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1948/11/26 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第4号
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1948/11/26 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第4号

#1
第003回国会 人事委員会 第4号
昭和二十三年十一月二十六日(金曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後一時四十三分開会
#2
○委員長(中井光次君) それでは只今より開会いたします。本日は一般的に全体に亘つてそれぞれどこということでなしに、皆様から自由に御質問頂きたいと存じますが、それより前に國家公務員法の第百二條第一項による政治的行爲に関する人事院規則の試案というものが政府から配付になりましたから、この説明を求めます。
#3
○政府委員(岡部史郎君) 先般逐條御説明を申上げました際に、百二條におきまして、職員は選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行爲をしてはならないとあります場合におきまして、人事院規則でどういう政治的行爲を定めるかというお尋ねが再々ありまして、いずれ御審議の頂いておる中間におきましてその内容を御披露申上げるということを御約束申上げて置いたわけでありまするが、本日に至りまして、大体関係方面との折衝をまだ終らない次第でありまするが、御審議をお願いするためには是非ともこの内容なり輪郭なりについて申上げなければならないと存じまするので、いわば中間的な内容でございまするが、大体の方向が纏まつておると申上げてよろしいかと存じまするので、その最終案ではございませんが大体の輪郭はこんなものであるということにつきまして、御参考になろうかと存じまして、お手許に差上げた次第であります。繰返して申上げますれば、まだ大体の輪郭でございまして、そういう意味におきまして御了承頂きたいと存ずるのであります。人事院規則の形式その他につきましては、それぞれ一定のフォームを決めまして公布することになりますが、これはフォームには関係なしに、ただ内容だけにつきまして御説明申上げる次第でございます。それで先ず御了解頂かなければならんことは、この前も申上げた次第でございますが、この百二條の政治的行爲の制限というものは飽くまで職員に政治的中立性を守らしめる。殊にその中心となるも選挙に際しての政治的な中立の嚴守というようなことでありまして、この條文の表現からも御了承頂けまする通り選挙権の行使を除く外、政治的行爲をしてはならないというのが本筋でありまして、人事院規則の定めるというのは、人事院規則でこれを定義するということだけのことでございまして、人事院規則でその内容を積極的に殖やしたり積極的に抑えたりするものではないのでありまして、そういう意味におきまして、この百二條の人事院規則は、他の人事院規則の場合と違いまして、極めて政治的な含みのあるもののようにお考えになれる余地があろうかと存じまするが、私共の考えといたしましては、やはり他の人事院規則と同じような性格のものであつて、軍に解釈的な定義的な意味を持つものであるというように考えております。そういう意味に御了承頂きたいと思います。尚第三項におきましては、すでに職員は政党その他の政治的團体の役員、政治的顧問、或いは役員でなくてもそれらと同様な役割を持つ構成員となることができないと、こう強く搾つております関係上、御諒察を頂けまする通り、政治的行爲の内容というものは極めて嚴しく搾つてあるのであるというように、御了承頂きたいと思います。
 それではお手許に差上げました試案の内容について御説明申上げます。試案の内容といたしましては、政治的行爲とはこういうものである。從つてこういうような政治的行爲をしてはいけないのである。こういうことになるのであります。その第一は、「單なる構成員としての役割を超えて、政党その他の政治的團体の運営に影響を及ぼすような役割をなすこと」これは百二條の第三項に照應してお考え頂いていいかと思いますが、具体的に申しますれば、日常政党の機関に出入りいたしまして、單なる政党員としてでなしに、政党の勢力を拡張するために積極的な活動をするというようなことがこれに該当するかと思つております。
 第二号は、「政党その他の政治的團体又はその構成員若しくは公選による公職の候補者に対し政治的目的のために、金品その他財産上の利益を寄附すること」これは比較的簡明でありまするが、法律の方において金品その他の利益を求め、若しくは受領し、又はこれらの行爲に関與するということが禁ぜられておりますが、これにおきましては、政治的目的のために金品その他財産上の利益を寄附することも、ここにいう政治的行爲の中には含まれる。こういうふうに解釈しております。
 第三号は、「公の選挙において、公職の候補者又は政党その他の政治的團体を支持し若しくはこれに反対する目的」こう書いております。即ち特定の政党をやつつける又はこれを支持する。或いは公選による候補者を当選させる又はこれを落選させる目的で、いろいろビラを貼り廻しますとか、プラカードを押し立てるというようなこともこれに入ろうかと存じます。
 第四号は、「その方法の如何を問わず、公選による公職の候補者若しくは政党その他の政治的團体を支持し又これに反対する目的で、國の占有又は使用する事務所その他の場所又は設備若しくは備品を使用し、又は使用させること」となつておりまして、これを具体的に申しますならば、ある官廳の長が事務所の設備を利用いたしまして、そこに部下の者或いは外部の者を入れまして、そこに対しまして、政党を支持、或いは候補者支持の演説をする。又はこれに反対する演説会を開く。こういうようなことは勿論そういう情を知りまして、他の者にそういう場所を使用させる。そういう者に対して、又使用させるのみならず、その設備のみならず備品をも使用させるということもこれに入るのである。
 第五号は、「政治的会合又は政治的示威運動を準備し、主催し、又は指導すること」であります。即ち政治的目的を有する会合又は示威運動でありまして、具体的に申しますならば、單なる経済的目的に出ずるもの即ち待遇改善でありますとか、俸給値上げ運動とか申しますのは、ここにいう政治的という意味に入らないかと思いますが、或る特定の内閣の打倒を要求する。或いは或る原則に立つ政府の樹立を要求するというようなことを目的といたしまして、或いは勤務條件の改善、その他の要求と並んで、それらの要求をひつさげてこれをスローガンとして、会合を催し示威運動をやるというのはこの中に入るかと思つております。これを準備し、主催し、又は指導するということでありまして、單にこれらに参加するということは、この中に含まれないと解釈いたします。例えば日曜日でありますとか、土曜日の午後にこれらの運動に参加するということは、これは禁止されていない。普通のウイーク・デーにおきまして、勤務時間内にこれらのことに参加しますことは、これは他の條文、例えて申しますれば、百一條の、職員は、特別の事情により所轄廳の長の承認を受けた場合を除いては、勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならない、ということの違反になる。こういうことになりまして、直接にはこれに行かないと存じます。これに関しましては、尚幾多の問題があろうかと存じます。私共も尚研究を進めるつもりでおります。御参考のために御手許に差上げた次第でございます。
#4
○委員長(中井光次君) 御質問ありましたらどうぞ。
#5
○岩男仁藏君 これは私が余りよく分らんのでありますが、この前いろいろと質疑が出まして、たしか政府委員の岡部さんと思いますが、御見解を発表されておつたのでありますが、第十三條の應急予備金のことについて一つ重ねて御意見を承わりたいと思うのであります。この前あなたの御解釈では憲法に定めておる予備費とは違う。成る程文字は應急という字を使つてあるし、予備費の費の字を金に変えてあるから、大変違つておるようでありますが、私の見解としては、どうもこれはやはり憲法第八十七條の逸脱である。こう解釈しておりますが、あなたの一つ御見解を承わりたい。
 もう一つ、これはやはり憲法上の問題でありますが、第九十二條であります。九十二條の職員の意に反する不利益な処分に関する審査、この点でありますが、一番御仕舞の方の「前二項の判定は、最終のものであつて、人事院規則の定めるところにより、人事院によつてのみ審査される。」つまり最終審査はここで決定する。こういうことになつておりますが、憲法では三十二條に「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」という規定があるし、それから憲法第七十六條の二項でありますが、その御仕舞の方に「行政機関は、終審として裁判を行うことができない。」こういう規定がありますが、これは憲法の侵害になると私は解釈するのですが、それについて改めてもう一遍お伺いしたい。それからこれは小さいことですが、直接関係があるのでもう一つ伺いたい。國会議員の秘書は一体どういうふうに御解釈になつておるか、祕書のことは決まつておりませんが、國から報酬が出ておる。これはどういうふうに御解釈になつておるか、これを承わりたい。
#6
○政府委員(岡部史郎君) 今岩男さんの御質問の三点についてお答え申上げます。
