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1948/11/12 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第3号
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1948/11/12 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第3号

#1
第003回国会 労働委員会 第3号
昭和二十三年十一月十二日(金曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 綱島 正興君
   理事 尾崎 末吉君 理事 山下 榮二君
   理事 川崎 秀二君 理事 中原 健次君
      東  舜英君    倉石 忠雄君
      辻井民之助君    安平 鹿一君
      山花 秀雄君    秋田 大助君
      中曽根康弘君    大島 多藏君
      木下  榮君    赤松 明勅君
      田中 久雄君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        労働政務次官  鈴木 正文君
 委員外の出席者
        専  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
十一月十一日
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第一三号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 連合審査会開会に関する件
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第一三号)
    ―――――――――――――
#2
○綱島委員長 それでは会議を開きます。
 公共企業体労働関係法案を議題にいたします。審査に入るに先だつて、まず政府側より提案理由の説明を求めます。
#3
○増田國務大臣 ただいま議題となりました公共企業体労働関係法案につきまして、その提案理由と大体の構成について御説明申し上げます。
 まず提案理由の第一といたしましては、七月二十二日付をもちまして、マッカーサ―元帥より当時の芦田内閣総理大臣に対して、國家公務員法の改正に関する書簡の参りましたことは、すでに御承知の通りでありますが、この書簡におきまして、現在特別会計によつて行われている鉄道事業及び專賣事業については、公共企業体への組織がえが示唆され、種々研究の結果、今次國会に、別に日本國有鉄道法案及び日本專賣公社法案が提出されたのであります。この二つの法案によりますと、これら公共企業体の職員には、國家公務員法が適用されないことになるのであります。このため公共企業体の職員は、当然國家公務員法の改正法案が成立いたしました後においても、労働組合法及び労働関係調整法が適用されることになります。しかしながら公共企業体は、一つの企業体ではありますが、その特異性にかんがみ、完全國有の法人として、國家の厳重な管理と監督のもとに運営されることになつておりまして、一般民間の企業、またはある程度の國家の管理を受けている企業とは、その性格を異にするものでありまして、マッカーサー元帥の書簡にありますように、職員の責任の途行を怠ることによつて、公共企業体の業務運営に支障を起こすことのなきよう、公共の利益を擁護する方法が確立されなければなりません。この光め公共企業体の職員の労働組合及び労働関係については、労働組合法及び労働関係調整法の規定いたしますもののみにては不十分と考えられますりで、これに対処する必要な措置を講ずるため、この法案を提出いたした次第であります。
 第二の理由といたしましては、公共企業体の労働関係は、第一に述べましたような公共企業体の性格から、共通の特異性を持つものでありますので、日本國有鉄道と日本專賣公社とに、別個の労働関係に関する法制的措置を講じますことは適当でなく、かつまた公共企業体の労働関係を統一的に把握する見地よりしまして、不適当であると考えられますので、との法案によりますように統一的取扱いをいたすよういたしました。
 第三の理由といたしましては、公共企業体の職員には、團体交渉権は、労働組合法の定めるところにはり完全に保有するのでありますが、これが行使の方法につきまして、従来一般組合においては、ややもすれば混乱を生じ、無用に労働紛争議を生せしめている傾向があります。しかしながらかかる混乱はつとめて排除されることは望ましいことでありますが、ことに公共企業体においては、これら無用な紛争議を極力排除することにより、正常な團体交渉を保障し、これによつて職員の地位の維持向上をはかることによつて、公共企業体の能率発揮と、正常な運営を確保しようとする法制的措置を必要としたことであります。
 第四の理由といたしましては、公共企業体の職員には、國家公務員に認められるその地位に関する特別の保障がありませんから、これにかえて完全な團体交渉と、適正迅速な調停と、巌正なる仲裁との制度を確立することにより、職員の生活の安定を保障する必要があるのでありまして、これに関する法制酌措置を議するを必要としたことであります。
 なおこの点に関しましては、御承知のように先ほど申しましたマッカーサー元帥の書籍におきましても、かかる仲裁、調停の制度が設けられることが示唆されております。以上はこの法案を提出いたしました理由でありますが、続いて法案の大体の構成についで御説明いたします。
