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1948/11/22 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第3号
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1948/11/22 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第3号

#1
第003回国会 人事委員会 第3号
  公聴会
  ―――――――――――――
昭和二十三年十一月二十二日(月曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十一時四十三分開会
#2
○委員長(中井光次君) これより開会いたします。
 本日は國家公務員法の一部を改正する法律案に対する公聴会でございます。会議に先立ちまして、公述人の方方が御多忙の中から御出席頂きましたことに、委員長といたしまして厚く御礼を申上げます。案件は國家公務員法改正法案についてというのであります。本日は人事委員会と労働委員会と連合して公聴会を開きますから、さよう御了承をお願いいたします。公述をお願いいたしまする時間は十五分でありまして、これを午前の部と午後の部に分かちまして、午前の部が終りましたら、これに対しまして人事委員及び労働委員からの御質問を願うことにいたし、それから午後の部が終りましたら、又各委員の御質問を願うことにいたしたいと存じます。そうして各委員の御質問は十分にして頂きたいのでございまするが、時間の関係上遺憾ながら各委員の御質疑は五分間以内、これに対する御答弁も五分間以内としてお願いいたしたいと存じます。わざわざ万障を差繰り御出席を願いましたにも拘らず、時間の関係上、公述の方々に対しましては甚だ短い時間よりないことに対しまして、ここに改めてお詑を申上げる次第であります。公述の順序は御出席の都合によりまして、多少の変更はあると存じます。又御返事の遅延のために、公述人の方の名簿に漏れた方もあるやも知れませんが、その点は特にお許しをお願い申します。
 それでは最初に全官公労組委員長佐藤安政君にお願いいたします。
#3
○公述人(佐藤安政君) 全官労協の佐藤であります。大体私國家公務員法の制定の場合にも公述人として出ておりました。それから一昨昨日の衆議院の公聴会でも公述人として十分程時間を頂いておるので、大体それと同じような骨子によつて、國家公務員法に対する私の公述を申上げます。
 先ず私は大前提としまして、現行の國家公務員法に対する我々の立場からの絶対反対であるという態度、従つてこれはむしろ現在の情勢では撤廃される方が適当ではないか、そういうふうな態度を持つておることに変りございません。この國家公務員法の現行の法律が施行されてから、私達が制定される当時に反対した理由通りに、現実は少しも國家公務員法が制定されて、然る後に官職が民主化される方向をとつておる、そういうふうなことではなくて、むしろ國家公務員法の中に含まれておる、給與の面の、職階制に至つては、実に下層官吏の悲劇というような現実を生んでおります。それで特権官僚が非常に強化され、固定化されて一つの官職における官職労働者と、官僚との間の仕事の上の齟齬が非常に出ております。これは私達が当初に申上げました新官僚というようなものが姿を変えて登場した一つの現れではないか、そういうふうに私達は見ております。日本なんとの場合には、政党が非常にアメリカなんかと比べて幼稚であります関係上、國家公務員法ができましても、この官僚政治というようなものが、大きく抬頭して來まして、我々が問題にし、國民が問題にしておる日本の官僚政治が、政党政治を圧迫するような姿を、非常に助長して來ると思います。從つて私達はこういうような面からも、むしろ警告を議員の皆様に申上げておいたのであります。こういうふうに幾多問題を残して、或いは弊害を持つた現行の國家公務員法を更に改悪するようなことが、今度の改悪案でありますが、これは我々としては、絶対に反対する、声を大きくして現行の國家公務員法の反対の当時よりも、我々は反対の意思を表明せざるを得ません。
 それから私はここで、重要なことを申上げたいのでありますが、こういうふうに現行の公務員法が問題であり、更に現行の公務員法を、より一層大きく改悪するようなこと、それは現在の憲法に幾多抵触し、或いは違反する個所が多いのであります。従つて私は法治國家であり、憲法の下における國会である限り、こういうふうな法案を國会で審議すること、それ自身が非常におかしいのじやないか、こういうふうなことに疑問を持つております。
 それから我々が今度の改悪案に反対する大きな点を、一つ、二つ申述べて見たいと思うのであります。
 先ず第一に、憲法で保障された、労働者の基本的人権を拒否する労働三法の拒否が、非常に大きく今度の改悪案には出ております。そうすると私たちは、自分で自分を護るというようなことが全然できなくなり、あまつさえ法律でそり場合保護されるというようなことが、全然労働三法が拒否されておるためにできません。これはどういうふうなことを意味するかというと、これは常識的に分るのでありますが、大体官吏を自由自在に、好きなときに首を切り、好きなときにいろいろな処罰ができるというような、人間の生殺與奪をこの中に調われておるのであつて、この傾向は決して我々が軽視できない独裁的な、專制的な洗浄ではないか、こういうようなことを危ぶむものであります。
 それから第二には、これも非常に問題が大きいと思うのでありますが、人事委員会の権限の拡大強化であります。この人事委員会の拡大強化を見ますと、内閣の行政、それから國会の立法、裁判所の司法、これを併わせ持つております。これは非常に大きな問題だろうと思います。これは、私たちが國家公務員法の現行の法律が施行されるときも非常に声を大きくして反対し、警告したのでありますが、これこそが、先の國家公務員法の制定の当初、私たちが叫び続けた今までの特権官僚が、一應表面だけを衣更えして、新官僚が一つの独自な、独裁的な勢力、或いは権力を以てここに登場して來た一つの現われではないか、そういうふうに私たちは見ております。それから現在國家公務員法の適用の範囲が非常に増大されつつありますし、現在の情勢では、例えば公團組織とか、或いは重要産業の皆さんが國家公務員法の適用を受けるような情勢にあります。これを今回の内閣の行政とか、國会の立法、裁判所の司法を併せて持つような人事委員会ができ上れば、この國家公務員法を適用される範囲が拡大されて、それを牛耳る範囲が非常に増大するのでありますから、我々は明日を考えて燦然とせざるを得ない、こういうふうに私たちは考えております。
 それからここにも、やはり前に申上げたように、特権官僚が衣更えをして新たに新官僚というような、独自なものを植え付けまして、ここにもやはり独裁的な、專制的なものが、この一項目、一項目に表われております。
 それから第二番目に、人事委員会には法律顧問というようなものがつくようになつております。この法律顧問を決める場合には、これは人事院規則に委ねております。これは非常に、私は危険なやり方じやないか、こういうふうに考えます。何故ならば人事委員会では、人事委員会のいろいろなものを護るために、國会や、或いは國民や、その他の機関がタツチできないような、人事委員会が強化するような形で、この法律顧問を委嘱するかも知れません。これは勿論私たちとしては、國会の皆さんがこの法律顧問を自由に選出されて、これは顧問とさるべきであつて、決して人事委員会の人事院規則に委ねるというようなことは、非常に問題が大きいのじやないか、こういうふうに私は考えます。
 それから全体として公務員適用の範囲が拡大され、増大されるような情勢にあるとき、この法律がこういうふうな性格を持つておる点より、この法律の独自のものとして、政党から、或いは議会から、國民から切離して、絶対的な意図がこの中に含まれて來るのであります。これはもう少し突つ込んで私達考えますと、日本がどういうふうな環境に置かれても、この人事委員会の権限というようなものは、明日も、明後日も考えて大丈夫なように、日本の官公廳の労働者、或いは官公廳の労働者を中心にして、非常に大きな範囲で、先ず何といいますか、民主勢力というようなものを握つておいて、この中で独自の力を発揮して行けば、どういうふうなことになるのであろうか、こういうふうなことを私達考えますと、非常にこれは問題が大きいのではないか、こういうふうに考えます。
 それからこの人事委員会の権限の拡大は、非常に大きないろいろの理由が含まれておりますが、これは何といいますか、取りも直さず全官公廳の労働者を徹底的に、完成した官吏奴隷法とこうようなもので縛つちもうということに外ならないのじやないか。
 それから國家公務員法が制定された当時と、現在の情勢は非常に違つております。御存じのように、アメリカのタフト・ハートレー法案が、ああいうふうな形で廃止されようとしておるときに、日本では未だ曾つて我々が見もしたこともないし、聞きもしたことのないような、これと逆行するような傾向を取つておる法案が、今出されようとしております。でありますから、我我としては絶対にこの法案には、仮令どういうふうな理由があつても、賛成はできないのでありまして、これはむしろ現在の情勢や或いはそういうふうな重大な憲法に抵触しておるような事由を考え併せまして、これはむしろこの法案そつくり返上さるべきが、現在の情勢上妥当ではないか、こういうふうに考えます。
 それから最後に、私達は政党の皆様や、それから組合の一部の皆様にも、そういうふうな方があるのでありますが、この国家公務員法の出た端緒は、マツクアーサー元帥の書簡にあるのだから、これは当然尊重して、止むを得ないのじやないかというようなことを、私達は政党の皆さん、政府の皆さんとの交渉の中では、そういうふうな結論を、或いは回答を頂いております。併しながら私は思うのに、勿論私はマツクアーサー元帥の書簡は尊重しますが、併し仮令そうであつても、その内容について、自主的に我々が十分審議解釈して、それを受け入れるか、受け入れないかを決定するのが、我々がマ書簡を尊重するということと何等背馳するものではないのじやないか、こういうふうに私は考えます。從つて私達が非常に強く要望するものは、國会の皆様が、そういうふうなお氣持で、この法案を十分に御審議を頂くことこそ、この際の、或いは現在の日本の、明日のより良きためになるのじやないか、こういうふうに考えます。
 それからこの法案については、もつともつと喋りたいことがありますし、要望したい点があるのでありますが、時間がございませんから、私、今度改悪される最要点について、我々の組合からの見方を書いた資料を今日持つて來てございます。それを一部ずつ差上げまして御参考にして頂くようにお願いしたいと思います。
 私の公述をこれで終ります。
#4
○委員長(中井光次君) 次は價格調整公團理事長、前大阪財務局長石井茂樹君にお願いいたします。
#5
○公述人(石井茂樹君) 私は公務員法改正案に関する全般につきまして、若干の意見を述べますと同時に、現在公團の役員に職を奉じておりまする関係上、公團役職員と今度の公務員法改正案との関係につきまして、若干の意見を申述べたいと存じます。
 現行國家公務員法が新憲法の精神に基き、國民全体の奉仕者であるという公務員制度の確立に基いて制定されまして、今度又この改正法案によりまして、更にこれが一歩を進めておるという意味合におきまして、現下の情勢この改正案の方向につきまして、賛成の意を表するわけでございまするが、ただその法案の内容を見ますると、若干行き過ぎの点があり、且実情に副わない部分が相当あるのではないかと存じます。これらの点につきまして、一、二内容につきまして意見を申述べますれば、第一は人事院の権限拡大強化の問題でございまして、法案の各所に散見いたしますように、人事院規則、或いは人事院の必要によりまして、相当大きな権限が人事院に與えられております。これは一面から見ますれば、人事院の独立性を確保し、公千なる人事行政を行うという意味におきまして結構なことかとも存じまするが、十余りにこれが行き過ぎますると、國会の立法権の縮少にもなり、又他の行政機関との摩擦も生ずるというようなわけでありまして、この点は相当考うべき点ではないかと思います。例えば改正法案の七十五條には、職員の意に反して免職されないという規定がございまするが、これなども現行法では法律だけによつて決まるわけでございますが、改正案では「法律又は人事院規則」、人事院規則でも職員の免職に関する規定ができると書いてございます。又七十七條を見ますれば、職員の離職に関する規定につきましても、法律又は人事院規則で定めるとありまして、人事院規則が法律と同等の地位を與えられている箇所が多々あることは、人事院の権限を余りに強化にし過ぎはしないかという感じがいたします。又人事院の独立性を余りに過重する結果は、政府全般の政策、殊に給與問題等に関しまして、財政経済政策との調和が、旨く保てるかどうかという点に疑問があるわけでございます。例えば二十八條の情勢適應の原則というのがございますか、この規定には職員の給與、勤務時間等は國会において、社会一般の情勢に適應するように、随時にこれを変更することができるとあります。又その変更に関しましては、人事院が勧告の義務があると書いてあります。又その第二項には人事院は、毎年、少なくとも一回俸給表適当であるかどうかを、國会及び内閣に報告する、又給與を決定する條件の変化によつて、俸給表に定める給與の百分の五以上の増減をする必要の生じた場合には、人事院はその報告にあわせて、國会及び内閣に適当な勧告をしなければならないという規定があるのでございます。又六十三條には、給與準則に関する規定がございまして、人事院は給與準則を立案いたしまして、内閣総理大臣に提出するという義務があるわけでございまするが、これら給與に関する人事院の勧告義務、或いは給與準則の立案等につきまして、余りに人事院が独立性を発揮いたしまして、給與財源の問題、或いは物價政策上に及ぼす影響等につきまして、考慮を拂わずにお決めになる勧告案を作るとか、或いは準則案を作るとかいうことになりますれば、果して政府全般の政策運用上、円滑に行くかどうかということにつきまして、非常な疑問があるわけでございます。現に最近の人事委員会のいわゆる六千三百円ベースの勧善案なども、実現の可能性があるかどうかということは、財源の問題或いは物價政策上の問題から、相当疑問があるように聞いておりますが、人事院がかかる案を御作成になる以上は、どうしても他の財政経済に関する諸政策とマツチした、從つて実現の可能性のある案をお立てになる必要があるというように考えられるわけでございます。この点法律に適当な改正を施す方が適当であるかと存じます。
 次の点は特別職の範囲の問題でございますが、この内容は現行法と、改正法案とは大分変りまして、現行法では現業廳、或いは公團、その他これに準ずるものの職員は特別職になつております。然るに現業廳、或いは公團の職員と、いわゆる一般官吏とは非常に性格が違うわけでありまして、鉄道、專賣、或いは逓信関係、或いは公團の職員という者は、結局企業体の一員でありまして、一般の官吏とは相当趣きを異にするわけでございます。これを全部改正法案のように、一般職として扱うがよいかどうかという点については、多大の疑問があるわけであります。尤も鉄道、專賣につきましては、公共企業体に関する法律案、並びに公共企業体労働関係法案が提出せられて別個の扱いを受けるように聞いておりますが、荷残るところその他の現業官廳もあります。又我々の最も関心を持つておりますのは、公園の問題でございますが、公園のごとき、現下の統制経済を施行しておる段階におきまして、主として民間出身者を以て職員としておりまする公團は、全く民間の企業体と何等異ならない部面が多分にあるので彫りまして、かくのごとき公團の特殊性に鑑みまして、これを他の一般官吏と同様の規定を当てはめるということにつきましては、非常な無理があるわけでございます。從いまして他の現業廳と同様に、公團の役職員というものは、是非共現行法通り、特別職ということに、法律で御決定願う方が、実情に合致するものじやないかということを深く痛感する次第でございます。これに関連いたしまして、九十八峰の問題があるわけでございまするが、今度公共企業体となります鉄道、專賣につきましては、別途の法律によりまして、争議権はありませんか、国体協約の締結を含む團体交渉権をお認めになるように聞いておりますが、他の現業廳、或いは公園の職員に関しましても、その特殊性に鑑みまして、これら鉄道、專賣の公共企業体と同様に、争議権は別といたしましても、少くとも團体交渉権を認めるということは必要であるかというふうに考えるわけでございます。
 次に試験制度の問題でございまするが、國家公務員法、現行法でもそうであり、又改正法案でも同様でございますが、すべて官吏の官職を通じて採用試験はもとより、昇任の試験、すべて試験で以て採用、昇任が決められるという制度に相なつておりますが、これは人事行政の公平を期し、情実を避けろ意味において理想的には結構でございますが、余りこれも極端になりますと、実情に合わん憾みがあるんではないかと感じます。
 次に私企業との隔離の問題でございまするが、これは第百三條の、職員は離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前工年間に在職していた國の機関と密接な関係にあるものに就くことにできないという、いわゆる就業禁止の規定がございます。これは、一般官吏につきましては、或る程度妥当かと考えられる点もございますが、この期間、二年間の就職禁止の期間につきましては、一應こういう規定を設くる以上は、この間に退職職員の生活を保障する退職金その他の制度によりまして、生活を保障して行く制度が裏付になる必要があると存ずるわけであります。又先程申上げました公團の職員につきましては、これは大部分が民間の出身者で構成されており、而も統制経済撤廃後におきましては、いずれも民間企業に移らなくてはならん人が大部分を占めておる関係上、公團の職員につきましては、就職の禁止の規定、並びにこの前にありまする兼業禁止の規定もその適用を排除するということが、絶対必要であるというふうに感じるわけであります。その他沢山申上げたいことがございまするが、時間の関係上私の意見はこの程度にすることにいたします。
#6
○委員長(中井光次君) 次は東京大学法学部教授で、行政法を御担当になつております田中二郎君にお願いいたします。
#7
○公述人(田中二郎君) この度の國家公務員法の改正は、殆ど全般に亘る改正ということができると思いますが、その重点は改正の直接の動機になりました公務員の團結権、国体交渉権及び争議権に関する新たな規定を設けましたことと、人事委員会を人事院とし、その地位及び権限を強化拡大したということにあるといつていいと思います。そしてこの二つの点が共に憲法の規定に抵触する嫌いがあるのではないかという意味で問題になつております。各條文につきましても、いろいろ具体的の問題があると思いますが、この重点となつております二つの点につきまして、私の考えましたところを先ず申上げて、あとで逐條的に多少問題になります点を申述べたいと思います。
 順序としまして、初めに人事院の地位及び権限の問題であります。今度の改正によりまして、人事院の独立性を徹底的に強化しようとする意向が現われております。そもそも内閣から完全に独立した行政官廳を設けることが、新らしい憲法の下にできるかどうかという点については非常に疑問があると思います。私の、考えますところでは、憲法が、行政権は内閣に属するという趣旨を示し、その内閣はイギリス式の議院内閣組織を建前として採つておるという点から申しますと、すべての行政が内閣を通して國会に対する責任、延いては國民に対する責任において行われなければならないものと解釈するのが、正しい解釈であろうと思います。内閣から完全に独立した第四の行政機関を設けるということは、そのものの独善を可能ならしめる危険性を包藏していると思います。從來の各種の委員会制度について見ましても、この観点から何らかの形において内閣に從属するものとして、要するに内閣、又は各大臣の所轄の下にこれを置くということにいたしまして、人事とか、予算とかの点については少くともそれらの機関の権限り下に、言換えれば全体として内閣の下に從属するものとして、これを設ける措置を採つております。そしてそれが新憲法の下においては正しい解釈に依つておるものと考えます。ところで人事院というものについてその独立性を認めようとする趣意は、行政官廳の、或いは官吏制度の独立性を尊重して行くということの必要、言換えれば政党政治の弊を遮断して、独自の見地によつて行政を担当せしめようという趣意であることは申すまでもありませんが、併しそれにもおのずから一定の限度があつて、一切の内閣から完全に独立した人事院制度を設けろということについては、先程申しましたような意味においての懸念、或いは疑念が免れないと考えます。そういう観点からいたしまして、直接具体的に問題になる点といたしまして、大体三点を挙げてみたいと思います。
 その第一は今度の改正によりまして、十三條の第四項に、應急予備金の制度を設けております。これは憲法の八十七條に予備費の制度を認めながら、それは内閣の責任において支出されるべきものとする趣意を明示しております。その趣旨を逸脱するもので、内閣の責任外に立つ懸念予備金の制度を設けるということは、この憲法の趣意に反するのではないか、その意底で、その独立性を認める必要はないと私は考えるのであります。
 第二の問題としまして先程來指摘されましたように、人事院に異議その他について最終的な判断をもつて権限を與えられております。この改正の第三條の末項に「前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。」という規定がありまして、法律問題についでは裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではないということになつておりますが、その法律問題の意味が、單に法律の解釈というような意味において、理解されるといたしますならば、これは裁判の中に入らない。裁判と言う以上は、事実の認定を含めた意味での法律的な問題でなければならないのでありまして、後の九十二條あたりの規定と併せ考えますと、これでは最終的な事実認定、或いは裁判的な機能を人事院に独占せしめようという感があるのでありますが、このことは司法権の侵害という意味において、やはり憲法二條なり或いは七十六條の第二項の趣意に反する嫌いがあると考えます。
