くにさくロゴ
1948/11/11 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第9号
姉妹サイト
 
1948/11/11 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第9号

#1
第003回国会 本会議 第9号
昭和二十三年十一月十一日(木曜日)
   午前十時四十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第八号
  昭和二十三年十一月十一日
   午前十時開議
 第一 検察官適格審査委員会の委員の選挙
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した事件
 一、委員の辞任及び補欠の件
 一、國家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する質疑
 一、内閣総理大臣の施政方針に関する緊急質問
 一、日程第一、檢察官適格審査委員会の委員の選挙
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りいたしたいことがございます。昨日堀末治君より決算委員を、小林英三君及び小野光洋君より議院運営委員を、それぞれ理由を附して辞任の申出がございましたが、いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として石坂豊一君及び堀末治君を議院運営委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 昨日に引続き、この際、國家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する質疑を許します。鈴木清一君。
   〔鈴木清一君登壇、拍手。〕〔「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり〕
#6
○鈴木清一君 私は無所属懇談会を代表いたしまして、国家公務員法一部改正に対しまする質問をいたしたいと思います。
 昨日來、各派の方々がいろいろ質問をなされました。それに対しまする答弁といたしましての政府の見解を推測いたしまするときに、結論といたしまして、残念ではありまするが、やはり吉田総理の答弁は、不程の輩を唱えたあの心境以外一歩も出ていないという結論を言わざるを得ないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)本日の私の質問は、又その点、別な意味から質問をいたしたいと思うのでありまするが、先ず質問の第一といたしまして、前内閣がこの公務員法改正に至るまでの関の緊急措置といたしまして、去る七月二十二日に連合軍最高司令官より芦田首相に寄せられました書簡を命令なりとして、書簡の内容に含まれる精神を尊重するという理由の下に、ポツ勅第五百四十二号に基いて政令二百一号を発令したのであります。当時官公廳労組の諸君が、公務員として眞に國民に奉仕するには、余りにも生活が悲惨な状態であつたがために、最低生活権擁護のために政府に要求いたしまして、中央労働委員会に操上げられ、争議調停中であつたのでありまするが、この政令二百一号を発令すると同時に、これに対しまして、政府は御承認のように、直ちに團体交渉権及び争議権を有しないことと同時に、又これを有しないという見解の下に争議調停を拒否したのであります。当時といたしまして、憲法二十八條によつて保障されましたところの三百万全官公廳職員の基本的人権を一挙に剥奪したるところのその措置は、組合個はもとより、我々といたしましても亦一般学識者の間におきましても、この政令は憲法違反であるというような言葉を以て盛んに叫ばれておつた筈であります。私共といたしましても、政令二百一号の基礎であるところのポツ勅五百四十二号は、新憲法四十一條において御承知のように國会は最高の立法機関であると明記されておつた点より鑑みまして、無制限的に立法権を行政府に委任するがごときは、明らかに憲法違反であるという見解は、私共といたしましても持つておつたのであります。この点に関しまして、この制定の手続が合法的であつたかどうか、又制定に対しますところの政府の解釈が妥当だつたのかどうか等は、單に私共は法律的解釈論に止まらずして、少くとも民主主義徹底と憲法擁護の問題に繋がつておるということを断ぜざるを得ないのであります。その意味において、左の点につきまして、私は吉田首相及び殖田法務総裁の御答弁をお願いしたい。
 質問の第二として、ポツ勅五百四十二号は、新憲法下においては昭和二十二年四月十八日公布した法律第七十二号において法律と同一の効力を有すると規定してあつた筈でありますけれども、これは二十二年十二月三十日において、これは法律の効力は無効となつておると私は考える。この点に対する見解、從つて第二の質問は、五百四十二号が無効である。これに基礎を置くところの二百一号は明らかに憲法出遅反であると言わざるを得ない。
 第三に、故に二百一号違反によつて逮捕されましたところの組合員諸君は直ちに釈放すべきであると私は言い得ると思うのであります。当時の在野党としての民自党の人たちが、七月二十五日頃の新聞であつたかとも記憶いたすのでありますが、処罰を伴うような政令は、少くとも國会を召集するか、それとも國会の常任委員会程度にはかけて、そうして審議を進むべきではないかということを確かに言われたように私は記憶しておるのでありますが、若しそうだとするなれば、当時の総裁として現総理大臣吉田さんは、その当時の氣持と同じであられるかどうかということを、又御答弁の中に加えて頂きたい。
