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1948/11/19 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第6号
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1948/11/19 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第6号

#1
第003回国会 水産委員会 第6号
昭和二十三年十一月十九日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産業協同組合法案(内閣送付)
○水産業協同組合法の制定に伴う水産
 業團体の整理等に関する法律案(内
 閣送付)
○漁業権等臨時措置法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後二時十二分開会
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。本日は水産業協同組合法案についての第二議会でありますが、全般的の條項について質疑なり、質疑する場合における御意見なりをお述べ願います。
#3
○江熊哲翁君 今度漁業協同組合法ができるということに対しては、水産廳も非常に努力されていることと思いますし、又漁民も非常に期待しているので、一日も早く本法案が審議されることを希望いたしますが、いずれそういつた我々の気持が近く巽を結ぶことにはなると予想されるわけですが、私はこの水産行政の全般はまあこれは大部分は漁村行政である。漁村行政というものはいわゆる漁村の協同組合の仕事である。そういうふうに私は考える。私個人の経験に徴しましても、府縣あたりの仕事の殆んど九割というものは沿岸漁村の仕事なんであります。縣によつて多少海洋漁業関係の非常に重い縣もあり、山口のごときは相当海洋漁業が重くも考えられておりますし、仕事も相当あるわけであります。併し全國的に見て沿岸漁村の仕事、つまり協同組合の仕事というのが殆んど大部分なんであります。今漁村民主化のために、又沿岸漁業の協同化といつたようなことから、漁業協同組合法というものが新たに制定されて、そうしてこういつた運動が活発に展開されようとしているわけですが、これに対して農林省が一体どれだけの準備をしているか。私は農業協同組合の場合を非常に興味を持つて見ておつたのでありますが、随分あれは莫大な経費をかけている。予算の内容は詳しくは知りませんが、併し府縣の末端においての運動の展開はラジオ、講演、映画、その他ポスター、あらゆるものを総動員して協同組合の促進ということをやつたのであります。又中央からの全國の呼び掛けのためのラジオ放送にしましても、常にこの問題が坂上げられておりました。私の郷里の駅の前なんかには疊三枚敷ぐらいな大きな図面の入つた掲示板を掲げて、強く農民というよりか一般縣民に呼び掛けている。私は農林省の水産庁の今日の機構を見ると、どうもこういつた沿岸漁業に対する関心がむしろ非常に稀薄ではないかというふうに思うのであります。併し水産庁もできて間もなくのことでもあるし、いずれ近く又変革されるのではないかと思うのですが、併し協同組合法には我々が非常に愼重に研究し、審議して行くという一方に、これの裏付というものが十分でなかつたら、私は、軍にこの法律ができたというだけでありまして、何んにもならないのではないか。勿論資材とか、或いは資金の裏付が必要だということは晦日の委員会でも申上げたのでありますが、併しそれに行くまでに本当に民主的な漁業協同組合が生まれて來るかどうか。漁村民がそれだけの自覚を持つて、果してこの漁業協同組合の仕事に乗つて來るかどうか。その点が私に非常に懸念されるのでありますが、これに対してどういうふうな予算内容を以てやろうとするのか。又どういう仕事を取上げようとしておるのか。そういつた準備の程を伺つておきたいと思います。
 以上一應條文というようなものなどに触れずに、全般的な考え方として、水産庁が今日この重大な一つの仕事を進めて行こうとすることは、漁村から見れば一つの吹きな革命でありますが、業法の改正と相俟つてこの重大な変革に対する農林省のお心構え、準備、そういつたものの内容を詳しく御説明願いたいと思います。
#4
○説明員(藤田巖君) 只今の江熊委員の御質問は御尤もであると考えております。農村よりも漁村は民度が特に低いのでありまして、この漁村の民主化ということについては、これは相当の啓蒙、宣傳をやつて行かなければならんというように考えております。それをやらなければ、折角法律でどんなふうに書いてありましても、協同組合というものが本当に目覚めた漁民の自主的な團体として育つて行き、或いは結成されるということが非常にむずかしかろうというふうに思いますので、私共といたしましても、これについての予算を要求をいたしておりまして、本年度におきましては、大体四ケ月分を計上いたしまして、総計一千百万円の予算を追加予算として提出をいたす予定になつております。これは大体大藏当局ともすでに話合い済みでございます。それで内容は、この水産業協同組合法の施行に伴いまして、その健全な発展と民主的な設立を図るために印刷物の刊行を行う。そうして印刷物を作りまして、その協同組合の趣旨の普及、啓蒙を図つて行くということ、それから尚各府縣に亘りまして、大体九十二回程度予定いたしておりまするが、普及、宣伝のための会議を開催いたして、そうして広く各地に会議を開催いたしまして、啓蒙もやり、或いは又漁民の声も十分に聽いて行きたいというふうに考えております。尚これに必要な地方職員、実際問題といたしましては、これは地方庁が積極的に第一線に立つて、この問題を取上げて行かなければいかんのでありますからして、地方廃り職員の設置補助につきまして、大体全額補助というような考え方からいたしまして、二級、三級、総計いたしまして、約百六十四人分の経費を計上いたしております。併せて指導に関する旅費も計上いたし、尚私共の心構えといたしましては、これについては協同組合設立促進のための必要な職員の充実を図つて、この問題については遺憾なきを期して行きたいというふうな態勢で考えておるわけであります。尚又その他縣又は適当な團体に委嘱をいたしまして、將來の協同組合の中堅の職員どなるべき人の養成もやつて行く。予算は必ずしも私共の満足すべき状態までは折り合いがつかなかつたのでありますけれども、今後ともそういうふうな予算の確保についても努力をして参りたいと考えております。
