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1948/11/17 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 不当財産取引調査特別委員会 第14号
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1948/11/17 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 不当財産取引調査特別委員会 第14号

#1
第003回国会 不当財産取引調査特別委員会 第14号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
    午後三時十八分開議
 出席委員
   委員長 武藤運十郎君
   理事 明禮輝三郎君 理事 河井 榮藏君
   理事 荊木 一久君 理事 石田 一松君
      大上  司君    尾崎 末吉君
      高橋 英吉君    足立 梅市君
      佐竹 新市君    山中日露史君
      橋本 金一君    野本 品吉君
      田中 健吉君    宇都宮則綱君
      寺崎  覺君    徳田 球一君
 委員外の出席者
        昭和電工に関す
        る問題について
        出頭した証人
                笹山 忠夫君
                森   曉君
                市村寅之輔君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 証人末廣幸次郎君告発に関する件
 昭和電工に関する問題
    ―――――――――――――
#2
○武藤委員長 これより会議を開きます。
 本日の理事会において決定せられました事項を御報告申し上げ、皆さんにお諮りをいたしたいと存じます。
 第一、昨日行われました末廣幸次郎君の証言につきましては、偽証の疑い濃厚なる部分がありますので、当委員会は昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第八條に基き、これを告発いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○武藤委員長 ではさよう決します。なお告発状の作成並びに提出等につきましては、委員長並びに小委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○武藤委員長 ではさよう決します。
 第二、本日喚問予定の植村成、永井三郎、両君につきましては、その喚問を延期し、追つて期日を定めたいと存じます。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○武藤委員長 ではさよう決します。
 第三、かねて明禮輝三郎君の調査中にかかる石油タンク貨車処理問題について報告書が提出せられております。これは説明を省略いたしまして、報告書を速記録に掲載するという取扱いをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○武藤委員長 ではさよう決します。何か質問がございますか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○武藤委員長 第四、明十八日午後一時より理事会、午後二時より委員会を開き、昭電問題について討議をいたしたいと存じます。御出席を願います。
 本日御出頭の証人は笹山忠夫君、野田岩次郎君の両名ですね。なお森曉君と市村虎之助君は再尋問ということになります。本日御出頭を求めましたのは、御承知の通り当委員会において目下調査中の昭和電工問題について諸君の証言を求めるために御出頭を願つた次第であります。証言を求める前に各証人に一言申し上げます。
 昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または、証言を拒むことができるのは、一般の人については、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の血族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、且つ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。
 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上署名捺印願います。
    〔証人野田岩次郎君各証人を代表して宣誓〕
    〔各証人宣誓書に署名捺印〕
#8
○武藤委員長 それでは一番初めに笹山さんのお話を伺います。野田さんはしばらく別室でお待ちを願います。森さん、市村さんは対決の必要があるかもしれませんので、そのまま御在席を願います。
 笹山さんに伺いますが、あなたと栗栖さん、二宮さん、末廣さん、迫水さん、重政さん、こういう人たちとの関係はどういうのですか。
#9
○笹山證人 栗栖君、二宮君は興業銀行時代の同僚であります。末廣さんは私が興銀に入りましたころは興銀におられませんでした。たしか沖繩製糖に行つておられたと思いますが、興銀にはおられませんでした。それから私が興銀をやめました後にまた興銀に帰られて副総裁に任命されたのですから、興銀時代は興銀の先輩であり、それから興銀の関係しておる会社の担当者であるということで、個人的に懇意には願つておりました。それから迫水さんは私興銀におりますころちようど迫水さんが大藏省におられて、金融関係等の仕事に当つておられましたので、仕事の関係等でしばしばお眼にかかることはありました。重政さんは、私は名前は存じあげておりますが、まだ一度もお眼にかかつたことはございません。
#10
○武藤委員長 何かこれらの人々がクラブのようなものをつくつて、ときどき寄るのですか。
#11
○笹山證人 そういつたことは私存じません。
#12
○武藤委員長 あなたは今持株会社整理委員会の委員長でありますか。
#13
○笹山證人 さようであります。
#14
○武藤委員長 その前は興銀の理事をしておられましたか。
#15
○笹山證人 さようであります。
#16
○武藤委員長 持株へお入りになつたいきさつを詳しく述べてください。
#17
○笹山證人 私が興業銀行の理事を依願退職いたしましたのは昭和二十一年の三月二十五日であつたかと思います。その後間もなく当時の大藏大臣澁澤さんに大藏省へ招かれまして、ちようど持株会社整理委員会の創立準備時代でありましたが、常務委員に予定されておつた金融関係の方が、支障があつて就任できなくなつたので、ちようど私興業銀行を退職して、からだのすいたときだつたものですから、お前ひとつその方の仕事を加勢しろというお話がありました。一週間ばかり考えさせていただいた後、当時の情勢でこれはお引受けしなければなるまいと思いましたので、お引受けしたわけであります。それで四月二十六日附だつたと思いますが、創立準備委員の辞令をいただきました。その後創立準備委員長でありました中根貞彦さんが、ちようど当時勅選議員になつておられましたが、追放にかかられまいたので、創立準備だけでおやめになつた。従つて委員会の正式発足のときに、私が委員長の命令を仰せつかつたわけであります。
#18
○武藤委員長 そうしますと、初めからあなたが委員長となつて、適当なメンバーを集めてやつてもらいたいというようなわけではながつたのですか。
#19
○笹山證人 全然そうではございません。最初は中根貞彦さんが委員長に予定せられておりました。それはその前年の二十年十二月ごろからそういうことに日本政府とGHQとの了解でなつておられたようであります。そうしてずいぶんたくさんの人を政府並びにGHQで選考した。二十名以上の人を選考したように聞いておりますが、結局私なり先にきまつておりましたのが、本日証人に呼ばれております同僚の野田岩次郎氏、それから平委員の諸井さん、脇村さん、美濃部さん、それからただいまは常務委員でありますが、当時監査委員の候補者として車谷馬太郎さん、なくなられましたが大森洪太さん、金融関係として正金銀行に元おられた岡田重吉さん、飯島幡司さん、これだけの方が予定されておつたようであります。ところが岡田重吉さんが正金銀行の重役をせられておつた関係で、追放にかかられることが判明して、岡田さんが常務委員に就任されることができなくなつたわけであります。その後任を探しているところに、たまたま私が興業銀行を退職したというので、私に話があつた。そういろ事情でありまして、その後準備委員の辞令をいただいて後、大森洪太さんがなくなられましたので、発足当時は私が委員長で、野田岩次郎氏が常務委員、車谷馬太郎氏が監査委員、諸井、脇村、美濃部三氏が平委員、その間飯島さんも勅選議員の資格審査の結果、追放の嫌疑が濃くなられましたので、委員には任命されなかつたわけであります。それで発足当時は六名でありまして、取急ぎ欠員の補充に努めたのでありますが、なかなかむずかしくて、発足して一、二週間遅れて、ただいまの常務委員の加島五郎さんが就任されることになりました。私が委員として交渉しましたのは加島委員だけであります。あとは私の準備委員になる前にすでにきまつておられた方ばかりであります。
#20
○武藤委員長 そうしますと、創立準備委員がそつくりそのまま、持株会社整理委員会の委員になつたわけですか。
#21
○笹山證人 さようでございます。初めからそういうふうに予定せられていたようであります。
#22
○武藤委員長 日野原氏とはどういう御関係ですか。
#23
○笹山證人 日野原君に私初めて会いましたのは、昭和二十年の秋ごろであります。私興業銀行の理事をいたしておりましたときに、当時興業銀行の企画室長をいたしておりました二宮君の部屋に私用事があつて参りました。ところが二宮君のところにはすでに二人ばかり客が見えて話をしておつたので、すぐ私引返そうとしたのでありますが、その席で二宮君から紹介されました。それが日野原君で、もう一人はだれだつたか記憶いたしません。その後二十一年の二月末か三月の初めごろだつたと思いますが、私の友人と一緒に晝飯を一回二、三人で食べたことがあります。その席へ日野原君が見えておりました。一時間か一時間半そこで同席したわけであります。昨年まではそれ以上のつき合いはありませんでした。
#24
○武藤委員長 そうすると二宮氏と日野原氏とは、すでによほど前から知合いであつたわけですか。
#25
○笹山證人 そうだと思います。
#26
○武藤委員長 あなたが初めて二宮氏の部屋で日野原氏とお会いになつたときには、二宮氏から紹介されたわけですか。
#27
○笹山證人 さようでございます。
#28
○武藤委員長 どういう意味の紹介でしたか。
#29
○笹山證人 別に、だだ友人の日野原君だという、紹介だけでありました。
#30
○武藤委員長 明けて二十一年の二、三月ごろに会食をせられたのは、日野原氏はどういう都合でそこへやつて來たわけですか。
#31
○笹山證人 それは全然私知らないのです。私の友人の、やはり興銀に前おつたことのあります大川忠一郎という人と、晝飯を一緒にしないかということで、そこへ行つてみたら日野原君が見えておつたというだけであります。別にそのときは日野原君と大した話をした記憶もありません。私と大川君、もう一人だれかいたと思いますが、ちよつと正確に記憶しておりません。われわれの話をそばで聞いておつたというだけであります。
#32
○武藤委員長 このときには日野原氏はだれが連れて來たかわからないのですか。
#33
○笹山證人 大川君が誘つたのだろうと思いますが、別に氣にもとめていなかつたので、それ以上何も当時聞きませんでした。
#34
○武藤委員長 そのときの話題は、何か取立ててきまつたものが前もつてあつたのですか。
#35
○笹山證人 別に取立ててこれという話は何もありません。私ちようど興業銀行を退職したいと思つておつたころでありましたので、そういつた氣持の話をそこでしたと思います。
#36
○武藤委員長 菅原通済という人は知つておりますか。
#37
○笹山證人 存じません。お名前を昨年ごろからときどき新聞紙上等で見るだけで、御本人に会つたことは一度もございません。
#38
○武藤委員長 持株整理委員会が持株会社に対して持つておる権限というものは、大体においてどういうものですか。
#39
○笹山證人 第一條に、持株会社に指定せられた会社からは有價証券その他の財産を譲り受ける。またそれを管理処分するということで、持株会社の整理をするということに相なつております。しかし財産等だけでなく、有價証券を讓り受け、「之を管理及処分する等に依り」となつております。それが主たることでありますが、その他持株会社の整理を促進することに必要なことは何でもやれるような建前になつております。大体おもにやつておりますることは、有價証券は全部譲り受けてこれを管理処分しておるわけであります。それからその間は持つておりまする有價証券の議決権を行使する。また委任されておる議決権がございまするが、その委任されている議決権が持株会社に関するものであればやはりこの議決権を通じて第一條の目的に合致するような行使をすることが大体おもなことであります。しかしそれに必要な日常持株会社の業務の指導監督をいたしております。
#40
○武藤委員長 役員の任免等については、どうでありますか。
#41
○笹山證人 持株会社の総会の議案は、事前に必ず委員会の承認を要することになつております。役員の就退任等総会にかかるものは、事前に必ず委員会の承認をとつていただくというふうにいたしております。
#42
○武藤委員長 そうしますと、まず役員の就任退任等については、持株会社の方できめて、その案をあなたの方へ持つて來て承認を経る、そういうことが原則なんですか。
#43
○笹山證人 原則ときめられているわけでありませんが、実際の運用として、そういうふうに運用するようにいたしております。
#44
○武藤委員長 持株会社整理委員会の方できめて、それを持株会社に、こういうふうに任免をしたらよかろうと言うようなことはないのですか。
#45
○笹山證人 任免の免の方では、会社で案を持つて來られた場合には、この方は不適格だと思うという御注意はすることがしばしばあります。それから任の方でありますが、こういう人を役員にしなさいということは、できるだけ容喙しないように、運用としてやつて來ておるわけであります。
#46
○武藤委員長 大体において、それでは持株会社の自主性を尊重して、持つて來た者について意見を述べるという態度をとつておつた、そういうわけですね。
#47
○笹山證人 そうでございます。
#48
○武藤委員長 從つて、整理委員会の方から、具体的に案を示して、役員の就任等を押しつけるようなことはしないという方針でやつているわけですね。
#49
○笹山證人 その方針でやつて参りました。
#50
○武藤委員長 しかし実際において、持株会社整理委員会の方から、こういう人を役員にしたらよかろうと言つて、それをその役員にしたこともあるのですか。
#51
○笹山證人 昭和電工の場合が唯一の例であります。ほかにはありません。
#52
○武藤委員長 昭和電工の場合に限つて、なぜそういう特別の取扱いをいたしましたか。
#53
○笹山證人 司令部の要請に基いたわけであります。
#54
○武藤委員長 司令部の要請というのは、司令部から日野原を昭電の新しい社長にしなければならないということを、あなたの方へ話があつたわけですか。
#55
○笹山證人 その点はもうちよつと順序を追つてこまかに申し上げた方が、よく御了解が願えるのではないかと思いますが……。
#56
○武藤委員長 けつこうです、それじやGHGと整理委員会との関係並びにその折衝等を、一般的にも話していただきたいし、またこの昭和電工の特定の場合についても具体的に詳細に話してみてください。
#57
○笹山證人 それでは順序としまして、その前提の森さんが御退任になつていただいたことから申し上げます。
 昨年の一、二月ごろ、ことに二月に入つてからだつたと思いまするが、司令部の私たちの監督者は、反トラスト・カルテル部でありますが、そこの担当者で、私どもの委員会のオブザーバーであるバークレー・ヘンダーソン氏、それから同じ反トラスト・カルテル部でサーベランス・プランチというのが当時ございましたが、その主任者のメイジヤー・ザイビユラ氏、おもにこの二人の方を中心として、森さんの御退任を希望するような話が起つておつたのであります。それはその前年十一月の第二次指定で昭和電工が持株会社に指定せられましたし、森さんが一月四日の公職追放令で追放にかかられることがまた判明して参りましたし、それと別個に財閥として二月二十日の委員総会で十財閥関係の方五十六名ばかりが指定者ということに相なつておつたのでありまするが、財閥をさらに追加する必要があるのではないかという考えが司令部にありました。当時から十財閥以外の有力な企業結合といつたような方面についての調査を進めておりました。森さんの御事業は相当廣汎にわたつておられた関係上、司令部としては森さんの関係についていろいろ調査をしておつたようであります。これは当時司令部としては、春秋社から大分前に発行いたしておりました日本コンツエルン全書というのがありましたが、この本などをしきりに参考にしておつたように聞いております。その中の三宅晴輝さんの著書で、新興コンツエルン読本というのがあります。その新興コンツエルン読本の内容は、日窒、日曹、理研、それから森さんの方、この四コンツエルンを新興コンツエルン読本としてあげておつたようであります。その四つのコンツエルンのうちの日窒、日曹、理研の三つは一昨年財閥解体の問題が起つた一番最初に、司令部から十五財閥会社というのが指定されましたが、それにみんな入つております。そのうちで落ちておるのは森さんの方だけであつたのでありますが、その事情は存じませんが、とにかく残りの三つは全部財閥会社として最初のメモテンダムに指定しておつたりした関係もあるのではないかと思いますが、森さんの御事業に対して特に司令部の方でいろいろ深甚の注意をしておつたようにわれわれには見受けられました。もちろん森さんの方だけでなく、その他数件の、いわゆる財閥会社に対して調査を進めておつたようでありますが、森さんのところに対する注意が相当強かつたように私どもは見受けられたのであります。そういつた関係で、森さんに対して司令部の関心が非常に強かつたことと、ちようど追放にもかかられた、会社も持株会社に指定せられるといつたような関係から、会社をできるだけ早くやめていただく方が適当ではないかというふうな話がよりより出ておつたわけであります。しかしわれわれとしましては、追放令は出ておりましても審査が確定するまでは会社にとどまつておられる法の建前になつておりますから、必ずしもその前に一箇月、二箇月を爭つてやめていただく必要もないのじやないかと思つて、そういつた話をしておりましたし、また森さん以外にも追放にかかられた方で当時まだ残つておられた方もありますが、なるべく株主総会のときを利用して、その際に引下つていただくという建前でおりましたので、その旨を司令部にも話しておいたのであります。ところが二月二十日に先ほど申しました十財閥関係の個人指定というのをいたしました。五十六名の方を指定者として決定することだが妥当という意見を総会できめまして、内閣総理大臣へ上申した次第でありますが、その席上でオブザーバーのバークレー・ヘンダーソン氏から特に発言がありまして、まだ追放該当者、その他財閥関係者といつたような司令部のいわゆる好ましからざる人物が大会社の枢要な地位に残つておることに対して、反スラスト・カルテル部にしばしば苦情が持ち込まれる、持株会社整理委員会としてはそういう人をできるだけ早く排除しなけばいかぬ。それは必ずしも年次の総合といつたようなものをまつまでもなく、その辞職を強要する十分の威信を持つておるはずだと思う。やむを得ないときは議決権を行使しなければならないが、議決権を行使しないで辞職を強要する十分の威信を持株会社整理委員会は持つておるはずだ、それを躊躇しておつてはいかぬという重大な発言がありました。これは議事録にも記載されておりますし、私どもの方へ議事録は日本政府へ出しますと同時に、司令部の方へも提出して、さらにワシントンの極東委員会まで送られておるそうでありますが、その議事録にも載せてあります。そういつた重大な発言がありました。たまたまその前後はよく私存じませんが、サーヴエーランス、ブランチのメージヤー・ザイビユラ氏が昭和電工の帳簿檢査に出かけたそうであります。そのときに会社の方で帳簿の整理が十分でなかつたということで、これは後に伺つたところでは内容等に何ら格別間違つたことがあつたのではなかつたそうであります。ただ元帳への記載が遅れておられた。司令部の当事者の言うところでは、三箇月ぐらい元帳の記載ができていなかつた、こういうことで、とにかく司令部当事者は事情の判明するまでは相当その事実を重大視しておりました。復金から当時すでに数億の融資を受けておられ、今後もさらに数億受ける予定になつているのに、その金を帳簿にはつきり整理されておらないということは、はなはだけしからぬといつたようなことを言つたそうであります。これは私直接に聞いたのではありません。そういうことも一つのきつかけになつたのかと思いますけれども、それまでよりもさらに森さんの退任を迫る声が強くなりまして、結局三月に入つてから、三月上旬であつたと思いますが、森さんを退任させなければいかぬ、ぜひ退任させろという指図を受けたわけであります。それで私森さんにお出で願いまして、よくそういつた事情を御説明して、いずれあとでおやめにならなければならぬ時期は一二箇月後に迫つておつたわけでありますから、司令部の空氣を話して、早く自発的に退任される方が、会社に対しても、また森さん個人の將來に対してもよいのではないかといつたようなことを、ありのままにお話したわけであります。森さんはよく考えてみようということでその日は別れました。その後一週間か十日目に森さんにお目にかかつたのは、たしか三月十日前後ではなかつたかと思います。日にちの記憶は正確ではありません。十日前後であつたように記憶いたしております。私がお話をして一週間か十日くらいたつときに市村さんが見えられて、社長もいよいよやめられる決心をされて辞表を提出されましたという御報告を受けたと記憶しております。
#58
○武藤委員長 そこまででちよつと話を切つてください。オブザーヴアーのへンダーソン氏とかザイビユラ氏とかいう諸君は委員会の総会があるときだけ参るのでありますか。それともときどき折衝があつて往來があるのですか。
#59
○笹山證人 当時委員会の中にもオブザーヴアーの部屋を用意してありました。よくそこへ見えましたが、私の方の委員会の事務室が手狭なので、司令部の方へは委員会の方から毎日午前午後にわたつて、日常の事務の連絡に司令部の方へ出かけております。ヘンダーソン氏、ザイビユラ氏、これは毎日折衝があつたわけでありまするが、向うが委員会に見えられることよりも、委員会の方から渉外関係の者が司令部へ出かけるというのが普通の状態であります。
#60
○武藤委員長 それでザイビユラという人とヘンダーソンという人はどういう地位ですか。上下もあるのですか。
#61
○笹山證人 内部のことは私あまりよくわかりませんが、バークレー・ヘンダーソン氏は文官ですが、大佐待遇のように聞いておりました。PAというクラスで、今のウエルシユ氏とその資格の点では同じだつたように聞いております。アンチ・トラスト・アンド・カルテルの中の私の方の仕事を直接担当するのはリクイデーシヨン・ブランチというのが当時あつたのであります。そのリクイデーシヨン・ブランチの課長であつて、このメージヤ一・ザイビユラ氏は、先ほど申しましたサーヴエランス・ブランチ、これは制限会社令違反等を調べたり、いろいろ許可事項を扱う係でした。その責任者であつたわけであります。
#62
○武藤委員長 いつでもお会いになるのは両氏にお会いになるのですか。別々ですか。
#63
○笹山證人 仕事によつて別々のこともありまするし、両方に関連する場合もあります。ヘンダーソン氏は当時オブザーヴアーでしたから、委員会関係の仕事は全部一應はヘンダーソン氏を必ず通しておつた。
#64
○武藤委員長 へンダーソン氏はオブザーヴアーで、ザイビユラ氏は特にオブザーヴアーというわけではないのですか。
#65
○笹山證人 オブザーヴアーではありません。
#66
○武藤委員長 ここへの連絡はだれがしますか。
#67
○笹山證人 主として常務員の野田岩次郎君、そのほかに二三名のスタツフの者が行つております。
#68
○武藤委員長 あなたは行かれたことはないのですか。
#69
○笹山證人 私は英語が不自由なものですから、めつたに行つたことはありません。
#70
○武藤委員長 向こうから來たときにはもちろん会いますね。
#71
○笹山證人 はあ。
#72
○武藤委員長 連絡をこちらから行つてするなり、向うから來て話しに來るなりする場合に、オーダーとかサゼツツヨンとかいう名前で言われておるようでございますけれども、書いたものを出すことが多いのですか。口で言うだけですか。
#73
○笹山證人 書いたものを出すことはきわめて重大な問題の場合で、主として口頭の場合が多いわけでございます。これもやはりその人々に多少よりまするし、現在のミスター・ウエルシユ氏は比較的書いたものをよく渡します。ウエルシユ氏の見えるまでは書いたものよりも口頭での指示の方が多かつたのであります。
#74
○武藤委員長 何かその当時こういう場合には書いたものでするとか、こういう場合には口頭だとかいう話合いがあつたわけでないのですね。
#75
○笹山證人 ございません。そこまで仕事が秩序立つていなかつたと言つてもいいかと思います。
#76
○武藤委員長 そのときどきの具体的意見について、あるいは口答であるいはきわめて重要なものについては文書でというような便宜な取扱いをしておつたのですか。
#77
○笹山證人 当時文書というのはほとんどなかつたと言つてよいくらいだつたと思います。
#78
○武藤委員長 あなたの記憶のある文書で出ました指示というのはオーダーですか、何ですか。
#79
○笹山證人 文書のは英語で何と言いますか、このごろはみなメモランダムと言つておるようですが、ウエルシユ氏が見えて、殊に集中排除法の仕事が始まつてからは非常に事務的なことが多いものですから、たびたびメモランダムをもらつておりますが、それまでは書いた物でよこしたことはちよつと今調べて見ないと記憶がございませんが、ほとんどなかつたようでございます。前のバークレー・ヘンダーソン氏、それに続いて一時カフエラー氏がそのあと暫定的にアンチ・トラスト部の部長をやつておられたことがありますが、そのころは書いた物はよこさないで、みな口頭でいろいろ指図を受けました。
#80
○武藤委員長 口頭だと指示……、日本語で言わせるならば指示とか勧告とかいう種類に訳すことができると思いますが、これは指示、オーダーであるとかサゼツシヨンであるとかいうようなことを、特に断るのですか。
#81
○笹山證人 英語で言えばインストラクシヨンというような言葉が一番当つていると思いますが、私も字句の点ははつきり申し上げかねます。要するにいわゆる内面指導といつたことが多いわけでございます。それを強力に命令的にぜひやれと言われる場合と、それほど強くない場合とある。こう御解釈願いたい。
#82
○武藤委員長 そうすると特にこれはインストラクシヨンである。これはサゼツシヨンである。これはオーダーだということを特に断るわけじやないのですね。内容でそういうふうな話ではどうしてもやらなくちやならぬ。これはなるべくという趣旨らしい。こういうふうに了解しておつたのですか。
#83