 次に第三の問題としまして、今度の人事院の権限強化の具体的の例といたしまして、人事院規則とか或いは人事院指令というものを廣範囲に亘つて、制定することを認めております。これは國会中心主義、法律中心主義の憲法の精神を害するものだと考えるのであります。尤も憲法の下においても、委任命令の制度は認めております。併し、それにはおのずから一定の限界、或いは條理上の限界というものを認めなければならないと思います。事柄によつては当然この法律によつて定めるべきもので、先程も御指摘になりましたが、免職の自由のごとき、或いは公務員について禁止される政治的行為の範囲のごとき、これは基本的人権の問題とも関連いたしまして、若し仮にこれを規定するといたしますれば、当然法律を以て規定すべき事項であつて、人事院規則のごときを以て独断的に制定すべき性質のものではないと、こう考えるのであります。要するにこの憲法の解釈の問題は別といたしまして、今度の人事院というのは、その地位なり身分を完全に保障されたもので、由來身分を保障されたことは、裁判所とか会計検査院とか、いずれも消極的な、或いは受動的な活動をすべきものについて取られた建て方であつて、ところが人事院は身分の保障を得ながら、而も積極的に、能動的な官廳関係を支配するということになり、これが人事院の独裁をもたらす禍根になるのではないかということを恐れるのです。人事院といたしましては、むしろ國家公務員を政党の支配から守るというための消極的な、受動的な存在で満足すべきものではないかとこういうふうに考えるのです。
 次に第二の問題といたしまして、公務員の團結権、團体交渉権、争議権の制限、禁止の問題でありますが、憲法第二十八條の解釈という見地からいたしますと、私はこの公務員において、こういつた労働者の権利について制限を設けるということは、必ずしも憲法違反であるということは、言いきれないと思います。公務員については他の條文にも示されておりますように、全体の奉仕者でなければならない。そういう意味から申しまして、それと矛盾するような、争議権というものを否定することは憲法の趣意から申しまして、必ずしも許されないことではない。こう考えます。併しそれには政策的な見地から申しまして、そういうものを全面的に禁止することが、妥当であるかどうかということは、おのずから別問題であり、明らかに二十八條にも示しておりますように、これは基本的な人権の一つとして認められたものであります。それはできるだけ廣く、一般の労務者に限らず、公務員についてもこれを尊重するのがその精神であると言わなければならないと思います。ただ併し從來のように、これを與えられた者が濫用するということの結果として、その公務員の本來の使命を達成することができないということが示された今日、これが制限されることは止むを得ないと私は考えます。ただ併し、そのために、公務員の経済的な地位が十分に満足されないということは、結局全体に奉仕すべき者の使命を達成せしむることを啓せしめない結果になることを恐れます。從つてそういう国体交渉とか、争議権というものに代るべき公務員の地位の、保障のための法律的な保障手段、或いは第三者の適当な機関を設けるなり、その法律的な保障の手段を同時にここに考えなければならん。そういう保障手段を伴わないで、ただこれを切捨てるということは、政策的な見地から申しましても、公務員の本來の使命を達成せしめるゆえんにはならない、こういうふうに考えるのであります。これを一般論といたしまして、この國家公務員法の全体を見て行きますと、むしろ修正されて然るべき規定、或いは規定として十分にその意味の諒解できない規定、或いは不適当な規定というのが到る所に見られます。その二三をここに申述べて見たいと思います。
 その第一は第一條の第三項に「何人も、」云々として注意的な規定を設けております。これに罰則が附いてあるわけではありません。單なる注意規定でありますが、注意規定といたしますれば、むしろこの法律の精神を尊重するという、積極的な面において、この規定を規定すべきであろうと思います。初めから処罰、或いはそこに如何にも不都合なことをするようなことを前提とした規定の仕方というものは、面白くないと考えます。
 それから第二の問題としまして、第二條に特別職の範囲を非常に限定いたしました。言換えれば、公務員法の適用範囲を非常に拡大いたしました。この点についても、私は実際上の観点から必ずしも妥当ではないと考えます。先程営團の職員についての御意見がありましたが、それ以外にも臨時的な、或いはパート・タイムの職務に從事する者についての特別的な扱いというものも必要でありましようし、單純な労務の提供というようなものについ丁は、これを一般職として拘束するよりは、むしろ可なり実際の事情に應じて自由に使い得るような形を取る方が妥当ではないか。その意味におきまして第二條の末項、第七項でありますが、政府又はその機関と外國人との間において挙げられております諒解をむしろ拡張して、個人的基礎において、一定の契約関係が認められるということになる方が妥当ではないか。こう考えます。
 時間がありませんので、簡單に飛ばして申上げたいと思いますが、それから次に十六條に参りまして、十六條に人事院規則、人事院指令、それから手続というものを列挙いたしております。ところが規則と指令というのは一つの法の形式であります。ところが手続というのはむしろ規則の形式を以て定めらるべき内容ではないかと考えるので、それを並べて書いて置くということ自体がおかしい。又その公團の規定は無意味であろうと思います。不必要であろうと思います。
 それからこの人事院規則と人事院指令というものは、非常に廣汎に認めておることが問題でありますが、特に人事院指令に違反する行為に対して処罰をするという場合が出て参ります。十八條のごときはその例でありますが、こういう人事院指令を一般に公示しないで、而もその違反が処罰されるということは、人事院の独裁であると同時に、一般人にとつては非常な脅威になるということを注意しなければならないと思います。人事院指令というものが人事院の独裁を実現するための手段をして利用されるということを大いに警戒する必要があろうと思います。それから先程もお話がありましたが、試験制度等につきましても、ここでは人民の一般の権利に密接な関係を持つております事柄でありますだけに、適宜制度するとか、或いはやつたものを勝手に取消すとか、変更するとかいうような規定を設けることは、非常に考えものであります。
 それから九十二條に移りまして、適当な調査の結果、取るべき措置というものを定めておりますが、この点は、改正前の從來の規定の通りに、当該官廳に移牒して適当な措置を取らしめるということが適当であつて、人事院が各大臣のなした処分について、それを勝手に取消し、或いは適当な措置を講ずる、それに対してはもはや訴えの途がないというような方法を取りますととは、妥当ではない。これに対して最終的なものとするということ自体も問題でありますと同時に、人事院自体がそういつた決定を最終的にするというとは、非常に問題であろうと思います。
 最後に一つ、罰則でありますが、百九條及び百十條に定められておりまする罰則は、多くの事項はむしろ懲戒権の問題として処理するべきであつて、こういう形の罰則を定めること自体は非常に問題であると思います。例えば差別待遇をしたとか、或いは一定の俸給を拂わないとかいうような場合に、そのもの自体を当然にこれによつて処罰をする、それに協力した一切の者が、百十一條によつて処罰をされるということになりますが、こういつた意味で罰則を運用して行くということは、公務員の実際の仕事に当る者をして、常に異常な個々たる心情を持たしめることになり、その円滑な、又合理的な運営を図つて行くとゆえんではない。こういつた罰則の規定の多くは、具体的にはここでは時間がありませんので申しませんが、その必要がないのではないか、この点は大いに整理さるべきであろうと、こう考えます。時間の関係から非常に不完全でありますが、これを以て私の公述を終ります。
#8
○委員長(中井光次君) 先程も申上げて置きましたが、午前の公述が終りましたら、委員からの質疑がございますから、公述を終えられました公述人も、暫くお残りをお願いいたします。
 次は食糧配給公團労組中央執行委員の熊倉四五七君にお願いいたします。
#9
○公述人(熊倉四五七君) 私は只今お呼出しを頂きました食糧配給公團労働組合の熊倉でございます。本日ここに國家公務員法の改正案に関しまして、國民代表の諸賢の前に、公述人といたしまして、卑見を申述べる機会を得ましたことを、甚だ光栄に存ずる次第でございます。
 今回上程せられましたる公務員法の一部改正をする法律案につきましては、私共組織労働者の半数を占める官業労働者の国体交渉権と争議権を剥奪するものでありまして、労働者の基本的人権を蹂躙するものと、かように断ずる者であります。而してこの改悪に対しましては、絶対に反対を強調する者でございます。而も現行法によりますれば、法律第二條によりまして、單純なる労務者と並びまして、現業廳並に公團の職員に関しましては、爾來特別職の取扱を認めておつたにも拘わりませず、今次改正案につきましては、一般職として律せられることになつておるのでございます。かような点につきましては、甚だ不可解に存ずる者でございます。一つの例を取つて申上げますならば、アメリカにおきましても、パンの製造工員並びに製粉工場に働く職員、或はパンを販賣するところの職員、こうした職員のいわゆる勤労者、或いはその他の單純な労務に從事しておる者に対しましては、公務員法を以て律して偽るとは考えられないのでありまして、さような取扱は、決してしておらないという事実を以ていたしましても、私共の納得の行かない点でございます。而も今次の改正案には、いわゆる現業中國鉄並びに專賣三現廳は、マ書簡に明示して勧告されましたところの日本政府の立場におきまして、特に公共企業体労働関係法を立案いたしまして、よつて、これらによりて、規定されるにも拘わりませず、食糧配給公團の職員につきましては、何らの考慮もせられることなく、いわゆる一般永続官吏と同様に取扱われるというようなことは、絶対に公團の職員といたしまして、黙視できない次第でございます。この法律案の精神と申しますか、理念と申しまするか、國家機関、即ち行政、司法、立法の國家機能を果すものの法律であつて、公團のごとく行政、司法、立法のいずれにも即しない労働者を規正する法律では断じてないと私は思つておる次第でございます。私は若干食糧の立場といたしまして、これらの関係の点につきまして申上げて見たいと思いまするが、御承知のように食糧管理法の第十四條には、食糧配給公團は法人とするということになつております。明らかに國家機関とは別個の人格を有するものであると信ずるわけでございます。先ず第二十三條に規定されておりますように、私共の上には、総裁並びに副総裁、或いは理事、監事というような役員を以て構成をされておるのでございます。從いまして、組織におきましては何と申しまするか、会社的な色彩を多分に持つておるという事実があるわけであります。從いまして、我々の公團職員には政府との間におきまして、直接の何らの雇傭條件も有しておらないわけでございます。両第二十條には、公團の存続機関は御承知のように、昭和二十四年の三月三十一日ということになつておるわけでありまして、全くその面におきましては、解散を予定されるというようなことにもなつております。かような短期の存続期間を有しておりますものの職員に対しまして、いわゆる永続性ある官吏の面を律しまする公務員法を以て制約するというようなことに対しましては、誠に私共は反対をせざるを得ない次第でございます。マ書簡によりますると、國鉄並びに專賣三現職はいわゆる公共企業体というような面に移行するように相成つておりまするが、私共の場合におきましても、これらと同様な取扱になつて然るべきではないか、こんなふうに私共は考えておるわけでございます。
 大体以上の面から申上げまして、集約的に申上げまするならば、食糧配給公團という機構は、すでに公共企業体的な色彩を以ちまして運営をされて参つておるわけでありまするので、私共の考へにおきましては、むしろ速かに公共企業体的な組織の中に、我々はその取扱の下に置かるべきだ、かように考えておるわけでございます。甚だ簡單な公述でございましたが、以上を申上げまして、公述の責を終りたいと思います。
#10
○委員長(中井光次君) 次に早稻田大学社会部教授の北澤新次郎君にお願いいたします。
#11
○公述人(北澤新次郎君) 私はもともと法律家でありませんので、今度の國家公務員法の改正につきまして、一般の私共が普段考えておる常識的な観察の面からこのことについて公述をして見たいと、存じます。
 先ず今度の公務員法の改正を必要たらしめるに至りましたのは、マ元帥の書簡に基いておることは論がないのでありますが、これを内容的にどういう工合に取扱うか、又具体的にどういう工合に改正をするかということは、一にかかつて私は國会に責任がある、國会はその自治的な立場においてこれをなすべきものである、こういうふうに考えます。で、そういうような面から見ますというと、先ず國会において、それを議する皆さん方にお願いをしたいことは、元來公務員というのはどういうものであるか、公務員は公務員たると同時に勤務者である。精神的な、及び肉体的な、或る面においては勤労者である。若し勤労者であるならば、勤労者に與えられたところの基本的な人権というものは、できる限りにおいて、これは守るべきものである。そうして憲法の第二十八條に與えられたところのその権限を拡大する必要こそあれ、それを縮小すべき性格のものではない。(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうように私は考えます。そうして、今度の改正が主張されるようになつたその理由としまして、普通の社会通念といたしましては、我が國のそういう方面に從事してある團体が、即ち労働組合が、行過ぎをしたということになつておりますが、成る程或る面から見れば行過ぎをしたということが言えるかも知れませんが、一面から考えるというと、何が彼らをして行過ぎをさせたか、こういうように私は考えます。「こんな女に誰がした」ということがよくありますが、その論理をこの方面に適用することが私はできると思う。即ちこういうような人たちが行過ぎをせざるを得なかつたのは、終戰後の歴代の内閣並びにその局に当る者が、労働問題に対する理解が足りない、又労働問題を如何に解決しようとするかということの熱意が足りない。(「仰せの通り」と呼ぶ者あり)その日暮し的の政策をやつたから、そこで労働者の人々はいらいらしてついに脱線的な面に行かなければならない面もなくはなかつたのではないか、こういうように私は考えるのであります。でありますから、先ず第一に労働者に與えられたところの権利というものは、これはどこまでも守るように國会がこれを育てて行くべき性質のものである、こういうように考えます。又マツカーサー元帥の書簡によりましても、公務員は他の労働者と性格が違う、けれどもその第一條件としましては、彼らの待遇政善をしろ、待遇改善をして、彼らが安んじて公務員たるところの職能を発揮させるようにすることが第一條件であると語つてあります。若しそれであるならば、待遇改善の面を先ず先にして、それから彼らの義務を私は律すべきだと思う。與えるべきものを與えないで、することだけをしろとすることは、これは人間であるべきところの公務員を私は何だか極めて特別の人間扱いしておるように考えるのであります。で、今度の國会におきましても、公務員法の改正はやる、じやあそれと同時に給與の問題はどうか、それはいずれやるというようなことでは、これは意味をなさないのである。ギヴ・アンド・テイクというのは今日の常識である。先ず與えてそれから彼らの義務をやらせるようにするということが大切な事柄であります。こういうような考え方を以て公務員法を取扱つて欲しいと私は思います。それならば、内容的にはどういうようなことであるかと言えば、勿論團結権、團体交渉権、その他勤労者の基本的人権というものはこれをどこまでも尊重する。そうして公務員は特殊の性格を持つた仕事に從事しておるのだから、それを輿論の力を以てその間違つたところは匡し、正しいところはこれを擁護して行くというところにこれを向けて行くべきものだと思います。そうしてそういう考え方から見ますというと、今度の問題について一番私共が不安に思いますことは、人事委員会の権限強化であります。先程から申上げましたように、今日の時代におきましては、司法或いは行政というようなものは、これは國会が掌るべきものである。行政、司法の権限を逸脱したような機関を設けて、それに独裁的な権限に似たような権限を與えるということは、甚だしく危険である。人事院は然らば給與或いはその他の政治活動をどの点までしていいかというようなことまで決めなければならんのでありますが、人事院の人たちは一体それだけの万能の知識を持つておるかということを考えなければならん。成る程人事院の人はよく研究するだろうけれども、その研究には限度がある。給與問題にしても、政治活動の問題にしましても、これはその当事者をその機関の中に参画させて、例えば給與問題を議する場合におきましては、給與委員会というような権限のあるものを設けまして、それには使用者、使われる者、並びに第三者というものを置いて、その機関に掛けて、これは自主的に民主的に決定して行くべきであると考えます。それを第三者である人事院が或る角度を以て適当なりと信ずるところによつて決定しましても、果してそれが適当であるかどうか、輿論がそれを納得するかどうか、況んやその局に当つておるところの公務員がそれによつて納得すべきものを一体得られるかどうかというようなことに関しましては、私は非常にこれに疑念を持つものであります。人事院の権限をそういうふうに拡大強化して、或いは國会というようなものを束縛し、更に何んらかの制限を與えるような機関を設けるというようなことにつきましては、私はそこに新らしく生れ出る官僚の独裁というものに陷つて、それがために重要な役割を果さんとして働いておるところの公務員を、奴隷労働にまで追込む危険性が伴つて來はしないかというようなことを内心から恐れるものであります。こういう点につきまして、もつと具体的に細かい点を申上げたいと思いますが、まだ公述人の方が沢山おりますから、原則的の面だけを申上げまして、私の考を述べさせて頂いたのであります。
#12
○委員長(中井光次君) 次に酒類配給公團総裁、元大藏省理財局長式村義雄君。
#13
○公述人(式村義雄君) 私は只今御紹介を受けました式村であります。只今酒類配給公團の仕事をしておりますので、主として酒類配給公團の見地におきまして、今回議会に提案されております國家公務員法の問題につきまして、三点につきまして、極く簡單に意見を申述べたいと存じます。先程來たびたび各公述人の方々から御意見があつたのでありますが、私も大体において先程來の公述人と同様な意見を持つておりますのであります。
 即ち第一の点は、人事院の権限強化の問題でありまして、この点につきましては、先程來たびたび公述人から意見がありましたが、私も今回の改正案によります人事院の権限強化という問題につきましては、どうも余りに権限を強化し過ぎるという感じを持つものであります。人事に関しまする問題につきましては、非常に人間は神経過敏でありまして、人のなしますことに必ずしも承知できないと存ずるのでありまして、殊に極く少数の方々によりまして、非常に多数の人事の問題に携わるということは、実情に合いました人事は到底できないと思うのであります。これがためにいろいろな不平、苦情が続出するという事態を惹起しないとは限らないと存ずるのであります。この点は何としても非常にむずかしい問題でありまするから、各職域における実情をよく承知したところの人々によつて、人事の問題が判定せらるべきである、かように存ずるのであります。現在の官廳組織におきましても、いろいろその部局におきまして、現実にその人をよく見た人でなければ到底判定できるものでない、かように存じまするので、この人事の問題が極く少数の人によりまして、相当独断的に決められるという虞れにつきましては、我々も非常に心配いたしておるのであります。又一面給與問題でありますが、給與の問題につきましても、到底この人事院の決定が直ちに國家財政政策にマツチするものとは限らないのでありまして、よく我が國の現在におきまする財政状態、インフレーシヨンの状態、その他を加味せられまして、判定せられるべきものが、独断によつて人事院に決定せられることがあるということを考えますときには、今回の人事院と権限強化が余りに強化に過ぎるという感じがするのであります。
 第二点は團体権、交渉権、争議権の問題でありますが、この問題につきましては、いろいろ御意見もあると存ずるのでありますが、私は現在酒類配給公團の仕事をいたしておりますのでありますが、この見地よりいたしまするならば、現在の我が國におきまする経済社会状態の現状からいたしましては、今回の改正法が必ずしも妥当を欠くものであるとも存じないのでありまして、先ず止むを得ない事態であろうかとかように考えるのであります。
 第三点につきましては、公團、特別の問題でありまして、即ち先程來意見もたびたびありましたが、公團職員が今回の改正によりまして、一般職ということに相成る問題であります。即ち現行の公務員法におきましては、現業廳、公團、その他これらに準ずる職員でありまして、法律、又は人事院規則で指定いたしましたものは、特別職ということに相成つておるのでありまするが、今回の改正法によりましては、一般職に相成るかのごとく承つておるのであります。御承知のごとく公團職員は一般行政官廳とは異つておりまして、即ち一つの企業体であるのでありまして、又頭脳労働者ではなく、むしろ現業に属する性質のものであります。その相当部分は筋肉労働者を相当多数に包含いたしておるのであります。従いまして、それらの職員を或いは任用の試験をするとか、或いはその他職階制による給與の問題、或いは恩給だとか、すべてこの人事に関する問題を一般官吏と同様といたすということにつきましては、非常に実情に合わない点が多分にあることを恐れるのであります。最近私は酒類配給公團を始めまして以來、先ず一年近くに相成るのでありまするが、公團そのものの性格を再檢討すべき時期に到達いたしておると存ずるのでありまして、最近その検討を始めつつあるのであります。即ち現在の公国組織というものが如何にも官職組織と相異ならないような事情になつておるのでありますが、これはすべてこの公團につきましては、共通の問題であると存ずるのでありまするが、殊に私共のごとく配給公團という性格のものにつきましては、完全に一つの國民に対するサービスの現業であります。従いましてそれらの現業職員というものが、官吏と同じような各般の組織に相成つておりますことにつきましては、國民に対するサービスの点につきまして、非常に欠くる点があるかのごとく存ずのであります。殊に私共の酒類の配給公團のごときは特別價格酒という酒を賣出しております。即ち御承知のごとく日本酒にいたしまするならば、一本千円に近いところの非常に高い酒を賣出しておるのでございまするが、それは御承知のごとく自由販賣という形式で賣出しております。この販賣組織のごときは全く従來の、昔自由経済時代にありました自由販賣商賣と同じような組織であります。即ち普通の販賣業であります。そういうふうな販出賣商賣につきましては、如何にも官吏組織と同じような組織でやつて参りますことにつきましては、非常な弊害が伴い、又欠点があります。仕事を機動的に、自由に十分に賣出し、これを消化させることには非常に困難な事情が沢山あるのであります。それらの点につきまして、最近私共は公團の性格を再檢討しなければならん、かように存じておるような矢先に、今回の國家公務員法の改正によりまして、更に一段とそれが一般職ということに相成りまして、一般行成官廳と同じような組織に相成りまするということは、到底忍びないのであります。どういたしましても、國民に対するサービスの点において幾らか欠けるように相成つて参りはしないかということを非常に恐れるものであります。例えて申しまするならば、給與の問題につきましても、公團職員の中には完全な筋肉労働者が相当沢山おりまするが、それらも一律に官吏と同じような給料を與えて行くというふうなことが非常に実情に合わない、例えば酒ころがしという商賣が私共にあるのでありまするが、全く一つの筋肉労働者であります。仕事を請負つて参りまするようなことをやつておるのでありまするが、それらの人にも同じように、官吏と同じ並の俸給で以て決定いたして参りますることが、如何にも実情に副わないという感に打たれます。これらの点につきましても、公團職員は特別職になることが非常に緊要であると存ずるのであります。殊に又先程來もお話がありましたが、退職後二年間は就業禁止という問題がありますが、これらの点につきましても、非常に從來から長らく酒商賣をいたしておりました者がたまたま公團組織ができたというために、公團の職員になつた。それがために、公團が終りまして後二年間は、もう酒に関する商賣はできないという事態に相成るのでありまして、如何にも不自然であり、非常な妥当性を欠くものと、かように考えるのであります。これらの点につきましても、今回の改正法が、そういうふうな事態にならないことをお願いいたしたいと、かように存じております次第であります。
