もでき兼ねまするし、又注射量の不同というようなことも問題にもなつておつたようでございますけれども、これは技術者がすでに一般の予防注射の技術を体得しておることでもございまするので、民間において想像されるようなそうした大きな過ちがあつたとは考えられないような点もあるのであります。
 尚血清が古かつたからというようなこともございますが、これは家畜衞生試驗場の本場に保管しておつたものでありまして、これを再檢定の上実施いたし、少くとも六月の上旬に鹿児島縣下に應用した場合には何ら事故がなかつたのでございます。これはこの血清が終戰前からの保存になつておつた物でございまするからして、單に年数が経過しておつたという理由のみを以ては直接の事故の原因ともみなされないのでありまするが、これは檢定後約二ケ月半を経ておりまするからして、その間に変化が起つたかどうかということも考えられ得るのでございまするけれども、この点につきましては、家畜衞生試驗場の九州支場で再檢定いたしました結果によりますると、國際基準には合格しておるというような成績が出ておるのであります。
 尚重症の牛並びに注射部に膿を出した牛などの点もございまするが、この反應牛の発生原因につきましては、非常に重要な家畜衞生上の問題が存在いたしておりまするので、これらの点につきましては、更に愼重に調査をいたしたいと考えております。尚注射中が化膿いたしました原因につきましては、注射後の摩擦を省略したというようなことも認められるのでございまするが、これらの点につきましては、一般の技術教育にまだ欠陷があるというように存じておりまするので、今後は技術者の教育につきまして更に格段の努力を拂いたいと考えておるのであります。
 最後に賠償の問題でございまするが御説のように、現行法によりますると、傳染病予防法の第二十四條の第一項の第三号並びにその法律に基きまする政令によりまして、最高額が二万八千八百円也決定いたされておるのでありまして、政府といたしましてはこの事態に対処いたしまするために、血清牛の購入、製造に要した費用並びに家畜防疫人の旅費手当等は全額とし、そうして牛の死亡の賠償につきましても法律に許されました最高額を定めまして、すでに縣当局に対しましてその内指令を発しておるのでありまして、申請書の到達を待つて支拂うよう準備を具えておるのであります。
 尚縣におかれましても、ひとり法律の命ずることだけでこと足りるといたさず、農民諸君の動きを十分に察知せられまして、殆んどその満足せられる手当金を支拂われておるというようにも聞いておりまするので、実際においての問題はすでになくなつたことと存じますし、又この善後措置としての衞生上の見地からの手当といたしましては、事故発生の報を得まして直ちに免疫血清を急送いたしまして、そうして反應牛の注射に努めました結果、約半ケ月で大半は全快いたし、その後約半ケ月を経て、即ち一ケ月後におきましては、この反應牛も全部終熄いたしたような次第でございますので、本年度の問題としては、とにかく各般の御心配をかげながら又政府といたしましてもできるだけの措置を講じまして、先ず円満なる善後措置を講ずることができたわけであります。
 そこで更に將來の問題を考えますると、只今御指摘のように、法律の定める二万八千八百円、これは現在の時價から見れば不当に安いのではないかというような点は我々としてもその氣持は十分持合せているのであります。ただいろいろと各般の立場といたしますると、この金額は昨年は四分の一であつたのを、法律改正に伴いまして大藏省と折衝の結果、やつとで二万八千八百円まで漕ぎつけたというような実情になつておりますので、時を経まして適当の機会に実情を説明いたしまして、御満足の行くような金額に引上げることに努めたいと考えているのであります。勿論予防注射の制度そのものの完璧を期することは当然のことでございますので、血清も製造の方面におきまして施設の万全を期しますると共に、先程申上げましたように、民間と申しまするか縣当局の施設といたしましても、新しく片方に兵庫縣の十万頭の牛の所有者が各二百円づつ醵出して二千万円の新しい牛疫製造所を建設されたというような心強いこともすでに完成いたしておるのでありまして、その必要な経費を國庫よりお渡しいたしまして、そうして國の施設と縣の施設等と相俟つて完璧を期するようにいたして参りたいと考えているのであります。
 尚先程申しましたように、根本的には朝鮮、大陸方面において長年に亘つて構築されました牛疫予防の施設が、一挙にして荒廃したというようなことを受継いでの現状に逢着いたしておることでございますから、時間的に申しますれば、直ぐさま完璧な状態に至らしめるということにも、非常に困難な実情でございまするので、我々としましてはできるだけの努力を拂いまして、皆さんの御安心の行きまするように、逐次整備を重ねて参りたい。かように考えておる次第であります。
#22
○藤野繁雄君 只今局長さんから詳細な説明を聞いて安心したのでありますが、鹿兒島縣の場合でも、島根縣の場合でも、殆んど斃れたものはない、長崎縣で僅かあつただけだ、こういうふうなことを聞いて私は安心したのであります。かくのごとく技術が將來進歩するに從つて斃れるものがないと仮定いたしましたならば、私などはこの傳染病予防法の三万円というのを時價ということに改正してでも、國家の負担は増大しないものであると信ずるものであります。のみならずこれが、農家が喜んで進んで予防注射をするようになり得ましたならば、國家の將来のためにも畜産奬励のためにも慶賀に堪えないのであります。でありますから第二國会で改正後間もないことではあるけれども、畜産振興上から考えて見ますれば、私が申上げるように三万円を超えざる範囲内ということでなくて、時價の範囲内においてというようなことに改正するのが適当であると信ずるのであります。私などはすべての事業をするのに、繰返して申上げますが、國民が進んで喜んでやり、且つ政府の負担がないとしたならば、これより最善の方法はないと信ずるのでありますから、百尺竿頭一歩を進めて、直ちに三万円を、時價の範囲内において、というように改正するように取計らいをお願いしたいと思うのであります。これに対する御意見を拜聽したいと思います。
