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1948/11/30 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第8号
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1948/11/30 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第8号

#1
第003回国会 人事委員会 第8号
昭和二十三年十一月三十日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○國家公務員の厚生福利施設に関する
 調査の件
○政府における諸事務の能率的運営に
 関する調査の件
  ―――――――――――――
   午後二時二分開会
#2
○委員長(中井光次君) それではこれから委員会を開会いたします。先日の委員会で木下委員より御質問が一項だけ残つておりますので、この際お許しいたします。
#3
○木下源吾君 この法案の九十八條の中に警察職員、消防職員、海上保安廳又は監獄において勤務する職員というものは、特に團結権を認められないようになつておるのでありますが、つきましては國会職員たる衛視をもこれに加えよということになつておるのであります。そこで私は事務当局にお伺いしたいのですが、今日まで國会の衛視が團結してやつてきたということが、何らか職務遂行上において障害があつたかどうか。それから事務当局のこれは要請であるというお話を聞いておりますが、その他何らかの理由があつて、こういう要請を委員会にせられたのか。もう一つは衆議院とこの件については何らかの連絡をしてころいう要請をせられたのか、この点についてお伺いしたい。
#4
○参事(近藤英明君) 本件は事務総長からお答えいたしますのが順序かと序しますが、本会議開会中でありまして、事務総長は本会議に参つておりますので、代りまして私からお答えを申上げます。
 九十八條第四項の警察職員のうちに、國会職員たる衛視というものを含めるということにつきましての事務当局の意見をお求めになりましたのですが、先ず今日まで團結をしておつて組合員であつたかどうかという点は、これは現在組合員でございます。そうして組合員であつたことによつて何か障害を來した事案があるか、がような御質問でございますが、今日までそのことによつて格別に障害を起した事実はございません。それから本件に関しましては、現行の労働組合法、労働関係調整法には警察官吏とございましたので、この警察官吏とある現行法の下におきましても、一應事務当局といたしましては、この中に含まれるや否やということにつきましては、疑義もあつたのでございます。昨年職員組合結成の当時からすでに労働組合法第四條、労働関係調整法第三十八條等の警察官吏というものの中に、國会職員たる衛視が含まれるや否やという点に一應の疑いを持つておりましたが、先ずその疑義のあるままで一應組合に加入することについては特に事務当局としてはそれを何ら阻止するというようなことはいたしておりません。
 ところが今回の改正案によりますと警察職員と相成つております。そうすると警察官吏といたしました場合に多少は國会職員であるから官吏じやないというまあ解釈も、文字解釈的な言い訳的な解釈も成り立つんじやないかという氣持も実はあつたのでございますが、今度の警察職員ということになりますと、更に一層不明確となるので、何らかの機会に、これはいずれかにはつきりと解釈だけでも御決定になつておらなければ困るんじやないかということは皆考えておつた次第でございます。
 次に衛視の職務でございますが、これは國会法に基きまして議長の院内警察権の執行機関でございます。それから同じく議長の院内警察権の執行機関といたしましては、國会の開会中議長は國家の警察官を要請いたしまして、議長の指揮下に特に入れております。議長指揮下にある警察官は國会職員たる衛視と、それから一般の司法警察官たるものと両種類がございます。そうして國会職員たる衛視の職務がなような警察事務に当つておりますという点に基きまして、従来の衛視になります前の守衛であります当時から、すでに処遇におきましてはすべて警察官と同様に取扱つております。先ず警察官と同様な階級制を取りまして、衞視長、衞視副長、衞視班長というような階級制を取つております。それから待遇の面におきまして警察官同様に官服の支給と、恩給年限が警察官と同じように扱われて、宿料も支給せられて、それから特別手当を支給するというような点で警察官と同じな処遇をいたして参つておる次第でございます。そうして今日までただ警察官と異ります点は、組合の團結権の問題だけが労働組合法等の取扱が一般警察官と異つておる。こういう状況にありますので、本件につきましていずれがよろしいかという点につきましては、事務当局といたしましては、これらの全般の事情を考慮いたしますならば、先ず一般警察官と同様であることが妥当であろう、かように考えておる次第でございます。それからかようになることによつて利益か不利益かというような点につきましては、事務当局といたしましてはむしろはつきりすべてが警察官と同機であるということの方が、警察官と同じに今後その地位も一段と明確になり、又地位の向上という面においても役立つ場のじやないか、かような考え方を持つております。
