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1948/11/16 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第4号
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1948/11/16 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第4号

#1
第003回国会 水産委員会 第4号
昭和二十三年十一月十六日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産業協同組合法案(内閣送付)
○水産業協同組合法の制定に伴う水産
業團体の整理等に関する法律案(内
閣送付)
○漁業権等臨時措置法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十時二十四分開会
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今より水産委員会を開会いたします。水産業協同組合法案外二案につきまして、政府の提案理由の説明に対する質疑をいたします。
#3
○青山正一君 協同組合法は急速に審議し、早急に施行しなければなりませんが、解散があるからとの理由で、審議の意を盡さずに片附けるということは、絶対に反対であります。やはり悪いところは悪い。疑問のあるところは疑問ありとして、一つ十分に研究しなければならないと思うのであります。で悪いところも、疑問のあるところもそのままにして押し通すことは、私は絶対にいけない。その点十分に一つ御留意願いたいと思うのであります。それからこれは、この水産業協同組合法の本審査に当る前に、委員長としての一つ心構えをお聞きいたしたいと存じます。敢えてこれは自分の私情とか、情実というものを殺しまして、お伺いするわけでありまするからして、若し詰問がましいことがありましたら、一つお許し願いたいと思うのであります。それは、この中央水産業会が閉鎖機関として指定を受けられたことは、御承知の通りでございます。又この中央水産業会は、旧水産團体法における最高機関であることも御承知の通りでございます。第一に、この中央水産業会の閉鎖当時の当面の責任者として、而も会長という最高の責任者として、第二には、今回の第三國会におきまして、在來の非民主的なる水産團体法における中央の最高機関であるところの中央水産業会の会長が水産常任委員会の委員長となりまして、その水産團体法を……。
#4
○委員長(木下辰雄君) ちよつと待つて下さい。今この三案に対する質疑を許しております。
#5
○青山正一君 だから、その審査に当る前に、委員長としての一つお心構えをお聽きしたいというわけなんです。水産常任委員会の委員長となつて、その水産團体法を否認し、新たに百八十度的に轉換した水産業協同組合法の今日上程を見んとするとき、曾てはこのような地位におられたお方が、委員長としまして、どういうふうなお心構えで審議を進められるのか、と申すのは、この水産業協業組合法が、何故に早急に必要なのかということを考えるとき、中央水産業会が閉鎖されたがため、その系統機関なり、或いは下部組織、漁業者の行くところを知らず、言葉に言い盡せない迷惑を漁業者に與え、業界を非常な混乱に落したことは、万人が全部が全部認めるところでありまして、その罪は職域の上から考えて見まして万死に値いするものである。こういう根拠からして、早急に水産業協同組合法の上程が、殊に必要だつたと私は解釈するのであります。私はこの委員会を非難する者ではありません。又不信任の意思を表示する者でもありません。ただかかる関係におられたお方が、その團体を否認し、新たなる角度で委員長として審議を進められる、その御心境の程を一つ公式にはつきりと御表示願いたいと思うのであります。以上。
#6
○委員長(木下辰雄君) 只今青山君から質問がありましたが、誤解があつてはいけないから、その当時のことをよくお話しましよう。中央水産業会において、すでにこの解放問題を一番先に唱えまして、そうしてこの水産協同組合法、漁業法の改正案を中央水産業会で立案して、一日も早くこの組合の設立及び事業の態勢を唱道したのであります。これはあなた方が地方の会長としてよく御存じのことだろうと思う。総会のある度にこの問題が出まして、そうして数回会長会議も開きまして、この問題を檢討したことは御承知の通りであります。地方も中央も水産業会としては、戰時中の統制團体は一時脱却して、そうして民主的な組合を作り、民主的な法律を作るということについては、系統機関が全部が同じような意向を持つて唱道したと思うのでありまして、何も水産業会の当局者が時代に逆行して協同組合法案の成立を阻害するという意向は毛頭なかつたのであります。進んでこれはやつたわけであります。
 それから委員長と又水産業会の会長との立場は、これはおのずから違つておりまして、中央水産業会は閉鎖になりましたが、参議院の議員として、國民の代表として國民の負託に副うようにこの改正をやりたいと思つて念願しております。右の通りお答えいたします。質疑を許しますから、ありましたら……。
