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1947/10/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第15号
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1947/10/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第15号

#1
第001回国会 通信委員会 第15号
昭和二十二年十月二十八日(金曜日)
    午後一時四十七分開議
 出席委員
   委員長 岡田 勢一君
      片島  港君    野上 健次君
      矢尾喜三郎君    小島 徹三君
      千賀 康治君    長谷川俊一君
      多田  勇君    林  讓治君
      平井 義一君    森  直次君
      山口 武秀君    河口 陽一君
      林  百郎君
 出席國務大臣
        遞 信 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        遞信政務次官  椎熊 三郎君
 委員外の出席者
        議     員 冨永格五郎君
        議     員 小野  孝君
        議     員 大原 博夫君
        議     員 和田 敏明君
        遞信事務官   山本 英也君
        專門調査員   吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十月八日
 西志布志村伊崎田に郵便局設置の請願(的場金
 右衞門君紹介)(第八〇八號)
 鶉郵便局を大丁岱に移轉の請願(冨永格五郎君
 外二名紹介)(第八一二號)
 大寺村大寺に無集配郵便局設置の請願(小野孝
 君紹介)(第八一九號)
十月十四日
 柳澤郵便局に電信電話事務開始の請願(明禮輝
 三郎君紹介)(第八六三號)
 下野村に郵便局設置の請願(大原博夫君紹介)
 (第八六九號)
 窪川局、大正局間直通電話架設の請願)(長野
 長廣君紹介)(第八九三號)
十月二十二日
 西郷村に郵便局設置の請願(飯村泉君紹介)(
 第九三五號)
 富良野郵便局を普通局に昇格の請願(和田敏明
 君一名紹介)(第九六四號)
 特定郵便局制度存續の請願(明禮輝三郎君外八
 名紹介)(第九九一號)
 歌垣郵便局に電信電話事務開始の請願(前田種
 男君外二名紹介)(第九九七號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 一 西志布志村伊崎田に郵便局設置の請願(的
 場金右衞門君紹介)(第八〇八號)
 二 鶉郵便局を大丁岱に移轉の請願(冨永格五
 郎君外二名紹介)(第八一二號)
 三 大寺村大寺に無集配郵便局設置の請願(小
 野孝君紹介)(第八一九號)
 四 柳澤郵便局に電信電話事務開始の請願(明
 禮輝三郎君紹介)(第八六三號)
 五 下野村に郵便局設置の請願(大原博夫君紹
 介)(第八六九號)
 六 窪川局、大正局間直通電話架設の請願(長
 野長廣君紹介)(第八九三號)
 七 西郷村に郵便局設置の請願(飯村泉君紹
 介)(九三五號)
 八 富良野郵便局を普通局に昇格の請願(和田
 敏明君外一名紹介)(第九六四號)
 九 特定郵便局制度存續の請願(明禮輝三郎君
 外八名紹介)(第九九一號)
 一〇 歌垣郵便局に電信電話事務開始の請願(
 前田種男君外二名紹介)(第九九七號)
 遞信從業員の集團缺勤行為に關する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○岡田委員長 會議を開きます。
 これより去る十月八日、十四日、二十二日、本委員會に付託になりました請願十件につき審査いたしますが、その議決は後日に讓りたいと思います。紹介議員の都合によりまして日程の順序を變更してお見えになつている方から説明を求めます。
 日程第二、鶉郵便局を大丁岱に移轉の請願、冨永格五郎君外二名紹介、文書表第八一二號、紹介議員の説明を求めます。冨永君。
#3
○冨永格五郎君 鶉郵便局を鶉村大丁岱に移轉の請願につきまして、紹介議員として簡單にその理由を申し述べたいと思います。
 この鶉村は北海道檜山郡でございまして、この請願は鶉村字大丁岱、字木間内、字小鶉等の三部落の多年の要望でございます。請願書について御覧の通り、關係部落民一同の連署をもつてお願いしているような始末でございまして、いかにこの地方民がこの問題の實現を熱望しているかがうかがわれるのでございます。願い出の三部落は鶉郵便局三區でございまして、四名の集配人と一名の中繼ぎ集配人をもつて集配いたしている實情でございます。寄託配達戸數は總戸數の約三分の一近くにも達している状況でございます。元來鶉郵便局は三十年前に鶉村民の願い出によりまして大丁岱三浦幸作宅を廳舎として設置されることに大體内定していたように村民は聞いておつたのでありましたのを、その後帝國製麻會社經營にかかる亞麻工場が鶉村に設置されるということになりましたので、遂に製麻會社の政治的工作が奏效したとでもいうのでしようか、村民の期待が裏切られて、鶉村に設置されて今日に至つたものであります。しかしながら當時の亞麻工場は建設後幾年ならずして廢止となつたのでございまして、せつかくむりに設置して意味もまつたくなくなつたわけで、現在における鶉郵便局の位置の不適當なることは現郵便局長も認めていることろでありますし、また行政面から見ましても檜山支廳長も認めている次第であります。なお御參考に申し上げますが、大丁岱には現在學校、警察署、營林區署、農業會、商業組合、農産物検査所、その他木炭倉庫、精米所、製材所、貨物取扱所、集乳所等の、鶉村の重要な機關はすべてここに集中されている實情でございまして、郵便局だけ別のところにあるということは、まつたく先ほど申し上げました亞麻工場のためであつたわけでございます。しかも今はまつたくそれもなくなつたのでございまして、ぜひとも移轉をお願いいたしたいというわけで請願したものであります。これが實現いたしますれば、小鶉、木間内等隣接部落の産業施設の圓滑な活躍はもとより、東京都よりの集團歸農者の入植を初め、復員者、外地引揚者の入植を利使ないしむるものもまた多々あるのでございます。
 以上大體要約して申し上げましたが、何とぞ部落民の熱望を容れられまして、請願の通り實現相なりますようにお願いするものであります。
#4
○岡田委員長 本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。
#5
○椎熊政府委員 ただいま冨永議員より御紹介になりました本請願は、當局といたしましても現在の位置は鶉村の南方へ片寄つておりまして、利用上非常に不便であるということは熟知しております。當村の中心地であるところの大丁岱に移轉することは、計畫上はまことに適當であると考えられるのでありますが、しかし殘念なことには、現下の諸情勢は、新局舎を新築するということが、ひとり國の財政關係だけでなしに、いろいろの方面等の關係等もありまして、新廳舎は建てられないというような關係にあるのでございます。そこで請願の趣旨はごもつともと存じますけれども、急速に實現するということはそういう事情によつて困難かと思われます。しかしながら將來既設の建物等を利用できるというような場合がございますれば、當然請願の趣旨に從つて考慮してよろしいと思われるのであります。冨永議員と同様に私も北海道選出でございますので、同地の状況等もよく熟知しております。そこででき得べくんば冨永議員等の御斡旋によりまして、この中心地帶に適當な既設の建物を發見していただいて、そうして札幌の遞信局との連絡をつけていただくことができれば、本省としては異存がないのであります。どうぞそういうことに御了解を願いたいと思います。
#6
○冨永格五郎君 ただいま政府御當局からたいへん懇切な御囘答をいただきましてまことにありがとうございました。御指示のような趣旨に從いまして、私どもも努力いたして實現させるようにいたしたいと思います。その機會には何とぞよろしく政府當局におかれましても善慮せられんことを要望いたします。
#7
○岡田委員長 本件に關して何か質疑はありませんか……。
    ―――――――――――――
#8
○岡田委員長 では日程第三、大寺村大寺に無集配郵便局設置の請願、紹介議員小野孝君。
#9