#23
○政府委員(平田左武郎君) 非常に防疫の措置が完璧になつておりまするならば、お説のように殆んど牛疫が発生しないと存じておりますが、これは完璧の理想状態のことでございまするので、大陸方面の防壁を一挙に崩壞せしめられた現在の我が國の状態におきましては、これは只今いろいろと御説明申上げましたような事情が起り、又これに対して措置を採らざるを得ないこともあるかと思うのであります。從つてこれは牛疫予防の施策を一挙に完璧に至らしめるというには、これは困難な実情がありますので、漸次施策を重ねてその状態まで、即ち戰前において約大正十一年から殆んど終熄いたして、何らその心配がなかつたというような状態に持つて参りたいと思つておるのであります。大陸方面の防壁の崩壞ということ並びに内地におきまする施設も、赤穂の血清試驗場も十月に建築の完成を遂げたというようなことでございまするので、ここに若干の時日がかかるかと思います。
 それから今一遍この賠償金額を引上げるということにつきましては、我々としては全く同樣の感じを持つておるのでございまするが、問題は大藏当局との折衝に俟たなければならんことでございまするので、そうして又本年は昨年の四倍に引上けたといろ経過もあるのでございまするので、藤野委員の御趣旨をよく体しまして、今後大藏当局方面と折衝を続けて参りたいと、かように考えておる次第であります。
#24
○委員長(楠見義男君) 尚いろいろ御質問があると思いますが、この問題に関連して、全般の畜産振興問題についていろいろ意見を交換したいと思います。御承知のように畜産振興の問題は有畜農業という観点ばかりでなく、日本の食糧対策上も極めて重要でありますので、第一回及び第二回國会におきましても、畜産振興の問題を当委員会といたしましては、重要な問題として取り上げたことは御承知の通りであります。そこで第一回、第二回國会とも畜産振興方策についてそれぞれ畜産当局の意向を質し、又それを中心としていろいろの質疑が行われたのでありますが、その後計画も多少変更し、文或る程度進捗しておる状況もありまするし、例えば飼料関係といたしましては、依然としてなかなか窮屈のような状況であるようであります。これらの問題について、この際畜産局の方から説明を伺つたらどうかと思いますが、御異議ございませんければ、さように取り計らいます。よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(楠見義男君) それでは畜産局長から、畜産全般の振興方策についての御説明を伺うことにいたします。
#26
○政府委員(平田左武郎君) 戰後の我が國の畜産業は、申すまでもなく一般の國民食糧の窮迫いたしておる実情の下に、飼料の問題が非常にやかましい問題になりましたので、終戰後の畜産の振興を図るということは、なかなか困難な実情に置かれておつたのであります。そうした関係上一種の危機に当面しました畜産業を振興いたして、農業経営の合理化、農家経済の安定を図り、栄養食糧の確保と畜産資源の開発に努めて、國民の食生活の改善に資する。或いは又輸送力の増強に資するというような観点から畜産振興の対策は、かねてより関係者の間で考慮されておつたのでありましたが、昨年それが畜産増殖の五ケ年計画となつて現われたのでございます。その五ケ年計画の大要はお手許にもあるかと存じますが、昭和二十一年の家畜頭数の約三割を増したもの、即ち家畜単位で申しますと、四百三十一万頭を五ケ年計画を以て昭和二十七年に実現せしめよう。現在より三割増した数量を五ケ年計画を以て実現せしめよう。こうした意図を持つた計画であつたのであります。
 ところで中央の畜産審議会におきまして樹立されましたこの目標頭数を地方に移して、地方民の要望を伺つたところ、最近は意外に畜産振興の熱が普及いたしておりまして、馬におきましては、目標頭数をやや下廻りましたけれども、その他の乳牛とか、豚とか、山羊、緬羊、鶏につきましては、遥かに中央で考えました数字を上廻りまして、総計は四百七十八万八千家畜單位という結果になつたのであります。それで経済安定本部で施策中の五ケ年計画に即應いたしまするがために、これらの二つの数字を持ち寄つて安本と折衝いたしました結果、その中間的の数字に落ち着ききまして、二十七年度の目標といたしましては四百五十九万家畜單位、更に年度が一年間ずれました二十八年度の目標といたしましては、四百九十万四千家畜單位が目標として掲げられるに至つたのであります。この数字は過去の比例から見ますると、昭和十九年が四百八十万家畜單位でございますので、そこで最高を示したものでございますが、それから見まして、約十数パーセント増した状態に持つて來ようというのでありまするが、一方農業経営上必要とする家畜の頭数並びに國民の栄養食糧確保の上から必要とする家畜の頭数等と考え合せますると、まだ遥かに下廻つておるのであります。即ち農業経営上必要とする家畜頭数は六百七十万家畜單位と見られておりまするし、國民栄養食糧確保の見地から必要とせられまする家畜頭数は七百八十方家畜單位とせられておるのでありまするが、他面飼料の事情なり家畜の繁殖能力等をも併せ考えなければならないので、現状に即して只今申上げました数字に落ち着いたのであります。さて目標数字はかく樹立せられたのでありまするが、この目標を具体化すべき実際上の方策がどういう持ち合せがあるか、こういうことに段々と問題はなつて來るのでございましてこれにつきましては飼料の問題があり、金融の問題があり、牧野の問題があり、又家畜衞生の問題があるのであります。