 それから要請の有無、改正するについて衆議院と何か連絡でも取つて要請したかという点については、要請の有無によつて御決定になるかどうかということも考えられませんし、又要請したかどうかという点については、私は実はよく承知しておりませんので、この点についてはお答えを遠慮さして頂きたいと思います。
#5
○木下源吾君 待遇その他については警察官同様にしておるということと、衛視が持つておる本質が、このように普通の警察官と同じだということはできないと思うのでありますが、まあそれらの点は別といたしまして、このような改正に相成りまして今の御答弁では何らこの点については進んで要請したことはないようなお話でありますが、実際においては事務当局から要請があつたという事実なんでありましてこの委員会においても、何らこういうことを重大な問題と考えておらんのです。考慮にも入れておらなかつたのが突如としてこういうことになつたということは考えられると思います。要請がなければこういうことはしないのでありますからこういうことにならないのであります。
 そこで事務当局がこの点について議長と何らかの打合せをなさつたことがあるのかどうか、これは議長の指揮下において、いわゆる院内の職務を執行するのである、議長に、この点について何か相談をしたことがあるのかどうか、この点を先ずお伺いします。
#6
○参事(近藤英明君) 本件に関しましては、先刻私の申しましたことは私の個人の意見ではございませんが、事務当局といたしましては、事務総長以下関係者一同昨年來研究いたしました結論を申上げた次第でございます。そうしてその結論につきましては、議長にも私共の考え方はすでに申上げてある次第でございます。無論議長指揮下にある事務総長以下の補佐機関といたしましては、さような点については十分連絡は常に取つております。
 尚要請の有無という点につきましては、先程申上げました通り、私は別にかようにして頂きたい、して下さるなというような要語によつて本委員会が御決定になるものとは存じませんし、又さようなことを申上げたかどうかということも私は存じませんので、お答えができないので御遠慮さして頂きます。
#7
○木下源吾君 議長と何らかの打合をしたかということであります。それと私は前提が当局から要請になつたということの前提で今お聴きしておるのです。これは今次長ではそのことが分らなければ、どういう経緯でこの委員会に、或いは委員会の委員にそういう要請をしたのか、誰が一体したのか、こういう点について一つ御調べを願つて御報告を願いたいと思うのであります。
 で今次長のお話の範囲でありますれば、改めて又私は議長へお出でを願つて御意見等を承らなければならないか、かように考えております。
#8
○大山安君 この修正問題は、他の者はどうか知りませんが、私としてはこれは事務当局の提案でなく、議員修正の提案として私は審議したいのであります。多分或いは委員諸君もそうであろうと思います。これが事務局の提出としたならば、今日までの何らかの或いは要請かどうか知りませんが、そういう手続がないとした場合に、今日事務当局の責任であつたどいうことはあり得ないことである。議員提出として取扱つて頂きたい。
#9
○羽仁五郎君 この問題は先日来私が理論上申上げておいたよい例でありまして、これも基本的人権を或る特定の場合に限つて制限するということをやると、必ずこれは次第に拡がつて行くのです。これがいわゆる例外法が如何に有害であるかということの一つの例であります。いわゆる、法に疑わしきは罰せずということがあるように、疑わしいものまでに制限を加えて行くということになつたならば、この次には法律の解釈なり何なりで、夜廻りをしておる人というようなものも制限されて來るし、これは一つの例でありますが、法の精神からいつて基本的人権を制限するような場合は、できるだけこれを拡大せられないという方法をとつて頂きたいということが第一であります。
 それからなかんずく民主主義を建設して行く國会の中で、民主主義的な権制を廣汎に制限するというような先例を、先ず開かれないことを日本の民主主義のために切望する次第であります。
#10
○委員長(中井光次君) 外に御発言もなければ、質疑はこの程度にいたしましでこれより討論に入りたいと思いますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(中井光次君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。宇都宮委員
