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1947/08/05 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第4号
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1947/08/05 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第4号

#1
第001回国会 通信委員会 第4号
昭和二十二年八月五日(火曜日)
    午前十時五十一分開議
 出席委員
   委員長 岡田 勢一君
   理事 白井 佐吉君
      大石ヨシエ君    梶川 靜雄君
      成田 知巳君    矢尾喜三郎君
      小島 徹三君    千賀 康治君
      長谷川政友君    多田  勇君
      森  直次君    山口 武秀君
      河口 陽一君    林  百郎君
 出席國務大臣
        逓 信 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        逓信政務次官  椎熊 三郎君
        逓信事務官   大野 勝三君
        逓信事務官   小笠原光壽君
        逓信事務官   中山 次郎君
        逓 信 技 官 網島  毅君
 委員外の出席者
        逓 信 次 官 鈴木 恭一君
        議     員 前田  郁君
八月二日委員村上勇君辭任につき、その補缺とし
て同日柏原義則君が議長の指名で委員に選任され
た。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 北片根澤村大字上高根澤に郵便局設置の請願(
 山口好一君紹介)(第七號)
 牛根境郵便局に電信電話事務開始の請願(前田
 郁君紹介)(第三〇號)
 酒田港に無線海岸局設置に關する請願(金野定
 吉君外三名紹介)(第四四號)
 全逓組合夏季半休問題に關する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○岡田委員長 これより會議を開きます。
 本日は去る七月二十六日當委員會に付託になりました請願三件について、審査をいたしたいと思いますが、紹介議員がお見えになりませんので、まず政府側の意向を聽くことにいたしたいと思います。では政府側から意見を聽取いたします。請願三件を申し上げますが、請願の三件の内容は、栃木縣鹽谷郡北高根澤村大字上高根澤に郵便局設置の請願、次は牛根境郵便局に電信電話事務開始の請願、次は酒田港に無線海岸局設置に關する請願、この三件であります。
#3
○椎熊政府委員 ただいま委員長さんからお示しになりました請願三件につきまして、當方の意のあるところを御了承願いたいと思います。
 最初栃木縣鹽谷郡北高根澤村大字上高根澤に郵便局を設置するの件でございます。これはこの地方の地理的關係を勘案いたしますると、現在寶積寺あるいは北高根澤に郵便局がございます。この寶積寺と今度請願になつております北高根澤との距離は、わずか二里ほどでございまして、距離の關係から申しますると、そこに郵便局を設置することが、不適當だというのではございません。置いてもいいということになつておる所でございます。しかし現在道路關係その他地域關係を見ますると、圖面の上からはかえつて今後上高根澤に集配局を置くときには、現在寶積寺局において集配しておる北方方面が、同じ村でありながら、現在よりも郵便物が遲れるという結果になるように思われるのであります。そこで無集配局を置くことについては大體異議がございませんので、將來は置いてもいいという氣持をもつております。しかし今日の逓信省の財政状況から申しますると、まず戰災に遭つた都市の郵便局の復興であるとか、緊急やむを得ざるものを優先的にやつておりますので、新たに設置すべく問題になつております土地の方は、でき得ればそういう關係が整備せられたる後において考慮することが、目下の状況上好都合であろうと思われるのであります。なおこの郵便局設置に伴いまして、電信電話等の事務開始は、この郵便局を置くということが決定した上で、考慮した方がよかろうという考えであります。それですから本請願については、必ずしも不同意ではありません。將來他地方との振合いをみまして、設置方を考慮するということを、お答え申し上げておきます。
 次は鹿兒島縣牛根郵便局に電話通話事務及び電信事務開始に關する請願でございます。これは熊本逓信局からも上申が參つておりますが、かたがた當方ではすでに調査濟でございますから、本年度において兩事務を開始することになつておるのであります。なお電報の配達事務につきましては、牛根郵便局との距離が約三キロで、道路もおおむね良好でありますから、現在通り牛根郵便局から配達することにいたしておるのであります。よつてこの請願の趣旨にかなうように、實施することができると思うのであります。
 次は請願の第四四號、酒田港に無線海岸局設置に關する請願でございます。この請願は、御趣旨においてはもつともでございますが、當省の調査したところによりますると、急速に設置するのには、相當困難な事情があるようでございます。よつて同市の開港計畫が實現して、また出入船舶數等が増加いたしまして、特にこのことが必要であると痛感せられるような状況になりました時分に、あらためて考慮してしかるべきだと私どもは存じておるのであります。なおこの漁船に無線電信または無線電話をつけて、これを相手とする陸上無線施設をするということは、漁船の安全確保及び漁獲能率増進のためにのみ無線電信法によりまして、逓信大臣の許可を受ければ私設ができることになつております。それですから、特にそのことに必要ならば、これはもちろん別でございます。
 なお御參考までに申し上げたいのですが、中部日本海上船舶の航行の安全及びそれに必要なる通信を取扱う受持海岸局は、新潟無線局になつておるのでありますが、本年の五月中に同局通信圏内に出入した船舶で無線施設のあるものは、一日平均十五隻にすぎないのであります。その上新潟と酒田の間は、距離的には非常に遠いというほどではなく、また兩地間はすでに有線通信施設が幹線になつておりますので、比較的通信上便利な状態になつておるのであります。從つて船舶と酒田市間の通信が、新潟經由のために特に不便だということも、私ども考えられないのであります。その裏づけといたしましては、現在まで通信が不便であるという理由で、船舶乘組無線通信士から、同地に海岸局を設置してもらいたいという要望は、未だかつてございません。また山形縣に無線施設をもつ船舶が來るということは當方の調査によりますと一つもありません。皆無であります。無線施設をもつ船舶は、山形新潟、秋田の三縣を通じて、二隻の漁船が秋田縣に定繋港をもつておるというだけであります。漁船に無線施設をし、またこれを相手とする陸上無線施設を設けることは、先ほど申しました通り、農林省で補助金を與えて奬勵しておる状態でありますから、漁船のために特に必要なものであるということになれば、官設海岸局によらなくても、逓信大臣の許可を得て私設することもできるのであります。以上のような理由をもつて、この請願には私ども目下のところ同意することができないという状況でございます。以上簡單でございますが……。
