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1948/11/18 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 図書館運営委員会 第2号
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1948/11/18 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 図書館運営委員会 第2号

#1
第003回国会 図書館運営委員会 第2号
昭和二十三年十一月十八日(木曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 水谷  昇君
   理事 中山 マサ君
      花月 純誠君    高津 正道君
      黒岩 重治君
 委員外の出席者
        國立國会図書館
        長       金森徳次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國立國会図書館組織規程に関する件
 國立國会図書館物品会計規程に関する件
 國立國会図書館職員定員規程に関する件
 國立國会図書館運営の経過報告聽取
    ―――――――――――――
#2
○水谷委員長 これより会議を開きます。
 本日の議事日程に関しましては、公報にてお知らせのごとく、國立國会図書館に関する規程の審議であります。國立國会図書館法第十一條により、図書館運営委員会は、少くとも六箇月に一回以上これを開会し、図書館の経過に関する館長の報告、図書館の管理上、館長の定める諸規程、図書館の予算及びその他の事務につき審査することになつており、また各議院の図書館運営委員長は、前項の審査の結果を、その院に報告することになつておるのでありますが、まだ一回の報告も行つていないので、今会期中ぜひとも報告せねばならないと思いますので、その点御了承の上御審議を願いたいと思います。
 まず國立國会図書館組織規程及び國立國会図書館組織規程の一部改正規程を議題といたします。この二規程は事後承認を求める件であります。図書館長の説明を求めます。國立國会図書館長金森徳次郎君。
#3
○金森國会図書館長 ただいま御審議を願つておりまする國立國会図書館組織規程は、その前身となつておりますものは、それの附則の二十二條にございますが、國立國会図書館職員規程というものがございまして、図書館創設の際きわめて暫定的ではありましたけれども、両院の運営委員会の議決を経て、これを確定して規則としておつたわけであります。
 ところでその職員規程によつてだんだん準備を整え、体系を完備しておりますうちに、八月に至りまして幾分その改正をしなければならないような事情が発生をいたしました。その主たる理由は衆議院と参議院に法制局ができまして、これらの院の法制局が相当重い立場をとつておると考えられる。ところが私の方の図書館の中におきましては、幾つもの局ができておりまして、その局のつり合いから申しますと、國会自身の法制局は相当に重々しいものとされておりますし、図書館の方は局という言葉が比較していえば幾分軽微なものにも使われておるというような考えが起りまして、それで國会と歩調をそろえますために、図書館の方もごく大きな局だけはこれを局と言い、その他は部という名称に改める方がよかろう。こういうふうに考えまして、そこで從來だんだん研究をして、かりに局としておりましたところを補正いたしまして、調査及び立法考査局というものだけを局といたしまして、そのほかの一般考査部、支部図書館部、受入部、整理部、建築部は、局という名前を改めて、部とするのが適当だと存じまして――これらはほかの事情もございまして八月のうちに急に解決をしなければならない余儀なき場面がありましたので、やむを得ず当時の各方面の図書館に関係のある方々に下相談をいたしまして、またその当時の図書館の運営委員長の方とも御相談をして意見を伺いまして、館長の責任で一應規程を完備する、そうして後に事後承諾の形をもつて図書館運営委員会の御承諾を受けようという方針をもつて決定をいたしました。それが今日の第一の議案になつております國立國会図書館組織規程であります。
