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1948/11/22 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第7号
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1948/11/22 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第7号

#1
第003回国会 水産委員会 第7号
昭和二十三年十一月二十二日(月曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産業協同組合法案(内閣送付)
○水産業協同組合法の制定に伴う水産
 業團体の整理等に関する法律案(内
 閣送付)
○漁業権等臨時措置法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後二時十二分開会
#2
○委員長(木下辰雄君) 今から水産委員会を開会いたします。前回に引続いて水産業協同組合法案外二案を議題に供します。本日は農林大臣もお見えになりましたので、この法案並びに法案に関連する事項について委員各位の質疑をお願いします。
#3
○江熊哲翁君 私はこの待望しておつた両協同組合法が今回提案されたことは非常に感謝いたしておるのであります。尚私共はこの協同組合法と同時に漁業法の改正問題は一日も猶予できない問題であると思いますが、政府はこの第一國会以來、この二つの重要法案については直ぐ出すような口振りで、しよつちゆう御答弁になつておるようでありますが、今日まで延び延びになつておつて、やつと協同組合法が今提案されたということになつたのでありますが、こういうふうに遅れたことが漁村に及ぼした影響が非常に大きいのでありまして、このことに対する責任は政府自身にあるのだということは、私この前のときにも御質問申上げたのです。併し遅れたりと雖も、今回出たということを喜んでおるのでありますが、漁業法の改正については、次の國会劈頭に必ず出して頂きたいということをお願いするわけでありますが、そのことに対して農林大臣は責任ある御答弁をして頂きたいと、こう思うのであります。この二つの法案が、日本の水産のために重要な役割を持つておることは私から申し上げるまでもないのでありますが、私はこの二つの法案と同時に、もう一つの法案というものを特に政府において早急に研究して頂きたい。そうしてできるならば、明年の暮の國会あたりまでには出して頂きたいというふうに考えるのでありますが、併しこれは私個人の長い間の水産というものをやつておつた結果から生まれた考え方であつて、これが今日までまだ一般的にはよく理解しておらないのであります。併し少くとも水産に深い関心を持ち、研究をしておる人から見れば、私は必ず同意を得られるものだと思うのであります。そのことは、仮りに私は水産増殖法案というな仮りの名前を付けて呼んで見ようかと思うのであります。今のところ水産資源培養法案或いは水産資源育成法案、まあどういう名前になるか知れませんが、そういう意味であります。それからこの内容はどういうことを、それじや狙うのか、漁業法が御承知のように、漁業としての業自体を取扱つておる法律でありまして、我々漁業をやるものとしては誠に重要な法律であります。これによつて漁業の秩序が保たれ、それによつて増産が期せられるわけでありますが、併し今日のこの沿岸漁村の実体から見まして、この資源培養ということについて、余りに欠けておるじやないかということを痛感いたしております。戰前においても問題になつたことは部分的にあるのであります。例えば稚魚を愛護せなければならんというような運動も、稚魚の愛護運動として全國的にやつたことがあります。それから水質汚毒防止という問題について、かなり強く主張しておつた時代もあるのであります。併し水質汚毒防止の問題等につきましては、或る方面からの大きな圧迫がありまして思うように実現ができなかつた。それは工業を重点的に発展させるというような時代においては、そういうことも一理はあるのでありますが、併し今日の日本の水産の持つ使命の重大性から考えまして、ただ獲ることのみに吸々として資源培養ということにおいて欠けるということは甚だ遺憾である。これが私共が如何に立派な協同組合法が今日できても、この資源培養において欠くるならば、漁村は沒落の一途を迫るものと確信いたしております。つまり人工孵化の問題、或いは輪採法の取上げ方、或いは禁漁区の設定、それから前に申しました水質汚毒防止の問題につきましても、これは國民衛生の立場から見ましても、観光日本を作る立場から申しましても、これは水産の資源培養と共に重要な問題でありますが、私のここでお伺いするのは、この資源培養の立場から見た日本の河川湖沼は勿論でありますが、沿岸海水の淨化ということが資源培養上いかに重要な問題であるかということは、局部的には被害が頻々と起つておつて、戰爭中は勿論、終戰後と雖も、この問題は可なり地方的には重大な問題として取上げられておるのであります。又その資源培養の立場からもうしますと、國際的もこれは非常に重要な問題がいずれは起るだろうと思う。鯨の問題とか、北の方のラツコ、オツトセイの問題などは、これは以前から、相当古い時代から取上げられておる問題でありますが、私共はこの沿岸漁業、沿岸の魚族と不可分の関係にある他の魚族に対して、極めて近接した一衣帶水のところに東支那海を控え、或いは大韓民國の海を控えておる。この大韓民國を控えておるということになると、これらの問題は、いずれは國際的な関係も相当濃厚になるのではないかと思いますが、結局この水産部面においても資源培養という問題は、ただ單に一つの國の問題だけでなく、極めて重要な関係を外國との間に持つことになりますが、それはとにかくとしまして、資源の問題が今日余りに業者によつて忘れられておるということを非常に遺憾に思うのであります。それで話を元へ戻しまして、水産増殖法とでも言いますか、そういつたような観点から一つ急速に立法化する必要はないか、そのことについてどういうふうに農林大臣はお考えになるか。大臣は野におられる当時、水産関係においてはいろいろの團体に関係されておつて、日本の沿岸魚族の資源が、いかなる状態を終戰後において、又この短かい期間においても、どういう資源がどんな状態を辿つておるかということについては相当御関心があると存じますが、このことについて御所見を承わりたいと思います。
