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1948/11/26 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第9号
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1948/11/26 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第9号

#1
第003回国会 水産委員会 第9号
昭和二十三年十一月二十六日(金曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産業協同組合法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○水産協同組合法の制定に伴う水産業
 團体の整理等に関する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○漁業権等臨時措置法案(内閣提出、
 衆議院送付)
  ―――――――――――――
   午後一時四十分開会
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今より委員会を開会いたします。速記を止めて……。
   午後一時四十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時三十九分速記開始
#3
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて……。それでは暫時休憩いたします。
   午後二時四十分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時三十三分開会
#4
○委員長(木下辰雄君) それでは会議を開きます。水産協同組合法案他二法案を供します。前会の委員会で質疑が終了しましたので討論に入ります。
#5
○千田正君 この水産協同組合法案並びに附属しましたところの漁業権等臨時措置法案、水産業協同組合法の設定に伴う水産業團体の整理等を関する法律案、この問題は事前に質疑應答、且又政府側の詳細なるところの答弁がありましたので、私としてはただ一つの條件を附しまして、これに賛成の意を表するものでありますが、それはこの法案は勿論我が國の基礎産業であるところの農業と漁業、而も漁業はある点において相当遅れた過程にあつたのでありまするが、この度の民主國会において、この協同組合法案が提出されて、まさに業界の革命的な法案だと私は考えるのでありまするが、ただ法は幾ら立派なる物ができても、その裏付けになるべきところの、全ての金融面、若しくは資材面において、これにか来るところがあつたならば、且又それを施行するに当つて、運営の妙を画なかつたならば、空文に等しいものであるということを我々は常に考えておるのであります。つきましてはこの法案を賛成する前にどうか政府当局におかれましては、この法案の裏付けになるところの金融或いは資材、こういう面において、この画期的な法案の基礎になるところの、全ての施策を十分になして、漁民及び業界の、今後の発展に資するようにお願いしたい。この條件を附しまして私は本案に対して賛成の意を表するものであります。
#6
○青山正一君 水産業協同組合法案他二案に対しまして、社会党を代表いたしまして、原案に賛成するということを意思表示いたします。且つ次の如き希望意見を強く申入れておきます。 第一に漁業権の問題は、この法案には全然の載つていない、これは恐らく來議会あたりに漁業法に改正法案として載るのだろうと思いますが、漁業協同組合法を施行する場合に、この点が重視されるのではないかと思うのであります。漁業協同組合にどんな漁業権を與えられるだろうか、例えば根付け漁業ばかりでなしに、定置とか或いは区割りの漁業権を付與されるかどうか、これが問題になるのじやないかと思うのであります。その結果によつては漁業協同組合も有名無実的な存在となりはしないかということを非常に恐れているのであります。又この法案を見まするに、第十七條の漁業の自営に関する條件が極端に窮屈過ぎる、殊に水産組合とか、或いは加工協同組合というものが作られる結果、ますますその心配が現れてくることになりはしないか。それで私は漁業協同組合と、漁業権の問題の関係をどうするか。それから漁業協同組合の、漁業経営に関する條件を緩和することができないかどうか。この二点につきまして、次期國会におきまして、漁業方の上程の際、十分に考慮して頂くよう強く希望するものであります。 第二番目に申上げたいことは、第七十八條以下に揚げてありまするところの、生産組合の問題であります。