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1948/11/17 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第13号
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1948/11/17 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第13号

#1
第003回国会 本会議 第13号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十二号
  昭和二十三年十一月十七日
   午前十時開議
 第一 副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第二 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第三 海外残留同胞引揚促進に関する決議案(草葉隆圓君外十五名発議)(委員会審査省略要求事件)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 一、委員の辞任及び補欠の件
 一、副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を改正する法律案
 一、戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案
 一、海外残留同胞引揚促進に関する決議案
    ―――――――――――――
   午前十時三十一分開議
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
    ―――――――――――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りいたしたいことがございます。昨日、團伊能君、北村一男君及び寺尾豊君よりそれぞれ理由を附して予算委員辞任の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として松嶋喜作君、深水六郎君及び西川昌夫君を指命いたします。
    ―――――――――――――
#5
○議長(松平恒雄君) この際、日程第一、副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事岡部常君。
   〔岡部常君登壇、拍手〕
#7
○岡部常君 只今上程せられました二法案について、簡單に委員会の経過報告をいたします。
 先ず第一に、副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、御承知の通り、二級の檢察官たる資格を有する者の外、檢察廳法第十八條第二項によりまして、高等試驗に合格した者及び三年以上政令で定める二級官吏その他の公務員の職に在つた者で、副檢事選考委員会の選考を経た者の中からもこれを任命することができるのでありますが、その任命資格を有する者を以てその定員を充たすことが困難でありましたので、第一回國会において副檢事の任命資格の特例に関する法律を制定し、「副檢事は、この法律施行の日から一年以内に限り、檢察廳法第十八條第二項の規定にかかわらず「副檢事の職務に必要な学識経驗のあるもので副檢事選考委員会の選考を経たものの中からもこれを任命することができる」ものといたしまして、廣く人材を登用することといたしておつたのであります。而うしてその後政府において、鋭意この法律によりまして副檢事の充員に努力して参りましたが、今尚百七十名の欠員を残しておるような状況であります。殊に刑事訴訟法の改正に伴いまして檢察事務が非常に多端となることが予想せられまするので、檢察官の増員はこの際必至であるのであります。そういう要求があるのであります。これを檢事のみを似て充たすことは到底困難でありますので、その大部分は副檢事を以てこれに充てたい、こういうところから、この施行を、本年十二月十七日で切れまするその効力を更に一ヶ年延長いたしたい、こういう趣旨であります。これにつきまして委員会におきましては質疑を重ねましたが、細かいことでありまするから、これは速記録に譲ることといたしたいと存じます。