#12
○宇都宮登君 本案に対して修正の動議を提出いたしたいと思います。大体大まかに五ケ所の修正をいたしたいと思います。法文の修正上各條項をずり合せなければならん点もあるので、一つづつ分けて申上げます。
 第二條の第三項に次の二号を加えたいのであります。その一つ十二の次に十三として、「連合國軍の需要に感じ、連合國軍のために労務に服する者。」その次に十四といたしまして「人事院が指定する公園の職員(但し、本号は、昭和二十四年三月三十一日限りその効力を失う。)」として第二條を修正したいのであります。
 その次に第五條の改正規定中、「第五條」の下に「第二項を削り」を加えます。
 第五條の二項を削ります関係上第八條にあります字句の訂正がありますので、第八條の改正規定中の第一項の下に、『第二号中「第四項」を「第三項」に改め、』を「第三條但書」の下に「、第四項」を加えるのであります。
 その次の改正案の第九十八條の第四項中「警察職員、」の下に「國会職員たる衛視」を加えるのであります。
 次は第百九條中第一号を創り、第二号を一号といたします。以下順次各号を繰上げいたします。
 その次は、附則第二條の改正規定中[次のように改め」の下に、『、同條第六項中「第三項乃至第五項」を「第二項乃至第四項」に改める。』を加えます。
 附則第三條中「第五條第六項」を「第五條第五項」に改めたいのであります。
 以上修正の動議を提出いたします。
#13
○小串清一君 只今の宇都宮委員の修正案に賛成をいたします。その理由は省略いたしますが、この第五條の問題につきましては一應そのわけを申上げて置いた方がよいかと存じますが、今度の人事委員の選任ということは、人事委員そのもの、が絶大の権力を持つ、従つて最も嚴正公平なる人格者を選ぶという建前から、私はこの選任は、両院が共に推薦するような人格者を選ぶということが法律の目的であろうと存じまして、特にこの第二項を削り両院の意見の一致した人をこれに選ぶという形にすることが最も公平であり、又適切であると考えますので、その理屈で特にこの修正をいたす次第であります。
#14
○木下源吾君 第九十八條の第四項中、「警察職員」の下に國会職員たる衞視、」を加えるということには反対であります。これは先程來質疑において御案内の通り、結局お考えになつても分る通り、誰かが要請しなければここには出て來ない筈です。而もこの核心に触れたこの要請した者は、一体誰だということを事務当局に聞いても、その責任を回避しておるような頻る瞬味な事情にあるのであります。我々は、今この公務員法の改正に当つて、一番関心を持つておるのは、いわゆる憲法に保障されておるところの基本的人権というものが大幅に縮少される点について、何とかして我々は占領下における日本國民の名誉のために、かようなことができるだけ少くなるように努力し、なければならない。かように考えておるのでありますが、この國会の衛視が警察の職員と同等であるかどうかという、非常に疑わしい事実から、今基本的人権を取上げるというようなことを、特にここに本院が取上げて而も参議院だけにならばともかくも、影響するところは衆議院にも及ぼすのであります。このようなことはひとり参議院ばかりの問題ではありません。すでに早くから衆議院の衛視においては組合結成が行われておるにも拘わらず、参議院は極く最近に組合結成をせられたというような誠にこちらは保守的のところであります。而もその保守的のどころから、進歩的な衆議院の方まで掣肘するような修正を今ここでするということは、私は妥当ではないと考えますので、この九十八條の修正に対しては反対せざるを得ないのであります。
#15
○羽仁五郎君 木下委員の只今の主張に賛成いたします。
#16
○小林英三君 今木下君の発言の中に、保守的のところから進歩的な衆議院ということがありましたが、その意味はどういう意味でありましようか。
#17
○木下源吾君 参議院はいうまでもなく元から貴族院でありまして、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)貴族院の形を……(「貴族院とは違う」と呼ぶ者あり)形の中にあつたので、一般の雰囲気は参議院というと、実質においてはそうでなくても……「ノーノー」と呼ぶ者あり)そういうような内部の者が、すでに参議院というものがそういう恰好の中に閉込められておる。そういう意味を申上げたので、「ノーノー」と呼ぶ者あり)現実にも衆議院の方では早くから衞視が労働組合を結成しておるのに、こちらではそういうものを結成することを暗に抑圧しておつたという事実、これが雄弁に物語るものだと思う。このような参議院の性格というものは何も保守的だという銘を打たなくても、実際においてそういう行いをして來ておるのであります。我々はそういうようなことを言いたくもなし、そうあつては私共はいけないとかおうに考えるのでありますが、今こそ参議院が名実共に進歩性を取戻さなければならんし、そうして代表的な行動をすることが正しいと、かように考えておるのであります。