 第一は、應急予備金の問題でございますが、これは如何にも憲法上の予備費のように見えるわけでありますが、よく性格を考えて行きますと、憲法上の予備費そのもので、この十三條の應急予備金を考えるわけには行かないのでありましてこれは要するに人事院の予算費目として特定の、例えて申しまするならば役務費であるとか、或いは人件費であるとか。そういう予算上決まつた費目とは別に、極めて包括的なものでありまするが、そういうものが包括的な一つの費目として計上されるものであると、解釈しておるわけであります。從いましてその支出につきましても、内閣は八十七條の第二項によりまして、事後に國会の承諾を得なければならない。普通の予備費でありますと、事後に國会の承諾を得なければならないことになるのでありますが、この懸念予備金は、そういう普通の費目でございますから、單に決算を通じて御審査を頂く性質のものである。こう存ずるわけであります。而も前にも申上げました通り、これは人事院がこれから予想し難いいろいろな普通の行政官廳と違つた、予想し難い経費を使うことがある。具体的に申しますると、例えば本年度は人事院の職員だけの試驗をするために、数十万円の試験費用を計上しておつた。ところがこの度御議決頂きますように高等試驗行政科の試驗も廃止し、司法科の試驗も廃止するということになつて参りますると、全國の新らしい職員の採用試驗は、全部その年において人事院でやらなければならないというような場合におきましては、予想外の経費を要することになるわけであります。年度の当初におきまして、そのような事態を見通し得る場合においては結構でありますが、見通し得ない場合もあり得るわけであります。これはほんの一例で思いつきを申上げたのでありますが、そういう場合にそれを人事院の経費の中に一應入れて置く、又この應急予備金があるからと申しまして、憲法の予備費の支出を否認するわけでもないのでありまして、不吉な例でありますが、例えば人事院の應舎が火災その他の災害によつて燒失したと申します場合には、これは当然憲法上の予備費によつて復旧がなされるものだろうと思います。そういうものを除きまして、人事院自体として必要な費用といたしましてこれを設けたわけであります。人事院の支出が軌道に乗りまして、その支出の種類、範囲についても、大体めどが立ちまするならば、これは廃止しよう。これは岩男さんのお尋ねの御趣旨の中にもあろうと存じますが、何と申しましても、財政法上の特例でありまして、権道であろうと思います。從いまして、こういう制度は本来そう望ましいものではなかろうかと存じます。できるだけこれは早い機会に廃止したいと、そういう意思も併せまして、ここに三年間だけはこれを認めて頂くと、こういうような趣旨でございます。
 次に九十二條のお尋ねの御趣旨は、全く御尤もな点でありまして、私共も憲法第七十六條の第二項の「行政機関は、終審として裁判を行うことができない。」ということを否定する意思は毛頭ないのでございまして、この人事院の判定に対して、法律問題及び法律問題の基礎をなす事実問題、即ち引つ括めて違法性を爭う問題に対しまして、裁判所に出訴する権利を否定するものではないのでございまして、これは当然に人事院の性格権限を謳つております。第三條の末項におきまして、「前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。」これが当然にかぶつて來ると、こういうように御了承頂きたいと思うのであります。
 それから國会議員の祕書の問題でございます。國会議員の秘書の問題というのは、國会議員の秘書は、最初は事務補助員という名目を持つておつたわけであります。これがこの度秘書になるわけでございますが、これはやはり從來のところでは、國会職員の一種であろうかと存じます。私共の考え方といたしましては、やはり政府から給與を受けておるのでありまして、その性格については若干疑問があるのでございますが、やはり私共は國会職員の一種ではなかろうか、國会職員の一種であると考えておりましたわけで、從いまして現行法の下におきましては、第二條の三項の十八号に基きまして、國会職員の中に入るものと。こういうように考えておりましたが、この法案のいろいろの審議の過程におきまして、最終の段階におきまして御諒察頂けるようないろいろな事情に基きまして、これを特別職から一般職に移すと、こういう措置がとられたわけであります。大体國会議員の中にはいろいろ特殊な性格を持つておられる者が多いわけであります。図書館の職員でありますとか、彈劾裁判所の職員でありますとか、專門員、調査員、いろいろと國会プロパーの職員と違う性格の者があると私は存じておりますが、それでも大体においてその特殊性を認めて行けば、一般職に移してもよろしかろうと考えられる次第であります。ただ、只今お尋ねの國会議員の秘書の性格に関してでありまするが、これはもう如何ように考えましても、一般職の職員とするのには、私率直に申上げますると、不適当ではなかろうかと存じます。然らばこれをどうするか。國会議員の秘書を一本立てるかという問題は、これはまだ私の個人的な意見でありまして、政府部内で纏まつた意見ではございませんが、確かに御質問の上は、重々理由のある、全く御指摘のような御尤もの点がある問題でございまして、これは十分に研究しなければならん問題であると存じます。取敢ず、お尋ねがございましたので、お答え申し上げます。
#7
○赤松常子君 私ちよつと希望的な意見を申上げて、御考慮願いたいことがあるのでございますが、これからの行政機構の中に婦人が進出いたします面が随分あると存じます。例えば厚生行政や文部行政、労働行政あたりに、婦人の有能な職員が、そういう行政機構の中に入つて行くことが必要だと思うのでございますが、從來そういう面に対する婦人の教育的措置が少しもとられておりませんので、この間局長に聽いたことでありますが、沢山應募者があつても、それにパスする率が非常に少い、これは基礎的なそういう教育がなされていないからなのございまして、こういうことに関しまして、一面そういう機関を作り、或いはそういう男女共学の下に実らせるということも必要でございましようが、そういう方面に出たいという女子のございました場合に、確かに能力はないのでございますので、その前にこれを教育する便宜的な制度といたしまして、例えば半年なり一年なりというものの間そういう勉強のできるような措置をお講じになつて頂きたいと私は思うのでございますが、その辺の御考慮はなされておりましようか如何でございましようか。例えば私厚生省に入りまして、いろいろ調べて見ましたのですが、非常に婦人が能力はあつても、上に上れない。甚だしい例を申上げますならば、二十年働いて、やつと雇員かち三級官に上つたという人すらある。そういう方々は、男の方で言うならば、もう五六年でどんどん昇任なさつていらつしやるに拘わらず、そういう場合がございますし、逓信省の方を調べて見ましても、そういう例が随分ございます。婦人が段々社会的に進出して行きたいという意欲は持つておりましても、能力の不足の点からでき難い実情にあるのでございますので、そういう点を御考慮頂きましてできるだけそういうことをお考え頂きたいと思いますが、そういうお考えがありましたらお聞かせ頂きたいと思います。
#8
○政府委員(佐藤朝生君) 只今赤松委員から、婦人の公務員のことについて御発言がございましたが、先日赤松委員にも、私共人事委員会が職員として女子職員を採用して、普通の試驗をいたしまして女子の方々が余り試験に通られなかつたということを申上げた次第でございましたが、我々の考えております職階制は、職務とその責任の程度に感じてやりますので、その点におきまして、女子にふさわしい職務につきまして、いろいろ考慮いたしたいと思つております。
#9
○寺尾博君 三十六條の採用の方法に関係して御質問いたしたいと思います。三十六條では職員の採用は競争試驗によるということが原則になつておるようであります。但し特殊の場合としてここに選考という方法が採られるということを示されてあります。これはどういう場合に適用するのであるか、その具体的の例を以て御説明を願いたいのであります。
#10
○政府委員(岡部史郎君) 御説明申上げます。その採用の方法は申すまでもなく今後原則といたしまして公開の競争試驗によるわけでありまするが、何と申しましても、現在の試驗制度がいろいろ進歩し、科学的になつておるとは申しましても、やはりその性能には限度があるわけでございまして、比較的高級な事務的な職務であるとか、或いは公開の競争試驗をやり得るものでありましても、高級な技術的なものにつきましては、必ずしも競争試驗によることを必要としないものがあるわけであります。例えて申しますと、その技術の能力を競争試驗によらないで一定の基準を設けましてこれをテストする方法というようなものが考えられるわけであります。かような場合におきましては競争試驗によらないで、一定のテストの点以上を取つた者はこれを採用するというような場合におきましては、やはり一種の競争試驗以外の試驗であると存じます。又その行政事務の方面におきましても競争試驗によることを不適当とする場合が多々出て來ることがあろうかと思います。それはその者の指導性であるとか、或いは部下統率能力であるとか、そういうような幾多の例があろうかと思います。そういうような面を強調しなければならん職位におきましては、この選考という方法が採られることになろうかと存じます。
#11
○寺尾博君 只今の御説明でこの三十六條の趣意は理解いたしましたが、行政方面の職務についても勿論ありますと思いますが、殊に研究機関の場合におきましては、選考というよりもむしろ或る特定な人が、新たに設けられた特定の職務に殆んどその人でなければならないといわれる場合さえある。例えば大学における或る特殊の研究に從事しておる、これは必ずしも公務員では今までなかつたかも知れませんが、又公務員の資格があつてもよろしい、それを他の政府の研究機関において或る新らしい方面の技術的な事業を創設するような場合に、そういう人を特に指摘して採用しにやあならんというような場合が非常に多いと思います。選考という方法によることを妨げないということであるが、実際にそういうふうに特に指定しなければならない場合が沢山あるのでありまして、実際上の法の運用においては、そういう点を十分に考慮して頂きたいと私は希望するのであります。