 これは要するに從前からの規程と実質においては違つてはおりません。ただ大きく局を部という名前に改めたということだけであります。ただ一つだけその中に副館長の権能を強めますために、第十二條で「副館長は、図書館全体の事務につき館長を補佐し、受入部長及び整理部長を指揮監督する。館長に事故があり、云々」という規程になつております。これは從來は法律の中に副館長の権能がはつきりしておりましたために、ことさらに規定を設くる必要もないというわけで省かれておつたのであります。しかるによく図書館成立の事情等を調べてみますると、もとより当初から氣がついてはおりましたが、やはり明文をもつてはつきり副館長の権能を明らかにすることが適当であろうというふうに考えました。なぜかと申しますると、副館長といえば、各官廳におきましての次官に当るようなものであります。普通の官廳におきましては、次官は全体的にそこの省の仕事をするということになつておりまするが、図書館の制度の生れて來ました沿革に顧みますると、副館長は專門家であつて、図書館の中のいかにも図書館らしい事務につきましては、みずから統轄するという含みが前からありまして、事実はその方法をもつてやつて來ておりまするけれども、しかしやはり制度の中に明らかにした方がよかろうというわけでありまして、一般次官に類しまする役目のほかに、受入部長及び整理部長を指揮監督をする。そういう特殊な事務を責任をもつて担任する、こういうふうに規定をしたわけでございます。それで大体その方針でこの案を進行させて実行しておりました。
 ところがもう一つ事が起りましたのは、前の図書館法によりまして、この図書館は支部図書館を各官廳の間につくらなければならないことになつております。大藏省とか、法務廳とか、あるいは最高裁判所に支部図書館をつくらなければならないことになつております。ところがこれはこの図書館の開設がありましてから六箇月以内につくらなければならないことになつておりまして、八月の終りごろにはこれを実現しなければならぬのであります。これはこの規定を改正いたしませんでも、法律の趣旨からして、おそらくやつていいことかとも思いまするけれども、やはり規定の上にはつきりさせますことの方が疑いがない。ことに名前などを固定させまして、各省との関係を正確にいたしますることが必要であろうと思います。そこでまたやむを得ず支部図書館を官廳の中に十八、それから特殊な從來からの委員会の御意見を伺つて起されました東洋文庫と靜嘉堂文庫、この二つを合せまして合計二十の支部図書館をつくらなければならないようなときが参りまして、事情急を要しまるために、事後の御承認を仰ぐ方針をもつて、第一條の中にしかるべき規定を設けました。これが事後承諾をお願いせんとしておりまする一と二との案の趣旨であります。どうぞよろしくその経過事情をおくみとりの上、御承認を願いたいと思います。
#4
○水谷委員長 何か御質問がありましたら、御質問を願います。御意見もありましたら伺つておきたいと思います。――御意見も御質問もないようでありますから、承認の点はあとまわしにいたします。
    ―――――――――――――
#5
○水谷委員長 次に國立國会図書館組織規程に関する件、國立國会図書館職員定員規程に関する件、國立國会図書館物品会計規程に関する件を一括して議題にいたします。館長の説明を願います。金森國会図書館長。
#6
○金森國会図書館長 今申し上げましたように、図書館の組織規程を完備して仕事を進行しておりましたところ、ここに一つ新しい問題にぶつつかつたのであります。と申しますのは、八月ごろから図書館に関する專門家がアメリカから來られて、それらがいろいろ図書館の事務について助言をしてくだすつたのでありますが、その中で從來この図書館で受入と整理との二局をこしらえて書物の取扱いをしておりましたが、これは非常に大きな図書館であれば、わける理由があるけれども、われわれの図書館の程度のものでありますならば、別に二つにわけるほどの必要はない。受入というのは外から書物を図書館に受入れることであり、整理と申しますのは、その受入れた書物を分類してカードに記入して、しかるべき本箱の中に移しこむというふうな仕事をすることであります。つまり書物につきまとつて、入つて來たところから、たなに上るまでの一貫的な仕事をするわけであります。それで幾分わける理由はございますけれども、分量の問題が問題を解決するかぎになつておるわけであります。これは一つにした方がいいだろう、かような助言を受けて、私の方の図書館の経驗から徴しましても、一つの流れ作業の途中が二つの部局にわかれておりますことは、そこに事務の停頓が起つて、せつかくなだらかに來たものが部局が移るときに、また別のたなにはいつてしばらく書類が休むというようなこともないとは言われません。そこでこれは受入と整理を一つの部に合体する方がよかろうというような決意をいたしました。
