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1948/11/27 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第10号
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1948/11/27 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第10号

#1
第003回国会 労働委員会 第10号
昭和二十三年十一月二十七日(土曜日)
    午前十一月十二分開議
 出席委員
   委員長 綱島 正興君
   理事 尾崎 末吉君 理事 山花 秀雄君
   理事 中原 健次君
      東  舜英君    倉石 忠雄君
      大石 武一君    三浦寅之助君
      亘  四郎君    久保田鶴松君
      辻井民之助君    安平 鹿一君
      山本 幸一君    木下  榮君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        労働政務次官  鈴木 正文君
        労働事務官   賀來才二郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 濱口金一郎君
十一月二十六日
 委員鈴木正文君及び大島多藏君辞任につき、そ
 の補欠として大石武一君及び船田享二君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第一三号)
 專門員の出張に関する件
    ―――――――――――――
#2
○綱島委員長 ただいまより前会に引続いて会議を開きます。
 前会において中原委員より提出せられました茨城縣日立市、靜岡縣清水市、及び岐阜縣岐阜市における労働者に対する警察官吏の行動についての実地調査の件につきまして、理事会で打合せました結果、專門員を現地調査に出張いたさせて、労働者がいかに抑圧せられましたか、調査いたさせることに内定したのであります。本委員会において專門員を出張させることに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○綱島委員長 御異議なければ、さように決定いたします。なお出張調査の目的は、労働者及び労働者の集会に対する警察官吏の彈圧の有無、出張地名は茨城縣日立市、營岡縣清水市、岐阜縣岐阜市として、出張調査期間については委員長に御一任願いたいと存じます。御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○綱島委員長 御異議なければさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○綱島委員長 次に公共企業体労働関係法案について逐條審議に入りたいと存じます。質疑を許します。
#6
○中原委員 逐條審議に入りたいと思いますが、その前に関連いたします事項についてひとつ労働大臣にお伺いしてみたいと考えるのであります。それは戰後わが日本の労働組合運動が非常な発展を遂げまして、日本の民主化のためにその役割を健全に果しつつ今日に及びました。しかるに最近の政府当局の労当組合運動に対する態度を見ますと、はなはだ遺憾な点が多々、しかも具体的に現われつつあるのであります。それはただいま上程に相なつております公共業体労働関係法案のそれにもうかがわれますが、同川に、たとえば國家公務員法の一部改正の法律案のごとき、あるいは日本國有鉄道法案、あるいは專賣公社法案等々に一貫する一つの見のがすことのできない、いわば法治的フアシズム傾向とでも申しますか、そういうものが顯著に露骨に相次いで現われつつある現状でございます。従いまして歴史的に見れば、はなはだ遺憾なこの傾向に対しまして、またここに一つの問題が呈示されているのでございます。それはかねて労働省において、労働行政機構並びにその運営の調整についてという次官通牒が発せられまして、その後また、たしか十一月の初めてあつたかと思いますが、閣議において、中央労働委員会に対して、地方労働委員会の相当廣い部分におきましても支配せしめるというような形が起つて参りまして、特に労働組合法施行令の三十六條に関連するのでありますが、この点につきまして一應労働大臣の御所見――というよりも、むしろこの間の経緯を承つてみたいと考えるのであります。
#7
○増田國務大臣 中原さんの御質問にお答え申し上げます。近來労働省あるいは政府が労働組合に対して、あなたの言葉を用いますと、一種フアツシヨ的傾向にあるというお話でありますが、決してフアツシヨ的傾向にはございません。われわれはどこまでもあらゆる機会において言明いたしております通り、進歩的な、福化的な労働政策を実行して参りたいと熱意と、誠意とに燃えておる次第ぶございますから、どうかこの点中原委員も御理解くだすつて、この上とも御協力をお願い申し上げる次第でございます。もしそういう方面において遺憾な点がございましたならば、現実の問題について、私あとでお答え申し上げますが、御指摘くだすつたそういうような御態度を御継続くださるように、御願い申し上げる次第でございます。
 ところで今御指摘の通牒のことは、私まだよく存じませんが、あの政令の改正の関係について御答弁申し上げます。あの政令は私が労働大臣になつてから、閣議にかけて政府につくつてもらつた政令でございまして、要するに施行経でございます。この施行令は、中労委並びに地労委の関係が、從來はそれぞれ独立の関係でございまして、全体として統一のとれた、調和のとれた労働政策を行えないということを、地方労委、あるいは中央労委のそれぞれの当局者からも、体驗を通じて申出があつた次第でございます。また労働省といたしましても、從來の労働委員会の協動の経緯にかんがみまして、ああいうふうにした方が労働法規の執行がうまく行くという意味合いで、できた施行令の改正でございます。どこまでも本法の精神をりつぱに活用するために、施行令がしかれるわけでございまして、そういう意味合いで、できたものでございます。内容も御檢討くださいますればおわかりになる通り、たとえば地方労委が種々の事件を扱いましても、中央労委に対して報告する義務もないということでは、おもしろくございませんし、また賃金鬪爭初めその他の労働問題を解決するにあたりましても、全國的に見まして、ある單一産業なら單一産業といたしますと、およそ権衡のとれた扱いを中央労委及び地方労委はともどもしていただかなければならない次第でございまして、そういう関係からいたしまして、中央労委員地方労委に対して指示をするというようなことは、当然労政をうまく運営して行く上には必要なことであると存ずる次第でございます。われわれはあの法規は改正、つまり正しく改めるという意味において、一つの進歩であると考えておる次第でございます。
#8
○中原委員 次に伺いたいのは、この施行令の、大臣のお言葉で言えば改正にあたりまして、当然その関係各機関の御意見を徴せられるような手続をおとりになつたことと思いますが、ただそういう申出があつたというような意味にだけ、それを理解するのではなくて、それらの機関に対して、このように改正したいと思うがどうか、あるいはこのことについてどういう意見を持つているかというような、具体的な意見を聽取するような手続を、当然とるべきであると考えますが、ことに地方労働委員会の権限を、中央労働委員会によつてある程度まで侵犯せしめるような部分がないでもないのでありまして、そういう大きな基本的な改正をいたしますためには、当然それらの手続がとられなければならぬと考えるのでありますが、この点について経緯をお聞きいたしたいと思います。
    〔委員長退席、尾崎(末)委員長代理着席〕
#9
○増田國務大臣 中原さんも御承知の通り、この法令の改正は施行令の改正でありまして、法の施行をりつぱにやつて行くということが、労働省当局の責任でもあり、また政府の責任でもございます。そこできわめて事務的なことでございますから、施行令の改正を一々委員会を設けてこれに諮問するということは、從來政府としてもいたしておりません。政府としてすべきことは、政府が法律を施行する場合に、その施行の仕方について種々の欠点を発見する。あるいはいろいろな意見が申し出られる。また自分自身が経驗をする。そういうようなものを総合いたしまして、施行令をこういうふうに改正した方が、この法の適用がうまく行く、こういう結論に達しましたために、施行令の改正をいたした次第であります。中原さん御存じり通り、地方労委も中央労委も、その本質的な権限には、いささかも増加もなければ、減つてもいない次第でございます。従來のように事務的にやつてもかまわないことでございますが、施行令をああいうふうに改正して、特に明確にいたしたにすぎないのであります。そこでたとえば指示がある。この指示に基いて、地方労委員その活動について絶対的の拘束を受けるかと申しますと、これは拘束を受けるわけではございません。地方労委は労資、中立の三者をもつて構成されておりますが、この三者のそれぞのの委員が、自己の良心に基いて適正なる判断を下せばよろしいのでございますから、いささかも本質的の権限に影響を與えていない。しかも法の施行がうまく行く、こういう意味からつくつた施行令でございます。
#10
○中原委員 大臣の御所見によると、非常にりつぱな御改正ができたことになるのでありますが、私はまだ少し了解ができない点がある。それはたとえば中央労委員地方労委に対して、地方事務処理に関する基本的な方針、あるいは法令の解釈等について、必要な示唆、あるいは助言を與えるというようなことが指摘されると思いますが、そのいわゆる基本的な方針についてという範囲は、どういうことでございますか。
#11
○増田國務大臣 基本的ということは別に申し上げたつもりはございません。要するに指示をする。その指示をすることが必要であるという理由は、中原さんも御同感ぐださると思いますが、私が先ほど申した通り、一つの産業について、およそその産業労働賃金のごときもの、その他産業労働に関する労働條件のごときものは、地域的の特殊の條件の差異はございましても、まずおよそ全日本的に同じでなければならぬというふうに、私は考えております。ところが、從來地方労委によりましては、他の地方労委とまつたく違つたような調停をしたり、仲裁をしたりしてしまう。そこで今度はその隣りの地方労委では非常に困つてしまう。あるいは労政をとつているところの縣知事が非常に困つてしまう。また一般の労政をとるところのわれわれなり、あるいは中央労委が非常に困るというようなこともあるのでございます。そこで中原さんが基本的とおつしやいましたが、私今基本的という言葉をひとつお借りして使つてもよろしゆうございますが、やはり一定の労働條件については、基準というようなものが、一つの産業についてはある。また他の産業についてはおのずから全國同樣な労働條件その他の條件があるべきものである。そういうようなことについての指示がありませんと、今や中央労委と地方労委の関係は、極端な言葉を使いますと、てんでんばらばらになつている次第でありまして、これでは調和のとれた、統一的な労働行政ができないというわけ合いから、ああいう法規が、改正する意味をもつてつくられた次第でございます。
#12
○中原委員 各地労委の自主性といいますか、独自性といいますか、自治性といいますか、そういう一つの特質的なものは、本來民主的なあり方としては、きわめて大切なことではないかと私どもは考えておるのであります。そういうようなそれぞれの地方々々の特別な事情も関連しまして、必ずしも全國的に一つに方針がまとまらなければならないということはないのではないか。むしろそういつた各地方々々の特異性を生かしながら、しかも地労委員その地労委の責任においてしかるべき処理をして行くというあり方の方が、民主的なあり方ではないかというふうに考えるのでありますが、ことにこの問題に関連して思うことは、いわば中労委が、地労委をその支配下に結びつけて行く、いわゆる全國的な一つの統一あるやり方ということの意義は、むしろ全國的な、というより中央的な、從つて中央集権的な形において、手続において、またそういう本質において、地労委を從属させて行くという関係を生むものではないかというふうに考えられるのであります。この点についてどういうふうに御解釈になりますか。
#13
○増田國務大臣 中原さんの御疑念はごもともだと思つておりまするが、しかし日本はやはり統一國家でございますし、たとえば石炭産業のごときは單一組合ができておりまするから、結局中労委にかかるというようなことで――これは問題になりませんが、かりに石炭を例にとると仮定いたしますと、地方労委が九州だけがある調停をしてしまう。それが北海道の地方労委と非常に違つた調停をしてしまうというようなことになると、やはり國としても困つてしまう次第でございまして、もちろん中原さんのおつしやるような地方それぞれの性格というものがあると思うのであります。また地方の環境なり、條件は十分参酌しないといけないと思つておりまするが、しかし一つの産業であるならば、全國に共通する性質というものはやはりあるわけでございまして、そういう部分につきましては、あまり不統一な労働行政があるということは、これはまずいことであることは中原さんも御同感くださることと思います。決してそれぞれの地方の個性を殺すというわけではない。個性はむろん生かして参らなければなりませんが、本質的なものについて、地方と地方とで共通であるべきものが、まるきり格段の相違があるというようなことがあると私は困ると思うのであります。一つの産業について、福岡縣なら福岡縣は日当が二百円ときめる。ところがそり隣りでは百五十円ときめた、その隣りでは二百五十円ときめたということになつて、しかも地域的な差異はしばらく別といたしましても、非常な逕庭があるというようなきめ方があると、これはまた困ることになると私は思うのであります。そこで中央集権的なことは、一つのおもしろくない現象ではないかというお考えは、一應ごもつてもでございまするが、われわれ労働省が指示するわけではございません。中労委が指示するわけでございまして、中労委はあなたの御存じの通り、非常なデモクラテイツクな機構でございまして、独立の單独性の官廳でもなく、委員会で構成されておる。しかもいわゆる労働者と資本家と、それから中立との三者構成になつておるのでありまして、このデモクラテイツクな機関が同じデモクラテイツクな機関であるところの地方労委に指示するというようなことは、少しも中央集権的な、強権的なにおいはないというふうに思うべきであると思います。もしそれが集権的であるということになると、中労委それ自身が、一つの独裁的な、官廳的ものであるというふうな前提に私はなつて來るのではないかと思つております。それから繰返して申しまするが、指示はあくまで指示でございまして、地方労委があなたのおつしやる通り、独自の権限のもとに、自己の良心と分別とに從つて、適正なる判断を下すということは、これは独自の権限でございまするから、その権限にいささかも影響を與える趣意ではございません。
#14
○中原委員 ただいま石炭の例をおとりになられましたが、石炭の紛爭あるいは爭議等のごときは、大体全國的な一つの統一された方針によつて動いておるということは、現実が証明しておるのであります。むしろこういう場合に特に氣になる問題は、地労委の限りにおいて鬪われようとしておるいろいろな問題であると思います。從つてたとえばここに三十六條の改正に伴いまして、起るであろうところの問題といたしましては、地労委で処理中の調停、斡旋等の事柄を、中労委が必要と認める場合には、出席委員の三分の二以上の同意をもつて、これを中労委に移管するように大臣に要求するというような点があつたかと聞いておるのでありますが、この点はどうですか。
#15
○増田國務大臣 中労委が地方労委の事件をみずから処理するということもございまするが、これも私先ほど申し上げました通り、労働省がみずから取上げて処理するわけではありませんし、結局会議制の機関である、しかも三者構成の委員会が取上げる、しかも全國を見渡すというような大きな視野から、またこれは人物の問題を論ずると、少しぐあいが変になるかもしれませんが、まずまず一般論として申し上げますと、中労委に委嘱されておる委員の方々の方が、学識も経驗も、あるいは全國的の何といいますか、改革ということのできるような視野を備えた方の方が、比較的多いというようになることは、中原さんも御同感くださると思う次第でございまして、中労委で扱われるということは、その事件がむしろ尊重されたわけでございまして、私はその事件に関係するところの労務、資本、中立側、あるいはその府縣民も、喜んでしかるべきことであるというふうに考える次第でございます。
    〔尾崎(末)委員長代理退席、委員長着席〕
#16
○中原委員 地労委に構成される委員と、中労委に構成される委員との間に、優劣があるかのごときお言葉がありましたが、これはもとより部分的には優劣の差のある場合もあるかと思います。しかしまた場合によれば、実はそうでない場合もあることを認めなければならぬのであります。從つてそういうようなことで、中労委にこれを移管したら、よし正しく妥当の取扱われるものであるという判断の材料には、いささかなりがたいと私は思うのであります。もちろんそういうことより、たとえば三分の二以上の決定によつて、大臣のそういう職権が行使されて、中労委へ地労委のそれらの事務が移管されなければならぬというようなことになつて参りますれば、当然そこには強権的なものが発生して來ると思うのであります、このことは何と考えても一つの強制命令でありまして、任意に地労委の意思を尊重してこれをきめるということとは、まつたく違うように私は思うのであります。こういう点について、そのような一つの強制的な、いわば一つの権力が発動するというふうに見る必要がないということの、理論的な御説明を願いたい。
