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1948/11/30 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第18号
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1948/11/30 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 本会議 第18号

#1
第003回国会 本会議 第18号
昭和二十三年十一月三十日(火曜日)
   午前十時二十三分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  昭和二十三年十一月三十日
   午前十時開議
 第一 進駐軍労働者に政令二〇一号及び國家公務員法適用除外の請願(委員長報告)
 第二 熊谷地区官公吏勤務地手当引上に関する請願(委員長報告)
 第三 乾しいたけの公定價格撤廃に関する請願(委員長報告)
 第四 物價改訂に関する請願(委員長報告)
 第五 くず鉄統制反対に関する請願(委員長報告)
 第六 郡山市に仙台高等裁判所支部設置の請願(委員長報告)
 第七 大垣市に刑務所支所設置の請願(委員長報告)
 第八 出雲市に松江刑務所支所設置の請願(委員長報告)
 第九 宮城刑務所福島支所移轉に関する請願(委員長報告)
 第一〇 吉原市に靜岡刑務所支所設置の請願(委員長報告)
 第一一 石炭産業從事の土建労務者に対する均等配給に関する請願(委員長報告)
 第一二 北海道炭鉱電力確保に関する請願(委員長報告)
 第一三 日本製鉄株式会社廣畑製鉄所再開に関する請願(委員長報告)
 第一四 輸出絹人絹織物檢査機構の存置に関する請願(委員長報告)
 第一五 絹人絹織物規格選定の自由性に関する請願(委員長報告)
 第一六 高知縣の大口電氣料金区域変更の請願(委員長報告)
 第一七 坑木生産資金融資に関する請願(委員長報告)
 第一八 宮崎種畜牧場存置に関する請願(委員長報告)
 第一九 山形縣営日向川沿岸用水改良工事促進に関する請願(委員長報告)
 第二〇 新冠村開拓事業に関する請願(委員長報告)
 第二一 青龍寺川災害復旧耕地事業及び用排水耕地事業施行に関する請願(委員長報告)
 第二二 大道せき用水路補修工事を土地改良事業に指定施行の請願(委員長報告)
 第二三 越中せき用水改良に関する請願(委員長報告)
 第二四 新潟縣営山北用水改良事業の繰上施行に関する請願(委員長報告)
 第二五 蚕糸関係の水害復旧対策に関する請願(委員長報告)
 第二六 馬匹の北海道外移動禁止に伴う対策に関する請願(委員長報告)
 第二七 はり、きゆう、あん摩、マツサージ業者に対する加配米給與の請願(委員長報告)
 第二八 兒島湾干拓事業促進に関する請願(委員長報告)
 第二九 農地委員会に対する國庫補助の請願(二件)(委員長報告)
 第三〇 秋田縣船川港町、脇本村間防潮林造成事業施行に関する請願(委員長報告)
 第三一 因幡せき揚水機設備工事助成の請願(委員長報告)
 第三二 岐阜縣荏薙用水改良工事促進に関する請願(委員長報告)
 第三三 農業災害補償法の改正等に関する請願(委員長報告)
 第三四 岐阜縣上野平干拓地の災害復旧事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第三五 疊表原料の七島い栽培面積確保に関する請願(委員長報告)
 第三六 農業災害補償法の共済事項に虫害を加えるの請願(委員長報告)
 第三七 農業災害補償法による災害確認作物の供出量減少に関する請願(委員長報告)
 第三八 廣島縣の風水害林地並びに林道復旧事業費國庫補助の請願(委員長報告)
 第三九 大規模國営開墾事業促進に関する請願(委員長報告)
 第四〇 兵庫縣のかん水害復旧事業費等の國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第四一 各種耕地事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第四二 兵庫縣の土地改良事業費並びに農業水利事業費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)
 第四三 滋賀縣湖北耕地の災害復旧事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第四四 大阪府のかん害復旧工事費並びに水害復旧事業費国庫補助に関する請願(委員長報告)
 第四五 三重縣下耕地の災害復旧事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第四六 三重縣の土地改良事業費並びに農業水利事業費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)
 第四七 愛知縣の土地改良事業費並びに農業水利事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第四八 愛知縣のかん水害復旧事業費等國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第四九 奈良縣の土地改良事業費並びに農業水利事業費等の國庫補助に関する請願(委員長報告)
 第五〇 稲荷山線鉄道復活に関する請願(委員長報告)
 第五一 大垣、樽見間鉄道復旧促進に関する請願(委員長報告)
 第五二 岡山市万町踏切にこ線橋架設の請願(委員長報告)
 第五三 普代、小本両村間に國営自動車の運輸開始の請願(委員長報告)
 第五四 大蔵省保管の白浜鉄道運輸省に所管替の請願(委員長報告)
 第五五 南余目信号場を駅に昇格の請願(委員長報告)
 第五六 稲毛、幕張両駅間に檢見川駅設置の請願(委員長報告)
 第五七 亀山、清澄間に國営自動車の運輸開始の請願(委員長報告)
 第五八 田野畑港修築工事促進に関する関する請願(委員長報告)
 第五九 吉久駅を独立駅に昇格の請願(委員長報告)
 第六〇 貨物自動車用タイヤ配給に関する請願(委員長報告)
 第六一 岩手縣久慈町、白山及び玉の脇間に國営自動車の運輸延長の請願(委員長報告)
 第六二 三瓶港防波堤築設に関する請願(委員長報告)
 第六三 予讃線接続駅変更に関する請願(委員長報告)
 第六四 愛媛縣土居村窪町に國営自動車運輸延長の請願(委員長報告)
 第六五 四國循環鉄道完成促進の請願(委員長報告)
 第六六 留萌港しゆんせつ工事施行に関する請願(委員長報告)
 第六七 坂上、賀見畑、秋中三村間に國営自動車の運輸開始の請願(委員長報告)
 第六八 枝幸、美深間に鉄道敷設の請願(委員長報告)
 第六九 日本國会史編さん所設置に関する請願(委員長報告)
 第七〇 國家公務員法の改正並びに教育公務員法案に関する陳情(委員長報告)
 第七一 中國地方の電力増強対策に関する陳情(委員長報告)
 第七二 中小企業金融対策に関する陳情(委員長報告)
 第七三 京都府のかん害應急対策費國庫補助に関する陳情(委員長報告)
 第七四 農業災害補償法の改正に関する陳情(委員長報告)
 第七五 兒島湾干拓事業促進に関する陳情(委員長報告)
 第七六 農地委員会に対する國庫補助の陳情(二件)(委員長報告)
 第七七 酪農業の拡充強化に関する陳情(委員長報告)
 第七八 矢吹原國営開墾事業促進に関する陳情(委員長報告)
 第七九 廣島縣のかん害恒久対策費國庫補助に関する陳情(委員長報告)
 第八〇 廣島縣の水害耕地復旧事業費國庫補助に関する陳情(委員長報告)
 第八一 小野新町、須賀川両町間に國営貨物自動車の運輸開始の陳情(委員長報告)
 第八二 関東海運局東京支局の昇格に関する陳情(委員長報告)
 第八三 花釜線全線復旧工事に関する陳情(委員長報告)
 第八四 軽金属業会の輸送あい路打開に関する陳情(委員長報告)
 第八五 米原、京都両駅間電化促進に関する陳情(委員長報告)
 第八六 山田線の災害復旧工事に関する陳情(委員長報告)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程の順序を変更して、日程第三より日程第五までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
#5
○佐々木良作君 今議題になりました物價改訂に関する請願外二件の請願につきまして、委員会の経過及び結果を極めて簡單に御報告申上げます。
 物價改訂に関する請願は、今回行われました物價改訂によつてアルミニウム工業界は多大の影響を受けているから、物價改訂の基本方式、特に改訂の時間的ズレ、原價計算の方式、織込賃金ベース、價格差補給金等について愼重に檢討考慮を加えられたいという請願でありまして、物價政策につき根本的な再檢討が要請されている現状を考えますと、本請願において述べられている諸点は十分に檢討考慮を考える必要が認められたのであります。
 次に乾椎茸の公定價格撤廃に関する請願は、椎茸の商品的特質と嗜好食品である点からして、公定價格の撤廃並びに指定農林物資檢査法別表第二より削除して欲しいという請願でありまして、椎茸は輸出品として重要なものではありますが、現在の物價の現況から考えまするとマル公の撤廃を可とするものというふうに結論されたのであります。
 又、屑鉄統制反対に関する請願は全國鑄物工業会から提出されたものでありまして、鑄物用の屑鉄は集荷が容易でなく、品質形状等の点からして統一價格決定が困難であるため、生産に支障を來たしておるから、統制を撤廃して欲しいという請願でありまして、屑鉄一般についての統制解除は尚問題がありますが、鑄物用の古鉄については統制を撤廃することが妥当であるというふうに認められたのであります。
 以上のごとき次第でありまして、本委員会といたしましては、各請願につきましてそれぞれ紹介議員及び政府委員の説明及び意見を聴取し、十分審議を行いました結果、議院の会議に付し、然るべき意見書を付して内閣に送付するを適当と認めた次第であります。非常に簡單でありますが以上御報告といたします。
#6
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。これらの請願は委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#7
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以つて採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#8
○議長(松平恒雄君) この際、日程第六より日程第十までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事岡部常君。
   〔岡部常君登壇、拍手〕
#10
○岡部常君 只今議題になりました請願第二十三号外四件の法務委員会における審議の経過及び結果について御報告申上げます。
 まず、郡山市に仙台高等裁判所支部設置の請願第二十三号の趣旨は、同市には福島地方裁判所郡山支部が設置され、便利にはなつたが、他面、裁判所法の改正によつて今まで地方裁判所に控訴していた一審判決に対する控訴は高等裁判所に申立をしなければならないことになり、從つて同地方の控訴は仙台高等裁判所に申立てなければならないのでありますが、現下の経済状態と交通難の時代においては、そのために控訴申立を差控えるような事態を生ずる虞れがありますので、地理的に見ても東北の要衝であり、又訴訟件数も増加の傾向にある郡山市に仙台高等裁判所支部を設置して貰いたいというのであります。
 次に大垣市に刑務所支所設置の請願第三十三号の趣旨は、大垣区裁判所管内一市五郡に亘る犯罪者等は現在大垣市警察署留置場に収容されておりまするが、定員二十四名のところ常にその倍数を超えて留置している現状で、人権蹂躪の非難を受け、重要な容疑者、未決囚の留置もできず、犯罪捜査上重要な支障を來しているから、速やかに独立の刑務所支所を設置せられたいというのであります。
 出雲市に松江刑務所支所設置の請願第百二十七号の趣旨は、現在出雲市の簸川地区警察署の留置場は收容定員僅か三十名であるのに、警察制度の改革によりまして一市三郡の國家自治警察署の留置場及び代用刑務所として用いられ、松江刑務所との中継的存在として收容される留置人、拘留人の数は飛躍的に増加し、昨年度は述一万八百七十八人、本年度八月現在まで、すでに七千二百五十二人という状態でありまして、留置場及び代用刑務所としての機能は全く発揮できず、この欠陥から更に重大なる犯罪を誘発する危險がありまするために、正式に松江刑務所支所としての使命を遂行できる施設を速やかに設置されたいというのであります。
 宮城刑務所福島支所移轉に関する関する請願第百七十七号の趣旨は、同支所は福島氏の中央部に位するので、市の発展を阻害し、而も所在区域一帯は信夫山公園として遊覧諸施設も行われ、兒童公園の建設及び都市計画の重要事業であるトンネルの開鑿工事も計画されておるから、速やかに他の適当な場所に移轉されたく、市議会の決議によつて、請願に及ぶというのであります。
 最後に、吉原市に靜岡刑務所支所設置に関する請願第三百三十三号の趣旨は、吉原警察署留置場は靜岡刑務所の代用として現在未決囚を一般留置人と共に留置しておるのでありますが、前述の請願第三十三号、同第百二十七号と同趣旨の下に、吉原市に刑務所支所を設置して貰いたいというのであります。
 委員会におきましては、各件とも愼重審議をいたすと共に、政府委員の意見を聽取いたしまして、これを採択し、内閣に送付することが適当であると決定いたしました。簡單でありますが、御報告申上げます。(拍手)
#11
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。これらの請願は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#12
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#13
○議長(松平恒雄君) この際、日程の順序を変更し、日程第十一より日程第十七までの請願及び日程第七十一、第七十二の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。商工委員長小畑哲夫君。
   〔小畑哲夫君登壇、拍手〕
#15
○小畑哲夫君 只今上程されました商工委員会付託請願及び陳情の審査の結果を御報告申上げます。
 先ず、その願意につきまして簡單に申上げますと、請願第八十五号、石炭産業從事の土建労務者に対する均等配給に関する請願は、石炭産業に從事する土建労務者に対しては、職業分類によらずして産業区別による労務加配米の枠内を適用せられたいとの願意であります。請願第百十二号、北海道の炭鉱電力確保に関する請願は、北海道地方炭鉱電力が電力不足及び電圧降下のために石炭生産に支障を來すから、既設電源の補修その他請願書記載の措置を至急実施されたいとの願意であります。請願第百七十三号及び第二百六十五号、日本製鉄株式会社廣畑製鉄所再開に関する請願は、終戰以來作業中止の日鉄廣畑製鉄所は、賠償指定を受け、集排法の適用を受けておるが、経済地理的鉄鋼生産の重要性に鑑み同所を再開せられたいとの願意であります。請願第百八十四号、輸出絹人絹織物檢査機構の存置に関する請願は、輸出品取締法が檢査機構についての画期的な改革であるから、絹人絹織物については暫時從來の機構で実施されたいとの願意であります。請願第百八十五号、絹人絹織物規格選定の自由性に関する請願は、絹人絹織物の規格には生産地特有の技術を生かして需要者の要求する織物生産をなし得るよう自由性を付與されたいとの願意であります。請願第二百七十五号、高知縣の大口電氣料金区域変更の請願は、高知縣の電氣料金を全國最高のC地区よりB地区に変更されたいとの願意であります。請願第二百八十五号、坑木生産資金融資に関する請願は、内地の坑木生産業者に從來通り融資を継続されたいとの願意であります。陳情第三十二号、中國地方の電力増強対策に関する陳情は、中國地方電力回復のため、水力電源の開発、火力発電所の拡充、地帶間連絡送電線強化等の対策を講ぜられたいとの願意であります。陳情第五十三号、中小企業金融対策に関する陳情は、中小企業金融に特別の機関設置、復金損失補償融資の準則中に商業金融特に問屋金融を入れること、信用保証協会に数的制限を付さぬ等の措置を講ぜられたいとの願意であります。
   〔議長退席、副議長著席〕
 以上請願七件、陳情二件について、当委員会において愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なるものと認め、採拓し、議院の会議に付するを要し、内閣に送付することを要するものと決定いたしました。但し陳情第三十二号の中國地方電力増強対策に関する陳情は、願意の推進方を要望するも、その実施に当つては國家計画と睨み合せ有効適切にその目標を達成することを條件といたす次第でございます。以上御報告申上げます。(拍手)
#16
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#17
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#18
○副議長(松本治一郎君) この際、日程の順序を変更し、日程第十八より日程第四十九までの請願及び日程第七十三より日程第八十までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。尚、日程第七十六の陳情二件は三件、日程第七十七の陳情は陳情二件の誤まりにつき訂正いたします。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
   〔楠見義男君登壇、拍手〕
#20
○楠見義男君 請願、陳情に関しまする農林委員会の審議の状況並びに結果を御報告申上げます。本國会におきまして農林委員会に付託せられました請願及び陳情は、請願五十件、陳情十六件、合計六十六件でございますが、委員会におきましては愼重審議を重ね、その間、政府側の現状説明等も聽取いたしましたる結果、只今議題となりましたるごとく、請願三十三件、陳情十一件、合計四十四件を採択し、いずれも会議に付したる上、内閣に送付を要するものと決定いたした次第でございます。
 而してこれらの請願及び陳情の内容につきましては文書表によつて十分御了承願えたのでありますが、今、概括的に且つ最も御留意を願いたい事項についてのみ御報告申上げますと、採択いたしました四十四件のうち、先ず第一に、件数において特に多いのは災害関係と農業増産関係でございまして、即ち災害関係におきましては、災害復旧に関するものが十二件、農業災害補償制度改善に関するものが四件、合計十六件でございます。又農業増産関係におきましては、用排水施設等の整備による土地改良に関するものが十一件、干拓及び國営開墾等による農地造成に関するものが五件、合計十六件であります。これらのことは何を物語るかは特にここに申上げるまでもないところでございますが、災害関係におきましては、連年且つ屡次に亘る水害その他の大規模の災害により、罹災地方農民が如何に苦しんでおるかということ、而も農民はその苦しみにも拘わらず、如何に強く農地に愛着を感じ、その復旧を待つて再び農業生産に精進せんとする意図の旺盛なるかを如実に物語るものでございます。又農業増産関係におきましては、実は農林委員会といたしましては、最近食糧事情が輸入食糧等の恩惠によつてやや好轉いたしましたる半面、國内における食糧増産に対する官民の熱意が冷却し、そのために将來に大きな悔を残すことなきやをひそかに憂えておつたのでありますが、地方における増産意欲が依然強く且つ高いことを、これらの請願、陳情が物語つておるのでありまして、誠に心強く感じた次第でございます。
 而して災害復旧にいたしましても増産にいたしましても、それらに要する施設費はいずれも相当巨額に上り、供出の強行と重税に喘ぎつつある今日の地方農村の実情を以ていたしましては、到底みずからの力のみを以てしては、よくなし得ざるところでございます。請願、陳情におきましても、いずれも重点的且つ短期間完成を目途とする國庫の助成を要望しておるのでありますが、これらのことは、かねて國会におきましても、或いは決議の形式を以て、或いは緊急質問の形を以て、政府に対し強く要望いたしておりまするところと全く軌を一にしており、この際、委員会といたしましても政府の決断と強き政治力とによる実現を切に期待いたした次第でございます。
 又その他の請願、陳情におきましても、畜産振興その他に例を見るがごとく、政府は徒らに笛のみを吹き、その実の伴わざるものが少くないために、却つて当事者を困惑と昏迷に陷らしめておるものがございます。これらも同様政府の善処方を要望いたしたいと存じた次第でございます。
 以上概括的の説明を以て御報告を終ることといたします。(拍手)
#21
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#22
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#23
○副議長(松本治一郎君) この際、日程の順序を変更し、日程第五十より日程第六十八までの請願及び日程第八十一より日程第八十六までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長よりの報告を求めます。運輸委員会理事丹羽五郎君。
   〔丹羽五郎君登壇、拍手〕

#25
○丹羽五郎君 只今上程になりました請願第二十九号、大垣一樽見間鉄道復旧促進に関する請願外十六件、陳情第五十九号、小野新町、須賀川両町間に國営自動車の運輸開始の陳情外五件の委員会におきまする審議の経過及び結果を御報告申上げます。各請願につきましては紹介議員の熱心な説明があり、又政府よりも各請願、陳情について詳細な調査の報告がありましたが、ここでは省略をさして頂きまして極く簡單に申上げます。
 先ず請願第二十九号、大垣―樽見間鉄道復旧促進に関する請願、陳情第六十六号、花釜線全線復旧工事に関する陳情、第六十九号、山田線の災害復旧工事に関する陳情は、政府の説明を聽きますと、資金並びに資材等の関係から早急には全線の復旧は困難だと思うが、目下熱心に研究中であるということであります。これらの路線は新らしく建設するのではありませんので、元あつた線の復旧でありますから、政府は地方民の熱心な要望に副いまして優先的に考えるのが妥当でないかということで、全員一致これを内閣に送付を要するものと議決をいたしたのであります。
 次に請願第百八十七号、岡山市万町踏切にこ線橋架設の請願、第二百十七号、南余目信号場を駅に昇格の請願、第二百十九号、稲毛、幕張両駅間に檢見川駅設置の請願、第二百三十一号、吉久駅を独立駅に昇格の請願は、いずれも國有鉄道の駅の設置又はその施設の増備に関する問題でありまして、願意も
妥当でありますので、審議の結果は、いずれもこれを内閣に送付を要するものと全員一致議決をいたした次第であります。
 次に請願第百九十一号、普代小本両村間に國営自動車の運輸開始の請願、第二百二十号、亀山―清澄間に國営自動車の運輸開始の請願、第二百三十八号、岩手縣久慈町、白山及び玉の脇間に國営自動車の運輸延長の請願、第二百四十二号、愛媛縣土居村窪町に國営自動車運輸延長の請願、第二百六十一号、坂上、賀見畑、秋中三村間に國営自動車の運輸開始の請願、陳情第五十九号、小野新町、須賀川両町間に國営貨物自動車の運輸開始の陳情は、いずれも國営自動車路線の新規開設又は延長を要望するという趣旨の請願及び陳情でありまして、政府の説明によりますれば、客観的情勢により國営自動車の新設は困難であるとのことでありましたが、これらの地方はいずれも貨物、旅客共に相当多く、それに比較をいたしまして自動車輸送が極めて貧弱なため、住民は甚だ迷惑をいたしておる実情にあるのであります。故に既存の民間自動車事業がある地方は先ず以てこれを強化いたしまして、民間では到底力が及ばないとか、民間の事業がないというような地方におきましては極力國営自動車を開設いたしまして、速かに民意に副うのが適当であるということに意見が一致いたしまして、その趣旨を付しまして、これを内閣に送付を要するものと全員一致議決をいたした次第であります。
