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1948/11/10 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第8号
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1948/11/10 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第8号

#1
第003回国会 本会議 第8号
昭和二十三年十一月十日(水曜日)
   午前十一時四十二分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和二十三年十一月十日
   午前十時開議
 第一 檢察官適格審査委員会の委員の選挙
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 一、委員の辞任及び補欠の件
 一、國家公務員法の一部を改正する
  法律案に関する件
    ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りいたしたいことがございます。昨日、赤木正雄君より予算委員を、岡部常君及び岡元義人君より決算委員を、竹下豐次君、中川以良君及び鈴木直人君より議院運営委員を、それぞれ理由を附して辞任の申出がありました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。つきましては、その補欠として、久松定武君を予算委員に、岡部常君、岡元義人君及び高田寛君を議院運営委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 昨日本院に予備審査のため、國家公務員法の一部を改正する法律案が送付せられました。本案につきましては、議院運営委員会は、特に本会議において政府よりその趣旨説明を聽取する必要がある旨の決定をいたしました。つきましては、この際本案につき内閣総理大臣の説明を求めたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。吉田内閣総理大臣。
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#7
○國務大臣(吉田茂君) 只今上程になりました國家公務員法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 國家公務員法は、新憲法の精神に則つて、新たな基盤の上に國家公務員制度を打立てるために、昨秋、第一國会において制定され、去る七月一日から施行を見たものでありますが、その後七月二十日附を以ちまして、國家公務員制度改革に関するマツカーサー元帥の書簡に接しましたことは御承知の通りでありまして、この書簡に示されておる「政府における職員関係と私企業における労働者関係の区別」を明らかにいたしますると共に、人事委員会を人事院と改めまして権限の強化を図り、同書簡にいわゆる「準司法的機関」としての性格を明確にいたしまして以て國家公務員制度をして同書簡の趣旨に速かに即應せしめるために、ここに本法案を提出いたしました次第であります。本法案の詳細につきましては逐一それぞれの責任者より御説明申上げますが、何とぞ愼重御審議の上、速かに御議決あられんことを希望いたす次第であります。
 尚附加えて申しまするが、目下労働問題等の解決のために、最もこの公務員法の國会通過を必要といたしますることは御承知の通りでありましようが、この度の第三國会は、一に公務員法を先決いたしたいという政府の希望を以て召集いたしましたわけであります。これは單に私の内閣のみならず、その以前において、即ち前内閣におきまして公務員法の改正を必要とするために第三國会を開くことになつておりましたので、現内閣といたしましてはその趣意に賛成いたしまして、現に第三國会を召集いたして、先ず以て公務員法の通過を希望いたしておる次第でございます。何とぞ御審議を願いたいと思います。(拍手)
#8
○議長(松平恒雄君) これより順次質疑を許します。各質疑者の割当時間はおのおの十分でございます。高瀬荘太郎君。
   〔「大藏大臣はどうした、大藏大臣は…」「もつと詳細な説明があるんじやないか、説明なしに質問はできないよ」「関係者の説明はどうした」「説明になつておらんよ」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松平恒雄君) 大藏大臣は間もなく登場いたすそうであります。
   〔「それぞれに説明させると言つたが、それぞれが來ないじやないか」「もう少し待て」「説明がないじやないか」「説明があつてからしろ」「説明になつておらないよ」「関係大臣はどうした」「案の内容を説明せい」「いなければ俺がやるぞ」(笑声)「休憩々々」「大藏大臣が來なければ休憩だ」「國会召集の説明を求めているのではありません」「議長休憩を要求いたします」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松平恒雄君) 高瀬荘太郎君は大藏大臣の出席を待つて質疑いたしたいそうであります。只今淺井臨時人事委員長より発言を求められましたから、これを許可いたします。(「それは閣僚か」と呼ぶ者あり)
   〔政府委員淺井清君登壇、拍手〕
#11