#17
○増田國務大臣 私は人物論をちよつと申し上げましたけれども、これは資格としてはほとんど同じだと思つております。ただ中労委の方は、全國的視野においてものを逃め、取扱うということになるというような関係から、結局中労委で取扱つた方がよろしいという事件に限つて、すなわち全國的な視野から一應取扱つた方がよろしいという事件に限つて、これは移される次第でございまして、元來こういうような事柄を移すということは、必ず全國的に問題の起きるような問題について取上げるだけでございます。法律自身から申しましても、全國的のそういうトラブルは、元來労働大臣が中労委に移し得るのでありまするが、そこを中労委の決議をとるというデモクラテイツクな手続にいたした次第でございますから、どうか御了解願いたいと思います。
#18
○中原委員 それでデモクラテイツクな一つの取扱い方をあえてしたことを認めろということですが、それについて私が思うのに、三分の二ということになると、労働委員会の構成から申しますと、かりに労働者代表が全部反対しても、これで押し切られてしまうという結果になるのですけれども、議決権取扱いの上に疑義が起つて参りませんでしようか、その点について……。
#19
○増田國務大臣 法規的にはそういうふうに書いてございますが、中労委は御承知の通り、あらゆる調停について從來もほとんど全会一致でやつております。三分の二でできるしかけにしておりますが、その運営につきましては、お説のような点はごもつともでございまするから、三分の二以上の多数決ということでやりたい、三分の二になりさえすればよろしいというやり方はしたくないと思います。
#20
○中原委員 なるほど実情は全員一致で処理されておるということがあるかもしれませんが、しかし一應施行令の上にそれだけのことがはつきりしておりますと、二分の二以上の賛成があれば押し切ることもまたできるということになるわけでありまして、眞実に全般の意思を尊重しようという考え方がある場合ならば、私はかような、しかも地方の調停の事務処理を中央に移すというような大きな、いわば一つの変化を與える場合には、満場一致で決せられた場合にのみそのことをするというふうに、あくまで多数の一致した意思を尊重するという態度に出られることがほんとうではないか、それほど必至的な事情でない限り、これを中央で取上げて行くことは、何と考えても行き過ぎではないかと私は思うのであります。その点について、單にこれは事務上の処理ということでなしに、本質的にそれはやはり地方の権限を中央が侵犯することになると私は理解するのですが。その点いかがですか。
#21
○増田國務大臣 先ほど申し上げました通り、私ども全國的影響があると思われるものは、元來労働大臣が中労委に付してもよろしいのでありますが、しかしデモクラテイツクな扱いをしたいということで、中労委の議決によつてこういうことをしたのでございます。ところが中原さんも御承知の通り、國会の議決でも中労委の議決でも、ほうつておけば過半数ということになると思います。ところが過半数では、中原さんもおつしやる通り、愼重に扱うべき事件についてはおもしろくないというので、三分の二ということにしたのであります。会議体を運営する上においては、全会一致の議決を要するということは、おそらくどこにもないので、三分の二としたのは、中原さんの御心配も考慮して、なるべく全部の者の同意を要することを期待して置かれた趣意でありますから、この点はどうか御了解を願いたいと思います。
#22
○中原委員 その会議を構成する構成員の事情が――実は中労委あるいは地労委の場合もそうでありますが、労働委員会の場合は違うわけでありまして、それぞれの階級を代表する者と、それから中立的な者との組合せによつてできておるという構成の特殊性から考えると普通一般の決議のとり方よりは当然違うべきものと私は思うのであります。從つて特にこういう民主主義を與えるために、このようになつたという事柄ではないかと思うのであります。この点については、そういつた一つの特異性に対する取扱い方という観点から考えられてしかるべきものでありまして、他のどの会議の取扱い方にも満場一致のごときものはないというお言葉でありましたが、それは必ずしもないではありません。ただ問題の大切な点は、そういう調停あつせん等の問題を移管する場合のことであります。これはいろいろそこに特別の事情があるわけであつて、地労委のあつせんの仕方が、かりに非常に労働階級のために不利益である、見ておれないというほどに不利益な傾向になる。あるいはそのために、いろいろな紛擾が巻き起るかもしれないという疑義が起つた場合に、中労委がこれを取上げて処理して行くことになるのでありましようが、そういうことであるなら、それは非常に大きな見解の開きが起つて來るのであつて、むしろそういうことを強制することによつて、なおさら紛爭は一層大きくなつて来るのではないかというふうに、考えられるのであります。從つてこれらの問題については、私は三分の二以上の決議で取上げたにもかかわらず、それでは適切でない、そういう事情があることをほんとうに考慮して、こういうことが起つて來るとしますならば、なおさらのこと全員の意見の一致を見るという愼重さが必要なのではないかと考えるのであります。なお労働省がこれらの事柄に対して容喙するというのでない、あるいはこの移管された事項を労働省が扱うのでない。從つて中央労働委員会という非常にデモクラテイツクな機関がこれを扱うのであるから、別に氣ずかうような問題は起らぬだろうというお言葉でありましたが、しかし中央労働委員会の機構の改革というふうな問題に関連しまして、労働省と中央労働委員会との関係の中に、労働省が中央労働委員会を支配し得るような関係が予想されて参るわけでありますが、中央労働委員会と労働者との間の関連についての御意見を伺います。
#23
○増田國務大臣 中労委を労働省が支配するような関係にはなつていないのであります。まずそのことをお話しておきます。
 それから中労委が三分の二の議決をすれば、地方労委の扱つた事件を移讓し得る規定は、私たびたび申上げます通り、從來から労働大臣は、全國的視野で問題を扱わなくてはならぬときには、労働大臣の権限に基き地方労委より中労委に事件を移讓し得るのであるから、そういう規定があることだけは前提として御承知願いたい。それで今度は中労委に対しても、全國的視野において問題を扱つた経驗がありますから、中労委独自の権限で、地労委の扱つている事件を、三分の二の議決があれば、地労委から中労委へ移して扱うことができることにいたしたのでありまして、労働大臣が権限を持つているから、たくさんだというような、アン・デモクラテイツクな態度はよろしくない。むしろ労働大臣が持つている権限を中労委に讓つた形になるのでありまして、これは何としても民主的であるということは、中原さんに御了解願わなければ困る。こう思つております。
#24
○綱島委員長 ちよつと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#25
○綱島委員長 速記を始めてください。
#26
○中原委員 委員長の御注意もありまして、ただいまの中労委と地労委との関係の問題については、私も大体その程度で御遠慮申すことにいたします。
 公共企業体労働関係法案の問題でありますが、これの逐條審議に入ります前に伺つておきたいのは、もとより私はこの場合、過般來からいろいろ論議されております憲法違反であるかどうか、あるいはマツク書簡の解釈の歪曲ではないか等々の問題については、当然議論があるのでありますけれども、これは差控えまして、まず今度の法律案の中にいわゆるオープン・シヨツプ制が非常に強く出ておるという面であります。これについて、なぜそのことが必要であるかという御見解をまず伺つておきたいのであります。
#27
○増田國務大臣 これは組合に加入することも、加入しないことも、法規的には基本人権として許されてしかるべきものと思つたから、こういう法規が置かれたものと思つております。
#28
○中原委員 労働組合を結成するということは、わが日本の民主化への基本的な一つの方針であつたかと思うのであります。いわゆる労働階級を民主勢力として組織ずけて行く。その組織ずけられた労働組合が、日本の民主主義の徹底のための重要な役割を担当するという方式にそのことが考えられて來たのではないかと思つております。ここにポツダム宣言の受諾以來、日本の民主化を阻害する一切の障害を除去すると同時に、民主化を促進するための一切の態勢を整えて行くことになるかと思うのでありますが、そのことについてオープン・シヨツプ制を採用しようとする行き方は、むしろそれらを阻害することになりはしまいか。かように考えるのでありますが、これについて大臣の御見解を承りたいと思います。
#29
○増田國務大臣 私は労働組合運動を阻害するとは思つていないのであります。公共企業体の特殊性にかんがみましてオープン・シヨツプでよろしい。こういうように思いまして、こういう法規が置かれた次第であります。
#30
○中原委員 たとえば一つの企業体の中であるいは一つの事業場の中で、組合に入らない者もまたそれでよし。從つて考え方によると、組合に入らなくても同様の結果を見ることができる。効果があるとすれば、むしろ組合に入らない方が利益ではないか。おのずからこういう考え方を助長して参るのであります。そういたしますと、古い考え方から行きますと、組合を組織しておる給合員によつてわれわれの利益は鬪いとられる。しかもその利益は均霑されて行くのであるから、わざわざ組合費を拂つてまで組合に入ることはない。こういう考え方がだんだん助成されて行きはしないか。從つて当然それは一つの組合結成を阻害する結果になると私は思うのでありますが、ただ單に自由という見解からこのような方針をとられたということは、必ずしも合理的ではないというふうに私には思われるのであります。これについて大臣の見解を伺いたいと思います。
#31
○増田國務大臣 組合員でない方が利益ではないかというわけで、だんだん組合に入らないようになるかもしれぬという御懸念のもとの御じ問に対しましては、私はそういうふうな御懸念は、あまり不必要とまでは申しませんが、この近代民主政治の確立という傾向にかんがみまして、また労働運動の現況にかんがみまして、健全なる労働組合であれば、入つてそして組合員として組合をりつぱに盛り立てる。こういうことを健全なる労働運動の確立という見地からも、望ましいことであるというふうに私は考えております。但し組合員たることが困るというような特殊事情があります特定の從業員について、組合員たることを持続せねばならぬという拘束は、やはり基本的人権に触れる。こういうふうに考える次第であります。
#32
○中原委員 労働組合法のできました目的といいますか、精神といいますか、それは事業場、あるいは工場、職場その他の場所で労働しておる労働者は、当然組合をつくるべきものであるということが前提になつて、労働組合法も制定されたものと考えなければならぬと思います。ことに先ほども申しましたように、日本の民主化ということがこの場合特に問題になるのでありまして、民主化して行くことの必要から、労働組合が持つておる一つの歴史的な役割は、決して一般に考えられるような、いわゆる自由主義的なものの考え方できまらぬのではないかと私は思うのであります。組合に組織ずけられて、そしてその組合の中で民主的な運営を通じて訓練を高めて行く。そうして労働階級の経済的、社会的な利益を守りながら、その大きく歴史的な目的に向つて成長させて行くことが、労働組合の結成を要請した主目的ではなかつたかと私は考えております。そうであれば、ただいまのように、なるほど加入の自由ということは、非常にけつこうに聞こえますが、まだわが日本の組織労働者の率は、必ずしも大成功を收めておるというわけではない。七百万に足らない。ようやく六百五、六十万になつておると思いますが、七百万に足らない組織の成績をあげておるにすぎないのでありまして、そういう場合に、少くとも全労働者を労働組合に結成せしめて、そうして全労働者の意思を正しく討議せしめて、労働組合のあるべきあり方を正しくあらしめて行くということが願いではないか。そういう一つの労働組合運動発展の過程において、ぽつりぽつり労働組合の一角から崩れて行くというような法律的な措置をすることは、何と考えても労働組合運動に対する一つの理解ある態度ではない。労働組合といえば、ただちにそれは労働者の一方的な見解から、社会の秩序を撹乱するかのごとき行動をあえてするものであるかのように考え、從つてむしろ労働組合に対する眞実の理解を持たないで、いわば一種の労働組合に対する干渉がましき國の方針をとるということは、これは何と考えても了承できないと思うのでありますが、オープン・シヨツプあるいはクローズド・シヨツプ等の問題については別にいたしましても、少くともこの関係法に現われて参りまする姿から見ますると、組合に入らない者も、また入らない者として、組合員の権限と何ら劣らない権限が付與されているということの意義は、一面非常に公平のごとく見えますけれども、何としても労働組合の圧迫になるということだけは間違いないと考えるのであります。こういう点については、いま少し愼重に労働組合運動に対する認識を持たれて、処理されるのが適当ではないかと私は考えるのであります。從いましてもう一度、この問題についての、あなたの確信のある中心点を御説明願つておきたいと思います。
#33
○増田國務大臣 御説はごもつともに拜聽いたしましたが、公共企業体の特殊性にかんがみまして、クローズド・シヨツプはよろしくないというように考えて、この四條、五條を置いた次第であります。
#34
○中原委員 それからこれは直接この法律案ではありませんが、この法律案と切り離すことのできない、いわゆる第二條の規定に基きまして、この公共企業体の中に入ります日本國有鉄道法案並びに日本專賣公社法案というものについて、ただ一点だけお意見を伺つておきたいと思います。それはこの法律案を審議いたしますために、非常に大切な事柄であると考えるからであります。といいますのは、この二つの法案を拜見すると、この法律案そのものの中に、すでにこの二つの企業体に從事いたしておりまする労働者が、きわめて危險な立場に置かれておる。というのは、この両法案に盛られております。総裁の権限の問題――総裁の権限が非常に強いために、労働者はまつたく自分の首を人に預けてしまつたようなことになつておると思われるのでありますが、関係労働大臣としてこの点については、当然いろいろ御意見のあることと思いますので、たとえば、解職権、罷免権の問題、あるいは懲戒権の問題というふうなことが、きわめて一方的に取扱われることになると思いますから、この点について一應御所見を承つてみたいと思います。
#35
○増田國務大臣 こまかい点は、法制局の局長が見えておりますからお答え申し上げまするが、総裁と職員との関係は、一般の企業体とはやや異なるのでございます。というのは、公共企業体の営む企業というものが、公共の利益に至大な影響を持つておるということ、それから公法上の法人であるということ、こういうような関係からいたしまして、公共企業体の使用者側と從業員との関係は、一般の労資対等の権利とは多少違う、――公務員と政府とほどは違いはないのでございますが、多少違う。こういうふうにわれわれ考えております。それから懲戒にいたしましても、その他の解職にいたしましても、一方的権限があるということをおつしやいますけれども、しかし、中原さんも御承知の通り、労働協約の中に、この個人々々の身分保障に関する協約は置かれておる次第でございまして、今度使用者側と職員間で労働協約がつくられまするが、その中に身分関係は書くわけでございまして、その協約に基いて――多分、局長があとで補足いたしますが、多分総裁が懲戒権あるいは任免権を行使する、こういうことになると思うのであります。
#36
○中原委員 この國有鉄道法案の二十九條を見ますと、職員は左の各号の一に該当する場合を除いては、総裁は、その意に反してこれを解職し、または免職することができない。こういうふうになつておるのです。そうして左の各号と一とは何かと申しますと、勤務成績がよくない場合、第三、その他その職務に必要な適格性を欠く場合、第四、業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合、こういう各号が設けられておりまするが、このような認定というものは非常に問題になる。そういうことを総裁の認定によつて決するということになれば、これは何としても從業員ははなはだ心配な立場に置かれるわけであります。もちろんこの法案自身、いわゆる國有鉄道法案あるいは專賣公社法案なるものは、直接労働大臣に責任があるとか、関係があるというのではありませんけれども、公共企業体労働関係法とこれは密接不離な関係にあるがゆえに、お尋ねをしておるわけであります。この点について大臣の見解、あるいは積極的には、この問題に対して相当な意見を持たれなければ、労働階級を保護することはできないと思うのであります。この点について一應承つておきたい。
#37