 この内先ず飼料の問題から申上げまげるならば、食糧との関係で飼料の確保が最も困難を告げておつたのでありますが、最近になりまして、大分國内の食糧に裕りを感じ得るようになつたと同時に、飼料の輸入につきましても、連合軍司令部厚意ある取計いによりまして、段々と前途の明るさを考え得るような状況になつたのであります。輸入飼料の数字を申しますると、お手許に差上げてありまする表にもありまするように、昭和六年、九年乃至は十四年頃は百万トン以上の飼料の輸入を見つつあつたのでありまするが、戰爭中段々と減つて参りまして、殊に戰後は激減いたしまして、昭和二十年の九万五千トン、二十一年の一万五千トン、二十二年の二千三百トンというような非常な激減を見たのであります。こうした関係上畜産の増殖ということも、飼料に裏付けをいたしました計画的の目標の下に推進するということに著しく困難を感ずるようになつたのでございまするが、一面國内飼料の最大限の利用確保というような見地から、本年度初めには飼料公團によつて統制するとか、或いはその他の未利用の人工飼料につきましても利用法等を試驗研究を進めるとかいうような措置も取つておるのでありまするが、輸入飼料の現況を申しますと、お手許に差上げてありまする表にありまするように、現在まで確定的のものが飼料自体の輸入資金によるものとして約三万五千トン、それから農家保有の飼料用の轉換を引当とするもの、即ち麦類、芋類、雜穀等が農家の飼料用として保有せしめることになつておるのでありまするが、これを外國よりの、「とうもろこし」等と置き換えてそうして食用に廻すという措置として現在輸入が考慮されておりまする四万トンがあるのであります。以上が確定的のものであります。その外現在交渉中のものといたしまして濠洲産の麦類、これは先般決定を見ました目印通商協定のポンド決済の方式によつて輸入することになつたのでありまして、恐らくこれが本年内に契約が成立しました來春から……。これは決つていないそうでありまするが、輸入を見るものと考えられますのは二万トン、それから脱脂粉乳の見返りとして輸入せられます飼料、即ち育児、乳幼兒の食用といたしまして、アメリカから脱脂粉乳を輸入することといたしておつたのでありまするが、これが現地の都合によりまして脱脂粉乳を確保することができませんので、飼料を輸入して日本で乳幼兒の食料を造るというような方式に切替えることにいたしておるのでありますが、これが約一万二千トンあるのであります。以上合計いたしますると、数字といたしまして十万七千トンという数字が出て参るのでございまして、表で御覧のように二十年、二十一年、二十二年の惨澹たる数字と比較して見まするならば、我々としても一沫の希望を持ち得る状況にまで到達しつつあるのであります。尚その他に或いはコプラを輸入してその搾り粕を乳牛用にし、その油から石鹸を製造して海外に輸出するならば、殆んど資金なしの飼料が確保できるというような案も提出されておりまするし、非常に有利な案と考えますので、我々としましては実現を図るようにして参りたいと考えております。尚インドよりは新らしい飼料の食物も入つておりますし、アメリカの「とうもろこし」の生産も大豊作を傳えられておるというようなことでございまするので、資金の面乃至はその他の交渉がよろしきを得ますならば、我々としてもこの計画も実現することができ、更に又一歩を進めて参ることができるのではないかと考えでおるのであります。
 尚そうした飼料の問題の外に、鷄の黙としましては、只今申上げましたのは蛋白質でございませんで、澱粉質でございますが、鷄その他の飼料といたしまして、蛋白質の飼料を確保する必要が非常にあるのであります。これにつきまして、目下國内資源としては魚粕が重要な地位を占めておるのでありまするが、いろいろと統制機構の欠陷と申しますか、不整備よりいたしまして、今日のところは十分にそれが家畜使用者の手許に入つていないというふうな実情にございまするので、関係部局と連絡いたしましてへその方面の整備を図りつつあるような次第であります。尚この一般的飼料対策の外に一つ畜産部面において大きな問題として叫ばれておりまするのは、酪農の問題を如何にするかということであるのであります。即ち乳牛は一般の役牛乃至は馬類と比較いたしまして、非常に多くの蛋白飼料を要求いたすのでありますが、そうして生産された牛乳、乳製品は乳幼児、病人等の一種の主食とも申すべき性質を持つた重要な食糧であるにも拘わりませず、この間の牛乳、乳製品の生産、供出と農家の必要といたしまする飼料の確保との点におきまして、確乎たる連関がつけられていないというようなことからいたしまして、乳牛を飼育いたしておりまする途上におきましても、供出が段々と窮屈になつて参りますと、殆んどその方面に取られて、牛乳生産者は麦類その他も供出しなければならず、又できた牛乳、乳製品も供出しなければならず、いわゆる二重供出の苦みを受けておるということが愬えられておるのであります。これに対処いたしまするがために一種の乳牛のための畑を確保するということも考えられまするし、又牛乳の生産数量にリンクして必要な飼料を配給するというような措置も取られるのでありまして、農林当局といたしましても、今日までそれらの施策を著手いたして参つたのでありまするが、実施の経過においては必ずしも良好の成績を收めておらなかつたのであります。飼料の配給の点につきましては、牛乳一石出せば麦類を三斗三升リンク的に配給するというような措置を取つたのでありましたが、これが非常に空手形に終つておるというような非難を受けておつたのでありますけれども、この点につきましては幸い最近の飼料輸入状況の好轉と睨み合せまして、段々と前にやるべき飼料が時間的のずれはありますけれども、逐次約束を果しつつある次第でありまするが、更に百尺竿頭一歩を進めてこの酪農の確立と申しまするか牛乳、乳製品の供出と関連しての飼料の問題を如何に安泰な地位に置くかという問題につきまして、大きな問題が存在いたしておるのであります。