#7
○矢野酉雄君 これはいわゆる臨時議会であつて、その主たる目的はむしろ民主党、社会党、協同党が混合内閣を作つておつた。その基盤においていわゆる政令を出した責任上、公務員法を一部改正する法律案を提出しなければならない客観的情勢で、今臨時議会が開かれたのであつて、現内閣はそれをそのまま踏襲しておるというのであるから、最前青山君が言われた通り、この重大なる、殊に民主的な立法とも言うべきこの法律案が、十分に漁業の主体性に立つておるその諸君の利益を擁護して行くというような立場からも、敢えてこの臨時議会に早急に、審議を軽率にしてこれを可決するというようなことにならないようにという御意見に対しては、私は心から賛同を表するのでありますから、それにおいてよく質疑應答を十二分にして頂き、意見も十分に発表するというようなふうに、運営の方法を委員長において十分お取計らいの程を要望して置きます。
#8
○委員長(木下辰雄君) 承知しました。併し……。
#9
○矢野酉雄君 それから当局にお尋ねしますが、この水産業協同組合法案を立案されるためには、これは凡そどれくらいの日数をお掛けになつたか。又その主たるいわゆる主管の、この改正法律案の立案等のその所属部局はどこであるか。又主としてそれに責任を持つて関連された人は何人であるかを、一應承つて置きます。
#10
○説明員(藤田巖君) この協同組合法は別に研究をいたしております漁業法の改正と並行をいたしまして、関連的に進めて來たのでありまして、両方面とも終戰直後、農地制度の改革及び農業協同組合法が出ました以前から、すでに水産業方面においてもその必要を認めて研究は続けておつたのであります。具体的に関係方面との折衝の始まりましたのは、やつと二年程度の日子を要しておるわけでありまして、併しながら関係方面との審議の重点は、むしろ漁業法の改正に重点があつたのであります。協同組合法につきましては比較的順調に進んで参つておるわけであります。
 それから所属部局というお尋ねでございますが、これは日本政府内部の所属部局の意味でございますれば、これは現在の水産廳の漁政部経済課が担当いたしております。主としてやつておりますのは久宗経済課長及び矢野事務官、これが担当になつております。
#11
○青山正一君 委員長、これは逐條審議しますか、漠然とやりますか。
#12
○委員長(木下辰雄君) 水産業協同組合法案は、逐條審議といつても、一章一章やりたいと思います。
#13
○矢野酉雄君 一番初めに総括的質問、それから章々に分つてやつたらどうでしよう。
#14
○委員長(木下辰雄君) 総括的の質問を今許しております。別に質問が総括的にありませんでしたら、実は一章一章を議題に供したいと思います。それで前の水産業協同組合法案の方は、今日は一應お分りになつたことと思いますから、次に水産業協同組合法案の第一章目的その他を一つ一括して、第一章全部一括して議題に供しますから当局に対する質疑をお願いいたします。第一章についての質疑はありませんか、第一章は第一條から第十條までです。
#15
○江熊哲翁君 これは委員長にお伺いしたいが、我々の持つ時間によつて持つて行き方があるが、大体あと何回ぐらいやられる予定ですかな。
#16
○委員長(木下辰雄君) 今予定しておるのは木金土の三日でございまして、あと三回ですね。
#17
○青山正一君 その三回の中には討論が入つて來ますか。
#18
○委員長(木下辰雄君) 入りません。
#19
○青山正一君 審議だけですか。
#20
○委員長(木下辰雄君) 質疑だけです。今日は一章々々やりまして、やれるところまで……。第一章がなければ第二章の協同組合の條項に入りまして第十一條から順に一つ……。
#21
○青山正一君 第一番目に御質問申上げたいのは、この本法案には組合の地区の範囲に関しまして規定する点はないのでありますが、これは予め一定の標準を示すべきではなかろうか、又一定の区域に二つ以上の組合を設立し得るかどうか、この点もはつきりここにお示し願いたいと思うのであります。それから法案の先般配付になりました第二次案によりますと、組合には定置漁業権を許さないように解せられてありましたですが、その理由はどうか。でその條項がこの法案に出ていないのでありますが、たとえ漁業権と切り離してもこの点を愼重に考えて置く必要はありはしないかどうか、又組合は漁業の許可を受け得るかどうか、その点をはつきり承わりたいと思います。それから第十七條の漁業の自営に関する條件は余り窮屈ではないかどうか、そういつた点につきまして、一つ併せて質問いたします。
#22