○小野孝君 ただいま議題になりました大寺村の請願の件に關してごく簡單に申し上げたいと思います。問題の大寺村は山形縣の東村山郡にありますきわめて小さな寒村でございますが、いろいろな意味で交通が非常に不便なところでございます。郵便局につきまして申しますと、一番近い所が山邊町の郵便局でございますが、そこまで出てまいりますのにも、大寺村の役場から三キロ、それから杉下という部落からは五キロという距離があるのでございます。しかもこの村は無醫村であり、冬は積雪が非常に多いのでありまして、丈餘に及ぶこともございます。そういうような關係で、冬になりますと交通も杜絶してしまう。村には醫者もない。急病人が出ても何とも仕方がないというような村なのでございます。さような事情にありますので、何とかこの大寺村に無集配の郵便局をつくつてもらつて、村の厚生に資したい、こういう趣旨の請願でございます。何とぞ御審議の上、請願の趣旨をおくみとりくださいまして、採擇せられますようお願いする次第でございます。
#10
○岡田委員長 本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。
#11
○椎熊政府委員 この議員の御紹介にかかります請願につきましては、設置豫定地とされております役場附近、大寺字芦澤という所にいたしますと、享便戸數が三百二十四戸あります。標準が大體二百八十戸となつているので、戸數からいうとできてもよいことになるのです。ところが現在のその地方の受持局との距離から見ますと一・七キロなんです。これはあまり近過ぎるので、設置の標準にならないのであります。そこでさしむきここにやるということは非常に困難です。むしろできないと思います。しかし隣接している大字北垣字上堰という所に設置するということでよいならば、既設局との距離も、享便戸數も、ともに設置標準に達するのです。ですから當局としましては、本年度ははいつておりませんが、次年度以降におきましては、こういう所はたくさんありますから、他との振合いもにらみ合われてなるべく設置したい、こういう考え方でおります。なお電信電話の事務を開始するということは、郵便局ができてから、その上に通信量等の關係を勘案いたしまして、適當な状況であれば、もちろん考慮すると考えております。御了解願います。
#12
○岡田委員長 本件に關して質疑ありませんか……。
    ―――――――――――――
#13
○岡田委員長 それでは次に日程第五、下野村に郵便局設置の請願、紹介議員大原博夫君の紹介説明を求めます。
#14
○大原博夫君 廣島縣賀茂郡下野村に郵便局設置のお願いでございます。この下野村は面積約一平方里で、戸數は六百四十戸、人口二千九百餘人でありますが、郡下で第四番か第五番の比較的大きな村でありまして、隣接の郵便局への距離は、現在取扱つております竹原町の郵便局に約三十町、また賀茂郡の信野村の郵便局には一里二十町、豐田郡吉名村の郵便局には約一里を隔てておりまして、各局とも往復大體半日を要するという状態にあります。また産業は主として農業でありますが、氣候温暖で地理に惠まれておりますのと、また人の氣質が至つて勤勉でありまして、多角形農業を營み、米、麥、葉タバコ、あるいは柑橘、葡萄、甘藷、馬鈴薯、野菜あるいは花瓣園藝等が盛んであります。殊に近年は畜産も盛んでありまして、これらの收益が優に一筒年約一千萬圓に達しております。また副業のわら製品として鹽かますあるいはこも等の生産は、ただいまでは縣下第一位あるいは第二位を占めておりまして、この收益も相當多額に上つておるのであります。また冬には酒造場への出稼者が往年は三百名程度で、現在のような減石時でも約百名はありまして、なおここには學校もありますし、また病院もあります。この病院についても、現在休んでおる病院もほかに二つありますが、縣下有數の病院でありまして、病室の數は七十内外であります。ほかに民家に泊つておる患者も相當あり、外來患者も一日二百名を下つておらない状態でありまして、囘數はわずかでありまするけれども、ここの部落――これは多井部落というのですが、この部落までわざわざバスも通つておるというようなことで、交通も比較的頻繁でありますのと、通信とか、為替、貯金等の郵便局の任務も相當大きいものがあるのであります。本郡はもとより、隣郡内の小さい村におきましても、すでに郵便局の設置を全部終つておるのであります。しかるに本郡は竹原町がある關係でありますか、未だに郵便局の設置ができていないのであります。ために本村民といたしましては、多年にわたつて要望きわめて切なるものがあるのであります。税等におきましても他村に劣らざるのみならず、あるいは數倍の負擔をしておるというような状態であります。これは小さい願いでありますけれども、郵便局を設置しまして、文明の惠澤に浴したい、こういう願いをもつておるのであります。國費多端の折柄でありますが、この郵便局設置に對しましては、命ぜられましたことは御申しつけ通りに從つていきたいという考えをもつておりますから、特別の御詮議をもつて郵便局設置の御配慮をいただきますよう、ここに請願をいたしまして次第であります。何とぞよろしくお願し申し上げます。
#15
○岡田委員長 本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。
#16
○椎熊政府委員 ただいま大原議員より御紹介に相なりました本請願は、下野村の状況については、ただいまの請願の通りでありまして、調査をしておるのでありますが、近隣の局との距離及び農業、交通等の關係からして設置標準には達しております。當然かういう施設を設けたいと考えておつたのですが、何分財政上の關係で、他にこういう程度のものもたくさんございますので、本年度の計畫には入つておりません。次年度以降におきまして無集配特定局を設置したいと考えておりますから、どうぞさよう御了承願います。
#17
○岡田委員長 本請願に對して質疑はありませんか……。
    ―――――――――――――
#18
○岡田委員長 それでは次に日程第八、富良野郵便局を普通局に昇格の請願、和田敏明君外一名紹介、文書表第九六四號、紹介議員の説明を願います。
#19
○和田敏明君 富良野町は北海道北部においては相當な都會であります。人口は二萬くらい、また富良野線は根室本線との交叉點にありまして、交通の要衝であります。從つて附近の農産物その他の産物の集散地であります。最近官公廳等も相當増設になつたのであります。殊に引揚者、戰災者等の入植地が附近にありまして、通信上相當重要な中心地になつたのでありますが、これが特定局でありますので、何とぞ御審議の上普通局に昇格なされるよう御配慮願いたいと存ずる次第であります。
#20
○岡田委員長 本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。
#21
○椎熊政府委員 この富良野町の状況については、私もよく存じております。當然普通局になつてしかるべき土地だと私も考えておつたのですが、特定局を普通局にするのには大體標準をもつておりまして、大きな局、定員の多いところからやつていこう、こういうことです。もう一つは重要なる通信を取扱つておる。この二つの條件を勘案して、順次やつていくような状況にあるのですが、當富良野局は定員が目下四十六人でございます。しかるに全國で五十人以上の定員をもつて、なお普通局になれないというのが、五十九局あるのです。ですから富良野などよりもずつと大きいところで、普通局になれないものが、約六十もあるということであります。その上富良野は五十人にも達してない。四十六人というのですから、今たただちにこれを普通局に改めるということは、いささか困難かと存じます。しかし富良野は北海道に中心における農産物産その他の集散地でございまして、特に重要な通信等も取扱つておる所でございますから、なるべく早い機會に普通局に直したいというつもりでありますが、何分にも他の振合い等がございますので、重要な地點であることは認めております。私も土地の状況をよく心得ておりますから、將來の計畫としては、札幌遞信局との連絡等もよくとりまして、早い機會に普通局になるように努めたし。いと存じます。御了承願います。
#22
○岡田委員長 本件に關して質疑はありませんか……。
    ―――――――――――――
#23