 第一章の冒頭におきまして、この法案の目的が公共企業体の職員の苦情と紛爭とを友好的かつ平和的に調整するため、国体交渉の慣行と手続とを確立いたしますことにより、公共企業体の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進することにあることを規定いたしまして、立法の趣旨を明らかにいたし、さらに関係者が公共企業体の重要性にかんがみ、紛争をできるだけ防止し、主張の不一致を友好的に調整するために一最大限の努力を盡すべきことを義務づけでいる次第であります。
 第二章におきましては、職員の組合の民主性、自立性を保障するための規定を設けますとともに、公共企業体の廣く國民に開放されるべき性質より、オープンショップ制を規定し、さらに公共企業体の運営を正常に確保する必要上、職員の組合に加入し得ない者の範囲を明らかにしておるのであります。しかしなみら一方においては、職員の組合が健全に発達いたしますことは、民主主義の発達にきわめて望ましいことでありますから、職員が組合員であること、組合の正当な行為をしたことを理由にして、いかなる差別待遇も受けないこととし、万一かかる差別待遇がなされましたとぎは、仲裁委員会の命令により、かかる行為の取消を命ぜられることにいたしまして、労働組合法第十一條違反処理に伴う欠点を是正いたし、職員の組合の健全なる自主的発達に、法上の保護を與えております。
 第三章は、團体交渉の手続に関するものでありまして、この法案におきましてはなはだ重要な部門であります。まず第八條において、團体交渉の範囲を明確にしたし、團体交渉の対象から公共企業体の管理及び運営に関する事項を除き、さらに同條第二項においてその範囲を明示して、労働條件に直接あるいは密接に関連あるものに限り、團体交渉が行い得ることとして、この交渉範囲をめぐつて生ずる無用の混乱を避けております。
 第九條より第十四條におきましては、團体交渉が、公共企業体を代表する交渉委員と、職員を代表する交渉委員によつてのみ行われ、しかも交渉委員は国体交渉を行うに適当な、あらかじめ定められた單位ごとに設けられることを規定いたし、国体交渉の統制ある慣行を確立しよ方としております。これらの單位または交渉委員は、公共企業体または職員の自主的決定にまつのでありますが、これがいろいろな事情によりまして、企業体または職員がみずからでは決定し得ないときは、労働省において当事者の意向、特に職員の意向を十分に尊重して、単位については労働大臣みずからが、職員の交渉委員については、労働大臣の定めた手続に從つて、職員自身によつで決定されるよう、措置いたして、つとめて自主的に決定されることを建前としております。しかし以上の点につきましては、労働組合運動の発達において日の浅いわが國におきまして、いまだ慣行的に確立されたものはないのでありますから、多少実施上困難があるかと思います。しかしながら、組合が一つの企業体に二つ以上存在します場合、往々にして、組合相互におきまして、團体交渉について争いを生じ、このため職員に無用の紛糾を引起すことも、アメリカ等におきまして従来経験されているところであり、わが國におきましても、最近においてはこのおそれもあるわけでありまして、この第三章で規定しますような手続により、これらの無用の混乱を防ぎ、よき慣行を確立することにより、團体交渉の円滑な、かつ正常な発達を願いこの点からの労働関係の不安を除きたいと存じております。團体交渉に関しましては、これが公共企業体の職員に対する重要性にかんがみ、特に第十五條において、毎年一回は基礎的労働條件の確定のため團体交渉が行われ、これにより労働協約を締結することを特に法律上の必要事といたしております。しかしながら公共企業体の予算経理については、國会及び政府の厳重な監督下にあることが予定されますので、これに関連して國会の所要の措置がとられるまで、労働協約の効力の発生を停止するの規定を第十六條に規定いたしております。
 第四章におきまして、職員の爭議行為を禁止いたすことにいたしておりまが、これは公共企業体が完全國有法人でありますので、これに対して爭議行為を行いますことは、ひいては國家に対し脅威を及ぼすことになり、さらに公共企業体が、再建途上の國家経済と國民の福祉に占める重要性にかんがみまして、これが業務の運営の停廃いは、寸時といえども許されません。かかる事情よりして、やむを得ず争議行為禁止の措置を講ぜざるを得なかつたしのでありますが、しかしこの反面におきましてはう團体交渉の完全なる方法と、公正な調停及び仲裁機関の迅速的確なる活動により、職員の地位の向上については十分なる保障がなされることになつております。
 第五章におきましては、苦情及び紛爭の調整と、調停の方法とその機関を設け、苦情処理の適正なる解決のため苦情処理共同調整会議を公共企業体の交渉單位に設けしめ、職員の日常の不平を迅速に解決して行くことにし、これによつてなお解決しないむのは、調停委員会の調停にまつことといたしております。調停委員会は、日本國有鉄道及び日本專賣公社ごとに別個た設け、中央及び所要の地域に設けるごとにいたしておりますのは、この二つの企業体の業種会相違にかんがみて、別個にいたしおる次第であります。この調停委員会は三名で構成され、その中の二名は企業体と職員との推薦する者から選び、他の一名は、この二名の選ぶ者を充てることにいたしておりますが、これは調停に当る委員に、関係当事者の意向をよく理解し得る者を得ることにより、苦情及び紛争の解決を迅速にするためであります。調停の開始のうち、強制調停が労働、運輸大藏の各大臣によりなされることになつておりますが、これは労働関係に関する統一的行政運営の上からは、まことに異例でありますが、公共企業体と特に密接なる監督大臣との関係から、かかる方法をやむを得ずとり、これにより公共企業体の紛争を迅速に解決する必要があると考えられたためであります。
