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1948/11/12 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第4号
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1948/11/12 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第4号

#1
第003回国会 法務委員会 第4号
昭和二十三年十一月十二日(金曜日)
   午後二時十六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○玉屋議員の逮捕要求に関する件
○副檢事の任命資格の特例に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより法務委員会を開会いたします。昨日当委員会におきまして、玉屋喜章氏の逮捕に関する事案について、議院運営委員会に合同審査の申入れをいたしましたのですが、すでに議院運営委員会は同問題について討論の間際に進行しておつた次第であります。連合委員会を開くに適しないというので、連合委員会は成立いたさなかつたのであります。取敢ず委員長といたしまして、発言を求めまして、玉屋氏の逮捕に関して、これを参議院が承諾するに適するや否やということについて、ここに列席の木内さんに説明を求めた次第でありますが、政府の説明といたしましては、玉屋氏はすでに証拠物件に対するところの幾多の改竄を行なつた事実があつた。又他の事件がすでに起訴されておりまして、その事件が公判に廻つておるにも拘らず出頭しないので、久しく延びておるというような事情があり、且つ事案の内容が相当複雑を極めておるので、証拠湮滅の虞れがあるものと認めて逮捕を要求したのであると、こういうような御答弁がありまして、その釈明をお伺いしたに止まつた次第であります。以上御報告申上げて置きます。尚幸い木内さんが列席されておりますから、その点に御質問がありますれば、当委員会でお尋ね頂いてもよろしうございます。
#3
○遠山丙市君 別に木内さんの御説明を願わないでもよろしいのですけれども、今後やはり法務委員会としても相当取上げねばならんと思われる法律問題が出て來るだろうと思いますから、この玉屋さんの場合は委員長に一任した形がありますので、我々注意はいたしておりますが、委員長においても、そういう場合は一つ如才なく御考慮を願つて、連合委員会を開くように御考慮を願つて置きます。
#4
○委員長(伊藤修君) 承知いたしました。その問題についてお尋ねある方はありませんか。
   〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(伊藤修君) では副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。前回政府より提案理由並びに内容の説明がありました。本日はこれに関する質疑を継続いたしたいと思います。
#6
○大野幸一君 提案理由の御説明と重複する場合があるかと思いますが、お許しを願いたいと思います。先ず副檢事の過去一年間における任用数というもの、それを全國及び各高等檢察廳別にどのくらいあつたか、こういう点であります。そして次には副檢事の中で、檢察事務官に相当面白からざる人があつたのですが、それと似たような事例があつたかないか、あつたならどのくらいあつたものか、こういう点と、第三点はなるべく弁護士から檢事を任命するような努力が必要と思うが、この檢事任用数、過去一年の期間内に弁護士からどのぐらいの人が檢事に採用されたか、こういうような点を御説明願いたいと思うのです。尤も計数に亘る統計的のことについては只今でなくても、御準備なければ後日これを提出して頂きたいと思うのであります。
#7
○政府委員(木内曾益君) お答えいたします。この一年間の副檢事任用数は提案理由で御説明申上げました通り、この特例による分が二百三十七人の採用をいたしたわけであります。併しこれを各高等檢察廳管内別に何名ずつになるかということは明瞭になつておるわけでありまするけれども、只今その資料を持合せておりませんから、いずれ後刻その表を提出することにいたします。
 それから次は、副檢事で採用された者でいろいろ不正行爲をやつた者があるかないかというお尋ねでございますが、檢察事務官の場合はいろいろ問題を起しておりますが、只今私の承知しているところでは副檢事でさような事件を起したというのはないと思つております。
 それから弁護士から何人ぐらい最近檢事に採用したかというお尋ねでございますが、その数も分つておるのでありまするが、今手許にその資料を持つておりませんから、正確なことは申上げることはできません。それで、いずれ後刻書面を以て御報告いたしたいと思います。大体その数はまあ大した数に上つていないのでありまして、私共の方といたしましても、在野法曹から成るべく優秀な人に多数お入り願いたいと思つて、各弁護士会にもお願いしておりますし、いろいろ又個人的な関係を辿りましても、いろいろ勧誘をいたしておるのでありまするけれども、なかなか希望者がないので困つておる次第であります。
#8
○深川タマヱ君 外のことであつたら、かけ替もできるかと存じますけれども、何分人間一生に一度あつては大変だというような重大問題を裁きます檢事の資質が、この副檢事の範囲を拡めることによりまして、段々と下つて行くということは、國家的に見て憂慮すべきことであると存じます。殊に今日の日本の段階はこの質と能力を充実させまして、連合國から信用して頂いて、完全独立達成の線に伺つて進んで行かなければならない時でありますので、この三権分立の檢察陣の充実ということは非常に大切だと存じます。その上に、殊にこの頃は労働攻勢が盛んで、事実法廷侮辱が頻発いたしておるような事情に鑑みましても、檢察当局としての権威を維持する上からも、どうしても檢事の資質は下げることができないと存じますが、そのくらいのことの分らない人はございませんが、結局予算の問題で檢事の給料が上げられないため優秀な檢事が逃避するのだろうと存じますけれども、むしろ副檢事の範囲を拡めることよりも、百尺竿頭一歩を進めまして、予算の方の操作をして貰つて、檢事の数はそう沢山要らないのでありますから、予算の方を充実して貰つて、どうしてもむしろ優秀な檢事で充実するという線に向つて行かなければならないものだと私は考えております。で、この委員会からも檢事の給料を上げるというような法案が提出できないものか知らんと考えたりいたしますけれども、如何でございましよう。