 以上簡閲でありまするが、三点につきまして、意見を申上げました。
#14
○委員長(中井光次君) それでは東京商大教授吾妻光俊君にお願いいたします。
#15
○公述人(吾妻光俊君) 先程来からお話がありましたように、今度の國家公務員法の改正の問題点としては、人事院の権限の問題、もう一つは九十八條の規定により、團体交渉権、争議権の否認といいますか、この二つが公務員法改正の中心点であると私も考えておるわけであります。人事院についての問題については、すでに各方面からお話がありました。私も大体今までのお話に同感であります。私としては、第九十八條の規定による團体交渉権なり、争議権禁止の規定、これを中心に極く簡單に意見を申述べて見たいと思います。
 この九十八條の問題は前々から論議せられておりますように、憲法の規定、團結権乃至團体交渉権、争議権の保障、二十八條の規定に抵触するかしないか、憲法的な問題がもとより一番大切な点であります。この点については、むしろ私は問題は單に抽象的に憲法違反であるか否かというようなことは論断できないのではないか。成る程國家公務員の立場としては全体の奉仕者であるというところから、從つてその国体交渉とか、或いは争議の相手方というものが一般人民である、国民大衆であるという意味において、確かに私企業に雇傭されている労働者とは地位が違う。その意味では確に特別な取扱いというものは一應は形式論的には可能であるというふうに考えます。併し問題は九十八條の中味にあるわけなのであります。果してこの規定で、然らば争議権を剥奪し、團体交渉権を剥奪したということに対する十分な保障が與えられているかというところに問題の論点がなければならない。然らざる限り憲法違反という問題は水掛論に終るのではなかろうかと私は考えるわけであります。そこで具体的には九十八條の規定を見てみますと、この中ではいろいろな問題を私は考えるわけなのであります。先ず第一段に一体九十八條の規定は公務員の團結というものを促進しようという態度を取つているのか、或いは又それをできるだけ抑えるという立場を取つているのかということが非常に不明確であります。例えば一番最初のところに「職員は、組合その他の團体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。」というのが法律的にどんな意味があるのかと考えますが、この点は恐らく九十八條の第二項の最後に「すべて職員は、職員の團体に属していないという理由で、不満を表明し又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。」恐らくこの点に團結せざる自由というようなものを認める意味があるかと思うのですが、併し一体公務員の労働條件というものは、これは一体的に決まるべきものなので、或る一部のものが團体に加入しておらない、多数のものが團体に加入しているという場合に、その團体に加入しておらない一人々々が不満を表明するとか意見を具申するという問題と、もつと一般的労働條件というものについて総括的な意見を提出する。代表を通じて当局と交渉することができるとありますが、そういう場合の交渉と、個々的な不満の提出ということは全然性質の違つた問題じやなかろうかというふうに考えているのであります。その意見からいつて九十八條の第二項で、結成しない自由とか加入しない自由とかいつている場合に、果してこの法律の精神として、公務員というものは團結してその労働條件という合理的な提案をなすということを欲しておるかおらないかということが、非常に不明確にぼやかされていると思います。尤も第三項に來まして、職員はその組合を作つたり、その他の團体における正当な行動をやつたからと言つて、不利益な取扱いを受けないという労働組合法第十一條まがいの規定がここに置かれております。しかし十一條の場合は、御承知のようにこういう不利益な待遇をしますと処罰せられるということになつておるのですが、この第三項の規定に違反した、不利益な所遇というのが行われた場合、又或いはそれが不利益であるかどうかというようなことを判定するというような問題が起つてきた場合に、果して如何なる方法によつて、それが不利益であるか否かを判定する、或いは不利益な待遇に対して、これに違反した場合、文句が言えるかということについては、恐らく九十八條第二項の人事院の定める手続に従い交渉することができると、こういうふうなところで、問題を果して考えているのかどうか私には分らないのですが、要するに第三項の規定の如きは、一方的な不利益な取扱をしないという、決心を表明したという程度のことなので、まあ私のこれは見誤りでないことを望みますが、この不利益な取扱がなされた時に、如何なる手段に訴えうるかということについては、恐らく國家公務員法は片言隻句も触れておらないのではないかというふうに見られるわけです。
 それから第三番目と申しますか、二番目の警察職員、これは消防職員とか、そういつた種類のものは、今までも團結権は奪われておつたわけですが、果してこの九十八條第二項の程度の活動を行うために、つまり團結権も剥奪されておるわけですし、労働協約を結ぶというような権利もない、いわゆる團体交渉権、本來の意味の團体交渉権もないというふうなものについて、組合を作らせることが果していけないのか、従來の労働組合法の建前から言いますと、團体交渉権というものの背後には、当然事議権があるし、文團結権の背後には、團体交渉権と事議権というものがある、従つて團結権を、與えるということは、必ずそこに何と言いますか、命令系統の混乱と、或いは場合によつては、争議料行爲によつて、一般大衆の生活が脅かされると、こういうような問題に、どうしてもタツチしてくるだろうという意味で、恐らく警察職員その他については團結権までも奪われておつたのではなかろうかと私は考えておつたわけです。その意味において、労働組合法第四條の規定は、憲法違反という問題を、形式的には生ずる可能性があるわけです。これは先程申しましたように水掛論なんで二十八條と公務員の立場というものとの関連は、二十八條を重しとすれば、これは憲法二十八條違反ということになるでしようし、或いは四條ですか、公務員に関する規定を中心に考えれば、憲法違反でないということになる、しかし争議権乃至團体交渉権を奪れた現在警察職員、その他について團結権を否認するということは、少くともこれは行過じやないかというふうに私は考えるわけです。それから尚第四項、第五項あたりに、まあ五項では爭議権の禁止でありますが、この爭議権の禁止に関する規定の中に「同盟罷業、怠業その他の爭議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行爲をしてはならない。」これは爭議権禁止より、もつと一歩進んでおるわけなんで、一般に爭議権と申しますと、今まで罷業とか、怠業その他の、今まであつたいろいろな型を考えるわけですが、能率を低下させる怠業的行爲というものは、恐らくこの條文の文字からみましても、爭議行爲とは考えられない、爭議行爲の中に、はまらないものとしてここに挙つておるのだと考えます。
 問題はこれはいろいろな組合側の戰術と関連して、こういう規定が置かれたと思いますが、この規定が若し濫用せられるということになると、非常に危険なことになるので、これは第五項の規定と関連しますが、つまり若し爭議をやりますと、「任命又は雇用上の権利を以て対抗できない」という規定になつておりますが、この判断というものが非常にデリケートな問題になつており、果して裁判所でそういう問題を合理的に、公務員の立場というものを十分に考えた上での判断というものが果して可能であるか、非常に危険な規定ではなかろうかと私は考えておるわけです。特にこれは、第四項違反は罰則が伴つておるわけです。三年以下の懲役だとか、十万円以下の罰金とかいう罰則を伴つておる。その規定との関連において、この最後の文句は削除せらるべきではなかろうかと私は考えております。終りに第六項でありますが、この規定については先程申しましたように、爭議を行つた場合には、「雇用上の権利を以て対抗できない。」例えば免官せられるという、馘になるということも可能であるといつておるのでありますが、そこで問題になるのは、先程申しましたことと関連を持つわけですが、果して、殊に活動能率を低下させる怠業的行爲だということを言い出してきますと、こういうような非常なデリケートな判断これを一方的にそういう行爲に該当するという判断をして、例えば馘にされた公務員というものについての救済はどういう形で考えられるか。固より一般的の懲戒というようなことについては、別段の規定、一般的な規定があるということがありますけれども、併しこの怠業的行爲であるかどうかというような判断については、なにかもつと公務員の立場を十分保障するような判定の機関と言いますか、そういうものを必要とするのではなかろうか。殊に労働者側の事情、公務員側の事情というものを十分判断するだけの、少くとも意見を述べろという機会を與えることなしに、こういう措置がとられるということは、非常な危険がある。謂わばこの規定をして、公務員がその実質において労働者的な地位に置かれておるということの、馘になれば明日から困るということについての十分な顧慮というものが、この規定の中で果して拂われているかどうかということについては、私は相当懸念を持つわけであります。
 以上非常になんといいますか、具体的に九十八條の規定について申上げたわけですが、今まで申上げましたような理由で九十八條全体について、再検討を加えるということが必要ではないか、こう考えておるわけであります。私の公述はこれで終ります。
#16
○委員長(中井光次君) 午前中の公述はこの程度に止めまして、これから今までに公述されました七名の公述人に対しまして、人事及び労働委員より質疑を願うことにいたします。先程申上げました通り、聽聞の関係上質疑も答弁も簡單直截に、長くも各五分間くらいにお願いいたしたいと思います。尚只今全官公の佐藤委員長は大会出席のために退席しておりますので、午後の部において御質疑にお答えするそうでありますから、御了承を願います。
#17
○村尾重雄君 北澤新次郎さんに少しお尋ねいたしたいと思います。時間がないので御説明が非常に簡單でありました結果だと思いますがお話の中に公務員たると共に勤労者であるというお言葉がありましたが、國から給與を受け、國の仕事に從事する人達が、一般勤労者と別個の扱いを受けることに対する御意見を少しお伺いしたいと思います。それと関連しまして、大体お話のうちに今度の改正案には反対の御意向と思いましたが、國家公務員法そのものに対しての御意見も合せて伺いたいと思います。
#18
○公述人(北澤新次郎君) 今のお言葉ですが、公務員であることは、私はやはり廣い意味の労働者であるということは、少しも違いないと思います。労働者の社会的、経済的の範疇の中に公務員は入るものである、こういうふうに私は考えております。從つて、勤労者に與えられたところの憲法上の権利というものは、飽くまでも守られるべきものである、こういうように私自身は考えております。
 それから公務員法の改正につきましては、結論的に申しますと、私は反対であります。そうしてアメリカにおいても、この公務員法の改正の雛型といいますか、モデルといいますかそういうようなものになつたタフト・ハートレート法が廃止されようとするような、されるかされないか知りませんが、それを廃止するという方面の当事者が勝利を占めた、國民の支持を得たということを考えて見ますと、私どもはやはりこの時代の動き、新しい時代の動きということについて、よく考えて、この法案を取扱うべきものである、こういうふうに思います。
#19
○村尾重雄君 今までの公務員法に対してもお願いいたします。改正案でなしに、公務員法そのものに対してどうお考えになりますか。
#20
○公述人(北澤新次郎君) 現行のも私はなくてもいい、こういうふうに考えております。
#21
○大山安君 北沢公述人に御意見をお伺いしたいのでありまするが、只今の公述中に、いろいろと御意見かお叱りが、人事院、國会というようなものは、余り感心できないというようなお言葉がありましたが、併し我々國会議員はできるだけやつておるつもりであります。その点は了解して頂きたい。そうしてこの公述中に、主に北沢氏の御意見は、基本人権の尊重というようなことについて、主として述べられておるようであります。私から申しますれば、基本人権の尊重、これは憲法上当然の御意見であります。
#22
○委員長(中井光次君) 御質疑の点を簡明に、それからどなたに対するものか明瞭に願います。
#23
○大山安君 基本人権の尊重ということについて、基本人権の尊重をするための本法案であるという場合に、この法案は当を得たものであるというような考えも持たれるのであります。その点をお伺いしたいのであります。その点を伺うという意見の根拠は、平時の場合は勿論、北沢氏の御意見に当嵌まるかも知れませんが、今日のこの國情の場合には、基本人権の尊重であるから、これは憲法に違反しないのだということは、どうも御意見の趣旨が判断に苦しむのであります。只今申上げました通り、平時ではない、実際に國情が変化しておる、その場合に國家の総人権を保護する、尊重するという意味においては、これは止むを得ないというような観念を、私は持つておるわけでありますが、その点をお伺いしたいと思います。平時と今日の場合とどういうふうに基本人権の尊重を意味するか。
#24
○公述人(北澤新次郎君) 今日は私は平時だと思う。戰時じやないと思う。又非常時でもないと思う。つまり平和國家、文化國家を作るために、我々は乗り出しておるところの平時である、從つて、その平時にふさわしい個人の基本的な人権というものをできるだけ廣く入れて、そうして労働者も、公務員も、すべての者が経済再建を喜んでする、働くことは三度の飯よりも好きだと、こういうような方向に導いてやることが我々の責務だと、こう信じます。(拍手)
#25
○大山安君 成る程平時ということになつておりまするが、國情から言つて、経済もすべて、この敗れた国家としては、現在は平時ではない。殊に占領下にあつて、基本人権の尊重は、これは何人も否認すべきものではないが、一部基本人権の尊重を最大にして、一部これを與えることができないという今日のあり方、即ち平時ではないのであります。その点におきましては、これは一方的である、公平のためには、これはどうしても設けなければならないというような解釈も持たれるのであります。成る程理論的には平時であるがも知れないが、実際の國情としては平時ではないのである。つまりその平時であるという意見を持つのはその実体を知らないから、平時であるというような考えを持たれるのであります。実際に國情を察すれば、全く平時ではない。

#26
○委員長(中井光次君) 大山さん、御質疑だけにして、御意見は止めて頂いたらどうですか。
#27
○大山安君 その点をよくお聞きしたいのです。(「必要なし」と呼ぶ者あり)
#28
○委員長(中井光次君) 御質疑は外にございませんか。
#29
○羽仁五郎君 最初に價格調整公團理事長の石井茂樹君に、ちよつとお述べになつた間のことについて伺いたいのですが、この九十八條について、爭議権は別としても国体交渉権は認めよということを御主張になつたのですが、これは公團についてだけですか、それとも一般についてですか。
#30
○公述人(石井茂樹君) 一般官吏につきましては、深く研究しておりませんが、少くとも現業廳職員並びに公團の職員につきましては、争議権は別として、国体交渉権を認めるという意見であります。
#31
○水橋藤作君 北澤さんにちよつとお伺いしたいのですが、先程時間の関係でお述べにならなかつたものと私は考えておりますが、この規定の中の罰則に関係して北澤さんの御意見をちよつと伺いたいのです。
#32
○公述人(北澤新次郎君) 罰則も、これも随分妙な点があると思うのでありますが、まだどういう工合にしたらよいだろうという考え方を私はまだ決めておりませんが、こんなような罰則は、これはもつと是正すべき点があるから、よくお考えを願いたいということだけを申上げます。
#33
○赤松常子君 私は田中先生にお聞きしたいのですが、先程の九十八條について、私共も非常に不満でございますが、そういう爭議権や團体交渉権を廃止いたしました後の生活保障や、そういう権利の保障について具体的に何かお考えをお持ちになつていらつしやいますか、如何でございましようか。
#34
○公述人(田中二郎君) お答えいたします。私はまだその具体的の構想というものを持つておりませんが、それは人事院でなくて、やはり使用者側、労働者側の意見を十分に反映させるような第三者機関というものが、絶えずその一般民間の給與の関係を考慮しながら、或いは國会にそれについての勧告をし、或いは又場合によつてはそれの檢討をし、先程もお話のありましたような、或る意味での給與委員会というような組織がそこに当然考えらるべきではないか、こういう程度のことより考えておりません。
#35
○羽仁五郎君 次に酒類配給公團総裁の式村君に御質問いたします。あなたはこの三点の中で、第一点では人事院の権限が拡大されるということに反対をされたのですが、それで人事院の権限は縮小してしまう……若しお説が通れば、そして第二点では、一般の公務員の團結権の制限は團体交渉権、爭議権の否認には賛成されたのですが、そうしますと、公務員というものは人事院も保護して呉れない、それから自分たちもみずから保護する手段を失うということになつて、棄てられた犬のようになるんじやないか、いかがでしようか。
#36
○公述人(式村義雄君) 私は人事院の権限の問題を申上げましたが、それは少し現在の案が強過ぎるという意味を申上げた次第であります。その程度の問題だと私は考えております。それから人事院が官吏を保護して呉れるということは十分承知いたしております。その意味におきまして、人事院が官吏なり一般公務員を保護して行くという立場は別にどうという反対をいたしたわけではないのであります。尚團体交渉権の問題については、公團職員が特別職になりまするというと、これが無くなるかのごとくでありまするが、これは本改正案が止むを得ないということを申上げた次第であります。
#37
○羽仁五郎君 そうするともう一度伺いますが、その二つの点に関して、人事院が、まあ具体的な問題としては、例えば今追加予算の問題でも出ておりますように、一方からは人事院が折角公務員の生活を適当に保障しようというふうに考える。併しその権限が余りに大きくなるということは危険であるというのでそれを制限しますと、まあ軍に勧告する程度で、公務員が実際食えるか食えないかという責任を負えないわけです。それを負えるような権限を與えるということになれば、あなたの考えから行けば、それは非常に危險だということになるわけですね。そうだとすると、人事院が公務員の生活を保障する全責任を負うという程の、それ程の大きな権限を人事院に與えるという危険をあなたはお考えになるか。それともそれは余り危険だ……。つまりそれだつたならば、公務員一般に團体交渉権、爭議権というものを與えるということの方が安全ではないかというふうに、それはどつちを危険なりと考えますか。
#38
○公述人(式村義雄君) 私は人事院の権限の中の給與の問題についてちよつと触れましたが、その問題は國家全体の立場から考えたから申上げたのでありまして、例えば現在の我が國の物價の財政状態から考えて、余りに極端に大きな給與を公務員のみに與えるということは、却つて國民全体の租税などに影響いたしまするし、いろいろな点から考えまして、その妥当な判断を下さなければならんというふうな点を申上げた次第であります。即ち予算と各政策との総合というような点を申上げたのでありまして、それから極端になり過ぎると困ることがありはしないかという結論を申上げた次第であります。
#39
○羽仁五郎君 それでは東京商大教授我妻君に伺いたいのですが、九十八條について詳しくお説を伺つたのですが、この九十八條の第五項ですね、「職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行爲をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行爲をしてはならない。」そこまでは伺つたのですが、その次に「又、何人も、このような違法な行爲を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若くはあおつてはならない。」という「何人も」という点についてどういう御意見を持つておりますか。
#40
○公述人(吾妻光俊君) 私はこういう点については御意見はありません。現在のままで結構であります。
#41
○委員長(中井光次君) 大変長時間皆さん有難うございました。午前中はこれにて休憩をいたします。午後は一時十五分より再開いたしますから、午後の方にお廻りになつた方は甚だ御迷惑でございますが、何とぞよろしくお願いいたします。
 休憩をいたします。
   午後零時三十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十分開会
#42
○委員長(中井光次君) それでは午前に引続きまして公聴会を開きます。全逓委員長土橋一吉君にお願いいたします。
#43
○公述人(土橋一吉君) 全逓労働組合土橋一吉であります。本日は労働委員の各位の御高配によりまして、ここに私が國家公務員に関する公述をさして頂くことにつきまして、深く感謝の意を表する者であります。