○政府委員(淺井清君) 只今総理より御説明申上げました國家公務員法の一部を改正する法律案について(「謹聽」「頭を下げてからやれ」と呼ぶ者あり)説明したいと存じます。國家公務員法は、御承知のように新憲法の精神に則りまして、新たな基盤の上に國家公務員制度を打立てるために、國家公務員たる職員につきまして適用いたしまする各般の根本基準を確立いたしまして、職員がその職務の遂行に当りまして最大の能力を発揮し得るように、又民主的な方法で選択し、且つ指導すべきことを定めまして、以て國民に対しまして公務の民主的な且つ能率的な運営を保障することを目的といたしまして、昨年第一回國会において制定いたされたことは御承知の通りでございまするが、本法施行に必要な諸般の準備のための期間を経ました後に、去る七月一日から全面的に施行を見るに至つたのでございまするが、同法実施後僅かに数ケ月を経ました今日、これの一部を改正する法律案をここに提出することになりましたので、その経緯と改正の要旨及び理由につきまして説明申上げることを我々の義務と存ずる次第でございます。
 改正の最も重要なる動機は、申すまでもなく去る七月二十二日附内閣総理大臣宛マツカーサー元帥の書簡でございます。その書簡は「勤労を公務に捧げる者と私的企業に從う者との間には顯著な区別」のあることを示したものでございまして、勤労を公務に捧げる者は「公共の信託に対し無條件の忠誠の義務」を負つておる者でございまして、「國民全体に奉仕する義務が負わされて」おることを明記いたしまして、又公務員の爭議行爲のような、「政府を麻痺せしめんとするような行爲は想像し得ないもの」であると同時に許し得ないものといたしてございまして、「すベての政府職員は普通に知られているいわゆる團体交渉の手段は、公務員の場合には採用できないものであることを理解せねばならない」ことを指示いたしますると共に、一方「この理念は公務員たる者がみずから若しくは選ばれた代表を通じ、雇傭條件の改善を求めんがために自由にその意見若しくは不満を表明する個人的若しくは團体的の妨げられることなき権利を有しない意味ではないこと」(「政府の見解を言え」と呼ぶ者あり)及び「國家の公益を擁護するために政府職員に課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対し常に政府職員の福祉並びに利益のために十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わしめている」ことが明らかにされておるのでございます。この書簡を受けましたる政府といたしましては、同書簡の趣旨に基きまして、取敢えず去る七月三十一日附を以ちまして、「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合國最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令」(「それが聞違つておる」と呼ぶ者あり)を「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件」に基いて制定施行いたしまして、公務員の交渉権を制限し、爭議行爲を禁止いたしますると共に、國家公務員法により設置せられましたる臨時人事委員会をして、爾後公務員の利益を保護する責任を有する機関とする等の臨時の措置を講じたのでございまするが、それと同時に國家公務員法につきましては、これをマツカーサー元帥の書簡の指示するところに即應せしめるよう改正いたしまするために、政府は同書簡に基く最高司令部の助言によりまして、この法律案の起草を行なつて來た次第でございます。從いましてこの度の改正法案は、飽くまでも書簡の精神と内容とに基いて起草せられたものでございまして、このことは特に申上げる必要もないかと存じます。
 この改正法案によりますると、現行國家公務員法百二十五ケ條中、全文改正をいたしましたるもの三十二ケ條、一部改正をなしましたるもの七十七ケ條、新たに追加するもの十四ケ條でございまして、現行法の殆んどすべての條文について、或いは全面的に或いは一部分について改正が行われることになつておるのでございまするが、その改正の眼目といたしまする要点は、概ね次の三点に要約して御説明申上げることができるかと存じます。
 先ず改正の第一点はいわゆる特別職の範囲が縮小せられたことでございます。マツカーサー元帥の書簡にございまする通り、「國家公務員法は本來、日本における民主的諸制度を成功させるには、日本の官僚制度の根本的改革が不可欠であるという事実の認識の下に考えられたもの」でございまして、そういう意図の下に職員がその職務の遂行に当り最大の能率を発揮するように、民主的な方法で選択され且つ指導さるべきことを定めたものでございまするから、官僚制度の根本的なる改革を行いまする上には、國家公務員法をできるだけ廣く活用いたすことが好ましいのでございます。(「嘘言うな」と呼ぶ者あり)從いましてこの法案におきましては、政治的任命を特に必要とする職以外の職につきましては、これを可能な範囲において廣くいわゆる一般職といたした次第でございます。
 次に改正の第二点といたしましては、人事委員会の組織及び権限を強化いたしました点でございます。御承知のように國家公務員法の運営機関といたしまして、本年中には総理廳に人事委員会が設置せられることになつておるのでございまするが、不偏不党、如何なる勢力の制肘をも受けることなく、嚴正公平な人事行政を行いますと共に、國家公務員の福祉と利益との保護機関としての機能を果しまするためには、この委員会は、そのために必要とし、且つ十分なる権限が與えられますると共に、能う限りの独立性が確保せられることを必要欠くことのできない要件といたしまするので、これに関しまして所要の改正を行うことにいたした次第でございます。即ち人事委員会を人事院と改め、從來内閣総理大臣の所轄の下にあつて、総理廳の一外局でございましたのを内閣に置き、他の行政機関に対し独立性を與えますると共に、財政的にも或る程度の独立性を與えようとするものでございます。又これに関連いたしまして、人事院規則の制定につきましては、從來内閣総理大臣の承認を経ることになつておりましたのを、人事院が独立にこれを制定し得ることといたしますると共に、人事院が処置する権限を與えられておりまする行政部門におきましては、人事院の決定及び処分は、人事院のみによつて審査されることといたした次第でございます。