 ところでもう一つ問題が起りましたのは、私どもの当初の考えによりますと、外國との諸般の書物の交換事務を比較的軽く考えておつたのであります。法律の中にもございますが、國会図書館は外國との図書交換の事務を担任しなければならぬのであります。ところがこの図書交換の事務と申しますのは、少し特別なものでございまして、外國の本をわれわれの図書館の手に入れること以外に、外國の本が日本のいろいろの図書館その他の需要者に移つて行く、いわば媒介をする郵便局の仕事のように、外國から來る書物を、ある標準に從つて國内にわけるという仕事を持つております。また同時に國内のいろいろな機関から外國に送ろうとする書物は、これを一手にまとめて運送などの仕事をする事務を持つております。つまり図書館の外における図書の交換事務も含んでおります。同時にわれわれのみずからの図書館が主になつて、本を送つたり受取つたりするという事務を持つておりまして、少しく毛色が違うのであります。そこにもつて行つて、今日日本が外國のいい文献を得ようといたしますには、ただじつとしておつては、とうてい得られません。為替で金を送るということができませんので、金を送らないで、何とかして書物を手に入れることが必要であろうと思います。それがためには結局外國から必要な書物を無償で送つてもらう。それがためにはこちらからもまた無償で書物を外國に送るというようなこと、あるいは官廳の出版物を迅速に活溌に交換するというようなことがありますし、そのほか外國の書物の動きぐあい、どういう書物が出たか、どういう著者が今世間の人氣を博しておるか、こういうことを始終考えておりまして、そういうものを何とかしてみずからの手でうまく入手することが必要であります。これは外國の事情を知ること、外國語などが達者であるというようなことが、よほど基本的なものになりますので、一般の部局ではやりにくいようであります。そこで今回國際業務部というものをつくりました。結局これは受入整理というものの一部分の仕事を担任するものでありますが、國際関係におきまして書物を入手したり、書物の事情を調べたりするという部局をつくりまして、それに外國の事情に精通しておる適任者を得まして、活発にやつてもらおう。そうしませんと、この図書館が自然休眠状態に陷るような懸念もあるという考えに基きまして、今回受入整理部と國際業務部の二つの部局をつくりましたが、予算の関係においては、從來の受入部と整理部の二つに対應するものでありまするから、少しも増額という趣旨を含んでいない、こういう考えのもとにいたしたいと思つております。たまたまいろいろな事情で人事の異動等も行われ得るような時が参つておりまするので、この際規程を改正してそういう方向をとりたい。そういうふうになりまするならば、案外國会図書館が活発になり、現在上野でやつております國際交換の事務も、なだらかに私の方に受継ぐことができるのではなかろうかと考えております。
 次に第四の案件といたしまして、國会図書館職員の定員を定めたのであります。これは予算においてすでに本年の七月ごろに確定しておる人員に基いておりまして、また前に御認可をいただいておりました規定の趣旨によつて満たして行く人でありまするので、実質的には人数は限定せられております。けれどもまだどういう職務に何人というふうにはつきりはされていなかつたわけであります。これは何しろ図書館が新しいので、どこに緊要な必要があるかどうかも注意深く考えなければなりませんので、少しくゆるめておつたわけでありますが、これをはつきりさせておいた方が制度を確実にするゆえんであろうと思いまして、定員をきめたわけであります。これは今の実情をただ文字に書き表わしたということであります。
 次に図書館物品会計規程と図書物品会計規程の二つの案がございますが、これは実は非常にこまかいことでありまして、各省でありますれば、中の小さい部の規定でできるものと思つておりますが、物品会計の責任を明らかにいたしまして、だれがどういう責任を持つか、どういう帳簿をつくるかという関係を明確にすることはもとより必要であります。今まではこれは内規のような形で一時やつておりましたが、しかし内規ということははなはだ不正確でありますので、正式の規定をつくるという形をとりました。各官廳ではこれに類似したものはみなつくつておるのでありまして、これがそれに対して格別かわつた中身を持つているわけではございませんが、これもひとつ御議決を願いたいと思つております。
#7
○水谷委員長 御質問があればどうぞ――御意見もあればどうぞ御発表願います。――速記をとめて…。
    〔速記中止〕
#8
○水谷委員長 それでは一の國立國会図書館組織規程、それから國立國会図書館組織規程の一部改正規程の事後承諾を與うるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○水谷委員長 それでは御異議ないと認めまして、事後承認を與うることに決しました。