#5
○千田正君 この法案を提出した水産庁の当事者にお伺いしたいのですが、大体法案の由つて來たるところは、民主主義政治以下における水産部門の一つの革命であろうと思うのですが、先程江熊委員の言う通り、これは漁業会にとつては有史以來の革命的措置だと思います。私もそう信じたいのでありますが、実際この本法案の内容を検討して見るというと、曽ての漁業会から一歩でも前進した法案が盛られてあろかどうかということを考えるのであります。それは何故かというと、從來の漁業会、水産会のいわゆる役員であつた人たちその者、大体において大きな資本家の階級、若しくはその雇人であつた人たちによつて代行されておつたこの漁出張会、水産会というものが、その儘名前だけが変つて、再びこの漁業協同組合の役員になり指導階級になつた場合に、これは所期の目的であろところのいわゆる日本の漁民の向上ということと、日本のこうした生産部門にあるところの民主化というものに対する目的が、ちつともここにおいて発揮できない。そこでこの從來の役員を、或いは指導階級を再びこの漁業協同組合の指導階級、役員にするかに何らかの制限を求めるかどうかという点については、ちつとも法案においては盛られていない。私はこの点において單なる法案は出してあるけれども、今までの水産業会、漁業会と何ら変るところはないじやないか、かくさえも感ずるのであります。ただ我方がここに心配するのは、先程も藤田次長の言う通り、この水産業というものに対する漁民その他の問題は、非常に民度が低い、低いから農業協同組合のように一切を御破算にして、新らしい組織に変えるというのは、これは大きな問題になつて來るのであつて、むしろ曽ての漁業会の立派な指導者であつた場合は、その中の三分の一なり、二分の一の人が参加することは好ましいことであるが、併し全部が再びこういう新らしい法の下に又指導階級になり、或いは又支配階級になるということは、ちつとも漁業会の革新にはならないと思います。この点において、條文には何らのそういうものの明確なものが載つておらない。この点においてはつきりしたこの革命的な措置である漁業協同組合の法案に対するところの何か條文を盛る必要があるのじやないか、この点についてお答えを頂きたい。
 もう一つは、水産加工業協同組合、これを仔細に検討するというと、水産加工業協同組合の第九十四條には、組合員は事業主に限るというはつきりここに明文が載つておる。事業主に限る乏いうことは、要するに今までの水産加工業者というのは資本家階級である、こうした人たちのみによつてこの水産加工業協同組合というものができるとするならば、それはむしろ商工省に所属するところの商工協同組合に類したものであつて、水産加工業協同組合というような町から頗る離れた観点に置かれてあるのじやないかという感を深くさせるのであります。それで水産加工業協同組合を作るとするならば、勿論事業主が主体であつて結構でありますが、それに水産加工業に原料を供給する側、若しくはそれに從事するところの從業員の側もこの組合員になつていいのじやないか、そうでなければ、これは單なる商工協同組合に過ぎないと、こういう断定を下されても、これに抗弁するところの何ものもない。これでは水産庁の指導方針に則つておるかどうかということを再討する必要があると思うのであります。これに対して水産庁の立案者から御答弁を承りたいと思うのであります。
#6
○説明員(藤田巖君) 現在の水産業團体の役員が、新たなる協同組合の役員に就くことについての何らかの制限の規定を設ける必要がないかというふうな御質問であつたかと思います。私共といたしましては、ただ單に現在水産業團体の役員であつたというだけの理由を以て、善きも悪しきも、それらの者はすべて新らしい協同組合の役員になれない、こういうふうに決めてしまうことも、これは又行き過ぎではないだろうかと考えております。勿論新らしい漁業協同組合は、よくその理念を理解をし、又組合運動に積極的に挺身するだけの熱意を持つた、責任を持つたところの新らしい人が出て來ることも、これは非常に望ましいことでありまして、それを私共としては期待をするわけでありますが、併しながら現在の水産業國体の役員の中でさような資格を持つておる人も亦絶無とは言えないのでありまして、要は漁民の自由な意思に基いて、本当にこの人がいいということで、すべての者から選任をされて出て來るという以上は、これ亦新らしい協同組合の役員たる資格も十分あるというふうに考えられるわけであります。從いまして、私共の考え方といたしましては、やはり農業協同組合で取られた方針と同じように、現在の水産業團体の解散準備総会が開かれまして、解散準備総会の席上、水産業九同組合法の趣旨について十分漁民に納得をさせ、一般漁民がこれに対して理解を持つという段階に至りますまでは、從來の役員は組合の設立運動に従事することについては、これは差控えなければならんと思います。それ以後の問題につきましては、何らこれを特に現在の國体の役職員たるの故を以て、善きも悪しきもこれを排除するというふうなことについては、これは尚検討を要する問題であると思います。要は組合の自主的な意思に基いて選ばれて來るならば、それも支障はないのじやないかというふうに考えておるわけであります。
