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1947/11/07 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第17号
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1947/11/07 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第17号

#1
第001回国会 通信委員会 第17号
昭和二十二年十一月七日(金曜日)
    午後一時三十五分開議
 出席委員
   委員長 岡田 勢一君
   理事 重井 鹿治君 理事 天野  久君
   理事 白井 佐吉君
      海野 三朗君    大石ヨシエ君
      梶川 靜雄君    片島  港君
      野上 健次君    矢尾喜三郎君
      小島 徹三君    千賀 康治君
      田島 房邦君    長谷川政友君
      多田  勇君    森  直次君
      河口 陽一君    林  百郎君
 出席國務大臣
        遞 信 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        遞信政務次官  椎熊 三郎君
        遞信事務官   浦島喜久衞君
        遞信事務官   小笠原光壽君
        遞信事務官   中山 次郎君
        遞信事務官   山戸 利生君
 委員外の出席者
        議     員 大澤嘉平治君
        議     員 明禮輝三郎君
        專門調査員   吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十一月一日
 郵便法案(内閣提出)(第八二號)
の審査を本委員會に付託された。
十月三十一日
 會津高田驛前に郵便局設置の請願(原孝吉君外
 一名紹介)(第一〇三四號)
 特定郵便局制度存續の請願外二件(明禮輝三郎
 君外八名紹介)(第一〇三六號)
 佐野郵便局電話局舎新築竝びに交換方式改善の
 請願(大澤嘉平治君外一名紹介)(第一〇三九
 號)
 民間放送事業に關する請願(大宮伍三郎君紹
 介)(第一〇七〇號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 郵便法案(内閣提出)(第八二號)請願
 一 西志布志村伊崎田に郵便局設置の請願(的
 場金右衞門君紹介)(第八〇八號)
 二 會津高田驛前に郵便局設置の請願(原孝吉
 君外一名紹介)(第一〇三四號)
 三 特定郵便局制度存續の請願外二件(明禮輝
 三郎君外八名紹介)(第一〇三六號)
 四 佐野郵便局電話局舎新築竝びに交換方式改
 善の請願(大澤嘉平治君外一名紹介)(第一〇
 三九號)
 五 民間放送事業に關する請願(大宮伍三郎君
 紹介)(第一〇七〇號)
 遞信從業員集團缺勤問題に關する件
    ―――――――――――――
#2
○岡田委員長 會議を開きます。
 本日の日程は、郵便法案、内閣提出、第八二號、それと請願五件を上程する豫定でありますが、都合によりまして、郵便法よりも先に、請願の審査を行いたいと思います。いかがでございましようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○岡田委員長 ではそういたします。
    ―――――――――――――
#4
○岡田委員長 これより十月八日及び十月三十一日本委員會に付託されました請願について審査をいたしますが、その決定は後日に讓りたいと思います。紹介議員の都合で、日程第四、佐野郵便局電話局舎新築竝びに交換方式改善の請願、大澤嘉平治君外二名紹介、紹介者大澤嘉平治君の紹介説明を求めます。
#5
○大澤嘉平治君 請願の理由については、請願書をもつて委員會に提出いたしておきましたが、それに種々事情を附け加えて一應請願の趣旨を説明いたします。
 佐野郵便局電話局舎はすこぶる狹隘にして將來擴張の餘地まつたくなく、事務輻湊して著しく能率を阻害する實情にあり、速やかに局舎を新築して磁石式單式制を共電式に改めると同時に、均一料金制を度數料金制として、電話の疏通を改善し、加入者負擔の公平と利便増進をはかり、産業の發展を助長せられるよう左記事情を具し、關係者の連署をもつて愼んで請願する次第であります。
 一、現下貿易再開の機に際し、輸出産業振興上、通信機關として重要なる繊維工業地帶、すなわち兩毛地方の中心をなす佐野市は重要化し、特に這般足利、桐生、伊勢崎等の各織物都市が水害によりまして、非常な災害を受け、ここに初めて佐野市の電話局舎の重要度を加えつつあり、これが通信機關たる佐野郵便局電話局舎は通信機關として最も重要性を加えてまいつたのであります。佐野郵便局舎は建築以來四十年の年月を閲し、しかも借建物であるために、補修も届かず、不便至極にして作業能率に影警するところが少くないのであります。
 第二には、昭和十三年佐野郵便局を建築の際、將來電話局舎を隣設せしめる豫定をもつて、郵便局裏に三十二十餘坪の官有空地をもつておるのであります。
 第三には、佐野市は昭和十八年四月附近六箇町村合併、新生都市として誕生せる縣内第二の都市であり、地域廣濶なるため電話の利用度は非常に多いのであります。
 第四といたしましては、安蘇郡葛生町の石灰は肥料用として、建築用として、また石灰碎石は道路用資材として、その産額において全國第一の地歩を占むるのみならず、郡内産業勃興のため、佐野局經由の電話度數は非常に多いのであります。
 第五といたしましては、大藏當局においては、佐野市を中心とする産業事情を認められ、本年八月一日より新たに佐野税務署を開設されたのであります。
 第六といたしましては、司法當局においても市内各種事情を考慮せられまして、近く簡易裁判所開設の用意をもたれ、また栃木縣においては、佐野織物の現在及び將來に對處して、縣立工業試驗場設置の準備まで整えておるのであります。
 第七といたしましては、佐野局電話加入者は現在六百三十名にして、將來の趨勢は、佐野市竝び同地方の過去及び現在に鑑みまして、局舎完成と同時に、相當多數の加入者が豫想せられ、それはますます増大の一途をたどるのみであると思うのであります。
 以上各項御考慮の上、速やかに請願の意を聽許せられんことを切望する次第であります。
#6
○岡田委員長 本請願に關する政府側の説明を聽取いたします。
#7