#18
○小林英三君 私は木下君が今論ぜられておるところの衛視の問題につ、て論及しようとしておるのじやないのであります。たまたま、木下君の言辞の中に、保守的な参議院とそれからこれと対蹄的に進歩的な衆議院という言葉がありましたから、これは甚だ不穏当な言葉と思いますので、この機会において取消を願いたいという意味で申上げたのであります。衛視の問題を論議しておるのじやない、その言葉が甚だ不穏当だと言うのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#19
○木下源吾君 私は参議院議員がと言つたのではなくて、参議院という雰囲氣のことを言つておるのであつて、参議院議員と言つたことであるならば、それはあなたのおつしやる通り(「取消せ」と呼ぶ者あり)そのように御了解になるならば取消しても差支ありません。ただ私は参議院という全体の空氣を言うたのでありまして、議員のことを言うたのじやないから、さようにお警めをしなくてもよいのじやないかと思います。
#20
○小林英三君 そうすると先程言われた参議院という言葉は、参議院全体のつまり議員を含めた参議院全体の機関をおつしやつたのじやないのでありますか。
#21
○木下源吾君 参議院議員のことを言つたのじやありません。
#22
○小林英三君 それでは参議院を言つたのでありますか、参議院の名誉に関することでありますから……。
#23
○木下源吾君 参議院のいわゆる行政をやつておるそういう機構を言つておるのであります。
#24
○小林英三君 それでは尚更この機会において参議院の名誉のために簡単にお取消を願いたいと思います。
#25
○木下源吾君 これは何も取消す必要はないと思いますが、保守を以て名誉としておる民自党が保守だと言つたからとて取消せと言うのは合点がいかない。私は保守はよいと思つております。それを取消せという意味はどういう意味か承りましよう。
#26
○小林英三君 木下君の先程の御発言は、参議院を保守的とし又衆議院を進歩約とするこういう対蹄的の言辞でありましたから、参議院の名誉のためにお取消を願いたい、こう申上げたのであります。
#27
○委員長(中井光次君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#28
○委員長(中井光次君) それじや速記を始めて……。
#29
○木下源吾君 大変どうも保守的、進歩的が問題になつたようで、そういうことで時間を費すことは、私の発言によつてこういう迷惑を掛けたことは、甚だ不明であつたことを、ここで釈明しておきます。
#30
○小林英三君 先程木下さんの言辞にありました参議院云々という言葉は、事務局の方に論及した言葉であるということが了解されましたから、私のこれに対する質問は打切ります。
#31
○委員長(中井光次君) 外に御発言もなければ討論は終結したものと認めまして直ちに採決に入りたいと思いますが。
#32
○小林英三君 修正案の取扱いにつきまして一寸速記を取止めて頂きたいのですが。
#33
○委員長(中井光次君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#34
○委員長(中井光次君) 速記を始めて。ではちよつと休憩いたします。
   午後二時四十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時九分開会
#35
○委員長(中井光次君) それでは休憩前に引続きまして開会いたします。
#36
○宇都宮登君 先程私から修正案を提出いたしまして、全委員の賛同を求めたのでありますが、実は本法案を最初から審議いたしまして、総括的に見ましても、これが完全に官僚の民主化であり、國民大衆に満足を與える、民主化の進行すべきものであるとは培えていなかつたのであります。併しいろいろな事情から私は最小限度の修正案を提出いたしましたが、諸般の事情、時間の問題等によりまして、只今の修正案を撤回いたすことにいたします。
 併し本法案があらゆる大衆から見まして、これが現在の日本國情に完全に副うものであるかないかということは、皆さんも御承知のごとく、輿論が承知しておらないのであります。ただ先程申上げましたような諸般の事情によりまして、この際は撤回をいたしますが、明日より第四國会も始まることでありますし、この上ともこの國家公務員法に対する我々の研究と尚修正に対する意見とは、決して止むものではありません。次の國会に当りまして、必ず本日提出いたしました以上の修正案を以て國民大衆にお應えする決心を持つております。(「賛成」と呼ぶ者あり)それだけを表明して置きまして只今の修正案を撤回いたします。
#37