 それからもう一つ、これは本國会においては、恐らく問題にはならないと思いますが、次の國会においては私共はこの問題について必ず取上げたいという氣持を持つているのであります。これも私個人の意見でありますので、この参議院においては、矢野議員なども急先鋒でありましたが、水産省の設置という問題について、非常に強い意見を持つておつて、私共本委員会においては、水産省設置ということに決定いたしておつたのであります。然るに衆議院側の或る意味合からの讓歩的な決議が取上げられて來たので、私共急速に、この水産廳設置実現を急速に図るのも一つの方法と考えまして、同調いたしまして、お蔭を以て水産廳もでき、その後着々仕事をやつているし、成績も見えていることは非常に喜んでおりますが、これはどうしても日本における水産業の重要性から見て、どうしても省として発足しなければいけないということを強く考えるのであります。直ちに今、五日、十日の中にどうということでなく、近い國会において、私はこれが委員会で取上げて、一つ研究して見たいと思うのですが、周東農林大臣においては、この問題について如何なるお考えをお持ちになつているか、熱意を以て御研究になるお考えであるか、どうかというふうなことも、併せて伺いたいと思います。私は、これらの話が、何もここに実現されようとするところの、この協同組合法案とは関係がないようでありますが、この協同組合法案は、お蔭を以て、恐らくこの國会を、各委員の努力によつて、通過させることだろうと思うのですが、如何に立派な法案ができようとも、私は前申上げたような、これらの問題は、沿岸漁業の行政面と不可分の関係にある、極めて重要な問題だと思いますので、特に大臣の御答弁を要求する次第であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#4
○國務大臣(周東英雄君) お答えいたします。第一番目の漁業法の提案を、次の國会の劈頭に出すつもりかどうかというお尋ねでありますが、御質問の内容にもありましたように、漁業法というものと、水産業協同組合法案というものとは、恰も車の両輪のごとき関係にあるものであつて、新らしい時代の日本の漁業というものを將來どつちへ持つて行くか。どういうふうな経営形態に置くかということが決められて、然る後漁村或いは漁民の漁業経営についての協同組合法案が考えられるべき筋合のものであることは、申すまでもないのです。從つて從來も政府におかれまして、いろいろ從來の政府も、これは同時に出すべく努力されたのでありますが、いろいろな事情で遅れておりますることは、誠に遺憾なことであります。私共も野におります時から、是非とも早くこの法案が提案されるようにということを要望した一人でありますので、新内閣におきましても、できるならば、共に一緒に出し得たならばということを考えたのでありますが、実は漁業法に関しましては、一應成案はできておりますけれども、まだいろいろ問題の点もあるようです。從つてすでに新聞等では、漁業法の内容が発表されておりますが、これは少くとも発表した趣旨は、廣く民間の輿論に訴えて、より完璧なものに仕上げて、そうしてこれを恒久的な立法にしたいということから発表されたと思うのでありますが、從つて私共この後を受けまして、漁業法につきましては、発表されたものに対する輿論の声を十分聞きまして、十分修正すべきところは修正し、より完璧なものにして、次の國会には是非ともこれを提案する運びにいたりまして、先に出る漁業協同組合法の成立に件なつて、中心母体ができている。そこへ漁業権制度を中心とした漁業法の実施を移して行くことにしたい。こういうふうに考えている次第でありますから、御了承を願いたいと思います。
 それから第二番目の、將來水産業の重要性から考えて、水産増殖法というようなものでも作る意思がないかというお尋ねであります。誠に御尤もなお話でありまして、水産業に対しまして、現在ある資源というものに対して、できる限りこれを民族の利用に供するために、これに対する漁獲その他のものを考えると共に、將來に向つて、水産資源というものは、民族の後裔者に対して長くこれが又使われるように、はぐくむ必要があるということに対する御意見は、誠に御尤もであります。これにつきましては、十分私共も研究して見たいと存ずるのでありまして、從來と雖も、可なり水産に関しましては、繁殖保護法とか、或いは禁止区域の設定というものがあつて、或る程度の保護はやられておつたのでありますが、併し今度の新しい日本においての漁業ということに対しまして、内水面、沿岸漁業、或いは遠洋漁業を通じて、水産の資源を確保するために、必要な面については、いろいろな面から一つ考究をして行くことが正しいのであるということを私共も考えます。殊にこれは今お話がありましたように、例えば水質汚毒防止というような問題になりますと、水産人ということだけの範囲だけではいけないのであつて、結局水産資源を守るということに対しては、水産人或いは水産業界以外の方の御協力を求めることが多々できて來るであろうし、更にお話のありましたように、水産省の設置ということから考えますと、そういう廣い立場から、水産資源保護に関する積極、消極な考え方をするということは必要であると私共考えます。今水質汚毒防止に関する法律については、水産廳としても、すでにそういう面については、研究立案に現在着手中であるように聞いております。お話の通り、十分愼重研究して見たいと考えます。
 それから第三の、水産省の問題でありますが、これは、御意見もありましたように、水産の、特に食糧問題の解決、或いは食糧問題における大きな水産の重要性ということだけでなくて、國際的にも今後いろいろ問題もあります。そういう際において、水産省というものを独立させて行くという考え方については、私共も十分その点は同感の点があるのであります。ただこれらのことにつきましては、日本の現状に即するように、根本的に行政機構が考えられ直す必要があるのではないかと思はれますし、それらの点と併せて、一つ水産省の独立等については、十分考究を進めて行きたいと、かように考えております。