 尚これに関係してその次に書いてあるのは、この「但書の選考は、人事委員会の定める基準により、人事委員会又はその定める選考機関が、これを行う。」この選考機関とはどういうものを指して言うのでありますか。
#12
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。その前段につきまして寺尾委員から重ねてお尋ねがございましたところは、全く私共の考えておりますることその通りでございまして御同感申上げる次第でございます。ただ私最初の御説明にそのことを申上げなかつたのは、実はそういう或る大学の講座、機械学なら機械学の講座を受持たせるためには、この人でなければならないという場合が今御指摘の問題でありまするが、そういう学術的な大学の講座であるとか、或いは研究所の、大学附属の研究所の所員の地位であるとか、そういう者への採用につきましては主としてこの選考によるわけでありまして、それは今後どういう方法によつて行われるかと申しますると、この教育公務員法というものが近い將來において御審議頂けることを私共予想しておるわけでありまして、その教育公務員法におきましては、そういう大学の教授というような学術的な地位に就く公務員につきましては、殆んど全く、或いは例外がないと言つてもよろしいと思いまするが、この選考によるつもりであるのであります。從いましてその選考機関と申しますのも、ここに書いてあります「人事委員会の定める基準により、人事委員会又はその定める選考機関が、これを行う。」ということになつておりまするが、それは別に法律を以て選考機関を定めることを否定しておる趣旨ではないのでありまして、例えば大学教授会が選考機関になる、こういうことが一つ予想されるわけでございます。それを除いてはこの第二項で選考機関がどういうものになるかと申しますると、それは具体的な場合についていろいろ違うかと思います。商工省の地質研究所の技官を採用するに当りまして選考によることを必要とするというような場合におきましては、その選考機関として或いは大学の教授会を使うとか。或いはそれにふさわしいような選考機関がそのときどきに考えられようかと思います。それはそのときに人事委員会規則でこれを定めることになろうかと存じます。
#13
○寺尾博君 もう一つその研究に連関したことでお伺いいたしたいのでありますが、何時でありましたか、公務員は私的企業会社等の……。
#14
○政府委員(岡部史郎君) 百三條であります。
#15
○寺尾博君 百三條ですか。これに関係しちやならんということ、これはまあ当然のことでありますが、從來ではその営利会社からの委託を受けてその研究費を提供されて、特殊の研究を大学の研究員がやるというような場合があり、又それが學問の研究発達の上にも、又産業を助長する上にも相当有効な結果を現わしておるわけでありまするが、この種の問題は今度のこの公務員法においてどういうふうに取扱われることになるのであるか。それをお伺いしたい。
#16
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。この百三條第二項の趣旨はいわば天降りを禁止するという趣旨でございまして、その狙うところは在職中の職務上の権限と申しまするか、権力とか、そういうことを利用してその職務上密接な関係にある会社との関係を深くいたしまして、そうして退職後そこに入つて行くということを拒否して官紀の粛正を維持するという趣旨でございまするので、今の寺尾委員のお尋ねのような、学術的な意味のものは、職務上密接な関係にあるものというところに私該当しないものと解釈しております。
#17
○寺尾博君 そうすると只今のような営利会社から特殊な問題についての研究費を受けて、研究をするということは行われ得るわけでございますか。
#18
○政府委員(岡部史郎君) 專ら研究のためにやります場合におきましては、この百三條の問題ではないのでありまして、むしろ百四條の問題になろうかと存ずるのであります。即ち百四條、これはその職員が報酬を得て、中略いたしまするが、「その他いかなる事業に從事し、若しくは事務を行うにも、人事院及びその職員の所轄廳の長の許可を要する。」こうありまして、恐らくそういう研究事業を報酬を得てやります場合においては、これに該当をしようかと思いまするが、お示しの研究費用を受けるということは、これは報酬を得てということかかりますか、どうでございますか。個人的な研究費用を受けるというような場合或いはその役所を通じて受けるというような場合、いろいろな場合があろうかと思います。個人的に、直接に、研究費の補助を受けるという場合におきましては、これはやはりその所轄廳の長の許可を受けてやることが当然であろうと存じまするので、大体百四條でカバーできようかと思います。で百四條の範囲内におきましては、そういうことは可能であろうかとも存じます。
#19
○北村一男君 私はこの前國会におきまして、公務員法が審議されますとき、この懲罰或いはこの分限の七十八條の問題に関連しまして、質問をしたことがございます。これは農家が只今御承知のように食糧確保臨時措置法によりまして、供出の義務を負わされておる。ところが政府はこれに対しまして、肥料、農機具、農藥の確保の義務を負うておるのであります。ところが今日まで、今年は別でございまするが、昨年までは、肥料でも、農機具でも農藥でも、決して約束した通りの農家の手に入つておらん。公務員が或るところから百万円收賄しようが、或いは一千万円收賄しても、それはその金額の範囲でありまするが、若しも五百七十万の農家、三千数百万人の人口を持つ農村に、肥料一貫匁当り違約しましたならば、この影響というものは実に大きなものであります。ところが今日までその計画をした人が違約しても、未だ曾て処分された例がないのであります。のみならず当時私がこの法案を審議しておりまするとき、私が只今申上げた食糧確保臨時措置法が、農業生産調整法という名前で出ておりました。これは私共はこの法案の内容は甚だ農家に取つて不穩当のものであるという点で一應否決したのであります。それは何だというと、若し政府の割当に反して供出しないときはもとよりですが、政府の言つた通りの作付けをしないときに、三年以下の懲役、一万円以下の罰金というような制裁を付けた法律でありまして、ところが農家に対してそういう制裁を與えていながら、肥料、農機具、農藥という農業の基本的の生産資材の割当を怠つた担当者に対して、未だ曾て懲戒とか、或いは処罰を加えられた例を不幸にして聞かん。こういうことは公平の念から見て不穩当である。ところがそれに対して政府はどういうふうに考えるか。こういうことの質問をいたしましたるに対しまして、この七十八條の勤務成績の挙がらざる場合というものを以て処断ずる、こういうような答弁でございました。ところが、これも関連しますが、今度の改正でこれが「勤務実績がよくない場合」、前の法律は挙がらないという積極面を責めたわけでございますが、これは「よくない」というのだからまあ普通にやつて、多少まあ、可もなく不可もなくやつて、農家なら農家に迷惑を掛けてもこれは責めなくてもいいというように、非常に枠が弛んで来たような氣がいたすのであります。御承知のように連日この公務員の給與問題につきまして、ストライキの権利を制限したり、團結権を取つてしまうというようなことはよくないという説がありますが、私はこの給與の待遇を上げなければならんということについては、これは農村としては全然同感でありまするが、爭議権とか團結権を公務員の地位にある者が制限されるということについては、これは当然のことと、私は日本の農村全部がさように心得ておると存じます。のみならず給與を引上げまするにつきまして、その負担の大部分は農家がするのであります。だからそういう点から考えて、農民を責めるに甚だ酷でありまして、そうして公務員がそういう……、勿論刃物を以て百姓を殺さなくても、そういう自分らの不注意とか、或いは怠慢とか、或いは杜撰な計画によりまして、農家に多大な迷惑を掛けて、生産力に非常に影響を與える、こういう者が單なる勤務成績がよくないというようなことを以て処断されるということについては、私は農民全部が納得することができない問題だろうと思うのであります。これに対して政府はこの程度を以て御満足になつておるのかどうか。これが妥当であるとお考えになつておるのかどうか。前に私に御答弁下さいましたのは、佐藤、今の法制局長官でございましたが、御出席の政府委員の方々はさようなやはり御解釈を以て、單に「勤務実績がよくない場合」というようなことを以て御処断になるということを妥当とお考えになつておるかどうか。この点を一つはつきりお示し願いたいと思います。私は実例をお示しして、この実例についてお答え煩わしたいと思うのであります。
#20