○小串清一君 只今宇都宮委員より先刻御提出の修正案を撤回する、その理由としては、本法案は非常に急を要するものでありまして、第三國会において是非とも成立、なければならないという法案であります。ところがすでに國会の最終日に当りまして、この案を本院において修正をいたしまして更に衆議院と折衝するということによつて或いはこの案の成立が会期に間に合わんという虞れもあります。さりとてこの案そのものは決して完璧のものではない、故に今提案者の御意見のように、私共も来たるべき第四國会において、適当なる若しくはより以上の研究を遂げたる修正をいたして、そうしてこの案を最も完璧なものにいたしたいと、かように考えまして、私の養成も取消します。
#38
○木下源吾君 私は原案に対して遺憾ながら反対をいたしますので、若干その理由を申上げたいと思うのであります。勿論只今同僚宇都宮君からすでに御提出の修正動議が撤回されたその事情等に鑑みまして、本法案が満場一致で通過するということは、望ましいことではありまするけれども、併しながら卒直に申上げて、我が國の現在の実情におきまして、最も善良な労働者、公務員の中において、この法案に対する反対の意向がございまするので、これらの意向を代表いたしまして……。
#39
○小林英三君 まだ衆議院の修正案は提案してないんでしよろ、この委員会に……。
#40
○専門員(柴田義彦君) 衆議院の修正したものがこの委員会に付託になつておるわけです。
#41
○木下源吾君 これらの意思を本國会において表明することが、私は極めて大切だと考えきするので、遺憾ながら反対を表明するのであります。本法案の骨子は、いうまでもなく特別職の徹底的縮小、次には人事院の徹底強化……。第三番目には労働者の基本的権利の掣肘というよりも、むしろ剥奪という方が妥当なくらいの法案の骨子でございます。
 そこで私共はこの第一の特別職の縮小は、同時に一般職の殖えることでありますが、さて殖えた一般職が、公務員が有しておる職責、公衆に忠実に奉仕するというこの他面における公務員の権威を保ち、生活を保障するという面が、裏付が十分でない限り、私はでき得る限りこれらの公務員の持つておる基本的権利というものを縮小することには賛成できないのであります。法案の中にありまする第二條の現行法におきまする特別職を、できるだけそのままに残したいという私共の主張でありましで、從つて改正案に対しては反対せざるを得ないのであります。
 次には人事院の強化でありますが、この人事院は成程強化することにおいて、既往の我が國の官僚的の弊風を打破することは、できるであろうとも考えまするが、逆に又人事院そのものがこれに取つて代るという結果を来すならば、これはその効果において、私は甚だ疑わしいものがあると考えます。従いましてこの人事院の権限強化に対しましては、民主的な機関を設けまして、でき得る限りこれが専断横暴というような弊風を矯正しなければならない。かかる見地からいたしまして、私、はこの改正案に対しまして二十六條の末項に、これらの人事諮問委員会というようなものを設けて、只今申上げるような趣旨を徹底させたいとかように考えておる次第であります。
 次に労働者の基本権利でありますが、これは今更申上げるまでもなく我が國の民主化において、労働組合の結成が如何に我が國の民主化を促進強化させるために必要であるか、そうして終戦以來今日まで労働組合活動によつて如何に我が國の民主化が進んで参つたかということは、今更私がここで申上げるまでもないのであります。これは偏えに我が國の長い間の封建的な殻を破つて、労働者固有の権利が與えられたことによつて今日の結果を見たのであります。即ち労働組合法の制定によりまして、團結権、團体交渉権、罷業権を労働者が持ちまして、その生活の維持向上のために防衛の囲いを続けることに専念して参つたのでありますが、たまたま今回公務員たる職責のために基本的人権、労働権が奪われなければならんことは、これはどう考えても妥当ではない。基本的人権は飽くまでも擁護せられて、特に公務員たる職責遂行のために、いわゆる大衆の利益というものが蹂躙されるとか、或いは侵されるという場合にのみこれは掣肘さるべきものであるとかように考えます。本法案においては基本的の権利をなくすることが主眼でありまして、そのことは我が國の民主化のために甚だ悲しまざるを得ない、かように考えます。この法案の目的とするところは、能率的な、そうして民主化というところにございますが、只今私が申上げました諸点をお考え下されるならば人事院の強化において、民主化におきましても、亦完全に公務員の生活も保障の裏付けができ得ない薄弱な現状においては、能率亦期待するように上がらないということは明瞭であろうと考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)かかる見解に基きまして、私は本法案に反対せざるを得ない。而も時恰かも現内閣が我が國の代表的保守政党であります。この機会においてかくのごとき法案が提出せられ、そうしてそのままで通過するということにおきまして、公務員大衆というものに及ぼす心理的影響というものを與えなければならない、かように私は考えるのであります。(「社会党が作つたのじやないか」と呼ぶ者あり)