 次に第二百三十五号、貨物自動車用タイヤ配給に関する請願でありまするが、タイヤ不足のため輸送に支障を來しておりますから、その増配を要望する趣旨の請願であります。陳情第六十七号、軽金属業界の輸送あい路打開に関する陳情は、貨車、トラツク、燃料資材の不足のため輸送に支障を來しておりまするから、隘路打開を要望するという趣旨の陳情でありまして、審議の結果は全員一致これを内閣に
送付を要するものと議決いたした次第であります。
 又、請願第二十五号、稲荷山線鉄道復活に関する請願は、唯一の交通機関でありました鉄道線が昭和十九年に撤去せられまして以來、何の交通機関もなく、不便が著しく相成つて参りまして、最近その他地方民はその復旧に関して非常に強い要望があつたのであります。審議の結果は、鉄道の復活を図ることは勿論必要でありますが、それまでの期間を放置せずに、何らかの代行交通機関を考慮することが必要であるという意見を付しまして、これを内閣に送付を要するものと全員一致議決いたした次第であります。
 次に請願第二百七号、大蔵省保管の白浜鉄道を運輸省に所管替の請願、第二百四十一号、予讃線接続駅変更に関する請願、第二百四十三号、四國循環鉄道完成促進の請願、第二百七十二号、枝幸―美深間に鉄道敷設の請願、陳情第六十八号、米原、京都両駅間電化促進に関する陳情は、その要望の趣旨は文書表で御覧を願うことといたしまして、ここでは省略をさせて頂きますが、いずれも熱心なる地元民の要望でありまして、その願意も妥当でありますので、政府は成るべく速かに実現を図るよう努力することが適当であるということで、これを内閣に送付を要するものと全員一致議決いたした次第であります。
 次に海運関係の請願及び陳情を一括して申上げます。
 請願第二百二十二号、田野畑港修築工事促進に関する請願でありますが、請願の要旨は、岩手縣田野畑港を速かに修築をいたしまして、大型貨物船舶、漁船等の寄港又は避難港といたしまして活用し得るようにせられたいというのでありまするが、同港は三陸地方及び北海道航路の主要目標の地点でありまして、且つ宮古港以北八戸港間における避難港といたしましては最も好適な港でありまするから、速かに修築を要するものと認められますし、政府におきましても目下指定港として選定考慮中であり、願意に副いたい旨の答弁があり増したので、実施促進の要望を付しまして、内閣に送付を要するものと全員一致議決をいたした次第であります。
 次に、請願第二百三十九号、三瓶港防波堤築設に関する請願でありまするが、要旨は愛媛縣三瓶港内の浚渫その他改修工事に併せて防波堤の築設をせられたいというのでありまするが、同港は昭和十七年以來の風水害及び震災によりまして甚大なる損害を受けており、これが復旧は急を要するものと認められますし、政府の説明によりましても、同港は國庫補助災害復旧土木工事の施行地として採拓をしております。この復旧工事の完成後も引続き防波堤等同港修築工事を施行し、地方民の熱望に副うようにいたしたいとの答弁があつたのでありますので、全会一致これも内閣に送付を要するものと議決をいたした次第であります。
 次に請願第二百四十六号、留萌港しゆんせつ工事施行に関する請願でありますが、要旨は北海道留萌港は昭和十六年の浚渫以來放置をせられました結果、港内に土砂の堆積甚だしく、夜間のごときは小型船舶の航行すら危険な状態にあるのでありますから、速かに浚渫工事を施行されたいというのであります。近來同港の水深は非常に浅くなりまして、石炭増送その他資源開発に著しい障害と相成つて來たのでありますが故に、その浚渫工事は速かに施行を要するものと認められ、政府においてもその必要を認め、差当り本年度におきましては七百万円の予算を計上いたしております。又來年度も工事続行の計画を持つておるとの答弁がありましたので、願意は適切であるから速かに実施を要望する旨の意見を附しまして、内閣に送付を要するものと全員一致議決をいたした次第であります。
 次に陳情第六十五号、関東海運局東京支局の昇格に関する陳情でありまして、要旨は東京港を中心とする船舶の出入の増加に伴いまして、現在の関東海運局東京支局の機構では海事関係の各般の手続が遅れて支障が多いから、東京海運局に拡充せられたいというのでありまするが、本件につきましても、政府より実情に即するように漸次支局の権限を拡張いたしまして願意に副うごとく善処する旨の答弁がありましたので、政府は速かに適切なる措置を講ずる必要ありと認め、全会一致これを内閣に送付を要するものと議決をいたした次第であります。これを以ちまして御報告といたす次第であります。(拍手)
#26
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#27
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#28
○副議長(松本治一郎君) 日程第六十九の請願を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。議院運営委員長村上義一君。
   〔村上義一君登壇〕
#29
○村上義一君 只今議題となりました日本國会史編さん所設置に関する請願につきまして、議院運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。本請願は徳川頼貞君外三十九名の紹介せられたものでありまして、その趣旨とするところは、紹介議員の御説明によりますれば、明治以來の憲政発達の歴史を学んで、その特質を明らかにして、政綱、國策の樹立に資することは、民主政治の確立に極めて必要であるが、昭和十三年以來の憲政史編纂事業は時局のため現在中止の状態にあるから、新たな構想の下に日本國会史編纂所を設置せられて事業の促進を図られたいということでありました。これに対し一委員より、趣旨において賛成であるが、その事業は是非國会図書館において行われることを希望する旨の発言がありました。採決の結果、右の発言の趣旨を以て全会一致本請願は議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要しないものと決定いたしました。以上を以ちまして御報告を終ります。(拍手)
#30
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願は委員長報告の通り採択することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#31
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本請願は全会一致を以て採択することに決定いたしました。
 議事の都合により午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時九分開議
#32
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、郵政省設置法案、電氣通信省設置法案、いずれも内閣提出、衆議院送付、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
   〔河井彌八君登壇、拍手〕
#34
○河井彌八君 只今議題となりました郵政省設置法案並びに電氣通信省設置法案につきまして、内閣委員会においての審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 この両案が内閣委員会に付託せられましたところ、衆議院において先議権を持つておりまして、本院に送付せられましたのは今朝であります。從いまして内閣委員会におきましては付託を受けまして以來数日間、連日予備審査を実行したのであります。而してその予備審査に当つては逓信委員との連合会を開きまして愼重に審査を続けたのであります。今朝衆議院から正式に議案が送付せられましたので、今朝初めて内閣の本委員会を開きまして審査をいたしました。そうして結局この両案は参議院において可決すべきものなりと議決いたしたのであります。その審査の内容につきまして、これからできるだけ簡單に申上げたいと思います。
 この両案は、逓信省を二つに分ける、そうして郵政省及び電氣通信省、この二省を設置するという案であります。その二分する理由はどこにあるかと申しますると、第一には郵便貯金及び保險、そういう事務と、一方に電氣通信に関する事業、電波監督行政などは全然違つた種類のものである。ひとしくこれは公共の通信事業でありまするけれども、その樣式は全く違つた事業であるから、これを一つの逓信省において取扱うということは不合理であるという一点、それからもう一つは、この二つの違つたものをば別々にいたしまして、それぞれその特色を発揮いたしまして、日本の現在におけるがごとく非常に能率の低いこの通信業務をば世界の水準にまで上げなければならん。これを上げるためには両省に分つのが適当であるという点、これらの二つが両省に分ける主な理由と認められたのであります。この両省に分けることにつきましては、連合軍の厚意について我々は感謝しなければなりません。即ち昭和二十一年三月から、連合軍から非常な專門家が來まして、この逓信業務について研究をしました。それから、それに基きまして昨年の二月以降、日本も加わりまして專門家の調査をいたしました。そうしてその結果、先に前国会に提出せられたところの逓信省設置法案というものが出たのであります。ところがこれは議決を経ずして今期議会になつた。而して去る七月二十二日の連合軍総司令官の書簡によりまして、この二分案が國会に提出せられたということになりましたのであります。而してこれは申すまでもなく両省設置というのは、國家行政組織法の規定第三條第二項によつて設置せられたものであるのであります。
 両省の所管事項につきまして詳しく申述べますることは省きまするけれども、いずれも内部部局と地方機関とに分れております。そうして郵政省におきましても電氣通信省におきましても、可なり沢山の局が設けられておるのであります。そうして殊に電氣通信省におきましては総務長官の官房というものが置かれるのであります。尚その外に附属の機関としてそれぞれ附属せられておるものがあるのであります。内部組織はそうでありますが、更に地方機関といたしましても、やはり相当綿密に分れておるのであります。殊に電氣通信省におきましては四つの階段があるのであります。即ち地方電氣通信局から現業の取扱局に至るまで四つの階段を経ております。その最末端の現業機関と申しますれば即ち郵便局でありまして、電信電話等の通信事務は郵便局に委託せられて行われるのであります。
 この案を検討いたしますると、どういう特色が、どういう利益があるかということを考えて見ますると、先に申しました通り、逓信省の業務が違つているものを二つに分けて、そうしておのおのその特色に從つて能率を発揮するという点は、確かにこれは進歩した点であると考えるのであります。それから更にこの内部組織について見ましても、業務とか、事務とかいうものが系統的にこれは一貫しておる。一貫性がある。從來のごとくばらばらなやり方でないという点において特色が認められるのであります。更に又今度特に郵政省に監察局という監察制度が置かれたのであります。これも、これまでも監察制度は行われないことはなかつたのでありまするけれども、特にここに監察局というものを置きまして、そうして上の組織から末端の組織に至るまでその業務の実行について十分に徹底的に監査をするということ、これも又一つの時流に適合した施設であると、かように考えるのであります。
 それからこれらの両省の業務はどういうふうな会計組織によるかと申しますれば、それぞれ特別会計といたしまして、即ち郵政の特別会計、電氣通信特別会計というものを立てまして、自主性と特殊性とを発揮せしめるということであります。併しこの二つの特別会計法は今期議会には提出せられないのでありまして、次期に提出せられるということを政府が言明いたしておるのであります。更にこの両省の人員は如何なる程度において充たされるかと申しますれば、原則として今日の逓信省の人員がその程度内において取扱われるということであります。もう一つ実施期は如何と申しますれば、明年の四月一日を以て実施するという計画であります。大体さような趣意のものでありまして、これに対しまして委員会においての質疑應答は極めて沢山ありましたのでありますが、できるだけ簡單に纏めたのを申上げて見たいと思います。
 第一は、この両案が國会を通過した場合において現在の逓信省を廃止する法案が出ておらないが、その廃止はどういうふうにして取扱うのであるか、又現在の逓信省の各部局等を両省の如何なる所に持つて行くかというような、法的の措置はどう執るかという事柄でありました。これは政府において近くその案を検討いたしまして、次の國会に逓信省の廃止案として提出するつもりであるという説明でありました。
 第二には、両省を置くということと、それから両省の内部の機関と外部機関というものを考えて見まするのに、極めて厖大なものとなる。現在の逓信省は八局一部であつて、外局が二つあるのであるが、この案によりますと、郵政省だけでも八局に分れる。そうして電氣通信省にあつては総務長官の外に十局二部を置き、外に一総務室、一研究所を置く。更に外局として二つの廳ができる。そしてその下に六部を置くというようなことであつたので、極めて厖大なものであるというのであります。これは、つまり行政の簡素化ということを今日必要と認めておるのに対する逆行ではないかという質問でありました。ところがこれに対しましては、成る程さように見えるか知れませんけれども、事務の或いは業務の十分な運用、十分な充実ができて行くということになれば、これは必ずしも余分なものではないというような考え方でありました。
 更に第三の問題といたしましては、國家行政組織法第二十一條の規定に違反しておる嫌いがある。即ち現業官廳の機構については特別の除外例を設けておるのであるが、この両案については、例えば総務長官の設置、或いは部を置く、或いは理事を置くというような点につきまして、余りこの除外例を濫用し過ぎておるのだという強い質問がありました。更に只今申しました通り、次官の下に、而して局長の上に総務長官を置く、或いは理事を置くというような点などについて、関連して強い反対的の質疑があつたのであります。これに対しましても相当の弁明がありましたのみならず、これはどうしても政府の力によつては動かすことのできない点であるという意味まで述べられたのであります。
 更に出先行政機関を整理するということは今日國民が一般に要望しておる点である。然るにこれに対して電氣通信省の地方機関の組織には沢山の段階を重ねておるではないか、從つてその中で或るものはこれを廃止してちつとも差支ないのではないかというような意見等もありました。
 尚、監察局につきましては特に郵政省に限つてこれを置くのであつて、電氣通信省にはこれを置かないという点は均衡を得ないのである。又監察局というものを強いて置かずとも、これは大臣の官房にでも置いて置くなれば、それで十分監察ができるではないかという質問もあつたのであります。これに対しまして電氣通信省にはこれを置かないのは、主としてこれは機械力によつて運用せられるのであるから、それ程の必要はないと認めるのであるけれども、郵政省の仕事は主として多数の人の運営にかかるものであるから間違いが多く、どうしてもこれを監察する必要があるのだということを述べました。そして、それであるから局が必要である、電氣通信省におきましては部内においてこれを監察して行けばそれで足りるという考え方であつたのであります。
 尚これらの両案を審議する場合におきましては、一体政府は行政機構を改革をいたして、そして機構の簡素化を図り事務の能率の向上を企図しておるのであるが、この両案共に相当複雑な、又今日の日本の現状からいえば実に贅沢過ぎる程大きな機構をここに認めるということになる虞れがある、そうなれば政府の行政機構を簡素化するというようなその趣意と矛盾するのではないか、從つて場合によつては参議院においてこの両案をこのままに通過させるということはよろしくないではないか、というような心配が各委員の間にあつたのであります。從つて政府は如何なる方法を以て行政機構を簡素化するかということについて政府の方針を問うたのであります。これに対しまして岩本國務大臣が出席せられまして、政府はどこまでも行政の簡素化及び能率の向上を図る。そのために近く閣議を決めてその方針を明らかにするつもりである。その結果が、既存の行政組織は勿論のこと、この両案と雖も政府のこの方針と矛盾する点があるならば、これを改めて行くことに努力するということを申したのであります。
 大体それらの意見が主なものでありまして、その他、從業員の待遇の問題、或いは從業員の福利施設の問題というようなこと、或いは又郵便或いは電信電話の料金を上げるかどうかというような問題等、いろいろありましたが、それらの点につきましては、ここに報告を略します。
 かくのごとくにして沢山の質疑應答を重ねましたが、要するに委員会の全体の空氣といたしましては、この案については可なりまだ検討すべきものがあるということは認めたのでありまするが、何といたしましても会期も迫つておるのでありまするし、一方においては衆議院においてこれを無修正で可決して参つたということ、而うして衆議院がこれを無修正に可決しなければならなかつたという事由等をここに参酌せられまして、委員会におきましては、修正案を提出することは止めまして、直ちに賛成か反対かという点について討論に入つたのであります。
 討論におきましては、反対論者は、修正の意見はこの際諸般の情勢に鑑みましてできないと思うから、止むを得ず本案に対して反対をするのである。その要点は、逓信省という一省をば、この二つの省に分割する根拠が極めて薄弱であるという点、それから又両省の機構が極めて複雑であつて今日の実情には適していないという点、総務長官の制度は國家公務員法の制定においてこれを認めない。ただ事業官廳等において特殊の例を認めるというのに、総務長官或いは理事制というようなものを採用した点などはよろしくない。それから又地方機関が余りに複雜であるということもよろしくない。それから第三には、從業員が二つに分れる、即ち郵政と電氣通信と両方に分れる、それで殊に逓信の從業員は、同じく從業員であるところの國鉄の從業員と同性異質であるに拘わらず違つた取扱を受ける、即ち一般職員として取扱わせるということはよろしくないというような点を挙げまして、本案に反対をせられたのであります。
 賛成論は、成る程この案については沢山の考究すべき点がある。併しながら連合國の厚意もあるし、又政府がこれを出したところの、又支持したところの熱意もあるのであるから、この際これを認めようではないか。そうして殊に政府において人員の増加をしない。又速かに行政整理の方針を立てて、そうして若しその趣意に照してこの両法が不適当であるならば、これが改正に吝かでないというような点、それから殊に國際情勢から見まして、この今日のごとき日本の地位が通信関係において漸次國際的な水準に進むことのできるということは極めて必要なことであるから、どうしてもこの案は、仮に若干の欠点があつてもこれを通過させなければならんというような意見等があつたのであります。かようにして討論を終りまして、採決いたしましたところが、賛成の委員が六名、反対の委員が二名であつたのであります。かくのごとくにいたしまして両案は可決せられたのであります。このことを御報告申上げたいと思うのであります。(拍手)
#35
○議長(松平恒雄君) 両案に対し、討論の通告がございます。堀眞琴君。
   〔堀眞琴君登壇、拍手〕
   〔「無駄だ無駄だ」と呼ぶ者あり〕
#36
○堀眞琴君 只今議題となりました郵政省設置法案及び電氣通信省設置法案に対しまして、私は反対の意見を申述べて見たいと思うのであります。
 先ず第一の論点としましては、逓信省を郵政省、電氣通信省の二つに分割することの論拠が極めて簿弱だということであります。政府側の説明によりますれば、この逓信省を二つに分割する理由としましては、先ず第一に郵政の職分と電氣通信の職分とは、それぞれその本質を異にしておるものである。一方は人の力によつて專らこれを運営し、他方は機械の力によつてこれを運営するものである。從つてこの両者を二つの省に分つことが最も合理的である。これが一つの理由であります。それからもう一つの理由は、このように行政の職分が違う以上、これを二つに分割することが取りも直さず行政能率を増進する理由である。これが第二の理由であります。
 併しながら、申すまでもなく、行政機構の組織原理は最近に至りまして非常に発展して参つておるのでありまして、この学問的な基礎に立たなければ、本当の組織原理というものは出て來ないと思うのであります。單に一方は人の力を主とし、他方は機械の力を主とするというだけでは、機械的な分類はできても、行政機構そのものの機構原理に基くところの分類は不可能だと思うのであります。ましてや單に機構を二つに分けたからといつて、それで果して行政の能率を高めることができるでありましようか。私は今日の情勢から見まして、社会生活が複雜化すればする程、行政職能が複雜化して行くということは避けられないと思います。併しこの複雜化するところの行政職能を、他方においては能率を高めるためにこれを統合することが必要なのであります。政府側におきましては、しばしば英米系の行政機構の組織原理を適用せられ、そうして両省分割案の論拠にこれを援用しておるのであります。併しながら英米系の組織原理の中でも、特にイギリスのごときは皆樣御承知のように非常に複雜な行政機構を持つておるのであります。いわばその都度必要に迫られて、何の有機的な或いは組織的な原理もなく各省を設置しているという状態でありまして、これにつきましては前の大戰後以來しばしばイギリスの國会において問題になつておるところなのであります。我々はこのような無秩序な、社会生活の必要があるから行政機構を設けなければならんというような、さような無自覚な考え方では、本当の行政機構を立派な原理の上に打ち立てて民主政治を確立することは困難であると、こう考えなければならんのであります。(拍手)
 第二の論点としましては、設置せられまするところの郵政省、電氣通信省のそれぞれの機構が余りに複雜であるということであります。先程委員長からも述べられましたように、逓信省の局、課に比較いたしまして、両省の局、部、課は倍以上になつておるのであります。而も單にそれらの局、部、課が倍以上に膨脹したというだけでなく、曾て我々が第二國会におきまして、行政組織法の審議に当りまして、官僚政治の打破を叫んで総務長官という職名を行政組織法から削つたのでありまするが、ところが今度の電氣通信省の設置法案を見まするというと、これが再び復活しておるのであります。政務次官、事務次官、更にその上に総務長官というような職名が設けられておるのであります。これは徒らに官僚の職務に屋上屋を重ねるものでありまして、官僚政治の強化、官僚勢力の温存を図るものだ、こう言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)更に又両省の設置法案を見ますると、理事制度が採用されておるのであります。恐らくこれは郵政省にしましても電氣通信省にしましても、その事業が企業的性質を持つものであり、從つて英米系のパブリツク・コーポレーシヨンの制度に倣つて、一面やはり理事制の採用は局長と理事を相互混用するという考えから、政府側の方において理事制を設けられたものと思うのでありまするが、極めてその間の関係が不明瞭であります。從つて権限の混淆を來す虞れもあり、延いては行政能率を低下せしむるゆえんではないか、こう考えるのであります。更に、地方機関でありまするが、これも委員長の説明通り、電氣通信省におきましては四段階の地方機関が設けられておるのであります。地方電氣通信局、地方電氣通信部、地方電氣通信管理所、地方電氣通信取扱局という工合に四段の段階になつておるのであります。徒らに機構を複雜化するだけでありまして、決してこれによつて行政能率を高めることはできないと私は思うのであります。