#9
○委員長(伊藤修君) 只今のは政府委員にお尋ねですか。
#10
○深川タマヱ君 はい。
#11
○政府委員(木内曾益君) 只今お話の通りでありまして、私共もさように考えておる次第であります。そうして無論副檢事よりも檢事を以て充員する方が一番いいのでありまして、而も檢事も優秀な人を多数集めることが一番大切なことであると、私共もかように考えておるわけであります。先般國会の御承認を得まして、檢察官の給與も他の官吏よりは特別の給與を受けるようになりまして、そのため現在多少浮き腰でありました檢察官も落着いて仕事をいたしておるような次第であります。、そうして給與も変りましたので、今後の見通しは現在より以上の希望者が出るものと考えております。併しながら御承知の通り檢事を仕立てますのには、その間に司法修習生の期間があるのでありまして、如何に優秀な人でありましても、直ぐ檢事に採用することができないことになつておるわけであります。そこで、相当先を見越さなければならないような現状にあるのであります。先程も大野委員から御質問がありましたように、在野法曹から來て頂ければ、これは直ぐ充員できるわけでありますけれども、この方もなかなかその希望者が少いわけでありまして、私共も非常に困つておる次第であります。無論これは更に予算的措置をお願いいたしまして、より以上に優秀な人が來るようにいたしたいと、かように考えております。尚副檢事の資格を下げることによつて素質に影響を與えるのではないかという御趣旨の御質問のようでありましたが、これも一應御尤もなことでありまするが、この資格というものは本來二級官三年ということになつておりまして、二級官三年をやらなくても優秀な人も相当あるのであります。從つてこの三年という制限があるために、優秀な人があつても副檢事に採用できないというような事情にありますので、この枠を外すことによつて却つてより優秀な、而も若い人を余計に集めることができるという考えからこの特例を設けることにいたして、一年間の実績によつて見ましても、大体皆成績がよいのでありまして、いわゆる正規資格者で採用されたものと比較いたしまして、決して遜色がないのでございます。從つてかような優秀な人を成るべく廣く多く集めたいという考えから、更に一年の御延期を願つておる次第でございます。
 それから檢察官の仕事の大切なことは勿論のことでありまするが、大体副檢事の仕事というものは区檢察廳の仕事でありまして、檢察事務の仕事といたしましては比較的重要でないと申しますると語弊がありまするが、まあ簡單で割に手数のかからん、而も明瞭のような事件を主として扱わせることにいたしておりますので、そのために御心配になるようなことはないと、かように考えておる次第でございます。
#12
○齋武雄君 昨年この改正に…。
#13
○鬼丸義齊君 今日は採決になるようなことはないのですね。
#14
○委員長(伊藤修君) 質疑だけ終つて…。
#15
○鬼丸義齊君 全部質疑は打切りますか。
#16
○委員長(伊藤修君) 大体打切りたいと思つております。
#17
○鬼丸義齊君 私ちよつと用があるので先によろしうございますか。
#18
○委員長(伊藤修君) では先に……。
#19
○鬼丸義齊君 副檢事の任用資格を非常に廣めましたことによつてすでに経験をされておることと思いまするが、それによりまする実績についてはすでに把握されておることと思います。ところがこの学識経験者となつておりますその範囲は、凡そどのくらいの標準にしておるのであるか、檢察事務に対します必要な学識経験となつておるようでありまするが、それについては凡そ標準というものが内規されておるものと思いまするが、その点を一つ伺いたい。
#20
○政府委員(木内曾益君) 大体高等試験を標準といたしております。
#21
○鬼丸義齊君 高等試験を標準とすると、高等試験に及第しておるということが必要になるわけですね。
#22
○政府委員(木内曾益君) 大体今までのところはそれを標準にいたしまして、高等試験に合格しておるものをいたしておるわけであります。
#23
○鬼丸義齊君 例えば裁判所書記であるとか、或いは警察官であるとかというような方からこれまで採用せられておるというようなふうに私共聞いておりまするが、書記の人であつて高等試験に無論及第していない。又警察官においても何ら高等試験等のない人であつても副檢事に現に採用されておると承知しておりますが、何か私の質問の趣旨が徹底していないのじやないかと思います。これが第一点と、御承知の通り簡易裁判所の判事の任用資格について、副檢事の任用資格の方で高等官三年以上やられたものであるということが從來の法則だと思つております。これに反して簡易裁判所の方にはそうした嚴格なる明記規定がなかつた。それがためにその補充に裁判所書記から大分採用いたしましたら、結果として甚だその成績がよくない。現に裁判所書記であつて、三級官の人が簡易裁判所の判事に任用される一方、前回の委員会であつたと思いますが、簡易裁判所の判事の俸給等を定めるときの大体の標準としては、半数が一級官、その残りの年数は課長級相当以上の給與とするというようなことに俸給の定めをしたと記憶しております。そういうことになりますことによつて、三級官の書記の人が簡易裁判所の判事に任官されて、直ちに課長級相当の待遇を受けるということのために非常に不自然な結果を生じて他との権衡を失う。從來の簡易裁判所の判事として相当立派な方、優れた人がありまするに拘らず、その人と同列なる三級官の簡易裁判所の判事ができたということで、著しく從來の裁判官を刺戟することになつて大変狼狽したと承知しております。そのいわゆる苦い経験に基いて最高裁判所の方では、簡易裁判所の判事の任用については、今後はそうしたような方面から採ることは取止めたらどうか。こういうふうに私共は聞いております。