 又次の戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案でありますが、この戸籍手数料の額は、昨昭和二十二年、同年十月一日から施行せられましたところの政令第二百一号で五円に増額せられました。又右政令は、そのままの内容で本年六月、戸籍手数料の額を定める法律に切換えられ、現在に至つているものでありますが、右増額以來、物價の高騰は依然として止まないような状況でありまして、現在の情勢に合致せないところがあるのであります。從いまして、この戸籍事務等に從事いたしまする地方公共團体の困難というものは察するに余りがあるであります。この際手数料の額を増額することは必要だということから、本法案が提案せられたわけであります。この点につきましても委員会においては熱心に討議せられまして、政府の明快なる答弁を得たのでありますが、このこともやはり詳細は速記録に讓ることにいたしたいと存じます。
 両法案とも格別討論を用いませんで、全員の賛成を得て可決せられたものでありまして、どうぞ本議場におきましても御賛成を願いたいと思います。(拍手)
#8
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#9
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
#10
○議長(松平恒雄君) 日程第三、海外残留同胞引揚促進に関する決議案、(草葉隆圓君外十五名発議)(委員会審査省略要求事件)本件は、発議者草葉隆圓君外十五名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り、委員会の審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。草葉隆圓君。
   〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
#12
○草葉隆圓君 只今上程になりました海外残留同胞引揚促進に関する決議案につきまして、発議者を代表して、その提案理由を説明いたします。
 先ず決議案文を朗読いたします。
   海外残留同胞引揚促進に関する決議
  終戰以來今日まで六百万人の引揚が実施されたことは連合國の好意によるもので我等の厚く感謝するところである。しかし今なお四度の冬を外地に過しつつある同胞は五十余万を算える。その引揚の速かなる完了は、留守家族はもとより全國民の熱望である。
  連合國の積極的努力によつて、この冬期間においてもこれら残留同胞の送還を継続されるよう要望してやまない。
  政府は本決議に基き直ちに万全の策を講ずべきである。
  ここに参議院は総意を以て右決議する。
 以上であります。(拍手)終戰当時、六百六十万を超えておりました海外同胞は、連合國の好意によりまして、昭和二十一年においては中國地区並びに太平洋地区から、翌年には南方地区の大部分から、それぞれ引揚を完了いたしまして、本年十一月五日現在において引揚総数六百十万四千三百五十八人に相成りましたことは、我々の深く感謝するところであります。併しながら、現在尚ソ連及び満州には五十万六千九百八十八人の同胞が終戰以來四度の嚴寒を迎えつつあります。
 昨年八月十五日、第一回國会におきまして、我が参議院は「在外同胞引揚に関する感謝とその引揚促進に関する決議案」を上程いたしまして、これら残留者が年内に帰還を完了いたしまするよう連合諸國に懇請いたしたのでありまするが、御承知の通り昨年十月二十九日、対日理事会シーボルト議長から、毎月十六万人づつ引揚げて五ケ月間にこれを完了せんとする好意ある努力も遂に空しくなりまして、昨年十二月から本年四月までは、ソ連地区からの引揚は遂に休止されるの止むなきに至つたのであります。更に本年五月二十六日、第二回國会におきまして、「引揚同胞対策に関する決議案」を本議場に上程し、海外残留同胞を本年結氷期までに是非とも帰還せしめられまするよう、これ又懇請いたしたのでありまするが、今や將に結氷期に迫つておりまする今日、ソ連地区には尚、樺太及び千島方面におきまして九万七千八百六十五人、シベリア方面におきまして実に三十四万八千八百七人、合計して四十四万六千六百七十二人が残つておりまして、これら多数の同胞が極寒の冬を迎えつつありますことは、留守家族はもとより、我ら國民の誠に忍び難き苦痛でありまして、ここに三たびこのような決議案を上程せなければなりませんことは、我々の衷心悲痛に堪えないところであります。
 私は本決議案の内容といたしまして特に左の五点を強調し、連合国の好意と我が政府の努力を要請いたしたいと存ずる次第であります。
 第一は、この冬季間是非とも送還を継続されたいということ。
