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1948/11/19 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号
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1948/11/19 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号

#1
第003回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号
昭和二十三年十一月十九日(金曜日)
    午後一時五十三分開議
 出席委員
   委員長 河野 金昇君
   理事 若松 虎雄君 理事 川合 彰武君
   理事 喜多楢治郎君 理事 平工 喜市君
      森  直次君    受田 新吉君
      重井 鹿治君    田中 稔男君
      成田 知巳君    和田 敏明君
      天野  久君    坂口 主税君
      最上 英子君    川橋豊治郎君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 林  讓治君
 出席政府委員
        大藏事務官   今井 一男君
        厚生政務次官  庄司 一郎君
 委員外の出席者
        引揚援護廳次長 大野 連治君
        厚生事務官   木田 徹郎君
        厚生事務官   岡林 諄吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 海外残留同胞送還促進に関する件
 未帰還者及びその家族援護に関する件
 帰還者に対する復興金融金庫特別融資に関する
 件
    ―――――――――――――
#2
○河野委員長 ただいまから会議を開きます。
 ちよつとお諮りいたしますが、去る十六日に本委員会から提出して満場一致決議になりました海外同胞引揚げ促進に関する決議の取扱いでございますが、聞くところによりますと、方々の未復員の人の家族の代表が、ソ連大使館に陳情に行つておりますが、非公式にはソ連大使館でも、今年は冬にも引揚げを継続するかのようなことを言つておられるようであります。外務当局といたしましては、ソ連大使館に行くことができないそうでありますから、われわれ議員といたしまして、この決議案をソ連大使館に持つて行つて、正式にソ連の意向をお聞きして、家族の方々に安心をさせることが、必要でなかろうかと思いますから、先日提案趣旨の説明を願つた方なり、あるいは賛成討論を願つた婦人の議員の方々にお願いして、ソ連大使館に行つていただきたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。
#3
○河野委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。
    ―――――――――――――
#4
○河野委員長 次に本日の議題になつております未帰還者及びその家族援護に関する件を議題といたしたいと思います。厚生大臣が一應御説明くださつて、その補足的な説明を援護次長が御説明くださることになつておりますが、今厚生大臣を呼びに行つておりますから、ちよつとお待ち願いたいと存じます。厚生大臣はほかの委員会へ行つておられるそうでありますので、それでは大野次長から説明をお伺いすることにいたします。
#5
○大野説明員 留守家族の援護についての問題でございますが、申し上げるまでもなく、今なお四十数万という数の未帰還者があるのでありまして、この方々の留守家族が非常にお困りになつていることは、まことにお氣の毒なことでございます。それでかねがね留守家族の問題については、引揚げ問題全般の中で、何よりも先に取上げて考えて行かなければならないという声が、各方面からございます。この前の國会で衆参両院の御決議によつて、帰還促進並びにその他の点について御決議がございました。またそれに続きまして、引揚げ対策のあらゆる問題を審議するための審議機関を設置するという法律案を提出されまして、両院を通過したのでありますが、その結果引揚げ対策審議会というものが成立いたしまして、すでに今日まで数回会合を重ねておるのであります。引揚対策審議会におきましても、第一に未帰還同胞の引揚げ促進並びに未帰還留守家族の援護というのを取上げております。それから第二に、帰つて來た者に対しての厚生援護というものを取上げておるのであります。何にいたしましても、この未帰還者の家族の援護の問題につきましては、これは國民全体が一番氣の毒な方々であるということをよく考えていただいて、そうしてあたたかい愛の手を差延べていただくということが根本だろうと思います。政府といたしましても、これまでいろいろ施策は重ねて來たのでありまするが、何しろ厖大な数に上るものであり、なかなか予算等の点につきましても思うように行きませんので、総額では相当なものに上りましても、個々の方々の問題と相なりますると、きわめてわずかのものしかやつて参つていないということになるのであります。しかも先般留守家族の方々が東京に集まりまして、引揚げ促進の大会をやられたことは、これはよく御承知の通りと思います。あの際にもいろいろな痛切な叫び声が聞かれたのでありますが、留守家族の人たちは、周囲の方々が大分帰つて來ているのに、自分たちの夫や家族がまだ帰つて來ない。しかしだんだん引揚げという問題が年次がたつに從つて、一般世人から忘れられているような氣がする。いかにも周囲の人々の自分たちに対する態度というものが冷たいというようなことを訴えられた方々も相当あつたのであります。私どもといたしましては、むろん当局といたしましてはできるだけのことをいたさなければならぬのでありますが、それにしても、根本はやはり國民全体が最も氣の毒なこれらの方々にあたたかい愛の手を差延べなければならぬということが基調ではないかと思うのであります。この意味におきまして、平素からこういう問題に非常に関心を寄せてくださつております諸團体と何回か話合いを進めたのでありますが、その結果來月の十七日から約一週間、引揚げ援護愛護週間というのを催そうではないかということに話がきまつたのであります。やる仕事は各民間團体がそれぞれ創意くふうを凝らしていろいろ考えておるのでありまして、これに対しまして、政府といたしましては予算面で、できるだけの後援をしたらどうかということでございます。目下予算当局と予算につきまして交渉を重ねつつあるのであります。これによりまして、私どもはまず國民全体が心から一番氣の毒な方々に対して、あたかい同情の氣持、愛の手を差延べるということをぜひ実行したいというふうに考えておるのであります。なおこういうことはむろん週間中だけに終らせるべき問題ではありませんので、この週間以後、引続いてずつと同じような呼びかけがなされるようにということを念願いたしておるのでありまして、非常にこの運動の成果に私どもは期待をもつておるのであります。