○椎熊政府委員 ただいま御紹介願いました請願の趣旨はよく了承いたしました。現在の局舎が非常に古くなつて狹隘であるということは私どもも認めております。そしてなるべく早い機會に新築しなければなりぬという必要も十分認めているのであります。かつ將來の發展に伴う加入者の増加等から見て、共電式交換が適當であるということも認めているのでございますが、何分にも豫算資材等の關係によつて本年度これを實施するということは困難であるように思います。よつて來年度以降において速やかに實施したい、こういうことで鋭意努力したいと思います。なお度數料金制度については、加入者の數及び利用状況から見て、目下のところこれを實施していいとは思われません。參考までに申し上げますが、度數料金制度を實施しているのは加入者が千名乃至千五百名以上ある所であります。ただいま御説明の中にありましたように、佐野は現在におきましては加入者六百名餘りでありまして、度數料金制度を實施するのには適當でないと存じております。以上お答え申し上げます。
#8
○岡田委員長 本件について御質疑はありませんか、では次に移ります。
    ―――――――――――――
#9
○岡田委員長 この際委員諸君にお諮りいたします。林百郎委員から、遞信從業員の集團缺勤問題に關する官側の事後の處置について緊急質問の通告がきております。本日は議案が相當山積しておりますので、時間の關係上約十五分くらいの制限においてこれを許したいと思います。いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○椎熊政府委員 質問の内容等について先ほど連絡がございましたので、本省と連絡をとつて材料を取寄せているのでございますから、もししばらくお待ち願つて、他に議案がございましたら、その方を先にしていただけば都合がよいと思います。
#11
○岡田委員長 では御異議がございませんのでこれを許すことにいたしますが、今の政府の御希望によりまして、大臣の出席するまでにお待ち願います。
    ―――――――――――――
#12
○岡田委員長 この際委員諸君にお諮りいたします。海野三朗委員から、郵便物の配達遲延に關して緊急質問の申出があります。これも林君の緊急質問同様、きわめて短時間に制限いたしますが、いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○岡田委員長 では海野君の緊急質問を許すことにいたします。海野三朗君。
#14
○海野委員 電報の配達は昨今非常に面目を改められたように感ずるのでありますが、なお東京都内におきまして、議院から發送されました速達が六日間を要して手にはいる。また熱海から出したところの手紙が實に十三日にして手にはいるというようなことでありまして、まことに困りぬいておるのであります。これでは仕事にならないのでありますが、これに對しまして御當局にお氣づきになつておるのでありましようが、またそれに對してすでに方策を講じておいでになるのでありましようか、お伺いをいたしたいと存じます。なおただいまのその速達は檢閲を受けていない速達であります。また熱海その他の方面からきました郵便物も檢閲を經ていないのであります。郵便物が十三日も、あるいは速達が東京都内において六日間も要しておる状態であります。
#15
○小笠原政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げたいと存じます。ただいま御指摘になりました具體的の事例に對しましては、遞信省といたしましてまことに申譯ない次第であると存ずるのでございます。郵便の速度復舊に關しましては、私どもといたしましてもあらゆる方法を考えまして、取集めから遞送、配達に至る各段階につきまして戰前のように復舊することを目標といたしまして、物的、人的兩面にわたりまして努力いたしておる次第でございます。東京都内における速達の速度につきましては、先般本省におきまして試驗通信をいたしました結果ら見ますると、檢閲にかからないものは大體二日程度で配達になるはずなのでございまして、熱海方面はもとより多少それ以上の日數を要するかもしれませんが、試驗通信の實績は必ずしも悪くなかつたのでございます。しかしながらただいま御指摘になりましたような事態がときどき若干發生いたしますことはまことに遺憾な次第でありまして、おそらくこういうものはいわゆる郵便物の區分の間違い、すなわち現在は比較的年少の從業員が多数おります關係上、住々にして經驗の程度において必ずしも十分でない者も中にはおります。さような場合にまれに區分を誤りまして、まつたくとんでもない方向に郵便物を一遍送り、それがあらためて送り返されて、正當の名あてに配達されるという場合もございますので、あるいはそういう場合であつたかも存じませんが、いずれにいたしましても、さような誤りがありますことは郵便物の正確かつ迅速な送達上はなはだ遺憾でございます。今後さらに十分注意いたしたいと存じます。
#16
○海野委員 どうぞお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#17
○岡田委員長 引續き請願の審査を續行いたします。
 日程第三、特定郵便局制度存續の請願外二件、明禮輝三郎君外八名紹介、紹介議員の説明を求めます。明禮輝三郎君。
#18
○明禮輝三郎君 特定郵便局制度存續の請願というのは、もうたくさん出ておるようでありまして、先日他の請願におきまして私ども申し上げ、かつ政府の御答辯もあつた次第でありまするから、ここにいろいろと申し上げる必要がないと存じます。どうぞ他に出ておりますると同じ意味におきまして、特定郵便局制度の存續をお願いする次第であります。これだけ申し上げます。
#19
○岡田委員長 紹介者は政府の説明を求められておりませんが、何かお話があればこの際お願いいたします。
#20
○椎熊政府委員 御趣旨はよく了承いたしました。目下のところ遞信省といたしましては、特定郵便局制度を廢止するというような考え方はもつておりません。
#21
○岡田委員長 爾餘の請願につきましては、紹介議員がお見えになつておりませんので、これを後日に延期いたします。
    ―――――――――――――
#22
○岡田委員長 次に移ります。遞信從業員集團缺勤に關する官側の事後の措置について林百郎委員の緊急質問を許します。
#23
○林(百)委員 實は前囘の本委員會におきまして、遞信從業員の集團缺勤の問題については私も相當つつこんだ質問をし、三木遞信大臣初め椎熊次官も大分お氣が立つたような様子だつたのでありますが、實は私も何も好んで衝突する意思はないのでして、私の家は先祖代々五十年にわたつて實は遞信事業に努力しておりますので、できるなら日本の國の遞信事業が圓滑に、しかも一般公衆の滿足のいくように運行されるということを願つておるのであります。そのためにはやはり從業員の生活問題というものを眞劍に考えてやらないと、官側のすることも圓滑にいかないということがあると思います。本委員會ではそうした從業員の側の要望を反映する委員も從來比較的少なかつたのでありますので、私が實は代表して先日質問した次第であります。その後實は六日の毎日新聞を見ますと、今度は閣内において三木遞信大臣竝びに米窪勞働大臣が大分がんばつておられるようであつて、その點については實に陰ながら敬意を表しておる次第であります。そこで本日は、その後集團缺勤の問題について新聞紙上などによつても、まだ事態の完全なる處理が行われていないようであり、いろいろ大衆から關心をもたれるような事案があつたものですから、その點を三つほど、時間も十五分という制限がありますので、簡單に質問してみたいと思うのであります。