 第二は送還の数を能う限り最大限にして頂きたいということであります。連合國総司令部の好意によりまして、本年の冬は碎氷船が用意され、毎月十六万人を受入れるだけの設備、食糧、衣服など十分用意されておりまするばかりでなく、引揚輸送船は現在三十二艘準備され、月々優に二十万人以上の輸送が可能でありますから、この冬季間の輸送を是非とも継続されますることは勿論、でき得る限り最大限多数の引揚をなされまするよう要請して止まない次第であります。
 第三は、死亡者、生存者の氏名の公式発表についてであります。現在まで死亡者、生存者の氏名が全然発表されておりませんことは、お互い國民のひとしく不安と焦慮の念に駆られ、疑義を深くするところでありますから、この際是非とも公式発表を希う次第であります。
 第四は、在満同胞の氏名の発表と、通信並びに引揚の開始についてであります。在満同胞は、終戰当時におきましては百十万五千八百三十七名を数え、すでに引揚げました者は百四万五千五百二十一名でありまするが、尚六万三百十六名が残留いたしております。この地区におきましては、残留者の氏名は勿論、通信の途もなく、今日まで何ら引揚の方法も講じられておらない悲惨な状態でありまして、我ら國民の不安はこの上もないのであります。私共は連合諸國の理解によりまして一日も速かにこの問題が解決されまするよう、政府の一段の努力を要望いたす次第であります。
 第五は、政府は以上の諸点に対しまして直ちに最善の努力を拂うべきことは勿論でありまするが、先に申上げました第二回國会の本院の決議に基きまして、留守家族の援護を特に強化され、引揚者の受入を十分にされますると同時に、その援護の徹底を期せられまするよう要望いたす次第であります。
 我々は残留者の引揚促進を要請いたしますると同時に、我が子、我が夫の安否を氣遣いながら精魂盡き果てた留守家族、無一文になつて帰つて來られました引揚者、遺骨を抱えて途方に暮れておりまする遺家族、愛兒を抱えながら断崖の瀬戸際に立ちまする未亡人、四肢を失つて物を乞う傷痍者をそのままの状態にいたして置きましては、戰争犠牲の公平なる分担と民主主義國家の正しい建設には凡そ逆行するものであると存ずるのであります。(拍手)御記憶に新たなることと存じまするが、先々月九月二十七日から三日間、全國留守家族大会が開催されまして、五十万同胞の留守家族の代表三千名が、我らの夫、私の子を、父を、一日も早く帰して下さいという熱望は、遂に六百になんなんとする人々の数日間に亘る悲壯なる断食となつて現われたのであります。数歳に満たない幼兒から、老の坂を越しました老婆に至るまで、切々として身を切るごとき訴えは、ただ單に留守家族だけの訴えでなく、全日本八千万同胞の心を同じくしたる訴えでありまして、世界人道の上からも強い要請であります。(拍手)來月十七日から一週間「愛の週間」が全國的に催さるるに当りまして、我々國民はこれら留守家族の苦悩をお互いに分ち合い、全國民一致して引揚の速かなる促進を期しますると同時に、これら留守家族、遺家族、未亡人、引揚者、傷痍者に対しまして、心から慰藉の至情を盡すべき義務があると存ずるのであります。(拍手)
 最後に私は諸君と共に、終戰以來四度迎うる嚴寒の異境に故郷を偲びながら過ごされつつありまする在外残留五十余万同胞に対しまして、心からその御健在をお祈り申上げる次第であります。留守家族の皆さんは勿論、全國八千万の同胞も亦ひとしくその御健在を祈念し、引揚の一日も速かならんことを念じておられると信じます。願わくば諸君、この決議案に対しまして満腔の御賛同を賜わらんことを希望いたしまして、私の提案理由の説明を終ります。(拍手)
#13
○議長(松平恒雄君) 本決議案に対し討論の通告がございます。矢野酉雄君。
   〔矢野酉雄君登壇、拍手〕
#14
○矢野酉雄君 我が緑風会は、只今の決議案の内容並びに最も眞摯な態度を以て御説明になりました草葉君の提案理由に対しても、挙つて心から賛同を表する者であります。
 私は過日、私の郷里でありまする大牟田市の七十三歳になられる荒木ちかという方から、重い封書を送つて頂いたのでありまするが、その内容の一端に、満州で大変この母親の面倒を見てくれた息子がまだその安否も分らない。私はすでに七十三歳で、もう長く生きる……この後の年月も二年か三年であろうと思う。今食べるものも成るべく節約して、そして貯めたお金がここに一万円となりましたので、この一万円を旅費にして、どうせ日本で死ぬのもシベリアで死ぬのも同じであるから、是非何とかしてこれを旅費としてシベリアの方に送つて頂いて、一目でもいいから息子に会わして頂いて、そこで死なして頂きたいというお便りを読んで、この一人の老母の心情は、すべて五十余万のその人々を待つている或いは妻であり、母であり、父であり、或いは兄弟であり、子供である人々の共通せる全く駈引なしの、そのままの心情であると私は思うのであります。(拍手)