#5
○矢野酉雄君 只今江熊委員から適切なる御質問がありまして、これに対する大臣の明確な御回答がありましたが、私はこの機会に、この法律案が提案されまする、その法律案を法律とし、その法律をして最も効果あらしめるために、もつとこの法律を取巻くところの日本の水産関係に関する環境をより以上、よりよくしなければならんという観点から、只今の江熊委員の意見に、本日の質問に対して非常な賛意を表する者であります。なかんずく水産省の行政官廳としての独立化ということは、これは実に我々の熱望するところでありまして、農林省があるのに、農林水産がないということ自体においても、実は漁民或いはこの漁民を駆使して、今まで相当の利潤を挙げた企業家諸君並びにこれに関心を持つておつたところの水産関係の諸君の力が、非常に低調であつたということを立証するものであつて、これは一つの決して喜ばしき歴史ではなかつたと思います。新らしき日本の展開のためには、我々は先ず水産日本の大いな躍進という域から出発しなきやならんというような観点に立つても、是非水産業の独立化を図つて貰いたい。それによつてこの御提案になつておりまするところの各種法案の実績も挙げられることができると思うのであります。過般橋立丸捕鯨船團の壯途を、ここに御出席の各位と共に見送り、その席末を汚したのでありますが、あれらのごときは、正に戰爭を放棄した日本に取つて、のこされたる唯一の産業選士として、日本の実力、あらゆるものを國際場裡において如実にこれを表現して、そして日本の新らしき誕生が國際関係において認められる唯一の場だと私は思うのであります。そういうような点におきましても、一つの、行政官廳と堂々とその地位を同じくする立場から、これをバツクしてやらなければならんと思います。殊に日本がまだ独立國家じやない、講和会議も迎えてない時において、私は十二分の國際関係の協調を図り、政府と民間の外交が力を併せて、漁区の拡大というような問題は必然考えなければならない重大な問題であると思う。そういうような日本の食糧事情を解決し、日本人の保健問題を根本的に解決するというような重大な問題も、帰するところは日本の漁区の拡張ということにかかつておるのでありまして、その解決を図るためには、どうしても独立の行政官廳をここに具現することの必要性を認めるのであります。幸いにしてその方面の最も実力のある人材を農林大臣に迎えて、又水産廳長官に飯山君を迎えておるというような好條件に置かれておりますので、この臨時國会には公務員法の一部を改正する法律案並びに関連する法律、予算等を通過させるのが当面の目的でありますので、敢てこの臨時國会においては、これらの構想、御意見をここに聞こうと思いませんけれども、少なくとも大臣としては十二分に構想を立てて、次の通常國会にはこれを提案して行く。そのためにはすでに閣議等において、必らずその一点をちやんと抑えて置く必要があろうと思いますので、その点は私は大臣の御覚悟を促して止まないのであります。
 それから増殖培養の問題等につきましても、これは私満洲から帰つて來て、そうして敗戰後の日本を殆んど北から南へ三回に亘つて馳け廻りましたが、全く曾ての朝鮮のようなそのままの姿をしておつた。殊に熊本縣の葦北郡、その他四國各沿岸のいわゆる山林が伐採されて、裸になつておるというような現況を見ますときに、私は沿岸漁業の二年、三年、四年の後の將來を思うて実に寒心に堪えない、実は実感に打たれておるのであります。宮崎縣の赤堤、あの延岡の土々呂の町の赤堤のあの漁林のごときも、一切の漁船の目当となり、又プランクトンを養つて行く一つの大きな山林になつておつたのに、それが全く一顧だにもされないので、單なる一部の行政の要求に應じて、これが伐採されて行くというごときことも、これは日本の各官廳のセクシヨナリズムの暴露された弊害であると思うのであります。希わくは、新しき内閣における新しき農林大臣は、是非各大臣とも、各障壁を取除いて、そうして各官廳互いに國家の独立と民族の興隆を通して、世界人道に貢献して、行くというような立場から、大きい構想の下に、日本の百年の大計を打立て頂きたいと思います。現在の政治情勢を見ますときに、行当りばつたり、人氣取り主義のことであつてはならないのであつて、百年の國家の國是を決めるとともに、それに即したるカンフル注射的の、臨機應変の処置を取るというような態度を我が農林行政、水産行政においては、しつかり一つその実を示して頂きたいと私は懇請して止みません。それが延ては、ここに御提案になりました各種の法案をして有終の美をなさしめる基である。こう考えるのでありますから、大臣に覚悟を促して質問に代える次第であります。
#6
○淺岡信夫君 私は水産業協同組合法の、この如何に立派な法律が立法され、國会を通過いたしたといたしましても、これを行うに当りまして、先ず漁民、或いはそうした人たちの理解を得さしめることが第一義だろうと思うのであります。更にそれをもう一歩考えて行きまするならば、如何に立派な法律が施行されましても、この法律の裏付けとなるべき資金金融の面の解決なくしては、ただ絵に描いた餅であると私は思うのであります。例えばこの法律が施行されるに当りましては、全國津々浦々の漁民に対して、これを知らしめ、理解して頂くというような、予算面を取上げて見ても、今計上されている予算は一千四百万円、こうした、小さいとは言いませんが、こうした一千四百万の予算を以て各都道府縣に呼びかけて、眞にこの水産業の法律というものが、本当に理解されるかどうかを私は先ず疑う者であります。これに対しましては、先ず大臣といたしまして、どういうような御所見を持つておられるかということが第一点であります。