 次の質問といたしまして、前内閣が閣僚の総意によつて勿論政令は発令したと思います一方に組合員を圧迫して置きながらにして、この閣僚の中から誠に残念ではあるが、小菅の別荘へ大分デモ行進を起して、残念ながら大分檢束されておる。(笑声)而もそれが起訴されておる。このような内閣によつて、この公務員に対しまする義務、責任のみを強調して、何ら敢て恥じざる自分の行爲を未だにはつきり闡明されておらん。このような私は権威のない内閣が出された政令というものは、道義的に考えても少くとも眞に国民の奉仕者として日夜苦難な健鬪を続けておる組合員から見ると貸に、少くとも道義的に考えまして、この点に対しましても、私はこの政令というものの効果というものを疑わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この点が質問であります。
 次に今回の一部の改正は、マツカーサーの書簡に含まれるところの精神を尊重してと言われると私は思うのでありますが、それではなぜ一方に勤労者のみを弾圧いたしまして、地面に書簡の中に含まれておりますところの、公務員の人たる生活を確保する責任も十分に政府は考慮すべきであるということを言われておるこの内容の精神を、なぜ尊重しないかということを私は言いたい。例えばです。昨日他の点では大分皆さんから御質問になりまし健が、私の申上げたいのは、二千九百円ぺースで拂えられた組合員、公務員と言われましても、現業に携わる諸君の組合員の労働の強化は、決して一般の勤労者と変るものではない。ましてや官廳に勤務するところの諸君は、一部の別の人たちだと言われておるかも知れないけれども、やはり公務員としての体裁を整え、体面を維持せんかためにば、一着の洋服も要るであろう。然るに拘わらず、この一着の洋服さえすでに食に換えて、生活困窮のために食に換えなければならないような悲惨な賦態に追込掌れておる現在の公務員諸君の生活の実態を、本当にあなた方は知つて呉れたのか。少くともあなた方は御経験があられるのか質問する。私は曾て組合員の諸君と共々にこの苦悶を味わつた人間である。この経験からして、私は少くとも、むしろ全閣僚の人たちが眞に公務員法の精神を生かして國家の奉仕者たらしめんためには、眞に御経験なされるがよろしいと申上げたい。この悲惨なるところの状態に置かねておる人たちが、最近給料一ケ月繰上支給を要求したにも拘わらず、これに対するところの措置を何ら講じていないではないか。それのみでなくして、新賃金ぺースができるまでの暫定措置として一ケ月繰上げ支給を要求したにも拘わらず、これには誠意も示さず、あまつさえ昨日発表されました人事院から出された六千三百円ぺースに対しましても、財政的処置云々にかこつけて、何らこれを考慮しようとせず、本日の新聞のごときには五千三百円を言われてあるようである。而も全官公廳の諸君は現在七千三百円を要求して政府と交渉を持たんとしておるではないか。而かもその七千三百円が曾て言われた理論生計費から割り出されたものでなくして、実際の実態生活の現実から割り出されたものであるということを、あなた方は知つて頂きたい。それにも拘わらず、のような要求に対しましても、何ら誠意を示さないということは、私ほ果して眞にこの公務員法の精神を生かし、又マツカーサー元帥の書簡の内容を本当に尊重しているかどうかということも質問いたしたいのであります。(拍手)
 最後に、日本の民主革命、少くとも民主的日本を再建せんとするために、官僚打破の目的は、組合が結成されて多分な力となつて今日まで來ておつた筈である。その組合に正しい政治的認識を與える等のことが法文に含まれても、これにも抑圧を加え、而して又官僚制度の打破のために組合の力多大なるものがあるにも拘わらず、これも組合の結成自由も認めず、且つ又正しい政治認識のためにも、政治活動にも制限を加えるがごとき公務員法について、私は果してこれが日本再建のための、むしろ道にフアツシヨ化させる一つの段階ではなかろうかとさえ断ぜざるを得ないので、この点について浅井人事委員長から御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
 私の質問は誠に杜撰ではありましたが、この点をどうか明快なる御答弁をばお願いする次第であります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#7
○國務大臣(吉田茂君) 鈴木君にお答えをいたします。私のこの法に対する見解についての御判断は御自由であつて、私から敢て弁明するのもおかしな話でありますから差控えまするが、この公務員に関する政令その他が憲法違反なりや、否や、又これが非民主的でありや否や、不幸にして政府の見解は異にいたしまするが、詳細なことは所管大臣からして御説明いたします。
 又給與の点につきましては、政府は專ら研究中であります。成るべくこの國家公務員のために驚異を十分にしたいという考えで以て、專ら具体案を目下研究中であります。
   〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#8
○國務大臣(殖田俊吉君) 只今ポツダム政令二百一号の効力についてお尋ねがございましたが、これが基いておりまする緊急勅令は最高裁判所の判決も有効といたしております。從つて二百一号も亦憲法違反ではないと考えております。今回の公務員法を提出いたしましたのは、つまり只今のごとき疑義を一切拂拭いたしまして、國会によりて、法律を以てこの内容をはつきり決めたい、こういう考えで只今公務員法を提出いたしまして、その改正正を急いでおりますわけでございます。(「疑義は拂拭されていないぞ」と呼ぶ者あり)
#9
○議長(松平恒雄君) 淺井臨時人事委員長は後刻御答弁をする趣であります。鈴木憲一君
   〔鈴木憲一君登壇、拍手〕
#10
○鈴木憲一君 時間が短かいものですから簡單に質問いたしたいと思います。(「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)國家公務員法が第一國会において成立いたしました際には公廳会を開けというような要望が非常に強かつたようでありましたが、両院の審議会等で終つたようでありまするが、その際に、喚問を受けました十人の証人は、四人が賛成、六人が不賛成をしております。尚衆議院の本会議に上程されました際には、二人の反対討論があり、参議院におきましては一人の賛成討論、二人の不賛成討論というようなことで終つております。両院の上程より可決に至りますまで約一ケ月を要しておつたのでありまするが、あれほどの大きな法案が、誠に十分論議を盡されなかつたという憾みが感じられておつたのであります。