 どうかかかる意味で、私は併しながら、諸君が今置かれておる客観情勢において、速かに而もできるだけ原案を維持ぜられるという御努力に対しては最大の敬意を表するのもありますが、他面に尊て又我々國民の意思を國会において反映されるということに対しても御了承願いまして、私の反対に対して御賛成あらんことをお願いする次第であります。
#42
○羽仁五郎君 今伺いましてもこの本改正案に対して各党それぞれ反対であるということを伺つたのですが、然らばどうかこの委員会においてこの改正案を否決せられんことを私は希望しますつ現在の民主主義は危機に立つておるといつても差支ない。御承知のようにこういう占領下にある國民がただ唯一の希望を掛けておるところはこの國会です。而も占領政策において最大限に自主性の認められておるのもこの國会であります。従つてこの國会がこの節操を全うすることができなければ、國民は失望いたしますし、又これは或る意味において日本の占領政策の名誉でもないと私は確信するのであります。殊に日本は過去においていわゆる傀儡政権というものを作つた犯罪の深い反省からも考えなければならないところがあると思うのですが、どうか國民が占領治下においてただ一つの希望を掛けておる國会、そして占領政策の下において最大限の自主性が認められておりますこの國会において、各党がこの改正案というものが目的にかなつていないと御反対になるのでありますから、この際この改正案というものを潔く否決して頂いて、そして國民に希望を與え、又この國会の自主性というものを発揮し、從つて民主主義連合諸國が日本を占領しておるその占領目的を完全に実現することにも貢献すべきであると考えられます。どうかこの惨澹たる現在の状態において國民に失望を與えないために、なかんずくこの参議院がその参議院の與えられましたる最大限の自主性を発揮して、本改正案を否決せられるよう本委員会において衷心より訴える次第であります。
#43
○小串清一君 只今衆議院から送付されました修正案に対して反対の御意見が出ましたが、私は一言賛成の趣旨を申上げたいと思います。よく基本的人権というものは絶対的のものであるというような御議論が立派な学者の方からいわれますが、併しこれは國民生活をなす上にはそれに或る制限を加えるのは当然であります。これは自由自在だと申しますと、左側通行ということを警察官が取締るのも基本的人権を害したといわなければならんことになる。況んや公務員は全体の奉仕者であつて一部の奉仕者でないのでありますから、公務員においては特にこれらの点を考えて貰わなければならない。こんな権論はさて置きまして、この法案は前内閣において三派連合してお決めになつてできたもので、現内閣はこれを殆んどそのまま底提出されたのである。大いに不備の点もありますけれども、大体において私共はこれを認めるより外なかろう。又前内閣に関係しておる三派の諸君が僅か十日や十五日でこれに反対するということは驚くべき事実だと私は考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)而してこの衆議院の修正案は荷幾分これに修正を加えられたものであり、我々としても先刻宇都宮委員の御意見のようなことを考えましたけれども、併しこの修正案は前り原案より更に一歩進んだものであるので、この際私共はこれに賛成いたして、來るべき議会に完璧なものにしたい、かような意味でこの案に賛成するものであります。諸君も御了承下され御賛成あらんことを願います。(「採決」と呼ぶ者あり)
#44
○赤松常子君 この改正案には遺憾なながら反対をいたしたいと思います。(「苦しいよ」と呼ぶ者あり)ここで申上付けていいかどうか分りませんけれども、との公務員法の制定の根本の態度が非常に私共解せないことがあることを聞いております。というのはアメリカにおける役人、公務員の在り方と日本の公務員の在り方とが全然根本的に違つているというその実情を私共は聞きまして、そういうアメリカの役人、選挙された役人のそれを規制する公務員法というものができている。それをそのまま日本に当てはめようという、そういう根本的の態度に私に非常に腑に落ちないものを感じている点が、一点であります。
 それからもう一つはアメリカの國内においても、すでにこういう行過ぎた公務員法の制定に対して批判の声もあるし、これに対して非常に輿論も賛成しない傾向を聞いておりますときに、こういうことを私共が決定いたしますことは本当に恥かしいことであり、日本の公務員がこういうふうなことに束縛されるということを私共が賛成いたしますことは、一つの國際的信用を私考えまして、私共の立場からは絶対に賛成し難い内容をもつているのでございます。それで私は尚明日から開かれます第四國会におきましても、私共の立場から、より完全なそういう立場に立つて改正意見を出して、飽くまでこれに対して、より私共の立場からの修正をいたしたいと思います。そういう意味で反対いたします。