 更に第三の論点としましては、この両省設置によりまして、從來逓信省に奉職しておりましたところの從業員がそれぞれ分割されてこれに所属することになるのであります。而もその從業員は逓信省時代におきましては現業の職員として一般非現業職員から区別されておつたのであります。ところが電氣通信省、郵政省の職員は一般職の中に繰入れられまして、現業職員としての取扱を受けないようになつておるのであります。同じく國家企業に從事するところの國鉄の從業員は、これは一般職から離されて現業職員としての地位を持つておるのであります。同じ職種に從事する國家企業の職員が、一方は現業職員とし他方は非現業職員として取扱われるということは、甚だ我々として賛成することのできない考え方である、こうい工合に考えるのであります。以上の理由から私はこの両省設置法案に反対する者であります。(拍手)
#37
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#38
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#39
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、大藏委員会より報告書が提出せられました戰災復興並びに学校建設資金の起債に関する請願外七件の請願及び取引高税廃止に関する陳情外五件の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員会理事九鬼紋十郎君。
   〔九鬼紋十郎君登壇、拍手〕
#41
○九鬼紋十郎君 只今議題となりました請願、陳情の委員会の審査結果を御報告申上げます。
 先ず第一に取引高税関係のものにつきまして御報告するのでありまするが、一部改正のものは請願第三百一号、引揚者等生活困窮者の援護物資に対する取引高税免除、請願第三百十一号、写眞撮影技術家の取引高税廃止、請願第三百三十七号、医藥、医療品並びに衞生材料の取引高税免除、全廃に関するものは陳情第八十七号、第九十八号、第百十四号でありますが、いずれも取引高税は困窮消費者を苦しめるのみならず、不まじめな業者を利し、経済活動を阻碍するから撤廃せられたいというのでありまして、代りの財源につきまして、政府は目下研究中であるという答弁がありましたので、採択することにいたしました。
 次は請願第八十二号、戰災復興並びに学校建設資金の起債に関するものでありますが、起債は高利率であり、枠が小さく、融資期限が短かいので、預金部資金にて優先的に消化できるようにせられたいというのであります。当然な趣旨であると考えまして採択することにいたしました。請願第百九十四号、福島縣の熱海町を郡山税務所轄内に移管の請願でありまして、熱海町はすべての点において郡山市との連絡確保が容易であり、且つ必要でありますが、税務署のみは二本松町にあつて不便でありまするので、郡山税務署所轄内に移轉して欲しいというのでありまして、尤もな趣意であると認めまして採択することといたしました。請願第二百二十五号は、一関市の水害商工業に対する融資の請願であります。同市は二度の水害によつて大打撃を受けたのでありまするが、生活必需物資の供給都市として復旧するため、國庫補肋と復金の特別融資の措置を講ぜられたいというのであります。莫大な被害を受けました同市を復旧させるために以上の措置を執ることを妥当と認め、採択することにいたしました。請願第二百二十七号は、「どぶろく」密造防止に関する請願でありまして、「どぶろく」の原因は飲酒抑圧政策と國民道義の頽廃とであるからして、適切な酒類價格決定と、確実な配給計画、密造酒に対する罰則の強化、委託醸造の還元配給等の方策を樹立せられたいという趣意でありまするが、密造の盛んな現在必要と認めまして、採択することにいたしました。
 陳情第八十八号は香川縣の製塩事業維持に関する陳情でありまして、加算賠償金制度の廃止、生産塩の収納等の措置により壊滅に瀕したのであるから、それらの措置を改められたいというのでありますが、資材配給計画によつて改善できるものでありまするからして採択することにいたしました。陳情第九十六号は林業者に対する資金貸出の陳情であります。農林漁業者復興資金融通に関する暫定措置のうち、貸出利率の引下げ、林業者の共同利用に供する施設のため必要な資金貸出の途を講ぜられたいというのでございまして、林業の重要性に鑑みまして採択することにいたしました。陳情第百二十一号は所得税の更正に関するものでありまして、所得税の更正決定は実情を無視しているから、秩序ある團体交渉を認め改革して貰いたいというのであります。尤もの趣旨といたしまして採択することにいたしました。以上は本院の会議に付し内閣へ送付する必要あるものとして審査決定した次第であります。
 尚請願第百三十五号は土地、家屋両台帳法の改正に関する請願でありまして、土地家屋の賃貸價格は定期的改訂の際のみ調査委員会に諮問するだけで、その間は税務署がするのであるからして不正確を免れない。捕税が困難である。それで民主的な委員会を作つて完全な徴税のできるように改められたいというのでありまするが、これは立法に関するものでありますからして、内閣に送付する必要はないのでありまするが、院議に付する必要ありとして採択することにいたしました。以上委員会における請願、陳情の審査を御報告申上げます。
#42
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採択いたします。これらの請願及び陳情は委員長の報告通り採択し、土地、家屋両台帳法の改正に関する請願の外、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#43
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、土地家屋両台帳法の改正に関する請願の外、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#44
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、運輸委員会より報告書が提出せられました直江津、六日町両駅間に鉄道敷設の請願外十件の請願及び富山港線拂下反対に関する陳情外一件の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員会理事丹羽五郎君。
   〔丹羽五郎君登壇、拍手〕
#46
○丹羽五郎君 只今上程になりました請願第三百六号、直江津、六日町両駅間に鉄道敷設の請願外十件、陳情第百二十四号、富山港線拂下反対に関する陳情外一件の運輸委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告をいたします。各請願につきましては紹介議員の熱心なる説明がありまして、又政府よりも各請願、陳情について詳細なる調査の報告がありましたが、ここでは省略をさせて頂きまして、極く概略を申上げたいと存じます。
 先ず第三百六号、直江津、六日町両駅間に鉄道敷設の請願第三百三十号、西大寺、片上両町間に鉄道敷設の請願、第三百三十八号、国鉄赤穂線建設費に関する請願、第三百五十四号、片町、四條畷両駅間の電車を長尾駅まで運輸延長に関する請願はいずれも地方産業開発のため、又交通難緩和のために路線を新設又は延長せられたいというのでありまして、政府又これを諒としているのであります。審議の結果、願意妥当と認めまして、全会一致これを内閣に送付することを要するものと議決をいたしたのであります。
 次に第三百十六号、荻野、野澤両駅間に尾登駅設置の請願、第三百五十五号、川東、谷田川両駅間に宇津峯駅設置の請願は、政府におきましても、いずれもその必要を認め、調査中であるとの答弁がありました。審議の結果、願意妥当と認めまして、全会一致、内閣に送付することを要するものと議決をいたしたのであります。
 次に第三百八十四号、富山港線拂下反対に関する請願及び第二十四号、同趣旨の陳情でありますが、政府の説明及び請願の趣旨を檢討、審議いたしました結果、同線は富山港の動脈線であり、民営に移すことは同地方産業経済の発展を阻害するとの意見に一致をいたしまして、
   〔議長退席、副議長着席〕
願意及び陳情の趣旨を妥当として、内閣に送付を要するものと全会一致、議決をしたのであります。
 次に第三百二十一号、西大寺港改良工事施行に関する請願及び第百二十五号、函館港埠頭並びに防波堤修築工事完成促進に関する陳情でありますが、政府の説明によりますと、いずれもその必要を認め、西大寺港はすでに計画済みであり、函館港は急速に工事の実施を要するものと認め考慮中であるとのことでしたが、審議の結果、いずれも願意適当と認め、全会一致、内閣に送付を要するものと議決いたしたのであります。
 次に第三百五十六号、戸賀湾を避難港に指定の請願及び第三百八十六号、湊町、東京両駅間に直通列車運轉開始の請願でありますが、審議の結果、政府はいずれも願意に副うよう措置すべきであるといたしまして、全会一致、内閣に送付を要するものと議決をいたした次第であります。
 次に第三百五十八号、神崎、尼崎両駅名改称に関する請願でありますが、政府におきましても願意の通り明年一月一日より実施の用意があるとの答弁がありましたので、審議の結果、願意適当と認めまして、全会一致、内閣に送付を要するものと議決をいたした次第であります。これを以ちまして報告を終ります。(拍手)
#47
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。これらの請願及び陳情は委員長の報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#48
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#49
○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して、逓信委員会より報告書が提出せられました放送協会のラジオ修理業界進出反対に関する請願外三件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。逓信委員長大島定吉君。
   〔大島定吉君登壇〕
#51
○大島定吉君 只今議題となりました請願について、逓信委員会の審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。
 先ず放送協会のラジオ修理業界進出反対に関する請願の願意といたしまするところは、この第二回國会に提案になり、第三國会において撤回された放送法案第二十五條第六号による放送協会のラジオ修理業界への進出は、業者の生存権を脅かすものである。從來協会は故障受信機の診査をなすに止まり、有料修理は業者に一任せられていたものであり、法案にも協会の業務は、営利を目的とせずとあるから、法案中より同條項を削除し、協会によるラジオの修理は有料無料にかかわらず、絶対にこれを行わないように明確に規定されたいとの趣旨であります。
 次に山形縣新庄町の旧稲舟村地区内に特定郵便局設置の請願の願意としますところは、山形縣新庄町南部の旧稲舟村は戸数八百五十余、人口五千百余に達しておるにも拘わらず郵便局の設置がないので、郵便貯金等に多大の不便を感じているから、速かにこの地区に特定郵便局を設置されたいとの趣旨であります。
 又北海道稚内町に電氣通信管理部設置の請願の願意としまするところは、稚内町は北海道の北端に位して、水産、鉱業等の中心地であり、又交通通信網の中枢地であつて、近く市制を施行して今後の発展が期待されておるから、通信施設を拡充して円滑な業務の運営を図るために、当時に電氣通信管理部を設置されたいとの趣旨であります。又福井縣福井市の福井貯金支局存置に関する請願の願意としまするところは、福井貯金支局は近く廃止され、その業務は金澤貯金支局に移管される由であるが、当支局は縣下の関係業務に当る外、今次の震災には非常時支拂によつて罹災者の需要に應じ、資金の円滑な運用を促進する等、経済並びに縣民の生活面等に密接な関係があるから、機構改革に際しては存置を図られたいという趣旨であります。
 委員会はこれらの請願に対しまして愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なるものと認めまして、これを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと多数を以て決定した次第であります。以上甚だ簡單ではありまするが御報告を終ります。(拍手)
#52
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。これらの請願は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#53
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 議事の都合により四時半まで休憩いたします。
   午後三時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時四十三分開議
#54
○副議長(松本治一郎君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、法務委員会より報告書が提出せられました鹿兒島縣に福岡高等裁判所支部設置の請願を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事岡部常君。
   〔岡部常君登壇、拍手〕
#56
○岡部常君 只今上程に相成りました鹿兒島縣に福岡高等裁判所支部設置に関する請願の審議の経過並びに結果について報告いたします。
 鹿兒島縣は南九州の中心として、宮崎、熊本には勿論、福岡に対しましても、交通上極めて有利な地位を占め、一面事件の多寡並びに從來の裁判所の格等から考えましても、右支部はこれを鹿兒島縣に設置せられることが適当と考えるのであります。ただ鹿兒島市は戰災のため、市街地の大部分を焼失いたしましたため、廳舍及び宿舎の設備等が懸念せられるかと存じますが、これらに対しましても支部設置に対する縣民の熱望が極めて大なるものがありまして、過日関係者協議の上、経費三百万円を以て應舎二百坪程度を新築し、併せて宿舎四棟を支部設置後三ケ月以内に完成してこれを提供することに決定したとのことであります。以上が本請願の大要でありますが、法務委員会におきましては、愼重なる審議をいたし、各委員より熱心なる質疑が行われましたのでありますが、それらの應答は速記録に譲りたいと存ずるのであります。
 かくて討論に入り採決の結果、願意の大体は妥当なるものとして全会一致を以て採択せられましたので、國会法第八十一條によりまして、内閣に送付すべきものと決定せられたのでありまして、何とぞよろしく御採択を願いたいと存じます。(拍手)
#57
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。本請願は、委員長の報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#58
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#59
○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して、厚生委員会より報告書が提出せられました傷い者保護対策確立に関する請願外五件の請願及び戰爭犠牲者遺族保護対策強化に関する陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員塚本重藏君。
   〔塚本重藏君登壇〕
#61
○塚本重藏君 只今上程せられました請願六件、陳情一件に関しまする厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 請願文書表第百二十三号、傷い者保護対策確立に関する請願、右の請願の趣旨は全國國立病院入院患者四万の療養條件及び入院生活の改善に関し、傷い者保護対策の確立はもとより、賄予算の改善、公務災害補償強化並びにこれが実現促進、強制退院処置、國立病院施設の改善拡充、結核対策の組織的強化及び模範病院設立計画等につき適切なる処置を講ぜられたいとの趣旨であります。本請願に対しましては政府より傷い者保護対策につき説明を聽取いたしました。委員会におきましては愼重審議の結果、公務災害補償強化並びに実現促進については、今直ちにこれを認めるわけには行かないのでありますが、この分を除きましては願意の大体は妥当なるものと認めまして、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 次に請願文書表第百四十二号、衞生班設置費に対する國庫補助並びに衞生費の概算交付に関する請願、本請願は地方におきまする衞生班の設置の場合は、國庫から市に対する補助をその三分の二を交付されるように要望いたしまして、更にこれら一般衞生費の補助は決算時において多額の歳入欠陷を生じまするから、來年度の概算額を現年度に交付せられたいとの要旨であります。委員会におきましては、衞生班については我が國の環境衞生上その設立は極めて必要であり、又補助増額の要望はこれを認めまするが、來年度の概算を現年度においてこれを交付することは不可能であるので、この点を除きまして、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表第二百四十四号、戰爭犠牲者遺族の援護強化に関する請願及び陳情文書表第九十号、戰爭犠牲者遺族保護対策強化に関する陳情、右の請願並びに陳情はほぼ同樣の趣旨でありまするので、一括いたしましてその要旨を申上げます。戰爭の災禍によつて一家の支柱を失つた戰死者、戰災者等の遺族の窮状は最も悲惨な状態にありまするから、寡婦、遺兒等に対しまする年金制度を設定、生活扶助金の引上げ、住宅の世話、衣料品の配給等の援護対策を強化し、経済的にも精神的にもその更生の機会を與えられたいというのがこの請願の要旨であります。本請願に対しまして委員会におきましては、現下の社会状態並びに経済状態に鑑みまして、これら遺族の窮状を救済することは生活保護法によつて公平平等の原則に從つて保護しておるのでありまするが、併しその取扱が尚不徹底であり、これが改善を要するのみならず、更に徹底的なる援護対策を確立し、速かに実施するよう強い要望があり、願意の大体は妥当なものと認めまして、本件はいずれも議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表第二百九十八号、國立らい療養所の施設並びに生活改善等に関する請願。本請願は終生病苦と闘いながら療養所に生活する癩患者のため、その窮状を認めながら未だに具体的の措置が講ぜられていないから、一、療養所職員の増強並びに待遇改善、二、夫婦舎の増設、三、入所患者の教育、慰安施設の確立、四、慰安金、作業慰安金の増額、五、新藥プロミン治療の実施及びほう帯、ガーゼの増配、六、施設改善並びに修理復旧促進、七、被服、生活必需品の給與、八、癩患者保護法の制定等の措置を講じ、終身隔離しなければならない癩患者に対して、文化と教養の生活を與えられたいとの趣旨であります。委員会におきましては、第二國会においても同様の請願を受けたので、その実情について調査いたしましたが、その結果内閣にこれを送付したのでありますが、今回更に政府より改めて説明を求めましたところ、政府は、本請願の要望に対しては全然同感であり、來年度には病床の増加、夫婦舎の増設、慰安金及び作業慰安金の増額等、希望に副うよう予算を要求中であり、治療藥プロミンについてもより一層研究を進め、増産を図る考えであり、進んで服藥フロミゾール錠の製法にも成功の域に達しており、更に癩予防法の改正に着手しておるとのことでありましたので、本請願の趣旨は妥当なものと認めまして、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表第三百二十七号、國民健康保険の診療施設費國庫補助の請願、本請願は前回御報告申上げました請願文書表第四十五号外数件と同樣のものでありますので、本件は前回同樣議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました次第であります。
 最後に請願文書表第三百四十六号、兒童福祉施設拡充強化に関する請願、右の請願の趣旨は兒童福祉法の目的である兒童の福祉保護施策の強化のため、施設の最低基準を定める法令を制定されて、同時に國費による母子寮、乳兒院、虚弱兒、精神薄弱兒施設並びに國立の兒童研究機関の設置を図られたいというのが請願の要旨であります。本請願に対しまして、政府より説明を聽取いたし、審議の結果、現下の社会状態に鑑みまして、兒童福祉施設の拡充強化は極めて重要でありまするので、委員会におきましては願意は極めて妥当なものと認め、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告を終ります。(拍手)
#62
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#63
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#64
○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して、商工委員会より報告書が提出せられました新潟縣の大口電氣料金区域変更の請願の外二件の請願、絹人絹織物規格選定の自由性に関する陳情の外一件の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。商工委員会理事山田佐一君。
   〔山田佐一君登壇、拍手〕
#66
○山田佐一君 只今上程になりました請願及び陳情につきまして、商工委員会の審査の結果について御報告申上げます。
 請願第二百九十号は、新潟縣の大口電氣料金区域を変更して貰いたいとの請願でありまして、その趣旨は同縣の風土的事情と発電縣たるを勘案し、大口電氣料金をB地区よりA地区に変更されたいというのであります。次に請願第三百四十一号は、長野縣の特産物である藥用人参を中國政府の輸入指定品目に指定されるよう交渉して貰いたい、それと同時に中國並びに南方諸國へ輸出促進策を講じられたいという趣旨でございます。
 請願第三百四十四号、陳情第九十二号及び同じく第百号は、すでにそれぞれ採択された請願第百七十三号、請願第百八十五号と同文、又陳情第百号は請願第百八十四号と同文であります。以上三件、陳情二件は小委員会において愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なるものと認めまして採択し、議院の会議に付するを要するものであつて、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。以上簡單でが御報告申上げます次第であります。
#67
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#68
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#69
○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して、建設委員会より報告書が提出せられました縣道島地、鹿野線の一部改修工事促進に関する請願外十七件の請願及び戰災都市短期復興に関する陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長石坂豊一君。
   〔石坂豊一君登壇、拍手〕
#71
○石坂豊一君 只今議題と相成りました請願第二百九十二号外十七件、陳情第百八号外一件に関しまして、建設委員会における審議並びにその結果を報告いたします。
 河川に関する請願、陳情中には、北海道の石狩川、天塩川、十勝川水系の治水事業の施行若しくはその促進完成を要請しておるのでありまするが、これらの北海道主要河川にありましては、治水工事が非常に遅れておるのであります。さような現状でありまするから、同道の開発拓殖上、治水事業の重要なることは言を俟たない次第でありまして、これらの陳精を取上げた次第であります。