これが私どもの考えております援護思想の高揚という点でございまして、まず先の引揚げ援護思想の高揚によつて、全國民が留守家族に同情をもつことが最も必要と考えます。留守家族は最近に至りまして生活がますます苦しくなつておるように見受けられます。これは諸種の資料等からも見受けられるのであります。それでも帰つて來たものは、明日からの生活ということもなかなか困難でありまするが、半年たち一年たつたあとになりますと、非常に立ち直りの目ざましいものがあるのでありまして、勤労意欲の点から見ますと、ことに外地からの引揚者の方々は非常に旺盛なものがあるように見受けられるのであります。一方留守家族の働きのないものは、このインフレの高進に伴いまして、非常に困つているという実情にあることは、皆様方お察しの通りであるのであります。この点につきましては、社会局関係の生活保護法の改正というものが、まず考えられなければならぬと思うのであります。これは私の主管ではございませんけれども、生活保護法の改正額の増額等につきましても、主管課の方では現に考えられておるのではないかと思うのであります。そのほかにも未復員者給與法の改正という問題がございます。これも非常に大きな問題でありまして、諸種の点改正される必要があると思うのであります。これは何にいたしましても、財務当局との関係で、なかなか思うように行かぬのでありまするが、私どもといたしましては、少くとも当面最も緊急を要する二、三の点につきましては、急速に具体化して、法の改正を行いたいというふうに考えておるのであります。なお留守家族の問題につきましては、物資の特配といつたような問題もございます。これは先般衣料切符につきまして、特にそういう点は考慮いたしたことでございます。何にいたしましても、留守家族といたしましては、何よりも早く帰つてもらいたいということが一番先決問題であるのでありまして、これは衆議院におかれましても、非常に御熱心にやつていただいておるのであります。私どもも一日も早く残る四十数万の未復員者の方々が引揚げられることを念願しておるような次第でございます。
#6
○河野委員長 何か御質問なり御意見がありましたら……。
#7
○受田委員 次長にお伺いしたいのですが、未復員者の家族の給與について、今お説の通り未復員者給與法も現存しておるのですけれども、これは改正をすみやかにやらないと、あの額ではとうてい生活の保障ができない。そこで私のところへ最近いくつも、連絡をしてくれという問題を投げかけられている中に、共通した問題としてこんなのがあるのです。地方の官廳役所、たとえば縣廳とか市役所とかいう所へ勤めていた人で、まだ復員して來ないでいる人たちの家族が、その方面から俸給、諸手当をもらつていたものが、未復員者給與法の実施とともに、この三月をもつて支給を打切つて、未復員者給與法の方の支給によつて待遇せられることになつたから、当方としては支給しないという通告をして支給をしていない実例がある。こういう場合に、家族としては未復員者給與法というものができて、非常に喜んでいたのもつかの間、本物の給與が與えられなくなつて、まことに未復員者給與法の実現をありがた迷惑に思つておるのが相当にあるのです。このような点については、政府としては地方の官公署に対する統制をとつて、未復員者給與法の該当者であつて、現に官公署に対して勤めている者に対しては、依然として官公署の給與の方を中心としてやるというような立場か、もしくは両方を考えてやるような立場をとるか、いずれにしてもこの点をはつきりして國の方針としておきめ願つたらと思います。これは私のところへ確固たる証拠物件も來ており、現に大阪の市役所の例ですが、市役所から未復員者給與法の支給があるので、今後本役所の給與はとりやめるからさよう御了承相なりたいという通告をもらつて悲嘆しておる家族があるのです。公文書を私は持つております。ここへは持つて來ておりませんが、これは明日でも差出します。このような問題は未復員者の家族を窮地に陥れる仕方であるように感ずるのですが、政府としての方針を統一なさつて、これらに対して何らかの指示をなさつたらどうかというように考えるのですが、これらについての官公署に対する御方針をお伺いしたいのであります。
#8
○大野説明員 まことに適切な問題をお取上げくださいまして、御質問いただいた次第であります。私どもは今まで未復員者給與法の適用によつて、たとえば生活保護法の適用を受けておつた者が、未復員者給與法の適用、あるいは未復員者給與法の改正でせつかく増額されても、片方で差引かれては何にもならないという話は、よく聞いておつたのでありまして、未復員者給與法の改正があつて額が増額されるのはもちろんけつこう。しかし増額したからといつて、片方の生活保護法で受けていたものを差引くということをしては何にもならないので、そういう話はよく承つておつたのですが、ただいまの事例のような、從來官公署から給與に相当するものが出ておつた、それが今度未復員者給與法による支給がなされるからやめるというようなお話でありましたが、実はうかつで、そういう問題は初めてお伺いしたようなわけであります。何にいたしましても未復員者給與法の制定なり改正は、これによつて未復員者の家族によかれかしと思つてやつたのでありまして、それがかえつて妙なことになるということに相なつては済まないことでありまして、御質問くださいました事例を詳しくお示しくださいますれば、私ども調査してみたいと思います。
#9
○河野委員長 それは至るところにありますから、どうかひとつ至急改めていただきたいと思います。愛知縣などにも非常にたくさんあります。
#10
○天野委員 ちよつとお尋ねいたします。去る十七日から愛の週間を催して、全國的に國民に呼びかけるというお話を聞いておりますが、これに対して政府はどういう方法をもつて具体的にやつておられるか、おわかりであればお知らせ願いたいと思います。実は今の社会の現状を見ますと、國の犠牲となつていまだ帰らざる人、あるいはまた帰つても生活に支障を來しておる人、あるいは夫をなくしたとかいう人、こういういろいろな人々に対して、敗戰の結果、あるいは連合軍に遠慮はありましようけれども、國内の情勢はほとんど忘れたかのごとき状態であります。実はつい一月ばかり前のことでしたが、わが縣におきまして國会を聞く会を催しました。しかるに縣のいろいろの有識者が会合いたしました席上で、引揚げに対する質問が出ますと、その質問に対してまでやじを飛ばしたという事例があるのであります。私はまことに苦々しく感じまして、現状の事例をあげて大衆を叱咤いたしたのであります。一体戰爭中君らは兵隊を駅頭に送り出して何と誓約したか、それをもう忘れたのかといろいろ申しましたところ、しいんとして聞いておりましたが、かような状態を見まするときに、ほんとうに一般國民がいまだ帰らざる人、また帰らざる家族を待つ民衆に同情の念を持つておるかどうか疑わざるを得ない、こんなふうに考えますが、こういう点につきましていま少し輿論を喚起して、心からなる同情を未帰還者にささげ、しかしてあらゆる方法をもつて帰還を一日も早く促進いたし、あるいは未亡人あるいは遺兒等に対し、心からなる同情の念を抱かすように方策を講ずべきではないかと考えておりますが、これに対して御当局はどういう方法でもつてやろう、あるいはどういう方法でもつてこういうことをやつておるということがおありであればお示し願いたい。われわれはまたそれに從つてできるだけの努力をいたしてみたいと考えております。