○椎熊政府委員 この機會にちよつと御報告申と上げておきたいことがあるのであります。本委員會の委員の中には、引揚同胞援護會の會長をしておられる天野委員等もおられるので、特にこのことを報告いたしたいと思つておつたのですが天野議員は今日は出席がありません。しかし遞信省といたしましては重要なことでありますので、特に御報告を申し上げたいと思います。それは外地から引揚げてまいります方の電報を發信するのに對しまして、特別の取扱いをすることになりました。引揚者が内地へ歸還の際に、引揚港において發信する電報の特別扱いについて、遞信省と厚生省の兩人の間に次のような協定が成立したのであります。第一は引揚人が内地へ歸還の際に、引揚港における特に指定する電信官署において、あらかじめ引揚援護局で交付した頼信紙に記載して差出す電報については、單身の場合は一通に限り、二人以上の世帶員を有する世帶の場合は二通に限り、料金を未納のままで受付けをする、そうして發信をする、こういうことであります。第二は電報の一通當りの記載字數を三十字以内と協定いたしました。第三は料金でございますが、電報一通につき三十字以内八圓としたのでございます。そうした毎月分を一括して電信官署の通知するところによりまして、引揚援護局においてこれを納付する。こういうことになつております。なお特殊取扱いについて詳細に申し上げますると、取扱時間外に差出す場合でも、特に時間外料金をとらないということ、それから至急電報として扱う場合、至急の取扱いを希望する場合は、至急料として第三項の料金、すなわち今の三十字以内八圓という料金、それの二倍の料金を發信者において納付する。こういうことです。次は照校電報を希望する場合は、照校料として三十字以内八圓の料金額の二分の一、すなわち四圓を發信者において納付する。次は別便配達またははいけ配達を要するようなものに對しましては、發信者において正規の料金を納付する。こういうことでございます。この特別扱いは十一月の一日から國施することになつておりますが、その以前におきましても、準備が整つた場合は、ただちに御便宜をはかるために實施したい。こう考えております。この料金と普通の郵便料金しの違いは、相當なものでございまして、普通の電報でございますと、正規十四圓の料金を拂うところを八圓となつておる。至急料におきましては、二十五圓のところが十六圓となつております。照校料の七圓のところが四圓ということになつておりまして、しかも普通電報におきましては、料金未納のままこれを受付けるという便宜をもはかることに相なつたのでございまして、このため幾分でも引揚同胞の方々に御便宜の扱いができますならば。仕合せでと考えておりますので、當委員會を通じて御報告申し上げる次第でございます。
    ―――――――――――――
#24
○岡田委員長 ただいま遞信大臣の出席を求めておりますから、このままでしばらくお待ちを願います。――殘餘の日程の請願につきましては、紹介議員の出席がありませんので、これを一應あとに譲ります。遞信從業員の缺勤問題は關する件を議題に供します。本件につきまして本委員會の委員、林百郎君から質問通告がありますので、これを許します。
#25
○林(百)委員 質問事項が大體十二、三ほどありますが、順次お聽きしていきたいと思うのであります。
 まず第一に、先日の十月二十五日の本會議竝びの二十四日の勞働委員會で、遞信從業員の集團缺勤の問題について、中央郵便局竝びに日本橋郵便局その他大阪地協各郵便局の缺勤状況の報告があつたのでありますが、その後事態がどういうふうに變化しておるかということについてのその經過を説明願いたいと思います。
#26
○三木國務大臣 議會で御報告にも申し上げた後の状態は、次第に出勤率に改善されまして、二十八日、今日でありますが中央郵便局の出勤状態は、日勤、普通課は百%、小包課は九五%、電信課は八六、五%、特殊課は百%、日本橋の方は郵便課九〇、一%、電信課、これは悪いのでありますが、五五、一%從つてこういう状態でまいりますと、通常郵便物が中央郵便局において二十四日の午後二時の殘留推定が四百二十萬、最高處理能率で八日間くらいを要する。小包がこれも二十七日の午後二時の殘留が七萬五千、これも最高處理能率をもつて四日間を要するという状態であります。
#27
○林(百)委員 遞信大臣の報告によりますと、一應この缺勤に對する危機は切抜けたような報告でありますが遞信從業員の實情から申しますと、本件が發生した根本原因であるところの、生活の問題についての改善の手は何ら打たれておらないのであります。從つてこの際、一應集團缺勤ということについて、かりに政府報告の通りにこれを信頼するとしても、事態は本質的には何ら解決されておらないと思うのであります。おそらく中央郵便局にしても。日本橋の郵便局の從業員にしても、こうした缺勤の點については、一應無理をしても出勤しておるとしても、本質的には生活費のために次々とこれと同じような問題、あるいはこれと性質を異にするかもしれないが、生活權の危機を切り抜けるためのいろいろな事態が發生すると思うのであります。本問題に對する根本的な解決は、他の官公廳に比べても特に待遇状態の悪い遞信從業員に對する官側の必死の努力をなくしては、できないと本員は確信しているのであります。そこで三木遞信大臣としては二つの立場が考えられると思うのであります。一つは國務大臣としての閣僚としての立場、もう一つは發信從業員に對する使用人、いわゆる普通の會社でいきますれば雇主という立場にあると思うのであります。そこで政治的な問題は別として、かりに全遞信從業員の使用者たる三木遞信大臣の立場において、このたび中央勞働委員會が決定したところの、とにかく遞信從業員に千五百圓の生活補給金を支給しなければ、この遞信從業員からの提訴問題は解決できないという中央勞働委員會の決定、すなわち遞信從業員にとにかくこの危機を乗り切るために千五百圓の生活補給金を支給しろという、この中央勞働委員會の勸告に對して、政治的な立場は別として、全遞信從業員の使用者としての立場において、三木遞信大臣はこれをどう考えるか。妥當と考えるかどうか。もしこれを妥當として考えるならば、三木遞信大臣としてはこの中央勞働委員會の勸告、あるいは裁定と言いますか、これに對して今までどういう努力をしてきたか、どういう處置をこれを實現するためにとつてこられたか、この點をお聽きしたいと思います。
#28
○三木國務大臣 林君のお話のうちに中央勞働委員會の裁定というお言葉があつたのですが、本會議あるいは勞働委員會においても私が申し上げたように、千五百圓を何かの方法で出せないかというお話があつたわけであります。裁定とか調停案とかいうのでなくて、そういうお話があつたので、これに對しましては、私はこういうふうに考えております。全遞から一つの單一組合として生活をめぐるきわめて基本的な問題が今提訴されているわけです。それで中央勞働委員會において、この調停に對しての手續中にあるわけであります。その問題は遞信從業員のいろいろな根本的問題について、あらゆるものが網羅された提訴になつているわけです。だから問題はやがて遠からず何らか一つの裁定案が中央勞働委員會からも出るだろうということの想像はつくわけであります。こういうふうに問題を根本的に解決しないで、全體に關係をする問題を、部分的に解決していくということは、決して問題の本質的な解決にならないのだと、そのときに私は申し上げたのです。單一組合としていろいろ根本的な從業員の諸問題について今提訴が進んでいるときであり、いろいろな問題もほとんど同じような線に沿うているのだから、これを全體にまとめて解決するということが勞働問題の處理として政府は好ましいのだと今考えている。しかし勞働委員會とすれば、一つの自治性をもつているのですから、政府の希望いかんにかかわらず、いろいろな御決定があるわけです。大體勞働委員會の中央地協に對しての裁定案も、おそらくはこういうような線に沿うて結局なされるのではないか。だから今言われた東京中央地協だけに千五百圓の生活補給金を出すという形では本質的な解決にならない。そこで千五百圓というようなものも、今全官公そのほかからも問題がすでに提出されており、政府も全體として考える必要もあるので、こういう形で問題を解決する考えはない。十月十六日の木曜日の日に、今すぐに千八百圓の差額――東京ならば平均して約千圓になりますが、これは今すぐ出せる。それは當然のものだと言うかもしれないが、とにかく急場の生活資金にはなるのだから、一日も早く出せるような處置をとりましよう。そして全遞側の方からも基本的な問題で提訴されているのだから、そういう根本的な問題をめぐつて解決する方がよいのだ。こういう形では千五百圓を出すことは困難であるというようなことを私としてはお答えしたわけであります。
#29
○林(百)委員 私の質問は、大體遞信從業員が中央勞働委員會に提訴している問題が解決する間、焦眉の念に間に合わせるためにこの際千五百圓を支給しろという中央勞働委員會の勧告であつたが、遞信從業員の生活が非常に困窮に陥つているというこのことを遞信大臣は認めるかどうか。またそれを救うためにこの際何らかの形で現金を給與してやるという必要を認めるかということです。
