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1948/11/24 第3回国会 参議院 参議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第6号
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1948/11/24 第3回国会 参議院

参議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第6号

#1
第003回国会 運輸委員会 第6号
昭和二十三年十一月二十四日(水曜
日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本國有鉄道法案(内閣送付)
 (右法案に関して証人の証言あり)
  ―――――――――――――
   午前十時二十五分開会
#2
○委員長(板谷順助君) これより運輸委員会を開きます。会議に先立ちまして一言御挨拶を申上げますが、御承知の通りマツカーサー元帥の書簡の勧告によりまして、國家公務員法が改正されることになつたのであります。それに伴いまして、現在國有鉄道の機構改革をせねばならんということが問題になつておりまするので、これについて政府から國有鉄道法案なる原案が只今提出されておるのでありまして、御承知の通り鉄道事業は公共企業体として独立採算制を確保せねばならんということは、これは勿論のことでありまするが、今回の國家公務員法に基きまして、いわゆる労資関係、労働問題というような問題も、將來いわゆる企業合理化をする意味において、根本的に改正せねばならんと考えておるのであります。そこで先般衆議院において公聴会が開かれまして、いわゆる民間の各位の御意見も拜聽しておつたのでありまするが、併しながら我が参議院の運輸委員会といたしましては、二院制の本義に基いて、独自の立場においてこの問題を檢討したいという考えからいたしまして、本日皆さまのお忙がしい中を特に御出席を煩わしまして、御意見のあるところは忌憚なくお話を願いたい。或いは衆議院の公聽会にお出でになつた方で、更に御出席をお願いした方もありまするが、どうか私が今申上げました意味におきまして、十分御意見のあるところをお話願いたいと思います。
 そこで本日は議事の都合によりまして、お一人三十分程度に一つお願いをいたしたい。勿論短時間の間に十分意を盡すことできないかと思いまするが、若し各位の間に具体的な腹案をお持ちであつたならば、この際書面を以て一つお出しを願いたい。要するに本委員会において審議をせねばならんという問題の焦点は、現在政府が出しておる原案によりまして、國有鉄道が能率的に運営ができるかどうか、監理委員会の運用が適当にできるかどうか、又今後民主的運営が確保できるかどうか、それから労務管理が公正妥当にできるかどうか、独立採算制を確立することができるかどうかという点が、重大問題であろうと考えるのであります。どうかこの意味におきまして、御意見のあるところは十分お話を願いまして、我々がこの委員会で審議をする上におきまして、十分なる参考資料といたしたいと考えておるのであります。  本日は皆さまのお忙しい中を特に御臨席を煩わしまして、誠に有難うございまするが、この公聽会はいわゆる証人喚問の形式でありまするので、甚だ恐縮でありまするが、会議に先だちまして、宣誓を一つお願いすることにいたしたいと思います。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
   宣誓書
 良心に待つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
       証人 鈴木 清秀
       証人 片岡 謌郎
       証人 堀木 鎌三
       証人 神野 正雄
#3
○委員長(板谷順助君) それでは堀木鎌三さんから、御意見を一つ拜聽いたします。
#4
○証人(堀木鎌三君) 私から御指名に從いまして意見を述べさして頂きます。実はこの委員会から頂戴いたしました法案を拜見いたしまして考えられますことは、先程委員長からもお話になりました通り、確かに企業体といたしましては、労働問題が非常に重点的な部門を占める、経営の面から言いましても、いわゆる能率的運営から見ましても、独立採算制の問題から言いましても、経営の全般に関しまして、労働問題が大切だということはよく分るのでございます。と同時に先程おつしやいましたように、又法案にも出ておりますように、本問題が連合國の最高司令官の書簡に基きまして起りましたその原因等から見ましても、労働問題が重要な要素を占めているということは分るのでありますが、その労働問題と申しますか、いわゆる團体交渉、爭議行爲の制限でありますとか、苦情処理でありますとか、紛爭の調整でありますとか、調停に関する事項というふうなものならば、單にこの観点から眺めまするならば、公共企業体労働関係法案というものが別個に出ているわけでありますから、これによつて公益と労働問題との調和を図つて、現在ございますところの労働組合法でありますとか、労働関係調整法の例外規定を行えば事足るのであつて、組織変更と相成りますると、労働問題以外に、先程委員長も言われましたように、果してどういうふうな形態が一番いいか、どういう企業形態が最も適当かということから物事を見なくちやならない。こう考えるのでありますが、その観点で第一にやはり考えなければならんことは、日本経済の民主化に役立つているかどうか、或いは日本経済の復興という観点から非常にこの法案が意義があるかどうか、というふうなことが考えられるわけであります。そういう観点から、先程又御指摘になりましたように、経営の民主化、或いは経営の能率化、或いは独立採算制等の問題が取上げらるべきであろう、こういうふうに考えるのでありますが、この問題が第一條の規定からみましても、「能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として、」というふうな、非常に何と申しますか、包括的な、惡く言いますれば、非常に曖昧な規定によつて表現されているというふうな考えを持つのであります。即ち從來の官業の弊害を除去いたしまして、もつと能率的に運営する、或いは官僚主義的な経営をやめる、そうして民主的な企業形態にするというふうな点がどうしてもはつきりして來なければならない筈のものもあります。この法案はそういう観点から見てマツカーサー元帥の書簡に基きまして、示唆を受けて、パブリック・コーポレーションと申しますか、或いはガヴァンメント・コーポレーション、むしろ廣義のパブリック・コーポレーションの中の一つの狭義のガヴァンメント・コーポレーションの形態というものが考えられつつ作られたのであろうということは予想するに難くないのでありますが、そういう意味から見まして、私は確かに一つの行き方としては、ガヴァンメント・コーポレーションの形が現在の官僚機構というものから離れまして、考えられる一つの大きな問題であると思うのでありますが、そうなると、この法案が果してガヴァンメント・コーポレーションの目指しておるところの目的を達するかどうか、こういう観点を更に突込んで見なくちやならないのじやなかろうか、これはもう申上げるまでもなく、一つのガヴァンメント・コーポレーションの形を取ります以上は、非常に民間企業の能率的な経営というものを主眼にいたしまして、政治上の自主性でありますとか、行政上の自主性でありますとか、人事、管理、運営の自主性、或いは財政上の自主性というふうなもの、御参考に頂きました参考資料にもありますように、アメリカのコーポレーションとしては、少くともこの四つの自主性が備わらなければ、今申上げました観点に副うということが考えられないのじやなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。そういう観点からこの法案を仔細に眺めて見ますと、人事、管理、運営に関しましては、二十六條乃至三十六條におきまして、原則的には一應人事問題に関する自主性というふうな問題が職員に関しては採上げられておるということが考えられますし、いわゆる人事委員会の適用外に立つて、一つの自主性が認められておるということは考えられるのでありますが、第四章会計という所の三十六條以下におきますところの予算、決算でありますとか、現金の運用でございますとか、檢査だとか、その他の会計財務につきましては、三十六條におきまして、「鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体の会計を規律する法律が制定施行されるまでは、」というふうな言葉の下に、殆んど從來と余り変りがないというふうに考えられるのであります。いろいろ考えられますが、この点で二三氣が付きましたことを考えて見ますると、どうも資本の吸收方法につきましても、新らしい方法が殆んど考えられていないような氣がするのであります。四十三條で赤字交付金の問題が書いてありますし、四十四條に政府借入金の規定がございますし、四十五條に資金の貸付の問題というふうなものがありまして、これによつて鉄道を運営して参るというふうなことで、自分の力によりまして、廣く民間の資本を吸收するという考え方が何事も出ていない、全く國庫依存の形で以てやつて参つておる。それから現金運用につきましても、これは毎日非常に大きな收入が上る企業体でございますが、この資金運用の面につきましても、要するに從來の國庫金と同じ形で以て取扱われて、こういうものが一般金融の緩和、或いは金融面に動きます際には、國家全体にも役に立ちましようし、企業体自身としても非常に考える部分が多いと考えられますにも拘らず、從來の扱い方、公金としての扱い方以外は出ていない。こういうようなことになりますと、一体財政上の独立、自主性と申しますか、更に発展いたしまして、独立採算に向う基本的なものが何にも片影もない、少し極言をいたしますと、片影もないというふうな事柄になつて参りますと同時に、先ずこういう考え方で行くのだつたら、最近の民間企業体におきまして、いわゆる経済の三大原則で赤字の補填金はできない、或いは運賃の物價に影響を及ぼすような値上を考えられないというふうな、その他のいわゆる、まあ最近の経済三大原則で以て、民間企業が自から独立採算制を取つて、この日本経済を復興しなければならないという姿と睨み合して見ますると、非常に私としては異様な感じを感ずるのでありまして、少ともこういう問題に関しましても、新らしくコーポレーションになります以上は、それらについての方法、考え方が樹立されなければいけないのじやなかろうかというふうに考えております。又利益金の処分につきましても、一、二漠然とした規定がございまして、四十三條の二項に「別に予算に定める場合を除きこれを政府の一般会計に納付しなければならない。」と書いてあるわけでございまして、一体利益金の処分の順位というふうなものが、本來言えば、第一條の目的達成の財政的な裏付とて考えられなければならないので「別に予算に定める場合を除き」というふうな考え方で、一般会計に納付するということが書いあるだけでは、私に非常に本企業体の財政的な裏付、第一條の目的達成のための財政的な裏付が足りないのじやなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。それから予算、決算につきましても、殆んど全面的に從來のごとく運輸大臣を経て大蔵大臣の監督というふうな要請でありますし、会計検査についても同様である。又予算不成立の場合にこういう企業体がどう運営すべきかという点につきましても、実は規定がない。こういうふうな情勢なんでありまして、私は本法案においては、この企業体が実際その目的を達成して参りますところの、第一條の目的を達成いたしますところの財政的な裏付というものについて、財政面からも、経理面からも、現金運用面からも、会計檢査面から見ましても、非常に達成が困難でなかろうかということを痛感いたす次第であります。先程申上げましたように、少くともそういたしますると、本法案で以て先程申上げました公共金業体の会計を規律する法律というものが、いつまでにできなくちやならないかということは、最小限度この法案を審議するについての考えられなければならない問題である。もう少し突込んで申しますと、少くとも次の通常議会までには、これらについての一つの意見が纏りまして、法案ができることを希望する次第でありますので、できますれば、その点についてお考を願えたら非常に結構でないか。と同時にこれを官僚にのみ任すわけにいかないので、どうしてもそれをやつて参りますところの手続が併せて考えられなければならん問題である、こういうふうに考えるのであります。
 それから先程御指摘になりました問題に関連しましての問題でありますが、一体行政上の自主性があるか。特にこの監理委員会なるものがどういう働きをするのかというふうな点につきまして、少しく私の考を申上げたいと思うのであります。
 この法案を見ますと、第五章監督というところには、五十二條一五十三條、五十四條、誠に法三章を以て運輸大臣の監督を如何にも制限しておるように見えるのでありますが、どうも私自身には、この点につきまして、少しく私見を申上げますと、如何にもそう見えますが、実はこの一つの公共企業体としての公法上の法人でありますが、できました時に、これは各省の監督が相当沢山適用されることになつて、手続上煩瑣になるだろうということが考えられるばかりでなく、法三章とでも申しますか、運輸大臣としましても、これは五十四條において相当包括的な監督命令出せることになつてあります。それから先程申上げましたように、財政面におきましても、殆んどこれが運輸大臣の一應指示、承認を受けなければならないような点も認められる。こういうふうになつて参りますと、残りますところの運輸省の機構にもよるのでありますが、やはりこれはもう私ここで率直に申上げますと、一体監理委員会を設けることと、運輸省の機構を、あとどう残すかという問題とが非常に不徹底だと思うのであります。率直に申上げまするならば、こういうここに書いてあります監督上の問題、或いは予算、決算等の問題こそ、どうも本質的に申しますと、監理委員会を作りました性格から言いますと、私は監理委員会の使命でなかろうか。運輸大臣の監督でなくて、本來監理委員会のやることがこの監督の章に出ておる問題、予算、決算の問題等でなかろうか。今度は監理委員会の実は機能的の使命を見て見ますと、監理委員会は第十條でございますが、「監理委員会は第一條に掲げる目的を達成するため、日本國府鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有する。」ところがこの監理委員会は一体何をするかということについてのはつきりした点がないのであります。凡そこういう規定を設けられる以上は、総裁として運営の責任者が、この監理委員会はどういうことだけは付議しなければならないかということが当然あつて然るべきである。監理委員会の使命、目的が非常にオブスキュアだというふうに考えられるのであります。そうなつて來ると、一体運輸大臣の監督というものが何だろうということを更に考えざるを得ないのであります。悪く邪推いたしますと、官僚がこういう規定を作るが、やはり監督機構は或る程度厖大なものを残すのでなかろうか。そうして、又差当り残さなくても、だんだんこの監督という名の下に、相当監督機構が厖大になりやしないかということも考えられます。と同時に、若しもこれだけの組織をお作りなんだと、一体運輸省に本質的に残すものというものは余りない。そうするとここに書いてあります運輸大臣は、右に関してどの程度のことを考えられるが、率直に言いますと、海のものだけが残つて、余り陸の方は御監督なさらない運輸大臣、規定の通り考えて見ますると、総理大臣でありますが、運輸大臣は実体的に見ますと、海の方の諸種の仕事だけする大臣になつて來やしないか、その大臣が議会に対しまして責任を有する、その大臣に対して監理委員会が責任を有する、その監理委員会に対して総裁が責任を有するという有様で、ある厖大な企業体を責任を持つて本当に総裁が運営できるだろうかどうだろうか。又そういう総裁がこういう法案に盛り込まれた総裁で以て適当な人を観ることができるだろうかどうだろうか、こういうふうな考を持つのであります。余り時間がございませんので、極く簡單に私の考え方を申上げますると、この監理委員会の使命、目的をもつとはつきりなすつて頂いたら結構じやなかろうか。で五人じやどうも私は足りませんという考え方を持つております。と同時にむしろ突き進んで、この監理委員会の委員長を総裁自身がなすつたらどうだろうか。