すでに簡易裁判所判事の任用についてやや副檢事の任用と同じような性質になられます立場にある場合において、僅かな期間の経験によつて、直ちにその非を悟るというふうなことになりますることを考え及びまして、副檢事の採用についても先にも他の議員の諸君からも御質問があつたようでありまするが、近來檢察方面におきまする檢察事務官の急設等と相並びまして、ときに非常に行き過ぎであるとか、或いは又檢察官の何んだか非常に品位が低下したというふうに世間から評價されているようなことをしばしば耳にいたしまして、私共は眉をひそめている。先輩多数の人が長きに亘つて日本の檢察陣を守つて頂きまして、公の信用は恐らく他國に見られざる程度の信用を博しているという檢察事務の信用が、こうした制度に禍いされまして、急轉直下するというような現状にあるのではなかろうかということを私は憂うるのであります。人員の補充もさることながら、職務の性質からいたしまして非常な重要なる仕事を預かることでありますから、この採用に当りましては、定める標準を厳格に一つお示しを願つて、そうして果してこの檢事採用について今日の改正されまする制度がいいか悪いかということについて私共考えておるのでありますが、併せてこの際一つ御意見を承りたいと思います。
#24
○政府委員(木内曾益君) 先程私がお答えしました学識経験の標準につきましては、私も考え違いをしておりまして、この点は前の方に亘つて一應取消しまして、改めて申上げて見たいと思います。今までの檢察事務官或いは警察官というような経歴のいわゆる司法警察事務、檢察事務に経歴のないような人で採用する場合は高等試験の行政科試験、或いは司法官試験、司法試験を通りますれば、司法修習生になりますけれども、修習生の期間は困るというような人で直ぐ副檢事になりたいという希望者の中から優秀なのを選んで採用しておつたわけであります。
 それから司法警察官及び檢察事務官につきましては、仮りに二級官でなくとも優秀な又十分副檢事たるの人格と能力とを持つておる者の中から採用いたすことにいたしておるわけであります。そこで制度といたしましては、実際上は先ず各地方檢察廳の檢事正の下におきましてそれぞれ候補者を挙げまして、一定の期間実務の修習もやり、そうしてその結果試験をやりまして、そこで檢事正が檢事長に上申することになつておるわけであります。そうしますると、各高等檢察廳におきましては、その管内の檢事正から上申されたものを更に集めて試験をやりまして、そうしてこれならば適任だと檢事長が認められた場合において、檢事長から更に法務総裁に上申して行くことになつておるのであります。一方政令によりまして、御承知の通り副檢事選考委員会というものがありまして、そこで初めて選考委員会にかかりまして、そうして選考委員において又それぞれ口頭試問をいたしまして、そうして檢事正の見た成績と、檢事長の見た成績と、それから選考委員が直接口頭試問をやりまして得た成績とを総合いたしまして、そうしてこの中で副檢事たる資格が十分であると思う者の中から採用することにいたしておりまして、この採用の方法につきましては、嚴選主義を取つておるわけであります。從つてそのいわゆる一年間の特例をお許し願つておりましたが、その予定の通りの人間を募集できないというのは、その選考を嚴重にいたしたためでありまして、その点を一つ御了承願いたいと思うのであります。
 それから簡易裁判所の判事のことについての御質問でありまするが、これは実は私の所管でないのでありまして、直接の所管は調査意見局の所管になつておりますので、尚詳しいことが御必要でございましたなら、調査意見長官にお聞き願いたいと思うのでありまするが、大体私の承知しておるところを申上げまして、それで御了承願えれば結構だと思うのであります。私の承知しておる点を申上げたいと思うのでありますが、御承知の通り、簡易裁判所の判事の資格を設けなかつたという点はどういう点にあるかというと、元の調停委員と申しまするか、そういうような制度を一應考慮に入れまして、本來相当の年配の人で、そうした司法部関係から申しますれば、所長、檢事正くらいの程度の経験のある人、或いは社会的に立派な人、或いはその土地土地の有力者で信望のある人そういう方々になつて頂いて、いわゆる調停委員のような形でそのまま行きたいというのが簡易裁判所の建前であつたために、当時資格も制限が非常に緩和されておるわけであります。ところがこの初め実施されることになりますると、簡易裁判所の判事というものは地方裁判所の判事の一憲下になつておるものでありますから、なかなか適当な人が得られない。そのために止むを得ず裁判所においては裁判所書記の優秀な者からこれを採用して、一應の穴を埋めたということになつたのであります。そのために部内的にも亦いろいろの論議のあつたこともお話の通りでありまして、で甚だ私共この点について遺憾に思つておつたのでありますが、最近はこの点について非常に皆認識が新たになりまして、私の承知している範囲内では、大審院の部長をおやりになつた方、或いは地方裁判所の所長とか、或いは檢事正、或いは檢事長というような地位におられて引退しておられる方々が段々この地位に就いて下さるように今日なつておるのでありまして、裁判所においても、今後その方向でこの簡易裁判所の判事を補充して長く意向を持つておるようでございます。
#25
○鬼丸義齊君 こういうようなことを私は承知しておりまするが、只今刑事訴訟法の臨時措置法が出ましたことによつて、この臨時措置法による逮捕状の請求、或いは家宅捜索の令状の請求というような場合に、その疎明の方法が普通の裁判所に出す場合には、疎明を或る程度親切なると申しましようか関係書類を十分に備えるに非ざれば令状の発令がないというようなところから、その令状を簡易裁判所に持つて行つて、そうしてそのただ一片の疑うに足るべき理由があるということだけで以て訴訟がある、或いは関係人の陳述があるということの二、三の事実のみによつて令状の発令を求めておる。こういうことが殊にこの簡易裁判所管内において多い、事を割つて申しますれば、いわゆる副檢事側においてそういうことを励行している場合が多いというようなことで以て、裁判所の方ではただ疑うに足るべき理由が果してあるものなりや否やということについての如何なる根拠に基くかという判断の基礎というものの関係証拠がないと分りにくいから困るということでも以て、或る裁判所はそれを拒絶して、或る裁判所はそれを求める承認をしているというふうになつておりますように聞いております。