 まず第一には、集團缺勤者に對して給料を不拂いするという官側の聲明らしいのであります。これは勞働關係調整法を讀んでみましても、一應勞働委員會の承諾を得た場合には勞働組合側の勞働爭議に對して不利益な處置をしてもよいけれども、勞働委員會の承知しない限りは正當、不正當いかんにかかわらず、爭議行為をしたということを理由にして、組合員に對して不利な處置をしてはならないという規定が、勞働關係調整法の四十條にあるのであります。この規定があるにもかかわらず、このたびの集團缺勤行為についてこれを爭議行為とみなし、給料の一部不拂いをしたという事實を聞いておるのでありますが、この事實かあるかどうかということを質したいと思うのであります。實はお聞きするところによると、中央郵便局あたりでは、最初頭から小包課は七日、普通課は六日、特殊課は二日差引いてしまつて、それからあとになつて個々それぞれの人を調べてみて、理由がある場合にはまたそれを返してやるというふうなことをしておるらしいが、そこで事故の缺勤だとか、事由があつて休んでおる者に對しては、これは正當な理由があるとして給料はやつておつて、かえつて出てきておる物に對しては、その日怠業しておるから給料を拂わないというような現象が行われておるようであります。そうなりますと、この給料支拂いについての公正な處置を缺くようなきらいがあると思うのでありますが、その點は具體的にどういうようになつておるか。この問題は次に質問したいと思いますが、遂に中央郵便局從業員の警察への檢束の問題までも惹起しているのでありまして、これはよほど愼重に處置してもらいたいと思う。ただでさえ給料が安くて生活が苦しい。それが集團缺勤の一因にもなつているのであります。その際集團缺勤をしてからといつて、なお給料を七日分も六日分も差引くということになれば、從業員にとつた非常に致命的な打撃を與えることになると思うのでありまして、かえつて事態を悪化する挑發の原因にもなると思うのでありますから、この點を愼重な調査をしてもらいたいという希望から、質問をまずいたすわけであります。
#24
○三木國務大臣 給料差引きの問題については、愼重を期さなければならぬわけでありまして、今回も政府の警告書が十月の二十二日に出たわけであります。これが周知徹底を缺いておつて、給料不拂い等のことがあつた場合には、非常に氣毒だと思いまして、二十二日に警告書が出て、それから二十三日、二十四日と置いて、二十五日から缺勤者あるいは怠業者に對して給料差引きをする處置をとつた。だからその間三日間ばかり餘裕を置いたわけであります。給料の差引きの問題については、集團缺勤で實際に出勤をしてこない、あるいは怠業でいつものように仕事をしない、こういうときに給料を拂わないということは、社會の通念からいつても妥當であると思うのでありますが。これは政府はそういう社會の一般通念からいつたのではなくして、官吏俸給令によつているのであります。昭和二十一年十二月四日頼力第五百九十一號の改正によつている。その第七條ノ二に「同盟能業其ノ他の決議行為に因リ執務セザル人は日割計算ニ依リ俸給ヲ減ズ」とございまして、この同盟能業その他の爭議行爭中には、昭和二十二年一月三十日大藏省給與局長通牒に怠業がはいつているという解釋になつております。そこでこういう官吏俸給令によつて非常に氣の毒ではありますけれども、この法規に照らして處置をいたさなければならないわけで、このために東京中央郵便局においては、普通課と小包課に問題があつた。この普通課は十月の二十五日の集團缺勤者に對しまして、あるいは小包課は二十五日、二十六日、二十七日、これは集團缺勤のあつた日ですが、これに對して、給料を拂わない。その後普通課は十日二十七日、二十八日には皆出てまいつたのでありますが、怠業状態にあり、また小包課も二十九日、三十日は怠業下にある。そういうことなんで、この事實を官吏俸給令に照らして、井申し上げましたような日がこの官吏俸給令の對象になつたわけであります。しかしこの怠業につきましては、こちらの調査あるいは本人の申立等によつてこれを畫一的にしないで、できるだけそういうふうな調査、申立等によつて的確にその事實をつかんで處置をいたしたいと考えまして、一遍に給料を拂つておくことができないわけですから、とりあえず十月の二十五日から普通課は十月の三十日まで、小包課は三十一日までの間を引きまして、それから先ほど申し上げた方式によつて精算をする。すぐに小包課はその精算を終えて、從業員に金を渡しております。こういう處置をとつて――一應は精算ができなかつたために引きましたが、これをできるだけ早く精算をして、そして渡すという方法をとつておる次第であります。林君から、どういう根據によつたかという御質問でありましたが、官吏俸給令によるというお答えをいたします。
#25
○林(百)委員 どうも時間が制限されておるために十分討議もできないのでありますが、私の方は、勞働關係調整法によつて、「使用者は、この法律による勞働爭議の調整をなす場合において勞働者がなした發言又は勞働者が爭議行為をなしたことを理由として、その勞働者を解雇し、その他これに對し不利益な取扱をすることはできない。但し、勞働委員會の同意があつたときは、この限りでない。」この四十條の適用からして、これには特に正當とか何とかいう理由がない。爭議行為ということがある。總括的な爭議行為でありますから、やはりこれは勞働委員會の同意を得て、官側の處置が妥當であるという同意を得てからなすという解釋をしておるのであります。その點、これは見解の相違であるというならばやむ得をないが、勞働關係調整法の第四十條との關係を、愼重に考慮されたいということを希望として延べておく次第であります。
 その次に、質はこのことが問題になりまして、從業員側が非常に激昂しまして、十一月一日中央郵便局長竝びにちようどその際來合わせておつたところの東京遞信局の業務部長竝びに郵務課長あるいわ勞働課長というような方と、勞働員側との團體交渉中に、丸ノ中警察の武装警官が三十名ほど中央部郵局の中に待機しておりまして、遂に從業員側三名竝びに組合長一名が檢束をされたという事實が新聞紙に報道されておるのでありますが、これは遞信業務の上からいつて、實に遺憾な事態だと思うのであります。これについてはどういう事態であつたのか。また官側はの處置はどうであつたか。その後書類はすでに檢察廳に送られておるということであるが、一體檢察廳との關係はどういうことになつておるか。こういうことがきつかけとなつて、思わざるさらに大きな不祥事態を怠起する危險もあるのであります。速やかにこれは穏便裡に處置すべきものであるが、この事態がどうなつておるか報告を願いたいと思うのであります。
#26
○三木國務大臣 先ほどの勞調法四十條の解釋でありますが、行政處分とかいろいろ――俸給を差引くということは、あそこに言う處分というよりは、働かなかつた日の給料を差引くというので、これは俸給令によつておるのでありまして、勞調法に言う四十條の勞働委員會の同意というのは、行政處分その他の處分について同意を得なければならないのだ、こういう解釋をいたしておるわけであります。
