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1948/11/09 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第2号
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1948/11/09 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第2号

#1
第003回国会 水産委員会 第2号
昭和二十三年十一月九日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産物増産対策に関する調査承認要
 求の件
○水産業協同組合法案の提出の件
  ―――――――――――――
   午後一時四十七分開会
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。本日は水産に最も理解ある農林大臣周東英雄君も御出席になつておりますし、又業界出身として斯界の第一人者である飯山水産廳長官も見えておりますし、水産に関する諸種の問題をもこの際各委員から忌憚のない御質問を願いたいと思います。その前にちよつと御相談いたしますが、水産物増産対策に関する調査承認要求書を議長に出したいと思います。これはこの前の議会におきましても、資材問題であるとか、金融問題であるとか、或いは漁船問題であるとか、或いは集出荷の問題について、熱心に調査研究いたしましたが、結論に達しないものも沢山あるのでございますので、この議会におきましても引続いて調査承認を要求したいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(木下辰雄君) それではこういうことで出したいと思います。
   水産物増産対策に関する調査承認要求書
 一、事件の名称 水産物増産対策に関する調査
 一、調査の目的 水産物の飛躍的増産を図る。
 一、利益 水藻物の増産を図り、民生を安定せしめることは、文化國家建設の基盤である。
 一、方法 関係官から説明聴取、資料の提出を求め、且つ必要に感じて実地調査を行う。
 一、期間 今期國会開会中。かようにいたしたいと思います。それではこれから大臣並びに長官に対する御質問を願いますが、水産協同組合法案の提出、促進については各地方から陳情或いは請願が沢山参つております。電報で参つておりますのは大分縣水「立遅れの漁業再建を促進するため組合法案を今月中に上程を乞う」というのであります。大体電文は大同小異でありますが、この種の電報が廣島縣水産業会、西日本水産振興会委員京都府水産業会長、高知縣水産業会長、三重縣水産業会長、茨城縣水産業会長、佐賀縣水産業会長、徳島縣水産業会長、岩手縣水産業会長、千葉縣水産業会長、徳島縣、それから九州、山水産連合会会長、別に又佐賀縣かり來ております。こういう工合に沢山陳情が來ておりますので、この水産業協同組合法はどういうふうになつておりますか、手続その他についての詳細な経緯を一つ大臣から御説明願いたいと思います。
#4
○國務大臣(周東英雄君) 只今のお尋ねに対してお答えをいたす前に、ちよつと御挨拶を申上げます。この度政変によりまして、私が農林の仕事を預ることになりました。誠に重大な時期に非常にむずかしい仕事を担当することになりまして、今後いろいろと御鞭撻、御援助を得なければならんことが多々あると思います。何分よろしくお願いいたしたいと思います。只今のお尋ねでありますが、お話のように、戦後における各方面の團体法規等につきましては、すでに改正が行われまして、農業協同組合法もすでに施行済みであります。然るに最も重要漁業関係における團体法規が今日までにきておりませんために、漁業者の利益代表の立場における團体の構成がしつかりしない。その上に今日問題となつております漁業の金融、資材の問題、魚價の問題、或いは漁村の振興の問題というような、各方面に亘つて、県に漁業者の声を代表する、又漁業経営に関して仕事をして行く中心がないのが、非常に業界としても残念なことであつたと存じます。いろいろの手続上遅れておりましたが、実は漁業関係の團体法規につきましては、すでに事務的には脱稿いたしております。目下関係方面と折衝中でありまするが、これも近く完成を見ることでありますので、新内閣といたしましては是非とも、会期は短かいのでありますけれども、是非これを提案して出したいということで、今日閣議で提案をすることに決定をいたした次第であります。従いましてこれを提案いたしました暁におきましては、どうか短かい期間に甚だ恐縮でありますけれども、御協力を得まして、漁業者のために速かに法案ができるようにお計らいを願いたい。かように考えておる次第であります。できるだけ早く、できれば十二日ぐらいまでに提案をいたしたい。かように準備を進めておる次第であります。一言お答えを申上げます。