つまり総裁として企業運営の責任を持ち、そうして監理委員会の委員長としてこれを監督統制するところの地位も併せ持たしめて、そうして責任の帰趨を明らかにして初めて運営ができるのじやなかろうか。それから場合によれば、残存いたします運輸省の機構そのものから考えますと、この程度の監督というものは、場合によれば安本の運輸局一局で足りるのじやなかろうかというふうな点も考えられます。もう少し簡素な形で責任が持てるというふうな状態において物事を進めないといけないのじやなかろうか。それからこの監理委員会をもう一つの観点から考えますると、これはそのままの形でも十分運用はできると思いますが、労働組合の、今度は労働組合じやございませんが、職員の代表者というふうなものも、民主的な運営として委員の中に加えるということになつて参りますと、五人じや少いだろうということを申上げましたのは、要するにここに書いてありますような監理委員会で以て、金融でございますとか、商業でございますとか、その他知識経驗者というふうな問題から考えますと、足りないのじやなかろうか。と同時にもう少し率直に申しますると、この頃はこの原則が非常にお固いようで、到底この問題も容れられないと思いますが、両院の運輸委員長は少くとも監理委員会に一應お入り願うような形になれば尚結構じやないか。そうしてその上に立つて、この行政上、或いは政治土の自主性をこの企業に十分持たせるような形にお進み願えれば、尚この企業体がうまく運営できるのじやなかろうか。で私の民間におります経驗から見ますると、率直に申上げまして、各企業体におきまして、いわゆる國策会社というものが非常に企業能率を挙げていないのであります。と申しますのは、いわゆる國策的な会社というものはいろいろな條件において政府の監督が非常に強いのであります。そのために経営者自身が何事も政府の方針に從わなければ経営ができない。日本発送電でありますとか、帝國石油会社でありますとか、その他比々挙げることができるのであります。私今丁度労働委員会の委員として労働問題を取扱つて見まして、一番考えることは、経営者がああいう國策的な会社におきましては、政府から各種の制約がありますために、みずからの責任においてみずからの企業を運営するという余地が少いために、非常に経営能率が挙らない。この会社も本來の目的はそうでございませんが、実施した暁に、不幸にしてそれらの点に行くような傾向がありやしないだろうか、ということを非常に心配しておるのであります。結論的に言いますと、私は今申上げましたような観点に立ちますために、非常にこの問題は重大な問題だ。むしろどうもこの法案の形で行つて、現在の國有鉄道の形態より勝つておるかどうかという点に頗る疑いを持つておるわけであります。併し現在の國有鉄道の形態そのものがいいとはどうしても考えられませんで、國有鉄道自身の形に更にいわゆる民主的な、能率的な運営方法というものが、もつともつとそういう観察から改革されなければならない。そうなつて参りますると、ここに出ておりますようなパブリック・コーポレーションの形というものと実質的には殆ど大差ないものができ上つて來る。併し尚官廳機構そのものでは大きな一つの制約がございまするから、その制約を排除するためにこういう。パプリック・コーポレーションの形に移行するということは十分考えられますが、それには余りに早急に、この姿のままで行つて果していいんであろうかどうであろうか。もう少しこういう問題については考える余地が残されているんじやなかろうか。かたがた一番最初に申上げましたように、労働問題から見ますると、一方におきまして、公共企業体労働関係法案が提出されておるようでございますから、それによつて相当目的を達成するんでなかろうか、こういうふうにも考えられるのであります。ざつと要約いたしまして、本法案に対する、私の意見に與えられましたお時間の範囲で、極く簡單に申上げますれば、以上のごとくであります。
#5
○委員長(板谷順助君) 申し遅れましたが、本日証人として御出席を願つた方は商大講師の細野日出男君、それから運輸調査局理事長の片岡謌郎君、それから鉄道弘済会理事長の堀木鎌三君それから國鉄労組委員長の加藤閲男君、それから前安本総合調整委員会幹事長の都留重人君、それから東京銀行業務部長の神野正雄君、それから高速度交通営團副総裁の鈴木清秀君、それから中央労働委員会の事務局長の鮎澤嚴君、この方にお願いをしたのでありまするが、この中都留君と鮎澤君は差支があつて本日御出席ができないそうであります。そこで只今の公述に対して委員諸君から一つ御質問されることになつておりますが、それについて御討議を願うことにいたしまして、私が先ず第一に伺いたいことは、只今金融問題、財政問題についてもお話があつたのでありまするが、御承知の通り、戰時中に非常な損害を蒙りまして、荒されたるところの鉄道を建設するということは前途非常に多難であります。從つて建設或いは改良に対する資金をどうするかどいうような重大な問題も残されておるわけであります。尚先達て國鉄審議委員会なるものが設けられまして、それに対するところの答申案も実は出ておるわけであります。從つてこれらの問題につきましても、今お話の通り將來特別会計を維持する上において、委員諸君におかれましても、御意見があるならば、一應御発表を願いたい。
 それからあとでおいでになつた方に尚重ねて申上げて置きまするが、衆議院の公聽会においでになつた方も今日御出席願つておるわけでありますが、併し我が参議院における運輸委員会といたしましては、二院制度の本義に基いて、独自の立場において檢討する。こういう意味において御出席を煩した次第でありまするから、先般お話になつた御意見、或いは更に御追加になるというようなことにつきましては、一つ十分にお話を願いたい。それから尚時間の制限もあることで、十分なお話ができないといたしましたならば、どうか一つ書面を以て何か具体的の御案があつたならば、お示しを願いたい。それを特に一つお願い申上げて置きます。それから午前中大体の会議が終りましたならば、食事を差上げることになつておりますので、その場合懇談的に運輸委員と話合いをしたい、こういう考えであります。
#6
○内村清次君 質問は一人々々にやつて行きますか、その都度……。
#7
○委員長(板谷順助君) それでは質問はお一人お一人にした方がよいと思います。その都度……。
#8
○内村清次君 堀木さんにお伺いいたしますが、先程の口述の冒頭に、今回のこの法案につきまして、先ず職責の労務関係、即ち労働問題は、一應公共企業体労働関係法案に規定してあるからして、それでよいのじやないか、こういうようなお説を伺つたようですが、勿論これはマ書簡の中にもありましてもいわゆる罷業権あたりの制限があります。勤労者の基本的人権をそうやつて抑えて、而も又公共企業体労働関係法案、又その他いろいろの基準法あたりで護つておるものも相当制限を拡大しておるようです。こういうような関係で、この厖大な企業体が今後非常にスムースに、而も民主的に動いて行くであろうか、こういう点も私心配になつておるのですが、これに対する御所見を一つ承りたいのと、それから先程監理委員会の使命、目的が薄い。勿論この法案の條項におきましても私同感です。この僅か五人と、それから総裁の一人入つたこれだけで、これだけの厖大な企業体が本当に民主的に、能率的に運営されて行くであろうかということにも私心配いたしておりまするが、それで先程は、これをいくらか拡大をして、そうして職員代表も入れたらどうかという御意見、私もこれは御尤もだと思つております。併しながらこの法案には、いわゆる職員の経営権に対するところの参加を禁止しておるようですが、これで果して民主的に運営できるかどうか、この点に危惧がありますが、その点について御所見を伺いたい。
 それから経理の面ですが、現在の國鉄がこの法案に行きまして、幾らかいわゆる民間企業的な構想も混つておりまするが、どうしても現在の復興途上にあるところの、この鉄道自体が、原價計算を以て打立てたところの運賃でなくして、現在殆んど政策的な運賃形態に移行しておつて、どうしてもこれではやはり赤字というものが相当永く続くであろう。これが國家の一般会計の方に持つて來られるようなことで、今後その改訂というものが辻棲が合つて、即ち独立採算制の規模に從つて運営ができるかどうかということ、この三点について御所見を伺いたい。
#9
○証人(堀木鎌三君) 内村さんのお尋ねの、公共企業体労働関係法案で以て、何と申しますか、労働者の基本的な人権と申しますか労働権に基くものが果して確保されておるかどうかというような問題になりますと、実は今日私の呼ばれました目的の範囲外だと思いますが、ただ公共企業体労働関係法案というものにつきまして、私の率直な希望を申しますならば、この大きな点については、アメリカと同じように、鉄道從事員の一つの労働関係を規定した特別法規ができて然るべきものであるという考え方を不断から持つております。非常に勤務にも特殊性がありますし、労働條件につきましても、單純に考えられないというような考え方を持つておりますので、特別法的なものができ上つたら非常によいのじやないか、併しアメリカの鉄道の労働関係の法規にいたしましても、相当の期間も経過を経てできたものでありますから、それについては今後の推移に見てその物事を考えるべきではなかろうか、かように考えておるのであります。
 それからこの監理委員会につきましては、私は監理委員会に職員の代表の人が入つておつた方が非常によいと思うのですが、入つて貰つたために、職員組合のこの法案によつて與えられまた権能を制限する必要はないと思う。併しながらともかくもこういう基本的なものを決めて参ります時に、私共も曾て鉄道に経験があるのでございますが、率直に申上げますと、鉄道をよく運営する人は、從事員と氣持の合つたと申しますか、從事員と本当に表裏一体になり得るような人が鉄道を動かし得る人としての一つの資格でございますね。だからそういう意見を持つて本当によく採り入れ、よく考え、その從事員の氣持と一致したような状態におけるところの人が、総裁としての一つの資格だと思います。そういう観点から見れば、監理委員会についても、又從事員諸君も経営者自身の実際の目的を眞に把握していないと、相当そこに十分な理解がなければなかなかうまく行かないというような関係から、監理委員会に職員の代表的な人が入つて頂くことが、運営を非常にうまくして行くゆえんじやないか、こういうふうに考えて、先程申上げた次第であります。
 それから運賃の現状から、原價計算から見て、國有鉄道は暫く赤字だろう。國有鉄道といいますか、今度の公共企業体も相当赤字だろう、殊に運賃が政策的に定まる以上は、特にそうだろう、そういうお考えは私全然同感で、從つて独立採算制に向う理想を達成する日が非常に遠い先ではないかということは一つ考えられますが、と同時にそれこそ正に一つの企業体、新らしいパプリック・コーポレーションの一つの目的ではないか。経済的に自由な活動があれば現在のような官業として制約される範囲内の経済活動を補つて、そうして日本の産業復興に役立たせ、そうして失業対策にも合せて貢献するというふうな、これだけの大きな組織機能、経驗を持つた者が新らしい観点に立つてものを考えて行けば、一つの方面だけでなしに本当に経済活動ができる場合には、單純に今考えている赤字より余程違つたものになつて來はしないか。又すべきではないか、それがこういう法案の出てくる一つの理窟でもある、その目的が達成されないようでは、ちよつとこの法案自身について非常に疑問が起つて來ると、こう申上げたわけなんでございます、そういうように私は考えております。
#10
○委員長(板谷順助君) よろしうございますか。それでは鈴木さん。
#11
○証人(鈴木清秀君) それではこの法案について考えておりますることを大掴みに申上げたいと思います。國有鉄道の機構を改革するに当つて、我々は次のことを把握しておかなければならんかと思います。即ち國有鉄道が全國的に、非常に廣汎な営業を営んでおり、而もその営んでおる運送と、或いはそれの対價である運賃というものが、國民生活の安定や國家の産業に非常なる関係もあり、この種の事業は非常に公企業であるという一面を考えなければならないのと同時に、この組織が非常に厖大なものである、二十一年度を見ましても帳簿價格だけでもつて約百八億万円といい、その從事員も二十一年度で五十七万人という大きな組織である。それでありまするからこの組織を運営するには非常な強力な組織力が要るんだということを考えなければならないということが第一点。それと半面にこういう営業を営んでおりまするが、この営業は、行政でなくて本当の経済企業であるから一般行政の事務から取り離したところの能率ある自主性のあるものとしなければならんという考え方、これがこの法案に盛られて來た思想の現れたものだとは思いますが、との二つの点を我々は十分考えておかなければならんのであります。併しながら現在の國有鉄道は國有國営という形態のために政治的経済的の、可なりの行政上の制約を受けております。御存じのごとく、或いは建主改從だ、或いは教主建從とかいう、政治問題で幾度か鉄道の本來の方針が変えられ、又建設改造の工事の着手順序や、或いは年度割というものが政治性によつて変えられております。そうしてこれが予期する方向に向つて行かなかつたことは、たびたびあります。又鉄道省内の組織そのものも運営上良い機構にしたいと思つても行政官廳一般の官制通則のためにそれが妨げられてうまく行かなかつた。或いは官吏登用の規則よつて適材を吸收することが得なかつた。或いは会計規則の煩雑な手数によつて能率を阻害したりするような政治上、行政上の制約を可なり受けておつた。併しながらそうかといつてこれをすべて純粋の民間企業に移すのには、民間の事業というものが利潤追求を本旨とする企業でありますから、どうもそれに移すのは不合理である。また國有鉄道のような厖大な組織を持つているものを、而もその仕事が時間と能率とを非常に守らなければならない業務内容を持つている。この仕事をば何らの國家的権力の背景のないような事業にして、こういう社会情勢の下に運営されるとは私は考えられないのであります。又この厖大な企業体が民間企業で仮に営まれるといたしますと、この企業の大きさから生じます政治力経済力は可なり大きいものでありますから、結局は第二の財閥を発生する力となりがちであります。こういうような観点から私はこれを純粋の民間企業に移すことは反対なのであります。
 それならばこの公共的の性格と経済的企業である性格とをよく調和するためには、結局は政府の権力を備えながら民営事業と同様の柔軟性と自発性を兼ね備えて、曾てアメリカのTVAの教書の中にある言葉の思想で以て組織を変えて行かなければならないと思うのであります。これが日本國有鉄道法案が提出された原因だとも考えられます。ついてはこの法案の内容について少しずつ論議して行きたいと思うのでありますが。政治行政の方面から干與を受けます面につきまして、財政面からと人事面からと業務監督面からと、これらが一番多く関連して來ると思うのであります。
 先ず第一に人事面を見ますと、日本國有鉄道の役員が政治勢力によつて影響されないで、みずからの創意と責任で業務を執行し得られる建前になつていることが非常に必要だと思うのでありますが、この点に関しまして法律の第二十條の総裁、副総裁、理事の任命及び任期、二十一條の役員の失格、二十二條の総裁一副総裁の罷免規定というものにおいて、相当の考慮が拂われてるようであります。又企業的業務を行う國有鉄道の職員は一般の官廳の職員と異なる資格條件を必要とすることは言うまでもありませんが、この意味において公務員法の適用から排除せられ、人事院からの制約を受けないでよいというので、この点は三十四條に書かれておりますが、この点も非常に結構なことと考えるのであります。ただ職員の給與につきまして予算手続の関係から実際は行政官廳その他の拘束を非常に受けると考えられますので、この点について再考慮を要するものではないかと考えられるのであります。
