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1948/11/26 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第9号
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1948/11/26 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第9号

#1
第003回国会 労働委員会 第9号
昭和二十三年十一月二十六日(金曜日)
    午前十一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 綱島 正興君
   理事 鹿崎 末吉君 理事 山花 秀雄君
   理事 中原 健次君
      倉石 忠雄君    亘  四郎君
      久保田鶴松君    辻井民之助君
      村尾 薩男君    安平 鹿一君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      中曽根康弘君    赤松 明勅君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        労働政務次官  鈴木 正文君
        労働事務官   賀來才二郎君
 委員外の出席者
        專  門  者 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
十一月二十五日
 土建労働者のため職業安定所直営浴場設置の請
 願(山花秀雄君紹介)(第五六八号)
 炭鉱労働者の賃金に関する請願(徳田球一君紹
 介)(第六三九号)
 失業保險法の一部を改正する請願(山花秀雄君
 紹介)(第五六九号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 労働基準法の運用に関する陳情書(東京実連協
 会長中野金次郎)(第三七五号)
 福岡縣労働会館建設助成の陳情書(福岡縣議会
 議長稻員稔)(第四二〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第一三号)
    ―――――――――――――
#2
○綱島委員長 ただいまより会議を開きます。
 前会に引続いて公共企業体労働関係法案を議題といたしまして質疑を継続いたします。なお今日は、労働大臣は人事委員会の方に出席いたしておりますが、労政局長、政務次官、その他が見えておりますから、どうぞ各條項にいて御質疑を願いたいと思います。
 ちよつと速記をやめて……。
    〔速記中止〕
#3
○綱島委員長 速記を始めてください。
#4
○辻井委員 これは本会議でも前委員会でもたびたび問題になつていることで、簡單にもう一度お尋ねしたいと思いますが、結局マ書簡によつて、一方的に公務員であるからというので、その基本的な人権を制限するだけではいけないのであつて、そのためには政府が公務員の福祉幸福のために十分な手段をはからなければならぬのであります。まつたく公務員の改正と給與は不可分のように確信しておりますし、また毎日――きのうも相当多数の全官公関係の組合の陳情を受けましたが、組合においても強くそれを要望しているわけなのです。この点を簡單でも結構ですから、もう一應どういうふうにお考えになるか、公務員法の改正だけを切り離して通して、あとは一束にして提案をしなくてもいいというふうにお燃えになつておるのか、これは簡單で結構ですから、もう一度承りたいと思います。
#5
○増田國務大臣 御説の点は私同感でありまして、理想としては、同時決定であるべきであると思つております。但しマ書簡がただちに同時決定を――あれは要求を含む勧告というふうにわれわれは法理的に解釈いたしております。あの書簡が、ただちに同時決定をわれわれに強く勧告されたというふうには思つていないのであります。言葉をここにさらに提示いたしますと、こう書いてあるのであります。「國家の公益を擁護するために政府職員に課せられた特別の制限があると云う事実は」これは今の公務員法のことでございますが、「政府に対し常に政府職員の福祉並びに利益のために十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わしめている。」、これは「常に」とありますから、何もこのときに限りません。將來といえども常に政府職員の福祉並びに自分の擁護については、特別の、かつ十分なる保護手段を講じなければならぬ義務がある。政府はいつも毎日々々、毎年々々そういう義務を負担している。こういうわけでありまして、この際制限があるから、同時決定しろというような文言は出ておりません。これは私も本会議で発言の機会でもあるならば、明白に申し上げたいと思つておりますが、私に対して発言の要求もないので、默つております。要するに接着して、引続いて、給與その他の労働條件の維持改善、福祉利益の擁護については、十分なる措置を講じなければならぬ義務があるとは思つております。しかし予算尊置はただちに具現し得ないという種々の政治條件にあることは、辻井さんも御了解くださつておると思うのでございます。もしこれを法理的に申しますと、こういうことになるのではないかと私は思つております。まず官吏の身分が安定されるというような前提ができ上つて、その前提にふさわしい給與、あるいは福祉、あるいは利益の擁護の手段が講ぜらるべきであるから、身分なりあるいは地位なりが、いかなるふうに決定されるか、これは皆さんが決定されるわけでありますが、その決定された官吏の法的状態、社会的状態、経済的状態というものを前提としてでなければ、ほんとうは予算措置その他は講じ得ない、こういうことも言い得るのではないかと私は思うのであります。もちろん接着して同時的にできればなお結構であります。接着して、引続いてやる必要はございますが、両方のものを二つ並べなければ、公務員法の審議ができないというような言い方は、いやしくも公務員制統を民主的にりつぱに打ち立てようという心持から見ますと、どうかと私は考えておる次第であります。
#6