○政府委員(岡部史郎君) 十分お答えになりますかどうか存じませんが、一應お答え申上げたいと存じますが、この「勤務実績が挙がらない場合」、又は「勤務実績がよくない場合」として職員の意思に反してこれを降任したり免職するということは、これは一面におきましてその職員の身分保障という立場からも考えなければならんわけでありまして、その勤務実績がよくないという單なる主観的な理由で、軽々にこの條項を発動してはならんことは御同感頂けることと存じます。而も今後の國家公務員の在り方といたしまして、主観的なやり方で、そういう身分が動くということは極力これを避けるのでありまして、そのために科学的なメリット・システムを施行するわけでありまして、一つのポストに就いている限り、そのポストの職務内容、それの責任とははつきりしなければならんわけであります。從いまして、將來職階制が実施されます場合におきましては、誰がどういう職務内容を持ち、どういう責任を負うかということが、これがはつきりするということが、これが一番職階制の「ミソ」であり、本質でなければならんわけであります。現在のところ、ただ局長が責任を負う、次官が責任を負うと言つても、皆責任を負う形において、その責任が分散して來るわけであります。これがいわば從來の官界の一つの弊害であると申してよろしいかと思います。從いまして、そのポスト或いはポジシヨンの責任内容と職務内容がはつきり限定される、でそのポジシヨンに就いている者につきましては、然らばこれをどういうようにその職務の遂行をしているかどうかということを判定し、その責任を明らかにするかと申しますると、それも科学的な勤務成績の評定を行うということになるわけであります。この勤務成績の評定の方法につきましても、いろいろな方法があります。で可なり科学的な合理的な統計的な方法ができておるわけでありまして、單なる上司の主観的なる判断によることは、これを避けよということになつておるわけであります。第七十二條を御覧になつて頂くと、「職員の執務については、その所轄廳の長は、定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に感じた措置を講じなければならない。」と、こういうことになりまして、その評定表によりましてその職務内容に感じた評定が現われるわけであります。それに基きまして、責任の所在がはつきりして、それに感じまして賞罰が行われることになるわけであります。現在までのところは遺憾ながら北村さんの仰せの通りに、甚だ官職で約束しましたことが、その通り行われない場合におきましても、その責任の追及というものが、常にうやむやになつているということは、実状としては仰せの通りだろうと存じます。そういうことをなくしようというのが、このメリット・システムの狙いであるのでありまして、その点につきましては、今後御覧頂きたいと思うのであります。言葉の「勤務実績が挙がらない」というのを「勤務実績がよくない場合」と変えましたのも、これは積極、消極の氣持もあろうかと思いますが、表現を正確にしよう、日本語の表現はなかなか正確でないのでありますが、できるだけ正確にしようという一つの試みなのでありまして、その表現がこの場合成功しておりますかどうですかは、御判断にお委せいたしますが、その表現の苦心した点だけは御了承頂きたいと存じます。
#21
○北村一男君 私は只今の御答弁に遺憾ながらどうも同意しかねる点があるのであります。そのわけは、例えば懲戒の條項にございますが、多分懲戒の條項において、明らかに私が今理由を挙げましたように、農村に対して、主食を適当の時期に、適当の量を配給しなかつた人は、第一号に「、又は職務を怠つた場合」ということになりはしないかと思うのであります。この場合に一番重い処断を受けた人は、多分免職になるものと心得ます。ところが農民が供出いたしませんと、これ又、これはまあ我々の反対で懲役、体刑若しくは罰金というのは免れましたが、まだ食糧確保臨時措置法の中には、いろいろの場合に罰金を想定されております。ところが一旦そういうことをして免職を受けました公務員が、この三十八條の第三号の「懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者」そんならば、した者は官職に就く能力を認められるというのか、免職というものは、私は公務員のまあ極刑に、つまり死刑に該当するものと思うのでありますが、これが皆生き返つて來るということになる、ところが農民は一旦体刑を受けたり、まあ罰金はともかくとしまして、体刑を受けるというと、これを消す方法がないのであります。どうしてこれでバランスを取ることができるのでありますか。私はその点も前の決算委員会と、この公務員法の審議の場合において、聞いたのでありまするが、当時佐藤法制局長官のお話では、まあこの程度にして置いて貰いたいというようなことで、到頭まあ審議の期間が非常に差追つておりましたので明答を頂くことができなかつたのでありまするが、これが又ここに生きるようになつて、抜け道ができておる。ところが公務員というものは非常に仲がよろしくて、まあ同志愛といいますか、非常に仲がおよろしいので、二年を経過すると必ずどこかへお就きになる。ところが農民には、そういう拔け道がないのであります。これでバランスが取れておるとお考えになるかどうか、これについて御明答を煩わしたい。
#22
○政府委員(岡部史郎君) 重ねてのお尋ねでございまして、全くこの懲戒処分といたしましては、この免職ということが、國家公務員という身分を持つ者に対しましては、いわば死刑に当る極刑でございます。然らば死刑になつたらもう復活させる必要がないじやないかというのは、誠に首尾一貫した理論でございますが、併しこれは一時の過ちのためにそういう場合になりましても、その罪といいますか、その過ちがもう償われたと考えます場合におきましては、又これを復活させる途を講じて置くのが、それはやはり法の人情、法の情と申すものではかろうかと、こういう建前から、從來官吏制度にありましても、官吏懲戒令におきましても、やはり懲戒免職を受けてから二年経つて、改悛の情が著しい者はこれを復官させておることは御承知の通りでございます。で、それが只今の御引例の農家に対する処罰その他の場合と釣り合いが取れないじやないかというような御意見でございますが、誠に感情としては、そういうようなことをお懷きになることも御尤もかと存ずるのでありまするが、農家の場合におきましても実はそういう体刑まで受けるというのは、これはやはり実情といたしましてはよくよくの場合なのでありまして、私の狭い見聞の範囲におきましてはこれはやはりなかなかそういう作付関係或いは供出関係におきまして、違反によひどい体刑を受けるというようなことは、なかなかよくよくの場合であろうかと存じまするので、その間に釣り合いを取る取らんというようなことも、なかなかむずかしいことでありまして、どういうようにして釣り合いが取れるか、二年間の……例えて申しますれば、一年以下の懲役でございますが、半年なり三ケ月なりの懲役を一旦受けた、刑を受けた人となつたという農民の忿懣として、そういう職務を忠実に行わなかつたために、職務を怠つた者として懲戒免職を受けた者とのバランスというものが、どちらが重いのか軽いのかということも、これは一概に計量いたしかねるものであろうと存ずるのであります。甚だお答えしにくいことではありまするが、お氣持は分りますが……(笑声)
#23
○赤松常子君 只今の問題と関連いたしまして私第七十八條につきお尋ねしたいのでございます。第一から第四まで上げられております場合、それを決定いたしまするその手続或いは機関が問題なのでございますが、只今のあなたのおつしやいました言葉の中に、情状の酌量によつて決定してはいけないとおつしやつておりますが、もつと積極的に、この辺のことをはつきりなさつて置かないと、ここに問題が非常に起り易いし、又ここに起ると思うのでございますが、成る程九十八條で團体を組織することができますけれども、團体協約を含まない、單なる團体交渉権のみである。こういう重大な問題に対しまして何か申しても更にそれは無力に終つてしまうことは今までの例で余りにも多いことなんでございますが、それを決定する手続や、それから機関をどういうふうに考えていらつしやいましようか、お答え願いたいと思います。
#24
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。第一やります場合におきましては先程申上げました通り、今の赤松委員のお尋ねはむしろ身分の保障という面からのお尋ねであつたかと存じます。そういうために各号に該当するためには客観的な事由がなければならない。その客観的な事由というものは主として勤務成績の評定というような客観事情に基いてこれを行なうということになろうかと存ずるのであります。でそれの処分を行なうものは、原則として任命権者がこれを行なうのであるが、例えば各省について言うならば各省大臣がこれを行なうのであります。これに対して不服がありました場合に、それに対する救済方法は認められてありますので、その救済方法といたしましては、第八十六條以下の手続でございます。勤務條件に関する行政措置の要求、その第一目及び第二目八十九條以下の規定、それから先程申上げました九十二條というような規定がございまして、これらの規定を十分に活用するということが、この國家公務員法の眼目であります。これらの規定があるために、從來の懲戒令も廃止いたします。それからこれらの規定がありますために、人事院というものが特別の機構を備えるものでありまして、これらの機能を十分に果そうという意味におきまして、人事院が準司法的機関と言われる面がそこにあるわけでございます。これらの職員の身分保障につきましても、最終的に人事院が行政部門に関しては、最終な機関として職員の保護に当るかと思うのであります。今日羽仁委員が見えませんが、羽仁委員がいつも言われる保護という意味がパタアナリズムである、そのパタアナリズムが民主主義の下においては進歩的な意義を持たんと仰せられることにつきましては私も同感の部分が多いのでありまするが、併し第八十六條以下の今申上げました規定によつて、職員の正当なる地位を擁護するという方面におきましては、そういう意味におきましは、人事院が保護的な機関である。この法律がそういう意味においては保護する面があるということを申上げられようかと存ずるのであります。
#25
○赤松常子君 人事委員会のことでありますが、その人事委員会に、そこに働いております者の意思というものがどの程度反映せしむるように考えていらつしやいましようか。その点をお聽きいたしたいのでございます。最後に決定いたします人事委員会の中の今おつしやいました客観的資料を公平に持ち出すべきものといたしましては、そこの公務員の全体の意思でなければならないと思うのですが、それがどういうふうに反映できるようになつておるのでありましようか。
#26
○政府委員(岡部史郎君) 或いはお答えがお尋ねの的を逸れているかも知れませんが、人事院の外の行政官廳と異なる機構といたしましては公平局というような制度がございまして、ここにおきましていろいろ客観的な立場からその資料その他に基きまして、その事案を審査することになります。又その八十六條以下の規定に基きまして、実際それぞれの措置を訴えることができるような手続を人事院規則で定めることになるわけでありまして、その公平局の決定が更に上に参りまして、人事院の会議の決定によつて最終的に決まることになる仕組になつております。