#4
○岡田委員長 ただいまの牛根境郵便局に電信電話事務開始の請願に對しまして、紹介議員の前田代議士がお見えになりましたから、同代議士から説明を聽取いたします。
 その前に、逓信大臣が十一時十五分くらいまでに見えるはずになつておりますから、全逓組合の夏期半休に關しまして御質問のある方は御通告おきを願います。では前田郁君
#5
○前田郁君 私は鹿兒島縣第三區選出の前田郁でございます。どうぞよろしくお願いたします。今囘提出いたしました請願書でございますが、これは鹿兒島縣のうちの大隅半島の北部でございます。丁度櫻島のうしろになつておりまして、ただいま熔岩のために櫻島でなく櫻島半島になつております。そのうしろになつておる。そこに戸數七百、人口四千五百ぐらいの密集部落がございまして、ただいまそこは漁業が盛んでありまして、殊に鰹漁業の餌としてはおそらく九州方面第一の場所でございます。先年農林省から補助金を頂戴いたしまして、鰹の餌は御承知の通り生きたものでなければならぬので、いけすをこしらえまして、それに飼つておるわけであります。今農林省から補助された金額によりまして何百といういけすをこしらえまして、それに鰹の餌を養つておるわけであります。それで毎年二月ごろから十月ごろまでの最盛期には靜岡縣、和歌山縣、高知縣というような遠い所から、わざわざ鹿兒島灣内の一番すみにありますところのこの牛根村の境という部落へその餌を大形の鰹漁船がとりに來ておるというような状態であります。ところがこの村の中心地になつておる役場のある所には郵便局があるのでありますが、そこは非常に小さい部落でございまして、また漁業も何もない所であります。そこにただ村役場があるというために今郵便局が電報を取扱つておるわけでありますけれども、この一番商業地帶であり、漁業地帶てあるところの牛根村境というこの中心地には、ただ郵便局があるばかりで電信も電話もない。今後は生活の觀點から言いましても、漁業というものを盛んにしなければならぬのでありますから、ただいま國土計畫上、九州の一番南の大隅半島の大隅開發という問題が非常に大きな政治問題としてもち上つております。御承知の通りここは千古斧鉞を入れずというような大森林もあります。それから一群でもつて香川縣一縣と同じくらいの廣漠たる原野がございます。
    〔委員長退席、臼井委員長代理著席〕
そこに水田を開發するというような丁度北海道と似たような地帶でございます。殊に山水の美にも惠まれておるわけでありまして、この大隅開發という問題が大きな問題として取上げられまして、代議士の候補、知事の候補の立つ者はこの大隅開發という問題を口にしなければ當選しないというくらいに大きな一つの政治問題になつておるのであります。そのために通信であるとか、そういう問題はどうしても先にやつていただかなければ、この國家の重大な開發という問題が著手ができないというような状態でございまして、今省營バスの問題等につきましても、運輸省が非常に力こぶを入れてくれておるような次第でございます。なお逓信省におかれましても、またほかの方にも、いろいろと大隅開發に關連して力を入れようという氣分があるように私なんかも見受けておるわけでありまして、非常に喜ばしく感じておる次第であります。この牛根村はただいま申上げましたように大隅半島の北部にございまして、殊に漁業の最も盛んな内之浦町、枕崎町などの九州で一、二を爭う所に次ぐ漁獲高があります。どうしてもいろいろな取引の關係しただいまありまする郵便局に電信電話の取扱いをやつていただきたいのであります。なおこの間事務當局に行つて聽きましたところが、電話の方は大體どうにかなるそうでありまして、電信の方は今囘數はどれくらい使つておるかということで、牛根村の役場であるところの郵便局に問合わせておるというような話も聞き及んでおるのであります。それでなお電話は單に開設だけでなく、境の部落農業組合とか漁業組合その他の所にも通話ができるようにしていただきたい。こういうわけでありまするが、どうか本委員會においても、ぜひともこの請願を御採擇くださるようにお願い申し上げる次第であります。
 簡單でございますけれども、請願紹介議員として一言お願いの言葉を申し上げる次第であります。
#6
○椎熊政府委員 ただいま紹介議員の前田代議士からるるお話がございましたが、先ほど實は委員長の命によりまして、本日案件になつております請願三件の當方の意見を申し上げたのでございます。その際に申し上げましたが、ただいまのあなたの御説明の件は熊本の逓信局からも上申がありまして、お説の通り當方といたしましては、本年度中に電信電話の事務を開始するというようになつております。ただ配達事務だけは牛根局との間が三千メートルよりないのでありまして、その間の道路が非常に良好だそうでありますから、その方は見合わせて、舊來通り牛根局の方でやつていただく。電信電話の方は本年度中になるべく早く事務を開始する。こういうつもりでおりますから御了承願います。
#7
○白井委員長代理 ただいま前田代議士から説明のありました請願についての御意見がございますか――ございませんようですから、前田代議士にちよつと申し上げますが、きようは採擇にするとか、あるいは採決するとかいう方までは至らしめない豫定をもつて議事を開いておるわけであります。ただいまの御説明はよく承つておきます。後日しかるべき機會に進行させていきたいと思つております。
#8
○林(百)委員 實は半ドンの問題をお聽きしようと思いましたが、それは大臣にお聽することにして、これはある委員から私頼まれたのですけれども、福岡の逓信局の管内らしいのです。局員に組合の買出しを集團的に許したことについて、何か買出しの法規に違反したということで、相當の責任者が今警察へ拘置されておるということがあるそうですが、この事實についてもしおわかりだつたら説明していただきたい。
#9
○鈴木(恭)説明員 お答えいたします。實はその問題はまだ私聽いておりませんので、早速調査いたしまして後日お答えいたいます。