そこで近來檢察事務官の制度が行われましたがために、檢事局に主任檢事なら主任檢事、部長檢事なら部長檢事の名を以て召喚されて、そうしてそのまま檢察事務官によつて調べられる、或いは副檢事によつて調べられる。ところが調べを受けて帰つた者の殆んど大部分がその檢事、檢察事務官でありますが、その言動が如何にもどうも從來ある檢事と認めがたきようなふうな態度、若しくは言動によつて、一般人に接している。こういうことを召喚を受けて調べを受けました者の殆んど大部分が保証をしているのであります。それで喚び出しの方では檢事の名前を以て喚び出す。調べるときにはその人の名前を言わずに、副檢事は本檢事を擬裝して調べをし、檢察事務官の方は副檢事或いは檢事を擬裝して殊更に名前を言わずして、甚だ怪しげなる態度を以て調べるというようなことのために、檢察方面の信用が著しく近來非難、批判を受けていると聞いております。副檢事に関する法案の審議でありまするが、今日のごとき檢察事務官のようなことの状態で行きますると、私共は檢察官に対しまする公信用の前途を考えますると誠に寒心に堪えない。さだめし監督者の地位にありまする政府委員におかれましては、恐らくはこの檢察事務官、並びに副檢事の教養につきましては格段なる注意を拂われ、尚又將來に対する改善についての御意見を十分にお待ちだと存じます。この機会にお聞かせを願いたい。
#26
○政府委員(木内曾益君) 第一の逮捕状の請求及び捜索等の令状の請求についての地方裁判所に対する扱いと、簡易裁判所に対する扱いとの点につきまして御質問がありましたが、大体場所によつて多少違つているところがあるかも知れませんがこの逮捕状等の請求は原則として簡易裁判所で扱わせるという方針をとつているのでありまして、地方裁判所で扱う場合は止むを得ない場合とか、或る特殊の場合に大体限つておるのでございます。地方裁判所で請求したが出してくれないので又こつそり簡易裁判所の方へ持つて行つて令状を請求する。そういうようなことは私の承知しておる範囲内ではございませんし、又その取扱いを地方裁判所の方は非常に嚴重にしておるが、簡易裁判所の方は粗略にいたしておるというような点も、私の承知いたしておる範囲内におきましては、さような点はないと思つておる次第でございます。併しこの点につきましては私共の方も十分注意いたしまして、御趣旨が全部に徹底するようにいたしたいと思つております。
 それから次に副檢事なり、檢察事務官の取調の態度等についての御注意のありました点につきましては、これは仰せまでもなく、私共が常に実は心配いたしておるところでありまして、この点は機会ある毎に十分注意もいたし、戒飭もいたしておる次第であります。取調に当りまして檢事の名を以て喚び出しをして、そうして事務官が調べるとか、或いは副檢事が調べるということもこれは或いは全然ないとは私は申上げられないと思うのであります。大体私の承知しておる範囲内では檢事が直接調べる場合には檢事の名を以て呼出し、副檢事が調べる場合においては副檢事の名を以て調べるということにいたしておるわけであります。ただお話のように檢察事務官の場合におきましては、檢察事務官の名前で喚び出すこともありましようが、所によりましては、それが事件が檢事の事件に割当ててありまして、そうしてその檢事の補佐役として檢察事務官が仕事を分担といいますか、分けて貰つてやつておるという形で、即ち檢事の監督下において捜査をするという形をとつておる所も私は相当あろうと思うのでございます。そういう場合には或いは檢事の名を以て関係者を喚び出すということもあり得ると思うのであります。さような場合におきましてもこれは参考人なり、その他の人々を調べるに当りましても、その自分の地位と名前を先ず明らかにしても、そうして取調をすべきものであることは勿論でありまして、而もこの点はこれが又いろいろの御心配のように間違いを起す私は因であると思つて平生から心配しておる点でありまして、この点はもう常にさようなことのないように十分注意を與えておる次第でございまして、尚只今の御注意の点につきましては更に十分部内に徹底するようにいたしたいと、かように考えております。
 それから尚今後の教養の改善の問題等につきましては、これは絶えず機会ある毎に講習会等を開き、或いは所属檢事が直接指導をするというような方法で訓練をいたして行きまして、一方法務廳研修所ができておりまして、そこへ一定の期間入れまして、そうして修習をさせるというような方法を講じて教養をいたしておる次第でございます。
#27
○鬼丸義齊君 只今檢察事脇官が関係者を調べます場合にその名前と官名というのですか、相手方に告げて後に調べをすることにいたしておるという御意見で、大変私共はそれは適当な処置だと思いまするが、実際問題としてはそれが励行されていないと聞いております。それがために非常に訴訟関係者は一たび調べられて帰つて來て檢事の下劣な態度、下劣な言行、これに対しまして深刻なる批判をしておるように私は聞いて眉をひそめております。若し幸いにそういう御処置であるとするならば、速かに一つ原告檢察廳に対して、調べに当つては常にそういう態度を以て調べることに、一つ御訓令を願えば大変よいのではないかと思います。それからそれに直接関連いたしましてこの頃逮捕状並びに家宅捜索等の令状の発布につきまして、その請求が全然檢事の手を経ず、司法警察官が直接裁判所に請求書を出してよろしいということを、最近法務廳の方から全國警察官に訓令を出されて、最近そういうふうなことになつたと聞いております。これは現場の檢事一般に対しまして著しく大きな刺激を與えて、批判の中心になつておることを聞いておりますが、私共考えて見ましても、副檢事まではいたし方がないといたしましても、全然司法警察官が何ら檢事局と関係なく、独立して令状を裁判所に直接請求をして、檢事及び副檢事の方は全然その令状の発令については干與していないということについては、逮捕状といい、又家宅捜索の令状といい、共に重大なことで簡易裁判所制度を作つて從來警察官の即決令等によりまする弊害を矯めんがための制度を、又元に返すような感がしてならんのであります。やはりこれは従來のごとくに、とにかく令状の請求は檢事若しくは副檢事の手を経て裁判所に請求し、同時に裁判所の方においてこれは令状を発することが適当であるかどうかということを十分に判断される資料を私は檢事局の方も出されて、そうして両者相携えて人権尊重の趣旨に副うように運営して頂くことが肝要ではないかと思います。その点について檢務長官の御意見を伺いたいと思います。