#27
○宇都宮登君 第九十八條の問題をお尋ねして私の意見を申上げます。この法律の文面を見ますと、私共のような頭の惡い者には、初め一行読むと二行が怪しくなるような実はむずかしい字句が使つてあります。最初に自主的の團体を認めてあるということははつきり分りますが、その末尾に当つて「但し、この交渉は、政府と團体協約を締結する権利を含まないものとする。すべて職員は、職員の團体に属していないという理由で、不満を表明し又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。」とこう書いてありますが、そうすると自主的團体でなくなつて、この團体外の人が交渉に來ても差支ないということが見えている。これは誠に現在の情勢から我々が判断して、最近の労働組合の情勢等から見ましてもこの「職員の團体に属していないという理由で、」という字句だけは取消したらどうかと思うのであります。この字句はいらないものじやないか。法文の趣旨から言つても必要はないのじやないかと、こう思うのでありますが、御意見を伺います。
#28
○政府委員(佐藤朝生君) 只今宇都宮委員からお尋ねでございましたが、第九十八條第二項の末項の意味は、「すべて職員は、職員の團体に属していないという理由で、不満を表明し又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。」と規定してございまして、これは公務員が公務員の或る職員團体に属していないという理由で不満を表明する自由は否定されない。公務員以外のことを言つているのではございません。
#29
○宇都宮登君 それは了承いたしました。それではもう一つお伺いいたします。再三政府委員の説明を聞いておりますが、第二條であります。総体的にこの法案の修正に当りまして、民主化、國家公務員の民主化とか、保護とかいうものが本法案修正の骨子になつておるようでありますが、この中に一般職と特別職と分けてありますが、特別職の現業廳、これは十二です。「現業廳、公團その他これらに準ずるものの職員」とあります。公團の職員とか法律で百三條かに出ております退職後制限を受けるというようなことは、全國にあるいろいろの公團の職員がすでに職を失なつてしまう。而もこの公團法というものは、御承知の通り昭和二十四年三月三十一日でこの法律は切れるのであります。こういうことが、例えば現在の食糧公團にいたしましても、すでに日本全体の空気が統制廃止というようなことが非常に言われておる際に、公團法が又來年三月三十一日に継続するや否やは現在は疑問でありますが、そういうものがこの制限を受けるということは恐らく民主化どころではなく、保護どころではなく、これに逆行する法律になる、こう考えるのであります。
 もう一つ進駐軍労務者がこれに準じておると思います。これは國家が現在俸給は支拂つておりますが、その使用主は別の日本國以外の人である。現在の職責は完全に保護されておるかいないかということは怪しいものだと思います。
 もう一つ、全國数十万の森林労務者があります。これがこの法文から行きますと、完全に公務員に入る。國有林に勤めております山林労務者は全部公務員の中に入るようになつておりますが、これもいずれかと申しますと、全部山林の中で專門に事業をやつておりますこの人たちの將來は惠まれておりません。これが退職しましても、すでに長年山林の中で都会と離れて生活し、又林業、農業專門以外のことは知りません。これをさつきの百三條かで制限せられますと、これは本当の民主主義と逆行し、殆んど保護という字句が逆に……この法律の趣旨と法文とで逆の効果が現われるということが考えられるのでありますが、この点についてもう一度御答弁をお願い申上げます。
#30
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。
 第一は公團職員の百三條第二項との関連の問題でございます。全く仰せの通り、公團というものは特殊の性格を持ち、又法律の建前上も永続性のないものでございまして、これらの特殊性はこれが一般職に入ることになりましても、十分これを認めていかなければならないと存じております。事情の許す限りこの法律附則第十三條におきまして、その特殊性に基きまして、一般の法規を適用することを必要としないものは、それぞれ除外例を設けて行きたいと存じております。特に百三條の関連でありまするが、これらの公團の職員と申しますものは、大体從來の統制会社又は営團の職員でありまして、純然たる民間から入つて來られた方が多いわけであります。これらの方が又民間の地位に戻るということはこの百三條第二項が企図いたしまする権力を持つた役人が、民間会社にその権力との関係において、天降りするというような弊害を除くという趣旨に相触れるものではないのでありまして、從いまして公團の職員が公團の解散後或いは公團が現存中でも、民間の会社に帰ろうとする場合におきましてこの百三條第二項に該当するものとして取扱いをする意思は、現在人事委員会としては持つておりません。これは具体的な実例について解決しなければならん問題でありまして、折衝することも必要なのでありまして、かねて折衝しておる問題でもありまするが、人事委員会といたしましては、この公團職員につきましては、全面的にこの百三條三項の方を利用いたしまして、人事委員会の承認を得まして、この百三條第二項の適用を外して行きたいという考えでおることははつきり申上げられる次第であります。
 尚進駐軍労務者につきましてのお話があつたわけでありますが、これらの特殊性も勿論認めなければならんわけでありまして、その特殊性を認めます外に、進駐軍労務者が百三條第二項に該当する場合におきましても、原則としてその適用を受けないものとするように取扱いたいと思います。
 尚最後に森林行政に從事する者についてのお話があるわけでございまするが、これは場合を分つて考えなければならんかと思うのであります。森林行政と申しましても、例えば地方の営林局の幹部或いは営林署の幹部が、地方木材会社との從來の密接な関係を利用いたしまして、退職後地方木材会社の幹部の地位に天降るというような場合におきましては、明らかに百三條二項で抑えるのがこの法の趣旨であろうかと存じます。併しながら森林関係に從事いたしますものにおきましても、純粋に私企業の木材事業に從事している者と変らん種類の方が非常に多いわけであります。こういうような方々が、例えば退職後民間の会社に行かれるというような場合におきましては、これはやはり百三條二項の適用は排除するのがその筋であろうと存じます。私共といたしましては、そういうような方向に向つて行きたいと思つております。
#31
○宇都宮登君 説明で御趣旨はよく分りましたがそれでは今百三條三項によつて緩和して行く、例えば進駐軍労務者に対しても特にそういうふうなお考えを持つておられるとすれば、現在この修正をするときにですね、今のうちにこれを訂正して作つて置いたら、國民全体の氣持もどうかと思われる。一應法律で定めて法文化して、法律を作つて置きますと、國民全体はもうその氣持になつてしまう虞れがありますし、又その幹部の人も、その法文によつて左右されることが非常に多いのであります。現在のうちにこれを訂正して頂きたいと考えております。その氣持をはつきりこの法文に現わして置きたい、こういうのが私の希望であります。
 尚最近この法律の問題についても当局の方でしばしばその筋と御協議をなさつておることと思いますが、フーヴアー氏がアメリカヘお帰りになりまして、その後如何なる折衝をなさつた、或いは現業出案に対しての意向等を聽かれておつたか、公開の席上で都合が悪ければ、秘密会ででもその後の経過を一つお話を願いたいと思います。
#32
○委員長(中井光次君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#33
○委員長(中井光次君) 速記を始めて下さい。
#34
○政府委員(岡部史郎君) 先程岩男さんから御質問がございまして、私お答え申上げたのでありまするが、今ちよつとお席を外しておられるようでお見えになりましてからお答え申上げたいと思つておりましたが、私も今衆議院の方で委員会が始まりますので、退席しなければなりませんので、ちよつとお答えさして頂きますから、惡しからず御了承頂きたいと思います。
 それは國会議員の秘書が一般職とするに適当であるかどうかというお話でございます。趣旨は先程申上げた通りでありまするが、國会の職員が一應ここ三年間に限りまして一般職とする措置を、この改正案においては講じておるわけであります。併しながらその國会の職員の特殊性は附則の第十三條で認めて行こうという建前になつておりまするので、その國会職員の中におきましても、最も特殊性のありますものとして、國会議員の秘書があるわけであります。この國会議員の秘書に関しまして、附則の十三條の特例を以てこれを賄い得るかどうか、賄い得るならば附則の十三條でこれを賄いたいというのは当然のことかと存じまするので、附則の十三條によつて賄い切れるかどうかということにつきましては、尚研究いたしたいと思つております。又國会議員の秘書が國会職員でないという説も或いはあるやに承わりますが、その点に関しましても更に研究いたしたいと思つておりますから、どうぞ御了承頂きたいと思います。
#35
○委員長(中井光次君) 政府委員にお願いいたして置きますが、今日は人事委員会だけでありますので、先程お配りになりました「政治的行爲に関する人事院規則試案」、これは直ちに一つ労働委員の方々にも全部御配付をお願いいたして置きたいと存じます。尚昨日のお約束によりまして大藏大臣が間もなく出席されると存じます。その際には労働委員からの御発言の御要求もありますから、承認してよろしうございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(中井光次君) そういうことに取計らいますから……。尚御質問がありましたら……。それではちよつと休憩いたします。