 それからもう一つ、水産加工業協同組合は事業主に限つておるが、これに原料を供給する側、或いは又従業者もこれに入れるべきではないかと御意見でございます。私共の考え方としては、水産加工業組合は、これはいわば特殊な加工業のみの職域組合、特殊な目的を持つておる組合というふうに考えております。從つて漁業協同組合のように、漁村の生産、流通、或いは生活の中心母体として進み、又漁民全体の啓蒙運動もやつて行く、指導もやつて行くというふうな團体とは考えて峯らないのであります。從つてこの点につきましては、從業員については、これを特にその組合に入れる必要がないと考えたのであります。むしろ加工業の從業員と事業主との関係はこれを若し何か調整することがあるならば、それはむしろ労働協約、從業員の労働組合の結成によつて資本主との間に、事を解決づけるというふうな建方にすべきであつて、特にこれを漁業協同組合と同じような考え方をする必要はなかろうと考えたわけであります。それから尚原料を供給いたします側の問題につきましては、これは水産加工業協同組合連合会に何らか同じような事業をやつております、関連をしておりますようなものについでは、これは準会員として加入するような手段を認めておるわけであります。それは何ら支障がないだろうと考えております。併しながらむしろ私共といたしましては、やはり漁村においての中心の國体というものは、これはやはり漁業協同融合を中心にして進んで行く、そうして必要があるならば漁業協同組合も加工部面を行うわけであります。その漁業協同組合の方に加工業水産組合を準会員として加入せしめて連絡をして行く。そういうふうな情勢にまで持つていくということが、むしろ望ましいのじやないかというふうに考えております。
#7
○千田正君 重ねて私は質問したいのでありますが、先程の協同組合法案に対する法律を成案しました当初の目的という面において、藤田次長と私は観点を異にしておるのであります。何故かならば、先程次長のおつしやつたように、現在の團体役員を何も餓にする必要がない、或いはそれを制約する必要がないということは一應御尤ものようでありまするが、これは農業と違つて漁業においては非常に民度が低いということははつきりお認め願いたい。民度が低いが故に、尚一層こういう問題についてはいろいろな面から検討する必要がある。何故ならば、恐らくこの通りの組合法案が出たならば、結果としましては、今までの團体役員がそのまま恐らく居坐られるだろうと私は思います。それで果して水産廳が企図しておるような、いわゆる民主的な協同組合いができるかどうか、私はこの法案のままだつたならば、それは期待できないということをはつきり言いたい。それで私の言うのは、民度が低いならば低いだけむしろ今までの團体役員の数を或る程度限定して、そうして漁民の中からもしつかりした者を或る程度選挙すべきである。それにはむしろこういう法案に、今の過渡期においては盛るべきであるというのが私の理論であります。何故かならば、恐らくこのままで行つたならば、尤も立派な人が沢山あると思います。縣の役員の中にもとれは漁民が見ても、誰しも新らしい漁業協同組合ができても、こういう人に是非指導者になつて頂きたいという、こういう人は堂々と、むしろ組合員から推薦されるだろうが、好ましからざる人物も相当いると思う、往々にしてこうしたボス階級その他の好ましからざる人たちが再びこの協同組合の役員になつた場合において、果してこの法案のごとく成果が得られるかどうかということが私は疑問であると存ずる故に、もう一度この点において十分なる検討を加えて頂きたい。この点において特に私は水産廳の当事者にお願いする次第であります。
#8
○江熊哲翁君 これは私は全國の連合会を認めていないということについては先日御質問申上げたのですが、はつきり意見を質したわけでありましたが、どうも私にぴんと來るような御回答を得なかつた。私も何としても全國の連合会を法文化、て行くことが非常に必要であつた、これが経済行為の問題において難色があるということは、一應私も了承いたしますが、そういうものがなくとも、お互いに業者たちが東京に出て來て、共り語り、共に励まし合うという、そういつた機関の面においても私は連合体というものを考えなければいけない。独占禁止法の関係とか、いろいろなことが言われておるようでありますが、先日もお答があつた中に、必要は認めておると言われておるのですが、これはも役所の方も業者の方も皆この必要を認めておるのですから、少くとも私は消費生活協同組合が認めておる、あの程度の連合会ぐらいは確かに認められるのではないかと思うのですが、これはいろいろな意味合において非常な困難な事情があつたかと思うのですが、私共はできるだけ早い間において何としても連合会を作らなければ、との協同組合の系統機関としての完全な仕事は私はできないと、こう思うのです。まあ一應地区的に兎の糞見たような協同組合を生み放したに過ぎないのである。これが大きくなることがいけない、協同組合を作る時に、この子供は、小学校を卒業さしたならば十分だと初めから、生れた時から考えて育てる親はないと思う。この子供を四尺五寸以上に肥らせる必要はないと考える者はない。どうもこの子供を大きくしてはいけないということに決めてかかつておるところに協同組合の根本精神を忘れておる。協同組合というものはその日が食えないよろな者が集まつて、そうして何とかして助け合つてか行こうというので作つておる協同組合ですから、特に中小の沿岸漁業者なんというものが、仮に私極論すれば、百や二百集まつたところで大した力にならないのです。