○説明員(藤田巖君) お答えを申上げます。第一点の本法案には組合の地区の範囲については何ら規定がないが予め一定の標準を示すべきではないかというお話でございます。御尤もと考えております。ただ今度の水産業協同組合法は從來と違いまして全然設立についても漁民の自主的な意思に基く、加入、脱退についてもその自由な意思に基いて何ら法的には拘束しないというふうな極めて自主的な性格の強い團体でありますので、特にこの区域をどうするこうするということを法律で規定することもこれは必要はないということで從来の團体法のような規定は行わなかつたわけであります。併しながら我々といたしましては、通常の事態といたしますれば、從來の漁業会は極めて円満に行つておりますところでは、それがやはり一番地区としても適当であるという地区が選ばれておるわけであります。恐らく今度の新らしい漁業協同組合を作ります場合は、当然そういうふうな地区によつて作られるのではないだろうかというふうに予想いたします。それから又現在の地区が非常にごたごたしておりますような所では、これは漁民の自主的な意思によりましてこれが改正されるというふうなこともあり得るのではないかというふうに考えております。我々としては大体において地区の点については格別の標準を示しませんでも、從來の永らくの團体の事情からいたしまして、当然決定して行くのじやあるまいかというふうに考えておるわけであります。要は規定を置きません趣旨は、できるだけこれを法律的には拘束しない、こういうふうな建前に考えておるわけであります。それから第二番の一定の区域に二つ以上の組合を設立し得るかという御質問でございます。これも何ら制限をいたしておりません。從いまして一定の区域に二つ以上の組合も設立することは可能であると考えております。それから第三番の、法案の第十七條によりますれば、組合には定置漁業権の共有は許されないというふうなことがございましたが、組合法は組合を自営する規定であるわけでありますから、この自営する漁業については何ら法令上制限しておりません。從いまして定置漁業権もみずから営む場合においてはこれは持てる、從來のように定置漁業権だけを共有いたしまして他に貸付けるというふうには今度の法令では認められないのであります。單に所有するだけでは困りますが、みずから漁業を営むという場合には定置漁業権も持てる、これは漁業法においてさような改正が行われるわけであります。それから組合は漁業の許可を受けるが、これも組合みずからその漁業を営みます場合でも、許可漁業と雖も許可を受けて漁業協同組合がこれを行い得るというふうに考えております。漁業自営に関する條件が非常に窮屈ではないだろうかというふうなお話でございました。これはとにかく如何なる漁業であろうが、みずから営む場合においてはやり得る、そういうふうな廣い考え方で出発しております。大体漁業協同組合は私共の考え方といたしましては、組合員の流通部面の仕事をすることが適当な團体であろうと考えております。従いまして大体協同組合の狙いとしては流通部面であります。場所的には生産部面の協同組織である漁業生産組合を二重に作る必要のないというふうな場合については、この漁業協同組合自体が生産部面の協同組織としてみずから漁業も営めるというふうな考え方を取つておるわけであります。從いまして事業を営みます場合には相当の危険を伴うわけであります。從つて組合員がその事業の危險もよく納得して行く必要がございますので、いわば同志的な結合という趣旨をもつと強くする必要があるというふうな建前からこの條件が書いてあります。
#23
○委員長(木下辰雄君) 外に御質疑はありませんか。第二章の第一節に対しては、後からあるかも知れませんけれども大体進行して見ましよう。第二章第二節に移りまして、組合員に関する事項第十八條から第三十一條までですね。組合員の資格とか、出資とか……。
#24
○淺岡信夫君 この正組合員、これは十八條の「一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定める日数をこえる漁民とする」とありますが、この日数を超える漁民というこの判定はどこで下されるのですか。
#25
○説明員(藤田巖君) 漁民の判定は先ずその協同組合が自治的に決める。それについて異議のあります場合は、それは現在許されておりますところの訴訟の手続によつて、これが最後的に確定をする、こういうふうに考えております。
#26
○青山正一君 十八條に関しまして漁業從事者は準組合員か正組合員か。若し正組合員とみなされるならばその理由はどういうものか。それから正組合員か準組合員かその線の引き方が非常にむずかしい。その地その地の実状に即して漁民の考えでやつていいのか。それから定款が定まらないと漁民でも組合員になれないということもできて來るわけですかどうか。場合によれば経営者だけの組合というものができて來ないかどうか。この点從事者も含めるという政令を出す氣持はないかどうか。それから業種別組合に從業員も組合員になれるとはつきり規定してあるわけでありますが、漁業協共組合そのものにそれを規定すべきだと解するがどうか。それから経営者と從業者が一体となつた組合を作るべきだと解するがどうか。十八條の第三項には「定款の定めるところにより、」それからずつと下へ來まして「資格を有する者とすることができる。」とただ漠然と書いてあるのみで、この点をはつきり一つお示し願えればどうかと思うのですが。それから第二十四條に、いわゆる専用利用契約に関する規定を設けた理由は如何、一つこの点も承わりたい。それから二十五條の組合加入拒否に関しては不服申立の便法を設ける必要はないかどうか、この点についても承わりたい。以上。
#27