○笹山證人 大体そうでございます。向うの言葉でもちろん命令するといつたような言葉を、これはGHQの命令だからぜひやれといつたような言葉を使うことはもちちんあります。そういつた場合はどうにものつぴきならぬ問題の場合が多いわけでございます。われわれはそういつたものはオーダーと言いますか、命令と解釈しておるわけです。
#84
○武藤委員長 それから向うの話でもそれはぐあいが悪いと言つて断つた場合もあるのですか。
#85
○笹山證人 多くあります。
#86
○武藤委員長 森氏にやめてもらうという話は、何回もそういうことが話に出たのですか。その実現するまでには……。
#87
○笹山證人 その辺は野田委員の方がさらによくお話できるかと思いますが、そういつたことが何かの話のときによく出ておつたのでありますが、それは先ほど申し上げました二月二十日の総会の席上のへンダーソンの声明にありましたように、これは森さんに限らないことでありますが、まだ相当追放該当者が残つている。そういつた人はこの持株会社の場合はできるだけ早くやめてもらわなければいかんということを、一般的に言つておつたわけですが、そういうときに、やはりたとえてば森さんのごときも早くやめてもらわないといかんと言つたような話は、一再ならず出ておつたようであります。最後に三月の上旬ごろ、もうどうしてもいかんからやめさせろといつた命令的な――これは命令とわれわれ解釈しているのですが、そういう話が野田委員を通じてあつたわけでございます。
#88
○武藤委員長 それは、森氏をどうしてもやめさせたいという明らかな意思は、二月二十日のヘンダーソンの話でありますね、これが一番はつきりしたものですね。
#89
○笹山證人 二月二十日にはそういつた向うの氣持を一般的に表明せられたわけでございますが、その後に三月の上旬ごろと思います。森さんの具体的な話がありましたのは……。
#90
○武藤委員長 二月二十日には森さんも含むそういうものは、なるべくやめた方がよかろうという発言であつて、三月上旬になつて、最も具体的に森さんの問題について、どうしても早くやめなければならぬことがあつたわけですね。
#91
○笹山證人 さようでございます。
#92
○武藤委員長 これは野田さんが連絡に行つてだれに会つたのですか。
#93
○笹山證人 それはヘンダーソン、ザイビユラ両氏だと思いますが、主として三月の初めのときはメージヤー・ザイビユラであつたかもしれません。しかしヘンダーソンももちろん同じような考えでいたと思います。
#94
○武藤委員長 それで帰つて來てその日野田氏から報告があつたわけですね。
#95
○笹山證人 さようでございます。臨時総会を開かして、退任の決議をさしたらよいじやないかといつたようなことも向うは附随的に言つたようでございます。ちよつとその当時の記憶がありません。森さんはその前興銀時代からよく存じ上げておきましたものですが、そんな何も四角ばつたことをする必要はない、どうしても司令部でそう言われるならば、ひとつ森さんに直接お会いしてよく御懇談しよう。そうすれば事情は御了解願えるだろうということで、臨時総会といつた話もあつたようにちよつと聞きましたけれども、これはこちらで受入れなかつたわけです。
#96
○武藤委員長 帳簿検査にGHQから行つたのはだれが行つたのですか。
#97
○笹山證人 それはメジヤー・ザイビユラ氏と二世の津久野という人が行つたように聞いておりますが、これは私ども直後には聞かなかつたので、あまりそのときの詳しい事情は存じておりません。
#98
○武藤委員長 この帳簿検査と森氏をやめさせることの間には、何か関連が当時あつたのですか。
#99
○笹山證人 先ほど申し上げますように、一般的にその前から森さんに対する司令部の関心が非常に強く、その前からやめさせなければいかんじやないかと言つたような話がちらほら出ておつたのでありまするが、帳簿検査ということが、一つのきつかけになつたように思つております。われわれそう感じております。
#100
○武藤委員長 帳簿検査ということがなくても、追放し得る條件に該当すれば追放できると思いますが、あえて帳簿を検査して、欠点を発見してそれを理由に森氏に退任を求める必要はないのではないですか。
#101
○笹山證人 いや帳簿検査を理由にということではなくて、先方の理由はそれよりも持株会社の社長に、追放該当者であり、それから先方としては財閥の追加という考えは当時ありました。その後者の有力な一人として、森さんをマークしておつたわけです。そういつた人が数億の金を使つておる大会社の社長にそのまま続いておることはおもしろくない、好ましくない、できるだけ早く退任していただかなければいかないという考えが基本的にあつたわけです。そこへ帳簿検査をしたところが、たまたまその結果が司令部の満足するところでなかつたということで、その機運を一層強めた、話が具体的になつて來た、こういう状態であります。
#102
○武藤委員長 その当時一般的の会社に対してザイビユラ氏なりへンダーソン氏なりが帳簿検査を施行したというわけではなかつたのですか。
#103
○笹山證人 これは大分方々の会社で帳簿検査をやつておりました。一昨年の十一月の末か十二月の初めごろからそういう仕事をアンチ・トラストで始めたわけであります。一番最初は大阪の住友関係を調査に行つたようであります。その後も引続き相当多数の会社に対して不意に帳簿検査に行くことをやつておつたように聞いております。
#104
○武藤委員長 それでいよいよやめさせることになつて、市村氏にあなたはお会いになつたわけですね。
#105
○笹山證人 いや森さんに直接お会いした。そうしてそういう司令部の空氣があるということは市村さんはそのころよく委員会に見えておられたので、一般的な空氣はその前にも市村さんにお傳えしておつたことはあります。
#106
○武藤委員長 それから先の話を続けてみてください。
#107
○笹山證人 それで市村さんから森さんがいよいよ退任される決心をされた。辞表をお出しになつたということを伺いました。それは先ほど申し上げましたように森さんにお会いした一週間くらいあとではなかつたかと記憶しておりますが、その間だつたと思います。十五日前後ではなかつたかと思うのですが、興銀の当時理事をしておりました栗栖君が見えて、司令部から昭和電工の後任社長の人選を命ぜられて数名の候補者を書いて出せという命令を受けたので、今司令部へリストを届けて來た。そうしたらそのリストを受取つた上で、さつそくこれを持株会社整理委員会の方へも連絡して置けと言われたからということで、今司令部の帰りに寄つたのだという話で、三名の氏名を書いたリストを持つて來たわけであります。そのころ市村さんが委員会へ見えたときに、森さんがいよいよ退任されることになれば、あとなかなか適当な社長も社内に見当らないし、自分と中村常務とが専務に就任して、両專務を中心にして合議制でやつて行きたいと思つておるというお話がありました。私もそれ以外になかなか方法もないだろうと思われるし、そういうことであなたもなかなかたいへんでしようが、そう行かれるより仕方がないでしようというような話をしておつたのであります。そういつた氣持のときでありましたので、栗栖君が三名の新社長の後任者のリストを持つてきたときに、新しい社長をさらに入れるという考えが司令部にあることをそのときん初めて承知したのでありますが、なかなか新しく社長を入れると言つても、はたしてこの三人の人も具体的に折衝したときに承認されるかどうか、相当困難な問題じやないかと思われるし、またよそから從來縁のなかつた人を社長に入れてもなかなか経営も容易ではないと思われるし、司令部ではそういうことを考えておられるか知らないが、一應このところは合議制で行くという会社の考えそのままに進んでいただいて、ただ経理の点を問題にされておつたわけでありますから、その内容は格別大したことでもなかつたようでありまするが、一應司令部としては問題にしておつたことでもありまするし、また復金から引続いて多くの融資がなされる予定になつておつたときでもありますから、経理担当の常務重役または取締役、経理部長というような人を、だれか復金等で適当な人を選定して一枚加わつてもらうというようなことで進む以外に、なかなか方法はないのではないかという話をそのときしたのであります。栗栖君もそういうことで司令部の方も了承してもらえるならばしごくけつこうだ、自分の方からも司令部の方にさらに当つて見ようが、君の方からも協力してくれないかというような話で、そのときは別れたのであります。それでリストをもらつた報告を司令部へすると同時に、合議制の話、経理担当重役を入れる程度というような話を司令部の方へも野田委員を通じてもらつたのでありますけれども、どうもなかなか納得してもらえなかつた。そのままで数日間経過したと思いまするが、三月二十二日と私記憶しておりますけれども、二十二日の午後にバークレー・へンダーソン、メージヤー・ザイビユラ氏が委員会に直接やつて参りまして、野田委員と私どもがその部屋に呼ばれた。その席上新社長を入れなければいかんという話が出たわけであります。私はそれまで考えておつた点を極力説明して、なかなか財閥以外にまだ多数の人が追放にかかつておつて、その追放にかかつておらない人の中から適当な人を物色することは非常に困難だということを縷々述べて先方の考慮を求めたのでありますが、どうしても聞かれません。これはとにかくもわれわれの命令だ、どうしてもやらなければいかん、あれほどの大きい会社で数億の金を使つておるところに最高責任者がいないということは好ましくない、どうしても新社長を入れなければ承服できないという非常に強硬な話でありました。これは先方の考えも先方の立場で考えれば筋の通つた話でもありますし、命令するからやれというところまで強く言われれば、立場上これをその上拒否するわけにもまいりません。それではできるだけひとつ努力してみよう、しかし総会は二十八日に迫つておりますので、二十八日の総会までに新社長を就任させろということは、時間的に非常にむりであるし、われわれも自信がない。それではひとつ総会は一、二週間延期させてもらいたい、その間極力努力してみましようということを申しましたが、総会の延期は罷りならぬということで、これも承知してもらえませんでした。それでとにかくできるかできないかわかりませんが、そう強く命ぜられた以上は、その線に沿つてやれるだけのことをやらなければならぬと思いましたので、そうなれば復金側は先に人選を命ぜられて候補者を提案しておるわけでありますから、まずその線に沿つて具体的に問題を進めてみるのが順序だろうと思いまして、その日の帰りにすぐ復金を訪ねました。ちようど二宮君がまだ残つておりましたので、二宮君にその旨を話したのであります。司令部の考えでどうしても新社長を入れろということで、われわれは命令を受けた、こうなればぜひとも何とかその実現に努力しけなればならぬ、ついては君の方で前もつて三人のリストが出ておるし、その線に沿つてひとつその候補者に具体的に折衝してもらいたいということで、それを依頼してわかれたのであります。そのときに候補者のリストの第一に載つておりました日野原君にまず二宮君が折衝したわけでありますが、日野原君が就任の内諾を復金並びに私の方に報告に來たのが二十五日であつたように記憶しております。大体日野原君に交渉するまでの経過はただいま申し上げたような次第であります。
#108
○武藤委員長 そうしますとあなた自身としても、新社長をにわかに入れること、日野原氏を新社長とすることについては賛成をしておられなかつたわけですね。
#109
○笹山證人 司令部に命ぜられるまでは、われわれの考えといたしましては、先ほども御説明しておきましたように、人事に積極的に容喙することはなるべくやらない、できるだけ会社で自主的に人事はやつていただく、それをわれわれは監督するといつたような建前で行きたいとかねがね思つておりましたので、新しく新社長をよそから入れることは、当初われわれは望んでいなかつたのであります。
#110
○武藤委員長 野田氏も同じ考えでありましたか。
#111
○笹山證人 同じであります。
#112
○武藤委員長 それではGHQの方からそういう話がなかつたならば、あなたの方は市村、中村両君らの合議制でもよかろうということで進んだわけだつたのですね。
#113
○笹山證人 さようでございます。
#114
○武藤委員長 この場合は、あなたとしてはどうすることもできなかつたわけでありますか。
#115
○笹山證人 さようであります。
#116
○武藤委員長 しかし役員の退任、就任等については、直接GHQがやるわけではありませんから、結局は表に現われる形は、持株会社整理委員会の意思として昭電の方へ與えたわけですね。
#117
○笹山證人 そうなるわけであります。役員の就退任は、実際問題としてはみな事前に司令部の承認をとらなければならぬことになつておりますけれども、しかしそれは司令部と委員会との内部関係の問題でありまして、相手方に対した場合は、委員会が表に立つてやつておるわけであります。
#118
○武藤委員長 從つて昭和電工の場合にも、会社側の現重役の意思に反しても、これを押しつけて交替をさせたわけですね。
#119
○笹山證人 押しつけてということになるかと思いますが、当時の対外関係の事情を会社側によく連絡しまして、それを納得していただいたという実情であります。
#120
○武藤委員長 大分市村民らの残留重役はもちろん、その他の幹部社員あるいは労組等でも、これには極力反対をしておつたようでありますけれども、そういう事実がありましたか。
#121
○笹山證人 市村さんに新社長の問題を話したのは二十六日の午後だつたと記憶するのでありまするが、新社長に日野原君を推薦するということは、先ほど申しましたように日野原君から自分でよければ就任してもよろしいという承諾の回答がありましたので、復金側と相談した結果、最初に新社長の問題を司令部から話のあつた復金側で会社へ話していただきたい、但しそのときに持株整理委員会の方でもそのことについては了解しているからということは言つていただいてもよろしいということで、復金の方と打合わせまして、その結果、それが二十五日の夕方だつた思いますが、翌二十六日の午前に市村さんが復金へ招かれて、そこで復金の方から日野原君を後任社長として推薦したいという申入れをされたと思います。がなかなか市村さんの了解を得なかつた。市村さんとしては非常に突然な話で、もつともだと思うのですが、了解を得ないかやというので午後に私の方へ見えまして、結局問題の起りが司令部から起つておるわけでありますから、その間の事情は復金よりもわれわれの方がよく承知しておりますので、その事情を説明しなければよく御納得がいかないことだと思いましたので、私からその間の事情を市村さんに詳しく説明したわけであります。その結果市村さんも事情がそういうことであるならばやむを得まいということで了承されたのでありますが、しかし債権者は復金以外にもあるし、また他の株主等に対しても復金の推薦ということでは非常に説明がしにくい、なかなか納得がいきにくい。そこでGHQのさしずだということを言つてよろしければ――そのときにオーダーという言葉を使われたかどうか記憶はありませんが、そういつた意味のことを言われたと思います。とにかくGHQのさしずということを、株主総会の席上においても、あるいは他の債権者等に対しても、言うことができるならば了解を得ることも困難でないと思う。そういつた説明をしてよろしいかというお話がありました。あまり表にGHQを出すのはどうかと思つて、私その点についてはいささか躊躇しておつたのでありますが、たまたまそこヘヘンダーソン氏あるいはヘンダーソン、ザイビユラ両氏が当日また委員会に見えましたので、その事情を述べましたら、GHQの命令だと言うて差支えないという承認を得まして、そのことを市村さんにすぐにお傳えしたと思います。それでそういうことであればひとつそういつた話で了解を求めるようにいたしましよう。しかしそれにしても二十八日の総会を間近にひかえて時間的に自分には自信がない。事ここに至ればできるだけ円満に事を運びたい。その方が得策だと思うが、しかし時間がいかにも短か過ぎる。せめて一、二週間あれば各工場等に十分事情を説明することができると思うが、二日間ではどうでもしようがないので、はたして円満に運べるかどうか、その点自信がないというお話がありましたので、これもごもつともだと思いました。私もできるだけ御加勢いたしまして、司令部関係の事情等を説明するのは、私から直接説明した方がよく皆樣方の御納得がいくかもわからない。他の重役方に対してもあなたが話されたあと、さらに私から詳しく御説明しましよう。それで必要があつたらここへほかの重役方を連れておいでになつたらどうですと申しました。市村さんもそうしてもらえば非常に結構だということで、その翌日中村常務、それから松本常務、大原常務、それに新しく重役になるはずであつた鎌田さん、それだけの方が一緒に見えられたと思います。その席上で私また最初からの事情を詳しく皆樣に申し上げました。そういう事情であればなるべくひとつ円満に事を運びましようということで皆樣も納得された。こういう状態であります。なお川崎工場の組合長の方でしたか、たしかその日に見えた方でありますが、この方にも同樣な説明をして御了解をいただいたわけであります。
#122
○武藤委員長 あなたが森氏あるいは市村氏に対して、森氏がやめないと二十四時間以内に財閥に指定するとか、あるいは重大な事態が起るとか、そうなると占領政策違反だというようなことを言つたことはありませんか。
#123
○笹山證人 二十四時間以内に財閥に指定されるというようなことは私申した記憶は全然ございません。それから重大事態という言葉を使つた記憶はありませんが、とにかく司令部の当時の実情がそのように森さんにとつては非常に重大な状態にあるということは説明したわけであります。それから財閥追加といつた問題が当時から起つておりました。先ほど來申し上げましたように、森さんもその有力候補の一に数えられておつたという事情がありまするので、そういつたきびしい空気のあることはお話しましたから、重大には考えられたと思います。また当時委員会としては昭和電工に対する株は八万五千株ばかりで、パーセンテージから行きますと、一・七%程度であります。司令部から話のありましたときも、ここには株は二%足らずしかないのだから、それを議決権で強行しようとしても、なかなかむずかしいのだという話をしたときに、もしその必要があるならば若狹興業並びに味の素、この両社をさらに持株会社に指定したらいいではないかという話が出ておつたということも聞いておりましたので、情勢によつてはそういう措置をとれという命令が出ないとも限らないという空氣は、ありのままざつくばらんにお話しておつたわけであります。ですから森さんにしても市村さんにしても、非常に重大な状態であるということはお感じになつたと思います。
#124
○武藤委員長 さきのお話を聞くと、三人の候補者を選んで持つてきたのは栗栖氏が選んだというのでありますけれども……。
#125
○笹山證人 選んだのは栗栖氏かどうか知りませんが、私のところへ持つて來たのは栗栖氏でした。
#126
○武藤委員長 何と言つて持つて來たのですか。これはどういうことでこの三人がきまつたという説明はなかつたのですか。
#127
○笹山證人 メージヤー・ザイビユラから呼び出しがあつて、当時二宮君が復金の理事で復金の渉外関係を担当しておりましたから、二宮君が呼び出されたというふうに私は聞いております。それでメージヤー・ザイビユラから昭和電工の新社長の人選をしろということを言われたので、二宮君としては、当時まだ森さんが社長の地位におられたわけですから、少し異樣に感じて、そうすると今の森社長はどういうことになるのですか、やめられるのですかという反問をしたのに対して、メイジヤー・ザイビユラがやめるべきだという回答をしたというふうに、これはその後二宮君から直接私は聞きました。それじや森さん、いよいよやめられることになつたのかなあ、そういう事情であれば、命令に從つて候補者の名前を出さなければなるまいと思つて、それを承知したと聞いておりますが、そのときに、これも世間に傳わつておるようでありますが、條件を示された。それは財閥に何ら関係ない人、もちろん追放者でないこと、それから化学工業とか肥料工業に経驗のある人、社長の経驗と言つたのか、社長クラスと言つたのか、よく知りません。とにかく社長級の人、それからフレツシユ・マンという言葉を使つたそうですが、そういつた條件を示されて、こういう條件で大体候補者を人選しろという命令だつたそうであります。その線に從つて三人の人を人選して、そのリストを司令部へ持つて行つた。持つて行つたら、さつきお話したように、よろしいと受取つて、そのコピイを持株会社整理委員会の方に連絡しておけと言われたので寄つたと言つて、私のところへ見えたのです。
#128
○武藤委員長 その三人のうちではだれを一番――第一候補、第二候補、第三候補というふうにしてありましたか。
#129
○笹山證人 別に第一候補、第二候補、第三候補としてあつたわけではありませんが、私の見た記憶では、一番初めに日野原君の名前が書いてありました。二番目に保土谷化学の社長の磯村さん、三番目に信越化学の社長の今井さんの名前があつた。第一候補、第二候補、第三候補と数字をつけてあつたわけじやありませんが、順序はそういう順序になつておりました。
#130
○武藤委員長 そこで一番初めに書いてあつた日野原氏に折衝したわけですね。
#131
○笹山證人 必ずしもその書いてある順序でもなかつたと思います。今井さんはお年も行つておるだろうし、あとから調べてみると、追放にも該当せられておつたということでありますが、一應先方の條件にはまつておるのは磯村さん、日野原氏であります。磯村さんは保土谷化学の復興でなかなかたいへんなときでしたし、兼任が許されるものであればいざしらず、兼任が許されないと、保土谷化学を全然去つて昭和電工へ行かれることは、これは御相談をしてもなかなか無理な問題じやないかと、私すぐに感じましたので、そういつた感じは栗栖君にも私話しましたし、二宮君にも話しました。日原野君については、先ほど申しましたように、簡単に二回ばかり会つたことがあるだけで、あまり話もしたことはなし、よくその経歴等も知らなかつたわけですが、ただその前年の五、六月ごろから日本水素工業の社長になつて、これが建直しに懸命になつておることは、間接に聞いて知つておりました。水素工業に行つて、一年足らずでほかへかわるということは、これもなかなか困難な問題じやないかと私單に想像しておつたわけでありまするが、まあしかし磯村さんよりはいくらかその困難性がうすいかもわからぬといつたような話は、二宮君と会つたときにお互いにしたと思います。で二宮君はかねがね日野原君と懇意であつたことも知つておりましたから、まず第一に書いてもあつたしその辺で一應日野原君に当つてみることに二宮君の方でなつた、こういう事情であります。
#132
○武藤委員長 日野原氏に話をしたのは二十五日ごろですか。
#133
○笹山證人 二宮君はそのときに二十二日にしたのか、二十三日にしたのか、存じませんが、とにかく二十三日の朝までにはその話をしたと思います。と申しますのは、二十三日がちようど日曜日に当つていますが、日野原君に二宮君が話をしたら――ちよつとその前に申し上げますが、私その二宮君に会つたときに、この三人の人に対して、一應君の方では、いよいよとなればだれかが就任してくれる意思があるかどうか、多少内意でも当つてみておるのかと聞いたら、いや、だれにも当つていない、こういう話でありました。それで二十二日に行つたときに、それじやだれかにひとつ当つてみてくれということで、結局日野原氏に二宮君が当るようになつた。多分二十三日の朝じやないかと思いまするが、二宮君が日野原君に話した結果、司令部関係の事情等をもう少し知りたいということで、それじや笹山に会つて、なお直接聞いてみたらどうかという話になつて、二宮君が案内して私のうちへ日野原君と二人で訪ねて來たのであります。私その日は埼玉縣の方へ寺参りに行つておつたので、おりませんでした。それははつきり記憶しております。その翌日の二十四日に委員会の事務所に日野原君がやつて來たので、森さん退任前後の事情から、そのあと合議制という話も起つておつたのが、こういうふうに変換して來たという、その経過を詳細私説明したわけであります。ひとつ考えてみようということで日野原君は別れて、その翌日、多分二十五日の朝に、復金の方へ、引受けてもよろしいという返事に行つたのだと思います。そのあとで私の方へも來て、復金へけさ返事をいたしましたと言つて、私の方へも報告がありました。
#134
○武藤委員長 そのあなたと二宮さんと日野原氏とお会いになつて、話をして、昭電の新社長になつてもらいたいと言つたときに、日野原氏は非常に意外でありましたか。迷惑らしかつたですか、それとも非常に結構だつたですか。
#135
○笹山證人 いや日野原氏に最初話したときには、私同席しておりません。二宮君が直接話した。そうして話した結果、私からさらに詳しく事情を聞きたいということで、私のところヘ二人が來たのですが、そのときに私はいなかつたので、その翌日委員会に來たときには、日野原君一人だつたと思います。
#136
○武藤委員長 それでまあ引受けてもよいという……。
#137
○笹山證人 その場ではすぐそういつた返事はなかつたと思います。まあひとつよく考えてみてください、考えてみましようということで……。
#138
○武藤委員長 大分うれしそうじやなかつたですか……。
#139
○笹山證人 私も会つて話をしたのはそのときがほとんど初めてと言つてもよいくらいで、それまでよく知らない人でしたから、樣子はわかりませんが、まあびつくりと言いますか、そういうような表情だつたと思いますが、あまりはつきり記憶はしておりません。
#140
○武藤委員長 聞くところよると、日野原氏はすでに二月ごろ二宮氏のところに來て、おれを昭電社長にするように、GHQに推薦してもらいたいというようなことを言つたということでありますが……。
#141
○笹山證人 それは全然私知りません。ただいま初めて伺いました。
#142
○武藤委員長 それから早く社長をきめろとGHQが言つていると興銀に行つて言つたのは日野原氏だということです。もしそれが事実だとすると、日野原氏は前もつて社長就任の運動をしておつたのではないかと思う。從つて……。
#143
○笹山證人 私どもにはそういつたことは全然感じられませんでした。日野原氏という人を知らなかつたせいもありますが、聞いておりません。
#144
○武藤委員長 ひとつ考えてみましようというのは、たいへん迷惑な話みたいな意味で、考えてみましようという趣旨であつたようですか。
#145
○笹山證人 それほどでもなかつたようであります。私はさつき申し上げたように、日本水素の方がとうてい手が引けない状態ではないかと思つて、その点を確かめたのでありますが、大体日本水素の方の建直しもほぼできた。あと一、二箇月すればとにかく硫安ができるような状態にこぎ着けたので、日本水素の方は自分としては手を引けない状態ではないということでした。またこの化学、工業会社で技術の関係は大事なことだと思つて、その点聞きましたら、水素工業の建直しをするについては、昭和電工の技術を拜借してやつておるので、技術的にも多少の関連がないことはないといつたような話をそのとき聞きました。それではひとつあなたもよく考えてみてください。ただ問題が二十八日というように非常に切迫しているので、返事はできるだけ早くしてくださいということで別れました。
#146
○武藤委員長 結局二十八日の総会で日野原氏が社長ということになつたわけですね。
#147
○笹山證人 さようでございます。
#148
○武藤委員長 あなたの方からだれか行つておつたのですか。
#149
○笹山證人 当時監理部の次長をしておられました永井三郎氏とほかにもう一人担当者、多分二人だつたと思いますが、その総会に臨席したわけであります。これはそのころ少し問題のあつた会社の場合は、株主総会に司令部の方から直接臨席することもありますし、またそうでない場合に、委員会の方から臨席して、その模樣を報告しろという話を受ける場合もありました。昭和電工の場合は、総会に行つて、あとでその模樣を報告しろということであつたと思います。それで永井君とほかに一人、多分吉田という係員だと思いますが、二人が列席しております。