私はこの漁業生産組合を採用せんとする理由が、なへんにあるか分からないのであります。これは漁業権の問題にからんで、つまり漁業権を誰に與えるかという問題につきまして、どうしても漁業協同組合に與えられないので、個人というものが対象となる、それでいうに言われん結果、こういうものをつくつたのじやなかろうか。これは漁業協同組合との関係におきまして、某方面との交渉過程から生まれた存在ではなかろうかと思うのであります。それで私の最も心配するのはこういつた関係からして、この漁業生産組合と、漁業協同組合の関係に摩擦が生じ、將來協同組合の発達に支障を生じないかどうかということ、それから若し法案の如くどうしても見とめるというならば、生産組合を協同組合に強く関連性を持たすという意味で、正組合員とすべきだと言うことを強く希望するものであります。 第三番目に申上げたいことは、連合会の規定の制限を撤廃し、少なくとも農業協同組合方にある如く、漁民の啓蒙教育、綜合的指導調査研究の面を扱わす全國的な機関の必要があるのであります。それと連合会の信用事業の兼営を見とめることを、強く希望いたすのであります。 第四に私はこの法律の制定に当たりまして、先程千田委員の申された如く、金融の裏付けをセよということを強く強く要望したいのであります。御承知の如く、復興金融金庫における生産金融を見まするに、融資業種別におきまして、生産業は三月末現在で第三位でありますが、使途別につきましては、産業は圧倒的に多いように思われます。併しその融資先は、巨大生産会社、及び戦後の轉換資金による生産会社が名を連ねており、從つてこれらの資金は捕鯨、或いは底曳漁業であつて、漁獲高の四割を占めておりますところの、零細沿岸漁民には少しもないのであります。一口三百万円以上の融資を受けた水産関係会社は、全國で百七十余りで、三百万円以下のものも相当数に達しているのであります。もかかる状況下に漁村インフレはますます高まり、漁民は漁船、網その他の資材の減耗によりまして、その販賣総額はつじの再生産の仕込み資金には到底及ばない。想像に余る窮乏に陥つておるのであります。先般農林大臣に対しまして、沿岸漁業定置網、或いはあぐり巾着漁業の金融に関する方策を質したのでありますが、確たる御返答がなかつたのであります。或いは水産業協同組合を早急に一日も早くつち上げ、漁民の行くところを示さなければならないことは、これは理の当然でありますが、幾ら立派な法律ができましても、金融の裏付けなき協同組合は無意味であります。國家資金的な性格の資金を十分に用意する必要がある。金融的措置がなければ、折角民主的な意図も佛つくつて魂入れず、結局はボス勢力の台頭という結果になる虞があるから、必ず金融的な措置を重視しなければならない。これがなければ意味をなさいものと私は考えるのであります。それで結論として私は協同組合法制定に当たりましては、金融の裏付けを十分に考慮するよう希望いたしますがこれも來國会におきまして、十分に採いれて頂くよう希望する者であります。 以下の四つの問題を來るべき第四回國会に修正して頂くよう強く希望いたしまして、原案に賛成するものであります。
#7
○矢野酉雄君 緑風会もこの法律案に心から賛成するものであります。始めの水産業協同組合は、この法律案は政府提案の立法の精神として、漁村の民主化及び水産業の発展を期するため、水産團体の制度を根本的に改正して、新しい協同組合組織の発達を図る必要からこれが立案されたわけであり、第二の法案は新漁業制度実施のため、漁業権等に関する現状を不当に変更しないようにするという必要から、これが立案せられ、現行水産業團体法を廃止し、水産業團体を整理する等の必要からこれが立案され、ここに立法の根本的精神が置かれているのであります。而して新しい日本の法律の制定は、漁業を営むもの、並びに漁業に從事するものの声が、最もゆがめられないでこれが立法府、或いは政府というものに申達せられて、これが立法府の案となり、或いは政府案となる、これが民主的の立法の私は一つのあり方でなければならんと思う。併し往々として漁業を営むもの乃至は漁業に從事するものの声の中には我田引水的な主張がなきにしも非ず、これは屡々ある。そういう意味において我が参議院は特にそれが公正なる主張であり、將にまだ独立せざる日本の水産業を、最も正しく積極的にこれを躍進せしめるに與つて力があるかどうかという観点に立つて、その立法の精神というものをここに根本的に確立しなければならんのであります。