#11
○大野説明員 ただいま愛の運動に関する御質問がございましたが、まことにお言葉の通りでありまして、この間の未帰還者の引揚げ促進大会の際の言動等にも、うかがわれるのでありますけれども、一体未帰還者の引揚げ促進などということは、一般國民がやつてくれていいはずです。しかし一般國民はほんの一部の方はやはり熱心にやつていただいておるのですが、ことに衆参両議院の特別委員会等においては、熱心に御努力くださつて、よくやつてくださつておられるのですけれども、そのほかの一般の人々は非常に冷淡であつて、引揚げ促進という運動は夫なり、息子なりがまだ外地からもどつて來ていない自分たちでやつておる、ほかの國民は割合に無関心な態度をとつておる。考えてみれば、出かけるときには壯行会であるとか、あるいは祈願であるとか、いろいろなことをやつて盛んな見送りをしてくださつた。しかるに今になつてはほとんどだれも見てくれない。これはもう少しほかの人がやつてくれていいのではないか。これをやつてくれないから自分たちでやるのだということをわれわれはずいぶん聞かされたのであります。まことに同情にたえません。そういう点からもどうしても一般國民のあたたかい愛の手をさしのべることをもつともつと大々的にやらなければならぬというふうに、われわれはますます決意を固めたのであります。そうした問題から、実は各種の團体の代表の方々と会合いたしました際に、そういう問題についていろいろ論議を重ねたのであります。そうしますと各種の團体、たとえば同胞援護会でありますとか、社会事業連盟でありますとか、あるいはそのほかの宗教團体、あるいは青年團体、婦人團体、そういう方々と懇談を重ねたのでありますが、非常に同情ある賛成的な意見が多うございまして、それならひとつ民間運動としてやろう、もともとこういう助け合い運動のようなものは官製の運動になつてはいかぬ、民間運動としてやろう、一切の企画、一切の実施項目等については自分たちが幹事となつてきめるから、それをひとつ官廳は横の方から見ていて、あるいは官廳の意見があるならば官廳の意見も言つてもらいたい、こういうようなことになりまして、これはたいへんいい状態になつて來たと喜んだのであります。しかし何にいたしましても今日一つの運動なり一つの簡單な行事を行いましても相当金がかかるのでありまして、これらの諸團体は自分たちのところの運動資金、自分たちのところの会費その他でできるだけまかなうけれども、しかし官廳としても後援をし適当な援助を考えてほしいというようなことでございました。現在政府として大藏省にこの運動に対するお金を要求して折衝しておるのでありますが、まず第一にこの運動は啓発宣傳の事項が一つ大きく取上げられなければならぬと考えておるような次第であります。つまり最も氣の毒な状況にますます窮迫しつつある未帰還家族のことをもつと眞劍に考えなければならぬ、あたたかい愛の手をさしのべなければならぬということを一般に徹底するような啓発宣傳、そのためには、きまつたことではありまするけれども、ビラ、ポスターあるいはそうした意味の学童の作品を募集するとか歌を募集するとかいろいろなことをやつているのでありますが、啓発宣傳は最も大事なことであります。これによつて全國民の心の上に未帰還家族ということを強く印象づけなければならぬと思うのであります。その次にはさらにそれだけではありませんので、何か実施項目として具体的なことを取上げなくてはならぬというふうに考えが一致いたしたのであります。そのうちの一つといたしましては、たとえば私が冐頭に申し上げました通り、週間中の引揚げ促進行事というものを、今度は家族だけの行事でなく、その地方、その村の行事としてやるということが一つ。それからこれは主として民生委員等が先頭に立つてやつていただけばけつこうだと思うのでありますが、未帰還者の家庭を訪問して最も困つている問題を聞いていただくということ。その際にいろいろ生活上の相談などがあるのではないかと思うのであります。それからせつかく帰つて來たけれども病氣で寢ているというような者がある。これは未帰還者ではございません。しかし帰つて來た者の中でも、健康で帰つて來た者はそれでも惠まれているわけでありまして、不幸病氣で、あるいは傷害を受けて帰つて來た者、これが氣の毒でありますから、ぜひそういう人をお見舞するということもやりたいと思う。なおその期間中に、現在のような國民生活の現状ではなかなかむずかしいと思いますけれども、一握り運動というようなものでも何でもよろしいものでありますから、できるだけ物品を收集して贈るというようなことも取上げていただきたいと考えております。先ほど申し上げましたように、もう数回各種團体の代表者が集まつてそういう事項について協議を重ねております。私どもは、わきからそれを伺つておるのでありますが、中央にはただいま全日本民生委員連盟、あるいは同胞援護会、そのほか婦人團体、青年團体のような全國的な團体の代表者が集まつて、中央協議会というものがつくられておりますが、さらに各府縣ごとに各府縣の支部の代表者が集まつて、地方協議会というものが今後つくられるような方向に向つているのでありまして、各地方では各地方ごとに地方協議会がつくられ、そうして同じような趣旨で、しかもその地方々々で特質を持つた計画を考えそれを実行して行くというような点等を考えております。
#12
○若松委員 大野次長にお伺いいたしますが、從來復員者の処遇問題につきましては、國家支出に対して、予算において関係方面でいろいろ制約があつたように聞いておりますが、現在未復員者の家族、あるいは一般の引揚者の家族の処遇等について從來の制約が付せられておりますか。あるいは現在の段階においては、関係方面では別にそういう制限を付せられておりませんか。これをお伺いいたします。
#13
○大野説明員 援護という面につきましては、ある特殊な方々に特殊なものを與えてはいかぬということは言われておるのであります。レリーフの面について特別な待遇が與えられるべきではないということは、ずつと一貫して言われているのであります。ただしかし、最近の状況でございますが、御承知の通り今年は待ちに待つた引揚げの再開が五月に行われたのでありますが、本年引揚げ再開が行われますと、昨年までと相当事情が異なつたように見受けられたのであります。いろいろ微妙な問題にも触れるわけでありますけれども、再開後の状況を見ますと、帰つて來る方々を從來よりも以上の熱をもつて迎えなければならぬ、帰さなければならない、それでなければ非常に世相が惡化すると申しますか、世の中が非常にむずかしくなるであろうということは、今年の再開後に看取せられた特質でございます。この点はわれわれも各方面によくその間の事情等を申し述べまして、もう残りが少くなつたからということで引揚げ援護という問題を粗略に取扱うことになるとたいへんなことであるということをよく申し上げたのであります。最近では引揚げて來た方々の更生ということはよほど注意をして、立ち直つて行くように政府としても考えて行かなければならぬということは、各方面から注意せられておる次第であります。