 それから最初に申上げましたように、この水産業に対するところの金融という面であります。この裏付けとなるべき金融という面が、例えば一つの事例を取りまして、復金が創立されまして以來、この九月末までの統計を見て見ますると、大体七百億近いものの中、この水産業に向けられたものは、僅かに四%でありまして、第六位であります。この復金融資の一つの面を取り上げて見ましても、四一%はここだ。或いは二〇%はここだ。一〇%は電氣、或いは八%半が化学工業、七%四が金属方面であります。第六位に僅かに水産が言われている。而もその四%のうちの大半は捕鯨とか、或いは「かつを」、「まぐろ」とか、以西底曳というような面に含まれまして、漁民層、大きな層を持ち、而も八〇%なり、七五%くらい程の、すべてを賄うところの沿岸漁業というようなものに対して、僅かにその四%の中の三・七%、誠に微々たるものであります。これは中央地方を通じてであります。こうした現状におきまして、この水産業協同組合のこうした法律というものが施行されるに当りまして、過去におけるこうしたような現状であるといたしまするならば、先程も申上げましたように、画に描いた餅に過ぎなというような結論になるのじやないかと思うのであります。そこで生産組合のこの法案の問題を取上げて見ましても、或いは漁業協同組合の問題を取上げて見ましても、どうしても裏付けとなるべき金融の面の解決なくしては、立派なる成功は見ないと私は断じたいのであります。そこでこの法案が通過した後におきまして、大臣としてはこの金融面に川して、どういうふうな御所見を持つしおられますかというこの一点と、これを知らしめるという点において、僅かに千四百万円程度の予算で、本当に多くの漁民に理解せしめられるかどうかという、この二点をお尋ねいたしたいと思うのであります。
#7
○青山正一君 只今の淺岡さんの質問に附随いたしまして、私も質問いたしたいと思います。只今お話のあつたような中経営者以下に対しまして、復金の融資が冷淡であることは、只今の淺岡さんのお話の通りでありますが、こういつた資金の不足がいろいろな形で漁村を苦しめますと、勢い資本漁業的な関係のものが、能率的な船なり或いは網なり、その資材をうんと持込んで、漁民の漁場を独占しようというような氣持になつて來る。これは私が申上げるまでもなく、マツカーサー・ラインで封鎖されておるとき、何とかして沿岸の方へ行つて漁業をしようというのは、これは理の当然でありまして、この傾向はますます強まつて來ますということは、大臣もよく実際に見られていることと思います。このように大きな漁業が中漁業を圧迫し、中漁業は今度は小漁業に食込む、零細な沿岸漁村、つまり協同化して行こうとする沿岸漁業は、その独立性を奪われまして、大きな漁業家に傭われ、資本主義的な関係に追込まれやしないか、又この沿岸漁村の金詰りにつけ込んで、その土地の大きな商業資本家なり或いは荷受機関などが、前渡金というような方法で漁民をその支配下に置くということも、つまり古い型の持込制度が現われつつあることも、よく大臣も御承知の筈であろうと思うのであります。併しこうなつた場合にどうなるか、先程矢野さんのおつしやつたように、來國会あたりに上程になる漁業権の問題、漁業権は能力のある経営体にということをモツトーにしております。この漁業権にどんな形で現われて來るか。つまり資力ある者が漁場を支配する。その大勢の中で漁業者のみで作られる協同組合は、どんなふうに進んで行かなければならんか。漁業権はできる限り漁民の組織で手に入れる、生産の協同化を促進する、これは言うまでもない。更にこの持込制度に対抗して、共同購買とか或いは共同販賣事業をやらなければならん。ところがそれには漁民の自己資金だけではとても駄目だ、先程申上げた強大な資金に太刀打できるよう生産とか、融通の資金を政府で十分裏付けて行く、漁民の信用事業も確立して行くような、つまりこれがなければ協同組合法も実際の上におきましては骨抜きで、施行する必要もない。こういつた見解に立つて一つ法施行に当りまして、協同組合の金融の裏付けに大臣は確信があるかどうかということを、私の質問の主眼点といたしたいと思います。
#8
○國務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。淺岡さんのお尋ねの中にありました本法通過後、その施行に当つて、その趣旨を漁村、漁民の方に徹底して傭えるために、予算が大体千百万円位では少いではないかという問題であります。只今のところ事務当局の方で考えておりまするものは、実は四カ月分、これを差当つて考えておるのでありまするが、これだけでなくて、二十四年度予算というものの要求に対しましては、それ以上に予算を要求し、完璧を期したいと思つておりまするし、差当たつての予算が仮りに成立いたしました曉において、若し実施後不足な面が出て参りますれば、更に考究はいたして見たいと思いますが、差し当つて今日では、これで一應行き得るのじやないかということで予算を考えておる次第であります。殊に私は今淺岡さんの心配の金の面のみならず、実際に漁業協同組合の組織促進に関しましては、余程しつかりと各漁業関係者、有識者、又從來の漁業会関係の方々等の一致結束したる一つの力ができて、これが全國的に働きかけて指導するというような立場でも取らないと、なかなかこれは困難な事情があるのじやないかということを心配しております。予算及び実行の具体的方策につきましては、幸いにこれが通過の曉におきましては、事務当局ともよく話をして考究して見たいと思いまするが、その際に又委員各位のいろいろな御意見も伺つて実施に臨みたい、かように考えておることを申上げて置きます。
 それから今の金融の問題でありまするが、これは青山さんのお話も、淺岡さんのお話も、同様な点に触れておつたと思いまするが、誠に御尤もなお話でありまして、漁業協同組合という形はできたが、さて今一番問題である漁村金融、漁業金融に対しては余り手が打たれておらない、從つて漁業協同組合等ができました曉におきまして、動かす場合にどこから金融するかということであります。協同組合法の中には、綜合金融の立場で融資業務が行われるようになつておりますが、そこで集められる金というものは急速には期待ができないのじやないかと思いますので、恐らく中期、短期の資金におきましても、相当にこれは何か中央的な機関ができて、これが協同組合を通じて流されるという考え方を取らなければならんのじやないか、又長期的な資金につきましては、今日考えられておりまする農漁業復興資金として四十億の枠が割当てられておりまするが、あの面を一時的ならしめないで、これを或る程度制度化して流すような形を取らなければならんじやないかこういうふうな面につきまして、目下事務当局とも研究をいたしておる最中であります。更に民間におきましても、いろいろ御研究が進むようであります。当委員会でも、できますならば、何か金融問題についての小委員会でもできて御研究を頂くと結構だと思いますが、衆議院の方では、承わりますと、委員会の方で小委員会を作り、そこへ政府の考えておりまする案等も申上げて、できるだけ実効的な完璧なものを作りたいというようなお話が進んでおるようであります。いずれこれはそういうお話合ができるのじやないかと思つておりますが、これに是非一つ、一番農漁村関係で遅れておるものが金融の面である、將來の問題として、是非これをやらなければ、將來協同組合ができても本当の漁村の動きができないのじやないかと、こう思つておりますが、大体今のところ考えておりますのは、そういうふうなところであります。