 それから中央郵便局の檢束問題であります。林君もよく御存じのことと思いますが、十一月の一日にこの給料差引きのことが問題になりまして、組合員が中央郵便局の二階の事務室に集合しておるから、すぐ中央郵便局長に行つた説明されたいという強い申出があつて、同局長がしばらく待つてくれと言つたけれども、待つことができない。その間押問答の結果、結局午後一時四十五分に行くと答えて、相手も諒として退出したのであります。局長は會議をしておつて少し時間が遅れたのでありますが、また迎えが參りまして、二階の集合場所に來るのがいやならば、全員が局長室に押しかけてくると言つて詰め寄つたので、局長は同局の厚生課長あるいはその他の者を連れてその作業場へ出て行つたわけであります。ところが約二百名の組合員が局長を取巻きまして、強硬な交渉が始まつた、局長室に歸ろうといたしましても、なかなか歸してくれない。とうとう局長は失神状態に陥つたわけであります。ために相當な重態で、今日においても靜養をいたしておるという事態であります。こういう事態が起りましたので、丸ノ内警察署としても警戒のために警官が參つておることは事實であります。そうしてその後局長は倒れましたが、東京遞信局の郵務課長、勞務課長、あるいは業務部長等を相手にいたしまして、今申した多數の人々がずつと夜も引續いて――四時ごろから夜を過ぎて十二時半まで、やはりこれに對して強硬な交渉が續けられまして、その間歸ろうとしましたけれども歸してくれない、こういう事態で、その場の空氣というものが、おそらく警察の解釋としては、不法監禁の疑いをもつておるということであつたと思うのでありますが、林君が御指摘のように、二名の檢束者と、二名を參考人として、丸の内署に檢束をされたことは事實であります。その後この問題を重視して警察當局で取調中になつております。しかし檢束を受けまして者は、翌日釋放をされたのであります。ただいま取調中であります。こういう状態で、はなはだ遺憾でありますが、その場の空氣は、やはり團體交渉としての範囲を逸脱しておるような感が深くいたすのであります。
#27
○林(百)委員 私の方の調査によると、團體交渉中は、從業員の人たちは交渉室の外に待つていた。その待つておるのが―遞信局の官側の人たちは交渉がまだ適當な結論にいかない間に歸ろうとした。ところが狭い廊下でありますから、從業員がみな結果を心配して、そこに待機しておるのが、詰めかけているために、遂に官側の人たちが歸れなかつた。それを警察官が不法監禁だということで檢束したらしい。交渉している室の中へは別に從業員ははいつておらない。從業員は室の外の廊下に徹宵して、結果を心配して待つていたわけであつてこれは少しも不法監禁とか、暴行の意圖は從業員側に見られなかつたとわれわれの方は解釋しておるのであります。なお事態を十分に愼重に調査の上、適當な、この上いたずらに從業員側に刺激を與えるような處置のないように、努力されんことを希望しておく次第であります。
 なお中央郵便局長の病態の問題でありますが、もともと血壓の高い人であつて、この集團缺勤の問題について非常な心勞をしておつたために、遂に血壓が非常に高まつて、ふだんの病態からその場で倒れたらしいのであります。これは何も從業員側が威嚇したとか、脅迫したことではないということをわれわれは信じておるのでありますが、この點ももしふだんの病體から結果したのか、あるいはそのとき特殊な何か威嚇をしたのか、その點を御説明願つて次の問題にはいりたいと思います。
#28
○三木國務大臣 私は自然發生的にああいう失神状態に陥つたものでないと解釋している。その當時二百名の者が取巻いて、その場に起つた雰圍氣が影響を與えたものであるという解釋であります。
#29
○林(百)委員 その點は重大ですが、私は中央郵便局長に會つたことがある。非常に太つた方で、顔も赤ら顔でふだんそういう危險のあるからだをもつておつたと認められると思うが、どうか。むろん三木遞信大臣はそんなことは知らぬかもしれない。血壓が高く、あの心勞でもつて、ふだんの自分の本質からも原因しておるというのですが、それをわかる方があつたら答辯してもらいたい。一方的に從業員が團體交渉したから倒れたのだということになると重要な問題になる。ふだんそういう體質をもつていた人じやないか。これは重要な點ですから。―簡單で結構です。
#30
○三木國務大臣 そういう問題はお醫者にでも聽かなければわからぬのであります。しかし數日前にも會つたのですが、そういう自然發生的な徴候はなかつたと私は思います。私の方にもいろいろ詳細の調査があるのですが、讀み上げると時間がかかりますし、調査はある程度できているので、林委員にお貸ししてよく御調査くだされば、そのときいかなる雰圍氣のもとに局長が交渉を受けたかということがおわかりになるから、御調査をされんことを希望いたします。
#31
○林(百)委員 もう一點最後にお尋ねしたいと思いますが、十一月六日の毎日新聞に出ているのでありまして、三木遞信大臣が閣議で御奮闘なさつたような記事が出ております。われわれ蔭ながら大いに敬意を表しておるのでありますが、このときの模様をもし發表できますれば、發表していただきたい。新聞紙などにももちろん出ておりますが、大體どの程度のことが實現し得る見透しがあるのか。これは非常に微妙な問題でありますから、發表でき得る程度のことでよいと思います。二點ほど主張されておるようでありますが、一つとしては、千八百圓ベースを少し修正するのもやむを得ないのではないか。現在民間の企業の平均賃金は二千二百圓を上まわつておる。だからやはり官側の從業員に對しても千八百圓のべースの修正もやむを得ないじやないか。賃金の再調整を考慮したらどうかという御意見と、もう一つは應急對策として、越年の資金として一箇月分の補給金を支給する。勤勞所得税の基準控除額の引上げに伴い、七月分以降を返却する。それから三として、みそ、しようゆ、鹽、千魚、薪炭等、生活必需物資の物價を引下げて保障してやる。それから四として勞務加配米の範圍擴大を考慮するというようなことを主張されておるようであります。これに對しては和田安本長官その他經濟閣僚の方面から相當反對の意見もあつたようでありますが、全遞の中央勞働委員會に對する提訴の裁決の近いときでもありますし、官側のこうした努力が、將來どの程度結實する見込みがあるかというようなことを、發表し得る限度でいいですから發表していただきたい。
#32
○三木國務大臣 ただいま新聞紙を參照されていろいろ御申し述べになりましたが、それは政府が發表したものではない。新聞社がとつた記事でありまして、政府がそういう發表をしたのではないのであります。今日の段階で今御質問になつた點を申し上げることはできないのであります。
#33
○林(百)委員 そうすると、官公廰の勞働者に對する生活改善の遂について三木遞信大臣は努力されておると思いますが、何らかの曙光があるかどうかというような點だけでも結構だと思います。この際重要な問題ですから、もしそういう明るい見透しが考え得るなら、具體的なことは明言できないとしても、そういう曙光があるかどうかということだけで結構でございます。