#14
○成田委員 ソ連関係の引揚げについては、政府から大体の御報告を伺い、私どもも國民も大体の様子はわかつておりますが、満州、北支方面については、まだ政府の方から詳しく報告がないのでありますが、どういう状況になつているか、未復員家族は相当不安を持つております。特に数日前の新聞を見ますと、橘丸が青島方面に行く、これが最後かもしれぬという新聞報道もあつたのでありますが、北支方面の状況はどういうようになつているか、どういう御折衝をなさつているのか、承りたいと思います。
#15
○大野説明員 まことにお話の通りソビエト管轄下からの引揚げはずつと続けられております。当初の私どもの予定よりは、少し遅れたようにも考えられるのでありますが、今までのところずつと進んで参つておりまして、このまま引続き行われるならば、これはもうあと数箇月で完了することに相なるのではないかと思うのでありまして、この点は非常に明るい希望をもつて私ども仕事に從つているのであります。
 問題はお話のように中共管下の問題であります。これが引揚げの問題として最後に残された最もむずかしい問題になるのではないかと思うのであります。現在中共管下に残された方々がどれくらいおるかということは、はつきりした数字はわかつておりません。あるいは十万といい、八万といい、六万といわれております。正確な数はつかめておりません。ときどき中共地区におつた者がうまく脱出して、こちらの引揚船が参りますと、それに乘つて帰つて來るという方があるのでありまして、そういう方々には必ず私たちできるだけ詳しく向うの事情等も参考に伺つておるのでありまするけれども、中共地区には一方において兵隊として働いておる方々が相当おると同時に、婦人が相当向うの方に残されておるように聞いておるのでありまして、主として病院あるいは負傷者の手当というようなことに從事させられておるようであります。これらの方々の中で、たとえば兵隊として勤務しておる者の中には、前の日本の軍人もありますれば、あるいはまた満州開拓義勇團といつたことで、向うに渡満した方の若い人たちもまじつておる様子であります。若い人たちの二、三帰つて來た者の断片的な情報でございますので、こういう席上で私申し上げることもどうかと思うのでありますけれども、少くとも聞いた範囲では、若い兵隊として働いておる方々は、それでも元氣にやつておるようであります。けれども、婦人の方は非常に帰りたい、帰心矢のような氣持をもつて、始終日本の空を見て、いつになつたら帰れるだろうかということで、お互いに泣き合つて言つておるということでございます。この問題はどういうふうに打開して行つたらいいか、まことにむずかしい問題であります。船がときどき向うに参りまするが、それは集結地に多少日本人が終結せられるというような見通しがつきました場合に送つておるのでありまして、橋丸もその意味で向うに行くのであります。あれが最後というように、この間出たのでありますけれども、実は最後ではございませんので、その後も状況が許しますならば、やはり行くのであります。ただ港が今のままですとそのまま使えますけれども、もし完全に中國政府の管轄を離れてしまつて、中國政府の力が及ばなくなりました場合には、あるいはどういう問題になりますか、多少懸念はあるのであります。しかし何人でも一刻も早く引揚げさせたいというのが私どもの念願でございまして、この点につきましては総司令部当局にもよく申し上げておるのであります。何人か集まりまして、船を待つということに相なりますならば、司令部に連絡して、そちらに行くということに相なつておるのであります。まことにとりとめもないことを申し上げましたが、実際中共地区の引揚げというものは、私どもは來年以降に残された最もむずかしい問題ではないかと考えておるのであります。これは皆様方のお力によりまして、何とかこの問題が打開されて行くように念願しておるのであります。
#16
○成田委員 厚生大臣が見えられましたので、御質問なりお願いをしてみようと思います。朝鮮からの引揚者の問題でありますが、御承知のように郵便貯金は、これは日本内地の郵便貯金もそうでありますが、第二封鎖は三割切り捨てて、第一封鎖になつた。第一封鎖は現在のところ全部自由貯金であります。朝鮮から引揚げて來た人の郵便貯金というものは、第二封鎖はそのままにして、第一封鎖になつておる。第一封鎖は自由になつたというもののまだ引出し制限がある。それも一家族について月五百円という制限らしいのであります。現在の物價高から行きますと、とてもそれでは生活ができない。聞くところによりますと、外國為替管理法の関係で制限されておると思いますが、租税なんかを拂うことは無制限、それ以外の例外は北陸地方の水害関係、これだけが無制限として例外があるだけで、それ以外は例外が認められないということで同じ自由貯金でありましても、特に引揚者だから一家族月五百円ではとても生活できません。できることなら自由拂い出しのできるように、またそれまで行かなくても、相当拂い出し限度を高くしていただけるように厚生大臣にお願いをいたします。
#17
○林國務大臣 ただいまのお話ごもつともとは考えますが、事務的の点につきまして私全然まだ心得ておりません。いろいろ事務的にも今までの経過から考えて事情があろうかと考えますが、御期待に沿い得られますように調べました上で努力をいたしたい、こういうところぐらいでひとつお許しを願いたいと思います。
#18
○受田委員 厚生大臣に御考慮を願うついでに、今成田さんの質問と関連した事項をここで御研究願うことにいたしたい点があるのであります。朝鮮、台湾等の引揚者に対しての郵便貯金は現在、今申し上げたような意味で幾分でも支拂いをしておるのでありますが、南洋の島にいた人たちの郵便貯金の拂出しは一切していないような実情であります。この点南洋群島も朝鮮、台湾と同様に取扱うべきであるのでありますが、どういう事情があるのか、これも事務当局を通じて御研究の上何らかの方法でお知らせ願いたいと思います。