○辻井委員 そこにわれわれの考えと、政府の考えとに、大きな食い違いができているように思うのです。私も今の大臣の御意見のように、同時決定とか、接着してやらなければならぬとは考えておりません。並行して行うて行けばよいと思う。しかし公務員の福祉とか、幸福とかいう政府の責任のうち、現在のこういう経済情勢のもとにおいて最も重要なものは、給與の問題であると思います。ところが給與の問題は、すでに六箇月ストツプされてしまつておる。「常に」どころではない、半箇年間ストツプされてしまつておる。それから公務員法の改正でありますが、これは公務員の立場からすれば、制度の上でいろいろの権利を認めるとか、あるいは公務員としての地位を擁護してやるとかいうようには、絶対に公務員は考えておりません。これは公務員法の改惡だと考えておる。われわれが見ても、確かに改惡であつて、一層制限が強化されるのである。初めて公務員法をつくのではなくて、すでにあるものを改惡するのだ。改惡される方は遠慮なくぐんぐん進めて行く。しかもそれは政府の責任である。常に並行して行かなくちやならぬ給與の方は、六箇月ストツプされてしまつておる。これはどうりくつをこじつけてみても、公務員法は労働行政、あるいは政策の上からいつて、決して正しい行き方じやない、官公吏、公務員を納得せしめる道ではないかと思う。この改正が行われたならば、現在の地位がよりよくなるのならよいが、制限が一層強化される。そればかりをあせつて、六箇月ストツプされておる給與つ方は、今なお、いつどうなるのかはつきりしないというようなわけでありますから、少くとも同じ臨時國会で行けなければ、通常國会において、公務員法も改正して制限を強化するが、給與の問題も、遅れても必ず同じ國会でやるのだという態度をとるのが、私は正しいのだと思う。必ずしも結びつけて一束にしてやる必要はないが、やはり並行して進めて行くべきであるにもかかわらず、ただ制限の方ばかりをあせつているという行き方は、私は間違いではないかと考えるのであります。もう一度その点をお伺いしたい。
#7
○増田國務大臣 御質問はよくわかるのでありますが、これが改惡であるか、改善であるかは、御意見の相違でございます。ただしかし公務員の特別の制限は、むしろ夫日の公務員法の改正によつてよくなつておるのであります。辻井さんの御心配の一番惡くなつた状態はいつかと申しますと、これは七月三十日のポツダム政令の出たときだと私は思う。あのときに法二條であらゆる行為を制限してしまつている。もし給與その他の勤労條件の維持改善の同時決定が、あなたのおつしやるように必要であるならば、あの違憲とも称されたところの――私は違憲とは思つておりませんが、あなたが與党であるときの内閣が出したものでございますが、その政令を出したときに、給與その他の勤労條件の改善をなさるべきものである。少くとも同時的でなくても、並行的になさるべきものであると私は思つておる次第なのです。七月三十日にできないのは、むりはないのでございましようが、八月中にでも、議会を召集されて、やられるという処置が講ぜらるべきはずのものでございましたと私は思つておりますが、何かそこには事情があつたでありましよう。当時私は野党でございますから與党なり政府の事情を付度する位置にはありませんがとにかくそういうふうにだんだん遅れて來ておる。予算措置というものはなかなかむずかしいものであります。今度の公務員制度が改正されれば、ある程度明確になり、またよくなると思うが、一時全然法二條で縛つてしまつたあのポツダム政令のときに、私は公務員の制限が一番強く置かれていたと思う。このときに、やはり福祉なり利益の擁護については、十分なる措置が並行的に御審議あるべきだというふうに――多少これは逆襲になるかもしれませんが、そういうふうに考えております。それができなかつたのも、與党なり政府に、予算措置がむずかしかつた御事情があるからであると、私は思つておる次第であります。とにかくポツダム政令が法二條だけですべての爭議行為なんかを禁止されておる。またあの法二條だけでは労働組合ができておるのか、できておらないのか、團体交渉権があるのか、ないのか――もつともないということになつておるのでございますが、今度はその点は、労働組合は公務員法の認める範囲においてできる。團体交渉もまた公務員法の認める範囲においてできる。こういうふうに明確化した次第でございまして、皆さんが御協賛くだされば、民主的にきまるせけであります。政府の出した政令によつて、有無を言わさず、ああいう制限が置かれたということと比べて、よほど進歩的になつておると私は考えておる次第であります。もしあれが非常に惡かつたならば、あなた方がああいう政令を出さないはずでございますが、やはりあなた方が反対を唱えつつも、あなた方の支持する政府が出された。こういう日本の置かれている特殊政治條件下においては、占領政策に協力することは当然のことであり、また日本の御主化のためにしかるべきことであるから、そういうふうになつたものと私は思つている次第であります。そこで給與が早く決定され、この予算措置を急ぐべきことは当然でございます。私どもはこの國会において出したというわけで、一生懸念審議もし、また関係筋に努力もいたしておつた次第でありますが、御承知の通り予算措置というものはなかなかうまく行きません。あなた方の政府において、三回にわたつて月割予算を出したのは、非常な怠慢であるというので、当時野党であるわれわれは責めましたが、これも日本の置かれている特殊政治條件下においては、相当にわれわれが理解しなければならぬ何かの條件があつたものと、私はひそかに思つておる次第でございます。そういうわけで公務員の給與や、全産業労働者の賃金を含む一般予算措置が、本格的に三月もできずに、七月八日にようやく決定された。こういうようなわけで、いろいろ遅れて來ております。その遅滯によつて生ずるいろいろな惡影響に苦しんでおりますが、とにかくそういうようなことは、日本の置かれている政治的條件下においては、一つの必然的な現象であるので、このことはどうかお互いに御了解願つて、この特殊政治條件下において、つかみ合いをしたところでいたし方がございませんし、與党も野党も協力して日本の復興を急ぎたいという、誠意と熱意とには燃えているはゑでございますし、われわれの痛いところは、あなた方の痛いところでもあつたわけでございますから、どうかその点御了解のもとに、ぜひ御協力を願いたいと思います。先輩辻井さんには特にその点の御考慮を懇請申し上げる次第であります。
#8
○辻井委員 もう私はこの程度で打切りたいと思いますが、今大臣が言われたように、政令を出す場合に、今われわれが主張しているような論理から行けば、前内閣で給與の問題も同時に決定すべきであつたというお言葉は、確かにその通りだと思います。それがいろいろの事情でできなかつたから、当時の芦田閣内では、本会議で予算委員長が述べましたように、三千七百円は一應予算の單價として認めたのであつて、新しい給與は第三臨時國会を開いて、そこで公務員法改正と同時に決定するということを約束して來た。それだけにわれわれは責任があるから、給與の問題をやかまして申すわけであります。これ以上は議論になると思いますから、ただ以上のわれわれの立場だけを申し上げまして、一應打切りたいと思つております。