 また中央勞働委員會が千五百圓を早急に支給しろというのに對して、三木遞信大臣は言下にこうした處置をとることはできないと言われたのでありますが、それに對しての努力をどうなさつたか。全然努力することなしに勞働委員會の勧告をけつてしまつたのか。あるいはとにかくこの際本給のほかに生活補給金を支拂うということは必要であるということを認められて、たとえば閣議にもち出すとか、あるいは奉給の繰上げ支拂いをするとか、あるいは國會の方へそういうものを追加豫算から一部切り離して提出するような努力をされたかどうか。遞信大臣として、この勧告案に對してどういう努力をなしたかということをお聽きしたい。これはおそらく遞信從業員の實情を知つておる者ならば、誰でもこの際何とかして一時金を支給しなければならぬ、困窮の極限に來ているのだということは認識されるし、遞信大臣も認められると思う。それに對して三木遞信大臣がどういう努力をしたかという點が全然今の答辯ではわからない。それをお聽きしたい。千八百圓と千六百圓の差金を支給することで滿足すると言われますが、これは當然の既得の權限であつて、これは何も特別に努力することなくしても決定されておるものである。しかし遞信從業員が特に他の勞働者に比べて困窮の立場にあるのだから、遞信大臣としてはこれを救濟するために特別の努力をされるのが至當である。その努力をどうなされたかということをお聽きしたい。
#30
○三木國務大臣 千八百圓の差額は當然のものとは言いますけれども、これをできるだけ早く出すような處置を講じて、結局それが出れば生活の資金になつて苦しい現場を救い得るという形で、大體平均千圓になりますが、これをいち早く出そう。こう申したのでありまして、私たちは遞信從業員を管理する立場から、遞信從業員の生活状態には非常な關心をもち、われわれとして絶えず改善を考えていることを申すまでもない。そういういろいろな點から考えで、とにかくできる手を今打つていこうということで、當然の權利とは言うけれども、できるだけ早くこの平均千圓の差額を支給しようという處置をとつたわけで、その他遞信從業員の生活の改善ということに對しても努力をいたしておることは申すまでもありません。ここで一々ああしたこうしたということを申し上げるわけにはいきませんが、努力することはむろん當然のことでもあります。
#31
○林(百)委員 大臣の答辯は、千八百圓と千六十圓の差額の支給をなるべく早くすることについて努力したというのですが、それはもう當然のことです。問題は中央勞働委員會が、特に遞信從業員の提訴に對して、この際千五百圓の生活補給金を出せと言つて來たわけなんですから、初めからきまつている千八百圓と千六百圓の差額支給をただ時期を早くしたということでなくして、中央勞働委員會の千五百圓支給の勧告に對して、三木遞信大臣は特別な努力をなさつたかどうかということなのです。
#32
○三木國務大臣 今申したように遞信從業員の生活改善ということは、當然遞信大臣として考えていることで、これは申すまでもない。そのときにするとかせぬかいうことでなく、常に考えていることは事實で、そういういろいろな勘案をした結果、千五百圓をこの際出すことは困難だけれども、この手でひとつ現状を改善していきたい。そういうことを末弘會長にもお答えをしたのであります。
#33
○林(百)委員 繰返すようですが、このたびの集團缺勤が發生した直接の原因には、中央勞働委員會が官側に勧告した千五百圓をむげに何らの努力なくして斷つたということに對する從業員側の大きな不滿があつたと思うのです。それに對して今の三木遞信大臣の答辯をお聽きすると、末弘會長が勧告に來た際に、勧告を聽くや否や、その場で困難だと言つて斷つたということですが、これでは從業員側が納得できないのは當然だ。これだけの諸君の生活の現状はわかる。千五百圓の中央勞働委員會の勧告もわかる。それい對して自分としてはこれだけの努力はしたけれども、逐にそれが達成できなかつたという苦衷を吐露するならまだわかるのですが、今の遞信大臣の答辯によりますと、その努力が全然見られないと思う。そういう場合に從業員側が勢の赴くところ、このたびのような事態が起きることはむしろやむを得ない。むしろ三木遞信大臣が全遞信從業員の使用者としての責任を十分果していないのではないかという感じが率直にいつてするのですが、その點もし答辯の餘地があつたら答辯していただきたい。
#34
○三木國務大臣 林君に對しまして、一々こういう努力をした、ああいう努力をしたということは、申し上げられない點もあるし、またそういうことは必要のない場合もあろうと思いますが、とにかく遞信大臣としてそれは努力することが當然であつて、いろいろな點を考えて、末弘會長より十六日にそういうお話があつて、十八日に末弘會長に先ほど申し上げたようなお答えをしたわけであります。
#35
○林(百)委員 どうも三木遞信大臣の答辯では、努力したということが具體的に説明がないし、私としては非常に不滿だと思うのであります。この事態が發生した責任を、官側では一方的に從業員側に轉嫁しているが、私としてはやはり使用者としての責任者である三木遞信大臣が、もつと強腰に閣内なり、あるいは國會なり、あるいはそれぞれの關係者に對して努力をしたということをお聽きしないと、少くとも委員の私としては、この事態に對する官側の責任を逃れるわけにいかない。官側にも重大な責任があるということをはつきり感じられるのであります。そこでたとえば具體的に閣議にかけて豫算提出の手續をしたとか、あるいは場合によつては、十月分の俸給を一時繰上げてもその場合支拂うというような處置ができるものではないか。また日給者に對しては毎日支拂いができるのだから、日給者に對してくらい、とりあえずまとまつた金を支拂うというような努力も遞信大臣の權限内でできたと思われるのであります。それに對して何らの努力がなされていないという點については、私委員の一人として官側の責任をどこまでも追究したいのでありまして、本問題についてその辯解は私としては十分聽き容れることができないという感じがするのであります。それでこの問題については遞信大臣は具體的な努力についての説明はできないと言われておりますから、これ以上追究することはやめたいと思いますが、その次の問題として、とにかくわれわれ考えれば、官側にも努力が足りない點が十分あるという感じがする。從業員側の集團缺勤に對して、政府はかつてわれわれが聞いたこともないようなワイルド・キヤツト・ストライキだと言う。しかもこれは最も悪質なストライキだということを聞いておるのでありますが、一體そのワイルド・キヤツト・ストライキということを政府が認定した理由、それから一體ワイルド・キヤツト・スライキというものはどういうことを言うのか。しかも本日の讀賣新聞によりますと、今度はワイルド・ドツグ、いわゆる山犬だということを大阪側には適用している。こういう珍しい言葉を遞信省では次から次へと考えてくるのでありますが、一體ワイルド・キヤツトとかワイルド・ドツグとか、そういう概念はどういう概念であるかということと、それを認定した理由を伺いたい。
#36
○三木國務大臣 林君もとくと御存じのように、日本の勞働組合法、あるいは勞調法なんかによつて爭議權が保護はされておりますけれども、しからばどういう爭議でもそれが保護されるという建前にはなつていないことは御承知の通りであります。今回の事熊を見まするに、全遞は一つの有力な組合をつくつてそうして統制のある組合として世間にも認められてきている。それが今囘のごとく自發的とは申しますけれども、しかし職場大會等の申合せによつて、ほとんど通信機能が麻痺するような非常な大量の缺勤がある。しかもそれは自發的でだれが責任をとるのか。勞働組合というものができて、勞働組合が秩序ある一つの行動をとるというところに、結局世間も勞働組合の發達を助長していきたいという念願があるのに、勞働組合が無秩序にあるいは無統制にやつていくということならば、世間は決してそういう形の勞働組合の發達を助長するものではないと私は思う。この勞働組合を法律でかくのごとく保護し、また世間も日本の勞働組合が日本の民主化の一つの基盤として健全に發達してくれることを、國民全般は望んでおるのであります。しかるにこの通信機關が麻痺状態になつて、どれだけの影響力を日本の國民生活の上に與えておるか。この事實を考えて、こういう重大な事態がだれが責任者でもない。また組合がありながら――組合というものは統制をとる、あるいは秩序ある行動をするために組合というものが一面においてできておるのに、組合はそれは指令しておらないから知らないと言う。こういう形で勞働組合を結成しておる從業員たちが、統制もなく、秩序もなく、しかも日本の通信機關が麻痺状態になるという事態を、今日の健全な社會通念から、決して正當なる爭議として國民は認めないということを考え、從つて政府は政府の責任において、今回の爭議行為は不當なる爭議行為であるという斷定を下した。政府はそれだけの見解を下す自由をもつておるわけあります。
#37