○増田國務大臣 お答え申し上げます。これはこの間中曽根委員と詳細な質問應答を繰返した次第でございますが、中原委員も多分いらしつたと思いますが、私先ほど申し上げた通りに、一般に基準というものは労働協約によつてでき上るのであります。その根拠は労働法の八條でございまするが、それに基いて懲戒権なり任免権なりについての運用なり免職なりをするということになつております。この國有鉄道法の二十九條との関係は、やはり中曽根委員が質問されましたが、國有鉄道法第二十九條というものは、むしろ職員の身分を保障した規定でありまして、一号ないし四号に規定された事項以外は、免職したり解職したり、その意に反してなすことはできない。身分保障の規定でございます。
#38
○中原委員 なるほど身分保障と言われれば身分の保瞬に違いない。しかしながら身分保障という表面の言葉にかかわらず、中に盛られたものはまつたく相違するのでありまして、ことにただいまも指摘申しましたように、勤務成績がよくないというような場合に、一体どの程度がよくないのか、どの程度が限界になるのかということは、非常な問題でありまして、また勤務成績がよくないとみなす一つの認定というものは、これは何と考えても労働階級としては大きな脅威でありまして、たとえば普通に勤めておりましても、どうもあいつは虫がすかない、どうもあいつの考えている考え方は危險である、あるいは意想的な問題その他の問題等について、氣に入らないというような場合に、勤務成績がよくないという條項が当てはまる場合もありましようし、あるいは第三の、その職務に必要な適格性を欠くというような――適格性という言葉はまことに危險な言葉であると思う。認定のしようでは、自電の氣に入らない者は、ことごとく適格性を欠くとして扱うことも、極端にいえば、できないことはないと考えますので、この点についてはもう一度承つておきたい。
#39
○増田國務大臣 これはまた逐條審議に入つたときに御質問願つてけつこうでございますが、逐條審議的な御質問として一應お答え申し上げます。もつとも、これは一般的な大問題でもございますが、要するにあなたのおつしやつた勤務成績がよくない場合とは何ぞやという、その基準は、やはり労働法の八條によつて労働協約の対象となり、労資双方面が納得いたしまして、かかる場合が勤務成績がよくないと認めるのである。そういうスタンダードは労働協約があくまできめるのでありまして、そういう場合、勤務成績がよくないと同樣であるとして、労働協約の規定の対象になることは絶対にあり得ない。その点はどうか御安心くだすつてよろしいと思つております。それからまた労働協約の中には苦情処理機関も設定されます。もしそういう感情的な上役がございますれば、こうした場合は苦情処理機関に持ち込むとか、あるいは調停機関に持ち込むとか、さらに強制仲裁機関に持ち込むとかいうようなことによつて、適正な人事行政が行わるべきものであるというふうに私は考えております。また行わしめなければ、労働省としても職員の福祉保護をはかつたことにならぬ。こう思つております。
#40
○綱島委員長 午後は正一時よりお願いいたします。
 休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
#41
○綱島委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
#42
○辻井委員長 第二條の2に「この法律において「職員」とは、」云々とあります。これが初めの間は三十日以内になつていたのが、二箇月以内に訂正されておるのですが、二箇月というのは非常に長過ぎるように思うのです。これはどういうわけでこうなつたのか、民間企業なんかでは大体一箇月が標準になつておるように思うのですが、ちよつと簡單な点ですけれども、承りたいと思います。
#43
○賀來政府委員 初めはなるべく短期間にという意味で三十日といたしておりましたのですが、基準法二十一條にも臨時的な労働者につきましては二箇月ということがありますし、それから國鉄及び專賣局におきまする共済組合の関係から申しましても、大体二箇月という基準を一般的にとつておりますので、それとの関連におきまして、二箇月ということにいたしたのであります。
#44
○辻井委員長 次に四條の但書に、「但し、管理又は監督の地位にある」云々、これは組合に加入することができないということになつているのです。管理、監督という方はまだ割合にはつきりしておるかと思いますが、機密の事務を取扱うということになると、非常にあいまいです。この具体的な点はどこでおきめになるのか、あるいはどういうことになつておるのか伺いたい。
#45
○賀來政府委員 具体的に申しますと、まだ政令で定めることになつておりますが、われわれの予定いたしております考え方といたしましては、人事、経理など企業運営に伴います機密の事務を取扱う者をいうのでありまして、さらに総裁の祕書等もこれに含まれるであろうということを考えておるのであります。つきましては、これは政令で定めることになつておりますが、現在の労働組合と國鉄、あるいは大藏省との團体協約、現行の状況を尊重しながら行きたいと思いまするし、さらにこの政令の定め方につきましても、そういう慣行については尊重いたしたい、かように考えておる次第でございます。
#46
○辻井委員 これはあとの條項にも関係があつたと思いますが、こういう点は團体交渉できめることにするのがほんとうではあるまいかと思います。一方的にきめるよりも、なるべく経営に支障のない限りは、組合に参加の自由を認めることが当然だと思いますが、一方的にきめるのではなしに、團体交渉によつてどこまでが利益代表であるか――利益代表という條項があとにあつたと思いますが、そういう方できめた方がいいように思うが、どうですか。
#47
○賀來政府委員 御趣旨ごもつともな御意見でありまして、一般の組合におきましては、さような方法をとつておるのでありますが、ただこの組合につきましては、第一條の精神にもありますように、できるだけ企業体の運営の円滑を期して行きたい。かような意味からいたしまして、できるだけ紛爭を少くして行きたい。かような問題につきましては、とかく從來いろいろ紛爭の基盤になつたことがありますので、政令で定めるという処置をとつておるのであります。けれども、実際の運営の行き方といたしましては、御趣旨のようにこれを運営して行きたい、かような考えを持つておる次第であります。
#48
○辻井委員 十七條の「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」この共謀、そそのかし、あるいはあおるというような言葉の範囲もすこぶるあいまいであつて、もしこういうものがあれば、相当問題が起つて來ると思うのですが、どういうふうに解釈をされておるのか。定義されておるのか。
#49
○賀來政府委員 この点につきましては、今定義と申しますか、そこまでははつきしておりません。ただこういうことだけは申し上げたいと思うのであります。この十七條自体につきましては、公共企業体の職員は公務員法のわくからはずしまして、これをできるだけ一般の労働者に近いところへ持つて行きたいというのでありますけれども、全部持つて行くわけには参りませんので、重要な関係につきましては、準公務員扱いをする。かような建前をこの法律自体が持つておるわけであります。從いまして、ここに書いてありまする言葉は、公務員法に書いてありますものと平仄を合わしておるようなわけであります。だれが具体的に共謀し、もしくは煽動したかという問題になりますれば、これは実際の問題は調停委員会あるいは仲裁委員会等が決定をして参りましようし、また最後的には裁判所がやるであろうということになつておりますが、趣旨といたしましては、公務員法の趣旨をここに持つて來ております。扱い方もこれに準ずることになつております。しかし公務員法と違います点は、これらの点につきまして、特別にすみやかに労資の関係を安定をしなければならないという建前からいたしまして、調停委員会なり、仲裁委員会がこれをすみやかに決定して行く。かような立場をとつておるということを申し上げたいのであります。
#50
○辻井委員 十八條では、「前條の規定に違反する行為をした職員は、この法律によつて有する一切の権利を失い、且つ、解雇されるものとする。」ということになつているのですが、これは直接解雇ができるのではないのですか。
#51
○賀來政府委員 これは直接という意味なのでありますが、公共企業体自体に対しまして解雇する権能を與えておる規定でありますから、直接という御質問が、何か一應仲介機関を経ての意味ならば、さようなことはありませずに、直接公共企業体自体が、これを処置するということの権能をきめておるわけであります。
#52
○辻井委員長 先ほど局長から、調停委員会あるいは仲裁委員会にかけることができるから云々という御答弁がありましたが、最近のいわゆる反動攻勢によつて、至るところに頻々と起つている問題で、一旦不当な解雇を受けて、いわゆる十一條違反で労働委員会に提訴をしても、決定するまで解雇されたものであるというのと、ちつともかわりがないように思うのです。しかも共謀とか、そそのかし、あるいはあおるというようなことは、かつて治安警察法が惡法だといわれていたが、あれにもやはり誘惑、せんどうというような言葉があつて、伸縮自在に解釈されて大勢の犠牲者が出たのですが、あれと同じように、一旦一方的な解雇を受けて処分を受ければ、調停委員会あるいは仲裁委員会にかけても、決定するまでには相当の期間があるわけです。こういう点で、やはり一方的に処分ができるということは、非常に大きな弊害を伴うことになると思うのですが……。
#53
○賀來政府委員 この点につきましては、関係者といたしましては、非常に愼重に考えた点でありまして、本法自体は、爭議権を持つていないのと、同時に十八條のような規定があるわけであります。從いまして、どうしてもこの組合法によりまする十一條、すなわち團結権の保護のための規定は、ここに持つて來なければならないというので、この趣旨を入れておるわけでありますが、さらに現行の労働組合法において、最も大きな欠点は、ただいま御質問の点であります。すなわち労働委員会は、不当な行為がありましたときに、これを労働委員会で決定いたしますが、これは裁判の最後決定に対する請求権を有するだけでありまして、仮処分的な権能を持つていないのであります。これでは事実不当な扱いを受けました労働者が、現実に受ける被害は非常に大きくなりますので、三十六條におきまして、仲裁委員会が取消し処分ができるというふうな規定を入れたのであります。この点では労働組合法よりも進歩的な規定をいたしておる。かような考え方を持つておるのであります。
#54
○辻井委員 罷業権についてお尋ねしたいのですが、これは労働大臣に政府の方針を聞きたいと思いますから、あとへまわすようにしたいと思います。これから團体交渉の單位を決定するというのについて、これはこれから新しく團体交渉が始まるのでなしに、現在すでに全部の職員が組合に加盟して團体交渉も相当繰返されて來ておるのですから、そうすれば、ことさらにこういうやつかいな規定をつくらなくても、現在の慣例といいますか、必要に應じて生れ來た、また今後必要に應じて、適当に自主的に、組合單位を決定さすようにすればいいのではないかと思うのです。
#55
○賀來政府委員 御意見はごもつともでありまして、御意見の趣旨はこれに盛つておるとともに、運用自体におきましても、さようなことを考慮いたしておるのであります。ただ二点について御了解を願いたいと思いますことは、第一点は從來の團体交渉権は労働者の個々の不平、不満、要求というものがあるのであります。一例を申しますと、今年北海道の國鉄が盛んに地域鬪爭をやつたのでありますが、現地に行つて調べてみますると、事実北海道地区において非常な不平、不満があるのはもつともだと考えられた例があります。たとえて申しますならば、炭鉱の方の労働者は十分ゴムぐつなり、手袋なりを冬季においてもらつておる。ところが鉱山に車をつつ込んで参りますときに、國鉄の労働者は手袋やら、あるいは防寒の用具やら、あるいはゴムぐつが不足している。これについての不平がだんだんだんだんまとまつて、あるいは大きくなりまして、ああいうふうな地域鬪爭に入つて來た。ところで、かような不平、不満が、全國一本で中央でやつておるときには、取上げられないという場合が非常に多いのであります。
 さらに例を申しますと、全逓の鉄道郵便に從事しております人は、四十万のうち約一万四千にすぎない。ところでこの鉄道郵便の方の從業員は、いろいろ不平不満があるのでありまするが、全國大会すなわち全國一本としての交渉になりますると、とかくそういう不平不平が取上げられない。これが全体ずつと寄つて來ますると、大きなトラブルを起して参りまするので、まず現地の個々の労働者の不平というものをできるだけ片ずけて行きたい。これが全体の労働紛爭というものを少くする大きな原因になつておる。かような意味におきまして苦情処理なり、團体交渉の單位を小さく区切つて、問題をできるだけ片ずけて行くことが必要だというので、交渉の單位の決定については、自主的に決定するということを原則といたしまして、なるべく小さい單位から交渉單位を設けて行きたいというのが一つであります。それから第二の理由といたしましては、交渉單位の決定いかんという点は、労働者の福祉に影響が非常に大きいとともに、これがスムースに團体交渉に行くようにいたしますためには、交渉單位を明確に規定しておくことが團体交渉があまく行く大きな原因になる。かような意味合いにおきまして、これらの條章におきましては、交渉單位を自主的に決定するが、自主的に決定しないときにはこれをすみやかに決定いたしまして、できるだけ紛議を早期かつ平和的に片ずけるということを予定いたしておるわけであります。
#56
○辻井委員 まだ二、三点残つている点は、大臣が見えてからいたしたいと思います。
#57
○久保田委員 大体この間大臣から伺いまして、わかつておるのですけれども、私その中で、まだ大臣に伺わなければならな点があるので、お伺いするわけですが、労働者の基本的な人権の問題でございます。公務員の場合でも、原則としてこの問題を尊重しなければならない、かように思うわけです。と同時に、公務員が公的な立場におきまして、また国家機関の一部としての行動をいたします場合、その個人的な立場を考えましても、基本的人権と、その行使いたしまする問題とが、調和し得なければならないのではないかと、かように考えるわけであります。ために、この問題については、明確な條件のもとにおきましてのみ、その基本的人権に対する問題が起きて來るわけでございますので、この問題につきまして、やむを得ない場合もあり得ましようが、労働大臣はこういつた問題に対して、どう考えておられるかということを伺いたいのであります。
#58
○増田國務大臣 久保田さんの御質問にお答え申し上げます。お説の通り、基本人権はあらゆる場合において原則的に最も尊重して行かなければならぬ、こう思つておる次第でございます。
#59
○久保田委員 そのことならよくわかるわけですが、私は公務員は國家の公益を守るために、また政府の職員に課せられる問題等を合せて考えまする場合には、これは別の制軽があるということも考えられますが、このために常にまた政府においては、職員のために十分なる保護とその手段を講じなければならぬと思います。公益のために公務を負わされておりますので、公務員に対しまして、政府はこの生活の保障を断じてなしてやらなければならぬと思うのであります。この問題についてお答えを願いたいと思います。
#60
○増田國務大臣 御説の通りでございます。公務員は政府との関係において特別に制限を受ける。この事実はまた公務員に対しては、その福祉と利益とを擁護する特別の手段が講ぜられなければならぬ。こう感ずる次第でございます。
#61
○久保田委員 日本の公務員は、國家の機関の一部といたしまして行動する。その官吏としての立場のほかに、労働を提供することを大体主体といたしております多数の下級官吏の從業者を含む、特殊な事情にあるから、その勤労者の團結権、あるいは團体交渉権、その他の團体行動を制限すべきでは断じてない、かように思いますが、大臣はどうお考えでございますか。
#62
○増田國務大臣 お答え申し上げます。公務員は、政府との関係においては、特別の制限を受けておる事実のやむを得ないことは、先ほど久保田委員も御承認になつた通りでございまして、特別の制限を受けるのは、特殊の地位にかんがみてやむを得ない点は御了承願いたいと存じます。ただしかしながら、不必要な制限を受くべきものではない。從いまして團結権はこれを認める。また労働協約締結権はないけれども、團体交渉の権利もまたこれを認めるという方向に政府は努力し、またこれを法規の上に現わしておる次第でございます。
#63
○久保田委員 なお封建的官僚主義を打破いたしますにつきまして、官吏機構の民主化は、公示員の健全なる労働組合の発達によつて、廣くまた國際的にも認められるものと思うのであります。そういう意味から、労働者の権利を生かさなければならぬ、かように思いまするが、大臣はどうお考えになりますか。
#64
○増田國務大臣 官僚機構が從來封建的であるということであつたならば、これを打破うることが必要だと思つております。また多少あつたのでございますから、これを打破する意味合いから、公務員法が新しく制定されたわけであります、その制定された新しき公務員法が、今回時日の経過にかんがみまして、施行後の経驗に徴して、一部改正が必要であるというわけで、改正案が皆様のお手元に提案されておる次第であります。大体それだけであります。
#65