#150
○武藤委員長 やつた目的は、この二十八日の総会が予定通りに行くかどうかということを見届けるために行つたわけですか。
#151
○笹山證人 そうです。それと総会の席上でいろいろ反対の意見等もあるから、またなかなか円滑に行かないかもわかりませんし、そうすればそういつた模樣をやはり報告しなければならないので、実情を見るために列席したわけであります。
#152
○武藤委員長 日野原氏と一緒に藤本忍という人が昭電に入られたようでありますけれども、これについても市村氏その他から反対がありましたか。
#153
○笹山證人 藤本氏の話は、日野原君が就任を承諾して、そのことを司令部へ報告して、司令部からそれなら日野原という男を社長に推薦しろという話を受けて、その直後だつたと思いますが、日野原君から、一人だけ重役を連れて入りたいというので、藤本君を連れて入られた。司令部の方もそれは了解した。それで市村さんその他の方に、二十七日だと思いますが、数名重役の方が見えられたときに、そこで日野原君から相談を持ちかけたわけです。その前に日野原君を私から各重役に御紹介したわけでありますが、その席で日野原君から藤本君を連れて入りたいという相談をしたわけです。それに対して市村さんから、どうもさらに社長以外にまたほかの人を入れることは、あまり感心しないということで反対の意向を漏らされました。そのうちに中村常務だつたと思いますが、日野原さんもたつた一人では心さびしいだろう。まあ一人くらい連れて入られるのはいいじやないかというような発言があつて、ほかの人もそれに同意され、市村さんも、ほかの人も別に異議がないなら、自分もしいて反対しないということで、その場で話がきまつた。二十七日だつたと思います。
#154
○武藤委員長 そのときに、これもGHQの命令なんだ。反対しては困るという話が出たのではありませんか。
#155
○笹山證人 藤本氏の場合に、これも命令だとは言わなかつたと思いますが、GHQも了解しているとは言つたと思います。これも命令だということまでは言わなかつたと記憶しております。GHQに聞けば、そう言わなければ進まないということであれば、オーダーだと言つてもよろしいということは、あるいは言つたかもしれませんが、それほど藤本君の場合は重大でなかつたと記憶しております。
#156
○武藤委員長 森社長の退任、日野原新社長の就任等について、整理委員会の総会に報告をいたしましたか。
#157
○笹山證人 総会には、五月の定時総会のときに議決権行使の承認という形で承認をとつております。と申しますのは、一・七%、すなわち八万五千株の議決権があつたわけであります。これは当日市村さんに委任状を差上げて、この議決権を行使したわけであります。議決権を行使したものはみな、報告することになつておるので、それで五月の定時総会に議決権行使の中に入れて、但し特に昭和電工については、そのときに一言附加して報告承認を得ております。
#158
○武藤委員長 そうすると議決権を行使したことと、議決権行使によつて新旧社長の就退任が行われたということを報告したわけですか。そうではないのですか。
#159
○笹山證人 その前にこの昭和電工の場合には、実質的には委員会からの強い会社に対する勧告だというのが実情でありまするが、それと同時に議決権を持つておつたので、持つておる範囲の議決権を行使したわけであります。そういつた勧告という形でやることは、いわゆる内面指導でありますので、これは総会の席上で議題にかけるのは必ずしも適当でありません。そういつたことは非公式でありまするが、委員の懇談会の席上で了解を求めるようにしております。二十八日の昭和電工の総会の前日の二十七日が委員の懇談会の日でありましたので、そのときにこういう突発事情が起きたという報告はして、非公式の御了解を得ておつたわけであります。それで総会にはその形式的な方の半面の議決権行使という点を総会の方には承認事項としてかけた。こういう次第であります。
#160
○武藤委員長 それでは議決権の行使だけを報告して、新旧社長の就退任についてのことは何も報告はなかつたというわけですか。
#161
○笹山證人 それは委員懇談会の方で了承していただいた。
#162
○武藤委員長 これは報告しなくてもいいものですか、報告しなければならぬものですか。
#163
○笹山證人 そういつた内面的のことは、一々総会にはかけないで、実質的に委員会の懇談会といつたような席上で了解していただくようにしております。こういつた例はほかにたくさんありません。総会の事項とは多少違う問題であります。
#164
○武藤委員長 しかし持株会社の総会ではなくて、整理委員会の総会は人数も少いし、大体内面指導ということはわかりきつたことであるから……。
#165
○笹山證人 委員方にはわかつておるのでありますが、それを報告の形式で、正式の書面として外部へ出すのには形を整えることも必要ですし、実情は各委員に了解していただいておつたのであります。議決権行使の点でそのことは報告済みでありますが、ことに口頭でその際に私から五月の総会のときには他の二、三件と一緒に説明はいたしたわけであります。
#166
○武藤委員長 そうしたらば、だれかから意見がなかつたですか。
#167
○笹山證人 その総会のときには別に御意見はありませんでした。
#168
○武藤委員長 懇談会のときには……。
#169
○笹山證人 二十七日の懇談会のときに脇村委員から森さんにやめていただくということ、それからマ司令部の要請であれば、新しい社長を何人か入れることについては別に意見はないが、なるべくなら正面から議決権行使という形の方がさらに適当な方法ではないか。そのためには味の素、若狹をまず持株会社に指定しておいて、その議決権を行使するという形にした方が形が整うではないかというような御意見はありました。しかしそれは時日がいかにも切迫しておりますし、またそのために若狭興業、味の素両社を持株会社に指定することも、他にいろいろ影響がありますので、なるべくそういつたことは避けて、問題が解決すればその方が良策ではないかと思いましたので、そういつた意味の説明をして御納得いただいたわけであります。
#170
○武藤委員長 この日野原社長の就任は必ずしも適任ではない、適任であるとはあなた方も考えておられなかつたようでありますけれども、その後昭和電工を日野原社長に預けてやらせることについて、何らか適当な処置をとつたわけですか。
#171
○笹山證人 適任であるかどうか、当時日野原氏に対する知識はそれほど私どもありません。その点は十分われわれは考えなかつたわけですが、ただ復金で推薦する人であるから、復金が責任をもつて推薦する人である以上、信頼してしかるべき人であろう、復金に対する信頼からいつて、一應日野原氏を信頼しておつたわけです。
#172
○武藤委員長 それでまかせきりというわけですか。
#173
○笹山證人 その後就任されて間もなく、大量の人員整理がありました。また市村常務、鎌田取締も退任されるという事態が起つたのでありますが、これに対しては実はその事前に私ども知りませんでした。事後に承知したわけであります。実は多少驚いたのでありますが、しかしその後問題も解決しましたし、その後は生産がはたして上るかどうか、その点を心配して、当時はしばしば日野原氏を呼んで生産の状況等を聞いておりました。五月に川崎工場も一万トンを突破する、また他の四工場、石灰窒素その他の生産もだんだん上つて來たという報告を聞きましたし、そのうち七月の総会で大仲常務、鳥巣常務が新しく陣容に加わつたといつたことで、だんだん陣容も整つて來たように思いましたので、その後ちようど委員会の方でも三井物産、三菱商事の解散といつたような大きな仕事がまた起つて來ましたし、集中排除の仕事も問題になつて來ました。その後十分手がまわりかねて特別の注意はいたしませんでした。普通の監督をしておりました。それまで昨年の七、八月ごろまではしばしば呼んで実情等を聞いていろいろ注意はしておりました。
#174
○武藤委員長 先ほどお話の大量の人事異動が行われたということは、いわゆる森系統といいますか、森色をおびた者が退任せられて、日野原色、日野原系が入つて來たということになつたのではないですか。
#175
○笹山證人 そういうことに結果的に見てなつて來ておると思います。これは四月三日に司令部に行つて、へンダーソン氏にあいさつにほかの重役方と一しよに行つたときに、ヘンダーソン氏から相当強い訓示めいたものがあつたそうであります。その際に森インフルエンスという言葉を使つたという、排斥しろと言つたのかどうか、その辺のことは野田委員の方がはつきりいたしておりますが、そういつた意味のお話があつたそうであります。多少藥がきき過ぎたのではないかという氣が当時したのでありますが、日野原君が大量の人員整理をあの際にやつたのであります。
#176
○武藤委員長 そうするとあなたの方でさような人員整理に承認を與えているのは、司令部の方の意向もあることであるからして、それでよかろう、こういうふうに考えておつたわけですか。
#177
○笹山證人 いや実は済んだあとに聞きました。それでほかから聞いてさつそく呼び出して聞いたら、大体私がほかから聞いた通りだつた。実は非常に驚いたのでありますが、入社早々こういつた大量の整理をやつて、はたしてそういつた人事等をどうして判断したのかということを私質問したのでありまするが、それは自分の一存でやつたのではない。ほかの常務等にも十分相談した上でやつたことであるから、そうあやまちはないつもりであるといつた話です。しかしそれにしてもあまりに大量ですから、はたしてそれでおさまるかどうか、相当懸念しておりました。そのうちに組合の人もいろいろ動搖しておつたようでありまするが、結局これも間もなく話合いがついておさまつたようであります。まあそれで一應とにかく安定したものとわれわれは解釈しておつたわけであります。われわれが知つたときは、すでに発令後であつた。
#178
○武藤委員長 驚いただけですね。
#179
○笹山證人 その結果がうまく行かなければ、何とか考えなければなるまいと思つたのですが、組合の方もその人選等について必ずしも深い反対がなかつた。ただ労働協約の八條に違反しておる。事前に組合の幹部に連絡がなかつたという点が、爭議の主たる中心であるということを聞きましたし、そうしてそれもやがて話合いがついたという報告を聞きましたので、まずそれでは一應安心できる状態になつたのではないか、こう思つたわけです。その間もちろんわれわれも非常に心配しておつたわけです。
#180
○武藤委員長 脇村氏かあるいは美濃部氏から、昭和電工へもう少し重役をよけい送り込んで、日野原氏を輔佐する重役團でもつて運営さしたらどうかというような話が、委員会または懇談会で出ましたか。
#181
○笹山證人 四月のいつの懇談会でしたか、たしか四月の懇談会と思いまするが、そのころに脇村委員から重役陣をもつと強化する必要があるのじやないかというようなお話が出たと思つております。それはわれわれもちろん賛成することでありますから、日野原君にもそのことは注意したと思いまするが、四月の重役会で先ほども申し上げましたように、常務二人を追加することになつて、一應陣容もだんだん強化して來た。こうわれわれ了解しておつたわけであります。
#182
○武藤委員長 昭電の日野原氏については、結果的に見て非常にうまくない結果になつたようでありますけれども、こういうふうな役員の交替、あるいはその後における人事異動、こういうものについて責任の所在は持株委員会にあるわけですか。
#183
○笹山證人 こういう事態の起つておることは、非常に遺憾と思いまするが、われわれは当時としては先ほども申し上げましたような事情で、われわれのできる限りのことを盡してやつたつもりであります。
#184
○武藤委員長 しかしそれはGHQの拒絶すべからざる命令であるからして、しかたがなかつたのだという結論になるわけですか。
#185
○笹山證人 さようであります。当時三人の候補者が復金側から出ておる。その中で承諾する人がなかつた。また別途の進言をGHQにすることもできたと思いますが、日野原君が承諾した結果、私がその前に考えておつたよりは、非常に簡單に新社長ができたというようなことになつたわけです。結果がこういつたことになつておることは残念で遺憾と思います。
#186
○武藤委員長 今度は少し問題をかえて、持株会社の第五次指定について、一番初め候補に上つた数は幾つくらいですか。
#187
○笹山證人 総会に提案しました原案は十八社であります。
#188
○武藤委員長 その前に三十社近いものがあつたのではないですか。
#189
○笹山證人 それは候補といつたほどの意味ではないのであります。これはいわゆる世間で地方財閥といつた問題ですが、これは非常に困難な問題で、われわれも非常に苦心したのであります。最初に二月二十日の臨時総会で、先ほど申しました十財閥関係の五十六人の個人指定を決定しましたのち、さらにこの財閥追加ということを推進しなければならぬことになつておつたのでありますが、十財閥の人については、さきにデイレクテイブが出ております。それ以外の人について委員会で、はたしてそういうことをやつてさしつかえないものかどうか、あるいは憲法違反といつたような問題が起るのではないかということを、まずわれわれは心配しました。それでそのためには司令部からデイレクテイブを出してもらわないと、われわれは容易に着手できないと思うということを言つたのでありますが、それに対してその必要はないということで、三月二十日の定時総会のときにバークレー・ヘンダーソン氏から各委員にあてて書いたもので声明書が渡された。それ以外のものでも、いわゆる経済的集積力のあるものに対しては、委員会は何どきでも十財閥同樣の権限を発動できるのだということで各委員に渡されました。そのときにさらにコンフアームしたのでありますが、これはスキヤツプのポリシーだということでありました。それはいわゆる地方財閥という問題を具体的に取上げることになつたのでありますが、個人の資産等を直接調査する権能は委員会に與えておられません。調査に非常に困難をした。司令部の方では別個にいろいろ資料を集めて、相当廣汎な調査をしておられたようでありますが、われわれの方はそういう権能はないので、非常に調査に困難いたしました。その問題の処置には非常に苦心したのでありますが、結局六月の中ごろに司令部に対して、ただ一應の簡單なリストを差出しまして、これは当時各方面でいわゆる地方財閥という問題を喧傳されて、新聞雑誌等にもしきりに名前が出たようなところが集録されたわけであります。また多少それと別個の資料等にもよりまして、約二十六、七の人の名前を一應提出したわけであります。しかしそれは特に書面も添えて、これはいわゆる地方財閥の候補という意味でわれわれが出すのではないが、ただ司令部で調べるにしても、全然見当がつかないから、一應これくらいの範囲の人について、司令部で直接調べられたらどうか。われわれとしては直接調べる権能がないので、非常た資料を集めにくいから、司令部で直接調べられるのも一應この辺でお調べになつたらどうかといつたような意味の手紙を特に添えて差出したのがあるのです。それは候補というほどのものではないのです。
#190
○武藤委員長 それではほんとうに原案で候補と言われるのは十八社だつたわけですね。
#191
○笹山證人 はい。
#192
○武藤委員長 それが十六社に決定したようですが、二社を落した理由はどこにありますか。
#193
○笹山證人 それは総会の席上委員の方からいろいろ意見が出て、その結果その二社はしいてあげるほどでもなかろうという結論に総会の委員の全部の意見が一致いたしましたので、それで二社を削除した、そういうわけであります。
#194
○武藤委員長 最初話題に上つた二十数社が十八社になり、十八社が十六社になつたということについて、何かその指定を免れるための運動、請託等はなかつたのですか。
#195
○笹山證人 そういつたことはございません。
#196
○武藤委員長 全然外部には漏れなかつたのですか。
#197
○笹山證人 総会の内容等はほとんど外部に漏れたことはないのでありまして、その十八社の原案は、前日の夕方がその朝ぐらいに総会の前に一部の人に傳わつたようであります。当時ちようど公正取引委員会ができまして、國会へ連絡する必要もありまして、そういつた方面に前日に資料を差出しましたので、別に公正取引委員会から漏れたということでもないと思いますが、一、二資料関係のそういつた官廳方面へ出したのが、何かで多少漏れたのかと思います。しかしそのためにそれが二社を総会の席上で減したということには何ら関係がないと思います。
#198
○武藤委員長 今度は別の問題で、持株会社整理委員会の讓り受けた株はどういうふうに処分をするのですか。
#199
○笹山證人 これは昨年の六月に証券処理調整協議会ができまして、その証券処理調整協議会に処分計画書を出して、協議会を通じて処分をしているわけです。
#200
○武藤委員長 日野原氏が昭電株を四万株持つておるのは、どこから買つたか御存じありませんか。
#201
○笹山證人 全然どこから買つたか承知しておりません。
#202
○武藤委員長 若狭興業の持つておつた昭電株はどういうふうに処分しましたか。
#203
○笹山證人 これはまだほとんど全部委員会に残つております。若狭興業以外から讓り受けたものが千株か二千株くらい少し前に処分されたものがあつたと思います。
#204
○武藤委員長 今度は不動産の処分についてはどういうふうにしますか。
#205
○笹山證人 大体不動産はその会社なり持株会社なり、あるいは個人指定者なりに管理さしているわけであります。処分される場合は適当な第三者、主として勧業銀行あるいは信託会社等の評價を基礎として、両方で話合いのできたものを委員会の方へ審査して、その上で司令部の承認をとつて処分を許しております。
#206
○武藤委員長 箱根にある岩崎の別荘を観光ホテルに拂い下げたことがありますか。
#207
○笹山證人 それは昭和電工とは何も関係がないことでありますけれども、そういう事実はあります。
#208
○武藤委員長 幾らで拂下げましたか。
#209
○笹山證人 せんだつてその問題が新聞記事等に出ておりましたので、あらためて調べてみましたが、五百九十万円です。
#210
○武藤委員長 これは別に議論はなかつたのですか。高いとか安いとか……。
#211
○笹山證人 問題はありませんでした。
#212
○武藤委員長 大磯の三井が持つておつた土地を吉田茂氏に拂下げたのはやはり……。
#213
○笹山證人 拂下げということではないわけであります。不動産は委員会の所有になつておつて、委員会がかつての値段で拂下げるということではないのであります。三井高公氏のは、今も三井高分氏が持つておりますが、それを当事者同士で話合いができまして、合意の上の賣買のわけであります。しかしすべて個人指定者等の財産は委員会が監督しておる建前上委員会の承認なしにはやれませんから、事前に委員会の承認を求める。こういうわけであります。その件も調べてみましたが、これは三井信託の評價で六万六千円の評價になつておるのを七万八千円で賣買しておるわけです。両者の間で……。大磯の海岸の砂丘地帶だそうです。現場はむちろんそういう場合には委員会の係員が実地見聞にも行くわけです。
#214
○武藤委員長 別に安いということはないのですね。
#215
○笹山證人 ないと思います。値段の点は不動産の場合には両方合意で決定するのですから、それに非常におかしなことがない限りは特別にわれわれの方ではそう容喙していないのであります。ただ賣買が同じ財閥関係の色の濃い人に賣られたというようなことではこれはおもしろくありません。そういうことは注意して、場合によつてはやめさせておる。こういう実情であります。
#216
○武藤委員長 今度違う問題で、物産商事を解体するにあたつて大分時間的に、きまつてから放任をしておつたということが傳えられておりますが、それはどういうわけですか。
#217
○笹山證人 絶対にございません。物産、商事解体の指令をわれわれが日本政府からもらつたのは七月五日の午後一時半であります。午後一時半に大藏省に呼ばれてもらつたのであります。そのメモランダムが日付は七月の三日付になつております。これは司令部のメモランダムにはそういうことはよくあります。七月三日の夕刻司令部の中では手続の済んだメモランダムであります。七月四日は司令部の休日にあたります。日本政府に渡されたのが七月五日の正午ごろのように私は聞いております。大藏省はそれを受取るとすぐに物産、商事両会社の代表者を呼び、さらに担当機関である持株会社整理委員会の者を呼び出したわけです。そうしてそれが一時半だつたということになつております。一時半に受取つてそれでわれわれは即時行動を起して、三時に両社の代表者を委員会へ招集しまして、ただちにその実務についたわけです。その日は九時過ぎまで関係者みな残つて應急の措置を講じました。
#218
○武藤委員長 数日放置しておいたというようなことはないわけですか。
#219
○笹山證人 絶対ございません。そういつたことはできることではありません。また物産、商事のような会社に、すでにもう両社に言い渡されており、從つて世間に漏れるものを数日間放置しておくといつたようなことをしたら、それこそ財界に大混乱を起します。もう土曜日の夕方に新聞社の方が一、二かぎつけてわれわれの方にも聞きに來たような状態でありました。こういつたことは絶対にでき得べきものではありません。むしろそれよりもそのことが世間にすぐ傳わつたら、月曜日のおそらく手形交換が不渡りになると思つて――当時両社の関係の手形は多額に上つておりました。日本銀行の再割になつたものでも十億を越えておりました。金融の不安が起り、それに関連して経済界の不安が起つてはいかぬと思つてすぐ当日日銀総裁、大藏大臣等にも私連絡に行つたわけであります。
#220
○武藤委員長 昨年の秋ごろ日野原氏から招待を受けて、福島縣の東山温泉か飯坂温泉に行かれたことがありますか。
#221
○笹山證人 別に招待を受けて行つたのではありませんし、昨年の秋でもありません。私昨年の八月に、その誘いを受けたのは、日野原君でなくて日曹製作所の社長の中野義雄君に会津工場を見に一緒に行かないかという誘いを受けたのがそのきつかけであります。ちようど福島縣方面の関係の工場も見たいと思つておりました。八月の多少手のすいたときでありましたからちようどいい機会だと思いました。それで昭和電工の会津方面にあります廣田工場、喜多方工場、新潟縣の鹿瀬工場、その三つ、それから日曹製作所の会津工場、三菱重工の廣田工場、なお郡山にある日東紡績の郡山第一工場、第二工場、それから福島にあります日本紡績の福島工場、これだけの工場を見学する計画を立てて出向いたわけであります。
#222
○武藤委員長 今お話の工場は全部ごらんになつたわけですか。
#223
○笹山證人 全部見ました。そのときは日野原君はいませんでした。
#224
○武藤委員長 日野原氏と一緒に行つたのじやないですか。
#225
○笹山證人 ありません。
#226
○武藤委員長 そのとき行つたのはだれとだれですか。
#227
○笹山證人 そのときは鳥巣常務と藤井取締役、その二人が就任早々で、七月の総会で就任したわけですから、まだ一度も工場の方に顏を出していないし、ちとうどいい機会だ、案内かたがたわれわれも工場にあいさつに行くので一緒に行きましようといつて、その二人が当日駅に行つてみたら來ておりました。なおほかに社員の人が二三來ておられたように記憶しております。
#228
○武藤委員長 何か大分いい氣持になつて、あなたが裸踊りをしたということですが……。
#229
○笹山證人 どうもそれで大分有名にされて困つておりますが、私生れてまだ一度も裸踊りをやつたことはありません。東山でちようど夏でしたから、盆踊りを盛んにやつておりました。全町あげて盆踊りをやつておりまして進駐軍の人なども一緒に中に入つてやつておりましたが、私も盆踊りには参加いたしました。どうもそれが裸踊りに誤り傳えられたのではないかと思つております。
#230
○武藤委員長 飯坂へもおとまりになつたのですか。
#231
○笹山證人 とまりました。
#232
○武藤委員長 そのときはだれとだれですか。やはり同じ一行ですか。
#233
○笹山證人 飯坂へ行きましたのは、日東紡績の福島工場を見るためですから、そのときは日東紡の社長と一緒でありました。
#234
○武藤委員長 日野原氏と一緒に飲食したことはかつてありませんか。先ほどお話になつた最初の場合以外には。
#235
○笹山證人 いや、東山では一緒でないわけですが……。
#236
○武藤委員長 ほかにありませんか。
#237
○笹山證人 昨年の七月ごろだつたと思いますが、委員全員、それから部長も一二加わつたと思いますけれども、川崎の工場を見学に行つたことがあります。その帰りに夕食を一緒にしたことがございます。
#238
○武藤委員長 たつたそれだけですか。
#239
○笹山證人 それ以外、そのときに大山クラブというところに行きましたが、もう一回大山クラブに行つたと記憶しておりますが、それ以外にはございません。
#240
○武藤委員長 そのときの会計はだれが拂つたのですか。
#241
○笹山證人 これは会社の方で拂われたのだろうと思います。
#242
○武藤委員長 日野原氏の会社の方で拂つた……。
#243
○笹山證人 そうだろうと思います。
#244
○武藤委員長 とにかくあなたは拂わなかつた……。
#245
○笹山證人 はい。会社の人が数名一緒でございました。
#246
○武藤委員長 昭電関係の者から金品をもらつたことはありませんか。
#247
○笹山證人 金をもらつたことは絶対にありません。
#248
○武藤委員長 品物は。
#249
○笹山證人 昨年の暮れに酒をたしか届けられたと思います。
#250
○武藤委員長 どのくらい。
#251
○笹山證人 一升だつたと思います。一升が二本ですか、たしか一本だつたと思います。それからみそ、しようゆ等一回ぐらいずつ届けられたことがあります。しかしこれは会社でなく、日野原君個人だと思つております。
#252
○武藤委員長 みそ、しようゆはいつですか。
#253
○笹山證人 時期ははつきり記憶しておりませんが、今年の二三月ごろ――今年になつてからだと思います。時期はあまり明確に記憶しておりません。
#254
○武藤委員長 暮とか盆とかいうことならば、お歳暮とかお中元とかありますけれども、どういうわけで日野原氏からみそやしようゆが來るわけですか。
#255
○笹山證人 先生、どこか山梨縣だということを聞いていましたから、何かそういつたところへ出かけて行つたついでに、いなかのものをみやげに持つて來てくれた、というふうに思つておつたわけです。
#256
○武藤委員長 みそとしようゆをおみやげに持つて來た……。
#257
○笹山證人 そうです。
#258
○武藤委員長 本人が持つて來ましたか。
#259
○笹山證人 本人ではなかつた。私のいないときですから……。使いの者だつたと思います。
#260
○武藤委員長 まあ受取つておかれたわけですね。
#261
○笹山證人 はい。
#262
○武藤委員長 おかけになつてください。――森さんと市村さんは、今お聞きの通りでありますけれども、何か重要な問題について、ただいま述べました笹山さんの証言と事実の違う点がございますか。――ありましたらば順次述べていただきたい。
#263