#28
○政府委員(木内曾益君) この点につきましては、新憲法が施行され、次いで應急措置法が実施されるようになり、当時からの非常な論議のあつた点であります。警察法の精神からいえば、警察官は独立して捜査できるのであつて、從來のような檢察官の指揮下にあるのではない。從つて独立に逮捕状の請求をすることができるという建前を堅持する向もありましたが、私共の方といたしましては、仮に一歩を讓つて、理論は別といたしましても、只今御心配になられたと同じような私共の心配からいつても、どうしても一應檢事の手を経由するのがよいのじやないか。又実際問題といたしまして、檢事の手を経ることによつて、逮捕状の請求の手続きについて不備な点、そういつたものがあつた場合におきましては、予め注意をしてやり、そのまま裁判所に持つて行つたとしたならば、つつ返されるというような場合もあり得るのでありますから、それを檢事があらかじめ目を通し、そうして注意を與えることによつて、円満に遂行できておつたようなわけであります。それから尚檢事の手を全然離れてしまうことによつて、幾多世の疑惑を受けるようなことも起りはしないかというようなことも、当時非常に論議されたのでありまして、結局司法警察官職務規範の特例を設けまして、必ず、檢察官の手を経由しろということになつておつたのであります。ところが最近その点になりまして又問題が起りまして、その前に新刑事訴訟法の法案を作る際にも特に條文にその点を明らかにしようとして、削られたというような実情もあるのでございます。そのためにとにかく從來のような檢察官の手を通すということがいけない、こういう方の論が勝ちまして、そうして遂に一定の條件以外のものは檢事の手を経なくても、直接裁判所に警察官から逮捕状の請求ができる。こういうふうに改正されたのは事実であります。
#29
○委員長(伊藤修君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#30
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
#31
○鬼丸義齊君 近來私共曾て経験せざる、多数の有力なる社会的地位にありまする者が、無罪の裁判を受けた事件が頻々として起りますこの現状です。これはこうした日本の姿が從來と変つた姿になつておりまする結果も多いに理由がある。ありましようが、私の聞いておりますところによれば、大官高位にある者が社会的に何らかの疑を受けておるというふうな場合には、疑わしき者は先ず裁判によつて黒白を明らかにしろというふうな趣旨から、もとより十分なる確信なしとは責任者としては言われないでありましようけれども、ともかくも從來の行き方とはその点については確かに檢察官の方で考え方が違つておるのじやなかろうかと思いますのは、これまで曾てこれだけの高位大官の人が犯しました事件について、頻々として起る無罪の判決の事実については、何らか起訴についての檢察官の方では、從來と異つた意見を持つに至つたのではなかろうかということを、私はこの頃心配しております。若しそれ多少その方針に変つたところありといたしましたならば、この際お聞かせを願いたい。
 それから又無罪事件が起りました場合においての監督者としての檢察廳の取扱いはどういうふうなことをいたしたのであるか。言うまでもなく起訴を決するには客観的の疑いに足るべき証拠に基く客観條件が完備して後に、罪がありという恐らく断定の下になされたものだとは万思いまするが、それにいたしましても、從來ない最近の現状に対しましては、恐らくは私は國家的に大なる批判の的になるべきものではなかろうかと思います。その点についての根本方針に変りがあるといたしましたならば、この際お聴かせ願いたい。若しそれ副檢事等について新らしい制度が行われ、檢事の素質に由來するものであるといたしましたならば、尚以て本法案の審議等については私共一段の考慮を拂わなければならんと思いますから、この際檢察官の起訴に対します從來と変つたる方針がありといたしましたならば、お聽かせ願います。
#32
○政府委員(木内曾益君) 御質問の第一の点につきましては、私共の方といたしましては別に從來と方針が変つたわけではございません。ただ最近いろいろ社会の耳目を惹くような事件が瀕発して参りましたために、ただそのために非常に世間の注目を惹いておるので、さような事件ばかりをやつておるのではないかというふうな御心配も御尤もと思うのでございまするが、別にそういう点につきましては、私共の方といたしましては從來と何ら変つてないのでありまして、小さい事件であろうと大きい事件であろうと、有名な事件であろうがなかろうが、犯罪がありそうして捜査の結果起訴しなければならないということになりましたものは起訴をしておる、或いは檢挙もするという建前でありまして、從來とその点は少しも変つておらないのでございます。
 次に最近いろいろ世間の耳目を惹くような事件で無罪になる者が多いが、この点についての監督者としての取扱いをどうするかという問題の御質問につきましては、私も成る程いろいろの大きな事件、世間に影響を與えるような大きな事件が無罪になつた例が幾つもあるということは、これは私共としても申訳ないと考えておる次第でございます。併しながらこの無罪になつた場合について、如何なる処置を取るべきかということにつきましては、檢察官が犯罪捜査をいたしまして、そうして法の規定する範囲内において犯罪の嫌疑があつて、そうして起訴すべき案件だというものは、これは起訴しなければならないと考えております。そうしてそれが仮に無罪になりましても、これは訴訟法の建前から行きましても、檢察官の起訴したものが全部有罪を予想しておるわけではないのでありまして、無罪になるのもこれは起り得ることを予想しておるのであります。たださような場合に起訴する場合におきまして、成程形は法律上妥当なと思われる形で起訴しても、その起訴について不正があるとか、或いは起訴すべからざる者を故意に悪意を以て起訴するとか、その他非難を受くべきような考えでかような取扱いをいたしたといたしましたならば、これはもうさような者に対して懲戒等適当な処置を講ずべきものであることは、私が申すまでもないことであると考えるのであります。併しながら通常の場合におきましては檢察官といたしまして、仮にその後無罪になりましても、起訴するときにおいて、この程度のものならば、これは起訴が正当であるということであるならば、その後無罪になりましても、責任を負うべき、いわゆる監督者としてその仕事を担当する者に対して責任を負わすべきものではないと、かように考えておる次第でございます。