○久保田委員 大体わかりましたが、私なおいろいろな問題についてお尋ねしたいのでございますが、それは逐條審議に入りまして申し上げたいと思います。ただここでもう一点お伺いいたしたいのは、労働三法とまだ船員法の適用をすること、これが最も大切なことであろうと思いますとともに、また政治活動の面に対しましても、いろいろ法案の上によりますると、制限されておるのでございますが、こういうもの等に対しても、ぜひこれは法案の上にあります字句を削除して、認めるべきである、かように存じておるわけであります。この点について一應御意見を伺いたいと思います。
#66
○増田國務大臣 労働三法等は、できればこれを適用したいというわけで、從來の國家公務員については、適用があつたのでございまするが、ポツダム政令が出まして以來は、適用がなくなつて次第でございます。しかしながら官吏のつくる法人たる職員組合と申しますか、労働組合につきましても、その労働関係については、本質問にそうかわりはない、こういうふうに考えておる次第であります。幾多の法規が準用されておるということも、この改正案を読んでくださるとおわかりの次第でございまして、どうか御了承願いたいと存ずる次第であります。
 それから政治活動については、新聞等に見えておりまするが、要するに人事院規則でこれを制限的に列挙する次第だと私は思つておりまするけれども、私の考えとしては、公務員たる職責を果す上にさしつかえないならば、政治活動をその範囲において許すべきである、さしつかえのある限度においてこれを禁止すべきである、こう思つております。
#67
○久保田委員 辻井さんの審議の途中を横取りしましたので、あとは辻井さんの審議が終つてから、お飼いすることにいたします。
#68
○辻井委員 團体交渉の範囲の問題ですが、これも相当論ぜられましたから、ごくおもな点だけを伺いたいのですが、この企業体の從業員の賃金の基準はやはり人事院が決定するわけですか、それだけお伺いいたします。
#69
○増田國務大臣 この公共企業体の職員は、人事院の所轄ではございません。
#70
○辻井委員 團体交渉の対象から管理、運営が除かれておる点ですが、管理、運営といいましても、國有鉄道法案にありますような、路線を延ばすとか、休止するとかいうような点は、これは労働組合に直接大した関係がないかと思いますが、そのほかの点については、ほとんど組合に関係ないものはないように思うのです。たとえば賃金、労働時間というふうな問題にしましても、これはすぐ予算に影響して來る問題であります。それで運営とか、管理とかはつきりされる問題においても、必ずこれは職員に響いて來る問題なのであつて、こういう点は、経営協議会にような形で、やはり組合との間にそうした問題を取上げるというふうにするのが、ほんとうではないかと思いますが、この点どういうお考えですか。
#71
○増田國務大臣 一般の経営、管理が今度は除かれておることは、辻井さんの御指摘の通りであります。ただしかし、それが労働條件に直接響いて來る問題は、労働協約の対象の第一号にかかつております「賃金、労働時間及び労働條件」、この中で規定されることになつております。
#72
○辻井委員 賃金は一体どうなりますか。團体協約の対象になつておりますが、もし賃金を何割か上げろということになれば、全体の予算の上に大きな影響を及ぼすだろうと思います。もちろん運営、管理については除外になつておつて、あとでまた國会承認を経なければならないというふうな條項もあるわけですが、そうなると結局これは管理、運営の範囲にまで入つて行くことになるのではないかと思いますが……。
#73
○増田國務大臣 この管理、運営といいますと、経営協議会等で從來議題となつておる事項でありまして、たいてい事業関係の日々に運営のことまで協定の内容になるわけでございますが、公共企業体の特別の性質にかんがみまして、管理と運営とは除かれるということになつております。ただ御指摘のごとく賃金等はもちろん協定の内容であります。その賃金は予算とからみ合せないで、たとえば非常に高く決定されるというような場合には、これは十六條によつて政府を拘束せず、あるいは國会の承認あるまでは支出ができない、こういうことに相なる次第であります。
#74
○辻井委員 今の御答弁でも、これは管理、運営というのがどういうふうに定義されるのかしれませんが、やはりそういう範囲にまで入つて行くことになつておると思うのです。そうすると、もつと一般的な経営上のはつきりした管理運営と考えられるような点に対しても、これは團体交渉の範囲には入らぬにしても、別に民間の企業で行われておる経営協議会にような形で、やはりこれを取上げるようにすることが、いわゆる経済復興に協力さすことにもなるので、その方がかえつてどちらにもいいのではないかと思いますが、もう一度伺いたい。
#75
○増田國務大臣 たとえば汽車を何本出すとか、あるいは帳簿の点檢をするとか、そういうようなことが管理であり、運営でございます。そういうようなことはこの公共業体の特殊性にかんがみまして、よろしくない、労働協約の対象にすべきものでないという意味で、除外された次第でございます。
#76
○辻井委員 ますます納得しかねるのですが、そういう方面に対しても、現場に働いている者の経驗とか、創意とかを十分に生かす機会を與えることが、経営の上にも非常に有利ではないかと思われるのです。そこで決定しなければならぬというのではどうかと思いますが、そういう創意とか、あるいは経驗とかいうものを経営の上に、あるいは運営の上に、大いに活用するという意味で、そういう廣い範囲の協議会というようなものを設けることが、私はよいのじやないかと思うのですが、もう一應伺いたいと思います。
#77
○増田國務大臣 協約をつくりますと、協約に縛られることになります。たとえば臨時列車を出すとか、あるいは急鉄列車をさらに一本ふやすとかいうことが、一々労働協約の対象になつておりますと、これは円滑にして、しかも敏速なる運営ができにくいということになりますから、協約の対象から除外した次第でございます。もつとも辻井さんの御心配の、現場の人が一番業態をよく知つており、どこをどういうふうに運営したらよかろうというようなことは、随時随所において意見を使用者側に申し出るべきものである。また使用者側は、これらの実地の事務の担当者の意見を聞いて経営もし、管理もすべきものである、こう思つております。
#78
○辻井委員 それから昨日か、中原君もちよつと質問していたのですが、交渉團体、あるいは交渉の相手方の職員側であります。これはあるいはいろいろな方面との関係から、クローズド・シヨツプにすることは困難かとも思いますが、未組織のものまでも予想して対象とすることは、どうもおかしいと思うのです。現在事実組合が全部できてしまつておる。特に國鉄は相当自己反省もやつて、民主的に組合が健全化している。そういう組合を現実には対象としてつくられるのであるにもかかわらず、組織のない職員までも対象にするということは、これはどうも非常に時代に逆行した行き方だと思いますが、これは何かやむを得ぬ事情があるのかどうか承りたい。
#79
○増田國務大臣 辻井さんの御指摘のごとく、國鉄労働組合が非常に健全な方向へ向つておることは御同慶の至りであります。そこでああいう行き方でしたならば、ああいう労働運動がますます健全に発達するように、われわれとしても、職責上果すべきところを果すべきであると思つております。但しこの法案がユニオン・シヨツブであることは、未組織の勤労大衆の組織化することを、妨げるわけでは絶対にありません。すでに御指摘のごとく、國鉄のごときは、ほとんど從業員の大部分が労働組合を單一に結成している次第でございまして、こういうものがますます健全に発展することをこいねがつておる次第でございます。
#80
○辻井委員 それでは交渉委員を選挙する母体は、労働組合ということに限定されてはどうかと思います。その方が正しい行き方であつて、國際労働機関なんかに代表を送るのも労働組合でなければ送れない。昔は日本でも、組織のない労働者から天くだりの代表を選んで送つて問題になつたこともありましたが、やはり組合から選ばれたものでなければ、資格がないということにしておけば、それで十分だと思うのです。そうでなしに、もし組合がなくてもということになれば、これはわれわれ古く労働組合の経驗を持つている者から見ますと、現在大きな組織ができていても、一般の組合員は非常に遅れておる。こういう規定があれば、これに便乘して遅れた職場は、組合がなくてもというようなことになつて來るおそれがある。極東納員会の十六原則を見ても、組合を國がつくることはいけないけれども、自由に組合が組織できるようにし向けて行くべきであるということが規定されている。これでは、どうも組合を退歩に導こうとするかのごとき意図が含まれているような疑惑を、労働者側に持たすおそれがあつて、非常にまずいと思う。
#81
○増田國務大臣 辻井さんの御心配のようなことはないわけでございまして、いやしくも労働者が、労働組合を結成する権利、あるいは團体交渉権、その他の團体行動をなし得る権利は、やむを得ざる場合のほか、原則的に尊重すべきことは憲法にも明示されておる次第でございまして、組合員でないがために、これらの権利を拘束することは、これはほんとうに違憲問題も起きて來ると私は思う次第であります。そこで現実の問題といたしましては、國鉄のごときは國鉄單一労働組合ができておりまして、非常に健全な活発なる活動をしておりますが、ああいう労働組合が主として活動することに相なる次第であります。但しほかの組合のできる余地をも全然拘束することは、これはよくない次第でございまして、ほかの組合ができることも予想してこれらの法規は置いてございますが、そういう場合も、私は主たる組合が主として活動することに相なるものと思つております。これらの法規自身はむしろ民主的にできているのであつて、その運営もまた民主的にすべきものである。御懸念のような場合はないというふうに私は感じております。
#82
○辻井委員 今組織を持つていない者の代表を選ぶ権利を認めないことは、憲法違反のおそれがあるというような意味の御答弁があつたのですが、これは非常にけしからぬ御答弁であると私は思う。憲法で認めているのは、勤労者の團結権、團体交渉権、及び團体行動を行う権利ということになつているのであつて、組織していない労働者の代表を選ぶ権利というものは、憲法のどこにも認めていないのである。要するに團体をつくつておればこそ、團体交渉権があるのであつて、團体をつくつていないものに、むりや形で代表を選ばすことは、團体交渉権ではない。團体交渉権は團体が前提になつている。團体をつくつていない者の代表権を認めることは、嚴密にいうなら、かえつて憲法の精神に違反すると思うが、この点どうお考えになりますか。
#83
○増田國務大臣 憲法というのは基本法でございまして、労働組合法のごとくそう嚴密に解釈して行かなくてもよろしい、またすべきものではないと私どもは思つております。要するに労働者の團結権、團体交渉権、その他團体行動をなし得る権利は保障されなくてはならない、たしかこういう條文だつたのでありますが、この團体行動というのは、労働組合的な行動ばかりではないと私は思つております。集團として労働者が行動する、そういう行為も保障されなくてはならないという意味だと思つております。
#84
○辻井委員 これは相当大きな問題で、私は私の考えが正しいと考えておりますが、労働組合法によつても、同じ企業、あるいは地域において四分の三でしたか、までの間にとり行われた協約は、これを一般に行わなくてはならぬということになつておる。原則はやはり團体を中心にすべきであつて、多少團体からこぼれているものがあつても、労働組合法の規定のように、少くとも四分の三以上が團体をつくつて、それによつて行われた團体交渉の結果は、組合をつくつていない者にも及ぼして行くというふうにするのがほんとうであつて、こういう規定をつくつていると、遅れている労働者の間においては、組合に対する必要性をだんだん認めなくなる。あるいはまた國がこういう法律をつくれば、そうでなくても、もう民間の中小企業なんかの間においては、盛んに組合をぶつこわすような資本家側の策動が今行われておる。これにまつたくよい手本を示すような結果になると思います。
#85
○増田國務大臣 御説のような御心配はございましようが、憲法解釈もしくは法律解釈としては、あくまで私が申し上げる通りでありまして、憲法二十八條は労働者の團結権、團体交渉権、その他の團体行動はこれを保障されなくてはならないという趣旨がたしかうたつてあると思いますが、この團体行動を労働組合の活動だけといたしますと、一つの労働組合と他の労働組合とが、また一つの連合会でもつくつていない限りは、二つの組合のデモンストレーシヨンをやるということは、禁止されることになると思います。とにかく集團的の行動は労働者としてなすことを保障する、こういう規定でありますから、かりに労働組合を結成しなくても、代表者を出すというような機能も與えられておるし、また労働組合の結成準備会でありましても、メーデー・プロセツシヨンに参加することは許されておる。こういうふうに御解釈くださることを、特にお願い申し上げる次第であります。
#86
○辻井委員 これは議論になりますから打切りたいと思いますが、今の大臣のような御方針でありますならば、終戰以來とつて來た政府の方針と、まつたく私は逆行するものだと思います。またこれは極東委員会の十六原則にも反しておると思います。あらゆる民主化の運動に、あるいは産業復興に労働者が参加しなくてはならぬ。その背後には常に労働組合を予想し前提としておることは明らかでありまして、それがまたばらばらの組織されていない労働者であるならば、これは労働者というよりも、國民の一人と見てよいのでありまして、労働者としての特殊な経済的な環境に置かれておる者が、その権利を主張し、あるいは民主化のために、産業復興のために盡すというには、これはもう組合をつくる、組合員を單位にしてやるよりほかに道がないのであつて、これは私はおそらく國際的な通念ではないかとまで考えております。議論にわたりますから、私の質問はこれで一應打切ります。
#87
○山花委員 二、三質疑をしたいと思います。せんだつて辻井委員の質問に対する労働大臣のお答えの中で、この労働関係の公共企業体の法案が終ると、これに現在包含されてない地方公務員、それから教職員の公務員法、こういうようなものを立案する予定である。こういうようなお答えがありましたが、そのとき辻井委員の方から、それ以外の一般の企業と別個の形になつておるところの、たとえば船舶運営会であるとか、食糧公團であるとか、これらの組合の取扱いをどうするか、こういう質疑に対して、これは政令が存置しておる限り、政令によつてこれらの組合を扱う、こういう御答弁がありました。あるいは私の聞き違いかもわかりませんが、もう一應明確にこの問題をしていただきたい。
#88
○増田國務大臣 山花さんの御質問にお答えする前に、辻井さんの御質疑のうち私として答弁すべきものがあるようでありますので、御答弁申し上げます。というのは、私のような解釈で行くと、終戰後における労働政策は一切間違つておるというようなお話でありますガ、私は一般労働政策に触れて申し上げておるのではありません。今申し上げたのは、憲法第二十八條の解釈でありまして、勤労者の云々、團体行動はこれを保障されなくてはならぬ、こう書いてあるわけでありまして、勤労者の組合と、こう書いてありません。從つてもし辻井さんのような解釈になりますと――私は憲法論と法律論だけを申し上げておるのでありまして、このことを前提としてお考えをとくとお願いしたいのですが、つまり労働組合だけの活動を保障するということになりますと、勤労者が労働組合を結成するという行動は許されないというような法律論、憲法論になります。これはもちろん労働組合の結成準備会的な行動も許されるし、とにかく勤労者が労働組合運動、あるいは労働組合運動でなくても、労働運動をすることは、團体行動であるならば、保障されなくてはならぬ、こういう意味合いに特に御解釈願いたい。こうお答えする次第であります。一般労働政策について文化的な、進歩的な政策をとるべきことはもちろんでありますが、ただ政府としては、組合を破壞するといつたような行動はもちろんとりたくありません。しかしながら、クローズド・シヨツプのみでなくてはならぬというような解釈は私としてはいたしたくない。そこは御承知の通り、日本の労働組合法はクローズド・シヨツプでもよろしいし、またユニオン・シヨツプでもよろしい、そういう点は、タフト・ハートレー・アクトよりも、ある意味においては進んでおるということが言えると思います。とにかくタフト・ハートレー・アクトとは違つておる状態でございます。
 それから山花さんの御質問にお答え申し上げますが、今度國家公務員だけは、とりあえず政令の中から引き出しまして、その身分を御主的にする。放任されておるといつたような状態は、いろいろな疑問の点もありますから、國家公務員法が百何箇條にわたつて改正されて提案されておる次第であります。國家公務員と解釈されるべき者は、一切この改正案が通過した場合いは、その改正法に支配されるわけであります。公團職員は國家公務員ということになつておりますから、これに支配されることになるのであります。ところが地方公務員だけは、これも山花さんも御存じの通り、國家公務員ではございませんから、國家公務員の改正法に支配されない。そこでどういう状態になるかというと、結局ポツダム政令がその範囲ではやはり生き残つて政令の支配が続く、こういうことになる次第であります。
#89
○山花委員 そういたしますと、先ほど一例をあげて船舶運営会、あるいは食糧公團のようなものということを私申しましたが、それらも國家公務員法の範囲内で該当するのかどうか。
#90