○市村證人 笹山さんはお忙しい仕事をたくさんなさつていらつしやるから、あるいは御記憶が薄れたかもしれませんけれども、私は経済人としてのピリオドを一應打たれた事件であるだけに記憶ははつきりしているつもりであります。先ほど笹山さんは、三月二十七日に私の方からオーダーという問題を出してくれという話を言われたように言うておりますが、私は私の方からGHQの名前で総会をスムースにやつてくれということは申しておりません。笹山さんが私にるる森財閥は準戰犯である、いかにも森が財閥であるかのごときことを言いまして、昭電の社長に日野原を受け入れろということをるる申しました。これはこの前の証言のときに私申し上げました通りであります。そして笹山さんが、GHQから二人見えたからといつて一旦席を外されて、十分か二十分……、戻られて後に、復興金融金庫と興業銀行からの社長推薦という形はよす、持株会社整理委員会すなわちスキヤツプのオーダーといつて日野原を社長にするのだ、そういうことを言われたのであります。それからなお藤本忍君を日野原君が一人連れて入りたいと言いましたときに、私は断りました。そうしましたらすぐその言葉を受け継いで、笹山さんがこれもスキヤツプのオーダーとして総会にかけろと言われたのであります。この点は違つておりますので、私は自分の記憶の正しいことを再び申し延べます。
#264
○武藤委員長 それだけですね。違つているところは。
#265
○市村證人 大した問題でもないかもしれませんが、これは森が法定期間中は社長でおれることは当然なのでありまするから、別にその問題に触れなかつたのでありますが、私が専務制をしいて、私と中村君が専務会議制でやつて行くということを言われましたけれども、私はそういう言葉を使つた記憶は持つておりません。この点も笹山さんの御記憶違いだということを私固く信じております。
#266
○武藤委員長 森さん何かありますか。
#267
○森證人 私は実は昭和電工をやめる三月の二十日ごろまでのことしか知らなかつたのでありますが、その間に至りまするGHQの財閥とか、地方財閥とかいうことでありますが、私の聞いておりました範囲は財閥とか何とかに関係なく、とにかく私がやつておるときに何億かの仕事を命ぜられたのであります。それはGHQの全部が知つておることであつて、戰爭後やつた仕事である。だから地方財閥のうわさがあるという理由でやめなければならぬということは異議があつたかもしれませんが、私としてはあとで整理委員会や興業銀行が、追放者であるのにまだやつている、けしからぬ、だから早くやめさせろという結論はどうしても受取れなかつた。あとのことは全部私の知らない世界のことであります。私は笹山さんから、これ以上やつておつたら会社をやめること、追放になることよりもつと重大な事件になるということをほのめかされまして、それは笹山さんもおつしやつております。私は直接それ以外には何も聞いておりません。
#268
○武藤委員長 何かお尋ねになることございますか。
#269
○河井委員 笹山さんにお尋ねしたい。この持株会社整理委員会というのは、大体財閥の持つておる有價証券その他の財産を讓渡を受けたり、またそれの管理処分をするという建前になつておりまして、財産によつての企業の独占を排除するというのが主たる目的のようでありまして、人事に干渉するようなことは第一條にはないうように思うのでありますが、これはどうなんですか。
#270
○笹山證人 先ほど申しました第一條を日本語で読みますと、財産を讓り受けこれを管理処分する等によりと、等になつておりますからちよつとそれ以外のことがやれないようなふうにとれやすいのでありますけれども、日本の法律にはいろいろ含む場合にすぐに等によりというので相当等のところに廣汎な意味を含めてあることがあるのでありますが、実は英文のを御覽くださるとはつきりされるのじやないかと思います。英文の方は、管理処分、それからその他の方法と特に書いて、アザー・メージヤスと書いてある。アザーメージャスと複数ではいつております。これは私ら聞いておりますところでは、ああいう特殊の法律でありますので、日本文と英文と疑義のある場合には解釈は英文によるという申合せになつておるように、日本政府の方からも伺つております。英文の方にその意味がはつきり出ております。大体財閥解体の仕事は、資本面と人的面とこの二つの道で財閥機構をこわして行くというのが建前になつております。人事の点は当然委員会令によつてやれるものと解釈してやつております。ただ実質上人事問題には実際問題として非常にたくさんの会社を相手にしておりますのでなかなか眼を通すということは困難であります。愼重にやつた方がいいという考えで、運用として自主的にできるだけやつていただく、こういう建前になつておるのであります。
#271
○河井委員 そうすると、実際に人事に干渉されて重役陣をかえられたのは昭電だけですか。
#272
○笹山證人 やめていただいた例はほかにもありますし、それから事前に候補者の名前を持つて各社から見えられます。そのときに、都合の悪いと思う方は遠慮していただいておるわけですが、新しくこちらからこういつた人を会社に入れなさいという推薦をしたのは昭和電工の問題だけであります。
#273
○河井委員 東洋曹達というのがありますね。山口縣に、これの社長は前に岩瀬徳三郎氏だつたのですが、貞永敬甫という人ですね、この人はやはり興銀の重役だつたですね。
#274
○笹山證人 いや、重役ではありません。課長をしておつたと思います。
#275
○河井委員 あなた方当時おられたときに先輩じやないですか。
#276
○笹山證人 学校は私より一年後輩です。課長、それから廣島支店の次長等をしておつて、課長時代に東洋曹達へもらわれて出た人であります。
#277
○河井委員 これは五億円ほど金を借りておりますね。興銀から……。
#278
○笹山證人 それは存じません。
#279
○河井委員 この人事については、あなた御存じありませんか。この貞永氏は二宮氏と姻戚関係ですね。
#280
○笹山證人 そうだと思います。
#281
○河井委員 あなた方の御勧獎によつてかわつたというわけではないのですね。岩瀬氏と……。
#282
○笹山證人 東洋曹達の株は三井化学で――ちよつと株数を私記憶しませんが、相当大量な株を持つておつたのが、たしか三井化学だつたと思いますが、三井化学か、三井鉱山でしよう。その株が委員会へ來ておりましたので、当時委員会が一番大きい株主だというので、その当時社長の交代問題が起つており、貞永氏の名前も出ておつて、そのころ相談にあずかつたことはあります。しかしその後その株は物納にされて政府の方に移つたので、私の方の手もとは離れて貞永君が社長になつたころは、われわれ委員会の方には何ら関係はありませんでした。
#283
○河井委員 いわゆる財産税なんかで物納になつたものでも、これは持株会社整理委員会に関係がないが、あなたが委員長をされている証券処理調整協議会には関係ありませんね。
#284
○笹山證人 それは処分だけは関係あります。株主権の行使はこの協議会は何ら関係ありません。
#285
○河井委員 そうするとこの人事には、何ら御関係なかつというわけですね。
#286
○笹山證人 初め委員会に株のあつた当時、前社長からそういつた相談等を一、二回受けたことはありましたけれども、間もなく株は委員会の手を離れたので、株主権が行使といつたことは、これは大藏省から会社当事者らが一部もらつてやつたのだろうと私は想像します。
#287
○河井委員 それではあなたがさつきおつしやつたこの三月の二十二、三日ごろ、メイジヤーザイビユラ氏から昭電のようにたくさんの金を使つておる大きい会社に対しては、どうしても社長を置く必要があるという命令があつたそのときに、日野原氏を指名して向うから言うてきたのですか。
#288
○笹山證人 そうではありません。
#289
○河井委員 そのとき指名はなかつたわけですね。
#290
○笹山證人 特に日野原氏という指名ぱありませんでした。
#291
○河井委員 そうするとだれが一体GHQに日野原氏を推薦したのですか。この点私は知りたいのですが……。
#292
○笹山證人 先ほど申し上げたように、私は復金で二宮君と聞いておるのですが、メイジヤー・ザイビユラ氏のところに呼ばれて、ザイビユラ氏から話があつてそれで帰つてほかの人と相談して、その上で三人のリストがこしらえられたというふうに承知しております。それを司令部に持つて行つたのは栗栖君で、司令部から私のところに持つてきたのも栗栖君でした。
#293
○河井委員 そうすると栗栖、二宮氏でこのリストが創作されたのですか。
#294
○笹山證人 二人だけではなかろうと思います。当時の復金理事長あるいは興銀総裁その他の人とも相談の結果だろうと思います。
#295
○河井委員 ではその他の人というのは末廣氏ですか。
#296
○笹山證人 当時末廣氏は興銀の副総裁だつた。総裁は伊藤……。
#297
○河井委員 だから、その末廣氏もリストの創作にあずかつているわけですか。
#298
○笹山證人 末廣氏も相談にあずかつたことだろうと私は思います。
#299
○河井委員 そうすると大体栗栖、二宮、末廣委員らの手によつてこのリストができたわけですね。
#300
○笹山證人 その辺は私直接詳しいことは聞いておりませんのでよく存じません。少くもその三人の人は関係はあつたろうと思いますけれども、その他の人も相談にあずかつておるのじやないかと思いますが、よく承知いたしません。
    〔委員長退席、石田(一)委員長代理着席〕
#301
○河井委員 ここに市村さんもおいでですが、社長を日野原氏にすることによつて従業員の不安が起きた場合にはGHQが押えつけるということをあなたが市村氏にお話になりましたか。
#302
○笹山證人 それは市村さんに話す前に、二十二日に新社長をぜひ入れろという話を私がされたときに、アメリカと違つて日本ではよそから社長をもつてくるといつても、従業員等がなかなか納まらぬだろう。場合によつたらストライキを始めるというような事態が起らぬとも限らぬと思う。それでなるべくそういつたことは避けたいということを申したわけですが、その際に、そういつた場合は自分らの方で直接爭議等の收まるように、またそういつたことの起らないように極力協力するといつたような話もあつた。
#303
○河井委員 たれが言われたのですか。
#304
○笹山證人 これはザイビユラ、ヘンダーソン両氏だと思います。そういつたことがないようにできるだけ新しい経営者にも協力するといつた話はありました。そういう話のあつたということを市村氏にはお傳えしたと思います。
#305
○河井委員 しかしあなたは先ほどのお話では市村氏や中村氏の会議制でやらしてもいいというようなお考えをもつておられたように言われましたね。
#306
○笹山證人 もともと、そう思つておつたわけです。
#307
○河井委員 そうすると、従業員が不安が起きたときにはGHQで押えるといつたということとは……。
#308
○笹山證人 それは新社長を入れることによつてです。
#309
○河井委員 もちろんそうですけれども、そういうふうに強く暴れる必要はないではないですか、あなたが合議制でやる案について賛成されているというようなお考えならば……。
#310
○笹山證人 いや、新社長を入れることによつてそういつたことが起るかもわからぬということを司令部の人に話したのに対して、今申し上げたような御返事があつたのです。その意味のことをその後市村さんに日野原君を社長に推薦の話をしたときに――たしか二十六日だつたと思いますが、そういつた話を市村さんにしたと思います。
#311
○河井委員 第三次の地方財閥十八社を指定されたときに二社を落されたというのはどこですか。その二社の名前は……。
#312
○笹山證人 これは総会の議事の内容になるわけですが、総会の決議は秘密会ということに私の方は定款でなつております。もしお許しが得られれば書いたもので御返事さしていただけば仕合せだと思います。
#313
○河井委員 私はけつこうです。
#314
○石田(一)委員長代理 それじや書いたもので出してもらいます。
#315
○河井委員 それじや先ほどちよつと申しましたが、証券処理調整協議会委員長をあなたはなさつておりますね。これは証券を処分する方の側ですね。あなたは片方の持株会社整理委員会の方で株を取得する方、こつちで処分する方もあなたはおやりになつている。あなたが一人で両方をお引受けになるというのはわれわれとしては絶大な権力だと思うのですが……。
#316
○笹山證人 それは少し法令等をごらんくださるとわかると思いますが、証券処理調整協議会は今持株会社整理委員会、閉鎖機関処理委員会、それから大藏省、日本銀行、この四つが公開株を持つておるわけであります。その四つの機関が構成機関になつて、証券処理調整協議会というものができておるわけであります。そのそれぞれの機関の代表者が協議委員になつておる。もちろんそうしてその協議会できめるのですが、その協議会の議長をただ私が勤めておつたわけです。
#317
○河井委員 結局あなたが議長でやつておられたわけですな。
#318
○笹山證人 しかしそれは全員一致でなければ議事を進めることはできない仕組みになつております。その場のただまとめ役というだけです。
#319
○河井委員 この証券処理調整協議会は市場の消化力なんかを参考にして株を放出するわけですから、あなたの方では持株整理委員会によつて譲り受けた株を、なるだけ早く処理したいというお考えでしようが、そうするとその株をこの協議会で処理するについて、あなたがその方の議長ですと、あなたの方で言うとたいへん便利ですが……。
#320
○笹山證人 これは各機関から代表者が出て、そこで相談してまとめてやつておるだけのことでありまして、それぞれの機関がやるのを一緒にまとめて一括してやつておる。ただそれだけのことであります。それによつて持株整理委員会は特に便利をこうむるとか利得するといつたことは全然ありません。証券処理調整協議会の方を御説明しておりますと時間が長くかかりますから……。
#321
○河井委員 その性質はよく知つております。
#322
○笹山證人 このオブザーバーがフイナンス、デイヴイジヨンとアンチ・トラスト・アンド・カルテルス・デイヴイジヨンと双方からたいてい二名來ます。なおCPCからも一名ないし二名來まして、その席上できめられるわけであります。
#323
○河井委員 それはわかつておりますが、あなたは両方の主宰者をなさつておりますから、非常な権力がここに集中されるようにわれわれは考えておりますが、そういうふうに適正にやつていただけばけつこうです。大体そんなものです。
#324
○足立委員 まず市村さんにお尋ねいたしますが、二十七日でしたか、朝興業銀行へ行かれて、持株整理委員会で笹山さんにお会いになりましたな。
#325
○市村證人 二十六日です。
#326
○足立委員 その折にあなたは社長を日野原氏にやつてもらうことは反対だということを終始主張なされたということが、前の証言で明らかになつております。
#327
○市村證人 その通りであります。
#328
○足立委員 それでその折になぜそういうきつい主張にかかわらず、あなたが遂に日野原社長を二十八日の株主総会で承認することになつたのですか。その理由の一つの動機として、それはGHQのオーダーであるということ、その次にはもしも言うことを聞かなかつたならば、占領政策違反と断定すると笹山さんがおつしやつた。それでわれわれは遂に引いたという証言の大要のように思いましたが、その通り間違いありませんか。
#329
○市村證人 間違いありません。
#330
○足立委員 今度は笹川さんにお伺いいたしますが、占領政策違反と断定するというお言葉をお使いになりましたが。
#331
○笹山證人 そういうきつい言葉を使つた記憶はありません。
#332
○足立委員 なおちよつと付言します。が、その席に末廣さんもおられたでしような。
#333
○市村證人 多分末廣さんもおつたと思います。
#334
○笹山證人 末廣さんは途中で行かれて……。
#335
○市村證人 末廣さんが行かれたのは、GHQへ行かれるというので席をはずされて、それから間もなく笹山さんが興業銀行の従業員組合との約束の時間が遅れておるから、あとは二宮君頼むと言つて、多分席をはずされたのですが、その前から今の占領政策違反になるぞ、それから爭議が起つた際にはGHQで押える、これもあげて森の作為だとGHQは断定するという話がありました。
#336
○足立委員 その間の事情は末廣さんはよく御存じとあなたは推定いたしますか。
#337
○市村證人 私は知つておると推定いたしております。
#338
○足立委員 先ほど笹山さんとそれから市村さんとの陳述の食い違いにつきまして、笹山さんの方は御意見ございますか。先ほど御陳述なさつた通りでございますか。
#339
○笹山證人 はあ。ちよつと当時の事情を詳しく市村さんに私お話したと思います。市村さんも私は前からよく懇意に願つておつたので、ざつくばらんに個人的な気持で……。
#340
○足立委員 発言中ですが、ちよつと念を押しますけれども、前の御陳述を訂正する必要はありませんか。
#341
○笹山證人 ありません。
#342
○足立委員 市村さんも御陳述を訂正する必要はありませんか。
#343
○市村證人 もちろんございません。
#344
○足立委員 依然としてここに食い違いが存するということがわかる。
#345
○市村證人 なお先日の私と同道しました証人も、私の証言にはもう盡きておるからと言つて、私の陳述以外のことを証言したように私は記憶いたしております。
#346
○足立委員 笹山さんにちよつとお伺いしますが、日野原氏を社長にせよというさしずは笹山さんがGHQから受けられたのですか。
#347
○笹山證人 新社長を入れろという命令を最初受けたわけです。それで先ほど申し上げましたように、新社長の人選については、それより前に復金が命ぜられて候補者を出しておりましたので、その以外の人ということであればですが、一應復金から出ておる既成事実を尊重しまして、そうして復金に具体的な人選、折衝を依頼することが前後の関係上妥当ではないかと思つたので、復金に依頼したわけであります。その結果先ほど申しましたように、日野原君が具体的の候補者として上つたわけであります。そのことを司令部へ報告しました。それでよかろう、その男をそれでは社長に推薦しろ、こういう話になつたわけであります。
#348
○足立委員 それで日野原氏を興銀の方から推薦して來て、これをあなたがGHQへ再び行つて了解を得た、こういうわけですか。
#349
○笹山證人 さようでございます。しかし私が行つたのではありません。それは野田委員を通じて了解を求めました。
#350
○足立委員 それから以後、二宮氏には会いませんね。日野原氏を社長にするかしないかということにつきましては、GHQできめて來て……。
#351
○笹山證人 いや、それは二十五日だろうと思います。二十五日に二宮君、それから末廣氏が見えて打合せの結果、会社へ話すのは復金の方でやつて、もらうということになつて、翌二十六日に市村さんが復金に行かれたわけですから……。
#352
○足立委員 いや、それじやなしに、日野原社長を決定するについての事情なんです。
#353
○笹山證人 決定は今申し上げたように復金へ日野原君が内諾の意思表示をされて、委員会の方へも報告に來られた。そのことをわれわれの方としては司令部に報告して、その結果は司令部ではよかろう、日野原をそれでは就任させろ、そういうふうに行動を起せという命令を受けたのであります。それでその翌日が二十六日になると思いますが、しかしその話は復金から推薦してもらうという形が妥当であろう。それで復金から話してもらうということにしたわけであります。ですから、その辺であるいは二宮君に会つたこともあるかもしれません。
#354
○足立委員 その点が檢事局におきますところの二宮さんの陳述と相違しておるのです。ちよつと読みますから、御記憶が違つておつたら訂正してください。こういうことになつております。笹山委員長から私に対して、GHQでは日野原を社長にというお話であるが、日野原は電工の社長に就任できるかどうか、その点を確かめてくれ。あなたが先にGHQに行つてきめて來て、その次に二宮氏に、日野原氏に社長に就任できるかどうか確かめてくれ……。
#355
○笹山證人 それは二宮君の記憶違いではないかと思います。
#356
○足立委員 あなたの方が正しい……。
#357
○笹山證人 さようでございます。
#358
○足立委員 わかりました。
 それから派生的な問題ですが、この点は委員長も落したと思いますが、東山及び飯坂であなたが招待を受けたときに、持株の方ではだれとだれが行かれたのですか。あなたお一人ですか。
#359
○笹山證人 今企業第二部長をやつております永井君と秘書の蝦名と三名行きました。
#360
○足立委員 野田さんは……。
#361
○笹山證人 行つておりません。
#362
○足立委員 ほかの委員は……
#363
○笹山證人 行つておりません。
#364
○足立委員 そのときの費用はあなたがお拂いになつたのですか。
#365
○笹山證人 出張のときはみな秘書がやつておりますから、一々こまかいことは了承しておりませんが、宿等にはいわゆる宿泊料として拂つておりますかどうか、一々そこまでは知つておりませんが、女中とか宿への心づけというつた形で、適当な金額はそういう場合に常に支拂うようにしております。会社で用意しておる場合もありますが、そういう場合どうしてもとらぬこともあります。しかしそのときはそれ相当の金額を心づけといつたような形で別途に渡すようにしております。
#366
○足立委員 そのときはやはり昭電の廣田工場の人も一緒じやなかつたのですか。
#367
○笹山證人 一緒におりました。さつき申し上げたように、当時重役に就任したばかりの鳥巣常務と藤井重役、それからほかに本社から二、三名、会の人も行かれた。それでその両重役が廣田工場、喜多方工場、鹿瀬工場の幹部を数名ずつ呼んで、重役就任のあいさつの懇親会のようなものをやりました。
#368
○足立委員 そうすると、あなたの方で費用はお拂いになつたというわけですか。
#369
○笹山證人 その懇親会の席上に列席はいたしました。それから宿賃等は、秘書にこまかいことを聞いてみないとわかりませんが、宿賃に相当するものを、宿屋にそれぞれいつも心づけの形で渡すようにいたしております。
#370
○足立委員 それはそれでけつこうです。いよいよ本筋に入りまして、先ほど河井さんのお問いの中に、持株委員会は人事権に対しても介入することができる。こういうことでございます。私も一應人事権に対して持株委員会は介入することができるというふうに考えておるのでございますが、その人事権に介入できるというのは、議決権を行使して人事権に介入できるだけの話ではございませんか。
#371
○笹山證人 そうではないと思います。常務の監督上必要な場合は人事に関與することも当然できると思つております。正式に権限を発動する場合は、指示第何号というようなことで、書面で出しておる場合ですが、一般の株主を縛る力はもちろんありませんが、議案としてこういろ人事を提案するようにという指示は当然できると解釈しております。
#372
○足立委員 そうすると、あなたの方の本の、過度経済力集中排除法の持株の解読の中には、そういうことは書いてございませんね。議決権を通じてだけということですね。
#373
○笹山證人 それはごく簡單な荒筋を書いておりますから、それだけでは全貌を盡じておりません。それは手引程度の簡單なものですから……。
#374
○足立委員 法律を見ましても、定款でも、そういう趣旨のことは全然出て來ない。
#375
○笹山證人 それは法律、定款のみならず、財閥解体問題については、最初からの司令部の覚書といつたようなものなどを通じての経緯等も総合的に御判断していただかないと、御了解できにくい点が多いかと思います。財閥解体といつたような大きな仕事を達成しようとする以上、当然その人事権、それは議決権のみならず、株主としての立場のみならず、できるはずです。しかしそれは他の一般株主を縛る力はもちろんありません。それを会社当事者が提案して、一般株主から否決されればそれまでの話になるわけですが、その提案の義務は、指示されれば会社経営者としてはやらなければならない。こういう筋道になつております。
#376
○足立委員 そうするとここでさつき言われました二月二日ですか、例のヘンダーソンの声明、これにはこういうふうに書いております。「予の見解によれば、本委員会は当該会社に対して委員会が所有する議決権の行使をまたずしで、好ましからざる人物の辞職を強要し得る威信を有するものと考えるものである。」これはあなたが言われた通りであります。その次に「しかしながらなお必要とあらば、議決権を行使し、もつて本委員会の仕事に対し非難の余地なからしめんことを切言する。」こういうふうに書いてあります。これはもしもあなた方が勧告してあくまでも言うことを聞かなかつたならば、そこで株を十分持つて行つてそうして議決権を行使し、人事に介入しろという趣旨だと実は解せざるを得な旧い。あなたの考えとこれは全然反対の証言が出ていると思う。
#377
○笹山證人 そうも言われているわけですし、その当時、具体的に申し上げればさつきの味の素、若狭興業というようなことを実は言つておつたわけです。それで特にその面を強調して言つているのだと思いますけれども、この役員を任免するのはもちろん株主総会です。しかしその会社の経営者に対して、常務の監督上必要だから、こういう人を役員にするような議案をお出しなさいと指示する権能は、常務の監督に伴う指示権としてあるわけです。
#378
○足立委員 その指示する権能はどの程度においてあるかというわけです。言いかえてみますと、市村さんの場合におきましてはあくまでもこれは反対した。しかるにかかわらず、ここで占領政策違反なりという強い言葉をもつてしてもこれを通すような方向に向つて行く権限があるかどうか。この場合に一言申しておきますが、もしも向うのオーダーであつたならばそういうことができるかもしれない。オーダーがなかつたと仮定いたしましたならば、そういう権限は持株委員会は持つていないのでございましよう。それでもあるとおつしやるのですか。
#379
○笹山證人 法律そのものでこの指示権はあるとわれわれは解釈しているのでありますが、この場合オーダーがあつたからなおさらのことであります。たださつき申し上げたように、法律上当然権能はありますが、われわれはそれを濫用しないように注意したのであります。それから昭和電工の場合は、私の気持としてはこれは勧告だと思つております。これは当時日本側では司令部からいろいろさしずを受ける場合でも、たとえばその当時ありました三井物産、三菱商事、この二社は十社に分割しろというさしずを司令部から受けでおるのが昨年の三月でありますが、これも口頭でそういつたさしづを受けた。これは形の上ではあくまでも内面指導という形になつております。昭和電工の場合はやはり内面指導の意味で勧告したわけです。あの場合に結局会社の方で納得されなければ、あるいは味の素、若狭興業の持株会社指定ということをわれわれやるようにさしずされたと思います。あるいはとにかく総会に日野原社長就任の推薦の提案をしろ、そういう指示を正式に書面で出すということを言われたかと思います。実際はそこまで行かないで、結局話合いがついたのです。
#380
○足立委員 その点につきまして、過日來あなたの方の脇村さん、美濃部さんその他の方に詳細なことを承つたのでありますが、脇村さんの結論によりますと、もしオーダーということがなかつたならばそういうことは違法である、こういう結論を出しております。同時にまた美濃部さんもほぼ同じような結論を出しておられるのです。そこのところの御見解を伺いたい。
#381
○笹山證人 私は法律の專門家ではありませんから、こういう專門的なことは私の方にもその方の專門の常務委員もおられるわけであります。オーダーがなくても人事に関する指示をする権能は、委員会の解釈上当然あるというふうにわれわれの方は解釈しております。これはオブザーヴアーの見解も聞いております。
#382
○足立委員 その根拠として法律の十八條に「整理委員会は持株会社に対し其の解散に至る迄の常務の執行文は清算の遂行云々」ということでありますので、ここの御意見はこの中に勧告が入つておるのだ、首のすげ替もできるという御見解でありますか、その点はどうですが。