そんな氣の毒な團体である。これが縣だけで以て統合されたからといつて何ら大きな力にならない。私は戰時中の統制機関としての農業会、或いは水産業会の一部の人たちが護りを受けておるわけですが、全國農業会あたりが不当な方面に活動したというようなことを全然知らないわけでありません。併しそれは戰争が生んだ、誠に好ましからざるつまり邪道なのでありまして、今民主的に生れようとする、民主的に生れるということが前提になつておるのですから、その民主的に生まれないということになつておれば、それは今のことが考えられるが、民主的に小さい者が集まつて作らせる、作らぜようということを前提にして作られておる関係上、これが中央に宛て何か話合つて励まし合う機関ぐらいは作つて悪いということは、何としても了解がしかねる。そういうようなところにもこの法上案全般に流れておる考え方に私はどうも承服しかねる点が多いように思う。その一例として私はもう一つ昨日水産業加工協同組合の問題について申上げたのですが、私は、千田議員も今御意見があつたようですが、大体似たような御意見のように承りましたのですが、私は加工業そのものが組合を作つていけないとか、或いは加工業者を大いに圧迫してよいという意味合で言うのではない。これは別に考えられる筋があるということを申上げるので、これは誤解のないようにして頂きたい。一應加工業協同組合の問題はそのままにいたして置きまして、私は漁業生産組合のことについて考えて見たい。これについて御意見を十分伺いたい。それは生産組合というものはこの法文を読むというと、無論地域に制限がない。從つて漁業協同組合の場合と重複することは当然なことであります。そうしてこの生産組合というものは、そうするとどういうことになるかというと、法文の示す通り、協同組合の如何なるメンバーよりか強力な人が或る特定の行為をするために作つた協同組合でありますから、漁村の実権というか、実力というものは、協同組合と生産組合が同一地区間にあつた場合に、生産組合というのは実力が強いということになる。これは我々が本体として考えた漁村協同体としての考え方の漁業協同組合の見方から見ると、これは途轍もないものを抱え込んだというようなことを誰でも一番先に考える。これは元漁業実行組合というものを、一應任意組合であるが、認めて來ておつた時代のことを考えればよく分るんです。この安行組合は法人格を持たない組合であつたのですが、ある組合のごときは定置漁業を中心に実行組合員ができておる。組合員の相当数がそれに参加しておる。ですから当時の実行組合ですから、元の漁業協同組合の下部機構であるということもこれ亦非常にはつきりしておる。然るにそういうふうな機構にしてあつたにも拘わらず、私の知つておる漁業組合の場合の実例ですが、漁業協同組合の事務所は実にそのお粗末な、小つぽけな家におつて、職員もやつと二人か三人しか置けない。ところが一方の実行組合の方は御承知のように生産という大きな部面を握つておるだけにとても堂々たる洋館建の建物に入つて職員も十何名といる。そうして実行組合の長なるものは、私共は戰争中はともかくといたしまして、その実行組合の長は漁業会長がかねておるのならよいが、こういうふうな形は幕府的存在となつて困つたものだとしばしば申したのですが、全く幕府的な存在だ。今そういう言葉を使うのはおかしいが、昔の歴史には幕府というものがあつて、とても……その在り方なんですがそれを例えて申上げるのですが、そういう実状で漁村の平和なんというようなことは到底考えられない。それが決して生産増加の行き方にはならないのですけれども、これが今法人格を與えて協同組合と同一の仕事が全部できる。而も生産面においては協同組合も到底及ばないところの或る実権を持つておるそういういわゆる業者の組合であるということになることは、これは余程今後の指導というものを考えなければ途轍もないことになりはせんか。協同出資をするということになると、丁度「ほととぎす」が「うぐいす」の巣に卵を出遅み、「うぐいすが」結局子供と思つて育てて見たものは「ほととぎす」だつた、こういうことになるのですね。私はこの漁業生産組合が実行組合の一つの発展過程としてここまで考えられたということは、漁村の沿岸漁業の発展上、漁業の企業化という面から見て非常に望ましいことであると思うけれども、これが漁業協同組合とは全然別個に扱われておる。若し漁業生産組合、漁業協同組合の正会員になつて行くべき運命に置かれておれば、これは比較的コントロールが付くし、問題も解決が付くのじやないか。ところがこれを準会員として協同組合の場合扱つておる。こういうふうな点においても、私は非常にこれはむしろ手抜かりがある。この法律に流れておる一つの考え方が、ここにも片鱗が現われておるのだ、こう私は思うんです。
 その次に更に私は、続けてこういつた物の考え方、この法律に流れている一つの考え方がここにも現われている。それは信用事業を懸單位の場合においては分離した。これも今日その理論的なる、その金融機関的なる、金融機関としての仕事を縣水あたりがすべきではないという一事を以て分離するということは、これは本当に漁村の実体を知らないところから來た考え方だと思う。これは一つの重大な錯誤に陥つて彫る。こんな沿岸漁村の零細なる資金を扱うこの仕事を、法律的に、或いは経済学的に見た場合に、正しい理論の上に立つて行かなくちやならんとばかりに、その一つの枠に嵌めて考えるところに、まだ漁村金融問題について何ら本当の認識がないのじやないかと思う。丁度これは私は縣の信用事業がこういうふうに分離されこたとは、非常に外の方面から、或いはきつとあなたの方の、あとでなさるお答えの中には何らかの理由が挙げられるだろうと思うが、併し私は如何なる理由が挙げられようが、この仕事だけはこういつた物の考え方、行き方はどうも承服しかねるりであります。