#10
○林(百)委員 何か從業員か買出しを特に許したらしいのです。それが配給の法規に違反したということで相當の者が喚ばれておるらしい。もし實相を調査して氣の毒な事情があつたら、何とか手を打つてやるべきだと思うのです。
#11
○中山政府委員 今の御質問に私どもでわかつておりますだけを御返事申し上げたいと思います。實は福岡の電信局の問題について新聞記事が出ましたものですから、私の方で電話で問合わせました。そういたしましたら、やはり食糧事情が非常な困難なために、縣外に買出しに行つた事實がございました。それが福岡縣の縣廳の向きは了解があつたのでございますが、縣外の方の關係に了解が十分に行つていなかつたために、とがめられたそうでございます。しかしいろいろ事情を御説明しましたら、了解していただきまして、だれもひつぱられたということはなしに、不問に付していただいておるということを、電話で聽いております。今後事件でも發展いたしましたら報告してくれということを言つておりますが、未だに來ませんところを見ますと、大體事件を納めていただいておるのではないかと思つております。
    ―――――――――――――
#12
○白井委員長代理 それでは全逓夏季半休問題に關しまして大臣より説明を求めます。
#13
○三木國務大臣 夏季半休廢止問題についての今日までの經過を御報告いたしまして、各位の御了承を得たいと思つております。
 今囘政府が國情に鑑みまして、夏季の半休を廢止するということになりましたので、七月二十九日に私から全逓幹部に對してこの點に對する了解を求めましたところ、組合側では勞働協約の違反であるという主張をいたしてまいりました。後ほどこの見解の相違はあらためて申しますが、經過を一應先に御報告したいと思います。官側といたしましては協約違反にあらずという見解をもつておりましたが、とにかく組合側といたしましても、夏季半ドンの廢止には必ずしも反對ではないという見解をとつておりましたために、殘るは協約違反なりや否やという法律的な見解の相違の問題だけでありますので、何とかして大局的な見地より兩者が歩み寄つて解決いたしたいと存じまして、七月三十日にも全逓幹部の人たちと種々話合いをいたしましたが、解決を見出し得なかつたのであります。その際に組合側として、官廳執務時間を撤廢して速やかに新勤勞體制を確立せよという要求書が出てまいりました。しかしこの問題は各方面と關係をいたすことでありますから、逓信省限りでこの問題をただちにやるかどうかというような返事をいたすことはできませんので、研究をするという程度の答えをいたしておいたのであります。さらに八月に一日に打開の途を發見すべく、また全逓の幹部を招致いたしましていろいろ話合いをいたしたのでありますが、話は不調に終りました。それで約束の期限である八月の二日に、前の勤勞態勢に對する返答をこちらからいたしました。全逓側ではその囘答をただちに検討いたしまして、昨日から各支部に對して半ドン實施の指命を發しました。右の結果によりまして、すなわち八月四日の昨日から、現業の官廳執務時間の勤務者は、中にはこの指命の通りにもなつていない部分もありますが、大部分は半ドンを實施いたしました。
 この見解の相違というのは、逓信省の勞働協約の第五條と第十條とにこういう規定があります。第五條は、「勤務時間は一日拘束八時間、一週四十八時間を最長とする。但し現業勤務時間については右の範圍内において甲乙協議の上別に定める。」第十條に、「第五條第七條及び第八條の規定は官廳執務時間によるものには適用をしない。」こういう關連する勞働協約の條項があります。この規定にありますがごどく、勞働協約の第十條の官廳執務時間によるものについては、勞働時間の原則の適用を除外するということになつておりますので、この官廳の執務時間という制度、これはいろいろ問題がありましようが、一應これを認めておる以上は、あるいは政令の改正や長い間に慣行による閣議の決定等によつて、逓信大臣の意思いかんにかかわらず變更を見ることが豫想されて、協約の條項の中にこれを入れることが適しないから、かようなことになつたと思うのであります。從つて執務時間に對しては、協約の締結日たる三月十四日現在で、もうそれは固定したもので變更されることがないというようなのではなくして、そういう具體的な時間でなく、變更されることを豫想されたものと見なければならないと思います。
    〔白井委員長代理退席、委員長著席〕
 もちろん現業官廳における超過勤務手當の支給に對してはその規定があるのですが、その支給率が八分の一と決定いたしているのは、これは變更されないことを豫想しての上でなく、變更されないでこのままならばという假定附で、交替制勤務の者と均衡を考えて低率にしたにすぎないのでありまして、勤務時間が半休の廢止などによつて違つてまいりますれば、その限度においてその率を今までよりも高いものにするというようなことは、勞働協約の本文に定めてある經營協議會の規定等によつて、道義的にはとにかく、法律的には除外されておると見なければならないのであります。こういう理由から、次官會議の決定で、閣議の了解により、七月二十八日から半休を廢止したことは勞働協約の違反でないという見解をとるものでありますが、全逓の側といたしては、この勞働協約を結んだときには、今日の官廳執務時間というものは、そのままこれが續くものであるということを認めておつたのであつて、それが變る場合には甲乙再者において協議の上定めるのが當然であつて、この官廳の執務時間というものはもうきめられておるのが續く、協議の必要がないものだという前堤で、第十條において官廳執務時間によるものは適用しない、こういうことになつたのである。こういう趣旨の見解のもとに、これは經營協議會に付議して勞働協約の改訂を申入れるべきものである。こういう理由書を全逓では出しておるのであります。ここで逓信省側と全逓側との間に勞働協約の注文上の解釋において疑義が生じたのでありますから、かような場合においては兩方話合いがつかない場合には、中央勞働委員會においてこの注文上の解釋の裁定を受けるので妥當であるのでありまして、逓信省としてもこれに對する公式の照會を發しておる次第であります。ところがそういう公式の注文上の解釋の疑義に對しては、中央勞働委員會の裁定をまつべきであるにかかわらず、昨日から半ドンを斷行するに至りましたことは非常に遺憾と考えております。このために國民に對しても非常な迷惑をかけることになるので、何とかしてこの國民に對する迷惑を最小限度に食い止めたいと考えまして、昨日も各逓信局長に對して、窓口の事務をできるだけ確保するようにということを要請いたしました。そうして國民への迷惑を最小限度に食い止めんという努力をいたしておる一方、中央勞働委員會でもこの半ドン強行に對しては、勞調法の點から疑義を生じておるということで、昨日來活動を聞始いたしております。逓信省といたしましては、この通信の事務が國民生活に非常な影響をもつておるものでありますし、この問題は根本においては半ドン廢止に反對でない、ただ法文解釋上の疑義の點だけを存じておるのでありますので、全逓從業員が速やかにこの國情に鑑みて窓口を再開して、國民に對しての通信の事務機能を確保するように、期待をいたしておる次第であります。以上大體の經過を御報告申し上げます。