この立法は相当以前、即ち一昨年から水産当局においては、漁業を営む者、乃至漁業に從事する諸君の眞実なる声を聞きつつ構想を練つておつたのであつて、決して早急に火事場に臨んだような態度の立案では私はないと思つておりまするけれども、尚今或いは千田委員、或いは青山委員から述べられたような、現に今や立法せんとするこのときに当たつて、よりよき一つの修正の意見というものが、この法律案の中に内在するくらいでありまするので、この点は立案者としての政府当局並びにこの執行機関としての行政当局というものは、十二分に我が参議院水産常任委員会のこれらの先輩諸君の意見というものを勘案して頂かなきやならんと思うのであります。この三つの法律案というものは、周東農林大臣、或いは飯山水産廳長官にとつては一つの新しき我が水産業会に対する歴史をここに作られるわけである。これを協賛するところの立法府たる我が参議院といたしましても、十二分にこの立法の精神が執行機関たる行政府によつて正しくまつたく活用されて行くかどうかについて十分に責任を持つものでありますけれども、行政府が直接これを運用するのでありまするから、この歴史を作るということに、大きい一つの素案を建設していく、構想するという大きい役割をもつたところの責任当事者といたしましては、立法府と共に同じ責任の度を考えられまして、この運用の妙を図らなければならんと思います。例えば組合員資格制限の問題においても、住所のみに限定すれば沢山の矛盾が起こる、又不便が起こることが現に明かに予言することができるし、或いは連合会等の組織を持たない場合におい、いかなる水産業にも発展の不便があるということなどもすでに予言せられる通りでありまするので新しくひとつの法律を作るという歴史の創造者の方々はすべからくこの歴史をして関係の各業界の諸君が、自分たちの心の規として、外部的に自分たちを縛る苦しい規則、法律という意味でなくて漁業を営むもの、從事するもの自体が自分の心の規として、欣然としてこの法律を自ら進んで遵法するというがごとき、ここに道義の頽廃の際に、進んで私は農林当局はあたつて頂きたいと思う。そのためにはこれは結局は業界の諸君の漁業に從事する諸君の大部分の眞実の声が反映してますけれども、尚教養の及ばざる漁民諸君も沢山ありまするので、この立法の大精神並びにこの法規の最大の点について十二分に営むものの從事する諸君が十分に知悉するよう、十分に理解するよう、この法律の趣旨徹底に万全を期せられんことを、私は強く要望いたしまして心から賛意を表するものであります。
#8
○淺岡信夫君 私は参議院民自党を代表いたしまして、この水産業挙動組合法案、水産業協同組合法案の制定に伴う水産業團体の整理等に関する法律案に賛成するものであります。ただ一言要望をしておきたいと思います点は、如何に立派な法律が制定され施行されましようとも、その裏付けとなるべき金融、資材の面が確立しなければ、百の説法尻一つと同時に、この法律が施行されるに当たりまして、漁村或いは漁民の末端にまでこの法律がよく徹底し得られますよう、諸般の方策を行政面において、とつて頂きたいと思うのであります。先ほど申上げましたこの裏付けとなるべき金融の問題で、例えば一つの例を復金にとつて見ますと、二十三年の九月三十一日までに七百億円の貸出しに対しまして、パーセンテージにいたしますと、鉱山には四十一%五、公團には二十%、化学工業関係には八%五、金属関係は七%四であります。この八千万に近い國民の蛋白質の補給源である水産に対しましては僅かに四%であります。而もこの四%の中の三・七七%が國民の蛋白質の八十%乃至七十五%を供給しておる沿岸漁業に対する金融であります。誠に少ないのであります。今度の法案の根本をなすものは、少なくとも沿岸漁業でなければならないと私は断ずるのであります。この沿岸漁業に対して僅か一億四五千万円の金融ということでありますならば、決して國民の正常な生活の上における蛋白質の補給なんということは、木に縁つて魚を求めようなものであろうと私は思うのであります。でありますからこの立派な法律が施行されるに当たりましては、その裏付けとなるべき金融の問題を先ず打開してもらわなければいけないということは、私は強く強く要求いたすのであります。どうか政府におきましては、本案が施行されるに当たりまして、この法律の趣旨が遺憾なく各漁村或いは漁民に徹底いたします方策をとつて頂きますと同時に、この裏付けとなるべき金融の問題を、これは水産界のみならず、他の面の木金融機関なり、或いはその監督官廳であるところの大蔵省、或いはその枠を設定すべき安本、そうした面にも強く反映せしめまして遺憾なきを期して頂きたいということを一言附する次第であります。
#9