○林(百)委員 三木遞信大臣の今の答辯に對して、次の質問をしたいと思います。これが正當な爭議でない、無秩序なストライキであつたという理由は、一體中央本部の指令がなくして動いたという意味なのか、あるいは各組合の指令は受けているのであるが、中央本部の命令がなかつたというのか。それから自然發生的に中央郵便局あるいは日本橋郵便局のその單一組合の指令をも受けておらないという意味なのか。その指令が中央本部あるいはそれぞれの單一組合から出ておらない、だから不當だというのか。あるいは中央郵便局あるいは日本橋單一組合の指令はあるけれども、中央本部の指令がないから不當であるのかという點が一つ。それから官公廳の勞働者が自分の要求を提起するために爭議權は當然ある。官公廳の從業員が非常に重要な責務についているというのは、これは皆認めることだ。ですから爭議をすれば、社會的に大きな影響があるということは、これまた當然だと思う。もし全官公廳の勞働者がストライキをやれば、社會的に大きな影響があるから、ストライキをやることはいつも不法だということになれば、全官公廳勞働者は全然ストライキができないということになる。もしストライキをさせないほど重要な責任を全官公廳がとつているということになるならば、ストライキをする必要のないほど生活の保障を十分にしてやる、責任が重いから生活の保障を十分してやる。それなら話がわかる。ところがその生活の保障は、官公吏で特に遞信從業員ほど生活が薄遇で、貧困に瀕しておるものはありません。昨日あたり郵便局に行つても、すでに加配米の五十圓、六十圓の金すら拂うことができない。そして皆今年の暮をどうして越すかということに頭を惱ましている。こんなに生活がほとんど困窮し盡して、安心して職場に働くことのできないような生活状態に殘しておきながら、爭議をやれば、大きな社會的影響を及ぼすから、官公勞働者の爭議はいつでも不當だということは一方的だと思う。そういう意味で、遞信大臣が今度の集團缺勤に對して、これを悪質な爭議だと認定した理由は、中央本部からの指令がなかつたからというのか、あるいは單一組合の指令がなかつたという理由か。この問題と、それからもう一つは、勞働爭議が悪質であるかどうかということは、勞働爭關係調整法の四十條を見ましても、中央勞働委員會の裁定をまつて初めて認定し、もし中央勞働委員會がこの爭議は不當であるということになれば、正當な爭議としての保護を受けないということは、勞働關係調整法の四十條にある。爭議というのはお互いに相手方に對して不利不便を與えるのが爭議である。ですから官側が勞働組合によつて非常な迷惑をこうむつたから、この爭議は悪質だということになれば、爭議ということはできないことになります。お互に相手方に非常な打撃を與えるように秘術を盡して爭うのが爭議である、悪質であるとか、あるいは爭議權を逸脱しているかどうかということは、一方のけんか相手が認定することではなく、やはりこれは中央勞働委員會をまつて初めてそういう認定ができると思う。しかるに今度の爭議に對しては、官側が一方的に、自分が不便で困るからこれは悪質だ、社會に迷惑を及ぼしておるからこれは悪質だといつて、たとえば給料の支拂いを停止するとか、官吏服務紀律を適用するとか、あるいはあらゆる法律的な爭議權の保護を與えないということは一方的だと思うが、この點についてのお考えをお聽きしたいと思います。
#38
○三木國務大臣 それは、今囘は中央本部の指令がないばかりでなく、また組合の支部としての指令もないというわけであります。
 それから第二點は、政府は、政府の責任において、この重大なる事態が起つておるときに、その見解を常に發表する自由はもつておるわけであります。あなたの言う勞調法なんかの場合は、それはいろいろ處分等の場合における規定であつて、政府はこの重大な事態に對して政府の見解を發表するの自由は常にもつておるわけであります。また今囘の場合は全官公の爭議權どうこうという問題じやない。むろん勞働組合法、勞調法なんかの上において爭議權というものは認められておるわけで、これを否定するような考えはわれわれにあるわけはないのであります。しかし爭議の中にも秩序が要る、爭議の中にも統制が要るのだ。そうしてやはりその爭議權というものは、ちやんとした一つの統制ある、秩序ある、しかも責任のあるものでなければならない。非常に重大な影響を國民に與えるのですから、自發的という形で、しかも自發的であるかもしらぬが、いろいろ職場で申合せをしたりして大量な職場離脱が行われる。こういう形で日本の勞働組合運動が推進されることは、非常な禍根を將來の勞働組合運動の上に残す。從つて勞働組合の健全なる發達を願うためには、組合が秩序ある行動をとる。爭議の中にもやはり一定の秩序を守り、統制をしつつ行動をしていくという嚴肅な義務を勞働組合はもつておるものと私は考えております。
#39
○林(百)委員 三木遞信大臣の答辯それ自體が、本件はすでに爭議でないということを認めておると思う。中央本部の命令もないし、單一組合の命令もない爭議というものはあり得ないと思う。中央本部の命令もないし、單一組合の指令もないにもかかわらず、職場を離脱しなければならないということは、すなわちもう生活苦が極限に達して、たれの指令がなくとも職場で働くことができないという事實をはつきり現わしていると思う。もし三木遞信大臣がそれを認識しなかつたら、あなたは遞信大臣として全遞信從業員の使用者としての責任ある立場に立つ資格はないと私は斷言せざるを得ない。實は昨日も私は中央郵便局へ行つてみましたが、あの七貫も八貫もあるような重い小包の行嚢を――地方の郵便局と違つて流れ作業で一日あそこであの重い行嚢を八時間も取扱うのにそれが千六百カロリー、家族四人で二千圓前後の金で暮していけるはずはない。どうしてもこれは人間わざではできない。奇蹟でなかつたらそんな重勞働をあそこですることはできないと思う。ですから、先ほど言いました通りに、殊に中央郵便局でも小包課の從業員が缺勤が多かつた。これはやむを得ない實情だと思う。そこを十分認識して――政府が一方的にこれは爭議だと認定して、しかも悪質な爭議だというのは出過ぎたことであつて、これは自然發生的な、從業員の生活苦から出たやむを得ない事態であるということを十分認識して、今後遞信大臣として遞信從業員の生活改善のために努力されるかどうかということをお聽きしたいのです。私は遞信大臣とけんかしたいわけじやない。何とかして遞信從業員の生活を改善したいということを、通信委員の一人として官側にも率直に認めてもらつて事態を解決していきたいと思うのです。それで先ほども申しました通りに、勞働組合がそういう不屆きなことをしておると申しますが、勞働組合があつたからこそ、この自然發生的な缺勤を何とかして今の状態に食い止めておるのだと思う。もし勞働組合がなくて放置しておいたらこの事態はもつと悪化していつたのじやないかと思う。そういう意味で、勞働組合側が悪質な、社會の秩序も何ら考えないようなことをしておるということは絶對にないと思う。しかも全遞組合側にしても、中央地協にしても、遞信大臣に對してしばしば、非常に缺勤率が高くなつておる、このまま事態を放置しておけばゆゆしき事態になるから、何とかして處置してくれ、ということを何度か言つておる。千五百圓の問題についても幾度か言つておると思う。それがそのまま放置されておつたところにこの問題が惹起したのじやないか。たとえば、あとでお聽きしますが、事態を解決するために官側では臨時雇を雇つておりますが、臨時雇の俸給の方が本雇の人たちより條件がいい。そうでなければ、今どき遞信省へ行つて、あそこへ行つてあの仕事をする者はない。それを見ても、あそこで働いておる者の條件がどんなに悪いかということは明瞭だと思う。臨時に雇つておる者の方が條件がいいのですから……。ですからそういう事態を政府としては十分認識してもらいたいと思う。殊に中央郵便局の肺病にかかつておる者の率は、集團檢診をした者の一割二分で、他の官公勞働者に比類のないような高率な肺病の罹患者があるわけなのです。そういう事態から見ましても、このたびの事態を爭議と認め、しかも悪質な爭議と一方的に政府が認定した點については、私は官側の專斷だと思うのであります。それについて政府は、あくまで責任は從業員側にある、官側にはないということをここで言われるかどうか。もつとはつきり責任のある囘答をお聽きしたいと思う。
#40
○岡田委員長 ちよつとこの際私から一言申し上げたいと思います。全遞の要求條件につきましては、ただいま中央勞働委員會において調停の勞をとられておりますので、本委員會におきましては、この勞働條件の當否の問題であるとか、あるいはまた要求事項の當否の問題であるとかいうことを論議するのは適當でないと思いますから、これは政府においても林委員におかれましても、その論議にお差控え願いたいと思います。
#41
○林(百)委員 ちよつと私の立場を辯明したいのですが、私は何も中央勞働委員會の調停の問題について討議しておるのではなく、現在こうした事態の責任が、政府の聲明によれば一方的に從業員側に轉嫁されておる。しかしこれは現場の局長、課長すら率直に認めて、今の生活状態では部下を掌握できないのだと言つておるのだから、やはり本件の發生自體の根本には、從業員の生活