 私は本法案が國会へ上程されまするこの法案の内容について全面的に反対の意見を表明する者であります。本法案の本質的な理由、或いはこれが國際的な関係、並びに國内的な関係及び憲法法規に照し合せまして、我々が容認のできない、さような政策的な面を持つておりますので、それを逐次申上げることによつて反対の理由としたいのであります。我が國の現在の経済態勢は、國際的金融資本を中心とするその反動的な勢力と相合致をいたしまして、現在日本の國家再建の方式が考えられておるのでありまするが、かような考え方につきましては根本的に私は反対をする者であります。それが現下の通貨の膨脹過程を見ましても、現在の生産の萎縮しておる過程を見ましても、亦一般勤労大衆の勤労意欲が上昇されていないというような関係から見ましても、かような法案が只今の時期において國会へ上程されることは全く遺憾であると思うのであります。特に私の承知しておりまする範囲においては、この原案でありまするところの元の昨年十月二十一日公布せられました法律第百二十号の国家公務員法そのものが根本的な誤りを持つておるのであります。と申上げることはすでに御承知のように、アメリカにおきまして一八二九年アンドリユージヤクソンが大統領に就任いたしまして以来、政党政治のその弊害がアメリカの公務員をして極度に達せしめられたのであります。從つてアメリカにおける國家公務員制定の由來というものは、丁度英國におきましてあの立憲政体の基礎を作りました憲法制定と同じように、これは私が申上げるまでもなく人民の権利、解放のための誓約が憲法の基本であつたと思うのであります。ところが我が國の明治三十年の憲法はこの人民の権利を確保する誓約を逆に取りまして、天皇制の権力を強くするために作られた欽定憲法であつたのであります。これと同じように今申上げたアメリカにおける國家公務員法は明らかに政党政治の誤れる民主主義のために、全國民諸君が官僚の一方的な政策によるところの行政措置を行う、この弊害を是正するために國家公務員法が制定せられました沿革を持つておるのであります。ところが我が國の現状を見ますると、終戦以來民主主義の原則によりまして、成る程一般勤労官吏にも労働者としての正当な権利が認められつつあつたのでありまするが、この間において尚現在の戰犯、或いは公職追放等の諸君の中には高級官僚を含んでいないのであります。この高級官僚が如何に我が國の機構制度の本質を誤らしめ特に委員諸君のいろいろなご配慮なり、或いは各政党の政策というものについても、この高級官僚が如何に誤つた政治の方針を各責任者に誘導しておつたかということは明瞭であります。こういう戰犯的な或る高級官僚が尚各省に跋扈いたしまして、彼らは学閥を中心として下級勤労官吏を非常な窮地に陷し入れたのであります。こういう國情下において國家公務員法が制定せられるということは明らかにこれはアメリカの場合とは立場を異にしまして、この國家公務員法が先ず規定ししておりまする官職の中の第二章にありまする、職階制というようなものを通じまして、飽くまでも給與の面におきましても、その権限の行使の面におきましても、上には厚く下には薄いというような、極めて我々労働組合員には了解のできない本質を先ずこの法律第百二十号が持つておるのであります。從つて我々はこの國家公務員法そのものが我々労働階級の権利を剥奪をし、正当なる基本的人権を阻害する悪法であることは、この前の委員会等においても我々が縷々申上げたゆえんでありまするので、まず法律第百二十号の國家公務員法そのものが根本的に我々労働者としての権利を剥奪し、これを制限し、更に日本の全官公吏諸君の勤労意欲を阻害するものであることを明確に申上げたいと思うのであります。從つてこの法律百二十号の修正的な本案については根本的に反対の意見を表明する結論を持つておるのであります。
 何故ならば、私はここに皆さんに特にお話を申上げたい点は、この國家公務員法が憲法七十三條第四項の規定によりまして、別に定める基準に從つて官吏に関する事務を掌理すると、かように憲法の七十三條は規定しておるはずであります。この規定と、憲法第二十八條が規定しておりまする勤労者の基本的な権利でありまするところの團結権、罷業権、團体交渉権というものとどういう関係があるかということであります。そこで私は憲法七十三條第四項が規定しておりまする、この官吏に関する事務を掌理する規定を別に法律を以て定めるということは、これは明らかに国家公務を担当するところの公務員の事務面におけるところの規定を規定する誓約であろうと思うのであります。若しこの規定が勤労者の基本的な権利に関する規定と相関連をするならば憲法七十三條四項の規定は明らかにこれは違法であります。でありまするから相関連をしないという建前を若し取られるならば、当然にこれを勤労者としての二十八條の規定、或いは遡りまして憲法第十一條が規定しておりまするように、この憲法が保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利であると、かように憲法が明記しておりまするが、この規定の精神から見ましても、又憲法が第九十七條において規定しておりまするが、更に加えて侵すことのできない永久の権利であると、かように規定しております。
 尚憲法九十八條の規定を見ますと、憲法の最高法規を如実に謳いまして、この憲法の條項に違反をする法律、命令、認勅その他いかなる行政行爲であつても、その全部又は一部が無効であると、かように憲法は明記しておるのであります。次に九十九條には、これは天皇であろうと、摂政であろうと、國会議員であろうと、裁判官であろうとこの憲法の規定に準拠して立法、司法、行政を担当しなければならんということを憲法が明示しておるのであります。こういう規定から考えまして、私は当然勤労者の権利であるところのまず罷業権、團体交渉権、更に團結権を侵すような一切の法律は政府の名において制定せらるべきではないということを確信を持つておるのであります。若しかような法律を作るならば、憲法七十四條第一項を御覧になりますると、内閣は法律を誠実に執行する責任を持つておるのであります。從つて法律の表、表街道から見ましても、かような紛らわしい官吏のいわゆる身分、率直に申上げるならば、官吏の採用、或いは試験、或いは給與、或いは能率、或いは分限令の問題、保障の問題、更に服務の問題というようなものによつて、労働組合員としての正当な権利を阻害するような立法を作るということは、明らかに現政府の反動性を如実に示しているものであります。
 でありまするから、如何なる理窟をつけましようとも、憲法第七十三條、第四項の規定によつて「官吏に関する事務を掌理する」という規定のこの表街道から申しましても、かような基本的な人権、勤労者としての当然な権利を収奪し、これを抑えるような立法は、断じてできないのであります。若しかような立法がこの國会において認められるとするならば、我が國の國会の権威と我が國の將來の基本的人権に対するところの尊重の観念を麻痺せしめるものであります。でありまするから、私は根本的にかような法案を提案する現政府は、憲法第七十三條第一項の規定から見ましても、当然國家公務員として、彼らは寧ろ一般國会議員の皆さんに対して、正当なる権利の行使を妨げるような立法、起案をするというようなことについては、寧ろ國家公務員としての責任を私は追求したいと考えておるのであります。この点がまず根本的に私は反対の理由とする法律的な見解であるのであります。
 次は経済的な理由でありますが、経済的な理由については、先程もいろいろ御発言もあつたようでありますが、我々全官公吏が労働爭議に関しまして行き過ぎをしておるというような悪い宣傳を誰がしておつたか。現在までの保守反動的な政党、或いは政府、或いは現在の日本の資本家階級の諸君が、かような悪宣傳をしておつたのであります。我々は飽くまで労働法に認められた正当な権利、労働基準法は我我根本的に反対でありましたが、尚その基準法の規定に從つて中央労働委員会が出しました勧告の精神に、我々は十分その趣旨を汲み、尚且つ労調法が認めております期間を経過すること、例えば二・一のストライキの場合にも、二ケ月を経過したのであります。今年三月の鬪爭におきましても調停委員会が勧告或いは調停案を出しましてから、約三ケ月間を経過してストライキが行われておるわけであります。かように我々は突如として一般國民、日本の法規に矛盾をしてストライキなり、爭議行為を断行した覚えはただの一回もないのであります。常に我が國の法律の規定に準拠し、而も我々は不満でありますが、労働関係調整法の規定を遵奉いたしまして、尚且つ國民諸君に警告を発し、政府にも努めて團体交渉を展開して、そうして政府の政策的な誤り、政府の團体交渉、或いは我我組合の正当な権利を無規しておる、この使用者としての十分な務めをいたさないゆえんを徹底的に追求いたしまして、我々は爭議行為に入つておるのであります。でありまするから、若し全官公廳が行き過ぎをしておるとか、或いは罷業権を行うべきでないというような見解を持つておられる方がおられるならば、概念を是正して頂きたいと思うのであります。何故かならば、凡そ勤労階級が自分の待遇改善のために相集りまして、自分の要求を取り纏めて、その使用者側であるところの政府、会批側、こういうような諸君に團体交渉をする権利は、当然の天賦の人権であるのであります。かような権利まで妨げるがごときことは、明らかに憲法の本質を蹂躙するところの考え方であろうと思うのであります。
 次に我々が罷業権を持つている、我我が完全に爭議行為を展開するという権利を保有せられて、初めて民主國家としての正当な権利の尊重と、政府の誤れる政策に対するところの覚醒を断行し得るところの基礎を持つているのであります。若しかような法案が通過いたしまして、全官公廳二百六十万の正当な権利が抑えられ、これが没却せられ、これが圧殺せられるような、かような我が國の政治形態と國家形態を若し招來するならば、日本は再び第二次欧州大戰のような、極めて遺憾な現象を露呈する分岐点となるのであります。飽くまでも勤労者の権利を擁護しなければならんと私共は主張したいのであります。この観点から先ず現在の政府原案は返上して然るべきである、こういう見解を持つておるのであります。
 次は私が承知しております範囲におきましては、凡そ外國の各代表部の皆さんの御意見を聞きましても、例えば八月二十八日の対日理事会において開催をせられました、あのシーボルト議長の御発言になりました第一項から第十三項までの、あの御説明に対するソ同盟のキスレンコ少将のあの論駁、或いは特に英連邦代表のパトリック・シヨー氏のあのお言葉、例えば簡單に申し上げるならば、パトリック・シヨー氏は、少くとも人事委員会というようなもので、そういうもので官公吏の紛爭状態を、政府の機関である人事委員会、或いは人事院が裁くというような、そんな馬鹿な話はどこにあるかという御意見を発表されておるのであります。又政府の職員が、不平と不満となくして、責任を持つて公務を遂行するというような規定を作ることが、民主國家の基本的な態度ではないか。少くとも國家の機関として使われる公務員が、不平と不満と、その待遇面において悶々の情を持つて、そうして政府の処置に対して遺憾の意を表明ておるというような状態で果して國政の妥当な運用ができるかどうかというような点を発言されておるのであります。更にシーボルト議長の話は、これは勧告と言わんよりは示唆であるということを仰せになつたが、これでシーボルトとしては安心した、これで、日本の國会が自主的に立法するということを裏付けせられた。この発言に対しては感謝の意を表する者であるということを、シーボルト議長が仰せになつておるのであります。
 以上のような関係を見ましても、私一はこの國会におかれまして、勤労階級の権利を尊重することが、我が國の再建の基本である、少くとも我が國は労働階級、勤労階級の生活の保障をして、初めて我が國の産業の興隆があるというようなことが、單に口先だけの表看板でさようなことを言われるのでは、非常に迷惑千万である。飽くまでも勤労者の基本的な人権を尊重し、勤労者の基本的な待遇改善を十分にするという信念を持たれる賢明な委員諸君におかれましては、当然かような法案に御賛成下さるというようなことは、私には了解はできませんが、恐らく委員の各位は、この法案については、直ちに政府返上の一点において意見を取纏め下さるように、切に私は希望したいと思うのであります。
 次は個々の條文に至りまして、簡単に私の意見を述べさして頂きたいと思いまするが、これは先刻來の口述人のお話によりまして、殆んど明瞭になつておりまするが、先ず立法の原則から申しまして、この國会においてすべての権利義務に関するところの問題は可決、決定せられるのが至当であります。特別に技術的な問題、特別に手続上の問題、特別に些細な問題に関しましては、法律にその立法を委任をせしめそうしてその機関がこの政令、或いはその他のものを出すということが憲法の原則であります。例えば憲法第四十一條を御覧になりますと、我が國の國権の最高機関は國会であります。そうして國会が唯一の立法機関であることを、憲法は明言しておりまするので、如何なる法律の内容でありましても、この法律自身の中に、他の機関へ重大なる権利義務を付與する、これを制限するというような法律を委任することは、極めて危險でありまするので、どこまでも憲法第四十一條の規定に従いまして、この公務員の身分に関する問題、苦情処理に関する問題、或いは紛争状態に関する問題、或いは退職の問題、或いは服務に関するようなものは、明確に規定をして頂くということが第一点。ところがこの人事委員会のこの原案を見ますと、人事委員が勝手に人事院規則を作つたり、勝手に人事院の指令を発するというようなことが、第一條の冒頭に謳われております。こういうような廣汎な委任を人事委員に委せるような、こういう立法措置をするということは、明らかにこれは憲法の本質的なものの矛盾でありまするので、こういう点をまず委員の皆様が、十分お認め下さるようにお願いしたいと思う。
 第二点は、この人事院の権限でありますが、五名の人事官が、現在各省におきまして二百七十万諸君の試験から採用から、或いは昇給から、或いは退職から紛爭状態から、全部のものをやつても両手不足であります。ところが三名の委員を中心とするそういう人事委員会において、二百六十万、更にこの法の精神から見るならば、公團関係或いは進駐軍労組というようなものまで含んでおるやに言われておりまするが、そういう厖大な人間の一切の待遇改善の措置が、果して理論通りにできるかというならば、断じてできないのであります。現在の逓信省におきましても、運輸省におきましても、非常にこの問題はただ本省の問題だけでなくして、鉄道局も逓信局も或いはあらゆる他の末端の機関におかれましても、非常に頭痛の種であります。そういうようなものが人事委員会がどういう構成か知りませんがこの法律が予定しておるような限度においては、断じて不可能であります、できません。そういうものをこの法律でできるように書いておるところに先ず矛盾があること、従つて人事委員の権限は少くともこういう大幅な権限を持つことなくして、従來の基準を決め、各省において断行せしめるということが、最も事実に即應して正しいと思うのであります。
 次は給與の点でありますが、第四節の給與の点を見ますると、給與に関する限りにおきましては、これは労働條件と密接不離の関係にありますので、この給與に関する問題が、國家公務員は全体の奉仕者であるというような文句で、ここにトリツクがあるのであります。この法律技術におけるトリツクがある。これを作つた法制局の責任者は追求さるべきであると思う。即ち給與に関する限りは勤労者としての勤労條件の基本的な問題である。これが七十三條の官吏に関する事務の管掌というような漠然とした内容において、勤労者の基本的な権利を侵奪する、ここに法律のトリツクがあるわけであります。でありますから、私はこういうまやかしものの法律は絶対反対である。飽くまでも勤労者の給與に関する問題は、勤労者としての人権の問題に入れなければならない問題でありますので、この支給、支拂の方法に関しては、これはよろしい。併し給與そのものに関する問題を論ずるがごときことは、明らかに國家公務員という範疇から考えても、越権行爲である。こういう立法を、措置をこの法律に入れて置くということは、明らかに矛盾をしております。
 次は服務に関する問題でありますが、例えば現在におきましても、官吏服務規律という明治二十年來の法律が現在なお現存しております。従つて服務に関する問題で特に九十八條が先程から問題になつておりますが、これは明らかに公務員としての事務に関する問題を超えまして、労働運動彈圧の明確なる牙城を示しておる。なぜかならば、あの第九十八條を皆さんが通覧して分るように公務員としての事務を管掌する範囲を逸脱しておるのであります。あの規定は、特に罰則に当りましては、体刑を科するがごときことは以ての外である。なぜかならば、少くとも公務員に関する不都合な問題があつた場合、それは懲戒、始末書なり、警告というようなことで今日までも来ておるのである。ところが國家公務員の範疇を超えたと言つて、直ちに体刑を以て科するというようなことは、明らかに労働運動に対する断崖を示したものであります。でありますから、國家公務員としての職責不十分である、権利を濫用しておる、逸脱をしておるというような場合においては、懲戒の規定或いは免官の規定を以て十分で、それを罰則を附して体刑を科ずるということは、明らかに國家公務員という範疇の枠を超えて、労働運動を断圧する十分な内容を持つておることを証明するものであります。従つてこういうように個々の條文を見ましても、その法規の仕組みを見ましても、明らかにこの国家公務員法によつて、日本の勤労者の、憲法第一條から規定しておりまするところの基本的な人権或いは罷業権、團体交渉権、團結権というようなものを阻害しておることは明瞭でありまするので、本原案は直ちに撤回して然るべきであるという、こういう法律的な根拠を持つておる次第でございます。
 なお私は皆様にお話し申上げて置きたいことは、例えば憲法学者、公法学者が今までいろいろお話になりましたが、私をして言わしめるならば、臆病である、法律の解釈について自信を持つていない。というのは、この労働法規に関する問題と現在の國家行政に関する公法の問題というものをごつちやにしておる。彼らの解釈は、私の見るところでは、この資本主義経済に対する勤労者階級の不平不満というもの及びその者の権利伸張に関する労働立法というものは、現在の公法関係の解釈を以てしては解釈のできない分野を持つておるのであります。ところが彼らの解釈によりますと、この労働立法に関する法規をも從來の資本的な公法の関係で制約をしよう、抑えようというような考えを持つておりまするから、本日までの公述人の話を聞きましても、我々労働運動を担当するものとしては、全く法律根拠の理論がなつていない、こういう論拠に皆さんが惑わされないように、十分にお考を願いたい。その意味は、北澤先生がおつしやつたと思いますが、こんな女に誰がしたというお言葉がありましたが、現在の労働運動に現在のような戰術を展開するようにせしめた張本人は、今までの歴代の内閣であつた、歴代の反動的な支配階級の諸君であつたということを、委員の諸君は明確に御承知であろうと思う。特にストライキを行い或はサボタージユをやるという権利を國家が容認し、これを法規通りに認めておれば、ああいうような戦法や戦術が生れて來るものでは断じてありません。飽くまでも國家は正当なる立場において、労働者の争議行爲を保護しなければならない。ところが今までの政府は、從來の天皇制の観念と、種々の因襲と悪法に囚われまして、争議行爲は何か悪い行爲をする、何か企みをする、何か國家に害悪を與えるというような観念でこれを抑えることに終始しておつた。そうして自分の権力形体擁護のために万全を盡しておつたというところに、根本の誤りを持つておるのである。労働階級が團結し、自分の待遇改善擁護のためにする罷業権を持つことは、最も正しい理念であり、國家はこれを擁護する態勢を取らなければ、如何に法律を作りましても、どんな理窟をつけましても、それは砂上の樓閣であるということを申上げておきたいと思うのである。
 以上の観点で、私はかような法案が、少くとも責任ある政府において國会へ上程せられたということは、政府自身に重大なる責任を追求する必要がある、かような政府は少くとも反人民的で、反労働者的で、反祖國的で、而も日本の再建を妨げる立法であるということを、明確に申上げたい。以上。
#44
○委員長(中井光次君) 次は鹿児島から御出席下さいました鹿児島縣岩川町長吉瀬寛君にお願いします。
#45
○公述人(吉瀬寛君) 只今御指名を頂きました吉瀬でございます。國民各層の代表者であられます諸賢の前で卑見を述べる機会を得ましたことを感謝するわけでございます。
 私は今回上程になつております国家公務員法一部改正法案に対しまして、若干の点につきまして危惧の念を抱く者でありまするが、根本通念といたしましてこれに賛成いたす者でございます。元來本法は長い間の日本の官僚制度を打破し、民主主義下における全体への奉仕者としての公務員の在り方を規定いたしたものでありまするが、今回政府が一部改正を企図いたしておりまする趣旨は、申すまでもなく七月二十二日付のマ書翰の指示によるものでございます。すでに同書翰に対する具体的措置といたしまして、ポ第二百一号政令が公布されたのでありまするが、これと今回の改正とは緊密なる関連があることを念頭に置きつつ、若干の点につきまして卑見を申述べて見たいと思うのでおります。
 第一に最も問題になつておりまするところの罷業権の禁止でございまするが、職員組合等、或いはその他の一部におかれましては、新憲法に保障せられるところの勤労者の基本的人権に対して、脅威を與えるものであるというような御見解があるように承知いたしておるのであります。更に又これに加えまして今般の米国大統領選挙がトルーマンの再選となりましたところ、同氏の主張せられていると傳えられておりますタフト・ハートレー法の廃止というような問題に因みまして、種々反対意見があるようにも承知いたしておるのでありまするが、少くとも憲法十五條の定めるところに従いまして公務員が「全体の奉仕着であつて、」更に「公務員を選定し罷免することは國民の権利」である以上は、公共の福祉に反し、全体の秩序を破壊或いは混乱に導きますことは、憲法第七十三條にいうところの「法律の定みる基準に従い官吏に関する事務」を内閣が処理する。この趣旨に副いまして公務員は一般勤労者とは別個の立場において考えなければならないと思うのであります。更にタフト・ハートレー法におきましては、その第三百五條におきまして明瞭に公務員の罷業権を禁止いたしております。若しこれに反したものは解雇後三ケ年間は再び採用されない旨を規定いたしておるのであります。今回の大統領選挙に際しまして民主党の掲げました八政策の一として、これを廃止せんとする意向が発表されたのでありまするが、かかる世界情勢の中にあつてひとり我が國の公務員制度のみが未だに罷業権禁止を墨守することは、世界の情勢に逆行するものではないかという向もあるようでございまするが、併しながらよく考えてみまするならば同法が昨年七月米國の國会に提案されましたときにおいてトールマン大統領はこれに拒否を與えておりまするが、併し議場においては、多数を以て可決されておるのであります。このことは同法が決していわゆる一時的な反動的立法であつたというようなものでなく、米國における戰後経済の復興の問題、その他各種の國内情勢の要請に対してとられましたもので、実際世論が支持しておつたと見るべきではないかと考えるのであります。アメリカにおける官公職組合員が一般勤労者と区別されております一つの特色は、各種労働問題が争議に至る以前において、殆んど官省と組合との協議によつて解決されているという事実であります。この点我が國における、この種組合の運動の現状からいたしまして、タフトハートレー法の廃止を契機といたしまして、直ちにとつて以てこれを我が國にも移すということは、妥当を欠く措置ではないかと考えるのであります。況んや戰後各方面におきまして眞劍に復興、再建に邁進いたしております今日國民の負荷に應えて、日本再建の中枢となるべき責務を有することを考えますならば、今日、日本が復興の過渡的段階にあります点を考えてみまするならば、本改正法案の如き罷業権は過渡的にも禁止さるべきではないかと存ずるのであります。併しながらこれを以て政府並に國会においてこの爭議権を禁止する裏附になるところの十分なる基本的な保障、これを勤労者に與うる責任を、聊かも軽減させるものではないのであります。これはマ書簡の中にも明らかに示してあるところでございまして、これに対する十分なる待遇については、政府或いは國会におかれましても十二分なる努力を拂うところの責任を負うべきだと考えるのであります。