○増田國務大臣 船舶運営会のことは私はちよつとわかりませんで、今專務当局にお聞きしたのですが、今度公團になるそうであります。私が運輸省におりましたときにつくりました船舶公團ですが、それから一般の食糧公團、油糧公團、その他の公団は、もちろん公團でございまして、今回一般職になつた國家公務員であります。
#91
○山花委員 次のときに一應その問題について議論をしたいと思いますが、そこでこれらに包含されない、いいかえれば地方公務員、あるいは教職員の問題については、一應法律が出るまでには政令で縛られる、こういうことになるのですか。
#92
○増田國務大臣 國家公務員でないものは政令で縛られることになります。
#93
○山花委員 そこでせんだつての辻井委員に対する答弁の中に、これらの問題も急速に別個の法案を立案中である、人事委員会または関係筋と折衝協議中であるというふうな御答弁がございましたが、急速にそれをやるような予定になつておるか、どうかということをお伺いいたします。
#94
○増田國務大臣 今折衝いたしておるところは、人事委員会と関係方面と折衝いたしておる次第であります。從來かうやつておつた次第でありまするが今のところは、私が討論する範囲でございますが、まずこの四公務員関係の法律のことに、人事委員会も忙殺されているのではないかと推察する次第であります。
#95
○山花委員 こういう法律の立案については、民主的につくつて行きたいのはお互いの持つ念願でありますが、せんだつての御答弁を聞いておりますと、人事委員会と関係筋との協議云々ということを答弁なすつたと記憶しておるのでありますが、從來の労働法制審議会というのば今残つておるかどうか、もしそれを残つておるとすれば、こういう機関とも協議して次の法律をつくる意思があるかどうか、これをひとつ御答弁願いたいと思います。
#96
○増田國務大臣 今御指摘の審議会は、労働省の設置とともに消減いたしましたが、労働省といたしましても、また他の主務省といたしましても、たとえば文部省の今御指摘の教育関係も、今度できるべき人事院と密接なる連絡をとつて、適切妥当なる新公務員法を制定いたしたいと存じております。
#97
○山花委員 その場合に、労働法制審議会のような機関がなくなつておればやむを得ませんが、たとえば地方公務員法をつくる場合、あるいは教職員公務員法をつくる場合に、教職員の組合の代表者、もしくは地方自治労連というような組織の代表者を入れて、協議して來るべき法律をつくるというふうにお考えになつておるかどうか、それとも人事院と関係筋との折衝によつてのみ、この法律を立案される意思であるかどうか、この点について御答弁願います。
#98
○増田國務大臣 ごもつともな御質問でございますが、現在は別に委員会といつたような構成は考えておりません。ただしかしながら御指摘のごとく、人事院と関係筋とだけの交渉にゆだねるということも、またよろしくないと思つておりますから、それぞれの主務省が勤労者の福祉利益の擁護のために、人事院と緊密に接触を保ちまして、新しきりつぱなる法案を得たいと思つております。それで今度主務省なり、人事院が草案をつくる場合には、もちろん御指摘のように、勤労者から廣く意見を徹して適切なる案を得たいと思つておる次第であります。
#99
○山花委員 その場合に勤労者の團体である各組合の発言を單なる諮問機関というような形で扱うのか、それとも法律立案の構成員の一員として、それらの組合の発言を認められるのかどうかお伺いしたい。
#100
○増田國務大臣 法律草案制定の一つの要件事項という意味の協議会は、私は少くとも今のところ考えておりませんが、できるだけそういう方々の意見を尊重して参酌すべきものであると考えております。
#101
○山花委員 この問題につきましては、私もいろいろ意見がありますが、今意見をやつておるのでございませんから、一應終えたいと思います。今度マツカーサー元帥の書簡によつて、國家公務員法に関連する一連の法律が立案されたといわれておりますが、この法律の内容は、だれしも認めておるように、一般企業関係の労働者諸君と比べて参りますと、たとえば罷業権利がないとか、あるいはその他いろいろなる拘束を受けて、一般企業の労働者とは不平等の取扱いを法律の上で受けておるのであります。言いかえれば、完全なる労資対等という立場に立つて、いない。もちろん公務員と國との場合には、労資関係がないという答弁を伺つたように私は記憶しておるのでありますが、國の公僕としての公務員の立場はわれわれはよくわかるのであります。しかし基本的人権を持つ國民の一員であるということも、否定することのできない方々でありまして、もしこれが一般企業の労働階級に比べて何らかの形で自由が束縛されるというのでありまするならば、当然マツカーサー書簡に示されておりますように、妥当なる一定の――私は文化的とは申しません。今日の日本の経済の実情から見れば、やはり最低生活になると思いますが、最低の生活水準を維持する責任を國が負わなくてはならないと思うのでありますが、これに対して労働大臣は、最低生活の水準を一体どの程度の金額表示でお考えになつているか。たとえば人事委員会ではせんだつて一應の賃金水準の発表がございまして、あれに同意をされるという意味の答弁があつたと思いますが、さてそれを実際に移し実行する場合には、むずかしいとか、あるいはわれわれなことを言つておられましたけれども、私どもは人事委員会の発表では、今日の最低生活は保持できないと考えておるのであります。これはいろいろ見解の相違もありましようが、労働大臣としては一体どの程度の金額で表示されたものが、今日の日本における最低生活水準とお考えになるか。もしできるならば一應金額表示で知らせていただきたいと思うのであります。
#102
○増田國務大臣 労働大臣に対する御質問は大分難質問でありまして、なかなかお答えもしにくいのでございますが、その前段の、公務員たる勤労者の労働條件は、できるだけこれを尊重して改善することに努めるべき義務を政府が負担しているという点は、全然同感でございます。そこで山花さんは、最低生活の維持をまずやればよろしいし、また経済界の現段階ではそれくらいしかできないであろうというお言葉でありまするが、その点も私非常にけつこうな御意見であると思つております。そこで最低生活とは何ぞやという問題になりますが、今のところ昭和九年ないし十年の賃金を一〇〇といたしますと、今大方の勤労者は四〇ぐらいしかもらつていないわけでありまして、賃金による購買力は非常に少いわけでございますから、ほんとうの最低生活ということになりますので、いわゆる最低生活の保持を要求するという、あの勤労大衆の要求するような最低生活ではないと私は考えております。これもまたやむを得ない結果になつていることは、山花委員の御共鳴くださることでありますが、そこで金額を表示するということになりますと、これはなかなかむずかしい問題でありまして、CPIとかCPSとかいう計算をいたしますと、いろいろな数字が出て参ります。これは役所によつて数字が違つて参りますが、この前の三千七百九十一円というあのベースが低いということは、当時からも問題があつたのであります。あの数字を基礎にして計算いたしますと、必ずしも六千三百七円という数は出て参つておりません。しかしながら皆さんの御協賛くださつたあの数字自体が、ほかの一般産業労働者に比べて低いところできめられているという非難は、当時からあつた次第でございますが、ああいうことを離れて、一般の消費者價格の水準から計算いたしますと、現在の人事委員会の出した数よりもまだ高い数が出て來るようなこともあるのであります。しかしながらまた五千三百円というような数も出ますし、五千五百円というような数も出る。價格というものが当てにならぬものであるという結論になるかもしれませんが、しかしそれぞれ理由のある根拠からCPI、CPSの計算をしてみますと、またそれぞれ違つた数が出て來る。こういうことに相なつております。そこでわれわれは、まず人事院の勧告にかかる六千三百七円は妥当なものである、これをぜひ財政が許すならば実現いたしたいという方向で向つておることを、御了承願いたいと思います。
#103
○山花委員 人事委員会の発表の六千三百七円は、労働大臣としては一應妥当の金額表示であるというふうにお答えになつたのでありますが、しかしそれを実現するためには、一般の財政的考慮が非常に必要であるということであります。もちろん財政的考慮が必要であることは、われわれも認めるのであります。そこで私どもの考えといたしまして、いたずらなる名目賃金の引上げよりも、むしろ実質賃金の確保、これに重点を置いて、勤労者の生活を保持する政策をとつていただきたいということを望んでおるものでありますが、問題になりますのは、たとえば三千七百円ベースから、かりに六千三百七円のベースに引上げされましても、実質的には四箇月前、五箇月前の三千七百円ベースより低い、こういう金額計算が現われて來るのであります。その一番大きな原因となるのは、勤労所得税、給與所得税の関係でございますが、実質賃金を確保するという建前から、少くとも勤労によつて得た收入に対する課税であるところの、この勤労所得税を軽洞、もしくは全免する意思があるかどうか、そういう政策が可能であるかどうか、労働大臣はどうお考えになるか。もちろんこれは大藏省の関係もあるだろうと思いますが、労働大臣一個の見解として御答弁願いたいと思うのであります。
#104
○増田國務大臣 山花さんは、なかなかむずかしい質問をされて、実は非常に恐縮したり、敬意を表したりする次第でございますが、まず政府といたしましては、やはり統一的の行動をとり、統一的の意思表示をするよりほかには、やり得ない次第でございまして、お説のように、勤労所得税が一般の所得税に比べて同じ率であるということは、これはできればひとつ軽減もいたしたい、こう思つております。
#105
○山花委員 せんだつて他の委員の質問に対する労働大臣の答弁といたしまして、労働協約権はないけれども、ある程度の團体交渉権はある、こういう御答弁だつたと思うのでありますが、ある程度の團体交渉権というのはどの範囲内をいつているのか、それをひとつ御説明願いたい。
#106
○増田國務大臣 山花さんの御質問は、この公共企業体労働関係法でなくして、國家公務員法のことと前提してお答えいたします。御承知の通り、公共企業体労働組合は、これは團結権もあり、團体交渉権もある。ただこの提案によりますと、爭議権はない、こういうことになつております。ところが一般の國家公務員は、團結権はあるが、團体交渉権としては、労働協約は締結できない、しかしながらその他の交渉はなし得る次第でございまして、その他の交渉というのはどういうことかといいますと、今の政令にもございますが、結局意見を申し出るとか、あるいは苦情を申し出る、あるいは月給け上げろとか、賃金を上げろとか、そういうようなことについて、團体的に政府と交渉する権利が與えられている次第でございます。
#107
○山花委員 経済再建三原則にのつとつて、いろいろ労働政策その他の政策が行われていると思うのでありますが、赤字融資は行わないとか、あるいは價格補給金を出さないとか、物價改訂を行わないとか、この経済再建三原則を確実に守つて参りますと、当然一般企業の面においては、事業の縮小あるいは廃止というようなことが生れて來ると思うのであります。もし政府の関係において、あるいはこの公共企業の関係において、それを嚴守する場合に、当然予想されるのは、官公職あるいは鉄道、專賣職員の行政整理の問題が浮び上つて來るのではなかろうかと、私どもは予想しておるのでありますが、政府においてはこの三原則を遵守する建前から、そういう行政整理の政策が現われて來るかどうか。もしそれが現われる場合には、どの程度の行政整理を考えておられるか。その行政整理が予算面と実際人員の関係で、大して勤労者に及ぼす被害がないのかどうか。こういう点でひとつおわかりになつている点を、はつきり御答弁を願いたいと思うのであります。
#108
○増田國務大臣 三原則それ自体に対する御質問ではないようでございますから、このことには触れませんで、結局三原則を嚴密に適用するとすれば、行政整理をしなくてはならないだろう、その範囲、方針いかんという御質問にお答え申し上げます。行政整理は、三原則があつても、なくても、この政府を支持している民主自由党といたしましては、公約の政策でございまして、一般には産業合理化の方針のもとに企業整備をする、それから行財政整理もする、もちろん積極的の産業政策は、そのかわり興すべきものは興す、こういう方針に立つておる次第でございます。というのは行政機構なり、あるいは企業体なりは、今や独立採算制とか、あるいは健全性を確立すべきときである。いつまでも擬制的な態度をとつておつてはインフレが激化するだけであり、困るのは八千万國民大衆である。こういう見地から自然八千万國民大衆の完全雇用、あるいは困らないために、あるいは産業再建のために、一時行政整理なり、産業合理化をいたさなくてはならぬ、こういう主義、主張に立つております。そこで何割ぐらいするかというようなことは、まだこの政府はきめておりません。私がせんだつて川崎君にお答えしたのは、私かつて政務調査会長をしておりましたが、そのころの民主自由党の大体の意向というものは、三割くらいの行政整理をいたさなくてはならぬ、それ以上という人もございましたが、まず大体三割ぐらいはいたさなくてはならぬという主張が相当多いということを申し上げた次第であります。しからば実人員と定員との関係いかん、それから実際上の整理を相当せなければならぬかどうかという点は、これも川崎委員にお答えしたのは、この七月にわれわれが予算修正案を出しましたが、そのときの調査によりますと、ああいう数が出ておりましたけれども、その後欠員等も、定員増加に伴つて漸次補充されておるというふうに考えておるのであります。しかし今政府といたしましては、実人員と定員と――現在員と欠員との関係は、ただいませつかく調査中でございます。このさやが相当あれば、ほんとうの実人員の整理ということは、あまりしないでも済みましようが、しかし何と申しましてもわれわれは、相当程度の実人員の整理を非現業についてはしなくてはならぬと、こう思つております。現業員については、これはすぐ大幅の整理ということも、なかなか困難な模樣でございますが、これにつきましても、漸次合理化の線で整理をして参りたいと思つている次第でございます。
#109
○山花委員 その場合に俗にいう配置轉換がきき得る見通しがあるかどうか。万一配置轉換がきかないという見通しが立つ場合に、それらの國策犠牲者に対しての特別の考慮が拂われるかどうか。たとえば退職金、あるいは失業手当その他等々について、通常の習慣のきめ方の問題でなくして、こういう行政整理に関して特別のそういう意味の考慮が拂われるかどうか。その点をもしおわかりになつておれば、お聞かせ願いたいと思います。
#110
○増田國務大臣 これは政府として、実は公務員法を急いでおりますために、行政整理に関する具体的措置は檢討することになつておりますが、今のところ申し上げる時期に達していないのでございます。
#111
○山花委員 労働組合運動をやつておりますと、とにかく犠牲者というものが出るのであります。これは労資間の激列が鬪爭の結果そういう不幸な現象が現われて來るのであります。たとえば國と國の奉仕者の公務員の間においても、そういうようなことはあり得る。またこういう公共的な企業関係の間においても、そういう事態が労働運動の面に生ずると思うのであります。一般企業の組合におきましては、そういう犠牲者は、組合行政にすぐれておりますから、当然組合の役員という形で残つて來るのでありますが、公共企業体関係の労組法の條文を見ますと、いわゆる職員でなければ組合員または組合の役員になり得ないという規定が明確になつているのであります。そこで從來の日本労働運動の習慣である犠牲者を組合にとどめるという点について、労働大臣はどうお考えになつているか。
#112
○増田國務大臣 犠牲者がかりに出ると仮定いたしますと、政府としては、できるだけ物心両方面の配慮をしなくてはならぬと思います。せんだつて私ちよつと申し上げましたのは、民主自由党といたしまして、一應俸給を一年分なら一年分拂つておいて、そして役所へ來ないでよろしい、その間政府が轉換なり、職業の配慮なり、積極的な方針をとつたらどうかという説が、民主自由党の中に支配的だということを私は申し上げた次第であります。そこで今の一般企業の從事している從業員であるならば、産業合理化等が行われた場合には、労働組合にとどめてここで養えるということでございます。鉄道の労働組合その他につきまして、組合員以外の者、職員以外の者を排除した理由いかんということでございますが、これは公共企業体の特殊性にかんがみまして、労働組合員には職員以外の者が参加してはいけない、こういうことにいたした次第でございます。
#113
○山花委員 從來の官公廳、あるいは鉄道、逓信関係の俗にいう組合專從者でありますが、これは一定の協約を結んで、ある程度政府が、たしか默認をしていたというふうに伺つているのでありますが、これからはこの法案によりますと、そういうものは認めない。いわゆる給蕎支拂いは認めないということになつております。巷間傳うるところによりますと、ある程度の折衝で、組合員の一定の数を限つて專從者を認めるというふうな話も伺つているのでありますが、この点は政府としてどうお考えになつているか。巷間のうわさは私ども信用したくはないのでありまして、この際明確に組合の專從者について、勝定数に比例する專從者を置くのかどうか。その場合に給與は組合でまかなうのであるか、あるいは労働組合を援助して、それを健全な方向へ導くというような建前から、給料の負担を一應政府の方で持つのかという点を明らかにできればしていただきたいと思います。
#114