 次に國立國会図書館組織規程の一部を改正する規程案、及び國立國会図書館職員定員規程案、國立國会図書館物品会計規程案、國立國会図書館図書物品会計規程案を一括して承認を與うるに御異議ありませんか。
#10
○水谷委員長 御異議ないと認めまして、それではさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#11
○水谷委員長 次に國会図書館の経過に関する報告を求めます。金森國会図書館長。
#12
○金森國会図書館長 國立國会図書館の状況は、いろいろな意味でときどきとりまとめてはおりますが、法律の規定に從いまして、この図書館運営委員会に適当な時期を選んで御報告を申し上げることが正当と考えております。そこでこの報告書を、口頭で申し上げますよりも、字に書いた方が比較的わかりやすいと思つて一應つくつたわけであります。ところがこれをつくつておりましたのは前でございまして、その後の歳月の経過によりまして今日は十一月になつておりますために、少しく時期が離れたという感じはしておりますが、これはちようど六箇月分を予想いたしまして、九月の実情で締め切つて報告書をこしらえておるわけであります。いろいろこまかいことが書いてございますが、大体從來の、いわばこの図書館の歴史的な発達状態を表わしておるのであります。その中の一、二のおもだつた点をつかまえて御報告を申し上げたいと思つております。
 それは支部図書館といたしまして靜嘉堂文庫東洋文庫を受け入れるという問題であります。これは昨年の十二月の、つまりこの図書館がまだ法律としても確定せず、從つて生れて來るごく不完全な状態の時分に、靜嘉堂文庫と東洋文庫とを図書館に何らかの形で合体させることが適当であろうという議論が起つたのであります。ところで衆議院側の御意見と参議院側の御意見とは幾分そこに程度の差がありまして、何か割り切れないような姿を見せておつたと私どもは理解しております。これをどうするかということにつきましては、一應私の方で責任を持つて、まず案の骨子となるべきものを考えまして、それから両院の御意見を伺う方が適当であろうと思いまして、予算の上にとりあえずこの二つの文庫をおせわをするような準備をしておきまして、それから予算の議決ができそうなころになりまして、衆議院の委員会の御意見をあらためて伺い、参議院の委員会の意見もあらためて伺つたのであります。
 そのときの樣子は、私の了解いたしますところでは、日本に再び集めがたきところのかような貴重な文献というものは、できるだけ保護をしなければならぬ、散逸をしないようにはかるべきである。しかし図書館がほかの仕事を妨げてまでこれをやることはよろしくないのだから、そこでその程度をよく考えて、図書館の通常の任務を害せず、しかるべき範囲においてこれの保存をはかることがよかろう。こういうことに納まつたものと了解をしております。そこでその御趣旨に從いまして、東洋文庫と靜嘉堂文庫を私どもの手元において管理をする。但し所有権はもとより元の財團がこれを持つておるということにいたしました。管理をするとは申しますが、何しろ予算の関係もあり、人員の関係もありまして、そうこまかいことまではすることができません。そこでさしあたり若干の職員をこちらの図書館の費用で、また図書館の人選で任命をいたしまして、これをこの二つの支部に配置をして、それによりまして貴重な財産を最も妥当に運営をして、読みたいと思う人に公平に読んでもらうことができるようにする。但しその経費は最小限度にとどめるという方針をとりまして、この中に書いてございますように、今のところ一つの分館の実情は、わずかに六人見当の人でこれをやつております。これは不十分といえばもとより不十分でございますけれども、本館自体が今日相当不十分の苦しみをなめておるのでございますから、この程度で行くよりほかにしようがないと思います。また一部の見解ではかような民間でつくつておる財團に金を拂うということは、國費を濫用するおそれがある。こういうふうな議論が運営委員会のある部面――衆議院ではございませんが、起つておつたのでございます。これに対する私の心構えといたしまして、決して補助金などは一文もこれを渡さない。また法律上、これは困難でありましよう。從つて全責任をもつて私どもの職員でこれを管理し、こまかいことではありますが、必要な管理の費用、電燈代をどうするかというような、ごく軽微な費用は私の方の図書館で直接支弁をするというようにして、ほんとうにわずかの経費でやつております。