   午後三時四分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時二十一分開会
#37
○委員長(中井光次君) それでは休憩前に引続いて開会いたします。大藏大臣がお見えになりました。お急ぎのようでありますから、大藏大臣に対する御質問をお願いいたします。
#38
○委員外議員(門屋盛一君) 大藏大臣は随分お忙がしいようでありますけれども、本院としても、私としても、よく聞いて下さい。非常に重要な問題でありますから、昨日からお約束しておつたのでありますが、向うで本会議があるそうですから、極めて簡單にお話したいと思うのでありますが、順序として一通りのことを話さないと、お答えがしにくかろうと思います。そこで、なぜ私はこの委員の皆さんたちにまで御迷惑を掛けて、かくのごとく予算問題について再三総理大臣その他に御質問を続けねばならんかということを、一應申上げたいと思います。これは公務員法を本院に提案されましたときの趣旨説明に対して、本会議におきまして、私が劈頭に質問を申上げた。その質問の中にも、これは一方において抑えるだけのものを抑えておるのである。いわゆる制限は十分にいたしておる。政令によつてすでに制限があるのだから、給與の問題を、安定処置を考えなくして、この法案を審議することは非常に困難であるということを私が質問しましたのに対して、政府は、速かに提出すると言われておるのです。その次には、それでもまだ提出の模様がないから、参議院の院議で以て、決議案で以て、速かに新給與水準を予算化して、本院に提出して貰いたいという要求をした。それに対しても、大藏大臣、総理大臣はそのときに、政府は院議を尊重して善処いたしますというお答えがあつたのであります。私の質問並びに決議案の趣旨弁明にもはつきり申上げてありますように、公務員法と予算措置とは絶対不可分のものであるということを、特に認識して貰いたい。この可分か不可分かという問題について、現在政府の見解と野党側の見解とは意見の相違しておる事実があるのであります。私はこの意見の相違しておることについて、ここで申上げたくはないのでありますが、法理論や又はマッカーサー元帥の書簡の解釈について云々することを暫く待つて見ましても、実際現実の問題として七月以來三百万もの官公労の諸君が如何なる窮状にあるかということを考えて見ますときに、法理論や書簡の解釈でなくして、政治的に考えても、絶対的に切離すことのできないことは、これは意見が一致すると思うのであります。この点大藏大臣と私の意見が一致しておるかしないか、はつきり伺いたい。私は必ず一致しなくてはならないと思います。なぜならば、このことに対しまして、第一に、淺井人事委員長は数回に亘つてこの見解を明らかにされておる。要約して申上げますならば、淺井委員長とお答えは、非常に密接なるものである。不可分という言葉をお用いになつておらんが、密接なるものである、法律案だけが成立しても、この安定処置その他の施策が行かなければ、マ書簡の全体を達するわけには行かないということをここでも言明され、衆議院でも言明されておる。その第二には、労働委員会において増田労働大臣に対して、吉田内閣の全体の労働問題に対する質問から考えましても、こういう問題は立法的の措置によつて抑えて行く方を先にするか、立法的の措置は後でも、先ず労働者の安定施策を先にするかということをお尋ねしたことに対しましても、増田労働大臣は、立法的措置を先にするということはよくない。完定施策の方を先にするのが本当であるということを言われておる。第三には殖田法務総裁が人事、労働の両委員会、この席で私の質問に対して、即ち立法的に本案を成立せしめて実施した場合には不穩の事態の発生する虞れがあるかないか。私としては、その発生の虞れがあると思つて憂慮しておるのであるが、法務総裁即ち治安の責めに任ずるところの法務総裁としての見解はどうかということを質しました折に、法務総裁は、私の通り、門屋委員の言われる通り、私もこの点は実に憂慮しておりますということを、はつきり言われております。
 この三つの点に対して、昨日この委員会において、吉田総理大臣に対して、この三つの見解はどうかということを質したときに、その三つのいずれをも吉田総理大臣は、その通りに考えておる。然らば殖田法務総裁が憂慮すべき事態が起ると言うことに対しても、総理はその通りにお考えになるかと言えば、その通りに考えておる。こういう点から考えましても、私が先きに申しましたところの、実際に政治的に考えた場合に、絶対的に切離すことのできないということには、恐らく今の政府としてもそういうふうにお考えになつておらなければならんと思うのだが、改めて大藏大臣の御所信を問う。この所信があるかないかによつて、予算案を出すか出さないかという決心が付く。そこで私は、政府は非常に今まで怠慢であつたということを、特に大藏大臣が怠慢であつた。何故ならば、この法案に対しては、前芦田内閣においては、同時提出の準備をしておつた。併し不慮のできごとによつて芦田内閣は倒れた。その後を引受けられたところの吉田内閣の見解は、初めから可分のものとして扱つた。不可分のものではない。初めから可分のものとしてお扱いになつておる。それは、前に戻りますが、解釈の問題になるのでありますが、こういうことを可分の問題としてお扱いになつておいて、後に政治問題としては切離すことができないというふうに解釈が変つて來た。かくのごときは、即ち現内閣が労働問題に対して、特に労働者の生活安定の問題に対して、関心が極めて薄いということを申上げたい。そういうわけで、当初から予算編成の意思がなく、当初から予算編成の意思があつたならば、こんなに遅くはならない。予算編成の意思がなかつた。中頃から、諸般の情勢上止むなく予算編成に掛かられた。併しながら関係方面との連絡に、十分な熱意が傾けられておりません。傾けられておると言うならば、大藏大臣からその点を釈明に預りたい。
 その次は民自党の在野時代の無責任な宣傳が非常に崇つて、財源難に陷つておる。財源難に大藏大臣は今四苦八苦されておる。こういう事実がある。そういうわけで、新給與水準の決定までに一番大事なところの財源難に陷つておる。予算編成難の一番大事なところの、新給與水準の決定に至るまでの間に、政府と人事委員会との連絡が不十分である。尚関係方面の各セクシヨンの了解を得ることにも怠つておつた。
 以上のごとく政府の怠慢と認識不足とによつて、速かに提出を要求せられておるこの院議に対しても、全くこの院議を無視したような状態に今日まで來ておる。これは一体誰の責任か。然るに拘わらず政府は、一昨日も昨日も、尚政府は、野党が徒らに審議を遅らしておるという声明をしておるではないか。全く何と言つていいか分らない。自分の認識不足と怠慢とを棚に上げて置いて、これを野党の責任に負わせる。公務員法を作らなければならんようになつた事情は、労働者諸君が権利と義務の点に欠けた点があるから、これを抑えなければならん、善処しなければならんというのが公務員法制定の一つの根幹を成したところの理論である。その理論が分つておるならば與えるだけの義務、政府は予算を作つて公務員の生活安定策を講ずるという義務を放つたらかして置いて、その義務をどういうふうに履行するのか、履行の方法を廳きたいということを國会は非常に熱望しておるにも拘わらず、それは國会に今日まで提案もせず、見透しも付けず、そうして又國会が徒らに審議を延しておるということを声明するに至つては言語同断不届至極、こういうふうに自分は考えておるが、大藏大臣は責任上如何に考えられるか、これは大藏大臣の不明と怠慢によつて三百万の官公吏に直接不安を與える結果となるに拘わらず、延いては一般労働者に対して増田労働大臣の構想と反対の結果となり、又人事委員会の給與水準に対する勧告にも答えず、法務総裁並びに総理が非常に憂慮されておるところの忌々しいところの結果を出現する虞れがあると思う。私は大藏大臣折角おいでになつてやかましいことを申上げましたが、やかましく言つただけではこれはいけない。國会と政府が共同の責任において何とかして、これは車の両輪の揃つた法案を出さなければならん。同時提出せよというのではないのですよ、我々の方は同時に絶対に出せない、財源でお困りになつておることはよくよく分る。同時に出せないが、先日來しばしば運営委員会でも、又総理大臣にも申上げておるように、先ずどういうふうに出されるかということの言明が頂きたい。こう申して、そこで我々はこの際政府に一層の努力を要望して、一日も早く予算案の提出を求める者でありますが、昨日の午後の私の質問に対しまして、吉田総理大臣は詳細なことに大藏大臣よりお話がある、こういうことになつて、昨日ここで大藏大臣に質問を続ける予定でありましたが、委員会が散会になりましたので、今日にこの質問が延びたわけであります。そこで今大藏大臣にお願いすることは、次の諸点に対して抽象的でなく、極めて親切に詳細なる御説明と御所見を承わりたい。若し時間の関係で詳細なことが伺えないならば、極めて早く明日の委員会にでも詳細なる説明をして頂きたい。本日その御答弁を頂けるならば尚結構、私の要望は今日その答弁が頂きたい、それは簡單であります。質問の要点はただ今日は極めて具体的にお答えして頂かなければ納得できない。それは第一に予算編成の今日までの経過及び状況、例えばいつ頃から予算編成に掛かられるか、そうして今どういう状態にあるか、その間において関係方面とは如何なる折衝を続けられておるか、又内閣とあなたの與党、内閣の與党、関係方面その他との連絡の状況を聽かして頂ければ我我は非常にそれによつて判断の材料になる。そうして総括したる補正予算で編成されておるのか、又は給與問題のみを別個に引抜いて編成されておるのか、こういうことをお伺いいたしたい。