 次は行政官廳の指導監督面でありますが、こりの点につきましては只今堀木さんから縷々と述べられておりまして、思想においては大体私も同様なのでありますが、この法案を見ますると運輸大臣並びに財政面におきましては大藏大臣の監督にも服することになつておりますが、その監督のうち財政面を除いて見ますれば、先程堀木君の言われたように法三章の規定があるだけであります。併しながら財政面におきますると、運輸大臣が一体どういうような監督命令を出すのであるか、監督規定を制定するのか、又実際上の運輸省の運輸大臣を通しての役人の監督がどんなことをするのであるかということが非常に問題だと思うのであります。運輸大臣としては一般経済計画中に占めまするこの國有鉄道の地位において、その活動が適当であるかどうかという点に重点を置いて、日常の運営というものはでき得る限り干渉をしないで、企業体の責任と創意に委すべきものだと思うのでありますが、我々の一番心配しておりますものは、この法文に現れないところの行政官廳の干渉であります。この法案を見ますると、日本國有鉄道は運輸大臣の監督を受け、総裁はこの内部機関である監理委員会に対して責任を負うて、その指導統制の下に運営に当るというのがこの法案の建前のようでありますが、実際においては総裁及び役員は業務運営に当るについて、運輸大臣と管理委員会の二重の監督指揮を受ける結果となりはしないか。そのために企業の活動というものが非常に害われはしないかということを危ぶまれるのであります。法文では監理委員会の権限が明瞭に規定されておりませんが、同委員会がこの日本國有鉄道の中枢責任機関であつて、一般の計画ばかりでなく、一日常の運輸業務の上に至るまで、非常な廣汎な指揮命令権があるように書かれてあります。そういうことになりますると、私はこの監理委員会が兼職を認めた名誉職であり、且つ專門家でないところの人が入つておる、こういう会議体の監理委員会に、そういう日常の運営までも含ましたるところの権限と責任を持たして、運営させるということが果していいことであるか、我が國情に合つておるかということを非常に疑うのであります。もとより一般経済計画の線に沿うて公共的に運営されるといろとが必要でありますから、それがためにはとかく自分の事業のみに没頭し易い総裁以下の役人のみに委して置くことは、それは危險でありましようが、こういう廣汎なところの指導権というものや責任というものを監理委員会に持たせるのはどうであるか。先程堀木君の言うように、或る限界を決めてこれに諮問して、その承認を得て、大きなことを決定するというその範囲を明確にすることでなければ、実際においてこの日本國有鉄道の役員は、運営することにおいていろいろな困難を感ずるものではないかと思うのであります。
 次に國有鉄道が現在國営であるためにいろいろの制約を受けて、活溌なる能率的な経営ができないことは、財政面からの制約でありますが、從つて國有鉄道の社会化、この法案はこの頃いわれておる一種の社会化だと思いまするが、これには企業の自主性をうんと與えて独立採算制によつて能率的運営に移らなければならんと思うのでありますが、経済的自主性を與えるためには、予算からの離脱とそれから運賃の決定が独立して付けるようにならなければならんと思うのであります。御存じのごとく一般官廳は確定收入である税金というものによつて、消費的な行政行爲を営むのでありまするのに、この事業体はその收入が收益によつて左右されるところの見積りの收入でありますし、從つてその支出はたえずその收入にマツチして変えられる、そうして次の年度にも事業がうまく継続して行われるこういうふうなたくみになつておらなければならんと思うのでありますが、この法律を見ますると三十六條がその儘残つておりますので、何らこの点について改善あります。もとより國有鉄道は國民の公共福祉に関することが多いのでありまするから、國民の代表たる國会の批判や監督を受けなければならんとは思いまするが併しながらそれは決算面において受けた方がよいのであつて、予算においていわゆる総予算の承認という方向に進んで行かれたら如何かと思うのであります。折角この法案が出ていわゆる國有國営の弊害を除かれる目途を持つておられるに拘わらず、この三十六條存在するために、先程堀木君の申されたように、本当の能率ある企業体から非常に離れたものにこれが進んで行くということを憂えますので、特にこの規定を見ますると新しい会計に関する法律ができるまでの暫定機関のようでありまするが、是非早くこの新しい会計の法律案を制定せられて、運行が滑らかに行くように考えて頂きたいと私は考えるのであります。
 次に運賃決定の問題でありまするが、三十六條になつてやはり財政法の適用を受けますので、現行と同様になつております。國有鉄道の運賃は國有鉄道の收入の根源でありまするから、独立企業体ということから見れば自分で以てその運賃を決定するというのが一應尤もらしいのでありまするけれども、その独占的性格と公共福祉の関係から、國有鉄道の当事者ばかりに委して置くわけに行かないことは勿論であります。併しながらこの運賃が財政法三條のようであつては、可なり政治的に左右せられる面がないわけでないのでありますし、又國会としても絶えず國有鉄道の事業経営内容を詳細に調べるわけにも行かないのであります。これは國会及び行政府から独立したところの或る機関を以て決定する方がよいのではないかと思うのであります。この点につきましては各國においてもそれぞれ立法、行政かも独立した機関によつて、審査決定せられる制度を採用しておるのでありまするからして、この際日本もそうしたらよいだろう思うのであります。そうすれば最も公正にして合理的な運賃が制定せられるのではないかと思うのであります。
 最後に私は日本國有鉄道法と鉄道敷設法との改正若しくは廃止の法律案が、同時に國会に提出せられないことについて疑を持つておるのであります。鉄道國有法は、日本國の鉄道に対する根本思想を表明しているものであります。日本國有鉄道法が、或る点において、その思想を変更しているのではないかと思われるのでありますし、変更しているとすれば、鉄道國有法の改廃の法律案を提出すべきものでないかしらん、若し思想において根本的に変更してないとすれば、この両者の表現方について、くつきりしないものがあるのでありまするから、この法律にその思想を明記すべきものではないかと私は考えるのであります。又新たな日本國有鉄道は、独立の機関ではありますが、併しながら國家の必要によつて建設すべきものがあると思うのであります。こういうものに対して、建設を命ずる規定がこの中にありません。私は必要でありとすれば、國有鉄道に対して建設を命じ、そうして若しその收支が採算に合わなければ、補償をしてやるという規定を置くべきものだと思うのであります。又國有鉄道は御存じのごとく、工事費として、年々二百四五十億の資金を必要とするにでありますが、その資金を、すベて政府による資金、或いは又一時の借入金も、すべて政府からの借入金で賄うと、こういう考え方はどうかと思うのであります。こういう資金の獲得方法では、行政官廳の経済企業に対する干渉が甚しくなるものであると思いますので、この点においては、民間資金も吸收し得られるような建前になつている方がいいのではないかと考えるのであります。要しまするに、この法律が折角國有、國営のぎこちないところを省いて民主的に経営しようと考えておりながら、三十六條が存するために、或る見方からしますれば、現在よりも運営しにくいような、企業体に改正せられて行くのでないかと憂えられる点が、非常にあるということを申上げて、私の意見を終ることにいたします。
#12
○委員長(板谷順助君) 只今鈴木君の公述に対して、委員諸君に御質問があつたら、この際お申し出を願います。そうすると今のお話はなんですか、大体根本として、國家事業としてやらなければならんが、併し一面において民間の資本も吸收せねばならん。こういう意味ですな。
#13
○証人(鈴木清秀君) 場合によつたら、銀行の借入金もしなければならんし、場合によつては、なんといいますか、鉄道公債といいますか、そういうような、いわゆる工事公債を発行してもいいのじやないかと私は思うのです。民間が引受けられなければ、その公債を日銀でもどこでも引受けられるような建前にして行くというのがいいのじやないか、こういう考えを持つております。
#14
○委員長(板谷順助君) そうですか。如何ですか、御質問はありませんか。
#15
○丹羽五郎君 今鈴木さんのお話、非常に私御尤もであると思つておりますが、実は私共も第三十六條がこの法案の一番のキイ・ポイントのようにも考えているのですが、一番末項に書いてあります、「但し、政令をもつて日本國有鉄道を運輸省の一部局とみなす場合は、この限りでない」ということで、一旦離した鳩を、又再び別な籠にその鳩を入れて、そうして制約をして行くというように、こう考えているのですが、この三十六條について、もう一つ進んで鈴木さんの御意見があれば、聞かして頂きたい。私共、三十六條が結局これが一番如何ようにも、右に首を振らし、左に振らすということが、私、伸縮自在な意味に解釈しております。その点はどうですか。
#16
○証人(鈴木清秀君) これは三十六條第二項の意味は、よく私も知らないのでありますが、これは、結局は外の特別法、会計法などを適用する関係から、各省各廳の長というような言葉が入つております、その言葉の関係から言われたのではないかと、こう思うのですが、これは私もはつきり分らないが、何故に、こういうパブリツク・コーポレーションにして、全部、財政法、会計法、國有鉄道事業会計法、國有財産法が出て、これを適用して、あとは今申したような官職の機関だけであつて、実質はなんら企業体になつていないのではないか、なんのためにこうやつたかというように、極端に言えば、いわゆるこれを、新しい会計法というものを拵えて、予算はどうする、決算はどうする。或いは運賃はどう決める。或いは現金関係はどうする。会計檢査はどうするということを決めなければならんのではないか、要するにその企業体というのは、株式会社のいわゆる運営の仕方を、こういう公共事業に適用して行こうという考え方だと思うのですが、こういう会計面においては、公共的に、抑えて、あとは株式会社の会計檢査に引張つて行くというようなふうにして行つたらいいんじやないか、私はこう考えます。
#17
○丹羽五郎君 その点一度、さつき堀木さんも、三十六條については、御意見が大分あつたように聞いておりますが、堀木さん、この点についての御意見を聞かして頂きたいと思います。
#18
○証人(堀木鎌三君) 私は、大体資本から見ましても、政府出資に限る必要はないのではないかと思う。民間資本を吸收する。成程、赤字会計であつて、さつき内村委員からも言われましたように、赤字が今の形では、相当続きますが、併し一つの経済活動体として考えるときには、もつと目的が、事業活動の範囲は廣くなります。ですから、そういう点で以て、更にこういう公共企業体になる以上は、経営面から見ますと、赤字だと言つて、恬然としているわけに行かない、そうして責任を負つた者が、経営者とならなければならんから、もつと赤字についての積極的、消極的、両方の面からのですね、努力ができるようにしなければならん、そうすると今度は、仕事をして行くのに資本を先ず考えられると、資本の面で先程申上げたように、ただ政府の出資だけに依存するということはおかしい。それから今度は、これを運用しますと、現金だけでも、一日に何億、何億どころじやありませんから、相当に厖大なものが入つて來る。それが普通の政府の國庫金になつてしまうという形ではとても駄目ですね。それからそういうふうな企業形態を作れば、赤字だから資本が集まらんと直ぐ断定しないで、相当財産價値もあるから、やり方によつては、相当私は民間資本も吸收できるのではないかというような考え方をしております。それから突つ込んでもつとすればという点ならば、ここに挙げてあるやつを一つ一つ、もう少しこうしたらいいんじやないか、どうしたらいいんじやないかということになりますが、ともかくも、財政面の形というものが、官業的なやり方だけより一歩も出ていないですね。惡口を申しますと、一歩も出ておりません。それじやとても、なんといいますか、要するに経営的な、経済的な、そうして経理の原則といいますか、財界の変に應じ、財界の動きに應じて、やつて行く面は一つも、ございません。それではとてもむずかしいと思つておるのですが、規定について一一申上げたら、きりがございませんから、場合によればもう少し細かく研究しまして、申上げてもよいと思つております。
#19
○委員長(板谷順助君) 先程申上げたように公共企業体として独立採算制を確保する。この趣旨か行きますというと、只今いろいろ御両君の御意見も聞きましたが、ドイツにおいては、欧州第一次大戰の後に鉄道の復興について政府の資金を百三十億マルク、民間かも二十億マルクの資金を募集した、これについては、優先的に配当するというようなことで、一年の間にこれを建直したという話を聞いておりますが、何かそんなことについてお聞きになつたことはありませんか。
#20
○証人(鈴木清秀君) その点は片岡君からお聞きになつたらよいと思いますが……。
#21
○委員長(板谷順助君) 如何ですか、外に御質問ございませんか。そうすると御出席の順序によりまして、神野さんに一つお願いいたします。
#22
○証人(神野正雄君) それでは只今御指名によりまして、今度の日本國有鉄道法案に対しまして、私の感じを申上げます。商賣が金融の方でございますので、主として金融方面、資金方面から見ての意見をざつと申上げたいと思います。
 この日本國有鉄道法案というものを拜見いたしますと、先ず冒頭に「能率的な運営により」と第一條に掲げてありますに拘わらず、第三十六條以下の十六條に亘る合計法規には、殆んど能率的な運営は考慮に入れてないような感じを受けます。殆んど従來と同じような官僚経営を踏襲しまして、そうして独立採算制を目標とすると言いながら、独立採算制のことは全然考えていない。それから鉄道というものは、非常に民間と密接な関係がある事業であるに拘わらず、民間の資金と全然遮断をして、隔離をしてしまつておるというような感じを受けるのであります。先程からいろいろ問題になつております第三十六條に「鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体の会計を規律ずる法律」こういうものが制定されるまでは、という非常に暫定的な感じがするのでありまして、非常に失礼な言い方かも知れませんが、パブリック・コーポレーションにせよというので取敢ずこういうものを作つて、後は独立の、別箇の会計制度を規律するまではとお茶を濁してしまつて、而もその根底においては、なるべく今のやり方を変えたくないというような感じが、この法案の中に溢れておるような氣がして、我々としては非常にがつかりしたのであります。
 先ず個々について申上げますと、第三十八條に國有鉄道の会計は予算制度によるということをいつておりますけれども、これが予算制度一本でやるということに、独立採算制を目標とする以上甚だ不合理であり、且つ不得策だと思われるのであります。予算制度でやつて行きます限り、國鉄の赤字というのは決して消えないのでありまして、その赤字は結局國民大衆の負担にかかつて來るものですから、この予算制度一本をやめて、もう少し自主的の経営形態を取り得る余地を残さなければ、到底國鉄の資金を合理的に運用することはできないと思います。それからこれは企業でありますから、それは合理的に運用されなければならんし、それから機動的にやらなければならん。必要なときに直ぐ資金を手に入れる。又余つた資金はこれを有利に廻して貰うという態勢を作つて置かないことには、機動的の運営はできないわけです。それから御承知のように今のような経済の非常な激動期に当り、変轉極まりないような、こういうような経済界におきまして予算制度によつて收入と支出とを別箇の枠を以てやつていた日には、非常に危險である。或いは損失が非常に多いということを考えざるを得ないと思います。國鉄に対する國家の関係は、資金面から見ましても國が一部の出資をする、それから資金を貸付ける、或いは交付金を與えるというような場合に、國家予算面から國会の決議を経る、そういう面と、それから主務官廳の十分な監督という二つの点で十分ではないか。あとは独立のハプリック・コーポレーションとしての運営方式を立てて、そうして独立採算制、換言しますれば企業経営の責任制ということをやればいいのではないか、そういうふうに思う次第であります。
 私は銀行屋でありますけれども、その面から見まして、次に非常に氣が付きますことは、第四十四條の借入金の問題であります。國鉄は御承知の通り一般の旅客運送の外に、運輸業者として建設修理業者、そういう運送関係の民間業者と非常に密接な関係があるのでありまして、それと資金面において円滑な資金の受渡し、或いは支拂というものがなければいけないのでありますが、現在の状態からしますれば、これが余り円滑に行つておるとは思われないのであります。それはどういうわけであるかというと、これは國鉄の資金というものが予算制度であり、且つ鉄道收入が國庫金扱いをされておるからであるのでありまして、これが若し國鉄というものが一般の市中銀行と契約を結びまして、一般の市中銀行に、資金が余つておる場合にはこれを預けて、そうして有利に運用させる。そうして資金の必要なときには当座貸越その他の方法によつて、一々借入金をやるというようなことができるようになれば、初めて独立採算制の基礎も固まるのでありますが、今のような状態では到底そういう方面で金繰りを上手に付けて行くということができない。独立採算制の一番の要点は金繰りを上手にやるということなんでありまして、これのうまいと下手とでは、如何に大きな損得が出て來るかということは想像以上だと思います。ここに四十四條の後段に「日本國有鉄道は、市中銀行その他民間から借入金をすることができない。」ということが加わつておりますけれども、これはどういうわけで、こういうものが加わつたか、甚だ了解に苦しむところでありまして、これがある限り鉄道というものはただひたすら官僚の統制の下に、資金的に服從しなければならんというような形になるのではないかということを非常に心配する者であります。