 私は昨年八月十五日、特別委員長としてこの壇上から八千万の兄弟に訴え、世界二十億の人々に、殊に父としてのスターリン、親としてのスターリン、妻としての、母親としてのスターリンの御夫人、その他の世界の人々に訴えたのでありまするが、再び草葉君をしてこの提案理由を説明させなければならない、まだ五十余万の未帰還者を我々は待つておらなければならないということを、実に断腸の思いを以て感ずるのであります。
 殊に二十二名の戰爭首謀者と目せられる人々は、過日嚴粛に、壯嚴の中に神聖なる審判を受けて、今や刑の執行を受けんとしておるのであります。これは正に我が誤まれる戰爭に対する、殆んど終末的の一つの段階が示されたと言わなければならないのであります。(「然り」と呼ぶものあり)然るに何が故にこの五十余万の兄弟が、今尚骨を凍らせるようなあの嚴寒の地において、この苦難をあの人たちのみ嘗めなければならないかということを考えますときに、私は実に言葉を以て表現のできない、実に膓を切られる思いと共に、人道上のそこに矛盾を感じ、かかる境遇に置いて來た私たちの責任をもしみじみ感ずる次第であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)(拍手)
 引揚げて來た六百余万、これを待つた妻、老いたる父、母、兄弟、子供等の数を数えましたならば、恐らく引揚未帰還者その他の痛い痛い痛切なる体驗を持つた日本人の八千万の同胞の中には、凡そ三千万を突破するところの多数の、最も戰爭の犠牲を負担しておるところのこの人々のあることを、私たちは一日も夢忘れることはできないと思うのであります。(拍手)併しながらこの引揚の促進の完璧を期するためには、引揚を受入れるところの態勢を十分整えなければならないのであります。然るに元軍人軍属に対しても、その家族には僅かに一ケ月二百二十五円の給與しかなく、軍人軍属にあらざるその家族は一厘も國家の恩惠に浴していないこの矛盾せる現実を見ますときに、國会を中心とし、政府は進んで受入態勢を充実、強化するために、万全を期せなければならんと思います。本日は不幸にして吉田首相の御出席を見ませんが、副総理たる林厚生大臣、殊に婦人であられる外務政務次官近藤女史が御出席になつておりますので、正式の外交以外にあらゆる國民的外交にも力をいたされ、更に林副総理は厚生主管大臣として万全の具体的方策を立てて、受入の体制を充実することに決死の覚悟をここに披瀝して頂きたいことを要望いたしまして、賛成の意見を終る次第であります。(拍手)
#15
○議長(松平恒雄君) 木下源吾君。
   〔木下源吾君登壇、拍手〕
#16
○木下源吾君 日本社会党は只今の決議案に対しまして全然同感であります。社会党はこの引揚に関する問題を党の重要の政策といたしまして今日まで努力して参りましたが、只今決議案にございまするように、五十数万の残留者が今四度この嚴冬を迎えるということに対して、我々は何とも言えない感じを持つておるのであります。いろいろ敗戰後の日本における実情が複雜しておりまするが、このような問題が私共の最も悩みの種でございます。今までいろいろの方法手段を以てこの帰還を要請して参りましたが、私共今日に至りましては、もう一歩進んでよく考えなければならない段階ではないかと存ずるのであります。即ちポツダム宣言におきましては、武器を捨て、そうして平和なる家庭に帰つて平和産業に從事することができることに相成つておりますが、さてこのポツダム宣言を実行して頂くに関しましては、國内におけるみずからの側においても、ポツダム宣言を忠実に履行し、これを現わさなければならないと考えるのでありまして、私共現在の國内の諸相を見まするときに、凡そ民主化の徹底を期しつつあるとみずからは信じておつても、連合諸國から見まするならば、まだまだ民主化に対する不足な点が沢山あることを、みずから反省しなければならないと思うのであります。かかる意味において私共は、今政府に対してこのことを鞭撻し、連合國に要請する、それと同時に私共は我が國の民主化に対して、ポツダム宣言を忠実に履行しつつあるのだというこの実証を挙げることが、何よりも帰還促進の重大なポイントと私は信ずるのであります。(拍手)