 尚無罪になりますると、更にその後におきまして上級、例えていうならば地檢の無罪につきましては高等檢察廳等におきまして、更にその記録を檢討いたしまして、そうして起訴のときに果して捜査が十分であつて、尚且つ起訴したが、その後のいろいろの事情によつて無罪になつたか、それともそのときにこれだけの十分の更に捜査をしておくならば、かような結果にならずに済んだかどうかというような点をよく檢討いたしましてそうしてかような無罪記録につきましては、その確定記録の審査をやりまして、そうして他のものに対して更にさような感を起すことなきようにその結果を照して、そうして執務上の参考にしておるような次第でございます。
#33
○鬼丸義齊君 私のお尋をいたしました第一点についての、疑わしきは裁判によつて黒白を明らかにするということについての説明がありましたが、前鈴木法務総裁は、この点については特に新聞に報道されておつたと記憶しております。多分西尾君の問題が起つたときでないかと思います。從來の方針とはその点において変つて、高位大官の者、或いは社会的地位の高い者であつて、世間で或る疑いを被つた場合には、それを捜査をして、一應疑わしきものだと見るならば、裁判によつてその黒白を明らかにするということになつたのである。それは時代の要求であるということで、多分新聞に報道されたと記憶しております。果してそれならばこれは從來にない大きな方針の変更だと思いました。先程お尋ねいたしましたが、その鈴木法務総裁の意見というものは、鈴木総裁一個の意見であるか、或いは法務廳全体の意見がそうなつたのであるかということを私はお聽きしたわけであります。その点をもう一つ突込んでお聽かせ願いたい。
 第二の無罪事件に対する監督者としての調査、もとより故爲或いは殊更に構えて罪なき者を罪ある者として起訴したとするならば、懲戒どころの騒ぎでない。それこそ職権濫用であつて、刑法上の犯罪を構成するのであります。私のお聞きしておりますことは、そういうようなことではない。職務の執行について適当ならざることによつて起訴の運びをなしたのじやないかということに対する、いわゆる行政上の監督者としての扱いをどういうふうにしておるか。無罪者が出たからそこでその扱いが起訴当時における、その起訴は、先程御説明がありましたごとくに、これだけの証拠を備えておるならば大丈夫だという、その証拠の集め方が足りなかつたか、用意が足りなかつたかというようなことであるとするならば、監督者として相当なそれはやはり責任を私は明らかにする必要があると思います。恐らくその点については無罪事件の調査は、特段なる方法によつて監督上なされておるものだとは信じますが、如何にも故意或いは金銭上或いは利害関係による事件の扱いをしたということがありとするならば、それはもう行政上の責任くらいではなくして、大きな問題が起るということは言うまでもありません。そういう趣旨であります。そうして細心の注意と、人権を尊重する意味において、いわゆる世間の切捨御免というようなことに批判をされるようなことがあつてはならない。こういう趣旨から監督者としては十分な私は注意と監督上についての最善を盡しておるものだと思いますので、その点をお尋ねいたしたわけであります。この点を一つ若し具体的に御説明ができますならば承りたいと思います。
#34
○政府委員(木内曾益君) 第一の鈴木法務総裁が西尾事件のときに新聞で事件の捜査方針と申しますか、そういうものに対して從來と変つたような御意見を発表されたということは、実は私はそういう新聞記事を見ておりませんので、どういうふうな表現でございましたか分りませんから、ここでその点についてお答えすることができませんが、檢察当局といたしましては、先程御説明いたしました通り、從來と檢察の取扱方針については変りはないということを更に申上げて御了承願いたいと思うのでございます。
 それから無罪事件の問題に対するその後の処置でございますが、お論は誠に御尤もでございまして、私も先程申しました点の言葉の足りなかつた点は申訳ありませんが、無論そこに故意があり、不正なことがあつたとするならば、これはもう懲戒や、そういう問題ではないことは、これは勿論であります。要するに私の申しまする趣旨は、その事件が仮に無罪になつたといたしましても、その起訴までの手続きにおきまして、檢察官としての細心の注意をして、そうしていわゆる法律上の手続に違背した点がなく、愼重な態度で、この程度の犯罪の嫌疑があれば起訴をしてよろしいという確信の下に、起訴いたした場合におきましては、勿論無罪になつたところがなんら責任を負うべきものではないと考えるのであります。
 尚捜査技術上のために、その人の捜査能力が十分でなかつたがために、或いは無罪になつたという場合も御説の通りあり得ると思うのでございます。併しながらその人の力の問題ではそうでありまするが、その人といたしましてはいわゆる精一つぱいの努力をしてやつたということであれば、仮にそれが無罪になつたところで、これ亦何らその事件についての責任を負うべきものでないとかように考える次第でございます。併しながら監督者といたしましては、さような者を尚一層指導して再びそういうふうな過誤と申しますか、犯させないように十分訓練いたし、注意をいたし、或いは再び他の者をしてもさような同じようなことを犯させないようにするために、十分なる監督者としての注意を與えるというような方法でこれを補つて來ておる次第でございます。
#35
○鬼丸義齊君 先程の御答弁中にありました檢察廳において、関係者を取調べるに当つて、その取調官の官名というのですか、それと名前とを告げて調べるということについて御意見がありましたが、私は大変いいことと思いますので、でき得べくんばこの際、全國の檢察廳にそうした訓令を出して頂くことにお願いいたしたいと思います。私の質問を終ります。
#36
○政府委員(木内曾益君) よく承知いたしました。