#5
○委員長(木下辰雄君) 只今大臣の御答弁で、我々の待望しておりました水産業團体法案は、この國会に提案されるというふうに閣議で決定したということであります。委員諸君も大臣の御要望通り、この短い会期間において、連日委員会を開いて一つ御審議を願いたいと思ます。何か御質問がありましたら、この際お述べを願います。
#6
○江熊哲翁君 今大臣の御説明の中に、閣議に掛けるようにするというのを、閣議で決定したように言われましが……。
#7
○委員長(木下辰雄君) 決定したと言われました。
#8
○江熊哲翁君 そうですか。閣議決定ということになると……、私は午前中衆議院の委員会にちよつと顔を出したのでありますが、大変形勢が面白くないように私は観測したのであります。我々は超党派的に、從來水産問題については、各議員とも熱心に協調し努力して來たのでありますが、それがために幾多の重要問題が解決して來たことは御承知の通りでありますが、この協同組合法の問題は、我々は最も重要な問題として、第一回の國会以來、その提案の一日も早いことを要求しておつたのでありますが、礎來の政府はいろいろの事情のために、今日までこの重要な問題の解決ができなかつたのでありますが、幸い今度この問題が提案されるということになりますれば、私共としては、これは党派を超越して、晝夜兼行で一つ政府の期待に副うように努力いたしたいというふうな氣持を、私個人としては持つておるわけであります。どうか一日も早く提案して頂くことをお願いいたします。この提案が今日まで遅れたことによつて、日本の沿岸漁村の受けた打撃というものは、これは実にひどい程度までに行つておるわけであります。これは実情にお通じになつていない、或いは大臣、水産廳長官は、まだそういつた方面についてははつきりした御認識がないかも知れませんが、私がここでくどくどしく申上げるということは、時間の関係上どうかと思われますので、取止めますけれども、非常な混乱に陥つておる。これはいろいろな情勢上そういうふうになつたことと思うのでありまするが、一つは政府自身の私は怠慢であるということを、はつきり申上げておきたいと思うのであります。併し大臣の今の答弁によつて私共もこれで郷里に帰つて漁民にまみえることができるというふうな、非常に明るい気持になりましたので、一日も早く提案されることを希望いたします。
#9
○青山正一君 中央水産業会の閉鎖命令を受けましてから、水産業会とか或いは漁業会というような系統機関の拠りどころというものは、全くなくなりまして、その内容も縮小に縮小を重ねまして、例えば二百人もおりました大きい設備の水産業界も、僅か十人足らずの陣容というようなことにもなつて、殆んど有名無案のような状態であります。それがためいろいろな面におきまして、漁業者も非常な苦難の道を歩み続けて参つておるのであります。何とかしてこれが打開の途を開くより他に途がないのでありますが、只今大臣から力強いお言葉、つまりこの第三國会には、遅くとも十二日には必ず提案するという力強いお言葉を承りまして非常に嬉しく思つている次第でございます。何とぞ一日も早く上程せられまして、私共も一生懸命に強力に援助をいたしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
#10
○委員長(木下辰雄君) 何か外の問題でもこの際御質問がありましたら…。
#11
○江熊哲翁君 実は大臣が初めて出られたので、水産の問題については、ここ一時間、二時間御質問なり或いはいろいろ意見を申述べたところで足らないと思う。私はゆつくり機会を得て、今議会は勿論、次の國会においてもどしどしの見も言い、問題を提出いたしたいとこう思つているのであります。それで協同組合法が出るという今の言葉で、私は直ぐ沿岸各府縣に電報を以てこのことを通知いたしたいと思つておりますが、非常に喜ぶだろうと思うのでありますが、併しこの協同組合法の出ることを同時に、漁業法の改正という問題は、これは離れられん極めて重要な問題である。併し漁業法の問題は、いろいろな事情でなかなか急速に取運ばないだろうというような話でありますし、又私共の聞いている程度の今日の漁業法の改正内容については、甚だ私としては不満の点が多いのであります。むしろこれは次の機会に十分我々としても研究し、又漁民の意見も更に聞いた上で研究いたしたいのでありますが、この問題については、現在政府はどういうふうにお考えになり、どの程度の御準備ができているのか、その点をこの際折角大臣御出席でありますから、はつきり伺えれば大変結構だと思います。