 ところが今回はその重大な改正案を審議いたしまするに至つて、現政府は数日にしてこれを完了しようとしておられるようでありまするが、こういうような重要な法案につきまして、誠に簡單に片付けてしまうというような考え方はどうかと思われるのであります。総理が施政方針演説も後廻しにしてまでも、これを先に行わなければならない程重要視されており、且つ國民ひとしくこれに関心を持つておりまする際に、簡單に片付けてしまうということは、何かそこに特別なる妙法でもあるのかどうか、これを総理にお伺いいたしたい。十分に公聽会等も開いて審議を盡すべきであるというふうに私は考えるのであります。
 更に又今回のこの公務員法の改正問題は、國内はもとより、國外におきましても非常な関心を持つておる問題であります。この重大関心事を極めて短期間に、而も諸外國が日本の極右党と称しておりまする民自党が、單独の政府を以て、そうしてこの重大労働問題を含むところの法案を処置してしまうことは、果して我が國の國民が、及び官公労の方々が、十分納得するような改正案ができるかどうか、その体系が確立し得るや否やということを私は非常に憂うる者でありまするが、その点について総理の御見解をお伺いいたしたいと思うのであります。
 第二は、労働者の基本権利である争議権、罷業権及び国体交渉権の一部を取つてしまつて、その代りに公正な賃金及び福利厚生施設を與えるというふうに言われておるのであ要まするが、併しながら賃金の方にいたしましてもすでに問題を含んでおることは明らかでありまするが、その外、私が尋ねたいと思いますることは、公務員に対する福利厚生の施設であります。これをどんなふうな方法によつて講ずるのか。勿論これは組閣日浅い政府でありまするから、詳細に亙つて説明をして呉れとは申しませんが、とにかくこの審議をいたすにしましても、取るだけは取つてしまつて、與えるものを明らかにせずして審議せよと言われましても、良心的にこれを進めるわけにいかないと考えられるのであります。公務員は勿論不安のうちにこれを見守るであろうと思うのでありまするが、せめて、この福利厚生施設を如何にするか、如何なる方法によつて行うかというような構想だけでもいいから、この際発表をして頂きたいと思うのであります。
 第三は公務員の政治活動の制限でありますが、民主國家の下の新憲法の認める基本人権、これは公務員の政治活動がこの基本人権の重大なものであるということは今更言うを要しませ、んが、我が國のこの公務員法においてのみ公務員の政治活動を非常に拘束するという理由は一体どこから出ておるのか。而もこの重大な事項を改正するのでありまするが、この公務員の政治活動の拘束を一片の人事院の規則で規定してしまうということは、誠にこの大きな問題を扱うに法的な立場から考えまして如何かと思われるのであります。こういう重大事を、公務員の政治活動を制限する非常な重いことでありまするので、よろしく法律を似て決定すべきものじやないかと思うのでありまするが、ただ一片の人事院規則でこれを決めてしまうということはどういうお考えであるのか、この点を明らかにして頂きたい。尚又この一片の規則によつてこれを拘束してしまう、その規則の片端にも触れた者は三年以下の懲役、十万円以下の罰金というような非常な重い罰則が加えられておるのでありまするが、この点もどういうためにこの規則で簡單に決めてしまつて、而もこういう重罰を與えるということは、何かにおののいておるのではないかというような感じがするのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)これはよろしく法律化して、而も罰則を軽減すべきであると思うのであります。
 次に第四点といたしましては、教育公務員法というものを單行法として出すということを言つておられるのでありまするが、これは教育業務というものがその本質から見まして、單行法で別に改めるということは当然のことと私は思うのであります。併しながら坊間傳えるところによりまするというと、長い間桎梏の下に縛られておつた教職員が解放をされて以來、漸く民主的な在り方に進もうとする矢先に、又ここで再び鉄の鎖を以て縛つてしまうのだというような、そのための教育公務員法であるかのごとくに傳えられておるのでありまするが、私の信じますところにおきましては決してそうではなく、教育の特殊性というものを尊重されて、そうして教育関係者を優位に置かんとするこの公務員法であると信ずるのでありまするが、果してそれがいずれの……私たちの心配することが事実であるのかどうか、その梗概だけでもここに簡單でよろしうございますから、発表をして頂きたいというふうに思う者なんであります。誠に簡單でありまするが、この四点について率直にお答えを願いたいと思う者であります。以上。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#11
○國務大臣(吉田茂君) 鈴木憲一君にお答えいたします。この公務員法に関する書簡は、御承知の通り芦田内閣、もつと具体的に申しますれば、七月以來の懸案でありまして、政府においても、又関係諸團体においても公務員法の何ものたるかは、或いは又その規定せんと欲する所がいずこにあるかということは、少くとも七月以來、官民共に研究を重ね來つたものであつて、研究は政府においても十分と考えておるのであります。又民間においても同様、各種の方面からして研究が関係方面において盡されつつあるものと推定いたすのでありますから、それによつてこの第三國会において提案して、これを速かに議了して頂きたいと、こう政府の考えまするこの考えは決して無理とは考えないのであります。又今日労働問題が頻りに激化し、又緊急にその処置をなすべきときにおいて、公務員の法律上の地位を確立するということが公務員法の主たる目的であつて、從つてこの法律は急を要して、成るべく早く制定いたしたいという政府の考え方については、十分御了解を願いたいと思います。その他の問題については、主管大臣から説明いたします。(拍手)