#383
○笹山證人 そうだと思います。
#384
○足立委員 そういうふうになると、勧告というより、ただ一つやつたらどうかというだけの勧告で、そんな強い力をもつものではないという結論に到達するということが一つであります。もう一つここで疑問になりますのは、持株委員会というものは、これは結局解散するということが前提になつておる。從つてここにも整理委員会は持株会社に対し解散に至るまでということが特にうたつてあります。それで昭和電工のような事業会社は解散することができない。ますます強化しなければならない会社である。こういう会社に対してすべてこれだけの大きな強圧の権限を持つておるかどうかということを非常に疑問に思うのです。
#385
○笹山證人 その点で御説明しますが、持株会社の指定された所に対しては、当時の考え方としては、持つておる有價証券そのものはそれを委員会で讓受けて、これを処分する。そういう方法で資本面は解体する。それから人的面では追放令、その後は財閥同族支配力排除法とか、なお当時の空氣としては、それ以上に財閥色の拂拭ということが強く言われておる。人的面には議決権等によつて人的の整理をする。それから事業そのものは再編成させるという考え方があつたのです。当時昭和電工については先方の相当具体的な考えもわれわれ実は聞いて知つておつたのでありますが、これは当時森さん等にもそこまでは具体的にお話しませんでしたが、今の集中排除法に盛られておる精神が当時がらあつたのです。そういう現業部門のある会社は、それぞれ再編成することによつて第二会社になる。そうして会社は解散蹴るという建前を大体考えておりました。それがその後いろいろな関係で事情は変化しております。しかしそうした考え方があつたのです。なおもう一つ申し上げたいのは言葉の点ですが、第一條の方においては持株会社の整理ということを言つておる。「有價証券其の他の財産を讓受けこれを管理、処分する等により持株会社の整理を促進し」と整理という言葉を使つております。ところが今お読み上げになつた所では、持株会社の解散に至るまでとなつておる。これは英文をごらんくださるとわかりますが、両方とも英文は同じ文句でリクリエーシヨンという言葉を使つておるのです。そこの條文の所も解散に至るまでという日本語は少し不備なのであります。英文で読むと、持株会社の整理に関連するということになつております。ですからその整理という意味は、いわゆる普通の経済上の意味の整理というだけでなく、持株会社の財閥色拂拭、財閥的性格を持株会社からとり除くということが、この持株会社の整理という意味に含まれております。われわれはそういう解釈でやつております。
#386
○足立委員 どうもわれわれはあなたがおつしやつたように、人事権にこういう強圧を加えたのは昭和電工だけだと言われた、それで昭和電工のこの問題を強圧するのに法律を御都合のいいように御解釈なさつてるという懸念があつてしかたがない。
#387
○笹山證人 そうではありません。私どもは集中排除法の運用の場合でも、法律の面から行けば十分與えられている権能もなるべく必要のないものは使わないという建前で進んでいるわけです。これは司令部の方でも、大体英米法の考え方は、私しろうとですが、そういことがあるのじやないかと思います。権限は廣く與えられておるわけです。
#388
○足立委員 それから昭和電工のこれは勧告だとおつしやるわけですね。
#389
○笹山證人 はあ。
#390
○足立委員 勧告である以上は、一定款にもちやんと載つておりまするが、必ず事後に委員総会に報告しなければならぬ事項ですね。
#391
○笹山證人 勧告したことですか。
#392
○足立委員 ええ、勧告したことを。
#393
○笹山證人 勧告という言葉は別に出ておりません。
#394
○足立委員 十五條に、左に掲げる事項は委員総会の承認を求めることを要すということが出ておりまして、その中に、十九條ないし二十三條の規定においてなしたる措置ということがありまして、第九條の三号に「持株会社の解散に至る迄の常務の執行及清算の遂行を指導監督すること」、こういう規定がある。おそらくこの規定でやられたものだと思いますので……。
#395
○笹山證人 その点さつき委員長の御質問のときにもちよつと触れておつたわけであります。勧告とそれから議決権の行使、この両方を併用した形になつております。それで勧告の方は内面指導的なものでありますから、委員懇談会のときに了解は得てあります。それで議決権毒行使した部分だけ総会にかけて承認を得て、特にその際そういう法律上のことですから、私から説明してあります。
#396
○足立委員 とにかく御事情はわかりますが、これは勧告であつても委員会の承認を得なければならぬ事項だということは明かな事実でございますね。得てあるか、得てないかということは別問題として、承認を得なければならないということは明らかな事項ですね。
#397
○笹山證人 委員会というのはさつき申し上げましたように、委員会の総会でフオーマリーな議事にかけるものと、実質上委員各位の了解を得るような運用と、とにかく仕事が非常に廣範ですから、十九條の建前では一應そうなつておりますが、二箇月に一回の定時総会に、その間行つたことを細大漏らきずかけるということは実際問題として非常に困難であります。それで大体報告だけにするとか、その間に委員懇談会という非公式なものの了解を得るというようなことで措置している部分が多々あるわけです。この場合には正式には議決権行使という措置の方で委員総会の承認はとつてあります。
#398
○足立委員 あなたのおつしやるのは、勧告であつたならば委員総会の議決を得なければならないということを御承認になる。その次の問題として、しからば委員総会の承認を得たかどうかという問題になりますと、一つの点は懇談会において報告してある、こういうことです。
#399
○笹山證人 そういつた点で非常に法律的な專門的な御説明をすることが必要でありますれば、私の方にも法律の專門の常務員がおりますので、むしろその点は書面で詳細正確にお答え申し上げる方が間違いないのじやないかと思います。
#400
○足立委員 あなた、逃げてはいけませんよ。事実関係を言うているのですから――。從つてあなたの方では、懇談会へ一應これが報告してあるという今の御弁解であつた。その次には議決権の行使として十回の委員総会において報告してある、こういうわけです。ところが十回の議事録を見ますとこういうことになつている。議決権の行使、本委員会は現行の株式の議決権には、本委員会が讓り受けた株式に関するもの、持株会社及び指定会社より讓り受けたもの、こういうことになつておつて、行使の実情については定時総会ごとに報告承認を求めているから省略する。こういうことになつている。議決権を行使したということを大まかに報告しただけであつて、内容については全然触れていない。これは実質的に單に議決権を行使したという報告に過ぎないということになつている。
#401
○笹山證人 そうではありません。お手元に差上げたのは議事録だけだと思います。附属書類がたくさんあります。議決権行使を一件々々見ますと数百件に上りますので、その議決権の行使の内容を書いてあるものを附表としてそのときにみな委員総会に一括してかけてある。その方にちやんと残つております。
#402
○足立委員 あとから御提出願いたいと思います。それから最後の一つの問題ですが、あなたの方と、GHQとの関係は法律上どうなつておりますか。
#403
○笹山證人 一番最初財閥解体の問題が日本政府から提案されました昭和二十年十一月四日のメモランダムに、財閥解体のために持株会社、そのときの言葉では清算委員会という名称になつておりますが、清算委員会というものを設ける。そしてこういつた仕事をやらせるということを日本側から提案しておりますが、そのときに特に持株会社清算委員会の一切の行為は、最高司令官の檢閲または承認を受くべしということになつております。日本政府からの提案、そうしてそれに対する十一月六日の最高司令官がらの回答の覚書その他のことも含めて、日本側の提案は全部これを了承する。しかしこれは財閥解体の予備的措置としてのみ了承するということで、さらにあとにこういうことをやらなければいかぬということが書いてあるわけでありますが、最後に持株会社整理委員会をこしらえてその実務を執行するにあたつては、最高司令官はこれに対し檢閲審査する完全な自由を保持するものである。それを了承するということが特につけ加えられてあります。なおその委員の任免の際には事前に最高司令官の承認を受けなければならぬ。また最高司令官の任命する者は、何人といえどもその必要があつたら委員に就任させなければならぬということがメモランダムに出ております。それに基づいて昭和二十二年の四月に出ました勅令二百三十三号持株会社整理委員会令でありますが、その委員会令が公布せられるときに、事前に日本政府からGHQへその内容の承認を求めた。それに対してこれを承認すると同時に、またそこに繰返して、その執行にあたつては最高司令官は、持株会社整理委員会の仕事に対して審査監督する完全なる自由をもつておるということを再びここに注意しておくといつたふうの言葉がそこにも出ております。そういつた関係でありますので、私の方の仕事は日本政府、内閣に属しておりますが、どちらへも連絡はもちろんいたしておりますが、日常の仕事は細大漏らさず司令部へ連絡し、事前承認なり事後承認を求めなければならぬということになつております。一箇月に司令部に対する申請件数は六百件ないし八百件ぐらいに上りました。なお報告するものが百五、六十件から二百件に上るのは毎月の例であります。給與から何から一切細大漏らさず皆司令部の監督部で目を通しております。
#404
○足立委員 そうすると結局これは法律上は日本政府の機関であるが、実質的にはESSの出先機関と同じことになるのですか。
#405
○笹山證人 そういうことになると思います。御参考までに申し上げますが、閉鎖機関整理委員会、これも似たような内容で特殊の機関だと思いますが、閉鎖機関整理委員会の中に司会部のオブザーバーその他スタツフの人が相当多数見えております。直接このスタツフの出動、欠勤、遅刻までも調べております。われわれの方はこの委員会にGHQの方からは直接は見えておりませんが、こちらからは毎日数名の者が連絡に行つて細大漏らさず相談してやつております。
#406
○足立委員 それではGHQが、日野原氏を社長にすえることにつき、また森氏をやめさすことについて、あなたの方へ言つて來ずに興銀に言つて來たというのはどういう事情ですか。
#407
○笹山證人 興銀というよりは復金に言つたわけですが、それは復金が大債権者であつたからだろうと思います。森さんにやめていただくようにということは復金には言つていないと思います。これは私の方に直接話した。それから新社長の人選という問題は復金の方にあつた。それは復金が大債権者であり、当時数億の金が出ており、さらにその後も出る予定になつているという点で復金を利害関係の多いものという観点から選んだのだと思います。それとその前からさつき申し上げたように新しく人を入れるとかいうことはわれわれあまり積極的はやりたくないという意向のあることを同時にGHQでも知つておつたと思います。その辺の事情もくんで自分の方に人選を命令した、こう想像します。
#408
○足立委員 それで末廣さんとこの問題について何回も皆さん方御協議になつておりますね。
#409
○笹山證人 いや、私が末廣氏と会つたのは二十五日の夕方だと思います。が、日野原君が承認を内諾した報告があつて、会社の方にそれじやどういう方法で相談しようかというその打合せで会つたのです。その翌日市村さんと一緒に見えた。この問題で末廣氏と会つたのはこの二回だけです。
#410
○足立委員 末廣氏は大きな役を一役買つているわけなんで、その次に末廣氏にあなたはどういう資格でこれに関與なさつたのかというと、興銀の理事としてこれに関與したという話なんですが……。
#411
○笹山證人 興銀副総裁でありますから興銀も債権者の一人であり、昭和電工とも関係が深かつた。まだ復金と同じ建物にもいた。当時復金の專任理事長はまだできない。興銀の伊藤総裁が復金の理事長を兼任しておられた。その伊藤総裁を興銀副総裁として末廣氏も補佐しているというような関係もあつて相談にあずかつたのだろうと思います。
#412
○足立委員 どうも皆樣方のお話を聞いておりますと、やはりこれは興銀の人たちが全部寄つて森氏をやめさせて日野原氏をもつてきた隠謀かのごとく思われてしようがない。
#413
○笹山證人 さようなことは私の知る限り絶対ありません。森さんにやめていただくという前も、興銀側の人からそういつた話を受けたことは全然ありません。それから森さんに辞任を勧告してそのことを興銀の人に話したこともありません。それでさつき説明しましたように司令部にはすぐその翌日報告したと思います。森さんに会つて私はよく懇談した。森さんもよく了解されたように思うので、多分勇退されるだろうと思うといろ報告はしましたが、興銀等には何も話していなかつたわけです。そして復金の二宮君がザイビユラ氏のところに呼ばれて新社長を選任しろという話を受けたときに、そうした事実は知らなかつたので、ふしぎに思つて、昭和電工には森社長がおるのに新しく社長をというのはどういうわけかと、そこでザイビユラ氏に聴いたということは、二宮君から直接私はその後に聞きました。
#414
○足立委員 あなたと二宮さんとは深い関係がございましよう。友人として……。
#415
○笹山證人 それは興銀時代の同僚ですから懇意です。
#416
○足立委員 ところが二宮氏の陳述を読みますと、日野原氏がおれを昭和電工の社長にしろと言つてきているということをはつきり言つておりますが……。
#417
○笹山證人 それは私知りません。そういう話は私聞いておりません。
#418
○足立委員 皆さん方興銀の連中が全部寄つてこの話をとつとと計画的に進めていかれたのではありませんか。
#419
○笹山證人 そんなことは私の知る限り断じてありません。私が日野原君のこの問題に関する名前を見たのは、さつき申し上げた三月十五日前後と思いますが、栗栖さんがリストを持つて來たとき初めて知つた。それまで昭和電工と日野原君というものを結びつけた話はだれからも聞いておりません。それから森さんにやめていただく、そういう勧告をしたということも当時二宮君等に話しておりません。その十五日ころに栗栖君がリストを持つて來たときに初めてそういうことも話したろうと思いますけれども、その前にあらかじめ二宮君、栗栖君あたりと森さんとが日野原君のことで打合せをしたことは絶対にありません。
#420
○足立委員 話はわきへ飛びまするが、あなたは興流会というのは御存じでございますか。
#421
○笹山證人 あることは承知しております。
#422
○足立委員 そのメンバーでございますか。
#423
○笹山證人 これは興銀にかつて在職しておつた者でほかへ出て働いておる者が、東京以外の者でしようが、ちようど学校の同窓会みたいなもので、みなメンバーになつております。私も興銀に籍がありましたから、その会員の一人です。
#424
○足立委員 それでときどき会合をなさつたのですか。
#425
○笹山證人 これは毎週水曜に各自弁当持参で興銀の会議室へ集まつて、書飯を一緒にしていろいろ雜談して別れるといつた程度のもので、別に会費をとるといつたようなこともありませんし、私は忙しいので二月に一ぺんくらいで、なかなか月に一回程度は行けません。
#426
○足立委員 そのメンバーの中には財閥でパージを受けた人も入つておりますか。
#427
○笹山證人 そういつた人も入つておると思います。ただ興銀におつたためにパージにがかつた人は興銀の建物で会合のあるときは出て来られませんようでした。
#428
○足立委員 重政さんや迫氷さんは入つておられるのですか。
#429
○笹山證人 それは入つておられません。興銀に籍のあつたことはありませんから。
#430
○足立委員 それではもう一つ産業金融研究会というのは御存じないですか。
#431
○笹山證人 そういうもののあることは聞いております。
#432
○足立委員 あなたは会員ではございませんか。
#433
○笹山證人 私は会員でも何でもありませんし、何かそういつたものを拵えようかといつた話が去年ごろあつたことは聞いておりますけれども、それ以上承知いたしていおりません。
#434
○足立委員 それで株券の処分の問題ですが、ここにこういう数字が現われておるのです。これは今年の四月の本ですから四月前の数字だと思いますが、株式処分明細表というのがありまして、この中には拂込額が八百二十一万二千円で、処分金額が一千百二十九万九千円、こういうことになつておるわけなんで、これは一般持株の趣意に照らして従業員あたりに多分会社で処分したものだろうと思います。
#435
○笹山證人 それはどの期間の数字でございますか。
#436
○足立委員 二十二年十二月十日現在となつております。その次に……。
#437
○笹山證人 それまでの処分総額ということになつておりますか。
#438
○足立委員 ええ。
#439
○笹山證人 それでしたらけたが八百でなくて、八億いくらという数字かもしれません。当時まだ八億になつていなかつたと思いますけれども……。
#440
○足立委員 それから従業員及び地方人に賣つたのが拂込金額で八百八万八千円で、処分金額が一千二百八十万七千円ということになつております。委託販賣の拂込金額が一千五百万円で、賣つた金額が九百六十万円となつている。大体委託している方が債務の申分ぐらいになつているのですか。
#441
○笹山證人 その数字はあるいは読み違えておられるのか、八百とか一千万というのは金額が少さ過ぎます。それは必要があれば、私いつでも詳しい資料に基いて御説明いたしますが、委託という場合は、非常に株数の多いものだけをするわけで、証券処理調整協議会で百万とか二百万という株を処分する場合に、委託処分にするという方法をとつているわけです。何もそれが拂込額より低いといつたようなことは絶対にありません。ただある銘柄だけとれば、銘柄によつては拂込以下に処分されることもあります。銘柄によつては拂込以上に処分されることもあります。それから時期もあります。昨年の暮くらいまでですと、株式市況は非常に悪かつたので額面以下に処分されたものも相当あります。しかし今年になつてから証券市場が非常によくなりましたので、大体において額面以上に処分されているものがはるかに多い状態です。今ちよつと伺つた数字は、よく拜見しないとわかりませんが、金額も八百万とか千万というのは問題にならないほど小さい金額です。もつと大量に処分しておるわけですから、何か数字の誤りかと思います。
#442
○足立委員 基本数字が違つているかもしれませんが、地方人や從業員に賣つたのは價格が高くて、委託販賣が低い。
#443
○笹山證人 そうじやありません。從業員とか地方人の方が今までの集計から行くと幾らか安めになつておる。入札というのが一番高く賣れます。しかし從業員だからといつて特に安くということにはなつておりません。大体市價を標準にすることになつております。幾らか低めになつております。
#444
○足立委員 一番最後にこういう疑問がわれわれとして非常に多いのです。持株会社整理委員会の性格は、日本の財閥を解体して、企業の民主化をはかるということが目的だと思うのです。ところが今おつしやつたように、二分足らずの株式を持つておつて、大きな会社の人事を動かすということに相なるわけなのです。ここに帳面によりますと、制限会社及び持株会社の、あなたの方で株を持つている会社が大体四千あると書いてありますが、この四千の会社には全部持株整理委員会がこういう大きな権能をもつてさしずできるのである。そういうことになれば民主化どころか、実を言えば独裁機関が新たに生れているじやなやかというようにわれわれは解せざるを得ない。しかもこれはたつた二%足らずのものを持つておつて会社の首を切りかえるということになる。持株整理委員会のわずかの株がオールマイテイで、それで支配できるのだということになると、日本の産業界の人は安心して仕事ができないのだということになると思う。昭和電工であなたがなさつた結果は、事業界に非常な戰慄を起したと聞いておる。また事実上そういう結果になつている。こういう方面を考えて見ますと、持株委員会というものの一つの集中的表現が昭和電工に現われたものと考える。かく考えて見ますと、この昭和電工に対する持株委員会の処置の責任がいずこにあるか。もしもあなた方にないとしたならば、これはGHQの命令なのだから、GHQに責任があつであなた方に責任がないとおつしやるか、あるいはまたあなた方が責任があるとおつしやるのか、いずれかを簡單に御返事願いたい。
#445
○笹山證人 今のお話は一番最初の大前提が違つておられます。制限会社はなるほど千いくつあります。制限会社以外の会社に対しても議決権をもつているところも多数ありました。それを全部合せれば、議決権の対象になつているところはなるほど三千数百社になります。しかしその中に非制限会社がたくさんあります。制限会社が約千社ばかりでありますが、一般の制限会社、いわんや非制限会社に対しては、われわれは單純な株主であつて、議決権の範囲以上の権能はなんら與えられておらない。ただ株主としての行動以外はとれません。ただそのうちの八十三社という持株会社に対しては、持株会社整理委員会令によつて特別の権能が與えられているわけです。昭和電工は持株会社に指定せられているわけです。ですからわれわれの直接対象になる特別の権限を與えられた会社は八十三社です。そのうち十五社はすでに解散事務に入つております。
#446
○足立委員 それで定款をわれわれが拜見し、同時にまた法律を見てみます場合において、昭和電工のようなことは違法である。どう考えても私たちはあなたのおつしやるような解釈が出て來ないのであつて、そういう解釈が出で來ないにかかわらず、このことがやれるのか。同時にまたこれは大きな一つの影響力を持ち、あなた方のやられた処置は大債権会社の復興金融金庫、または興銀、こういう金融資本との連関のもとに、相談のもとにこういうことをやつているのである。他の多くの会社も同じく復興金融金庫、興業銀行等の大きな債権会社との間の連関がある。それであなた方も実質的には持株会社整理委員会等で議決権を行使しておる。こういうことになれば日本の産業界は全部持株会社整理委員会に牛耳られるという結果を必ず招來する。しかもこのやり方が法律につきまして多少の疑問がございましても、むりやりの解釈をして、こういう結果を招來して行くということにつきましては、われわれはどうしても納得の行かない点なのでございます。從つてこの納得の行かないことに責任ありと仮定したならば、これはあなた方が負われるのか、それともGHQのサゼツシヨンか。そういうものによつて、これはGHQが負うべきであるとお考えになるのでございますか。
#447
○笹山證人 ただいまのお話の中でも、委員会の仕事の範囲について、やはり足立さんが初めにおつしやられたように、日本全國の主要な数千社に対して整理委員会が特殊の権限を持つているという前提でお話になつておられるように思うのです。繰返して申しますが、整理委員会の特殊の権限を與えられておる会社は八十三の持株会社であります。その点をひとつ御混合なくお考えになつて、御了承願いたいと思うのであります。そうしませんと、非常にこの委員会の仕事に対する御理解が困難になると思います。八十三社は財閥色の特に強い会社として、財閥解体の直接の対象として整理委員会令によつて特殊の権限に基いた措置をとられることになつておる。これはポヅダム宣言を受諾して財閥解体ということを日本政府で受入れた以上、どうしてもやらなければならぬ。それに対して強い権能を委員会は持たされておるのは当然の結果だと思います。そして先ほど前提として、われわれのやつたことは違法であるという御解釈によつておりますから、ただいまのような御結論が出るのだと思いますけれども、われわれは違法な点は毫もないと思つております。この昭和電工のケースにつきましても、われわれのところでは毎月業務報告をしたためて、それを日本政府並びにGHQに提出いたします。GHQに提出せられたものは、先ほど申しましたように、総会議事録と同樣、ワシントンの極東委員会まで提出されております。これもそこまで昨年報告済みのことであります。日々の仕事すべてオブザーバーの嚴格な檢閲承認のもとにやつておることでありまして、この委員会についての法律の解釈等についても、オブザーバーの意向は最も強力であります。その御解釈によつてあるいは違法というように法律解釈をなさつておられるかもしれませんが、立法者の精神は断じてそうではないと、私は確信しております。われわれのやつたととは違法でも何でもない。持株整理委員会に與えられた当然の権限や属する範囲内の行動である。そう解釈しております。
#448
○足立委員 責任がない……。
#449
○笹山證人 違法といつたことについての責任は何らないと思います。
#450
○足立委員 しからば違法の責任がなかつたら、日野原氏を社長にして、ここにおいて日本の肥料工業が、昭和電工に関する限り最も十全に遂行されておるかどうかという点につきまして、日野原氏を推挙したということ、それらの点についての責任はいかがでありますか。
#451
○笹山證人 生産は先ほど申し上げましたように、就任直後はわれわれも特殊の注意研究をいたしたわけであります。ところが四月は従業員の爭議等で生産が非常に落ちましたけれども、五月以降生産は上つて來て、五月には一万トンを川崎は突破しております。当時私の記憶では、硫安の生産一万トンを突破した工場は、その前年の秋かに日新化学の新居濱工場でしたか、あるいは日産化学の富山工場でしたか、どちらかに一つの例があつた程度だと思いますが、川崎工場は五月に一万トンを突破したと報告が來ました。その後あすこの生産も順調に行つておるという報告を聞きましたし、石灰窒素の方の生産も順調に行つて、鹿瀬の生産もずつと伸びて來て確か五万トンくらいになつたと思いますが、詳細のことは今記憶しておりません。大体順調に行つておるということを聞いたので、われわれはそれについて一應軌道に乘つて來たと思つた。その後生産状況等については、持株会社整理委員会としては、その会社のことを細大もらさず注意しておる余裕がありません。われわれは財閥解体という面から、対象の持株会社の財閥色拂拭といつたような面に主眼を置いて監督して來ておりますので、あとの生産、経理といつたようなことは、それぞれ監督官廳もあることです。また大債権者がいて、そこから経理担当者も入つておりますから、そういう機関を信頼して、われわれはそこまでは手を伸ばさなかつたわけです。
#452
○足立委員 そうすると結局財閥色拂拭ということは、持株会社整理委員会の本質であるがゆえに、どんな者を持つて來ても、どんな会社の経理をやつても、知つたことでないという結論に達するわけですか。
#453
○笹山證人 知つたことではないということでない。経理といつた面も、毎月收出予算書あるいは貸借対照表等をとつて、それぞれ注意して調べさせておるわけであります。しかしこれはおのずから人員にも限りがあります。われわれの方の主たる仕事は財閥色拂拭にあるわけで、そちらに重点的に精力を注ぐ、整理委員会は財閥の資産を処分したその金によつて経費を賄つておるという関係もありましたし、できるだけ経費を節減したいと思つておりますし、人員もできるだけ縮減した人員で能力をあげた、と考えておりますので、そうやたらに人をふやすわけにも行きません。経理面は復金とかその他の債権者が当然力を入れて見るわけだし、また生産の面については商工省、農林省等で十分監督しておられるし、また制限会社として制限会社令に基く措置については大藏省理財局で担当しておられる。それぞれの担当者がおられますから、われわれはその点については力を散漫にしない。われわれ委員会は独特の仕事に重点的に力を注いできている。こういうことであります。どうでもいいということではもちろんありません。