 飼料の問題についての畜産界におきまする現下の問題は金融の点なのであります。一昨年までは農村金融も非常に潤沢でありましたので、家畜もどしどし出るというような状況であつたのでありまするが、昨年以来農家の税金負担が重加して参りましたのに関連いたしまして、家畜方面に廻される資金も非常に圧迫を重ねて参るということで、この畜産金融をどうするかということが大きな問題となつているのであります。これに対しまして民間の金融並びに政府資金を導入するという二つの方法があるのであります。先ず政府資金の関係から申しまするならば、目下一般の農林、漁業について復興資金の融通を政府資金で以て行つておるのでありますが、その計画の一環の中に畜産資金を要求いたしておるのであります。この農林漁業復興資金は二十三年度の融資計画は約四十億と考えられましたその中に畜産関係においては五億六千六百万円が一應計画されておつたのでありまするが、この問題は、段段と復金と安本方面との折衝の結果、第三四半期の決定額といたしましては、総額が二十億円となりまして、その中にアイオン台風の災害復旧費であるとか、福井の震災復旧費であるとかいうような誠に止むを得ぬ要求があとからあとからと出て参りますような関係もありまして、そうして又資金の中におきましても、公共事業の所要費を優先的にするというような関係もありまして、畜産に認められておりまする枠は現在のところ一億一千五百十三万三千円であります。それからその他に復興金融金庫の金庫資金融通といたしまして、畜産関係の工場に対しまする融資を要求いたしておるのでありまして、これは動物医薬品の工場施設でありますとか、動物用用具の工場施設でありますとか、飼料工場の施設でありますとか、農用の車輌工場の施設でありますとか、卵を取る場所の施設でありますとか、アンゴラ兎をいたしまする施設でありますとか、合計十四件に対しまして、本年九月までに一千七百二十五万五千円が認められておるような実情であります。これが政府資金の或いは復金から直接に、或いは農林中央金庫から融通するというような方式を以て今日までやつて参つたのでありまするが、さて一般銀行方面の融資ということになりますると、農林省の総務局斡旋額は約九千五百万円を超えたのでありまするが、これはまだ全部は融資されていないというような実情でございますので、その他の一般の民間金融機関を動員しての畜産金融という点になりますと、実は今日まで金融上の取扱いに非常に縁が遠かつたというような、制度的の措置の縁が遠かつたというような関係もありまして、その方式が確立しておらないのであります。ところが昨年以來の金融梗塞に直面いたしておりまするので、家畜の生産者並びに飼育者、両面とも非常にこの金融難をかこつておられるような実情にございまするので、我々としましてはこの問題を一つ採り上げて、しつかりした方式を確立したいという意図の下に、目下畜産審議会の金融専門部会を特設いたしまして、この問題を解決しようと努めているのでございます。荷見前農林次官に委員長をお願いしまして、この問題を解決いたしたいと思つているのでございますが、この点は非常に畜産会といたしまして、重要な問題でございますので、委員各位におかせられましても、いいお考えがございましたら是非お教えを頂きたいと考えているのであります。
 次は牧野の問題でございます。飼料の根源である牧野、家畜育成の根源でありまする牧野の問題でありまするが、約百五十万町歩という牧野も、農地改革の観点から四十万町歩は農業方面に開放せしめられるというような方針がございまして、実際は調査の結果二十万町歩となつたのでありますが、それにいたしましても、牧野百五十万町歩の中二十万町歩取られることになりましたので、今後振興を図るべき家畜の増殖ということに非常に欠陥を生ずることになつたのであります。從いまして我々としましては、牧野の改良、合理化というものをどういう方面で、どういう方法で推進して参るかということが当面大きな課題となつたのでありまするが、結論といたしましては、我々が持つておりまする案は、残つておりまする牧野の中約二十二万町歩に対しまして、牧野集約合理化の改良施設を講じ得たならば、失つた面積より生じまするところの粗飼料給源の草類を確保することができるという結論に到達いたしまして、その施策を立案推進いたしつつあるのであります。取敢えず二十四年度におきましては十一万町歩を調査いたし、それに対しまして四万二千百十一町歩に対して、改良集約化の措置を講じて参ろう、これによりますれば、從來の未改良牧野でありますれば、一町歩から三トン半の草しかできないけれども、改良牧野になりますると、一町歩から十二トン取れる、実に三倍半の飼料が確保できることになりまするので、これを以て牧野面積に生じました欠陷を補填して参りたいと考えておるのであります。この事業は予算的に申しますと、公共事業費になつておるのでありまして、当初は一町歩に対して約二万円の要求をいたしたのでありまするが、農林部内でいろいろ檢討、査定の結果、九千百余円ということになりまして、総額三億八千三百四十万円余の公共事業費予算を牧野改良のために要求いたしておるのであります。