   〔「しつかりやれ」「まごまごするな」「主管大臣いないのか「研究はできていないじやないか」それだけおつてできないのか、答弁しろよ」「慌てるな」「自信がないだろう」と呼ぶ者あり〕
   〔國務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(増田甲子七君) 公務員法に関する法律についての所管は、実は御衆知の通り内閣の所轄として人事院が今度設けられることに相成るのでありましてそういたしますと、労働省の所管から移ることに相成るわけでございますが、今淺井君が見えていないそうでございますから、國務大臣の一人といたしましてお答え申上げます。
 私は労働省の所管から移りましても、公務員諸君が勤労大衆であるということはよく承知とたしておる次第でございまして、これは労働条件の維持改善、あるいは経済的地位の安定向上については、誠心誠意熱情を以つて研究し、改善を図らなくてはならないと確信いたしております。(拍手)具体的の問題につきましては、お聞きでございますれば私は逐次申上げたいと存じまするが、要するに実質賃金の向上というところに主眼を置くべきである。実質賃金の向上を図つた後、更に鈴木君のお説の通り勤労條件の改善、即ち福利施設につきましても、或いは共済組合の充実徹底だとか、衞生方面について特に配慮をするとか、或いは貸付金に対して特に考慮するというような万般の措置を講じて参つて、要するに適正総合的な労働條件の維持改善には熱情を以て研究いたし、努力いたすということを以て私の答弁といたします。(拍手)
   〔國務大臣下條康麿君登壇、拍手〕
#13
○國務大臣(下條康麿君) 教育公務員に関する規定の問題につきまして只今鈴木憲一君からお尋ねがありましたが、この案はすでに第二回国会に提案されておりまして、本院におきまして予備審査中であつたのであります。併し現在公務員法が改正されますので、それに伴いまして多少の修正を加えることの必要を感じまして、すでにこの府教育職員の任免に関する特例法案というものは撤回されております。改めて只今申上げたような國家公務員法の一部改正に伴う修正を、今の教育職員に関する特例法、案ととたしまして、近くこちらの参議院の方に提案いたすことになつております。その内容は、大体において第二回國会において提案されたものと同様でありまして、教育職員の特色な点を発揮する関係だけでありまして、例えば、試験制度であるとか、研究、考査、そういうような任免等に関する特例でありまして、別にその関係におきまして、何ら特段の拘束的な規定はないのであります。さよう御承知を願いたいと思います。(拍手)
#14
○議長(松平恒雄君) 板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#15
○板野勝次君 私は日本共産党を代表いたしまして質問いたします。先程來の総理の答弁を聽きましても、誠に不親切でありまして、所管大臣を通じて答弁させるということでありますが、今少しく熱心に、メモでも取つて、國民の納得の行くような答弁をして貰いたいことを最初に希望して置きます。
 私の質問の第一は、去る七月二十七日、アメリカ國務省は、國家公務員法の改正は、日本國会の責任においてやるべきものだとの見解を明らかにしておるのでありますが、これに対して如何なる見解を持つておるか。又この改定案の具体的内容そのものが至上命令ではないのでありまするから、これに賛成するかどうかは、各議員の個人の政治的責任であると考えるのでありまするが、この点に対する見解を吉田総理から承わりたいのであります。とれが質問の第一点であります。
 第二は、トルーマン大統領は、タフト・ハートレー法の廃止をスローガンとして再選されたが、この公務員法の雛型となつたタフト。ハートレー法は、もはや廃止されるのが確定的となつておるものと思うのでありますが、政府の意図する公務員法の敗正は、このような情勢に対して遊行するものと考えられるのでありまするが、首相の所信はどうか、これが質問の第二点であります。
 第三は、公務員法より飯が優先するのであります。パンが優先するのでありまして、マ元帥の書簡は官吏の待遇改善を前提としておるのであります。然るに政府は、給與改訂に対して侮らの措置を未だ講じていないぽかりでなく、誠意がないのであります。三千七百円べースは、政府公表の資料によりましても、戰前の十円七十三銭にしか当らない低賃金であります。戰前の賃金水準に比較しましても、五分の一に過ぎないのであります。三千七百円では、半月分の生活費にも足りない状態であります。臨時人事委員会は、六千三百七円案を決定しておるのでありますが、これは極端なる職階制の上に立つており、税引では五千八百三十三円に過ぎないのでありまして、政府資料によつて計算しましても戰前の十四円二銭にしか当らないのであります。それに対して政府はこの臨時人事委員会案を拒否しておる。これは明らかに新給與に基く追加予算編成の能力が吉田内閣にないことを暴露しておるものだと思うのであります。(「そんなことがあ、るものか」「その通り」と呼ぶ者あり)全官公の要求しておる手取七千三百円を八月に遡つて支給せよという要求に、更に四月――七月間の生活補給金二・八ケ月分の要求を出しておるのでありますが、現状より見れば最低限度の要求であります。この要求を実現するとして、更に地方における負担が増大することを避けますると、地方負担分を全額國庫負担として計算しましても約一千五十億円でありますが、この財源は、本年度予算中の再生産的でない経費で節減できるものが約七百六十二億円程あると思うのであります。これを削減し、その他緊縮し得る部分並びに昨年度の大口脱税約四千五百七十億円、本年度大口脱税約四千八百億円と推定されるものでありまして、これを民主的徴税機構確立によつて即時徴收しますると、全官公労の要求を実現しても財源は余る程出て来るのでありますから、公務員法を問題にするのならば、
   〔議長退席、副議長著席〕