#9
○久保田委員長 大藏大臣がお見えでないので、大藏大臣の所管に関係のある問題もあると思うのでありますが、労働大臣にお尋ねいたします。
 私のお尋ねいたしたい点は、憲法の二十八條では、「勤労者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利は、これを保障する。」ということになつておるのであります。そこで十七條の爭議行為の禁止でありますが、これは前の治安警察法第十七條と同じ意味を持つものでありまして、この十七條の條項は排除する、なくしてしまうということについての大臣のお考えを伺いたいのであります。
#10
○増田國務大臣 久保田さんの御質問にお答え申し上げます。この提案をいたしましたのは、マツカーサー書簡に基いてポツダム政令が出されたが、あれだけではあまりにひどい制限でありますから、今度は個々の公務員について、國家公務員だとか、あるいは地方公務員について妥当なる改正を行うというわけで、詳細数十箇條にわたつた改正案が提案されている次第でございます。これもやはりマツカーサー書簡にのつとつて出したものでありまして、公務員についてはその爭議権は許さるべきではない、こういう條項にのつとつた次第であります。
#11
○久保田委員 それでは團結権は罷業権、あるいは團体交渉権、この制限を加えられた公務員の立場にかんがみまして、特に優遇するための給與、その他追加予算を計上されるというような御意思はございませんか。
#12
○増田國務大臣 給與のことにつきましては、今非常に焦眉の急に迫られておる次第でございまして、十二月に税金を差引いて給與を渡すということになつているそうでありますから、そうしますと、平の月の三分の一くらいしか渡らない。しかも年を越すに最も金のいるときであります。普通の場合ですから特別給與のことが例年考慮されておる次第でございます。そういう意味もあり、また公務員制度の改正に伴つて、給與のことは底に考慮すべき義務を政府が義務づけられておりまするから、われわれは先ほど辻井さんにお答え申し上げました通り、今回開かれている國会に補正予算を提案いたしたい、こういう意図のもとに、一生懸命努力いたして参つた次第でございますが、まさに会期も旬日以内に迫つてしまつている状況でありまするから、この國会に出し得るやいなや、今や疑問とはなつて参りましたが、要するに國家公務員なり、あるいは地方公務員なり、教職員なりが、十二月の越年ができないということでは困りまするので、必ずできるように、予算措置を具現化するという立場で努力中であります。ぜひ困らせないで年を越していただくようにしたいと思つております。
#13
○久保田委員 なるべくでき得るようにという大臣のお言葉でありまするず、私なおそれにつけ加えてお尋ねいたしておきたいと思いまする点は、インフレの進行に適應するための処置といたしまして、四半期ごとに給與の改訂を檢討する方針を明らかにすることとともに、民主的な機関を設けてもらいたいと存ずるのであります。
#14
○増田國務大臣 久保田さんのおつしやることは、四半期ごとに給與を更改しろというのですか。
#15
○久保田委員 四半期ごとにその給與の改訂を檢討する方針です。そういう方針を明らかにする民主的な機関を設けてもらいたい。
#16
○増田國務大臣 お答えいたします。給與が適正であるかどうかということは、四半期に限らず、いつも檢討すべき義務がある次第でありまして、これにつきましては、そのために委員会をつくるということまでは、今のところわれわれは考慮しておりません。私は今國務大臣としてお答えしておる次第でありますが、人事院の專管事項となります。元來人事院というものが、非常な檢討の対象になつておるようでありますが、これは公務員の給與なり、あるいは任用なりについて、できるだけ民主的にやるためには、相当強力の権限を持つた半独立的な官廳をつくらなければならないというわけで、人事院ができ上る次第でありますから、その人事院において、給與の檢討ということは、できるだけ民主的にやるだろうと思つております。ただ一面久保田さんの御承知の通り、賃金を安定しろということを言われております。そういう見地から四半期ごとにこれを更改することはできかねると思つておりますが、はたして妥当なる給與でありかどうかということは、そのために、もつぱらその仕事を主管するためにつくられた官廳である人事院において、大いにやるであろう。あるいは委員会その他については久保田さんの御意見等を、ひとつ人事委員の委員長にもお傳えしておきます。
#17
○久保田委員 國務大臣としてという大臣のお言葉でございましたが、これは大藏大臣所管の問題と私も思つております。そこで給與と予算の編成は不可分の関係にあるのでありまして、大藏大臣管下の主計局長等の予算の編成事務を、総理大臣管下に移して、そうして人事と予算の総合的措置を講じなければならぬと私は考えておるのでありますが、國務大臣としてどう考えておられるか承りたいと思います。
#18
○増田國務大臣 お説のような説が理論的には私は正しいと思つております。ただしかし、やはり歳入がないと歳出をどれだけ出してよいかわかりませんから、歳入を握つておるところは大藏大臣ということで、結局お説のように行つていない國が多いのであります。またお説のようなことにした國におきましても、主計院だとか、主計局とか、主計所だとかを内閣に設けた國におきましても、結局財務省関係に引きずられてしまうというようなことがありまして、金が入らぬところが一番文句を言いますから、結局理論通りには行かぬというような結果になつておりますが、私は理論としては、自分の貧しい経驗から言いましても、結局理論通りには行かぬが、久保田さんのおつしやるような理論が一番正しい、またそうあるべきだと思つております。
#19
○久保田委員 次にお尋ねいたしたいと思いますことは、政府が公務員に、現業及び非現業の区別を從前通り認めることは、私は正しいと信ずるのでございますが、その点について大臣はどう考えられますか。
#20
○増田國務大臣 ちよつと聞きにくうございましたが、久保田さんは給與について、現業、非現業について区別を設けるのは当然だとおつしやるのですか。
#21