苦があるのだ、それについては一應官側にも責任があるのだということを言つてもらいたいと思うのです。そうでなかつたら、このたびの事態がかりに糊塗できても、今後こういう問題が次から次へ發生して、遞信事業というものは永久に麻酔状態になる。それを憂えるから私は言つておる。もつと委員長も率直にこの際兩者の討議を許してもらいたい。
#42
○岡田委員長 それはよろしいのですが、今の中央郵便局における勞務の問題について、あれが困るというような決定的の御意見があつたものでありますから、その決定的な御意見についてはお差控え願いたいと思います。
#43
○三木國務大臣 これはもう先ほどから繰返して申すように、遞信大臣の私としては、今日の國情で許す限り、何とかして遞信從業員の生活を改善したいということは最大の關心事の一つであります。これは林君の申すまでもないことであります。ただしかし、そこで從業員諸君にも私は常に言つているのだか、やはり全體の日本の國情というものとの間をにらみ合せをして、必ずしも從業員が――誰も滿足して今國民は働いておる人はないのだという、そういう現下の日本の國情というものをにらみ合わせて、必ずしも從業員側の要求通りにはならぬかもしれんが、そういう日本の國情の許す範圍内において、遞信從業員の惠まれないということをよくわれわれも認識し、それを改善したいと、今日まで私は努力をしてきたつもりであるし、今後も努力するつもりであります。しかしそれと關連して、今囘の中央郵便局の行為が、正當なる行為であるとは私は考えないのであります。政府が今囘起つたことついて、正當でない爭議行為であるという斷定を下すということは、私もこれは當然のことであると考えております。
#44
○林(百)委員 私のお聽きしたいことは、遞信大臣も遞信從業員の生活状態が滿足すべきものでないということを認められ、それを滿足すべき状態にするには、いろいろのまた國家的な状態があつて思うようにいかないのだということを言われていると思う。この點は私も當然だと思う。そうすれば、このたびの事態の直接間接の原因は、とにかく從業員の生活苦から發している、これももう無視できない事實だと思う。それを改善するためには、いろにろ國家的な、あるいはわれわれとしての個人的な努力では解決し得ない事態があるのだということになれば、このたびの事態がただ一方的に從業員側の責任のみでない、こうした敗戰とか、あるいはその他國際的な關係だとか、あるいは政治的な關的、こういう關係もそこに織りまざつておるということになれば、この責任を一方的に從業員側に轉嫁するということは私は失當だと思う。ところで、それに對してここではつきり遞信大臣にお答え願いたいことは、そうすると政府としては、どこまでもこのたびの集團缺勤の事態の責任は從業員側にある、しかもこれは最も悪質な行動であるということを認定されて、官側には一切責任がないということを言われるかどうか、それをはつきりしていただけばよい。
#45
○三木國務大臣 今林君の指摘になつている遞信從業員の生活改善、こういう問題をひつくるめて、今回の中央郵便局に起つている事態を、そういう形と關係をもたして、これを正當な行為であるという見解は私はとらない。やはり問題はいろいろあろうけれども、結局御承知のように、全官公の人たちが、いろいろその事情によつて多少の差はあろうけれども、この苦しい中にあつて、皆が一つの國家の秩序を守つているんだ、こういうときに、こういう形で日本の通信機能というものが麻痺状態になる。これが組合の統制ある一つの行動として、當然に許されている爭議權の行使というような形でいくことをわれわれはどうこう言うのじやない。しかし今言つたように非常に重大な事態をもたらすのだ、その事態が責任者もだれかわらぬ、組合も指令してないのだ、從つてまた統制もとれてない。こういうことで、こういう形で日本の通信機能が麻痺状態になる。そういうことをやつても、それが正しい爭議行為だという見解は私はとることができない、こういうことを申上げているのであります。
#46
○林(百)委員 この問題については政府側と私の見解とはいつまで經つても一致できないと思いますから、これで打切りたいと思います。ただ私が遺憾とすることは、こういう事態によつて日本の通信事業が麻痺状態になる。遞信從業員側の行為は實に憎むべき行為だというが、その憎むべき行為が發生しないようにどんな努力を遞信大臣自身がしたか、人に恥しくないだけの努力をしたか。そういう點の説明ほ先ほどから求めておる。しかしそれについては、遺憾ながら十分なる努力をしたとも思われない。それにもかかわらず從業員に對しては、實に排發的にさえ聞えるような威嚇的な警告を與えるという點は、遺憾であるということを申し上げてこの問題を打切ります。
 次は現場の責任者であるところの各郵便局の局長、あるいは中央地協の範圍にはいつておる郵便局長竝びに局長のもとに部下を掌握しておる課長、こういう者の現場監督者の意見が、遞信大臣のところへはどう、上申されておるか。とにかく今のままの状態でいつたならば、十分部下を働らかせるだけの責任は負えないのだ、何とか部下の生活の問題については改善しなければならないという意見具申が遞信局長まで、あるいは遞信局長を通じて遞信大臣まで上申されておるかどうかという點をお聽きしたいと思います。
#47
○三木國務大臣 待遇を國の現状の許す限り改善してほしいということは、絶えず各現場の監督者からはわれわれも聽いておるし、またわれわれもこの線に沿うてでき得る限りのことは今日までも努力をしてきた。それは私ども今日遞信大臣として、この遞信從業員の生活を改善したいというこの熱意は、これはもう林君に劣るものではないのです。ただしかし、その間いろいろ日本の混亂している状態なり、客觀的な條件、いろいろな情勢が私自身も滿足できるようにはなつていない。けれどもこれをできるだけ改善したいという非常な關心をもつておることは、決して人後に落ちるものではないということだけを申し上げておきたい。
#48
○林(百)委員 このたびの集團缺勤が最も激しかつたのは、やはり中央郵便局の小包課、あるいは日本橋の郵便局でも小包課の課員だつたと思う。これについて私たちも實際を見せてもらつたのでありますが、先ほども私少し申し上げました通りに、缺勤の度が非常に激しい所は、やはり勞働條件も非常に激しいということを、遞信大臣は認められるかどうか。これは非常にこまかいことですが、こういうことに氣がついておるかどうかをお聽きしたいと思う。たとえば地方の二等郵便局、あるいは、地方の郵便局ですと、小包でも郵便でも遞送時間がきまつておりまして、その遞送時間と時間の間には二時間なり三時間の餘裕がありまして、その間は輕勞働で、あるいは休養状態におれるのでありますが、中央郵便局の小包課あたりでは、ほとんど中央のあらゆる小包があすこに集積されるために、その激しい重勞働が八時間連續的に流れ作業で行われるので、休養するひますらない。こういう激しい勞働状態にあるのでありますが、このたびの集團缺勤が特に激しかつたこういう小包課というような職場は、やはりその勞働條件も非常に激しい勞働條件のもとにあるということを率直に認められるかどうか、お聞きしたい。
#49
○三木國務大臣 小包課というものが非常にいろいろ勞働力を使うところであることは事實であります。どうも東京中央郵便局は小包課が一番悪い。日本橋の郵便局は電信課が悪い。電信課は小包のような重勞働的なものではないのですが、一方は電信課の方の出勤率が非常に悪くて、一方は小包課が悪い。すぐに缺勤率と勞働條件というのを結びつけて考えるのもいかがかと思いますが、あなたの言われた小包課の人たちが、あのような非常に重いものを持ち運びするので、非常に勞力を要することは事實であります。しかし八時間連續的に働くというのはそれは大體誤りでありまして、實働は六時間くらいのものになつていると思います。そうしてまた御承知のように、重勞働に對しては百九十グラムの勞務加配米があるわけでありまして、小包課の方が特別に非常に悪い勞働條件とも言われないわけでありますが、御承知のようなああいう仕事でありますから、非常にエネルギーを消耗することは事實であります。けれども勞働條件として特に小包課だけが悪いという形ではないのであります。
#50
○林(百)委員 小包課が特別に悪いというのは、これは中央郵便局全體が非常に勞働條件が悪いからだと思います。ただ相對的に小包課などは特に働はのではないかということを申し上げただけであります。そこで中央郵便局で昭和二十九年九月に集團檢診したことがあるのですが、そのときの肺患の罹病者の率が、他の官廳の勞働者、殊に私企業の勞働者より非常に高率になつているのです。これについての參考資料が官側にもあるかどうか。あつたら、大臣に對してはこまかいから、どなたかお知りの方があつたら説明してもらいたいと思います。
#51