#454
○足立委員 しからば財閥解体が主眼であるがゆえに、それで一應社長をとりかえたならば、結果が多少悪くても、これはわれわれの責任にあらずという御結論なのですか。
#455
○笹山證人 もちろん責任があるものというような状態であれば、それは責任があると思います。
    〔「監督の責任がある」と呼ぶ者あり〕
#456
○笹山證人 その監督ということは、さつき申し上げたように、持株会社的財閥色の拂拭、そこに主眼をおいて監督しております。八十三の会社に対して細大漏らさずこまかいところまで事実上監督は物理的に不可能であります。それぞれの監督機関もあることですし、これはそれぞれの分野によつて重点的にやつて行く。
#457
○足立委員 責任を負うとおつしやるのですか、負わないとおつしやるのですか。
#458
○笹山證人 どういうことに対して……。
#459
○足立委員 実情がわからないと言われるが、その実情がふしだらな行為があつたと仮定したならば、責任を負うとおつしやるのですか、負わないとおつしやるのですか。
#460
○笹山證人 責任を負うべき程度のことが判明したならば、もちろん責任を負います。しかし実情がわからないで、ただここで責任を負うか負わないかとおつしやられても、御返答に苦しみます。
#461
○足立委員 それでは昭和電工及び日野原さんから、さつき委員長に申し上げた以外のものは絶対に受取つておりませんか、念を押しておきます。
#462
○笹山證人 ほかにはないと思います。が、一々こまかいところまでは私記憶しておりません。
#463
○足立委員 はつきりしてください。
#464
○笹山證人 私も一々こまかいところまでは記憶しておりません。私の記憶しておりますのは、さつき申し上げた以外に、もしそれが一つでも欠けて言つたら欺証であるというようなことをおつしやられては私も困ります。そういうことを御質問であれば、私も家内に聞いて詳細をとくに調べた上でないと、責任をもつて答えられません。
#465
○足立委員 金品、つまり物と金ですが、もし昭和電工及び日野原さんからもらつたものがあれば、明日中にもひとつ委員長あてにお届け願いたいと思います。
#466
○笹山證人 金はさつき申し上げたように一文もありません。
#467
○足立委員 金はない、それでは物の点をひとつお調べ願いたい。
#468
○笹山證人 これも家内に聞いて見ないとわかりません。一々私がそういつたことを帳面にはつけておりませんし、大分時間も経つておるししますから、家内といえどもそう正確に記憶しているかどうかわかりません。わかるだけのことは、必要があれば何時でも書いて差し上げます。
#469
○足立委員 お調べになつて、明日中にひとつお届け願います。
#470
○石田(一)委員長代理 では先ほど委員長に証言なさいました日野原氏あるいは昭和電工から物でもらつた以外のもので、委員長に証言した以外のものがあつたならば、書面をもつて明日中に御報告願います。
#471
○足立委員 もう一つ、自轉車をお貰ひになつたことはありませんか。
#472
○笹山證人 それは届けられたことがありますが、返しました。
#473
○足立委員 いつごろ届けられましたか。
#474
○笹山證人 記憶しませんが、今年の五、六月ごろじやなかつたかと思います。とにかく置いて行かれたので、家内が非常に困つていた。私手をつけないでそのままにしておいた。何とか早く返したいと思つたのですが大きなものですし、一体これは会社がよこしたのか、日野原氏個人がよこしたか樣子がわかりません。日野原氏と連絡したいと思つて一、二回電話をしたことがありますが、連絡がとれませんでした。その間若干日が経つて、一週間か十日経つたかと思いますが、たまたまそのメーカーの当時の社長、これは私も知つている人ですが、ちようどその人が來ましたので、その人に話して、君の会社の製品のようだから、どうも日野原氏と連絡がとれないで困る、ひとつ君の方で人をよこしてくれないかということで、その数日後見えたので返しました。六月の上旬ごろじやなかつたかと思いますが、はつきり記憶しておりません。
#475
○石田(一)委員長代理 足立君、さつきの持株整理委員会に報告した報告書の附属書類の提出を求めているのですか。
#476
○足立委員 さうです。
#477
○石田(一)委員長代理 では先ほど足立委員が質問いたしました報告書の附属書類。
#478
○笹山證人 議事録のその部分だけでよろしゆうございますか。
#479
○足立委員 全部いただきます。詳細に調べますから。
#480
○笹山證人 毎回のですか。相当厖大になりますが……。
#481
○足立委員 私どもはたくさん調べる必要がありますから……。
#482
○田中(健)委員  時間が経つておりますから、簡單に二、三点伺います。先ほどの自轉車の話ですが、それをお返しになつたのは、あなたのおつしやつたのは今年の六月でしたね。日野原さんが引張られてあとですね。
#483
○笹山證人 いや、そうじやない。前だと思います。
#484
○田中(健)委員 どのぐらいあなたのうちに置いたのですか。――いつごろそれは届けられたものですか。
#485
○笹山證人 五月の末ごろじやないかと思います。
#486
○田中(健)委員 五月の末ごろ届けられて六月の初めごろ……。
#487
○笹山證人 六月の上旬ごろか中旬だろじやなかつたかと思います。
#488
○田中(健)委員 それはどちらなのですか、二週間、十日違うと大変です。
#489
○笹山證人 日にちははつきり記憶しておりません。
#490
○田中(健)委員 しかし返したくらいならはつきり記憶しているでしよう。昭和電工事件がやかましくなつて來たので返したのではないですか。
#491
○笹山證人 いや届けられたときに非常に困ると思いました。私はとにかく、大勢いる療の中で住んでいるのです。ですから私はそんなものは一度も使つたことはありません。それで早く返したいと思つていましたが、とにかく物がかさばつたもので、その返済方法に困つておりました。それで日野原さんに何とか連絡をつけて、たれかとりによこしてもらいたいと思つていたのでありますが、容易に連絡がつかなかつたので困つておりました。私も忙しくもありましたし、そのうちにちようどその会社の社長が見えましたので、よい幸いだつたので、すぐその人に頼んだのであります。
#492
○田中(健)委員 あなたの推定ではどのぐらいの値段のものであつたのですか。
#493
○笹山證人 自轉車の値段は私知りません。
#494
○田中(健)委員 ちよつともどりますが、日野原氏に対する知識があまりなかつたというようなことを、先ほどあなたは御証言になられましたが、それは司令部から言われた三條件に相当するような日野原氏に対する知識がなかつたというのですか。たとえば社長の経験があるかないかとか……。
#495
○笹山證人 日本水素工業の社長をしているということは当時知つておりました。しかしそれ以上のことは、事実あまり知らなかつたのです。
#496
○田中(健)委員 三條件に照し合せて見た場合に、あなたはどの程度知つておりましたか。
#497
○笹山證人 とにかく化学工業会社の社長をしているということでで三つの條件の中の二つに合つている。財閥色がないという点も合つている。それからフレツシユマンということは、まあ年が若いという意味じやないかと思いますが、その点においても合つておるということが言えるだろうと思います。
#498
○田中(健)委員 しかしあの人は肥料に経驗があるのですか。
#499
○笹山證人 とにかく水素工業は前に肥料をやつておつて、戰爭中はメタノールに轉換し、それをまた肥料に再轉換をした工場でありますから、その日本水素工業の社長をしておつたのですから……。
#500
○田中(健)委員 しかし日野原氏は、日本水素が肥料をつくつておつた当時は社長ではなかつたのです。
#501
○笹山證人 肥料会社の日本水素の社長であるということです。
#502
○田中(健)委員 日本水素の社長であるということと、肥料のこととは違うのではないですか。肥料には経驗がなかつたのではないですか。
#503
○笹山證人 しかしあの轉換工事をやつておつたのですから、一應経驗者ということも言えるのではないかと思います。
#504
○田中(健)委員 その程度のことですか。
#505
○笹山證人 十分熟練と経驗があるならもちろんけつこうでしようが、事実財閥等も関係なく、追放にも影響していない、そして社長といつたようなことで、なかなか具体的には人がいないと思います。
#506
○田中(健)委員 それであまり日野原氏に対しては知識がなかつたけれども、大体今おつしやつた程度のことで推薦したのですね。
#507
○笹山證人 それは復金の推薦を信頼してやつたわけであります。
#508
○田中(健)委員 それから、二十二年の三月二十二日ごろ、新社長を入れるようにという話があつたという先ほどの話ですが……。
#509
○笹山證人 三月二十二日だつたと思います。
#510
○田中(健)委員 そのときに日野原氏を昭和電工の社長にするという話は、あなたとしては初めて知つたわけですか。
#511
○笹山證人 さつきお話したように、日野原君の名前が提案されておるということは三月十五日前後と思いますが、栗栖君がそのリストを持つて來たときに承知しました。
#512
○田中(健)委員 三月十五日前ですね。
#513
○笹山證人 十五日前後だつたと思います。それは司令部のオブザーバーから日野原氏を社長に入れろという指令を受けたのが三月十五日です。
#514
○田中(健)委員 栗栖氏から日野原が社長になつたらどうかという話があつたというのは……。
#515
○笹山證人 復金の方が司令部から呼び出されて、新社長の人選を命ぜられまして、それによつて復金の方で三人のリストをこしらえてそれを私の方に持つて來たのですが、持つて来るまでは私はそういうことは聞いてなかつたので、そのときが初耳であつたのです。三月十五日前後に栗栖氏からそういう話があつたとすれば三月十五日前後だと思います。
#516
○田中(健)委員 それ以前に栗栖氏二宮氏あたりで話したということは……。
#517
○笹山證人 司令部の方から復金の方に話があつたのです。それで三氏その他で相談して、その結果できたリストを司令部に持つて行つたのが十五日前後じやないかと思うのです。正確な日にちは今記憶しておりません。それを私の所にコツピーを持つて來たのです。
    〔石田(一)委員長代理退席、委員長着席〕
#518
○田中(健)委員 そのとき栗栖氏は日野原氏に対して交渉して、三月十五日ごろあなたのお話のように昭和電工の社長になることにきまつたというような話だつたのですか、ただ名前を出しただけですか。
#519
○笹山證人 そのリストをGHQに持つて行つたらこれを持株委員会へ連絡しておくということだつたから持つて来たのです。それだけの話です。
#520
○田中(健)委員 三月二十八日に総会がありまして、その総会の十日ばかり前にもと日本水素におつた齋藤という人に日野原氏が今度おれが昭和電工の社長になることにきまつた。こう言つておつたそうです。これはきのうの証言に出て來た齋藤さんが証言しておる。そうすると日野原氏はもう十日ばかり前に十七日、十八日ごろ社長にきまつたと思つておる。そうするとその前の三月十五日ごろ栗栖氏それから皆さんの間にその話が決められておつたのではないかということが、他の証人の証言によつて想像されるのですが、その点はどうですか。
#521
○笹山證人 日野原君がそのころそういうことをしておつたということは、私全然知つておりませんが、私の方ではさつきお話したように、大体栗栖君が三人のリストを持つて來たときも、まだそれに対してあまり熱意がなかつたわけでありますから、数日間そのまま手元に置いておいて、司令部と社長を入れないで合議制で経理担当重役を入れるという程度でどうであろうという相談をしておつたのであります。そのまま新社長問題はまだ私の所では留保しておつた状態ですが、結局二十二旧にオブザーバーからの命令で社長をどうしても入れるように努力しなければならなくなつたのでありますから、日野原君がその以前に十八日ごろそういつたことをほかの人に言つたということは、私全然聞いておりませんが、あるいは今お話伺つて想像すれば、リストをこしらえて司令部に提出する、われわれの方に持つて來るということ’になつたので、そこに日野原君の名前が載つておつたのであります。あるいはたれか復金の関係者が司令部からそういう話があつて、君を推薦しておいたといつたようなことを日野原君に言つたのかもしれません。私は全然それにはタツチしておらないし、今日まで聞いてもおりません。
#522
○田中(健)委員 あなたが日野原氏を最初に知つたのは昭和二十年の秋ごろですね。興銀の企画長室に行つた。そこで日野原氏を知つた。それから二十一年の二月か三月の末に私のところに一緒に見えたというのは、この三月の十五日以前には二回だけです。
#523
○笹山證人 それだけだと私は記憶しております。
#524
○田中(健)委員 日野原氏が特株委員会にしばしば出入りしておつたという話ですが……。
#525
○笹山證人 私が持株委員会で会つたのは去年の三月、この問題が起つてから初めてですが、事務当局の方へ、当時日本水素工業の用件で何回か見えたことがあるということを最近聞きました。しかし私は会つておりません。
#526
○田中(健)委員 しばしばあなたの委員会の方へ……。
#527
○笹山證人 しばしばというほどかどうか、当時の管理部長の方へ、何か日本水素工業の問題で見えたということを聞いております。
#528
○田中(健)委員 管理部長というのは植村さんですか。
#529
○笹山證人 植村です。それは最近聞きました。
#530
○田中(健)委員 当時は……。
#531
○笹山證人 委員室に今まで見えたことはありませんでした。
#532
○田中(健)委員 最近聞いたというのはごく最近ですか。
#533
○笹山證人 この数日前でしたか、いろいろな話をしているときに聞きました。
#534
○田中(健)委員 それは日本水素のことで來ているということですか。
#535
○笹山證人 そうです。
#536
○田中(健)委員 何か昭電の乗取りの準備のために來ている……。
#537
○笹山證人 そうじやないのです。日本水素工業の株を、やはりもと日電工業の持つておつた分が、われわれの委員会に来ていると思いますが、株主権の関係があつた。何かそんな関係だと思います。
#538
○田中(健)委員 それは植村さんが御自分であなたにおつしやつたのですか。
#539
○笹山證人 植村君から二、三日前に聞きました。
#540
○田中(健)委員 特にそれを聞くために、あなたが植村氏を呼んだのですか。
#541
○笹山證人 そうじやございません。日野原君のいろいろな話が出たときに、そういつた話が雑談的に出たわけです。
#542
○田中(健)委員 雜談的に日本水素のことで三月十五日以前に、昨年の八月ごろから來ておつたという……。
#543
○笹山證人 何月ごろからか、私はその辺まで聞いておりません。
#544
○田中(健)委員 よくわかりました。それから持株委員会のメンバーの方々が、ときどき会合をなさる場合は、食事を伴う会合ですね。そういう場合は事務所で飲食する場合もあるでしよう、外で飲食する場合もあると思いますが、そういう場合に、あなたもおいでになつたことがありますか。
#545
○笹山證人 事務所でですか。
#546
○田中(健)委員 事務所で飲食することあるでしようし、どこかの料亭を使うこともあるでしようし、持株委員会の方々がつまりそこで会食なさつたことがあるかということです。
#547
○笹山證人 政府当局と持株整理委員会の中で遅くなつたとき会食することがあります。それからあの地下室に食堂経営者がいたときは、そこを利用して司令部関係の人を招待することが二、三回あつたと思います。それからあそこの仕事のことをよく説明し、了解していただくために、雜誌社とか、地方の新聞関係の方、あるいはその他の新聞関係の方と簡單な食事をしながらいろいろ説明するといつたようなことは数回ありました。
#548
○田中(健)委員 何か宴会みたいなものをどこかの料亭でおやりになつたようなことはありませんか、持株委員会のメンバーで……。
#549
○笹山證人 ずつと以前、司令部関係の人を招待したことは二、三回あつたと思います。
#550
○田中(健)委員 その費用は委員会の費用ですか。
#551
○笹山證人 これはもちろん委員会としてやつておるわけです。そういうときには委員以外に関係のスタツフ等をみななるべく出すことになつております。
#552
○田中(健)委員 いつごろですか。
#553
○笹山證人 GHQ関係の人の招待は創立準備時代から今までで六、七回くらいです。帰るときの送別会などを……。
#554
○田中(健)委員 GHQ関係はそうだけれども、日本政府の役人なんかの場合もあるでしよう。
#555
○笹山證人 役人の方とは委員会で簡單な食事を……。
#556
○田中(健)委員 委員会の方はわかりましたが、日本政府の役人と委員会の外で宴会をしたことがあるかどうかということです。
#557
○笹山證人 外ではあまりないように思いますが、はつきりしません。
#558
○田中(健)委員 あまりないというが、少しはあるでしよう。はつきり言つてください。
#559
○笹山證人 記憶がありません。
#560
○田中(健)委員 GHQの人などは呼んで食つたりすることはあつたと言つて、日本政府というといやにしぶりますが、しぶらないで言つてください。
#561
○笹山證人 そういうことはあまりやつておらないので、今記憶が浮びません。
#562
○田中(健)委員 とにかく日本政府の役人と持株委員会のメンバーの諸君とどこかで会食したことはあるにはあるでしよう。
#563
○笹山證人 一、二回程度はあるかと思います。
#564
○田中(健)委員 その場所はわかりますか。
#565
○笹山證人 場所は委員会以外というとはつきり記憶が浮びません。
#566
○田中(健)委員 それから日本政府、GHQ、持株会社に指定になつた昭和電工のような会社の幹部の諸君と今申したような会食した場合がないですか。
#567
○笹山證人 それはあります。
#568
○田中(健)委員 何べんくらいですか。
#569
○笹山證人 何べんくらいと言わてもはつきり記憶しませんが、とにかく委員会の仕事も非常に忙しくて、われわれも毎日六時くらいまでは残つておるのですが、時間中だけでは落ちついた話もできぬものですから、勤務時間外でいろいろ話を聞きたい、また会社の事情を説明したいというようなことで会食したことはしばしばあります。
#570
○田中(健)委員 趣旨はわかりました。その場所と回数、たれが行つたというようなことを簡單に言つてください。
#571
○笹山證人 近ごろはほとんどそういうことはありません。よほど前のことで……。
#572
○田中(健)委員 しかしどこの会社の人とどこで飲んだ、それくらいなことはわかりそうなものです。まるきり知らないということはおかしい。
#573
○笹山證人 急に場所から会社からその人まで思い出せとおつしやられても……。
#574
○田中(健)委員 それでは場所だけでも……。
#575
○笹山證人 場所は会社の事務所とか、寮とかいつたような程度です
#576
○田中(健)委員 料亭は全然使わなかつた、全部会社の事務所、寮でやつた、こういうことですね。
#577
○笹山證人 料飲禁止前には料理店にも行つたことがあります。しかしそれは大分前のことで、一々今具体的に説明しろと言われてもちよつと。
#578
○田中(健)委員 禁止後には一ぺんも行つたことはないとおつしやるのですが。
#579
○笹山證人 ほとんどないように思いますが、一ぺんもというお言葉だと、一ぺんもないとは言えないかもわかりません。それはごく稀に行つたことがあるかもわかりません。
#580
○田中(健)委員 ごく稀にといえば、一回くらいは記憶にありそうなものですが。
#581
○笹山證人 ちよつと記憶がございません。持株会社とか、そういう関係だけでなく、私どもはいろいろな友達の関係とか、会社の関係とか、郷里の関係とかいうことでしばしば会合もありますから、その辺と混乱して、ちよつとおつしやられてもなかなかはつきりわかりません。
#582
○田中(健)委員 私の申しますのは、持株会社の関係と日本政府との関係を聞いておるのです。
#583
○笹山證人 むしろそういつた方のことが少くて、友人関係の方が多いのですから……。
#584
○田中(健)委員 多いのはわからないでしようが、一回か二回の少いのがわからないというのはおかしいじやないか。
#585
○笹山證人 それと混合しますから、具体的に話せとおつしやられても、ほとんどこれね記憶が不明確ですから申し上げかねます。
#586
○田中(健)委員 それではあなたに記憶がないというから、記憶を喚び起すために、私が行きそうな場所を読み上けますから、当つたら……。(笑声)桂は使つたことはありませんか。
#587
○笹山證人 行つたことはあります。しかしこれは友達関係でございます。
#588
○田中(健)委員 友達関係なんというのは、栗栖さんも友達でしよう。
#589
○笹山證人 いや栗栖さんとは一度も行つたことはありません。
#590
○田中(健)委員 それから金田中。
#591
○笹山證人 これはよほど前です。これは一昨年ごろは行つたことがあると思います。
#592
○田中(健)委員 昔ではなくて、あなたが持株委員会の委員長になられてから……。
#593
○笹山證人 なつてから行つております。しかしもうここ一年以上行つたことはありません。一昨年ごろは行つたことがあるかもしれません。
#594
○田中(健)委員 去年の十一月ころまではは行つたことがあるというのですか。
#595
○笹山證人 そのもつと前から行つたことがないように思います。
#596
○田中(健)委員 するとこの一年以上というのですね。
#597
○笹山證人 一年以上行つたことはないと思います。
#598
○田中(健)委員 例の田中元運輸相の天ぷら御殿はどうですか。
#599
○笹山證人 あそこは一度だれかの関係で行つたと思いますが、ちよつと今覚えておりません。一度何かで行つた記憶があると思います。
#600
○田中(健)委員 それから熱海の松の寮は……。
#601
○笹山證人 全然存じません。
#602
○田中(健)委員 それから小林みねという女が経営しているところへ行つたことはありますか。
#603
○笹山證人 全然行つたことはありません。
#604
○田中(健)委員 藝名は秀駒という……。
#605
○笹山證人 全然行つたことはありません。その昔働いておつたころは知つておりますが、その当時以後かれこれ七、八年以上顏を見たこともありません。どこにあるのか全然存じません。
#606
○田中(健)委員 それであなたの御記憶もよみがえつて参りまして、行つたところはいくらかわかりました。何のためにだれと行つたかというようなことについてお尋ねしたいと思うのですが、どうですか御記憶はたしかですか。今お伺いしたことです、もつとたくさんあるけれども、時間の関係で。
#607
○笹山證人 結構です。
#608
○田中(健)委員 一々行つた人とどういう要件でどうであつたということは、やはり記憶がはつきりしませんか。
#609
○笹山證人 数ですか。桂は今お話の栗栖君とかそういつた人と行つたことは一度もありません。この電工関係に関連があるような人と桂で会つたことは一度もありません。学校関係で、私、熊本の五高ですが、その関係の会合で行つたことが一度あるのを記憶しております。それから私が安田時代の友達、親戚の人が熊本で仕事をしておる。友人の紹介でその親戚の人と会つたことは一度あるのを記憶しております。
#610
○田中(健)委員 お話中ですが、そうすると日本政府の役人あるいは持株会社――あなたの業務関係の諸君とは、ただいまあなたの御証言で言われたところではない、一ぺんも行つたことはない。
#611
○笹山證人 桂に行つたことはありませんか。
#612
○田中(健)委員 ほかのことでありますか。
#613
○笹山證人 ほかのことではありますが、業務関係で桂へ行つたことはありません。全然記憶ありません。
#614
○田中(健)委員 間違いありませんね。
#615
○笹山證人 間違いないと思いますが、何かお氣づきの点があればおつしやつていただけば、思い出すと思います。とにかく昭和電工関係とか何とかそういつたことでは全然ありません。
#616
○田中(健)委員 それから先ほどの御証言の中に融資、つまり復金から融資される予定になつておつた。――森さんの話ですね、森さんに会社の社長をやめてもらうという話の際に、復金から融資をなされる予定になつておつた。速記録だけでは前後のことはわかりませんが、それは森さんが計画を立てられて申し込んでおつた金が融資されるという予定なのか……。
#617
○笹山證人 そうです。
#618
○田中(健)委員 森さんがやめなけれぱその予定が崩れるという意味だつたのですか。
#619
○笹山證人 いや別にそういう意味でなく、当時私よく存じませんが、どのくらい出たか、最初の第一次融資の七億くらいとか、後で新聞で承知したのですが、そのうちの四億がいくらかそのころすでに貸し出し済みになつておつたのじやないかと思います。その残りの何億かが出たはずになつておる。そういうことを事実言つておつた。
#620
○田中(健)委員 そこで森さんがやめなければ、その融資予定がだめになるという意味だつたのですか。
#621
○笹山證人 いや、そういつた意味で申したのではありません。
#622
○田中(健)委員 そういつたことを裏に隠して言つたような言葉じやなかつたですか。
#623
○笹山證人 そういう意味のことは申し上げません。
#624
○田中(健)委員 そうすると、どうしてその言葉が出たのですか、
#625
○笹山證人 そういつた大きい復興計画をしているところだから、大事な場所だから、いわゆるしからざる人がそういうところにいつまでもいるのはおもしろくない。早くすつきりした形にすることが望ましい、こういう話だつた。
#626
○田中(健)委員 融資問題が出たということは森さんがいれば金が出ない。こういう暗示的なことを言つたのじやないですか。
#627
○笹山證人 そういう話じやない。
#628
○田中(健)委員 そういう話でなければよろしい。
 それから先ほど日野原氏個人という言葉が出たのですが、みそ、しようゆは日野原氏個人から贈られた、こういう意味ですか。
#629
○笹山證人 そういうことは日野原かち持つて來たというので、先生、單純な個人的な氣持で持つて來ただろう、こう思つておつたわけです。
#630
○田中(健)委員 そうすると、個人からあなたが贈らなければならない何か相当な理由があるのですか。
#631
○笹山證人 それほど非常に大きなものであれば別ですけれども、台所向きのそういつたものでしたから、そこまで重大には考えませんでした。
#632
○田中(健)委員 そうすると、おかしいじやないですか。あなたの方と日野原氏との関係というものは、ほとんど持株会社整理委員会の関係で接触面があるのであつて、個人面というものはきわめて小です。そこへ持つて來て、日野原個人が、あなた個人か、委員長か、誰にやつたのかわかりませんですか。
#633
○笹山證人 私はその程度に軽く考えておつたのですけれども……。
#634
○田中(健)委員 これはちよつと大事なあなたの心境がですがね。どうですか。
#635
○笹山證人 私は、日野原からというて持つて來たというので、先生、家は金持だとかいうことも聞いておりましたし、國が近いということも聞いておりましたから、何かそういつたものを手みやげのようなつもりでよこしたのだろうと簡單に考えておりました。
#636