○久保田委員 それは先ほどの問題と切り離して公務員の現業と非現業の区別……。
#22
○増田國務大臣 今現業と言われておるのは御承知の通り、大藏省の公務員といたしましては、專賣局関係、それから逓信省の関係、それから運輸省の関係でございまして、ほかのものはあまり現業員ということは実は言つていないのであります。かりに單純な労務に從事する小使さんにしても、現業というふうには言つていないのでありまして、結局現業、非現業の区別は、從來といえどもあつて、現業員はストライキができるけれども、現行法において非現業員はストライキはできない、爭議権はないということになつております。今度の改正公務員法におきましては、久保田さんの御質問の大部分の現業員は、逓信省を除いては、公共企業体の從業員ということになりますから、これはお説の通り区別がついたことになります。ただ逓信省については現業と非現業の区別はつかないのではないか、こういうことになりますが、今度は逓信省関係は、ほんとうは社会的あるいは労働行政的に見ますと、ちよつとおかしいという感じがおありかもしれませんけれども、逓信省の現業員はストライキができない。團体交渉権のうち、労働協約まで締結するという意味の團体交渉権はないということになりまして、國家公共企業体の從業員よりも、團体交渉権は制約されておりますが、とにかく逓信省だけについては問題がある。しかして逓信省関係のうち現業員と非現業員とはもちろんある。監督者は非現業者でありますし、実際の現業に從事しております者は現業であるが、この現業、非現業の区別は、あまり実益は実はないと思つております。というのは双方とも爭議行為は禁止されておりまして、給與については区別でございましようが、その他の罷業権なり、團体交渉権については、区別してもあまり実益はないと思つております。
#23
○久保田委員 私の尋ねました点と、大臣の答弁とは食い違いがあるわけでございますが、私は現業と非現業との区別を從前通り認めるかどうかということの関連性で、尋ねたわけでありますが、なおこの公務員の身分についての権利の差別、これは今後も存続せしめるべきであるか、あるいはそうしない意思であるかをお尋ねしておきたいのであります。
#24
○増田國務大臣 身分の差別があるかどうかというお話ですが、私は近代民主主義下においては、身分の相違いとうものはすべてないので、ただ職階制というような関係は非常に明確に、しかも外観的にたくさん設けられておる次第であります。
#25
○久保田委員 その現業、非現業という問題についての身分の差別はないという話でございますが、現業は主として労務を提供するものでありますから、その権利の方でも非現業と区別されるべきであつて、現業が現在持つている團結権、あるいは團体交渉権、あるいは罷業権、これは原則として認めるべきであるということから考えまする場合に、私が御質問申し上げました点は、おのずから大臣にわかつていただけると思います。
#26
○増田國務大臣 今一般理論としては――実は理論を申し上げても実益と申しますか、あるいは答弁申し上げても、その答弁が何ら政治的、法律的効果をもたらさないわけでございまして、申しにくいのでございます。要するにマツカーサー・レターが出まして以來は、そのレターのもとにおいて、各種の質問應答なり、あるいは御研究を願わなければならぬということになるのでありまして、私は一般理論として、現業員は爭議権があるべきであるが、ないかということは、今ちよつと申し上げにくいのでございますが、今回は逓信省につきましては、現業員といえども爭議権がなくなつた、こういうふうになるのやむを得ざるに至つたということを、どうか御了承願いたいと思います。
#27
○久保田委員 なお公務員の権利行使は、身分上からも、また官公廳業務の公共的な性質から考えましても、公務員が職員組合と組織いたしまして、その團体としての代表者を通じて給與あるいは勤務状況、あるいは福利厚生の問題等に関して当局と協議いたしまして、委員の要望、またその不満の表明等を交渉する権利は認むべきが当然だと私は考えております。こういうことを考えます場合には、國民の有する基本的人権の上からも、これに関連しまして大きな影響をもたらすべきものだとかように考えるのでございますが、この点についてどうお考えになつておられますか。
#28
○増田國務大臣 久保田さんの御質問は、公共企業体從業員でなしに、一般國家公務員のつくる労働組合において、その労働組合が代表者を出して團体交渉をして、不満なり苦情なりを述べて、勤労條件の維持もしくは改善をはかる権利を與えらるべきである、こういう御質問だと思います。それは御承知の通り、現在の改正法案にもその点は盛られております。但し労働協約までは締結できない、こういうことになつております。労働協約締結以外のことは、團体交渉はなし得るわけでございます。もちろんあなたのおつしやる通り、代表者を選出して、その代表者をして團体交渉をなさしめ得る次第でございます。
#29
○中原委員 まず最初に質問というより、労働委員会の皆さんの御同意をいただきまして、一つの決議というような手続を御承認願いたいと思います。というのはさきに本会議におきまして労働者農民党の石野久男君が、首相並びに法務総裁に質問をいたしました。すなわち官憲の不当彈圧に関する件であります。なぜこのことを特に労働委員会の名において私がお願いしなければならぬかと申しますると、敗戰後の日本民主主義の進展につれまして、いわゆる日本國民の権利がある程度まで伸張したことは、何人もこれを否定することのできない事実であります。しかるに、最近せつかく日本の民主主義的な成長にもかかわらず、これに対して相反するがごとき一つの動きが顯著になつて参りました。しかもその一つは、警察官廳の行動の中にきわめて露骨に現われるようになつて來たのであります。私どもは警察の持つているその任務、あるいは警察の機能の問題については、いろいろ意見を持つものでありますが、そのことはさておきまして、その警察の官憲がしばしばそののりを越えて、人民の基本権を蹂躪するというがごとき行動に出ることは、最も忌むべきことであると考えているのであります。ことにただいま私が問題として提起しようといたしておりますのは、八月のことでありますが、茨城縣の日立市における労働者の大会が、はしなくも警察官の蹂躪はよりまして、大きな犠牲者を出したという事実なのであります。もとりよこのような会合はそれぞれ合法的な手続によつて持たれていることはいうまでもありません。集会の当然あるべき手続を無視してなされたという会合ではなかつた。