 次に改正の第三点といたしましては、服務の規律を強化した点でございます。憲法にも明らかに規定せられておりまする通り、國家公務員は國民全体の奉仕者でありまして、一部の者の利害の代表者であつてはならないのでございまするが、この原則に徹しまするためには、現行國家公務員法の規定では尚不十分なる点がございまするので、この点の所要の改正を行おうとするものでございます。即ち先ずマツカーサー元帥書簡の趣旨に則り、同書簡にいわゆる「政府における職員関係と私企業における労働省関係の区別」を明確にいたしまするために、國家公務員につきましては、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、船員法等の規定の適用を排除いたしまして、政府に対する同盟罷業その他の爭議行爲及び怠業的行爲は、すべてこれを禁止いたしますると共に、國家公務員に対し、いわゆるオープン・シヨツプ制の原則に基く團結権を認め、又限られた範囲内においてではございまするが、交渉権を認めたものでございます。次に、國民全体の奉仕者である國家公務員が在職中において苟くもその公平と中立性を疑われることのないように、一切の公選により公職の候補者となることを禁止いたし、又政党その他の政治的團体の役員となることをも禁止いたしますると共に、選挙権の行使を除く外、人事院規則の定める政治的行爲を行うことを禁止しようとするものでございます。更に國家公務員の私企業からの隔離の必要性は、ひとりその企業を代表する地位に就くことを制限するのみでは不充分と考えられまするので、これを合理的な範囲に拡張する必要があると認めましたので、退職後二年間は、営利企業の地位で、その退職前年間に在職していた國の機関と密接な関係にあるものに就くこことを禁止することにした次第でございます。以上において申述べました三つの点がこの改正法律案の眼目とも存じまするが、この外、試驗の方法、懲戒の手続その他の事項につきましては、すべて公務の能率的且つ民主的な運営に最も緊要と認められます最少限度の改正を行うことにいたしておる次第でございますが、その詳細につきましては、引続き御審議の進むに從つて御説明申上げたいと存じます。
   〔阿竹齋次郎君「緊急動議、人事委員長の発言に対して無礼の行爲あり、よつて懲罰動議を提出する」と述ぶ、「異議なし」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、阿竹齋次郎君「動議成立、直ちに採決」と述ぶ〕
#12
○議長(松平恒雄君) 政府委員に対しては懲罰はございません。大藏大臣の出席を待つため、暫時休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時二十八分開議
#13
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続きこれより会議を開きます。高瀬荘太郎君に発言を許します。
   〔高瀬荘太郎君登壇、拍手〕
#14
○高瀬荘太郎君 今回の國家公務員法改正は、先に制定されました公務員法に再檢討を加えて、公務員法に関する諸制度を一層合理化し、或いは民主化するというところに根本精神があると考えます。つまり公務員としての身分並びに職責につきまして、最も公正且つ民主的な秩序を作り、その任務の遂行につきまして最も合理的で且つ能率的な規律を作るというところが、今回の改正の根本精神であろうと信じます。このような見地から考えまして、今回の改正はその一般的方針につきましては極めて妥当な改正であると考えまして、賛意を表する次第であります。勿論個々の内容規定につきましては、尚十分愼重に檢討をいたしました上で、質疑を必要とする点が多々あると考えまするが、その改正に関する一般的方向につきましては、國民の大多数も亦これを支持するものと確信をいたします。併しすべて制度の生命はその運用にあるのでありますから、若しもその運用がその当を得なければ、折角の改正も却つてそれが改惡となる虞れも決して少くないのであります。從つて私は今回の改正案を実施するに当りまして、その運用上問題となると考えます重要な諸点について二三の質問をいたしたいと思います。
 今度の改正におきまして最も重要な一つの要点は、先程人事委員会の委員長からもお話がありましたように、公務員の罷業権、團体交渉権、国体協約権等が禁止されるという点にあると考えます。私は公務員の身分並びに職責等の性質に鑑みまして、この改正につきましては全く異論はないのでありますが、併しこれがために公務員の生活保障が不当に侵害されるようなことがあつてはならないと思うのであります。從つてこの改正の結果、公務員の生活擁護につきまして、政府の責任、殊に人事院の責任は今までよりも遙かに重大となつたものと言わなければなりません。言い換えれば、公務員の給與の決定及びその変更につきましての政府の責任は非常に加重されたものと言わなければなりません。今回の公務員法改正と同時に、人事委員会は公務員の給與につきまして新たな基準を決定するという重大な責任を負われているのでありますが、その給與基準の決定に関する方針につきまして、先ず淺井委員長にお尋ねをしたいと考えます。