 もう一つ御報告を申し上げたいのは、ロバート・B・ダウンズという人がアメリカからわれわれの図書館に対して必要な助言を與えるように來られたのであります。これは從來の運営委員会の方々が非公式に先方に希望せられて、アメリカの関係者が人選をして送つて來られたものでありまして、前の法律の規定について、こまかい点においてさらにわれわれによき助言を與えようという精神であると思つておりました。そこで私どもはこの專門家とよく交渉をいたしまして、かゆいところまでわれわれの図書館のいろいろな欠点、將來の行く道について指導を受けました。その一端は、さきに申しました受入、整理を合体するということでございました。そればかりでなく、もくろくのつくり方をどうするか、本の分類をどうするかというようなことまで相当こまかくやつておるのであります。
 次に、図書館を將來どういうふうにやつて行つたならばよいかという先の計画を、やはり今の時代にやつておかなければなりません。と申しますのは、一時的にこの図書館が生れて來たと申しますか、適当なる場所がなく、適当な計画もなく、法律の趣旨をなるべく実現するという趣旨で生れて参りましたから、今のところ赤坂離宮の一部を使つておりまして、これは世間に向つて図書館の大切なことを知らしめるという宣傳的意義においては役に立つておりますけれども、実際から言えば、この最も能率を発揮しなければならない図書館がこれであつては本物になることはできないと思うのであります。そこで計画といたしましては、將來図書館をやるのにきわめて適切な建物を持たなければならぬ。建物ばかりでなく、図書館の運営に必要な設備をつくらなければならぬ。設備と申しまするのは、たとえば書物が迅速に中を動いて歩く、あるいは國会との連繋において、機械的に書物や書類が動くというようなことまでも考えた設備を完備しなければなりません。のみならず図書館というものは、これはもう物の方からよほど制限せられますので、書物とか器具とかいうものについても特別に考慮しませんければ、これはもう能率的につぶれてしまうほかはありません。諸國の事例を研究して、新しいものをつくりたいと考えておるのでございます。それは將來のことでありますが、とにかくそれに向つて現在研究して行かなければなりません。その第一歩は、どこに將來の図書館をつくるか。大よそどのぐらいの企画でもつて図書館が設計されていいか、またこの設計を大よそどのぐらいの時期に実現するようにして行くかという問題が一つ。これは建物の問題です。
 いま一つ、この図書館は將來どういう計画で、どういう方針で書物を集めて行くか。しかも書物ばかりではございません。書物類似の蓄音機のレコードだとか、実物を写した映画のフイルムであるとか、あるいはまた地図であるとか、古文書であるとかいうようなものについても、近代図書館として必要なくふうをしなければなりません。その結果また写眞に写す。マイクロ・フイルムにいろいろな文献を写し取つて、また保存したり、世界に紹介するという計画も持たなければならぬ。こういうふうなことでございまして、これは將來のことをうのでありまするが、將來の研究についても、今乏しき人たちではありますが、調査を進めておる、こういう状態であります。幸いにして今日のところ、図書館の利用者は――もとより希望にはかないませんけれども、少しく人の多い日は入館を謝絶しなければならないような程度に來観者が多いのであります。また立法調査の方におきましても、漸次議会からの御要望によつて調査もしておりまするし、また今後御要望があるのではなかろうかという予想のもとに、だんだんと調査物件もでき上つておる次第でございます。これで報告を終る次第でございます。
#13
○水谷委員長 何か御質問はございませんか。
#14
○黒岩委員 御報告の点につきましては、詳しく書類にも出ておりますので、詳細よくわかりましたが、それ以外の点について、一点お伺いしたいと思うのです。それは夏ごろであつたと思います。國会図書館から赤を追い出せという街頭張紙が都内に見受けられたのであります。もつとも法律で定められました図書館の職員については、はつきりときめられておりますので、あえてそんな問題に氣をとられる必要はなかろうかと思いますが、かりにある種の潜行的な思想運動なり政治運動なりをしようという意図をもつて、重要な文化機関の中にさような者がひそむということが、かりにありといたしますると、これは憂慮すべき問題が発生しないとも限らないのであります。多分かような問題は何か特別な含みのある者が故意にいたした行動であろうと思いますが、その辺について何かお心当りがございましたならば、この際お聞かせを願いたいと思います。
#15