○説明員(藤田巖君) この漁業に從事する者は、大体今度の協同組合法の考え方は、働く漁民というものを対象にしての組織と考えております。從つてその意味は漁民の現在の実情からいたしまして、資本家と労働者、或いは経営者と從業者というふうな区別がしかく明確でないようなものが非常に多いわけであります。從いまして法案を全体通じまして、経営者と從業者というものについてはこれを区別をつけずに、組合員につきましても大体同じような考え方で行つておるわけであります。從つて「一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定める日数をこえる漁民」といいますのは、この漁民という定義は、十條の二項で書いてございますように「漁業を営む個人又は漁業を営む者のために水産動植物の採捕若しくは養殖に從來する個人をいい」と言うてございますように、一年を通じて三十日から九十日までの間漁業を営む、或いは又その漁業に從事するというふうな者は、これは経営者と從業者とを区別せず、同じように扱つておりまして、或る組合で、例えば九十日以上の者を資格者と決める、正組合員と決めるといたしますれば、九十日未満の者は、それが経営者でありましようが、從業者でありましようが、全部これは正組合員でなく落ちるわけであります。その者は三項によりまして、第一項若しくは前項に規定する漁民以外の漁民の中に入るわけでありまして、これは正組合員ではございませんが、定款の定めるところによつて準組合員として加入せしめる。そうして組合の施設を利用せしめる、或いは享受せしめる。こういうふうな途を開いておりますわけであります。從つて経営者と從業者との区別ということは全然考えておりません。
 それから経営者のみの組合はできるかというお話でございますが、これは十八條の二項によりまして、いわゆる業種別の協同組合、つまり「特定の種類の漁業を営む者又はこれに從事する者」と書いてございますが、業種別の組合につきましては、経営者だけで作るということは可能でございます。ただ包括的な地区の協同組合につきましては、これは從業者を入れないということを定款で規定することはできません。地区組合については必ず從業者も拒み得ない。業種別の組合については、これは定款の定めるところによつて從業者は入らないようにすることができる。そういう解釈でそのことはこの條文で明らかに大体なつておるというふうに考えております。從つてその趣旨を明らかにする政令は必要ない。尚この点は我々としては今後機会あるごとにその解釈を徹底さして行くというように考えております。專用利用契約は、これはなぜこういう規定を設けたかという御質問でございます。これは專用利用契約と申しますのは、組合員が契約をいたしますと当該組合の施設の一部を專ら利用せなければならない。つまり共同販賣の施設がございます場合に專用利用契約をいたします場合に、その組合員は漁獲物を專らその組合の共同販賣施設に掛けなければならん。こういうふうな規定であるわけです。これは一方自主的な組合員が各自に自主的に勝手にやれるというふうな考え方でありますれば、この專用利用契約もおかしいということになるわけでありますが、我々は決して協同組合を統制しようとは考えておりませんが、共同の利益を促進する以上は、皆がてんでに勝手にやるというのではなくつて、やはり或る目的のためには相互に自分らの行爲を制限して行くということも当然であることでありまして、そういうことでなければ、協同組合というものは私はその目的を遂行するということができないと考えます。從つて組合がその自由意思によつて專ら組合の施設を利用しようというふうな契約を結ばせる、そういうふうな改正によつて協同組合の強化を図つて行くということは、やはり望ましい方向であるというふうに思つておるわけであります。併しながらこれは二項にございますように、締結を拒んだ組合員、これは個々の組合員と組合が締結しなければならんのであります。或る人が、自分は專用利用契約を結ぶことを嫌だと拒んだ者のあります場合に、その拒むということを理由にいたしまして、その組合員がその施設を利用しようというふうな場合にこれを組合が拒んではならないというふうな規定を置いてあるわけであります。
 それから法案の二十五條の加入拒否に対しまして、不服申立ての便法を設けてはどうかというふうなお話でございます。この不服申立ての手続ということに相成りますれば、恐らく誰に不服を申立てるか、という問題になつて來る。例えば組合長に出す、或いは府縣の知事に出すというふうな問題になつて來るのでありますが、我々といたしましては、知事は大体いわば非常に限定された監督の地位でしかございません。すべてこれを組合の自主的なものに委しておるわけであります。從つて正当の理由がないのに拒みました場合には、現在の法制といたしましては、これは訴訟の手続によつてそれをはつきりさせる。果して組合がそれが正当の理由があつたかどうかということをはつきりさせるというふうなことにいたすべきであるということで、不服申立ての規定は置いてございません。ただ正当な理由がないに拘わらず拒みました場合には、百三十條の罰則の規定を適用する、こういうふうに解釈いたしております。
#28
○矢野酉雄君 自主的にやるということは最も民主的ですが、例えば引揚者等はそのために非常に加入が困難になりはしないか。それから、それを訴訟によつて権利を擁護しようとする場合、訴訟を主管するところは普通の裁判所ですか、或いは行政上級官廳か、その点明らかにして頂きたい。