当然あるべき手続をいたしまして開催されたその集会が、どのような理由をもつていたしたにいたしましても、この会合の中に警察官憲が乱入するということは、許されないはずであります。しかもその労働者の大会というのは、労働者の基本的な人権を擁護するための要請をもつて催され、しかもその基本的人権の中の、特に生活権の問題を労働者が確保せんがために集合いたした会でありまして、そのような会が官憲の一方的な見解によつて蹂躪し盡されて、しかもその上になおかつ数十名の流血の惨を結果したというようなことは、何としても見のがすことのできない不祥事であると考えるのであります。すでに憲法もその二十一條において、集会、結社の自由を保障し、言論、出版の当然あるべきを保障いたしているのであります。いわゆる今回の敗戰前におきましては、なるほどこのような状態をしばしば経驗させられたものでありまして、いやしくも労働者が集まるならば、それがいかに合法的な集会の手続をいたした会合であつたにいたしましても、何とか言いがかりをつけてその会合を蹂躪し、あるいは解散し、あるいは責任者を檢束し、不法監禁をいたしたのであります。そういう経驗を私どもは身をもつて経驗いたしたものでありますが、ちようどその当時の様相をまさにそのままに、新憲法下におけるわが日本において繰返すような状態になつて來たということは、何としてもこれを軽々しく見のがしてはならないと考えるのであります。労働階級が会合を持つ、あるいは國民の多数者が会合を持つということは、もとより当然そこに合法的な、合理的な、そういう目的をもつて集会をいたしているのでありまして、不穏当に何らかの擾乱を巻き起さんがための会合をやつているのではないのであります。そうなれば正当なる理由によるその会合に対して、しかも憲法の二十一條ですでに集会の自由を保障している今日、しかもその集会が必要なる手続をもつてなされております場合に、どのような理由があつたといたしましても、その集会をただちに撹乱するかのごとき態度をもつて警察官憲が臨むということは、何としても許されない。もし万一その会合の中の者に対して、何らか警察が尋問の必要があり、あるいは逮捕の必要がありといたしますれば、そのような方法でなしに、それは当然なされ得るものであると考えるのであります。從つてそのことは、労働者のそういう会合、そういつた國民の多数者の会合を尊重する考え方が警察官にない、あるいは指導者の中にそういう考え方が喪失しているからではないかというふうに私は思うのであります。ところがそういう見のがすことのできない不祥事をあえて激発いたしまして、しかも多数の犠牲者を出して――二十数名に及ぶと聞きましたが、あるいは数字の点は多少違うかもしれませんが、後頭部を傷つけ、あるいは腕を、背を、肩を、あるいは大腿部をというふうに、あらゆる身体に大きな負傷を労働者がさせられたのであります。警察官憲の持つているそのえものをもつて人民の身体に傷害を加えた。こういうことが事実あつたということについて、当局は誠意をもつて石野君の質問に答えられておらない。あの日の本会議の模様を御存じの方には、何人にも肯定されるて思いますが、あの日の特に法務総裁の答弁のごときは、そのようなことはまさに当然であると言わんばかりの態度をもつて、当時の様子を報告したその報告書に基いて、石野君の質問したような事実はない、まつたく事実と相違しているというようなことを答えている。その法務総裁の答えました答弁の基礎をなしているものは何かと申しますと、警察の報告書であるのであります。いわゆる加害者である警察の報告書を基礎にして、そのような本会議における答弁が軽々に、しかも平氣でなされておるのであります。もちろん自分の部下を信ずるということにおいて、それはあるいは当然であるかもしれません。しかしながら、この問題は一方的に考えてはならない事柄でありまして、被害者と加害者のある場合であります。それがよし、職務を執行するための結果であつたといたしましても、傷害を受けた者と、傷害を與えた者との対立事情がそこに起つているわけであります。そうであるならば、被害を與えた、すなわち加害者の立場に立つ警察の一方的な報告書をもつて、これが妥当なる信頼すべきものであるというような考え方は、いわゆる官僚的な一つの独善的傾向であると私は思うのであります。いかなる場合にも、しばしばその官僚の一方的、独善的な態度をもつて事が処理し盡されて、今まで不問に付せられて参つたのであります。そういうことが今後ともに繰返されて参りましてはいかに口をすつぱくして日本の民主化に唱えましても、あるいは政府が、いかにして人権の基本権を擁護しようと善意に考えたにいたしましても、その目的は達成されない。また百の法律をつくりましても、その法律を行使する第一線に立つ人々の考え方が、そういう間違つたものの上に立つておるならば、おそらく百の法律も、しばしば曲げられて行使されるだろうということが予想されるのであります。かれこれ考えますると、この事件のごときを、ただ法務総裁のあの一片の無責任きわまる答弁をもつて見のがして行くということは、大きな見地から考えて許されないことであると私は思うのであります。これはただ一つの実例にすぎないが、これに類似したできことは、今や全國のあらゆる地方に繰返されておるということを否定するわけには参らぬのでありまして、そういうことが軽々になされるような、常識と申しまするか、そういう考え方をもつて、しかもそれを特に何ら氣にとめることのない感覚をもつて過されて参りまするならば、これはまさに、わが日本の再びフアシズム的な傾向への逆轉を招來するものであると思うのであります。そのようにかれこれ考えまするときに、労働大臣とせられては、少くとも他の各省大臣とは立場が違うのでありまして、この点については、かつて芦田内閣当時に、さきの加藤労働大臣がしばしば繰返してそのことを主張しておられたと思います。労働省は労働階級に対するいわば一つのサービス官廳である。労働階級の父母の立場に立たなければならないと考えておるというようなことを、よく繰返していられたのでありますが、私はもつともであると考えます。またさもあるべきである。もちろん間違つたことでも、曲げてでも、なおかつ労働階級を庇護するということを要請しようとするのではありませんけれども、いやしくも労働省そのものの機能の性格から申しますると、労働階級を正しくはぐくみ上げて行くということのために、すべての機能が行使されて行かなければならぬ。そうであれば、労働大臣はこのようなできごとに対して、まず労働階級の立場に立つて、ひとまずものを考えてみるということが大切なのではなかろうか。