#14
○梶川委員 今の問題についてでありますが、大體の經過の説明を聽きましたので、概略はわかりましたけれども、その協約内容と、他の現業をもつておるところの國鐵あるいて大藏三現業廳というものもおのおの勞働協約を締結しております。その協約内容を比較檢討してみられた場合に、大體内容が同じものであるかどうかという問題と、それからそういう疑義を生ずるような協約を締結せられた責任が一體どこにあるのか。その次に現在の通信特別會計の現状よりいたしまして、約七十億も赤字がある、これを今度値上げして三十億ほど減らそうという場合に、先般來私あたりが申しておりますように、通信事業の事務能率に、相當大きな缺陷があるのではないかというふうに考えておるのでありますが、この際當局におかれましても、こういうぐあいに逓信關係だけがこのような問題を起したことは、やはりそこに何らかの處置上の欠陷があるのではないかということも考えられますので、これらについて他との比較及びこういう疑義のある協約を締結せられた責任、竝びに現在當局のこういうぐあいの實情を控えての措置というものに、非常に遺憾に點があると思いますが、その點についてひいつ説明をお願いいたします。
#15
○三木國務大臣 勞働協約は多少各省によつて違つておつて、たとえば現業官廳でないところでは、勞働條件の變更、いわゆる勞働時間が變更するような場合には必ず經營協議會にかけなければならぬというような明文をもつておるところもあります。たとえば商工省のごどきはそういうものをもつておるのであります。大體においてみの逓信省の勞働協約は、一々他の省とは比較はいたしませんが、大同小異と思うのであります。た これは疑義と申しますか、解釋上の一つの意見の相違を來したわけでありまして、この點については將來勞働協約等を締結する場合に、かような解釋上の相違が起らせないように、明瞭にいたさなければならぬと思います。今後の處置としては、この問題は根本において全逓の方も半ドン廢止には反對でないようなことを申しておるので、でき得る限り速やかにこの問題を短期間のうちに解決をして、國民の迷惑を最小限度に食い止めたいという考え方であります。
#16
○林(百)委員 全逓側の主張したところの半ドンを廢止すれば、協約の、たとえば拘束八時間、週四十八時間以上の時間になるかどうかという點、かりになるとすれば、それに對する十條の超過手當を支給するのが當然ではないかと思われる點、それと、そうした勞働協約について疑義があつた場合には、どこまでも經營協議會でもつて審議すべきではないかという點、それからもう一つ勤務時間は、從來は當然半ドンがあるということで勞働協約が締結されているが、今年は特に半どんを廢止するという、こうした勤務時間の變更がある場合には、當然勞働協約の變更である、勤務時間の變更であるから、これは經營協議會によつてどこまでも決定すべきだと思うが、それを中央勞働委員會に提訴したか。これを聽きたいと思います。
#17
○三木國務大臣 先ほど申しましたように、勞働協約の中に、官廳執務時間によるものは第五條の規定を適用せぬとか、原則の適用を除外するということが第十條にあります。御承知のごとく逓信省の現業中の非現業と言われる職務についておる人々は――現業の人たちには勤務時間というものがきめられておりますが、現業中の非現業の人たちは、ほかの逓信省あるいは逓信局と同じような官廳の執務時間によつておるものでありまして、官廳の執務時間が變更になつた場合には、この第五條の拘束八時間、一週四十八時間を最長とするこの原則は、適用を除外しておるという解釋をとつたのであります。從つてこれは經營協議會に念を押すという上からいえば――經營協議會と申しますか、全逓側と事前に了解を得れば、それに越したことはなかつた。その手續上の點は必ずしも十分でなかつたのでありますが、勞働協約の一つの條件からは、これが適用から除外されておるという解釋をとるのであります。從つて問題が双方の話合いの結果、これが解決されない場合においては、この兩方の勞働協約上に對する法文上の一つの解釋の相違は、中央勞働委員會へその解釋について照會をしなければならぬ。双方では意見が一致いたしておらないのでありますから、中央勞働委員會に照會をすることが妥當だと考えます。
#18
○鈴木(恭)説明員 ちよつと補足して御説明申し上げます。勞働協約は御承知のように兩者協定をしてできるのでありますけれども、解釋の問題になりますると、相當意見の不一致があろうことが豫想できるのであります。協約をつくります際にあたりましても、いろいろなフアクターがはいつてまいる。そこで私どもといたしましては、協約に對しまして覺書を取交し、またその説明書というものをお互いがつくりまして、兩方確認いたしておるのであります。そしてこの解釋につきまして兩者が意見一致しないときは、中央勞働委員會の決定にまつということも説明書の中で兩者うたつておるのでございます。そういうふうな意味におきまして、逓信省といたしましては中央勞働委員會の意見を聽くということになつておるのでございまして、經營協議會にかけないで、中央勞働委員會にただちに提訴したというわけではございませんし、また經營協議會にかけるという問題とは別に、私どもとしてはそうしなければならない兩者の申合せになつておるものですから、そうしたのでございます。なおかりに超過しておれば、それに對しては超過勤務手當を出すべきではないかという御質問であります。その御質問の中に一日八時間、一週四十八時間を超過するかというお話ですが、これは超過いたさないのであります。これは現業の郵便、電信、電話に從事いたしております者は、原則として三番交替をいたしております。これは私ども官廳從業員といたしましては、もちろん官廳執務時間によつて仕事をするのでありますが、その閣令の中に、現業に從事する者につきましては、逓信大臣が特に勤務時間を指定することができるという條項がございます。それに基きまして、年中無休の通信事業に從事する者に對しましては、逓信大臣が服務を指定いたしまして、そこで五條の勤務時間が一週四十八時間、拘束八時間という問題が出ている。そこで問題は、官廳執務時間によつておる者がここに問題になるのでございます。これは貯金、保險、あるいは庶務、會計といつたような面におきましては、原則として官廳執務時間によつておりますものですから、さような者が、かりに夏季半ドンということが基礎になつておりますれば、明らかに半ドンを返上いたしますれば、四時間というものは超過するわけでございます。しかしそれが一日八時間、一週四十八時間をオーバーするかと申しますれば、それは超過しないはずになつております。