丁度角を矯めて牛を殺すという言葉があるが、この仕事は私は今後の協同組合の仕事に重大な支障を來すに相違ない。そうして而もここで以て我々の協同組合の仕事が一應全部終つてるわけなのです。これから上はないのであります。それでこれは何としても折角作つて頂いたところの、御心配して頂いたところの水産業協同組合法そのものがですね、これは未完成の状態にあるのです。決して完成したものじやない、未完成のままで、とにかくとても忙しくてやれない、とてもむずかしい仕事でやれない。ここらあたりで銘々で、各府縣で思い思いに作るなら作つて見ろ。協同組合に金を出すのも脱退するのも自由だということを頻りに主張されるが、作るなら作つて見ろというふうに私は思つていない。つまり私は、ちよつと考えただけで今申上げましたような、こういうふうな重大な欠陥が、而も或る一つの筋を引いて到る所にによきによき現われている。こういうようなことは詳細に仕事をやつておる人たちが研究した暁には、必ずこれらについて不満が勃発するだろうと思う。今のところまだ法案が、一般に公表されて研究の機会を與えたとは申しますけれども、本当に仕事をやつている人たちは、この法案の全部を皆さんに手渡して研究さしたわけでもなし、ただ新聞雑誌などで抜萃的な記事が出て、それによつて窺い知つたという程度で、余り詳しいことは知らないから、今日余り問題にならないのであつて、これが十分分り、各條文の関係がはつきり分つて來ると、むしろ驚くのじやないか、びつくりするのじやないか、そういう氣がするのです。何としても私はこの法案全体に対して非常に不満足な点が多いということを申上げるのです。そこで私は老婆心でありますが、とにかくこの模範定款というようなものがこの法律の中に作られるようになつておりますから、一日も早く作つて、こんなようなふうにして今後の組合というものはやつて行くのだということも併ぜて成るべく早くはつきりして、研究を徹底させ、意見を十分採入れて頂きたい。併し又、今日の國会情勢から見てなかなかそれは道遠しの感がありますけれども、併しいずれ何らかの決定が與えられた場合にも、それらの処置は必ず関係者から喜ばれるに相違ないと思いますから、是非一つそういうふうにして頂きたいと思います。
 それから私は、これは初めに御質問を申上げたときに、どういう仕事をされようとしておるのかということを申したどきに、申添えたいと思つたのですが、農業協同組合法の解説書が農政課から出ておる。この春私買つて見たのですが、あれは農政課の誰が書いたのか知りませんんが、私は最近出た官庁の印刷物で、あれくらい行届いた印刷物はない、こういうふうに思うのであります。協同組合運動の全般的な記載が相当詳しく、世界的な資料を以て記載されておる。それで各條文とも懇切に誠に詳細に説明しでおる。あれを読んだときに、私は非常に参考になつた。私は先日郷里の方に帰つた際に、今度できる漁業協同組合というものは、どんなものだろうかということをしばしば聞かれました。併しまだ当時は法案というものが一向示されていなかつたし、私はそれに答えるのに、農政課から出ておる農業協同組合法の解説の本を見ろ、あれは百二十円しかしないし、内容も豊富だし、とても丁寧に書いてある。読んで分りよい本で、恐らく漁業協同組合法ができても、あれが基本になつて作られるだろうと思うし、我々もあの線だけは確保したいと思うのだというようなことを申上げて、若い人たちにあの本の購読を奨めておる。私はこんな重大な使命を持つた、農業協同組合と漁業協同組合は、似た点はあつても、根本的に違う点も随分あるのでありますから、この際十分なる一つ丁寧懇切な資料を盛つた、あれ式以上の印刷物を早急に作つて、漁村の人たちに配つて頂きたいということを併せてお願いしたいと思います。まあいろいろ御質問申上げたことについて一應の御答弁をお願いしたいと思います。
#9
○説明員(藤田巖君) 只今御指摘になりました点は、三点とも率直に申しまして、私共む御同感の点が多いのでございます。ただ各関係方面と接衝いたしました結果、種々の経緯によりまして、現在の案のようになつたのであります。協同組合法の成文化が非常に遅れました点も、突は御指摘のよらな点が接衝になりまして、遅れたと申してもよかろうと考えております。從いまして、この点につきましては、私共といたしましても、今後よく漁民の全体の要望するところに應え、よくそれを検討いたしまして、又これは國会方面の御盡力も得まして、私共の本当に希望するような協同組合のできますように、法規の不備な点は、これを漸次改善して参りたい。それには決して私共はやぶさかに考えておりません。そういうような方向に進んで参りたい、かよりに考えておりますわけでありますつそれから模範定款を早く作る、又解説書、懇切丁寧な解説書を作るということも、これも御尤もだと思います。私共においても今いろいろと計画をいたしております。これもできるだけ御期待に副うようにやつて参りたいと、こう思つております。
#10
○矢野酉雄君 これは打明けた話ですが、質問や、それからすでに御意見もいろいろと含まれておりすが、水産庁としては、それらの意見について、何かこの法案は案でありますから、どこか修正をしてもよろしいというようなお気持でありますか、如何ですか、
#11
○委員長(木下辰雄君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。
#13