 今日まで連合國の並々ならぬ御努力によりまして沢山の引揚を完了いたしましたが、これに対しては國民ひとしく感謝の意を持つておりますると同時に、今後一段と連合國諸國の御厚意によつて、ただそれのみが我が國の敗戰の結果賠償の責を身を以て償いつつあるこの人々の帰還を、一日も速かならしむるように念願して止まない次第であります。今樺太におけるところの造材に從事しつつある人々のその状態を、私はこの議場から諸君に御報告するに忍びない程、それ程疲れ切つておる事情を私共は聞いております。又満州地区における未帰還者の状態についても、諸君も御承知の通り何ら手を差伸べることのできないような実情にあるのでありまして、私共はこれら五十数万の残された人々に対しては、國民的外交、その実践においては日本民主化を通じて、そうして共に政府と力を協せ連合國の御助力を懇請して止まない次第であります。私は只今の提案に対して、日本社会党を代表し全然同感であることを申上げ、賛成の意を表する次第であります。(拍手)
#17
○議長(松平恒雄君) 星野芳樹君。
   〔星野芳樹君登壇、拍手〕
#18
○星野芳樹君 只今提出された決議案に対しまして、労働者農民党員を含む無所属懇談会は、他の各党に優るとも劣らざる熱意を以つて賛成の意を表する者であります。更に加えて、この決議案の有効なる効果を挙げることを願うものであります。
 それについて一言申したいことは、どうしたらばこの引揚促進が本当に実効を挙げるかということであります。これに対しては、この事情については、先般九月十四日に民主主義擁護同盟の代表がソヴイエト大使館に歎願に参りましたときに、ソヴイエト大使館ゲネラウフ氏より、引揚の思うように行かない原因はソヴイエト極東地区の輸送事情であり、人は五ケ年計画による輸送力が増大したろうと言うだろうが、輸送力が増大しただけに需要も殖えていますというお答えによつて明らかであります。このお答えを察するにしても、ソヴイエトをして犠牲を拂つても多数の引揚を敢行しようというお心持を持たせるということが鍵であります。それにはどうしたらよいか。これを妨げておる事情は何か。それは即ち緊迫せる國際情勢であり、又ソ連に対する日本人、日本國民の動向であります。この証拠といたしましては、去る十一月前半中は米國の大統領選挙において共和党の勝利が圧倒的であると傳えられて、國際情勢の緊迫化が必至であると見られたときには、十一月前半の輸送は停止されたのであります。然るに米國國民の平和愛好的熱意が実証されてトルーマン大統領が再選されるや、十一月後半からは引揚が再開され、更に昨年は十一月で打切られたのが、十二月も亦引揚船が出るという状態になつておるのであります。こういう意味を以て、この事情を以て見ても、我々引揚促進を眞に実効あらしめんと欲するならば、我々日本國民の間に平和擁護の熱望を強く植付けなければならないと思うのであります。この意味において、引揚促進を叫ぶ者、その裏に平和擁護の熱意を國民の中に植付けるのでなければ、眞の引揚促進ではないと断言しても間違いでないと思うのであります。然るに新聞紙上には、中國の内戰が激化しそうなので、戰爭景氣で兜町は大景氣だというようなことが言われております。かかる徒輩こそは留守家族の血の滲む涙を踏み躪つてこれを断崖に陷れるものであります。
 最後に私共最も進歩的陣営の人々は、これに対して特に努力しなければならないと思うのであります。それは我々進歩的陣営こそが、苦難に充ちた民衆を熱意を以つて救うものであるという自覚を持つべきであり、さらにシベリアにおる同胞たちは平均年齢三十歳、而も幾多の苦難を経、而もいろいろな制度を見て、將來の日本の民主化に対する有力なる推進力となることが明らかなのであります。この意味において我々は特に彼らを迎えたいという熱望を持つべきであり、更に社会主義者の間には話合いによつて解決し得ざることは残してはならないという熱意を以て、この問題の解決に邁進すべきものであると私は信ずる者であります。これを以て本決議案の賛成の辞に代えたいと思います。(拍手)
#19
○議長(松平恒雄君) 高良とみ君。
   〔高良とみ君登壇、拍手〕
#20
○高良とみ君 民主党は只今上程されました参議院の総意による決議案に心から賛成いたし、これを一日も早く実現に移されんことを希望する者でございます。
 先週私共は最も嚴粛な氣持を以ちまして極東裁判の判決を聽いたのでございまするが、私共の心を打つた多くのことの中に、戰爭裁判と雖もその動機は報復にないということを繰返して示されたことでございます。私共の同胞は彼の第四の冬を迎えんといたしまして、寒いシベリア、北満、或いは中共地区に五十余万も残つておるのでございまするが、この四ケ年余りの抑留は裁判なき受刑であると言つては無理なのでございましようか。(「その通り」と呼ぶ者あり)何故に私共は、今後いつ帰されるという目安もなく、同胞をして徒らに血を以つて、我が民族の歴史の、而も戰爭の罪悪の最後を綴らせようとするのでございましようか。