 この外、兵庫縣下、担保川、宮城縣下の江合、田尻両川の改修工事は、いずれも該地方に重要な河川であり、特に江合、田尻両川は北上川に流入しておるのでありまして、江合川の決壞いたしましたために大なる災害を発生いたしておるのが現状であります。よつてその改修は急務中の急務であると認めた次第であります。奈良縣下の十津川、吉野川両川のダムの築造でございますが、これは水利策として発電ができるのでありまして、それと同時にその水を以て旱魃に悩むところの大和平野の灌漑に利することができるので、誠に一石二鳥の政策であるのでありまして、河水統制、利水計画と共に最も重要なることと認めた次第であります。又同縣下の高瀬、地藏院両川の改修でございますが、これらは前國会においていずれも採択と相成つておりまするので、当然この國会においてもこれを取上げる必要がありと認める次第であります。
 次は道路に関するものでありまするが、北陸、山陰を接続するところの海岸線道路、福岡市と筑豊炭田の中枢部を結ぶ縣道、篠栗―長尾線及び山口縣下の島地―鹿野線の改修は、いずれも地方的並びに國家的に重要な路線でございまして、交通産業発達上速かにこれが築造の必要を認めた次第であります。北海道におきましては苫小牧市を中心としまして、苫小牧早來線、苫小牧―支笏湖間の道路の開鑿と、安平川河口の復旧工事を促進すること、及び苫小牧市の第一、第二排水溝の改修を請願いたして來ておりまするが、これらはいずれも急要のことと認めたのであります。又北海道空知郡砂川町、新十津川村間の町村道の地方費道昇格と、途中に石狩川の橋が抜けておりまするために非常に交通が不便であるから、速かに石狩川の橋を架けることの請願が出ておりまするので、これも最も必要なことと認めたのであります。
 九州の有明海、八代海岸の堤防改修工事に関する請願は前回も採択になつておりまするが、それと同樣に今回もこれを採択する必要を認めたのであります。南海の震災以來、再三災害を蒙むりました和歌山縣の災害復旧に対する助成及び鹿兒島縣下加治木町の災害復旧の助成等も前同樣にその急要を認めた次第でございます。
 最後に、戰災都市の代表として姫路市長より陳情いたしておりまする戰災都市短期復興の陳情でございまするが、本件に関しましては、戰災都市の復興は我が國再建の基盤を成すものであるという委員諸君の熱烈なる主張に基きまして、速かに実行的な復興計画を樹立することの必要が力説されたのであります。よつて都市計画区域に属するところの農地との関連問題もこれを調整する必要があるということを述べられたのでありまして、これについては特に政府においてその陳情を受理して頂かなければならんという結論に到達いたしたのであります。
 以上の通り建設委員会におきましては、各委員諸君は熱心に質疑をせられ、又意見を開陳せられまして、以上各案は速かに政府に提出してその実行を求むべきものなりと議決いたした次第であります。この点御報告をいたします。
#72
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採択をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#73
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は採択し、内閣に送付することに決定いたしました。これより六時三十分まで休憩いたします。
   午後五時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時九分開議
#74
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 大藏大臣より発言を求められておりますので許可いたします。泉山大藏大臣。
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#75
○國務大臣(泉山三六君) 本内閣は成立の当初より、政府職員の給與改善の問題は國家公務員法の改正と相関連して緊急止むを得ざる事案といたしまして、鋭意その実現に努力し來つたのでございまするが、昨日政府職員の給與改善費を含む昭和二十三年度補正予算を本國会に提出する運びと相成つたのでございますが、尚、先に本院におきまして全員一致を以て要望せられました災害復旧に要する費用につきましても、この際併せて計上いたしたのでございます。右補正予算の内容につきましては、本日予算委員会におきまして詳細なる御説明を申上げたのでございまするが、財政困難の現状におきまして、一方においては健全財政の方針を堅持しながら、而も他方、財源の調達上物價の安定をそこのうことなきよう(笑声)十分配意いたしたのでございます。以上この機会におきまして、昭和二十三年度補正予算の提出に関しまして簡單に御説明申上げる次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#76
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して日本國有鉄道法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員会理事小野哲君。
   〔小野哲君登壇、拍手〕
#78
○小野哲君 只今上程になりました日本國有鉄道法案の委員会におきまする審議の経過及び結果の御報告を申上げます。
 先ずこの法案の大要を御説明いたしますと、本法案は、昭和二十三年七月二十二日附の内閣総理大臣宛連合國最高司令官書簡に基いて、國有鉄道事業を公共企業体の事業とするため、日本國有鉄道を設立するためでありまして、今國会に提案されました國家公務員法案と一連の関係を持つ重要法案でございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この法案は第一章総則、第二章監理委員会、第三章役員及び職員、第四章会計、第五章監督、第六章罰則、第七章雜則の六十二條と、附則より成る厖大なる法案でありまして、且つ國有鉄道を國から切り離して公法上の法人とし、能率的な運営により事業の発展を期するという極めて重要な法案であります。
 この日本國有鉄道の資本金は全部政府の出資とし、その総額は昭和二十四年三月末現在の鉄道特別会計の資産の総額でありまして、帳簿價額では約六百億円に達する見込であります。日本國有鉄道の組織は、指導統制の機関といたしまして監理委員会が設置せられ、委員五名に総裁を加え、都合六名を以て組織することになつており、委員は両議院の同意を得て内閣が任命することに相成つております。又日本國有鉄道の役員は、総裁、副総裁及び理事より成つておりまして、総裁は監理委員会の推薦に基いて内閣が任命し、副総裁及び理事は総裁が任命することになつております。役員と職員は公務に從事する者とみなされるのでございまするが、國家公務員法の適用がないことに相成つておるのでございます。又職員の給與は、生計費や、國家公務員、民間の給與等を考慮して定め、その身分を保障いたしまするため、降職、冤職、休職、懲戒処分等の場合を限定いたしております。又鉄道事業の特殊性に鑑みまして、事故の場合とか
列車遅延の場合等に超過勤務を命ずることができるようになつておるのでございます。
 次に会計でありまするが、日本國有鉄道が能率的な運営を行なつて行くのに最も必要な点は会計制度の改善にあることは論を俟たないことでありまして、一般行政官廳式会計でなく、商事会社式会計制度の下に機動的且つ効果的運用をするのが必要でありますが、この法案ではかような会計制度の改善は將來法令の改正によつて行うこととして殆んど全部を見送つておるのでありまして、急ぐ関係もあつたのでありましようが、その点は全く遺憾に存ずるのであります。次に監督でありますが、日本國有鉄道は運輸大臣が監督することに定め、必要ある場合に命令を出すことができるのであります。次に日本國有鉄道の役職員は公務員でなくなることは前に申上げましたが、從來公務員として受けておりました特典即ち恩給、共済組合、災害補償、失業保險等の関係は從來通りの取扱を受けることと相成つております。而してこの法律は明年四月一日に施行することに明示してあるのでございます。
 以上この法案の大要を申上げましたが、この法律案は去る十一月十二日に運輸委員会に予備審査として付託されましてから、委員会は連日に亘り審議をいたして参つたのでありまするが、その詳細は速記録を御覧願うこととし、ここでは主なる質疑應答を申上げたいと存じます。
 先ず総括的な質問といたしましては、この法案は日本國有鉄道の能率的経営を促進するためというが、その内容は公共企業体を設立するということ以外に能率を増進するための改善方策は殆んど見当らない、どうして根本的改善方策を織込まないのかという質問に対しまして、いろいろ考えておる点があるのであるけれども、この法案の設立を急ぐことと、他の法令との調節が極めて複雑なため間に合わなかつた、いずれ早急に公共企業体の能率を高めるような会計及び財務に関する法律案を提出したいと考えておるという答弁でございました。
 次に各條文につきましては、第十條の監理委員会に対し付議事項を明らかにする必要はないか、第十二條第二項の委員の任命において、両議院の同意が一致しない場合、憲法第六十七條第二項の場合の例によることの規定は不必要ではないか、この点については承服することはできない等の質問がございました。これに対し政府の答弁は、監理委員会は指導統制する権限と責任を有するという規定があるから、付議事項は必ずしも決める必要はない、又任命に際し両議院の意見が一致しない場合の規定は、他の立法例に倣つたままであるという答弁でございました。
 次に職員に関する質問につきましては、二十九條の降職、免職、第三十條の休職、第三十一條の免職、停職、減給又は戒告の場合、きつ過ぎはしないかという質問については、大体他の例に倣うと共に、鉄道業務の特異性を加味して規定したのであつて妥当と思うとの答弁であり、又会計及び監督に関しましては、予算は大綱に止め、自主的且つ能率的に運営を行うのがよいと思うがどうか、民間からの借入を禁じたのは何故であるか、一般市中銀行を利用する途を開くのがよいと思うがどうか、又運輸大臣の監督は大綱に止め、企業体の自主性と高能率とを発揮せしめるのがよいと思うがどうかというような質問に対し、政府よりそれぞれ應答がありました。
 尚この法案の審議につきましては廣く一般学識経験者の意見を徴する必要があると考えまして、商大講師細野日出男君、運輸調査局理事長片岡謌郎君、元鉄道総局長官堀木鎌三君、國鉄労組委員長加藤閲男君、東京銀行業務部長神野正雄君、高速度交通営團総裁鈴木清秀君、以上の諸氏からいろいろ有益な意見を伺つたのでございますが、ここでは省略いたしますが、すべて一致しておる見解は、この法律案が日本國有鉄道の能率増進を図る方途について尚不備である、もつと根本的に改善すべきであるということでございます。
 最後に委員会の総意といたしまして委員長より、政府は日本國有鉄道の公共企業体としての自主的且つ能率的な運営を図らしめるため、特に左の諸点を考慮することを要求いたしました。即ち政府に対する要求事項として、
 政府は、日本國有鉄道の公共企業体としての自主的且つ能率的な運営を図らしめるため、特に左の諸点を考慮することを要求する。
   記
 第一、運輸大臣の監督は、日本國有鉄道の業務運営の自主性と高能率とを尊重して行うこと。
 第二、第三十六條の規定による公共企業体の会計を規律する法律の原案作成に際しては、次の諸点を考慮すること。
  1、日本國有鉄道の予算の効果的運用を図るため、予算としての拘束は、調達資金総額、資本支出の総額等の大綱止め、その他は機動的且つ効果的運用を図らしめること。
  2、國会の都合により予算成立の遅延を生じた場合は、予算成立までの期間に限り原案月割額執行等の便法を考慮すること。
  3、日本國有鉄道の民主化と資金網の拡張を図るため、民間の投資を受入れ、債権の発行、民間よりの長期及び短期借入の途を講じ、併せてその収入金を市中銀行に預け入れる途を開くこと。
  4、第三十六條の規定による公共企業体の会計を規律する法律は、昭和二十四年度通常國会に提案すること。
 第三、第三十六條の規定による公共企業体の会計を規律する法律は、昭和二十四年度通常國会に提案すること。
 これに対し、(「それで満点だ」と呼ぶ者あり)政府責任者より、この要求事項の線に副うて万遺漏なきを期するつもりであるという答弁でありました。
 これを以ちまして質疑は終了いたし、続いて討論に入り、小野委員よりこの法案は種々不備の点があるが、これらは近き将來改正補充することとし、諸般の情勢をも考慮し、眞に止むを得ないものと認め一先ず賛成するという意見の開陳があり、社会党を代表して内村委員より、この法案は民主的でないばかりでなく、会計、財政も独立自主的になつていないと、一々例を挙げての本法案反対意見の開陳があり、無所属懇談会鈴木委員からも同樣趣旨のこの法案反対の意見の開陳がございました。
 次いで採決に入り、衆議院より送付のこの法律案の採決をいたしましたところ、出席委員十二名中、賛成八名、反対四名で、多数を以てこの法案は可決すべきものと決定いたしました。以上簡單ながら御報告を終ります。(拍手)
#79
○議長(松平恒雄君) 本案に対し討論の通告がございます。内村清次君。
   〔内村清次君登壇、拍手、「しつかりやれよ」「頑張れ」と呼ぶ者あり〕
#80
○内村清次君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題になつておりまする政府提出の日本國有鉄道法案に反対を表明いたす者であります。
 本法案は、厖大なる日本國有鉄道の複雑なる機構を公共企業体といたしまして円滑に能率的に運営するものといたしましては、余り粗雑なものであり且つ非民主的で、特にその法案の作成経過から見まして未完成の点が多く、又自主的運営に欠陥の多い点は政府みずから認めておるところであります。而も我々の最も虞れておる官僚主義の温存が殊に脱却せられておらない点でありまして、これら官僚主義的條文と幾多の労働者に対する抑圧的規定が特に多く指摘せられておるのであります。即ち我が國経済、政治、文化の動脈である國有鉄道を日夜多大の労苦を似て動かしておる國鉄從業員に、経営に一言の発言権を持たせず、即ち監理委員会に参加させておらんこと等であります。
 次に職員の任免が一方的でありまして、何ら下部の意向を代表せず、特に勤労者の基本的人権を剥奪し、團結権、團体交渉権の制限など組合の自主的行動を制限し、職員の生活権すら一方的に脅威を與えておるのであります。例えば第二十九條に、勤務成績不良、心身の故障の次に、「その他その職務に必要な適格性を欠く場合」とか、「業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合」など、総裁が勝手に免職することができる規定がしてあります。これらの規定は、法文の運用如何では全く一方的な首切りの規定を事前にすり込んでおることでありまして、勤労者の立場から絶対に承服しかねるところであります。
 更に労働保護法でありまする労働基準法が、明白な判定の基準もなく、その上、その認定は事業主であるところの日本國有鉄道の一方的判断によりまして完全に侵害されております。特に当法案は民間で言いまする会社の定款のごときものでありまするが、その中に予め労働者に一方的に不利なことを規定するということは、凡そ世の常識を欠いておるものであります。企業の円滑なる運営は労働行政の面から崩れることを私は虞れる次第であります。又二十六條及び十二條によりまして、職員の政治活動の自由の基本的人権の行使が殆んど不可能にまで制限せられ、ただ投票権を持つのみに過ぎないものとなつております。又給與の点からいたしましても、他の國家公務員及び民間事業の從業員の給與を考慮して定めるとか規定されておりますが、常に生活を不安定なものにいたしておりまして、当然享受すべき基本的人権が無視され制限されていながら、その任免から給與につきましても、全く天降り的に一方的な決定に委ねられておるのであります。
 次に第四章の会計の各條項を檢討して見ますると、私共は何らの能率的な企業採算の独立制とか、その合理的管理であることを認むることはできないのでありまして、從來通りの國庫依存、國庫納金の範囲から一歩も出ておらないのであります。即ち経営能率の向上のためには財務管理の自主性が必要でありまして、運賃は公正報酬の原則に則つて、特に低物價政策によつて生ずる赤字は当然國家の負担とする代り、営業收支は恰かも企業会計方式といたしまして、又予算の議決、決算の報告も、事業計画を基本的に立てて、國庫と独立会計のけじめを、はつきりさせることが必要と思いまするが、それであるのにこの法案には、そのような近代化した改正等は少しも見当たつておりません。この改正の意図が本当に経営の能率化にあるのでありましたならば、この点こそ重点を置かるべきことでありまして、この公共企業体が將來の発展性を持つところのその基礎的條件が確立しておらないのであります。
 次に財務管理、業務管理全般に亘りまして、監理委員会の指導が極めて力が弱く、まるでお飾りの委員会のごとき観があります。例えば委員は名誉職であるということでありまして、この厖大なる企業を運用して、そうして複雑なるこの機構を管理する権限を持ち又責任を持つておるところのこの委員会が名誉職であるというようなことでは、到底満足なる企業の遂行というものは望めない点であります。
 最後に、本法案と表裏一体を成すところの公共企業体労働関係法案が上程いたされておりましたが、本國会には審議未了になつておる次第でありまして、この点からいたしまして、本法案も政府におきまして今少しく十分に完備し、眞の公共企業として社会の福祉、産業の興隆のために、眞に能率的に運営のでき得る法案として再提出を希望いたしまして、本法案に反対の意を表明する者であります。(拍手)
#81
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
   〔中西功君登壇〕
#82
○中西功君 私は日本共産党を代表いたしましてこの法案に反対いたします。
 第三國会以來、可分か不可分かということが、こういう問題について非常に問題になりましたが、勿論本質的にこれは不可分であります。併しその不可分であるということは、決して公務員法案と予算案を一緒に出すとか出さないとかいうことでなくて、もつと、はつきり言いますならば、公務員法だけ出して食い逃げ解散をしようという人人は、本案において五千三百円を押し付けようとしておるからであります。そこが可分なのでありまして、公務員法案に絶対反対して、そうして七千三百円を支持するというのが不可分なのであります。これは、ここに出されておる日本國有鉄道法案も同じであります。即ち今日出されております通信、郵政、あるいは公共企業体労働関係法規、皆すべて確かに不可分であります。その不可分であるというのは、公務員法案によつて労働者の基本的人権を無視し、これを剥奪して行くというのと、それから公共企業体労働関係法案によつて民主主義を剥奪して行くというのと、更に今日のこの國鉄法案にしろ或いは專賣法案にしろ、そんなすべてがですね、同じ線上に立つている、即ち労働者の、一般勤労大衆に対して徹底的に搾取しようとする、その一環としてです、この國鉄法案が現実に存在しているということであります。國鉄が十分に運営されていないということは事実であります。併しその本質は、この國鉄が寄つてたかつて資本家共の食い物になつております。或いは資本家的に経営されているからであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この度の法案は、もつとこれを資本主義的に資本家的に経営しようとする一段階であります。公共企業でなくして私的企業になるのであります。(「馬鹿言うな」と呼ぶ者あり)こういうことは、これはあらゆる本質にはつきり現われておる。監理委員会の組織を見ましても、学歴経験者とか、業界代表者とか、そういうことによつて、すべて大きな資本家たちの委員を選んで、そうして彼たちに監理を任せようというのであつて、正にこれは逆行である。こういう逆行が結局において五千三百円、或いは又公務員法案と不可分であるということを、はつきりしなければいけないと思うのであります。(「そのくらい言いたいことを言つていりやいいよ」と呼ぶ者あり)從つてです、こういうこの度の法案の中から、近い將來において、地方鉄道の拂下げや或いは又專賣公社法案の場合においても、外國資本の結託や、或いは又そういう民間企業家や、こういうものが必ず出て來る。そういうことが今日の我々國民大衆の非常な生活危機とは不可分なんであります。我々はこういう根本的な点から反対するのであります。更にこれは單にこの問題ばかりでなく、金融制度の改悪にいたしましても、或いは又その他独占價格の成立、一切がこういう民主自由党或いは現在の独占資本家の一般的の方向と一致しておるのであります。(笑声)
 最後に、こういうような日本経済の持つて行き方の結果が一体日本をどこに導くか。(「お前はどこに持つて行くのだ」と呼ぶ者あり)必ずや、こういう方向がますます対外依存を強め、或る場合には國鉄を担保にしたり、或る場合には專賣事業においていろいろのことが起ることは極めて明白なのであります。我々は日本産業を本当に守るために、我々はこういう法案に絶対反対するのであります。(「君一人が心配しておるのではないぞ」と呼ぶ者あり)從つて公務員法だけを出して食い逃げ解散をしようとする、こういう無責任な政府がこういうものを出すのだということを改めて申上げまして、これを以て反対意見とするのであります。(「冗談じやないよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#83
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#84
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#85
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して日本專賣公社法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
#87
○櫻内辰郎君 只今議題となりました日本專賣公社法案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。去る十一月十二日より十一月三十日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、十一月三十日討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 さて本案は、國家公務員法改正問題に関する連合國最高司令官の書簡中に、「塩、樟脳、煙草の政府事業に從事する職員は普通公職から除外されてよい。併しその場合には、これらの事業を運営するため公共企業体が組織されなければならない」との趣旨が述べられておるのに基きまして、現在の專賣局を改組して新たに日本專賣公社を設立するために提案せられたものであります。
 先ず本案の大要について申上げます。第一に、日本專賣公社は專賣事業の健全にして能率的な運営を目的とする公法上の法人でありまして、その資本金はこの法律施行の日において政府から引継がれます資産に相当する金額となつておるのであります。第二に、本公社の諮問機関として委員長及び六人の委員より成る專賣事業審議会が設けられ、その選任は学識経験ある者の中から大藏大臣が任命することになつておるのであります。第三に、本公社の役員は総裁、副総裁、理事及び監事でありまして、総裁及び監事は審議会の推薦に基きまして大藏大臣が任命し、副総裁及び理事は大藏大臣の認可を受けて総裁が任命することになつておるのであります。第四に、本公社の職員に対しては國家公務員法は適用されないが、その労働関係については、別途本國会に提案されておりまする公共企業体労働関係法に基き処理せらるることになつておるのであります。第五に、本公社の業務の範囲は現在の專賣局の所管業務と概ね同様でありまして、各專賣法に基く許可、取締をも行うことになつておるのであります。第六に、本公社の会計は原則として國の会計法規により処理せらるることになつております。從つてその予算及び決算は所定の手続を経て國会に提出せられ、又その利益金は國庫に納付し、必要なる資金はすべて政府より借入れることになつておるのであります。その他、本公社に対する監督罰則、雑則等が規定せらるる外、附則において施行期日を昭和二十四年四月一日といたしておるのであります。