○矢野酉雄君 現在の國会のあり方としては、実はまだ國会も第一義的本質というものも、実ははつきりしておらないのであつて、むしろ政府の法律案を審議して、賛否を決するというような態度であつて、これは決して在るべき姿ではないのであつて、立法府の本質としては、当然これからは各種の法律案も、参議院、或いは衆議院それぞれが立法すべきである。そういう立場から考えるというと、我が参議院の水産委員会は、その國権の最高機関たる立法府という立場から、当然独自の立場で立案して然るべきだと思いますが、臨時議会という特性もありますので、その点一應は又勘案しなければならんわけでありますが、非常に有力なる御意見が江熊委員や、或いは千田委員から出ておりますが、千田委員にお尋ねいたしますが、討論に先立つては当然法律案の修正意見というものを出して、そうしてこれによつて参議院の水産委員としては、それを又議に付して可決するなり、否決するなりして、何ら差支えないことでありますし、勿論当然そういうふうに運んで然るべき問題です。内輪話として如何でしようか。修正のこれに関する法律案をお出しになる何か御腹案がありますか、それらも一應承つて置けばよかろうかと思います。
#14
○委員長(木下辰雄君) 今のは千田君に対しての質問ですか。
#15
○矢野酉雄君 江熊君です。
#16
○江熊哲翁君 私はこの法律案に対しては、前申上げましたように、明かに不十分であると認むべき点が多々あるわけであります。併し御承知のように、漁村の今日の状況はいろいろな事情が重なつて、非常に混乱と弱体化に階つている、はつきりした進路を百も早く示して貰いたいということが、漁村の実情である。そういうようなことを本國会にも関係の人たちが数度出て陳情いたしておりますし、又書類も陳情書も出ておる、請願も出ておる実情であります。ですから我々は意見のあるところは十分述べ、又政府自身の意見も承り、必要あることはそれを記録に留めて置いて、十分更に検討を重ねて、いずれ適当な機会にはその筋の了解も得て、我々漁民全部の希望に副うようにいたしたい。そういう検案を今一両日の中に、俄かに改正、修正意見案を出して、この法案を修正しなければならないという問題よりか、この程度でも一刻も早く出した方が、漁村の人たちは喜ぶのである。そういうことを要求している実情であることを申上げて置きます。
#17
○千田正君 只今の矢野委員からの懇切なお尋ねに対して、私はただ一点だけ申上げたいと思うのでありますが、それは根本問題であるから、先程も藤田次長とは多少違つたような観念で申上げたのでありますが、恐らく最初であるが故に、これは重大な問題である。このものはこのまま法案で通過して一体今までの指導者以外の人たちが、大体どのぐらいに出ると見ておるかという見通しを、藤田次長は持つておられるかということをお伺いしたいと思います。この法案が通過することによつて、少くとも過半数は本当の漁民代表者が出て來るというお考であるならば、むしろ今江熊委員のように、これを一日も早く通過さした方がよろしいという結論になるのです。私の観点から言えば、恐らく從來の指導者が、過半数を占めて、新らしい意味におけるところの民主的な國体としての指導階級が、この面に現れて來ないと、こう思うが故に、私としてはでき得べぐんば、從來の指導者階級を半数に止めて、後の半数は……これを半数に止める必要もないが、半数までは出してよろしいということは、組合員が選出した場合は半数は出してもいいという制限を加えたらよいと、私はその点を主張したいのですが、藤田次長にこういつた点を……、新らしく変つて來るわけなんですが、こういつた点だけを予想が付くならば承わりたい。
#18
○説明員(藤田巖君) これは農業協同組合の例でございますが、現在農業協同組合におきましても、やはり私共の述べましたと同じような方針で指導をいたしておつたと考えておりますが、その結果は、新らしき農業協同組合に、又連合会の役員の中で、旧國体の役員であつた者の数が確か三割程度というふうに私共は考えておる。要は、これは漁民の自覚の程度であります。從いまして、農業協同組合と漁業協同組合と、その旧役員の占める率がどうなるかという問題につきましては、これは必ずしも想像を許さないのでありまして、私共も推測することは非常に困難であると思います。我々としましては、できるだけその啓蒙運動をしつかりやる責任上、新らしい漁業協同組合の趣旨をよく理解させる。そうして又本当に漁民の要望するような人が出て來るというように持つて参りたいと、さように考えておるわけでありまして、ただどのくらいになるだろうということを予想することは、私としてできませんけれども、又どのくらいがいいと考えておるかということは、殆んど立法的に不可能であり、又実情にも即しないようなことがある。これはやはり指導で解決するより外ないと思います。
#19
○江熊哲翁君 私は最近陳情のためにこの國会に出て來た人たちから、直接聞いた二三のことについて、一應次長の御意見を承つて置きたいと思います。これは第五十二條その他によく出ておる「組合員の総数が二百人をこえる組合は、定款の定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。」こういうことになつて、「総代の定数は、五十人以上でなければならない。」とこういうのですが、この全國二百人以上の業会数がいくらあるかといヶことについては、いずれ御調査になつておることと思いますが、それがお分りでしたらその数をお示し願いたい。とこるが陳情者の人たちの言うのは、二百名をこえる業会は極めて優秀な大きい業会で、その数は極めて少い。而もそのうち総代を五十名を下つてはいけない。五十名以上でなければならないというと、余り総代の数が多くて、総代を置いた甲斐がないのではないか。実際又見ましても、二百名の中で総会なら総会をやるという場合に、百名ぐらいで全員出た恰好になる。法律で示したところでそういう計算になるが、五十名以上の総代ということになると、実際総代が多過ぎる。