#34
○三木國務大臣 いろいろそれには限度があると思いますが、何とか全官公の從業員の生活を改善したい。こういう見地から檢討をいたしております。
#35
○岡田委員長 本問題に關連いたしまして片岡港委員から二、三分間程度の質問通告が出ております。これを許すに異議がございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○岡田委員長 それではこれを許します。
#37
○片島委員 二、三分間これに關連して三つの點をお尋ねしたいと思います。全遞の中央地協の爭議については人によつていろいろと批判はあるのでありますが、一旦爭議が發生して以上は、これをなるたけ穏敏に濟まして、急速に通信復興をはかるということが非常に大切なことだと思うのであります。政府は近ごろいろいろやることが非常に手荒くなつてきたような感じがするのでありますが、この勸告が出ましてから賃金を出さないという勸告がありました。前の勸告が出ましてすぐに皆出てきまして、仕事をやつて能率も比較的上つておつた。ところがまた給料を拂わぬということを言つたものだから、それから新聞では山犬爭議と言つておりますが、出てきてもなかなか仕事の能率が上らないというようなことで、現在に至つておるのであります。實は私もやはり官吏をやつておつたのですが、上司が面目上非常にがんばるときでも、下の方ではなるたけやわらげて事を穏便に解決するということは必要であろうと思つておるのでありますが、政府できまつたことでも、遞信省で十分できぬ問題がある。遞信省できまつたことでも局長の裁量でできることもあるのでありまして、これは畫一的に、初めから何日分差引けというふうに指令を出されたのであるかどうか。これが第一點であります。
 それから局によつて、たとえば休暇日數の中にあてはめて穏便に濟ましている所があると私は聽いております。局によつてそういう裁量がされて、中郵はそれがされておらぬというようなことも承つておりますが、この點についてお伺いいたします。
 それから集團缺勤して故意に休んだ者と、善意の缺勤者というものとあると、さきに遞信大臣は言われましたが、この區別をどういうふうにして判定をされるのであるか。この三つだけを簡單でよろしゆうございますから御答辯を願います。
#38
○三木國務大臣 遞信大臣の自由裁量ということはそんなに餘地がないのです。俸給分によつておるものですから、集團缺勤には支拂わない、それから怠業に對しても給料を支拂わないという建前になつておるのでありますから、遞信大臣で自由な裁量のできる餘地は至つて少い。それで第三のお尋ねにも關連しますが、集團缺動の場合は、これは個々というよりか全部差引いて、怠業の場合には官側の調査、本人の申立等によつて、そういう事實のなかつた者からは怠業を引かない。こういう處置をとつているのでありまして、集團缺勤には一律に引く、怠業については個々の調査をするこういうことにしておるわけであります。爭議中の給料は構わないという建前はちやんと俸給令できまつているので、これはむしろ私は當然の處置と考えております。ただしかしその間、怠業の場合等においてはそれを一律的でなしに、個々の場合を調べて、それがまじめに働いた人に苛酷なことにならないような處置は、十分にとるように全遞の者に申し渡してあるわけであります。
#39
○片島委員 局によつて裁量されておるということを聞いております。ある局では休暇をもつており場合に、その休暇にあてはめて、それが足らなかつた部分だけ差引く。中郵だけがそれをやらせていないというふうに承つておりますが、こういう點はいかがですか。
#40
○三木國務大臣 私の受けておる報告は、今申したように集團缺勤に拂わない。怠業に對しては個々の場合を調査して拂うようにという指令を出しておるわけであります。その線に沿つて處理しておると思うのでありますが、今のお尋ねでは、場所によつて、自由裁量によつたところがあるのではないかというお話ですけれども、私はそういうことを現業局長に傳えて、その線に沿つて處理するようにということを言つてあるので、お話のような點があれば、調査してみたいと思うのであります。
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#41
○岡田委員長 次に移ります。これより去る十一月一日本委員會に付託になりました郵便法案、内閣提出、第八二號を議題といたします。當局より提案理由の説明を聽取いたします。遞信大臣三木武夫君。
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#42
○三木國務大臣 今囘郵便法の御審議を願うことになりましたので、こと機會に提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
 現行郵便法は、明治三十三年に制定せられ、その後經濟事情その他社會事情の變遷に伴いまして、料金、罰則その他の部分的改正がなされて今日に至つておりのでありまして、新憲法が施行せられました新事態のもとにおきましては、現行郵便法を廢止して、新たに新憲法の精神に即した郵便法を制定するのが適當と考えられますので、今囘この法律案を提出することとした次第であります。從いましてこの法律の制定の方針としましては、新憲法の精神に即せしめることを基本としたことはもちろんでありますが、郵便に關する基本法として、郵便に關するすべての基本的事項を規定して、業務運營に關する源泉たらしめるとともに、法文を今までのを改め章、節、にわかち、各條文の冒頭に見出しをつける等、法文の理解を容易ならしめるよう努めたのであります。
 この法案の要點の第一の點は、郵便法の目的を冒頭に掲げて法律制定の精神を明らかにしたことであります。
 第二の點は、郵便は通信の秘密が確保され、その役務がなるべく低廉な料金で、普遍的にかつ公平に提供されなければならないという事業の本質から國の行う事業でありますので、これを明らかにいたしますとともに、法令分野の關係から、從來官制その他の法令で定められておりましたところの郵便事業の管理者及びその郵便事業に關する具體的な職質もこの法律の中に規定をしたことであります。
    〔委員長退席、重井委員長代理著席〕