○田中(健)委員 藤井常務が日野原個人じやなくて、明確に会社の経理面から出しておるということは、新聞記者にも語つておる。私もそれは本人から聞いた。
#637
○笹山證人 それは、この数箇月前いろいろこの問題がやかましくなつてから後に承知して、実は非常に意外に思つた。この夏から後にいろいろそういつた事実が明らかになつて來たので、われわれも初めて承知したわけです。
#638
○田中(健)委員 明らかになつて來たので、個人になつたのじやないのですか。
#639
○笹山證人 いや、そうじやありません。
#640
○田中(健)委員 それからGHQへ日野原氏が社長になられまして、会社の幹部、市村さん以下二十数名が首になるということになつたわけですね。その場合に通訳はたれも行かなかつたようですが、野田さんが通訳の役目をして時々おやりになつた。特に通訳として行かなくても野田さんが通訳の役目をやるのじやないのですか。
#641
○笹山證人 それは当時のことを記憶を呼び起してみますと、GHQにあいさつに行かれたことは二度あつたようであります。初めは多分三月三十一日だつたと思うのですが、その時に日野原君と、あとだれだれだつたか、はつさり覚えておりません。数名の方が委員会へあいさつに來られて、それからすぐ司令部の方に行かれたと思います。その時にその当日すでに野田君が司令部の方に行つておりました。その日はたしか、なるべく早くあいさつに司令部へも顏出ししたらいいだろうということを、あるいは委員会の方から係りのものが注意したのかもわかりませんが、その辺私ちよつとはつきり記憶しておりません。ちよつと野田君が司令部に行つておる留守に見えたと思います。それで井上という、今証券部長をしておりますが、やはり司令部との連絡を受け持つておる、その井上君に私、話をしてすぐ司令部の方へ御案内しなさいということで行つたと思います。それが最初のときです。それで野田君が行つておつたので、野田君が間に立つて通訳の労をとつたと思います。それから二度目のときは四月の三日であります。四月の三日にも野田君は行つておつた。四月三日は日本側では祭日でありますけれども、司令部では仕事をやつております。日本側では祭日であつて休日であつても、司令部が仕事をやつているときは野田委員はいつも出勤してきております。そして司令部に行つて少くとも半日はそこで仕事をするのであります。普通の日は委員会の方も司令部の方も混雜しております。なかなか落着いて話ができないので、そういつた日本側が休みで向うが仕事をしているという日が一番仕事ができる。そういう日は野田委員は必ず司令部の方に出かけて用事を片ずけておりました。この日は偶然だつたようであります。話を聞いてみますと、ちようど野田君が行つて話をしておつたところに、日野原君その他があいさつに入つて來たそうです。そのときは別に何ら連絡があつたわけではなく、前の三月三十一日のときは一應司令部にあいさつに行かれたらよいだろう。自分も行つておるからといつたようなことを、あるいは連絡したのかもしれませんが、四月三日のときはまつたく偶然向うで顏を合せたということであつたように思います。
#642
○田中(健)委員 通訳していたことは事実でしよう。
#643
○笹山證人 ヘンダーソン氏の部屋にいたものですから、通訳をさせられたというわけです。
#644
○田中(健)委員 そこにおつたから通訳させられたというわけですか。
#645
○笹山證人 そうです。
#646
○田中(健)委員 それから労働組合から今の日野原社長をやめさせてくれという要求書があなたの方に出ていませんか。
#647
○笹山證人 最近でありますか。
#648
○田中(健)委員 最近です。
#649
○笹山證人 従業員組合でせんだつて決議をされた。それはいただいております。
#650
○田中(健)委員 やめさせるつもりですか。
#651
○笹山證人 これは実情を申し上げれば、事件の内容はまだよくわれわれにはわかりませんが、いずれにしても時間が長くかかるだろうと思いまして、社長の席だけは退いた方が会社のために必要ではないかというふうに考えて、そういつた意味のことはちよつと以前にその旨を司令部の方にすぐわれわれの意見として申し出たのです。二、三回その意見は申したのですが、司令部の意見ではよろしくないということで、任期の來たときにはあらため、て再檢討しなければならないが、それまでは現在の地位を解職させてはいけないというメモランダムをわれわれの方に出されました。それでわれわれとしてはそれに從わまければなりませんので、その点を会社の方にお傳えした。現状では現状を動かせない形になつております。
#652
○田中(健)委員 任期は何年でありますか。
#653
○笹山證人 任期は森さんの残りを引継いだのでありますから、十二月の二十八日まで一應任期に相なつております。しかし特経会社でまだ整備計画ができておりませんので、最近の決算総会のときが任期になるだろうと思います。
#654
○田中(健)委員 そうすると年度末ですか。二十八日が任期ですか。
#655
○笹山證人 二十八日が一應任期になつておりますが、特経会社はその間に決算総会がないと、決算総会のあるまでは重役の任期は延びるようにしたか再建整備法か何かでなつております。その関係で整備計画の立つまで任期を延長する、そういうことになると思います。
#656
○田中(健)委員 司令部の覚書は任期だけ終らせなければならないというものじやないか。
#657
○笹山證人 これは法律上十二月二十八日という任期、そこまでは任期になるという法律の解釈じやないですか、今の御質問の点は研究して見ます。
#658
○田中(健)委員 研究して見るではない、二十八日が來たら一應やめることになるじやないですか。
#659
○笹山證人 これは今の整備法の法的解釈に従えばわれわれはいいわけです。
#660
○田中(健)委員 それに従うつもりですか。
#661
○笹山證人 二十八日がそうなつていても、それが任期だということになれば、そのときに司令部からあらためて險討ということになると思います。しかし決算総会をするまで当然任期は延長されることになるだろうと思います。
#662
○田中(健)委員 書類をトラツクに五台も持つて行つたとかいうが、そのために決算総会は延びませんか。
#663
○笹山證人 その辺集中排除法の関係もありますから、相当延びるだろうと思います。
#664
○田中(健)委員 今会社に書類もないでしよう。
#665
○笹山證人 いずれにしてもそう何箇月もの問題じやないと思います。
#666
○田中(健)委員 しばらく置くつもりか。
#667
○笹山證人 そうういうメモタンダムが出ておりますので、メモランダムには從わなければならない。
#668
○田中(健)委員 それは任期中という意味のものでしよう。あとのはこつちの法律で解釈したらいいのだろう。
#669
○笹山證人 任期中というのは十二月二十八日という解釈でよろしいのだということになれば、そのときに司令部の方と相談して再檢討することはできる。
#670
○田中(健)委員 今はそう解釈をしておられますか。
#671
○笹山證人 いやそれは任期まで延長するというのが再建整備法の趣旨だと思いますから、その決算総会のときまでじやないかと思つておりますが、その点はさらによく法律の專門家に聞かないとわかりませんから……。
#672
○田中(健)委員 先ほど足立委員があなたに対して言われたが、國民の感情から考えて見てやはりそういうふうにいろいろと解釈して長く社長としておることは國民感情に合致するかどうか……。
#673
○笹山證人 そういう点はわれわれ日本人の感情といろものをできるだけ説明しておるのですが、考え方の相違というか、十分の了解が今まで得られていないわけであります。そのメモランダムには委員会からこういろ問題について提案があつたということもはつきり書いてあります。しかし自分の方はこう考えるということであります。
#674
○田中(健)委員 もう一点簡單にお伺いますが、労働組合方面から去年日野原さんが社長になつて二十数名の者が首になつた。あとで考えて見ると非常に不合理だと復職の要求があつたということを耳にしておりますが、あなたの方にそういうことはなかつたですか。
#675
○笹山證人 二箇月くらい前かと思いますが、三名の方が見えまして、それは全員代表という意味でなく、その三名の方の個人的のお話のように私伺つたのですが、私がいないときの用意にと思つて書いたものを持つて来たけれども、しかし会つて話をすることができたので別にその必要もないわけだが、せつかく書いて來たから置いて行きますということで置いて行かれた。あとであけてみましたら三名の方だけでなく二十一名の方の署名になつておりましたし判もついてありました。そうすると私は二十一名全体の方の代表という意味でさつきの三名の方が見えたのか、それだとちよつと話の内容が違つておつたと思つた。大体最初のときは私の自宅に見えました。ニ回目に委員会に見えたときに、二十一名のあれは代表という意味で二十一名全体の処遇という点で見えられたのかどうかということを伺いました。私の家に見えたときはそういつた話でなく、大体その三人の方の個人的の話のように伺つたので、その点がちよつとお話が違うように思うということで伺つたのですが、そうしたら、いや別に二十一名の代表というほどの意味ではないのだ、皆個々の問題だ、ただ二十一人皆個々に同じような氣持をもつておるということを示す意味で二十一人の名前を書いた、そういうお話だつたのです。
#676
○田中(健)委員 それに対して今どう考えておりますか。
#677
○笹山證人 それはすぐに今の大仲常務にその実情を傳えて、それに対して、何か考慮の余地があれば考えていただきたいということで大仲さんの方におまかせしておるわけです。
#678
○田中(健)委員 これは持株委員会としてあなたの御見解をお伺いするのですが、二十数名追い出されたというのは森財閥系の者であるということだつのでしよう。ところが森氏がその後追放も解除になつておるし、そういろいろなことを強いて今更言うこともなくなつて疑義がなくなつておるように思うのですが、あなたはどう思うのですか。
#679
○笹山證人 それは当時われわれ二十一人の個々の人について全然知識がなかつたわけでありますが、日野原君の解釈でやつたわけです。せんだつてその三名の方が見えたときの話では、森さんが今度追放解除になられる少し前に、その中の八名ばかりの人に対して復職の交渉が藤井君からあつた。しかしそのときは森さんもまだ追放になつておることだから、自分らもそういう話があつたが、遠慮したが、森さんの追放も幸い解除せられたのでこうなれば自分らも復職してもいいのじやないかと思つてそれで頼みに來た、八人に交渉のあつたときがもうちよつとあとで森さんの追放解除後であれば、そのときにすぐ復職することができて非常に好都合だつたが、まだ追放解除前だつたので自分らの方は遠慮したわけだつたといつたようなお話がありました。会社の都合が許されれば復職されることは一向さしつかえないだろうと思いますが、そういつたこまかい人事については具体的のことは私ども十分に社内のことはわかりませんので、一切それは大仲さんその他現重役の処置にまかしてあるわけです。
#680
○田中(健)委員 追出すときには相当にあれしで、今度こういう話になつて來ると会社まかせということでは頼りない話じやないですか。
#681
○笹山證人 その整理のときもこれはそういつた社内の人事にまでわれわれとうていタツチできませんので全然タツチしてなかつたわけです。その知識はありません。しかし今日会社の実情が許せばできるだけそういつたことは希望がかなえられればその方がよいだろう、そういつたことは話してあります。但しそれは労働組合、從業員組合の関係もあるだろうし、二十一名の方がそろうということは非常にむずかしい問題でないかと思うが、個々のことで事情の許される方だつたら、そういつた希望が達成せられるように考えて上げていただきたいといつたようなことは大仲さんにお願いしてあります。大仲さんが万事自分にまかしてくれということでありました。
#682
○田中(健)委員 それからもう一点、昨日の藤本忍といろ常務の証言に基けば、交際費のようなものは支出できない形になつているので別途の方法でやつている、しかしこれは法律違反だと思うと証言しております。持株委員会が監督上、何千万円という交際費を昭電が出しておつたということについてどう思いますか。そういう法律上の違反を皆さんが認めて來たことになる。
#683
○笹山證人 そういつたところまで目が届かなかつたわけであります。さつき申し上げたように経理方面は大きい債権者があつて、その債権者側から経理担当の重役なり、課長といつた人も入つておられるので、これはなか外から一々会社の資金の使途までは事実問題としてわかりかねます。しかし復金側から常務並びにたしか経理課長が入つているというので、われわれは、一應そう間違つた使い方をしてないだろうと信じておつたわけです。その後、今年になつていろいろうわさを聞きましたので、植村部長に命じて会社に注意したことも一再ならずあつたと思います。また復金等にもこちらから注意を促したことがあると思います。鳥巣君を呼んで注意をしたこともありましたが、そのときも間違つたことは自分の責任上絶対にやつていない、安心してくれといつたようなお話もあつたので、そういつた言葉を実は信頼しておつた。その後のいろいろ報道せられる通りが事実とすれば、はなはだその辺われわれ心外だと思うのであります。
#684
○田中(健)委員 それはしかしあの会社は一々許可を取らなければならぬのでしよう、支出する場合の。
#685
○笹山證人 いや、資金の支出は一々とても見るなんてことはできませんから、借入金のときは承認を要するということになつていますけれども、個々の支出まで事前にということは――一慶会社に対する包括支出等はそういうことは出してありますが、運用として事実それはできかねます。
#686
○田中(健)委員 借入條件に合致する支出を行うならばそれでいいのであつて、それ以外の支出を行うということになればこれは一慶変更の承認を得なければならぬのではないでしようか。
#687
○笹山證人 いや、そこまでは……。
#688
○田中(健)委員 復金からそういう承認を取らなければならぬでしよう。
#689
○笹山證人 そこまでは見ていない。借入れの場合は承認を取る形式になつていますが、実は借入れをする場合は関係官廳、復金等で十分審査して、大体その復金等が固まつたところで委員会に書類を提出して來る、委員会で一一そこまで檢討することは事実不可能ですから、復金並びに監督官廳等で十分檢討した上で復金融資が行われるという建前になつておつたので、われわれはそれを信頼しておつた。以前資金調整のあるときは資金調整等で各社の借入金の檢討はしておりました。それに慶じてわれわれの方は承認を與えてらつたこういう形です。
#690
○田中(健)委員 そうすると昭和電工が復金から金を借りて、それが借入れの條件と違つた支出もある程度行われたということは、これは事実上の問題だ。たとえば、こまかいことは言いたくないが、福島縣の温泉の支出などは借入れ條件と合致しない支出だと思う。これはこまかいことをあげ足とりに言うのではないが、そういうことがどの方面にもたくさんあるわけです。そこで何ゆえにそういうことをあなたの方で監督をなされなかつたか伺いたい。
#691
○笹山證人 いや、復金から出た金は、具体的なこまかいことは知りませんが、大体設備資金と、一部は運轉資金だと思います。しかし会社が資金收支として支出する金は、復金かち借り入れる金以外に、会社の販賣代金が毎月、幾らあるか知りませんが相当の金額になると思いますが、その賣上代金もあるわけです。ですから復金から出た金が、ただちにそういつた宴会とか何とかにそのまま……。
#692
○田中(健)委員 私は臨時建設本部の金を言つております。
#693
○笹山證人 だから、はたして復金からでた金が、最初の計画通りに設備資金に費されておるかどうかということを檢討しなければわからぬと思いますが、その点について、われわれの方はそこまでまだ調べておりません。
#694
○田中(健)委員 あなたの方ではまだ一ぺんも監査しておりません。
#695
○笹山證人 やつており住せん。
#696
○田中(健)委員 一回……。
#697
○笹山證人 毎月数字の報告はとつてありますが、それ以上こまかく監査するということは、人手の関係で事実上不可能ですからやつておりません。その方は復金の方で今年の一、二月ごろですか会社に人を派遣して、詳しい監査をしたと聞いておりましたが、われわれの方では、そこまで手が伸びないのでやつておりません。
#698
○田中(健)委員 それは一、二月ごろ復金から人が行つたろうけれども、不当財産委員会で問題になつて、あわてて五月十三日にこの委員会に対して監査報告書を出している。それにははつきり使途がいけないと書いてある。しかしあなた方のでは、当然やらなければならぬことを何もやつていなかつたということになるのではないですか。
#699
○笹山證人 さつき申し上げたように、われわれの方としてはそうことごとくの会社の、あらゆる点にまで手を伸ばして監督することは、事実上不可能なことでありますから、持株整理委員会の持つている特殊な部面に重点を注いで、その他の点はそれぞれ債権者なり監督官廳なりで監督しておられるので、そういつた面には私の方としては手を出す余裕がありませんから、そこまで手が伸びていない。
#700
○田中(健)委員 手を出す余裕がなくて、二十何億をどうしたつていいということになるのですか。
#701
○笹山證人 どうでもいいということじやありませんが、そういつた面までわれわれの方で監督することになれば、かんじんのわれわれの主たる仕事ができなくなる。
#702
○田中(健)委員 あなた方の目的さえも、結果論から言えばだめになつてしまうことになる。だから当然やるべきことを手が足りないとか何とか言つて皆さんがやらないでおつたのは怠慢であると思う。
#703
○笹山證人 当然われわれがやらなければならぬ点、委員会以外の機関でやれない点は当然やらなければならぬと思つてわれわれ全力を注いでおるわけでありますが、委員会以外の機関の方がより適当と思われる面は、他の機関にやつていただくところに、われわれとしては依存しているわけです。
#704
○田中(健)委員 そうするとあなたは監督しなかつたという点に対して責任がないのですか。
#705
○笹山證人 各般のこまかいことまで問題になれば……。
#706
○田中(健)委員 監督しなかつた結果こうなつたでしよう。監督さえすればこんなことは起きません。
#707
○笹山證人 普通の監督はやつておつたわけです。たださつき申し上げたように、直接債権者の方から重役を派遣されるといつたような事態になつたので、われわれ委員会の方としては、ほかにたくさん仕事がありますので、ほかの仕事に力を注ぐために、ほかの会社と同樣な程度の監督にとどめたという状態です。
#708
○田中(健)委員 手がまわらなかつたというわけですね。
#709
○笹山證人 そうであります。
#710
○田中(健)委員 しかし人をふやしてなり何することは、定員があつてできないのですか。日本政府の機関でもないようなことを言つているが、あなたはだれにはからなくても自由に首を切つたり入れたりする権限をもつているので、手が足りなければいくらでも雇い入れたらよい。手が足りないなんと言つてもそれは通らない。
#711
○笹山證人 その点は手が足りなかつたので……。
#712
○田中(健)委員 その責任はあなたにあるのですか。
#713
○笹山證人 実情としてそう人を際限もなくふやすこともできませんし、ほ、かにたくさん重要な仕事もありますので、一々の会社の金の支出のこまかいところまで目を通すといつたようなことは、事実上不可能だと思います。これは五人や十人ではとてもできるものではありません。
#714
○田中(健)委員 こまかいとおつしやるが、昭和電工という一つの大きなものに対する監督があなた方の方で不行届であつたと私は思う。それを言つているのです。手が足りないとか何とかいろいろなことを言つて逃げようとするが、それは逃げられるものではありません。当然あなたの方に責任があると思う。責任があると一言言つてくれれば收まるのです。
#715
○笹山證人 その点はどういう御判断をなさるか、それぞれの方の御判断は御自由だと思いますが、われわれとしては最善を盡したつもりです。それで力の及ばなかつたことはいかんともいたし方なかつたと思いますが、われわれとしては持株会社委員会の仕事に全力を盡くして來ております。
#716
○田中(健)委員 全力を盡してこういう結果を招いた、そういうことですね。この程度でやめておきましよう。
#717
○石田(一)委員 ちよつと笹山さんにお伺いしますが、持株式会社整理委員会の渉外関係の通訳は、野田委員のみが專門にやつているのですか、それともほかに採用してあるのですか。
#718
○笹山證人 特に通訳といつたことでばありませんで、委員を代表して野田委員は司令部へ毎日仕事の連絡に行つておるわけです。單に通訳だけではありません。私が行つたときには通訳をしてもらいましたけども、野田委員自体が通訳だけでなく、委員の仕事を委員の一人としてやはり全般的に見ておりますので、重要な仕事は毎日出掛けて行つて済ましておりまして、それ以外の証券部関係は証券部が……。
#719
○石田(一)委員 野田氏はどういう経歴をもつた語学の達者な方ですか。
#720
○笹山證人 アメリカに二十数年おられた人で、貿易関係の仕事に從事せられており、英語は非常に勉強せられたようで、語学は非常に達者です。
#721
○石田(一)委員 それで野田氏がもし通訳に入られた場合、野田氏の樋訳は絶対のものであるとあなたたちも信頼していらつじやいますか。
#722
○笹山證人 信頼しております。
#723
○石田(一)委員 整理会社の委員自身が通訳であつて、委員であつて、ヘンダーンソ氏がこう言つた、ザイビユラ氏がこう言つたと言つてあなたたちに傳えるのですが、そのときに野田君にだれか他の委員がついて行くとか、あるいは先方でこれがスキヤツプのオーダーだということを確認するための何か手段がとられておりますか。
#724
○笹山證人 いや、一々そういうことはやつておりません。われわれは野田委員を信頼しておりますから……。
#725
○石田(一)委員 そうすると野田氏が向うの渉外関係でやつて、帰つて委員会に報告されたことは全部眞実である、こういうことになつておりますね。
#726
○笹山證人 われわれはそう信じおります。
#727
○石田(一)委員 もう一つお伺いしたい。昭和電工の社員の中に、婦人の通訳が一人いましたが、この通訳はせんだつての市村氏の証言によるとやめさせられております。これに関して持株整理委員会かまたは他の何かが、相当発言してこの通訳をやめさせたのではないですか。
#728
○笹山證人 全然そういうことは聞いておりません。
#729
○石田(一)委員 しかし昭和電工の元の婦人通訳というのは、昭和電工の重役の命令でやめさせられたというふうな証言とは私はせんだつては承らなかつた。会社以外の何かの勢力によつてこの通訳がやめさせられておる。これは大きな問題である。その後昭和電工の問題に関して、昭和電工の重役あるいは何かがGHQに行つで話をするときに必ずこの野田氏が通訳をしておる。これは私は非常に奇々怪々な事実だとおもうのですが、この点について何かお心当りはありませんか。
#730
○笹山證人 その婦人通訳の話は初耳であります。全然聞いておりません。
#731
○石田(一)委員 これはあとで市村氏はも特にお聞きしたいと思うのであります。
 そこでもう一つ方面をかえまして、先ほど笹山証人は、足立委員の質問に対して、今までの証言は絶対に訂正する必要がないとおつしやいましたが、市村氏のおつしやつたように、あなたがこの日野原氏を後任社長とすることにスキヤツプのオーダーであると初めからそう言われてなされたならば、あなたの今度の委員会の処置はまことに当然だと思うのでありますが、あなたの証言によりますと、市村氏が二十八日の総会を円満にやるためには、復金から推薦された後任社長ということでは他の重役は承知しない、そこでこれはスキヤツプのオーダーしだいということにできぬかと言われたが、こちらから勝手にそうもいかないので、そこへ幸いにもヘンダーソン氏とザイビユラ氏の二人がおいでになつて、その方に相談したらオーケーということで、スキヤツプのオーダーが出て、それで総会を切り抜けるというあなたの証言でありますが、そのときにこのヘンダーソン、ザイビユラ氏にオーケー得るまでは、日野原氏を後任社長とすることはスキヤツプのオーダーではないということにあなたの証言によるとなるのです。そのときに総会をまとめるためにスキヤツプのオーダーとしていいというオーケーをとつたので、それまではスキヤツプのオーダーではないと解釈して差支えありませんか。
#732
○笹山證人 そうではありません。オーダーさつきお話したように二十二日の話のときにわれわれとしてはとつて、それからそういう事情を市村さんに詳しくお話したわけです。私はそう記憶するのですが、市村さんにいろいろそういう向こうの原局の氣分を詳しく話したつもりです。
#733
○石田(一)委員 大分時刻も遅いですから、今私の問いました要点に対して……。
#734
○笹山證人 それは二十二日のオーダーです。ただそのことを外部に発表するということを――これはさつきも話したようにスキヤツプの口頭のオーダーというものは内面指導としてやられておることですから、スキヤツプからそういうオーダーが出ておる、そういうさしずがあつたのだということを外部の人に言つていただくことはどうかと思つたのであります。なるべくそういうことを言つていただかなくて済めばそうしたいと思つたので、その点を最初躊躇しておつたわけであります。
#735
○石田(一)委員 わかりました。それは口頭によるところの内面指導である、いわゆる口頭によるものを内面指導と解釈する、これはオーダーでなく内面指導ではありませんか。
#736
○笹山證人 口頭のオーダーです。つまりそういつたことは内面指導という形で、書いたもので來たのははつきり形式に現われておるのですが、いろいろな命令も書いたもので來る場合と口頭で発せられる場合とあるわけです。大体口頭で発せられるわけですが、いわゆるそれが内面指導という形になるわけです。
#737
○石田(一)委員 わかりました。それで今私のお聞きしたいことはあなたの証言の範囲で私たちが判断をすると、どうもこれを外部に向つてスキヤツプのオーダーと言うのにはあまり根拠がなかつたのじやないですか、そのときまでは……。
#738
○笹山證人 いやそうじやありません。
#739
○石田(一)委員 それでは堂々と市村氏がスキヤツプのオーダーと言つて総会にこれを報告してもよいかというときに、あなたが困る必要は何もないと思う。スキヤツプのオーダーならば、外部とは言いながらこれは昭和電工の株主総会における内部の問題であつて、内部の株主を了解させるために、あなたがスキヤツプのオーダーであると確信しておるものならば躊躇する必安はない。しかしスキヤツプのオーダーという口頭であるので、あなた方も今まではオーダーとは考えていなかつた。内面指導いわゆる勧告であると考えておつたので、一慶ヘンダーソン、ザイビユラ氏に念を押さなければスキヤツプのオーダーということが言えなかつたのじやないですか。
#740
○笹山證人 そうじやありません。私の方ばかりでなく、ほかの政府機関等においても同樣なことはいくらでもあると思います。一應とにかく日本の政府機関ですから、この委員会その他の政府機関で独自の意思のようにやつておる所がありますけれども、しかし総司令部のオーダーによるものがたくさんあるわけであります。
#741