その中には、放牧地と採草地とありまして、いろいろと改良施設としての優良牧草を導入いたすとか、或いは排水施設を整備いたすとか、或いは施肥の、科学的の肥料は用いませんので、炭酸カルシユーム等を使うとか、工夫をいたしまして、そうしてこの面積を改良して参りたいと考えておるのでございます。これはまだ勿論予算が決定したわけではございませんけれども、農林省といたしましては、牧野開発のために三億八千九百万円の公共事業費予算を要求しておるということになるのでありますが、尚牧野に関連して今大きな課題となつておりまするのは、國営種畜牧場の整備という問題であります。現在農林省といたしましては、北海道を初め全國に二十五の牧場を持つておりまして、馬、その他の家畜、種畜を製造配付をいたしておるのでございまするが、この点が、これ又農地改良の点、並びに農業試驗研究機関を整備するという見地からいたしまして、司令部よりもこの牧場に対しまする整備の要求を受けておるのであります。その一つのポイントは現在の國営牧場は二十五あるのでありますが、その面積は四万三千五百八十八町歩になつておるのであります。勿論その中には山林等の利用困難な面積もありますけれども、併しながら北海道には一千町歩内外の牧場も相当あるというようなことからいたしまして、この國営牧場の面積が経済的利用の見地からいたしまして多きに過ぎるのではないかということは一つの司令部の見解の点であるのであります。いま一つはこれの利用方法として予算上の問題が民間の経営に比して能率的でないではないかとこういう意見があるのであります。即ち民間の牧場は比較的小さな面積を以て相当数の種畜を育成供給いたしておるにも拘わらず、國営牧場については面積も非常に大きいし、又予算もそれに伴つて大きくつて十分民営事業に比較して能率が挙つていないではないかとこういう点であります。一勿論その論点の中には十分傾聽すべき意見もございまするし、又北海道の牧場等につきましては勤労馬の育成というような見地からいたしましてその非難に当るような点もないのではないのでありますが、併しながら日本の畜産は世界的に見ますれば非常に後進國であります。この優良種畜の育成というような事業の技術、その資力というものを挙げて民間に委するというにはその時期に達していないと考えられるのであります。明治の中葉から今月まで國営種畜牧場は畜産の発展のために相当の種畜を供給いたして今日の状況を具現いたして参つたのでありまするが、そうした観点からの整備を要望せられまして、我々としましては今日も実際に即した整備の方針ということはこれはもとより取らざるを得ないというような見地からいたしまして、非常に周密に数の多いところの牧場につきましては若干他の用途に轉換せしめるとか、或いは面積の多い地方に対しましてはこれを食糧増産の方面等に、農業改革の方針に向つて轉換するとか、更に試驗研究問題の整備の見地からいたしまして、家畜の試驗機関に轉用いたして参るというようなことも考えておるのでありまするが、この点につきましては司令部当局としても更に何と申しまするか、突進んだ考え方を持つておられまして余り時の余裕を與えず而も相当急速な改革を行わせるような意向を持つておられまするので、我々としましてはこの問題は尚畜産技術の方面にも非常な重大関連を持つておりますので、司令部当局としてはそうした技術の会合を設置いたしまして、それに諮つた上革新のある案を実施したいということを御約束を申上げてあるのであります。一つの大きな問題としてこういう問題が存在いたしておるのであります。最後の家畜衞生の点につきましては日本脳炎の問題なり、すでに御質問にお答え申上げましたのでこの点は省略さして頂きたいと思います。
 尚畜産局といたしまして背負つておりまする大きな問題は國営競馬の施行の問題であります。これは前國会の終りに両院を通過いたしました新競馬法に基きまして國営の競馬を畜産当局といたしまして実施いたしておるのでありまするが、私自身も中山、府中等を若干見聞いたしたのでありまするけれども、今日までのところはさしたる問題もなく、又司令部の監視等もありまして、極めて粛然と行われておるように見受けておるのであります。いろいろ競馬法の施行に関連しまする問題等も多々あるわけでございますが、そうして又法律の末條に一年以内を区切つての改廃の措置を約束されているというようなことでございますので、後日又御審議を煩わさなければならんことがあるかと思います。今日までの國営競馬の実備としましては、さして問題もなく進行しておるように見受けますので、その点を御報告いたして置く次第でございます。尚最後の法律案の点につきましては、本日事前審査をお願いいたしました馬匹去勢法を廃止する法律案の外に二つばかりの法案を御審議願わなければならん情勢にあるのでありまして、その第一は家畜市場法の廃止、これは家畜の市場につきましては現在地方長官の許可制度になつておるものでありまして、そうして一定の農業團体等につきまして特典が加えられておるのでありまするが、これが現在の私的独占禁止の見地からいたしまして、許し難いというような情勢にもなつておりまするし、又取引を不当に拘束するということに基きます関係業者の不便というような見地もございまするので、この法律の廃止について御審議を願わなければならんと思います。又もう一つ畜産に関係いたしまする農業協同組合が馬匹組合等から財産の移轉を受けまする場合の課税の特例に関しまする法律案、これは從来の農業会につきまして、措置せられましたと同樣の取扱を畜産の團体に対してもおとり願いたいということでございまして、内容は短い案でございまするが、その三つの法律案を本國会において御審議御協賛頂きたいと思つておる次第であります。
#27