 給與基準の問題は、ただ單純に官公吏に対する一定の生活水準の維持或いは生活保障の問題として取扱うことのできない性質の問題であります。言い換えれば、官公吏が今日の物價の下で一定の生活水準を維持して行きますために、どれだけの給與金額が必要であるかという抽象的な生活必要の給與金額でこれを決めるというだけでは解決の付かない問題であります。(「なぜ総理大臣に聞かないか」と呼ぶ者あり)たとえ、さような意味で適切妥当な給與金額が決められたといたしましても、我が國の今日の経済力或いは生産力が、その基礎とされました生活水準の維持を果して許すかどうかということは、全く別個の問題であります。一つの國における国民の生活水準というものは、根本的にはその國の生産力によつて規定されるものであります。だから、その國の生産水準にふさわしい生活水準ということが給與基準の決定につきまして先ず第一に考えられなければならない事柄であります。若しも今回の給與水準の引上げが我が國現在の生産水準に適合していないとすれば、結局はこの引上げは單なる名目的引上げに終りまして、給與と物價の惡循環をもたらし、インフレを促進するだけの結果となるでありましよう。人事委員会はこの点につきまして如何に考慮されましたか。即ち我が國現在の非常に低下しております生産水準及びそれに当然規定されるところの國民生活水準というものが、今回の給與基準の改訂につきまして、如何に考慮されたか、如何に取入れられたか、これを委員長に伺いたいと思います。(「総理大臣に聞け」と呼ぶ者あり)
 次に今回の官公吏給與水準の引上げは、主として民間企業の賃金水準と均衡を図るという点に主眼が置かれているようでありますが、この場合におきましても、ただ官公吏の給與水準が民間と比べて甚だ低い。だからこれを引上げて均衡を図るということだけでは問題は解決しないのであります。今日官公吏の給與水準が民間の水準に比べまして甚だ低いということ、從つて均衡上これを引上げる必要があるということは、何人も認めておるところであります。併しながら若しもこの引上げが生産力の増大に裏付けられていないとしたならば、結局はこの引上げによる官公吏の生活水準の引上げは、官公吏以外の者の生活水準をそれだけ引下げる、その犠牲において実行される結果となるでありましよう。又その結果は、やがて民間賃金の引上要求となり、物價と賃金の惡循環を招きまして、インフレを促進し、又やがて再び官公吏の給與水準と民間賃金の水準との均衡を破るに至ることは、火を見るよりも明らかであります。從つて官公吏の給與水準を今回引上げて、民間の賃金水準と均衡を図り、これを將來保持して行こうとするためには、このような結果を招かないための適切な方策が同時に強力に実施されなければならないのであります。それには官公吏数の整理による雇傭の合理化及び民間賃金に落する適切なる安定方策が是非とも必要であります。このような見地から見ますと、官公吏の給與基準の問題は、ただ抽象的にそれだけ切り離してその適否を決定することのできない問題でありまして、これらの諸点を同時に併せ考えて初めて適否の決定ができる問題であります。ついては今回の給與基準引上げと関連して、官吏雇傭の合理化及び民間賃金安定方策、これを実施するお考があるのかどうか、これを泉山安定本部総務長官にお尋ねしたいのであります。
 次に官公吏給與基準の変更は常に國家予算と密接な関係を持つものであります。だから若しも新たにできます人事院がこれを決定される場合に、その財源について何らの考慮を拂われないとすれば、人事院の決定は常に財政の実情に副わないことになるでありましよう。(拍手)從つてその決定は無用の決定に終るでありましよう。この点につきまして、如何にお考えになりますか。殊に改正された規定によりますと、給與決定に関する諸條件の変化によりまして、給與を百分の五以上増減する必要が生じたときは、人事院はこれを國会及び内閣に報告して、併せて適当な勧告をしなければならないということになつておりますが、今日のような不安定な経済界の実情の下で、果してこのような規定が有効適切に実行される見込がありますか。折角人事院の勧告がありましても、それが実行されなければ何にもならないと思うのでありますが、この規定を如何にして財政と調和しながら実行して行くお考えでありますか。(「いい所だ」と呼ぶ者あり)これにつきましては、人事委員長及び大藏大臣の御所見を伺いたいのであります。(拍手)
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#15
○國務大臣(泉山三六君) 只今の高瀬議員のお尋ねにお答え申上げます。
 私への御質問の第一点は、今回人事院から示されました官公吏の新給與ベースの発表につきまして、物價改訂の用意ありや、又賃金安定の用意ありや、かようの御質問と承わつたのであります。お示しの通り賃金が物價との間に緊密なる関係のありますことは、今更申上げるまでもないのであります。併しながら物價の改訂につきましては、事頗る重大でありますのみならず、前内閣におきまして、物價の改訂が極めて、最低に行われましたこの事実と、又物價の改訂は、殊に、今日の段階におきましては、周到なる用意なくしてこれを行うことは非常に問題であると考えられまするので、私は今日この段階において物價改訂をいたす、かようの考えを持つておらないのであります。尚又賃金につきましては、お示しの通り、問題は賃金の安定、かようの方向に参らなければならない、と確信いたすものではございます。併しながらこれ亦只今申上げました物價の改訂と調整いたしまして、並行的にこれを律すべきものと、かように考えておる次第でございます。
 私への御質問の第二点は、新給與ベースと財政との関係をどう考えておるか、かようのことでございました。この点につきましては、成る程お示しの通り、それが人事委員会の責任において御提案になりましたことはその通りではございまするが、財政当局といたしましては、その財源につきまして、篤と考慮をいたさなければならないものと、かように思うのでございまして、況んや今日におきまして、その財源が相当の窮屈な現状でありまするので、目下関係方面ともいろいろ折衝の上、愼重にこれに対する対策を考究中でございます。以上簡單ながらお答え申上げます。(拍手)(「もつと詳しくやれないか」と呼ぶ者あり)
   〔政府委員淺井清君登壇〕
#16