 次に国体交渉権の制限或いは禁止の問題でありまするが、本改正法案のいわゆる拘束的な性質を帯びた交渉権は認めない。併し代表者によつて組合を通じて勤務條件、及び厚生的な活動の適法な目的のために当局と交渉することができるというような、極めて制限された範囲内での交渉でありまするが、本條項は憲法二十八條の規定するところの勤労者の團結権乃至團体交渉権或いは團体行動権というような、この趣旨に副い得ないのではないかと考えられるのであります。勿論公務員の本質に鑑みまして、特に憲法におきましても七十三條等におきましては、一般労働者の場合と異なる特例を認めているのであります。米國におきましても官吏の雇主は全國民であり、彼らの意向は議会の立法に表現されているという建前からいたしまして、議会等の團体交渉は極めて協調的な分野に限られているのであります。併しながら公務員がその生活を保障するところの最後の手段としての交渉権をば不当に制限いたしまするならば、奉仕者としての義務責任の面をのみ強調しすぎる結果、一方的に勤労者の権利を抑圧する結果になり、やがて生活の保障すらなし得ないという虞れを持つものであります。又他の一面におきましては上級官吏の勢力はますます強固なものになるであろうことは当然予想し得られるところであり、勢いいわゆる官廳の民主化は逆行する慮れも亦生ずるのであります。從いましてこの点につきしましてはいわゆる不当なる制限を加えない範囲内での交渉、これは当然認めるのが妥当だと存ずるのであります。次に先程からこれ亦いろいろ問題になつておりまするが、人事院の権限の拡充、独立化でありますが、今後公務員のあらゆる労働問題が基準法の一部を除いて、労働三立法の適用を原則的に外すように相成りますれば、すべての任用、昇進、その他一切のいわゆるいざこざに至りますまで、人事院の手において握るわけでございます。この点政党関係などのいわゆる悪影響などを排除いたしまするためには或いは本法案は必要なる措置と言わねばなりませんが、併し半面におきまして公務員に関するオールマイテイを人事院が握る結果といたしまして、法律の技術的な問題は別といたしまして、先程から言われておりますがごとくに、いわゆる第四官僚の誕生を防ぎ、且つは本法制定の趣旨であるところの封建的な官僚思想の温存を断つために、法に規定してありますところの國会の承認を得て内閣総理大臣が人事宮を任命する、或いは又内閣総理大臣が弾劾によつて人事官の罷免権を持つというようなこの趣旨につきまして、内閣或いは國会におかれましては十二分に御趣旨を理解され、且つこれを活用せねばならんと思うのであります。特に準司法権的な相当廣範囲に亘りまする罰則をも最後に加えております点は更に検討の余地があるのではないかと思います。以上極めて簡單に要点につきまして意見を申述べたわけでありまするが、その他組合員のいわゆるクローズド・シヨップ制の廃止であるとか或いは一般職の範囲を拡充いたしまして、各省の事務次官或いは又単純労務者をもこの中に加えているというような点につきましては、若干意見を申述べたいのでありますが、時間の関係で省略いたしまして、最後に以上を通観いたしまするに今回の改正案につきましては組織勤労者の方々或いは又その他の方面から正しく改悪であつて、先進國米國がすでにタフト・ハートレー法からワグナー法へ復帰するだろうというような時勢の下に、非時代的ある時代逆行的であるというような反対意見もあることと思います。併しながら私の考えますには、冒頭に述べました通り、現在の我が國の置かれております位置が如何なる情勢の下にあるか、一日も速かに再建体制を整えねばならん、この國内的の要請、更に政治的、社的に國際的一大不安と混乱の渦中に投ぜられんとしておる、この実情などを深く反省いたしますときに私共お互いにこの種の措置は必要であることを考えるのであります。
 彼のタフト・ハートレー法に反対をし、且つこれを廃止するような意向があるかに伺つておりますところのトルーマン大統領が、今次の第二次世界大戦に際しまして、國内労働体制を一新して、戰爭の勝利のためにAFL及びCIOの首脳者と会見いたしまして、戦時中はいわゆるノー・ストライクアグリーメントを結んだということは私共に大きな或る種の示唆を與えるのではないかと考えるのであります。更に又附加えまするならば、七月二十二日附のマ書簡の一節でありますところの、「公務員法の目的は日本に民主的で能率の高い公務員制度を確立するにあるが、現在の形のままでは政府に対する少数グループの圧迫に対しては保障することができない」云々、以上のような引用をいたしましたこの言葉の内包する精神こそ、國家公務員法改正法案に対するところの指針となるべきではないかということを信じて、私の公述を終りたいと思うのであります。御静聽を煩わしましたことを厚く感謝いたします。
#46
○委員長(中井光次君) 次には國鉄労組中央執行委員、小林君に願います。
#47
○公述人(小林一君) 國鉄労働組合執行委員の小林でございます。本日國家公務員法の審議に参考といたしまして公述をさして頂くことを光栄に存ずる次第であります。いろいろと公述人の方々から諸般の関係をお述べあられたと思いますけれども、私は別個に而も労働組合の立場から本問題について、十分に発言をいたしたいと考える次第でございます。
 まずいろいろと今度の公務員法に賛成せられる方の基本的な考えといたしましては、公務員が労働者ではないという前提に立つておると思うのでございます。併しながらこの考え方については重大なる誤謬を含んでおるということを申上げたいわけでございます。即ち我々國家公務員と雖も、強制的に任命せられたものではございませんので、やはり我々の意思の承諾に基いて雇傭されておるような始末でございます。又我々は必要に應じ雇傭の権利をみずから放棄することができるという立場に立つておりまして、制限は受けておりますけれども、やはり雇傭の原則に立つておるということは絶対に否認できない筈でございます。この点をまずお考えになつて頂きたいと思うわけでございます。
 又次に我々國家公務員の業務が、特殊な範囲に限定されておる行政面、監督面その他の廣汎ないわゆる統治権の作用にあるということを以て、我々の行動権を否認しようという考え方の方があるわけでありますが、現在の公務員というものは極めて廣範囲に亘つておりまして、例を挙げれば都廰その他の便所の汲取人というような者までも、場合によつては、公務員の範疇に入るわけでございまして、かくのごとき廣汎な人達を單に公務員という名前によつて縛り、我々單に技術的に事務を行つておる者に対しましても、國家公務員の名において基本的権利を剥奪しようとうような考え方は断じて許されないわけでございまして、この考え方を單に名称によつて規定するという考え方になれば、再び東條首相が戰時においてとつたところの國家総動員若しくは一億一心の体制によつて、事実上我々の諸権利を剥奪するという結果になることを私は予言したいわけであります。こういう点からこの考え方については我々は納得することができないわけでございます。
 最後に我々の給與の面からいたしましても、先般の物價改訂三千七百九十一円ベースの問題にいたしましても、当時我々が二千九百二十円の低賃金に喘いでおりまして、これを政府は何と言つたか。即ち民間の給與はすでに三千八百円、四千円という高額になつておる、そのために物價改訂をやらざるを得ないのであるということを申しておつたのであります。そのときに我々は二千九百二十用の低賃金に喘いでおつたという現実でございます。又現在におきましても、民間におきましては六千円若しくは七千円、もつと高いところも聞いておりますけれども、そのような賃金に上つておるにも拘わらず、我々は未だ三千七百九十一円をびた一文も出ておらないという現実を、十分に皆様方は御認識願いたいと思うわけでございます。こういう観点に立つて我々は飽くまで公務員の生活の保障というものは、憲法に規定されておるところの團体行動権の保障によつてのみ確立されるということを私は指摘したいわけでございます。このことにつきましては、いろいろ先程の公述人の方々も理論的な展開をされておるようでございまするが、私はこの点についてアメリカにおけるところの実例を申上げて、率直にお訴え申上げたいと思うわけでございます。
 アメリカの前大統領であるところのルーズヴェルト氏は、今回マ書簡によつていろいろと引用された字句と別に次のようなことを申述べております。即ち「政府被傭者が十分な給與を欲し、適切な労働関係、安全に副うような労働條件を欲し、昇進の機会の開けること、或いは苦情の公正な処理、その他のために正当で認められる目的を以て民間企業と同様な立場においてみずからを組織し、又この意見を行うということは当然認められなければならない」ということが言われております。又アメリカにおきましても團体交渉を、單に立法府に対しまして世論を通じて反映させるという考え方が極めて不完全であり、実質に副わないという立場から、この考え方に対しては、相当の異論があるわけでございます。事実、一九四三年乃至四年におきましては、アメリカの都市の市長と被傭者の関係におきましても、殆んどの大部分が労働契約を結んでおる、そうして責任あるところの行政官と被傭者が團体交渉を行なつて、労働條件の結論を得ておるという現実がこれを示ておるわけでございます。こういう観点から今回の公務員法の問題を檢討せられなければならないということを申上げたいと思います。
 次に最も重要なことは、先程土橋委員長から言われた通り、我々の基本的権利を保障するところの労働三立法は、單に從來言われておるところの立法でなくて、憲法の附随法規でございます。これは憲法で如実に示してあるという程度の附随立法でございまして、決して一般的な立法ではございませんの從つてこれを單に國家公務員法というような特殊立法によつて否定するという考え方は、絶対に排除されなければならないわけでございまして、憲法二十八條におきまして、我々の團結権、團体交渉権、罷業権の権利が認められるという事実は、個人的な契約を超越するところの優越性を持つておるということを示しておるのでございまして、これを單なる雇傭契約の條文によつて、例えば今回の國家公務員法というような個人的な契約によつて、この基本的な権利を抹殺するということは本末を顛倒したところの考え方でありまして、我々は絶対に納得できないわけでございます。
 次に申上げたいことは、個々の條文に亘つて、若干の指摘をいたしまして、皆様方の御参考に供して頂きたいと思うわけでございます。
 先ず只今申上げたような観点から政府職員の組織というものは当然労働組合法の立場に立つたところの組織でなければいけない、即ち個人契約に優るところの團体行動権の保障の下に確立されたところの法規によつて、縛られなければならないということを申上げたいと思うわけでございます。それから一般職、並びに特別職の範囲につきましても先程のような論点から一般職につきましても、当然團体交渉権並びに團体契約権は、これを保障されなければならない。尚現業その他の從事員に対しましては、当然雇傭関係その他は一般職業と何ら変りないという前提に立ちまして、当然一般職の規定から除外さるべきであるということを申上げたいわけでございます。
 次に人事委員会の構成でございますが、これもパトリツク・シヨー氏の証言にあるごとく、飽くまでも政府の機関でございまして、何ら我々の意見を公平に反映し得る機関とは認められないわけでございます。從つてこの人事委員会に対しましては、組合側の意向を斟酌するところの十分な諮問委員会その他が設けられなければならない。又人事委員の彈劾というものが、單に内閣の発議によつて最高裁判所によつて断ぜられるということになつておりますが、これは当然人事委員会が國会に基礎を置くという建前に立つならば、國会議員の諸氏が必要に應じ、この彈劾を最高裁判所に提起して頂くところの権利が保障されなければならないということを申上げたいと思うわけでございます。
 次に給與の基準についてでございますが、これも極めて抽象的に、國会は必要に應じて順應するところの給與の基準を定めなければならないとか、人事委員会が單に勧告の義務を負わなければならないということを規定しておるのでありますが、このようなことでなくて、少くとも公務員の給與が科学的な調査に基いたところの國民水準を下つてはならないということをはつきりと銘記した條文がつくられなければならないと思うわけでございます。
 次に組合活動についてでございますが、これは先程も申上げた通り、我々の組合活動というものは、單なる個人契約の誓約を超越したところの廣範なものでなければならないという立場から、組合運動に対する九十八條の各種の制限は当然全部撤廃せらるべきであるということを我々は主張いたすのでございます。尚百二條の政治活動にいたしましても今日の腐敗墮落しておるところの政治活動の根源は、むしろ一般公務員に属するところの廣汎な勤労大衆を含む、勤労大衆を骨子とするとろの公務員ではなくて、上級の幹部、上級の官僚でございます。これに対しまして徹底的な手段を行われることなく、むしろ私は國家公務員法は上級幹部に適用すべき法律であるということを考えておるわけでございますが、これを我々の権利の剥奪のために利用しておるという建前から、当然我我は高級官僚の政治的な配慮というものは排除されなければならないけれども、一般公務員の政治的な活動、時に地方團体におけるところの政治的活動等は十分に保障されなければならないということを申上げたいと思うわけでございます。尚地方公務員、教育公務員、或いは裁判所の職員等は当然この國家公務員法の適用から除外せらるべきであるということが至当と存じます。尚百十條の罰則にいたしましても先程申上げました基本的な権利の建前から、当然体刑若しくは刑法の建前に立つたところの罰則は排除されなければならないということを申上げたいと思うわけでございます。
 最後に特に今回の法律が誤つておりまするのは、憲法第二十七條によりまして、勤労者の勤労條件、労働時間、その他諸般の条件が法律によつて最低基準といいますか、基準が法律によつて規定せられなければならないということを言つているにも拘わらず、今回三立法を全然廃除いたしまして、單に人事委員会規則に指令というようなものによつてこれを律するということは、形式的にも実質的にも、明らかに憲法の二十七條に違反していると、いう立場場は明確にされているわけでございます。こういう観点から、今回の國家公務員法の、少くとも政府の提出された案に対しましては、我々は全面的な反対を表明すると同時に、只今申上げましたような基本原則が、改正されるとするならば、織込まれなければならないということを申上げて私の公述を終りたいと考えます。御清聽ありがとうございました。
#48
○委員長(中井光次君) 次に東京商科大学教授の田上穰治君にお願いいたします。
#49
○公述人(田上穰治君) 私は只今御紹介がございましたが、東京商科大学におきまして憲法学を担当しております田上穰治と申します。簡單に意見を申上げして御清聽を煩したいと考えます。先程からいろいろな方から発言されましたように、問題は人事院の構成、或いはそれの権限と、それからもう一つは公務員の勤務者としての團結権、並びに團体交渉の権利がこの新しい法律案によりまして極度に制限を受けている、この二点にあることは申すまでもないと思うのであります。
 先ず第一点でありますが、この人事院につきましてこれも先程からいろいろ御指摘がありますが、人事院の権能につきまして、第一に人事院規則、或いは指令を発して、これによつてこの法律の重大な運用を決定することになつているのでありますが、この点が私ども法律学を專攻しております立場から考えまして、かなりの疑を持つているのであります。と申しますのは、この人事院の規則、或いは指令はこのいろいろな條文を御覽になりますと、法律又は人事院規則というような言葉になつておりまして、法律と大体は同じようにかなり廣い範圍でもつて内容が規定されることになつているのであります。言い換えますと、学問的にはこういうのは法律の委任によるものではなく、或いは法律を執行するためのものでもなくつて、理論的には法律とは独立な規則、或いは指令というふうに解釈されるのであります。ところが憲法の七十三條を御覽になりますと、内閣が作る政令ですら尚それは憲法或いは法律を実施するために、つまり執行するために必要な限度において発せられるのでありまして、或いはその外に法律の委任によつて政令を発することができる。けれども執行命令でもなく、委任命令でもなくつて独立な、或る程度、或る範圍におきまして、自由に命令で決めるということは、内閣の政令においても実は理論上不可能なのでございまして、況んや人事院の規則、或いは指令におきまして、こういうふうな廣い範圍でもつて、つまり法律では殆んど内容がはつきりと分らないのでありますが、そういうふうな廣い範圍で人事院の規則が具体的な規定を設けるということは、憲法上疑義があると思うのであります。
 一例を申しますと、改正案の百二條のあたりで公務員が政治的行動をしてはならない。その内容は人事院規則で定めると書いてあるのでありまして、選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める、政治的行動をしてはならない。選挙権の行使だけは直接改正法案におきましても保障されておるのでありますが、その他の政治的行爲につきましては、人事院規則によつて自由に制限することができるようになつておりまして、而も違反に対しては罰則の規定があるのでありまするから、こういうふうな点、この他にも先程からいろいろな方が御指摘になりましたように、人事院規則で定める範圍というのは可なり廣い。そうして我々が考えまして、この國家公務員法から直接には明らかにできない。そのくらい廣い範圍の事項に亘つて自由に規定ができるようにかつておるのでありまして、これは憲法で政令について規定しておることと比較いたしまして、権衡を失するのではないか。從いまして私の意見といたしましては、人事院規則で規定すべき内容をもつと具体的に法律で規定すべきではないかと考えるのであります。
 第二に、これも先程田中教授が指摘されたのでありますが、公務員に対する不利益な処分の審査につきまして、人事院が最終的な決定をすることができるのでありまして、これに対しては最終のものであつて、裁判所に出訴することができないように、改正法案の九十二條に示されておるのでありますが、これは勿論解釈によりまして、或いは前の方の條文にもございますから、裁判所に訴えることができる、そういうふうなことも言えるかと存ずるのでありますけれども、とにかくこの九十二條の草案を見ますという、恰も私的独占禁止法にありまする公正取引委員会の審決に対する裁判所の裁判などと比較できるのでありまして、これらの法律を見ますというと、大体行政機関の裁判、つまり公正取引委員会でありますとか、或いは今度の人事院の一種の裁判でありますが、それが事実問題につきましては、最終の決定であつて、後は單純な法律の適用につきまして裁判所の審査或いは裁判を受けるというふうにとれるかと思うのであります。こういう行き方は、勿論外國にも例がないではないと思いますけれども、併しながら新憲法の解釈といたしましては、常に裁判所が最終の決定をすべきであります。行政機関の裁判によつて問題が最終的に決定されるということは、どう考えてもおかしい。むしろ旧憲法のように單純な行政機関の裁判に対しまして、更に行政裁判所の制度を認める、行政訴訟を認める方が遥かに徹底しておるのであります。こういう点は、九十二條の末項でありますが、最後の條文規定の如きは、当然に出訴できる。裁判所の裁判を受ける権利、これは保障されなければならないというふうに考えるのであります。
 それから次に総括的に考えまして、人事院というものが、非常に政府の行政組織の中で強い地位を持つておる、権力を持つておるということが、今日の行政組織の民主化の傾向に全く逆行するように考えるのでありまして、これはもともと、先程も御指摘がありましたと思いますが、公務員法の問題は國家公務員の地位を、政党政治の行き過ぎに対して保障するもので、アメリカの実例がありまするように、内閣が変る毎に、上から下まで全部公務員の、重要なポストといいますか、或いは下の方まで全部人が変る、そういうことでは官吏が安んじてその職務に從事して責任を果すことができない。そういうふうなことが技術的に、いわゆる政党政治から独立した機構において人事を決定するというような動機であると考えるのでありますが、そういう意味におきまして、今日我々の考えておりまする國家公務員法の改正、それが果してそういう趣旨に合致しておるかどうかという点で、我々は疑いを持つのであります。つまり人事院の構成の結果におきまして、政党政治の行き過ぎを直すといいますか、そういうふうなのではなくて、むしろ少数の、具体的には三人の人事官によつて構成されまする人事院というものが、それが非常に絶対な権限を持つということは、これは却つて官僚の制度の悪い面を強調することになるというふうに思われるのでありまして、これに対する方策といたしましては、これもすでに先程から御指摘にあつたような人事院の組織について、例えば給與審議会というような委員会制度、諮問機関のようなものをもう少し殖やしまして、その限度では勤労者の利益を代表する者が中に入つて、給與その他の問題を審議するということが望ましいのではないかと、こう考えるのであります。