#37
○齋武雄君 檢事の教養について先程から應答がありましたが私は具体的な例についてお伺いするのであります。
 それは新潟管内で親族窃盗事件があつたのであります。親族間において窃盗したという事件でありまして、これが当然免訴となるべきものでありますが、檢事は懲役一年を求刑したのであります。ところが判事は分らずに一年の判決をした。檢事はそれに対して控訴をしたのでありますが、控訴によつて免訴になつたという事件がありますが、それを御承知であるかどうか。
 今一点は、副檢事でありますが、警察官上りの副檢事の亭主を妻が告訴したのであります。亭主が姦通して依願退職という事件がありますが、これを御存じであるかどうか。これを一つ。
#38
○政府委員(木内曾益君) 実は二つとも私は聞いておりませんし、報告もないものでありますから承知いたしておりません。若し何か御必要でありますならばその檢察廳及び事件名、関係者の名前等をお知らせ願えれば調査さして御報告いたします。
#39
○齋武雄君 新潟管内にあつたということであります。今年の八月ですか。
#40
○政府委員(木内曾益君) どこの檢察廳でありますか。
#41
○齋武雄君 親族窃盗事件で……。
#42
○委員長(伊藤修君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#43
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
#44
○遠山丙市君 ちよつと一つ事例を引いて御注意を喚起し、御答弁を願つておきたいと思うのでありますが、窃盗事犯等頗る簡単な事件をまあ簡易裁判所で取扱わせるようにし、一應その副檢事のやつておるような形でありますが、これは先月であると記憶しておりますが、東京簡易裁判所第五部に繋属をした事件であります。窃盗前科十二犯という事件であります。この被告人は警察、檢事局を通しまして全部否認をいたしております。又その物的証拠も誠に殆んど物的証拠というものがない、証人、これも公判廷に呼びまして、その証人も誠にあやふやな証言をしておる。それでその多数の証人を呼び、その中には沢山の警察官も呼び現場も見て参るという事件でありました。こうなつて参りますと副檢事は殆んどもう仕事が身にならん、判事さんも非常にお困りになつたようでありまして、もうこれに対して私がやつた事件であつたのでありますからよく知つておりますが、補充尋問一遍せられるわけでもなく根抵から覆えつてしまつている。こういうようなことで誠に私は審理の上においても事件を取扱う上においても、檢察当局の全く権威に関わるものであると考えております。要しまするのに、窃盗事件というようなものは、ただ簡単な事件であるというので事務的にお取扱いになつて、そうして何でも簡易裁判所へ追込んでしまうということが私間違いの本であろうと考えておるのであります。目下控訴中の事件でありますが、それでやはりこういう窃盗事件で、通常ならば簡易裁判所へ行くような事件ではありますけれども、初めから否認しておるというような事件、而も前科が十二犯もあるというような事件、こういう問題はどうしても地檢へ持つて行つて貰いたいと思いますが、それとも事務的に全部ここへ押込むというおつもりでありますか、今後の御方針を承つておきたいと思います。
#45
○政府委員(木内曾益君) 只今お示しになりました事件そのものは私は承知いたしておりませんが、お話によりますとこれは非常に面倒な事件と私も推察いたすのであります。大体今御説明のような事件であつたならば、私自身の考えとしても本ものの檢事がこれはまあ扱うのがいいのではないかとかように考えます。東京区檢察廳におきましては、これは副檢事が全部統轄して一人の監督の檢事がおるわけでありまして、全部それが相談を受けて事件を処理しておる筈でございます。たまたま只今お話のような事件がどういう経過でその副檢事が取扱うことになりましたかは別問題といたしまして、十分今後はさような事件の扱いについて注意するように申しておきたいと思います。
 両窃盗事件だから全部区檢察廳にやらせるというような考えではないのでありまして、面倒な事件は仮に区檢察廳の管轄の事件でありましても、地檢においてこれを調べ、そうして裁判は簡易裁判所でやつて貰うのが妥当だと、かように考えました場合においては、そちらの方に移送して、そうして起訴するというような方法でいくということが、大体内部的には方針が決つておるわけでございます。十分その点につきましては、部内にも注意するように傳えて置きたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
#46
○宮城タマヨ君 ちよつとお伺いいたしますが副檢事の任命資格の特例によります採用を一ケ年間延長いたしまして、その後の見通しというものはどういうふうに付いておりましようかということでございます。それで現在の数を見ますというと、正規の採用者が百十八名でございますか、それから特例による採用者が二百二十七人で、これは丁度倍になつておりますでございますが、これは倍になつておりましても、檢事正その他が優秀な人材を愼重に選択なさつて、この一ケ年間の成績、実績は大変上等であつたという先程のお話を伺つたのでございますけれども、尚欠員が百七十五人ございますということになりますというと、実際の問題としましたら、人材が段々低下して來ないかというように案ぜられるのでありますが、その点如何でございましようかしら。それでそうなりますと、先程からお話に出ております捜査技術の指導や、一般の教養の点についても暫定的に考えるということよりも、やや永久的なものに取扱つていかなければならないようにならないかと思うのでございますが、その点如何でございましようか。
 それから今一つ伺いたいことは、この二百二十七人の中に警察官は一体ざつとどのくらいでございますでありましようか。先程の鬼丸委員からもおつしやつたように、檢事の質が大変落ちたというようなことが一般に言われておりまして私共も非常に残念なことだと思つておりますけれども、このことなんかもやはり警察官が警察行政に非常に長けておる優秀な人というのが、必ずしも檢察行政に長けておる人ということには私は直ちにならないと思います。この点なんかもやや心配されると思いますけれども、一体警察官がどのくらいでございましようか。一つざつとでよろしうございますから、今後警察官と、それからその他の檢察事務官なんかとの採用比率というようなこともございませんけれども、今後警察官の方から人材が沢山あつて採用されるような見込というようなことでもございますかどうでございますか。その点ちよつと伺いたいと思います。