そうしてあくまで労働階級を正しくはぐくみ、労働階級の民主性を正しく確保して行くということのために、あらゆる努力が拂われなければならぬのではないかというふうに私は考えるのであります。從いましてこの官憲の不当彈圧に関する問題については、まず公正なる第三者を煩わして、その実情の調査をせしめるということが必要になつて参ると思います。すなわち実情の調査を基礎とすることなしには、この問題の黒白可否は決定できない。先般の法務総裁の本会議における答弁のごとき、一方的な資料をもつて、事足れりとするわけには参らぬのであります。そこで本労働委員会としては、願わくはそのような考え方から、ひとまず実相を公正に調査するということをとりきめられたい思うのであります。從いまして私はここに一應このような文書を書いてみたのでありますが、このことを決するがための一つの私案といたしましては、官憲の不当彈圧に関する國政調査依頼の件、去る二十二日緊急質問において提起した日立事件に対する政府当局の答弁は、事実と相違するものでありまして、各地における官憲の不当彈庄が、過般來しばしば報ぜられておる事実にかんがみまして、特に日立における彈圧は三十数名の血の被害者を出しておるという点を重視されなければならないと思います。從つて私は事の事実を徹底的に糾明して参りますために、そうしてそのことによつて官憲のいわば一つのフアシヨ的な偏向に対する徹底的な撲滅を期したいという意味からも、本労働委員会の御賛同をいただきまして、この問題の事実の調査のために、特別な配慮を願つて、この國政調査の件をお願いしたいと考えるものであります。これを大体私案というような意味で書いてみたのでありまするが、これをまず衆議院議長に提出しまして、特別な調査方の配慮をお願いいたしたいと思うのであります。一應私の見解を申し上げて、本委員会の同僚諸君にこのことを懇請申し上げる次第でありますが、あわせてこのことについての労働大臣の御見解を一應承つておきたいと考えるのであります。
#30
○綱島委員長 ちよつと委員長から発言いたしますが、衆議院規則の常任委員会のことを定めてあります第五節九十二條に、各常任委員会の委員の数及び所管を定めてございますが、その中には実は労働委員会でやれる所管は「労働省の所管に属する事項」、こういうことだけが規定いたしてございます。ただいま中原委員の御発言になりました決議の理由及び決議の内容等を伺つておりますと、法務委員会の所管事項でございます。「法務廳の所管に属する事項」、こういう点に該当するようでございまして、遺憾ながら本委員会においては、さような決議事項を取扱う権限は所管外のように思うのでありますが、そういう所管のことは別として、特に労働者のサービス省であるということを重視して、そういう事情から、ここは所管外であるけれども、特に労働者の利益に関する事項として、このことを本委員会で一應の興味をもつて取扱つてくれ、あるいは一應の考慮をめぐらしてくれ、こういうような範囲のお考えでございますか。それともやはりこの委員会の決議にした方がよいというふうな御意見でございましようか。取扱い上からちよつとそれを伺つておきます。
#31
○中原委員 ごもつともと存じます。もちろんこれは解釈の仕方でいろいろのりくつも成り立つと思いますが、労働委員会の所管事項の中には直接入らないかもしれないという御解釈に、私も必ずしも反対とは申し上げることができません。ただ問題は、労働委員会としてそういう希望を持つているということをとりきめることは、逸脱したことではないのじやないかというふうに考えられるのであります。と申しますのは、ここの審議中の公共企業体労働関係法、あるいはそれと関連いたしまする公務員法の一部を改正する法律案、あるいは日本國有鉄道法、あるいは專賣公社法等との関連から考えましても、はなはだしく労働階級の労働権、その他の基本権の一半を侵害するがごとき部分が織り込まれておることを、私どもは見のがすことができないのであります。從いましてそういうようないろいろな複雜な今日の事情から考えますとまず労働階級の当然保障されなければならない基本権については、これは確保、保障せしめて行くという積極的な努力がまた拂われなければ、そういう各種の法律案等との関係において、労働階級がかなり庄迫を感ずるような面もある。このときにおいて、特にまず一面労働階級を正しく擁護する、そうして正しくはぐくんで行くという態勢をとることも、また労働省自身として考えなければならない一点ではないかというふうに私は思うのでありますので、從つてそういうこととの関連を総合して考えますならば、この委員会がこういう問題を決議しても行き過ぎではないというふうに思えるのでありますが、しかし委員長におかれて、どうも取扱い上いろいろ困難な点もあるというような御認識がございまして、また他の委員諸君においても、そういう御認識がございますならば、あえて私は決議とは申し上げません。この目的を達成されるように、特別な御配慮が願えることをおとりきめ願えるならば、それでけつこうかと存じます。
#32
○倉石委員 私も実はこの問題については非常に重視しておる一人でございます。ただいま中原さんのおつしやいましたような事柄が、ほんとうに事実であるといたしましたならば、これは実にけしからぬことであると思う。そこで実は私運営委員会にも出ておりますが、過日の石野君の御質問は、ぜひ私あの日にやつていただくように、こちらから御便宜をはかつたようなほど、非常に関心を持つておつたのでありまするが、法務総裁の御説明を聞きますと、やはりそれ相当なことを申しておられたのでありまして、私どもといたしましては、事実の眞相を把握するに実は苦しんでおるようなわけであります。ただいま中原さんの御希望もございましたけれども、労働委員会で決議というようなことになりますと、にわかに、ここで私どもだけで賛成するわけに行きませんが、先年新潟縣の小千谷の理研工業において、今回の問題にすこぶる酷似した事件が起きましたときには、委員会の後に理事会を開きまして、そこで御相談をいたしまして、專門員の方に調査に行つていただいて、その報告を得て事実の眞相を明らかにしたこともあるのでございます。この際一つ後刻理事会を開いていただいて、その取扱いをどうするかということをおきめ願いたいと思います。
#33