#29
○説明員(藤田巖君) 訴訟いたします場合は、普通裁判所でこれを、いわゆる民事訴訟の手続によつてやるわけです。
 それから引揚者は相当加入する場合に不利にならないか、こういう問題でございまするが、これも特に引揚者について不利になるということに考えておりません。要はその引揚者が果して從來漁業を営み或いは又今後とも漁業を営む意思があるかどうか、その点がはつきり組合において公平に認定をいたしまして、これを判断して行くということになりますれば、格別の問題は起つて來ないのではなかろうかというふうに思います。
#30
○矢野酉雄君 過般のいわゆる失業手当法案の本会議通過の際には、僕は当時の引揚問題の特別委員長として米窪労働大臣に相当強硬な申込みを、ここの淺岡議員なんかとやりましたが、結局全然顧みられなかつた。今度災害補償の法律案もそうだ。果してこういうふうな立法をするときに、六百二十万の引揚者の大衆を擁しておるのに、立案者諸君はそういうことを実際親心で考えているのかどうか、考えたらどうか。事実問題として一つお尋ねして置きたいと思います。
#31
○説明員(藤田巖君) これは特にこういうふうな問題について引揚者だということで特別の規定を置くということは、私は非常に困難であろうと思います。立法いたします場合に、引揚者だということで特別の法律上の取扱をするということは困難だと考えております。でありますから、引揚者と雖も一定の資格はさしてむずかしい資格ではないのであります。一年を通じてたかだか三月、現に経営をして漁業を営んでおるということであれば当然資格が出るわけであります。その資格を作りまして……。
#32
○矢野酉雄君 外地でやつた場合でもよろしいですか。
#33
○説明員(藤田巖君) それは外地で漁業をやつておつたということがはつきりいたしますれば、それで当然これは資格があるということを私共は考えております。ただ問題はこれからやりたい。これから漁業をやりたいという場合に、果してそれが漁業をやるのか、或いはそれが曖昧であるかということの事実の認定によつて、多少組合の判断が違つて来ようというふうに考えるわけでございます。併しながらこれは引揚者のおられますところの地元においては、相当そういうふうな事情ははつきりする。やるかやらないかということはいろいろな準備その他でおのずから明らかなことでありますからして、当然率直に眞面目に組合が判断をいたしますればそう誤つた結論にはならないのではないかというふうに考えます。
#34
○矢野酉雄君 これは意見を開陳するわけではありませんが、今第一読会でありますから……。そういうふうな考えでやつておるというと、現に或る縣においては、引揚者等が、水産の経驗者であつてももう古だから絶対これをシヤット・アウトするというようなことを、非常な責任のある者が放言しているような事実をはつきりと掴んでおりますから、更に規定として、法律の條文としてなくとも、行政措置としてそれらのところを得しめるために、当局というものは、行政措置としてそれらのものが起ち上るような処置をするような考えがありますか。
#35
○説明員(藤田巖君) 今度の水産業協同組合法の狙いというものは、全然自主的に作らせる。そうして苟しくも働く漁民である限りこれが加入を拒まない建前でございます。從つて御懸念の点については私共今後この法律を普及し、又その趣旨をよく滲透せしめます上に十分注意をいたしまして、そうしてそういうふうな点について苟くも誤解があつたり、或いは又引揚者なるの故を以て正当な資格のあるにも拘わらずこれが加入を拒むというふうなものについては、十分その間違つている点を又役所としても質すというふうなことで処置して参りたいと思います。
#36
○淺岡信夫君 只今藤田次長の説明でよく分るのですが、問題は第一読会でありますから意見を差し挾むことを差控えたいと思いますが、ただそうした中央におきまするところの親心、或いは藤田次長の言われました心持が何だかこうしたものに対しまして反映するような或いは御理解を地方において得られるような今後においてお考え頂きたいと思うのでございますが、意見は後刻外の機会に申上げたいと思います。
#37
○委員長(木下辰雄君) 藤田次長は衆議院の方に参りますので課長が代ります。引続いて御質疑をお願いいたします。大分適切な質疑が段々出るようですから御遠慮なく疑問のところをどんどんお聽かせ願います。大体第二節の質疑がありませんでしたら第三節の管理の問題についての質疑をお願いします。第三節は第三十二條から五十八條までで非常に長いのです。
#38
○青山正一君 法案の第三十三條、この規約の性質及び効力如何、この問題について一つ、それから三十四條の「役員の定員及び選挙」この條項のうちに水産業團体法によりまして成立したところの水産團体の会長とか或いは副会長、專務理事、常務理事又は常任幹事の職におつたような者は、一應一年なり二年なり本法による組合の役員に選挙されることができないというふうなものを何か折込んで入れて置いた方がよいのじやないか、こういうふうに私考えておるわけです。その問題につきましては、いずれ討論なりその他のときにいろいろ申上げたいと思います。