 さらに最近引揚げ問題をめぐつて更生会などが、たとえば更生資金の一割を差引いて、それによつて更生会の運営をするとか、またあの更生資金の問題は個人もしくは團体となつておるのであるが、事実は、各縣ともそうじやないかと思うのですが、私の郷里の山口縣のごときも、團体としてしか融通させないで、すべて個人に融通されるものを総合的にひつくるめて取扱つておる関係上、拔きさしならぬような個人がたくさんおる。この点において、でき得べくんば一個人を救うという道も本体としては考えなければならぬと思いますので、更生会などが横暴をきわめないように、はなはだしきに至つては更生会そのものが政治的な動きをして、引揚更生会から政治的な人材を出す、しかもそれが強制的に下部に押し進められて惡弊を及ぼしておるような様子も見えるので、この点政府当局は十分引揚更生会を監督していただいて、引揚更生会がほんとうにその眞面目に立つて、引揚者の更生をはかるような方向へ指導していただきたい。引揚者の中にボス的人物が存在して、せつかく再起を誓つておる純心なる引揚者がほんとうに路頭に迷うような結果さえ起つておることは、はつきりした事実であります。この点について厚生大臣の御監督を嚴重にしていただきたいことをお願いいたします。いま一つ在外資金の問題で、大藏省との関連になると思うのでありますが、厚生省としてもお考えいただきたいことは、外地から引揚げの際、日僑事務局引揚人世話会等の團体で、現地流通の貨幣を引揚者の世話に要する費用及び引揚者保護等のために預かつたお金があるのでありますが、それが現在支拂われることになつたらしく、その領收書の写しなどを各更生会でとりまとめて、すでに各自で提出しておるようでありますが、これに対しては結果がどういうふうになつておるのか、及び見通しがどうなつておるのか等についても御研究していただきたいと思います。以上引揚者のために厚生大臣の御奮発をお願いしたいことと、あわせて若干の金融関係の御質問を申し上げたわけです。
#19
○林國務大臣 今政府委員に伺いましたら、終りの問題は外務省の所管だというふうなお話を伺いますが、なお関連があろうと思いますから、取調べをいたします。
 それから金融の問題などにつきましては、先般來私どももこの委員会並びに参議院の方からも始終お話を伺つております。まことに何とかいたしたいと考えて、融資の問題なんか苦慮いたしておりますが、今日までの経過はなかなかむずかしいような経過になつております。これを実質的にどういうような方法を講じて、一番有効的に解決をつけ得られるかという問題について、当局といたしましても非常に苦心をいたしております。それから一面におきましては閣議の決定をまつて、そうしてその閣議の決定によつたということで行動をとつてみたらどうかという意見もあつたわけであります。しかしながら過去の経過に基きまして、そういうことをやればやるほど、一段とその効果を失うような傾向になるのではないかということに憂慮いたしまして、きわめてきまらざるような間に、内部的に一つのきめたような方法を講じて、効果的にこれを持つて行くというような方法はあるまいか、こういうようなきわめてあいまいなような言葉ですが、こちらも苦心をいたしておるということだけをひとつ御賢察を願つておきたいと思います。個人的にまた後ほどお話を申し上げることにいたしまして、速記などをとつておるようでありますから、お許しを願いたいと思います。
#20
○森(直)委員 一言お尋ねいたしますが、引揚げ未亡人に対しては、特に何かお考えになつていただいておりますか。と申しますのは、戰災未亡人とか、未亡人にはいろいろありますけれども、私、郷里に帰りましていつも感じますことは、引揚げて來た未亡人の方々が、自分たちは一体どうして行つたらよかろうかといつて、実に切々たる生活の苦しみと今の境遇の苦しさを訴えられる、実に同情にたえない。そこで縣の方ではどうしておるかと申しますと、それではひとつあなた方は再婚したらいいじやないかということで勧められておる。ところが子供を二人、三人連れて再婚なんということは実に不可能だ。それでは生活保護法に基いて救済資金をもらいに行きますと、民生委員とか、あの方々が実にけんもほろろの態度で、もらいに行くのも実にもらいに行きづらい。中にはある村のごときは、村の財政が困るから、十月に渡すやつをまだ渡さないようなところもある。そこで何とかして、それでは授産所にでも行つて、ひとつ職業でも覚えようかといつて子供をつれて行きますけれども、これまた実に申込みが多くて、やつとその中に入つて授産を受けましても、一年足らずでおつぽり出されて、ミシンなんかも十分覚えることはできない。そこで何とかして自活の道を講じさせていただきたいということで生産資金を借りて四、五人でやつとマーケツトでもやつておるのはいい方ですが、ほとんどがやみ商賣です。あるいはやみの女にでも堕落するというような過程をとつている。郡單位の授産所でもつくつてやつていただいて、何とかして行きたいというのが大体の要望でございます。この点を特に御考慮していただきたい。これは全國的には相当多いだろうと思います。
#21
○林國務大臣 ただいま伺いました特に引揚者に対する未亡人という問題でありませんで、全体に戰災者その他を考えまして、その問題については厚生省としても一つ取上げている問題があると思いますが、おつしやつた通りの事情を私も伺います。それに対してこちらが十二分に手が足りているとまでは私みずから考えておりません。今後どういうようにそういう問題について効果をあげて行こうかというようなことについて、非常に心配をいたしているわけであります。今後の授産所というような方面は、將來の予算などについても、何か私も足跡を残すべく、そういう方面に仕事をやつてみたい、こういうつもりでおります。はなはだ御不満な答弁だとは思いますけれども――特に引揚者に対する未亡人などということにはなつておりません、それを区別することは非常にぐあいが惡いように考えますので、なお御期待に沿いますようにできるだけ予算を多くとるように、自分たちも努力いたしたいと考えております。
#22
○天野委員 ちよつとお尋ねいたします。本日の議題の中に、帰還者に対する復興金融金庫特別融資に関する件としてありますが、これに対して係の詳細な説明をお願いしたいのですが。
#23
○林國務大臣 これはちよつと速記をとめていただきたいのですが……。
#24
○河野委員長 速記をとめてください。
#25
○河野委員長 速記を始めてください。
#26
○天野委員 先ほど同僚議員から、未亡人で生活に困つている者を救うことについてどうかという質問がありましたが、これは金さえあれば完全に救つて行くことがきつとできると思います。ただ資金がないために、なかなかそのことが成就いたさない。現在の日本におきまして資金さえありますならば、いろいろな事業が興される。そしてその人たちを收容して一般に仕事をさせて、收入を得せしめて安心して暮させることができる。しかし現在なかなかそういう事業に投資する人もありませんし、またその人たちにはもとより資金がありません。わが國に復興金融金庫がありましていろいろな融資をいたしておりますので、こういうものにはどうかいろいろの事情もありましようが融資して、各郡に相当の事業を興して、婦人の手によつてなせる仕事をさせて婦人の收入をはかつて生活させるということが、まずもつてすぐとるべきではないかと考えております。私は実はここに掲げられておりますので、もう大体に目鼻がついてかようかくかくの事情で融資してやるんだ、これを何とかせいというようなお話でもあるかと想像して來たのですが、お聞きいたしますと案に相違いたしまして、こうしてみたいというような、何かまだ、なまぬるいようなお話でありますが、どこかこれに関係の御当局はひとつこの融資が完全にできて、未亡人あるいはその他の人が完全に救い得るような方策をぜひ樹立していただきたいと思います。