○辻井委員 倉石君から趣旨に御賛成の御意見がございましたから、くどくどもう申し上げる必要はないのでありますが、今委員長からこの問題は労働委員会の権限外であるというようなお話がありましたけれども、これは私は遺憾ながら賛成しかねるのであります。倉石君から今お話のあつた、この夏新潟縣の小千谷の理研工業の爭議に関しても、官憲の不当な彈圧ということが問題になりまして、労働委員会から調査員を派遣して調査したことがあるのでありまして、どちらが正しいのか、私自身も正直に申せばわからぬのであります。政府側の発表と、質問された議員の言われた内容とに、相当開きがありまして、どちらがどうか、これはわれわれも即断をしかねるのでありますがとにかく相当大きな問題であることは間違いないし、そうしてこれは國会法の労働委員会の権限にあります第一の労働関係の調整、労働組合に関する事項、第二、第三の労働條件、その他労働問題に関する事項に十分にあてはまると思います。とにかく國会としては公正な立場から、政府の答弁が正しいのか、あるいは議員の質問された方がほんとうであるのか、嚴正に調査してみることは、國会で問題になつた以上は、当然だと思いますから、ここで決議されるなり、あるいは理事会において適当にお扱いになりまするならば、ひとまず理事会におまかせして、お諮り願うようにしていただきたいと思います。
#34
○綱島委員長 委員長からちよつと発言いたしますが、ただいまのお読上げの規則は改正前のものではありませんか。改正後のものは各省所に所管事項が委員会は限定されたようであります。しかしそれであつても、今の御提議の趣旨について、委員会が非常な関心を持ち努力をするということは、実質上のことには委員長は何も不賛成はないのでありまして、御趣旨がなるべく遂げられるような方面で、この委員会が何らかの努力をするということはよいと思うのです。そういうための調査員を派遣するとか、何とかいうことならば、所管事項を必ずしも越さぬでありましようけれども、決議事項となりますと、國会の規則が基本になりはしないかと思うのです。
#35
○赤松(明)委員 これは倉石さんの御意見に賛成いたします。但し一つ申し上げておきたいのは、委員長と辻井君の間の論爭というようなものですが、これを根本的に言えば、労働組合があつて、これによつて起つた現象をとらえての末節の意見にこだわつてはならない。少くとも町でその労働組合の個人としての立場において、官憲と何とかということとは違う。組合があつてその組合の紛爭に端を発して、官憲との問題が起つたという現象にこだわつてはならない。その組合の実体を調査しようというのではなくして、組合側を調べようとするならば、決議でも何でもそれは所管外とは言われないかもしれませんが、そう軽々しくする必要はないと思います。倉石君が提議されたように、あるいは專門員を調査にやるなり、あるいは代表を選んで調査にやるなり。私は労働組合の問題として解釈するならば、断じて所管事項外ではないと思います。そういう観見に立つていただきたいと思います。
#36
○綱島委員長 そうすると一應理事会を開いて、理事会においてこの取扱いを決定することに、提案者及び委員においても御賛成願えますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○綱島委員長 ではさように決定いたします。
#38
○中原委員 このことに関して労働大臣としての御所見を拜聽しておけば幸いだと思います。
#39
○増田國務大臣 中原さんの御質問にお答え申し上げます。この問題につきましては、労働省といたしましても、実は本会議において申し上げました通り、調査をいたした次第でございます。その調査によりますと、今委員長もおつしやいましたが、これは労働行政の範囲でなくて、司法処分の手続上起きた問題である。こういうふうに今のところ相なつております。すなわち職場離脱というような政令違反行為に対する逮捕状が出ておる。この逮捕状を執行するために集会におもむいた。どういうわけでもおむいたかと言いますと、その集会の中に逮捕状の対象たる犯人が二人いた。やむを得ずそこへおもむいた次第でございまして、集会に対する彈圧だとか、そういう意味合いで行つたわけでは毛頭ないのであります。しかしながら、逮捕の仕方について妥当を欠く、あるいは妥当であるかという問題は、起き得ると思つております。どういうわけでああいうような流血の惨が現出されたかというと、スクラムを組んで云々ということは石野君もおつしやつていましたし、背後関係は本会議の質問のときに少しも申されませんでしたが、スクラムを組むというのは、われわれの権利であるというようなことを言われておりました。要するに逮捕状の執行を妨げる意味においてスクラムを組んだ。スクラムを組んだ理由は少しも石原さんは言われませんでした。そこで官憲の業務の執行についての一つの妨害的な行為であるというようなわけで、まず司法警察官――労働行政を担当している役人という意味ではありませんが、司法警察官が自己の職責である逮捕状の執行をする。こういうことになつたのです。その執行の妨げに対しまして紛乱が生じた。あるいは行き過ぎがあるかないかというようなことは――これは私は國会というものはおよそ万能であると思つております。男を女にするとか、女を男にする以外のことは万能である。それが民主政治の本資でもございましようが、ただ委員会の職務権限がわかれているというのであるし、この委員会で決議できるとか、できないとかということはございましようが、國会が調査などをするというようなことは、私はあえてさしつかえない、事の眞相をきわめることは必要でございましよう。
 ところで労働大臣の労働行政全般に対する方針いかんという御質問に対して、さらにお答え申し上げまするが、私は民主自由党の党員でございまして、民主自由党というものはリベラリストの集まりでございます。憲法に保障された集会、結社、言論その他あらゆる表現の自由が許されておる。このことのために闘つて來た、いわゆる自由主義者でありまして、この自由というものが、あまり日本人にわからないであろうから、相当長い間進駐軍も駐屯しているというようなことさえ言われている次第でございまして、憲法二十一條は、ほかのものよりもと言つては語弊があるかもしれませんが、これを國民全体が尊重するようになれば、日本の民主政治も近代的に確立されると私は思つております。そこで労働行政全般につきましても、もちろん労働省設置法に書いてあります通り、労働者の福利をはかる、福祉を増進するということが、労働省の主たる使命であるということを私はよく認識しているつもりでございます。但し今のように刑法上の問題になつて、あるいは職務執行上の妨害というような行為になりますれば、これは労働運動ではございませんから、その点は中原さんも御了解願いたいと思つております。今のところの調査で私は申します。集会そのものを彈圧する意味において行つたものでも何でもないのでございます。集会の中に逮捕状の対象となつている人が二人おつた。しかもその逮捕を妨げるためにスクラムを組んでおつたにもかかわらず、司法警察官は使命がございますから、その使命を果すために逮捕状を執行した。その間種々の今中原さんの指摘された、あるいはせんだつて石野さんから指摘された事件が起きた。これが大体眞相に近いことであります。但し調査をなさることは決してさしつかえないということが、私の労働大臣としての意見でございます。