○金森國会図書館長 今仰せになりました赤い紙があちらこちらに張られたということは、私どもよく承知しております。この問題は非常に沿革の深い問題と申しまするか、昨年のころからかような問題が私どもの耳に入つて來ておるのであります。これはこの図書館が生れて來る道行きの中に起りました諸般の事情が、こういう好ましからぬうわさの種を生み出したものと思つております。私が図書館長になれという意味をもつて衆議院議長と参議院議長との申出を受取りましたときに、その問題につきまして特に考えたわけであります。もとよりこの図書館は文化的な線に沿つて行かなければならぬ。從つて世間で申しまするように右に片寄るというようなことであつてはならないということは当然でございますけれども、しかしあまり思想の面につきまして、きゆうくつな考えを持つてはよろしくないだろう。何といつても日本の將來の立法について公平な材料を供給しなければならないところでありまするから、積極的な思想によつてものを動かそうという人たちは絶対にこれを避けなければならない、こういうような氣持を私どもそのお話を受けたときに述べたのでありますが、それより前からいろいろな人事が準備せられておりまして、そのせられておる準備の線に沿つて内容を考えて行きますときには、これを白紙に描くようには参りません。白紙に描くという線から見ますると、いやしくも世間にうそにもせよ疑惑を持たれた人はとらない、こういう行き道が一つ可能があろうと思うのであります。しかし純粹な白紙ではなくて、いろいろな準備ができ上つておりまするあとでこれをきめて参りまするときは、そう好ましくない方向をとることは四囲の情勢では不適当だと思うのであります。從つていろいろな疑いとか言いがかりを世間からされておることは別として、はたしてその人が疑うに足り、うわさされるに足るかどうかを、実質によつてものを考えて行く方がいいと考えました。非常に安全な道をとりまするよりも、正しい道をとる方がいいと思つて、大体その線をもつて人事をやつておつたのであります。ところが今申した通り赤いビラを張られたということであります。これは私といたしましては、もとより責任の大きいことでありますから、注意をしておりますが、どういう人が張られたか、そういう運動をされたかということは、断片的には耳にしておることもございまするが、責任を持つてここで申し上げるに足るようなことはございません。はなはだ私といたしましては事実の根底がないというように理解してよかろうと思います。
 その問題の空氣が起りましたと申しますか、その理論の根據とされておりまするのは、問題となるある人が治安維持法に反するというゆえをもつて刑事訴追を受けまして、それが何年か経つた後に執行猶予という形をもつて判決が終つておるということがありまして、その人を図書館の中に收容したということが、この論議の根底になつております。これはさきにも申しましたように、私の全然自由なる考えで人を選ぶというより、今まで進行しつつある線に沿いつつも私の責任をもつて人を選んで來た、こういう道行きからかような結果になりました。私は條理の上から申しますと、当時の刑罰問題というものは法律の上ではすつかり削られておりまして、それを論議することそれ自身が、今日ではあるいは法規等の上においておもしろくないことであるかもしれないと思つております。しかし私はそういうところに拘泥しない。実質において疑うべき人であるかどうか、私ども同僚の一身上のことにつきまして疑いの眼を向けることは、決して好ましいことではありません。これは大義名分上やむを得ません。あらゆる手段を講じましてそれについて根底があるかどうかということを確かめて――今日それを確かめる方法といつて、そう昔ほど自由にはございませんけれども、今許されているような方法をもつて、場合によりましては関係方面の何か調査資料等をも参考にいたしまして考えたのでありますが、今日に至りますまでに、それに対する疑いの根據を何ら発見いたしません。從つて私はこの点については私のとつております態度は間違いがないという信念に基礎を置いております。しかし今仰せになりましたように、この図書館が赤化するというようなことが起りまするならば、それは実に不愉快な、あるべからざることであろうと思いまするので、その点につきましては法律秩序の中において、とり得るあらゆる手段をとつて間違いを起さないようにいたしたいと考えております。
#16
○水谷委員長 ほかにございませんか。
#17
○高津委員 ちよつと速記をやめてください。
#18
○水谷委員長 速記をやめて……。
#19
○水谷委員長 速記を始めてください。
 國立國会図書館の経過に関する報告については、承認するに御異議ございませんか。
#20
○水谷委員長 それでは、承認することにいたします。
 ではこれで散会をいたします。
    午前十一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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