#27
○河野委員長 今の復金の融資の問題は銀行局長さんがじきに來られるそうですから、しばらくお待ち願いたいと思いますが、今井給與局長さんがおいでになつておりますから、給與の問題で御質疑なり御意見なりありましたら、この際承つていただきたいと思います。
#28
○川合委員 未復員軍人の家族の手当の問題は、この前の法案を金融委員会で議決した際に、あれはたしか二千四百円ベースと千八百円ベースの関係であるから、三千七百九十一円になれば自動的にそれを政府において上げるというような記憶があるのでありますが、こういうような一連の関係においてどういうように政府は処置されるか、あるいはまだ今國会にそういうものを提案するような腹案があるか、まずこれを先に承りたいと思います。
#29
○今井政府委員 現行法はただいま御指摘のような関係で、これが二千九百二十円ベースのままになつております。これを新しい水準の問題ともにらみ合せの点はございますが、からみ合せまして今國会に未復員者給與法の改正案を出すべく手配を進行中であります。その際にこれはよけいなことかもしれませんが、あわせまして復員者の災害救助の問題も同法の中に織り込んで根本的に解決するということを盛りまして進行いたしております。
#30
○川合委員 非常にけつこうな話なんですが、まだ國会の方にそれが提案されていないようでありますから、ひとつ差支えのない範囲において、今言われたような復員者の災害関係のいろいろな内容を、この機会にお知らせ願いたいと思います。
#31
○今井政府委員 まだ関係方面とも折衝中でありますのと、それから例の官公吏の新ベースとも関係もございますので、金額その他につきましては、当然それとからまつて異動が起つて來るものと考えておりますが、從來のブリンシプルは、すべてそういう形で金額を直すということに重点を置いております。從いまして例の遺骨埋葬料その他の関係もそれぞれ相当引上げたいと考えております。
 それから未復員者の傷害につきましてはおおむね健康保險のラインに從いまして、必要な療養費を支給するとかあるいは國で一定期間療養させる、こういう建前のものを織り込む意図のもとに目下折衝中でございます。大体從來あります各種の厚生年金、健康保險、ああいう一連の社会保險の線が中心となつて、これが給與法に織り込まれるという構想のもとに進んでおります。
#32
○受田委員 今の給與局長の御答弁に関連するのでありますが、未復員のものに対する政府職員の給與は、これは復員が完了する時まで継続するようになつていると思うのでございますが、いかがでしようか。
#33
○今井政府委員 元軍人軍属の資格を持つておられる方の未復員者でありますが、こういうものを純粹の政府職員として取上げることにつきましては、國家公務員法との関連から疑義がございます。未復員者給與法という名のもとにただいま一切の給與も行われておりますが、これも便宜給與法として取扱うことの方が、この問題解決についての関係方面の了解を得るのに便宜があつてとりました建前でございまして、本質から申しますと純粹に國家に現在使われておる公務員の給與とは違つた考え方をしなければならぬ面が、その意味においてできて参るわけであります。しかしながらとにかく政府職員に準ずる意味におきまして、法規上許される範囲内におきましては極力有利なように解したいという意見合いにおきまして、法律論的に申すと若干疑義を生じます面におきましても、未復員者に有利なように解釈している部分も実はございます。
#34
○受田委員 それで政府職員として勤務中應召して、いまだ復員せざる者に対しては、いかなる取扱いになりましようか。
#35
○今井政府委員 純粹の政府職員でありまして、その身分を持つたまま應召いたしまして、いわば雇傭契約がそのまま継続いたしております形のものにつきましては、実際の給與は現在給與額の半額が本人の生活費であつて、半額が家族のものであるというような前提のもとに終戰以來半額を支給いたして來ております。
#36
○受田委員 賃金ベースの改訂で漸次高騰して、現在の三千七百九十一円ベースによつて支給されておりましようか。
#37
○今井政府委員 大体におきまして、そう御想像くださつてけつこうであります。
#38
○受田委員 ここに幾つもの例があるのでありますが、最近未復員者、特に應召によつて現在なお從來の身分を確保したまま復員せざる者に対して、官廳もしくは地方廳、地方公署等において、未復員者給與法の規定ができて以後は、その方にまわして支給さるべきであるという言いのがれをして、現に應召による未復員者に対して、給與を打切つて恬然たるものが相当あるように見受けられるのでありますが、これらのものは、未復員者保護の立場からも、人道政策の立場からも、重大な問題と思うので、政府当局においては、この應召によるところの未復員者に対しては、その復員の完了する時まで、依然として今お説のごとき方法によつて支給を継続するという趣旨を、再確認していただく方法はないでしようか。
#39
○今井政府委員 この半額を基準にしてやつておるということも、非常に嚴密に申しますと、いわゆる常時國に勤務しておる建前のものでございませんので、法律的にはやり疑義が出て参り得る問題かと思うのであります。ただそれを終戰後の取扱いのまま、休職その他との権衡も考えまして、でき得る限り、解釈のつく範囲内において廣くというような見地で、國の官吏につきましては実行して参つておりますが、しかし地方の職員に対しまして、同調しないかというお勧めはできましても、法規的に縛るということは若干困難ではなかろうか、かような感じがいたす次第であります。ただ未復員者給與法と申しますのが、名前が給與法というふうな名前を使つておりますが、実体は実は本人の生活費でありますとか、あるいは勤労收入とかいうような立場から出ておるものでございませんので、一般の給與とは別の角度から考えなければならぬ意味合いにおきまして、御説のように、併給するということの方が、私は筋としてはむしろ考えてよろしいのではないかと思うのでありますが、法規の建前から申しますと、地方團体の職員につきましては、ちよつとこちらから強制的には行きにくい面が起るだろう、かように御了承願いたいと思います。
#40