#12
○國務大臣(周東英雄君) 只今のお尋ねでありますが、私は漁業関係の協同組合法案が出ることによつて、漁業者の協同的な経営面における仕事が非常に推進されるということについて、非常に期待を持つのでありますが、同時にお話の漁業法自体というものが、これと併行して改善、或いは改正と申しますか、できて行くことが必要だと考えているのでありまするが、不幸にして今日まで漁村の基本となるべき漁業法に関しましては、まだ最終決定まで成案ができておらないようであります。從つて今日急速に提案とかいうことには行きませんけれども、お話のように、大体当局としては漁村の事情、又漁場の状態等を考えられて、最も新らしき日本の進むべき方向として、漁場というものが合理的に、而も有効に漁民に使われるような方向に、漁業法の改正が向つておるようであります。殊にその中心をなす漁業権利制度につきましては、一應の案ができているようであります。併しこれらにつきましては、事、漁民に関する非常な利害の深いものでありまするし、そこに漁村の問題と資本漁業の問題というふうな間における調節の問題、又漁業者と漁業労働者との間における考え方という問題等につきましては、尚十分にそれぞれの関係の方面の御意見も伺いつつ、より完璧なものに作り上げて、できれば次の議会等に間に合わせることができれば最も幸いである。そこに至つて初めて、漁業協同組合法案と並んで画龍点睛が行われるであろう。かように考えておりまして、目下事務当局において継続的に研究を進めるようにいたしておりまするから、只今江熊さんのお話のように、今後更に時間もありますから、各方面の御意見も十分に採入れて、愼重完璧を期したい、かように考えております。
#13
○千田正君 従来の農林大臣は、とかく水産部門に対しての問題になるというと余り積極的でなかつたという感を深くされるものでありますが、特に我我が痛感する問題としましては、予算の取り方、大蔵省に対するところの対処方針、或いは経済安定本部に対するところの方針という意味において、水産関係は継子扱いされたような感を深くさせられたのでありますが、幸い新大臣は非常に漁業の方面に対しても深い御理解を持つておられるようでありますので、同じ農林の所管内におけるところの水産面におけるところの予算その他に関しては、十分なる積極性を以て今後は当つて頂きたいという点を、特に要望申上げる次第であります。
#14
○青山正一君 只今、漁業法案ですか、この漁業法案というものが十五日くらい前にすでに発表されておりますから、只今江熊さんから御質問のあつたように、これは何とか早い機会に解決しなければいけないと思いますが、ただあれを発表しただけに、相当各方面に、この漁業権の問題についていろいろわるさをしておるような向きも非常にあるわけなんですが、それに対処する政府の御意向は一体どういうふうな……例えば今の漁業権を現状のままに置いておくというような、何か法律案でも出すわけですか、どうですか。そういう点につきまして一つお聞きしたい。
 それから問題は別でありますが、これは大臣も以西の底曳きのような方に非常に御関係が深いので、そういつた関係はよく御承知だろうと思いますが、現在の水産業は金融事状が極度に逼迫しており、その外に漁況の異変とか、或いは漁区の制限で不振を極めておる。沿岸とか海洋どいうような遍別なしに漁業者が非常に困つておるような状態でありますが、殊に現在の状態では、漁業の復興金庫といろものの設立も覚束ないような状態でありますし、又問題を盛に起しておりますところの復金からの融資ということも――これは到底不可能になる状態の時に、この漁業の金融に関し、どういうふうなお考えを持つておられるか。殊に浩岸漁業――定置の方面とか或いは旋網ですね、巾着網漁業の方面について一つ何か具体策がおありになるかどうか。これは水産廳長官でも結構でございますが、一つ御返答を願いたいと思います。
#15
○國務大臣(周東英雄君) 初めのお尋ねにお答えいたしますが、前内閣の終り頃に漁業法に関する改正要綱のごときものが発表されたようであります。これはなかなか民主的な行き方だつたと思います。直ちに提案の運びにならないにしても、当時の水産廳は、廣く発表して意見を聞くという態度であつたようでありました。私は非常に結構だと思います。從つてあれによりまして起こりまするいろいろな方面の影響、御意見等を承りつつ新内閣においては良き意見は取入れて善処したい、かように考えております。その際御注意のごとく成る程発表された結果悪く利用されるということもあるかも知れません。これらに関しましては、今度の組合法案の提案ともに今日決定いたしましたのは、漁業権等に関する臨時措置法というようなものを出しまして漁業法の改正点ができるまでの処置を付けたい、かように考えておる次第であります。