 以上は、人事院につきましての二三の感想でありますが、次に今度は、勤労者の團結権、團結交渉の権利の点でありまして、これも格別新らしい意見ではないのでありまするが、憲法の二十八條の基本的な人権でありますが、これに対しては、私はやはりもう一つ、公務員につきましては憲法の十五條の、公務員は全体の奉仕者であつて一部の奉仕者ではないという意味におきまして、勤労者ではあるけれども、併し單純な勤労者ではない、從つて公務員たる勤労者につきましては、一般勤労者に対する特別な規定を設けることは、憲法には違反しないと考えるのであります。併しながらそれは決して二十八條の團結権或いは團体交渉の権利を全く棚上げにいたしまして、專ら十五條の公務員は全体の奉仕者、公僕であるという面だけを強調するという意味ではないのでありまして、これは両方の規定を我々は睨み合せまして、そうして中間において妥当な結論を見出さなければならないと思うのであります。更に言い換えますると、公務員に取りまして問題になつておりますのは、その勤労條件を決定する方式が、新らしい法律案におきましては、專ら人事院の手を経て、決定さるべきである、人事院から給與のごときは國会に出し法律を作るべきであつて、團体交渉、團体協約を締結する方法によるべきではないと申すのであります。これは申すまでもなく、労働基準法などに示されておりまする労働協約、勤労條件は労働協約によるのが原則である。使用者と勤労者が対等の地位にあつて決定するのが原則であるということに対する非常な例外でありますが、少くとも基準法で申しますると、第一條にある勤労條件は最低限度の勤労者が人たるに値する生活の、その需要を満たすための最小限度、これが最低基準として維持されなければならない。このつまり労働条件の内容でありまするが、これについてはもとより国家公務員法反対の規定を設けておるとは思えない。從つて手続におきまして仮に公務員法の規定に從うといたしましても、少くとも勤労條件の内容につきましては、十分に給與その他の問題につきまして、政府に公務員の地位を保障し、生活を保障しなければならないと思うのであります。この点では先程のやはり人事院の構成、或いはこれに対する更に諮問機関のようなものの必要が痛感されるのでありまするが、特に問題は憲法の上十八條とそうして十五條でありますが、併し同時にこれらの規定は他の基本的人権にも関係を持つておるのでありまして、二十八條の規定だけではない。例えば二十五條の最低限度の生活を保障される権利が國民にある、或いは二十七條の勤労條件に関する基準法の規定、これもやはり公務員について当然に考慮されなければならないのでありまして、その一箇條のみが完全に適用されるとは言い切れないのでありまするが、併しながら反対に他の條文の関係を全く無視するという極端な議論は到底取ることができないと思うのであります。
 この点で尚蛇足でありまするが、二十八條の勤労者の團結権、国体交渉のます。併しながらこれは先程から申しまするように、もとより公共の福祉のために必要なる限度においては制限を免れない。これは警察職員などにつきましては、この新らしい法案の九十八條にもございまするが、すでに労働組合法で御承知のように團結権を禁止しておるのでありまして、これは無條件に二十八條の人権が保障されるとすれば、すでにこの組合法の第四條、あれは憲法違反となるわけであります。勿諭そういう解釈もあるかと存じまするが、私は憲法の人権の規定は十三條なり十四條なり十二條にございますが、公共の福祉のための制限は二十八條その他についても当然に考えられる。ただ併し公共の福祉ということは、狭くこれを必要の最小限度に考えなければならないのでありまして、若しこれを廣く考えますると、全体主義になつてしまうことは言うまでもないのであります。
 それから次に同じ問題でありまするが、先程から出ております罰則でありまして、国家公務員のいろいろな、例えば労働爭議その他につきまして罰則の規定が非常に強化されておる。私はこの点につきましては、罰則はやはり懲戒処分、從つて最大限度は免官、免職でありまして、罷免と申しまするか、これが原則であることが望ましいと思うのであります。もとより國家公務員の爭議などにつきましても、それが單に國家公務員なるが故の義務違反というだけではなくて、同時に公安を害すると申しますか、そういうふうな一般市民の立場におきましても、問題になるということが全然あり得ないとは思われないのであります。殊に今日非常な、國家は事業を経営しておる。國鉄におきましても全逓におきましても、これは國民の生活に対して非常な重大な意味を持つておるわけでありまするから、從つて單に公務員としての義務違反だけで解釈ができないこともあるかと思うのでありまするが、併しながら今日一般の、公務員でない勤労者につきましては殆んど取締法規がない。これはもとより終戰後の現代に即應することと思うものでありますが、それとの比較において考えまして、特に國家公務員だけを嚴重に罰するといいますか、罰則を規律するということは権衡を失すると考えるのでありまして、そういう意味におきまして私は原則はやはり罰則につきましては懲戒処分、言い換えますると、免職が最大限度であることが正しいのではないかと思うのでありまして、或いはそれを超えて一般の刑罰の規定を設けるといたしましても、少くとも体刑は一般の公務員ならざる勤労者に比較いたしまして過酷だと考えるのであります。
 最後に時間が参りましたが、内閣、或いは國会との関係におきまして、申すまでもなく國家公務員法は人事院に責任を轉嫁して、内閣がこういう公務員の労働條件その他につきまして責任を免れしめるという意味ではないと存ずるのであります。何か人事院を内閣から独立ならしめることによつて内閣は責任を免れる、そうして從來の労働爭議などのような問題につきましては專ら人事院に責任を負わせるというふうにとられてはいけない。その意味におきましても責任を明らかにして國民に対する、國会に対する責任者は内閣でありまするから、人事院が專ら責任を背負つて、而も実際には國会から追求されない。そういうふうなこともこれは責任政治を非常に危くするものでありますから、その意味におきましても人事院ではなくて内閣がやはり最終の責任、從つて又その意味において人事院は内閣に從うという原則が貫かるべきものと考えるのであります。甚だ纏りませんでしたけれども時間がございませんから、これを以て終ります。
#50
○委員長(中井光次君) 次は新経済社長宮内勇君にお願いいたします。
#51
○公述人(宮内勇君) 私は雑誌通信事業を主宰しております者で、経済的な立場と評論的な立場をごつちやにしたような立場でありますが、さような立場から私の感じました点を二、三申上げたいと存じます。
 先ず國家公務員法の今度の改正案、それを廻りまする論議を承つておりまして、一番率直に感じます問題は、この國家公務員法の問題というものを、余り労働法的な観点から扱い過ぎておるのではないかという感じがするのであります。皆さんの御議論も何か労働組合の御意見というようなものが非常に強い。併しながら素直に問題の本質を考えて見ますというと、私ははつきり言えば、民主國家における公務員というものの在り方の規定だと思うのであります。本質的な問題は変な言葉でありますけれども、民主國家における十分の在り方を規定した法律だと思うのであります。これは行政を担当するところの一つの体系、そういつたようなものは、或いは民主國家において本質的にどういうようにあらねばならないかということなのであります。その限りにおきまして私は單に労働組合からではなくて、今まで官僚に対する批判というものは随分國民から出ております。でありますからもつと官僚は一つ親切にやつて呉れ、役人は権力を使う人間だから、かくかくにあるべきだこういうような意見から申しますならば、この民主国家における國民全体からもつとこの問題について意見が出ていい筈だと思うのであります。ところがどうも議論というものの焦点はとかく勤労といいますか、労働者的な見地、公務員の労働者的地位の面からのみの議論が非常に強いということを、私はこの公務員法の審議に当つて非常に大きな欠陥じやないかと思うのであります。こういつたような印象を最初に私は受けております。
 でありますからこの國家公務員は私ははつきり申しますならば、一つの民主主義國家におきまして、上に内閣があり、それは政党政治で変る、それには國会というものがある。こういうことを考えて見まして、そういうようなところにおいて、公務員というものは中性であり、或いは行政の執行機関として公正である。その中性とか、公正とかいうことを維持するのはどういうふうにしたらよろしいかについて、極めて能率的で公平な行政体系というものはどういうふうにあるべきかという角度から、これを規定するということに関する限りにおきましては、私はこの公務員法の本來的な趣旨には賛成であります。
 そこで私はなぜ今日特に労働法的な見地から論ぜられ、又この問題が特に現在り時期に提起されたかという、この本法の本來の出た動機、或いは改正の動機を考えますとこれは確かにもつと別個のと申しますか、労働法的な見地から特に論じなければならないような性質の問題を含んでおると思うのであります。でありますからその問題を一つ、二つはつきり分けましてそれを考えて見たいと思います。私は一つこれは終戰後のこの日本の現状、或いは労働運動の情勢などを見まして、率直な印象でありますけれども、やはりこの行政機関の公務員が、労働組合を作るということは先も申しましたように、勤労者の面からいえば確かにそういう要請が出て來る。けれども例えば私は先程労働組合の方々の意見もいろいろ伺つておりましたが、公務員も労働者だという御議論は非常によく分りますが、その議論の外に公務員はここが違うのだという御議論が全然聞かれない。私はむしろ労働組合の方々が労働組合員の自覚でなくて、我々は何々省の官吏である、何々事務官である、こういう見地において俺はこういうふうに考えるというような公務員としての責任と自覚をもつと強調して貰うならば、我々國民としては非常に簡單に問題は分り易いのであります。ところが二重の面の一面だけが非常に強く強調されるということになりまして、非常にこの労働組合が何か万能的なような感じを國民全部に與えますから、私は無論そういつたような民主主義國家における公務員としての義務、責任、そういつたものについて一つ民主的なはつきりした態度が、むしろそう言つた角度から十分展開されるならば、この問題はむしろ勤労のための條件なんかは簡單になるのじやないかと思うのです。
 それで問題は服務、命令、そういつたようないわゆる公務員としての業務執行上の系列、これを訊すとという限りにおきまして、この條件を正確に保障することができますならば、私はむしろ労働三法の適用を相当拡充して、公務員の部分にも適用する方法の氣構であつて差支ないと思うのであります。全体の取上げがその辺の片一方の議論が非常に弱い、それですからどうしてもそこに調子がつかないというような印象を第一に受けるのであります。これは民間の会社においてもやはり言えるのでありまして、いわゆる経営権というものの序列及び系列というものはどういう形にあるべきか、それに対しまして労働組合というものの序列、権利というものはどういうふうにかみ分けたらよろしいかということについてやはり解決しておりません。それ上同様の問題がここにあるのでありまして、私は会社において、就業規則というようなものをやはり必要とするので、これは社員の一つの身分を保障すると同時に、その在り方、服務の一般原則というものはやはり作らなければならんと思うのであります。それと同様の意味において公務員法というものが、さような見地から民主主義的な公務員のあり方を規定し保障するものならば私は趣旨には賛成であります。その点が先ず前段であります。
 それにも拘わらずこの公務員と申しましてもこれは勤労者でありますから、労働運動の範囲はこれは現実において否定できない事実であります。それから又労働組合というものが組合の力によりまして、この終戰三年後の封建的な官僚制度を民主化するという上におきまして演じました役割というものは、過小評價はできないのであります。民主化の完遂において労働組合があるということは反対ではないのであります。逆にいえば労働組合が官僚主義を温存するものになつて、必要以上に服務命令の本來的な系統を乱す原因になることはやはり行き過ぎだと思うのであります。そういう意味におきまして木來のいわゆる自覚と、責任というものを確立するならば、よろしく労働組合法的な勤労的関係の諸條件を形成するものは、むしろ積極的に政府から與えなければならんというような考え方で、この根本的な公務員法の考え方を持つておるものが多くあるのであります。
 それで個々の問題につきましては私は三つ、四つ、この意味からあるのであります。根本的な問題はやはり私の考えるところによりますると、公務員という概念を一つもつと制限するべきであるということであります。今言いましたようにやはりパブリツク・サーヴアントという公務員というものの在り方であります。何もかも公務員というもので持つて行くということは危険であります。單純労務者なんかも排除しておる、とんでもない間違いだと思うのであります。これはやはり権力を行使する、権力の行使を職務とするもの、これは公務員でありまするから、例えば役所で便所の掃除をするお婆さんまでもやはり一般職に入つて來るという杜撰な規定はいかんと思います。極力公務員の範囲を狭めて行つて、そういう諸君には非常に強い責任と自覚を與えて行く、むしろ拡げるのじやなくて或る程度制限して行くということで公務員法の概念を狭めて行くというのが正しいと思うのであります。その点におきましては現行法の軍純労務を入れておるのを排除しておることは、政府が土木事業をやつて、その土木事業の日傭の労務者が政府の金を貰うので一般職なんですが、公務員になつて來ますと不当に拡張しておると思うのでありまして、民間でやり得ること、これは公務員から外したらいいと思うのであります。権力を何程か行使するものを限定して、公務員の見解の問題はここで一應はつきりして置く。特に人事院なんかでも規則で決められる産業におきまして、できるだけ狭めて行く、その範囲に関するものは相当強い権限と責任とを持つて整理して行くと、こういう考え方で行きたいと思います。
 第二に團体交渉権の問題で随分議論が出ました、私はこの爭議権の問題はすでに労調法で今日のホワイト・カラーの役人の爭議というものは止められておるのであります。特に新らしく問題になる必要もないと思うのでありますけれども、やはり爭議権というものは民間のロツクアウトの権利と対等でありまして、ロツクアウトの権利を持つていないから片つ方が爭議権の権利を持つという、こういう規定ができるということも一應考えられます。店を閉めたり、閉鎖をするというわけには行きませんから、爭議権は片方が持つて、片方が閉鎖権も何も持たないというような使用関係、雇用関係におきましては、私はそういう爭議権が相当條件付で制限されたり、或いは止められたということは、これは当然じやないかと思います。但し今言つたように勤労者としての、労働者としての公務員の地位の保障ということになりますと、それもできないと、爭議もできない、何で一体保障するかということの問題が当然起つて、この問題の解決が問題の全部だと思うのであります。私はその点ではやはり平和的の團体交渉というものは非常に積極的に求めて行く、特に團体的の規定というものを法的に規定しなければなりません、爭議によらざるところの團体交渉、團体協約というものをやはり確立いたしまして、それによつて可能な限り第一次的に保障するこれがこの点の考え方の方向なんでありますけれども、私の考えるところでは團体交渉をしてそれに法的規制力を持たすということで、逆に政府から申しますれば、逆に政府がそれを使えばいいのであります。自分が受身でいつもやられることばかり考えているから逃げよう、逃げようとしているが、私の考えから言えば逆によろしくそういつた法的規制力を持つて、そうして紳士的に決めたものを、お互いに法律的規制力を守ろうということであれば、堂々と政府は規制力を持つて團体協約をすべきであります。それを何か下から言つて來たのをただ聞き置く程度の非常に弱腰で消極的な態度はいけないのであつて、むしろ團体交渉を認める以上は、それに基く團体協約を認めるということが、同時に労働者の方から言いますればそれだけに、やはり規制力を持ちまするだけに安心感を持つというので、交渉に一歩でもそこへ近付くということになりますのでよろしくこの辺強く積極的に理解しし團体協約を法的な規制力を持つものにする、こういうふうにいたした方がいいじやないかと私は思うのであります。
 それから第三に氣付いておりますることは、政治活動の問題でありますが、公務員が政治活動をするということは、人事院規則によつて、その政治行爲の内容が決められておりますけれども、私は原則としてやはりこれは認めるべきだと思います。そしてそういつたような国民としての基本的な人権に属するような政治行爲の問題は、やはり人事院規則等にいい加減に置いておく、曖昧にしておくということはよろしくない。これは原則といたしまして私は役員になつたりなんかするのはどうかと思いますが、平メンバーの党員になるということは差支ないと思うのであります。この点につきましてその辺がどうも政治行爲の限界が曖昧に規定してありますので、これをむしろ積極的に認めて行くと、若しよろしくない政党であるならば本來的にやはり國家がその政党を禁止すればいいのでありまして、一應それがある以上原則として認めると、ただ公務の執行上実務的に支障を來すというのであれば、役員とか何とかは問題でありますが、一般公務員の平メンバーが政党に入るということまで規定するのは行過ぎじやないかと私は思います。
 それからもう一つは第四ですが、結局そうなりますと、勤労者の生活の最後の保障というのはどこかということになつて來ますが、この法律によりますとやはり人事院ということになりますが、私はやはり人事院だけでは不安があつて安心感を持ち得ないと思うのであります。やはり人事院というやつは使用者側の立場でありまするから、これでやるということではなくて、むしろ人事院との交渉がうまく行かないと解決しないというような場合には、やはりこの國会なら國会に相当強力な仲裁機関というか、決済機関というか、そういつたようなものを置いておいて、もともと國民が公務員というものを雇つておるのでありますから、雇主の一番大本である國民、それの代表であるところの國会、そういつた判断する仲裁機関を置いて、そういう所へ人事院との意見の疎隔が起つた場合の決済を求めるというような措置を講じておいた方が安全だと思います。
 それで結論的に申しますと、私はこの公務員が一体労働者かどうかということも相当研究の余地があると思います。使用者、被使用者の関係があれば全部労働者だということはない。今の労働組合法の労働者の規定は正しいかということは相当疑問があると思います。それでさつきも申しましたように、官公廰あたりの労働組合が一つの発言力を持つ場合に、それは官廳の内部において上司と下僚の関係で発言するという面でなく、やはり保守反動政府が上にできて、自分はその下で公務員として意見があるという場合には、それはやはりその内部でやるのでなくて、國会を通じてその政府を倒すという方向に行くべきであつて、労働組合は上司からの命令系統のやり方をとやかく批判して仕事をしないというのはいけないと思うのです。逆に若し民主主義的な大臣局長ができて來た場合、やはりフアツシヨ的な労働組合が下へできて、掘り返すということにもなるのでありましてその点においてこれは國会、或いは政治の上における公務員というものを、やはり一應政治に從属して行くという基本方針を確立して、それが保守反動であるかどうかという問題は、その内部で労働組合だけが論ずべき問題でなくて、やはり國民大多数に訴えて、國民選挙に訴えるというところに解決を持つて行くべきで、ここに労働組合万能、労働組合オンリーで政治的要求をするという点に問題があると思います。その点を規制する意味において國家公務員法というものができて來たとするならば、相当立法の趣旨としては十分首肯すべきものがあるのじやないか、かように考えております。以上であります。
#52
○委員長(中井光次君) 次は文部省学校教育局高等教育課の文部事務官、渡邊みえ君にお願いいたします。
#53
○公述人(渡辺みえ君) 私只今御紹介に與りました文部事務官の渡邊でございます。私は今日は婦人の方の立場から申上げたいと思いますが、その前に一言私も官廳労働組合の一組合員でございますので、一組合員の立場としての意見としましては、先般來全官労の委員長、或いは全逓の委員長、その他國鉄の組合の方、皆さん方からいろいろの御意見が出されました。それらの御意見に対しまして私は一組合員といたしまして全面的に同感でございますから、この点は一應省略いたしまして、主として女子の立場から一、二の点について申上げたいと思います。
 國家公務員法の趣旨は民主的な、且つ能率的な公務員制度を樹立することにあると、こういうふうにいわれております。ここで非常に大きな問題となるのが官廳の民主化の問題でございます。私共女子の立場といたしまして主としてこの官廳の民主化という問題を考えてみたいと思うのでございます。と申しますのは官廰の民主化ということはよく言われている言葉でございます。併しながら私達自身がその官廳の中におりまして、果して官廳の民主化が進んでいるかどうかという点については多くの疑問を持たなければならないような状態なのでございます。これは或いは最近いろいろの方面で問題になつておりますところの疑獄事件などにも一つの現れとして出ているわけでございますが、例えばこれら官廳の民主化の問題に絡みまして、労働組合は從來いろいろの点で働いて参りました。併しながらまだまだ日本の官廰は民主化されているとは言い得ないのです。これは官廳におきますところの女子職員の待遇、その他の立場を考えてみましても、はつきり申上げられると思うのです。私は官吏の一人といたしましてこういうことを申上げるのは非常に残念ではございますが、從來の官吏、即ち非常に特権的な、一種なんだか國民の奉仕者としての官吏ではなくて、國民よりも一段上に、高いところにある官吏、いわゆるお役人様、そういう感じはまだまだ官廳に勤めていらつしやいます皆さん方の中に非常に根強く残つております。これが組合といたしましては非常にこれらの点につきまして、自分達自身でこの問題はなんとかして打開して行きたいと思つて一生懸命に努力いたしております。併しながら私達が我々の周囲におりますところの皆さん方をみますときに、やはり私は役人なんだ、僕達は役人なんだ、なんだか偉いのだという氣持が非常に強く残つているんです。これは私の身近い例として申上げたわけでございますけれども、これをもつと一般的に考えますならば、現在國会は國の最高機関であるということになつております。ところが実体はどうでございましようか。やはりまだまだ旧來の官僚制度というものは非常に根強く根を張つているではありませんか。
 これらの点から考えましても、官廳の民主化、官僚制度の打破という点におきましての組合の占める役割ということは非常に大きいのでございます。そうしてこの官廳の民主化なり、官僚制度の打破なりという問題は、その官廰内部におきましての組合の力を通じて行う、これを進めて参りますと同時に、外部の國民一般の力とこの二つが協力しまして初めてこの問題が解決されて行く、こういうふうに言えるのではないかと思います。この点から考えましても現在官公廰労組を否認しようとしておるような傾向が、公務員法の今回の改正の中に出ておるわけでございますが、この点から申しましても、今回の改正案は非常に問題があると思います。と同時に公務員が労働者であるということ、並びに公務員が労働者としての基本的権利の問題、これらの問題につきましては先般來繰返しお話がございましたので、私も全く同感であるという点だけを申上げたいと思います。