#9
○淺岡信夫君 只今大臣の御答弁に、私は誠に敬意を表するものであります。と申しますことは、この法案を漁村農村に知らしめるということに対しては、一應今当局で盛つた予算で、更に二十四年度においては別途に考えられるということに対しまして、私はどうかそれは少くとも水産廳当局に任せるということでなくして、大臣みずからも、安本並びに大藏省に当つて頂きたいということを強く要望いたして置くものであります。
 それから第二に、この法案の裏付けとなるべき金融の面でありますが、この面に対しましても、誠に力強い御回答を頂きまして感謝する次第でありまするが、実は先刻矢野委員が言われましたように、又江熊委員の御質問に対しましての大臣の答弁の一端を伺いまして、ただ水産関係の人たちということに止まらずして、それ以外の人に呼びかけなければいけない、又理解して貰わなければいけないということを伺いまして、非常に喜んでいるものであります。たまたまこの北氷洋に出て参りまするあの捕鯨船團を見送りまして、私は非常に感激に打たれたのであります。その感激の一切というものは、矢野委員が言われましたから、敢て重ねませんが、せめて私は、あの横浜の埠頭におけるあの景観さを大藏当局か、或いは安本当局が見ておつたならば、ということを私は当時深く肝に銘じた一人であります。たまたま或る一つの案件のために、この沿岸漁業の案件のために、日銀当局或いは復金当局と、殆んど十数度に亘つていろいろお話をいたしましたが、なかなかこの金融関係の人たちが、水参漁業に対して御理解がないのです。こうした面の実際を私は体験いたしました今日、どうしてもこれは日本における水産という問題に対しましては、十分その監督官廳であるところの大蔵とか、或いはその枠を決める安本とかというような面に対しまして、どうか水産廳のみでなくして、大臣みずからこの法案の裏付けとなる金融面に対しては挺身して頂きたいということを、私は重ねて力強く希望を申しまして、私の質問は打切りたいと思います。
#10
○千田正君 先般この法案の事前審査に当つて、藤田次長に私の所感を述べて質問したのでありますが、観点の相違からかして、私としては完全に納得の行かない点がある。というのは、この法案は申すまでもなく、民主國家におけるところの一つの基礎産業に対する民主化という意味の協同法案だと、私はこう思つているのであります。先程大臣の御答弁の中にも、この漁民階級、いわゆる水産業というような仕事は非常に民度が低い、知識が低いという意味において、なかなかこれを知らしめるということは容易ならざることであるが、これは余程褌をしめてかからんというと、この法案が浮き上つてしもうというような意味のように承わりました。私もそう思います。過去の政治は依らしむべし、知らしむべからずというような封建制度の下に育つた水産業、殊に基礎産業の中で一番水産業というものが程度が低い、非常に程度が低いだけに、こうした画期的な法案を通過さして、そうしてこれを現実に移すというような問題になると、尚更困難が伴つて來る。そういう意味において、ただ知らしめて、そうして教育してからこの実行を図るのだ、これの完璧を期するのだという意味よりも、私から言えば、むしろ初めから或る程度のものを参加せしめて、そうして実際にこれに経験を持たして、この組合の発達を期するのが、本筋じやないか、こう思うので、先般も藤田次長に対して質問しましたところが、農業協同組合のときにおいては、そういう心配は要らなかつた、私の言うのは、從來の指導者、即ち漁業会或いは水産業会の指導階級の人たちが、恐らくこの法案であれば、全部が今度の指導者になるだろう、それであつては決して民主化ではない、少くとも或る程度の人たちが参加して、そうして程度の低いこの漁民に教育を與えて、実際的にこれを指導する方法を與えてやるのが、むしろこの法案の目的である、こういうのが私のが建前であります。ところが藤田次長のおつしやるのには、そういう心配は要らないだろう。尚、協同組合の通過した後においては、大体旧幹部、いわゆる旧農業会の指導者階級というものは三割程度で止つておつた。だから漁業会の問題なども、恐らくその程度で止まるのじやないだろうかという観測を下されておつたようでありますが、私の観測からすれば、むしろ逆であつて、七〇%は從來の指導者が占め、三〇%は辛うじて漁民の或る程度の知識階級が入るという程度で、これが動かされて行くのじやないか、さすればこり法案というものは、当初期待しておつたところの民主的な協同組合法案であるに拘わらず、その成果においては逆轉した問題が起きて來る、こういうところに私の不審の点がありまするので、この点について、農林大臣としては、どういうふうにお考えになりますか。私から言わしむるならば、依らしむべし、知らしむべからずということでなく、知らしむべし、依らしむべし、共に携えてこの協同組合法案というものの完璧を期すべきである。その根本方針について敢て農林大臣の御方針を承わりたい、こう思うのであります。以上私の質問を申上げます。
#11