○受田委員 今の問題ですが、これをあやふやにしておくと、ある地方團体、公共團体は支給する、ある團体はそのことに口実を設けて支給しないというようなことが起つて、非常に不公平が起る。未復員者の家族には、幸福になるものもあり不幸になるものあるということになると思うのであります。この点について、地方へ強制的な要求ができないということについても、地方財政の困難なる現実においては、ある程度納得の行く問題ではありますが、しかしその数はきわめてわずかであつて、その少数の者のために非常に未復員者に対する保護の公平を欠くような印象を與えることは、社会的な問題で、これに対して、できれば應召未復員者の給與に関しては、地方公共團体等に対しても、國家がこのわずかでしかないものに対して、ある程度の補助を與えるとか、そのほかの便法を講じていただいて、救済の道をとつていただきたい。現に大阪市のごときは、すでに應召未復員者の家族には、一切給料打切りを、はつきり未復員者給與法に規定されたから、支給はしないということを、公文書で通告しておるような、あさましい現象があるのであります。こういうふうな現状では、大阪市に勤めておる方のところでは不仕合せになつたが、あるところではまだ幸福なる者があるということでは、同じ政府職員、地方公共團体の職員になつた者に均衡を欠くおそれがありますし、大藏当局、特に給與局長さんの給與政策の上において、何らかこの人道問題だけは、あまり大した問題ではないと思いますので、適当な御処置を願いたいと思うのであります。
#41
○今井政府委員 まことにごもつともなお説に拜聽いたしますので、地方財政委員会あるいは地方自治課なりの事務当局とも十分連絡をとりまして、実際的に円満なる解決ができますよう、ひとつ努力してみます。
#42
○受田委員 お願いいたします。
#43
○庄司政府委員 発言のお許しを得まして、ただいまお述べをいただいた御趣旨は、まことに人道問題であり、また大きな社会問題であると思うのであります。幸いに厚生省関係において、都道府縣の社会課長あるいは厚生課長の会議が今日から始まつておりますから、御趣旨のあるところを傳達いたしまして、つとめて地方公共團体等において、御趣旨のような精神に背反しないように、地方財政困難の場合であるけれども、でき得る限り給與の救済の実をあげ得るよう、傳達をいたしたいと思います。
#44
○川合委員 これは他の委員からあるいは御質問があつたかとも存じますが、前國会以來の問題になつておるのでありますが、未復員者給與法ができて、そうして給與を受けておるけれども、例の生活保護法の適用を受けておる方に対しては、その分だけが差引かれるというような状況になつておつたはずであります。その後これらが改善されて、生活保護法による生活保護資金をして、それから給與法による給與は給與として、二本建で給與されておるものか、依然として一本に統一されて、生活保護法のわくの中で支拂われておるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい、かように考えます。
#45
○庄司政府委員 私は御承知の通り政務官でありまして、詳細な事務的なことは承知しておりませんけれども、自分は生活保護法の審査の特別委員長をやつておりました体驗と、その後直接さような問題に体驗を持つておる上から、また昨日なども、大分大挙して未帰還者の細君たちの陳情を現実に受けまして、完全な御答弁に相ならぬかと思いますけれども、かように承知しております。たとえば、五人家族である場合における、ただいまのカロリー計算より、約四千五百円の生活費が最小限度において必要である、かような推定のもとに、もしお説のように生活保護の対象者があつて、他にただいまお述べのような御趣旨の給與関係その他がございました場合は、四千五百円よりその給與関係を控除して、その残分を、最小限度の生活をなしあとう範囲で、大都会、小都会、農村の三段階にわたつて多少の段階がございますけれども、生活保護費を給與しておる、かような現段階の生活保護費の交付状態でございます。しかるに、それでは困るという悲痛なる陳情が、昨日あたり厚生省に代表者が参られまして、るる陳情をされておりますので、つとめて給與は給與として、その子供たちが義務教育以上の学校に行つておるものであつても、それはひとつ適当に政治的な解決の上から、この上とも追加予算その他何らかの方法によつて、給與する経費を獲得いたしまして、お説のような氣の毒な生活保護の対象者諸君には、つとめて善処して行きたいという御答弁を昨日も申し上げた。また一方今回の追加予算等に対しても、大藏省に強くただいま要請をいたしておるような次第でございます。
 まことに完全な御答弁ができないのは残念でございますけれども、他の社会局の関係の者がただいま見えておりませんようでありますから、私の知つておる範囲だけ申し上げて、なお現在及び將來にかけて善処、檢討したいということを申し上げておきたいと思います。
#46
○川合委員 ただいま庄司政府委員から、経過の御報告を承りまして、よく了承したのでありますが、庄司政府委員は、御就任前までは本委員会の委員として、諸般の事情はよく御了承のはずであります。これは單なる事務的の問題でありませんので、事務的な問題を超越して、どうか一つの政治問題として扱われて、ぜひとも未復員者給與法の適用を受ける者は、生活保護法の適用を受ける者のわく内として、二重に給與がもらえるというふうにお取扱いを願いたいと思います。
 次にこれまたかねがね問題になつておつたのでありまするが、未復員者給與法ができて、未復員の家族に対して給與されるのは、はなはだけつこうでありまするが、同時にわれわれは今日の段階において考えねばならぬ点は、旧軍人であつたというようなことにとらわれることなく、未帰還者というような一元的な観念で、これらに対する家族にいろんな援護措置を講じなければならぬと考えるのであります。なぜならば現在まだソ連領におられる諸君というものは、自己の意思に反して向うにとめ置かれておるという関係にあつて、現在から見るならばこれは旧軍人であるといなとを問わず何らかわりはない。少くとも留守家族の状況から考えれば何らかわりはないと考えられるのであります。從つてわれわれは未復員者の旧軍人のみに國家の恩典をこうむらすべきではなくして、海外におる一般邦人の留守家族に対しても、やはり未復員者給與法と同じような給與が支給されねばならないということを考えておるわけであります。これらに対しましては関係筋とのいろんな折衝もあろうと思いますが、その後の関係筋との折衝の状況その他に関して今井給與局長の御報告を承りたいと思います。
#47
○今井政府委員 実はそういう問題になると、ますます私どもの方の所管でなくなるわけでありますが、ただせつかくの御指名でございますので、私どもの狹い面から見ました見通しとして、多少でも御参考になる面を若干申し上げます。ちよつと速記をとめてください。
#48
○河野委員長 ちよつと速記をとめて……。
#49
○河野委員長 速記を始めて……。
#50
○川合委員 大体未復員者のみにこういう措置が講ぜられるということは、旧復員廳というような関係からこれが起きておると思うのであります。旧復員廳は主として元軍人を対象としておる。しかるに一般海外邦人に関してはその留守家族のいろんな面倒を見る主管の官廳があやふやな状態であつたということが今日の結果をもたらしておる原因の一つをなしておることは疑いのない事実であります。從つて現在におきましては、旧復員廳は厚生省に包括され、しかも先ほど申し上げたように旧軍人であるといなとにかかわらず、その留守家族を救済しなければならぬという段階に來ておるということを考えた場合においては、大藏省の見解はただいま今井給與局長の述べられた通りでありますが、これに関して主管廳といわるべき厚生省としては、どういうように考慮され、また対策をされ、同時にかねかね当委員会でしばしば問題になつた事柄でありますので、さぞかし関係筋とも折衝されたと思つておるのでありますが、それらに関する厚生政務次官の御所見を伺いたいと思います。