 でこれは七月末に例の政令二百一号が制定せられまして以來、いろいろの職場にはつきりとした形で或いは潜在的に現れておる現象でございますが、それぞれ役所におきましては非常に人事担当官というものが多くの権力を実際的に握つております。例えばこれが各課なり各局なりというところを考えましても、課長なり主任なり、勿論中には非常に進歩的の方もございます。併しながら或る一面その中には組合の動きをむしろ自分達の利益、つまり個人的の意味での不利益になるというような見地から、組合の活動に対しても反感を持つていらつしやる方もありました。これらの方々が政令が出て以來というものは、これははつきり現れておる場合もありまするし、或いははつきりした形では現れていない場合もございますが、何だか自分達の行動を組合によつて看視されていたのが、それがなくなつたのだとでも申しますか、むしろ組合がなくなるとほつとするというような氣持さえ現れておるのでございます。これらの点につきましても、官廳労組というものの存在意義を十分お考え願いたいと存じます。
 それと同時に勿論官廳の民主化或いは能率の増進ということがいわれるのでございますが、この官廳事務の否能率だといわれる点は、これは從來ともに皆さんの指摘なすつているところで全く同感ではございますが、その能率化という問題の中には曾ての軍園主義時代、曾て從來日本において行われましたところの、非常に世界にも例がないほど高能率を発揮していた例の特高警察、そういう意味での警察能率というようなものも、能率の増進というものの中に必然的に含まれておるものであると、この点も一つ御記憶願いたいと思うのでございます。只今例えば人事担当官なんかの場合には非常に多くの権力を実際的に持つておるということを申上げましたが、これと関連いたしまして、例の人事委員会の権限の強化、この問題につきまして必然的に先程からも指摘せられておりますように、人事委員会を中心にしたところの新しい官僚勢力が或いは強固に根を張つて來るのではないかということが心配せられるのでございます。
 尚その他の官廳の民主化の問題と絡みまして、不良官吏に対する、不正な公務員に対する彈劾の制度、このようなものが先般の現行公務員法が制定せられました当時の國会におきまして政府原案になかつたものが新しく加えられた筈でございます。ところが今度の改正案におきましては、この彈劾制度というものも、離職というように非常に腰味なものによつて置き換えられようとしております。この彈劾制度につきましても、官廳の民主化というような問題と関連いたしまして非常な問題であり、政府がいつの間にか曖昧なものにすり替えようとしておるという点につきましてもお考え願いたいと思うのでございます。
 尚次に参りまして、今度の公務員法によりますと、我々官廳に勤めております職員の身分が不安定になつておるということを一、二例を申上げたいと存じます。これは改正案によりますと、労働法令は適用を除外されることになつております。そのために労働基準法といつたものまでも我々にはその儘の形では適用されないことになつております。ところが現在においてさえも、官廳においては必ずしも労働基準法というものは十分には実施せられていないのでございます。例えば一つの例を申上げますと、中央官廰においてさえも未だに女子の職員が深夜勤務をしておるというような例さえもあるのでございます。これは非常に極端な例ではございますが、その他私共の同僚であるところの例えば厚生省管轄の國立療養所にいたしましても、そこにいらつしやいます看護婦さん達は非常な労働強化によつてつぎつぎに倒れ或いは職場を放棄せられていらつしやる。つまりやめていらつしやるという事実を私共はよく認識させられることでございます。これは一つの例でございますが、かように労働基準法を適用せられている現在においてさえも、それは実施せられていないのであります。これが実施、適用を除外されるというような事態に至りました場合に、我々の労働條件がどのような状態に置かれるかということは、公務員の給與の問題との関係もございますし、非常に重大な問題になつて來ると思います。更に又例えば業務上の災害でございますが、この業務上罹りました病氣だとか、負傷でございますとか、こういつたものについての災害補償制度さえも公務員においては現在なんら備えられておりません。例えば基準法とか、こういつた災害補償制度なども全然考えられていない反面におきまして、今度の改正案の考え方といたしまして、労働法規の適期を廃止しますために、いわゆる労働法上におきますところの團結権も、團体交渉権も罷業権もなくなるのでございます。これは即ち公務員である私達が自分の手によつて自分達の生活を守るということが、労働法規の適用廃止によつて不可能になるわけでございます。一方におきましては自分達の手によつて自分達の生活を守るということができない状態に置かれながら、尚且つ最低の労働条件を保障するところの労働基準法の適用もなく、更に災害補償制度、こういうものさえも考えられていないのでございます。更に又新しく規定が今回加えられることになりまして、行政整理といつたものも非常に簡單に行われます。これは例えば七十八條を見て頂きますと、その四項として新しく加えられております規定に「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」このような場合には本人の意に反して降任、免職ができるわけでございます。それと同時に附則の方に参りまして「いかなる官職に在任する職員に対しても、適宜試験を実施し、これを轉退職させることができる。」という規定が設けられてございます。これら二つの規定から考えましても、例えば失業保険といつた、そういう社会保障を考えないところの行政整理が簡單にできるわけでございます。こういう公務員法によりますところのそれぞれの試験を実施して、そして轉退職をさせるということになりまして、これが無制限に行われますならば、直接に被害を蒙むるのは我々女子職員の場合が最も多くなるということを申上げたいと思うのでございます。
 更にこれは先程もお話が出ましたが、例えば自分たちが納得の行かないような不利益な処分を受けました場合の救済の方法にしましても、これは人事院だけにおいて審査、判定がされるようになつております。こういうことでは人事院が自分でやるということなんですから、それに対して私たちが不服があつた場合の、それを救済する方法というものも全然考えられておりません。これらの点について見ましても、私たち職員の身分は非常に不安定な状態に置かれておるわけでございます。
 尚この他にも例を挙げますならば、例えば六ケ月間の條件付の採用、或いは昇任というような問題もございますし、更には又非常に廣汎な人事院規則の制定権というものと絡みまして、私たちの状態は非常に不安定になるわけでございます。と申しますのは、例えば公務員法によりますところの試験にしましても、能率の標準とか或いは人事院の構成、私たちに非常に多くの関係を持ちます人事院の機構、構成その他につきましても、すべて人事院規則に定められておりますために、私たちはこれが実際にはどういう形で決められるか、どういう試験が行われるか、どういうふうな方法で能率が考えられるか、或いは人事院はどういうものに実際にはなるのかということが分らないわけでございます。それで私たちの身分の不安定という点から考えましても、この何もかも人事院規則で決めるというような方法につきましては、私たち絶対に反対の意見を持つておる者でございます。只今は一、二の例を申上げただけでございますが、只今申上げましたように、今度の法律案は、例えば民主的且つ能率的な公務員制度の樹立ということを考えておるにも拘わらず、官廳の民主化な從來の封建的な官僚制度の打破なりという問題につきまして、現在の日本の状態として適当な方法が余り考えられておりません。更に又私たちの生活、公務員の生活の保障というような点から考えましても、非常に一方的な規定でありまして、私たちの生活はちつとも保障せられていない、わけでございます。
 その他にも、例えば憲法との問題もございましよう、いろいろの問題がございます。或いは公務員法の適用範囲、即ち一般職や特別職の問題、沢山の問題がございますが、いろいろの点から見まして、この改正法案は見れば見る程非常におかしな法律であり、我我に不利益な法律であるということを申上げざるを得ませんことは、非常に残念ではございますが、これらの点につきまして私たち絶対に反対であるということを最後に申上げたいと思います。(拍手)
#54
○委員長(中井光次君) 次は全國進駐軍労働組合同盟主事、市川誠君にお願いします。
#55
○公述人(市川誠君) 私は全國進駐軍労働組合同盟の主事市川であります。各委員の方も、すでに多数の公述人の公述をお聞きになりまして、お疲れのことと思いますが、今暫く御清聽をお願いしたいと思います。多数の方が述べられましたので、共通な点についての意見は簡單に公述させて頂きたいと思います。
 先ず今度の國家公務員法改正法律案につきまして、総括的に申上げますと、非常に大きな権限の剥奪或いは制限を含んでおります法律案におきまして、國家公務員の定義が極めて曖昧であるということは、非常に遺憾であります。この点、國家公務員の定義を最も明瞭に規定する必要があると思います。特にこの改正法律案の決定によりまして、七月三十一日に公布されておる政令二百一号の廃止との関連におきまして、この公務員の定義を明瞭にして頂きたいと思います。
 次に第二條に関しまして申上げたいと思います。改正法律案におきましては、特別職の範囲を著しく縮小しております。即ち、現行の公務員法におきましては、十八の特別職を挙げておりますが、今度の改正法律案におきましては、これを十二に圧縮いたしております。特にこの圧縮の中で顯著なものは、現行の十二号に決められておりますところのいわゆる現業廰或いは公團の職員、並びに十四号に決めてあるところの單純な労務に雇用される者、つまり國家の行政の執行に直接の関係のない者さえも、今回の改正に当つては、これを特別職から外して一般職の中に包括いたしておるのであります。これに対しまして、人事委員会等の見解においては、このような單純な労務に雇用される者等も一般職に包括することによつて、その生活の保障、つまり保護をしてやるのであるというような見解が述べられております。併しながらこれは明らかに、一般職に包括することによつて、それらの者が從來持つておつたところの、いわゆる労働組合法によつて保障されておるところの権限を大幅に制限し或いは剥奪するところの意図が明瞭であり、便宜的な立法という感が十分指摘できるのであります。即ち、公務員法の改正趣旨でありますところの官僚制度の民主化という狙いは、このような下級的な現業作業職員或いは單純な労務に雇用される者を狙いとするものではなくて、國家権力の直接の行使者であるところの上層官僚の民主化にその狙いがあるものと言わなければならないと思うのであります。そういうような観点から、今度の改正法律案におきまして、この現行の第二條十二号によるところの現業廰或いは公團関係の職員、或いは十四号の單純な労務に雇用される者を一般職にいたしたのは、極めて遺憾であります。私たちは、この二つのものは特別職に包含いたしまして、そうして労働関係の三法を適用すべきであるというように考えております。又そうすることによりまして、これら單純な労務に雇用される者等は、從來持つておつたところの権利の正当なる行使によつて、十分人事委員会が意図しておるところの保護、これらをみずからの團結権或いは團体交渉権の活用によつて獲得して行くことができるのであります。そうすることが、我々單純労務者或いは進駐軍関係の労働者等を、そのような労働組合活動の中において民主的に訓練することによつて、日本の民主化により以上貢献せしめる途であろうと考えるのであります。
 次に九十八條でありますが、九十八條におきましては、各委員の方から、憲法二十八條の團結権或いは國体行動権との関連におきまして述べられております。私はこの九十八條におきましても、新たに認められたところの職員組合或いは團体には、いわゆる政府と対等の立場におけるところの交渉権を認むべきであろうと思います。
 尚、更にこの制限が、多くの方々は、いわゆる公務員に対するところの権限は公共の福祉ということによつていろいろに制限せられると述べられております。成る程これも一應了解ができます。併しながら、公共の福祉に反しない限りというこの美しい言葉によつて、如何に多くの基本的な人権が剥奪せられ、或いは権利が阻害せられておるかということに対しましては、私たちは絶対に反対をする者であります。この公共の福祉に反しない限りという事柄は、これは最も適正に行使されなければならないと考えております。その観点から、公務員に対しましても、憲法において保障せられておるところの基本的人権は、これは保障せられなければならないというように考えております。
 更に、現行の公務員法から今度公務員法を改正いたしまして、そうして再びこのような苛酷な法律を実施いたしたといたしまするならば、今次の改正を必至といたしたところの全官公廳職員のこの激しい労働攻勢は再びもたらされるのではないかというふうに考えられます。といいますことは、この法律案に対するところの裏づけとしての給與に関する措置、これが何らなされておらない、現行の公務員法におきましても、いわゆる公務員の生活保障につきまして、政府の十分なる施策がなされておつたならば、あのよろう激しい労働攻勢は十分に避け得たであろうと考えるのであります。
 次に第百二條において、非常に過酷な政治活動の制限が加えられております。併しこれも少くとも現行法程度に止むべきであろうと考えております。特に第一次改正法律の附則の二條におきまして、現在公務員でこれらの選挙によるところの公職にある者に、來年の二月までに公務員か公職か二者択一の措置を迫つております。併しこれは今それらの方々が実際に就いている公職は、多数の一般國民によつて信頼せられたものである。そういうような点から考えて、少くも任期中はこの権利を認むべきであろうというように考えるのであります。
 次に人事院の権限につきましては、既に数多くの方から述べられましたので、私はこのような強大な権限を持つところの人事院の運営は極めて民主的に行われなければならんから、この人事委員会に、いわゆる諮問機関といたしまして、学識経験者、或いは公務員の代表者などを以て構成する諮問機関を設置すべきだという意見を持つております。
 以上申上げまして、更に特に私たち進駐軍労働者の立場から、少しくこの特別職につきまして意見を申上げたいと思います。
 既に我々は進駐軍の労働者という特性を指摘いたしまして、國会に対しましても政令の適用、或いは改正法律案においては公務員法の適用から除外さるべきであろうという請願書を提出いたしたのであります。以下進駐軍の労働者が何故に特別職に入るべきであり、或いは公務員法からその適用を除外されるべきであるかという主張を申上げたいと存じます。
 先ず現在の進駐軍の労働者の雇傭、或いは使用の関係はどうなつているかと申上げますと、現在の進駐軍労働者の中に二様の種類があります。それは連合軍の発するところの労務要求書によりまして政府が直接雇傭しておる者、それから同じく連合國軍から発せられたところの調達要求書に基きまして、政府或いは民間の業者がこれを雇傭いたしておる者と二通りあります。そうしてこのような形式におきまして雇傭された労働者は、雇傭された後は雇傭主の手を離れまして直接連合國軍の將兵の監督指揮の下に、その仕事も連合軍の占領の目的達成に必要な日常作業に從事させられております。而してこれらの労働者は雇傭された後といいましても、連合軍の都合によりまして随時多数の人員整理、或いは解雇が執り行われております。これらに関しましては、政府、つまり雇傭主であるところの政府機関において何ら策の施しようもなく、そのまま部隊の命令を労働者に出して整理をしているのが実情であります。これらの点から見まして、明らかに進駐軍の労働者の雇傭というものは政府の意思によるものではないということが指摘できると思うのであります。特にこの際私は進駐軍の労働者が如何に不安定の職場に置かれているかということにつきまして一、二例を申上げたいと思います。
#56
○委員長(中井光次君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
   ―――――・―――――
#57
○委員長(中井光次君) 速記を始めて……。
#58
○公述人(市川誠君) 次に身分関係について申上げます。正式には進駐軍の労働者は、連合國軍関係の常傭使用人と呼ばれております。そうしてこれらのものは過去における政府のいろいろな措置、例えば給與に関する法律等に対しましても、政府職員という定義の中に入れられておらなかつたのであります。いわゆる官吏の待遇を受くる者、嘱託、雇員、傭人、工員、これらの人たちを政府職員と定義づけておりまして、我々の連合軍関係の常傭使用人は例えば新給與適用に関する法律等において、或いは一時手当の支給等に関する法律において、いつも除外されておつたのであります。ところがたまたま政令が発令せられたときにおいては、これらの給與の点においては、君ら進駐軍関係労働者は政府職員ではないと言つてボイコツトされておつて、今度は権限の拘束或いは権利の剥奪という政令の適用においては、君らは公務員であるから政令を適用するというような措置を取られたのであります。
 次に給與の関係、これも恐らく他の公務員諸君とは異なつた極めて複雑な状況にあります。事務関係の者は一應官公吏諸君と同じような給與の待遇で支拂われております。但しこれは劣惡な労働條件というものが考慮せられて官公吏の一〇%増が保証せられておるのであります。それから技能工関係におきましては、労働大臣が告示するところの一般職種別賃金によりまして、給與が支拂われております。而もこれらはいろいろ実際に稼働した時間に対する給與だけでありまして、日給、月給制になつております。そうしてこれらの支拂も一ケ月間稼働したものが翌月の十日を期して支拂われるというような状況であります。從いまして官公吏の方々に適用されておるところの給與の繰上拂い、或いは二回支給というような措置は進駐軍の労働者には実施せられておらないのであります。
 次に諸規程の関係について申上げますと、先ず労働基準法は完全に実施せられておらないのであります。職場において、雨の降るのに、飯を食べるのに、お晝を食べるのに、雨を凌ぐ場所もないというような職場が数多いのであります。
 次に共済制度に関しましても全く何らの措置がないのであります。現行の國家公務員共済組合法からも我々は適用を除外されておるような状況であります。災害補償に関しましてもいわゆる適切な保護というものは全くなかつたのであります。労働者災害補償法の適用も漸く十月に決定されたような状況でおります。尚解雇、退職規程等につきましても一應の規定はあります。それから給與規程に関しても一應の規定があります。併しながらこれらの諸規程の実施に当つてはいわゆる終戰処理費の支出という関係におきまして、現地部隊関係者のサインのないものは給與せられないのであります。從いまして労働者に好意を持つところの労務関係者のおります部隊はともかくも、そうでない所におきましては、正当な給與を受くる面においても非常なる阻害をされておる面があるのであります。ありますから、私たちといたしましては、このような給與面或いは諸規程の実施面におきましても、全く官公吏諸君とは異なつた状態に置かれておるということが言い得るのであります。特に業務を主管しておるところの特別調達廳の管理機構の不備は、これらの阻害をますます大きくいたしておるのであります。
 次に私たちの……
#59
○委員長(中井光次君) もう少し簡單に……
#60
○公述人(市川誠君) 組合運動につきましては、すでに二十一年の連合國軍からの指示によりまして或る種の制限が加えられておつたのであります。それは爭議権の行使が禁ぜられておつた点であります。併し私たちは團結権或いは團体交渉権等の保障によりまして、十分今までに進駐軍労働者の利益擁護のために戰つて來たのであります。でありまするから、今度の公務員法の改正に当りまして、私たちを一般職の中に入れまして、そうして政府の一方的な恩惠施策によるところの保護ということを期待できないのであります。それは過去三年に及ぶところの政府の施策によつて私たちは十分指摘できるのであります。そういうような意味から私たちの從事しておるところの業務の目的が全く連合國軍の占領目的達成に必要な日常作業であるという点から、公務員法の目的としておるところの國民に対する公務の民主的或いは能率的な運営を保証するという目的、或いは憲法第七十三條の第四号によるところの官吏に関する事務を掌理する基準を定めるというようなことを目的とする公務員法からは、適用除外さるべきであるということを主張するのであります。以上のような点におきまして私たちは今度の改正法律案の第二條の特別職の中に、單純な労務に雇傭される者、又は連合國軍の需要に應じ連合國軍のために労務に服する者は特別職とするというように追加せられることを主張するものであります。若しこの第二條における特別職の設定が困難な場合には、少くとも附則の十三條において特別の取扱を規定せられるように配慮せられんことを特にお願いいたしまして、公述を終りたいと思います。
#61
○委員長(中井光次君) 次は最後の公述としまして、東京都総務局調査課主事、熱田春雄君にお願いします。
#62
○公述人(熱田春雄君) 私は昭和十二年に東京市役所の雇を拜命いたしまして以來、引続きまして今日都廳に奉職いたしておりまするところの一下級職員であります。今日の公聽会におきまして意見を述べる機会を與えられましたことを大変に感謝いたしております。何分にも下級職員でありまするので、むつかしい法律のことはよく分らないのでありまするが、この國家公務員法というものが、將來制定されまするところの地方公務員法と密接な関係がある、結局我々地方廳の職員に響いて來るわけであります。そこで新聞記事等に注意をいたしましていろいろ考えて見ましたが、どうも今回の改正案というものは我々下級職員の前途に対しまして非常な不安を與えるように感ぜられるのであります。かような考えの下に、誠に僣越でございまするが、下級職員の立場から二、三考えを申上げます。
 今回の改正安はあとに述べる二、三の具体的な問題で明らかなように、マ元帥の書簡に便乘いたしまして、殊更に公務員の権利を制圧しておるものと言わざるを得ません。私は公務員法の改正は、ポツダム宣言、極東委員会におきまする労働組合に関する十六原則、新憲法の精神、こういうものが分に採入れられなければならないと考えるものであります。何故かと申しますと、これらは日本を民主的に再建いたしまする上から考えまして、不可欠な事柄を示しておるものであるからであります。