 それからその次は四十七條のいわゆる國庫金扱の制度でありまして、これも御承知のように國庫金の制度というものは実に明治時代から余り変らないというような、手続が非常に繁雜なやり方をしておりまして、そういうやり方の下に規定されておる國庫金制度を、今生きておる企業であるところの鉄道の出納手続に適用するということは甚だおかしいのでありまして、これはどうしても國有鉄道が生きた企業であつて、そうして独立採算制を目標とする以上、政令の定めるところにより國庫金の例によるというのではなくして、別個の國有鉄道現金出納手続というものを作らなければならないのではないかと思う次第であります。御承知のように從来の國有鉄道というものは國庫金の取扱を受けておりますために、折角の運賃收入も金櫃列車で各駅各駅拾つて参りまして、そうしてそれを管理部に集める、それを更に日銀の國庫に入れるのでありまして、それだけの間非常に莫大な資金が寝ておるわけであります。而も目の前に收入金があるのに拘わらず、一方支出は逆に國庫から出して貰つて、そうしてそれを現送して、各駅の末端まで持つて行かなければならない。收入と支出が実にばらばらになつておりまして、收入金はこれはその儘梱して國庫に納めるから、國鉄として何らの利益を生まない。支出金は必要な場合に間に合わないので、いろいろの支拂の遅延その他が起つて参りまして、それだけでも非常な能率が落ちるということがあるのみならず、御承知のように段々運賃が高くなりますと、到底実際問題として現送ができないというようなことが起こる。各駅の收入金は御承知のように小さな櫃に入れて輸送するのでありますが、なかなかその收入金が多いと各駅各駅入れるのに時間がかかつて、そのために汽車が遅れるというようなこともあるし、実際問題としてはもうああいう高運賃では現送ということは殆んど不可能ではないかと思うのであります。その点からしましても、今までの國庫金制度というものは全然外して、そうして別個の出納手続を作らなければならない、現に一時的の便法としまして、鉄道收入は最寄りの銀行に預けておる場合が相当多いと思うのでありますけれども、これに実際非常に止むを得ざる必要から出てこういうことになつたのでありまして、こういうような便法は速かにこれを正規の法律にして、資金の高率の運用を図らなければならないのだと思うのであります。我々が、然らば國鉄が独立採算制を布いた場合にどういうようなバランス・シートになるかということを考えて見ましても、これは若しも一ケ月に約二十億の運賃收入があれば相当の資金の運轉が行えるのでありまして、これに独立採算制の赤字問題に対して、相当将來大きな改善の余地があるのじやないかということを語るものじやないかと思うのであります。全体から見まして、今回の法律は暫定的なもの、或いは正規の会計の法律が出るまでの一時的なものとしましても、独立採算制ということは一挙にこれをやるということは非常にむずかしいのじやないか。急に会計制度に激変を與えるということは非常に困難なんでありますから、今回のこの法律の中において徐々にステップ・バイ・ステップに本当の独立採算制の会計に入るということが必要なんじやないかと考える次第であります。その意味におきましても、只今申上げましたような四十四條におきまして、市中銀行からも金が借りられるようにする。それから四十七條におきましても、もう少し資金を効率的に経営管理をやつて運営できるというふうにして、そうして次なる本格的の独立採算制に対する一つの準備とするという方が進み方としてはよいのではないか、実際的なのではないかというふうに考える次第であります。私はただ資金面、或いは財政面からのみ見て一、二氣の付いた点を申上げたのでありますが、この点について詳しい数字上のいろいろな資料は却つて煩雜になると思いまして、持つて参りませんでしたので、いずれ詳しい数字上のことも御必要ならば、又いつでもお届けして御覧願いたいと、こういうふうに思つております。
#23
○委員長(板谷順助君) 数字的のことも一つ御提出を願いたいと思います。それから今のお話の四十四條、從來國有鉄道が日銀から長期借入れ或いは一時借入をしておつたわけでありますが、今度更に市中銀行その他の民間から借入金という、つまり範囲を拡張した、こういう意味はどうしていかんというのですか。
#24
○証人(神野正雄君) できないことになつております。それはむしろできるようにしなければならんというのです。
#25
○小野哲君 ちよつと神野さんにお伺いしたいと思います。今の借入金の問題と関連して資金調達の関係なのでありますが、こういうような公共企業体が企業を経営して行きます場合においては、或る程度のやはり債券の発行を認めることが必要じやないか。こういうふうに思うのです。從來のロンドンにおける交通運輸企業体についても同樣の方法が講ぜられておりますし、又我が國における営團組織についてもそういうふうなことがあるので、單純に借入金のみに依存する、特にこの法律案のように政府資金のみに依存するということは甚だ狭いと私は考えおる。只今の神野さんの仰せられました市中銀行その他からも借入金をすることについては、全然同感なのでありますが、更に将来の独立採算制というものを確立して行く一つの準備といたしましても、殊に公共企業体としての財政的な自主性を確保して行くという点から言いましても、債券発行の権能を與えることがよいのではないか。この点についての御意見を承りたいと思います。
#26
○証人(神野正雄君) それはおつしやいます通り、債券発行の権能というものは是非必要じやないかと思うのでありますが、ただ今の状態ではなかなか債券発行をしても引受がむずかしいのではないか。金利なんか相当高くいたしませんと引受人がない。これは外債を募集するというならば又別でありますけれども、國有鉄道の外債問題になると、担保の問題その他でこれは相当國の基本的方針に触れておるわけでありますので、差当りとしてはなかなかむずかしいのではないかと思う次第でありますけれども、おつしやいますように、國鉄が債券を発行して、そうして、自己の資金調達する。そういうやり方は特に長期資金の点におきまして、やはり是非必要ではないか。只今申上げましたことは、その場合短期のことを主として考えておりますので、長期の点においてはちよつと……。
#27
○小野哲君 実はそういうふうなことを申上げましたのは、國有鉄道の現状から見て、できるだけ復興のテンポを早めて行かなきやならないということもありますので、從つて勿論引受の問題もあると思うのですが、できるだけ資金の調達の途を多く開いて置くということによつて、復興自体が促進されるということも考慮に入れて置かなければならないので、いわゆる國有鉄道としては非常に重要な時機に直面しておりまするために、民間の資本を借入れすることは当然であるし、復興という面から今御指摘になりましたような外債の問題も、復興に関連してやはり考えて置く必要があるのじやなかろうか、こういうような点から御意見を伺つたような次第であります。
#28
○委員長(板谷順助君) 中にはこういう意見もあるのです。例えば鉄道財團というものを組織して、そうして場合によつたらこれは債券を賣出す。或いは又その鉄道財團を担保としてそうして債券を発行する、こういうような説も一面においてある。だから政府の資金は、今あなたのお話のように、從來は長期資金なり、或いは一時借入を日本銀行ばかり頼りにしておつた。これは一般市中銀行に拡張するということになれば、自然今申上げたように、つまり一種の公共企業体として独立採算制を維持する上においては或いは鉄道財團なんかを組織して、そうして借入金によるか、或いは債券を発行するか、向らかそこに、資金調達の途もあるのじやないかと、こう思うのです。
#29
○証人(神野正雄君) そこでございますね。鉄道財團を組織するというやり方も確かにあると思います。もう一つのやり方は國鉄の資金だけにつきまして、特殊の銀行を作り、それの又銀行に債券を発行させるというのも亦一つの方法じやないかと思います。ですから資金調達の途といたしましては、短期においては國庫の金を借りる。國庫から金を貰うということと、市中銀行から金を借りるということと、その他自分の自己資金をうまく運轉する、利殖するということと、それから長期におきましては、國庫からやはりお金を借りるということ、並びに債券発行、それから一般市中銀行から長期資金を借りる、それから特殊の銀行を作つて債券の発行をして、そうしてその金を國鉄が利用するというような、いろいろな方法もあるわけでございますね。先程おつしやいましたように、成るべく資金の手当の網を廣く張るという意味において、どれもこれは一應考えて然るべきじやないかと思います。
#30
○委員長(板谷順助君) 今度の金融制度の改正について、御承知の通り、例えば從來興銀或いは勧銀がですね、長期金融の機関であつた、ところが債券の発行を許すか、許さんかという問題になりますが、要すると預金範囲において貸金をするということになれば短期融資ということになる。それから長期金融ということについては余程將來考えて頂かなければならん。例えば船舶の金融なども殆んど長期金融が今のところできない。これがために船の建造その他についても非常に支障を來しておるということも言われております。であるから長期金融の機関を作る場合においては、國鉄そのものもそれを何か利用する途を考えたらどうかと思うのですが、如何ですか他に……。
#31
○内村清次君 今の短期貸付の場合に、市中銀行に即ち出資、即ち貸付の金の余裕というものがありますかそうですか、これは資料を見せて頂かんと……。
#32
○証人(神野正雄君) それは銀行という所は御承知のように、全体的に見ますと、金が足りないという場合でも、極端に言えばその日その日で午前中は非常に余つておる場合もあるし、午後は非常に足りなくて日本銀行に駈込んで金を借りるということもあるかと思えば、或る場合には何億という金が遊んでおるというようなことがあるのです、それで、そういうような場合にはどうするかと言いますと、この場合、國鉄の場合は、國鉄が一定の銀行に預金契約をして、そうして預金口座を持つておりますれば、銀行はそのものの預金の範囲内において金を貸すことは勿論ですが、その預金口座者に対して当座貸越契約をしますれば、例えば預金のバランスは少くても当座の限度において直ぐ金は借入れられる。銀行としましては、そのときは預金が少くても、平均の残高が何十億というようにありますれば、必要な資金を相当量國鉄に対して貸してもペーできるというので、資金の全体の平均の量が或る程度に達すれば、その銀行は金がなければ日銀から金を借りて來て、それを更に國鉄に廻すというような手が行い得るのですから、その点はそう銀行は金がなくても、その金がないのは他から調達して國鉄に何とか都合するということがありますから……。
#33
○内村清次君 民管産業が今資金難で困まつておつて、そういうような民間産業の復興にも関係しなくちやいかん、勿論貸付の対象としてはまあこちらは確実性はありましようが、銀行といたしましては……。併しながら現在その金というものが本当に準備されておるがどうかという問題ですね、まあこの点をあなた方の資料を頂けば結構だと思いますが。
#34
○証人(神野正雄君) それは銀行として一番確かなのは、必ず一定の資金が國鉄から入つて來るという見込があるわけですね。普通の企業に対する貸金は今のような場合では非常に危い。それで一般の資金難ということが非常に言われておりますけれども、これは一つは銀行が締めておるということは確実なのです。殊に安定期に入るとどういう企業に金を貸してよいかということは、銀行が非常にナーヴアスになつて、非常に消極的になつておるというわけで、うつかりした所に貸すなら経済もろともに銀行も潰れなければならない。ところが國鉄は預金契約をして或る一定のフアンドは、國鉄收入として必ず銀行に入つて來る。必ず或る一定の期間にどれだけの金が入るというような見通しが付いておりますから、これは銀行としては一番金繰り上安全なわけです。それですから、銀行としてはそういう危險性のある企業に対する融資よりも國鉄の方が多少金利は損してもやつた方がよいということになるんじやないかと思います。
#35
○委員長(板谷順助君) それでは午前はこの程度にして置きまして、午後は一時でよろしうございますか。では休憩しまして午後一時から再開いたします。
   午後零時九分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
#36
○委員長(板谷順助君) これより午前に引続いて運輸委員会を開会いたします。公述人として御出席の順序によりまして片岡さんに御願いします。
#37
○証人(片岡謌郎君) 今までの公述人の言われたことによつて大体大事な点は、言い盡されていると思いますが、多少違つた角度から同樣な意見を申上げる点もあるかも知れないと思います。簡單に意見を申上げます。なぜ、國有鉄道を改組して公共企業体にしなければならないか、という点について考えて見ますと、先程も御話になりましたように、鉄道は公共的な企業であつて、公共の利益を擁護する責任があると同時に、運輸事業で、経済的の事業でありまするから、企業として企業自体の存立を確保して、運輸事業といたしましては、勿論一般の経済的な原則の支配を受けるものでありますから、單なる権力官職のようなやり方であつてはいけない。経営の方面に、もう少し商事的原則を取り入れる。そうして企業に自主性を與えて活溌な活動、時宜に適した活動ができるようにしなければならないというのが大体の指標だろうと思うんであります。で、この目的を達成しますには、まず、國有鉄道の從來の組織運営に、どういう重要な欠陷があつたか、その欠陷をはつきりと突きとめてこれを除虫するという点を出発点として、これに重点を置かなければならないんだろうと思うのであります。然るに本法案を拜見いたしますると、單に從來その儘の企業形態にパブリック・コーポレーションという名称を附しただけで、從來の官職経営の重大な欠陷の除去という点が少しも現れていないように思われるのであります。マッカーサー書簡によりまして鉄道をパブリック・コーポレーションとし、從事員に團体交渉権を與えるということが謳われておるんでありますが、ただそのパブリック・コーポレーションという簡單にそういう名前を付げて、そうして團体交渉権を與えればいいんだ。それで糊塗して行くようにみえるんでありますが、マッカーサーの書簡に現われておりまする点だけを大急ぎで法律に定めて実行するといたしましても、このような公法人でございましては、在來の通りに支出に関する方面、支出予算というものは議会の承認を経なければならない。承認によつて初めて支出権を持つのであります。その承認を受けた以上は絶対額を超過しちやいかん。款項の流用は許さないという支出の方面に重大な拘束を受けております。それから收入の大宗たる運賃に関しましては、又財政法の第三條によつて一々議会の議決を経なければならない。コーポレーション自身が單独には決められない。こういうふうに財政上に完全な行爲能力を持つていないのであります。例えば禁治産者、準禁治産者というような者に等しいのであります。財産上に完全な行爲能力を持つていない、いわゆる行爲無能力者が從事員と團体交渉をして賃率契約を結ぶというようなことは、できないのであります。たとえ賃率契約を結びましても、準禁治産者、禁治産者のやつた行爲と同じく、それは無効であるか、或いは取消し得べき行爲なんであります。マッカーサーの書簡に謳われる当面の目的すらこの法案では完遂ができないんだと思われます。大体國有鉄道の從來の運営上の欠陷につきましては、第一に予算制度に欠陷があるということであります。國有鉄道のような生産会計をやつておる事業官廳と、それから一般の権力行政官廳とは、その実質、殊に財政、会計におきましては、根本的な差異があるのであります。國有鉄道は御承知の通りに厖大な資本を持ち巨額な固定財産を持つており、廣く長期、短期の信用(公債借入金等)を利用して運営して行かねばならない経済的の企業なんであります。先ず費用(生産費)を出して運送というサービス(商品)を作り出して、その対價たる運賃收入によつて支出をカバーしで行かなければならないのであります。