○政府委員(淺井清君) 高瀬さんより最初に私へ御教示になりました点といたしまして、この度、國家公務員の罷業権、その他團体行動権か制限せられた一方におきまして、公務員の生活その他に対して人事委員会に重大なる責任があるということでございました。誠に御同感の至りでございます。臨時人事委員会といたしましては、差迫りました給与問題を解決いたしまするために、今年の夏、暑い時分にこの仕事を始めまして、今、多が漸く近ずくに連れまして、多数の政府職員の生活窮乏に対する叫びと訴えがますます高い中でこの仕事を終えまして、内閣総理大臣に報告いたした次第でございます。どうぞさように御了承を願いたいと存じます。
 次に御質疑の第一点といたしまして、現在の経済力と国民の生活水準を人事委員会においてどう考えたかということでございます。御承知のごとく、臨時人事委員会といたしましては、適切なる給與水準を定めて、これを内閣に提出いたしまするのが権限でございまして、これを財源その他経済等の廣い視野から考えまして決定いたしまするのは内閣の権能でございまするし、殊にこの問題につきましての最終的な又最高的な決定権が國会にあるということは申すまでもないことでございます。ただ私共の立場といたしましては、今回給與の改訂を立案するに当りましては、諸種の調査に基きまして、我が國現在の経済力と國民の生活水準を十分に考慮に入れて作成したつもりでございます。即ちこの改訂案の基礎となつておりまするものは、中等度の労働を営む独身男子職員の生計費を計算いたしたのでございますが、それにつきましては、先ず標準量の食糧費を決定し、更に標準的小都市における農業以外の標準的労働者が、その他消費財及びサービスに対して支拂う金額と推定してこれに加えたものでございまして、これらの金額を計算するに当りましては、我が國現在の経済力と國民の生活水準とを基礎にしておる次第でございます。
 その次に御質疑になりましたこの内閣に対する勧告という点でございまするが、この点につきましては、大藏大臣のお答えになりましたのと私共との見解には何ら相違のないことを申上げるだけに止めたいと思います。(拍手)(「それ以上力はないじやないか」と呼ぶ者あり)
   〔門屋盛一君登壇、拍手〕
#17
○門屋盛一君 民主党を代表いたしまして簡單に質問いたして見たいと思います。(「詳細にやれ詳細に」「ゆつくりやれ堂々と」と呼ぶ者あり)
 この法案の審議に当りまして誠に遺憾に存じますことは、吉田内閣の施政方針の明らかにされていないことであります。(「ヒヤヒヤ」「その通り」と呼ぶ者あり)運営委員会において総理大臣並びに官房長官は、この臨時國会は公務員法を審議すべき目的であるから、これを先ず一番に出すと言われたことを、私たちは尤もにも考え、又不可解にも考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この公務員法の及ぼすところは非常に影響が大きくなりますので、これを審議する上におきまして、先ず以てこの新らしく臨時國会中にできましたところの政府の一般的方針を伺わないと、この審議は非常に困難になると思うのでありますが、(拍手)(「その通り」と呼ぶ者あり)このことにつきましては改めてお伺いする機会がある、改めて所見を質す機会があると思いますから、時間の都合上直ちに公務員法の質疑に入ります。
 この法律によつて、いわゆる官公労殆んど全部の諸君が、國家公務員として社会公共福祉のために一般労働者並びに労働組合にすでに與えられておる権利、而も第一次吉田内閣によつて與えられておるところの権利を沢山制限せられることになるのでありまして、國会としてはその及ぼすところの大いなるに鑑みまして、十分に審議を盡すべきであると信じます。詳細なることは委員会に譲るとして、私は次の二、三点に対して政府の所信を伺いたいのであります。
 第一点は、本法と殆んど不可分の関係にある新給與水準と、このための補正予算の問題をどうお取扱いになるお考えであるかという点であります。大体労働者及び労働組合に対し、すでに與えられてあつたところの権利を制限しようとするこの法律は、ただ一に社会公共福祉のために実際上止むを得ないのであります。そうしてこの止むを得ないために、この法律によつて制限すると同時に、その制限せらるる諸君に対しては生活の安定を図り、厚生福祉の途を開くなどの処置を講じて、安心して公務員としての責務の果せるようにしなければならんことは申すまでもないと思うのであります。このことはマツカーサー書簡に対し、いろいろの解釈をなし、命令なりや否やということ、絶対不可分のものかどうかというようなことを論ずるまでもなく、この法律案と新給與水準並びに厚生福祉の施設に対する予算処置を執るべきことは国民のひとしく望むところであつて、政府の当然なすべき義務であることは議論の余地はないと信じます。(拍手)然るに政府はこのことに関し必ずしも然らざる解釈にあるもののごとく思われるのであります。予算処置を如何にするかということに対して、先般運営委員会における御説明によつても得心すべきお答を得なかつたので、ここに改めて、一体この政府の義務である権利と制限して、そのままにして、この法案だけを出すということは、これはよくない。その書簡の解釈如何に拘わらず、これは同時に出して安心をさすべきものであると私は信ずるのでありますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)この予算処置に対する法案並びに補正予算をお出しになる氣があるのかないのか、お出しになるとすれば、いつ御提案になるのか、この点につきまして、吉田総理大臣並びに泉山大藏大臣の明快なる御所信を承わりたい。附加えて申上げますが、議会運営を円満にして行くために極めて懇切なる政府の御説明を要望いたします。(拍手)
 第二点は、新給與水準が一般民間企業体に及ぼす影響の大なることは、先程高瀬議員の御所説の通りでございます。これに対しまして、政府は賃金安定策を如何にせられるかの点でございますが、この点につきまして大藏大臣に質問したいと思つておつたのでありますが、先程の高瀬議員の質問に対する大藏大臣の御答弁から察しましても、今直ちに詳細なる御説明はできんと思うのでありますが、賃金安定策を如何にするかという点について、只今の御答弁では、はつきりいたしませんので、関連が大でございますから、この点も大藏大臣に改めて御答弁を願いたい。