 第三の點は、國民の自由及び權利を尊重する新憲法の基本的精神に鑑みまして、國民の基本的權利を制限する規定は、原則としてこれをなくいたしまして、國民に義務を課することは、郵便事業遂行上必要缺くことができない場合に限り、かつその範圍は法律で具體的に規定することとしたことであります。すなわち現行郵便法で認められていますところの業務執行中の郵便遞送人等が、道路に障害があつて通行しがたい場合に、墻型または欄柵のない宅地田畑その他の場所を通行できる特權も從來はありました。事故に遭つた場合に他人に助けを求めることができる特權もあります。また通行錢を支拂わないで渡船を利用し、橋梁等を通行し、またはいつでも渡船を求めることができるような特權は、過去の實績に徴して郵便事業遂行上必要缺くべからざるものと認められませんので、これを廢止し、料金完納郵便物及び還付郵便物につき、一般的に受けとることを拒むことができなにこととした現行規定は、これも國民の自由を制限することになりますので、この法案においては、こういうことも廢止いたしました。受取義務を課する必要のある場合は、それぞれ當該關係法律で規定をしてもらうことにいたしました。また郵便官署の損害賠償に關する決定に對する民事訴訟の提起期間を、その決定の通知を受けた日から三箇月に制限した現行規定及び郵便の取扱いに關し無能力者が郵便官署に對してなした行為を、能力者のしたものとみなす現行規定は、このような民法の例外規定を官業にだけ認めることが新憲法下不適當でありますので、廢止することとしたのであります。他方運送營業者の郵便物運送義務は、郵便業務運行上絶對に必要でありますので、これを存置することとしましたが、その運送營業者の範圍については、國有鐵道、國營自動車、國營船舶の管理者をも含め、これを具體的に明らかにしますとともに、遞信大蔵が運送營業者に對し、郵便物の運送を要求できる場合の條件、運送義務の具體的な内容及び運送料の算定基準は、別の法律で定めることとしたのであります。
 第四の點は、國民は法の下に平等であらねばならないとする新憲法の精神に鑑みまして、從來郵便事業の圓滑な運行を保護するため設けられた規定でありましても、一部の國民に特別な法的利益を與える結果となりますものは、原則としてこれを廢止することとしたのであります。すなわち郵便事業のため使用中の個人所有の物件に關する規定であるところの、郵便專用の物件及び現に郵便の用に供する物件に對しては差押ができない規定、郵便專用の物件に對しては一切の賦課を免除する規定を廢止することとしたのであります。
 第五の點は、司法權の独立に關する憲法の精神に鑑みまして、郵便局長等が遞送中、または發送準備完了後の郵便物につき差押の執行を拒むことができる規定を廢止することとしたことであります。
 第六點は、郵便の取扱制度の規定についてでありまして、郵便が國の行う事業とせられ、かつ信書の送達については國の獨占するところでありますので、郵便の利用條件のいかんは國民に多大の利害關係がありますので、これらは原則としてこれを法律で規定し、手續的な事項その他輕易な事項に限つて省令の規定に讓ることとしたことであります。すなわち從來省令の規定に讓られていましたところの、小包郵便物の料金、特殊取扱料金その他の特別取扱料金、郵便禁制品、その他郵便として差出すことができない物の具體的内容、各種郵便物の要件、特殊取扱いの種類及び内容等を法定することといたしましたとともに、天災その他やむを得ない事由がある場合に、遞信大臣が郵便の利用を制限し、また郵便の業務の一部を停止することができる規定を郵便法に設けることとし、反面、郵便物の差出し及び配達に關する規定は郵便物の送達の手續的規定でありますので、從來法定せられておりました宛所配達の規定を含めて、これを省令で規定することとしたことが、そのおもなるものであります。
 第七の點は、郵便の取扱制度の内容についてでありまして、これにつきましては、原則として現行のものをそのまま維持することにしましたが、取扱いの實状に應じて、その一部を若干改正することにいたしました。そのおもなるものをあげると次の通りであります。
 第一に、現在第二種郵便物たる郵便はがきとして認められておりますところの封緘はがきは、その料金がその調製費を含めて、第一種書状の最引料金、すなわち一圓二十錢と同額とし、かつその取扱いも實際上第一種書状と同一にいたしておりますが、その調製費が非常に高くなりました現在にありましては――調製費は現在十三錢一厘でありますが、紙の公定價が値上げされる結果、三十錢程度となる見込みでありますが、調製費が高くなりましたので、調製費が、調製費料金の中に含まれている第二種たる郵便はがきとして認めることが適當でありませんので、これを第二種郵便はがきから削除し、從來のものとほぼ同一形式のものを、郵便料金に調製費を加えた額で賣りさばき、これを第一種書状として取扱うこととしました。
 第二に、現行小包郵便料金は、全國均一となつておりますために、同一市町村内等ごく近距離に發著するものについては適當でありませんので、遞信大臣は實情に應じて、その料金を半額程度まで低減した市内小包郵便制度を省令で定めることができることとしました。
 第三に、郵便利用者が損害賠償の請求その他郵便に關する權利を行使する場合に必要な經費は、利用者が負擔するのが一般の原則であり、適當と認められますので、郵便の利用者が無料郵便を差出し得る場合は、遞信官署の依頼によつて遞信官署にあてて差出す場合に限ることとし、從來認められておりました郵便に關する事故の申告、損害賠償の請求等に關する無料郵便を認めないことにしました。
 第四に、現行の價格表記制度は、その制度の内容がその名稱からすぐわからないうらみがあると認められますので、その名稱からただちにその制度の内容がわかるようにするために、これを保險扱いと改稱することにしました。
 第五に、現行法におきましては、遞信官署の取扱中にかかる郵便物に、郵便禁制品たる危險物がはいつていた場合でも、遞信官署の危險防止のためこれを棄却することができないことになつておりまして、郵便業務運行上遺憾な點がありますので、前述のような場合には、危險防止のため棄却その他の必要なる措置をとることができることとしました。
 第六に、現行の配達證明料は五圓でありますが、引受時刻證明料や内容證明料が十圓であるのに對しまして、その取扱手數から見て、これらと差別する理由がありませんので、それを十圓にすることとしましたとともに、昭和十五年以降取扱停止中でありました代金引換料を、他の特殊取扱料との權衡を考えて、これを十圓とすることにしました。
 第八の點は、罰則についてでありまして、罰金の金額を現下の物價事情に鑑みまして十倍に引上げることとしましたとともに、罰則の一部について若干の改正をすることにしました。
 第一に、郵便の獨占を亂す罪については、これを法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の從業員が、その法人もしくは人の業務に關して犯した場合には、行為者を罰するほか、その法人または人に對しても同様の罰金刑を科することにしました。
 第二に、郵便物の運送をしない罪については、前述の通り遞信大臣が運送營業者に對して、郵便物の運送を要求できる場合の條件、運送義務の具體的な内容等を別の法律に規定することといたしましたので、その法律制定の際、改めて規定することとし、一まづこの法案には關係の罰則を設けないことといたしました。なお右の關係からこの法案における運送營業者の郵便物運送義務に關する規定は、これに關する特別法が制定實施されるまで、これが實施を遲らせ、その間は現行法中の郵便物運送義務に關する規定及びこれに對する罰則の效力を特に存續させるような處置をとることにいたしました。