○三木國務大臣 ちよつとここに資料があるから申し上げます。御承知のように毎年集團檢診をやつているわけですが、郵便局のような仕事の中で一番問題になるのは胸部疾患の問題です。これに對して中央郵便武の結核の表があるのですが、昭和二十一年には二千九十四名中百二十名、六%、昭和二十二年には二千五百二十二名中百四十八名、五%ということになつておつて、戰前の結核率は一%ぐらいであつた。結核に關しては戰前に比し若干良好なような傾向になつております。
#52
○林(百)委員 私の方の調査によると、二十二年九月には一二%という率が從業員組合側から提出されているのでありますが、この點大臣の答辯と非常に違つておる。しかも組合側の意見によると、これは非常に高率だ、他の官公央に比べて、また殊に私企業に比べて非常に違う。私の方のは大臣の言うのの倍になつているのですが、官側もひとつ再調査してもらいたい。私の方も再調査します。
 それから離職者の率ですが、もし中央郵便局の離職者の率がわかつているならば、殊に二十二年七、八、九の三箇月の間に新規採用者がどのくらい離職したかという點も、材料があつたら知らしてください。
#53
○三木國務大臣 説明員から説明をさせます。
#54
○山本説明員 ただいまの中央郵便局の離職者は七、八、九の三箇月間において大體五十名になつております。これを率に直しますと約二%、年間に直しますと約二割四分の離職率になつております。
#55
○林(百)委員 他の官公吏と比較してみたことがありますか。あるいは他の私企業と……。
#56
○山本説明員 ほかの私企業との比較はただいまございません。
#57
○林(百)委員 私の方の調査によると、大體離職してしまうのが四割から五割に達する非常に高率だということだ。新規採用者があそこへ來て三箇月もすると、いたたまれなくて出てしまう、殘るものは半分程度だという報告が私の方にきているのですが、この點もひとつ再調査してもらいたい。そういう點について正確な數字を握つて、殊に健康状態、あるいは離職率が他の職場と比べて高いということを認識なさつたら、このたびの事態について官側としてももう少し温かい處置ができたと思う。官側の握つている資料によると、少しも他と變らないと言うならやむを得ないが、これは正確に調査してもらいたいと思う。
#58
○三木國務大臣 林君の方も正確に調査してください。
#59
○林(百)委員 私の方もします。大體私の方が正確じやないかと思います。
 それからこのたびの集團缺勤の補充のために臨時雇を雇つたということでありますが、これはどういう手續で雇い入れているのか。給與の條件はどういう條件か。これをお聽きしたい。
#60
○三木國務大臣 御承知のように、郵袋が上野の停車場においてもほとんど交通を阻害するような状態になるし、東京の中央郵便局においてももう置き場所もないような状態になつて、これを處理しなければ非常に不都合を生ずる結果になりましたものですから、遞信局をして臨時雇でこの整理をせしめたわけであります。そのいろいろな給與條件についてはまだ私の手もとに數字が出ておりませんが、これは調査をいたします。
#61
○林(百)委員 その點について中央郵便局の責任者、あるいは東京遞信局の責任者は十分數字を握つていると思う。これもわれわれの調査によりますと、大體學生が四時間で三十圓、人夫の方は八時間勞働で一日百二十圓、これは通常の從業員よりも、學生ですらすでに三割、あるいは人夫に至つてはほとんど二倍以上の好條件で雇われているわけです。こういうところを見ましても、いかに今の通常の從業員の勞働條件が悪いか、よそからはいつてくるには今の從業員の待遇條件ではだれもきてがないのだということを遞信省自體か示していると思う。この重要な資料について遞信大臣から報告がないことは遺憾であるが、この點も十分調査して、この次には御答辯願いたいと思う。通常の從業員よりも條件がよいということは確かだ。もしこの際お答えできるならば、通常の從業員よりは好條件で雇つているかどうかという問題、雇つているとすれば、どういう理由でそれを通常の從業員よりよい條件で雇つているか。それからもう一つは、政府が提出している職業安定法によれば、爭議中には中立の立場を維持するために、官側では求職者を紹介してはならない、殊に公共職業安定所等では求職者を紹介してはならないという法案が今出ているわけです。この職業安定法の第二十條によりますと、爭議中は爭議状態を不利に陷れるようなことを政府としてはしてはならない、公共職業安定所は新規雇人を紹介してはならないというような條文もあります。それから聞くところによれば、何々組というようなものに請負わしてこの臨時雇人の募集をしているのでありますが、これま職業安定法の第四十四條に反する行為だ。こういうような政府みずからがつくつている法案に反するようなことをしてまでも臨時雇入れをなぜ強行しておるか、こういう點を説明願いたいと思います。
#62
○三木國務大臣 臨時雇入れでありますから――私調査をしますが、調査した結果でないと、林君の統計の官側の統計とはいつも非常に食い違いがありますから――調査いたしますが、臨時であるから、普通の給料よりも高くなることが自然であろうと思います。これは調査をしてみたい。また臨時雇をするということは、これは政府してなし得るものであつて、何もこれを禁じられておらない。こういう解釋をしております。
#63
○林(百)委員 それから政府は、本行為を爭議行為と認定しておるのでありますが、政府みずから爭議行為と認定しておきながら、これに對して業務命令を發しておる。これについての官側の根據を示してもらいたい。
#64
○三木國務大臣 今囘の行為は、御承知のように政府の見解としては、不當なる爭議行為としております。從つてこの不當なる爭議行為という見解に從つて、業務命令は出し得る、こういう解釋であります。
#65
○林(百)委員 そうすると、政府側の一方的な認定で、不當な爭議行為であるからと言つて、それで團體協約を無祖しても業務命令を出すということに解釋していいですか。
#66
○三木國務大臣 團體協約の第二十四條に、甲は業務命令で乙の指令する組合員の常當なる爭議行為を妨害しない、こういう團體協約になつておるのであつて、ここに言つておるのは正當なる爭議行為とこうなつておるのですから、團體協約に違反するものでない、こういうことであります。
#67
○林(百)委員 この正當な爭議行為でないということが一方的に認定できるということになれば、團體協約をつくつい意味をなさないと思います。これはやはり中立的な立場にある勞働委員會なり何なりの認定を得て、初めて正當であるか正當でないかという問題が出てくる。勞働協約を結んでおきながら、正當な爭議行為の場合にはこれを妨害してはならない、また正當でない爭議行為については、いくら妨害してもいいという、かりに勞働協約があつたとしても、その正當、不正當を官側が一方的に認定するということになれば、勞働協約の意味をなさいなと思います。これについて官側のお考えを聽きたい。もしそういうような爭議が正當であるか正當でないかということを官側が一方的に認定して、勞働協約を無視するということになれば、勞働協約をつくつた意味をなさないと思います。
#68
○三木國務大臣 今囘は組合の指令によつていない。しかも先般來私がるる申述べたように、正當な爭議行為でないという、こういう政府の見解に基いて――これは爭議行為も正當でない場合がある。從つて行政力を伴わない出勤をせよという、集團缺勤者に對して出勤を命じ得る、こういう形の業務命令は當然出し得る、こういう解釋をしておるわけであります。
#69
○林(百)委員 しかし團體協約が結んである。正當な爭議行為を妨害しないという團體協約が結んである。ところがその正當であるか正常でないかということは政府が一方的に認定されるということになる。たとえばワグナー法とかタフト・ハートレー法でも少しも不正でないといつておる……。
#70
○三木國務大臣 君はそういう御見解をもつておられますが、官側はこういう業務命令をもつ出勤命令は出せるという見解です。政府の見解が誤つておれば政府が責任をとるべきことである。こういう見解である。あなたとは違う見解であります。そういうことで今囘の行為も正當な爭議行為であり、またそういうこともできぬというなら、見解の相違と言わざるを得ない。
#71
○林(百)委員 そうすると二十四條の正當な爭議行為という正當性の認定を、官側は一方的になし得るということに聽いていいかどうか、そこをお聽きしておきます。
#72
○三木國務大臣 それは組合が指令した爭議の場合であつて、組合の指令も何もなような今囘の爭議行為のような場合は、二十四條と關係のないという解釋をわれわれはするわけであります。
#73
○林(百)委員 そうすると、これはこの二十四條で言う爭議行為ではないというわけですか。
#74
○三木國務大臣 その通りであります。