 戰爭が破壊いたしまする最も悲惨なものは、私は人類の善意と信頼の破壊だと思うのであります。これが長く物質と生命の破壊以上に世界の人の心を痛め付けまして、世界をして第三次の戰爭さえも語らせておるのでございますが、私共今日世界の審判の前におりまする民族といたしましては何をか要求する権利を持ちましよう。ただ連合諸國の善意と厚意とを、我々平和と文化を信ずる國民として信じたいのであります。故に幸いソ連代表者がしばしば繰返されましたところの対日講和條約の早期締結ということは、私共がこれを萬幅の信頼を以て一日も早くそのソ連の意思が実現されることを信じて待つておる者でございます。
 然らばその第一段階といたしまして、ポツダム宣言に約束されました平和なる家庭に帰り生産に從事すべきと言われましたところの同胞を一日も早く帰されることが、講和條約の締結を希望されるソ連の意思であることを亦信じて止まない者でございます。(拍手)
 先の諸兄が言われました通り、この決議の後には、もはや縋るべき何物をも持たない苦境に陷れられまして、食なく、衣破れ、住うべき、バラツクも十分でなく、或いは病の床に、或いは荒野の果に、氷の風の吹きすさぶ中に、毎日苦役に強制労働に從事しておりまする同胞の呻きがあると、私はそれを日夜に感ずる者でございまするが、更に加えまして、老い果てた父や母、待ち佗びて泣くべき涙も涸れたその絶望の姿、又生活の苦しさに喘ぎながら幼ない子供たちを抱えてもはや数年の、家庭を維持するのに困難な状態にありまするところの妻、幼なき弟妹等を思いまするときに、その人たちが路傍に坐つて断食をして要路の人々に願つたりは、ついこの間のことでありまして、今日新らしい政府におられる諸兄と雖も、このことは心を打つて覚えておられることと思うのであります。
 どうぞこの点から申しましても、私共更に世界の婦人たちに引揚の早期実現を訴えたのでございまして、各國から参りました婦人の代表者、或いはあらゆる機会に、世界の婦人の團結があり、代表者が來まする度に私共の苦衷を訴えて來ておるのでございますから、世界民主國家の輿論はすでにこの戰爭の始末のできておらないことに対しまして非常に関心を拂い、又その当局を鞭撻しておることを信ずる者でございます。故なくして罰に泣くということは……人類の善意を破壊するのは最も大きな正義感の不振だと思うのでございますが、こういう鬪爭を、或いは我執を、無理解を破壊する途は、私は原子爆彈ではないと信ずる者の一人でございます。或る人たちはこの間まで戰爭の恐ろさを話しておりましたけれども、私共も幸いにして世界の青年男女の間には、極東にも、ソ連の中にも、或いはヨーロツパの戰爭の眞只中へ、友愛奉仕團を派遣して善意の友情を作り、友達を作つて行こうという運動が起こつており、日本の青年男女の中からもそれに是非参加させて貰いたいという声を聞きまして、私は原子爆彈より強いものは愛情であり、又その途の開けておることに深き感謝と尊敬を持つておる者でございます。どうか願わくは私共もただ引揚促進を叫ぶばかりでなく、何らかの組織を持ちますれば、或いは赤十字社を通しまして嚴寒の地におられまする同胞に「りんご」の一つでも、野菜の少しでも、或いは医藥品を送るということもできましようが、そういう実行に対して政府を鞭撻し、私共も共に努めることを私は提案する者でございます。又家族との通信を赤十字社を通し連合國の厚意によりまして、もう少し盛んにいたしませんならば、生きておるか、死んでおるか、どこにおるか分らない、そのことが日夜の涙の元となり、悲しい夢の元となつておることは申上げるまでもないのであります。外交官を総動員いたしまして……特に中共地区におられる者から、最近海外から電報が來て船を廻して貰いたいという声を聞くのでございまするが、これに対してあらゆる努力を拂われんことを特に吉田内閣に御依頼する次第でございます。婦人の政務官もおいででございますし、林副総理もおいででございますから、私共は党派を超越し、党利党略に耽つておらないで、どうか一つこの國民全体の声でありまする引揚促進に全力を挙げて、先ずこれにこの冬季の対策を構ずることを提案いたしまして賛成いたす次第であります。(拍手)
#21
○議長(松平恒雄君) 細川嘉六君。
   〔細川嘉六君登壇、拍手〕
#22
○細川嘉六君 私は日本共産党を代表して本決議案に賛成いたします。