 第二には予算提出の時期と方法であります。そういうふうにして編成されたところの予算はいつここに御提出になるつもりか、恐らく昨日あたりのお話を承わりましても、第三國会には到底出し得ないということを総理大臣は御疑問を持つておる。併し我々とすれば第三國会においてせめて予算の顏だけでも見て、それをせめてもの……笑つてはいけません。大事なことですよ。あなた方は労働問題を知らんから笑うかも知らんけれども、幾百万の労働者に國会議員は予算の顏を見ずに一方的に法案を通したということは絶対我々議員の良心としてできない。我我は第三國会に予算の顏だけでも見て予算を通したい。併し第三國会にどうしても出し得ないとすれば、第四國会でもよい、予算の重大性を考えていつ頃提出されるのか、或いは又傳えられるごとく、傳えられるというよりはつきり言つておる。繁急集会にまでこれをもつて行かれる構想でおられるか。
 以上の点につきまして昨日から質問要項は差上げてあるのでありますから、お分りになつておると思います。前段に長いこと申上げたのは、大藏大臣のこの公務員法に対する認識を更に喚起して貰いたい。認識に欠けておるから今日まで予算の編成ができない。公務員の立場、労働者が困つておる。國家が困つておる。議員が多数審議に困つておるということが御理解になつておつたならば、今日までかかる予算のでないというわけはない。こういうふうに私は考えまして敢てお忙しい中を煩わして質問をしたわけであります。十分なる御答弁を願います。
#39
○國務大臣(泉山三六君) 門屋さんにお答え申上げます。縷々お述べになりまして、ただ御意見傍聽に値するものがあるのであります。質問の第一点は予算編成の経過第二点は予算提出の時期、さようなことでございましたが、尚その前に折角いろいろ御説に預りましたので私もこの機会を以ちまして私の信念と心境について申上げたいと思うのであります。只今までいろいろこれまでの委員会におきまする質疑應答の内容につきましての御感想をお述べになりましたのと……、
#40
○委員外議員(門屋盛一君) 感想じやない、実際だ。
#41
○國務大臣(泉山三六君) 御判断をお述べになりましたものと承つたのであります。例えば官公吏の給與が今日誠に窮迫しておる。その表面の如何に拘わらず政府と雖もこの実情については十分理解を持つておるのであります。併しながらそれが四月以來三千七百九十一円ベースが前内閣において決定せられ、直ちにそれがその根抵において覆つておるものと私は考えないのであります。
 その次に今日政府といたしましては誠に財源難に陷つておる。かるが故に財政の処理の上に誠に難澁をいたし、尚又関係方面との連絡も頗る不十分でないか。かようなところの御認識でございましたが事情は断じてさようなことではございません。併しながらその財源難と申しましようか、とにかく公務員諸君の新給與、これを幾ばくに決定いたしましようと、我々は少くとも人事委員会の勧告を尊重する建前におきましてその財政上重圧は誠に重大なるものがございまして、これの財源捻出は財務当局といたしまして絶大なる苦心を必要とすることは先刻御承知の通りであります。而も況んや今日におきましては財源は殆んど漁り盡されておるのでございまして、この点は合せて御了承を願いたいと思うのであります。
 尚最後に「國会と政府と共同の責任において、」かような御所見がありましたことは、私の最も感銘に堪えない次第であります。
 次に御質問にお答え申上げますが、予算編成の経過を申上げます。もとより只今門屋さんの御指摘の通り國家公務員法の改正の問題は、本内閣成立の以前におきまして、すでに問題とせられた点でございまして、從いましてこれに附随いたします新給與ベースの問題が、これを予算化せざるべからざる立場にございました。さようの意味合いを以ちまして、のみならず他の國家支出の面におきましても、或いはその後におきまして、前内閣当時におきまして、公定價格の引上げ、これに附随いたしましての多々追加計上を必要とする費目があるのであります。かようの点もかれこれ勘案いたしまして、本内閣結成の当初より直ちに予算編成に当つたものであります。併しながら歳出の面におきまして最もレートの一番重い官公職員諸君の給與に関しましては、人事委員会との間の連絡の不十分によるものではなくして而も人事委員会の本來の性格上その政府に対しまする御傳達が御承知の通りに本月九日でございまして、而もその算定の基礎、これをお示しなかつたのでございました。そのお示しは更に一週間の後にあつたような実情でございましたので、我々はこの新べースを如何に決定すべきかに先ず相当の苦心を必要といたしたのでございます。而も況んや我我安本並びに大藏当局といたしましては、先ず財政の限界を幾ばくの点にこれを求むべきか。尚次に配慮を持つべき点は、物價との関係、賃金との関係、かような点につきまして、果して幾ばくを以て適当とするか、即ち國家財政並びに國民経済との調和をどの辺に取るべきであるか、申すまでもなく、若しこれが高きに失するにおいては、もとより当然その結果といたしまして、物價は昂騰し、折角引上げました公務員諸君の給與と雖もこれはむしろあべこべの結果になり、公務員諸君の方に不慮の禍いわもたらす、かようのことでは誠に政府といたしまして、その本旨ではないことは当然でございまするので、かれこれ愼重な研究を重ねた次第であります。而して大体の見通しの付きましたのが本日の二十日でございます。一應の結論を以ちまして、直ちに関係方面との間に折衝を重ねまして、今日に至つておるのでありまするが、その後御承知の通り、日曜、祭日又関係方面も休日と相成りまするような実情でございまして、以て今日に至つたのでございます。以上御了承願いたいと思うものであります。
 尚その間に與党との関係はどうか、かようのお尋ねがございましたが、恐らく門屋さんは私がその後たびたび御答弁の間にいぢめられておる実情について、深い御同情を賜わる御発言かと思うのでございます。(笑声)併しながら御安心願いまして、いわゆるこれは虚において実なきところにいろいろの問題が波紋が描かれたのでございまして、私の信念においてその当初より何ら変らなかつたものであることをこの機会に弁明させて頂く機会を得ましたことは私の最も光榮とするところであります。(笑声)
 第二におきまして、予算提出の時期如何、かようのことでございまするが、只今予算の経過を申上げましたその点から、十分お酌み取り頂けるものと思うのでございます。
#42
○委員外議員(門屋盛一君) 沢山御答弁頂きまして、大藏大臣としては例外の詳しい御説明でありました。人事院と新給與水準の決定に関して連絡を欠いておらんと言われますけれども、これは相当連絡を欠いたようである。これは表向きから言えば、人事院から勧告が來て、細かい書類が來るのが遅かつたというのは一應方づけるけれども人事院と内閣というものはこれもその可分か不可分かということになつて問題になるのですが、これは聞捨てならんことで、今後人事院が政府と連絡なしにぽかぽかと妙な勧告を出して來るということも考えられる。実際問題として事前に連絡をお取りになることができておれば或いは一般財政経済に及ぼす影響等もその折に盛り込まれることも早かつたのではないかと思うのでありますが、これは過ぎ去つたことで仕方がないのであります。大事なことで御説明がぬかつておることは、今度お出しになろうとする予算は総括的の補正予算……新給與だけでなしに、物價の値上り等の補給金とかその他のものを入れた総括的な補正予算か、或いは当面の給與案のみを特に抜いてお考えになつておるのかということに対して一應伺いたいということ。それから提出時期をその辺でお含みみになれと、こう言われまますけれども、ここが一番大事なところで、政府におかれしまては、衆議院の方は二十七日までに法案を上げろ、参議院は三十日までに上げろということで、私は法案と予算とは可分とか不可分かという問題については、先程申上げました通りで、いずれにいたしましても、同時提案同時通過ということは今日困難なことになつておるのであります。法案だけは或る場合に先に出さなければならんというようなことができましても、法案を出すについてもこれこれの予算措置がとられておるとか、それからどうしても第三國会には出せなくても、第四國会の劈頭には何とかお出しになるというきつい見通しの御言明がなければ、我々は良心的にこの法案通過はできない。そうすると我々議員としては職責の一方に欠けることができて來る。党派を超越して政府に一昨日からお願いしておるのであります。この点もう少しはつきりとしたお答えを願いたい。この二つを一つ……。
#43
○國務大臣(泉山三六君) 重ねてお答え申上げます。
 先ず人事院との連絡につきましていろいろ御心配の向きもございましたが、私は事実を申上げたに過ぎないのであります。
 尚予算編成に当りましては、新給與ベース、これを予算化する、これは当然でございまするが、尚今日の段階におきまして、必要といたしましては、これを総合して以てこれを計上する建前に考えておる次第でございます。次に……。
#44
○委員外議員(門屋盛一君) その次は提出の時期です。大体の方法がはつきりしないので……一番大事な点ですから。
#45
○國務大臣(泉山三六君) 第二点につきましては、先程私が縷々経過を述べました点からお酌み取り願いたいと、かように思うのであります。尚第四國会のお話がございましたが、これは今日におきましてできるだけ本國会に先程の御表現の通り少くとも顔だけは見せて差上げたい、かような熱意に燃えておるのであります。
#46
○委員長(中井光次君) 実は本会議が始まつて、大藏大臣は行かれなければならんそうですが、極く簡單ですか。
#47
○木下源吾君  簡單にやりましよう。全くお氣の毒なようなわけで、質問も、もうすまいかと思いますが、まあ要点だけを大藏大臣にお願いします。大藏大臣は大変眞面目で私敬意を表しております。そこで三千七百九十一円ベースの根柢が覆つておらない。今日において今尚覆つておらん。三千七百九十一円ベースでいいという、こういうお考えであるかどうか。