 さて本案審議に当りましては、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありましたが、今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、本案は労働関係以外には單に形式的な機構を作つたのみで、会計その他実質的な問題に触れていない、これでは專賣事業を健全且つ能率的に運営するという第一條の目的に副わないではないかとの質疑に対し、政府委員より、職員の身分の変更、能率給の設定等により能率を増進することになつておりますが、專賣収入の確保が財政上重要な問題でありますので、急激な変化を避けて漸次改善する趣旨により立案せられておるのでありますとの答弁がありました。又一委員より、本公社の資本金はどのくらいかとの質疑に対し、政府委員より、來年三月末の決算を見た上決定せられることになつておりますが、大体固定資産三十一億円、原材料等百三十六億円、賣掛代金等三十五億円、合計二百億円程度の見込でありますとの答弁がありました。更に一委員より、本公社は專賣に関する許可及び取締をも行うのかとの質疑に対し、政府委員より、本公社は國家の事業を行わしめるために設立せらるるものであり、又実際事業をやつておるものでなければ十分な効果を挙げ得ないので、別途專賣法を改正して、許可及び取締をも本公社に行わせることになつておりますとの答弁があり、更に一委員より、然らば現在の專賣局の仕事を全部移すのか、又はどの程度のものが大藏省に残るのかとの質疑に対し、政府委員より、殆んど全部移すことになつております。併し基本的計画、價格、予算、決算等、大藏大臣の監督に必要なる事務を行うため、大藏省内に一課程度が残るのではないかと思いますとの答弁がありました。
 更に十一月三十日、本審査に入り、衆議院の修正案を審議いたしました。審議に先だち波多野鼎委員より発言があり、日本專賣公社法案については國会における審議の途中において政府は三回に亘り多数の個所につき正誤の訂正があり、訂正の件数が余りに多いのみならず、單なる字句の訂正に止まらず、重要なる内容の追加又は削除、新規條文の挿入等がありましたが、修正手続を取らず、政府が一方的にかくのごとく訂正することは國会の審議権を無視するものでないかとの質疑に対し、(「その通り」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)大藏大臣より、諸般の事情により申訳なき次第ではあるが、將來はかかることのなきよう十分注意する(笑声)旨の答弁がありました。
 次に修正案の要点を申上げますと、第一点は、第九條を「葉煙草を耕作する者及び公社職員」をも專賣事業審議会の委員長及び委員に任命し得ることに修正すること、第二点は、第十六條に「公社の役員及び職員は國会又は地方公共團体の議会の議員であることができない」となつておるのを、「職員」については適用しないということに修正すること、第三点は、第二十六條は時間外勤務の特例に関する規定であるが、全部削除することであります。本修正案の審議に当り重要なる質疑應答がありましたが、詳細は速記録によりて御承知を願いたいと存じます。
 かくて討論に入り、黒田英雄委員より、衆議院の修正案には一部反対であるが、会期も切迫しておるので、後日政府又は國会から改正案が提出せらるべきことを期待し、衆議院より回付の原案に賛成するとの意見を述べられ、小川友三、森下政一、大内四郎各委員より賛成の意見があり、又、中西功、木村禧八郎両委員より反対の意見がありました。かくて討論を終局し、採決の結果、多数を以て衆議院より回付の原案通り可決すべきものと決定した次第であります。ここに御報告申上げます。(拍手)
#88
○議長(松平恒雄君) 本案に対し討論の通告がございます。木村禧八郎君。
   〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
#89
○木村禧八郎君 私は本案に対しまして、労働者農民党結成準備会を含む無所属懇談会を代表いたしまして(笑声)反対をいたすものであります。その反対の論拠の要点について簡單に明らかにいたしたいのであります。
 反対論拠は、二つであります。第一点は財政に関する点でありまして、この法案を通しましたならば、專賣益金が日本の財政上非常に大きな地位を占めておる現在、重大な影響を及ぼすのではないかと思われるのでありまして、この点について、この法案を提出した政府には何ら確信がないという点であります。政府当局の説明によりますと、この法案を作成するにつきまして愼重な態度を執り、專賣事業審議会というものを大藏省の中に設けて、そうして学識経験者その他專門家を委員に委嘱しまして、この法案の主要点たる職員の労働問題と專賣事業の機構、この二点について愼重に検討した結果、その結論は、現在においてこの機構をいじくつた場合、專賣收益に好ましくない影響を及ぼすのではないか、そういう結論に到達し、成るべくならば現在の機構をいじらない方がいいという結論に到達したという話であります。御承知の通り二十三年度予算一般会計予算四千百四十四億のうち專賣益金は九百億を超えておるのであります。その專賣益金がこのように財政上の大きな地位を占めるという点については意見が存するところであると思うのでありますが、とにかく、このように財政上非常に大きな比重を持つておる專賣益金が、この機構改革によつて減少すると、そういう危險があるならば、これは重大な問題であると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)從つてこういう点について我々は政府の説明を聽いたのでありますが、何ら確信がないのであります。これが反対論拠の第一点であります。
 反対論拠の第二点は、この法案を作成する最も重要な目的であつたところの專賣事業職員の労働運動に関する点でありますが、この点につきましては本法案第十九條におきまして、專賣事業の職員は公務員法の適用を受けないで、公共企業体労働関係法の適用を受けるということになつておりますが、この日本專賣公社法と不可分の公共企業体労働関係法は、衆議院において審議未了であつて、本院にまだ送付されておらないのであります。この不可分の專賣事業の從業員労働運動に関する重要な法案が廻つて來ておらない。從つてその労働運動は一体どうなるのであるか不明なままになつているわけであります。こういう状態で果して従業員が安心して働けるであろうか。
 我々はこの二点において政府の説明を聽いたのでありますが、どうしても納得行く説明を得ることができなかつたのであります。而も委員会における多くの委員は、政府の説明に対して非常に不満である。先に波田野委員の発言もありまして、この法案の正誤について重大な非常に沢山の修正をして來ておるのであります。そういうような点について、どうしても本法案については我々は納得できない。我々國民の代表として納得のできない法案に賛成することは絶対にできない。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)以上私の反対論拠を明らかにいたしまして本法案に反対する次第であります。(拍手)
#90
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。(「賛成」「社会党どうした」と呼ぶ者あり)
   〔起立者多数〕
#91
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#92
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、財閥同族支配力排除法の一部を改正する法律案、國家行政組織法の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出、衆議院送付、以上両案を一括して議題とすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
   〔河井彌八君登壇一拍手〕
#94
○河井彌八君 議題となつておりまする財閥同族支配力排除法の一部を改正する法律案の委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。この案は内閣委員会に付託せられまして相当の期日があつたのでありますが本日一二時間前に衆議院を通過いたしたのでありますから、本委員会を開きまして審議した結果、全会一致を以て可決すべきものであると議決いたしたのでありまするから、この点御報告申上げます。
 本案は財閥関係役員の審査すべき事務が大体終了をいたしてしまつたのでありますから、今後に予想せられる審査の事務が極めて少いということになつております。それ故に、これまで行われておりましたところの審査委員会及び再審査委員会をば、これを廃止いたしまして、そうして更に内閣に一課を置きまして、その課によつて同様な今後行わるべき事件を審査しようとするのであります。政府に対して、財閥同族支配力排除法が如何に行われたかという実情を質して見ましたところが、財閥関係役員の概数は三千六百余名であるということであります。そして審査の申請をしたものが八百二十六件である。そのうち承認をしたものは六百八十九、不承認をしたものが百三十七で、盡くこれは済んでおるのであります。又再審査の数も申請が六十三件でありまして、これも盡く済んでおります。今後申請せらるべき数も予想はできませんけれども、大体において極めて少いものであると認定せられるのであります。それ故にもうこの二つの審査委員会は廃止して差支えないということで、この案を提出いたした次第であります。而してその代り内閣に一課を設けましてこの事務を取扱わせるということであります。従いまして経費等もこれによつて節約せられるということになるのであります。
 委員会は政府の説明を聽きまして慎重審査をいたしました結果、これは可決すべきものであるということを全会一致で決定いたしました。ただその際に、審査機関が簡單になりまするから、その審査の取扱において粗漏のないようにということを十分政府に注意を望みまして、これを可決いたしたのであります。この点を報告して置きます。(拍手)
 次に國家行政組織法の一部を改正する法律案につきまして、報告を申上げます。
、これも今日全会一致を以て委員会において可決したのであります。この案の要旨は、國家行政組織法の施行期日が明年一月一日となつておりますので、これは各省等の設置法と同時に施行を要するという趣旨でありますから、國家行政組織法の施行期日を延長いたしまして來年四月一日に改めたいという趣意であります。國家行政組織法は行政機関の組織の基準を定めたものであります。各官廳の組織をこの基準に從つて法制化するのが必要でありまするから、國家行政組織法が各省等の設置法と同時に施行せらるべきものであることは勿論であります。ところが、今期議会は主として國家公務員法等の改正を目的として召集せられ、会期も極めて短かいのでありまするために、各省等の設置法律案はどうしても今期國会には提出できなかつたのでありまして、次回にこれを譲るということになつております。それ故に國家行政組織法が明年の一月一日から施行せられるということは不合理と相成りまするので、四月一日に施行するということに改めるのであります。委員会におきましては政府の説明を聽取いたしまして、これは当然であるということを決定いたしまして、全会一致を以て可決すべきものと決定した次第であります。この段御報告申上げます。(拍手)

#95
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#96
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#97
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、在外同胞引揚問題に関する特例委員会より報告書が提出せられました引揚者に対する住宅建設の請願及び在外同胞引揚促進に関する陳情外一件の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長草葉隆圓君。
   〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
#99
○草葉隆圓君 只今議題となりました請願一件、陳情二件につきまして、特別委員会の審査の経過並びに結果について御報告を申上げます。
 請願は、請願文書表第三百二号にありまする東京都北多摩郡田無町東京都引揚者團体連合会会長より引揚者に対する住宅建設に関する請願であります。願意の大体は、引揚が正常なる國民生活に復帰いたしまするためには、生活の基礎でありまする住宅の建設が第一でありますに拘わらず、最近の情勢はなかなか困難でありまするから、引揚者が組織いたしました住宅組合につきまして、第一に國有施設の拂下、第二に國有地の貸與、第三に資金の貸付、第四に建築資材の配給を願いたいというのであります。陳情の一つは、陳情文書表第百七号にありまする長野縣上田市在外同胞帰還促進家族連盟から在外同胞引揚促進に関しまする陳情であります。その第二に、陳情文書表第百十九号にありまする同内容の大阪、京都、兵庫、和歌山、奈良、三重、福井、滋賀の八地方の各府縣の議会議長かち陳情されました引揚促進に関する陳情であります。前者は、父や、子や、夫や、兄弟を外地に残しておりまするこれらの肉親の人々が、未だ帰らざる留守家族として切々身を切るごとき引揚促進の訴えであります。「私共は血涙を以てお願いを申上げます。門口の靴の音にも心を躍らせて、今日は帰るか明日は帰るかと待ち佗びたが、今まで帰つて來ない。もう三年になりました。老い先の長くもない私共は、父や母として自分を養つて呉れる者もない悲しさ、幼い子を抱えて、妻として、か弱い女手一つで生計を立てて行かねばならぬ、而も子供を持つて、働くにも働き得ない苦しさは、毎日々々幾度も幾度も泣きながら暮しつつあります。去年の冬の到頭帰りませんでした。今年の冬は是非共引揚を続けさして頂くようにお願いしたい」という願意であります。この家族の訴うる心情を読みまするだけでも、悲痛に堪えないものがある次第でございます。第二の陳情は、海外在留同胞今尚五十万の多きを数えており、その悲痛、困窮を忍びつつ一日千秋の思いで帰還の日を待つておる留守家族の人達のことを思うと、うたた同情の念に堪えない、見るに忍びないものがあるから、近畿地方八府縣の縣民は心を合せてその引揚促進の一日も速かならぬことを陳情するという願意であります。特別委員会におきましては、これらの請願、陳情に対しまして慎重に審議をし、且つあらゆる方向からこれを関係方面とも打合せをいたしまして、院議に付し政府に送付すべきものと決定いたした次第でございます。以上を以て御報告といたします。(拍手)
#100
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決いたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#101
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情に全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#102
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、船員職業安定法第八條第一項の規定による公共船員職業安定所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員会理事丹羽五郎君。
   〔丹羽五郎君登壇、拍手〕
#104
○丹羽五郎君 只今議題となりました公共船員職業安定所の設置に関し國会の承認を求めるの件につきまして、運輸委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 本件提案の理由は、第二回國会で成立いたしました船員職業安定法は、第八條第一項におきまして、「海運局に、無料で公共に奉仕する公共船員職業安定所を置き、職業紹介、職業指導、船員保険法の規定によりその所掌に属せしめられた事項その他この法律の目的を達成するために必要な事項を行わせる」と規定しておりますので、全國主要港十九ケ所に公共船員職業安定所を設置する必要がありまするが、地方自治法第百五十六條第四項の規定によりますると、この種の機関の設置については國会の承認を要することになつておりますので、本案が上程された次第でございます。本件は去んぬる二十八日、本委員会に付託をせられ、本日審議に入りまして、政府との間に熱心な質疑應答があり、討論に入りましたるところ、別に発言もなく、採決に入り、全会一致本件を承認すべきものと議決いたしました。以上御報告を申上げまして、よろしく皆さんの御審議をお願いする次第であります。(拍手)
#105
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本件は委員長報告の通り承認を與えることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。
     ―――――・―――――
#107
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、市町村農地委員会及び都道府縣農地委員会の委員の選挙に関する特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
   〔議長退席、副議長著席〕
   〔楠見義男君登壇、拍手、「簡單簡單」と呼ぶ者あり〕
#109
○楠見義男君 只今議題となりました市町村農地委員会及び都道府縣農地委員会の委員の選挙に関する特例に関する法律案につきまして、農林委員会における審議の状況を御報告申上げます。
 この法律案は昭和二十五年三月三十一日までに行われまするところの農地委員会委員の選挙及びいわゆるリコールの手続につきまして、その特例を定めんとするものであります。御承知のように現在の農地委員は、地主、自作及び小作の各階層よりそれぞれ選挙せられておりますが、任期が二年と定められておりますので、現在の市町村農地委員は概ね本年十二月下旬に、又都道府縣農地委員は概ね明年二月下旬にそれぞれ任期が終了いたしまして、新たに総選挙をいたさなければならんのであります。そこで、その選挙に際して用いられまするところの選挙人名簿でございますが、この名簿につきましては毎年十二月一日現在を以て作成せられ選挙人名簿による建前になつておりますが、農地改革進行途上の現状におきましては、その特例として、昭和二十一年九月一日現在における人名簿と本年の三月一日現在における補充選挙人名簿を利用し、この二つの名簿を明年二月十九日まで据置くことに政令を以て定めておるのであります。今回の法律案は明年二月十九日まで据置くことになつておりますのを更に延長いたしまして、明後年即ち昭和二十五年三月三十一日まで据置くと共に、新たに本年十二月二十日現在で補充選挙人名簿を作成し、これらの名簿によりまして來るべき農地委員の総選挙を行わんとするものでありまして、その趣旨とするところは、農地改革が今尚進行途上にございますので、地主、自作、小作の各階層の実態に即した正確なる選挙人名簿を今作成することは極めて困難であることと、更に農地改革後においては自作が八割乃至九割を占むることとなります等、從來の農村の構造は全く一変してしまいまするので、現在の農地改革達成後できるだけ早い機会に、この新しい農村構造に即して農地委員の選挙を行うまでの経過的措置といたしまして、差当りの選挙には、從來の名簿と、それに多少の補充をなしたものを用いんとするわけであります。從つて又右のような趣旨からいたしまして、新らしく選挙せられる委員の任期も、原則の二年を用いずに約一年に短縮いたしまして、即ち明後年の三月三十一日までといたしておるのであります。
 法律案の概要は大体以上の通りでございますが、委員会におきましては、法案内容の審議に先立ちまして先ず農地改革の現状について調査いたしたのでありまして、政府提出資料によつて今その概況を申上げますと、昭和二十二年三月行われました第一回の農地買収から本年十月の第八回買収までに、政府の買収いたしました農地の総計は約百六十二万六千町歩でございまして、うち田は九十四万四千町歩、畑は六十八万二千町歩でございます。又別の角度から見ますと、在村地主所有のものは八十九万八千町歩、不在地主所有のものは七十二万二千町歩でございます。而して右の買收面積百六十二万六千町歩の外、財産税物納分として約十七万二千町歩でございますので、合計百七十九万八千町歩のものがいわゆる解放面積として政府の手に入つたことになります。この解放面積に対して本年九月三十日までに、
   〔副議長退席、議長着席〕
從來の小作人等に対する賣渡決定面積は約百五十一万三千町歩でございまして、いわゆる農地改革は、この賣渡進捗率の八四%という数字が示しておりますごとく、概ね順調に行われ、予定計画も近く一段落を告げることになるわけであります。
 從つて今後の問題は、極く小面積の買収漏れ農地の整理の外は、主として旧地主等に対する買収代金支拂の促進円滑化、登記事務の促進、農地証券に対する金融的措置等の問題と、今後我が國農村の中心となるべき自作農の維持安定とに存するものと認められるのでありますが、殊に最後の問題でありまする旧中小地主に対する証券担保による金融的措置は、大きな農地改革という制度的改革の犠牲者とはいいながら、現にその生活にすら窮乏せる者については、國家としても温かい同情の手を差伸べることの必要性が論議せられまして、これらの諸問題につきましては後に討論の際において藤野委員から強く要望せられたところでございました。
 次に法案の内容の審議に当りましては、委員多数の御意向は、政府提出原案は経過的措置としてその趣旨において必ずしも反対ではないが、現実と余りにも遊離した現在の選挙人名簿によつて選挙を行い、而も短縮されたとはいえ、それらの状態が一年以上も続くことに対しては、何らか補正の途なきやを論議いたしておつたのでございますが、たまたまこの委員会の意向に符合するがごとく衆議院におきまして法律案を修正して参つたのでありまして、その修正の要点は、
 第一に農地委員の総選挙は行わず経過的且つ暫定的措置として、現在の市町村及び都道府縣の農地委員は明年六月三十日までその任期を延長すること。
 第二に、從つて現在用いておる選挙人各簿及び補充選挙人名簿の据置期間を明年六月三十日まで延長すること。
 第三に、新しく補充選挙人名簿を作成することは、これを取止めること。
 以上の趣旨によりまして原案について先ず法律の題名も「市町村農地委員会及び都道府縣農地委員会の委員の任期等に関する特例に関する法律案」と改め、又内容におきましても原案の第一條、第二條及び第四條にそれぞれ修正を加え、又原案第三條及び第五條を削除いたしまする等、適当なる修正を加えて参つたのであります。而してこの修正は、前に申述べましたごとく当方におきましても亦望むところでございましたので、委員会におきましては採決の結果全会一致を以ちまして衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上御報告申上げます。(拍手)
#110
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#111
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#112
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、選挙運動等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。
   〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
#114
○岡本愛祐君 只今議題となりました衆議院提出の選挙運動等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。先ず本案の全文を朗読いたします。