○國務大臣(周東英雄君) お答えいたします。私もよく今の法案の内容を知らしめて、民主的な協同組合を作るということについては、御意見と全く同様であります。從いまして私はその知らしむるには、なかなか困難な点が多かろう。それについでは漁業関係の各界の人々の協力を得て、そうしてこの組合組織促進に関して、一つの運動を起す必要があるのじやなかろうかということを先程申上げたわけでありまして、今日の場合、依らしむべし、知らしむべからずということは絶対に取るべきでないと私は考えておりまして、その点は同感であります。ただお話の中に、事務当局の方と何か御意見の違つた点があるように聽きましたが、それは恐らくないと思うのであります。外のところでもちよつと出たのでありますが、或る場合において、この法案の施行に当つては、從來の業界等の幹部は、將來関係させないような方法を取つたらどうかというようなお話も出たところもあります。そのときに私は言つたのでありますが、やはり頭から、從來の人が関係しちやいかんとかなんとか干渉することは、むしろ民主的でない。從つて法案を先ず漁業者に知らしめる方法をよく取るならば、あとは民主的におのおのの人格に信頼し、その人の自治に任せて、役員等がこれに出て來るような方法を取つて行けば、大体民主化の方法は取れるのではないか、殊に農業協同組合が施行せられて約一年になりますが、今日設立されておる町村の單位組合は約二万六千程ありまして、その中でのリーダー格と言いますか、役員の分布を見て見ますると、旧來の農業会に関係する役員の数というのが大体一割七分であります。あとの八割三分というものが新らしい、いわゆる新人というものが出ております。而もこれは自治的に、自主的に各人の意思の自由に從つて選出されたものでありますので、むしろそういう形をこの組合の施行に当つて取つても十分達成するのではなかろうかと、こう思うのであります。ただその前に、よく新しい法案の趣旨、新らしい法案の精神というものを理解させるために、各界、各層が協力して当る準備を今から考えて置かなければならん。かように考えておる次第であります。
#12
○千田正君 重ねてお尋ねしますが、只今農業協同組合法が通過して一ケ年、最近各縣に起つて來ておるところの、いろいろな紛争があるのであります。それは曾ての農業会の資産の譲渡を廻つて、あらゆる策動が行われ、殊に或る縣においては、十幾つかの組合ができた。それは或いは自動車を確保をするためにやつた。或いは倉庫を確保するために組合を作つた。或いは設備を確保するために組合を作つた。そうして、曾ての農業会というものは四分五裂して、新らしいいわゆる農業協同組合の発足に当つて非常なる不祥事件が起きておる今日であつて、これを再び我々は漁業協同組合の発足に当つて、かくのごとき煩瑣な不祥事件が再び起らないような方法において、今後の漁業協同組合の完璧な運営を期したいと思うのでありますが、その点につきまして大臣としましては、そうした資産の讓渡、それによつて今後の漁業協同組合が完璧に動けるような方途をお持ちであるかどうか、その点についてもお伺いいたしたい。
#13
○江熊哲翁君 今千田委員の言われる御質問、私個人がそういう仕事に携わつておる関係上、私非常に関係が深いのであります。御尤もなる御意見だと思うのでありますが、農林省においては結成まで一千百万円か、とにかくあらゆる方途を盡して、この結成の促進を図る。誠に結構であります。ところが協同組合は、いずれは善かれ惡しかれできるに相違ないのでありますが、できた後において、どういうふうにして、このできた協同組合の指導をして行くか、それに対してどれだけの準備が農林省にあるか、どれだけの用意をされておるか、それを併せてお伺いいたしたい。
#14
○國務大臣(周東英雄君) 千田さんの御質問にお答えいたしますが、これは組合法ができてから後の、組合の組織を促進されるために一番考えなくちやならん点だと思います。今お話の漁業協同組合に移り変る場合における資産の受渡しということに関しましては、特に附則の規定で漁業会の資産処理委員会等によつて決めることになつておりますから、これが十分に公平に平穏に活躍する場合においては、その問題は起らないと思います。今農業会の例で御指摘になつたような点は、よく指導者と言いますか、これから促進する舞台というものが動くにつれて考えなくちやならん点でありますが、案は今度の農業協同組合法も、今度できる漁業協同組合法も同じだと思いますが、その地域も、区域も、組合の加入脱退も全部自由になつております。從つて法的には一つの部落に幾つでもできることになつております。これには余り干渉しないことになつておりますので、ややもすると農業協同組合等において、或いは政党的な違い、部落的な感情の違いというようなことで殊更にそれを分けて作るというような風潮がないとも限らないのでありまして、そういうことからさて二つ組合を作つた場合、その財産をどうするかというような問題が起ることがございます。これは法が自由になつておつても、農業協同組合についての考え方といたしましても、経済力の弱い農村の農民の方方の組合は、更に弱めるように二つも、三つも分けるというしとはよろしくない。やはり農業協同組合のごとき経済團体は、中立の原則と言いますか、政党にも、階級闘爭にも、宗教にも、すべて中立であらねばならないのでありまして、そういう方面から実際問題としては、でき得る限り農村の力を弱めないように、平和な、そうして強力な團体に作り上げたい、そういうふうに持つて行くのが至当だと、こういう指導方針を取つて行きたいと考えております。從つて同様なことが漁業協同組合についても考えられるのであります。基本は、どこまでも漁村の経済力を更に弱めることのないように、中立の原則で漁村・漁民の方が一致團結して一つの組合を作ることが望ましい。そういうことに持つて行くことによつて、漁業会からの資産の讓渡し、受渡しについては平和裡に移行することができるのじやないか、こういうふうに思つておる次第であります。從つて漁村は農村と違つて、やはり部落の海面を別々に使つておるという所がありますから、漁業会それ自体は別じやないかと思いますが、いずれにしましても、從來の一つの強い團体を、ただ政党とか、日本では宗教関係はありませんが、いろいろな部落的な感情で、更に分けるというようなことのないように指導して行くことが基本であつて、そういうことをすることによつて、財産処理委員会で以てスムースに行くのじやないかと考えております。
#15
○青山正一君 この機会に、第七十八條以下に、掲げてあげます漁業生産組合のことについてお聽きしたいと思います。この漁業生産組合という制度を採用せんとする理由は、どこにあるか、それからこの漁業生産組合と漁業協同組合との関係に摩擦を生じ、將來協同組合の発達に支障を來さないかどうか、そういつた意味で協同組合との連絡を密にさせて、離反せしめないようにするために、生産組合というものを準組合員でなしに、生組合員にする必要にないかどうか、それから漁業協同組合に立派な漁業自営を認めるならば、本組合の必要はないと思われるが、これに対する大臣の意見、この四点についてお聽きしたいと思います。