 第三に、遞信官署の取扱中にかかる信書の秘密を犯した罪は、現行方では親告罪となつておりますが、郵便事業の信用を確保する公益保護のため、これを親告罪としないことにしました。
 第四に、偽造、變造等の郵便切手類は、現行法では、裁判によつて没収する場合のほか、行改處分によつて官没することになつておりますが、新憲法の國民の私有財産を尊重する精神から見て、適當ではないと認められますので、行政處分により官没はこれを廢止することにしました。
 最後にこの法律の實施期日は、準備の關係を考慮しまして、これを明年の一月一日とすることにいたしました。もつとも第十條の運送營業者の郵便物運送義務に關する規定は、この規定實施上、必要な郵便物の運送に關する法律が準備の關係上、今國會に提出することができませんので、その實施期日は政令で定めることとし、その期日は、郵便物の運送に關する法律案を次の通常國會までに提出して、明年の四月一日までに實施しなければならないこととし、それまでの間は現行法の第三條、第四十二條及び鐵道船舶郵便法を適用することにしたのであります。
 以上簡單でございますが、郵便法案の提案の理由及び要旨を同説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに可決せられんことをお願いいたします。
    〔重井委員長代理退席、委員長着席〕
#43
○岡田委員長 では本法案に對する質疑に入ります。本日は相なるべく總括的の質問に入られたいと存じます。ではこれより質疑を許します。
#44
○千賀委員 個人の利益を認めて、いろいろ新法案につきましては、舊法案のしからざるところを改訂したという御意思は、まことにごもつともであります。しかしながら現今の山猫爭議のごときは、この新法令が實施されておるのではありませんけれども、將來ああいう種類の爭議が起りました際は、これによつて個人の受ける損害はだれが負據するのであろう。せんだつての爭議の際現場に行つてみますると、すでに山と積まれた小包の行襃の中には、中の食料品が醗酵いたしまして、もう熱を出しておるものもあるし、鼠が行嚢を食い破つて、中から栗その他の食料品を引きずり出して、至るところで散亂、狼藉をきわめておる。これはみな個人の深刻なる損害になつておるのであります。こういうようなものが、起つてきたときに――これは正當な手續によるあるいは爭議ではないのでありますが、將來ああした爭議が起つてきて、どこに責任があるかわからないというような、郵便を利用せんとする國民の上に起つた爭議は、どういう解決法をとられるのか、この點を伺います。
#45
○小笠原政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。郵便の關係におきましては、非常に多數のものを取扱う關係もありまして、また同時にこの法案の第一條にも書いてありますように、なるべく低廉な料金で取扱うというようなことにもなつております關係上、損害賠償に關しましては、一般り民法におけるところの原則には、必ずしもよらないことになつておるのであります。從つて現行郵便法においても同様なのでございますが、新して郵便法案においても、この第六章の損害賠償というところに、損害を賠償すべき場合を特に限定いたしておるのであります。この損害を賠償いたします場合は、六十九條に書いてございますが、「遞信大臣は、この法律又はこの法案に基く省令の規定に從つて差し出された郵便物が左の各號の一に該當する場合に限り、その損害を賠償する。」第一は「書留又は保險扱とした郵便物の全部若しくは一部を亡失し、又はき損したとき」、第二は「引換金を取り立てないで代金引換とした郵便物を交付したとき」、この場合のみに限定されておりますと同時に、その次の第六十九條の規定によりまして、「損害が差出人若しくは受取人の過失、當該郵便物の性質若しくは缺陷又は不可抗力に因り發生したものであるときは、遞信大臣は、前條の念定にかかわらず、その損害を賠償しない。」というようなことになつております。要するにこの規定によつて、特に認められております場合に限りまして、損害を賠償する。かようなことになる次第であります。
#46
○千賀委員 私の質問の場合がはつきりいたしませんが、そうすると山猫爭議のごときは不可抗力の中に入れられて、あの數萬個の小包の内容が、ほとんど利用し能わざるような損害を受けておるものが、あつさりとそれで片づくものでありますか、いかがでありますか。
#47
○重井委員 ただいま千賀委員から山猫爭議山猫爭議という言葉がありますが、これは千賀委員と御相談ですが、そういう言葉を使うことは、從業員諸君をたいへん刺激するようになりはせぬかと考えます。實は山猫爭議ということは、現在政府がこれを言つたかのごとく申しておる人もありますが、どこから出た言葉であるかわかりませんけれども、たいへん刺激する言葉と思いますので、できれば取消をお願いしたいと思います。
#48
○千賀委員 一身上の辯明をいたします。山猫爭議と私が言いますのは、正規な手續によつて起つており爭議でない。どこに責任があるかわからないというような爭議を、總稱して言つたつもりであります。これは現在のものと、私の質問の根本的な理念と、混線はいたしておりますが、ほかによい言葉があればもちろんかえてもいいのであります。私はよい言葉を政府委員に教えてもらえば、そういう言葉に言いかえてもよいので、もちろん山猫爭議を固執するものではありません。はつきり正規の手續で起つていない爭議、責任がどこにあるか、まだ檢討され、究められておらないような爭議、こういうようなものの起つた場合を指して言つておるのであります。
#49
○小笠原政府委員 ただいま御質問の具體的の場合について、實は直接御答辯できればはなはだよろしいわけでございますが、まだその點について詳しく法律的に檢討いたしておりません。ただ法律上正當の行為として行われました場合には、やむを得ないのでないかと思いますが、なおこの點はよく研究しました上で、あらためてお答えすることをお許し願いたいと思います。
#50
○千賀委員 そこで現在理由であるとか、責任であるとかいうことは別として、實際小包の中の食料品はどんどん腐つて、數萬箇の小包の中に内容が、ほとんど價値の上から言つてゼロに歸しつつあるのでありまして、まず現在は舊法律によつてこれは檢討できましようけれども、その個人の權利を非常に深刻に認められておる新しいこの法案においては、こういう場合にどういう解決をつけられるか。郵便に品物を委託している人々の損害はどういう解決がついていくのか、その點を伺います。
#51
○小笠原政府委員 法律上正當の行為として行われます場合におきましては、國といたしまして直接損害賠償することにはならないと考えます。しかしその具體的の場合がはたして法律上正當な行為であるか、あるいは違法な行為であるか。これは非常に問題になりますので、その一つ一つの場合に應じまして檢討して、判斷されるべきことであると存じます。
#52