  選挙運動等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案
  選挙運動等の臨時特例に関する法律(昭和二十三年法律第百九十六号)の一部を次のように改正する。
  第二十一條第一項の次に次の一項を加える。
 2 前項の規定の適用については、選挙運動の期間中、議員候補者の氏名、政党その他の政治團体の名称又は議員候補者の推薦届出者その他選挙運動に從事する者、若しくは議員候補者と同一戸籍内に在る者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これに類する挨拶状を、当該議員候補
  者の選挙区内に頒布し、又は掲示する行爲は、これを前二條の禁止を免れる行爲とみなす。
  同條第二項中「前項」を「前二項」に改める。
    附則
  この法律は、次の総選挙から、これを施行する。
 次にその内容及び趣旨について申上げますと、選挙運動等の臨時特例に関する法律は、衆議院議員の選挙に関し、金のかからない選挙を実現し、選挙の公営を強化し、立候補者に選挙運動の機会均等を保障し、以て選挙の腐敗を防止することを目的として、次の総選挙から施行するため本年七月二十九日公布せられたものでありまして、そのうち選挙運動のため使用する文書、図画の制限については、
 一、候補者一人につき千枚の郵便はがき及び封をしない書状を、選挙事務所の設置、立会人の依頼、演説会に関し必要な連絡その他、選挙事務の連絡のため使用する以外は、一切の文書、図画を頒布することができないとしております。
 二、街頭演説会のためにその場所において使用する立札及び提灯、自動車、拡声機、又は船舶に、使用する貼札、立札、提灯及び選挙事務所を表示するためにその場所において使用する貼札、立札、提灯の外は、文書、図面を掲示することはできないことと制限しております。
 三、選挙運動期間中は、著述、演藝等の廣告その他如何なる名義を以てするを問わず、主として議員候補者の氏名、政党その他の政治團体の名称、議員候補者を推薦し、支持し、若しくは反対する者の名を表示する文書、図面を頒布し又は掲示することができないことと制限しておるのであります。
 而して今回更に選挙運動の期間中における文書、図面の制限を強化徹底することといたしまして、脱法行爲として議員候補者の氏名、政党その他の政治團団体の名称、議員候補者の推薦届出者、その他選挙運動に從事する者の氏名又は議員候補者と同一戸籍内にある者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状、その他これに類する挨拶状を、当該議員候補者の選挙区内に頒布し又は掲示することを選挙運動の期間中は禁止し、次の総選挙から実施せんとするのが、この法律案の趣旨及び内容であります。
 本委員会は愼重審議いたしましたが、その質疑應答の詳細は速記録に譲りたいと存じます。かくて討論を省略して直ちに採決に入り、全会一致を以て原案通り可決いたしました次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
#115
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#116
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#117
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して司法警察職員等指定應急措置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず、委員長の報告を求めます。法務委員会理事岡部常君。
   〔岡部常君登壇、拍手〕
#119
○岡部常君 只今上程に相成りました司法警察職員等指定應急措置法案の審議の経過並び結果について御報告を申上げます。
 改正刑事訴訟法の第百九十條におきましては、森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定めることになつているのであります。從いまして從來刑事訴訟法第二百五十一條に基き、司法警察官吏の職務を行うべき者及びその職務の範囲を定めておりました大正十二年勅令第五百二十八号は廃止いたしまして、新たにこれに代るべき法律を制定する必要が生じたのであります。よつて政府では勅令第五百二十八号のうち、すでに不要となつたものを削除し、新たに必要となつたものを加え、職務の範囲につきましても適当な修正を加え、これを法律案として整理すべく努力いたしておつたのでありますが、これらの点につきましては各方面と関連するところが極めて多く、現在尚その法律案が國会に提出せられるに至つていないのであります。而して他方、改正刑事訴訟法は昭和二十四年二月一日から施行することに相成つておりまするので、これが円滑なる運用を図るためには右の法律に代るべき應急措置を講ずる必要があるのであります。從いまして本法案第二條におきましては、他の法律に特別の定めのない限り、右の勅令第五百二十八号の内容をそのまま採つて、当分の間はこれを改正刑事訴訟法の規定による司法警察職員といたすことにしたのであります。而してその他、改正刑事訴訟法におきましては、現行法の「司法警察官吏」、「司法警察官」及び「司法警察吏」に相当するものを、「司法警察職員」、「司法警察員」及び「司法巡査」と改めましたので、第二條におきましては、他の法令中にある右のごとき語を改正刑事訴訟法に適合するように読み替えることにいたしたのであります。以上が本法案の内容の概略であります。
 当委員会におきましては愼重なる審議をいたしまして、各委員より熱心なる質疑が行われたのでありますが、その詳細は速記録に譲らして頂きます。かくて討論に入りましたが、別段御発言もなく、採決の結果、全会一致可決すべきものと決定した次第でございます。(拍手)
#120
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#121
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。
 國家公務員法の一部を改正する法律案の委員長報告の準備のできますまで暫時休憩いたします。
   午後九時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後十時三分開議
#122
○副議長(松本治一郎君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案、專賣局及び印刷局特別会計法の一部を改正する法律案、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、いずれも内閣提出、衆議院送付、公認会計士法の一部を改正する法律案(衆議院提出)、以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#123
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。尚五條については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
#124
○櫻内辰郎君 只今議題となりました專賣局および印刷局特別会計法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 十一月二十九日より十一月三十日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、十一月三十日討論に入り、採決の結果、多数を似て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。
 さて本案は、印刷局特別会計における運營資金の不足を借入金により補足いたしまして同会計の運営を円滑にいたさんとするものであります。昭和二十三年度における印刷局の事業量は、日本銀行券百円紙幣二十四億枚、一円紙幣十二億枚を始め、収入印紙、郵便切手、郵便葉書、各種証券類、官報その他図書製品等、金額におきまして約三十七億円に上る現状となつております関係上、印刷局の事業を円滑に遂行いたしまするには、相当量の手持生産品、原材料及び支拂資金等に約八億円の運營資金を常時必要とする状況にあるのでありますが、現在同会計に属する運營資金は、殆んどその大部分が一時借入金、日本銀行からの前受金等極めて短期の資金を以てこれを賄つておるのであります。而してこれらの資金はその性質上速かに精算しなければならないのでありまして、事業経営上緊急に何らかの資金補填に関する措置を講ずることが肝要であるのでありますが、一般会計の財政状況に鑑み、今回本年度に限り運營資金の不足額を翌年度内に償還する借入金を以て補足いたし、以て本会計の企業的運営に支障なからしめようというのであります。
 さて、本案審議に当たりましては、各委員より熱心ある質疑があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありましたが、今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、本特別会計の経費の削減はできんのかとの質疑に対し、政府委員より、印刷の技術及び方法において十分な工夫をなし、御趣旨に副いたいとの答弁がありました。その他詳細につきましては速記録により御承知を願いたいのであります。かくて十一月三十日、討論に入りましたが、小川友三委員より、第六條の八億円を十億円に改めたいとの修正意見がありましたが、少数意見として否決され、他に発言もなく、討論を終局いたし、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。ここに御報告申上げます。
 次に金融機関再建整備法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る十一月二十九日より十一月三十日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、十一月三十日討論に入り、採決の結果、多数を似て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。先ず、本案の提案理由及び改正の要点について申上げます。金融機関再建整備法の規定によりますと、金融機関に対する政府の補償金額は、大藏省預金部等損失特別処理法等による補償を合計いたしまして百六十三億円を限度とすることになつているのであります。この限度は第二封鎖預金等となつた郵便貯金及び郵便年金を全額切り捨てる予想の下に算出したものでありますが、本年七月二十日政令第百七十五号により、大藏省預金部等損失特別処理法施行令の一部が改正になり、第二封鎖預金等となりました郵便貯金及び郵便年金の七割に相当する金額を補償することになりましたので、金融機関再建整備法第三十三條第六項の規定による政府の補償額限度を百六十五億円に改正せんとするものであります。
 さて本案審議に当たりましては、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありましたが、速記録に譲ることを御承知を願いたいのであります。かくて質疑を終局し、十一月三十日討論に入り、小川友三委員より第三十三條の百六十億円を百六十三億一千二百万円に改める修正意見が提出されましたが、少数意見として否決されました。かくて討論を終局し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。右御報告いたします。
 次に貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る十一月二十六日より十一月三十日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、十一月三十日討論に入り、採決の結果、多数を似て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。
 先ず、本案の提案理由及び改正の要点について申上げます。第一に、現行法においては貿易資金の不足を補足するための借入金又は融通証券の発行限度額は百五十億円となつております。然るに過般の物價改訂等によりまして、本年度中における資金の不足見込額は百八十二億円でありまして、これに前年度末における借入済額六十六億円を加算いたしますと、本年度末における資金不足額は二百四十八億円と相成るのであります。從つて若干の余裕を見込み、その発行限度額を二百五十億円となさんとするものであります。次に、現行法においては貿易資金の不足額を、一般会計から補填する場合の計算方法に関する規定に不備な点がありますので、これを改正せんとするものであります。即ち原材料貿易公團の保有する輸出物資の原材料若しくは包装材料又は貿易公團の発注品中、鉄鋼船のごとく、完成前に既成部分に対して分割拂をなす場合の支拂済金額は、当該年度に保有する貿易物資又はこれに準ずるものとして取扱うべき性質のものであるにも拘わらず、これが規定を欠いておりますので、これを明記することに改正せんとするものであります。
 さて本案審議に当りましては、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありましたが、今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、爲替レートを一本とすることは極めて望ましいことであるが、これには先ずその前提とすべき諸條件を充たすことが必要ではないかとの質疑に対し、政府委員より、賃金、物價の安定を図る外、企業の合理化、生産の増強等により、健全なる國内経済体制を確立することが必要であるとの答弁があり、又一委員より、輸出物資に対し公定價格制を適用することは輸出の振興を妨げるのではないかとの質疑に対し、政府委員より、輸出物資に対し自由價格制を採ることは、結局國内のインフレを助長し、却つて輸出を阻害することとなるので、原則としては公定價格制を採り、必要なものに限り特別價格を設定すべきであるとの答弁がありました。その他重要なる質疑應答がありましたが、速記録により御承知を願いたいと存じます。
 かくして十一月三十日討論に入り、小川友三委員より第三條第二項中の二百五十億円を五百億円に改めるとの修正意見が提出されましたが、少数意見として否決され、中西功委員より反対、油井賢太郎委員より賛成の意見が述べられました。かくて討論を終局し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定をいたしたのであります。右報告いたします。(拍手)
 更に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る十一月二十九日より十一月三十日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、十一月三十日討論に入り、採決の結果、多数を似て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。
 先ず本案の提案理由並びに改正の要点について申上げます。第一点は、食糧証券及び借入金等の限度額千二百億円を千五百億円に引上げようとする改正であります。即ち第二國会の議決を経て改訂されました千二百億円の最高限度額は、主要食糧の買入数量を前年の実績から推算いたしまして決定したのでありますが、本年の実績は十二月末までに割当数量の買入が完了する予想でありまして、それだけ手持数量が増加することと相成る次第であります。又政府の買入價格も、当初計画の見込價格三千三百八十円を約一割程度上廻つて決定をされた関係も加わりまして、十二月所要資金は千四百三十億円を必要とするのでありまして、これに資金計画上の余裕を見込み、その法定限度額を千二百億円から千五百億円に引上げんとするものであります。第二点は食糧買入代金支拂事務の整備に関する改正であります。現在食糧代金の支拂は、農業協同組合、農業会及び一般市中銀行に委託して行わせることとなつておるのでありますが、その後の状況に鑑みまして、その支拂に必要な資金の交付方法に改善を加え、併せて農業会の解散に伴う不用條文の改正を行わんとするものであります。第三点は、農業調整委員会に関する費用を今年度に限つてこの会計の所属とする措置を講ぜんとする点であります。農業調整委員会は本年七月、食糧確保臨時措置法に基き、都道府縣及び市町村等に設けられたのでありますが、供出数量の公正な割当が主要な任務となりまするので、今年度に限りましてその費用の負担金をこの会計の所属といたしまして、本法附則にこれに必要な一項を加えんとするものであります。
 さて、本案審議に当りましては、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありましたが、今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、農業調整委員会の費用は一般会計の経費で負担すべきであるが、本年度に限り本会計所属とした理由、及びこれによつて消費者の負担すべき費用はどれだけかという質疑に対し、政府委員より、一般会計で負担するのが望ましいが、一般会計の現況に鑑み、特に本年度に限つてこの措置を講じた。又その消費者負担は十キロ当り一円二十七銭程度であり、経費は九億四千万円であるとの答弁がありました。又一委員より、借入金の限度額を千二百億円から千五百億円に引上げたのであるが、この程度で不足とはならないかとの質疑に対し、政府委員より、超過供出三百万石を見込んでいるので、本年度内は足りると思うとの答弁がありました。尚重要なる質疑應答がなされたのでありますが、詳細は速記録に譲ることを御了承願います。
 かくて十一月三十日討論に入りましたが、小川友三委員より、第四條の千五百億円を千八百億円に改めたいとの修正意見がありましたが、少数意見として否決となり、他に御発言もなく、討論を終局し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。ここに御報告申上げます。(拍手)
 公認会計士法の一部を改正する法律案につきまして、大藏委員会における審議の経過並びに結果につき御報告いたします。
 本法律案の提案の内容は、公認会計士法第五十七條において特別公認会計士試験受験資格者を規定しておるが、税務代理士に対しても公認会計士法第五十七條に列挙せられておる資格者と同様の資格を與えようとするものであります。本法律案についての質疑應答は速記録により御承知を願います。
 かくて十一月三十日討論に入り、小川友三委員より、本法五十七條に國会議員を加うべしとの修正意見が提出されましたが、少数意見として否決されました。討論を終局し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定をいたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
#125
○副議長(松本治一郎君) 少数意見者から報告を求められております。報告時間は五分間に制限いたします。小川友三君。
   〔小川友三君登壇〕
#126
○小川友三君 賢明なる参議院議員職の静かなるところの御清聽を賜わりたいのであります。金融機関再建整備法の一部を改正する法律案中、金額三億一千二百万円を増加したいという主張をしたのであります。その理由を申上げます。郵便貯金、郵便年金を三割を切捨てておるのであります。その三割は実に三億一千二百万円になるのでありまして、全日本の勤労大衆が、或いは細民大衆が、幾十年かかつて預金したその金を切捨てようとする、その行爲に至りましては、現在の貨幣價格は百分の一、二百分の一、物によつては一千分の一という状態になつておるにも拘わらず、三割を切捨てて弱き者を救わない、弱い者を切り捨てようとするその行爲に対しては断乎反対する者であります。せめて額面だけを支拂うべしという要求をしたのであります。聰明なる参議院議員諸君に対しまして、どうか政府の案が正しいか、七千八百万の同胞が支持するこの全額を支拂うべしという案が正しいか、御批判を賜わりたいのであります。(「分つた」と呼ぶ者あり)
 貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案中第三條であります。貿易を振興し外國の信用を高めるためには、政府は特に民自党内閣は積極的なる内閣でありますが、これが僅かに二百五十億円、昔の金に直して五千万か六千万の金で貿易を振興しようとするこのていたらくでは余りにも現状を把握できないところのものでありまして、五百億を要求したのであります。(「うまいぞ」「分つた」と呼ぶ者あり)
 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に至りましては、政府は僅かに千五百億円を似て賄おうとするものであります。現在二合七勺の配給をしているとはいえ、代替の粉食が多いのでありまして、國民は闇買いによつて米を買つているのは隠れもない事実であります。(「異議あり」と呼ぶ者あり)そうした事実を一掃するには、政府が積極的にこれを奨励して、供出以外の供出を督励をしまして、誰もが闇買いをしないような状態を作つて頂きたいと思うがために、三百億を増加したのであります。
 公認会計士法の一部を改正する法律案に至りましては、各全國の四百五十一ケ所の税務署全部が、会計士又は税務代理士にあらずんば交渉して來ては困るという貼紙を出していることは御承知でありましよう。こういう状態におきまして、七千八百万の同胞の支持を受けておる議員諸公が税務署に行つて交渉するということを断られておる。本法には國会議員は税務計理士及び税務代理士以上の待遇を與えて貰いたいという要求をしたのであります。これは一人残らずの議員諸公の御賛成を賜わることと思つております。
 次に專賣局及び印刷局特別会計法の一部を改正する法律案であります。政府は八億の金を以て今までの通り、ずれた墨の付いた百円札を出し、十円札はポケツトに入れれば破れてしまうような十円札、そういう紙幣を印刷して、日本の國の代表である紙幣を好い加減な鼻紙に近い紙に印刷しておるということは、八億円という端金であるからそうだ、これを二割強をこれに追加して立派な札を印刷し、世界の曾て三大強國であつた日本の札は立派なものだということにし、又國民が破けて使えなくなるような札をなくするために二億円の増額を請求いたしたのであります。又本案に至りましては、すでに國は敗戰で小さくなり、予算は削り、か弱き若い女性は筒つぽの洋服で、キヤベツ巻のパーマネントをして、島田や丸髷を捨てて、振袖を着ないで大根足を出して働いておる現状でありますから、百円札を四分の一にすれば二十五億円の節約ができます。この二十五億円の節約をして、海外同胞の引揚、戰災者に廻すという意見も出したのであります。(「ゆつくり」「もう五分が來た」と呼ぶ者あり)本案は委員長の報告通り少数意見として葬り去られたのでありますが、八千万に近い同胞は必ずやこの案に賛成して下さることと思つております。本会議場の今日の第三回國会の終りに当りまして、少数意見を提げまして登壇いたしましたところ、皆さんの御清聽を賜わりました御厚志に対して厚くお礼を申上げます。(拍手)
#127
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより五案の採決をいたします。五案全部を問題に供します。五案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#128
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて五案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#129
○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長中井光次君。
   〔中井光次君登壇、拍手〕
#131
○中井光次君 只今議題となりました國家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告をいたします。