 長年外國に残留する人たちを持つ人人の心情は全く並大抵のものではありません。併し折角の決議も効果がなくてはなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)本院はすでに数回の決議をいたしました。併し何程の効果がありましたでしようか。明らかに決議に効果あらしめるものはただ一つであります。言うまでもなくポツダム宣言と軍事占領が我が國民に求めるものは、民主主義の徹底であります。少くともこの徹底のための眞劍な努力を示すことであります。然るにここ一ケ年間の我が國内情勢はどうであるか。反動はますます激しくなつて來ておる。大衆收奪のインフレ財政はどんどん決定された。例えば軽犯罪法のごとき、人民の基本的権利を侵害する法律がどんどん作られておる。今日文國家公務員法、これが上程せられております。これは何であるか。二百七十万の公務員の基本的人権が、又その生活が危殆に瀕せられておるのであります。これでは日本の民主主義はどうなるか。民主主義の根本は崩されておるではありませんか。私は、今日早く國へ帰して呉れと言うが、帰つた者はどうなつておるか、帰つては食物が不足しておる、仕事がない。この状態は一体何であるか。十一月一日から四日間のナホトカから舞鶴に着いた帰還者、この間には恐しいリンチ事件が起つておるという報道があります。十三名の人たちが尚行方不明になつておる。二三人の人が殺されておる。これは一体何であるか。この報道を我々は今追及しております。これには連合國当局は実際どうやつておつたか。これは私は今年の初めから問題にしておるのであります。ここには全國における民主主義の発展如何ということが物を言つておるのであります。こういう状態では民主主義に対する眞劍な努力があると言えるか。徒らに早く国へ返して呉れという要求、これも民主主義の裏付けなくしてはどれだけの効果があるか。殊に今回の場合は冬季困難な輸送であります。そうして生命の危険も伴つている輸送であります。これを要求する場合、我々は並大抵の覚悟では本当の効果はあるとは言えないのであります。こういう國内の状態を以てして、連合國の本当の同情と理解を得ることができるのでありましようか。ポツダム宣言は武裝解除後直ちに國に帰らせる。同時に帰つた者には平和的な、産業的な活動に從事する機会を與える。こう書いてあります。この平和的、産業的活動に從事する機会をどれだけ與えられておるか。私は端的に申します。我が國では今日尚政治の責任に立つ指導者は、国会議員もよく聞いて下さい。精神的には武裝解除していない。これは世界が見ておる。我々も亦これを認めざるを得ない。(「ノーノー」「何を言う」「何を言つてるか」「もうやめろ」「本論に入れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)、このことを我々が眞に理解してこそ、今旦極東裁判において幾多の犠牲者を出しているこの犠牲者も生きるでありましよう。前議会の引揚委員長でたつた中平君は、敗戰国は世界の正義に訴えることはできないか、こう申されました。この言葉は端的に政治の責任にある人たちの肚の底を示しております。今日又一議員が、世界の人道に訴えると言われた。こういう言葉がでるということは、誠に政治責任の地位に立つ人たちの氣持をよく現わしておる。正義とは何か。ポツダム宣言及び軍事占領の目的を達成することは、世界から我々に要求されておるところである。これを実現することが正義である。我々の正義である。国内において引揚げて來た者が衣食に窮するというようなことは人道問題である。これはどうなつておるか。我々は本当にこの決議案を生かすためには、こういう欠陷を拂拭して、民主主義の大道を全力を挙げて戰う、ここにこそこの決議案が生きるのであります。幾多の雄弁もこの決心なくては何にもなりません。私はこの意味において、我が党を代表して本決議案に賛成する者であります。(拍手)
#23
○議長(松平恒雄君) 三好始君。
   〔三好始君登壇〕
#24
○三好始君 只今上程せられました海外残留同胞引揚促進に関する決議案に対しまして、私は新政クラブを代表して賛成の意見を表明いたしたく存じます。
 終戰以來四度の冬を迎えて、今尚海外残留同胞が五十余万を算し、その帰還を一日千秋の思いで熱望しておる多数留守家族のありますことは、我々の痛心に堪えないところであります。これら多数留守家族の方々は、或いは夫を、或いは父を待ち佗びつつ、インフレの激流と戰い、辛うじて夫還る日に、或いは父還る日に一縷の望みをかけて、苦しい生活を続けて來ておるのであります。或いは又老齢の父母が子供の帰還を、残された人生最後の且つ最大の望みとして淋しい生活を続けておる姿が眼に浮ぶのであります。又異郷にあつて敗戰の故國にあるところの生死も分らない父母妻子を偲んで四度の冬を迎える海外残留同胞の上に思いを馳せ、我々は断膓の思いがいたすのであります。こうした状態を思うとき、引揚促進に関して、我々は全國民の熱望を傾けて、この上更に連合國の厚意に期待し、政府を鞭撻して、速かなる引揚完了と、最善の引揚者対策を実現しなければなりません。從來北方よりの残留同胞引揚につきましては、冬季間休止の状態にあつたため、引揚が延引されておつた事情もあつたと思うのであります。ところが冬季間の引揚についての碎氷船その他の準備も整うておる実情から、この冬季におきましては是非引揚を継続されたいのであります。本決議案の眼目も亦ここにあると存ずるのであります。私は本決議に対し、連合國の好意ある理解と政府の誠意の籠つた善処を要望いたしまして、決議案に賛成いたす者であります。(拍手)