 そこで第一に、今日官公吏は凡そ二百数十万と言われておりまするけれども、これらのうち大多数を占めるものは私のような下級職員でございます。そうしてこれは社会的に見まするときには、社会の下層階級、貧乏人の方に属するものでございます。こういう下級の職員が自覚いたしまして、本当に正しい政治的意識を持つことが、日本の民主化のために、將又民主政治発展のために必要であると私は考えております。ところが改正案の第百二條は如何でございましようか。私はこの百二條につきましては現行の規定につきましても反対であります。ところが改正案というものは、この現行法の制限を更に強めておるのであります。こういうことでは二百数十万の國民を政治的不具者に仕立てることになると申すも過言でないと思うのであります。公務員が職務を行いまするときには公平な立場を取ることは当然のことでありまするけれども、政治的に萎縮する、こういうことは封建的な官廳の穀に閉じこもり、日本の民主化を阻害する虞れがあるのであります。局長、課長のような上司ならば別でありますが、私のような一下級職員がうちへ帰りましてから後に、或いは休日を利用いたしまして、自分たちの居住地におきまして政治的な活動をするということが、何の差支があるのでありましようか。更に私はかように禁止規定を強めるということは、結局我々下級職員の政治活動を非合法の方へ追い込む、こういう虞れがあることを指摘せざるを得ないのであります。私はこういう意味におきまして百二條の改正案は各項を通じまして反対であります。
 第二に、今回の改正案は官公廳の民主化を阻害すると思うのであります。今日我が國を民主化するために官公廳の民主化が必要なことは多言を要しません。そのためには職員が安心をして執務することが必須な要件であります。そうして職員が安心して働くために大きな貢献をして來たのは、官公廳におきまする労働組合の存在であります。勿論労働組合につきましてはいろいろ御批判もあつたこととは思うのでありまするけれども、今後と雖もこの三官公廳における労働組合がなくしては、官公廳の民主化は断じてなし得ません。不正はやみません。それから我我の下級職員の生活の不安というものも、この労働組合がなくなつたならば解消はできません。我々下級職員から見ますると、組合ができてからというものは、役所が非常に明るくなつたのであります。上の人にお世辞を使つたり、或いは機嫌を取つておる、こういお者が段々勢いが衰えて参りまして、眞面目にこつこつと與えられた職務を果しておればどうにか浮び上れるようになりかかつて來たのであります。これが我々の周囲の只今の姿でございます。有力者の後楯がなくても、学閥に頼らなくても、情実がなくても、眞面目に勤務をしておりますれば心配がない、明朗に働いておるわけでございます。これはなぜでありましようか。組合があるからであります。労働組合があるからであります。職員組織ということで申しまするならば、曾つて戰爭中にも職員の組織はございました。職場懇談会、勤労報國会というものがありまして、下意上達とか上意下達とかいうことを申しまして、上司に意見を述べる機会もあつたのであります。併しこれは何にもならなかつたのであります。結局におきましてフアツシヨ体制の強化に役立つただけでありまして、依然として正直者が馬鹿を見ておつたのであります。ところが今回の九十八條の改正によりまして、労働組合が又この職場懇談会に逆戻りをいたそうといたしておるのであります。私のような下級な職員は再び封建的、奴隷的な役所になるかと考えまして、誠に不安に堪えられないのであります。そういうわけで本日もここへやつて來たわけであります。そういう意味におきまして、この九十八條の改正案には私は絶対に反対であります。若しこれを残すならば、労働組合を組織し又は加入する自由のあることをこの九十八條に明記をして頂きたいと私は思います。
 それからこれに関連いたしまして、改正案の附則十六條が労働組合法、労働基準法、労働関係調整法、いわゆる労働三法の適用を排除しておる点を指摘しなければなりません。マ元帥書簡におきましても、「政府関係においては労働運動は極めて制限された範囲に適用せらるべきである、」こういう工合には書いてありますけれども、労働運動を禁止してはおりません。又は職員は國民全体の奉仕者であることは、これはよく私も心得ておりますけれども、他面、どう考えましても、私のような下級職員というものは、政府との間に使用主、使用人こういう関係が残つております。そんなわけで私は公務員法と競合せぬ限り現在の労働三法の適用は飽くまでも残して頂きたいと思いますので、附則の十六條、この労働三法適用排除の規定は絶対に削除をして頂きたいと思います。かくて労働三法の適用を受ける労働組合が依然として官廳に残るということでありますならば、我々下級職員の不安も解消いたしまして、一生懸命役所で仕事をいたします。國民の方々に対しましても、サービスの改善について、一層の努力をいたします。第二次大戰後におきまして、フランス、英國、イタリアにおいては、公務員一般労働者に、團結権は勿論のこと、爭議権すら認められているということを聽いております。又米國におきましては、この公務員法改正案によく似たタフト・ハートレー法という法律があるそうでありますが、これも將に廃止されようといたしております。逆にこの團結権も爭議権も両方とも否認しておりましたのは、ナチスドイツ、フアツシヨ・イタリー、戰爭中の日本であります。これらを考え合せますと、九十八條と附則の十六條の改正案は、どうしても反対せざるを得ないのであります。
 第三に適用の範囲の点で一言いたしまするが、單純労務の從事者は、從来同樣一般職から除外すべきであると思うのであります。いわゆる現業廳につきましては、公共企業体労働関係法に関する別の法律が作られるそうですが、それ以外におきましても、單純なる労務者は相当にあります。例えば、地方廳におきましても、水道、交通、土木、清掃、衞生、防疫等であります。これを中央、地方の行政に直接参画する者と同一に見るのは些か失当でありますまいか。殊にこれを一般職に入れるということは、單純労務者の側から見ますならば、これは権利の著しい剥奪であります。私はこの意味におきまして、第二條改正案が、現行法の第二條第二項第十二号乃至十四号を除いておることは、反対であります。
 第四に私は罰則が重過ぎると思うのであります。現行法に比べまして違反條項を非常に殖やし、罰則を重くしているのであります。これはどうも乱暴だと考えられるのであります。一例を挙げますると、改正案百十條十七号におきまして、爭議行爲に体刑を科しておりましたが、これは大変な誤まりであると思います。同盟罷業をやつたならば体刑というのでありまするけれども、現行法におきましては非現業の職員は労調法により爭議権がないのでありますが、これに違反したときでも罰金刑であります。又マ元帥書簡でも爭議行爲に対しまして「雇用されておるために有するすべての権利と特権を放棄するもの」と、こういう工合には書いてありますけれども、爭議をやつたら体刑にしろということは書いてないのであります。或る程度の生活の保障があり職場が明朗になりますならば、我々は同盟罷業などということは決して考えもいたしません。逆にこの生活の保障が欠け、職場の民主化ということが行われないならば、如何ようなる重罰を以ていたしましても、我々の爭議行爲に出ることは防ぎ得ないと断ぜざるを得ません。ともかくもこの罰則規定には、反対であります。この反動性を指摘せざるを得ません。尚人事院の権限強化についても反対でありますが、これは皆さんも十分に述べられましたので、省略をいたします。以上によりまして、私はこの改正案に反対であります。若しこのまま通過するということになりますならば、私のような下級職員は、再び昔の不快な役所の中に帰らねばなりません。これはどうしても十分に御検討を願いまして、どうか我々が安心をして眞面目に働いて行かれるような役所ができるような法律にして頂きたい、こういう工合にお願いを申上げまして私の公述を終ります。
#63
○委員長(中井光次君) 尚公述人のうち三名ばかりはいまだに御出席がございませんので、本日の公述は以上を以て終りたいと存じます。時間が大変移りまして御迷惑ではありまするが、これから午後の部の公述人に対して各委員の御質疑がございますればお願いをいたします。どうぞ時間が移りましたから簡明直截にお願いいたします。
#64
○委員外議員(水橋藤作君) 土橋委員長にお伺いしますが、先程政府はこの公務員法に政治的行き方があるということを言われましたが、これに対しましてその理由をお聽きしたいのであります。それからもう一つ、この公務員法に対しまして、英連邦のパトリツク・シヨウ或いは中華の謝南光氏に面会されまして、これの御意見を伺つたということを聞いておりますが、その内容をお示し願いたいと思います。
#65
○公述人(土橋一吉君) 只今御質問がありましたので、簡單にお答を申上げます。私が政府の政策的なものによつてこの改惡案が出ておるということを申上げた根拠は、今日までのところ團体交渉を私を身を似て体驗しておるのでありまするが、その経過から見まして、政府は常に全官公廳の正当なる團体交渉権には應じていなかつたのであります。と申上げるのは、例えば二・一ストライキの場合におきましても、これは非常に明瞭でありまして、例えば後程に臨時官公吏待遇改善委員会というようなものを作りまして、そうして千六百円ベースを作り上げるような状態になつておつたときに、ちようど片山内閣が成立をしておりまして、片山内閣がちようど七月の上旬にこの問題については千八百円ベースを強行いたしまして、これには、まあいろいろ理由がありました。当時の和田安本長官等は、十月には黒字が出るからして労働者は耐乏して呉れというようなことで、千七百円のはね返りが当然二百円、それで千八百円ベースとした、こういうことを考えましても非常に政策的な意味を持つておつたのであります。次の二千九百二十円ベースのときを考えて見ましても、これは遺憾ながら國鉄の労働組合がこれに賛成されまして、それも幹部の諸君だけが賛成されて、政府との話合いによつて二千九百二十円というものが認められたことを政府は中心課題としまして、我々は最低賃金制の確立を要求したのでありますが、それを政府の一方的な措置によつてこれが結論的に二千九百二十円ベースというものが六月の物價改訂まで彼らの一方的な考えで持越された。ところが六月の物價改訂のときにはこれは予算の関係がありまして、これは耳新しいことであるから私が申上げるまでもないと思いますが、六月二十三日の日に公定價格を全部二・二二倍以上げまして、郵便料金四倍、鉄道料金二・五倍上げて、そうして物價と賃金の関係におきましては政府が一方的に三千七百九十一円ベースというものを決めて、そうして確か七月の四日の朝に本会議を通過した、こういう結果を持つて……、我々の要求しましたのは六月の十二日であります、そのときには北村大藏大臣がすでに予算委員会或いは本会議においては三千七百九十一円ベースですべての予算を計上しておつたわけであります。そうして收入関係を見積つた、こういうような政策的なものを持ちながら、我々の國体交渉には飽くまで至二千七百九十一円ベースで應ずる態度で我々の五千二百円ベースというものに立向つておつたという関係を見まして、例えばそれが二千九百二十円ぺースから三千七百円べースに移行する場合にも四月以降の新給與については、政府は労働組合側と本当に團体交渉をして、新給與に関する問題を討議いたしましようということは、西尾國務大臣も、加藤労働大臣も、或いは苫米地官房長官も組合側に誓約しておつたのであります。ところが政府が六月の予算の関係で、この問題については二千九百二十円で押切ろうと考えておつたから、紛爭処理機関を呑まないか、紛爭処理機関を君らの方で認めなければ、私の方では新給與に関する問題は討議しないというようなことを申して、その間政府が二千九百二十円ベースを強行して、六月になつてから彼らは予算を計上し、只今のような案を一方的に作つておつて、それをひた隠しに隠しておつた。六月の二十八日からいよいよ國会の方では決りそうだ、三千七百二十円ベースは間違いないと、こう考えて來たときに初めて労働組合側と團体交渉をして、三千七百二十円ベースなら出すというようなことをやつておつたのであります。從つて今度できました、この國家公務法改惡政令も、マツカーサー元帥の書簡に関しましては、私はとやかく言わない。この解釈の最高権威は司令官がお持ちでありますので、私はとやかく言わないのでありますけれども、この書簡に便乘してポ政令二百一号を発したいということは、如何に憲法違反であるかということは、これはもう言を俟たないのであります。それに事よせて、又この改惡の法律案を作つておつたというようなことが、全官公廳労働組合運動に対する政府の政策的な彈圧であると、いうことは、これはもう言を俟たないのであります。そういう芦田反動政府の政策的な考えから基本的な人権を妨げるような、又基本的な人権を圧殺するような、こういう法規は、先ずそういう面から政策的にこの法律が使われておるということについて眞向から私は反対しなければならんということで、御答弁を申上げたいと思うのであります。特に私は先程口述の際申上げたように、これは法律のトリツクであります。皆さん今日までの公聽会の各口述人のお話をお聽きになつてお分りのように、官吏は全体の奉仕者で、一部分の奉仕者ではない。それから権利保障に関する問題については、公共の福祉だというようなことで基本的な人権に一つのブレーキをかけておるわけでございますけれども、若し公共の福祉という言葉を忠実に考えて、いわゆる、公共とは誰かというならば、恐らく全日本の中の勤労階級のためになる社会秩序を立てることが公共の福祉であり、一部の特権官僚及び一部の金持階級なり、一部の反動的な勢力のためになるような公共の福祉というものは、これは反人民的であるのであります。從つて、そういうような意味において、すべて公共の福祉だから憲法上の責任にも制限されるような解釈を出す公法学者なり、一般の諸君の考えは誤りである、飽くまでも我々日本の中には勤労階級の方が多いのである。從つて、全勤労階級のためになるような社会秩序を確立することが、いわゆる公共の福祉であつて、今日のような一部の物持ち、一部の金持ちとか、一部の特権官僚、そういう諸君の地位、その企業形態、その金融関係を擁護するために考えておるようなこの社会秩序は、これは公共の福祉ではないのである。例えば官吏は全体の奉仕者だというような言葉の中には、これは私も賛成である、併しながら官吏が、若し現在のこの國家総務員法改惡の原案に從うならば、特権官僚のための奉仕者に過ぎないのである。全國民に対する奉仕者にはならないということも明瞭である。なぜならば、この職階制を通じて特権官僚が待つておる権限というのは、いま國会の皆さんがお考えになつておるように、そんなになまやさしいものではない、彼らは國会の各委員の皆さんの前にいると、猫のように小さくなつておるけれども、あの官職に行つて彼らのやつておることを御覽になると、全く今の口述人が申されたように憤慨に堪えないものを持つておる。從つて、私はそういうような全体の奉仕者とか、公共の福祉のためにという文句で基本的権利にブレーキをかけて、これを抑えるような考え方は、賢明な國会の皆さんにはないと思うけれども、その点を十分に御考慮願いたいということで、只今の水橋委員の御質問の第一にお答え申上げたい。
 第二点は私が承知しております。範囲においては、只今席上におられます羽仁委員の通訳で、私はパトリック・シヨウ氏に九月十六日にお会いしたのであります。その時に、パトリック・シヨウ氏の言われたことは、先ず民主主義國家において何が一番大切かと言うならば、勤労者の基本的人権が尊重されておるかどうかということが、その國の民主的國家であるかどうかという基本線である。如何に名文句を並べても勤労者の基本的権利を守らないような國は、それは民主主義國家でない、こうパトリック・シヨウさんから私は羽仁さんの通訳で聞いておるのであります。從つて私は今日まで、八月二十八日の時のあのシーボルト議長に対して私は申述べたことを再確認するならば、現在諸君は一体中央労働委員会の五千二百円問題がどうなつておるか、というのがパトリツク・シヨウ氏の質問であります。そこで私はパトリツク・シヨウさんに、いや、あれは政府のポ政令によつて一方的に打切られて、現在手も足も出ない状態になつておりますとお答えしましたところ、それはいかん、英連邦においては少くとも國家公務員の待遇改善に関して紛爭状態に入る場合においては、常に第三者を入れたいわゆる調停機関というものがあつて、現在の人事委員会のやつておるような政府機関の中で、対等な地位において交渉する、自分の庭において、自分のいわゆる所管における下部機関においてその苦情を処理させるという態度はこれは誤りである。英連邦においてはさようなことは考えてない、どこまでも國家公務員が紛爭状態に立ち至つた場合には、紛爭調停法という法律に基いて、第三者を入れた機関において適切妥当な調停案なり、採決方法がある。こういうことも参考になるだろうから、このオーストラリアの國家公務員の紛爭調停法という法律案を、あなたに上げるから、これを十分通訳して、國会の皆さんにもお知らせ願いたいということをパトリック・シヨウ氏はおつしやつたのであります。又その席上で申されたことは、問題は全官公吏が罷業するという、そういう状態がないようなしつかりした給與を打立てられて、その上に対等の立場において團体交渉ができるような、そういうことをやられることが最も望ましいと自分は確信しておるのでありますからして、若し諸君があらゆる会合において國会の皆さんに話すような機会があるならば、その点を力説しなさい、ということを、パトリック・シヨウさんは我々に言つておられるのであります。根本的な問題は冒頭において申上げましたように、官職なり、或いは公務員というものが、不平や、不満や、待遇に関する非常に劣惡的な状態において仕事をしておるということは、民主國家においては許されないことである。少くとも國家の公務を執行する者、これを運用する者が職場において非常な不平、不満を考えておるという制度は飽くまでこれは打倒されなければならない、そういう國家であつてこそ、初めて民主國家の國権の運用も國民の総意の反映したものが運営されるのである。こういう御意見であつたように考えております。まだ足らない点が沢山あると思いますが、時間もないのでありますから、この程度でパトリツク・シヨウ氏のお話を終りたいと思います。
 次は謝南光先生ですが、謝南光先生には九月十四日にお会いしました。謝南光先生の仰せになることは、現在の諸君のこの爭議に関する問題については政府が殊更に諸君らを中傷しておる、私はそうでないと思うけれども、諸君の権利が正当に行使せられたと思うけれども、殊更に政府の惡宣傳で諸君の立場は非常に不利になつておるということを先ずあなた方にお傳えする。中華民國は極端なる右、極端なる左も賛成しない、併しながらそういうような双方の意見が話されるということは、民主國家として当然であろうと思う。併し労働組合として特にお願いしたい点は、政府と対等の立場において團体交渉しなければならんというこの原則は、これはもう中華民國不変の原則である。諸君にこの点については飽くまで御援助申上げたいということを申されておりました。次は諸君の労働組合を作つて自主的におやりになることが如何に日本の官僚制度、或いは官職機構におけるところの民主化をする基本であるかということも中華民國はよく承知しているからして、それをでき得る限り促進して貰いたい。特に労働組合が目を光らして、高級官僚なり、官僚の同僚なり、或いは保守政党なり、或いは反動政党なり、政府の職員、そういうものに対する摘発をして斗爭をやるべきである。丁度九月十四日の日は大藏省の主計局長の福田赳夫という者が強制收容をされた日でありまして、新聞に出た日でありまして、そこで謝南光先生曰く、今日の新聞に書いてあるこの福田君が強制收容をされたということが、これが願わくば大藏省の労働組合で摘発をされればまだ組合の力を増すであろう、國民の信頼を得たであろう、こういう点を大いに考えて運用されることをお願いしたい。ということが謝南光先生のおつしやる中心点であろうと記憶します。
#66
○委員長(中井光次君) 時間が余り遅れるといけませんから、短く切上げるようにお願いいたします。
#67
○公述人(土橋一吉君) それでは簡單に申上げますが、ソ同盟の方の話では、これはゲネラロフという人の話ですが、テレビヤンコ氏とは話が五分しかできませんでしたが、その人がおつしやることは、ソ同盟は働く者を中心とする國であるから、諸君が頼もうと頼むまいと、ソ同盟は働く者の権利を侵害するような、そういう物の考え方については、どういう権力であろうと、どういう階級に対しても嚴重なる抗議をするものである。從つて諸君から頼まれたからキスレンコがマツカーサー元帥に対して抗議の文書を出したものではない。ソ同盟は正しい労働の権利を抑えるような権力なり、或いは反動的な階級については、事の如何を問わず、直ちに反対する意向を持つているという話でありました。そこで非常に大切なことは罷業権であるが、罷業権を禁止するというポ政令の内容を見て、これが永久的であるかどうかということは問題の中心点は、どういうふうにストライキを止めるかということが問題であつて、そういう法律を後まで残さなければならないということは問題ではない、全官公吏がストライキをやつたという場合にどこにいわゆる進駐軍が考えて、占領目的に直接違反し、占領目的を直接阻害したかということが問題である。こういう法を永久に残すということは我々としては全く想像もできない、考えることもできない。というような御発言であつたと思います。
 まだ非常に足らないと思いますが、水橋委員の御質問に対して、これを以てお答えといたします
#68
○委員長(中井光次君) 他に御質問疑はございませんか。それでは以上で本日の公述を終ることにいたします。長い間誠に有難うございました。公述においていろいろ有益なる貴重な御意見を拜聽いたしましたので、これを十分に参考といたしまして、明後日からの審議を続行いたしたいと存じます。本日はこれを以て散会をいたします。誠に有難うございました。
   午後四時二十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     中井 光次君
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
           宇都宮 登君
   委員
           赤松 常子君
           佐々木鹿藏君
           大山  安君
           寺尾  博君
           東浦 庄治君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  公述人
   東京大学教授  田中 二郎君
   早稻田大学教授 北澤新次郎君
   東京商科大学教
   授       吾妻 光俊君
   東京商科大学教
   授       田上 穰治君
   新経済新聞社長 宮内  勇君
   酒類配給公團総
   裁       式村 義雄君
   價格調整公團理
   事長      石井 茂樹君
   國鉄労働組合執
   行委員     小林  一君
   全逓信從業員組
   合執行委員長  土橋 一吉君
   全國進駐軍労働
   組合同盟主事  市川  誠君
   食糧配給公團労
   働組合中央執行
   委員      熊倉四五七君
   全國官廳職員労
   働協議会執行委
   員長      佐藤 安政君
   鹿兒島縣岩川町
   長       吉瀬  寛君
   文部省学校教育
   局高等教育課勤
   務       渡辺 みえ君
   東京都廳総務局
   調査課勤務   熱田 春雄君
ソース: 国立国会図書館
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