 それから第三十五條の「役員の任期」これは非常に短いのじやないか、このように制限した理由はどういうわけか、その点も一つ公表して頂きたいと思います。それから法案の第五十二條、これもつまり総代会設置の標準として大体組合員数二百としたわけでありますが、その二百を根拠とした理由はどういうものか、そういつた点につきまして御質問したいと思います。
#39
○説明員(久宗高君) 四つ質問が出ておるわけでありますが、私最初を聽き漏しましたので第二番目からお答えいたします。旧役員は新組合の役職員になれるということについて制限すべしという御意見でございますが、これは非常に大事な問題だと思うのでありますが、一律にそういう問題を処理するのは適当かどうかということ、漁業における現状がそれを適当とするかどうかこの二つの点から考えて見る必要があると思いますが、農業におきましてはすでに二つの措置をとつております。即ちいわゆる公職追放者につきましては、当然の問題といたしまして、それははつきりと法令を以て新協同組合の役職員又は重要な責任の地位に就けないという規定が出ております。それからもう一つは、新らしい協同組合の設立に当りまして、新らしい協同組合の内容がどのようなものであるかということを一般の農民がはつきり知るまでは、それについて積極的に現在の農業会の役員が動いてはいけないというようなことが通牒によつて指示されております。併しながら漁業におきましてもこの点は同様でありまして、つまり公職追放者の問題と、それから現在の漁業会の役員が新漁業協同組合の発足に当つてそれを歪めることのないようにということについては当然これと同じような措置がとられる必要があると思うのでありますが、農業の方におきますこの措置におきましては、旧農業会の解散の時期において初めてその解散の席上におきまして新らしい協同組合というものはこういうふうな内容のものだということを、その役員が詳細に説明することになつております。そのときに初めて一般の人間は新らしい協同組合というものはどういうふうに作られるかということを知るのであつて、それまでは積極的にその問題に参加してはならない、こういうことになつております。
 そこで漁業協同組合におきましても、現在の漁業会の解散総会のときまでは現役員は新協同組合の設立について積極的な運動が取れないということになつております。そして又そういうような措置をする必要があると思うのでありますが、その後におきまして新らしい協同組合ができる場合に役員に選ばれた、そういうふうな者を今のお説のように全部一律に禁止すべきかどうか、この点につきましては、私共の考え方といたしましては、前役員は全部惡いということではなしに、その中には勿論非常に立派な方もおられますし、それは新らしい協同組合の設立に当たつていろいろ啓蒙運動も行われるわけでありまして、その設立に当つて新らしい協同組合員が選ぶ、選ばれて出て來たという場合にはこれを特に拒否することはないのではないかというふうに考えておるわけであります。ただ一般には漁村においてはそういういわゆる有力者或いはボスとこう言われる者がこういう役員に就く可能性が強いということで、これを阻止したらどうかという御意見が他の方面でも出ておるわけでございますが、私共はそれを法文を以て一年間就職を例えば禁止するという措置は現在のところ考えておらないのであります。
 それから第三の御質問でございますが、役員の任期が非常に短か過ぎはしないかという御意見であります。これは任期は一年となつておりまして、「但し、定款で二年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。」というふうにいたしております。仮に二年としましても、本当の仕事はできないじやないかということが考えられるわけでありますが、これにつきましては協同組合の組織そのものが、組合員全体が組合の活動に積極的に参加するという建前をとつておりますので、つまり役員が長く、期間が長くなりますと、つい從來起つたようないろいろな弊害つまり組合と役員が分れてしまつて、役員の個人的な色彩が非常に強くなるということも考えられまするので、これは比較的短期の期間において、何でもそれについて信任をするつまりずつと続いて行くのではなくして、役員を又選挙いたしまして、その方が続いてもいいという、信任が得られれば続いて行けるというような措置で考えて行くことにいたしまして、一度はそういうように自動的に長く続いて行くということではないという措置が必要であるということから一年としたわけでありまして、ただ定款で二年以内において別段の期間を定めたときは、定めることはできるのでありますが、二年以上には亘らない。併し勿論これは再選は妨げないのであります。