そうしてその收入の大宗であるところの運賃と申しますものは、景氣の変動によつて左右される不確定なものでございます。從つてその事業を経済的に運営して行くためには、支出も收入に應じて按排して行かなければならないのでありますから、その予算というものは、本來一種の見積りと申しましようか、目論見経済計画でなければならないのであります。これに嚴重な法律的拘束を加えるということは、妥当でないと考えます。一般の権力行政官廳は、生産をやつておりません。費用を出して生産を行なつてその対價たる收入を得てやつて行くのではありませんので、租税という強制的、確定的な收入を割当てられて、それを使つて直接には生産に関係のない消費的の事務を行なつて行く消費会計なりであります。その收入は國家から配分された確定的のものでありまするから、支出についてもその割当を超過しないということに重点を置かなければならない理由があるのであります。その割当を超過すれば追加予算を必要とする、結局人民一般の負担であるところの租税の増徴を要するということになりますので、これを事前に監督するために、予算を議会に提出して、承認を受けて、そうしてこれによつて費用の支出権が與えられる。同時に、予算の範囲を超過して支出をしてはならないという法律的の拘束が加えられる。決算は予算と合致しなければならない、いわゆる予算、決算合致の原則が行われておるのであります。然るに國有鉄道の予算に対しても、この権力官廳に対すると同樣な一般的原則が適用されますので、議会の承認によつて予算が決定しますと、支出の絶対額が限定されて、支出額は各科目について又限定されて、彼此流用を許されない、伸縮性、融通性のない、景氣の変動とか收入の変化等に基く財政状態に適合して、事業を経済的、合理的に運営することができないようになつておるのであります。それから尚予算は年度打切の原則によりますので、年度内に使い切れぬ予算残がありましても、翌年度にこれを繰越すことが許されません。不用額として取上げられでしまうのであります。或る支出科目において予算不足のために必要なる仕事が抑制されておるということがあるにも拘らず、予算に余裕のある部門におきましては來年度はどうなるかわからないというわけで、不必要な経費が支出されておる。いわゆる世間で非難されておりまする年度末の出張とか、要らない物をどんどん買つて決算品として処理して、決算品の買溜めというような弊害が起つて來るのであります。事業予算にこういう法律的拘束を受ける結果、一面においては不必要なる経費が支出されて浪費を奨励する結果となると同時に、必要な作業が不自然に抑制せられるのであります。又他方におきましては、これらの矛盾を克服して事業を継続的にうまくやつて行くというためには、予算が縛られておるからというので仕事をしないわけには行きませんので、止むを得ず決算負担箇所を変えてしまう、費用の支出科目を按排するというようなことになりまするので、決算というものが、継続的に見ますと正確でない曲つた決算となつて議会に提出される。こういう予算、決算合致の原則があるために、決算を見て事業を檢討するということがむずかしくなつて來るのであります。でありますから、先程も鈴木さんの言われましたように、実際上無理な拘束予算をこの経済事業に押付けるよりも、むしろ正確な決算を出さして、これに重点を置いて事後監督をする方が賢明なのではないかと考えられます。でありますから、鉄道の事業予算に対しましては経済企業に適應しない一般國家予算上しての法的拘束を排除しまして、議会監督は專ら決算に重点を置いて、事案を正確に記録した貸借対照表、損益計算書、財産目録等を提出さして、これを檢討して責任を問うことにした方がよいと思われるのであります。併し、鉄道のような厖大な資金を必要とする國家内における一大企業である國有鉄道が、その予算の全部について何ら事前におけるところの議会監督を受けない、何らの法律的拘束も受けないとすることは、國家全体の立場から見て妥当ではありませんので、そこで國家全体の資金需要の立場から見て大切であるところの國有鉄道の資金予算、即ち調達すべき資金等、資本的支出の総額についてのみこれを包括予算、いわゆるランプ・サム・メソツドによりまして予算を編成して議会に提出して、その承認、認可を受けるようにすることが適当だと思われるのであります。議会の事前監督の有効適切なる手段といたしましては、恐らくこれ以外にはないのではないかと存ぜられます。在來の國有鉄道の重大な欠陥は、先ずこの予算制度になるのであります。然るにこの法案は、この点について何ら考慮を拂つておらんように見受けられます。のみならず、重要な問題については、第三十八條の四項によつて、予算の内容形式は政令で定める、即ち執行権、行政権のなすがままに任して置く。法律には詳しく書いてないのであります。ちよつと不思議なように考えられるのであります。日本國有鉄道法というような組織運営の大原則を定める法律が、この重大な問題に対して明確な規定を欠いておるということは、この法律の欠点だろうと思います。私はこの法案の第三十八條を概ね次のように規定したらよいかと考えます。御参考までに申上げます。第三十八條に先ず第一項として、「日本國有鉄道の作成する予算は、そのときの経済状態に適應して企業活動を機敏に遂行することのできるような弾力性のある経済計画でなければならない。」事業予算はそういうものでなければならない。目論見でなければならない。
 それから第二項といたしましては、「日本國有鉄道は、前項の経済計画たる予算とは別に、調達資金の総額と資本支出の総額について、包括予算の方法によつて毎事業年度國会にこれを提出して、その承認を受くべき予算案を作成し、運輸大臣を経て大蔵大臣に提出しなければならない。」
 それから第三項といたしまして、「大蔵大臣が前項による、予算の提出を受けたときは、その資金計画たる予算を檢討して、國家全体の立場から必要ありと認めた場合には、調整を行つた上、閣議の決定を経なければならない。第一項の経済計画たる予算は、これを参考書類としてこの予算に添付する。」
 それから第四項として、「内閣が前項の規定によつて予算を決定したときは、國の予算と共にこれを國会に提出して、その承認を求めなければならない。」
 それから第五項として「前項の予算を國会に提出した後に、一ケ月以内に國会が審議決定を終らないときは、この予算は承認されたものと看做される。」つまり審議が遅れることによつて事業の運営にいろいろの支障を來します。一般民間への支拂が遅れるとか或いは工事の着手が遅れて非常に都合の悪いとき、例えば雪の降つておるようなときに雪を落して工事を始めることができないというようないろいろな不都合も生ずるのであります。又継続事業として仕事を行なつて行くときには、早く予算が決つて、そうして物品の調達等もしなければならんので、この審議には一定の期間を附して、その期間内に承認がないときには、承認されたものと看做されて原案が執行できるというような規定を置くのが、適当ではないかと考えられます。こういう点はドイツの國有鉄道法にも採入れられております。例えば運賃の決定については交通大臣の認可を受けなければならないとしてありますが、その運賃の案を交通大臣に提出して、交通大臣が一定の期間内に何ら回答を與えないときには、その案は認可されたものと看做すというような規定があります。これも継続事業としての必要上から來たものだと思われます。
 それから第六項といたしまして「予算及び添附書類の形式及び提出についての手続については、運輸大臣が大藏大臣と協議して政令でこれを定める。」という程度の予算に対する法律が必要ではないかと考えられるのであります。
 予算に次いで大切なことは運賃であります。現在のように予算即ち支出が法律的拘束を受けて金縛りとなつております。その上、收入の大宗たる運賃と鉄道みずからが決定し得ないで、財政法の第三條によつて國会即ち國家的一般政策の大綱を御審議になることを重要な使命といたしておりまして、鉄道経営の細部にまで立至つて深くこれを檢討するというような余裕を持ち難い政治的機関によつて、運賃が決定されることになつておりましては、鉄道経営の衝に当つておる者に経済的、能率的の運営をやれと言つて望むことは無理であろうと考えられるのであります。現行の制度をその儘にして能率を挙げさせようとすることは、丁度馬を木に縛り附けて置いて、そうして鞭つて疾駆をさせようとするに等しいものではないかと思われるのであります。尚、米、薪炭というような生活必需品の價格は一々國会の議決を待つて決定する、わけではないのであります。なぜ鉄道運賃だけを國会の議決にかからしめるのであるか、運賃を一々國会の議決に從つて定めるというような財政法第三條の規定は、恐らく世界各國にも一つも例がないと思われるのであります。故にこれらの問題を軽視して日本國有鉄道法なんというものをなぜ作らなければならないのか、作る以上はどうしてもこれらの根本問題についての規定を挿入すべきだと思われるのであります。この運賃決定に関しましては、英國では前には運賃審判所レート・トリビューナルというものがあります。現在の運輸審判所であります。現在では運賃以外のことについても権限を持つております運輸審判所、トランスポート・トリビューナルというものがあります。米國には州際交通委員会、I・C・C、それから元のドイツには國有鉄道裁判所、ライヒスバンゲリヒトというような特別の審判機関があります。中立的な機関でありまして、專門家を以て構成する一種の行政裁判所の如きものである。アドミニストレーティヴ・トリビューナル・オブ・テクニカル・エクスパート、こういうものを設けて裁決させることが適当だと思われるのであります。本法にも是非こういう点を挿入して頂きたいと存ずるのであります。
 運賃に関してどういう條文を設けたらいいかということにつきまして、專門家の意見も聽きまして試案を作つて見たことがあるのであります。それでG・H・Qのファイナンス・セクションの方にも参考のために申入れたのでありますが、只今その草案を一應御参考までに申上げますと、一つの條文が、
   運賃決定の原則
 「日本國有鉄道の運賃及び料金は公正報酬の原則に基き公正且つ合理的に決定されねばならない。」これはいわゆる、フェア・リターンの原則を採用すべきだということを明らかにしておる。英國の法律及び米國の法律にもこういうふうな公正報酬の原則というものが、運賃決定のための抽象的な原則として立てられておるのでありますから、日本もこういうものを採用したらよかろうと思います。それから次の條文といたしましては、
   運賃及び料金の決定機構
 「1 日本國有鉄道総裁が運賃及び料金を制定し又は変更する場合には法律で定められた鉄道運賃委員会の承認を経ねばならない。」
 「2 鉄道運賃委員会が前項の承認をしたときは遅滞なくこれを運輸大臣に報告せねばならない。」
 「3 運輸大臣が鉄道運賃委員会の承認に対して異議なきときは日本國有鉄道の総裁は承認された運賃及び料金を実施することができる。」
 「4 運輸大臣が前項の承認に異議を有するときは委員会から報告を受けた時から一ケ月以内に意見を附して委員会の再審議を求めねばならない。」
 「5 運輸大臣は鉄道運賃委員会の決定を國会に報告せねばならない。」
 「6 國会が右の決定に対し國民経済の利益のために修正の必要を認めた場合には運輸大臣に対し日本國有鉄道の運賃の料金の改訂につき案を具して修正を要求することができる。この場合修正によつて日本國有鉄道に欠損を生ずるときはその欠損を一般会計から補償する措置を講ぜねばならない。」
 「7 運輸大臣が前項の修正を要求されたときは、修正案につき鉄道運賃委員会に再審議を求めねばならない。
   鉄道運賃委員会の修正案に対する審議決定はこれを最後のものとする。」
 というような草案でありますが、大体かようなふうな意味の運賃に関する規定は是非とも入れなければならないように考えておるであります。尚この運賃決定機構とそれから賃金の裁定機関との間には何かの連繋を持たせなければならないと思います。英國におきまして賃金の調停についてはナショナル・ウェイジス・ボードというものがあります。それから運賃の決定については、只今申上げましたトランスポート・トリビューナルというものがあるのでありますが、その間には何らの連繋がないのであります。賃金の決定と運賃の決定とには重要な関係がありますので、この間に何らの連繋がないということは法律上の欠陷であるというので、英國の鉄道の專門家のアック・ウオースは從来から運賃決定機関と賃金裁定機関とを調整するような何らかの措置を講ずる機関が必要であると申しております。でありますからこの運賃審議会と賃金裁定機関との間には何らかの連繋を取るような措置を講じてこれを法文に規定するのがいいのではないかと考えます。尚アメリカにおきましてはI・C・Cが運賃を決定いたすのでありますが、最近におきましては、I・C・Cには同時に賃金の裁定ということも同時に持たせた方がいいのじやないかという議論が抬頭しております。賃金の決定とそれから運賃の決定の機関が離れ離れになつておりますると、たとえ賃金を裁定しても運賃を上げなければ抑えない場合が生ずる。そういう場合に非常に困るというので、そういうことが唱えられておるのだと思います。この必要はアメリカ、イギリスと同樣に、日本においてもあるのではないかと思います。尚この外、日本の國有鉄道、或いは旧式な官僚式会計制度、いわゆるカメラル式な会計制度によつて経済的な能率的な運営を甚だしく阻害されております。例えば先程神野さんからお話のありました鉄道の保有する金銭の國庫扱いであります。先程もお話がありましたので、余りくどくど申上げる必要はないかと思いますが、大体この國庫という思想は、私の承わるところでは、ローマの王樣の金庫の思想から出て來たということに承知しております。王樣が官吏をして租税を徴收させると、それは直ぐ王樣の金庫へ納めさせてしまわなければならない。途中で使われたり何かしてはいけないというので、收入した金は必ず中央の金庫に納める。それは途中で拂つたりすることができない。王樣が何か使わせる場合に又その金庫から出して行く。收入を扱う者と支出を扱う者とは、收入徴收金と支出金とは別途にある。收入の流れと支出の流れとは中央で連合してはいけないのだ。一人の者が受取つたり出したりすることは恰かも双方代理のような関係で、どうも不正や何かが起り勝ちだというように、非常にプリミイテイヴな思想から出ておる。それで、そういう思想をそのまま眞似しまして非常におかしな話でありますが、明治三十九年ぐらいまでは、この思想は嚴格に守られていたのです。例えば駅へ切符を買いに行けば、大きな金を持つて釣銭を要求して來る場合に出す釣銭というものはこれは收入金を使つちやいけない。支出金として國庫から出したものを、釣銭資金の中から拂わなければいけない。一方、他のお客から貰つた小銭があつても收入金を直ぐ支出として金銭に振向けることはできないということになつていたそうであります。それで外國人の講師か何かが駅へ來て、そうして切符を買つて釣銭を呉れと言つたら、今釣銭資金がないから細かい金を持つて來いと言つたので、その外國人は今の客が細かいので切符を買つて行つたからそれを寄越せと言つたら、これは國庫の收入金で歳入として國庫に納入しなければいけない、釣銭は支出金であるから今支出金としての釣銭資金がないからやれないということで、驚いてその当時の政府の者に掛け合つて、余りにおかしな話だということで、それが契機となり明治三十九年から或る一定の限度、或る限度において、又一定の人に限つて收入金を以て支出に繰替拂してもいいという例外が逓信省と鉄道省の間に認められたのであります。併しながらこれは飽くまで例外である。支出と收入は混同すべきものでないというので、折角繰替拂をしながら而もそれを、これは本拂でないのだからと言つて收入金が支出したものに対しては別に又支出金を貰いまして、それを本拂に直したというような煩雑な手続を執つておつたのであります。これは昨年頃までそういう煩雜な手続を執つたのであります。会計制度改正の折に大藏省の方と交渉して、それは或る程度改正されたのであります。そういうふうな扱いをしておりまして、常に現金が交錯して輸送されておるが、その間は金銭としての機能を奪われておる。利子も付かないというようなことになる。そのために支拂方法としても普通の実業家がやつておるように銀行を利用して計算小切手を発行する、振替制度を利用するというようなことが行われない。この点は是非共、國庫金扱の制度を廃止して頂かなければならないと思います。本法第四十七條はこの在來の欠陷を除去する方法を講じておりませんで、「日本國有鉄道の業務に係る現金の出納手続は、政令の定めるところにより國庫金の例によらなければならない。」と規定しております。この條項を削除して頂きまして、「日本國有鉄道は予め運輸大臣の認可を受けて業務に係る現金を日本銀行(國庫)以外の銀行に預入れることができる」という反対の條文を設けて頂いて、國有鉄道も、ほかの私設鉄道と同樣に自分の持つておる金の銀行的管理ができるようにして頂きたいと存じます。それから資金の話については先程神野さんからお話がございまして、私同樣の意見を持つておりますので、くだくだしく繰返しません。廣く民間からも資金を調達し得るように條文を訂正して頂きたいと存じます。