 その前に給與その他の待遇改善の予算措置をとるべきがマ書簡の趣旨よりして当然要請されるが、未だ何ら措置を講じ得ないのであります。政府は極端な低賃金政策をやるのではないか。吉田総理並びに大蔵大臣、労働大臣の答弁を求めたいのであります。
 第四に、民自党は官公吏の四割首切りを主張し、本年度予算中僅か八%にしか過ぎない人件費の四割削減を主張しておるのでありまするが、これに対し吉田総理はどう考えておるのか。又高級官僚の腐敗は目に余るものがあるのでありまするが、これの不正摘発と、この連中の整理首切りこそ、眞に國家財政を節減し得る途であると思うのでありまするが、これに対する見解、並びに公務員法改正案成立を待つて、これを武器として政府は官公吏の四割首切りを企画しておるのではないか、総理の方針をお尋ねしたいのであります。
 第五番目に、勅令五百四十二号並びに政令二百号無効の問題は、無所属懇談会の鈴木議員が触れたところで、重複しない部分についてお聽きしたいのであります。吉田内閣は、憲法を最高法規とする憲法第九十八條第一項を守るために、勅令第五百四十二号及び政令第二百一号の違憲、無効を確認し、政令第二百一号を即時廃止すると共に、この政令に基いて逮捕、投獄又は懲罰、解雇等の処分を受けたすべての公務員、労働者諸君の権利の侵害に対して、政府は即時補償の措置を講ずべきものと思うが、首相の率直なる所見を聽きたいのであります。
 第六に、國連第三回総会において採択されつつある國際人権宣言には、「各人は勤労の権利及び給與の正当且つ有利な條件及び失業の保護に対する権利を有する。各人はその利益を保護するために、自由に労働組合を組織し、それに参加し得る。」という規定があり、「各人は、食糧、衣料、住宅及び医療を含む生活水準、自己及び家族の健康と福利に適した融会的施設、並びに失業、疾病、不具、老衰、その他自力の及び得ぬ状況における生活手段の欠乏の場合の保障を得る権利を有する。」という規定がある。この基本的な人権を保護する國際宣言は、公務員を除外するものでは決してない。今回の國家公務員法改定案は明らかにこの國際人権宣言に違反するものであり、又今後日本が國際條約を締結する場合において障害となると思うのでありますが、首相の外務大臣としての立場から明快なる見解を披瀝されたいのであります。
 第七に、この改定案の中には総計十五ケ條に亙る憲法の條章に違反する規定があるのであります。これだけでも如何にこの法案が反動的であるかが明らかであります。以下私が指摘しますごとき各憲法違反の事実に対し、政府はいかに考えるか。
 第一に法案第九十八條は明らかに憲法第二十八條の保障する團結権、能業権、團体交渉権の基本的人権を蹂躪するもので、これらの基本的人権は法律を以て侵すことのできない権利である。又附則においても示されておるがごとく、労働組合法の適用はなく、これは明らかに特権上層の官僚制度を温存するものでありまして、マ書簡の趣旨に反するものであります。更に又政治的自由の制限も憲法違反であり、これらの点は憲法第二十八條の基本的人権の明白なる侵害である。吉田首相はこの憲法を無親して恥じないものであるかどうか。
 第二に、人事院は國家行政組織法の適用を受けないことになつており、而も何ら内閣総理大臣の統轄を受けず、内閣各大臣その他の任免権をさえ制限する機構を持つておるものとなつており、これらは明らかに行政権は、内閣に属することを定めた憲法第六十五條並びに内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権を定めた憲法第七十二條及び官吏に関する事務の掌理を内閣の権限として認めた憲法第七十三條第四号の疑うことのできない侵犯であります。これは二つの政府、二つの行政権を意味する。政府は一体この行政権侵害に対し如何に考えておるか。
 第三に、人事院はこの法律の執行に関し必要な事項については、勝手に人事院規則を制定或いは指令を発する権限を持つことになつており、あまつさえ罰則さえ設けることになつておるが、政令の制定はただ憲法及び法律の規定を実施するためにのみ限定されておるところの憲法第七十三條には勿論、國の唯一の立法機関であることを定めた憲法第四十一條の明白な違反であります。
   〔副議長退席、議長著席〕
 第四に、本法案の第三條及び第九十二條は疑う余地なく司法権に対する重大な侵害である。即ち司法権の所在を決めてある憲法第七十六條並びに最高裁判所が一切以の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかどうかを決定する権限のあることを定めた憲法第八十一條に違反するものである。
 第五に、以上のごとく人事院の性格は明らかに自ら立法し、行政上、司法するの権限を持つところの超憲法的、第四権的性格を持つている。政府はいわゆる準司法的行政機関であるとしているが、準司法的であるばかりでなく、準立法的でもあり、超憲法的存在となつている。第四官僚というよしりも至上絶対官僚の発生を認めることとなつておる点。以上質問の第七番目の点は、第一より第五まで列挙してあるので、この点逐一総理大臣の誠意ある答弁を要求するのであります。
 質問の第八は、法案第二條の第七項にある「前項の規定は、政府又はその機関と外國人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。」という規定並びに第十三條の「人事院に事務総局及び法律顧問を置く。しとある点を関連して考慮して見ると、いよいよ政府機関に外國人を置くことになるものと考えられるが、吉田総理の見解を質したいのであります。以上私の質問であります。(拍手)
   〔國大臣吉た茂君登壇〕
#16
○國務大臣(吉田茂君) 板野君にお答えいたします。公務員法改正案に対する参議院の賛否は、これは無論各議員の御自由であつて、審議権を束縛するものではないのであります。この賛否については、各議員が持たるる権能において、自由に賛否を表して頂ければそれで結構なのであむます。