○片島委員 ただいまの千賀委員のおつしやられたことに關連しておるのでありますが、非合法の場合について今千賀委員は言われましたけれども、しかし、かりに合法的に、たとえば罷業權を獲得してある郵便局だけがここで何時間かのストライキをやるというようなことも、今の法律上認められておるのであります。その場合においては、政府はこれに對して責任を負うべきであるか、あるいはそういうことは絶對に起らない。あるいは起せないという考えにおいて、そういうことを顧慮しておられないのか、これは現在全遞の方でも方々で爭議が頻發しておるようであります。この點についての御見解をお聽かせ願いたい。
#53
○小笠原政府委員 この問題は非常に重要な問題でございますので、よく研究しました上で、この次の會議のときにお答えすることをお許し願いたいと思います。
#54
○林(百)委員 この遞信勞働協約の第三條の第一項の第二號によりますると、法令、職制その他重要規則等の制定、改發に關する件は、すべて從業員側との協議會にかけてこれを決定するということが勞働協約にうたつてあるのでありますが、この郵便法案の制定に關しても、官側ではその處置をとつたかどうか、お聽きしたいと思います。
#55
○山戸政府委員 この法案を制定するにあたりまして、一應協議會の意見を聽いております。
#56
○林(百)委員 この今われわれの手もとにある最終の案ですね。これは協議會に見せてやはり決定したものですか。
#57
○山戸政府委員 その案については見せておりません。
#58
○林(百)委員 そうすると將來これについてはやはり經營協議會にかけて、從業員側の意見もこの中に入れる意思があるかどうか、この法案につきましては、私といたしましては公聽會をも聞きたいという考えを――これは個人的の希望ですが、もつております。この場合に一應官側のとつた處置についてお聽きしたい。將來これを經營協議會にかけて、從業員側の意思をここにくみ入れる御意思があるかどうかということです。
#59
○小笠原政府委員 この法律案の立案につきましては、ただいま山戸政府委員からお答えいたしましたように、一應官といたしまして成案を得た上で、全遞との經營協議會に提出いたしまして、全遞側の意見も取入れまして一部修正いたしまして、政府といたしましての最後の決定をいたした次第であります。
#60
○林(百)委員 最後の仕上げをする、それについては別に經營協議會にかけていないようですが、その點に手續の遣漏があつたのではないかと思うのです。これをつくるまでには相談をいたし、最後にこうしたことについては經營協議會にかけていないと思いますが、それについて將來どういう考えをもつておられますか。
#61
○三木國務大臣 林君の言われておることは、勞働協約等によつて、できるだけこういう法律案に對しては、從業員側の意見も取入れろということであろうと思うのでありますが、その後いろいろの變更が起るわけであります。法律案をつくるのに、この今ここに出したこのままのものをかけたかどうか。それはこのままのものはそこまでやつていないかもしれませんが、これをつくるまでには從業員側の意見を聽取したと言つておるのでありますから、その程度であなたの言われておる勞働協約の精神に即應しておる。結局この法律案をきめるのは國會でありますから、こういうことで勞働協約の精神を尊重しておるという考え方であります。
#62
○白井委員 この郵便法案の提出にあたりまして、本案を迅速かつ積極的に審議を進行しなければならぬという必要は重々認めておりますが、本日大臣からこの要綱についての御説明を聽取いたしたのみをもつて、ただちに質問應答にはいりましても、以上申し上げた私の趣旨に副うかどうか疑問と思われるのであります。そんな觀點からいたしまして、本案の質疑應答については、あらためて十分お願いすることにしたいと私どもは希望いたします。お諮り願います。
#63
○片島委員 本案の概要について大臣から先ほど説明があつたのでありますが、これは百箇條に近い厖大な法律案でありまして、また國民大衆に對し非常に利害關係をもつた法律案であります。從つて政府委員の方から詳細に、内容的に、具體的にもう一囘説明を承つて、そして委員の方においてもその間に勉強をして、始めたならば毎日連續してでも委員會を開催するように、一つ希望を申し上げておきます。
#64
○岡田委員長 ただいま白井委員からの御提案と片島委員の御提案、意味はお聽きの通りであります。いかが取計らいますか。
#65
○林(百)委員 次會から兩方とも併せて、やはり逐條的に政府委員の説明を聽いて、それに對してわれわれが質疑をするというような方法で進めていつたらどうかと思います。一括して百條全部説明を聽いても、終りの方を聽くころには、初めの方は忘れてしまいますから、一條ごとに説明を聽きながらやつていきたい。今日は一應大臣の總括的の説明を聽いただけに止めて、この次からそういう方法によつてやつていただきたいと思います。
#66
○梶川委員 逐條ごとに説明という今林委員からの話がありましたが、逐條的というのは要綱をのみこんだ上の話で、要綱をのむかのまぬか決定しない先に、この厖大なる法案を初めから逐條的にやつても意味をなさないと思います。從つて第一には總括的にやはり要綱に對する質疑を行い、これをのんだ後において、逐條的に審議を續けられんことを望みます。
#67
○林(百)委員 それはどちらも大したことではないのですか、やはり一條ごとに審議していけば最後に結論が出てくると思います。ですから最初は白紙の態度で一條ごとに審議していく、一條ごとに審議していくということは全部のんだということにはならないのですから、そういう方向にいつた方がよいと思います。これは私の意見ですが、一條ごとにやるということは大綱を全部のんでやるということではなくて、大綱をのむかのまないかは逐條審議していつて最後の結論として出てくると思います。そういう意味であります。
#68
○千賀委員 われわれも梶川委員から出ました方法によりたいと思います。豫算審議の形式から申しましても、全體の説明を聽き、全體の構念の上において一應これに審議を加え、さらに逐條審議を加えていくということが當然であり、慣例であり、またわれわれはそれが一番よいと信じております。社會黨の案の贊成の意を表します。
#69
○岡田委員長 この際お諮りいたします。ただいま遞信大臣から總括的な御説明を聽いたのでありますが、本法案は第一章から第七章竝びに附則ということになつております。あるいは考え方によりますと、章ごとに説明を求めまして、そうして章ごとに質疑應答を續けまして、逐次進めていくということも考えられると思うのでありますが、本委員會散會後に理事會を開くことになつておりますので、理事會で協議をいたしまして決定をするということに御一任を願つたらいかがでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○岡田委員長 ではその通り決します。
本日はこの程度にいたしまして次會は公報をもつて御通知申し上げます。本日はこれにて散會いたします。
   午後三時十三分散會
ソース: 国立国会図書館
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