○委員長(楠見義男君) 御質問ありましたら……。それじや私から皮切りに質問をいたします。四つほどあるのですが、一つは畜産振興方策の具体的な数字についてのお尋ねなんですが、本日頂いた畜産の現況表と第二國会で御配付を頂いた畜産の現況についてという表とについてですが、第二國会で頂いた表で行きますと、昭和二十一年の現在頭数が乳用牛は十六万三千二百五十八頭となつておるのです。ところが一年後の本日頂いた昭和二十二年の現在頭数では、十五万九千百八十一頭、約四千頭ばかり乳牛が減つておるのですが、先程お話になつたように栄養、特に酪農関係からの重要性からいいますと、これは更にのびることについて御努力願わなければならんと思つておるのですが、只今増殖目標の新目標においても今まで決定しておりました二十七万六千頭より更に減る。二十三万一千頭に減らす、こういうことは、栄養食糧対策の観点から申しましても、少し変に思うんですが、そこでこの問題については、先ず一つは二十一年から一十二年の間にこういうように減つておる。これは飼料関係等で減つておるんじやないかと思うんですが、その理由と、もう一つは増殖目標において著しく減らしておる。而も地方目標三十万頭になつておるが、それも減らして殊更少く二十三万一千頭にしておるという理由、これを一つ伺いたいと思います。
 それから兎、鶏等はその後相当殖えておるんじやないかと思つておりましたが、二十一年、二十二年共に全く同じ数字になつておるが、調査の正確と言いますか、前の調査が不正確であつたのかどうですか、この事情……。外の方は大体殖えておるようですがその状況を先ず第一に伺いたいと思います。
 それからその次の問題は飼料についてでございます。輸入食糧の……輸入飼料の点については、やや朗らかな情報を承わりまして、大変安堵いたしましたが、一方國内産の飼料が二十一年、二十二年、二十三年と段々と著しく減つて来ておるように思うんですが、一方輸入飼料の要請を強くする一面、國内産の飼料についても相当これは増産の努力をしなければならんと思うのですが、こういうふうに著しく減つておるのはどういう事情か、それを次に伺いたいと思います。
 それから第三番目の問題ですが、牧野関係、特に畜産振興の基礎の種畜牧場整備の問題については、私共非常に関心を持つておるんですが、司令部からの要請の点も誠に尤もな点もあると思いますが、同時に畜産局としても、この問題については特に力を入れて、何も現有設備を補修する必要は毛頭ありませんが、極めで合理的に而もいわゆる文字通り整備の点に努力を願いたいと思んですが、これは希望ですが、その問題に関連して請願がこの委員会に出ておりまして請願の第四号で宮崎種畜牧場存置に関する請願というものが出ておるんですが、宮崎縣は畜産農業縣で非常に優秀の縣である。総合種畜牧場としての條件を完全に具備しておる。從つて存置して而もこれを拡充して貰いたいという請願が出ておるんですが、これに対しての御意見を伺いたいと思います。
 それから最後に競馬の問題、競馬の問題につきましても、やはり請願が出ておりまして、福島の競馬場再開促進についての請願が出ております。請願第百七十八号で、昭和二十四年度春からやつて貰いたいという請願が出ておりますが、これについての御意見等も伺いたいと思います。
 大体以上四項目についでどなたでも結構ですから……。
#28
○政府委員(平田左武郎君) それでは初めの数字の問題につきまして、前國会の模樣等を私承知しておりませんので、関係官から御説明申上げたいと存じます。
 次に種畜牧場についての宮崎の問題であります。宮崎の種畜牧場は、これは我々が持つております内地の牧場といたしましては、非常に優秀な牧場でありますので、仮に整備というような問題がありましても、この宮崎牧場は捨てて置けないという考えを持つてお参りますし、目下のところは私有地もその点直ちにどうこうという意見はないのでございまするので、差当り御心配はないと存じております。
 第二の、福島におきまする競馬の開催の問題、この問題につきましては、私も市長並びに縣会議員の方から承つたのであります。福島の競馬場は市内にありまするが、現在のところはまだ設備も何だというので旧舍等は引揚者等の住宅に轉用しておる、こういう情勢にあるのでありまして、その引揚民等の住居の問題を解決いたして、それから競馬を再開するようにして欲したいという、こういうようなお話であつたのであります。現在國営競馬として予定いたしておりましてまだやつていないものは、宮崎、新潟、函館等もございまして、この中でどれをどうするかというようなことにつきましては、目下我々の方としましても愼重に研究いたしておる次第でありますので、地元の意向とも睨み合せまして更に検討の上において決定いたしたい、こう考えております。
 それでは二十一年、二十二年の乳用牛の、数字が減つておるのはどうかという点と、餌の点で、國内の餌が減つておるのはどういうことであるか一つ畜産課長からお答え申上げます。
#29
○説明員(伊藤嘉彦君) 御説明申上げます。只今正確な前國会の材料を記憶しておらないのでありますが、ここで申上げております畜産の現況の現在頭羽数と申しますのは、実はこの地方目標を、そこに差上げてあります地方目標を作ります際におきまして、全國各地におきまして現在の頭羽数はどういうふうになつておるかということを直接地方の主任官から聽取をいたしました数字が現在頭羽数の大体の基礎になつております。でありますので誠に申訳ない次第でありますけれども、この現在頭羽数は実は或る程度推定を含んでおります数字でありますので、そのようにお考えを願いたいと思うのであります。乳牛の減りましたのもそういう関係もあるかと思うのでありますが、実際には乳牛等は実は私共も意外に思います程の状況になつておるようであります。推定の数字が或る程度本当を現わしておるのではないかという心配をいたしておりまして、そういう関係からいたしまして、今度新らしく目標を立てます際におきましても種畜の実際の状況及び生産の実際の状況等をよく勘案いたしまして、前の計画におきまするよりも生産の率を相当に調整をいたしましたので、こういう少くなつた目標になつておるのであります。併しながらこれは必ずそういう目標に進みたいという確実性を希望いたしまして目標を立てたのでありますので、そういう意味で考えて行きたいと思つております。