○尾形六郎兵衞君 只今上程されましたる水産業協同組合法案とこれは付随しますに法案につきましては、参議院民主党としましてもこれに賛意を表する次第であります。今まで各議員によりましてこれに対しまするいろいろな希望條件がのべられましたので、私はここに改めて申上げる必要がありませんが、先ほど矢野議員が申されましたように、我が國の漁村の実際を見ますると、誠に遅れておるのでありまして、果たしてこういう漁村を民主化するための立派な法律案ができましても、これをよく咀嚼し、これをよく呑み込んで行くということにつきましては、我々議院もそうでありますが、御製部面である水産廳としましては、余程の御努力をして貰わなければならん。これにつきましては行政部門のみならず、立法の我々もお互いに全力を挙げて、この法律案の徹底的かに努めたいと思います。尚いろいろ修正の意見等もありますが、いずれも現在の情勢では直ちに本希望條件を全部充たすようにこの案につきまして、修正等を加えるということも困難と思いますので、先ず大体このくらいで賛意を表する次第であります。後は今後の成り行きによつて、より良い案を作るために努力したいと思います。
#10
○委員長(木下辰雄君) 他に御意見ありませんか……。千田君先の御意見は希望條件でしようね。
#11
○千田正君 希望條件です。
#12
○委員長(木下辰雄君) 御意見ございませんければ本案の採決をいたします。
 この内閣提出、衆議院送付の水産業挙動組合法案他に法案に原案通賛成の諸君の挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#13
○委員長(木下辰雄君) 全員賛成と認めます。それではこの三法案は満場一致可決いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規他第百4条によつ、予め多数意見者の承認を経なければならぬことになつて降ります。これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑、應答の要旨、討論の要旨、及び表決の結果を報告する事として御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なしと呼ぶ者あり」〕
#14
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七二條によりまして、委員長が議員に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつて降りますから、本案を可とされた方々は順々にご署名願います。
   多数意見者署名
     千田  正  淺岡 信夫
     江熊 哲翁 尾形六郎兵衞
     矢野 酉雄  田中 信儀
     青山 正一
  ―――――――――――――
#15
○委員長(木下辰雄君) 農林大臣から発言があります。
#16
○國務大臣(周東英雄君) 水産業協同組合法案外関係法案二法案の審議に当たりましては、事柄の非常な重大性に鑑みられまして、短期間でありましたにも拘りませず、参議院におかれましては、特に予め予備審査を開かれまして、熱心にその御努力を頂きまして、今日短い間に議了し、可決を頂きましたことにつきまして、國家のため厚くお礼を申上げます。審議の間に述べられました各委員の御意見等につきましては、十分に尊重いたしまして、適当なときに修正をなすべきものにつきましては、改正を加えるとか、或いは行政てき措置を講ずるということについて努力をいたしたいと思います。特に委員会中にたびたび御指摘になりました、本法案と姉妹の関係に立つ漁業権制度を中心とした漁業法の制定につきましては、できるだけ早くこれが完成をいたしまして、最も早い機会にこれを提案いたして完璧を期したいと、かよう考えております。尚水産業協同組合法等の法律が通りました以後、これが設立その他に関しまして、又設立後におけるこれが完全な運営を期するためにとるべき種々の対策につきましては、政府におきましては、御意見を尊重して十分努力いたしたいと存じますが、この後におきましても何分御協力をお願いいたしたいと、かように考えております。
#17
○委員長(木下辰雄君) これを以つて委員会を閉会をいたします。
   午後四時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
          尾形六郎兵衞君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           淺岡 信夫君
           田中 信義君
           江熊 哲翁君
           矢野 酉雄君
  國務大臣
   農 林 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   水産廳長官   飯山 太平君
  説明員
   農林事務次官
   (水産廳次長) 藤田  巖君
ソース: 国立国会図書館
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