 それから総代会の設置の問題であります。これは漁業のような産業の実体から考えまして、全部総会に出るということは非常にむずかしいのでありまして、そのために総代会という制度を設けているわけでありますが、漁業という実体からいうと、なかなか出られないということは勿論これはあるのでありますが、成るべく積極的にその人そのものが出て処理する、意見を述べるということが主体になつて参りますので、総代会そのものを作ることについて相当いろいろ制約を受けたわけであります。ただ漁業の実体から見ましても、どうして総代会制度というものは必要だということで、その任期につきましてもいろいろ檢討したわけでございますが、いずれにしても極く少数の人間だけで問題を処理するということはいかんという意味が非常に強いのでありまして、そこでここでは二百人に対して大体五十人ということになりますので、非常にこれでは現在の状態では、現在の実情から考えますと、これは非常にもつと樂な形にして貰いたいといろ意見は各所で聞くわけでございますが、農業の関係におきましても、この総代会は非常に從來のような少人数でやるという形ではできないようになつておりまして、漁業においては特にそれを引下げるようにいたしまして、この程度で、大体各方面との話がついたわけでありまして、現在の状態といたしましては、これでは不便だという御意見はあろうと思うのでありますが、成るべくそういうような少数な人間だけで処理しないで、できるだけ大勢の人間が参加してやる、みずから意見を述べるということが民主化の課題にもなつておりますので、そういう点から二百名ということにいたしておるわけでございます。それから最初の方で……。
#40
○青山正一君 三十三條ですね、規約の性質及び効力如何。
#41
○説明員(久宗高君) (続)この規約と定款との効力は同じでございます。この規約を設けるか否かは任意であつて、且つ設定変更にはこれは認可は不要でございます。定款は必ず設けなければならないわけでありますが、そうして定款には勿論認可が伴います。そこで規約の方は組合の管理運営を円滑にするために設けたものでありまして、そういう趣旨のものでございます。
#42
○淺岡信夫君 只今の課長の説明によりまして、第三十四條の既存團体の主たる幹部が特に出られないのだ、丁度追放者と同じような立場に置くのだという規定を設けなくても、自主的な運営においてなされるのだという説明でよく了承したのでありまするが、これは管理の、この第三節におきまして質問すべき事柄であるかどうかということは私懸念するのでございまするけれども、併しそういうふうな既存團体の組合の主力幹部が積極的に動いてはいかんというようなことはそういうふうなことを理解せしめるためには、どういうような方法を用いられるかどうか、誰がそれをなされるのか、つまり宣傳されることですね、理解せしめること、そういうことはまあこれは特に管理の項で謳わなくてもいいだろうが、そういう方法をちよつとお伺いしたいのであります。
#43
○説明員(久宗高君) この点は、農業の方でもその問題について、丁度法案が実施になりましたときに、そういうような通牒が出まして、その通牒の中では、官吏も、普通の官吏も、それから現農業会の役員も積極的に動いてはいけないのだ、つまり解散総会があつてから、つまり解散総会の席上で、初めて具体的に組織の農民に対して、新らしい協同組合はどうなるのだということを説明することが法律で義務付けられておりまするので、そのときに初めて具体的に一般の農民が新らしい協同組合の内容を知るという建前に法律ではなつておるわけであります。併しこれはもつと前から、実質上はいろいろ議論されるわけでありまして、私共といたしましては、法案の内容を、つまり客観的にこういうものであるという説明はですね、これは当然してもいい、こう考えるのであります。ただどう作れとか、ああしろ、こうしろという問題はいけないのでありまして、法案の公式のものはこうなつておるということは、いろいろ漁民からも聞いて参るでありましようし、それに対して、自分の意見を混えず、法案の客観的内容はこういうものである、こういうような説明が中央から來ておる、そういう問題についての処置は当然とつてもいいと考えておるのであります。
#44
○淺岡信夫君 例えば今のですね、課長の説明されたようなふうに、それは既存團体の幹部も亦そういう説明をする場合があるだろうと思いますが、そういうようなことが徹底するかどうかということを非常に懸念するのでございまするけれども、そうした点につきまして。
#45
○説明員(久宗高君) この水産業協同組合法案につきましては、從来からも私達はこれを早く一應の事務当局案を公表いたしまして、これについて漁業権制度と併せて一般の御批評を得たいと考えて公表の問題を重視していたのでありますが、いろいろの関係でできないで今日に至つたわけでございます。それでこの前の内閣のときでありまするが、一應これを閣議に掛けて行きます場合に、私の方といたしましては、直ぐ議会も眞近かなことでありますし、どうしても一應漁業権制度と併して公表して行かなければ、一般の御批判を得なければならんということで、やつとそのときになつて、これは十月中にはつきり覚えておりませんが、十月中に両法案とも一應事務当局案として公表したわけでございます。ただ御存じのようにこういうような法案でありますから、案そのものを公表いたしましてもなかなか趣旨も徹底いたしませんし、これを読んだだけでは重要なところが分らんというような点もございますので、ラヂオその他を通じまして、いろいろ内容の客観的な解説を今現在進行しております。パンフレットその他によつてもこれから説明して参りたいと思つております。現在ではラヂオを主として利用いたしまして、大体この法案の中で最も大事な部分について平易な解説をやつて行くということで考えております。