 又タフトーハートレー法と公務員法と如何なる関係があるか、これは全然関係がございません。(拍手)又その他この改正法案が憲法に違反し、若しくは国際労働條約に反するという御意見に対しては、政府は不幸にして見解を異にいたします。その詳細については、所管大臣から申述べます。
 また公務員の給與については、先程申した通り、当局において、即ち大藏当局において頻りにこれを予算化するために急ぎ準備中であります。
   〔「研究済みだと言つたじやないか、」と呼ぶ者あり、板野勝次君「まだ沢山あります。議長、それは今の質問に対しては残つております。答弁弁して貫いたい」と述ぶ、「返事しろ」「やれやれ」「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり〕
   〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#17
○國務大臣(泉山三六君) 板野議員のお尋ねにお答え申上げます。お示しのように人事委員会の御提案をそのまま採択することにいたしますときは、財政上におきまして実に一千億円以上の負担に相成るのでございまして、國家の財政に鑑みまして誠に容易ならざるものがあるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)財政当局といたしましては、これが財源の調達に関しまして、(「闇を捕捉しろ」と呼ぶ者あり)目下苦心を重ねておるのでございますが、この財政上の事情と又國家経済との調和とかようの点に観点を置きまして愼重考慮中であります。併しながら他の一面におきまして、或いは行政事務の簡素化、或いは行政上の能率化、かように点につきましていろいろこれを勘案いたしまして、何とかして国民の皆さんの上に少しでも御負担の軽くなりますようにと、かようの点から尚一層の研究を進めたい、特にかようの線に副いまして目下追加予算につきまして鋭意研究中であるのであります。(拍手)(笑声)
   〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#18
○國務大臣(殖田俊吉君) お答えをいたします。只今御質問の中にありました憲法上の問題、先ず三権分立でなくて四権ができるのではないかというお話の問題でございますが、我が憲法におきましては、内閣の地位、権限につきましては、属会とか或いは裁判所のごとく厳格に定めておりません。事項の性質に應じまして、最高機関であります國会が法律を似てその行政の権限を或る程度に調整を加えることを、憲法が認めておると考えます。従つて行政権につきましては多少ゆとりのある解釈ができまして、いわゆる第四権は発生の余地がないと考えております。それから人事院の権限が裁判権を犯すではないかという御質問でありましたが、これは公務員法の規定の中にも、法律に関する問題は、これは裁判権が当然あることを認めておりまして、その関係は調整しておると考えております。そのた沢山の憲法の違反ではないかという御質問がございましたが、これは議論の細かい点に亙ることでございますから、その詳細につきましては委員会におきまして一々詳しくお答えいたしたいと思います。(「了解」と呼ぶ者あり、拍手)
#19
○議長(松平恒雄君) 浅井臨時人事委員長よりその所管の事項に関し後刻申上げるそうであります。
 これにて質疑の通告は全部終了いたしました。
     ―――――・―――――
#20
○波多野鼎君 私はここに一つの緊急動議を提出いたします。それは、吉田新内閣が成立し、國会に臨まれますに当つて、未だ施政方針を開陳されません。その点につきまして吉田首相に対し緊急質問をいたしたいのでございますが、皆さんの御賛成を求めます。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり、拍手〕
#21
○矢野酉雄君 波多野君の動議に賛成いたします。(拍手)
#22
○議長(松平恒雄君) 波多野君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#23
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。波多野鼎君。
   〔波多野鼎君登壇、拍手〕
#24
○波多野鼎君 吉田内閣は今日に至るまで施政方針を説明することなくして、國会に臨んでおります。そうして國会の民主的運営の慣例を蹂躪するの暴挙を敢て続けております。民主日本建設の責任を持つた國会といたしましては、誠に遺憾の極みであります。私はこの点に関しまして三つの論拠を挙げて吉田首相に質し、首相の誠実なる答弁を要求する者であります。
 第一の点は、施政方針演義を時を移さずして行うことは吉田内閣に対する愛撫的な信頼を聊かでも回復するに役立つのであろうし、かくして日本民主化の実績を示す上において絶対必要であるということであります。
 第二に、民主自由党が在野時代に闡明しておりました政策と、吉田内閣が行わんとしつつあると推定される政策との間には、すでに相当大きな喰い違いを見せておる状態であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)それ故に吉田内閣が如何なる政策を採らんとするかということは全く不明のままであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)このことは國会議員をして五里霧中に彷徨せしめ、延いてその審議権を不当に侵害するばかりでなく、國民をして昏迷の中にる陷れることであります。
 第三点は、施政方針演説を行わざることは、吉田首相の希望に反しまして、却つて国家公務員法改正法律案の審議を遅延せしめる結果を招くものであるということであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 以下一々の論拠について聊か説明を加えます。(「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)