#51
○大野説明員 厚生政務次官の答弁をということでありますが、私は事務的に関係しておりますので、お答え申し上げます。ただいまの問題でございますが、一般邦人はどうなるのかという問題でありますが、未復員者給與法では、一般邦人は対象になつておらず、旧來の軍人、軍属という身分を持つた者だけに限られておるのであります。一般邦人は未復員者給與法の恩典にはあずからない、これが問題でございます。ただいまお述べになりました点は、この一般邦人に関する問題であろうと思うのであります。今海外にまだ残つております一般邦人のうち、いろいろ態樣がございますが、その間に軍人、軍属というような身分を持つた者と区別をすることは國民感情の上にぴつたりしないというのは、一般邦人のうちシベリアに連れて行かれた者たちであります。そのほかに、たとえば樺太から最近帰つて参つた者の中には、四十年からずつと樺太に定住して、そこで土着の農業を営んでいたというような一般邦人もございます。それから満州でずつと仕事をしていて帰りが遅れていまだに彼の地に残つておるというような者もあり、なお台湾にも残つておる方もあり、最近の船で引揚げて來る方もあるのでございます。これらのうちで終戰当時満州で非常な混乱を重ねて、本來の旧軍人、軍属だけがシベリアに連れて行かれるはずのものでありましたのが、運惡くたまたまその土地におつて、年かつこうがちようど前の軍人、軍属と同じような、ちよつと区別がつきかねて、軍人、軍属の中にまぜられて、それらとまつたく同様な扱いを受けてシベリアに連れて行かれ、その後は從來の軍人、軍属と同じような收容所に收容せられて、食事その他の給與もすつから同じ待遇で今日まで來た、作業もちつともその間区別がない。そうして、今日引揚げつつあるというその一般の邦人の方々も、これは一番ただいまの問題では、なぜ在來の軍人、軍属という身分を持つた者との間に待遇が区別をせられるのであるか。これはまことに國民感情として納得しかねるという問題に相なるわけでありまして、御説のごとく前からやかましく取上げられて來たものであるのであります。なおこの問題につきましては、前の國会に御提出になりました引揚対策審議会設置法、これに基きまして引揚対策審議会が設置されたのでありますが、その審議会においても、この問題はいろいろ研究が重ねられておるのであります。一番むずかしいことは未復員者給與法の軍人、軍属ということになつてしまうと、どうなるかという問題でございますが、一般邦人は一般邦人として、おそらく將來においては在外資産の問題、あるいは賠償の問題というようなことで、いろいろ取上げられる問題があるだろうと思うのであります。人によつてはどうもはたして軍属であつたか軍属でなかつたかというようなことも、十分こちらではわかりかねる者もあるのであります。といいますのは、終戰の直前に應召したとか、あるいは軍属になつたというような者もあるのでありまして、そういう方々については、十分な名簿も何もこちらにありませんので、結局上陸した際に、あなたは終戰時軍属の身分を持つていたかどうか、どういうわけで向うに連れて行かれたのであるかということなどを一々伺つておるのであります。それによつて判断しておつたというような点もあるのでありまして、なかなかそういう境に行きますと、非常に微妙な点もあるのであります。とにかく一般邦人ということになると、將來の賠償とか在外資産の問題とかいうような場合に、いろいろまた特別の待遇が與えられるのではないかというふうにも考えられるのでありまして、初めは審議会の各メンバーの方々も全部軍属とみなすべしというようにしたらどうか。もし軍属とみなすということになれば、結局給與法の改正というようなことも一つの方法として考えられるかもしれませんが、しやにむにそれで行つたらどうかということであつたのであります。しかも一般邦人の中でもいろいろ態樣がありますので、特にシベリアに連れて行かれた、まつたく軍人、軍属と間違えられて連れて行かれた方、そういう方々はまつたく軍人軍属とすることにしたらどうかというようなことで最初は進みましたけれども、いろいろ研究の結果は、早急にそういうことになつて、はたして後日にまずい立場になりはしないかといつたような考えも出て参りまして、現在その辺のことは愼重に研究を重ねておるような次第であります。ただ一般の邦人が特に何も立ち上るための援護の方途が與えられていないので、非常に損な立場にあるということではいけませんので、それらの点については、でき得る限り復員者と同様の待遇あるいはそれにかわる待遇というようなことも、援護廳としては考えておるような次第であります。
 いろいろな施策の中で、特に一般邦人だけを主たる対象として考えておる方策はたくさんあるのでありまして、たとえば生業資金の貸付ということは、主たる対象としては一般邦人ということになつておるのであります。それから應急家財の特別配給というようなことで、内地に帰つて來たあと世帶を持つ者に対して應急家財を配つておりますが、これもやはり一般邦人というような建前で進んでおるような状態でありまして、かれこれあわせまして、特別に一般邦人という身分を持つた者が不利な立場にあるというようなことがないように、氣をつけておるような次第でございます。
#52
○川合委員 ただいまの御説明によりまして、厚生省が平和会議後におけるところの賠償問題というような將來の問題もあわせて考慮されて、そうして一般邦人の留守家族援護ということをいろいろ御考慮なさつておるという点に対しましては、われわれは敬意を表するのであります。しかしながら現実に一般邦人の留守家族が困つておるという者に対しましては、先ほど言つたような趣旨で、どうかその趣旨の内容を実現するように、せつかくの御努力を要望してやまない次第であります。
 それとやはり関連する問題でありますが、先ほど給與局長から災害保險法的なものが出るというようなことを言われたのでありますが、これまた同様に、もしそれが旧軍人、軍属の家族のみに適用されるという場合においては、一般の邦人の家族には適用されない。そこにもやはり現実の問題としてのいろいろな不合理な問題が生ずるわけであります。これらもあわせて御考慮おき願いたい、かように希望を申し述べておきます。
#53
○河野委員長 先ほど銀行局長をお呼びしておりましたが、関係方面へ行つておられるそうで、今日の会議には間に合わないようでありますから、銀行局長にお尋ねする復金問題の件は、この次の委員会にまわしたいと存じます。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後三時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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