 それからお話の今日の状況として最も問題になるのは金融の問題であります。これは漁業という特殊性のあるものに対する金融につきましては、なかなか從來とも商業銀行一般では取扱うのに躊躇しているような状況で、殊に今日のインフレ下における状況或いは業の状況、漁場の問題等からいたしまして、更に締めているような恰好になつておりまして、非常に私共野におります時から心配いたしております。これにつきましては、一部月五億円程度で八ヶ月四十億の目安で農漁業に関する金融をつけることになつたようでありまするが、これは私からいたしますると、月五億で農漁業一般に出すというこの額は非常に少ないように思います。殊にその内容は、設備資金等が主であります。まだいろいろ仕込をなすに必要な資金とか運轉資金等については、何かこれ以外に考えないければならないのじやないか、こういうふうに考えるのでございます。殊に最近農業手形のごときものが農業方面においては、一つの金融方法として考えられましたが、水産についても從來から漁業手形というふうなもので新らしい金融の方法を考えてはというようなことが業界からも要望され、当局も関係方面に交渉されたようでありますが、漁業というものの担保力に対する確定性がないためこれについてまだ確定しておりません。私はむしろ漁業一般ということでなくて特殊な漁業等について或いは漁獲物等を担保として或いは見返りとして金融し得るような途、或いは法制的に考えればそういう面については漁獲物が確実に出荷機関に抑えられるというものについては、そういうものを見返りとした担保金融を法制化して先取特権を認めるというふうな事柄なんかも一つの考え方ではないか、かように思いますが、何れにいたしましても、一番大きな面における漁村に対する沿岸業者に対する金融の途がどうしても徹底的に行われない、その途をつけるにしても早く水産協同組合法案ができて相互金融的に漁村に力強い信用授受の機関が漁村内にも出來て、そこにおいて相互金融をつけつつそこへ政府なり或いは中央の機関から流す金というものを考えて行くことも一つの方法じやないか。その意味においても、早くこれを出すべきだということも考えましてこの度も強力に推進して、幸いに今日決定を見たような次第であります。その他いろいろの点もございますが、追つて段々とお話を伺いまして立案して参りたいと思います。
#16
○淺岡信夫君 私は一つ水産という問題につきまして敗戰後日本に引揚げて参りました引揚者、復員者こうした人たちの立場から見て一つ大臣並びに水産廳長官にお伺いいたしたいと思うのでありますが、敗戰後とにかく日本に引揚げて來た、ところが戰事前には日本において水産に携つておつたり或いは実際に漁業の面に従事いたして、おりました、ところが戰爭中船は徴用される、人は鷹召して行く、ところがそういう人たちが帰つて参りました場合において、船はない、或いは漁業権もない、資材もない、これは引揚者も同様であります。殊に朝鮮関係の引揚者の人たちにいたしますると、戰事前には内地からの若干の資材も、網資材というなものも頂いておつたというなことも伺つておるのでありまするが、たまたま第二國会におきまして衆議院、参議院に引揚に関する決議案が上程されまして、そうしで総意を以て採択された。その結果先ず水産廳におきましては次長名を以て引揚或いは復員、戦災、そうした人たちの新規就業に対して相当の資材を各榔道府縣に渡されたであります。ところがその渡された物が実際に引揚者なり復員者なりにうまく博達されていないのであります。たまたま博達されている所もありますし、いない所もあります。ところが今度は農林省の地方の資材調整所においてその資材を貰うという段になりますると、その漁業権、要するに認可書はあるか、漁業権はあるかというようなことで、それがない者に渡されない、ところが実際にそういう漁業権を持つておるというようなことじやないので、先ず引揚の決議に基いてその漁業を欲する者に対しては、先ず漁業権、殊に資材金融というようなふうで百万水産課に陳弁し、或いは資材調整所に行つて、その漁業権も頂き、或いは資材も割当られた、今度金融というような面になりますと、そうした点で又ぴたりと塞がつてしまうというようなのが各縣に相当あるのであります。勿論これは引揚者だから復員者だから特に金融の面も見なければならんというようなことではどうかと思いまするけれども、その実際の仕事が成立つて行くんだというような…がはつきりとした場合においては、この資材とか或いは金融の面とかいうものをつけて頂かなかつたならば、引揚げて来た人たちはどうしても立上つて行けないと、私はかように考えるのであります。そうした点につきまして、特に民主自由党におきましては、この引揚法とか或いは戰災者とかいうようなこの面に対しても相当力を入れられておられまするように私ども了承しておりまするが、こうした面に対しましての農林大臣の一つ所見を承りたい、或いはこれに対する処理というような具体的の方面までもお聞かせ願えれば非常に仕合せ児と思います。