○石田(一)委員 そこで問題は先ほどの通訳の問題に返つてきます。要するにそれまではあなたたちはへンダーソン並びにザイビユラ氏からオーダーであるという確定的のことは聞いていなかつた、要するに聞いてきたのは野田氏一入である。野田氏が聞いたという確証はない。ただ野田氏を、あなたたちが信頼したということだけが、スキヤツプのオーダーだと信じておる根拠でしよう。それ以外にあなたはスキヤツプのオーダーだという根拠がはつきりあつたならば、なぜそのときにもう一ぺん念を押さなれかつたのですか。今までスキヤツプのオーダーだとおつしやるのは口頭だ、その口頭もあなたの直接聞いたオーダーではなくて、たまたまそのとき通訳をやつた野田氏がいわゆる二十何年アメリカにいて英語が達者であるから、そのときに聞いて來たところによるとオーダーだと言われたから、そう考えただけであつて、他の者はこれが全部スキヤツプのオーダーだということは知らなかつた。そこであなたは確信をもつて言えなかつた……。
#742
○笹山證人 二十二日のときは私も同席しておつたわけであります。二十二日に新社長を入れろという命令をされたときは……。
#743
○石田(一)委員 さつきあなたは、私は英語はよく分からないと証言なさつたのですが、そのとき向うの言つたことが全部わかつたのですか。
#744
○笹山證人 全部は分かりませんけれども……。
#745
○石田(一)委員 それは野田君が通訳したのでしよう。野田君があなたのおる所で、日野原氏を入れろという強い命令だということをあなたに通訳したというだけでしよう。
#746
○笹山證人 もちろんこまかい点は通訳してもらいましたけども、しかし大体その程度のことは、向うの意思がどの程度かということはおぼろげながらもわかるのです。
#747
○石田(一)委員 それは表情でもわかるでしようけれども、その当時市村氏の見えたときに、ヘンダーソン並びにザイビユラ氏にあらためてだめを押すまでは、スキヤツプのオーダーだといつて、直接あなたが許可を得たことはなかつたということですね。
#748
○笹山證人 その点非常に疑問であれば、結局司令部を通してへンダーソン、ザイビユラ両氏に確めていただく以外には方法がないと思います。
#749
○石田(一)委員 それは私の方でさしずを受けなくても必要があればやります。私はあなたの証言を求めておるのです。
#750
○笹山證人 私は野田委員の言葉を信じております。
#751
○石田(一)委員 だから野田委員の言葉を信じてスキヤツプのオーダーだと信じたわけでしよう。
#752
○笹山證人 そうです。
#753
○石田(一)委員 しかしあなたが直接スキヤツプのオーダーであると聞いたのは、当日たまたまいらつしやつた二人にお聞きになつたということではないのですか。それまでは野田氏の言うことを全部委員会でもあなたは用いられておつたのではないですか。
#754
○笹山證人 社長を入れることについては、二十二日に初めてオーダーが出たのですから、そのときには私もそばにいて大体のことはわかつたわけです。二十二前には新社長の問題はわれわれ委員会に対しては、そうした強い話は司令部からは何もなかつたわけです。
#755
○石田(一)委員 そこで私が考えますのに、連合軍においては相当日本のこういう方面の調査は進んでおるが、日野原氏が昭和電工の後任社長として最適任者であるなどということは、おそらく占領後一、二年の期間しか持たないザイビユラ氏並びにヘンダーソン氏はまだ御存じないと思う。そこでそのことについて、これはこれこれの者でこういう性格を持つておつて適任者であるという説明をなすつたのは野田氏ではないですか。だから日野原氏に対して後任社長としてのオーダーを出してくれ、委員長を連れて來るからというのであなたを連れて行つて、向うからオーダーを出させたのではないですか。
#756
○笹山證人 いや、そういうことはなかつたと思います。日野原君のこまかい説明をするということは、野田委員は私以上に日野原君を知らない、それまでは日野原という人物の存在を知らなかつたのですから、日野原君の人物紹介については、復金の人選だということに当然われわれは信頼しておつたわけです。復金の人選で日野原氏が承諾したから……。
#757
○石田(一)委員 わかりました。イエスかノーでお答え願いますが、それはあなたはほとんど知らなかつたのですか。復金のものであるから信頼していたとおつしやるけれども、あなたは脇村氏あたり、この三人のリストをごらんになつたときに、美濃部氏が信越化学の今井というのは追放になつておる。こういうものが中に入つておるこのリストは全然ずさんなものであるということを極力主張されたはずです。それにもかかわらず復金の推薦であるからこれは信頼すべきものであるということは、今だからおつしやるけれども、そういう良心的な忠告が平委員からあつたにかかわらず、それを信頼してやつたということはちよつと私たちには受取れないと思うのです。
#758
○笹山證人 美濃部君からそういつた今井さんの話があつたのは四月のたしか十日の懇談会のときであつたと思いますから、その以後の話です。
#759
○石田(一)委員 以前にはなかつたのですか。
#760
○笹山證人 以前にはなかつたのです。
#761
○石田(一)委員 それで後任社長を決定して、懇談会かあるいは委員会の形かいずれかにせよ、平委員たちに一應その人選の報告をなすつたのは、要するにそれ以後の懇談会においてごらんに入れたのですか。
#762
○笹山證人 そうではありません。二十七日の懇談会のときに諸井委員と脇村委員が見えたので言いました。またさつきも話したように脇村委員は当時日野原氏に対して、その点については何ら御質問がなかつたのですが、そういう手順で進めるのであれば、味の素並びに若狭興業の両社をまず持株会社に指定してやるのが順序ではないかという御発言があつた。美濃部君はそのときに欠席された。そしてその次の四月十日だと思いますが、懇談会のときに美濃部さんが見えて、美濃部さんは二十七日に見えなかつたのですから、美濃部さんにまたこういうことになりましたという御報告を多分したのだつたと思います。そのときにその話が出たわけです。
#763
○石田(一)委員 それは美濃部氏がそのとき、いなかつたことは、まことに幸か不幸かえらいことになりました。あのとき美濃部さんがおれば、こんなことにならなかつたと思う。そのときに美濃部さんあたりに電話か何かで連絡を取るのじやないですか。欠席委員に対してこうした問題をきよう懇談会に出したが、欠席されたけれども、実はこれこれのことがあつたということを一應報告するようなことはありませんか、そこまではやりませんか。
#764
○笹山證人 電話等でできるだけ懇談会に御出席願うように、事前には御連絡をとるようにしておりますけれども、事後に電話等で一々御報告することは、あまりやつておりません。
#765
○石田(一)委員 それでは通訳は、今整理委員会にいなくて、野田氏が委員として直接渉外をやつて、もしあなたたちがいらつしやるときは、野田君から聞いて、昭和電工の問題についても、ほとんど野田君が一人で通訳の必要な場合にはやつたということと、それから昭和電工に從來いた婦人の通訳はやめさせられたということについては、初耳であつて、あなたは御存じない。それからスキヤツプのオーダーというのは野田君が向うから聞いて來たことで野田君を信頼しておるからそう思つておつた。しかし直接オーダーして、いいとお聞きになつたのは、市村氏が総会に報告するといつたときに、あなたがたまたまへンダーソン氏並びにザイビユラ氏から聞いた……。
#766
○笹山證人 そのオーダーの点は、さつき私が申し上げたことを、ちよつと誤解してとられておるようですが、新社長を入れるというオーダーは二十二日に委員会に二人の人が見えたときに会つた。それは私も一しよに聞いたのです。二十六日にまた二人の人が見えた。そのときはわれわれオーダーに基くものだということを、会社以外のお方に会社から発表されてもいいかどうか……。
#767
○石田(一)委員 あなたのおつしやるスキヤツプのオーダーだと聞いたというのは、それは野田氏の通訳によるのでしよう。それはあなたが直接英語で話したのではない。あなたの聞いたのは野田氏が日本語に訳したものをお聞きになつて、そのときの雰囲氣で、わからないと言いながらあなたも勉強していて、英語ぐらい覚えていらつしやるだろうから、それを聞いてほぼその意味はわかるいう程度で、細大漏らさずあなたがわかることならば、何も野田氏を中に入れて、委員長がGHQへ行く必要はない、あなた自身でやつていらつしやればいいのだから。それではもし間違いがあるといけないからというので、あなたは野田氏の通訳を信頼しておやりになつたと解釈しておる。これは間違いないでしよう。ほかに通訳を委員会で採用していない以上、結局私は野田君の言葉が全部の委員に眞実として受け入れられていく。だからスキヤツプのオーダーということは、野田君の口を通じであなたたちはお聞きになつた。あなたが直接英語で向うの方とお話になつて、それをお聞きになつたのじやない、こう言うのですが、これは間違つていないと思う。
#768
○笹山證人 それは野田君の通訳もわれわれ信頼しておるのでありますが、しかし二十二日のとき、これはスキヤツプのオーダーですといつたような片言隻語は私も傍で聞いておつて、大体の樣子はわかります。二十二日のときも、事情は私が説明して、それを野田君が翻訳して向うへ言つたのですが、野田君が翻訳するような言葉はもちろん大体わかります。私の言つた意味を傳えてそれに対して二人の人からさしつかえないという返事があつた、そのときのことは相当私もよく分かりました。
#769
○石田(一)委員 ようございます。それじやちよつと市村さんにお聞きしたいのですが、あなたがせんだつて証言なすつた中に、昭電の婦人の英語のできる通訳がやめさせられたというふうに私は聞きましたけれども、これはどういう意味だつたのでしようか。
#770
○市村證人 それはGHQのやはりオーダーで女の人をやめさせなければならなくなつたのは、三月の中ごろ、二十日前後だと思います。私どもがいわゆるオーダーで追放される前です。
#771
○石田(一)委員 それはだれからでした。
#772
○市村證人 それはだれからであつたか、はつきり記憶しておりません。
#773
○石田(一)委員 それ持株委員会の方からですか、それとも……。
#774
○市村證人 持株の方だつたか、それともGHQ直接であつたか、その点ははつきり記憶しておりません。
#775
○石田(一)委員 それは会社へだれかいらしつてですか。
#776
○市村證人 会社へだれが來たのか、あるいは電話で言つて來たのか、人を通じて言つたのか。
#777
○石田(一)委員 それはあなたがだれからお聞きになつたのですか。
#778
○市村證人 私は森社長から聞きました。
#779
○石田(一)委員 それじや、ちよつと森さんにお聞きします。この点話にくいところがあるでしようが、ここが私はポイントだと思うのです。要するに他の通訳を入れないで、一人の通訳が、しかも持株整理委員会の委員が一人でやつた、その人の言うことが全部秘密であるということになつている。結局今も笹山氏がおつしやつたように、それが眞実であるかどうかはへンダーソン氏か、ザイビユラ氏から聞いてみなければわからぬという結果になつておるので、私は昭電の婦人通訳がいわゆるGHQの命令であるというので、やめさせられなければならないような、スキヤツプのオーダーなどというものは出ることはない。私はそう思つておる。婦人通訳は決して自分の意思を言うのではなくて、要するに両者の間に立つて言葉の通訳をするだけである。その通訳の立場にあるものがスキヤツプのオーダーによつてやめさせられるというところに、私は何か陰謀がある。こう思つてあなたにお聞きしたいのです。証言のできる範囲で、法律に許された証言忌避以外のものでしたら、この婦人の通訳がやめさせられるに至つた理由を私は証言願いたい。こう思うのです。
#780
○森證人 その点につきまして私はたしか三月の二十日ごろと思うのですが、笹山委員長が來られて、お前はやめたほうがいい。やめなければ重大な事態になるだろう。そうしてこれはスキヤツプの――言葉は忘れましたが、同じ事件だ、こういうことを聞きましたので、ほんとかどうか、すぐそのあとでザイビユラ氏のところにいきました。ところがザイビユラ氏は前申したように、それはおれの方から何したのではない。しがし持株整理委員会の言うことは、おれの方の言うことと同じことだというので、そうか、それならひとつ適当な処置をしよう。こう言つて帰つてきたのであります。そうしたら翌日だか、翌々日だか、友だちから電話がかがわました。お前のところに女通訳がおるのじやないか。あれを至急やめさせなければならぬという話があつた。これはどういう意味か私はよくわかりませんが、まあ、私としては言葉のしやべれない立場で、自分の意思を発表し、相手の意思を聞くための通訳をとられてしまつて、それ以後GHQへ立入りまかりならず、その女の通訳がいないと、ちよつと自分の意思の発表もできないし、これは困つたなと思つているうちに、お前は会社をやめさせるというような、この前申し述べた言葉を次々と言われました。追放の一番最初に起つたことがその女の通訳にあつた。
#781
○石田(一)委員 それではあなたに電話をかけた友だちというのはだれですか。
#782
○森證人 それは川崎守之助だと思う。
#783
○石田(一)委員 それはどういう方です。
#784
○森證人 それはアメリカにしよつちゆう行つたり來たりしておつた夫人で、英語の達者な、川崎銀行、もとの第百銀行の川崎財閥の当主です。
#785
○石田(一)委員 その通訳がGHQの出入りまかりならぬということをあなたに好意的に知らしたのかもしれませんが、その人もこの人ですか。
#786
○森證人 そうです。私はそういう意見は正式な話じやないから、そんなことを聞く必要はなかつたのですけれども、そういううわさがあれば会社のためにも、また自分のためにもやめさせるがよいと思つてそれで……。
#787
○石田(一)委員 あなたがヘンダーソン氏に会つたわザイビユラ氏に会つたときは、その婦人通訳をお連れになりましたね。
#788
○森證人 ええ。
#789
○石田(一)委員 それまでに何度くらいその通訳を使つたのです。
#790
○森證人 それはいくさの前からでありますが、それが入りましたのは昭和十七年か八年からで、当時は、戰爭中で、通訳として使つておつたのではなく、事務員として使つておつた。女の挺身隊で、聖心女学院の語学部を出ましたけれども、ニユーヨークで育つた人で、荒仕事はできない。だからお前のところの会社に事務員として使つてくれないかというので、使つておりました。英語はぺらぺらですが、日本語はその代りうまくない、私としますと義理に使つたわけです。いくさが終つてから今までむりに使つてもらつた、その義理合いから今度御奉公しようということで、通訳として、私の家に寝泊りしながらやつておつた。
#791
○石田(一)委員 そうするとこの方を連れて今まではべンダーソンあたりにお会いになつていたわけで、この婦人通訳を使つて、へンダーソン並びにザイビユラ氏あたりが意思の疎通を欠いてお怒りになつたとかいうことはありませんでしたか。
#792
○森證人 それはね、私には表からはわかりませんけれども、その通訳はこういう席でどうかしりませんけれど、わりに顏はきれいじやないのです、十人並みですよ。私も若いですから、うつかり若い女を連れて歩いていては世間からどう思われるかわからない。しかしその女だつたらそんなに誤解されるようなことはない。みな安心するだろうと思う。実は使つておつたところが、この女の通訳はニユーヨークに育つて話は非常にうまいし、それから通訳そのものがうまい。私がこの通訳を使つて、実は相当得をしておる。だからどこの交渉も、どんなこともみなそれまでやつていた。
#793
○石田(一)委員 そうすると今までその通訳を使つて意思の疎通を欠いたりしたことはない。戰爭当時からこつちにいたというのですが、向うに育つたのにこちらにいたということで、いわゆる戰爭の追放関係か何かでGHQかも通訳としてでなく、アメリカの第二世とが、あるいは向うに育つた子供なのに、戰爭中日本で挺身隊に入つていたというようなことで、何か追及されたことはありませんか。
#794
○森證人 いや、そういうことはありません。
#795
○石田(一)委員 どうもありがとうございました。
#796
○武藤委員長 証人のうち、なお発言を希望する方がありますか。
#797
○森證人 私がこういうことを申し上げるのは、どうかしれませんが、先ほど足立委員から笹山委員長に対する御質問の中に、相当重大な事柄と思うのですが、私の考えと少し違うところがありますので、発言さしていただきたいと思います。それは、さつき足立委員の質問が、三千何百社の株式を持株会社、整理委員会が持つておる、そのうちの八十社の持株会社については、いろいろさしずをする、しかしその他のものに対しては一切やらぬというお話がありましたが、もしこの三千何百社の中に、笹山委員長の言うことと違うことがあつたならば、日本の経済界には相当大きな影響があるのではないか。私は自分の記憶違いか何かしれませんが、その三千何百社の制限会社以外の会社において、持株会社整理委員会が人事について容喙した事実を、私の記憶違いかもしれませんが、今思い出すのであります。それは私が関係しておるものだけで、二、三あるはずであります。ただしかし私は追放でありますので、毎日現業にタツチしていないので、風評というか、人傳てなので、はつきりしたことは断言はできませんが、しかしたしかに、私は間違いなくあるのじやなかろうかと思います。そのほかに、私としてはこの機会に申し上げたいことはありますが、遠慮申し上げます。
#798
○石田(一)委員 一つだけ……。通訳は何というでしたかね。
#799
○森證人 河野五百子。
#800
○石田(一)委員 お幾つですか。
#801
○森證人 三十二、三です。
#802
○石田(一)委員 今どこにいらつしやるのですか。
#803
○森證人 今は食糧貿易公團です。
#804
○石田(一)委員 どうもありがとうございました。
#805
○市村證人 ただいま森氏からもちよつと話のありました件について、私が笹山さんと交渉しましたことがそれに該当いたしますので、申し上げたいと思います。それは、私のかつての保險会社の友人たちが、かつて私がおりました日本治金工業の社長にお前がなつて、そうしてその会社の運営をやつてくれないかという話がありました。そこで私は変な問題で昭和電工を追い出されておりました関係で、まず第一に笹山さんのところに参りましたら、お前がその会社の社長になることはいかぬ。違う名前でその会社に関係することはよいけれども、お前が役員としてその会社に関係することはいかぬ言われました。それからまたしばらくたつて、これはごく最近だと思いますか、笹山さんにそのことをコンフアーしましたけれども、依然同じ態度をとられましたことを――足立委員の先ほど言われた八十三社以外には持株会社整理委員会はタツチしないと言われましたけれども、タツチしておる事実を申し上げます。
#806
○笹山證人 先ほど足立さんのお話のときには、株主という立場以外に、持株会社整理委員会令に基いておるいろいろな権限がありますが、それを三千数百社に対してやつておるのじやないかというふうの御質問のようでありましたので、それは、そういう特殊の対象になるのは八十三社だということを申上げたのであります。しかしそれ以外の議決権を持つておる会社に対しては、株主としての立場での発言の範囲だということを申し上げたつもりであります。今の市村さんのお話、これは私も伺いました。それは昨年秋ごろじやなかつたかと思いますけれども、当時すでに若狭興業が持株会社に昨年の九月に指定されておりましたので、若狭興業の持つておりました株が、持株委員会に全部讓渡されております。日本冶金工業も多分若狭興業が大株主であつたろうと思いますが、それでお話のあつたときに、われわれ委員会の方としては、議決権行使の場合に、役員の就退任等は事前にその議案を株主の立場として知らしていただくことになつております。そうしてGHQの事前に承認をとらなければならないことになつておるわけであります。これは今年になつて、財閥同族支配力排除法が発令になりましてからは、少しその取扱いをわれわれにまかしてもらうようになつたのでありますが、昨年の暮までは最大漏らさず事前に司令部の承認をとらなければならぬ、こういう立場にあつたわけであります。それで、もし市村さんが日本冶金工業の取締役に就任されるということが議案に出れば、それは日本冶金工業から、大株主である委員会に事前に承認を相談に見えなければならぬ。そうするとわれわれはこれを司令部へ取次ぐわけですが、どうも取次げば、おそらく問題にされるだろうと思うから、まあこれは、もう少し関係のうすい先であればですけれども、日本冶金工業といえば、森さんの関係のお仕事でも、昭和電工に次ぐ中心的なお仕事でもありましたし、おそらく司令部でも承知されないだろう。ですからこれは自重なさつた方がよくはありませんかという意味で、私は好意的の氣持で、私の考えを申し上げたのであります。持株会社以外の会社に対しては、單なる株主という地位での範囲以上のことは何もできないわけですから、委員会の方でそれに反対しても、他の大多数の株主が、ある方を、委員会の反対した方でも押し切つて推薦されるということになれば、それで法律上何らどうするということはできないのであります。そういつた実情にあります。全然タツチしないというのではなくて、株主という範囲で委員会はやつておるに過ぎないのでおります。その点だけを御承知おき願いたいと思います。
#807
○森證人 日本冶金は若狭興業がなるほど大株主であります。しかしこれは制限会社でもありません。何でもない会社であります。それを一々そこまでやられたのでは、どこを日本人はやつてよいのかわからない。それから私はこれ以外にも知つております。まだほかにも知つております。一体私が財閥指定だとか何とか言いますけれども、事実財閥指定になつておらない。では、あのとき新聞に載つた十数社の会社がありましたが、私が昭和電工をやめたから森は財閥にならなかつたと言うが、ではほかの方はどらですか。当時実は笹山さんの網の方では、あるいは私の追放が相当やかましくなつておつたかもしれませんが、私の知れる範囲では、追放を免除するという情報が強かつたのであります。その証拠に今日私は追放免除になつた。從つてあれまでいじめられる理由は毛頭なかつたのじやないかと思います。もう一つの例は、倉敷絹織がやはり財閥指定とか何とかいうので同じに出ておりました。しかじここの社長は私が会社をやめて、家族指定になつたことが新聞に出たあとで、経済安定本部の何かの部長になつでおります。そうしてやめてからまた元へもどつております。こういう例を見ても、どうも昭和電工事件は私としては非常に奇々怪々なことだと思います。
#808
○足立委員 ちよつと笹山さんにお尋ねいたしますが、きつき市村さんを拒否なさつたということは事実でございますね。
#809
○笹山證人 市村さんも日本冶金工業の重役に就任されるという件を御相談になつても、これは司令部でなかなか承知しないだろうと思う。同じ森さんの系統の仕事でも、もつと縁の薄い方であれば、あるいは司令部でも承知されるかもしれないが、そうでないとアプループを得る自信がないし、この際お出しになつてまた向う、の心証を悪くするようなことがあつてはよくないから、自重なさつた方がよくありませんかということで、私は好意的に――そのときは正式に書面等であつたわけでなく、内容を聞きたいがどんなものだろうということで、御相談に見えたのですから、そういつた氣持でちよつと私の観測を申し上げたわけであります。
#810
○足立委員 そうすると市村さんは森さんの親戚でも何でもなし、ただ一経営者としての重役だつたのですが、これも影響するのですか。
#811
○笹山證人 昨年日野原君に対して、へンダーソンが、森さんと関係の深い人だつたら、それは森インフルーエンスを排除しろという言葉を使われたということを聞いております。そういうことで市村さんが去年辞職をされるような状態になつておるわけですから、もう少し時間が経過しておればですけれども、御相談に見えたのが、たしか昨年の秋ごろだつたと思います。ちよつとまだ日が浅いし、とにかく市村さんのお名前はGHQでもそんな関係で認識しておつたから、今ここで出すと、どうもまだ問題になりそうだ、そういう疑惑を受けそうだから、この際もうしばらく自重なさつた方がよくありませんかということで、私は好意的な返答をしたわけです。それでせんだつて、今年の春見えて、どうだろう、日本冶金の遊休設備を讓り受けて仕事をしようと思うが、その点どうだろうということでしたが、そういつた程度のことはさしつかえないだろうということを申し上げた。
#812
○足立委員 そうすると月本冶金は関係会社ですか、從属会社ですか。
#813
○笹山證人 從属会社になつておる。制限会社であつても、制限会社でなくても、株主権の行使に関しては同じです。
#814
○足立委員 株主権の行使をもつて重役をかえる場合には、三千幾らの会社については全部GHQに相談しなければなりませんが。たとえそれが十株持つていても、一株持つていても、そういう関係だつたら全部御相談なさるわけですね。
#815
○笹山證人 昨年暮までは議決権行使の範囲についてはそういつた承認をとらなければならなかつたのです。
#816
○足立委員 言うことを聞かなければ罰せられるのでずか。
#817
○笹山證人 そういう権能はない。言うことを聞かなくとも、それは自由です。ただ持株整理委員会に過半数の議決権が來ている場合には、それは法律的にもそのまま通る。少数であれば、少数意見で通らない。とにかくそういつた少数意見であつても、われわれは司令部の承認を得た線で株主権を行使しなければならぬ。そういう実情であります。
#818
○足立委員 その線で社長を選択する場合に大金融機関である興銀、復金に御相談なさることは同じである。してみると、あなたの株主権の一つの行使だけを信じて、実際的なインフルエンスは実に莫大なものになる。結局において四千になんなんとする会社を持株整理委員会が全部支配するということを、今ここに御承認になつたかつこうになる。法律的には別ですが、実質的にはそうなる。しかも実質的には四千になんなんとする会社と言つたら、ほとんど日本の会社の全部です。しかも持株会社あるいは制限会社、從属会社、関係会社というような日本の重要産業会社がみなそれにひつかかつて、從つて日本の産業会社を全部あなた方が金融機関と結託して、これを龍断せんとする大きな作用を現実においてなさしめている。そしてこれは企業の民主化と称して、新しい企業の独占を持株整理委員会がここにおいて達成している。こういう結論を下さざるを得ないのであります。法律の面においては日本の企業民主化は財閥の解体をやる、これが一つの行き方です。ところが実際の結果を見ると、これは確かに新しい財閥をつくつて行く、独占形態をつくつて行く、しかも前よりもずつと強力なものをつくつて、しかも興業銀行を中心としてあなた方が金融機関と結託して日本の産業会社を支配するというあなた方の陰謀であるというような推測をなさざるを得ない状態に達している。
#819
○笹山證人 そういうことは絶対にないことを申し上げておきます。
#820
○足立委員 事実が証明していますよ。
#821
○武藤委員長 ほかにありませんか。それではこの際諸君にお諮りいたします。本日尋問に予定いたしておりました野田岩次郎君の尋問はこれを延期し、明十八日午後二時これを尋問いたしたいと思います。なお市村寅之輔君は、さらに明日午後二時再喚問いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#822
○武藤委員長 御異議がないものと認めまして、さよう決します。
 本日はこれで散会いたします。
    午後九時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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