#19
○林(百)委員 もう四點ほどお聽きしたいのですが、そうすると現業の從業員は半ドンをしていいのかどうかという點が一點。それから、しからば非現業については何ら勞働協約の中に勞働時間の點についての協約がないかという點が一つ。
 それから、われわれは常識的に考えて、勞働時間というのは勞働條件の中の最も重要な點だと思う。ですから、必ず非現業の者に對する勞働時間についても、勞働協約の中にうたつてある。これはお調べ願いたい。
 なお、勞働協約の中には、勞働時間の變更がある場合には必ず經營協議會にかけて決定する必要があると思います。そこで、この半ドンを廢止するということが閣議で決定したからといつて、ただちに行政命令でそれを實施して、勞働時間の變更という重大なことがあつたのに、經營協議會にかけて全逓の意見を問わなかつたということについては、やはり逓信大臣に責任があると思われるが、その點についてはどうか。
 それから、全逓從業員組合というのは、現業も非現業もはいつておるはずであるし、勞働協約は全逓と逓信省との間で協約であるから、非現業の者に對する勞働時間の變更、制限ということについても、當然經營協議會にかけて決定しなければならないと思われます。これは逓信省では、從來、夏期になれば半ドンしていたのは當然なんであります。そういう前提のもとで、勞働協約も締結されておるので、今年特に半ドンを廢止するということになれば、勞働條件の變更であるから、當然勞働協約によつて經營協議會にかけて決定すべきである。それを閣議で決定したからといつて、ただちにこれを行政命令を出したという點に、このたびの不幸な事態が起きたのではないか。この點についての御答辯を願います。
#20
○三木國務大臣 先ほども申し上げましたごとく、手續上はこういう問題は、非常な現下の國情から見て、今年の特別な處置でありますので、事前においていろいろ話合いをすることが望ましかつたのでありましたが、その點に對しての念の届かなかつたことは先ほど申し上げた通りであります。ただ勞働協約の解釋といたしまして、官廳の執務時間によつておる者は、閣議の決定によつてその執務時間が變更になつた場合には、その執務時間に服すべきものであるという解釋をとりましたがゆえに、これを解釋協議會に付議いたさなかつた次第であります。その他の點については次官からお答え申し上げます。
#21
○鈴木(恭)説明員 お答えいたします。現業の從事員は半ドンがとれるか、こういう御質問であります。ただいま申し上げましたように、現業の從事員にいたしましても、その職場によつては官廳執務時間によつておるのでございます。たとえば、庶務、會計、貯金、保險といつたようなものは、現業ではありまするが、官廳執務時間によつて勤務いたしております。從つてこのような職場におる者は、從來閣令に基きまして、暑中は半ドンを實施しておつたのでございます。
 非現業に對しての勤務時間は勞働協約にないのかというお尋ねでございますが、ただいま大臣からも御説明申し上げましたように、第五條の勤務時間は、逓信大臣が閣令によつてきめ得る範圍において、勞働協約が結ばれておると解釋するのでございまして、十條において官廳執務時間をとる者を除外いたしておりまするのは、逓信大臣がその決定のできない範圍に屬するものですから、除外しております。從つて勞働協約の中においては、官廳執務時間による者を一應除外しておる。こう解釋できると思います。しかしただいまお話のように、これは勞働條件の變更でございまするので、勞働協約を受けてできました經營協議會におきましては、もちろん勞働條件の變更については協議すべき事項になつております。從つて道義的には必要があろうかと思うのでありまするが、法律的にはない。こういうふうな解釋ができるかと存じております。
#22
○河口委員 全逓の半休問題に對して、今逓信大臣から御報告をいただきましたが、その經過報告によりますと、勞働協約の第五條、第十條の見解の問題にあるという御報告であります。私はそれらの問題でなくて、何かまだそこに根本問題があるように考えられるのであります。それを明らかにしていただきたいと思います。
#23
○三木國務大臣 御質問の要旨の根本問題ということは、どういうことをお指しになるのか私にも了解しかねるのでありますが、ただいまのところ全逓と逓信省側との意見の相違は、この半ドンが勞働協約違反なりや、結局勞働協約の第五條、第十條に關連して、この解釋の相違から、勞働協約の違反か否かということが根本の問題に相なつておるのでありまして、これが今日半ドン強行をめぐる兩者の根本的な問題と考えております。
#24
○梶川委員 ちよつと今のと關連しますが、先ほどの逓信大臣の話によりますと、要するに解釋の相違というふうに言われておりますけれども、しかしながら全逓側において半ドンを返上してもよい、必ずしも半ドン廢止に反對ではないというふうな意圖があると説明せられました。そうしてみますと、全逓側が必ず半ドンを固執しておる、言いかえれば單に權利の擁護のためのみ闘つておるというふうに解釋してよいか。あるいはまた別に何らかの政治的意圖があるのかどうかという意見が浮び上つてくるのではないかと思うのであります。この點につきまして逓信大臣はこれをいかに解釋しておられるか。もしその見透しに誤りがあつたならば、これの解釋はうまくいくものでもなく、また將來に大きい禍根を殘すのではないかと思うのであります。なお先般の食糧の加配米の問題にいたしましても、これらは他の全官勞におきましても非常に大きな反響を呼びさらにまた一般民間勞働團體に對しても大きなる影響を與えておるのであります。言いかえれば全逓、國鐵のみがさような特殊な扱いを受けたというふうになつております。これは當然と權利でありますけれども、權利の一部を少くとも保障せられたということになるわけであります。にもかかわらず、あの際において全逓側が逆に、これつぽつちもらつても大して通信業務の完璧は期せられないという意味の反駁聲明を出しており、將來續けてもらいたいと言つておる。これは當然に將來續けるべきでありますけれども、現在の食糧事情等から勘案いたしましてほかの從業員、たとえば全官勞にいたしましても、あるいは大藏現廳にいたしましても、あるいはまたその他の民間勞働者にいたしましても、多大の不滿があるのにそれを抑えてきておるような事情にあるにもかかわらず、あのような聲明が出され、また今囘他の大藏三現廳にいたしましても、あるいは國鐵にいたしましても、おのおの現業に從事し――先ほどの御説明によりますと、その勞働協約には大體大した差異はないというふうに見られておるにもかかわらず、このような半ドン問題をめぐつて問題が重大化してきたということは、やはりそこに何らかの政治的意圖、あるいはまた當局に對する何らかの根本的な不滿があるのではないかと思うのであります。この意味におきまして、願わくは逓信大臣竝びに當局の方は、もつと問題を掘り下げて、根本的に問題を解決せられるように望むものであります。終ります。