#17
○國務大臣(周東英雄君) 引揚者に対する対策として、從来も恐らく朝鮮その他支那方面から引揚げられた業者に対して、内地における漁業権を持たせるという場合には相当に從來におきましても特別に定数を許可しておつたと私は思つておるのでありますが、それらの者に対する金融なり資材の割当につきましては、少いながら相当に他の般の業者と同様に漁業の権限をなし得るに必要なものだけは配給されておつたように聞いておりまするが、実際上その後における対策につきましては、新らしく私職に就きました今日、更に詳しく事情を聞いて善処いたしたいと、かように考えます。
#18
○政府委員(藤田嚴君) 只今引揚者に対する漁業の許可或いは資材関係の方面についての御質問がございましたが、只今大臣から話がございましたように私共といたしましても、從來引揚者に対しては特に力を注ぎまして、水産方面にこれを吸収し、而も水産業によつて再生の途を図るということの適当な岩につきましては、これを援助いたしております。許可についても特別に援助しております、資材につきましても、特に引揚者につきまして別枠を設けましてこれが割当をいたしたのであります。只今御指摘のございましたように、地方によりましては、これが引揚者はに渡らずに、從來の既存の業者に廻つたというようなことも存じておるのであります。これは從來非常に資材が不足でありまして、既存の業者と雖も僅かの資材しか渡つておりません。従来の生業を続けるに必要な資材が渡つておりませんので、どうしてもその力の強いところでは引揚者の方の救済まで顧みる暇がなかつたという実情だろうと思います。この点については今後とも資材の割当につきましては十分注意をいたしまして、引揚者につきましても何らかの機会に又特別の枠を設置いたしまてそれに割当てるというような措置を講じて行きたいという考えであります。
#19
○千田正君 この度のアイオン颱風におけるところの災害のために、水産関係の陸揚地その他が非常に災害を被つて水揚したものが十分な出荷ができない。それで殊に岩手縣の宮古その他の地方におきましては、鉄道が破壊されたために、船を以てこれを一定の場所に運ばなければならない。どうしても運賃については汽車の場合と違つて相当高いものにつく。この差額についてどこが負担するかという問題が相当に論議の中心になると思います。この点におきまして水産廳といたしましては、この鮮魚の運賃の差額をどういうふうに取扱うつもりでおられるか、その点について御説明をして頂きたいと思います。
#20
○説明員(藤田嚴君) この度のアイオン颱風によつて船で運ばなければなりません関係上船運賃と、それから陸の鉄道による運賃との差額の助成と申しますか、その点については私共もその必要を痛感しております。從來はこれは物價廳において一時價格差の助成をいたした例があるのであります。私共といたしましてはこれを物價廳にお願いをいたしまして、物價廳から現在國庫助成金として大蔵省に予算の提出をして貰つております。まだ予算は大藏省と折衝中でございまして、私共といたしましても極力この予算が通過いたしますように、大蔵省方面にも間接的に協力をしてやつて参りたい。こう思つております。
#21
○淺岡信夫君 先程大臣並びに水産次長からの答弁をはつきりと聞きまして非常に力強く思つております。ところがこの問題に対しまして、九州、四國その他を、この休会中に廻つて相当見たのですけれども、実際に中央の親心というものが地方末端までよく浸透していないのです。或る縣のごときは全然知らないという縣が四、五あつた。非常に遺憾に思うのでありまするが、今の大臣のはつきり認識された御答弁、或いは水産次長のそのお答えをどうか地方、都道府縣にはつきり徹底するような御措置を今後においてお願いいたしたいということを申上げたいと思います。
#22
○委員長(木下辰雄君) 千田君の御質問中アイオン颱風によつて非常な被害を被つた云々の言葉がありましたが、農業におきましては農業保險があり、災害復旧に対してはいろいろ施設がありますが、水産の方では災害の場合に於いていろいろな施設をやつてはおりますが、保險的な制度がない、或いは漁業保險とか災害保險というような保險を水産当局として政府案として從來出される御意思があるかどうかということをお尋ねしたい。
#23