#16
○國務大臣(周東英雄君) これは漁業生産組合の制度を新たに設けましたことは、從來も漁業会等の厄介にならずに、中小漁業者自体が漁業組合任意組合などで一つの團体を作つて、直接漁業を営んでおつて、そうしてその組合員は、みずから漁業從事者、漁業経営者になる形でやつて行くものがあると思う、その形を一つ取入れるということ、公認されるということが一つと、今度は法の根本的の精神が、漁業権の主体となつて、どこまでも漁業を営む者でなければ、これを持たせないという一つの原則があるのでありますから、從つて中小漁業者がみずから一人一人では漁業をやれないが、力を合せてやるという場合に、会社組織によらず、むしろ組合組織によるという形を残して置いた方がよいというような、二つから來たと私は考えております。從つておのずから漁業生産組合と漁業協同組合との趣旨が違うのである、この点について相紛淆し、又漁業生産組合があるから、漁業協同組合の発達が損われることはないと考えております。
#17
○江熊哲翁君 私はちよつと簡單なことを大臣にお伺いして置きたいと思います。それは漁業協同組合は、私の聞くところに間違いがないとすれば、先日組合法の一部改正の法律案が撤回されたことによつて、全國の連合会が結成されるようになつた、事業種別の協同組合が、あれが一本になつて行くということになつたように承知いたしたのであるが、この各府縣の漁業協同組合の連合会の場合はできないということが、はつきり示されたのであります。このことは私は漁業協同組合の行き方が惡いとか、何とかいうのではなく、ああいうふうにならなくてはならんということを、今度のこの法案に対して、そういう意見を強く申述べたのであるが、どうも要領を得ない御答弁でありまして、これは非常に大きな問題で、大臣の先程からの御答弁を承わつておると、こういう機関はどうしても中央に、そういう連合会的存在がなければ仕事はできないのだと伺つておる。そういう結論が得られるように御説明があつたように思います。私は同感でございますが、一体協同組合が、水産業の協同組合の場合に、中央の連合会ができない場合は、まるで意味がない本当の協同組合の行き方ではない。こことこことを一團にしただけで何にもならないということを、私は卑近な言葉を以て言うたのでありますが、今度の法案に対して、私は今これを修正して、全部これをどうだというような強い意見は持ちませんが、併しこれは成るべく近い機会において、これは午前中の衆議院の公聴会をちよつと私は聽いたのでありますが、そういう意見を漁民は言つておつたのでありますが、成るべく近い機会において、そういつたことに、政府は水産業の場合も全國連合会を作ることに持つて行かれようとする研究をしておるのかどうか。水産だけは何か特別の理由があつて連合を認めないのであるか。そういうようなことについて、まああなたのお考え、肚のうちを承わりたい。これは非常に大きな問題で、農業の方は、あの法案の撤回によつて、もう私共の知つておる範囲では、各地方から陳情に來た組はどんどん結合するのだと言つておる。農業の方は業種別の連合会ができておるが、これも近いうちに統合されるに違いない。これらのところをはつきり聽かせて頂きたい。今日はいろいろな関係上、一應法案はできたけれども、これは仕方がないということならば、これは私共呑んでもいい、これは重大な問題、中央の連合会の経済行爲は、私はそう慌てないでもいいではないかと、極端にまで考えておりますが、連合会の必要は感じておる。どうか一つ明快な答弁を願います。
#18
○國務大臣(周東英雄君) お話の点誠に御尤もでありますが、中央の連合体につきましては、経済行爲を行う中央の連合体については、今のところちよつと困難な事情であります。指導團体としての中央團体を作ることについて先ず努力し、その後経済圏体についての実現に努力したいと、こう思つております。そこまでにして、ちよつと速記を止めて頂いて……。
#19
○委員長(木下辰雄君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて。大体大臣に対する御質問は済んだようでありますから、大臣はちよつと向うの委員会に行かなければなりませんからそれから……青山君は次長に対する御質問が残つておりましよう。
#21
○青山正一君 細部に亘つて二三第二十一條の十一号及び第十六條の第二号、契約のこと、これは員外利用、つまり組合員以外の者が組合の施設を利用するここができますが、その利用程度についてお伺いしたいのです。確か農業の方は五分の一までと制限を設けてありますが、漁業の方は一体どんなようなふうにやつて行くのですか、その点について一つお聽きしたいと思います。
#22
○説明員(藤田巌君) 員外利用の程度については、十一條の三項の但書に書いてございまして、「但し、一事業年度において組合員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度において組合員が利用する事業の分量の総額をこえてはならない。」、つまり同じ程度以上に員外利用を超えてはならない。組合員が利用します程度、それから員外利用者の利用する程度は、大体同じ程度以上にはなつてはいけないということであります。
#23
○青山正一君 同じまではいいというわけですね。
#24
○説明員(藤田巌君) ええ。それから農業を五分の一というのは、漁業につきましては、それまではやるわけであります。
#25
○青山正一君 それから第十九條の、組合員の出資の問題でありますが、現物出資ということができることになつておりますが、その現物出資というのは、組合に必要な船とか、設備とか、そういうものを対象にするのでしようが、その現物出資の評價は非常に困難なことと思いますが、何か設立準備会でやるわけですか。別に評價委員会というようなものを作つて設けるわけですか。その点について一つ。
#26