#46
○淺岡信夫君 分りました。
#47
○委員長(木下辰雄君) それでは第四節の設立に関する事項についての御質疑がありましたらお述べを願います。
#48
○青山正一君 この六十一條ですかな。六十一條に「定款作成委員」の條項がありますね。定款作成委員によつて決められましたこの定款とか或いは事業計画を後から設立準備会ですか、創立総会というのか、そういうところでその定款とか、事業計画を修正することができるかどうか。その時そのその地区と組合員になる者の資格を修正できないということを決めておりますのですが、その点はどういうわけですか。その二つの点について一つ。
#49
○説明員(久宗高君) 只今の御質問につきましては、六十二條で明文を書いてございます。六十二條の第四項にありまする「創立総会においては、前項の定款を修正することができる。」ただその但書が附いておりまして、「地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りではない。」というふうにいたしております。
#50
○青山正一君 それはどういうわけなんですか。「但し、地区及び組合員に関する規定については、この限りでない。」……。
#51
○説明員(久宗高君) お答えいたします。地区と組合員につきまして、これ又ここで変更々々ということになつて参りますと、組合がどうしても設立できないのであります。それで内容だけは変えられないということになるわけでありますが、それにつきましては、その設立準備会のときにその案の内容については十分関係の方の意見を盡しまして、ここで固めて行くというふうにしないと、又これがこちらで以て変えられるということでありますと、つまり設立が全然できないことになつてしまいます。それでこういうふうな規定を置いておるわけであります。
#52
○青山正一君 その理由だけですね。その理由だけで地区と組合員になる者の資格を修正できないということになつておるのでありますか。
#53
○説明員(久宗高君) そういうことになつております。
#54
○青山正一君 それから法案の第六十三條ですね。六十三條によりますと、組合の設立は行政廳の認可を必要とする。行政廳の認可を必要としますけれども、これを届出とか或いは登記制度に改めたらどういうものですか。
#55
○説明員(久宗高君) お答えいたします。これは將來の問題は別といたしまして、現在これより先に出ました農業協同組合の設立を見ましても、非常にいろいろ違法な事例が出て來ておるのでございます。それで全然初めからこの届出制度というものでは、非常に大きな一つの切替えでございますから、それではできないというふうに考えますので、これは別にいろいろこの行政官廳の方から不必要な指導をするとか、そういうようなことでなしにできた新らしい協同組合の内容が、この法案で要求しておりますような民主的な内容であるかどうかという事実審査を相当しつかりやる必要があると考えますので、これを謳つておるわけであります。
#56
○委員長(木下辰雄君) 第四節に対して他に質疑はありませんか……ありませんでしたら第五節、解散及び清算の項に入ります。この頂についてはやはり質問がないと思いますが、第三章の漁業生産組合、全部に対して質疑を……第三章の質問がありませんでしたら、第四章の漁業協同組合連合会の項に入ります。
#57
○江熊哲翁君 ちよつとお尋ねいたしますが、全国の各府縣の水産業会の中で、金融の仕事をやつていない縣は何縣ぐらい現在ありますか。
#58
○説明員(久宗高君) 只今ちよつと今ここに資料を持つておりませんので、後刻調査いたしまして御返答申上げます。
#59
○江熊哲翁君 それからこの金融事業がこれと切り離されておるのですが、これに対してどういうわけでこうしたか、その筋との折衝のことも取入れてお話願いたいと思います。委員長、それで速記の関係があれば止めて頂いても、この点は次の時代において私共として行き方もあるからお話願いたい。
#60
○委員長(木下辰雄君) 速記をちよつと止めて……。
   午前十一時三十九分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十一時五十五分速記開始
#61
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。まだ質問もあると思いますが、明後日の午後一時から第四章から続行して質疑をしたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
          尾形六郎兵衞君
   委員
           青山 正一君
           松下松治郎君
           淺岡 信夫君
           江熊 哲翁君
           矢野 酉雄君
  説明員
   水産廳次長   藤田  巖君
   農林事務官水産
   廳漁政部経済課
   長       久宗  高君
ソース: 国立国会図書館
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