○政府委員(飯山太平君) 只今の委員長の御質問に対してお答えする前に私御挨拶を申上げたいと思います。私は十月八日の発令を以て新たに水産廳の長官に任命された者でありまして、その当時直ちに皆様に御挨拶を申上げる機会を得たいと思つておつたのでありますが、いろいろな事情で遅れておりまして、ここに改めて御挨拶を申上げて、今後の御鞭撻と御支援をお願いしたいと思います。
 只今木下委員長から保險制度に関する当局の将来の対策如何というお尋ねがありましたが、この保險制度は、我我当局といたしましても金融の面から見ても又復興発展の面から見ても、ここに保險制度に上つてこれを裏附けて行くということがなければ、國庫の助成というようなことに俟つて居つたのではなかなか目的は達せられないと考えて、保險制度の実施に対しましては、私共業者であつた時に要望いたしまして、汐見氏が当時保險制度を一つ考えようということで以て組織を作られまして或る程度の成案は得たのであります。その後汐見氏が去られたので、そのままになつたのでありますがこれは是非共近い将來において私共といたしましては立案して実施の運びに至るように最善の努力を盡したいと、かように考えております。
#24
○千田正君 これは次長に伺いたい。先般商工省におけるところの鈴木繊維局長の問題に絡んで大分繊維関係において相当疑惑を含んでおるようでありますが、魚網復興の関係方面においてそういう疑惑に包まれておるような問題がないか、この点を一應伺いたいと思います。なぜかならば今までは漁網生産というような問題に対しては、水産廳は頗る弱かつた。殆んど商工省にその大部分の権利が把握されておつて、実際にこれを使用しなければならないところの漁民の手に渡るときにおいては幾多の不正なる事実があつたということを我々は認識するのでありますが、商工省において只今繊維局を中心として疑獄事件が起きておるときにこうした水産面にまで相当響いておるかどうか、こういうような点において若しも藤田次長において、御存じ寄りの点がございましたならば一言お伺いしたいとこう思うのであります。
#25
○説明員(藤田嚴君) 只今いろいろお話がございましたが、そういうような点についても從來私共十分注意してやつておるつもりでございます。只今の点私の知る限りにおきましてはさような問題はまだ存じておりません。
#26
○政府委員(飯山太平君) 実は私も、その繊維関係に深い水産廳としましても、問題が若し波及するようなことがあつては容易ならないということを考えまして、資材課にその実情を特に注意を持つて調査するように申付けておりまするのです。それはどういうことが起つたかと申しますと、この繊維局でも切符の贋造をしたと、こういうことがあります。水産廳としては、私は聞いたのでありませんが、民間におりましたときにやはり贋切符が魚網の方面にも現われたというような事実を私は伺いましたので、若しそれが沢山行われるようなことになりますると、廳内の粛正の問題は勿論、業者の受ける打撃は大きいと考えまして、目下調査いたしております。さよう御了承願います。
#27
○委員長(木下辰雄君) 外に御質問はありませんか。
#28
○尾形六郎兵衞君 魚價の公定價格が決定しないために、それを扱つた者が犯罪行爲なりとして今取調べられておる事件があります。それは干かすべというものが北海道から山形縣において賣られておる。当時北海道においてマル公一貫目二百七、八十円で買つて、山形縣に來まして、又一貫目三百三十円でその干かすべを八月に賣つた。そこで今般いろいろなことでそれが八月一日からは干がすべのマル公といつたもののなくなつてしまつた。それでこのときは生の値段で一貫目五十円の値段で賣買しなければならんのです。即ち三百三十円から引く五十円、つまり二百八十円ですか、それがマル公違反なりと、今調べられております。先般水産廳に行きまして統制課によつて調べましたところ、未だ干かすべのマル公はない、どうしてないのだと言つたところが、こちらから物價廳に話をした。物價廳からG・H・Qに申請しておるが未だ決まらない、こういう話であります。これは山形懸としましては、一度仙台の物價廳に聞きましたら、本省の指示はないんだと言われた。又その中これは仙台に移したいというような話があつたので、ありますので、この統制経済が逆に積極的に犯罪を生む場合もありますが、こういう場合はむしろ当局の怠慢によつて、罪なき者に違反行爲を生ずるような虞れなしとしないのでありまして、こういうことのないように、たとえ物價廳で扱うにしてもお魚のことは水産廳が万事責任を持つという決心を持つて一つやつて頂きたいと思います。術この件についても十分取調べの上、私共に対して具体的にお答えをお願いしたいとこう思つております。
#29