 第三点は、行政整理と企業の合理化に関する御所信を伺いたいのであります。何故ならば、この公務員法の実施によりまして、民間企業に及ぼす影響は非常に大きくなるのでございます。こういうところに進んで参りますと、施政方針を明らかにせられていない今日、かくのごときことをお伺いするのも非常に無理があると思うのであります。併しこれらの点は本法案に重大な関係があるのでございますが、前申しましたように、時間の都合上、施政方針については別に所見を質すことにいたしまして、第二点の一般賃金の安定をやるのかどうかという点について、今少しく詳細に御答弁願いたい。これは労働大臣と経済安本長官としての大藏大臣に御答弁願いたいのでございます。これは私の質問が甚だ抽象的であつて、そういう抽象的のことに対しては詳しい答弁はできかねると言われるかも知れませんが、時間の都合上これ以上敷衍することは困難でございますから…併し政府の御説明には時間の制限がないのでございますから、(笑声)賃金安定を如何にするか、これをやる氣があるのかないのか、労働大臣はこれに対して如何なる御所見であるかこのことだけを質して置きたいのであります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#18
○國務大臣(吉田茂君) 私への質問に対して答弁をいたします。施政演説を何故しないか、これは、しないのではなくして、(「できないのだろう」と呼ぶ者あり)運営委員会等においてしばしば説明いたしております通り、尤もこれは衆議院でありますが、衆議院の運営委員会で私がしばしば申した通り、公務員法の改訂なり制定が最も現下の労働問題の解決の上から見ても甚だ緊要を要すものであるからして、これを先決して貰いたい、この先決後において施政演説その他はいたしたいということはしばしば言明しておるのであります。(「施政演説を早くしろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)尚、施政方針については予算案その他について研究を要する点もありますので、多少準備もありますから、かたかた施政方針に関する私の演説はもう暫く猶予いたしたいということをしばしば申しておるのであります。その他の問題につきましては所管大臣から御答弁いたします。(拍手)
   〔「だめだめ」「答弁にならん」と呼ぶ者あり〕
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#19
○國務大臣(泉山三六君) (「はつきりやれよ」と呼ぶ者あり)門屋議員の私への御質問にお答えいたします。(「もつと大きな声で」と呼ぶ者あり)
 第一点は、新給與と補正予算、これをどうするか、かような御質問に伺つたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そのことにつきましては、先程高瀬議員にお答え申上げましたその通りでございます。只今愼重に具体案を鋭意調整中でございます。
 御質問の第二点は賃金安定、これをやるかどうか、(「分らないじやないか」「出すか出さんか聞いておるのだ」「ごまかしちやいかん」と呼ぶ者あり)これをやるとすれば如何なる方策を持つものであるか、かように伺つたのでございます。この点につきましても先程高瀬議員にお答え申上げた通りであります。(「落第」「何を言つておるのだ」「分らないじやないか、分かるように言え」と呼ぶ者あり)尚、第三の点につきましての行政整理の問題につきましては、大藏当局といたしまして、これは目下考慮の中に入れて研究中であります。以上を似てお答えといたします。(「それが大臣か」「よぼよぼするな」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
#20
○國務大臣(増田甲子君) 門屋さんの御質問にお答え申上げます。賃金安定のことは御承知の通り、いわゆる経済十原則の中に示された一つの要請でございまして、我々は賃金と物價との惡循環を断つ意味合におきましても、是非この十原則の一つは実現いたしたいと、こう思つて折角研究中でございます。尤もその前提といたしまして、実質賃金の確保、或いは公務員の給與といたしましても亦全産業賃金にいたしましても、適当なる新給與水準が設定されることが前提でございまして、かれこれ見合せまして、綜合勘案いたしまして新らしき新給與が設定されまして、そのときが安定の方向へ向つて行くべきである、こういうふうに御了承願いたいのであります。(「再質問」と呼ぶ者あり)
   〔門屋盛一君発言の許可を求む〕
#21
○議長(松平恒雄君) 二分間よろしうございます。門屋盛一君。
   〔門屋盛一君登壇、拍手〕
#22
○門屋盛一君 私が附言いたしまして、親切に腹を割つた答弁を望んだのであります。私の質問の要点は高瀬議員の質問の要点とは違うのであります。(拍手)(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)これはこの法案審議に当つて、非常に権利を制限した官公吏諸君に対してこれだけ権利を抑える代りにこれだけの生活の安定を與えるということをはつきりしてこの審議に入りたい。そのために政府は新給與水準に対して補正予算を出す氣があるのか、出す氣があるとすればいつ出すのかという時期を聞いておる。もつと明快なる答弁を希望している。これがなかつたらば委員会に廻つて非常に混乱を生む。又人間の道徳上から言つて、一つ抑える場合には必ず與えて行かなければいかん。(「その通り」と呼ぶ者あり)これに対する大藏大臣(「違う違う」と呼ぶ者あり)総理大臣の答弁を更に要求いたします。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#23