#25
○林(百)委員 先ほどの質問でまだどうもはつきりしない點があるのですが、第一點としては、官廳服務時間の規則によらないものは半ドンをしていいかどうかということをもう一度お尋ねしたい。
 それと第二點は、官廳服務時間に服するものと閣令によつて決定したものは、逓信大臣の考えだけで、すなわち經營協議會にかけて、組合側との合意で一般的に時間の變更がなし得るかどうかという點、この二點をお伺いいたします。
#26
○鈴木(恭)説明員 官廳執務時間によらない、すなはち現業の逓信大臣が特に指定しておりますものにつきましては、半ドンはできません。
#27
○林(百)委員 その點ですが、ちよつとあなたの言うのがはつきりしない、官廳服務時間によるものは半ドンはできないというが、それならば官廳服務時間によらない現業の者はできるのか、できる者もあるのかどうか。
#28
○鈴木(恭)説明員 官廳服務時間によるものは從來半ドンをとつておりました。官廳服務時間によらないものは、五條によりまして一日拘束八時間、一週四十八時間の勤務に服しておる。從つてその者は半ドンはしておりません。
#29
○林(百)委員 そうする官廳服務時間によらないものは半ドンできないという結論になるのですか。あなたの話によると官廳服務時間によるものは閣令によつて時間を逓信大臣が指定することができるから、閣議の決定によつて半ドンを返すということになれば、できないのだという説明だ。そうすると官廳服務時間によらないものは……。
#30
○鈴木(恭)説明員 初めから半ドンという問題は起らない。
#31
○林(百)委員 しかし時間の差繰りで夏の間だけは休んで、ほかのところでそれを埋め合せるということができるかどうか。
#32
○鈴木(恭)説明員 これは逓信大臣が特に指定することができるのですから、絶對できないというわけではないのです。しかし勞働協約に一日八時間一週四十八時間というものをきめておりますから、そのきめた範圍内において、勤務しておるわけです。
#33
○林(百)委員 その範圍でやれば半ドンになつてもいいかどうか。官廳服務時間によるもの、すなわち閣令で決定したものは、逓信大臣が指令して、その通り服さなければいかぬというあなたの御説明だと、官廳服務時間によるものは、勞働協約の範圍内で、夏の半分休むことができるかどうかという問題……。
#34
○鈴木(恭)説明員 これは大臣の御意思によつてできるとも、できないとも申し上げられるのでありますが、この八時間の勤務と申しますのは、實際はどういうふうになつておるかと申しますと、大體三番勤務をいたしております。從つて明けの日というものがございます。所によつて違いますが、必ず朝八時に來て四時に引けるというのではございませんので、その間いろいろの服務の關係がございまして、徹夜勤務をいたす場合もあります。そういう際には翌日は全然明けの一日があるというふうな勤務の仕方をしております。
#35
○林(百)委員 どうもはつきりしないのですが、そうすると根本的な考え方は、逓信從業員の勞働時間の點については、官廳服務時間に從う者も從わない者も、逓信大臣の腹一つできまるというのですが、それはやはり勞働協約がある限り、從業員組合との間の經營協議會によつて勞働時間を決定するのが原則だと思う。ただ例外として官廳服務時間に從うものは、閣令によつて決定したものを逓信大臣が命令してそれに從う。いわゆる例外があるのだというようにわれわれは解釋をしておるのだが、結局根本的な問題としては、勞働時間は官廳服務時間に從うものも從わないものも、とにかく一應經營協議會にかけて決定すべきではないかという點が一つ。それから逓信從業員組合の中においても、現業で官廳服務時間に從わないものは、勞働協約の時間の範圍内ならば、經營協議會にかけて、夏は半ドンをとつてもいい。その代りその時間は凉しくなつて、能率の上るときに埋め合わせることができるかどうか、そういう彈力性があるのかないのかという二つの點であります。
#36
○三木國務大臣 逓信從業員の勤務時間は逓信大臣の腹一つというのではありません。勞働時間の一日拘束八時間、一週四十八時間を最長とするという原則は、これはその範圍内においてしなければならぬ問題でありまして、逓信大臣の自由裁量でないということと、現業が半ドンをとつてもいいのじやないかということ――あなたの言われる、時間を繰延べて、ちようど午後を休めるようにするということは、普通一般の概念からくる半ドンではないのであります。現業は半ドンという建前をとつていないのであります。御承知のように電信にしても電話にしても、二十四時間三番交替で勤務しておるのでありますから、半ドンをとることが建前にはなつていないのであります。また時間の差繰りにより午後ちようど休みができても、それは半ドンという一つの範疇に入れるべき性質のものではないと考えます。
#37
○小島委員 どうも今の質問應答を伺つておると、もともと逓信省側の考えとしては、今度の半ドン廢止は勞働協約の勞働條件の變更にならぬのだから、法律に違反しないのみならず、道徳的に何も一向差支えないのじやないでしようか。それを逓信省側は、何か道徳的にはむしろ經營協議會にかけるべきであつたかもしれない。その手續をとるべきであつたかもしれぬとおつしやるから、ここに妙な質問應答が出てくるので、勞働條件の變更にならぬというのならば、何も逓信省としては道徳的に考える必要はないのじやないか。そういうことを言われるから、そこに林君がいろいろな問題を起してくるのではないでしようか。そういうあいまいなことを言わないで、勞働條件に反しないならば一向經營協議會にかける必要はないのですが、逓信省は單なる口實として、口先の問題として、經營協議會にかけるべきであつたとおつしやるのですか。それともほんとうにそう思つておるのですか。私は先ほど來伺つて、經營協議會にかける必要は一向なかつたと思うのですが、いかがでしようか。
#38