○増田國務大臣 お答え申し上げます。組合の專從者は認める次第であります。但し給與は差上げられない。それからその数等は公共企業体が決定する次第であります。
#115
○山花委員 せんだつてのこの法案の説明のときに、これは第二章に関係する問題でありますが、労働組合法第十一條違反処理に伴うところの欠点を是正したいという説明でございましたけれども、この第十一條違反の欠点というのは一体どこをさしておるのかどうか。
#116
○賀來政府委員 組合法の第十一條におきましては、労働組合運動をやつたがゆえに、あるいはこれに加入したがゆえに、加入せざるがゆえに、不利な取扱いをしてはならないということがあります。しかしながらこの不利なる取扱いをいたしました結果は、労働委員会がその事実を審査いたしまして、さような事実があるということになりますれば、これの処罰については裁判所に対して請求することになつております。從いまして不当な労働行為によりまして処分をされましたところの労働者は、裁判所の決定があるまでは、やはり不当な取扱いを受けたままになるわけであります。例を申しますと山口縣の小野田の炭鉱におきましては九十数名がこの不当な処理によつて首になつた事件があります。ところでこれは昨年の十月に首になつたのでありますが、その後六箇月を経ましても、裁判が確定いたしませんために、長らく首になつたままでおつた事実があります。かようなときに、労働委員会が、これは不当な労働行為であるという判定をいたしまして、仮処分によつて、とりあえずその措置の取消しあるいは就職を命ずることができますならば、労働者としては非常に助かるわけでありますが、それが現行の労働組合法ではできないのであります。ところでこの公共企業体におきましては、さような場合には仲裁委員会が仮処分を取消しを命ずることができるというのを三十六條に規定いたしまして、労働組合法の欠点をこれで補つておる。この趣旨は、本法におきましては、爭議権を認めておる從來の建前から見ますと、労働者にとりましては相当つらい面がありますので、特にさような意味の保護を徹底いたしたいということが現われておるのであります。
#117
○山花委員 私の質問は逐條審議のときに、またいたすことにしまして、これで終りたいと思います。
#118
○山本(幸)委員 私は二、三日欠席しておりましたので、あるいは御質問申し上げることが、すでに同僚委員諸君からなされて重複するかもしれませんが、あらかじめ御了承願いたいと思います。まず私は政府の提案理由の一、二について質問いたしたいと思います。本法案はお示しのようにマツカーサー元帥の書簡の示唆によつて、鉄道及び專賣事業の組合がえによつて提案せられたように冒頭に書いてあります。もちろんわれわれも、專賣事業あるいは鉄道事業については、さように示されてあることは十分承知をいたしておるのでありますけれども、といつて、本案のようなものを制定しようとするようなことについては、明確なお示しがないと私は考えているわけであります。從つてそれは明らかに――われわれの考え方で参りますと、マ書簡に便乘して、いたずらに労働運動に対する制限を加えているように見られ、なおかつ最近とみに攻勢が強くなつて参りました資本家的な攻勢を、非常に強めることになりはせぬかと考えられるのであります。先ほど労働大臣の、山花君もしくは辻井さんへの御答弁であつたと思いますが、今の國鉄のような健全なる労働組合の運動なれば、まことに喜ばしい、こういうようにおつしやつたのでありますけれども、もしさようなお考えでありましたならば、そういう健全な労働運動に対して、本法の制定によつて大きな弊害を與えることになると存じますので、その点についての大臣の見解を承りたいと思います。
#119
○増田國務大臣 ちよつと速記をとめていただきます。
#120
○綱島委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#121
○綱島委員長 速記を始めて……。
#122
○増田國務大臣 それでこのマツカーサー書簡によりますと、お説のごとく塩、しようのう、タバコ、それから鉄道については公共企業体がつくられなければならない。この事業の運営については、公共の利益を阻害しないような特別の配慮がなされなくてはならない。この後段の書簡の趣旨を体しまして、公共企業体労働関係法案というものを提案した次第でございます。そこで私は國鉄労働組合等は、最近非常に健全な発達を遂げているということを申し上げましたが、やはり公共の利益が侵害されないように、この企業の経営がなされなくてはならない。この趣旨から見まして、公共企業体労働関係法というものを提案いたした次第であります。
#123
○山本(幸)委員 今日すでに御存じのように、國家公務員法の改正をめぐりまして、一部行き過ぎの労働組合の方方と存じますけれども、非常に労働運動が尖鋭化して、しかも私どもが聞くところによると、労働運動そのものが、一部的に地下運動を追いやられておるというような傾向すらも見受けられるわけです。そういうときに、かような法律を制定せられるといたしまするならば、なおさら日本の労働運動をさらに地下運動へ追いやりまして、むしろそのことは、日本の経済再建に最も大きな支障を來すと、私どもはかように考えるわけでありますけれども、労働大臣は地下運動が起きているという点について、御承知なら承りたいと思いまするし、あるいはないとおつしやるならば、私はこの事項によりまして、そういう運動が起きるという見解を持つておりますので、その点についての御答弁を承りたいと思います。
#124
○増田國務大臣 労働運動がかえつて内燃的になるというようなお話でございまするが、現実の問題は実はまだあまり私存じておりませんけれども、これからの労働運動に対する対策といたしましては、できるだけ内燃的、地下的にならないようにやつて参りたいと存じておる次第でございます。もつとも現在地下的に移行しつつある傾向がございましたならば、具体的にお教えいただきますと、非常に労働行政上の参考になる次第でございますから、よろしくお願いいたします。
#125
○山本(幸)委員 この提案理由を拜見いたしますと、國家の嚴重な管理、監督にある企業であるので、從つてそういう強い公共性のものについて、この案を制定するのだ。こういうような御趣旨だと了承しますが、そこで公共性が強いというならば、單にそれは國家が直接管理、監督しているからなおかつ強いという意味ばかりでなく、私どもが考えまするに、この鉄道事業並びに專賣事業のほかに、なおこれにまさるといえども劣らない強い公共事業、たとえば肥料事業、あるいは電氣そういうような公共性の強いものが他にたくさんあると私どもは考えているわけです。從つてこれらの公共性の比較について大臣はどういう御見解を持つておられるか。またもしこれが同樣に強い公共性を持つているのだといたしますならば、將來こういう案を、それらの他の公共性の強い組合にも適用せらるるかどうかという点を伺いたいと思います。
#126
○増田國務大臣 お答え申し上げます、業態々々の比較から申しますと、御説のようなことも成り立つと私は思う次第であります。しかしながら肥料だとか、鉄だとかいう方向まで、どんどん公益事業を拡指して行くということは、今のところ考えていない次第であります。それからこの業態というものが、殊に專賣公社の業態のごときものは、ほかの御指摘の肥料あるいは製鉄に比べたならば、公共性がかえつて薄弱ではないかというようなお話でございまするが、これは一面專賣というものは、これは間接徴税機構になつているわけでありまして、間接税をこういう形式でとろうという一つの國家的の徴税機構であるというような見地でお考えくださいますと、これはやはり公益性が――なるほ瀬業態を見れば、タバコの製造、あるいは販賣ではございまするが、そういう間接徴税機構という見地からごらんになると、公益性が製鉄あるいは肥料の製造よりも高いということを言い得る次第でございます。それから一般論といたしまして、業態はともかくも、その経営が完全國有法人の経営である。企業主体がそういうことになりますと、この企業主体の企業に從事している職員の勤労の対象は、國家的の公共企業体である。そういう性質にかんがみまして、こういうような特別な労働法案が提案された次第でございます。
#127
○山本(幸)委員 私は決してこの事業が、他の製鉄並びに肥料等より公益性が弱いと申し上げるわけではないので、まさるといえども劣らないという言葉を使つただけでありますから、そういう点を御了承願いたいと思います。さらに私ども考えまするに、專賣並びに鉄道事業に從事する労働者は、これはきわめてはつきりしたいわゆる單純労務者でありまして、従つて一般の産業の労務者とは少しもかわりがないわけです。そこでそういうふうにその点はたれしも認めるのでありますが、にもかかわらず、これらの企業だけについて特別にこういう法律を適持しようというようなことになりますと、それはむしろ先ほど山花君も言われましたように、労働者が與えられているところの基本的に人権、基本的な権利、こういうものに差別をつけることになりまして、非常にこれらの從業員に対して動揺を與え、將來の健全な労働運動に大きな惡影響を及ぼすことになりはしないかと思うのでありますけれども、その点について大臣の見解を承りたいと思います。
#128
○増田國務大臣 お説の通りでございまして、この規定が乱用されるということになれば、これは基本的人権にも影響があると思つております。しかし何しろ職員の勤労の対象は公共企業体であり、完全國有法人である、その特殊性にかんがみまして、マツカーサー・レターに示された通り、公共の利益を侵害しない特別の手段が講ぜられねばならない。この條項にのつとつて、この法案を出した次第でございまして、公共の利益という見地に立つときは、やはり憲法十二條、十三條の支配がある。そこで必ずしも人権の侵害ならぬ。こう思う次第でございます。
#129
○山本(幸)委員 國家的な公益企業であるという理由によりまして、こういう單純労務に從事する者まで組合活動を制限することは、制限することによつて、ひいてその内容においては、爭議権まで否認することとなつておるわけでありますけれども、もし爭議権が否認されるといたしますなれば、せつかく團体交渉権が認められましても、結局團体交渉権を裏ずけるものを失うわけであります。そこで團体交渉権を裏ずけるものを失うということは、さらに進んでその結果は、常に使用者側の一方的な主張だけが通るような危險性が多分にあると思いますが、その点について、いかなるお考えをお持ちになつていらつしやるのでありますか。
#130
○増田國務大臣 この法案の内容をごらんくださるとおわかりの通り、調停制度もございますし、また強制調停、仲裁制度もございまして、一方的の使用者側の意思が実現されるにすぎないという結果を、極力防止いたしておる次第でございます。
#131
○山本(幸)委員 もう一つお尋ねしたい。第二章にいわゆるオープン・シヨツプ制を規定しておられるのですが、先ほども同僚の方から、いろいろ質疑が行われたわけでありますけれども、われわれが考えまするに、日本の労働運動はいまだ未成熟でありまして、こういうときにかような制度をつくることは、――これはもちろん労働者が組合をつくらない、加入しないということは本人の持つそれぞれの自由でありまして、そういう点から一應わかるのでありますけれども、もつと基本的な点を掘り下げてみますと、大体労働運動が健全に発達することによつて、日本の経済の民主化ができるということは、だれしも承知されておるわけです。そこでこういう一つの過臣的な労働運動期におきましては、逆に健全な組合ならどんどん加入できるように慫慂すべきだろう、私どもはかように考えまして、でき得る限り健全な労働運動に多くの方の加入を慫慂いたしまして、さらに労働者にまじめな発言権を十分與える、こういうようにやることが好ましい、かように考えておるわけですが、これによりますると、なるほど一應本人の自由という立場から、それぞれ本人の考え方を尊重しておるように見えるのでありますけれども、むしろこういうものの制定によりまして、加入を恐晩るというような考え方を持つ危險性があるのであります。その点についていかなるお考えを持つておるのですか、伺いたいと思います。
#132
○増田國務大臣 御懸念のような場合があるか存じませんが、われわれはもちろんこの第四條は、リベラルでよろしいと考えております。というのはお説のような健全なる労働組合が、公共企業体の労働組合として生れた場合に、使用者側が組合に入れというようなことを、慫慂することもあり得るでありましようし、また労働省といたしましても、労働行政の立場から申し、勧めることもありましようが、また一面ごく惡い、政治活動を主としてやるような労働組合が生れたといたしますと、これはむしろ慫慂せずに、あべこべに脱退したらよろしかろうということになるのであります。今労働省の立場といたしましては、慫慂もせず、また脱退の干渉もせずというようなことが、ほんとうのよい意味の自由主義的立場ではないかと私は考えております。
#133
○山本(幸)委員 もう一つ最後にお尋ねします。第三章に、先ほど質疑せられましたけれども、公共企業体の管理、運営に関しては、いわゆる團体交渉の対象にしないというようなことがございます。実は私は、特に最近現実にこの必要があるということをつぶさに感じたわけであります。私が出ております岐阜縣におきまして、労働大臣御案内かもしれませんが、最近縣廳の中で、災害費の一部を、災害慰労金としてこれを分配した事実があるわけであります。その総額は私ははつきり承つておりませんが、主として土木部の関係の職員にこれを分配したのであります。ところがその分配方法が非常にむちやでありまして、たとえば課長、部長になりますと、数万円をもらい、ほんとうに災害復旧に晝夜不眠不休で努力した下級労務者につきましては、わずか千円か、千五百円の略金でこれをつつぱねておる。さらにひどい点は、災害復旧に――もちろん間接的には関係はありますが、関係課でないところの、あるいは関係部でないところの庶務、人事、会計というように、その金の支出をよく事前に承知しておる連中にまで、これを分配したというようなところから、はなはだ大きな表現だと思いますけれども、岐阜縣では、今岐阜縣の昭和電工だ、こういうようなことをいわれておるわけです。これなどは、一つはいわゆる現在の職員組合というものが、從來の惰性によりまして、いまだに陰に陽に押えつけられておるという事実を物語つておるのでありまして、もし職員組合が相当まじめな立場から、強い発言権を持ち、また組合の運営の面に参加をいたしておりまするなれば、私はこういうことは事前に防げると思います。ということは、すなわち職員組合におられる諸君が、一番よくそれを知つており、あるいは今度の岐阜縣における問題につきましても、それは職組からこの問題を発見して引起しておるのであります。そういう点から考えても、先ほどのお説も一應私どもはうなずけるのでありますけれども、ほんとうに官廳の民主化、あるいは公共團体の民主化というような見地に立つた場合に、運営にというような面については、むしろ團体協約の対象にいたしまして、積極的に労務者側をここに参加せしめるというような処置をとられることが、眞に私は健全な労働運動の指導方法であり、さらにそれらの公共團体の民主化を行うというような仕事の一つではないか、かように考えるのですが、その点はどういうふうな御見解でございますか。
#134
○増田國務大臣 お説のような点は、私はごもつともだと思つております。労働省説置法を見ますと、労働者に関する啓蒙宣傳ということがございまするから、そのとき具体的に、この労働組合は非常によろしいと思えば、労至者諸君に対しまして、啓蒙的の意味から、相なるべくはこの組合に参加していただいた方がよかろう、ということを申し述べることは、これはもちろん労働省設置法から見まして、なし得ることであり、またなすべきことだとは思います。しかしながらまた一面、今度は非常な不健全な労働組合がある――これはわれわれの見地から申すのですが、そこで政治行動を主たる目的としておる。これは本來労働組合でなくなるはずのものですが、あるいは山本さんのおつしやるような地下的な行動ばかりとつておる、こういうような労働組合がある場合には、それは脱退してほしいということを申すことも、われわれの職責ではないか、こう思つております。われわれの職責から申しますれば、両方とも権限がございますが、そういうふうな活動を從來官廳があまりし過ぎまして、しくじつた例もございまするし、ほんとうは大いにやりたいところでございますが、しかも惡い組合がどういうものかということは、その人その人によつて標準が違いましようし、またこれはよい組合だから助長してくれと言つたところで、ただちに一定の客観的標準というものもないわけでございますから――もつとも常識というものはございますから、これは確固不動なものでございますが、ともかくも今のところは、あまりそういう方向に積極的に動くということはどうかという感じを、私は抱いておる次第であります。
#135
○山本(幸)委員 大体私のお尋ねしようとした二、三の点は、御答弁によつてわかつたわけですが、大應これで一般的な質疑の点を打切りまして、後ほど逐條審議でまたお尋ねしたいと思います。
#136