○政府委員(飯山太平君) 只今のお話 は御尤ものことと私共も拜承するのでありまして、従来魚價の決定につきましては、時期外れになる場合が非常に多いのであります。漁期が過ぎて尚魚價が決まらんということが多いことが、如何に漁業並びに営業者に影響が大であるかは申すまでもないのであります。そういうことからいたしまして、只今の事柄は十分に拝承いたしまして、具体的に干かすべの問題も取調べて御報告すると同時に、その対策については最善の努力をいたしたいと思います。
#30
○委員長(木下辰雄君) 別に御質問がないのでしたら、この辺で閉会をいたします。ちよつと皆さんにお諮りをいたしますが、これから隔日に、一日置きに水産委員会を開きたいと思います。若し水産協同組合法案が出ましたら連日やることになります。皆さんさように御承知を願います。
#31
○江熊哲翁君 このあれは厖大な法案ですし、重要な法案ですし、会期も少いわけですから、法案が來ない前に事前的に審査をやつてみたいと思います。いま委員長が言われる隔日というような考は結構と思いますが、或いは十二日が十五日になるというようなこともありますので、どうならんとも限らない、情勢はなかなか楽観も許さないような状態でもありますから、実際、衆議院がこの法案を通過したのでしたら、即日でも我々としてはやるように態勢を整えて考えて置くということは、この問題に対する我々の、一日も早く成案をと要求した熱意から見ましても、当然のことだと思います。そういうふうに政府の方に連絡を取つて頂いて、必ず相当の責任者がこの委員会に出席して、緊密な連絡の下にやるようにと考えております。荷この問題については、各府縣重大な関心を持つておるのであります。尚近日中に各府縣代表が続々上京して、いろいろの角度から陳情などもあると思います。それなどの処理につきましても、この際いろいろな陳情にのみ捉われておると、なかなか事が捗らないために、重大な問題が起るようなことがあつても大変なことになります。よく聴くべきことは聽かなければならないが、我々としてもそのことを早急に進めたいと思います。どうかよろしく願います。
#32
○委員長(木下辰雄君) それでは次の委員会は明後日の午後一時からやることにいたします。或いは協同組合法案も事前説明を聴くかも知れませんし、或いは場合によりましては、請願陳情がありますから、その方面も何したいと思います。本日はこれを以て閉会いたします。
   午後二時三十八分散会
 出席者は左の通り。
  委員長    木下 辰雄君
  理事
         尾形六郎兵衞君
          千田  正君
  委員
          青山 正一君
          淺岡 信夫君
          西山 龜七君
          田中 信儀君
          江熊 哲翁君
          矢野 酉雄君
  國務大臣
     農林大臣 周東 英雄君
  政府委員
    水産廳長官 飯山 太平君
  説明員
    水産廳次長 藤田  嚴君
  常任委員会専門員
          岡  尊信君
          林  達磨君
   ―――――・―――――
十月二十三日本委員会に左の事件を付託された。
 一、様似漁港並びに冬島、鵜苫両船
  入ま築設に関する請願(第三十五
  号)
 一、増毛漁港拡張並びに船入ま築設
  に関する請願(第三十六号)
 一、浦河漁港修築に関する請願(第
  三十七号)
 一、政泊船入ま築設に関する請願
  (第三十八号)
 一、香深井、元地、知床各般入ま改
  修工事に関する請願(第三十九号)
 一、焼尻漁港築設に関する請願(第
  四十七号)
 一、鴛泊漁港築設に関する請願(第
  四十八号)
 一、漁船保險に関する請願(第五十
  一号)
 一、灘内漁港築設並びに元靜内外一
  箇所の船入ま修築等に関する請願
  (第五十五号)
 一、漁村政策に関する請願(第六十
  二号)
 一、漁船保險に関する請願(第六十
  九号)
 一、香深漁港築設に関する請願(第一
  七十三号)
 一、大田名部漁港に船だまり揚築設
  の請願(第七十六号)
 一、襟裳魚田開発及び漁港、船入ま
  修築に関する請願(第九十三号)
 一、漁船保險に関する請願(第九十
  五号)
 一、漁船保險に関する請願(第九十
  六号)
 一、漁船保險に関する請願(第百八
  号)
  ―――――――――――――
 第三十五号 昭和二十三年十月十二日受理
様似漁港並びに冬島、鵜苫両船入ま築設に関する請願
  請願者 北海道様似郡様似村長 留目四郎
  紹介議員 木下源吾君 様似港は、世界三大漁場の一つである北海道日高地方沿岸中とくに魚族の豊富な様似沖合の魚田開発上の重要地帶であるが更に釧路室蘭間の唯一の積出港及び避難港とするために、様似村に漁港を築設するとともに附近の冬島、鵜苫両村にそれぞれ船入まを設置せられたいとの請願。