 それから、鶏、兎につきましては御指摘の点もあるのでありまして、これは実際のところを申上げまして正確な統計がないのであります。むしろ昔の古い数字を使つておるような状況でありまして、今年確かこの一齊調査をいたしまして、もう近く推定でなく統計的なはつきりした数字が出て來ると思いますが、現在のところはやや昔の数字を使わざるを得ない、又小動物になりますと推定と申しましてもこれ亦非常に大きな誤差を含むようなことになりますので、実は古い数字を使つておるような関係もあるというようなことで御了解をお願いいたしたいのであります。政策をやつて参りまする際におきまして、現在の頭羽数少くとも一年の間における、或る地点におけるこの頭羽数が正確に掴まれておりませんと実は政策の基礎が立たないのでありますけれども、從來ともに統計の不備若しくは費用の不足等の関係からいたしまして、この一番大事な点が抜けておりますので、いつでもミスその他申訳ないことがあるのであります。どうぞ御了承お願いいたしたいと思います。
 それから飼料の問題で、國内の資源が頗る減つておるというお話でありまするが、これらの点につきまして事情を申しますと、大体大きく分けまして二つの方法で説明がつき、実際が了解されると思うのでありますが、その一つは御承知のように飼料と申しますると、米糠、麩等、いわゆる副産物であります。米糠のごときは御承知の通り、段々黒い米が配給されるようになるというようなことからいたしまして、自然に数が減つて來ておるのであります。食糧事情のためにこういうふうになつております。米糠の数字だけを取りましても、少くとも何十万トンというものが生産をされておりましたものがずつと減つて参つたというような関係からいたしまして大きく響いておる。麩にいたしましても同樣搗精率というものが高率になりましたので、そういうふうになつて來ておるのであります。これらが飼料が非常に減つた大きな原因の一つであります。
 又魚粕は蛋白の資源といたしまして大きいものでありますが、魚の生産も戰時中以降の減産ということからいたしまして、自然に副産物でありますところの魚粕というものが大きく減産を來しておるということになつております。
 それからもう一つの方面、飼料の資源の減つた方面といたしましては、本來飼料の資源として又食糧の資源としてあつたもの、例えば農家で使つております大麦等、こういうものは本來は飼料とも言え、又食糧とも言え、両方共通のものであります。こういつたものが食糧事情の逼迫からいたしまして、段々農家に保有されるところの量というものが明らかに減少を來してるのでありますので、こういつたものの減少をいうものを見合せますと、それらの原因からして逐年この國内資源というごときものが減少を來しておるのであります。この減少に対しましては、減少の原因以外のものでありますので恐縮でありますが、局長もお話がありました通り、更に未利用資源というようなものの利用をもつと進めて行くというようなことも考えたい。或いは副産物の生産ということについても食糧との見合いにおきまして、尚合理的の解決方法はないものかということを考慮いたしましたり、畜産と農家との関係におきまして、適正な農家の保有量を見出して行くというようなことも、酪農を中心にして進めて参るというようなことが是非必要なのでありまして、畜産振興計画におきまする國内飼料資源の数字といたしましては、もう少し大きいところの例えて申しますと昭和二十三年度におきましては、國内において百七十二万トンぐらいは飼料の方に廻して貰いたい。昭和二十四年度におきましては、二十四年度は百九十三万トンぐらいは國内資源に飼料が廻るのではないか、勿論これはいろいろの施策を施しての後であります。こういうような考え方からいたしまして、計画を立つておるのでありまして、大体こういう状況でございます。
#30
○委員長(楠見義男君) 昭和二十三年はこの表では百二十八万六千トンになつておりますが、この表では今お述になつた副産物飼料と共通飼料の惡化の状況というものは、二十二年から二十三年に亘つては、この数字が示しておるような惡化でなく、むしろよくなつておるのじやないか、にも拘わらず二十三年は二十二年よりも二十万トン近く減つておるのはおかしいじやないかという意味です。
#31
○説明員(伊藤嘉彦君) これは少しかおしいから取調べます。
#32
○石川準吉君 飼料問題についてちよつと伺いますが、昭和五年から二十三年のこの表を見ますと、戰事前におきましては相当マイナスの飼料があるようでありますが、併しなが統計の示すところによりますと、戰事前は漸次頭数が殖えておる。このマイナスの飼料というものは一体何によつてカバーしたかという点が一つ、それから委員長の質問にあつたか知りませんが、二十二年、二十三年の濃厚飼料の需要の数字を見ますと二十三年はやはりうんと減つておるのであります。これは二十二年よりも二十三年の方がむしろ頭数その他が殖えてでおるのであろうと思いますが、この需要が減つておるのはどういう関係であるかという点とそれからさつき輸入のことにおいて非常に希望のある数字が出ましたけれども、数量の十万トンというお話であつたのでありますが、二十三年度においては百二十五万トンであつた。そうすると差引百十五万トン程度のものがありますが、この程度の差当りの補充計画はどういう具体的の御計画を持つておられますか、先ずこの飼料の問題について関連しておりますのでお伺いいたします。