それで業者たちは、これは二十名ぐらいでいいではないか。それぐらいに何とかならないかという陳情をしております。これに対してどういうふうになつておるか。それから漁業協同組合が漁業を経営するということについてては、これは勿論許されておる。ところがそこに御承知のようにいろいろと條件が沢山述べられておる。まあ何かと面倒なのでありますが、大体漁業協同組合が仕事をするということは本筋でありますから、その木筋のことを協同組合がやろうとすることについて、そういう無慈悲な制限を設けないでもいいではないかというような意見、これは大体ここに書いてあるようなむずかしいことをぜんでもいいのじやないか。從來、戰前の漁業協同組合がやろうとするときには、一應やる種類については官職の許可を得なければならなかつたけれども、直ぐまあやれたわけ何だか條件がむずかしいように思うのだが、その点はどうか。そういうようなことについて一應御意見を承りたいと思います。
#20
○説明員(藤田巖君) この総代を置き得る組合の、何と申しますか、制限を緩和して、もう少し人数も少くし、又簡單に総代の置けるようにする必要がないかという御意見でございまするが、現在組合員数別にこの二百人以上のものがどのくらいになるかという数字は、案は正確なものは持つておらないのでありますが、大体今度の協同組合は從來とは違いまして、いわゆる漁業從業者も組合員になり得るというふうな関係からいたしまして、勿論從來の漁業会の会員資格を持つておる者で、今度協同組合に入らない者も出で参りまするけれども、相当この新らしい漁業協同組合というものは人数が殖えるのじやないかというふうに考えるわけであります。從いまして、從來は確か会員が百人をこえるものについての総代会を認める。で、今度大体從業者も含めるということになりますれば、その点も黒み合せて、大体二百人くらいといたしましても、從來とさして変りがないのじやないかというふうな見当でいたしましたのと、それからもう一つ、農業におきましては、これは千人以上組合員のある所について二百人以上の総代を置かなければならん、こういうふうな先例がございます。そういうふうな関係からいたしまして、原案が大体適当であろうというふうなことになりましたわけであります。それから從來とも総会を開きましても、人が集まらないというふうなこともまして、私共といたしましては、まあ代理議決の方も、これも非常に窮屈になつておりますが、書面議決の方法というものを認めて、書面を以てそれに対する賛否をはつきりするとか、或いは又意見を述べるとかいうことによつて、出席者とみなされるというような規定も置いておりますからして、大体その規定の運用によつて出席者数は何とかなつて行くのじやないかと思います。それから尚一般の普通決議につきましては、これは法律上は必ずしも定足数の制限はございません。特別決議については定足数の制限はございますけれども、一般の普通決議につきましては、定足数の制限もございませんので、出席者の過半数なら過半数とこういうふうなことで決め得ることにもなるのでありますので、何とかこういうふうなことで行けるのじやないかということと、それからやはり私共といたしましては、從來のように組合員が非常に総会というものに冷淡であつてはならない、自分らの組合であつて、総会というものをもつと利用する、総会にもつと積極的に出掛けて、そうして大いに意見のあるところは述べ、組合活動をみづからが積極的に皆んなが一緒になつて推進して行かなければならん、総会には全然関係しないというふうな冷淡な態度を取ることが從來間違いであつたということから、むしろそういう意味でできるだけ総会には出べきものであるというふうな考え方でとの数を決めておりますわけあります。それからこの漁業協同組合の営みます生産漁業につきましての制限が厳格すぎるというふうなお話でございますが、これにつきましては、たびたび御説明をいたしましたように、この漁業生産組合にいたしましても、又生産組合と同じように漁業を営める組合にいたしましても、これは漁業権を取得いたしますところの優先順位にも関係いたします。又税法上の種々の特典にも関係するわけでありまして、待つてこれを余りルーズにいたすことについては、やはり各方面の意見が多々あるわけであります。そういうふうな関係から、この程度の制限は止むを得ないじやないだろうかというふうに思つております。從來は殊に漁業を自営する種類は確か限定をしてありまして、行政官庁の許可が要るというようなことになつておりますが、今度は全部それも廃止して、どんな漁業もやれるというようになつております。從つて漁業によりましては、相当危険を伴なう、現在定置を経営するにいたしましても、或いは船舶漁業を営むにいたしましても、何百万円、或いは何千万という金が要るわけであります。相当の危険を伴うわけでありまして、やはりそれは同志的な結合というものを重んじて、お互いに危険も分担して分とうというような融合の態勢の整つたところに、それを認めて行くというようなやう方の方がいいではないかということで、それを現在のような規定に変えてありますわけであります。
#21
○江熊哲翁君 ちよつと委員長にお伺いしますが、この法案に関する限り、もう本日でこれを終りますのですか。
#22
○委員長(木下辰雄君) まだやります。
#23
○江熊哲翁君 それでは後に私は残します。
#24