#40
○中原委員 ちよつと一言お尋ねいたします。労働大臣の御答弁といいますか、御意見を承つておりますると、集会の妨害、あるいは彈圧をしたものではない、こういうふうに断定なさつたのでありますが、これは労働大臣としては言葉としては行き過ぎだと思います。断定なさるべきものではない。そういうふうにただ法務総裁、あるいはあなたの調査の面ではなつておるという程度のことにすぎないのであつて、眞相はまた別個の角度から調査が公正に進められ、結論たる断定が生れて來るのではないかと、私はそのように思うのであります。そこでそれを断定的にかりに信じておいでになられたといたしましても、このような疑義のある問題を、断定的に意思表示されるということはやはりあなたの労働階級に対する、あるいは労働組合運動に対する御理解の深さに対する一つの心配が起つて参るのであります。私といたしましては、やはりあくまで眞相を突きとめた結論として、断定が生れて來るような考え方を一つおとり願いたい。
#41
○増田國務大臣 私は考え方を訂正する必要がないと思うのであります。というのは、中原さんもよく聽覚を働かしてお聞きくださればおわかりのはずでございますが、今までの調査を前提といたしましてということを二度繰返して申し上げた次第でございます。今までの調査いたしたところではこういうふうに断ずる。一切のことが断定できないということになると物事は一切始まらないわけでございまして、法文にも何々であるというふうに書いてあるのは、必ずしも絶対的に眞実でなくても、何々であるかもしれませんという法文は一つもないことによつて、おわかりと思うのであります。
#42
○中原委員 これは議論になると思いますが、今までの調査においては、という前提があるから、断定的な意思表示をしてもさしつかえないゐこういうようにおつしやるのですが、しかし今までの調査そのものが、必ずしも公正でないのではないかという一つの疑義があるということが問題になる。いわゆる官廳的に調査したのに対しては、やはり國民の立場から申しますと、了解しがたい面があると思うのです。そこで國民一般の意思を代表する國会という立場から考えても、官廳的調査だけをもつて終局的なものというわけには参りません。そういう終局的な最後の一つが残つておるのであつて、しかも残つておるこのことが、今問題になつておる場合には、そういう断定的な態度はいささか私は了承しがたいと思うのです。
#43
○増田國務大臣 お説の通りでありまして、私はデスカツシヨンはあまりすきではありませんが、要するにわれわれは労働省として調査をいたしております。この間法務総裁が調査したのは法務廳としての調査の結果を申し上げたわけで、あれもそうであるように思いますが、どうだかわかりませんというふうには答えておりません。あの以後私どもが労働省として調査したところではこういうふうである、こういうふうに言つたのですから、もとよりあなたが調査することは、一向さしつかえないのみならず、國権の最高機関はあらゆることをなし得ると、私は申し上げておるわけであります。私どもが從來の調査の結果、こうであると言つたところで、中原さんが御指摘の通り、客観的事実がはたしてそうであるかどうかということは、これはまた余地がある。あくまで、余地があるという前提のもとに、お互いにお話いたしておる次第でございます。
#44
○赤松(明)委員 法理論的論爭を聞いておりますと、労働大臣は実際のところ、勤労者に対する奉仕者としてのお立場を少し忘れたのじやないかという感じのする言葉があつた。それは集会の席上に犯人が二人まぎれて入つた。逮捕状が出たことを犯人と断定することはよくない。しかもリベラリストとみずから申されたあなた、労働大臣の言葉としてはどうか。被疑者という言葉であるならば正しいが、犯人が二人まぎれ込んでおつたということは、すでにそういう考え方をもつて、そういう逮捕状を持つて行くということがいけないということになるのと同じであつて、犯人が二人まぎれ込んでおつたということは一つ速記録から取消して被疑者と改めてもらいたい。刑罰法定主義の法理論の根底に立つても、これは間違いのないところであると思うのです。この点取消してもらいたい。犯人が二人まぎれ込んでおつたということを二回言つた。聽覚を働かして聞いておつたから間違いはない。
#45
○増田國務大臣 言葉は取消してもよろしいが、常識的に言つて犯人というのであつて、刑を受けた者は普通受刑者と言つておりまして犯人と言つておりません。普通被疑者は犯人と言つております。
#46
○赤松(明)委員 それはいけない、断じていけない。これは裁判をしないで、そのままで行けるというような、そんなものではない。日本のいわゆる刑罰法定主義からいつて、これは要するに司法権に移る。檢察廳の一つの行政の一環として逮捕状を持つて行く、そうして裁判所においてさばいて、しかる後に犯人であるか、無罪であるか。無罪であるならば、被疑者は白日のもとに無罪になる。こういうわけであるから、そういう詭弁は弄しない方がよろしい。増田労働大臣は、吉田内閣における白眉的存在といわれておるあなたとして、ふさわしくないような詭弁を弄してはいけない。これは被疑者である。
#47
○増田國務大臣 これは刑事訴訟法を調べてみないとよくわかりませんが、被疑者というのが正当であるならば、被疑者と改めます。
#48
○綱島委員長 それではこれにて休憩して、午後二時より再開いたします。
    午後一時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十分開議
#49
○綱島委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 本日は都合によりこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。
    午後二時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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