○國務大臣(泉山三六君) (「総理大臣がやれ」「総理大臣は出ないでいいよ」と呼ぶ者あり)門屋議員のお尋ねに対しまして重ねてお答えいたします。(「堂堂と言え」と呼ぶ者あり)只今のお話は(「びくびくするな」と呼ぶ者あり)新給與が他方におきまして官公吏のこの権利の縮小があり、その半面において然らば給與の点において)「これは浪花節だ」と呼ぶ者あり)これを盛るのが当り前じやないか、さような意味合において予算を成るべく早く出すようにと、かような御趣旨に承わつたのであります。政府といたしましても、もとより何らの異論はない。その方向に向つて折角努力中であります。(「何だ」「総理大臣答弁しろ」「総理大臣はいいよ」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#24
○國務大臣(吉田茂君) 只今の御質問は予算に関係することであつて、所管たる大藏大臣の答弁即ち私の答弁と御承知願いたいと思います。(「もう一回やれ」と呼ぶ者あり)
#25
○議長(松平恒雄君) 山田節男君。
   〔山田節男君登壇、拍手〕
#26
○山田節男君 吉田内閣が成立いたしまして、本院におきましては最初にこうして総理大臣以下閣僚がお並びになつたのでありますが、どうも今朝來の空氣を見ますと、開店早々とは言いながら、極めて不統一且つ又極めて不鮮明であります。これは私は決して吉田総理以下各閣僚の誠意を疑うわけじやございませんが少くとも私の質問に対しましては誠意ある又明快なる御回答を煩わしたいと存じます。
 一昨八日参議院におきまして常任委員長並びに議院運営委員会の懇談会がございました。その席上で吉田総理は佐藤官房長官を同道されまして、そうしての御挨拶には、この第三國会においては会期を十日にしたい、而もこの十日間において國家公務員法の一部改正に関する法律案を、これを審議通過せしめて貰いたい、こういう御挨拶でございました。これは私共といたしましては、先程も吉田総理が本國会は國家公務員法の一部を改正いたしまする法律案の審議のための國会である、これは受け入れるといたしましても、この國勢公務員法の改正問題、御承知のように去る七月二十二日のマツカーサー元帥の書簡に基きまして、七月三十一日に出ました政令第二百一号によつて、爾來約三百万に余りますところの全官公の官職におきまする從業員というものは、暫定処置とは言いながら、憲法で保障されておりますところの労働の基本権が、全く停止されているのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)而もこの三ケ月間におきまして、政府は臨時人事委員会を中心といたしまして、この改正法案についていろいろと審議をいたしたのであります。併しながら、これは総司令部からも発表があつたと記憶いたしまするが、この公務員法の改正につきましては、これは挙げて國会が責任を執つてやるべきだ、こういうことになつているのであります。然るにです。この吉田総理は参議院にお出でになりましての御挨拶、僅か十日間で以て國家公務員法の改正に関する審議を終了してくれと、こういう御挨拶であります。私はこれが他の閣僚であつた場合には敢てこういうことを申しません。吉田総理は曾ての総理であられた時に、日本の労働運動者の指導者に対しまして、有名な、世界的に有名になつておりまする例の不逞の輩という言葉をお使いになつておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)その点からいたしまして、私はこの十日間で、三百万に余りまするところの官公廳從業員の労働基本権に重大なる影響を帶びまするにつきまして、かくのごとき御挨拶をなさつたということは、その魂胆はどこにあるかということを私はお伺いしたいのであります。先程來、高瀬議員並びに門屋議員からも御質問がございましたが、この一昨日の参議院におきまする常任委員長並びに議院運営の合同委員会におきまして、公務員法の改正は十日間に完了して貰いたいということをおつしやいましたけれども、この改正をいたしますると同時に、一体この三百万に余りまするところの官公廳從業員に対しまする給與その他福利厚生に関しては何ら一言も触れられなかつたのであります。只今の吉田総理からの御挨拶では、ただ國家公務員法の改正案を通せばいい、通せばいいということだけをおつしやるのであります。それを裏付けるべきところの、門屋議員も申されましたが、生活の安定を保障するところの……國家公務員法を改正しまするならばです。給與を考えなくちやならん。この裏付けのことについては何ら言及しておられない。先程泉山大藏大臣の御答弁では、何が何やらさつぱり分りません。(「その通り」と呼ぶ者あり)御承知のように、今朝の新聞を見ますると、昨日、淺井臨時人事委員長は、六千三百七円というベースを発表いたしております。そうしてこれ又今朝の新聞で見たのでありまするが、この六千三百七円のベースを、これを政府は一体どうするのか、先程申上げましたように、公務員法改正をいたしまするならば、それが裏付けとなる給與の問題を解決しなくちやならん。これに対して一体政府はどういう考えを持つておるか、これは吉田総理としまして、改正を強行されるならば、併せて給與の問題を解決しなくちやいかん。これに対しまして、はつきりと私は先の門屋議員の御質問と併せまして吉田総理の明快なる御回答を煩わしたいのであります。尚又この六千三百七円のベースを、財源からいたしまして求められんということになりますならば、これは一体これを発表しましたところの臨時人事委員会の淺井委員長は、一体これをどうするのか、この点につきまして淺井委員長の御回答を煩わしたいのであります。これは私はこういう御質問を申上げることは甚だ失礼かも存じませんが、吉田総理は、先程申上げました通りに、先の総理大臣の時におきましても、労働攻勢におきまして、労働攻勢によりまして、いろいろと苦い経驗をおやりになつております。