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 第三十六号 昭和二十三年十月十二日受理
増毛漁港拡張並びに船入ま築設に関する請願
  請願者  北海道留萌郡増毛町 齋藤良助
  紹介議員 木下源吾君 北海道の増毛町附近の海面は道内第一のにしん漁業の中心であり、陸地には石炭、木材等の資源が極めて豊富で生産増強経済復興に寄與しているところ頗る大きいが、漁港内が狭あいで多数の船舶は利用できず、港外にあふれているから豊かな資源の開発や迅速な輸送と、暴風雨の際の漁船の安全のために、速かに漁港の拡張並びに船入まの築設を実現して、地方産業の振興を図られたいとの請願。
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 第三十七号 昭和二十三年十月十二日受理
浦河漁港修築に関する請願
  請願者 北海道浦河郡浦河町長 蠣崎敏雄外一名
  紹介議員 木下源吾君 北海道の浦河漁港は、釧路室蘭間唯一の重要漁港であつて、その整備如何は沼岸町村の消長に影響を與えるから、速かに國庫で修築工事を施行されて将來商港としての発展に備えられたいとの請願。
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 第三十八号 昭和二十三年十月十二日受理
政泊船入ま築設に開する請願
  請願者 北海道利尻郡仙法志村長 井田定勝
  紹介議員 木下源吾君 北海道利尻郡法志村の政泊船入まは昭和十一年度國費で小漁港として築設されたが、しゆんせつが不充分でありまた常に西風を受けるので、漁船の入港収容に不便が多いから、本村の使命であるにしんの「わく取り」や沖合漁田の開発のために防波堤を含むそう合築設工事を國費で施行せられたいとの請願。
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 第三十九号 昭和二十三年十月十二日受理
香深井、元地、知床各般入ま改修工事に関する請願
  請願者 北海道礼文郡香深村長 野村太市
  紹介議員 木下源吾君北海道礼文郡香深村は天與の漁田とあらゆる魚族に恵まれた離島であるが、漁村の生命である船入まが昭和六年四月に築設されたまま今日に及んでいるため、香深、元地、知床の各般入まは再度の災害によつて防波堤の欠壌等大なるものがあり又沖合漁業の進展に連れ船入またる使命が達せられなくなつたから速かに國費をもつて前記船入まの改修改良工事を実施せられたいとの請願。
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  第四十七号 昭和二十三年十月十二一日受理
焼尻漁港築設に関する請願、
  請願者  北海道苫前郡焼尻村長
       志村要
  紹介議員 木下源吾君焼尻漁港の漁期における、入船及び漁船の収容能力は需要の十分の一にも達しない状態で、にしんわく船をけい留することができず、従つて時化の場合は、漁獲物を全部放棄して避難する現状で、その都度、漁船、漁具、漁網を破損流失し又漁獲高も漁獲能力の三分の二以上減殺されている。これを年々繰り返す損害は実に莫大な額に上り、近くに大漁田を有しながらもこれが開発が出來ない現状であるから速かに本漁港を築設せられたいとの請願。
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 第四十八号 昭和二十三年十月十二日受理
鴛泊漁港築設に関する請願
  請願者 北海道利尻郡鴛泊村長
       湯佐定平外三名
  紹介議員 木下源吾君 鷹泊港は天然の良港で、北海の宝庫である漁田を担え、近時各方面の漁業家什に注目されている上、交通運輸の点より見て末濃船客の來往、利尻、礼文島六箇村中首位を占め、又避難港としての素質と特質とを有している。しかし現在の船入または港内護岸の不充分で面積狭あいのため、得年数次にわたる災害で惨状を極めている上、樺太引揚者は増加し、これ等に就業させるためにも、本港の拡張は緊急事であるから、民心の安定、生産意欲こう揚のため、本港築設を実施せられたいとの請願。
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 第五十一号 昭和二十三年十月十二日受理
漁船保險に関する請願
  請願者  東京都世田谷区羽根木町一、八三九日本トロール捕鯨漁船保險組合内 田村啓三
  紹介議員 木下源吾君 從來漁船保險は單独企業の危險をおかしながら不時の欠損をカバーする陣立
ソース: 国立国会図書館
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