○中原委員 先ほど來から、各委員諸君によつて一般的な質問がなされましたが、それに関連しまして、私ももう少し、残つておつた点でもありまするから、この場合質疑を進めてみたいと思います。まず一番に、專從者の問題について、いろいろ御回答がありましたが、先般の公聽会の席上においても、公述人の中から、特にこの点は強く指摘されて、御説明のあつたところでもありました。わが日本の労働組合運動は先進欧米各國のそれとは非常な距離があるのであつて、特にわが日本の特異性というものが認識されなければならない、いわんや廃墟の中から組織を持ち上げて参りました日本の労働組合運動であつただけに、それだけにまたいろいろな特殊事情が願慮されなければならなかつた。なおもう一つの点は、專從職員がその企業体、あるいはその官廳から給與を受取るということについても、そういう未発達な、あるいはそういう特殊條件のうちにはぐくまれて参りました労働者としては、やむを得ずこういう特別な手続をとらなければならなかつた、こういう点を数数指摘しておつたようでありまするが、私もまつたく感を同じくするものであります。ことに問題になりまするのは、わが日本の労働者が、敗戰後言葉を同じういたしまして主張した点に、最低賃金制度の確立ということがありました。この最低賃金制の制定確立ということについては、おそらく否定すべき論拠はいずれにも見当らないと思いますが、專從者に給與を支給せないということのためには、やはり全般的に労働者の最低給與が確立されておつて、労働者が潤沢に組合費を委めることのできる経済事情を要件として、初めて專從職員の給與は支給しないということを言い得る理論が成立つと思うのであります。そうでない今日のわが日本の事情で、しかも敗戰後の廃墟の中からはい上つて來ました労働組合が、やむを得ざる事情から、組合運動の健全なる成長発達を期待するために、今まで給與を支給して参りましたが、そのことを今日立ちどころに否定いたしまして、給與は支拂わないというようなことを、わざわざここに法律の中に明記するという取扱い方、これは、このような言葉をもつて、いわゆる組合の自主性というようなことにかこつけて、この給與の支給を否定しようとする傾向が、使用者側あるいは政府側に濃厚なのでありまするが、この点は最低賃金制の確立とにらみ合せて、初めて理論的にも成立つものだと考えるのであります。從いましてもまず專從職員の問題の取扱い方についての吟味をいたしまする前に、最低賃金制の問題について、大臣の見解をこの場合承つておきたいと思います。
#137
○増田國務大臣 最低賃金の問題につきましては、法律にも規定しておる次第でございまして、この賃金を研究決定すべく、最低賃金委員会の法制をせつかく今急いでおります。この委員会ができますれば、産業別各労働者について、最低賃金とはかくあるべきものであるという標準ができ上るものと、期待いたしておる次第でございます。
 それから、組合專從者についての給與をやらぬということを、法律に書くことはどうかというお話でございまするが、組合專從者の俸給というようなものは、私は労働組合としては主たる経費になると思うのであります。その他各種の活動をすれば、もちろんその事業費というものは、組合の專從者の俸給の何倍ということもあり得ましようけれども、しかしならが理論的に考えまして、組合專從者の俸給支給ということが、私は組合の事務費の重要部分を構成すべきものである、こういうふうに考えますときに、労働組合というものは、元來主たる経費を使用者から得るような組合は、これは御用組合である。本來の姿における自主的な、民主的な、また責任制の確立されたる労働組合でないという意味合いから、労働組合の專從者が俸給を使用者からもろうことを潔しとしない、プライドにも関するというふうに、早くなつていただきたいと思うのであります。それにつきましては、これはどうしたつて、中原さんも首是してくださる、われわれの理想であろうと思つております。
 ところが中原さんがおつしやる、今のところ労働者は賃金が安い、そこで使用者側から賃金をもらつて、組合運動に從事せざるを得ないというようなことは、今のところ一般労働組合についてあり得ることかと思つておりますが、これにつきましても、私はできるだけ実質賃金の確保に努めまして、一般産業労働組合につきましても、專從者は使用者から断じて給與をもらわないというふうに、労働組合の民主性、自主性というものをぜひ確立するように、御協力をお願い申したいと思う次第でございます。
#138
○中原委員 もとより労働者は侵すべからざるプライドを持つておるのでございます。しかるにもかかわらず、このような專從者の給與支給というような問題が、おのずからそこに成立つたということは、かくあるべきはずの事情が、かくあらしめたのであります。從つてかくあらしむべき事情は何であるかといえば、餓死に近い低賃金に縛られている日本の労働階級として、しかも労働組合の成長発展は、國の民主化のために、大きな意義を持つものであるという認識のもとに、ポツダム宣言受諾以來のわが日本のあり方として、かくあつたものであると考える。そうであれば、かくあるべき、すなわち給與を支給すべき事情がそこにはつきりと理由ずけられて、そのもとにこのような一つの慣習が成立つたわけであります。そうであれば、その慣習というものには、当然それだけのあるべき沿革があつたわけでありまして、それをここに軽々しく廃棄するということは、相当愼重を要すべき事柄ではなかろうかと私は考える。ことにまず最初に拒否すべきものを拒否して、後に給與その他の與うべきものを詮議するという態度がまず問題なのではないか。いつの場合にも政府の取上げ方は、まず拒むものを先に拒み、そうして先に與うべきものをあとからせんさくして行くというような建前に立つておるように見受けられることは、はなはだ遺憾と思うのであります。たとえばただいまの問題でも、これからぼつぼつ最低賃金制度の制定のために審議を進めようとしておるときに、まず拒否すべきものを先に拒否してかかるというふうになつて來ると思うのでありますが、そういう扱い方がはたして眞に労働階級を理解し、あるいは日本の究極到達せなければならない民主態勢確立のために、ほんとうに心を用いた態度であるかどうか、この点についてはなはだ私はその眞意を疑うものであります。ことに先ほどお話があつたと思いますが、人事院の勧告に基く六千三百円の給與ベースは、まつたく適当であると考えられるし、しかし財政的な諸措置の関係から、できるだけそこへ努力したいと思うが、ということの裏には、できにくいということをも意味すると私は予想するのでありますが、すでに人事院がかくあるべきを決定した、その決定の金額をすら、実行に移すことのできないような、そういう政府の心構えでもつて、最低賃金制の問題に関してはたして答えが出るかどうか、これもはなはだ疑問であると私は思うのであります。いわんや全官公の科学的な根拠に基く要求は、人事院のそれよりは上まわらなければならない状態になつておる。こういう現実から考えますと、わが日本の労働階級はどのような処置を受けるにいたしましても、眞に人たるに値する最低線の給與にせよ、いまだ、なおかつ獲得し、確保することのできない弱い状態に追い込まれておるということだけは、何人もこれを肯定しなければならない悲劇なのであります。そのことを、かれこれ吟味して参りますと、ただいまの大臣の御答弁は、いわゆる一ぺんの答弁であつて、眞に労働運運動に対し、あるいは労働者に対して、味方する理解ある態度と受取ることがむずかしくなつて來る。昨日も大臣は、私はリベラリストであるという御宣言があつた。私は非常に愉快に思いました。そのリベラリストであるという自負を持つ労働大臣の、ほんとうの腹の底を割つて出た答えとすれば、はなはだその間に食い違いがあることを私は思うのでありますが、この点について、いずれを先にすべきかという問題についての御見解をまず伺いたい。
#139
○増田國務大臣 労働組合專從者問題というのは、労働組合の本質論にもなりますので、私は特に再び立つて御理解を得たいと思つておりますが、労働組合の本質から見ますと、どうしても主たる経費を資本家から仰ぎ、使用者側から仰ぐというデペンデントな組合から、もはや解放さるべきものであると私は思つております。まず純粹なる立場に労働組合がなるべきものである。理論的には、正義感の強い中原さんも、純粹なものの考え方には、賛同くださると私は信じて疑わないのであります。日本の労働組合も早くおとなにならなければならぬということを、しばしば関係筋からも言われておるのでありまして、資本家側から俸給をもらつて労働組合運動に專從するということが、組合発達の幼稚な過程にあるということは御同感くださることでありまして、私は一應理論的に筋の立たない理論は、氣持惡くて、いたしたくないのでありますから、まず自分が議論しても、氣持のよい議論をいたしたい。その氣持のよい議論をいたしたいという立場から見ますと、何としても労働組合は自主性、民主性がなけれぱならぬ、御用的であつてはいかぬと私は思つております。どうかこの点だけは御同感願つて、將來そういう方向にお互いに労働組合を助長発達さして行きたい。組合の運動については先覚者である中原君には、特に御協力を願いたいものと私は念願してやまない次第であります。ところで政府は、それならまず與えろ、ろくに與えないでおいて、組合の方で罷業するなといつても、むりではないか。この説もまた同感でございます。そこで理論は私の申し上げたとこいを、あなたも御同感くださることと思いますが、実際はなかなか組合費くらいで、專從職員をかかえておくわけに行かない。そこでわれわれは、そういう理論をわれわれの理想として、どこまでもその理想を実現するように、給與もよくして参る。いつまでも給與が惡いから、相かわらず労働組合が、経費の面からは御用的であるというふうに、労働組合法を解釈される状態にあつてもやむを得ないという、そういう考えだけは、將來お互いにやめて行きたいと思います。與えるものも與えないという御非難については、重々ごもつともでございまして、われわれも深く考えなければなりませんが、まず終戰後の日本の置かれた経済的な状態、経済條件というものは、これは單に勤労者に限らず、企業者といえども、また一般の自由職業者といえども、人たるに値する生活を一般的に得ておるかどうか、これまた疑問でありまして、この段階においては、やはりある程度やむを得ない状態が相当あると思つております。そこでわれわれは、鉄道を、あるいは專賣公社をこういうふうにやるからには、やはり先ほど申し上げましたように、人事委員会の勧告等は、財政の許す限り、できるだけこれを具現化いたし、中原君のおつしやるところに沿いたいと思つておる次第であります。
#140
○中原委員 專從者の問題については、議論はまだありますけれども、議論は控えまして、次に第十七條の爭議権、爭議行為に関する問題に件についても、先ほどから御議論がありましたが、それに対して私は少しばかり私の疑問とする点をお尋ねしてみたい。
 第四章第十七條というのは、公述人の方にも特にゆかりが深く、その筋にも非常に不愉快な印象をもつて説明があつたと思います。私どもも同じように思います。治安警察法第十七條という問題が、無産階級解放運動の一つの主要な鬪爭題目になつておつたわけであります。これほど人間の持つ基本権を蹂躪した、最も端的なものはなかつたと思うのでありますが、その十七條が、はからずもまた公共企業体労働関係法の中に、十七條として現われて來たということは、妙なものの言い方をいたすようでありますけれども、偶然ではない。治安警察法第十七條を、ここに復活せしめるというようなことも、言えるのではないかと私は思うのでありまして、これは新憲法下におけるわが日本の最も恥すべき一つの條文であると思うのでありますが、このことについて、ただいま大臣のお言葉によりますと、その爭議行為を禁止するというが、一方には仲裁、調停の機関が設けられておるのであつて、だからこそ仲裁、調停の機関を通じてしかるべき処置が考慮されているのである、こういまうふうに説明されたかに思います。そうであれば、この労働関係法の中のいわゆる仲裁並びに調停の機関の主体たる委員会でありますが、この委員会の構成から考えますと、われわれは大きな期待を持つことがむずかしいのであります。すでに明記されておりますように、委員は三名をもつて構成する。しかもその三名の委員の選考のなされ方等を考えますと、はなはだ心もとなきを感ずるものでありまして、その三名の委員の選考におきましても、決して民主的な手続によつてなされておらない。このような、いわば一方的な性格を多分に内包するところのこれらの委員会が、はたして爭議権を拒否され、禁止された労働階級の権益を、眞実に守るだけの機能を発揮し得るかどうか。これらの御見解をまず承つておきたいと考えます。
#141
○増田國務大臣 この委員会は、公正なる委員会になるように組織したつもりでございます。いわゆる三者構成であり、また中労委その他の推薦機関の推薦にかかるものを仲裁委員とする、こういうことになつておりますから、私は各方面の立場を代表し得る、從つて國家的構成になると思つております。
#142
○中原委員 もちろん人数が多ければ、必ず公平な結論が出るというわけではありませんが、委員をあえて三名と局限された根拠は一体どこにあるのでありますか。
#143
○増田國務大臣 別段深い根拠があるわけではありませんが、要するに三者を代表すればそれでよろしい、こういうふうに考えた次第であります。
#144
○中原委員 この委員会が三者をほんとうに代表するかどうかについての吟味は、もとよりこの條項に入りましてから、さらに深く掘り下げてお尋ねをしてみたいと考えておりますが、しかもこの三名の委員を選考いたします推薦母体といいますか、推薦すべき手続といいますか、そういうものが、そういう狹い範囲に局限されると、その現われて参ります結論というものは、必ずこれは一つの束縛を受ける関係に追い込まれて行くおそれが多分にあるわけであります。なぜこれを労働委員会の委員を選考いたします場合のように、労働團体その他労働関係の各組織、あるいは機関等を総動員して、嚴重に公選的な方法をとるということに思いを及ぼされなかつたのであるか。この重要な仕事を担当する委員会なら、私はもう少し廣い範囲のいわゆる民主性を、何ものにもこだわることなく発揮し得るところの範囲内に、これを求めて行くというようなやり方が、眞により公正な委員を選考するための方法ではないかと思うのでありますが、この点について一應承つておきたいと思います。
#145
○賀來政府委員 技術的な問題に入つたことが多いのでございますから、私から大臣の命によりましてお答えしたいと思います。この調停委員会の委員の三者構成につきましては、数は非常に少いのでございますが、從來の組合法によりまする労働委員会の委員の数は七ないし五になつておるのであります。これは相当廣い範囲の労務関係を取扱うという理由が一つでありますが、運営の経驗から見ますると、結局五でありましても、七でありましても、使用者側の利益は一に代表されるのであります。労働者側も結局一に代表されるのでありまして、五対五のようでありますけれども、結局は一対一になる。この労働関係をなるべくすみやかに解決いたしまして、そうして早期に労働不値を除去いたしたいという考えからいたしまして、数を一対一、そういうふうにできるだけ数を省略いたしまして、早く片ずける。かような意味で一対一、合計三ということにいたしておるのであります。なお選出の方法につきましては、できるだけこの関係を早く片ずけたい。双方納得ずくの方法をやりたいというので、組合法による労働委員会の選び方とかわつております点は、労働者側はみずから選んだ候補者の名簿を相手方に渡す、使用者側もまた自分が選んだ名簿を相手方に渡しまして、それぞれ相手方がこれを選ぶ。かようなかわつた方法をとつておる。御指摘のように、できるだけ廣い視野に立つて、爭議を早く解決するよう、有能な人が出ることはもちろん予期いたしておるのでありますけれども、これらの関係者におきましては、鉄道は鉄道の專門家を出してやる。かような意味合いからいたしまして、鉄道の組合の中でいかにして選ぶかということは、これにはきめていないのであります。そこは民主的に組合が選ぶだろう。かようなことを考えておりますので、御懸念の点に関連いたしましては、さようなことのないようにということで、組合法の運営の経驗からいたしまして、かようなことにいたしたのであります。
#146
○中原委員 そこでさらに問題になりますのは、代表を選考するために、これは十一條の規定でありますが、「職員を代表する主たる組合は、組合員以外の職員の代表者と協議して」云々という交渉委員の指名等の件にも現われておりますように、労働者の立場は常に二分されておる。組合を構成する者と、組合に構成されない者との両者が、一つの経営あるいは企業体の中にあるわけであります。そうであれば、組合に組織されておる労働者と、組織されておらない労働者との間には――このような段階において、労働組合に入らないような職員の考え方というものが何であるかは、およそ目安がつくわけであります。いわゆる労働者としての進んだ自覚がないがゆえにこそ、労働組合に入つておらないということが言えるのであります。そういう労働者的な自覚を持たない職員が、一半をかついでおるというような関係において、労働者側の意見が発表されて参りますれば、その結論が一体どこに落ちつくかはおよそ予想にかたくないのであります、でありますから、いつの場合にも、労働者の側から選考される委員にいたしましても――労働者側の意思を代表する委員にいたしましても、それは完全なる労働者的な自覚の上に立つておらないということが言えるわけであります。ここに問題は、いわゆる組合に組織されておらない者に、同樣の権限を附與し、同樣の保護を與えておるという取扱い方のねらいが、そこにあるのではないか。いつの場合にも労働者の純粹な考え方というものは、いわゆる労働者的な自覚というものの上に立たなければ、成立たないと私は考えるのでありますが、その災いがこの委員の選考の上にも反映して來るおそれはなかろうか。從つてたつた三名の委員を選考いたしまするために、そういうふうな形で問題が決して行くというようなことになつて参りますと、これは結論として、とんでもない反労働者的なものが生れて來る氣ずかいがないとは言えないのでありまして、この点については、どういう御認識をお持ちになられますか。承つておきたいと思います。