#25
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#26
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。(拍手)よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。只今の決議に対し政府より発言を求められました。林厚生大臣。
   〔國務大臣林譲治君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(林譲治君) 只今海外残留同胞の引揚促進に関しまして、重大なる、又切々胸に迫るような思いをいたしまする御説明を拜聽いたしまして、我が政府といたしましては、本問題につきまして更に一段の決意を新たにいたすがごとき感を抱くわけであります。殊に嚴寒の地において終戰後すでに四度目の冬を迎えられる五十余万の同胞諸君に対しましては、誠に御同情に堪えません。更に又その五十余万の同胞をお待ち申していらつしやるところの御家族の御心情に対しましても、何とも申上げることのできないような心持がいたすのであります。政府といたしましては、その間の事情を詳細に披瀝をいたしまして、一段と引揚の促進に邁進をいたしたいという心組でおるのであります。幸いにして総司令部におかれましては、冬季間も必要があつた場合においては碎氷艦をも準備する等の手段に対して、十二分に御考慮を願つておりますることは、私が就任いたしまして直ちに司令部を訪れましたときにも、切々そのお話を私共は拜聽いたして、引続きましてそれらの声明も発表になつたので、ありまするから、皆さんも御承知であられようと考えます。幸いに関係諸國の深き御理解を頂きまして是非とも引揚が続行せられますように、又冬季においても成るべく多くの同胞をお迎えをいたすように、我々は切に念願をいたしておる者であります。先程草葉議員からの切々たる御説明の中に、五ケ條を挙げて私共に要求をせられたのでありますが、たまたま私は所管問題として携わるようになりました関係上、その御要求に対しましては全力を盡して諸君の御期待に副うように努力をいたしたい。政府におきましては、將來ともに力を入れたいと考えておりますので、どうか諸君におかせられましても一段と政府に御鞭撻と御指導を賜わらんことを切にお願いを申上げまして、私の政府といたしましての答弁を終りたいと思います。(拍手)
#28
○議長(松平恒雄君) 近藤政府委員。
   〔「政務次官しつかりやれ」と呼ぶ者あり〕
   〔政府委員近藤鶴代君登壇、拍手〕
#29
○政府委員(近藤鶴代君) 只今御熱心なる御決議を拜聽いたしまして、私共といたしましても誠に御同感に存ずる次第でございます。海外残留同胞の引揚に関しましては、今日まで連合軍の誠に御厚意のあるところの御努力を頂きまして、大体順調に経過いたして参つておりますことは皆様方も御承知のことと存じ、誠に感謝に堪えない次第でございます。併しここに四度の冬を迎えまして、現地に残つておりますところの皆様方の上を思い、且つは又これを案じておいでになりますところの御家族の方々の御心中を思いますとき、私共といたしましても安らかな氣持はないのでございます。政府といたしましては今日までも十分この面には努力を続けて参つたのではございますけれども、尚今後共に関係方面への交渉その他あらゆる手段を盡しまして、皆様方の御期待の通り冬季の引揚も続行いたされますよう、尚且つ一日も早く引揚の完了という喜びの日を皆様方と共に持ちますことを念願いたしまして、全力を挙げて参りたいということを申上げて、答弁に代えさして頂く次第でございます。(拍手)
#30
○議長(松平恒雄君) これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以つて御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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