#75
○林(百)委員 そうすると、この爭議行為の中には正當である場合と、正當でない場合といずれも含んでおると思いますが、いずれの場合をも含んでいないということになれば、爭議行為でなということになる。もし不正當な爭議行為とすれば、正當が不正當かということは、政府側で一方的に認定できるかということです。
#76
○三木國務大臣 政府の責任においてそれはなし得るということであります。
#77
○林(百)委員 集團缺勤問題については官側の意見によると、俸給を差引くとか、あるいは行政的な處置をするということを言つておられるのでありますが、この點行政的、あるいは司法的な處置をする意思ありや否やを聽きたい。
#78
○三木國務大臣 政府は警告を發しました。その警告はもしこれを冷靜に讀めば、今までのことに對しては寛大の處置をとる。しかしこれからはひとつ職場に歸つて、この重要な國家機關を守つてほしいという意圖があの中にあることがわかるわけであります。この警告が出てもなおかつ集團缺勤の事態が續く、そういう事態を混亂に陥れようという意圖をもつて、そうして煽動するような人たちに對しては、政府は斷固たる處置をする決意であります。
#79
○林(百)委員 これは非常に重要な問題だと思うのであります。斷固たる處置のその處置の内容を、もし考えておられるならお聽きしたい。
#80
○三木國務大臣 それは個々の場合を調査して、その個々の行動によつて、適宜の、あるいは行政處分の場合もあろうし、その他の場合もあろうし、それは個々の場合に照らさなければここに抽象的には申し上げられない問題だと思います。
#81
○林(百)委員 こう聽いておいてよろしいかどうかをお答え願いたいと思う。われわれの側から言えば、第一不當な爭議行為だと一方的に認定し、しかも行政的な斷固たる處分をする。そういう官側の態度に對して、從業員側がすなおに受けるはずはない。事態がそういう挑發的態度によつて悪化することは、遺憾なことではあるが考えられる。その場合に、實際三木遞信大臣もまたそういう事態に對して責任を負うかどうかということについてお聽きしたい。
#82
○三木國務大臣 先ほど申したごとく、事態をますます混亂に陥れて、こういうことを煽動するような人々に對しては、これは當然斷固たる處分をしなければならない。しかしそれは一般の遞信從業員の生活の改善とか、そういうふうな問題とか別であります。こういう點に對して今後眞劍に努力もしなければならぬけれども、ことさらに一つの事態を混亂に陥れようとるす考え方で煽動するような者に對しては、これは政府としても決意をせざるを得ないところであります。これは一般の從業員に對して言つておる言葉ではない。よくお考えになればおわかりになることと思います。
#83
○林(百)委員 その次に、こうしたこのたびのような事態は、遞信事業についても實に遺憾であると思うのでありますが、政府は今後、あるいは官側は今後、再びこうした事態の起きないように、從業員側に警告を發することもよいでしよう。しかし同時に、官自體が再びこういう事態の起きないような適當な措置を講することを考慮されておるかどうか。また具體的にどういう處置をされるお考えであるかどうかということをお聽きしたい。
#84
○三木國務大臣 政府は今囘のような事態は正當なものだという解釋をとらないのであります。しかし遞信從業員のみでなく、一般の全官公の職員の人たちの生活の苦しいという事態を率直に認めて、これを改善するために、今の國情の許す限りのことをいたしたいと檢討をいたしておることは申し述べられると思います。
#85
○林(百)委員 遞信大臣の囘当は私も一部同感の點があります。できるだけ努力していただきたいと思いますが、問題は、どういうふうにしようと考えておるかということを、具體的に説明できるなら、してもらいたい。
#86
○三木國務大臣 ただいま發表の時期ではありませんが、近くこれは發表できると考えております。
#87
○林(百)委員 それは何か、たとえば中央勞働委員會の裁定とかいう問題にかかつておるのか、そのほかの問題と絡んでおるのが、それをお聽きしたい。
#88
○三木國務大臣 中央勞働委員會の裁定とかいうことは、どういう裁定を下すか。むろん御承知のように中央勞働委員會は自主性をもつておりますから、そういうことは、裁定の下らない今日においてこれを豫測することはできませんが、一般的に何とか生活を改善したいといういろいろな點があろうと思います。しかしでき得る限り今日の國情の許す限り、生活の改善をしたいということに對して、具體的ないろいろな施策をただいま檢討しておる。これは近く發表するようなことになろうと考えておる。これ以上は、まだ決定をいたしておらない前に申し上げることはできかねると思います。
#89
○林(百)委員 そうすると、それは必ず實現し得る事柄でありますか、どうかという點。それはやはり一般の官公勞についてもそうであるか、あるいは特にこの際緊急に瀕している遞信從業員に對して、とりあえずそういう緊急の處置を實現されるのかどうか。この二點を…。
#90
○三木國務大臣 それは一般の問題として考えております。
#91
○林(百)委員 もう一つ最後に、政府はこのたびの集國缺勤は、勞働組合中央本部の指令がないし、あるいは單一組合の幹部の指令もないのだから、これは不當なる爭議だ。もしそれが組織的に統一的に責任ある方法によつて行われるならば、正當な爭議として認められるということになれば、この官公吏の統一された大規模な爭議はこれを正當な爭議として認めるのかどうか、これをお聽きしたい。そういう方法がいけないならば組織ある統一ある責任ある爭議ならば大規模的の爭議もよいのかどうか、ということをお聽きしたい。
#92
○三木國務大臣 大規模の爭議を認めるか、認めないかというようなことは、答辯の限りではありません。
#93
○林(百)委員 そうすると、そういうような組織的な、あるいは責任ある爭議もどうかわからない。そうした方法もないということになれば、官公吏に保障された爭議權というものは、どういう形でお考えになつておるかということを一應官側に參考のためにお聽きしてみたいと思います。
#94
○三木國務大臣 今囘の場合においても、政府は爭議權を制限する意圖がないということは何囘も繰返して言つた通りであります。その爭議というものが今のような形で――林委員が考えてもわかると思いますが、仁町に社會通念から、ああいう形で大量の職場離脱が行われるという事態を、正當な爭議權の行使だとお考えになるかどうか、あなたもよくこれは冷靜に考えてもらいたいと思います。とにかく今のような形で、しかも國家の重要な一つの通信事業のようなものが、こんな無責任な、無秩序な、無統制な形で麻痺状態になるということは、それは爭議行為であるし、またそれは正しくない。勞働組合の將來の發達のためにも非常な禍根を殘すものである、これは遠い日本の勞働組合の將來を考え、社會の秩序の維持を考えておる政府の言葉を率直に聽けば、十分社會は了承されるものと思う。勞働組合のもつておる正當な爭議權というものに對して、われわれは制限しようとかどうということを言つておるのではない。こういう形で行われることに對して反省を來めておるわけです。それは林委員においても冷靜にお考えになつてもらうことを要望したい。
#95
○林(百)委員 最後に私から申し上げたいことは、遞信大臣から、冷靜に考えてみれば、このたびの事態は實に悪質な事態であることがわかると言われますが、私は冷靜に官側の意見を聽きたいことは、こうした事態が何ゆえに起つてきたかということである。これは率直に遞信從業員の生活が困窮であるということを認められたならば、その事態に對してはやはり責任は官側にもあるのだ、官側の努力がまだ足らないのだということを認められて、将來は官側が一層の努力をして、この從業員の生活改善のために盡してもらいたい。これは冷靜に考えていただけばわかると思う。なぜそういう事態が發生するか。一部の者の煽動や、一部の者の爭議だとかいつたなまやさしいものではない。現場に行つてごらんになればわかる。皆が食えないからといつておる。事態はあなたが考えるようななまやさしいものではない。皆血の叫びをあげている。これはあなたが一日中央郵便局へ行つて職場にはいつてみればわかると思う。その事態を冷靜に認識していただいて、一層奮起して遞信從業員の生活改善のために必死の努力をしてもらいたい。これを最後に通信委員の一人としてお願いして、私の質問を終りたいと思います。
#96
○岡田委員長 ほかに御發言もないようでありますから、本日はこれをもつて散會いたします。
   午後三時三十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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