 先ず、本案の内容について御説明を申上げたいと存じまするが、時間の関係上省略さして頂きたいと存じます。(「賛成」と呼ぶ者あり)法案及び配布の資料、速記録等について御承知を願いたいと存じます。(拍手、「総理大臣は何をしておるか」「堂々とやつて呉れ」「頭がいいぞ」と呼ぶ者あり)
 本委員会は十一月十一日から(「総理を呼べ」と呼ぶ者あり)予備審査を行なつたのでありまするが、その間、労働委員会との連合委員会を十回、本委員会を六回に亘つて開催し、極めて愼重に審議を重ねたのでありまするが、
   〔副議長退席、議長著席〕
特に十一月二十二日の委員会におきましては公聽会を開きまして、労働者側、経営者側、学識経験者側より公述人の出席を求めまして、有益なる公述を聽取して審議の参考に供した次第でありまするが(「その通り」「反対が多かつた」と呼ぶ者あり)本十一月三十日衆議院から本院に送付せられまして、更に本審査を行なつたのであります。(「総理大臣の出席を求めよ」「うるさいぞ」と呼ぶ者あり)
 次に質疑應答の概要を申上げます。第一は、本改正法律案は如何なる理由で提案しなければならなかつたのか、又深く検討の上で提案されたものであるかとの質問に対しまして、政府は、本法案はマ元帥の書簡に基いてできたものであつて、その意図するところは從來の悪い官僚機構を打破せんとするにある。公務員が極めて制限された労働運動しか許されないということはマ書簡にも示すところである。これは私的企業の労資の対立とは異なつて、対等の地位にあるものではない。國民を背景とする政府は公務員に対して上下の関係にある、本改正案の提案は必然的なものであつて、一部の行き過ぎがあつたか否かという客観情勢によるものではないのであつて、事の本質上止むを得ないものと考えるという趣旨の答弁があつたのであります。(「それでよし」と呼ぶ者あり)
 第二は、本改正法律案は憲法違反にあらずとの根拠の下に提案されたものと考えるが、政府の所見如何との質問に対し、政府は、新憲法第二十八條は國民の権利も、「公共の福祉に反しない限り」と國民の権利の限界を示した憲法第十三條の枠内においてのみ考えられるべきものと解釈するから、國家公務員法改正法律案第九十八條の制限も憲法違反にあらずと思う旨の答弁があつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 第三は、本改正法律案に関連して重要なことは公務員の給與の問題であるが、政府は公務員に対して如何なる給與を與える考えであるか、又臨時人事委員会は内閣に対して新給與の勧告を提出するだけで、それ以上責任なしと考えておるかとの質問に対し、政府は、公務員の給與問題の重要性は十分に認識しておるのであつて、公務員に対して本改正案によつて或る種の制約を加える以上、他方これに保護を與えなければならないことはマ書簡にも示されておる。人事委員会としては、一方においてこの改正案を提案すると共に、去る七月より給與問題を取り上げて努力を続け、先日内閣に対して勧告案を提出したのである。人事委員会は法理上、財源その他の問題には権限を賦與されていないが、勧告を提出した以上は、これ以上責任なしとは毛頭考えておらない。勧告の裏付けをするという意味で今後検討努力を続けたい意向である旨の答弁があつたのであります。
 第四は、公務員の範囲が不明である。公務員とは何であるか。又本法律案の第一條の官吏と公務員と如何なる関係にあるかとの質問に対し、政府は、遺憾ながら現在の段階では公務員の範囲は不明確である。将來職階制度が実施されるようになれば、その地位を占める者はすべて公務員であるということになつて次第に明確になると思う。又第一條の官吏は、憲法とは時間的ズレがあるのであるが、第一條では憲法の表現をそのまま引例して官吏という言葉を使つたものである旨の答弁があつたのであります。以上が大体本法案に対する主要なる質疑應答の概要であります。右申述べた質疑應答の外に、いろいろの角度から政府側と委員側とに詳細且つ多岐に亘る質疑應答が交換されましたが、これらは速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
 かくて質疑を終りまして討論に移りましたところ、一委員より、我が國の現在の実情より見るも、善良なる勤労者においても、かかる法案に対する反対意向が多いのであつて、本國会においては反対意見を表明することが大切である。本案の骨子は特別職の縮小、
   〔議長退席、副議長著席〕
人事院の権限強化、労働者の基本的権利の剥奪の提案である。(「その通り」と呼ぶ者あり)特別職の縮小は一般職の増加することであり、生活保障の裏付けが十分でない限り、公務員の基本的権利を縮小することには賛成し難い。又人事院の権限を強化することは、既往の官僚制度を打破することよりも、人事院が從來の官僚に取つて代る結果を生ずる虞れが多く、その効果も疑わしい。(「その通り」と呼ぶ者あり)又その人事院に民主的機関を設け、專断の弊を矯正しなければならない。かかる見地から、人事諮問委員会を設けてこの趣旨を徹底させたい。又労働組合の結成は民主化促進に欠くべからざるもので、長い封建の殻を破つて労働者固有の権利を與えられるに至つた。この團結権、罷業権を剥奪されることは反対であるとの趣旨で反対の意見の開陳があつたのであります。これに対しまして一委員より、衆議院送付の本法案に賛成する旨の意見が述べられたのであります。
 次いで衆議院送付の本法案全部を採決いたしましたところ、多数決を以て可決いたしました。かくて國家公務員法の一部を改正する法律案は衆議院送付通り議決せられたものであります。(拍手)
 尚最後に申上げたいことは、この法律案につきまして討論中、一委員より修正案の動議が提出されまして、これをみずから撤回されたことであります。この撤回修正案の内容につきましては速記録によつて御覧を願いたいと存じます。右の修正案は、委員より自発的に、種々の事情によつて最小限度に止めたこの修正案を諸般の事情及び(「もつとはつきり」と呼ぶ者あり)時間の関係でこれを撤回するものであるが、近く第四國会も開始されることであり、この上とも國家公務員法に関する研究並びにこれに対する修正の要望は、これを撤回するものではないとの意見の開陳があつたのであります。要するに本法案も完全無欠なものではなく、研究に時を藉すならば、十分にその精神を発揮するがためには尚幾多の点において修正を行いたいという強い要望があつた弐第であります。(「同感」と呼ぶ者あり)以上を以ちまして人事委員会の審議の報告を終りたいと存じます。(拍手)
#132
○副議長(松本治一郎君) 本案に対しまして討論の通告がございます。羽仁五郎君。(「総理大臣どうした」と呼ぶ者あり)
#133
○羽仁五郎君 本案は重要な問題でありますので、総理大臣の出席を要求いたします。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
#134
○副議長(松本治一郎君) 御承知の通り重大なる議案でありますから、先程出席を要求したのでありまするが、病氣のため帰られたという話です。
   〔「副総理が來ておる」「どうしたのだ」「職場放棄だ」「行つて來い」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔佐々木良作君「議事進行に関して‥‥」と述ぶ、「やれやれ」「登壇登壇」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#135
○副議長(松本治一郎君) 佐々木君。
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
   〔「総理大臣でなければ分らない」「進行々々」と呼ぶあり、拍手〕
#136
○佐々木良作君 本法案は重要な法案であるからというので、総理大臣以下の大臣の出席をずつと前から求めておつたわけです。そうして‥‥この前の先程中にいろいろな法案が入りましたけれども、その前の議院運営の小委員会において決定された日程の順序に從つてなされておつた場合には総理大臣がここに見えておつたのです。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)ところがその間に議事が遅延し、國家公務員法が上らなかつた際にいなくなられた。いなくなつたから‥‥(「病氣じやしようがない」「病床訊問だ」「明日やれ」と呼ぶ者あり)黙つて聽け。発言貰つておるのは俺だけなんだ。議長取締りを願います。
#137
○副議長(松本治一郎君) 御静粛に願います。
#138
○佐々木良作君(続) そうして今事務局及び政府委員を通じて、再三再四総理大臣の出席を要求したところが、事務局及び各政府委員の答えが全部まちまちで、或いは使いに行つておる、連絡に出した、それから電話で言いつ放しであるという知らせが参つて、又迎えに行つておるという返事がある。それと同時に、連絡して見たところが病氣で來られないのだという答弁が來るという、これでは、どれを本当にしたらよろしいか分らないのであります。だから從つてその間の事情をはつきりと政府の代表者から聽いて、ここに我我は対処したいと思います。それを提案します。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり、拍手「政府答弁しろ」「休憩」「やれ」「休憩だ」「林副総理がおるじやないか」と呼ぶ者あり、笑声〕
   〔國務大臣林譲治君登壇〕
#139
○國務大臣(林譲治君) 総理大臣は先程こちらに伺つておつたのでありますけれども(「詭弁だ」と呼ぶ者あり)昨晩の徹夜の時おりまして、聊か健康を害しましたので帰したわけであります。私では勿論不肖でありまして勤まらんとは考えまするけれども、副総理の名を持つておりますため、各位の御了承を願いまして、御進行をお願いいたしたいと思います。
   〔「進行」「休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
   〔岩間正男君「本員は第三國会の重要な法案に鑑みまして、必ず総理大臣の出席を求めたいと思います。総理が出席するまで暫時休憩を求めます」と述ぶ、その他発言する者多く、議場騒然〕
#140
○副議長(松本治一郎君) 暫時休憩いたします。
   午後十時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後十一時三分開議
#141
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。政府より発言を求められました。これを許可いたします。林國務大臣。
   〔「許可する必要なし」と呼ぶ者あり〕
   〔國務大臣林譲治君登壇〕
#142
○國務大臣(林譲治君) 先程も申上げました通り、総理は昨晩一睡もいたしませんでしたような関係より、(「嘘を言うな」と呼ぶ者あり)先程までは出ておりましたけれども、(「仮病か」と呼ぶ者あり)健康を害しましたがために、遺憾ながら只今出席することができませんことは、誠に申訳がございません。どうか私が副総理の名目を持つておりまするので、惡しからず御了承願つて、議事の進行を切にお願い申上げる次第であります。(拍手)(「議事進行」「静かにしろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)
#143
○議長(松平恒雄君) 羽仁五郎君‥‥木檜三四郎君‥‥これは取消します。羽仁五郎君はおられませんから木下源吾君‥‥
   〔羽仁五郎君登壇〕
#144
○議長(松平恒雄君) 羽仁五郎君がおられましたから、羽仁五郎君に発言を許します。(「やれやれ」「時間はないぞ」「時間を嚴守」と呼ぶ者あり)発言時間は十分以内であります。それは嚴守せられんことを希望いたします。(拍手)
   〔「議長、総理の出席を‥‥」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#145
○羽仁五郎君 吉田首相は、この國会がこの國家公務員法改改正のために召集せられておるということをしばしば言明しておられます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)その吉田首相の言明に從つて、私はこの議場に首相が直ちに出席せられることを要求いたします。(「異議なし」「病氣じやしようがない」「病人を引張つて來るということは人権蹂躪だ」「憲法違反だ」「総理の出席を議長に要求して呉れ」「議長に要求しておる」「一旦登壇した以上十分経てば発言の権利を君は失うぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#146
○議長(松平恒雄君) 吉田総理の(「議事進行について」と呼ぶ者あり)出席については、只今副総理より言明がありました通り、身体の都合で今晩は出席できないそうであります。
   〔「何をぐずぐずしているんだ」「時間を嚴守しろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#147
○議長(松平恒雄君) 時間がございませんから、お進めを願います。
   〔「やるのか、やらんのか」「発言を求めている」「病人を無理に連れて來るということは人権蹂躪である」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#148
○議長(松平恒雄君) 制限時間がございますから、お進めを願います。
   〔「下りろ」「何を言つているか」「言うな」「やめるのか、やめないのか」「何をぐずぐずしているんだ」「発言を取り消せ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#149
○羽仁五郎君(続) 現在私が数千万言を連ねるよりも、諸君の眼前のこの事実そのものが、國家公務員法改正が如何に危險なものであるかを語つていると思います。(拍手)(「その通りだ」「危險でない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)國家公務員は公共の福祉にその勤労を捧げるというのですが、公共の福祉を代表すべき政府がこのような無責任な態度を執つているのであります。(拍手、「そうだ」「何を言うか」「そうじやない」「違う違う」「黙れ」「それは偏見だ」と呼ぶ者あり)我々労働者農民党及び無所属懇談会は、(「君は労働者か」と呼ぶ者あり)本案のような恥ずべき法案に断乎として反対を表明する光栄を日本全國の國民と國際民主主義に向つて告げるものであります。(拍手、「そうだそうだ」「違う違う」國民の九〇%はこの案に賛成している」「小川黙れ」と呼ぶ者あり)諸君、曾てこの演壇に立つた東條首相は、(「東條はいないよ」と呼ぶ者あり)決して一夜にして現われたのではなかつたのであります。(「そんなことは要らない」と呼ぶ者あり)歴史が示すように、フアシズムと戰爭とは徐々に忍び寄つて來るのです。(「その通り」「違う違う」と呼ぶ者あり)その第一歩が本案にあると我々は確信するが故に、絶対にこれに賛成することはできないのです。(拍手、「その通り」「反対するのはいかんのだ」「小川やかましい」と呼ぶ者あり)
 第一に、本案は日本の民主主義の基礎をなすところの六百万の組織労働者、その中心をなす二百七十万の全官公廳労働組合協議会の一人々々の手から基本的人権を奪い去つて、その手に手錠を掛けようとする法案であるからであります。(拍手)(「そうじやない」「頑張つて呉れ」と呼ぶ者あり)基本的人権が公共の福祉によつて制限せられるなどという笑うべき詭弁を政府は弄しております。(「そうじやない」と呼ぶ者あり)基本的人権と公共の福祉というものとは同じレベルのものでないということは、委員会の席上において淺井委員長が私の質問に答弁した通りであります。(「淺井は頭が悪い」と呼ぶ者あり、笑声)このことを無視するものは、人類の歴史を無視するものであり、(「そうじやないよ」と呼ぶ者あり)論理を無視するものであります。(「違う違う」「大違い」と呼ぶ者あり)全官公廳、或いは日本の労働組合の運動が行き過ぎをしていたというようなことを言う人があります。(「それは事実だよ」と呼ぶ者あり)日本の全官公廳労働組合が、常に労働三法を守り、常に調停の正しい手続を踏み、常に定められたる期間を正しく守つたのに、それに対して、政府が最後まで誠意を示さなかつた時に、初めて争議に入つたのであります。(「その通り」「嘘を言え」「違う」「駄目だよ、羽仁さん」と呼ぶ者あり)而も去る八月二十八日の対日理事会において、英連邦を代表されたパトリツク・シヨウ氏は何と言つたか。國家の官吏であることと労働組合の組合員であることは断じて矛盾するものではない。むしろ望ましいものであると明言されていたのであります。そして、自分自身、とパトリツク・シヨウ氏は自分を指されて、自分自身、国家の官吏であると共に、労働組合の組合員であるという意識を持つている、と述べられております。これは、英國の長い間の民主主義の歴史と栄誉、長い間の(「時間々々」と呼ぶ者あり)労働運動の歴史、(「そんなことは君、知つているよ」と呼ぶ者あり)その結果を、何人も踏みにじることができないのです。(「時間時間」「うるさいよ」と呼ぶ者あり)況んやこの國家公務員法改正案なるものは、國家公務員が公務員たるの任務に反する行動があつた場合に、その公務員たるの身分を奪うに止まらず、その人が公務員である前に、人間である、國民である、その人権に向つてまで刑罰を加えようとしているのであります。(「淺岡頑張れよ、おい」と呼ぶ者あり)こういうような悪法であります。(「その通り」「そうではない」と呼ぶ者あり)これが悪法であるということは立案者みずから認めておるところであります。(「違う違う」「いい法律だよ」と呼ぶ者あり、拍手)第一條第二項に立案者みずからこの法律が悪法であると認めているのであります。諸君、悪法は法ではありません。(「悪法ではない」と呼ぶ者あり)現に立案者自身が、これが國民によつて違反されることを予想しているのです。(「そんなことはないよ君」と呼ぶ者あり)あります。第一條の第二項にちやんと書いてある。(「分つた」と呼ぶ者もあり)法律は國民が喜ぶべきものであります。予め違反が予想されるようなものは、民主主義時代においては絶対に法の名を僣称することはできません。(「頭が悪いな」と呼ぶ者あり)こういう悪法を強いて実行する結果は必ず違反が生ずるのです。その違反が生ずれば警察力を以てこれを取締るのです。この結果は日本が必ず警察國家になるのです。(「時間々々」「運営をうまくやるから心配するな」と呼ぶ者あり)先日、参議院の公聽会に立たれました一人の公述人は、下級官吏として、政令二百一号が出て以來、官廳の空氣は一変して、再び元の官僚主義に還つたということを訴えておつたのであります。(「それは違う」と呼ぶ者あ)そうして若しこの改正案が通り、公務員の團結権が制限されるならば、我々は又日本の昔のあの暗い役所へ帰つて行かなければならないと訴えたのであります。(「その通り」「そうではない」と呼ぶ者あり、拍手)暗い役所は即ち暗い日本であります。(「その通り」「夜は暗いけれども、晝は明るいよ」と呼ぶ者あり)どうか諸君、現在まさに終結を告げつつある國際法廷の記録を熟読して頂きたい。(「時間々々」と呼ぶ者あり)我々新らしく(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)民主主義の根本の上に立てられた國会の唯一の任務は、飽くまで一滴の混りけのない純潔の民主主義立法をやつて行くことにあるのです。(「規律を守れ」と呼ぶ者あり、拍手)この飽くまで一滴の混りけのない民主主義立法の中に、基本的人権を尊重しないような、これを制限するような例外法の濁水が入つて來ることは、我が國会として、断じて我が國会の節操にかけて、納得することはできないのであります。(「その通り」「時間時間」「静かにしろ」と呼ぶ者あり、拍手)諸君、我が國会が節操を守らないで、どうして街の少女に石を擲つことができますか。(「そんなことと話が違うよ」と呼ぶ者あり)占領政策に忠実なるゆゑんは、民主主義連合國日本占領政策が我が國会に命じておるところの純潔の民主主義の立法の節操を守ることにあります。(「同じなんだよ、それは分かつたよ」「その通り」「小学校の科学の時間だよ、大人の前でそんなことを言つては駄目だ、皆が頭が進んでおるよ、現在の日本の置かれておる状況をはつきりと把握して行け」と呼ぶ者あり)労働階級は一つであり、その一部分にひびを入れる者はその全体にひびを入れる者であるということを、日本の労働階級ははつきり知つております。(「それは瓢簟を見てお化けと思うものだ」と呼ぶ者あり、拍手)労働組合が團結権、團体交渉権、罷業権を持たねばならないということは、文明の結果なのです。(「そうなんだ」と呼ぶ者あり)諸君は文明を蹂躪しようとするのか。(「文明でも行過ぎてはいけない」と呼ぶ者あり)然らば即ち、必ず再び文明が原告となつて、立つて、本案賛成の諸君を裁くでありましよう。(「そんな心配はないよ」「大丈夫だ」「死んだら棺桶に入るのだから心配ない」と呼ぶ者あり)労働階級の團結権、團体交渉権、争議権を奪う結果は必ず低賃金となるのです。低賃金は必ずこれを強いて行うために言論の自由の抑圧となるのです。皆さんが現に私の言論を抑圧しておるではありませんか。(拍手)
#150
○議長(松平恒雄君) 時間が來ました。
#151
○羽仁五郎君(続) そうして、これは遂に侵略戰爭に導かれるのであります。その責任はこの法案に賛成する人にあるのであります。(拍手)
#152
○議長(松平恒雄君) 羽仁君、時間が來ました。木下源吾君‥‥木下源吾君‥‥早く登壇を願います。時間が來ますから早く登壇して下さい。
   〔「早くやれよ」と呼ぶ者あり〕
   〔木下源吾君登壇〕
#153
○木下源吾君 (「颯爽とやれよ」「総理の出席を要求せよ」と呼ぶ者あり)この重要な法案を今審議の最中に、吉田総理大臣がいないということは、(「同じことを言つてるなよ」「黙つて聽け」と呼ぶ者あり)どなたもこれは不満だろうと思うのです。私は日本社会党を代表してこの法案に反対いたします。
 諸種の客観情勢はこの法案が議会を満場一致で通過することを要請しておるもののごとくでありますが、併し私は我々勤労者といたしまして僞わることができません。(「勤労者はなかんべえ」「黙つて聽け」と呼ぶ者あり)率直にここに議会を通して我々の仲間に、そうして世界にこの声を通したいと考えております。この法案は言うまでもなく、日本の文化の向上を逆轉せしめるものであるということの証拠には十分に役立ちますので、日本の民主化がこの程度より進んでおらんということも亦世界に証明するものであると思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はこの点について、終戰直後において我々労働者が三千年來固く結ばれておつたあの鉄の鎖が断たれて、我が國の民主主義のために我々自身の手によつて日本の再建ができる喜びを持つておつたのでありますが、今日このような國家公務員法の改正によつて逆轉した地位に置かれるということは、客観的に立たるる諸君はいざ知らず、我々身を以てその痛さを感ずる者においては、どうしてもこの場合この議会から私は反対の声を高らかに叫ばざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 御案内の通り、先程中井委員長の御報告にありました一委員の委員会における反対の意見というのは私でございまして、そのことを今ここで又繰返さなければならないのでありまするが、(「必要ないよ」「速記録を見よ」と呼ぶ者あり)この法案は、諸君が特に関心を持つておられる通り、三つの重大なる要素が含まれておる。特別職を縮小するということと、人事院を拡大強化するということと、更に第三においてはです、いわゆる労働者がその憲法で保障されておるところの基本的権利を剥奪するというところに主眼があるとは、諸君御了承の通りであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私共は(「君たちが作つたんだ」と呼ぶ者あり)我々この法案に対して、今や賛成せられるであろう諸君においても、又政府においてもです。かくのごとき要素を備えた法案を当然ここで賛成しなければならないということに対しては、恐らく良心に、諸君、私は一抹の不安を感じておると考えます。(拍手)私のここに反対するゆえんのものは單なる反対の叫びの声に止まるのでございません。やがてこの反対の声の実の結ぶときは勤労者の解放されたときであり、そうして日本がポツダム宣言の趣旨に副うて完全に民主化されるときである。そのような日の早からんことを期待するが故に只今反対するのであります。(「よし分つた」「その通り」「ゆつくりやれ」「前内閣が作つたのじやないか」と呼ぶ者あり)