 我々がポツダム宣言を無條件に受諾いたしまして日本民主化の大道を歩むということは、世界に誓つた義務であります。この義務を我々は誠実に履行しなければならない。そのためには、あらゆる行動、我々の一挙一動、政府の一挙一動、すべて民主化の方向に進んで行かなければならんことは明白であります。然るに、吉田内閣が成立いたしました途端において、世界の輿論はこれを如何に見ておるかということが一つの問題となる。先日一議員の質問に対しまして、そういう世界の新聞がどのように言つておるかというようなことについては弁明する責任を負わんというふうに、吉田首相はここで答弁されましたけれども、それは聊か見当違いであろうと思う。と申しますのは、我が國は今申上げましたように、國際的な監視の中におりまして、國民といたしましては、一日も早くこの監視の状態から逃れ、完全自由の國民となりたいという希望を誰しも持つておるので、而もその完全独立の状態に到達するためには、我々が民主化の方向に全力を挙げておるということを世界の輿論が認めて呉れなければならない。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)認めて貰うように我々は努力しなければならない。でありますから、世界の輿論が如何に見ておるかということは極めて重大な問題であります。すでに我が國の新聞にも報道されておる点でありますから詳しいことは申上げませんが、一、二世界の輿論が如何に吉田内閣を見ておるかということについて事実を申上げて見たい。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)簡單に申上げます。(「ゆつくりやれ、」「時間に制限ないぞ」と呼ぶ者あり)一つは十月十六日附のニユーヨーク・ヘラルド・トリビユーンの社説であります。この社説の一部にこういうことが書いてある。「日本保守主義者の指導者吉田茂氏が首相に選ばれたことは米人の支持する諸改革が日本でまだ古い型の政治指導者の力を弱めるに足る程の効果を挙げていないことの証拠が、吉田首相は太平洋戰争の時代に公職に就いていた多数の日本人とよく似ておる。吉田氏は日本に民主主義の土台を築かんとしておる米人たちから喜ばれてはいない。若し日本における米人の努力が成功するなら、吉田氏や保守反動分子間における彼の仲間のごとき人物は將來遥かに弱い勢力しか持ち得なくなるであろう。」まあこういうような趣旨であります。(「分つたか」と呼ぶ者あり、拍手)更に続けて、「米人の日本における努力の結果、質の良い新らしい型の政治家が生み出されるまでには、最短恐らく一世代の時代が経過せねばならない。……終戰後成就されたところを破壊するがごとき行動を阻止するため、注意してその人物を監視する必要があるであろう。」こういつたような趣旨のことをトリビユーンの社説は書いております。同じく十月十九日のワシントン・スターの社説を御紹介申上げます。これによりますと、「新内閣は成立の暁、それは恐らく総選挙施行までの一時的な政権にあるに過ぎぬ留守居役的政府であることを立証しよう」と言つております。又十月十九日のロンドン・タイムスの社説の一部を申上げます。これによりますと、「ここ数ケ月來、國会外の輿論は、吉田氏を、共産主義に反対すると同時に財閥勢力を破催し、労組を健全な基礎に置かんとするマツカーサー元帥の経済措置にも反対する人物として次第に彼を押上げて來た傾向がある。」(拍手)又更に「吉田氏は彼の第一次内閣当時、連合國側の指令に從うと見せて、その実これを履行せぬように、すばらしい器用さを発揮した。併し現在吉田氏の國会における立場は、かかる戰法が奏功するには余り弱過ぎる。吉田氏は、未だ旧日本の再建に努力している勢力の最後の牙城となつている財閥や、官僚や、宮廷筋の勢力をこの上弱化するごとき措置には、その何たるを問わず、挺身猛然と反対するであろう。」(拍手)お隣りの中国の大公報の社説を申上げます。十月十一日附の社説であります。「絶対保守一党請負の吉田内閣は、民自党一本の二流人物を並べて僅かにその組関を完了した。が、この孤立内閣は吉田氏にとつては極めて制御し易く、又独裁に便にして、その氣魄、作風からいつても、これがサーベルをペンに取替えた東條内閣といえよう。」(拍手)(「異議なし」と呼ぶ者あり。)
 この種の輿論は挙げようとおつしやれば幾らでも挙げることはできますが、とにかくこのように外國において我が國が認められているということは、一日も早く完全独立を達成したいと念願しておるところの國民全体にとつて非常に大きな損害であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は吉田氏個人が決して反民主的な行動を採ろうと考えておいでになるであろうとは思わない。と申しますのは、組閣の当初におきまして、民主主義政治のルールを自分は作るのだということをはつきり申されておる。その志は非常によろしいのですが、併しその後なされるところは、民主主義のルールなるものは吉田氏独得のルールであつて、世界の民主政治に通用するルールではないというように断ぜざるを得ない。特に内閣組閣の直後において、その内閣の性格を示すべき施政方針演説さえもやらないということは、決して世界に通用する民主主義政治のルールではございません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)こういうようなことをやつておりますと、更に今申上げたような世界の輿論が尚悪化して参る。悪化して参ることによる損害は國民が負わなければならない。だから、私は國民がそういう損害を負うことをできるだけ少く、最少限度に食い止めるために、今後吉田氏はその態度を改めて、議会の運営、政治のやり方について、本当に世界の民主主義に通じたルールを用いて頂きたい。そうして一日も早くかような世界の輿論における悪評を拭い去るように努力して頂きたい。これが日本が完全独立を一日も早くするために絶対必要な條件であると考えるのでありまして、そのために私は先ず時を移さず、吉田内閣の施政の方針を明らかにされることを要求するのであります。