 それから次には会計檢査のことでありますが、國鉄の財政が從来國家財政に編入されていましたために、國鉄の会計は一般行政官廳の会計と同様に会計檢査院の監督下にあつたのであります。で、会計檢査院の監督規則及びその方針というのは、專ら消費会計であるところの一般権力官廳を対象としているために、その檢査は消費規制的である、法規に合しておるか合していないかという点に重点を置いておりまして、鉄道のような生産会計に取つて重要な経済性、能率性の見地から檢討を加えるということはしなかつたのであります。この点につきましても日本國有鉄道の特異性を御認識下さいまして、國鉄に対しては特別の会計檢査機構なり、準則なりを設けて頂きたいと存ずるのであります。本法は何らこの点について考慮を拂つておりません。私は少なくとも第五十一條の規定についてはその第二項として、日本國有鉄道の会計に対する検査は商事的原則、いわゆるコマーシヤル・プリンシプルによつて企業監査の方式によらなければならないというくらいの原則的の規定だけでも追加して頂きたいと存ずるのであります。
 それから経理原則に関する第三十六條の條文を見ますと、三十六條の條文は少し英訳の文章と違つておるように思うのでございます。英文の方を見ますと、何か会計法については一般公共企業体の会計経理に関する法律として通則的な立法が予定されておるように解されるのであります。どうも煙草とか樟脳とか、鉄道とか、非常に事業の規模、内容、性質を異にするものに対して一律の会計法規を設けることは適当でないと思います。巨額の資本を擁する大企業であつて、複雑な内容を有する特異な國鉄に対しては、独自の会計経理に関する法規例えば鉄道会計法というようなものを制定することが必要だと思われるのであります。この点を明かにするように三十六條の條文を御訂正願いたいと思います。殊に英文では公共企業体がパブリック・コーポレーションズとなつておりますが、これは是非共單数にして、ジス・コーポレーションつまり鉄道の意味に改めて頂きたい。尚その次の方にありますサッチ・エンタープライセスというのはザ・エンタープライスというふうに英文の方でもお改め願いたいと存じます。尚この三十六條は運賃の設定変更に関する立法を將來に約束しておるように考えられるのでありますが、運賃の設定変更ということは事業として根本的に重要な問題であります。こういう問題に関しまして何ら規定を設けないで、日本國有鉄道法というような法律を作ることは無意味だろうと思われるのであります。先程申上げました通りに運賃の決定機構に対しましては何らか本法に條文を以て明確に規定して頂きたいと存じております。
 それから、これも先程來お話がございましたが、本法第十條を見ますと、監理委員会が業務執行に関して頗る廣範囲強力な権限及び責任を持つておるように解せられるのであります。名誉職であり、專務職でないものに、かような廣汎な白地式な権限を與えるということは不合理で且つ危險であります。この権限を濫用されれば、総裁その他の執行機関の自主的且つ機敏な行動が制肘される恐れがあるのであります。でありまするから、権限はこれを限定すべきが当然ではないかと思われます。而も名誉職であり、專任職でないのでありまするから、監理委員会の責任権限は本法にいろいろと條文が散在しておりまして、推薦とか同意とか承認というようなことを監理委員会がなし得ることになつておりまするが、本法に規定する推薦、同意、承認等の外に、若し権限を與えるとすれば、財政状態、経営成績に関する報告の承認ぐらいに限定する旨を明記して頂いてはどうかと考えております。尚第一條につきまして、第一條の法案の、前の法案を見ますと、能率的という言葉の外に、「自主的且能率的な」という字があつたのであります。第二の案ではこの自主的という字が削られているのでありまするが、勿論原案の能率的ということの中には自主的でなければ能率が上らないというので、自主的ということを当然勧告するものとも解せられますが、我が國從來の組織によりますれば、事業の執行責任は專ら監督者にあります。実際業務に從事するものは、監督者の命にただ從うことが業務に忠実な所以でありますとして、自己責任で仕事をしないところに事業運営の能率向上を阻む大きな欠陷が存するのでありまするから、字句の末ではありますが、特に自主的、オートノマスという字句を挿入して頂く方がよいのではないかと考えます。
 次に出納係員の弁償責任及びその判定に関する規定でございますが、國有鉄道のような大規模な企業におきまして、廣大な地域に亘る多数の出納員の現金保管責任に関する問題を一々会計檢査院に報告して、そうしてその措置を求めるということは、手続上の煩瑣は固より、資材や時間の浪費を免かれないのでありますから、折角コーポレーションになつたのでありますから、経営の責任者である総裁が、直ちに自ら出納職員の弁償責任の有無を判定し得るということを規定すべきではないかと考えます。これは旧案には、確か総裁が判定し得ることになつていたと思いますが、何故か後の案には抜かれておるのであります。尚先程どなたからか、ちよつと話がありましたが、こ法案では政府からの出資を受けて政府の國有鉄道という財産をそのコーポレーションがその儘承継することは書いてあるのでありますが、コーポレーションが將來引継いだ鉄道以外に幹線の経営をやつて行くことはどうかというようなこと、幹線経営に関する経営権の問題がちつとも触れられておらないのでありますが、これはドイツのヤング案の國有鉄道法第十條の規定を参照して、やはり規定を挿入して置くべきではないかと存じます。
 以上は私が本法案につきまして最少限度の要求を申上げたわけであります。
#38
○委員長(板谷順助君) 片岡君に申上げますが、あなたの只今お述べになりました御意見は非常に多岐に亘つて大いに参考になりました。聞くところによれば、あなたは國鉄審議委員会の委員の一人として答申案をお作りになつた……無論御参加になつたと思うのでありますけれども、現在政府の原案が出ておりますが、それに対する修正意見を專門員まで一つ御提出を願つて、この委員会として大いに参考としたいと考えておりますが、お差支えありませんか。それから尚関係方面といろいろ御折衝になつたということも承つておりますが、或いは公開の席で御発表ができなければ、秘密会としてお聽きしてもよろしいのですが、その点は如何ですか。
#39
○証人(片岡謌郎君) それも申上げます。
#40
○内村清次君 この際ちよつと只今の運賃決定の機構、それから事務管理につきましては詳しい御意見を頂きまして非常に参考になつたわけでありまするが、この際労働関係、即ち日本國有鉄道の労働関係について一つも言及がなかつたようですが、その点につきまして一つ御意見を承りたい。それからいま一ついわゆる監督行政と経営との分離でありまするが、いわゆる五十二條からの問題……五十三條、この問題につきまして、これは本当に監督行政として運輸大臣がこの点までやるということは今後の経営実体に対して、無理が生じやしないかどうかという点についての御意見を承りたい。それから監理委員会の構成について先程やや触れられたようでありまするが、もう少し任期その他、それから内閣の推薦というような面が、今後の國有鉄道のいわゆる経営実体に対しまして及ぼす影響というものについての、何かその点お考えがあるかどうか。この点を一つ伺いたいと思います。
#41
○証人(片岡謌郎君) 先ず監理委員会の点について申上げますが、監理委員会の機構を審議会で論議いたしましたときには、いろいろ議論があつたのであります。大体監理委員会というものは、英法の、英國の会社法によるボード・オブ・デレクターズの眞似をして、それをこの機構に取入れたのじやないかと思います。英國のボード・オブ・デレクターズとしますれば、これは取締役会のようなものでございまして、かなり重要且つ原則的な問題に対して大きな権限を持つておる。ゼネラル・マネージャーというものは、ボード・オブ・デレクターズが主であつて、それの委任を受けてやつておることになるのでありまして、この制度の眞似をいたしまして作つたヨーロッパの國有鉄道のコーポレーションでは、相当大きな権限を持たしておる。その代り決して名誉職ではない、外の兼職を禁止したりしておる。その代り十分給料を拂つておる。今まで官廳組織であつていい立派な人物を得難かつたのは給料が低いからである。ボード・オブ・デレクターズには、うんと金を拂わなければならないというのは、大体の傾向だろうと思う。ところがこの法案を見て論議します場合には、現在のところそういう大きな権限を持つたボード・オブ・デレクターズのメンバーを今の情勢において選び得るか、人があるか。それから一方ボード・オブ・デレクターズに大きな権限を持たせてしまいますと、執行機関、総裁、理事、その他に対して、活溌機敏な行動を掣肘することになりやしないか。むしろこれは監査役に近いようなもので余り仕事にはタッチしないようにして置いた方がよいのじやないか。ところが、ここではちよつと申上げてよいか分りませんが、向うの原案には、オーデターではなくボード・オブ・デレクターズとあります。これをオーデターのように直してしまいますと、別に会計檢査院がありますから、重複してしまいます。そういう監督の面がボード・オブ・デレクターズとしての考えを生かさしめて、而も余りに大きな権限を持たせないときにはどうしたらよいか。最高幹部の任免に関してタッチさせれば、それで相当の権限であるから、その任免に関與することによつて、企業をある程度監督し得るという程度にしておく方が、今の情勢から見て適当ではないかというわけで、今のような機構になつたのであります。
#42
○委員長(板谷順助君) 次に加藤君にお願いいたします。貴方は遅くお出でになつたので、証人の宣誓をしてありませんので、一つお読み下さい。細野君にもお願いいたします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
  宣誓書
 良心に待つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 加藤閲男
   宣誓書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 細野日出男
#43
○証人(加藤閲男君) 國鉄労働組合中央執行委員長の加藤でございます。本日御指名によりまして、日本國有鉄道法案に関し、直接この法律によつて律せられまする從業員の立場を代表いたしまして意見を申述べます。
 去る二十日、私は衆議院の運輸委員会の御要請によりまして、同院においてこの法案の公聽会に公述人として出席いたし、本日只今より申述べます公述と略略同樣のことを申述べましたことを、先ず御報告申上げて置きます。
 提案理由にもございますように、この法律案は全くマ書簡の勧告に基いて、國有鉄道事業を公共企業体の事業とするために、極めて早急の間に立案提出されたものでございます。元來マ書簡は何と申しましても、当時の客観情勢から、労働問題処理に重点があつたのは争われない事実でございます。そこで私共は当面の労働問題処理のためのみの理由で、國鉄の機構改革を行なつてはならない。かようなことでは我が國産業の復興に重大な支障を及ぼすということを重視いたしまして、事の成行きを静観しておつたのでございます。さて私共は、マ書簡による勧告の有無に拘わらず、過去の経営協議会におきましても、しばしば國有鉄道の機構再編成について研究を続けて参りました。基本方針として、第一に、官僚の非能率的経営を排除し、経営の民主化を図り、能率的運営を確立する。第二に、單なる收支のバランスを図るという意味でなく、社会主義政策を十分織込んだ眞の意味の独立採算制を取る。第三に、行政と企業の二つに切離し、企業部面における官僚支配を断ち切る。このことを決定いたしました。これを簡單に申述べますれば、從業員は積極的に経営に参加する。会計の自主性を確立する。経営の自主性を確立するということになると考えております。書簡を契機といたしまして、公共企業体となるのであるならば、この点について十分な改革がなされなければならないと考えておりました。又当然我々はこの機構改革については、十分組合側の意見も参酌されるものと考えておりました。併しながら書簡に、公共企業体になることは、マイト・ウヰル・ビーという言葉が使つてございました。シーティー・エス並びにエル・エスの会談の結果、運輸省に示されたのはシャル・ビーという字句が使つてございました。この両者を勘案いたしまして、政府は関係方面の示唆を、自己陣営に有利に解釈するために用いまして、私共には極力秘密主義で押通し、法案が國会に上程されるまで何らの話合もいたさなかつたのであります。過日本院におきまして、内村議員の質問に対して、運輸大臣は、労働組合と協議を行なつたかのごとき答弁をいたした由でございますが、これは全く偽りでありまして、この意味で私共組合側は、この法案の立案が極めて非民主的であつたということを指摘したいのであります。
 以上のような状態でございますので、私共は当局側の意図するところを知るに由なく、止むを得ず独自の見解に基きまして、過日國鉄機構改革についての組合側の基本方針と具体的要綱についてパンフレットを作成いたしまして、参衆両院議員の全議員各位にお届けいたしまして、我々の主張と立場を御理解下さるようお願い申上げた次第でございます。その後脱稿されました法案を入手いたしましたところ、果せるかなこの法案は、先程数多くの公述人の言われた通り、一体何を意図しておるのか、單に改正のための改正で、実質的に改正されたところは見受けられないとさえ考えられるような状態でございます。併しながら批判のみでは現実の打開はできませんし、又この臨時國会召集の性格から考えましても、國家公務員法や、この法律の通過なくしては私共の給與ベースの改訂も見送られるやも知れない状況にありまするので、只今お手許に差出しましたような修正意見を以て、皆さま方の御檢討の資料にいたしたいと考えたわけでございます。そこで私は組合側の改正を希求いたします重点的なものについてのみ、以下公述いたしたいと思います。お手許に組合の修正意見書を差上げてございまするのを御覧頂ければ幸甚に存じます。逐條修正希望を申述べます。
 第一章、総則の中の第五條でございます。第五條は條文の修正意見ではありません。第五條は、資本金について規定しております。資本金は政府が全額出資する、二十四年三月三十一日における資産の價格に相当する額となつております。これは一見当然のことではありまするが、重要な内容を持つておるのでありまして、國鉄の資本は借入資本と特有資本とからなつておりまして、本年当初におきましては、前者が四百七十九億、後者が四十九億、合計五百二十八億となつておるのであります。即ち公債、借入金等の借金が総額の九〇%以上になつておるのであります。尤も資本総額の六二%は固定資産であり、且つ大部分が國鉄開業以来の時價によるものを含んでおるのでありますから、再評價されれば数千億にも上るわけであります。從つて敢てこの点を恐るるには足らないと思うのでありまするが、これらの再評價について適正な手続と計算が必要であります。これらが不明確にされるならば、將來数百億足らずの資本によつて國鉄企業が民間資本家の手に渡ることが予想されますので、強力な措置を希望する者でございます。
 次に、第六條第二項の但し書、「但し、鉱業税、電気ガス税」、以下でございます。この條文は、全文削除して頂きたいと考えております。その理由は、鉄道運賃料金が、社会政策上低額に決められておることを考えて頂ければ容易に御了解が頂けるものと信ずる者でございます。
 第二章の監理委員会の問題でございます。監理委員会、この第二章が、この改正案の最も重点をなしておるものと私共は考えます。從いまして第十二條につきまして、監理委員会の委員に労働組織の代表者を是非加えて頂きたいと思うのでございます。第十二條には「監理委員会の委員は、運輸業、工業、商業又は金融業について、」とございます。この下に「労働組織の代表」ということを加えて頂きたいと、かように考えております。この労働組織代表の意味は、敢て國鉄労働組合ということを申上げておるのではございません。この條の本文の字句は、英國における公共企業体の理事会の理事の選出と、表面上は揆を一にいたしております。併しながらその内容におきましては、重大なる差異があるのであります。即ち日本政府は今回、労働組合の経営参加は全面的にこれを否定する建前を取つております。英國の場合は、任命権の建前から法文化されてはおりませんが、石炭國有化に当つても、八名の理事中二名が労働組合の幹部であつて、理事に任命されておる状態でございます。かくありましてこそ、経営の民主化が実現されるのでありまする故、よろしく御修正を願いたいと希望いたす者でございます。
 尚この反対に、お手許に差上げましたプリントにもございまするが、第十二條の委員たることを得ない者の第六項の次に第七項を加えて、第七項は「鉄道弘済会、日本交通公社等その名称の如何を問わず、運輸省の外郭團体であり、又は日本國有鉄道と利害関係の強い團体云々」、これを加えて頂きたいと考えるものでございます。非常に当りさわりがございますかも知れませんけれども、これらの役は概ね鉄道の前職の高級官僚でありまして、第十二條そのまま参りますると、先程公述人として陳述されました堀木氏或いは交通公社の高田氏にいたしましても、この委員たられる機会が非常に多いのではないかと、かように考えまするが故に、組合側は特にこの第七項の追加をお願いしておる次第でございます。そこで私共が監理委員会について重大関心を持ちましたのは、先程片岡委員の御発言がございましたけれども、第十條に監理委員会の権限と責任が書いてございます。この項につきましては、東大教授の田中氏は、過日の衆議院の公述の際に、責任がどこにあるのか、責任の所在が不明であるかのように指摘されておつたのでございまするが、私も責任の所在が極めて不明瞭である、併しながら組合といたしましては、この監理委員会は決議機関であり、総裁以下が執行機関である、かような考え方をいたしまするが故に、片岡委員と全く正反対でございまするが、第十五條「委員は、名誉職とする云々」の條文を全文削除して頂きまして、「委員は、國務大臣の俸給に準ずる俸給を受ける」と修正されることを希望いたすものでございます。原文のように名誉職といたして置きますると委員会が有名無実になりまするので、常時責任ある機関として運営の監理に当らしむべきであると、かように考えるからでございます。
 次に、第十六條の第四項、第五項につきまして、「日本國有鉄道の役員又は職員」とありますが、その次に「及び日本國有鉄道の労働組合の代表」を加えて頂きたいと、かように考える者でございます。
 第十二條におきましては、労働組織の代表、第十六條におきましては國有鉄道の労働組合代表とはつきりここに区別いたしました理由は、監理権、運営権そのものは、当局側にあることを我々は認めまして、率直にこれに発言権を得たい、かような考え方から、第十二條と第十六條の組織の代表者を書いた次第でございます。
 それから第三章、役員及び職員の章におきまして、第二十二條総裁及び副総裁の罷免の規定におきまして、監理委員会に総裁彈劾権を持たせる條文の挿入を希望いたします。
 それから第二十六條の職員の地位及び資格を規定いたしました條文の第二項において、地方公共團体の議会の議員、政党の役員が職員であることができないことになつておりまするが、これは削除せられるよう希望する者でございます。これは國家公務員法第百一條に対する組合側の強い要望と揆を一にするものでございます。
 それから二十八條の給與に関する條文でございまするが、これは極めて抽象的でございます。米國のT・V・A法の第三條に「公社が一方の当事者となり労働者、技術者の傭人を必要とする契約には、これらの者の給與をその地域の類似業種の現行標準賃金以下としない」旨の條項を加えなければならないとしております。よつてこの法文は「科学的調査に基く國民給與水準及び類似産業の給與水準を下つてはならない」と修正されるよう希望する者でございます。
 第二十九條より第三十五條に亘る各條項は、組合員の服務を規律するような條文でございますので、この根本に流れる思想といたしまして、官吏服務規律の再現を意図するとこが多いように考えられます。又過去の労働運動の経緯に鑑みまして、これらを律せんとする意図が多分に見受けられまして、從業員に対して極めて不利益を見るがごとき條文が多いのであります。第二十九條降職及び免職を規定いたしました條文においては、第一項の「勤務成績がよくない場合」とございまするのを「勤務成績が著しく悪い場合」、こういうふうに修正して頂きたいと思うのでございます。そうして二十九條の第三号、第四号は削除して頂きたい、かように考えます。尚二十九條から三十一條の処分決定を、当局側の一方的処分に任せないために、第三十一條の次に新たに一條を設けて頂きたいのでございます。即ちお手許に差上げましたプリントにも書いてございまするが、三十二條といたしまして「降職、免職、休職、懲戒の認定に当つては本人若しくは本人の所属する組合の発言を十分考慮する審議会を持たなければならない。
 前三條の規定はこれを組合運動抑圧の手段としてはならない。
 本條に決める手続を経ない如何なる処分も法的には無効とする」、こういう意味合の條文を差加えて頂きたい、かように考える者でございます。原文の第三十三條は勤務時間の延長、時間外及び休日勤務に関し規定した條文でございまするが、これは全文削除を希望する者でございます。すでに衆議院における審議の過程におきましても、労働大臣自体がこの三十二條についてやはり異議を持たれておるやに聽いております。これは表面は当然な事項を当然に定めたように見受けられるのでございまするが、労働基準法を政府みずからが破らんとする底意が窺われるので、かかる誤解を生ずる條文については全文削除することが、この際賢明であろう、かように考える者でございます。
 第四章の会計の章におきましては、第三十六條について先程前公述人から御発言がございました、私もこの條項の存ずる限り、國有鉄道が公共企業体になりましても、現在と大同小異であつて外局的精彩を帶びたに過ぎない、かように考える者でございまするが、併しながらこの條文を、かように存置せざるを得ない現在の段階から考えまするならば、從業員としては、この三十六條の第三項に次のような字句を加えて頂きたいと希望する者でございます。一項といたしまして「戰災施設の復旧、電化促進その他國土計画に基く拡張工事、運賃の國民経済的制約、占領軍、賠償関係輸送等による費用は、これを明確化し、國において負担すべきものとする。」片岡公述人の考え方と全く正反対のことを、現在の段階においては書き加えなければならない。これが現実であることを主張したいのでございます。
 次に、第四十九條の財産処分の制限を規定いたしました條項におきまして、営業線及びこれに準ずる重要な財産の譲渡は運輸大臣の認可を受けなければならないとございます。これを「國会の議決を経なければならない。」と改めることを希望いたします。その理由は、今鉄道審議会で、買收線の拂下問題を審議いたしておりますが、その経緯からいたしまして、私はこれは運輸大臣の認可ということではなく、どうしても國会、つまり國民の代表である國会の審議を必要とするということを痛感いたしましたが故に、敢て非常にむつかしい恰好でございまするが、運輸大臣の認可を國会の議決というふうに修正して頂きたい、かように考える者でございます。
 以上極めて大まかに、各章各條について修正意見の重点的なものを申述べたのでございますが、冒頭に申上げました通り、本法案は何と申しましても、その性格が極めて不明確でありますので、十分の御審議をお願いいたしたい。詳細に亘ることにつきましては、お手許に差上げましたプリントを御参照頂けば非常に幸いだと考えております。
#44
○委員長(板谷順助君) 加藤君から職員組合を代表して修正意見書が配付されておりますので、本委員会としては参考といたして檢討いたします。何か御質問があるならば……。ありませんならば細野君に御発言を願います。
#45
○証人(細野日出男君) 私は日本國有鉄道法案そのものを直接入手いたしますのが大変遅れまして、この解釈につきまして、殊にどなたからも解説を伺つていない状況でありますので、相当分らないところがあり、又自分の考えたものと違つた解釈があるのかも知れないと思うのでありますが、交通学者の一人という立場から忌憚ない感想を申上げて見たいと思います。先ず全体を通観いたしますと、この法案は非常に大きな変革を與えたものだという印はないのでございます。大体において現状維持的なものをただ名称を変える。その他に重要な点は第二章に整理委員会という制度を一つ設けたことと、それから國家公務員法から國有鉄道の職員を外すということ、その点は非常にはつきりした変わつた点でありますが、その他におきましては大体において現状維持といつたような印象が大変に強いのであります。実は私共としましては敗戰後の日本はあらゆる面において根本的な変動が起り、改革が行われなければならない客観的情勢にあるのだと思うのであります。この新らしく日本國有鉄道というものをこの法律によつて設け、盛んに言われておりますところの、パブリック・コーポレーシヨン、公共企業体というものにするということであるからには、余程大きな変革が行われたのであるという印象を、全國民、それから全國有鉄道の職員、從業員に與えられるようなものでなければ、精神的な効果が少いのではないかと思うのであります。今までのものをただ名前が変つただけだといつたような印象では、これは目的の第一條に謳つてあるように、この能率化というようなことでさえも行い得ないのではないかと思うのであります、それが全体に対する感想でございます。
 第一條について申上げますと、前公述人の皆さんがいろいろ御指摘になつたところでありますが、「能率的な運営により」という言葉がありますけれども、この外に前案には何でも自主的という言葉があつたというお話でありますが、まあ自主的ということは、能率的な運営をするためには必然的に成る程度必要なことでありますが、この日本の行政とか、経済とかいうことの民主化ということが、非常に戰後の大事な眼目になつておるのだと思うのであります。ですからこの目的のところにはどうしてもやはり民主的な運営ができる、それをさせるのだという趣旨の言葉をお入れになつた方がいいのではないかということを考えます。
 それから飛びまして第六條のところに、「日本國有鉄道には、所得税及び法人税を課さない。」それから「地方税については」云々という規定がございますが、この税金というものは、日本のようないわゆる官僚國家的な、或いはいわゆる天皇制國家といつたような考え方をして來ておりますところでは、國営事業に対しては、税金は課さないという思想がずつと一貫して來ておるようであります。併しながら、この間、國有化されましたイギリスの鉄道におきましては、税金関係については、國有化されても変りはないということをはつきりさせておるのであります。勿論國有鉄道は税金を納めない代りに、國家の経済政策、社会政策といつたようなものに服するところの、犠牲を多分に負担するということが、税金の代りだという思想はあるのであります。併しながら理論的には税金は税金、社会政策、或いは経済政策は経済政策として、別箇のものにして考えることの方が、合理的ではないかと考えるのであります。
 併しながら國家の、後の方にございますが、日本國有鉄道の益金というのは、國庫に繰入れるという原則が後の方にあるようでございます。その益金が國庫に入る建前である限りにおきましては、これが即ち國税に大体当る性質のものであるかと思います。
 ところが地方公共体の方はその点余り恩恵には浴さないわけでありまして、実は從來の日本の市場におきましては、私設鉄道であつた時代には、地方の公共体は、これは立派な一つの税源であつたのであります。ところが一部分一部分國有化されて行きますと、地方はそれだけ税源を失うような面がありますので、地方税というものは成る程度日本國有鉄道が負担することが、これが合理的ではないかと思うのであります。労働組合の加藤委員長は今、第六條二項の全面的削除をおつしやいましたけれども、先程申しましたように、税金は税金、それから政策は政策といつたようなことを明確化することは、これは企業の合理化、能率化との点から見て、却つて必要なことではないかと思うのであります。
 それから第二章に移りまして監理委員会、監理委員会の内容、仕事は何であるかということは、これはまあ大変な論議を呼ぶところであると思うのでありますが、パブリック・コーポレーションにおきましては、これはやはりその企業経営の主体となるところの、最高機関という思想が当然盛らるべきではないかと思います。即ち國家、若しくは國民を株主とするところの株式会社的な存在であるという、一應の考え方からスタートしておるのだと思うのでありますが、株主総会に当るものはこれは國会である。しかしながら國会が直接、株主総会が直接企業の経営を指導、或いは大綱を決めるといつたようなことは必ずしもできないことでありますからして、その代表者を選ぶという意味で以て取締役会、或いは重役会といつたようなものが、その株主から選ばれるということになるのだと思うのでありますが、若しこの監理委員会というものが、パブリック・コーポレーションの、ボード・オブ・ディレクターズというものの思想から出ておりますものであるならば、やはりその意味において、日本國有鉄道の運営ということの、最高機関であることをはつきりさせることが必要だと思うのであります。先程片岡さんからは監理委員会ではなくして、監査委員会といつたように限定するようにという御意見が出ておるようでありますが、実はこれは大体日本の占領下におきまする事情では、アメリカ流の考え方が多分に入るものだと思うのでございますが、ここにアメリカ最大の鉄道会社でありますところのペンシルヴァニア鉄道会社の、ここのところの組織が出ておりますので、ちよつとご参考のために申上げますと、ボード・オブ・デレクターズというものは、株主代表という趣旨の者が十三人出ております。その中の一人はいわゆるエクゼクティヴ・オフィサー、執行機関としての長であるところの社長が入つておるのでありますが、その他の十二人というものは、これは大株主の代表であります。大株主の代表が十二人出ております。これらの大株主というものの代表は、勿論それぞれ大きなペンシルヴァニア鉄道株式会社の株式を保有しておりますところの團体の長、若しくは重要な役員の人でありまして、例えばフィラデルフィアにありますところのペンシルヴァニア大学というものは、財團としまして、ペンシルヴァニア鉄道の大株主になつております。その中の大学総長がその中に入つておる。それから有名なデュポン化学会社の重役が入つております。それから保險会社の重役が入つておる。信託会社の重役が入つておる。銀行の重役が入つておる。これらは皆大株主代表というところから入つておるわけであります。ところがその十三人のボード・オブ・ディレクターズというものが、更にその次にありますところの、エクゼクティヴ・オフィサー、即ち執行機関の役員、日本國有鉄道法で言いますところの役員という言葉がありますが、その役員の中から何人かを更にボード・オブ・ディレクターズの中に毎年人を変えて入れておるようであります。この一年間は誰を入れるということにしておりますが、この四十七年度の営業報告書によりますというと、四人の執行機関の役員を追加して、ボード・オブ・デレクターズに入れております。これらのボード・オブ・ディレクターズのメンバーは、デレクターズというものは、これは勿論專任の職ではないのであります。いわゆる重役会を開きまして、重要な政策大綱を決定する、或いは予算の審議、或いは決算の審議、決算処分、ことに損益処分の問題といつたようなことは、このボード・オブ・デレクターズの最も嚴重に取扱う大事な項目なわけでありますが、これらの人人は常時出動し、常時やつておるわけではない。併しながら大株主でありますからして、自然そこにみずから大きな利益代表というところから関心を持ちますからして、この日本國有鉄道法におきますところの監理委員というものは、名誉職であつて、直接に何ら、全くこの公共心の強い人で、十分な関心を持ち得ないとい、そうこに根本的な差があるわけであります。即ち株主代表ということであつて、十分大きな利益を感じておるのでありますからして、いわゆる俸給的なものは必ずしも貰つておらないかと思います。勿論賞與金のようなものは出ておるかと思いますけれども、これらのボード・オブ・デレクターズのメンバーは、十分なる関心を以て臨めるという態勢になつておるわけであります。ところが日本國有鉄道法のこの案におきましては、監理委員は名誉職である。内閣が推薦して國会の同意を得て決めるという建前になつておりますが、これは即ち株主、総会に当りますところの、國会の代表だという意味におきまして、國会の同意を得て決めるということそれ自身は正しいのでありますが、そこに名誉職扱をするというところに、やはり十分なる関心が持てるかどうかということの不安が一應あるわけであります。勿論十分な関心を持ち得るような公共心の強い人を選ぶんだということであると思うのでありますが、制度としてはそこに不安なきを得ないのであります。
 ことに名誉職であるからして、十分に関心が持ち得ないから、その人に大きな権限を持たせることは無理だというような方向、これが若し解釈されるとしますならば、非常に問題なところだと思うのであります。やはり相当な利害関心をもつて望み得るというような態勢にする必要がありはしないかと考えるのであります。
 それから委員の数が五人、それから総裁たる委員六人ということになつておりますが、第十二條におきましては、委員を選ぶべき範囲を運輸業、工業、商業、又は金融業というふうに規定してございますけれども、何故これだけのものに限定したかということを聊か解し兼ねるのであります。それからこれは又各業から一人ずつということを意味しておるのか、必ずしも一人ずつではないことも意味するのではないのか、それもこの條文では分り兼ねるのではないかと思うのであります。イギリスの今度國有になりました、英國運輸委員会のメンバーというものは、これは大体監理委員会に当るものだと考えますが、やはり運輸業、工業、商業、金融業というものは挙つております。勿論その外にイギリスは、社会労働党が政権をとりまして、社会主義的な政策を盛んに行なつておるところでありますからして当然でありますけれども、労働関係の、労働組織の代表者を入れるということを決めておるのでありまして、私は加藤さんがいわれましたが、ここのところにやはり日本の問題、民主化という中に、社会化ということが一つ入るのか、入らないのか日本におきましては、やはりこれは入れる必要があると考えるのでありまして、労働組織の代表というものも是非ここに入れられて然るべきものではないかと思います。又各種の産業を若し挙げるならば、工業や、商業、金融業を挙げて、農業を落して置くことは、これもどういうお積りか分らないのでありますが、私としては当然に農業も入れらるべきではないかと考えます。
 それからこの第十二の第三項のところに「左の各号の一に該当する者は、委員であることができない。」と書いてあります中の三号の「國務大臣、國会議員、政府職員又は地方公共團体の議会の議員」という言葉がございます。この政府職員というものの中には、國有鉄道の職員は入るのか入らないのか、これは私も解釈はちよつと分らないのでありますが、現在の國有鉄道の職員は、政府職員だと思いますが、今度日本國有鉄道というものになりますというと、それは政府職員ではないということに若しなるならば、それならば國有鉄道の職員たるものは、委員であることができることになるわけでありますが、若しそうでなければ政府職員の日本國有鉄道の職員に入るならば、これは委員であることができないということになりますからして、ここのところはどういう解釈になりますのか、私としては日本國有鉄道の職員たる位置にあつたものが、ここのところにこの委員に入れないということでありますというと、例の労働組織の代表というようなものを入れます場合に、当然國有鉄道の労働組合の代表は入ることが困難になつて参りますし、又この條項はどう解釈されるのか存じませんが、國有鉄道の職員であつた人は、総裁にはなれないといつたようなことになるかも知れないのでありまして、このところは私は解釈を伺つておりませんので分らないのでありますが、念のために疑問として申上げる次第であります。
 それから第十五條の名誉職というところでありますが、この名誉職というところは、先程申上げましたように、寧ろ名誉職よりは、重大なる責任を負うところの職務といたしまして、相当の報酬が伴う方が自然ではないかと考えるのであります。
 それから委員の数のところで、当然五人というよりは、もう少し多い方が……、農業を入れまして、労働組織の代表も入れたい、但しこれだけでは委員の数というものは、運輸、工業、商業、農業、金融業、労働組織の代表というふうに六人になりますが、更に一般輿論、世論、或いは消費者、利用者代表的な意味の方面のものも、一人くらいは入れるという必要があるのではないかと思うのであります。
 第二章につきましては十八條でありますが、役員は総裁、副総裁、及び理事ということが書いてありまして、員数が書いてございません。当然総裁は一人であるという解釈が行われるのでありましようが、総裁は一人であるのか、二人であるのか、そこの條文では分りません。あとの方では一人と書いてあつたかと思いますが……。ところがアメリカの鉄道会社のいわゆる役員というものを見ると、これは一つの慣習でありますが、副社長の数が非常に沢山決めてあるのであります。例えばペンシルバニア鉄道の例を申上げると、役員として挙つておるのは総裁一人、その外にエクゼクテイヴ・ヴアイス・プレジデント即ち常務的副社長というのと、それからヴアイス・プレジデントというのが十一人おります。これらの副社長の内容は、日本の國有鉄道ならば、各局長級に当るところの人人が、すべて副社長という名前を與えられております。これは日本の会社組織では取締役というものが取締役会を作つておる、ボード・オブ・ディレクターズが、エクゼクチィヴ・オフイサーと重なつておるというところから、そういう取締役が経営の責任の衝に当る、局の責任の衝に当る者のことをディレクターと言つております。アメリカではディレクターズは全体に対する最高監理機関ということで、事業の直接運営の衝に当る者の方には、ディレクターという名前は着いておりません。そのためかも知れませんが、ヴァイス・プレジデントという名前を附けております。ヴァイス・プレジデントというのは、例えば財務局長も、購買局長も、工務局長もそうですし、又不動産課税局長、或いはニューヨーク鉄道局長、東部鉄道局長、西部鉄道局長、中部鉄道局長というような、四人の現場局長も、やはりヴァイス・プレジデントという位置を與えられております。このヴァイス・プレジデントの外に役員としてトレジュラー、これは出納役、收入役であります。それから経理の方の仕事をやる長のコムプトローラー、そういつた者も入ります。この点は日本の行き方と、アメリカの行き方と違うところでありますけれども、総裁に対して、副総裁の数が多いというところが、アメリカ流の行き方なのであります。それからこれは少し申し過ぎであつたかも知れませんが、理事についての任期が規定してございません。これは総裁が決めるということであるかも知れませんが……、当然総裁が決めるということになるのだと思いますが、総裁と副総裁の任期は、各々四年とするということが決めてありますが、理事については任期のことも、亦在任についても規定がないようであります。これはどういうふうにする積りか、特にどうしなければならないということはないと思いますが、疑問とするところであります。
 それから職員の地位及び資格というようなことにつきまして、丁度加藤労働組合委員長から、いろいろ労働組合側からの見解が出ておりましたが、このところの人事の任免、それから休職にするとか、懲罰にするとかといつたようなことは、これは最も公平に、且つ民主的に行わなければならない面でありまするので、やはり労働組合の方からお出しになつたような、一種の審議会的な、そういう出て弁明をするといつたような、機会の與えられる機関がなければならないと思うのであります。それから少し先へ参りまして労働関係につきましては、公共企業体労働関係法というものが、どういう法律ができるのか私今分つておりませんので、その点ちよつと意見も特別には申上げられない次第であります。
 第四章の会計の方へ行きますと、こちらの方では、これは午前もいろいろ御意見が出たそうでありますし、先程片岡さんから御意見が出ておりますごとくに、現在のここに出ております三十六條以下の方では、大体は現状維持的なものでありまして、これでは財政法の運用の能率化というようなことは困難だと思われる節が沢山にあります。先程いろいろ改革の御意見が出ておりましたような、いろいろな改革、修正をして頂くことが必要だと思うのであります。この中で、運賃の決定機構というものは、これはやはり最も大事な点でありまして、今日財政法第三條によりまして、國有鉄道の運賃は、すべき基本的なものは國会で審議されるということになつておりますが、その欠陷というものは、ついこの間からよく露呈されておるところでございまして、即ち政党対立的な、運営の仕方が根本でありますところの國会におきましては、運賃のような、非常に大勢の國民に関係しますようなものは、例えば値上をするといつたような場合には、それは非常に値上しにくいことになるのであります。政爭の具に供される。これを見ましても、運賃の値上ということは、政党を代表される皆さんに取つては、決して選挙区に対して自慢になるような、みやげになるような内容のことではないものでありますので、とかく運賃の改正なり、決定というようなことができなくて、いわゆる政治的な取引で以て決められるというようなことになりますのと、それから今一つは、運賃の決定が非常に遅れるということ、最近のようなインフレ進行化におきまして、運賃の決定が非常に遅れることは、運賃なんというものは、値上をします場合に、遡つて実施することが絶対にできない性質のものでありますので、値上が遅れるということは、それだけ財政の欠陷を大きくするか、或いは將來の利用者の負担を重くするという結果になるのでありますからして、そういう運賃の決定というものが、公正に敏速に行われるというようなことから、やはり運賃の審議につきましては、專門的な機関が必要だと考えるのであります。運賃の決定などは、これはいわゆる第三者的な、公平な立場に立つた行政裁判所、運賃に関する專門の行政裁判所といつたような形のものができるのが、これが本筋だと考えるのであります。イギリスにおいてもそうでありますし、アメリカにおいてもI・C・Cといつたようなものは、そういうような運用が行われておる次第であります。それから私設鉄道の運賃というのは、これは國有鉄道の運賃と、事実上非常に関連の深いものでありまして、或る場面におきましては、競爭運賃になつておるところが沢山あるのであります。ところが國有鉄道の運賃だけが國会で以て審議される、その実質上運賃であるところの、私設鉄道の運賃は、國会はノータツチであるというようなことでありますのも、これも不公平な、不便なことなのでありまして、この点もやはり行政裁判所的な性格を持つた運賃決定機関というものが、國有鉄道運賃と共に、一緒に扱うというようなことが必要だと考えるのであります。その他この財政制度のことにつきましては、殊に自主的な運営、能率的な運営ができるような、いろいろな新制度というものが必要だと考えます。それから四十三條におきましては、損益の処理について書いておるのでありますが「政府は日本國有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付する。」ということになつております。その次の二項におきましては、一般会計に納付しなければならない、即ちいわゆる独立採算ではなくして、損失は政府から貰い、益金は政府え納めるという原則が一應とられておるようであります。このところで、これは現在のような、インフレーションの、非常な不健全な経済状態下におきまして、自然こういうことが必要なんだと思うのでありますが、この特別の必要があると認めることにつきましては、殊に國家の運賃を、國会が握つているというような場合におきましては、特にこの面が自動的に、運賃を上げないということならば、このために起るところの欠陷というものは、國会が予算として当然交付金を計上するといつたような、自動的な操作が行なわれることが必要だと考えます。それから別に予算に定める場合を除き、政府の一般会計に、益金を納めるということでありますが、この益金を一般会計に納めるという原則を立てますからには、益金というのを、非常に嚴格に計算しなければいけないのであります。その意味におきましは、從來殆んど行なわれて來ておりませんでしたところの、原價償却金といつたようなものの計算も、ぜひする必要があると考えるのであります。勿論この益金というものは、最後の剰余の意味でありましようが、別に予算に定める多合を除き、というのでありますから、このものは、國有鉄道の自己拡張資金といつたようなものが、必要なものは先に除かれるということでありますが、順位ははつきりさせる必要があると思うのであります。それから長期借入金、一時借入金といつたような名称になつておりますが、これも國有鉄道の資金、國有鉄道独自の信用における國有鉄道の公債のようなものが、発行できるようにする必要があるのではないかと考えるのであります。イギリスの運輸委員会におきましては、ブリティツシュ・トランスポート・ストツクという特殊の公債を発行する権限が與えられております。この條文には出ておりませんのですが、民主化ということに関連いたしまして、一般利用者の声を常に聞いて、そうしてこれを急速に反映できるような機構が欲しいのであります。監理委員会は性質上双方出の代表者を入れることができませんから、或る程度民主化の任務を負わされるものでありますけれども、利用者の声を常に聞いて、急速にそのうち取入れらるべきものは取入れるというようなことはしかねるのではないかと思うのであります。それにつきまして、やはり各方面の利用者を代表する諮問委員会のようなものが作られることが望ましいと思います。イギリスにおきましては、運輸の國有化をやりますと共に、中央と地方に運輸諮問委員会というものを拵えまして、各方面のトランス・ポート・サーヴィス、利用者の代表者を相当人数入れまして、諮問機関が希望するところを常に聞くというような態勢を取つておるのであります。それにつきまして、今年の一月、イギリスの運輸國有法が断行されますときに、イギリスの運輸大臣バーンズ氏がラジオを通じまして、全國民に鉄道國有断行の辞を述べておるのでありますが、その中で一般公衆に対しては、特にこういうことを言つております。中央と地方に諮問委員会コンストラクト・コンミツテイを作つて、商工、運送、労働、地方廳等の代表者をフルに入れるから、運輸について言いたいことは、すべてこの機関を利用して言つて頂きたい。イギリスの運輸委員会というものは、これを通じて公衆の世論とその必要とに常に密接な接触をして行きたいのである。そうしてこれによつて、イギリス運輸委員会というものは、生きたボデーにしておきたいと考えるのであるからして、諮問機関であるからといつて、隅つこの隠居のようなつもりで、聞かれたときに言うというような、消極的な態度でなく臨んで貰いたいというような趣旨の演説をいたしております。こういう意味から、この法案には何処にも諮問委員会的のものはできておりませんが、そういう意味のものが盛り込まれることが、必要かと思うのであります。大体以上の通りであります。
#46
○委員長(板谷順助君) ありがとうございました、只今の細野君の御発言に対して、御質問はございませんか。――では速記を止めて。
   〔速記中止〕
#47
○委員長(板谷順助君) 速記を始めて、これにて公述は全部終了いたしました。公述人各位に対し御挨拶申上げます。本日は午前午後に亘りまして、諸君が非常にお忙がしい中にも拘わりませず、御來場を煩わしまして、非常に有益なる御発言を得まして、我々は今後この委員会において、この法案を審議する上におきまして、非常に参考になつた次第であります。御來場に対して重ねて厚く御礼申上げます。
 それではこれにて散会いたします。
   午後三時二十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           小泉 秀吉君
           小野  哲君
           丹羽 五郎君
   委員
           内村 清次君
           大隅 憲二君
           入交 太藏君
          橋本萬右衞門君
          前之園喜一郎君
           飯田精太郎君
           高田  寛君
           結城 安次君
           鈴木 清一君
  証人
   東京商科大学講
   師       細野日出男君
   運輸調査局理事
   長       片岡 謌郎君
   鉄道弘済会理事
   長       堀木 鎌三君
   國鉄労働組合中
   央執行委員長  加藤 閲男君
   東京銀行業務部
   長       神野 正雄君
   高速度交通営團
   総裁      鈴木 清秀君
ソース: 国立国会図書館
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