○三木國務大臣 あまり良心的に考え過ぎましてお叱りを受けたのでありますが、實は法文の解釋上は今申したように勞働協約違反でないという建前をとつておりますが、官廳のあり方として、できるだけ從業員と管理者側というものが意見を合わしていくことが通信の能率を高めるゆえんでありますので、必ずしも法文にその義務がなくても、こういう問題は話合いをいたしていく。法律的な問題でありません。しかし話合いをするということの方が好ましいという考え方から、つい何と申しますか、良心的に考えて、そういうことを申し上げたのでありまして、一つの勞働協約の法律的な解釋については、勞働協約に違反せずという見解であります。
#39
○小島委員 私の考えといたしましては、逓信當局がそういう親心をもつて交渉されるということも非常に結構であるし、そうなくちやならぬと思いまするけれども、一旦勞働協約というようなはつきりした法律上の根據というものをつくつている限りにおきましては、それを道徳的に考えてよいとか悪いとか言つていると、勞働協約をした値打がなくなつて、それがあいまいになつてくる。勞働協約というしつかりしたものをつくつた以上は、あくまでもその勞働協約に從つてやるという信念をもたなければ、道徳的にどうとか、世間的にどうだとか言つたら問題の解決といふものは一つもつかないと思う。勞働協約というものを結ばれた理由の根本はそういうところにあると思う。いやしくもそういうものができた以上は、逓信當局としてはだれがどう言わうと構わないから、勞働協約に基いてはつきりした信念をもつて行動される方が、今後においていろいろの經緯を殘さぬ意味におきましてよいと思うが、逓信當局はいかように考えておられるか。
#40
○三木國務大臣 お説の點も確かにその通りでありますが、今囘の半ドン廢止という問題は非常に大所高所から起つてきた問題でありますので、できればこういう問題は一つの法制的な解釋という法律的な問題を中心とするよりは――それもむろん疑義が起ればしなければなりませんが、今日の國情から大所高所から逓信從業員がこれに協力をしてもらうことを望んでおつたのであります。そのためには最初からこの問題を、勞働協約の法文的解釋の相違として、問題を非常に固いものにする前に、もし問題が解決できれば話合いにおいて解決をしたい、こういう經過をとりましたがために今申し上げましたようなことになつたのであります。できれば事前に話合いをすればよかつたのであろうがというようなことを申したのは、それまでの經過として單に法文的解釋にすぐにもつていかないで、當局が圓滿に解決をしようといたしましたがために、自然そういう説明になつてまいつたのでありますが、話合いがつかないということになれば、今小島さんのおつしやる通りの態度をとらなければならぬと思います。
#41
○林(百)委員 どうも逓信大臣と次官は、私の方で聽くと、道義的にまた手續上、手落ちがあつたのは濟まないと言うし、先ほど小島氏の御質問に對しては、全然そういうことはないと言われる。もし勞働協約違反の點がなくて、逓信省側に確信があるならば、中央勞働委員會に逓信省側から提訴する必要はないと思う。やはりそこには疑義があつてその點を明確にするためにやつた。一應そこには疑義があつた。そこで問題は、やはり半ドンを廢止するということは、――從來逓信省は半ドンをとつていた、そういう前提のもとで勞働協約を締結されたのであるから、半ドンをことしの夏だけは廢止するということになれば、勞働條件の變更である。これは一應經營協議會にかけて兩者の話合いで決定すべき問題だと思う。そうでないとすれば先ほどの七條の解釋の問題は出てこないと思う。拘束八時間、週四十八時間の問題は決定しているということになる。その點についてやはり半ドンを廢止するということは一つの勞働條件の變更だ、だから勞働協約に基いて經營協議會によつてまず決定すべき問題であつた。それを經營協議會にかけなかつたということは、やはり逓信省としても手落ちがあつたのではないか。もう一度お尋ねしますが、七條の問題です。これは鈴木次官にお尋ねしたいのですが、七條の問題はどこに一體逓信省の方は疑義があると考えているか、この點もう一度お尋ねします。
#42
○鈴木(恭)説明員 七條ではございません。五條でございます。五條は、現業從事員の勤務時間は、一日拘束八時間、一週四十八時間以内においてきめるということになつております。そうして十條で、この五條の規定は、官廳執務時間の勤務者には適用せず、こうなつております。
#43
○梶川委員 先ほど私がお尋ねいたしましたところの、この問題について政治的意圖が濳んでいるのではないかどうかという問題に關して、ひとつ逓信大臣の見透しをお答え願います。
#44
○三木國務大臣 ただいまのところ、政治的意圖を含んでおるとは考えておりません。
#45
○成田委員 この問題につきましては、全逓側、逓信省側、また本委員會での協約の解釋問題、その他論議されておりますが、この問題は國民感情から申しましても、また全逓側でも認められておりますように、半ドンというものが現在の情勢からいつて不合理だということははつきりいたしております。この點こういう問題が起つたことは非常に殘念だと思います。法律問題になりまして、當然落ちつくところに落ちつかなければいかぬ問題だし、政府としても落ちつかせていただきたいと思うのであります。ただ先ほど林君からもいろいろ意見がありましたように、勞働時間というものが勞働協約の重要な要素をなしている以上、官廳勤務時間を閣議決定で一方的に決定することはいかがかと思いますが、この點政府の御意見を伺います。
#46
○三木國務大臣 この勞働協約の解釋から言えば、官廳執務時間によるものは適用せぬ、この官廳執務時間は閣令によつてきまる、こういう建前になつておりまするから、この法文解釋はさように解釋せざるを得ないと思います。
#47
○成田委員 それが解釋としてあまりにも形式的に走り過ぎまして、親心がないのではないかという感じを全逓側に與えるのではないか。勞働時間というものが勞働條件の重大要素をなしておる以上、一方的にきめるべきではないと思う。この例外規定を盛つたことは、一應は五條の拘束八時間制度というものは適用しないという精神なので閣議決定ですべての官廳執務時間を決定できるということで、十條の除外規定を盛つたのではないかと思うのですが……。
#48
○三木國務大臣 その點につきましては、何と申しますか、今親心という言葉をお使いになりましたが、その形容があたるかどうかわかりませんが、われわれとしては努力をし續けたのであります。その間できる限りの努力をいたしてまいつたのでありますが、今日まで解決に至つておりません。その勞働協約の解釋についてはいろいろ御意見もあるようでありますが、當局としては先ほど來申し上げるような見解をとつておるものであります。それに至るまでの間のことは私の方も十分その手段は盡したつもりであります。