#47
○政府委員(木内曾益君) 第一の今後の見通しについての御質問でございますが、これは、なかなか私共も心配いたしておる点でございます。これで、この一年延ばして行つて、その間において、この欠員の分だけは補充できますし、尚新刑事訴訟法の実施に伴いまして、副檢事の増員も考慮しておるわけでございます。それでそういうように段々廣くなつて多勢取るということになれば、その素質も段々落ちて來るのではないかという御懸念につきましては、誠に御尤もと思うのでございますが、又相当優秀なので採用したいと思つておるものもありまするが、実際すべての制限を外されたといいましても、実際上は檢察事務官といたしましても、僅かな経験しかないものから採るというようなことはいたさずにしておるために、その選考の範囲が非常に狭くなつておるのでございます。で、又尚、相当いいのも残つておるわけでございますし、この点については御懸念のないような人を採用するようにいたし、尚教養訓練については 一段の一つ工夫をしてやつて行き、御期待に副うようにやつて行きたいと、かように考えておる次第でございます。
 それから、この特例によつて採用になつてからの檢察官は何人ぐらい入つておるかというのでございますが、その数は無論警察官も入つておる筈でございますが、極く僅かな数になつております。正確な数字はいずれ調べまして、書面を以て御報告いたすことにいたしまするが、問題は何故この特例によらなければならなくなつたかという根本の問題を申し上げますと、初め三年という制限があつたわけであります。そうすると元の奏任官三年と申しますと、司法部門に殆どないわけであります。書記長制度が設けられまして初めて高等官になれたわけでございまして、その後有能な高等官というものがありましても、三年間のせいぜい古い三年やつておるというのは、まあ書記長の非常に古い、もう六十近いぐらいの人が三年以上というぐらいなものでございまして、非常に数が少いのであります。そこで三年以上の主として警察署長の古い人ということになつたわけであります。それで正規の採用の大部分が警察署長上りということになつておるわけであります。これでは御心配のように、どうも長い間一線の仕事をせず、長い間署長として行政的な仕事ばかりをやつておつた、そういう者が直接今度は一線の仕事をやるということになり、能率も上らない。併し三年という枠があつたから、結局直接署長の古いのを貰つて來なければ到底貰えない。それで部内或いは警察部内においても、警部級の人で優秀な人とか、或いは警視になり立ての優秀な人、そういう人が欲しいと思つても、貰えない、採用できない。又部内も亦優秀な者を以ても採用できない。やはり古い署長を使わなければならない。こういうことになるので、この特例を設けて頂いて、そのためにむしろ特例になりましてからの方が、私共の見ましたところでは優秀な者が集まつておると、かように考えておる次第でございます。
#48
○岡部常君 それに関連して、任用資格別の表、今の宮城さんの御要求に更に加えて、詳しく任用別による表を出して頂きたいと思います。宮城さんは警察官のだけ、その序でに詳しく出身職業別。
#49
○政府委員(木内曾益君) 職業別、前歴調べですな。
#50
○岡部常君 そうです。詳しくお願いいたします。
#51
○政府委員(木内曾益君) 承知いたしました。
#52
○深川タマヱ君 序でにちよつとお尋ねして置きますが、最近労働組合の方方の裁判の際に、しばしば法廷侮辱乃至訴訟裁判の妨害が相当ある事実に鑑みまして、近く法廷侮辱罪という法律を制定しなければならないという声を聞くのでございますが、今度の政府はこれに対してどういうお考えを抱いておられますか。
#53
○政府委員(木内曾益君) これは直接私の所管の問題でありませんので、十分御納得の参るように御説明できるかどうか疑問でございますが、私の考えておる程度で一應御説明いたしたいと思います。法廷侮辱罪に関する法案は、たしか今議会に提出されるということになつておるということを承知いたしております。私共も最近のいろいろの法廷の状況を見まして、或いはこういう法律の制定も止むを得ないのではないか、かように考えておる次第でございます。それ以上は、私といたしましては、ちよつと御答弁いたしにくいので、これは一つ所管のにお願いいたします。
#54
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑がなければ……
#55
○大野幸一君 質疑ではありませんが、議事の進行についてお願いいたしたいのですが、一委員が後から出席せられまして、自分は忙がしいから先に質問の順序を讓つてくれという場合におきましては、一つ簡單にして貰いたい。一委員が順序を譲つて貰つて置いて、一時間半もされては他の人が迷惑するだろうと思います。今後の議事進行について、この希望を述べて置きます。
#56
○委員長(伊藤修君) 鬼丸委員は極く簡單なものと伺つておりましたから、又お忙がしいようでございましたから、先に繰替えて発言を許可した次第でありますが、思わざる時間を取りまして、皆様に御迷惑をおかけしまして恐縮いたします。將來において十分注意したいと存じます。では今日の予定は大分狂いまして、そのために御迷惑でございましたけれども、十五、十六は当委員会は休まなければならんと思いますから、明日午前十時引続いて当委員会を開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
          大野木秀次郎君
           遠山 丙市君
           深川タマヱ君
           松村眞一郎君
  政府委員
   檢 務 長 官 木内 曾益君
   法務調査意見長
   官       兼子  一君
   法務行政長官  佐藤 藤佐君
ソース: 国立国会図書館
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