○淺岡信夫君 漁業協同組合法案、これを先ず大別いたしまして、各委員からのいろいろな御質疑がございましたし、その質疑に対しまして、水産庁当局から縷々懇切なる御説明も頂いたのでございますが、いろいろこれを啓蒙宣博するという一つの行き方、それを徹底せしめて、自治的にこの敗戰後の日本の建直しという意味におきまして、先ず漁業会漁民に力強く呼びかけて、そうして遺憾なきを期したいということでこの法案ができたと思いますが、さてこの法案を実施するという立場に当りまして、その大半の漁民というものは、先程言われましたように、非常に低いということを繧々言われたのでありまするが、実際に低いこの漁民に対してただ一つの法案だけを與えて、そうしてそれを理解せしめて、目的が達せられるかどうかということを私は非常に懸念する。この協同組合法繋が通過した後におきまして、どうしても裏付となるべきものが必要じやないかと思うんです。その大半を持つところの漁民のなす……仮りに沿岸漁業と申しましようか、或いは漁業全般と申しましようか、この協同組合法案が通過した後において実施に当ると、この法案の裏付となる金融という問題に対して、どういうふうな今後の施策を狩つておられますかどうか、この裏付なくしては百千の法律が出たといたしましても目的は先途しないんじやないかと、こう私は思うのであります。この点につきましての御見解を承りたいと思います。
#25
○説明員(藤田巖君) この協同組合法案が出ました後の裏付の施策としての金融をどうするかという問題でございますが、これはむしろ農林大臣、或いは水産庁長官からお答え頂くことが私は適当かと考えております。併し私の意見を申上げますと、お話の通り協同組合ができましても、その協同組合が十分に積極的な活動をなし得るような條件、それを拵えてやらなければ、これは育たないというふうなことも考えるのであります。金融は正にその一つの大きな問題だろうと思つております。我々としては現在農林中金を通じましての、系統金融を通じましての資金の融通という途が一つあるわけでございますが、これの外に更に又農林、漁業復興金庫というか、特別な金庫をできればこれを作つて参りまして、特に漁業の問題では、固定設備に非常な金がかかる、船を造るにいたしましても、網を手に入れるにいたしましても、相当の金がかかるわけでありますからして、これは一般の地方銀行では到底融通できない問題であります。これを融通するための特別な金庫の設置ということをどうしてもやつて行かなければならんというふうに考えております。尚もう一つの問題は、運轉資金の問題でありまして、運轉資金につきましても現在非常に窮屈になつております。これにつきましては、併しすべてのものが特別の金庫から何もかも借りるということは到底できんのでありまして、やはり一般地方銀行からできるだけ水産業に対する融資というものが円滑に行くような態勢を取る、つまり金融機関においても安んじて水産業方面への資金の融通ができるような態勢を、これは我々自身の側においても取つて行かなければならない。又金融機関が貸しまして貸し倒れのないような保証というようなものの制度、これは或いは漁業保険の問題になりますか、或いは又信用保証協会の問題になりますか、そういうふうなことで保証制度を作つて、それによつて安んじて一般金融機関が水産業方面にも貸すようなやり方に我々としては持つて参りたい。一般的に、抽象的に申しますと、大体そういうふうな考え方で具体的な対策を立てて参りたい、こう思つております。
#26
○淺岡信夫君 只今の藤田次長のお答に対しまして、私大体了承いたすのでありますが、この問題につきましては、日を改めまして、大臣並びに長官に強力に私質問を重ねたいと思うのであります。ただ、今藤田次長もお答に際しまして、從來までこの金融機関なり、そうした面に対して理解せしめるというようなことに対しての力が非常に水産廳、或いは農林省として足りなかつた。足りないという点はそれに対する、即應するところの資料というものがあるのかないのか、こうした点も何かそれに対しての処置を取つて頂くというように、大臣が私の質問に答えましようが、或いは長官が答えましようが、いずれにいたしましても、大臣或いは長官の答え得る資料、そうしたものに遺憾なきを今後期して頂きたいと、私は要望いたしまして、私の質問は一應打切ります。
#27
○委員長(木下辰雄君) それでは衆議院の方からどういう案が廻つて來るか、公聽会も開いておりますからして、それが廻つて、それを見なければ、ここで法案に対する討論採決というわけに行かないだろうと思います。私は実体はともかくも委員会としては修正意見があればどんどん出す、或いは反対意見があればどんどん述べる、そろして議論を戰わしてやるのが本質であると思いますから、その点はどうぞ御遠慮なく御発言願つてよかろうと思います。それから大体法案に対する質問應答は済みましたが、更に月曜の日に大臣、長官の出席を求めまして、この法案のみならず、法案に関連した事項についての総合的な意見の開陳なり、御質問を願いたいと思いますが、その際今の金融問題とか、全國的な指導問題とかいうような点については十分御質問を願いたいと思います。
#28
○淺岡信夫君 どうでしよう。今日の委員会はこの程度で一應終了して頂きまして、あとは一つ懇談会にして頂くというふうに提案いたします。
#29
○委員長(木下辰雄君) 御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(木下辰雄君) それでは本日の委員会はこれを以て閉会いたします。次回は月曜日の午後一時から開会いたします。
   午後三時二十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
           千田  正君
   委員
           淺岡 信夫君
           江熊 哲翁君
           矢野 酉雄君
  説明員
   農林事務官
   (水産庁次長) 藤田  巖君
ソース: 国立国会図書館
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