#49
○成田委員 いろいろ協約のことが問題になつているのですけれども、結局希望として申し上げますが、協約の解釋でどうこうということが問題になつておるのはおかしいという國民感情だろうと思います。それでこの問題につきましては、政府の方におきましても十分努力をいたしまして、早く解決していただきたい。これは國民の常識になつておるのであります。その點だけお願いいたします。
#50
○林(百)委員 先ほどからたびたび發言しているのですが、實は事は重要な問題ですし、私も何もぜひ半ドンをさせるというのではなくして、やはり逓信省の事業というものは從業員の協力なくしては行われないと思う。こういうことから從業員と當局側との間に龜裂があるということは國家のためにも不幸だ、ですから、將來のためにこういうことについては、お互いどういうふうに心構えをきめておいたらよいかという問題を一應ここで掘り下げてみたいという意味で質問しているわけです。そこで先ほどの五條の官廳服務時間に從うものは閣議の決定によつて逓信大臣が一方的に勞働時間の變更を決定し得るのだという點については、これは勞働協約がある限り、當然一應經營協議會にかけて、逓信從業員組合との話合いによつて決定すべきだというように私は解釋するのです。この點をひとつ御再考願いたいと思います。それだけの希望を述べて私の質問を終りたいと思います。
#51
○三木國務大臣 いろいろ林君の御議論ではありますけれども、官廳執務時間によるものは、經營協議會の第二條に定める協議すべき勞働條件から除外されておるという見解をとつております。
#52
○梶川委員 先ほど大臣は、これは政治的な意圖は全然ない、ただ解釋だけの問題だと言われておりますが、私が繰返して申しますように、そういうような甘い考えをしておられるからこれが大きな問題化してくるのであります。先般の問題にいたしましても、今度の問題にいたしましても、さらにこの次の料金改正問題にいたしましても、必ずこれはまた大きな問題化してくるのであろうというように考えます。ひいては結局そのような當局の淺薄な考えが、常に逓信省の問題を、あるいはその裏には必ず從業員というものを國民の世論からの支持を失わせるような方向にもつていきつつあるということは、これはいなめない事實だと思う。もしもそういうような意圖でやつておられるのならばこれは別問題でありますけれども、少くとも健全なる通信事業の發達という點からいたしますならば、もつと問題を考え直してやつていかれる必要があるのではないかと思います。何囘繰返しても同じでありますが、要するに先ほどからのお話は、枝葉末節の、ただ法文の解釋論のみによつて事が解決するように考えておられるということが、現在の逓信當局の頭の固さを證明して餘りあるものと思います。これらの問題についてもう少しやわらかく大きく考えられなければ、いつまで經つてもこういう問題が次々と發生してくるであろうということを私はここで御警告申し上げ、また御忠告申し上げる次第であります。どうかお含みを願います。
#53
○椎熊政府委員 私はただいまのあなたの御發言とはまつたく別な考えをもつておるのです。逓信從業員の勞働運動が、表現しておる言葉以外に、政治行動が潜んでおるということはとんでもないことと思うのです。そういうふうな解釋をすることは、勞働運動を正常に乘せないことであつて、かえつて邪道に入れることだと私は確信しております。勞働運動というものはまつたく勞働者の地位を向上せしめ、生活を確保するところの純眞なる經濟運動であるところにほんとうの勞働運動があり得ると私は確認いたします。あなたのようにことごとく政治的な動きで、その根本は政治上の働きをやつておるのだと解釋するならば、日本の官業勞働というものは恐ろしき行動をするものだと私は解釋しなければならぬ、むろんこう解釋することは國家のためによろしくないと思います。
#54
○梶川委員 そのように考えられるから問題が次々と起るのでありまして、何もわれわれは邪道に陥れようとするとか、そういうのではなくして、われわれは正常な運動に乘せよう、健全な組合にもつていこうという考えでやつておる。われわれは何もこれを煽動しておるわけでも何でもない。ただわれわれが正しい勞働運動を、また勤勞者の利益というものを考えてながめておる場合に、先ほど申し上げたように、表面のみを見てものを運ぼうとするととろに大きな誤りがあるということを、私は通信の委員の一人として、これを健全に乘せたいがために發言しておるのであつて、決してわれわれは邪道に陥れようとするためにやつておるのではない。だから問題は、先ほどから繰返しますように、ただ枝葉末節の法律の解釋論のみによつてこの問題が紛糾しておるというふうに考え、またこの法律の解釋論のみを解決すれば、問題は解決するというふうに考えられたのでは、將來大きな禍根を殘し、あるいはまた問題の根本的解決にはならないというふうに考えるわけであります。このことだけを親心から――親心からと言つては恐入りますが、申し上げるわけでありまして、決してわれわれが煽動するとか邪道に陥れようというのではありません。
#55
○椎熊政府委員 私はこの勞働組合の要求の影に、その眞意がどこにあるかということをお互いが察し合うことが必要であろうと思います。またあなたはそのことを言いたいのであろうと思います。それが政治行動だ、政治的意圖があるのだと言うならば、あなたの表現が間違つておる。それは政治行動ではない。ほんとうの要求というものは純眞でなければならぬ。腹を打明けてほんとうに話合うところに妥結の途があるので、あなたがそれを政治行動だと表現することは間違いだと思う。
#56
○梶川委員 私は何も政治行動、あるいは政治的意圖があるというふうに言つたのではなくして、そういう意圖がないと見られるのかどうか。根本的な問題は先ほど言いますように、法律論のみというような簡單な考えでなくして――表現は政治という言葉を使つたのがまずかつたかもしれませんが、とにかくそこに根本的な問題があるということ、竝びにその根本的な問題を解決するような親心、と言つては言葉が悪いかもしれませんが、要するにそういうやわらかい頭でいかなければ、解決しないということを申し上げておるわけです。
#57
○岡田委員長 ほかに質問がないようでありますから、この問題は一應これをもつて打切ります。本日の審議の請願三件は後日に讓ることにいたします。
 本日はこれにて散會いたします。次會は公報をもつてお知らせいたします。
   午後零時二十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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