 それから私も政治的に見まして、公務員法と給與関係とは不可分なものだ、こういうように考えておる。そこで政府は公務員法は公務員法だし、給與は給與と、こういうようにお考えになつておるようでありますが、新聞などで……このような公務員法であれば、そういうように考えられても敢て無理はないと思うのでありますが、私共はこの公務員法に対して、少くともマ書簡の内容から酌み取つて、公務員の生活保障ということについての何らかの……ここに法律を作る以上は、そういうものがなければならんと、こういうように考えておるのであります。でこれはまあ別にやるというなら、これは別であります。けれども少くも公務員法を制定する以上は、この福利或いは給與等についての條項、條文が、何らかの形でなければいかんと、こう考えておるのであります。そこでその予算と公務員法とが不可分か、不可分でないかという問題に絡んで來るのでありますが、この点についてはあなたは大藏大臣でありますから、そういうことをお尋ねしても、これは無理かと思うんであります。併しながら閣議において、それらの点について一つ御協議になつたことがあるのかどうか。單独に大藏大臣は大藏大臣だけの御所信で進んでおるわけでもありますまい。この重大な公務員法を今改正しようというときでありますから、閣内において何らかのそういう話があるのではないか、全く閣内において大藏大臣というものが、別の意味で別になつておるということはなかろうと思うのであります。こういう意味で一つお尋ねしたいのは、この公務員法というものをこのままで通すんだということを、初めから決めて掛かつているのかどうか、そうして原則が少くともマ書簡というものを熟読玩味されて、その精神を酌んで、これならばこの中にやはり生活の保障の何かを片鱗でも現わさんならんということをお考えになつておるのかどうかということを、先ずお尋ねしたのであります。
 次にもう一つ、非常にお忙しいようでありますが、お願いしたいのです。元來政府は最初には、この法案を十五日までに上げて呉れ、或いは十七日頃までに上げて呉れと、こういう御希望でありましたね。然るに只今お伺いして見るというと、給與問題については、人事院からの勧告は九日であつた、而もその算定の基礎というものが示されないで、一週間の後に出て來た、こういうことであります。そうすると、これを算定して政府が納得が行くまでに行つたのが少くも十五日以後じやないか、十五日以後になりますねこの点でございますな、こういうような公務員法が、これさえ通ればいいんだという考えであつたということを断定されても止むを得んではないか。大藏大臣は全く眞面目で、私は敬服しておりますが、ありのままを一つ御答弁願いたい。私共もざつくばらんにお聞きすることにおいて、改めて私たちはこの法案に対する認識を別にしたいと思うのであります。いろいろな言い逃がれ的な、うまいことではなくて、本当に現内閣はこの法案というものは前内閣の遺産である、であるからしてこれは必ず通る、國会へ行けば國会は審議も何も要らんでこれは通るものである、だからしてこれが済んだならば國会を解散して自党に有利にやつて行くなんということを、私はまあ臆測でありますが、思うのであります。そうして悠々と予算というものは後からやろうというお考えがあつて、そういうことをお考えになつたのじやないか、それは余りにも党利党略であつて、國民というものを、殊に公務員というものに親切味が欠けておるんではないか、あなたも御承知の通り、七月三十一日に政令が出まして以來というものは、殆んど公務員の要請というものを全部封じてしまつたのでありますな、要求があつても人事院が算定して出すまではお前たちは何も言うな、その蔭には、必ず人事院は公平な、最低の生活ができ得るところの給與案というものを出すんである、それを出したならば直ちにこれがお前たちの手に移るのであるということを意味しておつたのであります。爾來今日まで何日の日々が閲されておるか、お分りでありましよう。このことは、新内閣が責任がないとかあるとかいう問題ではなかろうと思う。政府というものは勿論政党の基盤の下に立つておるか知らんけれども、もつと深いところには、國民の基盤に立つておるということを考えたならば、少くもその責任を明らかにしなければならんと、私は考えるのであるから、現内閣の心臓であるところの、経済大臣であります大藏大臣は、ただ金の勘定や帳簿の辻褄を合わして置けばいいではありますまい。國民経済生活の本当の鍵を握つておるのが、私は今日の大藏大臣だと考えておりまするが、このことについて率直に、飽くまで現内閣は公務員法さえ通ればよかつたんだ、いいんだと、最初から考えておるか、この法律の蔭に何があろうとも、頬被りして、我々は目をつむつて行く考えであつたのだということを率直に一つここで話して頂きたい。そうでなければ、私が申上げたように、十五日まで、十七日までに通せと言うて、人事院の勧告を別ものにして扱つたということの申開きは立たないではないか、かように考えます。どうぞ、時間がお忙しいようでありますが、私の質問が無理な質問であるか妥当な質問であるか、そうして今國民が非常にこの政治の上において昏迷……というよりも、はらはらしておるのであります。あなたの今の御答弁によつて少くも國民が明朗になるような答弁を、私はこの席において求むることが、私は國民の代表として当然であると思いますから、敢て御質問するわけであります。
#48
○國務大臣(泉山三六君) 木下さんにお答えを申上げます。
 先ず三千七百九十一円ベースが崩れておらないと、かような認識であるのかどうか、こういうお尋ねでございましたが、それは先程門屋さんからのお話で、私は一應三千七百九十一円ベースが七月頃からすでに崩れておつたやに拜聽をいたしましたので、それは三千七百九十一円ベースは当時において正当なものでないか、さように御答弁申上げただけでございます。次に國家公務員法と新給與との関係につきまして、いろいろ可分不可分のお話があるのでございまするが、私へのお尋ねはそのようなことではなく、その問題について大藏大臣も閣議において協議若しくは発言いたしたことがあるか。かようなお尋ねであつたかと思いまする。もとよりたびたび発言もいたしたびたび協議を重ねたものでございました。その結果といたしまして、この公務員法とこれに附随して必ずや新給與ベースそのものにつきまして、これは予算化して一日も速かに國会に提出いたし、新給與ベースそのものの問題でも、これを輿論の前に決したい、かような構想に立つておることは事実でございます。從いまして初めから公務員法だけ掛ける、予算はこれを閑却したというがごときことはないのであります。片鱗を示すに非ず全貌をさらけ出そうとしているのでございます。第三点としては、大藏大臣として國民生活の鍵を握る大藏大臣として、その責任上当然國家公務員法につきまして予算を提出すべきであるが、のみならず國家公務員法そのものについてもこれは少くとも前内閣の遺産として考えてはならない。かようの御意見でございましたが誠に同感をいたす者であります。つきましては本内閣といたしましても、この國家公務員法の提出に附随いたしまして一日も速かに追加予算を提出してお目に掛けたい、さようの熱意に燃えておつたことは事実であります。併しながら只今も申上げました通り、段々理由もございまして十一月二十日初めて一應の閣議決定に至つた、かようの次第でありますが、併しながら顧みて内閣結成以來概ね一ケ月でございまして、先刻申上げた通り予算を本段階におきまして、予想すべき追加歳出を計上するという、かような建前におきましての、予算編成には、必ずしも荏苒空しくしたものとも思えないのであります。この予算は吉田総理大臣の声明いたしました通り緊急止むを得ざるものとして政府はこれを了解しているのでございまして、それが本國会の生命でありますところの第一に國家公務員法の提出、第二にこれに附随する法案、第三に緊急止むを得ざる事案、さようなことではあるのでおりまするが、政府は決して第三位は第一第二の次に來たるものとは考えないのでございまして、時間的におきましておのずから並行いたしてこれを考慮いたしておつたのでございました。この点も合せて木下さんの御了承を願いたいと思うのであります。
#49
○木下源吾君 私は只今の答弁に対しては、お忙しいようですから第二段の質問を留保して置きます。
#50
○委員長(中井光次君) 明日は午後一時から開会いたすつもりでありますので、本日はこの程度で止めようと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○原虎一君 大藏大臣に明日御出席を願います。
#52
○委員長(中井光次君) 明日午後一時から開会いたします。大藏大臣お差し繰りを願います。本日はこれで閉会いたします。
   午後四時六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     中井 光次君
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
           宇都宮 登君
   委員
           赤松 常子君
           北村 一男君
           小林 英三君
           木檜三四郎君
           佐々木鹿藏君
           大山  安君
           寺尾  博君
           岩男 仁藏君
  委員外議員    門屋 盛一君
  國務大臣
   大 藏 大 臣 泉山 三六君
  政府委員
   臨時人事委員  山下 興家君
   臨時人事委員  上野 陽一君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局長)  佐藤 朝生君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局法制局
   部長一級)   岡部 史郎君
   労働政務次官  竹下 豐次君
ソース: 国立国会図書館
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