○説明員(藤田巌君) この現物出資の額の問題については、これは実際問題としては定め方が非常にむずかしいと考えます。それにつきましては、三十二條の定款に記載すべき事項の二項に「現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的たる財産及びその價格並びにこれに対して與える出資口数を記載しなければならない。」とあります。從つて現物出資につきましては、定款でこれを記載するわけであります。定款で記載いたします以上は、定款の変更の手続、つまり総会において議決するというようなやり方で、これを決定いたして行くわけであります。
#27
○江熊哲翁君 私は最前大臣に、千田委員からの質問に附随して問うたことで、お答えがなかつたから、もう一度次長にお伺いします。組合の結成を促進するということは勿論非常に重要なことであります。啓蒙運動があるんだと思いますが、結成後の指導、そういつた組合の運営といつたような方面に対して、何か適当な措置を講ずるような御準備があるかどうか、これは生みつ放しになつて行くんじやないかという懸念が確かにあるわけであります。府縣あたりの仕事を見ますというと、なかなか府縣では水産方面に力を入れない縣があつて、協同組合はできたが、生みつ放しになつて、常に何をしているんだか分らない。漁民も又至つて認識がないために、又そういつた余裕もないかも知れないが、無理解のために不活溌な状態に置かれている実情であります。恐らく全國の漁業会中、三分の二はそういつた状態になつているのじやないか、三分の一ぐらいしか本当に組合らしい仕事をしておるものはないように私は思う。それでこの漁村民主化のために、これだけの手が考えられて打たれたのだが、その後の行き方ということは私非常に大きな問題であると思う。これにより新漁村が本当にいい成長をするかどうかということが決定する次第ですから、私は二十四年度の予算については、政府は相当なものを準備しなくてはならない。このことに対して引続いて第四國会があるんでありますが、準備ができておるかどうかということをお答え頂きたいと思います。
#28
○説明員(藤田巌君) 御趣旨は誠に御尤もだと考えております。私共といたしましては、將來組合が結成されました後の運営についての指導、これは非常に重視をいたしております。それで昭和二十四年度の予算につきましても、我々といたしましては、いろいろの必要な経費を要求いたしておるのでありまして、併しながら私共の要求いたしております経費が全部通るかどうかは、財政の問題とも関連いたしまして、なかなかそう簡單ではないと思いますが、我々としては必要な経費は、できるだけこれを十分に取るようにしたいと思つているのでありまして、考えておりまする仕事を申上げますと、やはり組合の中心人物、組合の運営に当るところの指導者の養成、それから組合の趣旨の普及宣傳のために、講習、講話、或いは印刷物その他パンフレツトの頒布、その外座談会、講演会等によるところの趣旨の宣傳普及、尚そういうふうな関係の仕事及び組合の設立指導に当りますところの地方廳の役職員の養成、そういう点につきまして相当多額の経費を要求いたしているわけであります。できるだけ実現するようにやつて行きたいと思つております。
#29
○青山正一君 もう一つ質問があります。五十二條ですが、これは法律には、二百名以上の組合員を有する組合では、総代会を作ることができることになつておりますが、私の考えとしては、組合の幹部のためのみになり勝ちな総代制は、私は必要はないと思つているのです。それでなくても依存性の強い漁民に総代制を與えるとすれば、有力者或いはボスというものがそこに入り込んで、本当の自主的な組合の運営を阻むということになりはしないか。有力者は漁民に教育と発言の機会を與えるという意味から、この総代会というものをなくして、できるだけ総会一本で進むべきだと思うが、当局の考を一つ述べて頂きたいと思います。又網元とか、その傍系ですね。或いは親方、子方という場合に、網元とか、親方が総代になつて、一部の力で左右される心配はないかどうか。その点も一つお願いいたします。
#30
○説明員(藤田巌君) 組合員の自主的な意思に基いて、教育の点も兼ねて総会一本で進んだらという御意見もあるのでありまして、それは全体の考え方も、できるだけ総会中心でやつて行くということには変りはないのでありますが、ただ現在の漁村の実情から申しまして、必ず総会でなければ議決ができないといたしますと、非常に不利不便な場合が起つて來るのでありまして、從いまして私共といたしましては、その点をも考慮いたしまして、定数以上の組合員のありますところは、やはり総代会制度を併用したい。これは置くと置かぬとは任意であります。併しながらこれを併用することが、やはり実情に適するものと考えているわけであります。從つて今お述べになりました意見と全然逆な意見も出ておりまして、むしろ二百人を超える組合だけが総代会を置くことは困るのであつて、もつと少い組合員の所でも総代会の置けるようにせよ。尚又総代はもつと少くしなければならんという御意見も実は出ている。丁度反対の御意見が出ているわけであります。私共といたしましては、両方の御意見をいろいろ噛み合せまして、大体原案のようなもので適当かと、こう考えております。
#31
○青山正一君 まだ外に質問はありますけれども、この次長に対して個人的に一つやります。
#32
○委員長(木下辰雄君) 外に質問はありませんか……。外に質問がありませんでしたら、本日の委員会はこれで散会したいと思いますが、どうですか。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(木下辰雄君) それでは本日の委員会はこれを以て散会といたします。
   午後三時二十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
          尾形六郎兵衞君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           淺岡 信夫君
           江熊 哲翁君
           矢野 酉雄君
  國務大臣
   農 林 大 臣 周東 英雄君
  説明員
   水産廳次長   藤田  巌君
ソース: 国立国会図書館
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