#45
○羽仁五郎君 只今小串委員から基本的人権を制限しなければならん例として、道路の左側の通行の例を挙げましたが基本的人権を理解されないのも甚だしいと思うのであります。問題はもつと遥かに重大な問題であります。世界人類の数千年の涙と血の歴史を以て築いて來た基本的人権の貴重な價値というものは、この人類の歴史を抹殺しない限り何人によつても否定できるものではないのであります。而も現に先程皆さんがこの委員会で御覧になりましたように、すでに私が先日来申上げております理論上の見通じというものは、本改正案審議中に事実になつて現れて來ているんであります。基本的人権の一部分を制限すれば必ずこれを絶えず拡大せられるのです。そめ結果は塗には現在東京において行われているような國際裁判を再び東京において行わなければならないようになる。若しそういう第二次の國際法廷というものが開かれるならば、恐らくは今回の法廷よりも更に綿密な根拠の上に裁かれざるを得ない。そういう場合に我が國会がそこに裁かれるようなことになることをどうか防いで頂きたい。その意味で衷心から本案の否決を願うものであります。
#46
○委員長(中井光次君) 他に御発言がなれば討論は終結したものとなして、直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(中井光次君) 御異議がないようでありますからさように決します。國家公務員法の一部を改正する法律案、衆議院送付のものについて採決に入ります。原案全部を議題といたします。本案に賛成のお方の起立を願います。
  (起立者多数〕
#48
○委員長(中井光次君) 起立多数、多数と認めます。よつて本案は多数を以て原案通り可決されました。(拍手)
 次に国家公務員の厚生福利施設に関する調査。並びに政府における諸事務の能率的運営に関する調査、この二件は調査未了でありまするが、これを打切り未了の調査報告を出したいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)つきましてはその案文は委員長にお任せ願いたいと存じます。御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(中井光次君) 御異議ないと認めます。
 それから本院規則第七十二條によりまして委員長の議院に提出する報告書については多数意見者の署名を附することになつておりまするから、調査報告書を提出することに御異議のない方は順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    木下 源吾  赤松 常子
    小串 清一  木檜三四郎
    大山 安   岩男 仁藏
    佐々木鹿藏  寺尾  博
    小林 英三  北村 一男
    宇都宮 登
#50
○委員長(中井光次君) 両先程御決定になりました法案について、本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(中井光次君) 御異議はないと認めます。
 尚報告書に多数意見者の署名を附すことになつておりますから、本案に御賛或の方は順次御署名をお願いいたします。
  多数意見着署名
    北村 一男  小林 英三
    寺尾  博  佐々木鹿藏
    大山  安  岩男 仁藏
    小串 清一  木檜三四郎
#52
○委員長(中井光次君) これで本委員会に付託されました議案は全部終了いたしました。誠に長い間有難うございました。(拍手)これにて散会いたします。
   午後六時三十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     中井 光次君
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
           宇都宮 登君
   委員
           赤松 常子君
           北村 一男君
           小林 英三君
           木檜三四郎君
           佐々木鹿藏君
           大山  安君
           寺尾  博君
           東浦 庄治君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  政府委員
   臨時人事委員  山下 興家君
   臨時人事委員  上野 陽一君
   総理廳事務官
   (臨時人事委員
   会事務局長)  佐藤 朝生君
  事務局側
   参     事
   (事務次長)  近藤 英明君
   常任委員会專門
   員       柴田 義彦君
ソース: 国立国会図書館
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