#147
○賀來政府委員 事務的な面に関連いたしまして、私からその点をお答えいたしたいと思いますが、ただいまの御懸念は、現在までの組合運動の状況、特にわが國におきまする組合運動の幼稚な状況下におきましては、御懸念ごもつともな点をわれわれも感じるのであります。しかしこの法文におきまして期待しておりまするところは、第一点はオープン・シヨツプ制をとりまして、労働者の團結する権利の自由を認めておるのであります。從つて、場合によりましては、全部の労働者が自覚をしておるということを前提としておりますので、その結果、大体その労働者の大部分を組合員として組合もあり得ましようし、またその組合に加入しない労働者もできて來るということが予想せられるのであります。その場合におきまして、組合を結成しておりますから、その組合員だけの不平、不満あるいは要求を團体交渉の面に移すということでは、かえつて先ほど大臣の御答弁にありましたように、憲法のいわゆる労働者というものは團体交渉の権利を有する、というふうなことに違反して参りますので、これらの労働者の一人々々の不平、不満というものも、何らかの形において表現するという形式をとりたい。しかしながら團体交渉は代表によつてやるのであります。しかも主たる組合があります場合に、その主たる組合、すなわち民主性から申しますならば、多数の意向というものを重視すべきである。かような意味からいたしまして、この法文におきましては、主たる組合が、ほんとうは自分で出せるのでありますけれども、やはりしからざる未組織のものもありました場合、それらの職員とも協議をいたしました上で、すなわち話合いの上で適当な代表をきめる。かようなことにいたしておるのであります。ところでこの代表が適当な話合いがつかない場合にはどうするか。これは民主主義の原則に基きまして、監理者たる労働大臣が、全労働者に対しまして、無記名投票をやらせまして、そうして全体の意思を反映するような方法をとつて行きたい。かような趣旨を持つておるのであります。この法文自身は、御懸念になりますように、組合の分裂を策してみたり、あるいは御用組合的なものをつくろう。かような趣旨は全然持つていないのでありまして、われわれの期待いたしておりますところは、全労働者が民主的な自覚のもとに、この法文の精神といたしておりますところを良心的に具現いたしてもろうということを、期待いたしておる次第であります。
#148
○中原委員 もとより組合の分裂を策し、組合の育成を妨げるというようなことが表面に現われたら、これは一大事なのであります。そういうことが平氣で法律の上に書かれるようになりましたら、もう日本は田中反動内閣時代に逆轉いたします。一應現われております文字の限りにおいては、なるほどりつぱであるのでありますが、しかし個個の面をせんさくして参りますと、なかなかそうではない。巧みにその背後に隠されたものがうかがわれることを遺憾といたすのであります。ただいまのお言葉にもございましたように、組合というよりも、労組の一人々々が訓練された、労組の一人々々が自覚したりつぱな結合体としての労働組合を期待しておる。もちろん異存のないところでありますが、その初めから、組合員としての自覚がみんなに把握されて行くということは望み薄であります。すなわち疊の上の遊泳術でありまして、やはり一應川の中に飛び込まなければ、水を泳ぐ訓練はむずかしいのであります。それと同じように、まず労働者が組合員としての組織の中に織り込まれてこそ、初めて労働者的な自覚と訓練がその中で育ち上げられて行くわけであります。從いましてほんとうに労働者の労働組合への結集ということが、歴史的に意義深いものであるということを認めるのならば、労働者に組合員たることの義務を負わしめてもよろしいと私は思うのであります。それは決して一人々々の人権を拘束することではない。正しい目的のために組織ずけて参りまするということは、むしろそのことこそ望ましいことでありまして、労働者が組合に組織されて、訓練されて行くという過程をとらしめるというような導きを、考慮すべきではなかろうかと私は考えるのであります。從つてこの問題がさらに関係して参りますが、第四條と第十一條ですか、いわゆるオープン・シヨツプ制の現われが出て参ります。こういう取扱い方というものは、実際には労働者がばらばらに分解して行くという、一つの過程をとらしめる可能制が多分にあることを見のがすわけには参らぬのであります。ことにこの條文によりますと、たとえば四條の例をとつて申しますれば、職員は労働組合その他の團体を結成し、もしくは結成せずと、わざわざ労働組合を結成せずというような文字が平氣で使われ、されにこれに加入し、もしくは加入しないことができる。なるほど一面考えようでは、個人の自由を尊重しておるかのごとき説明もあるいは可能であるかもしれませんけれども、その意図するところは、ただいま繰返し申しますように、労働組合というものを考える考え方が、まつたく違うのではないかという疑念を私は多分に持つのであります。これは單に私一人がそのことを氣ずかう、あるいはこのことを賛成しがたいと申すのではなくて、いやしくもわが日本の民主化を熱情を込めて切願しておる者に、一貫する一つの認識ではなかろうかと私は思うのであります。從つてこれは問題がさらに飛躍したのではなくて、前の爭議権拒否の問題と関連があり、また調停、仲裁とも関連があるのでありますが、こうしたまつたく矛盾した考え方が、この法律案の中に織り込まれておるということは、何としても私は了承できない。いわんや自由を尊び、そして國民の基本人権を最も熱情込めて見守つて行こうとする労働大臣ならば、私は確かにこの点については、私どもの意見と感を同じうなさるはずだと思うのであります。お立場から、あくまでこの問題を弁解づけ、理論づけて、一つの合目的的な線に持つて行こうとなさるのでありましようが、しかしながら憲法の九十七條に「この憲法が日本國民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、」とうたわれておる。しかもその自由獲得の努力の成果は、その間にあらゆる犠牲が織り込まれ、その血の犠牲をつづり上げて獲得いたした一つの基本的人権である。從つてその基本的人権は、日本國民に対して、現在もまた將來も、これは侵すことのできない一つの特権として、権利として信託されておるというように、たしかうたつてあると私は記憶いたしまするが、そういうことがもし單なる空文でないというなら、またいわなければならぬが、そうでありまするならば、私はこの第十七條の一片の法文をもつて、基本的なそれらの憲法の保障せんとする條項をくつがえしてしまうという取扱い方をもつて、まつたくデモクラテイツクな、実にりつぱな法律案であるというふうな御説明の内容となさることは、あまりにも矛盾していはしないか、あるいはリベラリストとしてみずから自負を持つ大臣とせられては、良心的にはなはだ苦しい点があるのではないかと私は思うのでありまして、本委員会は少くともわんとうに虚心担懷、この法律案をりつぱなものにするための討議が、なされなければならないし、委員もまたそのつもりでこの委員会で取扱つておるつもりでありますから、また当局においても、そのような心構えで臨まるべきものであつて、あくまでこの原案を弁護づけるという態度に、物事を曲げてまで押し進められることは、いかがかと思うのであります。從いましてこれらの諸点についての一應のお考え方を承つておきたいと思います。さらにもう一つあとに問題が残つておりますけれども、一應そのことについての御見解を承りまして、あとの意見に触れてみたいと思います。
#149
○増田國務大臣 中原さんの非常に熱心なる御意見を拜聽いたしまして、私も深く考えた次第でございまするが、私はこの法案が非常に民主的であるというふうにまで、言つた覚えはないのでございまして、この段階においては公共の利益を擁護するために、公共企業体の業務の運営については、支障がないように特別の方法が定められなければならない、こういう所見に基いて、この法案が出た次第でございます。そこで第四條の御指摘のうちに、組合もしくはその他の團体を結成し、こういうようなことを言われたようでございますが、「組合を結成し、若しくは結成せず、」とあるだけでございますから、もし文字が違つておりましたならば、その点御訂正願いたいと思います。要するに組合を結成することも、結成しないこともそれはやはり自由である。こういう意味合いの規定が置かれておる次第であります。
#150
○中原委員 この條文は違つていないと思うのであります。その他の團体というのはわかるのです。これは文化團体その他の團体だと思いますが……。
#151
○増田國務大臣 それは訂正して削りました。
#152
○中原委員 それではさらにもう一つ触れておきたいのでありますが、これもしばしば議論されたところでありまして、少し問題がくどくなると思いますが、私特にこれが氣になるので、私自身としても、また他の質問者諸君とは違つた角度で考える部分もあるのであります。実は一般私企業と何ら相違するところのない業態であつて、ただそれがたまたま國家が経営しておる、いわゆる経営の形態が違うというだけであつて、仕事そのものからいえば、一般私企業と選ぶところのないものであり、同時にまたきわめて單純なる労働に從事している。こういう関係に置かれた國有鉄道並びに專賣公社関係の労働者に対して、爭議権を拒否するということは、何と考えても大きな労働組合運動への、いわば彈圧的な法律であると私は思うのであります。この点については、おそらく大臣も同じ考え方を持つてごらん願えると思うのでありますが、それにもかかわらず、ただたまたま國有事業であるがゆえに、あるいは公社なるがゆえに、そういうふうな取扱い方をして、しかもいわゆる公共の福祉という文字を廣くとつて、公共の福祉に云々という建前から、労働者のそういう基本権を縮小して行く、あるいは根本的に奪つて行く、あるいははなはだ危うい状態に追いやつて行くというとこは、何としましてもこの法律案そのものが、まさに時代に逆行しておるというとこが言えるのではないかと思うのであります。そこでそういう特異性のあると申しますか、労働者的な事情のもとに從業するこれら関係の從業員に対して、爭議権を禁止するようなことは、よしかりにそれがどのような意味からなされた法律案であつたにしても、極力これは防衞しなければならない。そういうような禁止法律に対しては、徹底的にこれを防衞しなければならない。これはひとり國会だけでなく、政府自身もこれを防衞するための努力を拂わなければならぬのではないかと思うのであります。昔から人権を守り、自由を防衞するためには、みずから命を投げてさえ鬪つた歴史があるのであります。ここにわれわれは何といたしましても、労働大臣が單に政府の一機関としてのみものを考えるのでなくして、一個の自由を防衞する立場から、ほんとうに心を打込んで考慮せられなければならぬのではないか、それが政府というものの内容の一つを構成するものでなければならぬと私は思うのであります。こういう点について一應伺つておきます。
#153
○増田國務大臣 中原さんもこの問題については、たびたび私と意見交換なり、質問應答を重ねた次第でございまして、私はもうお答え申し上げる何ものもないのでございまするが、さらにお答えを要求されましたから申し上げます。まず増田がリペラリストであるというような御礼讃のお言葉がございましたが、私は昨日も申し上げました通り、民主自由党というものは――私民主自由党に所属しておりますことは御承知の通りでありますが、民主自由党はその党是に照して見ましても、すべて党員たるものはリペラリストであります。それで御指摘の憲法九十七條に規定されておりますところの、この憲法によつて保障されたる基本的人権は、人類の長い自由獲得の歴史的努力の結果得た成果であるということについては、全然同感であり、またこの法文を守るために、この憲法を守るために、非常にわれわれは熱情を傾倒して守らなくちやならぬと思つております。ところで憲法は御承知の通り百三箇條ございますが、二十八條も憲法でございますし、また十二條も憲法でございますし、十三條も同じく憲法でございまして、その價値判断に軽重、大小の差異があるべきものでないというのが、またわれわれの確信でございます。そこで十二條、十三條等に照してみまして、基本人権は保障されてはおりますけれども、これは公共の福祉に惡影響のない程度において、これを使用するということが、やはり他の人の基本人権を守り、また國民全体の基本人権と申しますか、國民全体と申しますと、政府によつて代表されるものでございますが、とにかくそういう関係においても、この基本人権は行使されなくてはならぬ。そうでなければ、権利の濫用ということになるのでございますから、われわれはこの客観情勢を問題にしなくちやならぬと思つております。この客観情勢に照してみまして、公共の福祉を擁護するためには、すなわち國民全体の奉仕者である公務員の團体行動も、ある程度制約をされることになる。こういう見地から、公共企業体労働関係法案も提案され、また國家公務員法の一部改正案も提案された次第であります。
#154
○中原委員 憲法の十二條を御引用になられまして、いわゆる公共の福祉のために、またやむを得ざるというふうな御立論でありましたが、十二條ということになれば一應十二條をはつきり読んでみます。「第十二條、この憲法が國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」これが前段であります。まずわれわれはこの前段を最も重要視しなければならぬのではないか。その前段の國民の享有すべき人権を保持するための不断の努力、この不断の努力が最初に吟味され、それへの飽くなき、何と申しますか、いろいろな客観情勢もありましようが、苦鬪し盡すということが、まず前提であります。そうしてその次に「國民は、これを濫用してはならない」というふうになつているわけであります。いずれが先になるかという問題は、もはや議論する余地がないと思います。もとよりわれわれはその権利を濫用したためしはない、また濫用しようと思つていない。日本の國民は、労働者もまた決してその與えられた基本的人権を主張するために、いたずらなる暴挙をいたしたためしはないのであります。從つてそういう解釈論から言いますと、話は非常にめんどうになりますが、問題は結局この憲法に盛られておりまする趣意を、どのようにして具現するかということの不断の努力が、あらゆる面に向つて拂われることを必要といたすのではないかと思うのであります。かような問題に思いを及ぼして参りますと、問題がまた元へもどつて、いわゆるマツク元帥の場簡の判断にまでなつて來るのであります。マツク元帥の書簡の判断にいたしましても、これは私は妥当な判断がなされて、國家公務員法の一部改正の法律案ができたことは必ずしも思うておらない。あるいはまた二百一号の公布になつたとは思うておらぬのであります。そもそも政府が、これはさきの芦田内閣にも関連する責任問題でありますが、政府が眞実にこの憲法に盛り込んだ精神を身につけて、國民の先頭に立つてこれを確保せしめようとする建前に立つたものとは、言いがたい点があると私は思うのであります。でありますから、いかに巧みな言葉をもつて、この問題を合理化そうとする努力がありましようとも、それにもかかわらず、実際はしばしばわが日本の國民が当然保有すべき人権一つ一つ、一廓々々からとりこわされつつあるという、悲しむべき、あるいはのろうべき傾向が見えておらないとは、言うことができないのであります。從いましてこれらの論議に対しましては、相当お互いが、政府も、また國民の代表も、ほんとうに眞劍に腹を割つて檢討を要する事項であると私は思うのであります。從つてただいまも申し上げましたこの一般企業とあまり――というよりは、ほとんどかわらない、ほとんどという言葉が不完全ならば、まつたくかわらないと言つてもいい、その労働階級に対して爭議論を剥奪する。そうしてそれにかわる調停、仲裁の機関を設けられたというのであるならば、その調停、仲裁の機関というものがこのようないかがわしい、疑義の多分にあるような規定の上に立つたのでは、必ずしもお話のような成果が得られるとは、考えられないのであります。從いまして私はこの労働関係法案の結論を、一体どこへ持つて行くべきかについては、これはいろいろ見解もございましようが、純粹にものを考える者の立場から申しますと、公共企業体労働関係法案なるものは、まつたく立て直すべきものである、こういう結論さえ出て來ると思うのであります。今から結論を申し上げるのは、まだ時間が早いのでありますが、一應私はそのように考えるのであります。そこでただいまの大臣の御答弁は、私はあまりにも大臣の立場を、何と申しますか、守るために、純粹な論を曲げたと申しては言い過ぎかもしれませんが、見るべきものを見まいとして、一つの答弁を構成されたものではないかというようにさえ思うのであります。從いましてこの爭議権拒否の問題については、なお私は日を新たにいたしまして、もう少し御所見を伺いたいと考えます。本日は一應この程度で私の質問は打切ることにいたします。
#155
○綱島委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後五時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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