 第二の点は、民主自由党が在野時代に闡明しておつた政策の中、いろいろございますが、例えば金融について弾力性のある金融政策を採るというような言葉によりまして、金融緩和、インフレ促進の結果をもたらすような金融緩和的な手段を採るであろう、こういう印象を一般に與えてしまつておる。ところが組閣後になされるところは、必ずしも金融緩和の方向ではないように見受けられる。又料飲店の即時再開の問題にいたしましても、米の供出後の自由販賣の問題にいたしましても、組閣以來何ら國民にはつきりしたことを申されない。在野時代に言つておつたことがそのままできるとも言われないし、どうも諸般の事情からして、これはむずかしくなつたとも言われない。だから最初申上げたように、國民全体も昏迷のうちに陷れられてしまつておる。不安がそのために高まりつつある。例えば取引高税のごときに至りましては、もうこれは廃止されるんだと決めて、商人たちがそういうような行動を採りつつある。これによつて國家財政收入は更に減少の一途を迫るようなことにもなる。で、この際どうしても吉田内閣としてなすべきこと、なし得ること、なそうとしておることは、これであるということを、明確にこの議致壇上を通じて國民にお知らせになることが、民主政治の本当のルールではなかろうかと思うのであります。
 それから第三点でありますが、施政方針演説をやらないという理由につきまして、首相は常に、國家公務員法の審議を促進する必要上、これをやらないのだ、施政方針演説をやつておると、國家公務員法改正の審議が遅れるからやらないのだ、先ず何よりも先に国家公務員法の改正をやつて呉れということを言つておられる。併しこれはお考えが非常に違つておる。と申しますのは、昨日來の衆議院の本会議の審議の模様を見て見ましても、施政方針を明らかにせられないために二日間を空費いたしておる。つまり両家公務員法の改正を早くするという目的には副わない結果が起きておる。又我々この参議院の議場において國家公務員法案に対する質疑應答を聽いておりましても、すべての質疑者が、吉田内閣の施政の方針が明らかにならなければ、國家公務員法に賛否をはつきりさせることができないという趣旨の質問をやつておいでになる。恐らく吉田内閣の(「簡單々々」と呼ぶ者あり)根本の施政方針と関連なくしてこれを通そうといううことは無理じやないかと思う。(「謹聽」と呼ぶ者あり)若しも本当にこの國家公務員法の改正を早く仕上げたいとお考えになるならば、むしろ進んで施政の根本方針を明らかにされることが却つて有効ではないか。却つてその方が早道ではないか。遠回りのようであつて、実は早道なんだ。というのは、これこそが民主主義のルールなんだから、どうかこの民主主義のルール、世界共通の民主主義にお乗りになることを私は切に要求しまして、私の質問を終ることにいたします。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#25
○國務大臣(吉田茂君) 波多野君にお答をいたします。私が施設の演説をしないとは申さないのであります。私は公務員法を先決せられることを希望して、これを……(発言する者多し)聽かれるがいい。これは私、政府の見解としては、会務員法の先決が非常に必要である。現在の労働問題の解決のために必要であるということは、しばしば申しておる。(「却つて遅れておるじやないか」と呼ぶ者あり)この労働問題、即ち公務員法の先決せられた後に施政方針演説をいたすということを由しておるのであります。問題は、公務員法を先決することが現在の労働問題解決のためにも緊要であることを、諸君が認めるか認めないかという一点にあるのであります。(「遅れておるじやないか」と呼ぶ者あり)これは非常に先決することが必要であると考えて、参議院にも又國会に対しても、この先決せられることを希望いたしておるのであります。何となれば、公務員法は先程も、申した通り七月以來の懸案であります。諸君におかれても十分御研究が積んでおることであると考えるのでありまするが、政府としてもかれこれ数ケ月を通じて、この問題を研究いたしておるのであつて、前内閣に引続いて、吉田内閣は前内閣の研究の結果に賛成をいたして、これを國会に提案いたしつつあるわけであります。(「その通り」「この際頑張れ」と呼ぶ者あり)
 その次に、吉田内閣に対して、或いは私に対して、世界の輿論がどうあるか。只今いろいろ新聞について説明がありましたが、私の言うところは、世界の輿論を無視するというのではないのであります。私の言うところは、一一の新聞に対して私が弁明する責任は負えない。併しながら日本が民主化、民主政治の根本を立てることにおいて、又民主化の方向に進みつつあるということに世界の世論を認めしむることが必要であるということは、私も同感であります。故にこの方向に対して世界の輿論を、日本の民主化が進みつつあるということに対して、世界の世論の認識には十分努めるつもりでやつているのであります。又私がしばしば新聞その他において発表いたしている通り、先ず第一に日本の民主化が徹底することが日本復興の第一の順序であるということは、しばしば申述べているのであつて、この所信については諸君も御了承下すつたことと思います。又この民主化を徹底せしめるために、日本の民主化の基礎を確立するために、よい憲法の前例を作りたい。この前例のために我々は努力いたしているのであります。(拍手)(「その通り」「脱線している」と呼ぶ者あり)
#26
○議長(松平恒雄君) 日程第一、檢察官適格審査委員会の委員の選挙、本院より選出せらるる委員の数は二名でございます。
#27
○原口忠次郎君 只今議題となりました檢察官適格審査委員会の委員の選挙は、成規の手続を省略して、その指名を議長に一任するの動議を提出いたします。
#28
○西川昌夫君 原口君の動議に賛成いたします。
#29
○議長(松平恒雄君) 原口君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては檢察官適格審査委員会の委員に徳川宗敬君及び前之園喜三郎君を指名いたします。これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト