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1948/11/06 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 不当財産取引調査特別委員会 第11号
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1948/11/06 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 不当財産取引調査特別委員会 第11号

#1
第003回国会 不当財産取引調査特別委員会 第11号
昭和二十三年十一月六日(土曜日)
    午後二時五十二分開議
 出席委員
   委員長 武藤運十郎君
   理事 鍛冶 良作君 理事 河井 榮藏君
   理事 小松 勇次君 理事 石田 一松君
      明禮輝三郎君    渡邊 良夫君
      足立 梅市君    椎熊 三郎君
      橋本 金一君    野本 品吉君
      田中 健吉君    中村元治郎君
      寺崎  覺君    徳田 球一君
 委員外の出席者
 昭和電工に関する問題について出頭した証人
                恒吉 武昭君
                脇村義太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 証人出頭要求に関する件
 千葉合同無蓋株式会社を中心とする千葉縣下に
 おける不正事の調査に関する件
 昭和電工に関する問題
    ―――――――――――――
#2
○武藤委員長 これより会議を開きます。
 理事会において決定させれました事項を御報告いたして、皆さんにお諮りをいたしたいと存じます。
 第一、昭電事件に関する証人調べの次回期日は来る十五日、十六日、十七日と定め、証人の氏名及び順序などは委員長及び小委員長に一任すること、石御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○武藤委員長 さよう決定いたします。
 第二、千葉合同無蓋株式会祉を中心とする千葉縣下における不正事件の調査をすることとし、その基礎調査をいたしたいと存じます。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○武藤委員長 ではさよう決します。
 証人調べをいたします。証人の諸君には昨日はやむを得ない事情のためにお帰りを願つて恐縮でありました。本日御出頭の証人は恒吉武昭さん、脇村義太郎さん、遠山元一さん、原猛六さんの四名でありますね。――御承知の通り当委員会において昭電問題に関する調査をいたしておりますが、そのことにつきまして証言を求めるため御出頭を願つた次第であります。
 証言を求める前に各証人に一言申し上げます。
 昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて、默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せちれ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應のことを御承知になつていただきたいと思います。
 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立の上お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。
    〔証人脇村義太郎君各証人を代表して宣誓〕
    〔各証人宣誓書に署名捺印〕
#5
○武藤委員長 それでは恒吉さん、脇村さん、原さん、遠山さん、そういう順序でお話を伺いますから、恐縮ですが恒吉ざん以外の諸君はもうしばらく別室でお待ちを願いたいと思います。
 それでは恒吉さんに伺いますが、あなたは持株会社整理委員会へお勤めになつたことがありますか。
#6
○恒吉証人 あります。
#7
○武藤委員長 それでは、勤める前の略歴、それから、いつからいつまで勤めたか、その地位、仕事、そういうものをやや詳細に述べていただきたい。
#8
○恒吉証人 昭和十三年に大学を出まして、戰時中一年間ほど外務省の仕事で南京に渡り、経済調査の仕事をしました。帰りまして東亞研究所にはいり、主としてアメリカの経済事情の調査をしておりました。持株会社整理委員会にはいりまして仕事を手傳うようになりましたのは二十一年の二月の下旬、当時まだ持株会社整理委員会は正式にできていなかつた、準備時代でありましたが、そのころからはいつたのであります。正式に設立されましたのは二十一年の八月だつたと思いますが、それまでは何でもかんでも、別に特定の仕事ということはなくて、人数も小人数でありましたし、種々雑多た業務といつてよいかと思います。正式に設立されましてからは、整理部の当時審査課といつておりました課に配属され、その後機構改変に伴いまして整理部第二課に属していたわけであります。そこの仕事は財閥家族の財産の管理、それが主たる仕事でありました。
#9
○武藤委員長 持株会社整理委員会が正式にできましたのは、そうしますといつになりますか。
#10
○恒吉証人 二十一年の八月の二十二日ではなかつたかと思います。
#11
○武藤委員長 そのときにはもう整然と部課等が設けられたわけでありますか。
#12
○恒吉証人 そうだつたと思います。
#13
○武藤委員長 そこで職員組合というものがつくられたようでありますけれども、いつごろ幾人ぐらいでできましたのですか。そしてまたその執行機関はどういう人たちですか。
#14
○恒吉証人 職員組合が正式に発足いたしましたのは二十一年の九月十一日であつたと思つております。その当時の職員の数は、正確には覚えていませんが大体三百名くらいではなかつたかと思います。組合員は当初は部長をも入れておつて、委員以外ほとんど組合員であつたと思います。その当時の職員組合の幹部の人名ということでありますが、正確な記憶はありませんが、当時結成から終始その組合の中心的存在であつたのは私及び庄野太郎君、森本照夫君、碓井雄三君、まだほかにあつたと思いますが、記憶にあるのはそれだけであります。
#15
○武藤委員長 委員長はだれ。
#16
○恒吉証人 組合長と申しておりましたが、結成当初から解職になります本年の五月に至るまで、私がいくたびかの改選を経ても相変ちずその地位にありました。
#17
○武藤委員長 五月に解職せられたのですか。
#18
○恒吉証人 そうです。
#19
○武藤委員長 どういう理由でやさせられたのですか。
#20
○恒吉証人 委員会側の言い分によりますと、われわれがなしていた組合活動が委員会の業務運営を阻害するというのが主たる理由であつたと思います。
#21
○武藤委員長 あなた方のなしておづた活動というのは合法的な組合運動ではなかつたのですか。
#22
○恒吉証人 私は合法的な組合運動であつたと信じております。
#23
○武藤委員長 しかし、委員会側では、それが委員会の活動に差支えがあるからという理由で解職したわけですか。
#24
○恒吉証人 そうです。
#25
○武藤委員長 そのとき解職せられたのはあなただけですか。
#26
○恒吉証人 私ほか十名、計十一名が解職並びに辞表提出の勧告を受けました。
#27
○武藤委員長 それはたれですか。
#28
○恒吉証人 私、それから碓井雄三君、森本照夫君、庄野太郎君、船橋破魔雄君、仙崎二郎君、田端君、池田義彦君、その辺であつたと思います。
#29
○武藤委員長 その際には、これは不当な解職だというわけで別に爭つたようなことはないのですか。
#30
○恒吉証人 われわれはすべてこれを不当として辞表の手交を拒否して受取りませんでした。そして、これをその後都労委に提訴いたしまして、爭いました。
#31
○武藤委員長 その結果は……。
#32
○恒吉証人 今年の九月だつたと思いますが、都労委の裁定によりまして私及び碓井雄三君、森本照夫君、庄野太郎君は解職、船橋破魔雄君、山崎二郎君は辞表の提出、それから中川晃君――先ほど言い忘れましたが、中川晃君は罰俸復職、残る三名は譴責復職であります。そのうちの一人の池田義彦君は辞表提出を求められましたときにそれに應じまして、從つて都労委の提訴には参加しておりません。
#33
○武藤委員長 その前に、昨年の九月ごろでありますか、あなた方職員組合が、委員会の民主化というようなことを叫んで闘爭をやつたようなことがありますか。
#34
○恒吉証人 あります。
#35
○武藤委員長 それではその実情を、やや詳細に経過的に述べてください。
#36
○恒吉証人 民主化闘爭とわれわれは呼んでおりましたが、それが起りましたのは、昨年過度経済力の集中排除法案が審議され、國会に提出されようとしていたとき、及びされているときであつたと思います。この仕事が整理委員会の手によつて行われるということはあらかじめ予定されていたわけでありまして、この仕事の及ぼす非常に大きな影響を考え、われわれは從来のこの委員会の構成並びに運営をもつてしては、十分使命を達成ずることはできないという理由、並びに当時からぼつぼつ職員一般に兆し始めました委員会の幹部諸公に対する不信任的な空気、それが大体の動機であつたように思います。昨年の七月ごろだつたと思いますが、安本を中心として、この集中排除法案の実施機関としての整理委員会を官廳にしてやらした方がいいという有力な意見が台頭いたしておりました。われわれ組合としても、官廳になるかならないかは職員の身分上にも重大な変動を生じますので、組合としてはこれを世論調査によつて一般の動向を調べましたところ、官廳化是非の問題だけをとつてみますと、官廳化しない方がいいという票が過半数を占めていたと思います。しかしながらその是とする者も非とする者も、現幹部の退陣ないしは刷新強化及びもつと有効的な機構改革、経営協議会の設置、そういつた要望がこの世論の調査によつてはつきりとうかがわれたのであります。一方委員会側は、これは独断的な、便宜主義的な機構の改革、人事の異動を画策しつつありましたので、われわれ組合としましては、われわれ組合員の意向も十分反映してもらうように、その決定前に機構の改革並びに人事異動を内示してほしいという要求を、九月だつたと思いますが、出しました。これが直接的には、いわゆる民主化商事の一つのきつかけとなつたわけであります。この要求は容れられませんでした。そこでわれわれは、これはわれわれだけの力ではどうにもならないということを知りまして、これを世論に訴え、世論の力によつてわれわれの希望ないし目的を達成しようとして、整理委員会の構成の民主化、それから集中排除法案を実施するにあたつて基準を決定します産業別諮問委員会の設置及び委員会の運営を國民の代表機関たる國会の嚴重なる監督のもとにおくという、この三点を趣旨とした声明書を発表しようとしたのであります。ところがこのわれわれの声明書を発表せんとするときに、委員会側はこれを察知しまして、十月二十九日ですかに、笹山委員長の示達によつて、委員会の信用を保持するようにという趣旨だつたと思いますが、これを阻止したいような意向でありました。翌三十日には人事課長の通達によりまして、この委員長の示達をさらに具体化して、われわれの活動を止めようとし、さらにそれでも止められないことを察知しまして十月三十一日にはG・H・Qのアンチ・トラストのウエルシユ氏の名によるメモランダムによりまして、このわれわれの運動は制止されました。われわれもやむを得ずそれ以上のことはしなかつたのであります。
#37
○武藤委員長 そこで一應争議はおしまいということになつたわけですか。
#38
○恒吉証人 民主化闘争に関する限り、一應そこで終止符を打つた形になります。
#39
○武藤委員長 今伺つておりますと、委員会の運営が非民主的だということを理由に、民主化闘争をやつたというお話ですけれども、どういう点が非民主的であるのか、具体的に十分に明瞭でないようですけれども、例をあげて、あなた方が改革を必要とした点はどこですか。どういう点が非民主的だつたのですか。
#40
○恒吉証人 一般的に言つて、業務運営全般についてきわめて独善的な秘密主義が保たれまして、それが突如として一方的になされております。機構の改変にしてしかり、また人事の異動にしてしかり。そうした空氣は当初からなされておつたのであります。
#41
○武藤委員長 もう少し具体的な例はわかりませんか。独善的だとか一方的だとか言つても、少し抽象的な話ではありませんか。
#42
○恒吉証人 人事の問題に関してもう少し具体的に申しますれば、同一卒業年次の者でも、紹介者によつて給與が違つたり、また情実的、派閥的な人事異動がなされたりしているとわれわれは考えております。
 機構の改変にしても集中排除法案のための機構の改変は、從來この仕事は主として管理部で行われるはずであつたのでありますが、管理部を企業一部、二部にわかちまして、從來管理部の次長であつた永井氏を二部長にし、一部長には從來の管理部長であつた植村氏をし、さらに企業部の総括的な仕事をなされます総務課長には、その当時職員内においても内部からこれをすえるという空氣が強かつたのでありますが、これを多分植村氏が主であつたと思いますが、興銀から園部という人を呼んできてそこにぽつんと入れた。そうした実質的には意義のない機構の改変をなし、また一般職員の意向に反した人事異動をもなされたわけであります。
#43
○武藤委員長 G・H・Qのウエルシユという人が來たわけですか。だれかほかの者が來たのですか。メモランダムを持つて來たのは……。
#44
○恒吉証人 民主化闘争の最後にわれわれが聞いたメモランダムは、私の記憶では同じデイヴイジヨンのランドール氏がわれわれを前にして読み上げたように記憶しております。
#45
○武藤委員長 ウエルシユ氏の出したものをランドール氏が持つて來て組合員の前で読み上げて、民主化闘争をおしまいにさせたということになるわけですか。
#46
○恒吉証人 それを聞いたのは組合員ばかりではなく、組合の幹部並びに職制上の課長以上だつたと思います。
#47
○武藤委員長 この職員組合は部長以下は皆組合員じやないのですか。
#48
○恒吉証人 組合員ですが、組合員全部を前にしてではなかつたのであります。
#49
○武藤委員長 大体においてどういう意味のメモランダムですか。
#50
○恒吉証人 整理委員会の運営並びに人事に関しては総司令部の明示的な同意がなければこれを対外的に公布してはならないという趣旨のものであつたと思います。
#51
○武藤委員長 それは委員会の方でだれかアンチ・トラスト部に行つて出してもらいたいということを頼んだわけですか。
#52
○恒吉証人 われわれはそういうふうに解釈しておりました。それはいまだにそう思つております。
#53
○武藤委員長 だれが頼みに行つたかわからないですか。
#54
○恒吉証人 これは想像ですが、対G・H・Qの折衝部面は野田岩次郎委員がもつばら当つておるのでありまして、もしわれわれの推定ないし想像が当るとすれば、彼がこういつた仕事をしたと思います。
#55
○武藤委員長 今度は今年になつて、春三月ごろにまた職員組合との間に争議のようなものがあつたようですけれども、それはどういうことであつてどういう経過をたどりましたか。
#56
○恒吉証人 ……。今年に入つて三月ごろの闘争というものは、主として給與の面の闘争であつたのであります。私の記憶で当時は職員の平均給與は、三十三歳の平均手取りが二千六百円であつた。非常に生活が苦しいときでありまして、この闘争に対する組合員の熱意は相当強いものでありました。そこでとりあえずわれわれは三箇月分の生活補給金、それから当時一部職員に委員会側から與えられました報奨金、この報奨金というのは集中排除法案をめぐつて特に忙がしかつた、ないしは特に功労があつたと思われる人に一部與えられとおつたのを、全職員に與えてくれというこの二つの要求を出したのであります。結論的に言えばこのわれわれの給與闘争は全部敗退したわけであります。経過的に申し上げますれば、この要求を出したのは今年の三月の十日ではなかつたかと思います。この要求に対する回答は、十二日にそうしたことはできないという拒否をもつて答えられたわけであります。しかしながら一般組合員の窮状というものは非常なものであつたのであります。早速われわれは、三月の十一日ごろからこの目的貫徹のために闘争姿勢がとられておつたのでありますが、この闘争委員会に諮りましたところ、全員一致をもつて翌る十三日、この日は土曜日であつたのでありますが、翌る十三日を期して一齊賜暇にはいるという決議をしました。この決議はそこに出席しておりました闘争委員の全部、及びこれは公開闘争委員会でありましたので、それを傍聴していた職員数百名も、何の反対もなく決議されたのであります。その決議に従いまして十三日一齊賜暇にはいりました。一部のものを除いて、この賜暇は相当効果的に行われたのであります。その賜暇の当日、十一時ごろにウェルシュ氏が他のギリス氏並びにもう一人ほかにいたと思いますが、他の二人を連れまして……。
#57
○武藤委員長 だれですか。連れてきたのは……。
#58
○恒吉証人 ウエルシユ氏がギリス氏、ほかにもう一人、ぼくは知らないのですが、もう一人おつたと思いますが、三人來られたのであります。そうしてウエルシユ氏が当時闘争委員長でありました私、並びに副闘争委員長でありました碓井雄三君を呼びましてお前はメモランダムを知つているかと言うのであります。私は知らないから、知らないと答えましたら、一枚の紙片を私に手交しました。それはたしかマーカツトに代りてという名のはいつたウェルシュ氏の委員会あてのメモランダムでありました。それを読みますと、集中排除法を有効適切に行なわなければならないときに、大量の休暇をこの際委員は許してはならないという三月十一日附かのメモランダムでありました。笹山委員長はこのメモランダムをわれわれに当然傳えなければならないにもかかわらず、われわれが一齊賜暇を決議し、ストにはいるまで何ら正式には通達されていなかつた。ただ一齊賜暇の前日十二日の午後五時ごろに各課長が集められまして、笹山委員長からこのメモランダムの趣旨が報告されたのでありまして、五時といえば、われわれの執務時間は四時でありまして、職務時間外であつて、われわれは待機命令を出されたわけでも何でもなし、われわれはそこで闘争委員会を開いておつたのですが、全然この通達は当時受けていなかつたのであります。であるから一齊賜暇の当日ウエルシユ氏がわれわれに知つおるかと言つたときに、われわれは知らないと言つたら変な顏をして一枚の紙を持つてきましたが、それがメモランダムでありました。そしてそのときにすぐ職員を復帰せしめるように、殊に交換手並びにエンベーターの運轉手を即時復帰せしめるように要請があつたのであります。しかしながら一部組合の役職員以外はほとんど出てきておりませんし、それに土曜日でもありまして、十一時ごろから呼びにやることもできず、そういうことはむずかしいと私が答えましたら、十五日の月曜日からは一般職員は出てくるかどうかということを私に聞きました。私はそれは機関に諮つてみなければわからないと申しましたところ、あなたの個人的な見解としてはどうかと言いましたので、私の個人的な見解としてはおそらく出てくるのではないかと思うと言いました。現実にその通りで、月曜からは出てきまして、われわれはこれに対してその後向ら背くようなことはなかつたのであります。その帰りがけにウェルシュ氏かもしくはギリス氏が、この入口に貼つてあるビラをもつと目立たないところに移せということでありました。ビラというものは、もちろん人の目に立つところに貼るものでありまして、われわれはこの闘争中の職員の意氣を保持するためにもこれは必要であつたと思いましたので、一部を除いて全面的には撤去しなかつたのであります。
#59
○武藤委員長 大分詳しいようですが、まあ大体そんなところでいいでしよう。この第二回目のときのメモランダムもそれからウェルシュ氏が來られたのも、やはり野田氏が連絡をしたようなあなた方の考え方ですか。
#60
○恒吉証人 われわれはそう考えております。
#61
○武藤委員長 それから後に、一番最初にお話のあつた幹部の馘首ということがきたわけですか
#62
○恒吉証人 そうです。
#63
○武藤委員長 そうすると、あなた方のような戦闘的な幹部に組合を牛耳られていると、年中争議をやつているからというようなところで、首を切つたわけでしようか。ほかに何か理由があるのでしようか。
#64
○恒吉証人 委員会側の言う業務運営の阻害というのは具体的には給與闘爭における一齊賜暇の戰術、並びに先年十月ごろ行われました民主化闘爭が主たる原因であつたのではないかと思いますが、五月にわれわれが馘首されました。さらに含みある原因としては当時昭和電工の問題がぼつぼつ世間の話題に上るようになりまして、一部の新聞には野田岩次郎委員及び笹山委員長の乗取りの問題が出ておつたわけであります。もしわれわれがそのまま委員会に留まりますならば、われわれはこういつた事実に対しては、おそらく黙つていなかつたでしよう。そしてこうした煙の立ちかけたときに、われわれのようなうるさい連中は早く首切つておかねばならないという含みもあつたのではないかという私の考えですし、また処分を受けました一同の一致した見解でもあつたのであります。
#65
○武藤委員長 次の問題で、あなたは三井物産が解体されたときの事情を仰つておりますか。知つておりましたならば、述べてください。
#66
○恒吉証人 詳しく具体的には私その仕事もしておりませんでしたし、知りませんが、私の聞いておりました範囲において申し上げますれば、三井物産並びに三井商事の解体に関しては、昨年の七月ごろではなかつたかと思いますが、これまたメモランダムによつて委員会に通告されたのであります。そしてなるたけ早い機会、おそらく私の記憶では三箇月以内ではなかつたかと思いますが、その期間中に解体するようにということであつたと思います。三井物産のような大きな会社を解体するには、まずその資産を全部抑えなければならないと思われるのでありますが、この資産の押え方に多少の疑点が、あつたのではないかと思われます。と申しますのはその解体指令があつた以後、三日くらいしてから委員会はこの三井物産に対して資産の報告書を提出せしめたのであります。これは後刻三井におつた私の友人から聞いたのでありますが、三井のような大きい歴史を有する、また資産を有する会社においては、帳簿組織がきわめて完全なものであつて、帳簿さえ押えればこれはあまり流れないということを聞いたのでありますが、帳簿も押えず、申告制によつて申告せしめたという点、及びその申告せしめた以後、資産の処分においできわめて低い価格でなされたということを聞いており、その間何か疑惑をもたれるようなことがあつたということを私は確証はありませんが、聞いております。私の知る範囲は大体その程度であります。
#67
○武藤委員長 その次に今度は持株会社第五次指定のときに候補に上つた会社の数、及びそのうちからどのようにしてその十六社が選定されたか。その実情についてそれが適正に行われたと考えるか、しからざる方法によつたと考えるか述べてみていただきたい。
#68
○恒吉証人 私はこの第五次指定の十六社は昨年の九月ではなかつたかと思います。これの基礎調査に上つたのは二十九ないし三十であつたように思われます。そしてこれが正式に指定されましたのは、私の記憶では九月の十八日であつたかと思うのですが、その前日の朝日新聞には十七社、一社殖えて出ておりました。その後委員会の平の委員である美濃部委員に何かのときにお会いして話をしておりましたときに、その問題が出てきまして、この第五次指定の眞相を國民に知らせれば國民は驚くよというようなことを聽きまして、これは何かひどい根拠に基いてなされ、何か疑惑をもたれるようなふしがあつたのではないかと思うのであります。この五次指定の問題については私はこの程度しか知りません。
#69
○武藤委員長 美濃部委員とは美濃部亮吉ですね。
#70
○恒吉証人 そうです。
#71
○武藤委員長 これは普通の委員と常任委員とあるわけですか。
#72
○恒吉証人 そうです。
#73
○武藤委員長 美濃部氏は常任じやないわけですね。
#74
○恒吉証人 そうです。
#75
○武藤委員長 決定をするときには委員会全部で決定するのですか。
#76
○恒吉証人 おそらく総会の決議を経て、司令部のアプループをとるのだろう思います。
#77
○武藤委員長 そうすると、二十九社も三十社もあるものがだんだん落としていつて、結局十六になつたというわけですね。
#78
○恒吉証人 そうです。
#79
○武藤委員長 そうすると、その二十九社ないし三十社の当初の選定ももちろんだけれども、その後だんだん減らしていつて十六社が残る過程及びその結果について、内容を話せば驚くほどひどいものだという趣旨ですが話のようすは……。
#80
○恒吉証人 美濃部委員がどういうつもりで言つたか、私ははつきり知りませんが、あるいはそういうものであつたがもしれませんし、あるいはその調査のしかたがきわめて杜撰なものであつたかという意味にもとれるようにも思われますが……。
#81
○武藤委員長 しかしそれはあなたが行き会つて突然ぽこつと美濃部氏がそう言つたわけじやなく、何か前後に話の繋がりがあつて、今の話が出たのではないですか。
#82
○恒吉証人 私は美濃部委員に会う前からも、どういうふうにしてそうなつたかは知らないにしてもへ多少の疑惑はもつていたのであります。そこでそういうことを私が聴いたかもわかりません。それに対する美濃部委員の答えが先ほど申し上げた通りであります。
#83
○武藤委員長 そんならその調査が杜撰なことであるか何か、大体話の目的、ポイントがあるのだから、あなたがどういう聽き方をしたらひどいものだよという返事をしたのか、あなたの方が先だとすればなおのこと、あなたはわかつておるわけですね。
#84
○恒吉証人 その点美濃部委員もはつきりしなかつたので、私もはつきり了解できなかつたのですがね。
#85
○武藤委員長 それじやそう聞いておきましよう。
 その次の問題、整理委員会の幹部が饗應を受けているとか収賄をしたかというようなことについて、具体的な事実、または風評等がありますか。
#86
○恒吉証人 収賄の事実は私ははつきり知つているわけでも確信をもつておるわけでもありませんが、饗應の問題に関してはずいぶん盛んに行われたのではないかと思われます。料飲店の禁止が政令で発表されましたのは去年の七月ではなかつたかと思いますが、その禁止される前までは毎晩のようにいわゆる宴席に幹部諸公が待つていた事実を聞きました。
#87
○武藤委員長 どこの料飲店で……。
#88
○恒吉証人 それまではわかりませんが、私の知る知識ではそれこそ各所各様であつたと思います。
#89
○武藤委員長 一番評判の高かつた委員はだれですか。そして相手はだれですか。
#90
○恒吉証人 まあ一番そうした酒宴の機会が多かつたのは野田委員並びに笹山委員長ではなかつたかと思われます。この饗應の問題で思い出しましたが、昨年の秋じやなかつたかと思いますが、昭和電工で整理委員会の幹部諸公を福島縣の飯坂、東山温泉ですか、そこに招いたことがあるそうであります。そこではその土地でも有名なほどの大宴会が張られまして、これは笑い話のようでありまするが笹山委員長が裸踊りをしたということを聞いております。昭和電工の日野原さんは笹山さんという人はなかなか話せる人だというふうに言つたということまで聞いております。この電工の福島における招待は、たしか二回にわたつて行われたのでありまして……。
#91
○武藤委員長 昨年の秋と……。
#92
○恒吉証人 昨年の秋一日をおきまして、つまり一日違いで連日ですね。
#93
○武藤委員長 東山と飯坂ですか。
#94
○恒吉証人 たつたよう一に聞いております。二回にわたつて行われ、その最初の一回がいわゆる委員会のおえら方、電工側は日野原、藤井両重役はもちろん出席しておつたように聞いております。第二回目は整理委員会の担当の課長あるいは課長以下の人を呼んだのだということを聞いております。第二回目の宴会費は、私の記憶では大体一席一晩二十五万円使われたというように聞いておりますので、この第一回の宴会にはどれほど使われたのかと思うくらいであります。
#95
○武藤委員長 あなたは呼ばれなかつたのですか。
#96
○恒吉証人 私は呼ばれませんでした。
#97
○武藤委員長 課長は呼ばれた仲間じやなかつたですか。
#98
○恒吉証人 私は昭和電工とは仕事上何ら関係はない…。
#99
○武藤委員長 で残念ながら呼ばれなかつた。(笑声)
#100
○恒吉証人 そうであります。
#101
○武藤委員長 裸踊りをしたというのはだれから聞いてきたのですか。
#102
○恒吉証人 これは昭和電工にいる友人だつたんじやないかと思います。
#103
○武藤委員長 永井第二部長なんかの面会費が一回一万円だという話が業者の間にあるのですが…。
#104
○恒吉証人 私はその話をちよつと聞きました。それは企業第一部長の植村氏と話をしておりますときに、永井君の面会費は一万円だと言われているがね、という言葉を私は植村氏の口から聞きました。それはおそらく金を出すという意味か、あるいは面会するのはあらかじめごちそうしなければならぬし、それには一万円かかるという意味か、そのいずれの意味かはわかりませんが、そういうことを植村氏の口から私は聞きました。
#105
○武藤委員長 何しろ宴会饗應というものがかなり多くつきまとつておつたことは事実ですね。
#106
○恒吉証人 私はそう思います。それで笹山委員長に、何かのときのお話合で、業者と会食をすることはむしろ業務の運営上円滑にいつてよいというような口吻を聞いたことがあります。
#107
○武藤委員長 この笹山という男はよほど飲むのですか。
#108
○恒吉証人 非常に飲むんじやないかと思います。
#109
○武藤委員長 その次に持株委員会の経費ですね、これについて調査をしたようなことがありますか。
#110
○恒吉証人 昨年の九月ごろ委員会の、経費が相当乱雑に使われているということが経理の担当者の間から出てきたことがありまして、またこれが職員間にも傳わり、皆もそれを知つておつたようであります。そこで組合としてこの部門の調査をしたことがあります。この問題になる経費はおそらく私の記憶では渉外連絡費並びに会議費及び宣博廣告費の三項目であつたと思います。委員会のような公的機関においては機密費の項目がないのでありまして、この三項目をうまく利用し、実際の支出と支拂傳票の名目を変えて、うまく組合せつつ、十分に使つたように思われることが経費の分析でわかりました。
#111
○武藤委員長 何かもう少し具体的にどのくらいということはわかりませんか。
#112
○恒吉証人 この三項目はわれわれの解釈では、機密費をカモフラジュしたものだというように解しでおります。これは二十一年度総経費七百万円の中に五十万近く、二十二年度においては総経費三千万に及ぶうち、この三項目の予算は二百万円程度でなかつたかと思います。そしてこの経費について問題になるのは、この経費の支出については、領収書を添付することは委員会の経費規定の十八條かに定めているところでありますが、この領収書を添付せずに、秘書課の職員ないしは課長、あるいは総務部長の判でもつてこの領収書に代えていたように思われます。
#113
○武藤委員長 そのプリントはあなたの方でその当時調べたレポートですか。
#114
○恒吉証人 そうです。
#115
○武藤委員長 そのうち接待費、廣告宣傳費というのは、大体どういうことですか。
#116
○恒吉証人 接待費の具体的な内容のことですか。
#117
○武藤委員長 はい。やはり業者とのものなのですか。
#118
○恒吉証人 委員会が接待するとすれば業者ではないでしよう。
#119
○武藤委員長 業者は向うから出すのですか。
#120
○恒吉証人 私はそうだと思います。主としてG・H・Q関係並びに新聞記者諸君ではないかと思います。
#121
○武藤委員長 新聞記者も大分ごちそうになつたのかな。
#122
○恒吉証人 この数字を見ますと相当なつているように書いてあります。
#123
○武藤委員長 廣告宣傳費というのは。
#124
○恒吉証人 これは文字通り廣告宣傳費であつて、文字通り使つた部面もありますが、われわれは元来これは機密費の一つの筋途を立てた名目にすぎないと解釈しておるのです。
#125
○武藤委員長 その次の問題で、笹山氏が興銀の一田預金部長を日本曹達の常務待遇嘱託ということにしたいきさつについて御存じですか。
#126
○恒吉証人 その話は去年だつたと思いますが、聞いたことがあります。私の聞いた範囲で申し上げますれば、日本曹達の社長は田中という人ではなかつたかと思いますが、その田中社長と笹山委員長と話し合の上で、当時興銀の預金部長であつた一田氏をその重役にすえようという工作があつたと記憶しております。当時金融機関がらの直接の横すべりというのはできないことになつていたのではないか、と思いますが、このときはどういう方法かと申しますと、この一田氏の履歴書は、和文の方には正確にその通り書いてあつたようですが、英文の方には一年遊んだことにしてあり、それをG・H・Qの方へもつて行つて承認を仰いだけれどもやつぱりまずいと言われた。そこで正式な重役として入れることができないので、これを重役待遇の嘱託として入れて、中では常務さんとかなんとかいうふうに呼んでいたということであります。私がこの日本曹達に関して知るのは大体以上のようなことであります。
#127
○武藤委員長 それは翻訳が間違つたのではないので、一年まるでブランクにしたわけですか。
#128
○恒吉証人 私はそういうように聞いております。
#129
○武藤委員長 大体今までの話を聞い
 ていると、野田氏その他が行つて頼めばG・H・Qは大体言うことをきくようなぐあいになつておつたんではない、ですか。この問題だけはうまくいかなかつたのかな。
#130
○恒吉証人 私G・H・Qとこの委員会との関係がどの程度のものであるかということをはつきり知りません。直接の監督権をもつている反トラストのチーフ並びに。スタツフもときどき変りますが、その人たちと委員会の幹部との交友といいますかそのつきあいのぐあいが、非常によいときもあり悪いときもあつて、よいときは思うようになるであろうし、悪いときは思うようにならないのではないかと思います。
#131
○武藤委員長 野田岩次郎氏の資格審査表の経歴について詐称した疑いがあるというようなことがございましたか。
#132
○恒吉証人 それはいつだつたか、たしかわれわれが都労委に提訴中だつたと思いますが、問題になつてそういうことを聞いたことがあります。これは私の知る限りでは最初の審査表は二十一年の二月の終りから三月にかけて、まだ委員会が正式に成立しない以前に書かれたものでありまして、私もそのときそういう仕事を手伝つて書かれたものを見たように記憶しておりますが、野田岩次郎氏が戦時中かに海軍省の嘱託をしているという項目はなかつたように私は記憶するのであります。その後海軍省の同じ仕事をしていた二人の人から、野田氏は当時海軍省におつたということを聞きまして、私のそのとき覚えていた記憶と違うので変だなあと思つたことがあります。提訴中のわれわれの仲間の一人がこれを調べようと思つて内閣かに参つたのでありますが、内閣が今年になつて焼けましたので、この同文の提出した書類は見ることができないので確認はできなかつたのでありますが、確かに私はそういう項目はなかつたように思います。その後今年にはいつて七月ごろ、内閣にあらためて出したようですが、それには書いてあるように聞いております。
#133
○武藤委員長 今度はその次の問題で、委員会のスタツフと言いますか、上の方の人はどういう系統の者が多いのですか。何か特殊な系統出身というものの色がありますか。
#134
○恒吉証人 委員会の職員は過半数が金融機関の出身者であります。殊に閉鎖機関となつた朝鮮銀行、台湾銀行、満洲中央銀行の人たちが多いのであります。幹部諸公においても、委員においても金融機関出身の方が少くありません。しかしこのスタツフの系統について、いつだつたか組合が調べたことがあるのですが、いわゆる興銀閥、興銀の系統というものが数は少いのですが、主要な地位をここの出身の人たちで占めております。具体的に申しますれば、委員長の笹山氏は興銀の出身であります。それから企業第一部長の植村氏、第二部長の永井氏、企業部総務課長の園部氏、こういう主要なポジシヨンにはいわゆる興銀の方々がおられまして、興銀的な勢力はこの委員会において特に強いように思われます。
#135
○武藤委員長 大体ここであなたに対する質問が終るわけなのですが、何かこちらで伺わない問題について、持株会社整理委員会の運営その他疑わしい点がありますか。ありましたら述べておいてください。
#136
○恒吉証人 われわれが疑惑を抱いておりますのは以上申し上げましたほかに、岩崎の別荘拂下に関する件であります。この岩崎の別荘は箱根にありまして土地が四万一千坪、建物が六百八十坪くらいだつたように思いますが、非常に大きな別荘が国際観光に譲り渡されたのであります。この譲渡が去年の七月ごろ行われているのでありますが、この価格が去年の七月において大体土地付で五百九十万円くらいで行われており、これが相当安いのではないか。その後この仕事をした人から聞いたのだと思いますが、これの勧銀の評価はたしか四百九十万円だつたと思います。ですからこうした不動産の売買としては、多く勧銀に頼むようでありますが、この勧銀の評価が四百九十万円であり、実際の取引価格が五百九十万円であるとすれば、形式的な條件はそろつているのでありますが、この勧銀の評価というものが問題であつてう勧銀の評価委員が、当時これは七、八百万円すものだけれども、四百九十万円にしておくということを聞いた人が、ぼくに言つたことがあります。これは非常に安いものだというので、何かあつたのではないかと思われます。それからもう一つ私が知りておりますのは、日本火災という会社に植村氏が隣組の人を重役に入れたという話をこれまた仄聞しました。私はその名前までは記憶しておりません、というよりも最初から聽かなかつた。その人も言わなかつたので、知りません。
#137
○武藤委員長 日本火災の人を重役に入れればどこが悪いのですか。
#138
○恒吉証人 日本火災に植村部長の隣組の人を重役に入れたというのです。そのほか、私今記憶しているのは大体その程度のものであります。
#139
○武藤委員長 何かお尋ねのことがございますか。
#140
○足立委員 ちよつと一、二点お尋ねいたしますが、第一回の民主化闘争と第二回のあなた方の争議でメモランダムが二つ出ているのですか。
#141
○恒吉証人 そうです。
#142
○足立委員 それから委員の総退陣という闘争目標を出したのですか。
#143
○恒吉証人 そういう要求は組合としては正式に出しておりません。
#144
○足立委員 さつき裸踊りをしたという話がありましたが、その時に行かれた入は、あなた知つておりますか。第一回の方は……。
#145
○恒吉証人 私が行つたのでなく、聞いた話ですが……。
#146
○足立委員 その聞いた話で結構です。
#147
○恒吉証人 笹山氏、植村氏、永井氏、それにあるいは野田氏がいたと聞たように思うのですが、はつきりしません。
#148
○足立委員 昭電側は、……。
#149
○恒吉証人 日野原、藤井両氏はおつたように聞いております。
#150
○足立委員 第二回に行かれたメンバーはわかりませんか。
#151
○恒吉証人 それは私わかりません。
#152
○足立委員 それから今三井物産の話が出ましたが、このメモランダムが出てから三日間何も通達もせずに放つてあつた。こういうのですか。
#153
○恒吉証人 そういうふうに聞いております。三日くらい経つて資産の報告を出すようにという通知を受けたということをぼくは三井物産の人から聞きました。
#154
○足立委員 そうすると、あなたの言うのは三日経つて資産の通告だけでは、この帳簿の改がいくらでもできる。礎つて三井物産が保有したところの物資がすでに処分されたという形式がなし得るという意味ですか。
#155
○恒吉証人 そういうことを、三井物産の秋にそのことを話した人は言つて、おりました。契約を続行して傳票を切ればいくらでも流すことはできる。現に相当流れており、そのために何千万円儲けた人がいるじやないかと言つておりました。
#156
○足立委員 当時の二井物産の保有物資はどのくらいのものだつたということを聞いておつたことはありませんか。
#157
○恒吉証人 それはまあ大体の評価でしようが、約三百億というふうに私聞いております。
#158
○足立委員 そうすると、現在は三井物産のそういう処分は、どういう形においてなされておるのですか。全部完了したのですか。
#159
○恒吉証人 完了していないようです。まだ今でも続いております。
#160
○足立委員 そうすると帳簿上に残つておる三井物産の物資は、所有権はどこにあるのですか。
#161
○恒吉証人 所有権は三井物産自体にありましようが、管理権が委員会にある。
#162
○足立委員 処分権は。
#163
○恒吉証人 法律の詳しいことは知りませんが……。
#164
○足立委員 それではさつきの観光ホテ花の件ですが、あなたは仕事をした人から聽いたと言われましたが、仕事をした人というのはたれですか。
#165
○恒吉証人 この仕事は委員会において整理部でなされる仕事でありまして、直接これを担当していた人は整理部の二課の職員である本田氏、この上役である橋本氏及び大槻氏、この辺が大体この仕事の処理をして、最後には委員に行くわけでありますが、大体この辺のルートを通つていると思います。
#166
○足立委員 しかしこの仕事をした人からこの話を聴いたという意味でしよう。
#167
○恒吉証人 これが少し安過ぎるという話はこの人自身から聴いたのではありません。ほかの人から聴きました。
#168
○足立委員 そのほかの人はだれかわかりませんか――うわさとして頭の中にはいつていたという意味ですか。
#169
○恒吉証人 それは外部の人でなく、私の記憶ではやはり中の人だつたと思う。
#170
○足立委員 記憶が明瞭でない、こういうのでありますか。
#171
○恒吉証人 はい。
#172
○足立委員 それから昭電の乗取事件と一般に称せられたことについてあなたは知つておることはありませんか。
#173
○恒吉証人 私直接この仕事に全然タツチしていないので知りませんが、ちよつと申し上げられないという……。りも、知るほどの知識を持合せないと言つた方がいいと思います。
#174
○足立委員 ちよつと話がちぐはぐでありますが、裸踊りをしたことを知つておるであろうと思われる人はありませんか。
#175
○恒吉証人 まあ昭電におる人、その翌日呼ばれた人たちは知つておるし、その土地の人もあるいは知つておるかもわからない。その程度しか……。
#176
○足立委員 それでは結構です。
#177
○田中(健)委員 ちよつとあと先になりますが、岩崎の箱根の別荘の売買にこの事務局としてタツチした方の名前はわかりますか。
#178
○恒吉証人 去年の七月のことですが、事務局としてタッチした人は、先ほど申し上げました本田氏、橋本氏、彼は整理部の次長であつたと思うのでありますが、それと整理部長の大槻氏及び委員諸公だと思います。
#179
○田中(健)委員 それから先ほどあなたの御証言の中にストライキに関連しておるじやないかと思いますが、譴責を受けた者、解職された者、辞表を出させられた者があるのですが、これは官吏懲戒委員会か何かにかけなくもいいのですか。官吏ですかあなた方は。
#180
○恒吉証人 官吏ではありません、公務員です。
#181
○田中(健)委員 その点は譴責を受けたことについてそこで研究してみなかつたのですか。勝手にやられるのですか。
#182
○恒吉証人 官吏の懲戒委員会にかけるものだというふうにはわれわれ思いませんでした。
#183
○田中(健)委員 それから第五次指定の際に、美濃部さんがあなたに対してたいへんなことになるだろう、こうおつしやつたそうでありますが、美濃部さんがだれかほかの人にもそういうことをおつしやつたような話を聞きませんか。
    〔委員長退席、石田(一)委員長代理着席〕
#184
○恒吉証人 その点は私時聞いておりません。
#185
○田中(健)委員 あなただけが聞いたのですか。
#186
○恒吉証人 そうです。
#187
○田中(健)委員 委員会の経費のうち、先ほどは五十万円程度だろうと言われましたが、この中の渉外費というものがどういうものか、つまり渉外関係の宴会費か、あなたの想像されることをちよつと述べてください。
#188
○恒吉証人 渉外連絡費の内容ですか。
#189
○田中(健)委員 性質です。
#190
○恒吉証人 これはもちろん文字通り渉外連絡のための費用であるとは思います。対G・H・Q、対官職、そういつた面の連絡費用に使われてはいると思います。
#191
○田中(健)委員 その渉外費というものは、この三つのうち――宣博費、渉外費、会議費のうち渉外費の方が相当多いようじやないですか。
#192
○恒吉証人 ここにあるわれわれ組合でつくりました経費分析によりますと、二十一年度の渉外連絡費は予算が十五万、決算が二十六万、二十二年度における渉外連絡費の予算は四十万こういうことになつております。
#193
○田中(健)委員 それは交通費か、事務費か、宴会費か。両方とも東京にいたのだろうから旅行に使つたのでもなかろうし、おもにその渉外費はやはり飲み食いが多いようですか。
#194
○恒吉証人 私はそう思います。
#195
○田中(健)委員 それから乗取りの問題ですが、持株整理委員会の幹部のところ、たとえて言えば植村氏、あるいは野田氏、笹山氏のところに日野原氏が出入りしておつたという事実について持株委員会の事務局へ出入りしていたのか、どこか外の方で話合いをしていたのかといううわさあるいは事事は知りませんか。
#196
○恒吉証人 持株会社整理委員会でありますので仕事の都合上昭電のみならず社長、重役は出入りしますし、現に日野原氏も出入りしております。それは何も電工の問題に限らないと思いますが、外で笹山、野田氏及び日野原氏が宴席を設けて会つたということは聞いたことがあります。それも一回ではないような口ぶりでした。
#197
○田中(健)委員 その場所はどこのようですか。
#198
○恒吉証人 そのときの私の聞いたのでは桂という料亭ですが、私は行つたことがないから知らないけれども、桂なんかには一回ではなく行つたような印象を受けました。
#199
○田中(健)委員 ここに出ておる資料によりますど、昭電が指定になつたというのは昭和二十一年の十一月ごろですか。
#200
○恒吉証人 そうでしよう。
#201
○田中(健)委員 そうするとその以前にやはり出入りしているように私は推測する。二一十一年の八月ごろから出入りしていたといううわさを聞いておりますが、指定になる前に出入りしていたのではないか。その点も重ねてお伺いいたしたい。
#202
○恒吉証人 その出入りしておることについては、私が申し上げた通りです。それがいつであつたかということは、また聞きですからはつきり知りません。
#203
○田中(健)委員 次に福島縣の先ほどの温泉の支拂は二十五万円くらいですが、その支拂は持株整理委員会の経費の中にあるのですか、昭和電工であるか。
#204
○恒吉証人 これはもちろん昭和電工であります。
#205
○徳田委員 少しこまかくなりますからそれを見て言つてもらいたい。昭和二十一年の十二月十八日に上田、飯島――これは神戸商大の教授だつた飯島幡司ですね
#206
○恒吉証人 そうです。
#207
○徳田委員 これに五千四百円接待費として出ております。二十一年ごろの五千四百円くらいの接待費なら、ただ事務所で接待するのにこんなにかかりますか。
#208
○恒吉証人 私はこれはどこで接待したかわからないのです。
#209
○徳田委員 料理屋なんかで接待するようなことはないでしようね。
#210
○恒吉証人 委員諸公は事務所で酒を飲むことが非常に多かつた。秘書課の中には倉庫というか押入れというか、そういうものがありまして、その中には酒や米やタバコなんかいつぱいあつたことがあります。
#211
○徳田委員 そうするとこれは事務所かもしれませんね。
#212
○恒吉証人 ぼくはどこで行われたかわかりません。
#213
○徳田委員 この連中の中で上田君のことは知りませんが、飯島幡司君は追放じやないですか。
#214
○恒吉証人 そうです。
#215
○徳田委員 そのときはすでに追放になつておるのですね。
#216
○恒吉証人 そのときに追放になつていたかどうか、追放の期日は知らないので申し上げられません。追放のあとか前かはつきりしません。
#217
○徳田委員 その次に中根氏接待費としてありますがこれは中根貞彦氏のことですね。
#218
○恒吉証人 そう思います。
#219
○徳田委員 三和銀行の頭取ですね。この人も追放だろうと思いますが……。
#220
○恒吉証人 この人は実は整理委員会の準備委員会時代の準備委員長で、将來の委員長になる人が途中で追放されたのです。
#221
○徳田委員 そうするとこれは追放後に接待したわけですね。
#222
○恒吉証人 そうだろうと思うのです。
#223
○徳田委員 たつた七十五円ではあるけれども、追放後であることは明らかですね。そうすると前のことは追放後のように思いますが、これはこつちで調べてみましよう。
#224
○恒吉証人 そのあとの文章に、「追放令該当者に対し、公費を以て接待を為すことは不当の範囲を越えて」おるということは、これは註に出ております。
#225
○徳田委員 こつちもアンダー・ラインをしてもあるけれども、一應あなたにお聽きしておるのです。そうするとこれも多分追放後でしよう。それから東亜燃料興業社長、これも渉外連絡費で出した。これは燃料屋じやないですか。
#226
○恒吉証人 これでやみの石炭か何へを買つたのであつてこれもまたうしろの説明に書いてあります。
#227
○徳田委員 うしろの説明によるとやみ石炭を購入するために饗應したものと了解されるということになつておりますが、こういうことはしよつちゆうやるのですか。
#228
○恒吉証人 それが、非常にうまく行われるので、われわれに在職当時つかみ得ることにその一部であるので、どの程度に行われるかははつきり申し上げられません。
#229
○徳田委員 それから、銀行関係者をえらく饗應しておるようで、接待費をたくさん出しているようですが、こういうことば始終あることですか。
#230
○恒吉証人 始終あるかどうかその辺は私存じません。
#231
○徳田委員 たくさん出してありますな。それから、乗車券を入手するために四月以降新橋管理部、駅ツーリストビユーロー等に金銭を消費しているといつておりますが、これはやはり一種の接待費ですね。
#232
○恒吉証人 そうだと思います。ここでちよつと申し上げたいのは、これはたしかいわゆる帳簿ないし伝票の名義そのままによつて検討した分明であるのでありますが、実際の支出は、とにかく領収書が当時一つもついておりませんので、どうにでもなりますから、いわゆる架空の事実でも、はつきり言えばどういう名義にもなし得たわけであります。
#233
○徳田委員 そうですが。それからひどいのは渉外接待費の中で、九月四日には燃料入手のため平岡商店との会合に八千五百円も使つている。これはみんな伝票によつて組合がちやんと調べたわけですね。
#234
○恒吉証人 そうです。こういう件についてほんとうの詳しいことは秘書課長あるいは経理課長、その辺にお聴きになれば……。
#235
○徳田委員 秘書課長というのは何という人ですか。
#236
○恒吉証人 現在の秘書課長は小柴氏です。
#237
○徳田委員 経理課長は。
#238
○恒吉証人 経理課長と申しましたか会計課長と申しましたかはつきりしませんが、中根元胤氏。その二人及びこの当時のことに関しては、当時直属部長でありました近藤部長、現在も庶務部長でありますが、その人にお聽きになればその辺の事情はわかると思います。
#239
○徳田委員 二十二年度の五月二十九日に新給與に関する会合八百四十円、二十九日にやはり同じ項目で二千三百八十円、それからずつと七月一日、五日となつて合計四千五百円入れておりますが、これは組合側との折衝を意味するのですが。
#240
○恒吉証人 組合との折衝ないし会合に金を使つたことはないのであります。ですからこれは何か別な面で使われたと思います。
#241
○徳田委員 給與というのは組合側との給與のことじやないのですか。
#242
○恒吉証人 ぼくはそうだと思いますが
#243
○徳田委員 給與改善に関する組合側の云々という。ですから、そうですね。
#244
○恒吉証人 そうだろうと思います。
#245
○徳田委員 組合側は何も食べたことはありませんね。
#246
○恒吉証人 ありません。
#247
○徳田委員 そこで、三井物産の資産の中で大磯に土地建物があつたんじやないですか。あなた方の管理せられているもので聞きませんか。
#248
○恒吉証人 それは三井物産自体のものじやなくて、三井高公が大磯に土地を持つていて、それを処分したことはあります
#249
○徳田委員 これもやはり委員会で管理しているわけですね。
#250
○恒吉証人 そうです。
#251
○徳田委員 これを買つたのはたれですか。
#252
○恒吉証人 三井高公の大磯の土地は約三千坪くらいだつたでしようか。それを買つたのは吉田茂氏のように記憶しでおります。
#253
○徳田委員 価格は大体どれくらいですか。
#254
○恒吉証人 私の聞いた範囲では六万八千円ではなかつたかと思います。そのとき、その聞いた入が、偉い人だと安く買えるなと言つて羨ましがつていたのを覚えております。
#255
○徳田委員 これは建坪はどれくらいですか。
#256
○恒吉証人 これは土地だけです。
#257
○徳田委員 建物は吉田さんが建てたわけですね。
#258
○恒吉証人 それは知りません。
#259
○徳田委員 それからもう一つお聴きしたい。大体これは法律関係ではなく事実を答えていただきたいのですが、持株会社整理委員会は財閥に属する株を全部管理しておるわけでありますが、この管理しておる株の権利の行使はすべて持株整理委員会がやつておるわけですか。
#260
○恒吉証人 そうです。
#261
○徳田委員 そうすると、あらゆる干渉をその株主としての相手方の会社にできるわけですね。現にやつておるわけですね。
    〔石田(一)委員長代理退席、委員長着席〕
#262
○恒吉証人 持株会融に対してですか。
#263
○徳田委員 いや、持株会社が財閥の株を持つておりますね。権利をね。権利を実際行つておるとすれば――法律上のことは別です、事実上のことですが――そうしますと、この権利によつて自分が管理しておる会社に対して各種の行為、重役を入替えるとか、あるいはこの金をああ出すとか、この財産をこう整理するとかいうのは全部持株整理委員会でやつておるのですか。
#264
○恒吉証人 やつておると思います。とにかく会社の生殺與奪の権をもつておると言われておつたり、みんなも言つておつたのでありますから。
#265
○徳田委員 そうすると、財産を買つたり何したりも全部やるわけですね。
#266
○恒吉証人 やると思います。
#267
○徳田委員 株券を売るのも何も、いつでも自由勝手にできるわけですか。
#268
○恒吉証人 株の処分は、具体的には、証券処理調整協議会がありまして、こういつた財閥株の処分はそこを通してなされるので、持株だけが勝手な時期に勝手な処分はできないかと思います。
#269
○徳田委員 そうすると、株の処分はできないとすれば、この株の実質である財産――株を百万株持つておるとすると、その会社は百万株に対して具体的な財産を持つておるわけです。この財産の一部々々に対してこれを処理するということはやつておるわけですか。たとえば三井高公のものでも、三井高公の財産はこれは管理しておるかもしれぬが、これは要するに株を管理しておると同じなのである。この人全体の財産として管理している。ところがこの財産の一部、たとえば別荘だとか何だとがいうようなものを、その本人が処理するのでなくて、持株整理委員会がこの岩崎のものなどを処理していますね。そういうことと同じように、株券を持つているその会社の財産を処理していますか。そしに大分私はおかしいところがありはしないかと思います。
#270
○恒吉証人 財閥家族の財産の処分は、処分する場合に財閥が申請をするわけです。その申請が條件に合つているかどうかを見て、それを許可するわけです。
#271
○徳田委員 そうすると監査するというだけなのですね。そうすると三井でも岩崎でも彼等の財産を売つているが、これを売つているのは三井自身もしくは岩崎自身が売るべきであつてただこれを売ることがこの財閥の処置について正当であるかどうかを監査する権利しかないのじやないですか。
#272
○恒吉証人 僕はその辺のことはよくわからないからお答えできないのです
#273
○徳田委員 法律上はわからないけれど哨、しかし事実こうなるとあなたのお話はどうも持株整理委員会が売つたようにできておるのですが、そうすると人の財産を管理していて、これを持株整理委員会が勝手に売るということになると、非常にたいへんなことができはせぬか。その人自身が売るとか何とかいうことならば、監査する分には何の差支えはないけれども、持株整理委員会が処置するということになると、ここに非常に越権の処置があると思うが、どうですか。
#274
○恒吉証人 この財産の処分は所有者、である財閥家族の意思を全然無視して、委員会が勝手に処分するということはないのです。
#275
○徳田委員 これは申請されたものですね。
#276
○恒吉証人 そうだと思います。
#277
○徳田委員 それからたとえば昭和電工でありますが、昭和電工が指定会社になつております。そうすると、その指定会社に対して、持株整理委員会がこの株の権利の行使並びにこの処分についての監査というものはすべてやつておるわけですか。
#278
○恒吉証人 株の議決権を行使しているわけであります。
#279
○徳田委員 そうしてこの株の処分とか何とかは全部持株整理委員会が監査しているわけですか。たれに渡せ、彼に渡せというので……。
#280
○恒吉証人 まあ管理しているでしよう。
#281
○徳田委員 持株整理委員会の許可なしにはどうにも動きがとれないというわけですか。
#282
○恒吉証人 そうだろうと思いますが、その辺のことは私はあまりよく知らないのです。あそこに一緒におられた脇村先生などはよく御存じではないかと思います。
#283
○徳田委員 それでばこれで終ります。
#284
○武藤委員長 それではこれで済みました
#285
○武藤委員長 脇村さんに伺います。
#286
○足立委員 ちよつと脇村さんに御証言をしていただく前にお願いがあるのであります。この持株委員会の機構並びにその実際の運営、法規上の面におきまして詳細に知りたいと思いますので、なるたけ詳細に述べていただくように委員長からお話願いたいと思います。
#287
○武藤委員長 あなたが持株会社整理委員会にはいるまでの略歴を述べていただきます。
#288
○脇村証人 持株整理委員会に関係のある以前のことでしようか。直接関連のある……。
#289
○武藤委員長 大体大学以後くらいでよろしゆうございます。
#290
○脇村証人 大正十三年大学を出まして、十三年から十五年まで東京帝國大学の経済学部の助手をしておりまして、その当時大学院学生として工学部に在学いたしておりました。約三年間、経済学修業後さらに工学部をやつておりました。そうして十五年から助教授になりまして、経済学部に勤務いたしておりまして、その間、昭和十年から十三年まで、主としてイギリスその他アメリカ各國をまわつてまいりました。それから十四年の二月一日に人民戰線事件に連座しまして大学の講義をやめまして、同年十二月に起訴されまして休職になり、昭和十九年の九月に事件が解決しまして、その後まだやはり大学に帰れませんで、休職になつておりましたが、翌年私は大学をやめまして、それから同年の三月末外務省の嘱託になりましてから……。
#291
○武藤委員長 同年というのは二十年ですか。
#292
○脇村証人 二十年です。二十年の三月末に外務省の嘱託になり、二十年の九月に外務省の調査官になりました。そして二十年の十二月に大学の方に教授として帰り、同時に外務省の事務官に調査官を兼任することになりました。当時ちようど十月、十一月の間、占領政策に基く経済民主化の問題が起りまして、それを主として外務省の方で担当しておりました。その関係から持株整理委員会なるものをつくるデイレクテイヴが十一月の六日に出ました。当時政府部内で大体私をその委員会の仕事に関係さそうという議が特ち上りまして、翌二十一年の四月に司令部の担当の方に会いまして、持株整理委員会が設立されたならば、それにはいる意思があるかどうかということで、私は大学の方さえさしつかえないならばお引受しましようという返事をして、大体持株整理委員会にはいることになつたわけであります。そして二十一年の四月、持株整理委員会の設立準備委員会のようなものができますので、準備委員が任命されたときに、それに任命されました。そして同年の八月整理委員会が設立されると同時に、委員に任命されたわけでありまして、今日まで引続き委員を勤めております。
#293
○武藤委員長 この委員会には常任委員というものもあるのですか。
#294
○脇村証人 そうでございます。委員会の構成は、官制上は大体九人の委員がございました。そのうち一名が委員長、三名が常務委員、一名が監査委員残りの四名が平の委員、こういうことになつております。
#295
○武藤委員長 そうするとあなたはその平の委員に当るわけですか。
#296
○脇村証人 そうです。私は平の委員であります。
#297
○武藤委員長 全部仕事をするわけではないのですか。平の委員というのは仕事はしないのですか。常任の委員だけですか。
#298
○脇村証人 一言お断り申し上げておきますが、私は経済学と工学をやつたものでありまして、法律学は私の専門ではありませんので、今日申し上げますこともあるいは法律的には多少解釈がおかしいような点があるかもしれませんが、この点は後日正確に訂正させていただきたいと思います。委員会は終戰後できましたいろいろなこの種の委員会の先駆としてできたものでございますが、当初からこれは政府機関なのが、政府なのかはつきりいたしませんので、いろいろ研究をいたしましたところ、どうも当時の憲法のもとでは、これを政府とするわけにはいかないということで、ああいう性格のものができたのではないかと考えます。で、委員会は大体九人の委員をもつて構成されておることになつておりますが、委員会の仕事になつてまいりますと、それは常勤の委員とそうでない人とにわかれておりまして、委員会の業務というものばフル・タイムに委員会に勤務しておる人がそれを執行するというふうになつております。從つて規則の上におきましては、委員会そのものにつきましては、平の委員は常時委員会に出席して仕事を見る、あるいは仕事をきめることをいたしておりませんで、委員会の規則にきめられております規定事項を決定するための委員総会にのみ出席をしてそれを決定する。そして決定されたものに從つて常務委員並びに事務局がそれを執行していく。こういうふうになつております。
#299
○武藤委員長 そうするとその委員総会というのは毎月定期にあるのですか。
#300
○脇村証人 規則は定時総会と臨時総会というふうにわかれておりまして、定時総会は二月に一回、第三木曜日の午前十時に開くことになつております。大体奇数月の第三木曜日の午前十時から開催するということに規定されております。
 それ以外に臨時に総会を開くことができるようになつております。その総会を開きますには一定の予告をして、つまり各委員に総会の通知が通達できるようなために一定の予告をすれば総会が開けるようになつております。さらにその予告期間なしに随時臨時総会を開くことができることになつております。むろんその際には随時招集しました委員総会に出席した委員のうちの一人が拒否権を行使すれば成立しないというになつておると考えます。
#301
○武藤委員長 そうしますと、実際において定時総会は定時に開かれておるかどうか、また臨時総会というのは今まで何回くらい開かれたか、知れる限りを話してください。
#302
○脇村証人 定時総会は從來から定時に開かれておりました。それ以外に当初の間は大体一箇月に一回くらい、つまり定時総会のない月に臨時総会が開かれておつたのではないかと考えますが、本年の春以來非常にひんぴんと臨時総会が開かれております。從來私は定時総会並びに随時開かれました臨時総会には全部出席をいたしております。回数は今何回であつたか記憶はございません。
#303
○武藤委員長 本年の春以來ひんぴんと開かれたのは特に何か……。
#304
○脇村証人 それは過度経済力集中排除法が制定されまして、その仕事を持株整理委員会が担当することになりまして、その必要上ひんぴんと開催されることになつたわけでございます。それから今一つ、これは規則の面にも現われておりませんが私たち平委員はそれらの総会に出席する以外に、大体毎木曜日に持株整理委員会の事務所に参りまして、そこの会議室で弁当を一緒に食べております。約一時間ないし一時間半ばかり、携帯の弁当を食べながら懇談をいたしております。この懇談には別段だれが出席するとかだれが出席しないというふうな制限、責任はございません。從つてメモランダムに出ております委員会の会合にはG・H・Qのオブザーバーが出席するという條項もこの懇談会には適用されておりません。これが大体平委員と委員会との関係でございます。私は從來委員になりましてからごの懇談会にも故障のない限りほとんど出席いたしております。むろんそういう食事の間出たりはいつたりいたしますから、若干その間に行われたこにつきましては自分の知らないこともございますが、大体私は知つておると思います。その間に見聞したことは自分としては比較的多いだろうと考えております。
#305
○武藤委員長 美濃部亮吉君もやはり平委員ですか。
#306
○脇村証人 そうでございます。平委員は美濃部亮吉君、諸井貫一君、金正氏の三人でございますが、このうち金正氏は大阪におられる関係上、比較的出席回数が不定でないかと考えます。
#307
○武藤委員長 この委員会で決定する場合には多数決ですか。
#308
○脇村証人 規則の上では多数決になつております。しかし、從来体全員一致という形をなるべくとろうとしてまいりまして、できるだけ議論をし、意見の一致をはかつて、全員異議のないところで一致をする方針で運用されておりましたが、若干の場合に例外がございまして、意見のわかれたままで多数決できめた問題もございます。
#309
○武藤委員長 そこで持株会社整理委員会設置の理由と言いますが、目的について御説明を願いたい。
#310
○脇村証人 これは持株整理委員会に関する法律の規定をごらん下さればわかりになるはずでございますが、そういう規定を離れて、私が自分で感じているところを申し上げますと、終戰直後に日本が財閥を解体しなければならない、あるいは財閥を解体するという決心をいたしました。その当時財閥は大体三井、三菱、住友、安田それから中島、こういうふうなところが主なものでございましたが、それ以外にも、なお日産その他いくつかございまして、その際の財閥解体の方法は、大体本社を解体する、そうしますと本社の持つておつた財産、特に所有株式の処分をどうするかということが問題になつたのでございます。これは普通の独占禁止法に基く解散の仕方から申しましたならば、会社の持つております財産は、これは株主のものでございますから、解散と同時に株主にそれをただちに按分比例で配分すればいいのでございます。ところが終戰直後に起りました財閥解体におきましては、そういうふうな一つの事業群としての財閥以外に、その事業群を指導してまいりました財閥家族というものの経済力あるいは集積された経済支配力を破碎するということが目的になつておりますために、その財閥の事業群の中心にある会社を解散する際に、すぐそれを株主に按分で分けるということはできない、これはどうしてもそういうふうな財産、特に有價証券は民主化するという趣旨において多数の所有権者をつくろうということが問題になりまして、そのために持株整理委員会というものをつくつて、それに各財閥本社の持つておつた株式を持たせて、適時これを好ましからざる人物の手に落ちるのを防ぎつつ分散し民主化していこう、こういうふうな趣旨で持株整理委員会をつくつたのでございます。從つて持株整理委員会の構成並びに委員の選択には、本來そういうふうな趣旨に適した人を選ぶというふうな、大体選任の方針をとつておつたのでございますが、後になつて持株整理委員会は経済民主化の中の、特に財閥解体上いう仕事そのものをこれに担当さすということに変つてまいりまして、從つて本來の考え以外のいろいろな仕事がそこに附加されてきたのでございます。さらに持株整理委員会の性格に大きな変革を來しましたのは、昨年の半ばごろから過度の経済力の集中を排除するという考えが生れまして、その排除の仕事をばいすごにさすかということがさらに問題になつてまいりまして、いろいろ研究の結果議会によつて決定されましたところでは、持株整理委員会にその仕事を担当さすということになつてきたのでございます。從つて現在持株整理委員会のもりております任務は、財閥の解体と、それから過度の経済力の集中を排除するという二つの大きな任務をもつているわけでございます。これは本來考えられました財閥の持つておつた株式の分散という仕事に比べましたら、非常に性質も違いますし、またその量も大きくなつているわけでございます。
#311
○武藤委員長 そうしますと、株式の分散ということをやりますれば、さらに財閥会社の不適当と認める人的構成に対しても、法律に基かずして、たとえば商法、定款、または労働契約などに規定をせられておる会社の経営方法、人的構成を無視してもその人事に干渉ができる。たとえば任免をすることができるというようなことも含んでおるのですか。
#312
○脇村証人 これは非常にむずかしい問題でございますが、私の考え、あるいは從來の沿革を申し上げますと、持株整理委員会の持つておる権限は、本來は財閥会社から讓り受けました株式の持つておる株主権に限定すべきものである、こういうふうにわれわれは本來考えまして、株式の議決権を行使することによつて持株整理委員会があらゆることをなすべきだというふうに当初考えておつたわけであります。ところが整理委員会ができます過程におきましてその考えがかなり拡がりまして、先ほど申し上げますような目的を達成することになつてきましたから、その目的達成上必要と認めた事項は大体整理委員会はできるということになつております。從つて財閥解体に必要なことならば、持株整理委員会は大体できるというふうに私は考えております。
#313
○武藤委員長 この持株会社整理委員会が設置せられましたのはG・H・Qの指令に基くのですか。それとも日本政府が自主的につくつたものですか。その間の事情を御存じですか。
#314
○脇村証人 その間の正確な事情は私も自分が直接交渉の任に当つたのではございませんが、財閥本社を解体する、それから財閥を解体するという考えを指示されまして、それによつて日本政府の方でどういう方法で解体をするか、解体をしたならばあとの始末をどういうふうにするかということを研究中に、持株整理委員会というものをつくればいいという考えが、これはだれが提案したかはわかりませんが、昭和二十年の大体十月の終りにはもうでき上つていたと思います。そして日本政府が昭和二十一年十一月四日に総司令部の方へ出しました提案の中にとういうふうな機関を設けるということを申しておつたと考えます。それに対して十一月六日附でその提案を総司令部の方で受入れたという指令を中央終戦連絡事務局を通じて日本政府の方に渡されたように私は記憶いたしております。これが持株整理委員会ができました眞相というふうに私は考えております。私のこの知識は当時中央終戰連絡事務局、あるいは外務省事務官としての得た知識でございます。
#315
○武藤委員長 そこでこの委員会の権限といいますか、運営方法といいますか、そういうものについてなお続いてお伺いしたいのですが、先ほどのお話でに委員九人のうち、委員長が一人常務委員が三人、監査が一人、平委員が四人、こういうのですか。
#316
○脇村証人 そうです。これは法律上規定されている委員でございまして、現実におります委員は昨年の春ころまでは委員長一人、常務委員二人、監査委員一人、平の委員が三名だつたと思います。その後常務委員が一人と平委員が一人追加されたわけであります。現在はその後さらに官制が変りまして、監査委員が廃止されまして、本年の初めからは平委員が四名、常務委員が四名、委員長が一名ということになつて、本年は全部その席を充たして今日に及んでおります。
#317
○武藤委員長 そうしますといこの委員会としての意思決定をする機関、決議機関と言いますか、それは委員総会であつて、これを執行する執行機関は委員長及び常務委員によつてこれをなすということになるわけでありますか。
#318
○脇村証人 そうでございます。
#319
○武藤委員長 そうしますと、たとえば持株会社の指定並びにその指定の方法、財閥家族の指定並びにその指定の方法、そういうものについてもすべてこの委員総会にかけて、その指定並びに指定の方法等を決定する、こういうことになるのでありますか。
#320
○脇村証人 今の御質問のうちの指定の方法は委員総会にかけなくてもいいと私は思いますが、決定はすべて定時または臨時の総会を開いてしなければなりません。そしてその決定をした上でこれを総理大臣に申請しまして、総理大臣が大体指定するということにはなつていると私は考えます。
#321
○武藤委員長 今までもそういうふうに行つてきているわけですね。
#322
○脇村証人 從來そういうふうに行つてきております。
#323
○武藤委員長 それから会社の証券保有等の制限に関する勅令に基いて指定金社などの所有している株式の議決権行使の委任の権限があるようでありますが、その行使の方法、持株会社及び指定社から譲り受けた財産の管理、処分及びその処分の方法、委員会の取得した株式処分の方法、持株会社の解散に至るまで常務の執行及び委員の指導監督などにつきましても、やはり同じような方法でやるわけでありますか。
#324
○脇村証人 そういう執行は原則としまして、委員長または常務委員に委任しておりまして、委員長並びに常務委員によつて執行されております。但しわれわれはその間におきまして必要といたしますことにつきましては、どういう方針でその執行をやつているかということを聽くことはしております。それから一例を申しますと、株主権の行使につきましては、大体どういう方針で行使をしているということは、われわれはこれをその担当の者並びに常務委員等から報告を受けて了承いたしております。そして一々の実施につきましては後の定時総会において報告を受ける、その報告は具体的に個々に受ける場合と、それを一括して受ける場合とございます。しかし株主権の行使、すなわち株主総会における議決権の行使につきましては、大体何月から何月までの間にどういう会社の株主総会において株主権を議決したという報告を受けますが、その内容につきましては、大体役員の選任について株主権を行使したという程度の報告を受ける、あるいは貸借対照表を承認したというふうな報告を受けております。貸借対照表の内容、あるいは役員の選任の内容については一々総会において承認をする、あるいは報告を受けるということはいたさないのが原則になつております。先ほども御質問がございましたが、具体的に役員の選任の方法につきましては、われわれは大体どういうふうにその選任が行われておるかということは承知いたしております。簡単に申し上げますと、これはまた担当の常務の者から申し上げる方が正確かもわかりませんが、私たちの了解いたしておりますところでは、選任しようとする役員に関しまして、あらかじめ総会開催前に議案をもつて來させまして、その役員の略歴をとつて、それが好ましからざる人物なりや否やということを調べまして、その結果を大体監督官の同意を得た上で整理委員会が相手の会社に連絡をするという方法をとつております。そして議決権の行使につきましては、大体白紙委任状を渡すという方法において行つていると考えます。
#325
○武藤委員長 この委員会で今まで全会一致ということにならないで、多数決によつて決議をしたような問題があるというお話でありましたが、それはどの問題についてでありますか。
#326
○脇村証人 過度経済力の集中排除法の運用に関しまして、何を過度経済力の集中企業とみなすかというふうな、具体的な整理の指定の問題並びに指定後の処置につきまして、若干意見がわかれた場合があつたように記憶しております。
#327
○武藤委員長 持株会社指定及び財閥家族指定につきまして、現在までの経過を述べていただきたい。
#328
○脇村証人 これはかなり前のことでもありますし、相当こまかい問題で、あるいは私の記憶違いがあるかと思いますが、持株会社を指定いたしましたのは大体二十一年の秋、整理委員会がスタートいたしまして間もなく、同年の終りごろまでの間に数回にわたつて持株会社の指定をいたしました。
#329
○武藤委員長 第一次から第五次まで八十三社でありますか。
#330
○脇村証人 そうでございます。その最後は昨年の、つまり二十二年の九月だつたのではないかと思いますが、十何社かありました。これが第五次になつておつたかと考えます。
#331
○武藤委員長 財閥家族の指定は五十六名でありますか。
#332
○脇村証人 そうでございます。財閥家族は昨年の初めにいたしましたが、若干死亡したり追加した人があるのではないかと思いますが、五十数名であつたと記憶いたしております。
#333
○武藤委員長 そこでただいまお話の最後の第五次指定のことについて伺いたいのですが、このとき候補に上つた会社はどのくらいありましたか。そうしてその中からいかにして最後の十六社が指定せられたか、その事情その基準等について経過を詳細に述べられたい。
#334
○脇村証人 第五次の昨年九月であつたと記憶いたしておりますが、十何社かを持株会社として指定いたしましたが、これは昨年の初めごろから從來われわれが財閥として考えておりましたのは、財閥家族というのは五十何名でございますが、その財閥家族は十財閥のいずれかに所属している人々なのでございます。ですから財閥としましては、十財閥をわれわれは考えているわけですが、その十財をきめましたのは、実はすでに終戰直後にメモランダムが出まして、十幾つかの財閥が指定されておりました。これは大蔵省で取扱つておりましたのを、われわれ委員会がスタートいたしましてから、持株整理委員会の方に順次その仕事が移ることになりまして、持株整理委員会にその仕事が移つてまいりましたときには、十財閥としてこれを限定することに司令部からの覚書によつてなつたわけでございます。從つてその基準あるいはその選定につきましては、われわれは何ら関與していなかつたわけでございます、そしてその財閥に属する家族をさらに選定をしなければならないことになりまして、昨年の二月の定時総会におきまして、その十財閥に属する家族五十数名を指定したわけでございますから、この指定にあたりましては、その財閥家族として選びましたのは、大体十財閥の首脳者並びに首脳者から三親等内にある人、そうして大体有價証券等において百万円以上の資産を有する人、さらにその人がその財閥の形式発展にいかなる程度において寄與しているかというふうな点を考慮いたしまして、できる限り集め得た資料に基いて三十数名の人を選定して、われわれはこれを決定して、総理大臣が昨年の三月に指定をしたわけでございます。その指定をいたします前後におきまして、総司令部の方から財閥並びに財閥家族というのは、日本においてはこれに限るわけではない、必要とあるならばさらにこれを追加すべきである、また財閥家族もさらにこれに追加をしなければならぬ。こういうふうなステートメントがわれわれに対して與えられたのでございます。このときに委員会といたしましては、持株会社を指定する権限はわれわれがすでに委員会としてもつておりますが、財閥を指定する権限がわれわれにはたしてあるかないかということが第一に問題になつたのでございます。そしてその財閥をかりにわれわれにおいて指定する権限がありとしましても、その財閥をいかにして選ぶか、その調査をいかにしてなすか、そういう調査の権限がわれわれに與えられておるかどうかということも疑問になつたのでございます。大体これにつきましては、委員会はそういう権限を與えられておる。ざらに権限が與えられた以上はわれわれとしては調査をしなければならないということに大体昨年の三月ないし四月の間になつたのじやないかと私は考えております。そして五月、六月と調査をいたしまして、もしもわれわれが日本において十財閥以外に財閥を選ぶとすれば、大体このくらいの財閥並びに財閥家族が存在しておるのではなかろうか。しかしこれがはたして財閥として指定する價値があるか、また必要があるか、またそれが正しいかどうかということは、遺憾ながらわれわれのもつている調査の権限内では判断ができないので、しかるべき権限をもつているところにおいて調査をして、十分に正確を期してもらいたい、こういうふうにわれわれは考えておつたのでございます。その後大体八月、九月と進みまして、結局日本において十財閥以外に指定する必要のある財閥はないということが結論になつたのであります。但し若干財閥に準ずべきものはないでもない。しかしこれを財閥として指定もする必要はないので、大体そういうふうなところにおいては持株会社というものをもつておるから、持株会社の指定をすれば、これによつて財閥指定をしなくても、十分に目的を達成することかできる。すなわち持株会社を解散さすことによつて財閥指定の目的は十分に達成される。しかも財閥指定に伴ういろいろな弊害と申しますか、打撃と申しますか、困難はこれを避けることができるであろう、こういうふうな結論が出まして、大体その結論の線に從つて事務を進めることになつたのでございます。そしてその結果いくつかの持株会社が選ばれて、昨年の九月だつたと記憶しておりますが、九月の第三木曜日にこれが議題になりまして、われわれもその原案をその際見たわけであります。その原案を見まして、若干持株会社として指定するのにはふさわしくないものがはいつておるのではないかというふうな意見が出まして、原案を修正して、昨年正式に委員会の決定した十数社が選ばれたのでございます。大体これが第五次指定に至る経過でございます。
#335
○武藤委員長 原案には二十九社ないし三十社が選ばれておつたという話でありますけれども、あなたが最初ごらんになつた原案は、何社を並べてありましたか。
#336
○脇村証人 九月の第三木曜日の定時総会に出ました原案は、あのとき決定しました数よりも二つだけ多かつたように私は記憶いたしております。今委員長のお示しになられました二十数社と申しますのは、昨年の六月ごろ持株整理委員会が原案を作成する材料としまして第一に選びました候補社と申すものが大体二十数社ないし三十くらいあつたではないかと私は記憶いたしております。定時総会でわれわれの前に示されましたものは十数社になつておつたというふうに記憶いたします。
#337
○武藤委員長 その三十社に近いものが選ばれて、それがあなたのごらんになつた原案では十八社に減つてきたのはどこで減らしてきたのですか。事務局ですか。
#338
○脇村証人 その原案と申しますか、候補社を二十数社ないし三十社選びましたが、われわれはそれを十分に、あるいは正確に調査する力がありませんために、司令部の方にその表を送付しまして、司令部の方で調査をしてもらい、その結果を見ましておそらく委員長、常務委員並びに事務局で今申しましたような原案を作成したのではないかと考えます。
#339
○武藤委員長 そうしますと、約三十社が十八社に減る過程については、委員会の意思というものは関與しておりませんか。
#340
○脇村証人 個々の会社につきまして、委員会としての意思は介入していないというふうに考えます。
#341
○武藤委員長 原案の十八社が十六社に二社減りました理由は何ですか。
#342
○脇村証人 主としてわれわれが選びました持株会社というものは、從來は大体戰爭中に急激に拡張したもの、あるいはそれが戰爭と何らかの関連をもつた事業であつたというふうに考えます。從つてわれわれが第五次において選びます持株会社においても大体その性格を、それ自身ないしはそれが直接背後にもつておる從属会社において濃厚にそういう色彩をもつておるものを選ぶべきである。こういうふうな主張が出まして、それでは何が該当するかということで、大体全員の意見の一致したものが十六選ばれたというふうに考えております。
#343
○武藤委員長 落ちました二社は何という社ですか
#344
○脇村証人 今正確に記憶しておりませんですが、大阪の山口合資会社、それから東京の根津合名会社ですか、合資会社ですか、そういう名であつたように思います。
#345
○武藤委員長 何かこれが指定せられないについて、対象会社の運動というようなものがあるのですか。
#346
○脇村証人 全然そういうふうな運動があつたというふうには私は聞いておりませず、またどういうふうなものが具体的にリストになつておるかということは、その総会の九月十六日に提出される原案が、おそらく前々日くらいに決定したと私は想像いたしておりますが、それまでは外部にはまつたく漏れていなかつたと私は考えます。おそらく前日原案ができまして、総理大臣にわれわれの方から連絡したときに、初めて外部に出たのではなかろうかと私は想像いたしております。從つて外部には揣摩臆測はあるいは行われたかもわかりませんが、漏れたというふうなことは聞いておりません。從つてそれに伴う運動が起つておつたというふうには私は観察いたしておりません。
#347
○武藤委員長 先ほど恒吉君の証言によりますと、この十六社が指定せられました当時、美濃部委員が実にひどいもんだよというような趣旨の談話を恒吉君に対してしておるという話です。その美濃部君の言われたことが事実だとすると、十六社の指定については正しからざることがあるのではないかと想像し得るのでありますけれども、重ねて伺いますが、運動とか情実とかいうものはないのでありますか。
#348
○脇村証人 恒吉君に美濃部君が漏らしました実にひどいものだというのは、その選び方がひどいというのでございますか。選ぶまでの過程においてひどいことが行われたという意味なんでございましようか。どういう意味なんでございましようか。
#349
○武藤委員長 それを実は恒吉君に繰返して聞いたのでありますけれども、まあ実にひどいもんだよという話であつたというだけであります。あなたがひとつその言葉の中から想像し得る何物かがあつたら聞きたい。
#350
○脇村証人 私の見ているところでは、実はそれが事前に漏れますといろいろな運動が起るということを非常に心配しまして、どういうふうな原案をわれわれの前に出されるか知りませんが、それを事前に外部に漏らさないようにしてもらいたいということを絶えず注意をしておりました。從つてその点におきましては、私の知つている限りにおいては問題はなかつたと思いますが、ただ先ほど申し上げました通り、前日書類が事務当局から出ましたために、やはり若干われわれが決定する前に漏れておつたのではないか、從つて決定した表と世間に漏れておつたものとに、若干の食違いが起つているということがあり得て、はなはだまずい結果が起つたのではなかろうかと私は見ております。
 それから決定をする標準につきましては、つまり財閥が日本に十しかないという見方をするか、あるいは財閥は日本にもつとあるという見方をするかということによつて、もつとあるという見方をすれば、もうこれ以上財閥というものはないのだ、あと持株会社しかないのだという考え方は、これは相当間違つておるということになるのではないかと私は思つております。
 それから手続の問題としましてはその財閥はもう指定いたさないにしましても、持株会社として準財閥を選択をする、その選択の仕方がはなはだ杜撰であつた。そこに提案された原案が修正を受けるというふうなことは、はなはだ杜撰であるという非難が、やはりあり得るのではなかろうかと考えます。その今私の申し上げました三つのうち、どれを美濃部亮吉君が指して恒吉君に申したか、想像できないのであります。
#351
○武藤委員長 いずれ美濃部君からも直接伺うつもりでありますが、一應伺つておくわけです。
 それからいよいよ昭電問題にはいりまして、昭電の前社長森曉氏の退任、これに代つて日野原社長の就任、こうした一連の人事異動につきまして、持株整理委員会が相当強力に関與しているようでありますが、そのことについてあなたはどの程度まで事実を知つておられますか。
#352
○脇村証人 その点につきましては、今日私の知つている知識と、それから当時私の知つておりました知識、あるいは私の考えとは、かなり違つておりますから、一應当時私がどの程度まで知つておつたかということを申し上げさしていただきます。
 初めに私がこれについてもつております予備知識を申し上げます。私は硫安工業というものにつきましては若干の知識をもつております。持株整理委員会内におきましては、美濃部亮吉君が直接肥料の製造の経験をもつております以外に、私がおそらく一番、あるいは美濃部亮吉君以上に日本の硫安工業の工場その他のものを知つているのではなかろうが、また内外の事情を知つているというふうに考えてもいいのではなかろうかと、自分ではひそかに思つております。但し今問題の森曉氏、日野原氏の両氏につきましては、幸か不幸かその当時まで一度も面識もなし、また日野原という名前も聞いたことはございません。但し昭和電工の川崎工場は、昭和九年に私は現場に学生を連れて参りまして、詳細に見ております。また他の日本のおもなる硫安工場を知つておりますから、それとの比較検討も私にはできるわけであります。その後戰爭の間、並びに戰爭が終りましてから、同社の工場を見たことはございませんが、それでも私は若干附近を歩いておりますから知識をもつております。大体これが私の予備知識でございます。それからこの問題につきましては、未だかつて持株整理委員会の委員総会で報告を受けたこともなし、論議したこともないと私は記憶いたしております。これが大体の経過でございます。従つて私の得ましたおもな知識は総会外の席上で得た知識、すなわち最初に申し上げました委員懇談会、毎週木曜日の午後十二時から二時ころまでの間、各自弁当を食べる際に懇談をする間に多く得た知識、ないし当時の新聞等々で得た知識がおもなものでございます。
 森曉氏が追放に該当しているということは、昨年の一月四日の財界追放のリストがきまりました時にすでに私は承知いたしております。それから同氏が会社をやめなければならなくなるらしいということにつきましては、実は三月の終りまで正確には私は知りませんでした。ただそういうふうなうわさは若干聞いたようにも思いますが、当時追放に該当した人々は五月までは一應その職に止まることができることになつておりまして、その間当然該当ではございますが、自分はその免除を申請するというふうな運動あるいは依頼をしておつた人が大勢ございましたので、森曉良もそういうことをやつておるかどうか、それは私は存じませんでした。そうして同氏の重役の任期が三月末にあるのだということも実は知りませんでしたが、三月二十七日の朝の新聞で、実は新聞の名前は記憶していないのでありますが、昭和電工の社長がかわるということが新聞記事で散見をしたのであります。それで同日の委員懇談会の際に、照和電工の社長がかわるそうですが、どうなんですかということを質問したのでありますが、これに対しまして簡単に、昭和電工の社長が追放該当並びに同社の制限会社令違反の容疑等々によつて、近く開かるべき株主総会限りやめて、新たに社長が入ることになるんだ。その社長は森曉氏の従來から一緒に仕事しておつた人々ではなしに、新たに外部から入るのだというふうな趣旨の話を聞いたことがあります。そうしてそれは若干会社の現当局者の間に難色があつたというふうに聞きましたが、これは持株整理委員会並びに司令部の強い意思によつて大体会社側が納得することになつたのだ、あるいはそう納まりそうだというふうな話を聞いたのであります。
#353
○武藤委員長 だれがお聞きになつたのですか。
#354
○脇村証人 懇談会の席上に三月二十七日に出席いたしておりましたのは、委員長、全部の常任委員と監査員、それから諸井氏、私並びに大藏省の水澤課長が出席いたしておつたと思います。そうしてこの場合整理委員会の各部長が出席いたしておりました。大体その話をしましたのは笹山氏と植村部長であつたのではないかと考えます。
#355
○武藤委員長 そうしますと、ただいまの森社長及びこれに連なる市村、鎌田の重役諸君が退任をして、日野原社長、藤井常務取締役、こういう諸君が入つて來ることについての人事異動に関しましては、持株整理委員会の委員総会に諮つたというようなことはないのですか。
#356
○脇村証人 それはございません。
#357
○武藤委員長 正式にも非公式にもないのですか。
#358
○脇村証人 非公式にもそのために委員を招集してそれに諮つたということはございません。ただその時に私が三月二十七日に聞きましたのは社長がかわる、それは森氏の留任申請をしりぞけて森氏並びにその系統以外から社長を入れるということを私は聞いただけであります。
#359
○武藤委員長 しかし今あなたから二つの話を伺つておりますと、二十七日の懇談会ではほとんど委員が全部出ているようでありますが。
#360
○脇村証人 委員は常務委員以外のものは二人しか出ておりません。諸井氏と二人。
#361
○武藤委員長 常務委員は出ておつたのですが、その時に社長がかかわるのはG・H・Qの強い意思並びに持株整理委員会の意思でかわる、また昭和電工のやや難色むおさまるということの話をされたのですが、それは持株整理委員会の意思というのは、とりもなおさずそこに集つておつた諸君の考えということになると思うのでありますが、何かよその話を話しておるような印象を受けるのですけれども……。
#362
○脇村証人 実は財界追放に該当した人をいうまでもその地位につけておくことがいいか悪いかという問題があるわけです。法律上は大体五月十日までは残り得ることになつておりますがそれをそこまで残すことがいいか悪いかという問題が一つある。これに対して私個人の考えは、たとえ五月十日まで現職に止まり得るにいたしましても、好ましからざる人物と一旦きまつた以上は、日本のためには一日も早くその職をしりぞいていただくことが一番いいのではないか、従つてわれわれ持株整理委員会はそういう主張を強くすべきではないかということを私個人としては考えるのでありますが、これを委員会として主張するには非常な困難があつたのであります。從つて委員会としては、私はむしろそういうことは主張しない方がいい。委員会がそういうことを主張し得る條件を備えた場合にはそれを主張すべきである。こういうように私は考えております。それから今の話を承つて、私は一体そういうことを持株整理委員会がなすことの善悪は別として、なし得るのかなし得ないかということを問題にしたのであります。これに対して当時私に與えられました返答は、持株会社昭和電工の社長の更迭は、われわれがもつておる昭和電工の株式の議決権を行使することによつて、株主総会においてこれはなし得る、こういうような考えが漏らされたのであります。その議決権を当時われわれはどのくらい持つているかと聞きますと、大体あすこの株主、株数の二%前後を持つておつたという話でございました。それで私は大体先方とのそういういきさつ並びにわれわれが持つている二%の株式ということを頭において、この際われわれはいかにするのが最も正しいかということを考えたが、これはわれわれが今ただちにそういう行動をすべきでない、持株会社としての昭和電工の大多数の株式をわれわれが持つているときに、初めてそういう議決権を行使して社長の更送をなすべきだ。今ただちに二%の株式を所有することによつて、その議決権の行使によつてそういうことをするのは、株式会社の多数決の原則を無視することになるのではないかと私は申しました。そういうふうな方法をとるためにはわれわれは昭和電工の株式の大多数を持つております一、二の会社を持株会社に指定をしまして、その会社の株式をわれわれの手に入れたのちにおいて初じめてなし得ることでありますから、そういう方法をとることが最も望ましいのではないかということを、私はその際意見として申し述べました。むろんそういうふうな手続をとることになりますと、大体委員総会を開きまして持株会社を指定して、その指定に基いてそれぞれの持株会社の持つている株式をわれわれの方に移管しまして、それから昭和電工の株主総会を開く。それだけの手続をとるわけなのですから、相当時間もかかりますが、その間において感情的な考え、あるいは一時の興奮はむろん冷却いたしますし、われわれといたしましては後日われわれがいかなる権限に基いてそういう行動をとつたかということが問題になりましても、多数の株主権を持つているがゆえに、少数によつて多数の意思を無視したという株式会社の多数決の原則を侵したという非難は免れ得るだろうと私は考えたのであります。
#363
○武藤委員長 今のお話は二十七日にあなたが述べられた意見の概要でしよう。
#364
○脇村証人 そうでございます。
#365
○武藤委員長 あなたがそれだけの意見を述べたとすれば、これを聞いていた他の委員、部長などはこれに対して相当の意見を闘わされたのではないかと思いますが、そういうことはなかつたのですか
#366
○脇村証人 それは懇談会といいますか、弁当を食べながらの会合でございますから、何ら議事の決定ということではなしに、意見は意見として述べますが、その意見を自分としてはあくまでも強行する権限は私にはないわけであります。
#367
○武藤委員長 それはあなたが強行したとか、結論をどうしたとかいうことを伺うのではなくて、そこに相当のデスカツシヨンがあつたのではないかということを私は伺つているのであります。
#368
○脇村証人 そういう方法をとることになりますと、相当時間がかかる。そういうふうな意見が出たと思います。それからまた持株会社に昭和電工の多数の株式を持つている会社だけを指定するということは、おそらく單純には行かないだろう。そういうふうな意見も出たと思います。それが大体二十七日のことでございまして、実は翌日に株主総会がさし迫つておつたわけでございまして、私はおそらく二十八日の株主総会においては持株整理委員会は株主権を行使して、株主権の行使によつて社長の更迭をやつたのだというふうに最近まで考えておつたのですが、実は株主権をわれわれは行使していないということをその後になつて承知いたしました。株主権の行使によつてこれを行つたのではないのだということを承知しております。それは私の申しました通り株主権の行使によつてそれを実行することは困難がある。つまり二%しか持つていない場合に、それがやはりむりであると考えられて、また他の方法によつてそれが行い得るということを発見して、その方法によつて二十八日の総会は途行されたというふうに現在においては承知しております。
#369
○武藤委員長 そうすると持株整理委員会では結局社長の更迭については何らの決定を議にものぼせないし、しないということであつたようでありますけれども、そのことと持株整理委員会の強い意思によつて更迭がなされるのだというあなた方の話とは矛盾があることはないですか。
#370
○脇村証人 それは持株整理委員会の意思と申しますのは、委員総会において決定をされますが、その決定をされました方針の実行は委員総会をまたないで実行ができるわけであります。私はその二十八日の株主総会における社長の更迭と申しますのは――持株会社に対する常務監督はわれわれが総会において決定をして、それを常務委員に委任をしております。その委任の事項内において常務委員が権限をもつておるものとして遂行されたというふうに私は考えております。
#371
○武藤委員長 そうすると権限内にある監査の具体的な一つの権能というか、作用として常務委員が委員会の意思としてこれを遂行したというふうに考えられるわけですか。
#372
○脇村証人 そうでございます。
#373
○武藤委員長 そうすると二十七日の懇談会ではすでにそのことが常務委員によつて決定せられており、明日はこれを遂行しなければならぬという段階に来ておるのでありますから、あなたがそういう議論をしてもそれはまた諸君の委任によつてわれわれは執行するのであつて、そういう議論はいかぬというような議論が笹山氏あたりから出まして、それでもう一切相済みということになるわけではないですか。なお議論の余地が残りますか。
#374
○脇村証人 委員長の今のお考えに言葉を返すわけでございますが、もしそういうことでございましたら、私はその席上でいかなる権限においてわれわれはそういうことをなすのかという質問を実はしなかつたと思うのであります。またその質問をしましたときには、委員長が今私になさいましたような議論を常務委員側においてなされたならば、私はそういうふうに了解するのでありますが、われわれは昭和電工の株式を持つておるからその議決権の行使においてこれをなすのだという返事を常務執行の方から私に対して話があつた。ですから私は株主権の議決権を行使することによつて行おうとするにはこれはむりではないかというふうに申したわけであります。ただ私は意見を述べただけで、結局結論をとらなかつたものでありますから、だめは押してはないのでありますが、自分自身の了解では当然そういう方法で行われたと実は了解をしておつたのであります。
#375
○武藤委員長 私ども委員会で知りたいことは、非常に強く笹山氏を通じて社長更迭の意思が表示せられておる。そこでそれは委員会の確定せられたる適法なる意思の執行であるか、それとも委員会としては全然問題にならなかつたものであるか、委員会のではなくして笹山氏個人の考えであるか、あるいはまた笹山氏の取次ぐG・H・Qの意思であみのか、その辺を糾明とたいということで繰返しあなたに話を伺つておるわけです。
#376
○脇村証人 そうしますと、もう少しその間の経過を後日までさかのぼりまして、最後にその点をもう一度お尋ねいただきたいと思います。自分自身もそれらの点につきましては從來考えてない点もあるかと思いますので、もう少し時日の経過を私に申し上げさせていただいて、その上で最後に御質問願いたいと思います。
 それが二十七日でございます。二十八日に株主総会があつたようであります。それはその後新聞で私は承知いたしております。
 それから次の木曜日は三日でございますが、三日は休みで懇談会は開かれませんでした。それから四月十日に懇談会が開かれました。さらに引続いて四月の第三木曜日に懇談会が開かれておつたのでありますが、四月の十日の懇談会には、すでに昭和電工におきまして社長の更迭に引続いていろいろな重役の更迭問題が起つてきた、そのために社内が紛爭しているというふうな新聞記事が出たのであります。四月十日の懇談会の席上で、一体あの経過はどういうことになつて起つたのかという議論がまた出たわけでございます。そしてそれにつきまして、從來の三月二十八日に至るまでの一應の経過、それから三月二十八日の株主総会後四月十日に至るまでの経過、この二つがその席上で食事をしながら報告が行われたわけであります。その間のいきさつは大体今日までに新聞その他ですでに述べられている点でありますから、私からあらためて申し上げるまでもないと思います。そしてそれによつて起りました議論は、実は三月二十八日に選任された日野原という人は、われわれが選んだ人ではなしに、G・H・Qから示された條件に基いて興業銀行の栗栖氏がG・H・Qからの指図があつたからといつて持株整理委員会に笹山委員長を尋ねて持参したリストのなかの一人なのであります。どうして三人がそこに選ばれたかと申しますと、化学工業に経験のある人、社長としての経験のある人、年が若いという條件に基いて選択された候補者のうちの一人だつたのです。そうしてその候補者とはだれであるかと聴きますと日野原、保土ケ谷化学の磯村、信越化学の今井という三人がリストになつてG・H・Qの方へ示された、こういう話をわれわれはその席上で初めて聽いたのであります。これに対して美濃部亮吉君はそのリスト実に杜撰なものだということを言下に彼は申しました。どうしてかと聽きますと、その中の今井という人は、美濃部亮吉君の知つている人か、あるいは遠い親戚の人らしゆうございますが、化学工業には経験があるが、追放に該当してやめた人だ、そういうふうな意見がその際ただちに開陳されましてそれから四月上旬から十日の経過につきましてまた一應詳しく説明がございましたが、どうも大量の人を会社からやめさすということは、実は持株整理委員会としても意外である。こういうふうな話でありました。またこういうことが一体できるのかどうかということがその際問題になつたのであります。結局そのリストに出ている日野原という人はどういうふうな人なのか、われわれが今まで聞いたことのない人だがということになりますと、実はだれもあまりよく知らないのだというふうな話がその席上で出たのであります。どうも知らない人が社長になつて、それがいろいろなことをするということになつてくると、はなはだ心もとないし、それから、特にそのリスト自体がたいへん杜撰だという美濃部君の攻撃がありまして、これはわれわれとしてはよく考えなければならない問題だということになつてその懇談会は散会をしたわけであります。それで私は末弘中央労働委員会の会長並びに桂君に会いまして、会社が多数の人を免職したらしいが、それが司令部の意向だということにおいてやられたのではないかと思いますが、そういうことは可能であるかどうかということを聽いてみたのです。私は、末弘中央労働委員会の会長とは、船員労働中央委員会の委員を私がしておる関係でときどき会うものですから、聽いたのでありますが、そうしますと、その二人の方の考えは、團体協約がある場合にそういうことはなかなか問題が起るだろう、もし中央労働委員会に、あるいはしかるべき労働委員会に提訴ということになつてくるならば、どうもそういうふうな解雇のしかたは正当とは考えられないというふうな大体のお二人の意見でございましたから、私はただちにそのことを整理委員会の事務当局に申しました。解雇の点について労働委員会の意見をたたいてみたが、どうも少し間違つているようだから、この際は十分注意をしてそういう問題を処理するようにあなた方から注意をするように、私は場合によつたら日野原氏に会つてもいいから、ということを申しましたが、日野原氏が出てまいりませんで、総務部長という人が出てきまして、私は植村部長と二人で会つて、一應その意向を傳えておいたのであります。それから、四月十七日の四月第三木曜日の懇談会の日になりまして、大藏省の理財局の次長の伊原隆氏から、どうも新聞に昭和電工の乗取問題というふうなことが出るし、財界至るところでそういう話を聞くが、眞相はどうだ、ということでありましたから、どうも私にもよくわからないので、一遍あなたも委員会へ来て話を直接聽いてくださいと申したのであります。それで伊原氏が同日午後私との約束があつたものですから懇談会に來まして、食事をしながら、昭和電工事件は一体どういういきさつですか、ということでまた話をむし返しまして、大体從來われわれが聞いておつたような話を繰返されたのでありますが、その結果、どうもこの問題についてはわれわれとしては若干納得がいかない、これは委員会がやつたのでありますか、あるいは委員会の以外の方、あるいは委員会の人にしても、その人が個人でやつたことでありますか、ということがその席上で初めて問題になつたのであります。そうしますと、これは委員会がやつたことでありまして、委員会として責任があるのだという意見が事務当局から出まして、われわれも大体そういうふうないきさつになつているものだ――それは、最初申し上げました通り、三月二十八日の株主総会において、われわれがもつておる株主権の行使においてそれが行われたということから考えて、そういうふうになつておるのではなかろうか、しかし、これは、先ほども申し上げました通り、四月十日の懇談会の話からみまして、実はわれわれの責任をもつべき日野原氏が適当な人であるかどうかということについては、われわれは日野原氏をよく知つているとは言えないわけでございましてリストそのものが杜撰だということになつておるのでありますが、これはわれわれとしてはよほど研究しなければならない問題だと考えたのであります。それから約一週間ないし十日ほどの間は、私は自分の責任におきまして、各方面からの情報を集めました。これは大体化学工業に関係のあるもの、それから政府当局の人々から得た情報と、日野原氏の同級の人を探しまして、その人から聽いた情報、この三つのコースから得た情報によつて判断をいたしまして、日野原氏という人は私の見たところでは非常に事業熱のある人である。また今までに若干の会社に関係もあるし、それから昭和電工にはいるまでに日本水産という会社を引受けて、その会社を引受けるときに相当興業銀行と密接な連絡がある人だというふうなことも初めて私にわかりました。結論としましては、私の得た情報から見ますと、今までにこの人は自分の会社を経営したことがある。しかしいろいろな観点から見て、この人には二つの欠点がある。その一つは大企業を経営するという経験がまつたくない、第二はこの人の性格に対して、親類その他の人々は非常な危険を感じておる。しかもその危険は單に日野原氏個人ではなしに、日野原氏がつけておる周囲の人に相当危険な人がおる。從つて親類の人々は日野原氏の事業に援助していない。こういう話でございました。むろん化学工業の先輩の人々は、日野原氏の化学工業における経驗は、日まだ浅くして何らこれを尊重するには足りないというふうな情報でございました。從つて私といたしましでは、昭和電工のごとき非常に大きな会社の仕事をやり、しかもその仕事を國家の金を使つてやる場合に、その人に独裁的に仕事をお任せして、われわれは安心しおるということは危険ではなかろうかと考えまして、整理委員会の懇談会の席上で、どうも自分の得た情報を総合してみると、われわれとしては日野原氏に昭和電工の経営を簡單に任しておくわけにはいかぬのではないか、もしもこのままにしておくならば、相当われわれとしては危險を冒すことになるのではないか、こう私は自分の見るところを申したのであります。後日聽きますと、私はこういうことをしておけばたいへんなことが起ると言つたそうで、そこまでは私自身としては記憶しておりませんが、そういうふうなことを申したということであります。ただそれだけでは、すでに約一箇月前に社長になつておるわけでございますし、しかもわれわれの方から大体頼んで入れた形になつておりますから、今さらこれをどうするわけにもいかないわけであります。そこで一体私としましては、われわれが今後の保障ということを考えたときに、どういう方法がとり得るかを研究し、また示された今までの條件において、われわれがどこに誤りを犯しておるかということを考えてみたのであります。そうしますと、G・H・Qが示されたというこの三條件に対しては、日野原氏は確かに当つておるのであります。しかしその三條件に当つておる人がわれわれとして信頼できないというふうな事情がどこから発生しておるかということを、もう一度根本につつこんで考えてみたのであります。G・H・Qの示しました三條件というのは、アメリカの株式会社において大体從來考えられた例であります。しかしアメリカの株式会社におきましても、私が多年研究した結果によりますと、大体社長というのは五十歳以上、六十に近いのが普通であります。重役は、普通の取締役は大体四十歳、五十歳であり、社長と重役との間に十年の差があるのがアメリカの大多数の株式会社から得た結論でございます。しかしアメリカにおきましてはしばしば若い社長によつて大企業が成功した例はあります。その例をこの際ここにわれわれとしては示されている。若い人で、社長の経験があり、しかも化学工業に経驗のあるという人、アメリカにおいてはこれは例外的に成功した原則である。この例外的に成功した原則が何ゆえにアメリカにおいて成功したか。しかも大企業においてそういう條件が達成したのは、何ゆえそれができたかという原因を考えてみますと、たとえばわれわれが最近知つております例では、戰時中に國務長官になりましたあのステチニアスが年齢三十歳前後で社長として相当の成績をあげ得ましたのは、U・Sスチールの重役として多年の経驗をもち、また財界において何人もその人の意見に信頼をおくというようなりつぱな重役團を備えたとき、初めて若いステチニアスという社長が成功をかち得たわけであります。そういう例外的な、また特殊なりつぱな條件を備えた場合においてのみ達成する條件をわれわれに示された。その條件はアメリカのような重役團をもつたときにおいてのみ初めて成功し得る條件である。今若い社長が大会社にはいりしかも從來からあつた重役を全部追い出して、自分の意のままになる重役のみを寄せ集めて大会社の経営を引受けたとき、その重役が、その社長が誤りを犯さないという保障は何人といえども当然考うべき問題だと私は考えたのであります。そこで私としてなし得ることは、委員会に対して昭和電工の重役團を至急強化して、財界の何人が見ても、この人の言うことならば間違いないという人を昭和電工に送りこんで、若い社長に誤りなきを期することが社長のためでもあり、われわれのためでもあり、また昭和電工のためになるのではないかということを考えて、そういう意見を委員会に申し出たのであります。これが大体三月末から四月の終りにかけての私の知つている社長交迭の経過、それに対して私が考えたいきさつであります。
#377
○武藤委員長 そこでただいまお話がありました日野原社長の人柄、事業上における経驗、あるいはこれを取巻く人たち等についての不安、危惧そういうものについては、これは選任後のことでありまして、これで私どもが最も知りたいと思うところは、選任せられましたのは持株整理委員会の意思と決定に基いて正式にせられたものであるかどうかということです。またそれは委員長の笹山氏を通じてなされたG・H・Qの意思決定であるかどうか、そういうところにあるわけです。このことをまず第一に解明したい。
#378
○脇村証人 その点につきまして、問題に幾つかにわかれるのじやないかと私は思うのです。社長をかえるという点、日野原氏を社長にするという点、それを三月二十八日に決定したという点、これらの点が今委員長のお尋ねの問題に、すべてひつかかつてくるのではないかと思うのですが、この間の事情につきましては、私としては先ほどから申し上げましたことが、私の知つておる始終でございます。自分としては当時は株主権の行使によつてこの更迭は行われたのだ。從つて株主権の行使であるならば、それは持株整理委員会に対してわれわれが常務監督として委任した権限内において、常務執行の当事者はなし得る権限だと考えております。ところが後日に聞いたところによりますと、そうではなしにわれわれの方の意思として、それはG・H・Qによつて示された意思として、昭和電工の旧当事者に話をして、昭和電工の旧当事者がその意見を聞き入れて、その人々の意思によつて三月二十八日の株主総会において決定された。こういうふうに私は聞いております。ですから三月二十八日の株主総会の決定は一旧昭和電工の社長あるいは役員團あるいは株主の大多数の意思において日野原氏は取締役として選任された。そして取締役会において社長に互選された。むろんそういう取締役に選任される前提として、持株整理委員会から強き意思が示されてあつた。こういうことになつておると私は考えます。そしてそういう持株整理委員会の意思は、持株整理委員会の委員長が、われわれ委員総会においに決定されておる持株会社に対する正式の指示権を行使しないで、勧告という形においてこれを行つた。その勧告を行うに必要ないろいろな力は、G・H・Qの意思によつて行われておる。ですからもしも持株会社に対する指示によつて、常務監督の必要上指示をしたということになりますと、その指示した内容並びに結果については、後日持株整理委員会の委員総会にかけて、事後承諾を受けるべきはずでありますが、われわれはそういうふうな手続はとつておりません。とつていないところをみると、これは指示権を行使したのではなしに、指示権を勧告の形において行使した。こういうふうに私は了解いたしております。
#379
○武藤委員長 三月二十七日の懇談会、それから二十八日以後における数回にわたる懇談会において議論が出た際に、笹山氏はいかなる発言をいたしておりますか。
#380
○脇村証人 正確に笹山委員長の言葉を私は今記憶をいたしておりませんが、笹山氏は大体森氏と折衝した経過並びに森氏と折衝せざるを得なくなつた経過をわれわれに主として説明したと思います。それから日野原氏につきましては笹山氏は自分は正確には知らない。但しこれは興業銀行の栗栖氏が笹山氏をたずねて、司令部の指図だからあなたの方にこのリストをお見せすると言つて持つて來たので了承した。こういうふうな点の説明があつたと私は思つております。
#381
○武藤委員長 森氏との折衝の経過についてこういろお話がありましたか。
#382
○脇村証人 それは私は現在正確に記憶いたしておりません。どうも私があまり正確に記憶をしておらないところをみますと、詳しい話はなかつたのではないかというふうに思います。
#383
○武藤委員長 森氏及びこれに連なる重役並びに同社の幹部の退陣等につきましては、一昨日私どもの委員会で森、市村、鎌田の三君を調査いたしました結果は、たとえばこれはスキヤツプのオーダーであるという形において辞職が強要せられあるいは二十八日の総会がスムースにいかなければ森並びに鈴木は二十四時間内に財閥に指定されるかもしれないという趣旨の非常に強い話がありまして、さような話がなかつたならば退陣の意思を決定しないであろう状態のもとに退陣をせざるを得なかつたのだと言つております。同じ意思決定にも御承知の通り自由なる意思決定もありますし、強く強制せられたる、やむを得ざる意思決定もあると思うのですが、森ほか二君が述べられたところによりますと、まつたく抗拒すべからざる不可抗力ともいうべき方法において辞職の勧告並びに日野原後任社長が押しつけられた形であるという趣旨のことを述べておりました。それとあなたの今言われる整理委員会の常務執行、それから笹山氏以下の考え方との間にはかなり食い違つたところがあるように思われる。そういうことについて、当時笹山氏あるいは野田氏からお話がありませんでしたか。
#384
○脇村証人 どういう話――御質問は森氏の方で強制を受けたという点でございますか。
#385
○武藤委員長 どの程度のことを森氏に言つて、社長の交代を求めたかについて、話を受けた方ではかなり強く受けておるわけでありますけれどもへ今あんたのお話を承つておると、委員会の話はそんなに強い話ではないように思う。むしろあなたの話は森、鈴木系の旧重役並びに幹部の退陣、それから日野原社長並びにこれに連なる重役の入社等については平穏無事に持株整理委員会の考えが傳えられて進行したことくにも聞えるのですが……。
#386
○脇村証人 表面上は非常に円滑に私は進行しておつたのではないかと思います。つまり三月二十八日の退陣というものは非常に円満に表面上は行われて……。
#387
○武藤委員長 いや、二十八日の総会は非常に円満ですが、二十八日のその結果が現れる前にはかなり円満ではない。たとえば市村常務のごときは激論をしてきて、家に来て男泣きに泣いたというくらいな場面があつたわけですから、かなり円満ではなかつたのじやないかと思いますが……。
#388
○脇村証人 二十八日以前においては相当円満でなかつたのじやないかと私も思います。しかし二十七日の懇談会の席上においては、そこまでのむりをしている、あるいはなかなか簡單には行かないという程度の話はわれわれも聞いておりましたが、詳しい事情、殊に森氏並びにその從來の協力者と全然違つた人を新たに入れるという点につきまして、どこまでの交渉を続けられておるか、あるいは折衝が続けられておるかということは、私たちは二十七日の懇談会の席上では承知していなかつたのであります。
#389
○武藤委員長 そうすると結論的に伺いますと、あなたを含む整理委員会の意思というものは、それが当時あなたの考えておられたように株主権の行使でなかつたとしても、現在もまだ適法な正当な方法において委員会の責任においてなされたものだどういうことになるわけでありますか。
#390
○脇村証人 私は、われわれが委員会において決定している常務執行の方針に基き、あるいは総司令部の持株整理委員会の常務執行に関する指示、メモランダムの内容に違反しない行為と考えております。
#391
○武藤委員長 今度は問題を変えましてG・H・Qと整理委員会との関係ですが、持株整理委員会はただG・H・Qの命令通すににやるだけでありますか。それとも大綱に從つて自主的にやることになるのですか。
#392
○脇村証人 持株整理委員会はG・H・Qの意思に反した行動、意思を決定することは私はできないだろうと思います。
#393
○武藤委員長 それは日本の國家機関の全部が占領下におかれておるのでありますから、G・H・Qの意思に反した行動はあり得ないと思います。ひとり整理委員会に限らない……。
#394
○脇村証人 特に持株整理委員会におきましては、たとえば正式の会合を開く場合には、あらかじめそのことを通知し、その会合に監督官の臨席を得て初めて会合を開く、こういうことになつております。また委員につきましても日本政府の選ぶ委員以外に、いつでも司令部の任命する委員をわれわれの委員会に迎えるというふうな規定が置かれております。
#395
○武藤委員長 たとえば、先ほど伺いました昭電の社長更迭の人事などについても、やはり一々G・H・Qへ伺いを立てることになるのですか。
#396
○脇村証人 つまりわれわれ委員会は、常務委員にその事務の執行を委ねてございますが、常務委員はその事務の執行に当りまして一々司令部の指示を仰がなければならないことになつております。
#397
○武藤委員長 そうすると、この昭電社長の更迭について、当時笹山氏あるいは野田氏がG・H・Qのザイヴユーラーあるいはへンダーソン、そんなような人と再々事前において折衝をしておつたという事実については御存じがありませんか。
#398
○脇村証人 そういうことの折衝が行われていることは、私も聞いておりました。しかしどの程度のものであるかについては、私は三月二十八日の懇談会の席上では存じませんでした。從つてわれわれはいかなる権限に基いてそういうことをなすのか、またなすことができるのかという質問を再三繰返してしたゆえんであります。
#399
○武藤委員長 その次に、これはあなたの高い学識と経験に從つて、持株整理委員会に対する批判を伺いたい。第一に、持株整理委員会の設置は必要であつたかどうか。第二に、その権限並びに運営方法は民主的に行われているかどうか。第三、現在までやつてきた仕事はすべて公正妥当に行われたと考えるか。第四、株式の処分及び財産の処分は公平に遂行されておるか。などの項目に從つて、なおあなたが追加せられるのも結構でありますけれども、御意見を述べられたい。
#400
○脇村証人 それは持株整理委員会の委員としての私の意見でございましようか。
#401
○武藤委員長 持株整理委員たる脇村義太郎先生のお話を伺いたい。
#402
○脇村証人 実は持株整理委員会は、大体政府の官吏をその委員に入れないということが建前になつております。つまり日本の政府から一應切離すという趣旨のもとにつくられているのでございますが、唯一の例外として当初から私が平委員であるがゆえにということで委員に選任されております。後日また美濃部亮吉君が政府の行政官になつたときにも、從來のいきさつがあるから一應差支えないということで平委員をそのまま継続いたしております。それらの点におきまして、私の地位と申しますのは、実は大学の教授がああいう委員の仕事をすることがいいか悪いかという問題もございますし、また政府の官吏がああいう委員会の委員になることがいいか悪いかという問題もあるわけでありまして、いろいろその点については――私が委員会を離れて大学の教授として経済学の専門の立場から、委員会の業績を判断することは、これはいたそうと思つても自分が責任をもつてやつてきた仕事でございますから、非常に困難になつてくるわけでございます。持株整理委員会をつくるということは、あの当時としては私はやむを得なかつたのではないかと考えます。しかしあれをつくらないでやる途が考えられたかもしれませんですが、あの昭和二十年十月、十一月の考え方におきましては、困難であつたかというように考えております。その後の発展は当初われわれが考えておつた以外の権限を持株整理委員会がもつことになりまして、これにつきましては、政府でない、政府外の機関、しかも行政権をもつており、その他の強力な権限ももつ権関が存在をする。立法、行政、司法すべてにわたる権限をいくらかずつもつ機関が政府外に存在をするということがいいか悪いかという点になつてまいりますと、これは普通ならば私はどうしても賛成はできないのであります。つまりわれわれが民主主義ということを考えますと、民主主義というのは一人の人にあらゆる権限を渡さない。司法、行政、立法の権限を分散し、またその行政権におきましても、できる限り地方と中央とに分散をする。そしておのおのの勢力が均衡を保つて、お互いに牽制し合つて、そこで最後に正しい政治の運用を行うということが民主主義の原則であるいたしましたならば、今申しまましたような一つの機関にあらゆる権限を委ねるということは、非常に危険な結果を招來するのではないかと私は考えます。しかしこれに対しましては、今から申しますと昨年の九月二十幾日かに連合軍最高司令官から当時の総理大臣あての書簡に示されております通り、持株整理委員会は総司令部の厳重な監督指導のもとにおいてその仕事をやつており、礎つて民主主義の原則からみてたとい危險ではあつても、この際はそういうふうな危險は起らない。このような書簡が出されておりますが、やはりその書簡の通りじやないかと私は思います。現在の日本の情勢におきましては、今申しましたような私の考えはふだんの民主主義の原則からみては通るかも知れません。ただいまの日本のおかれておる特別の情勢のもとにおいてはやむを得ない制度である。それに対しては総司令部の厳重な監督指導がありますから、過ちを犯すことは私はなかろうというふうに考えております。
 それから過去の持株整理委員会の運営につきましては、私自身も平委員として責任はあるわけでありますが、われわれとしましては、できるだけ民主主義的原則に從つて委員会は運営すべきである。また民主主義の政治において、從來アメリカその他の國々において成功しておる委員会制度を、日本に終戰後いち早く輸入されましたこの持株整理委員会というものがもしもその運営を誤まることがありましたならば、委員会制度に非常な暗影を投げかけることになりますし、また民主主義の日本政治の発展に非常なこれは汚点を残すことになるのではないかと私は考えております。そしてできるだけ買主主義的に運営するように從來自分たちは努めているわけでございますが、何分にも民主主義に対するわれわれの経驗の浅いこと、あるいはそれに対する理解の浅薄なことによりまして、われわれとしましては最善は盡してまいりましたがはたして民主主義的に運営されたかどうか、もしそれが民主主義的に運営されてないとしましたならば、その点におきましては私も責任をもたなければならぬというふうに考えております。
#403
○武藤委員長 昨年の秋ごろと思いますけれども、福島縣の飯坂温泉、東山温泉へ行つて宴会をしたことがありますか。あなたはそのときに行かれませんでしたか……
#404
○脇村証人 私は福島縣の東山、飯坂温泉というのはまだ行つたことはありません。
#405
○武藤委員長 聞くところによると、日野原、藤井、笹山、野田の諸君が行きまして、笹山氏がたいへんいい氣持になつて裸踊りをしたことがあるという、少し民主主義的の運営でないと思いますが、そういうことは御存じないですか。
#406
○脇村証人 どうもたいへん不注意で、そういうことの行われたことも私存じておりません。
#407
○武藤委員長 かなり業者との間の饗應と言いますか、宴会と言いますか、そういうことも多いらしいのであつて、経費など見ましても、名目は一應立つたりたような形にはなつておりますけれども、非常に不当な出費が多いのではないかと思われるふしがありますけれども、経費の支出や予算あるいは監査などについてあなたは御存じありませんか。
#408
○脇村証人 経費につきましては私もそれは責任をもつております。持株整理委員会の経費は予算を編成しまして、その予算を委員総会にかけて、そこで承認をすることになつております。それから使われました経費につきましては、決算をしまして、やはり決算の報告をわれわれが受取ります、從來はそれにつきましては監査委員がおりまして、監査委員が特にそれを監査をして間違いのないという報告をして、われわれがそれを了承することになつておりました。その後監査委員が廃止しましたあと檢査員が置かれ、さらに会計檢査院がわれわれの方の会計を檢査するということになつておりまして、会計檢査院の検査を得た後にその報告がわれわれの方に行われているということも了承いたしております。むろん経費の点につきましては、私たちとしては國家の予算外の支出の方法で行われている委員会制度でございますから、先ほど申し上げました通り、民主金義の原則ならば当然これは議会の協賛を経て初めて使うべきはずの金を議会を通らないで、われわれのところで予算を組んで、われわれがこれを決定して使うということになつている制度でございまして、ある意味から申しましたならば非常に危険があるわけでございます。しかしそれは先ほど申し上げました通り、現在日本の置かれているやむを得ざる事情のもとにおいて許さるべき民主主義に対する、デモクラシーの形の制度に対するこれは一つの例外ではないかというふうに考えております。
#409
○武藤委員長 委員会における人事の異動並びに機構の改変等について民主主義的ならざる点があるということを恒吉君という人が述べまして、それが民主化闘爭の大きな理由であるということを言つておられましたけれども、そういう点についてどういうふうなお考えをもちますか。
#410
○脇村証人 ある一つの制度のもとにおける人事の方法というものを、民主主義的にやるにはどうしたらいいかということ、これはいろいろ議論のある点と思いますが、持株整理委員会におきましては人事権はすべて規定によりまして委員長に全権を渡されております。從つて私は持株整理委員会がいかなる人を採用するか、またこれに対していかにこれらの人々を配置するか、またその人々をいかなる理由によつて解雇するかということにつきましては、何らの権限をもつておりません。そういうような制度のもとにおいて、はたして民主主義的に運用されておつたかどうかということになつてまいりますと、私は先ほど來申し上げます通り、何らその点については自分としては判断をする材料を持つていないわけでございます。
#411
○武藤委員長 御意見承りましたけれども、私どもの考えるところでは、もう少し深く掘り下げた自己批判をあなた方や美濃部さんにひとつお願いしたいと思うのです。
#412
○脇村証人 具体的な問題をお示しいただきますならば、私としましてはさらに御質問に対して自分のできるだけのお答えを申し上げますが、全般的のお答えでございますと、たいへん私どもとしましてもお答えがしにくいのでございます。
#413
○武藤委員長 何か御質問ございますか。
#414
○足立委員 長時間にわたりお答えくださいましてお疲れでございましようから、おかけくださつて結構でございます。私たちのまだ疑問とするところは、さつき委員長が執拗にお尋ねになりました点でございまするが、その前提といたしまして、過度経済力集中排除法の解説という本がありまして、この中に持株整理委員会のことが書いてございます。この本を拝見いたしたのでありますが、その目的の中に経営の民主化をはかるという條文がある。その経営の民主化をはかるということなのです。これが私にはつきりと――この経営の民主化ということが、株式を通じて、先ほどもるる述べましたように、株主権の行使によつて経営の民主化をはかるのか、それをまたそういう方法でなしに、これが天降り的に、たとえば昭電のような事業に経営スタツフをかえていくということも、結論といたしましては経営の民主化になつておるかどうかということは別問題といたしまして、経営の民主化という意図のもとに、こういうことがなされておるかどうかということが本問題の重要なわかれ目と存じます。この点をひとつはつきりしていただきたい。こう思うのでございます。
#415
○脇村証人 御質問の点は、われわれの委員会の目的として掲げております経営の民主化の中に、会社の人事に干渉することが経営の民主化の内容として含まれておるかどうか、そして干渉するとすればその干渉の方法として議決権の行使以外の方法を使うことを干想しておるかどうか、こういう御質問でございましようか。
#416
○足立委員 そうでございます。
#417
○脇村証人 そうしますと、会社の人事権につきまして、やはり株主権の経営の民主化ということは、やはりその場合にも人事権を私は含んでおると了解いたしております。そしてその人事権につきましては、われわれとしましては、原則としてその行使の方法は議決権によるということにいたしております。そうしてその議決権の行使によるとしてまかされている人事権の干渉の内容は、好ましからざる人物の持株会社あるいは議決権をもつている会社からの排除ということになつております。その排除する方法はどういうふうな方法で行うかと申しますと、それは原則として株主総会の開催の際に、その議決権の行使を通じて行うということが、われわれの委員総会において決定している内容でございます。その具体的の方法になりますと、先ほど來委員長からお尋ねががございました通り、方針はわれわれが決定いたして、常務委員並びに事務当局にまかりておりますが、その一々の運用につきましてはG・H・Qの指図を仰いでこれを行使することになつております。ですからわれわれ委員としては、一々の内容にはタッチいたしませんが、司令部の方がそれに一々目を通しているといういきさつになつております。
#418
○足立委員 ここを見ても、委員を受けた株式等の議決権の行使を通じて云云という言葉がある、私もその通りだと思うのです。しからば例外的にこういう議決権の行使を通じなくて人事権を変更できる。こういうわけですね。
#419
○脇村証人 人事権の行使が例外的にできるかどうかという点になつてまいりますと、なるべく議決権を使わないで行う、しかしやむを得なければ議決権を使え、こういうふうなもの、議決権の行使の運用方針が、整理委員会に対して、総司令部の方から示されておるのであります。それは昨年の二月ないし三月に委員総会の席上でそういうふうなステートメントが、オブザーバーからわれわれの方に読み聽かされたように記憶しております。
#420
○足立委員 法規上はそういうものはございませんか。
#421
○脇村証人 法規上は人事権に干渉することができるかどうかという……。
#422
○足立委員 そうではございません。人事権に干渉するということではなくて、民主化の方法において、一方は企業の分散という民主化の方法である。一つは議決権を通じて経営スタッフを変えるという一つの民主化の方法、これは私は必ず二つがなくては日本の財界の民主化はできないと思う。それはまつたく同意見でございます。それでいかなる場合においても、原則として議決権を通じてスタッフをかえ、そうして民主化をやる。そうしたら議決権を用いずに一つの強圧力あるいはまた指示をもつて持株委員会の一つの権限において、会社経営のスタッフをかえるという一つの法的根拠はいずこに存在するか……。
#423
○脇村証人 それは私は持株会社に対しては、常務監督上必要の指示権を與えられております。その指示権の常務監督の内容として、われわれの持株整理委員会の常務團あるいは執行部がもつている中に、人事権が含まれているかいないかということになつてくると、司令部のオーダーという例外的な場合以外にはもつていないのではなかろうかと考えております。
#424
○足立委員 そうすると、司令部のオーダーであつたならばすべてのことができる。これは持株委員会のみでなしに、先ほど委員長おつしやつたように、大体日本の現状としては、司令部のオーダーがあつたらやむを得ないという原則、これは持株整理委員会に與えられた原則ではなくて、一般原則をおつしやるわけですね。
#425
○脇村証人 持株整理委員会は、個々の場合には司令部の許可がなければできない。われわれは整理委員会の常務團に事務の執行を委任しておりますが、司令部は常務團あるいは事務執行部には何ら権限は委任されていないわけでありますから、一々司令部のアプル―ヴアルを必要としておりますので、その日常のアブノーマルな取引の際には普通の場合よりはあり得るわけでございます。
#426
○足立委員 そうすると、こういうぐあいに了解してよろしゆうございますか。経営のスタッフを変えて企業の民主化をはかるためには、原則として議決権を行使するわけで、從つて例外的には議決権を通ぜずして経営のスタッフを変えていつて、経営の民主化をやつていくことができる。これは個々の情勢に対する司令部のメラモンダムというか、指示というか、それによつてこれを遂行するのだ、こういう意味なんですか。そこがどうも実に微妙でありまして、本問題を解明するためにその点をはつきりしていただきたいと思います。
#427
○脇村証人 その点に対しては非常にこまかな話になりますが、人を変えるという場合に二つの問題があると思います。現在の経営者團あるいは株主團から、こういう人を経営者として自分たちは使いたい――多くの場合には現在の経営者團というのは、株主より大多数の委任を受けているわけでありますが、そういう人たちからこういう人を経営者として使いたいという申請が出て、それに対してイエス、ノーをわれわれが言う場合、われわれが、あなた方は、こういう人を使いなさいと言う場合、この二つの場合があると思います。イエス、ノーを言う、つまり消極的に人事権を行使するという申合せあるいは委任になつております。
#428
○足立委員 そうすると今のお話では、結局株主團からこういう人を使いたいということは、おそらく株主総会でも通過するものと思う。同時に経営者團からこういう人を使いたいということも、これまた議決権の行使においてできることに大体なろうと思う。そうするとその大前提として、持株会社においては経営者のスタッフというものがすべて持株委員会の承認を得なくてはならぬ、こういうこどになるのですか。
#429
○脇村証人 はい。
#430
○足立委員 そうすると承認を得なくてはならぬ法的根拠はどこにあるのですか。
#431
○脇村証人 持株会社に対して、われわれは常務監督上必要な指示を與えることはできます。その常務監督上必要な指示を指示権の行使によりまして、株式を持たれている会社、すなわち持株会社ですが、持株会社はその株主総会の開催にあたりましては、あらかじめ株主総会に付議する事項を整理委員会にもつてくる。そして整理委員会の承認を受けるということになつております。
#432
○足立委員 法的根拠は。
#433
○脇村証人 それはわれわれ持株整理委員会が、持株会社に対して常務監督上必要な指示権をもつておる。
#434
○足立委員 指示権の解釈をかくのごとく解釈するというのですね。
#435
○脇村証人 そうでございます。そうしてその解釈に基きまして、持株会社にわれわれは、株主総会付議事項を整理委員会に総会前にもつてくるようにという指示をいたしております。
#436
○足立委員 そうすると、そういう常務の指示権ですが、その指示権の内容を、人的スタッフの承認を得なければならないという一つの解釈、その解釈は持株委員会としてきまつた解釈でありますか。
#437
○脇村証人 持株整理委員会としては、そういう解釈を公けにいたしております。
#438
○足立委員 そうすると、この持株整理委員会常任委員の方へそういう会社の常務の指示権を総括的にゆだねているのですか。
#439
○脇村証人 指示権は総括的にゆだねておりません。
#440
○足立委員 個別的にゆだねているのですか。
#441
○脇村証人 指示する場合に指示することは差支えないのです。司令部からオーダーによつて指示する場合もございますから、総会の議を経なくて指示をなすことができますが、指示した場合は後日われわれの総会で承認を受けるということになつております。
#442
○足立委員 そうするともう一つはつきりいたしたいことは、常任委員には総括的な指示権を委任していない、具体的の場合において、一々委任するなら委任したという総会の決議が要る、こういうのですね。
#443
○脇村証人 総体的具体的ということになつでまいりましたが、個々の会社’に対して、あなたの会社の株主総会の議決権は持株整理委員会に事前に相談をして、あるいはもつて來てその了解を受くべしという指示をすることは総括的に常務團に委任しでおります。そうしてその委任に基いて当の持株会社に出されたことは後日われわれは事後承認しております。
#444
○足立委員 そうすると常務監督に関する限りにおいては、個々の指示権を全部常任委員会の方へあなた方委員会が委任している、こういうことになるではないですか。
#445
○脇村証人 それはあらかじめ了解を得ないで、常務監督上必要な限度において指示する指示権を常務團はもつておるわけです。しかし出したあとわれわれの総会に掛けて事後承諾を得なければならない。
#446
○足立委員 それは第二段になるのですが、まず前提として総括的に常務監督の指示権を常任委員会にゆだねている、そうでございますね。
#447
○脇村証人 はい。
#448
○足立委員 それで個々別々に指示した場合においては、次の総会において、個々の会社にこういう指示をしたという報告を正式の委員会に掛けて、その承認を得るということが正式の規定だつたというのですね。
#449
○脇村証人 正式の指示として持株会社整理委員会指示第何号という名前をもつて出された指示は、すべて整理委員会の総会に掛けて後日承認を受けるようになつております。
#450
○足立委員 そうすると、指示第何号という、一つの公文書によらざる指示は、これはあなたの方から委任していないものなのですか。
#451
○脇村証人 公文書によらないものはわれわれの方では指示と了解していないわけであります。
#452
○足立委員 そういたしますと、会社の常務執行の指示権を総括的に常任委員会に委任している。それでその委任に基いて行つたところの事項は、指示第何号という形において、必ず後日の委員会においてその承諾を求めなくてはならぬ、それ以外のものは指示にあらずということになるわけですね。
#453
○脇村証人 持株会社整理委員会のいわゆる指示ではございません。
#454
○足立委員 そうすると昭和電工の日野原氏にかえるということが、適任であつたか適任でなかつたかということは、委任された常務執行機関の仕事がまずかつたか上手であつたかということで、これは一つの問題でありますが、その限りにおいては、一應指示権の範囲といたしましてこれは適法なんでございますか。
#455
○脇村証人 ちよつとお待ちください。われわれは持株整理委員会としましては、常務執行團に指示権はお渡ししてあります。いわゆる指示というものによつて行う場合は、行つたあと委員会総会の事後承認を必要とする。あの昭和電工の場合にその指示を行つたかどうかということは、私は指示ではないと先ほど御説明いたしたわけであります。なぜかというとそれは指示第何号ということになつて出ていない、われわれはそれを承認した覚えはないのであります。從つてあれは指示とは言えないのであります。
#456
○足立委員 結局この問題を明らかにするために、一應ここにおいて指示権を常務委員にゆだねてある。そうするとここにおいて常任はまず議決権を行使するか、あるいは特別の場合において議決権を行使せずに、かくのごとき方法によつて日野原氏をもつてくるかということは先の問題として一應解決がついて、もしもこれをやつたならば、次の総会において指示第何号としてあなたの方の委員会の承認を受けなければならぬ。ところが先ほどのあなたの御証言によりまして、後日の承認を受けていないのだということになるわけですね。
#457
○脇村証人 それは指示ではないから受けていないのだという私の説明であります。受けていないから指示でない、指示でないから受けていない。
#458
○足立委員 そうすると指示ではない……。
#459
○脇村証人 勧告だと私は先ほどから申しております。
#460
○足立委員 それはちよつとおかしいね。
#461
○脇村証人 勧告をなす権利があるかどうかということと、あるいは指示であるかどうかということになりますが、私は先ほど委員長には、われわれのまかしてある常務監督の権限内の指示権があるが、あれは指示ではないと申してあります。
#462
○足立委員 勧告するということは法規上どこへ入るのでございますか。
#463
○脇村証人 常務監督に必要なる勧告でございます。
#464
○足立委員 常務監督に必要なるということに基いて、これを勧告するというのですか。そうするとその勧告するということをあなた方はゆだねてあるのですか
#465
○脇村証人 勧告と申しますか、助言と申しますか、そういうことはむろん常務監督上必要ならば私はなし得ると思います。
#466
○足立委員 その勧告をした場合に、次の委員会においてはそれは報告しなくてもいいのですか。
#467
○脇村証人 それは法規上報告をするということにはなつておりません。
#468
○足立委員 そうすると指示するということと、勧告するということは……。
#469
○脇村証人 つまりリツン・デイレクテイヴは報告しなければならないが、オーラル・デイレクテイヴは報告しなくてもいい。あるいはリコメンデーシヨンは報告しなくてもいい。
#470
○足立委員 結局文書に書いたもので指示するというのが指示第何号。それはどういう基準によつてそういう指示をしなければならぬということがきまつておりますか。それで結論的に申しますと、私はあの日野原社長にかえたことは違法であるという見解をとつている。あなたは適法であると申されたが、これはおかしい。それでこの間の関係を明らかにしたいと思つている。これは決して持株委員会の適法な行為でない。もしそれがG・H・Qのディレクテイブとか何とかという形において適法になるならばいざ知らず、それ以外においては私は適法にあらずという一つの見解を持つている。それであなたの言葉が実にあいまいで、おかしい。
#471
○脇村証人 それは問題が二つにわかれると思うのであります。あの行為自体が……。
#472
○足立委員 行為自体ではない。抽象的に言わないと、具体的な問題では適法であるかどうか出てこない。
#473
○脇村証人 抽象的に申し上げますと二つあると思うのであります。常務監督上必要なる勧告をなすことができるかどうかということと、それからあのときになした勧告が、勧告として許された範囲内であるかどうかという二つの問題が私はあると思うのです。
#474
○足立委員 それでなくて、こういうことになるのではないですか。委員会の構成として、委員会というのは私は議決機関だと思つております。それから常任委員というのは執行機関でしよう。そうすると執行機関へ議決機関がどれだけの権限をゆだねてあるかという問題です。ここであなたがおつしやるのは、文書に書いた指示は常務執行の上においてゆだねるけれども、これについてはまた後日委員会を開いて承認を得なければならぬ。ここにおいて初めて正式に持株委員会の行為として法律的に是認されるのだということになるのですね。しからば、勧告するという場合もあり得るのだということであるが、そうすると、まず第一の問題として勧告は委員会が執行機関である常任委員会にその権限をゆだねてあるかどうかということが前提で、この限りにおいてどういうことをやつてもいいのか。報告しなくてもいいのか。こういうことでしよう。それを一つ……。
#475
○脇村証人 その点におきましては從來われわれは、常務執行部において、常務監督上必要なることは、一々指示をまたないでも勧告としてこれはできる、そうしてそれは日常の常務監督上必要なる限度において、できるというふうにわれわれは了解いたしております。それは一々の場合に指示にして、それを総会にかけるということになりますと非常に煩鎖になつてまいります。やはりそういうような権限は総括的にこれを委任しなければ、常務執行部としては仕事が非常にむずかしくなるだろうと思いまして、そういう意味において勧告をすることはゆだねられてある、こういうふうに了解しております。
#476
○足立委員 それならば問題をかえまして、今度は株主権の議決の行使によらずして、他の方法によつて会社経営をかえるという指示をやつたことがありますか。
#477
○脇村証人 株主権によらずして、勧告に基いてやつたことがあるかどうかということですか。
#478
○足立委員 そうじやなく、指示は後日承認を受けなければならないということですが指示する場合と勧告する場合の限界いかんということです。
#479
○脇村証人 そうすると、指示に基いてやられたことは從來ございません。私の記憶においてはなかつたと思います。
#480
○足立委員 そうしますと、指示を出すというような場合はないのですか。
#481
○脇村証人 いまだかつて私の、あるいは私の記憶が間違つておるかもわかりませんが、私の記憶においては三井物産、三菱商事の場合に若干この人事権の問題はございましたが、かえろという指示を出したことはないと思います。
#482
○足立委員 指示がない。それがまた後日において承認を得るということはナンセンスじやないですか。
#483
○脇村証人 指示はないから承認は與えられていない。
#484
○足立委員 そんなことは一つの架空論じやないですか。あなたの今おつしやることは、今まで一ぺんもやつたことのないことを指示するなどと言つても、これは一つの架空論じやないですか。
#485
○脇村証人 それはやろうと思えば私はやれるだろうと思います。われわれが從來人事につきまして、そういうふうな勧告をした場合は、私の了解している場合には数件あると思いますがそれは全部勧告の形において行われております。
#486
○足立委員 指示した場合は全然ないのですか。
#487
○脇村証人 ええ。
#488
○足立委員 指示した場合がなかつたなら、初めからそんな指示のことをやかましく言わなくてもいいのです。勧告だけしかないのですか。
#489
○脇村証人 と私は了解しております。
#490
○足立委員 勧告の場合においては、後日の委員会においては報告する必要はないのですか。
#491
○脇村証人 規定上了解をとる必要はございません。しかし大体どういうふうなことが行われたかということは懇談会で大体報告いたします。
#492
○足立委員 そうすると、あなたは勧告であるがゆえに、それは常務執行外ですが、從つてこれは勧告とみなすのが規定上正しいのだ。こういうぐあいにおつしやるのですか。
#493
○脇村証人 そうです。
#494
○足立委員 そうすると勧告の義務というものはどうなりますか。勧告でも、一これはこうした方がよろしゆうございますという勧告、これは是認される勧告でしよう。しかしながらここに恐喝暴力をもつて、お前これはこうしたらいいじやないかということをあなた方が勧告として是認されたのですか。
#495
○脇村証人 私限りの御質問に対しては多少抽象的で失礼にあたるかもわかりませんが、われわれにゆだねられておりますのは、常務監督上必要なる監督をなすことを得る。持株会社の日常常務の監督をなす関係上勧告をゆだねられたもの、その限度をかえては……。
#496
○足立委員 そうすると、もしもかりに市村氏、森氏、ああいう人がある一つの圧力をもつて勧告の形にするというような場合においては、あなた方は勧告の範囲として執行機関が常任機関に與える範囲ではないわけですね。それはマツカーサー司令部の方の資格の命令ということは、抜きですよ。それは問題がこんがらがるから別にして……。
#497
○脇村証人 それは私としては現在の会社経営者をかえて新たな人を持つて来るという勧告をすることを常務執行團には與えていないと思います。その勧告をなし得る限度は、人事につきましては、こういう人はよくないじやないですかということは言つてもいいと思います。またあなたの会社のあの人はいいじやないですかという程度のことは私はさしつかえないと思います。その経営者と全然違う人をあなた方が持つて來ることが望ましいです、あるいはあなた方はそういう人を持つて來るべきでありますということを常務執行團にわれわれはゆだねてないと思います。これは先ほど御質問の通りG・H・Qの條件がなければ、そういうことは全然いらないと思います。
#498
○足立委員 そうすると、あなた方の方では、これはゆだねてない、こう考えていらつしやるわけですね。
#499
○脇村証人 これは一つの條件があるわけです。その條件のもとにおいては、ゆだねてない。
#500
○足立委員 そうしますと大体問題ははつきりしてきましたが、この日野原氏をかえようという問題はあなた方がおつしやつたように適任者でない。これに全然経験のないものをかえてくる勧告の方法が、あなた方はどういうふうにとつたかという場合においては、その勧告は執行機関としての委員会がゆだねられた勧告じやないという結論に到達しやしませんか。
#501
○脇村証人 ちよつとそこで具体的に日野原氏の問題になつてきますと……。
#502
○足立委員 これはG・H・Qの問題はぬきにしましよう。
#503
○脇村証人 日野原氏のG・H・Qの問題をぬきにしては私は話がやはりできないじやないかと思う。
#504
○足立委員 これは一つの法律的解釈としてはたしてG・H・Qの勧告の権限ありやなしやということを論じませんで、G・H・Qの解釈はぬきにして……。
#505
○脇村証人 委員の御質問の意味はわかりましたが、そうしますと御質問はあの勧告がわれわれがゆだねてある勧告を逸脱しておるやいなやということですね。
#506
○足立委員 そうです。
#507
○脇村証人 その点は、人事につきましては先ほど申し上げました通り、私たちは指示をすることはむろんできますが、その指示をする際に、特に持株整理委員会の全体としての気持は、積極的にたれをどこから持つていくということは言わないというのがわれわれの大体の氣持です。
#508
○足立委員 ましていわんやある一つの力、暴力、そういうものを持つていくのをいやおうなしに在來の経営者を往生さすということはゆだねてありませんね。
#509
○脇村証人 そういうことは私としては全然考えておりません。むろん私は経営民主化の意味から申しまして、また好ましからざる人を排除するという意味から申しまして、私個人としては強力に人をかえるべきだというように考えております。ところが当時の委員会の……。
#510
○足立委員 それはちよつとお待ちください。ただ法律構成の問題といたしまして、それは議決機関としての委員会がゆだねてないのだ……。
#511
○脇村証人 それは議決機関としての委員会は包括的に私はやはりもつていると思います。もつているが、それを行使しない、それを消極的に行使するという申合せは委員の間にできております。非常にその点がデリケートなのです。
#512
○足立委員 デリケートといつたのでは困るですが……。
#513
○脇村証人 法律的には常務執行團はできる、しかしそれはやらないという申合せというか氣持になつている。それは一つの理由にいたしまして……。
#514
○足立委員 それではなしに問題の頂点は、それは申合せでも何でもいいですが、議決権を行使せずに会社経営スタツフをかえるということ、これが勧告の場合は一應ここに議題としておいて、しからば勧告の範囲いかんということになつてまいりますと、これは在來の経営スタツフに対してわきからもつてくるということはしないのだ、それは穏便にいく一つの勧告だけだという限度に止めるということでしよう。
#515
○脇村証人 そうです。それは法律的にはゆだねられているが、そういうことは行使しないという一つのわれわれの間の了解事項になつております。
#516
○足立委員 それは法律的にはゆだねてある……。
#517
○脇村証人 そうです。
#518
○足立委員 その法律的にという意味はこれは一つわきの方から持つて來てもいいし、それからまた強圧をもつてこれを切りかえてもいいのだということまでは法律的にできるのですか。
#519
○脇村証人 それはできない。わきの方から円満に持つて來るのはいいのですが、強圧的に持つて來ると申しますか……。
#520
○足立委員 男泣きに泣くということを委員長が今言われたのですから、これは一つの強圧ですよ。具体的な問題としてはそういう点までも勧告の中に包含して、あなた方の執行機関である常任委員会にゆだねられてあるかどうかという問題ですよ。
#521
○脇村証人 それは男泣きという問題になつてきますと、実はなぜ男泣きに泣いたかということが私にはわからないのですが……。
#522
○足立委員 それは今までの経営を見ず知らずの人にとられたということになりますと泣きますよ。これは昭和電工の頭の切りかえがそういう方向において行われたということをわれわれは確信をしております。それはまだ確定した事実ではありません。この事実が確定してこういう事実があるという場合に、こういうことが執行機関にゆだねてあるかどうかという問題です。その権限でなし得る問題であるかどうかということですよ。
#523
○脇村証人 それはわれわれが少くとも了解している限りにおいては、強圧という條件とか、あるいは横から持つて來るというふうなことが非常に漠然としておりますから、私としましてはもう少しそこを正確にしておきたいのでございますが……。
#524
○足立委員 私の方から正確にしましようか。
#525
○脇村証人 ええ。
#526
○足立委員 ここで勧告するということは、これは何べん言つても同じことですが、議決機関であるところの委員会が執行機関である常任委員会にゆだねてある。法律的にもこのことはあなたの言われる言によると可能である。しかしながらあなた方の申合せによりまして、これは強圧的に持つて行つちやいけないのだ、あるいはまた他の方から知らぬ人を持つてきてかえてはいけないのだ。それでこれは在來の経営者の円満なる了解のもとにこういう勧告をするということが申合せになつております。
#527
○脇村証人 申合せになつております点はその点ぢやなくて、その点の申合せは実はしてないのです。申合せの限度はわれわれは消極的な拒否権のみを行使するという点において申合せをいたしております。
#528
○足立委員 消極的な拒否権という内容は、こういう人をやりたいがと言うてきまして、これでは、いかぬからもう一ぺん考え直せ、これが消極的な拒否権ですか。
#529
○脇村証人 そうです。そうして勧告は、この人をあなたの方ではなさいということはわれわれの申合せとしてはやらない。やつてやれないことはないが、やらないということになつております。
#530
○足立委員 そうすると明らかに昭和電工の切りかえは、あなた方委員会の委任事項、あるいは申合せ事項に反しておる事項だということが言えますね。
#531
○脇村証人 それは現在から見まして、もしもああいう情勢のもとにおいて、ああいうふうにわれわれが聞かされているような條件なしにそれが行われたならば、それはわれわれの申合せしている範囲とは違つていると申述べてもさしつかえないと思います。つまり二十八日の総会においてこの人を社長としろというわれわれの委員会に対する強い勧告あるいは御忠告のない限りはあれはできない。
#532
○足立委員 そうするとこれは間違いであるのですか。
#533
○脇村証人 それは私の言うのは仮定ですよ。
#534
○足立委員 もしもそういう事実があると仮定したら……。
#535
○脇村証人 そういう事実がなかつたとしたら――われわれの了解しているような條件がなかつたとしたら、あれは間違いであるということ。
#536
○足立委員 それがオーダーがなかつたならばこれは間違いである。そうすると間違いであつた場合に、その行為が法律的に無効ですか、有効ですか。あなたの委任した事項に違つた行為を執行部がやる。その場合にそのやつた行為が有効ですか、無効ですか。
#537
○脇村証人 そういう勧告自体が無効か有効かということになるわけですね。
#538
○足立委員 そうですよ。
#539
○脇村証人 そうしてその勧告が第三者に対してどういう効力をもつかということでございませんね。
#540
○足立委員 第三者の効力は別個の問題でしよう。どういう方法によつても株主総会は議決して、日野原氏が社長になつた場合に、それが有効か無効かは別の法律によつて決定するが、委員会のとつた行動が無効であるか有効であるかということ……。
#541
○脇村証人 私はそれは第三者に対しては委員会がとつたことはやはり取消すことができないのではないかと思います。
#542
○足立委員 有効だという見解ですか。
#543
○脇村証人 そうです。
#544
○足立委員 それから次の問題ですが、さつき財閥の解体に関する限りにおきましては進駐軍の方が特に監督するということを言われましたが、その前にクレーマー大佐の声明というものが出ております。これによりますと、「クレマー大佐声明財閥解体の問題に関してまず連合軍総司令部経済科学局長クレーマー大佐は、昭和二十年十月十六日左のような声明を発して、その意向を示した。
 「財閥解体については、最初から強圧的手段をとることを避け、日本側から自発的に目的の達成に必要かつ適正な改革の氣運の起ることを期待し、連合軍総司令部は、これを助成することに止める。」」
 このクレーマー大佐の声明とあなたの先ほどおつしやつたメモランダムの間に変更があつたと解釈するのですか。
#545
○脇村証人 それは私自身にもその間の情勢はわからないのですが、持株整理委員会のごとき組織をつくるという十一月四日の日本政府から出した一つの総司令部あての声明書はおそらくクレーマー大佐のそのステートメントのラインに沿つたものであつたと思います。
#546
○足立委員 いや、これはあなたのおつしやつたこととだいぶ沿つてないように思います。
#547
○脇村証人 いや、十一月四日です。それに対して十一月六日に返事が來たわけです。いよいよ整理委員会をつくるということになつてだんだん研究をし始めましたときに先ほど申し上げました通り、日本政府の中にこういう組織をつくることができないということになつてきたのです。またつくらない方がいいという意見も出まして、結局ガバーメント・ウイズ・ガバーメントじやなしに、ガバーメント・ウイズアウト・ガバーメントというものができた。そういうふうなものによると監督あるいは責任はいずれに帰属するかということになつてきましたときに、結局これは総司令部の直接監督指導し、あるいはその管理下に置くというふうに切り離されて、ああいう形になつたのではないかとその設立の経過から見まして私は思つておる。ですからクレーマー大佐の声明は二十年の十月中旬であり、それを受けて日本政府が大藏省から出しました提案は十一月四日で、その提案に対して司令部からきた承認が十一月六日、その十一月六日から翌年の八月までの間に情勢がだんだん変つてきたのであります。その変つてきます過程は正確にはわかりませんですが、翌年の三月日本に参りましたエドワード・ミツションの報告あるいは勧告がそういうふうな変革を必要としたのではないか。これは私の想像でございます。
#548
○足立委員 あとから出たメモランダムとそれとよく照し合わせてみたいと思うのですが、これは変更が大体ないものだという御見解ですか、変更があるという御見解ですか。
#549
○脇村証人 変更が行われたという、つまり財閥解体に関する占領政策が徐徐に変つてきたというふうに、他の委員の人はほとんどその間の事情は知りませんが、おそらく私と、あるいは委員長になるべくしてやめました中根貞彦氏がその間の事情を知つていると思います。変更が行われたというふうに私は思つております。
#550
○足立委員 日本の持株委員会の法律を見ますと、監督権は内閣総理大臣に直属しておりますね。
#551
○脇村証人 そうです。内閣総理大臣に直属しておりまして、実際は内閣にそういう組織がないために、大藏大臣の監督のもとに置かれまして、大藏省理財局が事実上これをやりました。それは但し事務連絡という点で、監督ではございません。監督は、議会の中に、持株整理委員会を監視し監督いたすと申しますか、委員会が組織されまして監督を受けたというふうに私は了解しております。たとえば前の大久保留次郎氏を委員長とする委員会がこの監督に当つていたのではないかと思います。
#552
○足立委員 そうすると、これは法律上には現われでおかませんが、その前のメモランダムによりまして、日本政府の内閣総理大臣の直属機関が、それがただちにスキャツプの方の直属の機関になつたというふうに解釈されるのでありますか。そうすると今までおつとやつた筋が通らぬと思いますが。つまり、法規上はそうすると内閣総理大臣の直属の機関であつて監督権はここにあるのだ、それに基いているところの趣旨は、日本の自発的行為によつてやるというクレーマー大佐の声明によつておそらく日本の内閣総理大臣の直接の監督の機関だということに私はなつたものだと思うのです。ところが今おつしやることは、これは内閣総理大臣の監督機関ではないのだ、G・H・Qの直接の監督のもとにあるのだという証言をるるおつしやるのでありますが、その根拠としてメモランダムが出たのだということになりますから、法律にはその点の経過が現われておりません。しかしながらそのあとのメモランダムによつて、内閣総理大臣直属の一つの関係からこれは確かにスキヤツプの直属に移つたものである、こういうぐあいに論理的には解釈せざるを得ないのであります。あなたのお説によりますと。
#553
○脇村証人 御質問のポイントが、そのクレーマー大佐の声明からはずれて、スキヤツプの強力な直接の監督のもとに移つたかということですか。
#554
○足立委員 そうです。
#555
○脇村証人 それは確かに移つたのだと思います。
#556
○足立委員 事実上は。
#557
○脇村証人 事実上と申しますか、つまりわれわれの委員会の会合に対する監督権、それから、これは法律にも現われておりますが、委員会の委員を連合軍最高司令官が何人でも任命することができるという規定、この規定が結局その根拠になつていると思います。
#558
○足立委員 その規定はいつ出たのでありますか。
#559
○脇村証人 それはおそらく当初から出ておると思います。
#560
○足立委員 別に変つたというわけではないですね、当初から出ているとすれば。
#561
○脇村証人 ですから、それは先ほど申し上げまし通り、クレーマー大佐の声明は前年の十月で、われわれ委員会がスタートすることになりましたのは八月でございますから、その間のすなわち委員会スタート前において行われた変更でございます。委員会ができてから変更したのではないのであります。
#562
○足立委員 メモランダムはその間においてできたのでございますね。
#563
○脇村証人 そうです。これは二十一年四月ころ。これは正確には記憶しておりませんが。
#564
○足立委員 そうすると、法律がおかしいじやありませんか、内閣総理大臣直属だというのは。
#565
○脇村証人 それは本來は日本政府……。
#566
○足立委員 そうするとこの問題は、笹山氏もスキャップのオーダーであるのだと言うた。眞偽のほどは知りませんよ。市村氏が言うているのです。はたしてそれがスキヤツプのオーダーであるかどうかという問題は別といたしまして、スキヤツプがこういう問題に対してオーダーを出す具体的な権限があるのかどうかという基本的な問題にふれてこないと問題の焦点が解決しないのであります。
#567
○脇村証人 それはわれわれの方に対しましては、われわれの行う一切の常務に対して絶えず口頭または書面のメモランダムを終戰連絡事務局を通じないでわれわれは受けておりました。つまり直接です。普通日本政府の場合でございましたら終戰連絡事務局を通じて受けるのでありますが、その手を経ないで直接受けた。
#568
○足立委員 それはそれとして、しからば、日野原社長にしなくてはいかぬという一つの指示があつたと聞いておるのでありますか、それは文書によつて出たのでございましようか、どうでしようか。
#569
○脇村証人 その辺はうもう少し質問をこまかくしていただきたいと思います。大ざつぱに私がお答えして間違つてもいけませんから、なるべくこまかく御質問を願いたいと思います。
#570
○足立委員 第一の問題は――仮定に立つておるのですから、はたして向うのデインクシヨンが出て日野原にしなければならぬという、それで笹山氏が、これを森あるいは市村が言うたがどうかということは仮定なんですが、かりにこういう事実ありとすれば、そういうスキヤツプのデイレクシヨンが出ておるということは御存じか御存じないかということです。
#571
○脇村証人 今お尋ねになられた点は、非常にいろいろな條件が、こういうオーダー、こういうオーダーいうふうになるわけです。具体的に三月二十八日の株主総会において日野原某を昭和電工の社長にすべきであるというオーダーは私は出ていないと思います。
#572
○足立委員 そうすると、オーダーなしの、一つの勧告というか、そういう方法ができるのですか。ちよつと問題は遡りまして、もしも日野原社長にかえるというような問題が、これがオーダーがない以上は無効である、あなた方の委任した範囲を逸脱するのだという結論に到達したのでありますが、しからばこのオーダーがどういう形で出たものであろうか。
#573
○脇村証人 そのオーダーというものは、書かれたものではなしに、徐々に具体的内容をもつて、いくつかの場合に出てきた口頭のオーダーではないかと私は考えます。
#574
○足立委員 書面によらざる一つのオーダーですね。
#575
○脇村証人 そうでございます。
    〔委員長退席、石田(一)委員長代理着席〕
#576
○足立委員 それからもう一つ伺いたい。問題は変りますけれども、持株会社と、それから指定会社、從属会赴、制限会社というのがありますね。そういう議決権の行使も持株会社のもつている限りにおいては委員会においてゆだねられておりますね。その指定会社はいくつくらいありますか。
#577
○脇村証人 私は正確に記憶しておりません。
#578
○足立委員 この本には四千と書いてあります。
#579
○脇村証人 どうも正確に記憶しておりません。
#580
○足立委員 その株式総額というものはどのくらいか記憶ございましようか。
#581
○脇村証人 記憶ございません。
#582
○足立委員 しからば持株会社の総株式数はどのくらいのものでございましようか。
#583
○脇村証人 今ちよつと正確に記憶しておりません。
#584
○足立委員 そうすると私は脇村先生にお聞したいのでありますが、おそらく制限会社が四千を越えているのじやないかと考えます。殊に株式の数におきましても、日本の株式のほとんど八割以上も占めているのじやないか。資本総額におきましては知りませんけれども、比重においては日本の産業の八割以上を占めでいるのじやないかという点なのでございますが、その八割以上も占めておりますところの権力をもりている持株委員会の議決権の行使なくして、しかもあなた方が勧告あるいはまた指示という形において、民主的なる商法の運用を阻害した一つの形において会社を運営するということ、これは何たることであるかとわれわれは考える。持株委員会というものが民主的なる企業の分散をするのだということにおいて活動をしておるにかかわらず、二%しか持つていない昭和電工会赦を、こういう高圧をもつてやるとピうことは、たとえば例をあげてみますと、四千の会社、あるいは日本の全産業のほとんどを占めておるとろの会社を、持株整理会社が株式のわずか一、二%持つておつたならば、こういうことができるということは、あなた方は見逃していいことかどうか。私は委員として、これはあなた方は適法な行為であるということを前提にして言われましたが、こうした行為がはたして適法であるかどうかという点について、多大の疑問をもつのであります。しかも脇村さんは最も民主的な委員と私どもは伺つております。それがこの問題に対して適法であると言う、これが民主化なくして日本の新しい再建ができるかとまで私どもは考えざるを得ないのであります。その点の御意見を伺いたい。
#585
○脇村証人 その点につきましては、先ほど來申し上げます通り、われわれが常務委員團に委任しております持株会社の常務監督の権限、その権限内にある勧告というものが――私の記憶しているところでは数千の会社がありますが、従來人事権につきましてはわずか三件しかなかつたのではないかと思います。それはわれわれの聽ているところによりますと、いわゆるオーダーに基いて行われた行使であつて、それ以外の條件のもとにおいてはそういう行使はしていない。
#586
○足立委員 それは行使はしていないかもしれないが、こういうことがやり得るという圧力は決して企業の民主化にはならない。この一事をもつて日本の経営者が震え上つたという事実と聽いているのであります。これもやはり是認さるべき行為であるかどうか。これは私の意見ですが、私は脇村氏がこの問題を適法なりという結論を與えられることに対して、はなはだ遺憾の意を表するものであります。
#587
○脇村証人 その点につきましては、どうも私としては御意見を承つておくよりほかにないと思います。
#588
○足立委員 それから、もう一つ補足的にお伺いしたいのですが、三井物産の解体のことにつきましては御存じないですか。御相談におあずかりになりましたか。
#589
○脇村証人 あれは実は私は昨年七月三月ですか、オーダーが出てから初めて知つたわけでございます。そのオーダーを中央終戰連絡事務局を通じてわれわれの手に渡され、それを、翌月でございますか、持株整理委員会委員長から説明を聞いただけでございます。
#590
○足立委員 具体的な解体の内容については御存じありませんね。
#591
○脇村証人 その後でございますか、あのオーダが出るに至つた……。
#592
○足立委員 あのオーダーが出て、どういう処置を持株委員会がとつたかということです。
#593
○脇村証人 それは私たちが委員会の平委員として了承いたしておりますところは、あのオーダーの実行につきすしては、これは容易ならぬ重要な内容をもつている。從つてこれはよほど愼重にやらなければならないが、委員会としてこれを断ることができるか、できないかということを私も研究してみましたが、どうも持株整理委員会がこれをやるべしという空氣が大体多かつた。それで、これを断ることはできないだろうというふうに考えまして、それを引受けるということで承諾をいたしております。そしてその会社につきましては、特にそれにあたるべき一つの部局を設けまして、その部局の者にやらせるというこ上で解体を進めていくことを私たちは常務執行委員にゆだねております。
#594
○足立委員 常務執行担当者がおやりになつた処置は御存じありませんね。
#595
○脇村証人 具体的な処置につきましては、たいへん不勉強で、承知いたしておりません。
#596
○田中(健)委員 だいぶ時間も経過しておりますが、委員長、小委員長がお尋ねいたしました点で、なお私として補足的に伺いたいと思います。先ほどの証人の御証言の中に、持株会社の追加指定をする場合、これが前日事務局より漏れたと思うという御証言でございましたが……。
#597
○脇村証人 前日まで漏れてなかつたのが前日につて――われわれはその内容を外部に、しかるべき所に連絡をしているわけです。
#598
○田中(健)委員 それが漏れたということですか。
#599
○脇村証人 その結果、漏れたというふうなことが起つているのではなかろうかと思うと申し上げたので、漏れたとは申し上げてない。
#600
○田中(健)委員 そうすると、実際は漏れてないということになるのですか。
#601
○脇村証人 実際は私にはわかりません。漏れたな漏れていないか……。
#602
○田中(健)委員 それから先ほどの御
 証言によりますと、司令部から――司令部だろうと思いますが、若い人で経験のある人、特に化学工業の経験のある人というので、三人の名前を書いたものを栗栖さんが持つて來られたというのは、それはいつごろですか。
#603
○脇村証人 それは私は正確に存じません。おそらく三月中旬ではないかと思います。
#604
○田中(健)委員 そこで證人の御証言を聞いておりますと、あなたの結論でいう日野原氏は結構なかつたように思いますが、当時の情勢として日野原氏という方がこの三つの條件に当てはまるか当てはまらないかということについて、委員の方々はどれほど御検討なされたかお伺いいたしたいのです。全然検討しないでただ委員長なり野田さんなり、あるいはその他の常任の委員のおつしやることを信じておつたのか、やはり検討はしたものか。
#605
○脇村証人 御質問はだれが檢討したかということですか。
#606
○田中(健)委員 あなたが檢討なされたか、あるいは委員会として檢討なされたかということです。
#607
○脇村証人 委員会として特に議題としてそれを検討したことはないと思います。
 私は先ほど申しました通り四月十日になつてそういうリストがあり、そのリストの中から日野原氏が選ばれた。そこで日野原氏とはどういう人なのかと聞いたときに、皆さんがあまりよく御存じない人なんだということで、私を納得さすだけの説明がなかつたわけであります。
#608
○田中(健)委員 そういたしますと三月二十八日前には、日野原氏という人に対する檢討は何ら加えていなかつた……。
#609
○脇村証人 少くとも私としては加えておりません。
#610
○田中(健)委員 加えておられなかつたことが今日のような結果を招來しておるようにも思われるが、あなたはどう考えられますか。
#611
○脇村証人 私は今お話の通り三月の二十七日にその話しを聞いたのです。
#612
○田中(健)委員 栗栖さんの持つて來られたのは三月の中旬ごろですか。
#613
○脇村証人 中旬です。日野原という人が社長になるのだ。それは明日の総会だということを三月の二十七日の午後聞いたわけであります。
#614
○田中(健)委員 そうすると三月二十八日までの間に一日間の御検討の時間はあつたことになりますね。
#615
○脇村証人 私にですか。
#616
○田中(健)委員 あなたにです。
#617
○脇村証人 私にはあつたわけです。
#618
○田中(健)委員 どうしてその以前に檢討を加えなかつたのですか。
#619
○脇村証人 どういう方法でだれに聞いたらわかるかということは、一日ではとうてい……。
 私はその日は整理委員会に二時間ぐらいおりましたが、御承知の通りスタツフも持つていなければ、そういうことをするだけの組織は私の方には何もないわけです。
#620
○田中(健)委員 しかし一日間があるということになれば、そんな重大な人事であるから持株整理委員会として次の株主総会は延期さすということもできると思うし、これは当初考えてみても結果論から考えてみても、重大な人事であつたことを一日前に知つておるとすれば、あなたは看過したことにたるのですか。
#621
○脇村証人 私としてはその責任を迫究されてもやむを得ません。
#622
○田中(健)委員 すると日野原氏が三つの條件に当てはまるか、当てはまらないかといことについて何らの檢討を加えておられなかつた……。
#623
○脇村証人 三つの條件に当てはまることは大体了解できるわけなのであります。
#624
○田中(健)委員 それではお尋ねいたしますが、日野原氏は昭和十一年三十四歳のときに日本自動車会社の取締役――これは実質的な経営者ではないのです。十三年には肥料工業の取締役をやつている。それも菅原通済氏が海外に旅行されるので暫定的にやつておるので、これも実際の経営者として体驗を得るということにはいかないと思います。二十年には日本水素の取締役をやりております。実質的に社長、経営者になつたのはつい最近二十一年の七月です。これだけの経驗で当てはまるとおつしやられるのは、私は現在の結果を見てもそういうことはちよつとおつしやれないのじやないかと思いますがどうですか。
#625
○脇村証人 形式的には、私がそのとき闘いだ話では化学工業会社の社長をやつておる。從つて化学工業にも経驗がある。年も若い。ころ言われたのでなるほどそうかと一應了承して檢討を加えたわけであります。
#626
○田中(健)委員 化学工業の社長になつておられたといつても、それは二十一年の七月ですからね。それから事務の引継ぎもありまとようし、会社をよく知つてそれからということになると、わずか三、四箇月間のことで、どれだけの経驗があるかということはどうしても……。あなたはそれでも相当な経驗があると思われますか。
#627
○脇村証人 その点は私も怠慢で、そのとき日野原氏の履歴書を見せてもらうことをいたしませんでしたので、どのくらいの期間社長をやつたかということは実は知らなかつた。
#628
○田中(健)委員 すると今日に至るまで日野原氏の履歴は全然見ておらないわけですか。
#629
○脇村証人 その後いろいろと聞き、情報も集めましたから一通りのことは知つております。
#630
○田中(健)委員 それでその後の情報に基いて、これはしまつた社長を出してしまつた。そこで指示権なら指示権なるものを行使しようというお考えは特たなかつたのですか。社長はそのままにやつておられたのですか。
#631
○脇村証人 私の集めた情報だけでは、私もだめだという結論を下すことはできませんでした。私として非常に危險だという判断はいたしましたが、これを全然やめさすことが可能であるかどうか。またその危險であるということをあらゆる人に納得さすだけの――自分個人としては了解しましたけれども、これたけの証拠があるからこれはだめだということを突きつけるだけの確信は私としても持つておりませんでした。
#632
○田中(健)委員 しかしその後において相当の材料を集めて、あなたがそういう考えを抱くに至れば、委員として当然委員会に発議することができるのではないかと思うのですが、やはりそれをなさらなかつたことが、三月二十八日以前のなさぬ行為にかんがみて妥当だと思われるのですか。
#633
○脇村証人 私としては、自分として最善のことをやつたと考えておりますつそれは先ほど心申しました通り私の集あ得た材料に基いて、この人をああいう形におい昭和電工の社長におくことは危険であるから、それを補強する一つの重役團を組織してもらいたい。これは私としてはああいう條件のもとにおいて考え得る唯一の結論で、その結論自体が一体実行可能の結論であるか、あるいはかりに実行してもうまくいくかいかないかということになると、御承知の通り現在は重役が他の会社の重役を兼ねることが非常にきゆうくつになつておりますから、はたしてわれわれが希望するがごとき人、もちろん私もそのとき一、二の人を例示しましたけれどもうそういう人に昭和電工にはいつていただくことができるかどうか、それが実際に実行できるかどうか、今から考えても疑問とは思いますが、自分としてはそういう案を出しだわけであります。そして私の申しました案が迅速に受け入れられておるとは思いませんものですから、どうしたらこの危險を防止することができるかと考えました。結局われわれが持つております常務監督権を行使して日野原氏の経営を監視する以外に方法はたい。ところがその常務監督権を私たちは常務執行部に委任してありますら、その委任した権限の遂行を私たちが督促する、あるいは監督するという方法以外にはない。ですから私はその後自分のもち得ました材料に從いまして、委員懇談会の席上を通じて数回にわたつて常務監督の必要を警告はいたしております。
#634
○田中(健)委員 そうすると常務監督でやつていくよりほかに方法はないということでありますが、それから日野原氏がかりに危險であるとするならば、他の重役陣によつてこれを補強していく、こういうふうにあなたはおつしやるが、他の重役陣がいかなる重役陣いつていかに補強されたかということについて皆さんがどうお考えになつたかということを伺いたい。
#635
○脇村証人 その点は私が先ほど申し上げましし通り、自分の希望がその後の重役團の組織において達成されておるとは判断いたしておりません。たとえば昨年の六月ないし七月に興業銀行から一人の重役がはいつたというこを私は聞きましたが、それは私の希望とまつたく相反する、あるいは持株整理委員会といたしましてはまつたくわれわれの趣旨と違う重役を入れたと、うふうに考えまして、その点については警告ないし反対をいたしております。
#636
○田中(健)委員 それは委員会に対してですか、会社に対してですか。
#637
○脇村証人 委員会の常務執行部に対して宿分はそういう重役を入れるとということは持株整理委員会としては賛成できないと……。
#638
○田中(健)委員 警告をしただけですが。
#639
○脇村証人 私としては警告する以外に與えられた権限はないわけであります。
#640
○田中(健)委員 それから三月二十八日に日野原氏が社長に選任になつたわけですが、私の考えでは、從來の重役かあるいは社長なりが辞任するといつた場合には、持株整理委員会がそれを審査するというのでしようか、承認するという義務的なものがあると思うが、しかし新しいものをここに入れるという場合には、持株整理委員会が常務監督というか、指導というか、そういうことをして強引にやれるものじやないと思う。昭和電工の場合はかなり強引にやつておりますが、この点はどういうわけで大急ぎで三月二十八日に日野原氏を社長にしなければならなかつたかというにとについて、あなたにお伺いしたいと思します。
#641
○脇村証人 二十七日に話を聞かされましたときには私は株主権の議決権の行使を通じて行うというふうに聞いたものですから、議決権の行使を通じて行うならば、二%で行うことはよくない。徐ろに順序を経てこれをなすべきだ、こういうふうな意見を私は申したのです。
#642
○田中(健)委員 議決権の行使ということは先ほど伺いました。しかし何がゆえに大急ぎで、委員会として檢討も加えないで三月二十八日に、だれがそれを選任しようが、それをやらなければならなかつたという理由、その点に何か伏在するものでなければならぬと私は思いますが……。
#643
○脇村証人 私の從來聞いております限りにおきましては、先ほどから申し上げました通り、司令部のデイレクテイヴあるいはオーダー、こういうふうに私は聞いております。
#644
○田中(健)委員 そうすると司令部は三月二十八日日野原氏を何らの檢討も加えないでとにかく社長にしろ、こういうことになつたのですか。
#645
○脇村証人 その点は、やはり司令部にその檢討を加えるということを要求することは、私はむりだと思います。これは日本側において檢討すべき問題だと私は考えております。
#646
○田中(健)委員 どうもその点は逃げられるようなかつこうに出られてしようないのですが、それはそれでいいとして、その後日野原氏は二十数名の元からの会社の高級幹部を解職しているが、その解職権は委員会が委員長に與えてあるということですが、ただ單に與えたのか、それとも任免に関する規定のようなものを設けておつたのですか。
#647
○脇村証人 だれの解職権ですか。
#648
○田中(健)委員 職員の解職権です。
#649
○脇村証人 持株会社整理委員会の職員の解職権ですか。
#650
○田中(健)委員 それは昭和電工の方ではなく、持株整理委員会の方です。
#651
○脇村証人 採用、解任の権は、われわれは大量的に行う権限を與えておりまして、從來も年々ある時期に大量に採つたりしておりますし、また解任をするときに、われわれがその一人々々について容するという権限はもつておりません。
#652
○田中(健)委員 それは規定を設けてあるのですか。
#653
○脇村証人 そうです。規定を設けてその権限を委員長に與えているわけであります。むろん委員長はそれを実行するには、常務委員の援助と申すか、助けを借りて行つているというふうに私は了解しております。
#654
○田中(健)委員 委員会のきめた規定に基いて、そういう権限を委員長に與えてある、こういうことですね。
#655
○脇村証人 そうです。
#656
○田中(健)委員 それから、若狭興業は十六社の中にはいつて、持株整理会社に指定されているわけですが鈴木忠治さんの会社は指定になつていなかつたわけです。若狭興業が指定になるぐらいであれば――鈴木氏の会社の方も指定になるべきではないかと思います。どうして指定になつていなかつたか……。
#657
○脇村証人 その点について自分として正確なお答えはできかねますが、実は私の関係したときには、そのわれわれに見せられた原案には、もうそれはなかつたようであります。
#658
○田中(健)委員 つまり昭和電工の株は鈴木氏が持つているということはあなたも御存じしていよう。そうすると森さんの社長をしている方だけは指定になつて、鈴木さんの方は指定にならなかつたということは、これはあとから見ると、当時そういつたような空氣が反映して、こういう二つのものが違つた取扱いを受けているのではないかと思われるのですが、その点はどうですか。
#659
○脇村証人 その点については、私の聞いている限りでは、そういう考慮は拂われていなかつたと思います。
#660
○田中(健)委員 事実においてそういう著しい隔たりがあるということであれば、これはどうなるのですか。
#661
○脇村証人 それは私の記憶している限りでは、昭和電工の株を持つているのは味の素製造会社が持つているのではないかと思います。そしてむろん味の素を持株会社として指定する資格があるかどうかということについての檢討は加えられたことと思います。ところがその際に、結局昭和電工の持つている子会社、あるいは若狭興業の持つている子会社の総資産の大きさその他と、それから味の素の持つておつたいろいろな経済支配力、あるいは経済力の集積の大きさとが結局十六の会社の中にはいらなかつたのではないかと私は考えております。大体そこに選ばれました十六の会社は経済力の集積した大きさということと、その経済力の内容によつて選ばれたものと考えますから、集積した力が若干味の素の方が小さかつたのではないかというふうに私は考えます。
#662
○田中(健)委員 私も資産の内容その他について詳しい檢討を加えたのではないから、今ここであなたと議論することはできませんけれども、しかし今考えてみると、若狭興業はつまり森さんの方だけを狙つておる。鈴木さんの方ほそのままというふうに考えられる。だれか委員の中に日野原と連絡をとつてこんなことをしていたのではないか。こういうことが推定されるので、それであなたにお伺いしたわけです。
 それはそれで結構でございます。そこで昭和電工のような厖大な企業計画は独占禁止法、持株整理委員会の設立の趣旨などに照して不当でないかという見解もできるわけなのです。昭和電工を持株会社に指定したこれらの根本問題に対して、脇村さんはどういう見解をおもちになつておられるか。私は昭和電工は今復金の諸君なんかと会つて話を聽いてみると、これは少し分割した方がいいとも言つておられる。そういつたようないろいろな経緯から考えて、たくさんの傍系会社を持ち、かつあちこちに工場をたくさん持つており、あるいは見方によつては昭和電工そのものを日野原に乘取らせて、それに対して復金の融資がなされておるといううことは新しい財閥の再現になるのではないか。こういうふうにも考えられるので、ただいま申したようなことについての御見解を承りたい。
#663
○脇村証人 その点は重要な問題で、実は先ほど申し上げたように持株整理委員会の運営について私に総括的に意見を述べよと言われましたときも、どうしても抽象的に申し上げかねるので、具体的参に申し上げると言つたところですが、昭和電工の計画自体あるいは昭和電工そのものにつきまして、私の考えは、これは私個人としまして当初申し上げました通り、私は持株整理委員会にはいる前に日本の硫安工業、あるいは高圧工業について自分の一つの研究あるいは見解をもつておりました。そういうふうな見解からみて、昭和電工というものの是非の判断、それから持株整理委員会としての問題を切り離して考えていただきたいと思うのです。昭和電工のあの計画につきましては私は当初から反対であります。それは整理委員会にはいる前にすでに終戰後日本の経済の復興の問題を考慮いたしますときに、商工省並びに農林省とわんわれは檢討しまして、昭和電工に二十五万トンの硫安復興の計画を立てるということをしましたときに、それは無謀な計画である。川崎において硫安二十五万トン製造し得るとはわれわれは考えない。もしも日本にそれだけの復興をなす力があるならば、それを他にまわす方がより賢明である。こういう持論をもつおりました。われわれとしましてもし川崎において二十五万トンの硫安をつくろうと考えて、二十五万トンの方を強行いたしましたならば、おそらく今後また数億円の金を私は昭和電工につぎ込まなければ二十五万トンはできないのではないか。今日までのわれわれとしましてはあの会社に対して二十数億円の金を使い、あるいはもつとそれ以上の金を使つているのではないかと思いますが、もしも昭和電工に二十五万トン現実につくろうといたしましたならば、なお数億円の金を注ぎこまねばなりません。数億円の金をつぎ込んでもあそこで二十五万トンの硫安の製造はできないのではないかと私は考えております。これはすでに委員会におきましても昨年の三月二十七日の際に、昭和電工の企業計画そのもの自体に私は疑問をもつでいるということは表明しております。むろん委員会としましては、これに対しましてそのときにはなんら的確なあるいは具体的な意見を委員会の常務並びに執行部はもつておりません。私はかねてそういうふうな意見をもつております。
#664
○田中(健)委員 そこでただいまの脇村さんの御証言に関連しでですが、私も昭和二七一年十月に川崎の工場を衆議院の数名の一行に加わつてつぶさに視察してまいつて、大体あらゆる角度からみて、あなたの今おつしやることと同じような考えをもつておつたのです。そこで現在はどうなつているかというと、あなたもたぶん御承知と思うのですけれども、古いのは復旧しており、新しいのは七系列しかできておらないから十七系列だ、二十系列で二十五万トンであるのに十七系列で二十五万トンは出ないことは技術屋がはつきり言つているのだ。しかるに二十五万トン出るということを呼号して今日まで行動しできたというのがあの日野原氏の行動だ。当時は電力事情も、足りないとは言いながら割合によかつたでしよう。その後電力事情もだんだん窮屈になつてきている。最初から余剰電力がないと言われている。それに二十系列が十七系列になつて、二十五万トン出ないことは十分わかつている。それを二十五万トン出るということを呼号して、融資を強硬に継続してきて、それが今日のような事態を招いているわけです。そこでその十七系列というのは昭和二十二年の三月二十八日には経済界はみなわかつている、そのわかつていることを日野原が呼号して、二十五万トンを叫んで融資を継続さしたということ自体は、委員会の皆さん、特に脇村さんは学者であるからわかつておつたと私は思う。そういうふうに最初からわかつていることを二十五万トンと先走つて、実際は二十五万トンはおろか、十二万五千トンもむずかしいという段階になつている。これは当時からわかつていることである。そうするど、二十五万トン出ないものに金を出させるようなことを持株会社は最初からやらせていたということになるじやないかと私は思いますが、その点はいかがですか。
#665
○脇村証人 その点は三月二十七日の社長更迭の際に、私はあそこの企業計画については賛成をしていない。それは商工省に対しても、あの計画自体をつくる際に、日本全体としまして、百六十万トンでございますか、肥料二百万トン、硫安百六十万トン、そのうち昭和電工二十五万トンという計画になつている。その全体も私は非常な疑問をもつております。二十五万トン自体に大きな疑問がある。それはわれわれ技術者でない者が考えましても、疑問のある計画を遂行させ、それに多大の國費をつぎ込むということは、一体どういうふうな意味なのか、私には了解できない從つてあそこに社長を入れるということについて、その根本の問題と、新社長との関係について、私は了解できないということは、むろん二十七日に申し上げたのであります。
#666
○田中(健)委員 そこでそういうことは脇村さんはもちろんおわかりになつており、他の委員もわかつておつたと私は思う。そのわかつておる前後において計画され、かつそれが今日まで遂行されてきた……。
#667
○脇村証人 わかつていると申しましても、的確にそれが出ないのだということを私が立証するだけの力が私にございません。
#668
○田中(健)委員 それは二十系列が十七系列になる。三十系列でないことははつきりしております。
#669
○脇村証人 二十系列が十七系列になるとおつしやいますが、私は二十系列さえも出ないと思います。それから先ほど申し上げました通り、数億円あそこにつぎ込みましても、出ないのではないかということを心配しております。
#670
○田中(健)委員 それだけわかつておることを、どうして行われたかということについて、委員会の各委員の中にあまり正しくない行動をとつたものがある。そこで……。
#671
○脇村証人 たいへん言葉をさしはさんで恐縮でございますが、持株整理委員会の……。
#672
○田中(健)委員 委員の中のある一部の者という意味でございます。
#673
○脇村証人 持株整理委員会の常務監督の中にそういうふうな問題を監督し、あるいはそういう問題について意見、方針を立てる権限が含まれておるかどうか。またその能力を持株整理委員会の執行部がもつておるかどうかということになると、問題はまた別になつてまいります。
#674
○田中(健)委員 私が言うことは三月二十八日以前において、あなたのおつしやるようなことがわかつておる。他の委員も財界の人間である限りにおいてはわかつておる。二十系列、二十五万トン、それは電力事情もわかつておるし、それから三系列も減るということになつておれば二十五万トン出ないということはわかつておる。
#675
○脇村証人 それが実はわかつていないのではなかろうかと私は、心配しておるので商工省もそういうことを許し、安本も許し、あるいはまた多年興業金融をやつておる興業銀行とか、復金でその金を出しておるのですから、むしろそういうことはわかつていないのではないかと私は心配をいたしております。
#676
○田中(健)委員 わからないで出したということならばこれは罪がありません。わかつていてやらしておいて、しかも日野原氏を昭和電工に、しかも強引に送ひ込んだということは、一昨日の証人調べによつてはつきりしておる。そこに持株整理委員会の委員の中に――脇村さんは民主的な方だからそういう陰謀をたくらんだり、日野原と組むようなことはないと私は承知しておりますけれども、他の委員の中にそういう者があるのではないか、先ほどの恒吉さんの証言によると、芝の桂に始終集つて会食しておつたという、そういうことになつてまいりますると、最も多くたれが日野原氏と会合したか、会食したかということは聞いておりませんけれども、そこであなたに伺いだいことは、委員会が成立しまして委員がおのおの職務を遂行する場合において、持株会社の方々あるいはその他の方々と会食したなどといつた例が、あなたの場合というわけじやないけれどもあつたことがあるのですか。
#677
○脇村証人 それは私はあるだろうと思います。会食したことはあると思います。しかし日野原氏と桂において持株整理委員会の者が会食したという事実は、私自身は知りませず、また聞いてもおりません。
#678
○田中(健)委員 日野原氏と持株整理委員会のメンバーと……。
#679
○脇村証人 会食したということは私は知りません。
#680
○田中(健)委員 事務局の諸君はどうですか。幹部の方は……。
#681
○脇村証人 幹部の一方がそういうことをしたということも、私は未だかつて聞いたことはございません。
#682
○田中(健)委員 そういたしますると、脇村氏としてはそういう会食したようなことはあり得るし、あるだろうとは思うけれども、具体的なことについては承知してない……。
#683
○脇村証人 それは私は持株整理委員会の人が、いろいろな話を聽くためにそういう会合に出たこと、会食したことはあると思います。しかし具体的に桂で皆さんが会食したという事実も知りませず、また聞いてもおりません。
#684
○田中(健)委員 委員だけの会合ということは、ときどきおやりになられたのですけれども、会合あるいは懇談会、懇親会、とにかく飲食を伴う会食……。
#685
○脇村証人 飲食を伴う会食というのは、委員会内でわれわれが政府の人を招待しますとか、あるいはG・H・Qの人を招待するとか、最近は五人委員会の人を招待するというようなことは……。
#686
○田中(健)委員 それはビルデイング内に限つておるのですか。
#687
○脇村証人 ビルデイング外の場所でやつたこともございます。私は出ませんでしたが、そういう所でやるという通知を受けたこともございます。
#688
○田中(健)委員 日野原氏の、昭和電工会社の社長の更迭でございますが、人事権を行使して社長を更迭なさつたような例はあるのですか。
#689
○脇村証人 先ほど申し上げました通り、人事権そのものを行使したことはありませんが……。
#690
○田中(健)委員 勧告……。
#691
○脇村証人 勧告をしたことは他にも二、三あるように聞いております。
#692
○田中(健)委員 やはり日野原氏と同じような状態であつたのですか。
#693
○脇村証人 それはある場合には日野原氏よりも、もつと急迫した状態において行われた場合もあつたのではないかと思います。つまりオーダーが出まして、突然やつた場合があるのではないかと、私は考えます。
#694
○田中(健)委員 長時間恐縮でございます。もつといろいろお伺いしたいこともありまするけれども、大体この程度に止めます。
#695
○中村(元)委員 簡單に一つだけお尋ねしたい。持株整理監査委員会というものは、あとで廃止されましたね。
#696
○脇村証人 はあ。
#697
○中村(元)委員 あれはいつごろ廃止になりましたか。
#698
○脇村証人 私も性格に記憶しておませんが、事実は昨年の四月の総選挙後なくなつてしまつたのではないか、任命されていないのではないかと考えます。
#699
○中村(元)委員 設置されていた当時はいかなる権限を有して、いかなる職務をなしたものでございましようか。
#700
○脇村証人 たいへんその点につきましては私も遺憾に思うのでありますが、できました最初に、総理大臣官邸で大藏大臣に招待されまして、片山氏、西尾氏、大久保氏、その他の方々と一緒にお目にかかりまして、その方々がそそういうものに任命されたことを聞いております。そうして大久保さんが委員長に互選されたことも聞いております。その後委員会で数回会合したのでありますが、どういうものか、私は出席の通知をいただいておりませんので、いかなることを監査委員の方々が監査なさつておられたか、一向私としては承知しておりません。たいへん遺憾に自分は思つております。
#701
○中村(元)委員 あなたが今ちよつとお話になりました、監査委員というメンバーはどういう人であつたのですか。
#702
○脇村証人 各政党の推薦によつて選ばれた、先ほどちよつとあげましたようなかたがたであつたのです。
#703
○中村(元)委員 そうしますと、当時の自由党で大野伴睦氏、あるいは大久保留次郎氏、また石井菊次郎氏、それから当時の進歩党の犬養健氏、田中萬逸氏、社会党の片山哲氏、西尾末廣氏らがこのメンバーであつたのではないでしようか。
#704
○脇村証人 大体そうであつた。たいへん立派な方々とたわしは思つております。
#705
○中村(元)委員 そういたしますと、これらの人を任命いたしましたのは総理大臣でありますね。
#706
○脇村証人 それはどういう手続きをとつたか、私は記憶いたしおりません。大藏大臣が、あるいは任命したのでは形式上は総理大臣になつているかもわかりませんけれども、議長の推薦と思いますが、その辺の手続きについては私は記憶はございません。
#707
○中村(元)委員 われわれの記憶するところでは、総理大臣が任命したように記憶するのですが……。
#708
○脇村証人 任命は総理大臣でございましようが、選任は総理大臣ではないと私は考えます。
#709
○中村(元)委員 当時の総理大臣は吉田茂氏であつたと思われますが……。
#710
○脇村証人 そうでございます。
#711
○石田(一)委員長代理 他にお尋ねになる方はありませんか――それでは終わりました。どうもご苦労さまでした。
 本日はたいへん遅くなりましたので、証人の尋問はこの程度に止めまして、遠山、原の両証人については後日に証言を求めることにしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#712
○石田(一)委員長代理 それではさよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後九時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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