 第六章におきまして、仲裁に関する方法、機関を設けておりますが、労働紛争議に占める仲裁の制度は、まことに重大でありまして、これが運用は、特に慎重かつ的確でなければならないものと信ずるのであります。特に本章におきましては、強制仲裁の制度が設けられているのでありまして、事はさらに重大であろうと考えます。このため公共企業体の仲裁委員会には、事務に練達にしてかつ公正な人を得なくてはならぬと存じますので、これが人選は、特に労働関係について経験が深く、かつ中正なる立場にある中央労働委員会と船員中央労働委員会の会長の選択する人々を、委員の候補者とすることにいたし、以上の必要に感じ得るものと考えております。しかも仲裁も調停のごとく、これを実行して行く上に関係当事者の意向をくみ得る人であることがまた必要でありますので、関係当事者に中労委と船員中労委の会長の選んだ委員候補者の中から、相互に協議して三名の委員候補者を決定して、内閣総理大臣に届け出しめることにいたしております。しかしこの関係当事者の協議が三十日以内にととのいませんときは、仲裁委員の、調停委員いわゆる強制仲裁であります。労働関係の調整は、自主的になされることの望ましいことは、労働関係法規の基本的会の委員とは異なる性格から見て、中労委及び船員中労委の会長が、みずから三名の委員候補者を選び、内閣総理大臣に届け出、これに基いて委員の委嘱がなされることになつております。かくのごとくして選ばれた仲裁委員会の委員は、どこまでも嚴正中立でなければなりませんので、一方に偏することのないよう、一定の欠格條件を定め、さらに、事務遂行に支障なからしめるため、一定の罷免條件を付しております。
 次に仲裁の開始のうち特に重要なるものは三点であります。その第一点は、調停にかかりまして調停委員会が事案を審査いたしまして、調停については解決困難と認められるもの、またはその他の理由で至急仲裁を要すると判断される事案は、その調停委員会の決議により仲裁に付することにいたしたこと。第二点は、調停が開始されてから二箇月経過してもなお解決し得ない事案は、自動的に仲裁に付されることといたしたこと。第三点は、労働、運輸、大蔵の各大臣から仲裁の請求がなされたとき仲裁が始まることであります。
 以上三点は、関係当事者の意思にかかわらずして事案が仲裁にかかる、いわゆる強制仲裁であります、労働関係の調整は、自主的になされることの望ましいことは、労働関係法規の基本的精神でありまして、強制仲裁のごときことはこの精神からはやや離れております。しかしながら爭議行為の実行を禁ぜられた労働者の地位をよく保善し、向上せしめますには、事案の解決が迅速になされなければならぬのであります。また、一方には労働関係の不安をいつまでも残しますことは、公共企業の正常な運営と能率の発揮の上から見まして重要でありますので、かかる強制仲裁の制度を設けざるを得ないのであります。しかしながら、強制仲裁の制度の運用快、よほど適正に行われなければ、重大な結果さえ惹起されることが予想されます。かかる理由よりいたしまして、この章に定められます仲裁に関する諸規定の運用は、まことに重大といわざるを得ません。
 以上この法案を提出するに至りました理由と、法案の構成の概略について説明いたした次第でありますが、この法案につきまして十分御審議の上、各位の御賛意を得て、その成立の得られますことをお願いいたす次第であります。
    ―――――――――――――
#4
○綱島委員長 法案の性質から見て、でき得る限りすみやかにでき得る限り妥当に御審議を願いたいと思うのでありますが、この際御審議にあたりますに先だちましてお諮りいたしますことがございます。ただいま本委員会にかかつております公共企業体労働関係法案につきまして、運輸委員会から連合審査会を申し込まれておりますが、連合審査を開始することについての御意見はいかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕〕
#5
○綱島委員長 それでは皆様御異議なきものと認めまして、承諾いたすことにいたします。
#6
○辻井委員 今初めて議案を拝見し、大臣からの説明も聞いたのでありますので、今後の審議の方法、ただいまの合同審査の問題も、ともに理事会に一任しまして、理事会で適当に決定するようにお願いしたいと思います。
#7
○綱島委員長 一應休憩いたしまして、ちよつと理事会を開きたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○綱島委員長 それでは暫時休憩いたします。
    午前十一時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時四十五分開議
#9
○綱島委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。
 次会は公報をもつてお知らせすることにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。
    午前十一時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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