 第一に特別職の範囲を縮小するというためにおいては、一般職を成るべく多く作つて置くということでありますが、この一般職が然らばこの法案のどこに生活の保障と福利厚生の保障がなされておりますか。法案の第一條の骨子には最大の能率を上げるためには、誰でもが分る通り、今日の公務員のその生活が保障されなくてどうして一体最大の能率を望むことができましようか。現に政府はこの法案と両輪を成すところの給與ベースにおいて、或いは一方には勤労者を抑圧するところの強大な力を持つた人事院の勧告を無視して、而も六千三百七円を無視して、今我々の前に提案されておる予算案は僅かに五千三百円でしかないではないか。(拍手)この事実が如何にこの法案の目的とするところと相反するものであるかということを、我々は感じなければならないのであります。(「頑張れ木下」「同感だ」「社会党内閣は千八百円よりやらないじやないか」と呼ぶ者あり)
 人事院の強化におきましては、我が國の曾ての官僚この官僚に対する斧鉞を加えんがために、いわゆる民主的に公務員を登用するということでありますが、而もこのような(「あと四分ある」と呼ぶ者あり)人事院の権限の強化というものは、曾ての官僚が新たなる席を人事院に譲らなければ私は非常な幸いだと考える者であります。かるが故に人事院それ自体が民主化されなければならない。そのために我々は……(「議長、時間」と呼ぶ者あり)人事諮問委員会のごときものが、どうしてもこの法案の中になければならないと、かように考えている者であります。(「ヒヤヒヤと」呼ぶ者あり)
#154
○議長(松平恒雄君) 時間が参りました。(拍手、「時間だよ」と呼ぶ者あり)
#155
○木下源吾君(続) かかる労働者の権利の剥奪は言うまでもなく、我が國の民主化は労働組合の結成……
#156
○議長(松平恒雄君) 木下君、御注意します。時間が参りました。(「時間時間」と呼ぶ者あり、拍手)
#157
○木下源吾君(続) いわゆる労働組合の團結権と團体交渉権と、諸君驚くな、罷業権とが與えられたが故に、(「時間々々」「頑張れ」と呼ぶ者あり)あらゆる反動勢力のブレーキを突き破つて、我が國が今日まで進んで來たこの民主化の……
#158
○議長(松平恒雄君) 御注意いたします。木下君、時間が参りました。(拍手)
#159
○木下源吾君(続) かかる日本民主化の礎石であり、原動力であるところの労働者の権利を無視するところにおいて、我々は日本の再建のために、殊に労働者に向つて惡罵しているこの吉田内閣において提案されることにおいて……
#160
○議長(松平恒雄君) 木下君、時間が参りました。時間がありません。
#161
○木下源吾君(続) 世界に対して我々はこの事実が、我が國の現状を如何に……
#162
○議長(松平恒雄君) 木下君、降壇を命じます。板野勝次君。
   〔「時間を守れ」と呼ぶ者あり〕
   〔板野勝次君登壇〕
#163
○板野勝次君 衆議院におきまして修正可決された國家公務員法の一部を改正する法律案は、人民のためのものでないので、この法案に対して日本共産党を代表して反対を表明するものであります。
 今この法案の細目に亘つて一々反対の個所を指摘するまでもなく、公務員法改訂案が全世界の世論の支持を全く得ていないということが、如何に基本的人権を蹂躪しておる悪法であるかを雄弁に証明しておると思うのであります。又昨日より今朝にかけての衆議院における民自、民主、社会、國協党等の法案審議の中に現われたものは、総選挙を前にしての党利党略に狂奔した跡が歴然としておるのでありまして、官廳職員の基本的人権を平然として奪うところの苦悶に満ちた姿を見ることができた点よりしまして、もはや細目の点に触れて反対する必要はないことを証明しておるのであります。私は夜を徹して衆議院の人事委員会並びに本会議の推移を凝視し來つたのでありますが、本改訂案が上程されました後の首相の態度は、我が國の独占資本の大番頭として安堵の色が現われておつたのでありました。それは総理のあの議場において居眠りをした醜い姿の中に認めることができたのであります。本日この議場におきましても、仮病を使つて今尚この議場に出て來ない中にこそ、かの総理が眞劍にこの法案に対する責任を持つていないことを表明しておるものであります。(拍手)私は一方におきまして、社会党の議員が悩める良心を以て、良心的な態度を以て(「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり)この法案に反対せられましたことに対して(「よく聽け」と呼ぶ者あり)深甚の敬意を表する者であります。芦田政令を出したのは社会党も加わつた連立政権であり、政令二百一号の(「板野君に任せるよ」と呼ぶ者あり)犠牲者の無罪釈放の責任は‥‥公務員法修正意見を内容とするこの法案に対する態度の表明は、政令の撤回によりこの無罪釈放者を守る努力を社会党議員の諸君、決して忘れてはならないものであることを、私はここで強調したいのであります。人民憲法とはまだその距離の遠い我が國の幼稚な、いわゆる民主的な憲法でさえも踏み躙らなければならない内容を持つ本改訂案は、公務員に與えた様々な権利は、憲法に眼をつぶることなくしては奪い去ることもできないし、公務員の権利の剥奪なくしては大資本の利益を守り得ないことを遺憾なく暴露いたしておるものであります。この改訂案成立によつて、日本の民主的再建を願つて止まない眞に國を愛する全官公労諸君の首切りの自由は保障せられ、労働組合法、労働関係調整法も、労働基準法も、全く公務員には適用されず、公務員に対する労働強化は自由自在となり、文字通りに奴隷のごとく酷使し得る條件は作られるのであります。政治的行爲の禁止に近い制限は、保守政党が官僚機構と結び付いて大資本の利益を守り、第二、第三の昭電事件を明るみに出すこともなく行い得る行動の自由を確保することができるのであります。(拍手)而も本法に違反した場合に公務員に加えられる刑罰は、三年以下の懲役又は三万円以下の罰金であつて、世界に類例を見ないものでありまして、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)タフト・ハートレー法でもこのような規定はなく、我が國の労働組合法第十一條違反の場合におきましても、使用者は六ケ月以下の禁錮又は五百円以下の罰金、而も労働委員会の請求を待つて論ずるということになつておるのであつて、罰則というには余りにも軽きに失するのに、これと対比して、余りにもこの公務員法違反に対する罰則は残忍であると言わなければならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)一方においては、大資本による國家資本の独占的な流用の体制は確立されんとし、すでに國有鉄道法、專賣公社法、電氣通信省、郵政省は今期國会を通過しておるのであります。ここに我が國の一大腐敗の基礎が置かれ、又民族を外國資本に隷属化せしめる途が固められようとしておるのであります。公の福祉という美名は正に大資本の福祉以外の何ものでもないことが、今や全人民の前に明らかにされて参つたのであります。本國会におきまする公務員法、(「時間々々」と呼ぶ者あり)まだ時間があります。公務員法改訂案の通過は、日本が未だ民主化されていないこと、腐敗の温床たる官僚機構の温存と、資本の我がままな搾取の横行を助成することを恥知らずに全世界に宣言するものであります。(「同感」と呼ぶ者あり)極東委員会の労働組合に関する十六原則も何ら権威なき反故であることを告白するところの挑戦状であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)ポツダム宣言の嚴正実施の誠意なきことと、國際人権宣言を無視することを連合國軍に通告することを意味するものであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手)必ずや、民主主義の敵であるこのような法案の成立によつて、将來講和條約の上に大きなる障害となることを私はここで断言して憚らないのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手)この故に我が党は断乎本法案に反対するものでありまするし、この法案の將に通過せんとするときに、(「時間々々」と呼ぶ者あり)最後の反対討論に立つ光栄を担う者であります。
 全國二百七十万の公務員諸君を初め全勤労大衆が公務員法改惡に賛成した議員を選挙するなとの叫びは、やがて全人民の声とならずには措かないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)公務員諸君を奴隷化する法的措置を全勤労人民の憤激と血涙の中に両院を通過せしめた一九四八年十一月三十日は……
#164
○議長(松平恒雄君) もう時間が参りました。板野君降壇を願います。
#165
○板野勝次君(続) 永久に忘れることのできない全人民の恨みの日となるでありましよう。
#166
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。この投票に要する時間は十三分間に制限いたします。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。これより氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#167
○議長(松平恒雄君) 投票漏れはございませんか。‥‥投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#168
○議長(松平恒雄君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百九十六票、白色票即ち委員長の報告を可とするもの百三十六票、(拍手)青色票即ち委員長の報告を否とするもの六十票、(拍手)よつて本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名  百三十五名
   岩男 仁藏君   米倉 龍也君
   小川 久義君   西田 天香君
   小川 友三君   田中 信儀君
   谷口弥三郎君   油井賢太郎君
   小畑 哲夫君   鈴木 順一君
   平野善治郎君   入交 太藏君
   安達 良助君   小杉 繁安君
   小林 勝馬君   大隈 信幸君
   田方  進君   紅露 みつ君
   深川タマヱ君   木内キヤウ君
   高良 とみ君   門屋 盛一君
  前之園喜一郎君   竹中 七郎君
   藤森 眞治君   星   一君
   仲子  隆君   奥 主一郎君
   伊東 隆治君   佐々木鹿藏君
   境野 清雄君   淺井 一郎君
   中井 光次君   稻垣平太郎君
   林屋亀次郎君   鬼丸 義齊君
   櫻内 辰郎君   木内 四郎君
   木檜三四郎君  尾形六郎兵衞君
   北村 一男君   加藤常太郎君
   西川 昌夫君   川村 松助君
   淺岡 信夫君  池田宇右衞門君
   堀  末治君   西川甚五郎君
   大島 定吉君   鈴木 安孝君
   大屋 晋三君   山田 佐一君
   中山 壽彦君   黒田 英雄君
   寺尾  豊君   草葉 隆圓君
   石坂 豊一君   柴田 政次君
  大野木秀次郎君   遠山 丙市君
   小林 英三君   松野 喜内君
   黒川 武雄君   松嶋 喜作君
   一松 政二君   大隅 憲二君
   深水 六郎君   平岡 市三君
   城  義臣君   小野 光洋君
   團  伊能君   中川 幸平君
   重宗 雄三君   西山 龜七君
   廣瀬與兵衞君   左藤 義詮君
   小串 清一君   水久保甚作君
   平沼彌太郎君   赤木 正雄君
   赤澤 與仁君   飯田精太郎君
   伊藤 保平君   井上なつゑ君
   岩本 月洲君   梅原 眞隆君
   江熊 哲翁君   大山  安君
   岡部  常君   岡本 愛祐君
   岡元 義人君   小野  哲君
   加賀  操君   柏木 庫治君
   河井 彌八君   川上 嘉市君
   木下 辰雄君   九鬼紋十郎君
   小宮山常吉君   小林米三郎君
   西郷吉之助君   佐伯卯四郎君
   佐藤 尚武君   島津 忠彦君
   下條 康麿君   田中耕太郎君
   田村 文吉君   玉置吉之丞君
   寺尾  博君   徳川 宗敬君
   中川 以良君   野田 俊作君
   波田野林一君   穗積眞六郎君
   堀越 儀郎君   松井 道夫君
   三島 通陽君   來馬 琢道君
   小杉 イ子君   宿谷 榮一君
   新谷寅三郎君   鈴木 直人君
   竹下 豐次君   高瀬荘太郎君
   高田  寛君   高橋龍太郎君
   伊達源一郎君   早川 愼一君
   久松 定武君   藤井 丙午君
   藤野 繁雄君   村上 義一君
   矢野 酉雄君   山内 卓郎君
   結城 安次君   渡邊 甚吉君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名  六十名
   中平常太郎君   内村 清次君
   天田 勝正君   島田 千壽君
   金子 洋文君   塚本 重藏君
   椎井 康雄君   齋  武雄君
   村尾 重雄君   下條 恭兵君
   門田 定藏君   小泉 秀吉君
   梅津 錦一君   原口忠次郎君
   中村 正雄君   山下 義信君
   山田 節男君   波多野 鼎君
   岡田 宗司君   大野 幸一君
   原  虎一君   伊藤  修君
   赤松 常子君   吉川末次郎君
   羽生 三七君   田中 利勝君
   大畠農夫雄君   岩崎正三郎君
   河崎 ナツ君   島   清君
   カニエ邦彦君   木下 源吾君
   森下 政一君   青山 正一君
   松本治一郎君   安部  定君
   松村眞一郎君   細川 嘉六君
   板野 勝次君   中西  功君
   鈴木 清一君   千葉  信君
   水橋 藤作君   木村禧八郎君
   堀  眞琴君   太田 敏兄君
   星野 芳樹君   池田 恒雄君
   藤田 芳雄君   丹羽 五郎君
   千田  正君   兼岩 傳一君
   羽仁 五郎君   國井 淳一君
   栗山 良夫君   河野 正夫君
   岩間 正男君   佐々木良作君
   姫井 伊介君   北條 秀一君
     ―――――・―――――
#169
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求める件(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#170
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長山田節男君。
   〔山田節男君登壇、拍手〕
#171
○山田節男君 只今議題となりました職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件につきまして委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず本法の内容について申上げますが、先に第二國会に提案せられました職業安定委員会委員の旅費支給額は、本年六月三十日國会の議決を経まして直ちにこれを実施いたしたのでありますが、最近の経済事情、特に現在進行中の物價改訂等による影響によりまして、甚だしく低額に失するに至りましたので、これが支給額の改訂につきまして、職業安定法第十二條の規定に基きまして、これを両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会の議決を得なければならないことになつておりますので、ここに提案せられたものであります。
 その支給額は、一應官吏の旅費額を基準として定められたものであります。即ち今回官吏の旅費支給額の暫定的な改定が行われましたので、職業安定委員会委員に対する支給額もそれに準じて改訂しようとするものでありまして、その増加額は一律に官吏の相当額の増加と同等に増加せしめた次第であります。而してその旅費額は実費を十分に賄い得るものとなつておるのでありまして、別表としてその旅費額を次ぎのように支給することに改訂せんとするものであります。即ち中央職業安定委員会長は、鉄道賃及び船賃は一等、車馬賃一キロにつき四円八十銭、日当一日につき百九十二円、宿泊料一夜につき甲地方九百六十円、乙地方七百六十八円、食卓料一夜につき百九十二円とし、同委員は、鉄道賃及び船賃一等、車馬賃一キロにつき四円五十銭、日当一日につき百八十円、宿泊料一夜につき甲地方九百円、乙地方七百二十円、食卓料一夜につき百八十円とし、地方又は特別地区職業安定委員会長は、鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロにつき四円五十銭、日当一日につき百八十円、宿泊料一夜につき甲地方九百円、乙地方七百二十円、食卓料一夜につき百八十円とし、同委員は鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロにつき四円二十銭、日当一日につき百六十八円、宿泊料一夜につき甲地方八百四十円、乙地方六百七十二円、食卓料一夜につき百六十八円とし、地区職業安定委員会長は、鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロにつき四円二十銭、日当一
日につき百六十八円、宿泊料一夜につき甲地八百四十円、乙地方六百七十二円、食卓料一夜につき百六十八円とし、同委員は、鉄道賃及び船賃二等、車馬賃一キロにつき三円九十銭、日当一日につき百五十六円、宿泊料一夜につき甲地方七百八十円、乙地方六百二十四円、食卓料一夜につき百五十六円としたのでありまして、右にいう宿泊料の甲地方は、勤務地手当の地区区分による特別地域とし、乙地方はその他の地方とし、鉄道旅行中宿泊する場合における宿泊料は乙地方の定額によることとしたのであります。而して本議案の目的とするところは、職業安定委員会の委員が委員会に出席する場合又は実情調査等公務のために本邦内を旅行する場合におきまして、それに要する鉄道賃、船賃、軍馬賃、日当、宿泊料等の旅費を増加支給して職業安定委員会の機能を十分に発揮せしめんとするものであります。
 本委員会は十一月二十日に予備審査を行いまして愼重に審査をいたしたのでありますが、次いで衆議院との合同審議会を十一月二十五日参議院において開催いたしまして、衆議院、参議院双方より各々その労働委員会理事が当該議案に関してましてそれぞれの労働委員会における審査の模様を報告したのでありますが、参議院側一委員より、第一に、この種の法律によつてできる委員会の委員の旅費は、今回改正案の成立と共にできる國家公務員法を主管する人事院が、今後かかる旅費額を決定することになつておるか。第二に、宿泊料の支給額を地方によつて分けているが現在の物價の趨勢を見ると、甲地と乙地とで宿泊料の差別が余りに大したことはないと思う。(「時間がなくなるぞ」と呼ぶ者あり)然るにこの改訂案を見ると、宿泊料の点について、甲地と乙地とは、可なりの差を設けているこの点が実際問題として政府は如何に考えているか。第三に、中央、地方の職業安定委員会の会長と委員との間の宿泊料、日当、食卓料の点についても、第二回國会においてその等差の改正を委員から希望せられ、政府委員もこれに善処すると言つて置きながら、その比率が依然として変つていないが、その理由如何との質問に対しまして、政府は第一の質問に対しては、その委員会の種々な関係を考慮して各省で決定することにいたしたい。第二の質問に対しましては、各地方によつてそれぞれ相当変更しなければならない事情もあり、又一般的の旅費の関係とも考え合せなければならないと思うから、相当の開きを認めることは止むを得ないことである。又第3の質問に対しては、六割増、五割増、四割増、三割増を刻む点につきましては、現在のやり方が大体そういう仕組になつておりますので、その仕組を準用いたしました次第であるが、官吏の現在の旅費の刻み方は尚暫定的な取決めということになつておりますので、この刻み方の問題は、労働省も大蔵省と連絡を取りつつ、将來とも十分続けて行きたい旨の答弁がありました。
 その他別段に質問もなく、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て右議案は原案通り可決せられたのであります。
 次いで十一月三十日衆議院より本院に送付せられまして、本審査を行つたのであります。政府からは竹下労働省政務次官、斎藤労働省職業安定局長その他の政府委員が出席し、熱心なる説明及び答弁があつたのであります。‥‥
#172
○議長(松平恒雄君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後十二時散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第三乃至日程第五の請願
 一、日程第六乃至日程第十の請願
 一、日程第十一乃至日程第十七の請願及び日程第七十一、日程第七十二の陳情
 一、日程第十八乃至日程第四十九の請願及び日程第七十三乃至日程第八十の陳情
 一、日程第五十乃至日程第六十八の請願及び日程第八十一乃至日程第八十六の陳情
 一、日程第六十九の請願
 一、郵政省設置法案
 一、電気通信省設置法案
 一、戰災復興並びに学校建設資金の起債に関する請願外七件及び取引高税廃止に関する陳情外五件
 一、直江津、六日町両駅間に鉄道敷設の請願外十件及び富山港線拂下反対に関する陳情外一件
 一、放送協会のラジオ修理業界進出反対に関する請願外三件
 一、鹿児島縣に福岡高等裁判所支部設置の請願
 一、傷い者保護対策確立に関する請願外五件及び戰爭犠牲者遺族保護対策強化に関する陳情
 一、新潟縣の大口電氣料金区域変更の請願外二件及び絹人絹織物規格選定の自由性に関する陳構外一件
 一、縣道島地、鹿野線の一部改修工事促進に関する請願外十七件及び戰災都市短期復興に関する陳情
 一、昭和二十三年度補正予算に関する大藏大臣の提案理由の説明
 一、日本國有鉄道法案
 一、日本專賣公社法案
 一、財閥同族支配力排除法の一部を改正する法律案
 一、國家行政組織法の一部を改正する法律案
 一、引揚者に対する住宅建設の請願及び在外同胞引揚促進に関する陳情外一件
 一、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、船員職業安定法第八條第一項の規定による公共船員職業安定所の設置に関し承認を求めるの件
 一、市町村農地委員会及び都道府縣農地委員会の委員の選挙に関する特例に関する法律案
 一、選挙運動等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案
 一、司法警察職員等指定應急措置法案
 一、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案
 一、專賣局及び印刷局特別会計法の一部を改正する法律案
 一、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案
 一、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案
 一、公認会計士法の一部を改正する法律案
 一、國家公務員法の一部を改正する法律案
 一、職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件
ソース: 国立国会図書館
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