#33
○説明員(伊藤嘉彦君) 御説明申上げます。この先程配付いたしました表はちよつと御覧になりますると甚だおかしいのでありまして、昭和五年以降ずつと大きなマイナスが出ておるのであります。これは実は飼料統制が行なつておりませんときのマイナスと申しまするのは、実は正確なことを申しますと、計算で以て……例えば需要というものにつきまして、各家畜についていろいろな需要、一日どのくらい要るかというような、一日に要する量がどのくらいかというようなものに掛け合せますと、需要というものが出ます。それと、それから輸入というようなことを見合せて後どういうことになるかということがあるのでありまして、実は始めの方の飼料のマイナスというのは甚だ正確を欠くマイナスでありまして、これは正直申しますと余りこの点は参考にならないのであります。飼料が統制になりまして以降のマイナスにつきましては、その場合でも食糧管理との関係、それから御承知の通り飼料というものがいろいろな材料を含んでおるというような関係からいたしまして、正確な数字をはじき出すことが非常に困難でありまするので飼料が統制になり、それから食糧も統制になつてからでも比較的むずかしい点があるのでありまするが、これも資料のとり方によりまして相当に変化があるのであります。それでこの場合特に御注意をお願いいたしたいと思いまするのは昭和十三年、十四年というようなところを御覧になつて頂きたいと思うのであります。この頃になりまするといわゆる飼料の輸入は九十五万トン、百万トンというような大きな数字が輸入されておりまして、それに相應じでマイナスも最低の三十二万トンになつておるのであります。それでこういうようなときですらも三十二万トン、四十一万トンというようなマイナスがありますのは、これはどうしてそれならば計算上それだけの家畜が、何と言いますか、家畜の食糧の必要数というものと比べてそういうマイナスがあつて而も尚家畜がどうして生きておるかという疑問でありますが、これは私共はこの表を御説明申上げまするときにいつでも困難を感ずるのでありまするが、いわゆるこの國内供給量の上に見積り得ないような、例えば道端の草であるとか、いろいろな、その家畜が、計算の上に載らないような充足するものがある、そういうものを飼料の連中は第三資源と称しておるのでありますが、そういつたようなもので家畜は一應マイナスがあつてもそれだけの数は息をし得たとこういうような説明をしておるのであります。併しながらそれがその以降におきまして、輸入が減りますと共に、百万トン、百五十万トンという大きな数字になつて來ておる場合におきましては、これはそういう説明がつかないのでありましで、この場合にはよく御承知の通り、第一に同じ動物が一頭と、百頭おりましてもこれは経済的な動物でありまして、頭数だけが揃つておつたのでは意味がないのであります。と申しますのは乳牛で例をとつて申しますと昔の場合の百頭ならば一頭当り十五石も十六石も乳が出た。今の牛におきましては同じ一頭でも十石とか十二石しか乳が出ない。いわゆる経済的能率がまるで違つて來ております。そういう意味でこのマイナスが表現されるのであります。それからそういうところにおきまして輓馬の場合におきましても、輓曳力が落ちるというようなこと、或いは生産の方におきましてはよく御承知の通り病氣が殖えたり、病氣に罹り易くなつたり、或いは生産率が落つこちたりすると子供の生れる数が少くなる。これはもう明らかにそういう傾向が人間と同樣に家畜にも現われるのでありまして、そういうことによつて三十二万トンのマイナスからずつと上つて來ましたとこのマイナスについては説明をされるのであります。動物の数は、成る程或る程度維持されておりましても、それの能力がずつと落ちておりますので、結局飼料の不足というものが、そこに現われる。それは経済的な動物としての成立の意味がない。こういうような意味になつて來ておるのであります。それから二十二年、二十三年の間の問題につきましては、実は甚だ申訳ないのでありまするが、二十三年のこの数字自体よく調査を申上げまして、もう一度お話申上げたいと思うのであります。
#34
○委員長(楠見義男君) では尚御質疑もあると思いますが大体時間も來たようでありますから、本日はこの程度で散会いたしまして、明日は午後一時から開会いたします。
   午後四時十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           羽生 三七君
           平沼彌太郎君
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           門田 定藏君
           柴田 政次君
           星   一君
           赤澤 與仁君
           加賀  操君
           徳川 宗敬君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           國井 淳一君
           岡村文四郎君
  政府委員
   農林政務次官  北村 一男君
   農林事務官
   (畜産局長)  平田左武郎君
  説明員
   農林事務官
   (畜政課長)  伊藤 嘉彦君
ソース: 国立国会図書館
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