併しながら今回吉田総理が御就任になりまするや、私の見ました世界各國のニユースを見ますと、吉田総理が日本の政権を取つたということは、これは日本の民主化に逆行するものだということを申しておるのであります。(「ノーノー」「ヒヤヒヤ」「本当だ」と呼ぶ者あり)のみならず、吉田内閣が現われたということは、準戰犯者であり、或いは追放にかかつておるような、そういう反動勢力が、最後の拠点として吉田内閣を出現せしめたのだということまで申しております。(「芦田だよ」と呼ぶ者あり)私はそういう意味からいたしまして、吉田総理の人格は、もとより私としては尊敬いたしまするけれども、世界はそういうふうに見ておるのだ、(「宣傳だ」と呼ぶ者あり)そういう意味からいたしまして、今後のこの吉田総理のう吉田内閣の労働対策に当りまして、曾て労働運動の指導者を不逞の輩というような、そういう信念を持つて今後の労働政策をお執りになるのか、その心境を私ははつきりして頂きたいのであります。(「宣傳だよ」と呼ぶ者あり)これは私は決して重厚のためとかに私は申上げておるのでありません。私が先程申上げましたように世界の新聞に出ておる。そういう意味合におきまして、私は殊にこの國家公務員法を改正されるということを、重大なる……(「質問をしろ、質問を」と呼ぶ者あり)ちよつと待つて、質問をしております。この基本問題でありますところの吉田総理の率直なる御信念をお伺いしたいのでございます。これで質問を止めます。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇口〕
#27
○國務大臣(吉田茂君) 第一は國家公務員法の議了に対して、十日間の期日を要求した理由がどこにあるかという御質問でありますが、この問題は、この度の吉田内閣で始まつた問題ではないのである。只今の話の中にもあるように、七月以來の問題であり、又芦田内閣以來の問題である。この問題に対しては議員諸君におかれても、政府においても、相当研究が積んでおると考えられますから、それで十日で足りると考えたのであります。(「予算はどうするのだ」と呼ぶ者あり)尚又先程も申した通り、この法案は成るべく速かに制定せられることを必要とする実情を考えまして十日間と申したのであります。又給與の問題その他については主管大臣から申すでありましようが、只今私からお話いたしたいと思うことは、私が曾て不逞の輩と申したことについてのお話であるが、これは私の当時の声明を御覧になればよく分るのでございますが、労働者を以て直ちに不逞の輩と申したのではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)労働者を教唆して、そうしてこれを政治的に利用する輩を以て不逞の輩と言つたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)これは当時の声明をよく御覧になれば分るのでありまして、それを歪曲して、かくのごとき私の話なりとして、勤労大衆を不逞の輩となさるならば、これは私は弁明の要はないのであります。又世界における……世界が私をどう見るか、或る新聞がどう書いたかということに対しては、私は弁明の責任を負わない。(「その通り」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#28
○國務大臣(泉山三六君) 山田さんのお尋ねにお答え申上げます。公務員法の制定と並行的に給與の予算をなぜ出さないのか、かような御質問に承わつたのであります。(「もつさりするなよ」と呼ぶ者あり)この点につきましては、先程門屋さんの御質問と御同樣の御趣旨と、かように了解いたしますので、何とぞ先刻の答弁を以て、これに代えたいと存じます。(「分らないよ」と呼ぶ者あり)
   〔政府委員淺井清君登壇〕
#29
○政府委員(淺井清君) 只今の御質疑中、私に関連いたしました点についてお答えを申上げたいと存じます。(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)
 人事委員会の発表いたしましたるところの給與法案が容れられない場合には、委員長としてどうするかという御質疑のように拜聽いたしました。その点から考えますれば、人事委員会といたしましては、これは発表しない方がよかつたかも知れません。併しながら、これを人事委員会の立場から敢て発表いたしましたるゆえんは、実は人事委員会の独立性によるものであり、(「その通り」と呼ぶ者あり)第二には、この切実なるところの問題が、國民の面前で輿論の眞ん中で取扱われることが、憚りながら民主政治の行き方の一端であると心得たからでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)ただこの人事委員会の権限といたしましては、これを内閣に勧告するに止まり、財源その他の点からは内閣がこれを考慮すべきこと、最前申上げた通りでございます。そこで私がただ一つの確信を持つておりますのは、この数百万人の疾苦の声に満ちた報告書につきまして、國会におかれましても、内閣におかれましても、必ずや最大限度の考慮をして下さるだろうと確信をしておる次第であります。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔阿竹齋次郎君「人事委員長の非礼に対して議長の職権をどうした」と述ぶ〕
#30
○議長(松平恒雄君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を似て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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